説明

収納容器用台座及び台座付き収納容器

【課題】台座に対して収納容器を取り付けた場合においても、収納容器の底面を視認することを可能とする。
【解決手段】容器本体31と、容器本体31の底部31aから外側に突出するつば部とを有する収納容器31を支持するための収納容器用台座1において、平板状の台座基部11と、台座基部11の下面において凹状に形成された嵌合凹部12と、嵌合凹部12の底部を上下方向に貫通する貫通穴と、嵌合凹部12の内周壁面から周方向に間隔を空けて突出する複数の係合部14とを備え、収納容器3の容器本体31が貫通穴に下側から挿通されたときに、収納容器3のつば部32が嵌合凹部12内に嵌合されるとともに、嵌合凹部12の底部と係合部14との間につば部が保持されるように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、餅製品等の食品をはじめとした種々のものを収納する収納容器を支持するための収納容器用台座と、これを用いた台座付き収納容器とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、餅製品等の食品をはじめとした種々のものを収納するものとして、図17に示すような、鏡餅を模した外形からなる収納容器103が提案されている。この収納容器103は、鏡餅を模した外形からなる容器本体131と、容器本体131の底部131aから外側に突出するつば部132とを有している。この収納容器103は、容器本体131の底部131aに内部に餅製品等を収納するための開口133が形成されており、その開口133がフィルムシート等の蓋体134により閉塞されている。
【0003】
近年においては、需要者の購買意欲の向上、他社製品との差別化を目的として、この収納容器103に対して様々な装飾を施す試みがなされている。この例として、特許文献1においては、台座となる台部材上に容器本体を載置させてなる台座付き収納容器が開示されている。この特許文献1の台座付き収納容器では、収納容器のつば部に対して係止される係止部が台部材の上側に設けられており、この係止部をつば部に係止させることによって台部材上から収納容器が外れ難くなるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−169737号公報(図3等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の収納容器103は、その内部に餅製品等の食品を収納し、かつ、店頭等に陳列のうえ販売されるものとしての用途が一般的である。このような用途で収納容器103を用いる場合は、食品衛生法、JAS法等により、その内部に収納される食品について、原材料名、賞味期限等の種々の事項を表示することが義務付けられている。通常、この食品表示は、上述の収納容器103の底面である蓋体134の底面に対して直接印字したり、印字したラベルを貼り付けたりすることにより行われている。
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に開示されている台座を用いた場合、台部材上に収納容器を載置させたときに、台部材の下側から収納容器103の底面を視認することが不可能となる。このため、食品表示義務を遵守するうえでは、台部材の底面にも別途印字等する必要が生じてしまい、製造コストの増大を招いてしまう。また、台部材のみに食品表示をすることも考えられる。しかし、この場合、食品表示が印字された台部材から収納容器103が取り外れて他の収納容器103と混在してしまい、その収納容器103を元の台部材に取り付けようとしたときに、実際の賞味期限等が表示された台部材とは異なる台部材に収納容器103が取り付けられる恐れがあるという問題点がある。
【0007】
また、特許文献1に開示されている台座を用いた場合、台部材上に収納容器を載置させたときに、台部材と収納容器との間に異物が混入する恐れがある。このため、この場合は、その異物の有無を確認するため、別途、検品する必要が生じてしまうという問題点もある。
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、台座に対して収納容器を取り付けた場合においても、収納容器の底面を視認することを可能とする収納容器用台座と、これを用いた台座付き収納容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上述した課題を解決するために、鋭意検討の結果、下記の収納容器用台座及び台座付き収納容器を発明した。
【0010】
第1発明に係る収納容器用台座は、容器本体と、前記容器本体の底部から外側に突出するつば部とを有し、前記容器本体の底部に形成された開口が蓋体により閉塞された収納容器を支持するための収納容器用台座において、平板状の台座基部と、前記台座基部の下面において凹状に形成された嵌合凹部と、前記嵌合凹部の底部を上下方向に貫通する貫通穴と、前記嵌合凹部の内周壁面から周方向に間隔を空けて突出する複数の係合部とを備え、前記収納容器の容器本体が前記貫通穴に下側から挿通されたときに、当該収納容器のつば部が前記嵌合凹部内に嵌合されるとともに、当該嵌合凹部の底部と当該係合部との間に当該つば部が保持されるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
第2発明に係る収納容器用台座は、第1発明において、前記係合部は、前記嵌合凹部の底部から当該係合部までの間隔が前記つば部の厚さに応じたものとなるように設けられていることを特徴とする。
【0012】
第3発明に係る収納容器用台座は、第1発明又は第2発明において、前記係合部は、その下側の内周縁部に下方に向かうにつれて前記嵌合凹部の内周壁面に近づくような下側案内面が形成されていることを特徴とする。
【0013】
第4発明に係る収納容器用台座は、第1発明〜第3発明の何れか一つの発明において、前記係合部は、その上側の内周縁部に上方に向かうにつれて前記嵌合凹部の内周壁面に近づくような上側案内面が形成されていることを特徴とする。
【0014】
第5発明に係る収納容器用台座は、第1発明〜第4発明の何れか一つの発明において、前記嵌合凹部は、前記収納容器のつば部が当該嵌合凹部内に嵌合されたときに、当該つば部の一部の上面が当該嵌合凹部の底部から露出可能となるように構成されていることを特徴とする。
【0015】
第6発明に係る収納容器用台座は、第5発明において、前記嵌合凹部は、当該嵌合凹部の底部から露出する前記収納容器のつば部を上側に押圧する押圧片が設けられていることを特徴とする。
【0016】
第7発明に係る収納容器用台座は、第6発明において、前記押圧片は、前記貫通穴の中心位置に対して対称となる位置に二つ設けられていることを特徴とする。
【0017】
第8発明に係る収納容器用台座は、第1発明〜第7発明の何れか一つの発明において、前記台座基部、前記嵌合凹部及び前記複数の係合部は、合成樹脂により一体的に成形されていることを特徴とする。
【0018】
第9発明に係る台座付き収納容器は、第1発明〜第8発明の何れか一つの発明における収納容器用台座と、前記収納容器用台座により支持された収納容器とを備えることを特徴とする。
【0019】
第10発明に係る台座付き収納容器は、第5発明〜第8発明の何れか一つの発明における収納容器用台座と、前記収納容器用台座により支持された収納容器と、記嵌合凹部から露出した前記収納容器のつば部の上面と当該嵌合凹部の上面とに亘って貼り付けられた粘着体とを備えることを特徴とする。
【0020】
第11発明に係る台座付き収納容器は、第10発明において、前記粘着体は、前記収納容器を装飾するための装飾部材の底面に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
第1発明〜第11発明によれば、台座に対して収納容器を取り付けたとき、収納容器の底面に対して係合部が下側から係合されているのみであり、その大部分が台座の下側に露出した状態のままとなる。このため、台座に対して収納容器を取り付けた場合においても、その収納容器の底面を視認することが可能となる。これにより、食品等を収納するものとして収納容器を用い、その収納容器の底面に食品の品質表示をしている場合においても、台座の底面にその食品表示を別途する必要が生じるのを防止することが可能となる。また、台座に対して収納容器を取り付けるうえで、つば部の下面と係合部との間に異物があっても容易に視認できるうえ、つば部の上面と係合部との間の異物は取り付け作業時に貫通穴から外側に出易くなっている。このことから、台座の収納容器との間での異物混入の恐れを抑えることが可能となる。また、台座に対して収納容器を取り付けるうえで、収納容器の容器本体を貫通穴に挿通させて、収納容器を押圧するといった簡単な手順で取り付け作業を行うことが可能となる。
【0022】
特に、第3発明によれば、収納容器のつば部の上面をその下側案内面に接触させた状態で収納容器を下側から上側に向けて押圧することによって、嵌合凹部又はつば部のうちの少なくとも一方を弾性変形させつつ嵌合凹部内につば部を嵌合させることが可能となる。これは、収納容器を台座に取り付けるときの作業性の向上を図ることが可能となることを意味している。
【0023】
また、第4発明によれば、収納容器を下側から上側に受けて押圧して嵌合凹部内につば部を嵌合させるときに、そのつば部の外周端が上側案内面に接触した段階で、弾性変形している嵌合凹部又はつば部の弾性復元力によりつば部を押し上げることが可能となる。これにより、嵌合凹部の底部と係合部との間隔が多少狭くとも、その間に収納容器のつば部を容易に差し込むことが可能となり、収納容器を台座に取り付けるときの更なる作業性の向上を図ることが可能となる。
【0024】
また、第5発明、第6発明、第10発明、第11発明によれば、台座に対して収納容器を取り付けたときに、台座に対する収納容器の回転を防止することが可能となる。台座付き収納容器を店頭等で陳列して販売する場合、複数の台座付き収納容器を並べて販売することになるが、これにより、その複数の台座付き収納容器の台座と収納容器とのそれぞれの向きを揃えることが可能となり、陳列時に整然とした印象を需要者に与えることにより、購入意欲の増進を図ることが可能となる。特に、台座付き収納容器の販売時においては、台座に対して収納容器を取り付けた状態で製品を出荷、運送するのが通常であり、その運送時の振動により台座に対して収納容器が回転し易いが、この台座の適用によって、その問題点を有効に防止することが可能となる。
【0025】
また、特に、第6発明によれば、収納容器のつば部を嵌合凹部の底部から露出させたときに、その底部の上面の高さとつば部の上面の高さとを近づけることが可能となり、これらに粘着体を貼り付け易くすることが可能となる。
【0026】
また特に、第7発明によれば、押圧片の押圧力により作用する反力によってつば部が嵌合凹部から抜け出るのを効果的に防止することが可能となる。
【0027】
また、特に、第11発明によれば、収納容器の装飾性の向上を図りつつ、台座に対する収納容器の回転を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(a)は第1実施形態に係る収納容器用台座に収納容器を取り付けた状態を示す正面図であり、(b)はその正面断面図である。
【図2】第1実施形態に係る収納容器用台座に収納容器を取り付けた状態を示す背面図である。
【図3】図1(b)のS1部を拡大した拡大図である。
【図4】(a)は第1実施形態に係る収納容器用台座の正面図であり、(b)はその正面断面図である。
【図5】第1実施形態に係る収納容器用台座の平面図である。
【図6】第1実施形態に係る収納容器用台座の背面図である。
【図7】第1実施形態に係る収納容器用台座に収納容器を取り付ける工程を説明するための拡大図である。
【図8】第2実施形態に係る収納容器用台座に収納容器を取り付けた状態を示す正面断面図である。
【図9】(a)は図8のS2部を拡大した拡大図であり、(b)は(a)から装飾部材と収納容器とを取り外した状態を示す拡大図である。
【図10】(a)は第2実施形態に係る収納容器用台座から収納容器のつば部が露出した状態を示す拡大斜視図であり、(b)は(a)から収納容器を取り外した状態を示す拡大斜視図である。
【図11】第2実施形態に係る収納容器用台座の平面図である。
【図12】第2実施形態に係る収納容器用台座の背面図である。
【図13】(a)は第2実施形態の第1変形形態に係る収納容器用台座から収納容器のつば部が露出した状態を示す拡大斜視図であり、(b)は(a)から収納容器を取り外した状態を示す拡大斜視図である。
【図14】第3実施形態に係る収納容器用台座の平面図である。
【図15】第3実施形態に係る収納容器用台座の背面図である。
【図16】第3実施形態に係る収納容器用台座に収納容器を取り付けた状態を示す正面断面図である。
【図17】従来の収納容器を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を適用した収納容器用台座及び台座付き収納容器を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
収納容器用台座1(以下、台座1という。)は、図1〜図3に示すように、収納容器3を支持するものとして用いられる。以下においては、まず、この台座1が用いられる収納容器3について説明する。
【0031】
収納容器3は、容器本体31と、容器本体31の底部31aから外側に突出するつば部32とを有し、その容器本体31の底部31aに形成された開口33が蓋体34により閉塞されている。
【0032】
収納容器3は、容器本体31内に開口33から被収納物5を収納して保存するものとして用いられる。ここでいう被収納物5としては、餅製品をはじめとした食品が挙げられるが、これに限定するものではない。また、ここでいう餅製品とは、図示のように硬化前の餅材料を充填した後に、これをそのまま硬化させたものの他に、丸餅や角餅等の種々の形状をした餅を袋詰めしたものが含まれる。
【0033】
容器本体31は、底部31aにおいて開口33が形成されるとともに、頂部31bにおいて閉塞された有底の筒状に形成される。容器本体31は、第1実施形態において、平面視において略円形状をなす丸餅を複数段重ねた鏡餅を模した外形からなるものとして構成されているが、これに限定するものではない。つば部32は、第1実施形態において、平面視において略円形状をなすように形成されている。
【0034】
容器本体31とつば部32とは、ポリプロピレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の合成樹脂からなるものであり、射出成形やブロー成形等により一体的に成形される。
【0035】
蓋体34は、第1実施形態において、つば部32の底面にヒートシールにより接着されたポリプロピレン系樹脂等の合成樹脂からなるフィルムシートから構成されている。蓋体34は、容器本体31の開口33を閉塞可能であれば、特にその具体的な構成について限定するものではない。
【0036】
蓋体34は、第1実施形態において、容器本体31内に収納される食品としての被収納物5の品質表示するための品質表示用情報35がその底面に印字されている。品質表示用情報35は、この他にも、蓋体34の底面に貼り付けられたラベルに印字されていてもよい。
【0037】
次に、第1実施形態に係る台座1について説明する。
【0038】
台座1は、図1〜図6に示すように、平板状の台座基部11と、台座基部11の下面11aにおいて凹状に形成された嵌合凹部12と、嵌合凹部12の底部12aを上下方向に貫通する貫通穴13と、嵌合凹部12の内周壁面12cから周方向に間隔を空けて突出する複数の係合部14とを備えている。
【0039】
台座基部11は、第1実施形態において、平面視が正方形状をなすように形成されているが、その形状についてはこれに限定されない。台座基部11は、その周端部において下側に向けて折り曲げられた足部15が設けられている。
【0040】
嵌合凹部12は、後述のように、収納容器3の容器本体31を貫通穴13に下側から挿通させたときに、その収納容器3のつば部32が嵌合可能となる形状に形成されている。嵌合凹部12は、第1実施形態において、台座基部11から上側に立ち上がる筒状の周壁部12bと、周壁部12bの上端に設けられた環状の底部12aとを備えている。
【0041】
貫通穴13は、収納容器3の容器本体31を台座1の下側から挿通可能となる形状に形成されている。貫通穴13は、収納容器3の容器本体31を下側から挿通させたときに、その収納容器3のつば部32が嵌合凹部12の底部12aに当接可能となる形状に形成されている。これにより、収納容器3が貫通穴13の下側から上側に抜け出るのが防止される。
【0042】
係合部14は、収納容器3の容器本体31が貫通穴13に下側から挿通されたときに、その収納容器3のつば部32に下側から係合される。これによって、嵌合凹部12の底部12aと係合部14との間に収納容器3のつば部32が保持されることになる。
【0043】
係合部14は、収納容器3のつば部32に係合されることにより収納容器3を支持するものとして機能する。このことから、係合部14は、収納容器3を安定して支持できるように、その嵌合凹部12内での形状、位置、数が適宜調整される。係合部14は、第1実施形態において、嵌合凹部12の周壁部12bに対して周方向に長い矩形状の形状に形成されており、周壁部12bの内周壁面12cに等間隔を空けて4箇所設けられている。
【0044】
係合部14は、嵌合凹部12の底部12aの下面12dからその係合部14の上端面14aまでの間隔L1が収納容器3のつば部32の厚さt1に応じたものとなるように設けられている。この厚さt1は、例えば、間隔L1と略同一となるか、間隔L1よりも若干小さいものとすることが好ましい。これにより、収納容器3のつば部32を嵌合凹部12の底部12aと係合部14との間に強固に保持することが可能となる。なお、ここでいうつば部32の厚さt1とは、つば部32の底面にフィルムシート等からなる蓋体34が接着されている場合、その蓋体34の厚さも含められる。
【0045】
係合部14は、その下側の内周縁部14bに下方に向かうにつれて嵌合凹部12の内周壁面12cに近づくような下側案内面14cが形成されている。これにより、図7(a)、(b)に示すように、収納容器3のつば部32の上面32bをその下側案内面14cに接触させた状態で収納容器3を下側から上側に向けて押圧することによって、嵌合凹部12又はつば部32のうちの少なくとも一方を弾性変形させつつ嵌合凹部12内につば部32を嵌合可能となる。これは、収納容器3を台座1に取り付けるときの作業性の向上を図ることが可能となることを意味している。このとき、嵌合凹部12は、その外周側に押し広げられるように弾性変形し、つば部32は、その内周側に押し狭められるように弾性変形することになる。図7(a)、(b)の例では、嵌合凹部12が弾性変形する場合を例示している。
【0046】
また、係合部14は、その上側の内周縁部14dに上方に向かうにつれて嵌合凹部12の内周壁面12cに近づくような上側案内面14eが形成されている。これにより、図7(a)、(b)に示すように、収納容器3を下側から上側に受けて押圧して嵌合凹部12内につば部32を嵌合させるときに、そのつば部32の外周端32cが上側案内面14eに接触した段階で、弾性変形している嵌合凹部12又はつば部32の弾性復元力によりつば部32を押し上げることが可能となる。これにより、嵌合凹部12の底部12aと係合部14との間隔L1がつば部32の厚さt1に対して多少狭くとも、その嵌合凹部12の底部12aと係合部14との間に収納容器3のつば部32を容易に差し込むことが可能となり、収納容器3を台座1に取り付けるときの更なる作業性の向上を図ることが可能となる。
【0047】
なお、上述の下側案内面14c、上側案内面14eは、曲面状に形成されているものを例示しているが、平面状のような他の形状に形成されていてもよい。
【0048】
また、上述の台座基部11、嵌合凹部12及び複数の係合部14は、合成樹脂により一体的に成形されている。この成形方法としては、射出成形、ブロー成形等が挙げられる。
【0049】
上述の台座1に対して収納容器3を取り付けたとき、収納容器3の底面3aに対しては、係合部14が下側から係合されているのみであり、その大部分が台座1の下側に露出した状態のままとなる。このため、上述の第1実施形態によれば、台座1に対して収納容器3を取り付けた場合においても、その収納容器3の底面3aを視認することが可能となる。これにより、食品等を収納するものとして収納容器3を用い、その収納容器3の底面3aに食品の品質表示をしている場合においても、台座1の底面にその食品表示を別途する必要が生じるのを防止することが可能となる。また、台座1に対して収納容器3を取り付けるうえで、つば部32と係合部14との間に異物があっても容易に視認できるうえ、つば部32と嵌合凹部12の底部12aとの間の異物は取り付け作業時に貫通穴13から外側に出易くなっている。このことから、台座1の収納容器3との間での異物混入の恐れを抑えることが可能となる。また、台座1に対して収納容器3を取り付けるうえで、収納容器3の容器本体31を貫通穴13に挿通させて、収納容器3を押圧するといった簡単な手順で取り付け作業を行うことが可能となる。
【0050】
次に、第2実施形態に係る台座1について説明する。なお、上述した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
【0051】
第2実施形態に係る台座1の嵌合凹部12は、図8〜図10に示すように、収納容器3のつば部32が嵌合凹部12内に嵌合されたときに、そのつば部32の一部の上面32bが露出可能となるように構成されている。第2実施形態においては、台座1に対して収納容器3を取り付けたときに、嵌合凹部12の底部12aが収納容器3のつば部32の一部の上面32bを覆わないように、その嵌合凹部12の形状が調整されている。第2実施形態において具体的には、嵌合凹部12の底部12a及び周壁部12bは、その周方向に亘る範囲の一部がその径方向の外側に突出するように設けられており、嵌合凹部12の底部12aに形成された貫通穴13は、平面視において略円形状をなすとともに、その周方向に亘る範囲の一部がその径方向の外側に突出するように設けられている。
【0052】
この他にも、図13に示すように、嵌合凹部12の底部12aに複数の切れ込み16を入れて、その複数の切れ込み16につば部32の一部を差し込むことによって、つば部32の一部の上面32bが露出されるようにしてもよい。
【0053】
このように嵌合凹部12の底部12aから露出させた収納容器3のつば部32に対しては、図8、図9(a)に示すように、そのつば部32の上面32bと嵌合凹部12の上面12eとに亘って両面粘着テープ、片面粘着テープ等からなる粘着体36を貼り付けることが可能となる。これにより、台座1に対して収納容器3を取り付けたときに、台座1に対する収納容器3の回転を防止することが可能となる。台座付き収納容器7を店頭等で陳列して販売する場合、複数の台座付き収納容器7を並べて販売することになるが、これにより、その複数の台座付き収納容器7の台座1と収納容器3とのそれぞれの向きを揃えることが可能となり、陳列時に整然とした印象を需要者に与えることにより、購入意欲の増進を図ることが可能となる。特に、台座付き収納容器7の販売時においては、台座1に対して収納容器3を取り付けた状態で製品を出荷、運送するのが通常であり、その運送時の振動により台座1に対して収納容器3が回転し易いが、この台座1の適用によって、その問題点を有効に防止することが可能となる。
【0054】
なお、この粘着体36は、第2実施形態において、収納容器3を装飾するための装飾部材37の底面37aに設けられているものを例示している。この装飾部材37は、収納容器3の容器本体31が鏡餅のような縁起物を模したものとして構成されていることから、縁起物として鏡餅と併せて用いられるものを模したものから構成されていることが好ましい。第2実施形態においては、この装飾部材37が屏風から構成されている場合を例示している。このような装飾部材37の底面37aに粘着体36を設けることにより、収納容器3の装飾性の向上を図りつつ、台座1に対する収納容器3の回転を防止することが可能となる。
【0055】
また、第2実施形態における台座1の嵌合凹部12は、その嵌合凹部12の底部12aから露出する収納容器3のつば部32を上側に押圧する押圧片17が設けられている。これにより、収納容器3のつば部32を嵌合凹部12の底部12aから露出させたときに、その底部12aの上面12eの高さとつば部32の上面32bの高さとを近づけることが可能となり、これらに粘着体36を貼り付け易くすることが可能となる。また、粘着体36が貼り付け易くなることから、収納容器3のつば部32と嵌合凹部12の底部12aとを粘着体36を介して強固に固定し、台座1に対する収納容器3の回転を有効に防止することが可能となる。
【0056】
なお、このような押圧片17がある場合、台座1に対して収納容器3を取り付けるうえでは、押圧片17の上側に収納容器3のつば部32を係合させてから、嵌合凹部12内に収納容器3のつば部32を嵌合させればよい。また、図13に示すように、複数の切れ込み16がある場合、その複数の切れ込み16間にある嵌合凹部12の底部12aが押圧片17として機能することになる。
【0057】
次に、第3実施形態に係る台座1について説明する。
【0058】
第3実施形態に係る台座1は、図14〜図16に示すように、押圧片17が、貫通穴13の中心位置13aに対して対称となる位置に二つ設けられている。これは、以下の理由による。即ち、例えば、押圧片17が一つのみ設けられている場合、その押圧片17によって収納容器3のつば部32に対して上側に向けて押圧力が作用したときに、つば部32が嵌合凹部12の底部12aに接触して上側への変位が拘束されることになる。この結果、つば部32への押圧力の作用位置に対して反対側に位置するつば部32の端部が下側へ変位するような反力が作用し、嵌合凹部12内に保持されているつば部32が嵌合凹部12から抜け出る恐れが高まることになる。これに対して、上述のように押圧片17が二つ設けられていれば、貫通穴13の中心位置13aに対して対称となる位置にあるつば部32の両端部に上側への押圧力が作用することになり、押圧片17の押圧力により作用する反力によってつば部32が嵌合凹部12から抜け出るのを効果的に防止することが可能となる。
【0059】
なお、嵌合凹部12の内周壁面12cには、二つの押圧片17に対して略等角度ずれた位置に二つの係合部14が設けられている。
【0060】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、前述した実施形態は、何れも本発明を実施するに当たっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
【0061】
例えば、収納容器3は、その装飾性の向上を図る観点から、装飾部材37に限らず種々の部品が取り付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 台座
3 収納容器
3a 底面
5 被収納物
7 台座付き収納容器
11 台座基部
11a 下面
12 嵌合凹部
12a 底部
12b 周壁部
12c 内周壁面
13 貫通穴
14 係合部
14b 内周縁部
14c 下側案内面
14d 内周縁部
14e 上側案内面
17 押圧片
31 容器本体
32 つば部
33 開口
34 蓋体
35 品質表示用情報
36 粘着体
37 装飾部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、前記容器本体の底部から外側に突出するつば部とを有し、前記容器本体の底部に形成された開口が蓋体により閉塞された収納容器を支持するための収納容器用台座において、
平板状の台座基部と、
前記台座基部の下面において凹状に形成された嵌合凹部と、
前記嵌合凹部の底部を上下方向に貫通する貫通穴と、
前記嵌合凹部の内周壁面から周方向に間隔を空けて突出する複数の係合部とを備え、
前記収納容器の容器本体が前記貫通穴に下側から挿通されたときに、当該収納容器のつば部が前記嵌合凹部内に嵌合されるとともに、当該嵌合凹部の底部と当該係合部との間に当該つば部が保持されるように構成されていること
を特徴とする収納容器用台座。
【請求項2】
前記係合部は、前記嵌合凹部の底部から当該係合部までの間隔が前記つば部の厚さに応じたものとなるように設けられていること
を特徴とする請求項1に記載の収納容器用台座。
【請求項3】
前記係合部は、その下側の内周縁部に下方に向かうにつれて前記嵌合凹部の内周壁面に近づくような下側案内面が形成されていること
を特徴とする請求項1又は2に記載の収納容器用台座。
【請求項4】
前記係合部は、その上側の内周縁部に上方に向かうにつれて前記嵌合凹部の内周壁面に近づくような上側案内面が形成されていること
を特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の収納容器用台座。
【請求項5】
前記嵌合凹部は、前記収納容器のつば部が当該嵌合凹部内に嵌合されたときに、当該つば部の一部の上面が当該嵌合凹部の底部から露出可能となるように構成されていること
を特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の収納容器用台座。
【請求項6】
前記嵌合凹部は、当該嵌合凹部の底部から露出する前記収納容器のつば部を上側に押圧する押圧片が設けられていること
を特徴とする請求項5に記載の収納容器用台座。
【請求項7】
前記押圧片は、前記貫通穴の中心位置に対して対称となる位置に二つ設けられていること
を特徴とする請求項6に記載の収納容器用台座。
【請求項8】
前記台座基部、前記嵌合凹部及び前記複数の係合部は、合成樹脂により一体的に成形されていること
を特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の収納容器用台座。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の収納容器用台座と、
前記収納容器用台座により支持された収納容器とを備えること
を特徴とする台座付き収納容器。
【請求項10】
請求項5〜8の何れか1項に記載の収納容器用台座と、
前記収納容器用台座により支持された収納容器と、
前記嵌合凹部から露出した前記収納容器のつば部の上面と当該嵌合凹部の上面とに亘って貼り付けられた粘着体とを備えること
を特徴とする台座付き収納容器。
【請求項11】
前記粘着体は、前記収納容器を装飾するための装飾部材の底面に設けられていること
を特徴とする請求項10に記載の台座付き収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−103742(P2013−103742A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249131(P2011−249131)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【特許番号】特許第4948674号(P4948674)
【特許公報発行日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【出願人】(509156044)株式会社宏和 (3)
【Fターム(参考)】