説明

収納容器

【課題】装置を大型化することなく、無線タグを取り付けた物品を複数収納しても、各無線タグを読取ることが可能な無線タグ読取システムで使用される収納容器を提供する。
【解決手段】リーダライタアンテナ(3)との間で無線通信を行う無線タグ(7)を有する少なくとも一つの物品(6)を収納する収納容器(2)は、リーダライタアンテナ(3)から無線タグ(7)に対して放射された質問信号または無線タグ(7)からリーダライタアンテナ(3)に対して放射された応答信号に対して、無線タグ(7)のアンテナと電磁結合する導体(22)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、収納容器に関し、特に、無線タグが取り付けられた物品を複数収納する収納容器、及びその収納容器に収納された各物品に取り付けられた無線タグの情報を読み取る無線タグ読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、在庫管理及び物流管理などを行うために、無線自動識別(以下、RFIDという)技術を利用したシステムが広く用いられている。RFID技術を利用したシステムは、管理対象となる物品等に取り付けられる無線タグと、リーダライタとを有し、無線タグとリーダライタの間で無線通信が行われる。そしてリーダライタは、無線タグに記憶された識別情報などを読み取ることにより、個々の無線タグを識別できる。そのため、係るシステムは、無線タグが取り付けられた物品を個別に管理することができる。
【0003】
しかし、郵便物などの物品に無線タグを取り付けて管理する場合、そのような物品が収納容器内に複数収納されることがある。このような場合、複数の無線タグが互いに近接して配置されるために、互いにリーダライタとの通信を阻害して、リーダライタと無線タグ間の通信可能距離が短くなり、無線タグの読取りが困難になるおそれがあった。この問題を解決するために、特許文献1には、無線タグを取り付けた物品を複数収納可能な収納ケースとリーダアンテナの間に、導体からなる無給電素子を複数配置して、各無線タグの読取りを可能とした無線タグ読取装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−327099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された無線タグ読取装置では、複数の無給電素子を、リーダアンテナ及び収納容器の間に配置しなければならないため、装置全体のサイズが大きくなってしまうという問題点があった。
【0006】
そこで、本願は、装置を大型化することなく、無線タグが取り付けられた物品を複数収納しても、各無線タグを読み取ることが可能な無線タグ読取システムで使用される収納容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの実施形態によれば、無線タグを有する少なくとも一つの物品を収納する収納容器が提供される。係る収納容器は、リーダライタアンテナから無線タグに対して放射された質問信号または無線タグからリーダライタアンテナに対して放射された応答信号に対して、無線タグのアンテナと電磁結合する導体を有する。
【発明の効果】
【0008】
本願に開示された収納容器は、装置を大型化することなく、無線タグを取り付けた物品を複数収納しても、各無線タグを読み取ることが可能という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図を参照しつつ、第1の実施形態による無線タグ読取システムについて説明する。
第1の実施形態による無線タグ読取システムは、無線タグを取り付けた物品を複数収納可能な収納容器内に設けられた仕切り板に取り付けられた導体を有する。そして係る無線タグ読取システムは、収納容器内にそのような物品を多数収納しても、その導体と各無線タグのアンテナとの間で電磁結合を生じさせることにより無線タグのアンテナ利得を改善して、各無線タグを読み取ることを可能とするものである。
【0010】
図1は、第1の実施形態による無線タグ読取システムの概略構成図である。図1に示すように、無線タグ読取システム1は、収納容器2と、リーダライタアンテナ3と、リーダライタ4と、管理装置5とを有する。そして無線タグ読取システム1は、収納容器2に収納された物品6に取り付けられた無線タグ7と通信して、無線タグ7が持つ情報を読み取ることが可能となっている。
【0011】
リーダライタアンテナ3は、収納容器2の下方に設置される。そしてリーダライタアンテナ3は、リーダライタ4で生成された質問信号を収納容器2内に収納された物品6に取り付けられた無線タグ7に向けて発信し、また無線タグ7から発信された応答信号を受信する。リーダライタアンテナ3は、RFIDシステムにおいて利用される様々なアンテナの何れかとすることができる。例えば、リーダライタアンテナ3は、パッチアンテナとすることができる。
リーダライタ4は、マイクロプロセッサと、メモリと、その周辺回路と、マイクロプロセッサ上で動作するプログラムを有する。そしてリーダライタ4は、無線タグ7に向けて発信する質問信号を生成する。質問信号は、例えば、質問信号を無線タグ7において同期をとるためのプリアンブル部と、無線タグ7を制御するためのコマンドデータを含む変調部と、無線タグ7が識別情報などを用いて変調するための無変調部とを有する。そしてリーダライタ4は、その質問信号を、リーダライタアンテナ3を介して無線タグ7に向けて発信する。
また、リーダライタ4は、リーダライタアンテナ3を介して無線タグ7から応答信号を受信すると、その応答信号を解析して、応答信号に含まれる無線タグ7の識別情報を抽出する。そしてリーダライタ4は、抽出した無線タグ7の識別情報を、通信回線を通じて接続される管理装置5へ送信する。
管理装置5は、いわゆるコンピュータであり、リーダライタ4から受信した無線タグ7の識別情報を記憶することにより、収納容器2内に収納されている物品6を管理する。なお、リーダライタ4と管理装置5は、一体となっていてもよい。
【0012】
管理対象となる物品6は、例えば、書類、ファイル、封筒、カルテ、X線写真など、幅及び高さに対して厚さが小さい形状を有する物品である。そのため物品6は、収納容器2に多数重ねて入れることが可能となっている。また物品6の下方には、無線タグ7が取り付けられている。
無線タグ7は、無線タグとしての機能を提供するために、整流回路、メモリ及びマイクロプロセッサユニットなどの回路を組み込んだ集積回路と、アンテナとを有する。本実施形態では、無線タグ7は、いわゆるパッシブ方式を採用している。さらに無線タグ7は、リーダライタ4との通信に、UHF帯の周波数(例えば、953MHz)を持つ電波を使用する。そのため、無線タグ7は、アンテナを介して受信した質問信号から整流回路により直流電力を生成して、その直流電力をマイクロプロセッサユニット等を駆動するために供給する。そしてマイクロプロセッサは、リーダライタから質問信号を受信すると、メモリから無線タグ7を他の無線タグと識別するための識別コードを読み取って、その識別コードで質問信号を変調して応答信号を生成する。なお、無線タグ7は、内蔵バッテリからの給電を利用して応答信号を生成するアクティブ方式あるいはセミアクティブ方式を採用するものであってもよい。また、無線タグ7とリーダライタ4間の通信に使用される通信電波の周波数(以下、通信周波数という)は、RFIDシステムにおいて利用される周波数のうち、電波の送受信にアンテナが使用されるもの、例えばマイクロ波帯の2.45GHzとしてもよい。
【0013】
収納容器2は、物品6を収納するための容器であり、例えば、収納容器2は、最大30個の物品6を収納できる。本実施形態では、収納容器2は、上方に開口を有する箱型形状を有しており、例えば、樹脂などにより形成される。また収納容器2は、容器内部の収納空間を区分する少なくとも一枚の仕切り板21を有する。そして収納容器2は、仕切り板21と収納容器2の内壁間、あるいは仕切り板21同士の間に、それぞれ複数の物品6を収納することができる。
【0014】
また仕切り板21のうちの少なくとも一枚には、テープ状の導体22が取り付けられる。この導体22は、導電性を有する材料、例えば、アルミニウム、銅、鉄などの金属で形成される。そして導体22は、様々な方法で仕切り板21に取り付けられてよく、例えば、接着剤または両面テープを用いて仕切り板21に貼り付けられる。
導体22は、無線タグ7のアンテナから放射される応答信号を受けて無線タグ7のアンテナとの間で電磁結合を生じ、無線タグ7から給電されることにより、応答信号を発信するアンテナとして機能する。あるいは、この導体22は、リーダライタアンテナ3から放射された質問信号を受けて無線タグ7のアンテナと電磁結合を生じ、その質問信号を無線タグ7のアンテナへ伝達する。
【0015】
図2に、物品6を収納容器2に収納した場合における、リーダライタアンテナ3、無線タグ7及び導体22の位置関係を示す。図2に示すように、導体22は、リーダライタアンテナ3に対して、無線タグ7よりも遠方に配置される。また、リーダライタアンテナ3のアンテナ面に直交する方向において、導体22から無線タグ7のアンテナの中心までの距離は、リーダライタアンテナ3と無線タグ7の通信に使用される通信波長λの約1/10以下とすることが好ましい。さらに導体22は、無線タグ7の長手方向と略平行な方向(すなわち、水平方向)に、通信電波の波長λの1/2以上の長さを有することが好ましい。このように導体22を設計及び配置することにより、無線タグ7から放射された応答信号、あるいはリーダライタアンテナ3から放射された質問信号に対して、導体22と無線タグ7のアンテナとの間で電磁結合が発生する。そのため、導体22がアンテナとして機能するので、無線タグ7のアンテナ利得が改善される。この結果、リーダライタアンテナ3と無線タグ7間の通信可能距離を大きくすることができる。特に、無線タグ7と略平行な方向における導体22の長さを、通信波長λの1/2または通信波長λの1/2に、通信波長λの整数倍を加えた値とすることがなお好ましい。この場合、導体22は、無線タグ7から放射された応答信号に対して共振して、応答信号を強めることができるためである。なお、電磁結合によるアンテナ利得向上の詳細については、H.W.Son、C.S.Pyo、「誘導結合フィードを用いたRFIDタグアンテナの設計」、IEEE、エレクトロニクスレター、2005年9月、第41巻、第18号、p.994-996を参照されたい。
また、無線タグ7の長手方向と略直交する方向(すなわち、垂直方向)における導体22の幅は、特に制限されない。
【0016】
以下に、第1の実施形態による無線タグ読取システム1において、リーダライタアンテナ3と無線タグ7との間の通信可能距離をモーメント法を用いた電磁界シミュレーションにより求めた結果について説明する。
図3(a)に、このシミュレーションにおいて規定される座標系と無線タグの関係を示す。また図3(b)及び(c)に、このシミュレーションにおける、無線タグと導体とリーダライタアンテナの相対的な配置を示す。図3(a)に示すように、このシミュレーションでは、封筒などの書類に貼り付けられた無線タグを読み取ることを想定し、30枚の無線タグ701〜730が2mm間隔で配置されるものとした。そして、各無線タグを識別するために、便宜上、上方に置かれた無線タグほど大きな参照番号を割り当て、最も下方に置かれた無線タグを無線タグ701、最上方の無線タグを無線タグ730とした。また、各無線タグの長手方向(すなわち、図1において、収納容器2の底面に平行かつ物品6の表面に平行な方向)にx軸を設定した。また、x軸と直交し、リーダライタアンテナ3と各無線タグとを結ぶ方向(すなわち、図1において、垂直方向あるいはリーダライタアンテナ3のアンテナ面に直交する方向)にy軸を設定した。さらに、x軸、y軸と直交し、各無線タグが積み重なる方向(すなわち、図1において、収納容器2の底面に平行かつ各物品6の表面に直交する方向)にz軸を設定した。
【0017】
本シミュレーションでは、上記の無線タグ701〜730のうち、何れか一枚にのみ給電するものとして、給電された無線タグのアンテナ利得Gr及び通信可能距離rを求めた。ここで、無線タグに給電する給電波源の内部インピーダンスは、無線タグが有する集積回路の内部インピーダンスと等しいとした。さらに、給電されていない無線タグは、その無線タグが有する集積回路の内部インピーダンスと等しいインピーダンスで終端されているものとした。
この場合において、無線タグ701〜730が有する集積回路とアンテナの整合係数qは、以下の式により求められる。
【数1】

(1)式において、Rc、Zcは、それぞれ無線タグの集積回路の抵抗及びインピーダンスである。そしてインピーダンスZcは、集積回路のリアクタンスをXcとして、Zc = Rc+jXcで表される。同様に、Ra、Zaは、無線タグのアンテナの抵抗及びインピーダンスである。そしてインピーダンスZaは、アンテナのリアクタンスをXaとして、Za = Ra+jXaで表される。なお、Rc及びXcは、無線タグの集積回路を、その等価回路であるRC並列回路で表した場合、公知の方法により、そのRC並列回路の抵抗値Rcp及び容量Ccpから求めることができる。一方、Ra及びXaは、本シミュレーションにより各無線タグごとに求めることができる。
また、無線タグ701〜730の通信可能距離rは、以下の式により求められる。
【数2】

(2)式において、λは通信波長を表す。また、Pt、Gtは、それぞれリーダライタアンテナのパワー及びアンテナ利得を表す。さらに、Grは、無線タグのアンテナ利得を表し、Pthは、無線タグの集積回路が動作するために必要とされる最小動作パワーを表す。
また、上記の(2)式により得られる通信可能距離rは、リーダライタアンテナから放射される電波の偏波特性が直線偏波とした場合のものである。なお、リーダライタアンテナから放射される電波の偏波特性が円偏波の場合、通信可能距離rは、(2)式により得られた値を√2で除した値となる。
【0018】
まず、第1のシミュレーションとして、導体22が1枚だけ使用される場合の各無線タグのアンテナ利得Gr及び通信可能距離rの計算結果について示す。この場合において、使用される導体22は、アルミニウムからなり、導体22の長手方向の長さ(幅)及び短手方向の長さ(高さ)は、それぞれ160mm、10mmである。また導体22は、z軸方向において、無線タグ701〜730のスタックの中央、すなわち無線タグ715と716の中間に配置されるものとした。さらに、図3(b)及び(c)に示すように、導体22は、その端部が各無線タグ(図3(c)では、無線タグ715のみを示す)のアンテナの中心からy軸方向に沿って10mm離れた位置に配置されるものとした。さらに、各無線タグは、周囲を紙に相当する誘電体で囲まれているものとし、その誘電体の比誘電率を3.0、誘電損失を0.01とした。また、以下の表1に、第1のシミュレーションで使用した各パラメータの値を示す。
【表1】

【0019】
図4(a)に、導体22を配置した場合と導体22を配置しない場合の各無線タグのアンテナ利得Grの計算結果を示す。また図4(b)に、導体22を配置した場合と導体22を配置しない場合の各無線タグの通信可能距離rの計算結果を示す。図4(a)及び(b)において、横軸に無線タグの番号を表す。一方、図4(a)及び(b)におけるグラフの縦軸は、それぞれ無線タグのアンテナ利得Gr及び通信可能距離rであり、各無線タグのアンテナ利得Gr及び通信可能距離rの計算結果を棒グラフで表す。さらに図4(a)及び(b)において、各無線タグに対し、左側の棒グラフが導体22を配置した場合の計算結果であり、右側の棒グラフが導体22を配置しない場合の計算結果である。なお、無線タグ701〜715と、無線タグ730〜716は、導体22を通るxy平面に対して対称であり、無線タグ730〜716の通信可能距離r及びアンテナ利得Grは、それぞれ無線タグ701〜715の通信可能距離r及びアンテナ利得Grと同じとなる。そのため、図4(a)及び図4(b)では、無線タグ701〜715についての計算結果のみを示した。
【0020】
図4(a)に示すように、導体22を配置した場合、無線タグのスタックの中央近傍の無線タグ709〜715のアンテナ利得Grが、導体を配置しない場合のそれらの利得よりも向上している。そのため、図4(b)に示すように、導体22を配置した場合、無線タグ709〜715の通信可能距離rが、導体22を配置しない場合のそれらの通信可能距離rよりも長くなっている。特に、導体22との距離が近い無線タグほど、通信可能距離rが長くなっている。このことから、無線タグ709〜715と、導体22との間で電磁結合が生じ、導体22が無線タグ709〜715から給電されてリーダライタアンテナ3へ電波を放射していると考えられる。また、導体22を配置しない場合、各無線タグの通信可能距離のうち、最短の通信可能距離(以下、最短通信可能距離という)は21.5cm(無線タグ715)であった。これに対し、一枚の導体22を無線タグのスタックの中心近傍に配置した場合、各無線タグの通信可能距離のうち、最短通信可能距離は29.4cm(無線タグ707)となった。このように、第1のシミュレーションでは、導体22を配置することにより、最短通信可能距離が約8cm長くなること、すなわち、最短通信可能距離は約37%向上することが示された。
【0021】
次に、第2のシミュレーションとして、導体が2枚使用される場合の各無線タグのアンテナ利得Gr及び通信可能距離rの計算結果について示す。図5に、第2のシミュレーションにおける導体と無線タグとの相対的な位置関係を示す。図5に示すように、各導体22a及び22bは、無線タグ701〜730のスタックの中心を通るxy平面に対して対称となるように、互いに対して20mmの間隔を空けて配置される(すなわち、導体22a及び22bは、それぞれ無線タグ710及び721の近傍に配置される)。さらに各導体22a及び22bは、その端部が各無線タグのアンテナの中心からy軸方向に沿って10mm離れるように配置される。なお、使用される導体22a及び22bの材質及び形状は、第1のシミュレーションにおいて用いた導体22の材質及び形状と同じとする。また、第2のシミュレーションにおいても、各パラメータは、上記の表1に示した値を有するものとした。さらに、第1のシミュレーションと同様に、各無線タグは周囲を誘電体で囲まれているものとし、その誘電体の比誘電率を3.0、誘電損失を0.01とした。
【0022】
図6(a)に、2枚の導体22a、22bを配置した場合と導体を配置しない場合の各無線タグのアンテナ利得Grの計算結果を示す。また図6(b)に、2枚の導体22a、22bを配置した場合と導体を配置しない場合の各無線タグの通信可能距離rの計算結果を示す。また図6(a)及び(b)において、横軸に無線タグの番号を表す。一方、図6(a)及び(b)におけるグラフの縦軸は、それぞれ無線タグのアンテナ利得Gr及び通信可能距離rであり、各無線タグのアンテナ利得Gr及び通信可能距離rの計算結果は棒グラフで表される。さらに図6(a)及び(b)において、各無線タグに対し、左側の棒グラフが導体22a、22bを配置した場合の計算結果であり、右側の棒グラフが導体を配置しない場合の計算結果である。なお、無線タグ701〜715と、無線タグ730〜716は、無線タグ701〜730のスタックの中心を通るxy平面に対して対称であり、無線タグ730〜716の通信可能距離r及びアンテナ利得Grは、それぞれ無線タグ701〜715の通信可能距離r及びアンテナ利得Grと同じとなる。そのため、図6(a)及び図6(b)では、無線タグ701〜715についての計算結果のみを示した。
【0023】
図6(a)に示すように、2枚の導体22a、22bを配置した場合、それらの導体に近い、無線タグのスタックの中央近傍の無線タグ707〜715のアンテナ利得Grが、導体を配置しない場合のそれらのアンテナ利得と比較して向上している。また、図6(b)に示すように、導体22a、22bを配置した場合、無線タグ706については、導体を配置しない場合よりも通信可能距離が若干短くなっている。しかし、導体22aに近い無線タグ707〜715については、導体22a、22bを配置した場合、通信可能距離rは、導体を配置しない場合のそれらの通信可能距離よりも向上している。そのため、導体22a、22bを配置した場合、各無線タグの通信可能距離rのうち、最短通信可能距離は37cm(無線タグ706)となった。このように、2枚の導体22a、22bを配置することにより、最短通信可能距離は、導体を配置しない場合よりも、約15cm長くできることが分かる。
【0024】
さらに、第3のシミュレーションとして、第1のシミュレーションと同様に、1枚の導体22を無線タグ701〜730のスタックの中央近傍に配置し、かつ導体22と各無線タグ間のy軸方向の距離を変更した場合の各無線タグの通信可能距離rの計算結果について示す。このシミュレーションでは、導体22の端部から各無線タグの中心までのy軸方向に沿った距離を、15mm(通信波長λの約1/21)、20mm(通信波長λの約1/16)、22.5mm(通信波長λの約1/14)または25mm(通信波長λの約1/13)とした。そして、この距離以外のシミュレーションの条件は、第1のシミュレーションと同じ条件とした。
【0025】
図7(a)に、導体22を各無線タグのアンテナの中心に対してy軸方向に15mmの位置に配置した場合と導体を配置しない場合の各無線タグの通信可能距離rを示す。また図7(b)に、導体22を各無線タグのアンテナの中心に対してy軸方向に20mmの位置に配置した場合と導体を配置しない場合の各無線タグの通信可能距離rを示す。さらに、図8(a)に、導体22を各無線タグのアンテナの中心に対してy軸方向に22.5mmの位置に配置した場合と導体を配置しない場合の各無線タグの通信可能距離rを示す。また図8(b)に、導体22を各無線タグのアンテナの中心に対してy軸方向に25mmの位置に配置した場合と導体を配置しない場合の各無線タグの通信可能距離rを示す。
図7(a)及び(b)、図8(a)及び(b)において、横軸に無線タグの番号を表す。一方、図7(a)及び(b)、図8(a)及び(b)におけるグラフの縦軸は、通信可能距離rであり、各無線タグの通信可能距離rの計算結果は棒グラフで表わされる。さらに図7(a)及び(b)、図8(a)及び(b)において、各無線タグに対し、左側の棒グラフが導体22を配置した場合の計算結果であり、右側の棒グラフが導体を配置しない場合の計算結果である。なお、無線タグ701〜715と、無線タグ730〜716は、導体22を通るxy平面に対して対称であり、無線タグ730〜716の通信可能距離rは、それぞれ無線タグ701〜715の通信可能距離rと同じとなる。そのため、図7(a)及び(b)、図8(a)及び(b)では、無線タグ701〜715についての計算結果のみを示した。
【0026】
図7(a)に示すように、導体22を各無線タグのアンテナの中心に対してy軸方向に15mm離れた位置に配置した場合、無線タグ708〜715の通信可能距離rが、導体を配置しない場合のそれらの通信可能距離rよりも長くなっている。特に、導体22との距離が近い無線タグほど、通信可能距離rが長くなっている。このことから、無線タグ708〜715と、導体22との間で電磁結合が生じ、導体22が無線タグ708〜715から給電されてリーダライタアンテナ3へ電波を放射していると考えられる。そして、最短通信可能距離は30.5cm(無線タグ706)となった。このように、導体22を各無線タグのアンテナの中心に対してy軸方向に15mm離れた位置に配置した場合の最短通信可能距離は、導体を配置しない場合の最短通信可能距離(21.5cm)よりも約9cm長くなる。すなわち、導体22を上記のように配置することにより、最短通信可能距離は約42%向上する。
【0027】
また図7(b)に示すように、導体22を各無線タグのアンテナの中心に対してy軸方向に20mm離れた位置に配置した場合も、無線タグ708〜715の通信可能距離rが、導体22を配置しない場合のそれらの通信可能距離rよりも長くなっている。そして、各無線タグの通信可能距離のうち、最短通信可能距離は22.2cm(無線タグ706)となった。このように、導体22を各無線タグのアンテナの中心に対してy軸方向に20mm離れた位置に配置した場合の最短通信可能距離は、導体を配置しない場合の最短通信可能距離(21.5cm)より僅かに向上する。
【0028】
次に、図8(a)に示すように、導体22を各無線タグのアンテナの中心に対してy軸方向に22.5mm離れた位置に配置した場合、導体22に比較的近い無線タグ708〜715については、導体22を配置することにより、導体を配置しない場合よりも通信可能距離が長くなることが分かる。しかし、無線タグ701〜707については、導体を配置しない場合と比較して、逆に通信可能距離rが短くなっている。そして、最短通信可能距離は15.9cm(無線タグ705)となり、導体を配置しない場合の最短可能距離よりも短くなった。この理由は、無線タグ701〜730のスタックの端部近傍に位置する無線タグ701〜707に対して、導体22が反射板として機能し、導体22がそれらの無線タグから放射された電波をリーダライタアンテナ3のある方向とは異なる方向へ反射してしまうためと考えられる。
同様に、図8(b)に示すように、導体22を各無線タグのアンテナの中心に対してy軸方向に25mm離れた位置に配置した場合も、無線タグ701〜707については、導体を配置しない場合と比較して、通信可能距離rが短くなっている。そして、最短通信可能距離は7.7cm(無線タグ705)となり、導体を配置しない場合の最短可能距離よりも短くなった。
【0029】
上記のように、導体22と無線タグとの間隔を大きくし過ぎると、導体22が一部の無線タグに対して反射板として機能し、無線タグの通信可能距離rが短くなるので好ましくない。そこで、導体22と無線タグとの間隔は、導体22と無線タグとの間で電磁結合を生じることが可能な距離以下とすることが好ましい。特に、無線タグの読取性能を従来のシステムにおける無線タグの読取性能よりも向上させるためには、導体22を配置した場合における最短通信可能距離が、導体を配置しない場合の最短通信可能距離よりも長くなるように、導体22と無線タグとの間隔を決定することがなお好ましい。具体的には、上記の第3のシミュレーション結果から明らかなように、導体22と無線タグの中心間の距離が、無線タグから放射される応答信号の波長の1/16以下であることが好ましい。
【0030】
以上説明してきたように、第1の実施形態に係る無線タグ読取システムは、収納容器の仕切り板に導体を設け、その導体と物品に取り付けられた無線タグのアンテナとの間で電磁結合が生じるようにした。これにより、係る無線タグ読取システムは、無線タグのアンテナの利得を向上できるので、リーダライタアンテナと無線タグ間の通信可能距離を大きくすることができる。また本実施形態に係る無線タグ読取システムでは、通信可能距離を大きくするために、導体を収納容器内の仕切り板に取り付けるだけでよい。そのため、物品に取り付けられた無線タグとリーダライタアンテナの間に信号電波の伝播を補助するための構成部品を別途配置する必要がない。さらに、仕切り板に取り付けられる導体の数は、読み取り対象となる無線タグの数に比べて非常に少なくてよい。したがって、係る無線タグ読取システムの全体寸法を小さくすることができる。
【0031】
次に、第2の実施形態に係る無線タグ読取システムについて説明する。第2の実施形態に係る無線タグ読取システムは、収納容器内に無線タグのアンテナと電磁結合を生じさせるための導体を複数設け、それら複数の導体のうち、実際に電磁結合を生じさせる導体を、収納容器内に収納された無線タグ付の物品数に応じて選択可能としたものである。
【0032】
第2の実施形態に係る無線タグ読取システムも、第1の実施形態に係る無線タグ読取システムと同様に、収納容器と、リーダライタアンテナと、リーダライタと、管理装置とを有する。このうち、リーダライタアンテナ、リーダライタ及び管理装置については、第1の実施形態に係る無線タグ読取システムのリーダライタアンテナ、リーダライタ及び管理装置と同様の構成及び機能を有する。そのため、それらの構成要素の説明は、以下では省略する。
【0033】
図9(a)及び(b)に、それぞれ、第2の実施形態に係る無線タグ読取システム11の収納容器2の概略側面断面図及び仕切り板に設置された導体の概略構成図を示す。図9(a)に示すように、第2の実施形態に係る無線タグ読取システム11では、収納容器2内に複数の仕切り板21a〜21gが設けられる。そして収納容器2は、各仕切り板の間に、管理対象となる物品6を所定個数ずつ収納可能となっている。この複数の仕切り板のうち、仕切り板21c、21d及び21eに、それぞれ、スイッチ付導体23〜25が設置される。各スイッチ付導体の構造及び機能は同一であるため、以下ではスイッチ付導体23についてのみ説明する。
【0034】
図9(b)に示すように、スイッチ付導体23は、二つの導体23a及び23cと、スイッチ23cを有する。
導体23a及び23bは、アルミニウム、銅などの導電性を有する材料により形成される。そして導体23a及び23bは、収納容器2内に収納された物品6に取り付けられた無線タグ7の長手方向と平行な方向において、通信波長λの1/4以上かつ1/2未満の長さを持つ。また導体23a及び23bは、無線タグ7の長手方向と平行な方向に沿って一列に配置される。さらに導体23a及び23bは、それぞれ、収納容器2内に収納された物品6に取り付けられた無線タグ7のアンテナの中心からそれら導体の端部までのy軸方向における距離が10mmとなるように配置される。
【0035】
スイッチ23cは、手動あるいは管理装置(図示せず)からの制御信号に基づいて、オン/オフを切り替え可能な薄型のスイッチであり、二つの導体23a及び23bを電気的に接続するか否かを切り替える。例えばスイッチ23cは、メンブレンスイッチとすることができる。あるいは、スイッチ23cは、携帯電話などに使用されるような、集積回路に組み込まれた、厚さ約1mmまたはそれ以下の薄型スイッチであってもよい。
【0036】
スイッチ23cをオンにすると、二つの導体23aと23bは電気的に接続される。この場合、二つの導体23aと23bの無線タグ7の長手方向と平行な方向の長さの合計が、通信波長λの1/2以上になる。そのため、スイッチ付導体23は、収納容器2内に収納された物品6に取り付けられた無線タグ7のアンテナとの間で電磁結合を生じさせることが可能となる。一方、スイッチ23cをオフにすると、二つの導体23aと23bは電気的に切断される。この場合、各導体23a及び23bの、無線タグ7の長手方向と略平行な方向における長さは、通信波長λの1/2未満である。そのため、各導体23a及び23bと、無線タグ7のアンテナとの間で電磁結合は生じない。したがって、スイッチ23cのオン/オフを切り替えることにより、無線タグ読取システム11は、収納容器2内に収納される物品6の無線タグ7のアンテナの利得を調節することができる。
【0037】
したがって、無線タグ読取システム11は、収納容器2内に収納された物品の数に応じて各スイッチ付導体のスイッチのオン/オフを切り替えることにより、各物品に取り付けられた無線タグとリーダライタアンテナ間の通信可能距離を最適に保つことができる。例えば、収納容器2内に40個以下の物品が収納されている場合、中央のスイッチ付導体24のスイッチをオンとすることにより、最短通信可能距離が最も長くなるとする。一方、収納容器2内に40個よりも多く物品が収納されている場合、スイッチ付導体23及び25のスイッチをオンとすることにより、最短通信可能距離が最も長くなるとする。この場合、ユーザは、収納容器2内に収納された物品の数が40個以下であれば、手動により、あるいは管理装置のユーザインターフェースを介して、スイッチ付導体23及び25のスイッチをオフとし、スイッチ付導体24のスイッチをオンとすればよい。一方、ユーザは、収納容器2内に収納された物品の数が40個より多ければ、手動により、あるいは管理装置のユーザインターフェースを介して、スイッチ付導体23及び25のスイッチをオンとし、スイッチ付導体24のスイッチをオフとすればよい。なお、収納された物品数と、最短通信距離の関係は、予め測定して決定することができる。
なお、収納容器2の底面に重量計を設け、重量計の測定値に応じて、管理装置が自動的に各スイッチ付導体のスイッチの設定を切り替えられるように、重量計がその測定値を管理装置へ送信してもよい。この場合、収納容器内の重量と各スイッチ付導体のスイッチの設定の関係を表したテーブルを予め準備し、管理装置が有する記憶装置に記憶しておく。そして管理装置は、重量計から重量の測定値を受信すると、そのテーブルを参照して各スイッチ付導体のスイッチの設定を決定し、その決定にしたがって各スイッチを操作する。
【0038】
以上説明してきたように、第2の実施形態に係る無線タグ読取システムは、収納容器の仕切り板に設けられる複数の導体について、電気的に接続された一つの導体としての無線タグのアンテナと略平行な方向の長さをスイッチで切り替えられるようにした。これにより、係る無線タグ読取システムは、収納容器内に収納された物品の数が変化しても、無線タグとリーダライタアンテナ間の最短通信可能距離を無線タグの読取りに支障のない範囲に維持することができる。
【0039】
なお、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では、リーダライタアンテナを、収納容器の下方に設置した。しかし、リーダライタアンテナのアンテナ面が、導体が貼り付けられた面と略平行になるように設置してもよい。この場合においても、リーダライタアンテナに面する導体の長さが、通信波長λの1/2以上となるので、上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、収納容器に収納可能な物品の種類及び数は、実施形態に応じて様々に変更できる。この点に関連して、導体を仕切り板以外に取り付けてもよい。例えば、導体を、収納容器の内壁に取り付けてもよい。
また、導体の形状は、矩形でなくてもよい。例えば、導体の形状は楕円形状であってもよく、あるいは、長手方向の端部近傍でリーダライタアンテナ側へ向かうように湾曲していてもよい。
【0040】
さらに、収納容器は交換可能であってもよい。この場合、収納容器それ自体にも、収納容器を他の収納容器と識別するための無線タグが取り付けられることが好ましい。無線タグ読取システムは、リーダライタにより収納容器に取り付けられた無線タグの識別情報を読み取る。そして無線タグ読取システムは、その識別情報を、収納容器内に収納された物品に取り付けられた無線タグの識別情報と関連付けて、管理装置の記憶部に記憶する。これにより、無線タグ読取システムは、収納容器単位で物品の管理を行うことができる。
【0041】
また第2の実施形態において、スイッチ付導体が有する2個の導体の無線タグの長手方向と平行な方向における長さは、互いに異なっていてもよい。この場合でも、各導体の無線タグの長手方向と平行な方向における長さは通信波長λの1/2未満であり、その長さの合計は通信波長λの1/2以上となるように、各導体を形成する。スイッチ付導体は、無線タグの長手方向と平行な方向に一列に配置される3以上の導体と、各導体を電気的に直列に接続するか否かを切り替える2以上のスイッチとを有してもよい。そして、各導体は、無線タグと平行な方向に、通信波長λの1/2未満の長さを有し、全ての導体の無線タグと平行な方向の長さの合計が、通信波長λの1/2以上とする。この場合においても、各導体をスイッチで電気的に接続することにより、スイッチ付導体を無線タグのアンテナと電磁結合させることが可能となる。
以上のように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【0042】
以上説明した実施形態及びその変形例に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
無線タグ(7)を有する少なくとも一つの物品(6)を収納する収納容器(2)であって、
リーダライタアンテナ(3)から前記無線タグ(7)に対して放射された質問信号または前記無線タグ(7)から前記リーダライタアンテナ(3)に対して放射された応答信号に対して、前記無線タグ(7)のアンテナと電磁結合する導体(22)を有する収納容器。(1)(図1)
(付記2)
前記収納容器(2)内部の空間を複数の領域に区切る部材(21)を有し、前記導体(22)は、前記部材(21)に取り付けられる、付記1に記載の収納容器。(2)(図1)
(付記3)
前記導体(22)は、前記収納容器(2)に収納された物品に取り付けられた前記無線タグ(7)よりも、前記リーダライタアンテナ(3)から離して配置され、かつ前記リーダライタアンテナ(3)のアンテナ面に直交する方向における、前記無線タグ(7)の中心から前記導体(22)までの距離は、前記応答信号の波長の1/16以下である、付記1または2に記載の収納容器。(3)(図2)
(付記4)
前記導体(22)は、前記無線タグ(7)の長手方向と平行な方向に、前記応答信号の波長の1/2以上の長さを有する、付記1〜3の何れか一項に記載の収納容器。(図2)
(付記5)
前記導体(23〜25)を複数有し、各導体(23〜25)は、前記無線タグ(7)と平行な方向に一列に配置される、少なくとも第1の部分及び第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチとを有し、前記第1の部分と前記第2の部分は、それぞれ前記無線タグ(7)の長手方向と平行な方向に、前記応答信号の波長の1/2未満の長さを有し、かつ前記第1の部分と前記第2の部分の前記無線タグ(7)の長手方向と平行な方向における長さの合計は、前記応答信号の波長の1/2以上である、
付記1に記載の収納容器。(4)(図9)
(付記6)
無線タグ(7)を有する少なくとも一つの物品(6)を収納する収納容器(2)と、
前記無線タグ(7)に対して質問信号を送信し、かつ前記無線タグ(7)から応答信号を受信するリーダライタアンテナ(3)と、
前記リーダライタアンテナ(3)を介して前記無線タグ(7)から受信した応答信号より、前記無線タグ(7)の情報を取得するリーダライタ(4)と、
前記質問信号または前記応答信号に対して、前記無線タグ(7)のアンテナと電磁結合するように、前記収納容器(2)に取り付けられる導体(22)と、
を有する無線タグ読取システム。(図1)
(付記7)
前記収納容器(2)は、前記収納容器(2)内部の空間を複数の領域に区切る部材(21)を有し、前記導体(22)は、前記部材(21)に取り付けられる、付記6に記載の無線タグ読取システム。(図1)
(付記8)
前記導体(22)は、前記収納容器(2)に収納された物品に取り付けられた前記無線タグ(7)よりも、前記リーダライタアンテナ(3)から離して配置され、かつ前記リーダライタアンテナ(3)のアンテナ面に直交する方向における、前記無線タグ(7)の中心から前記導体(22)までの距離は、前記応答信号の波長の1/16以下である、付記6または7に記載の無線タグ読取システム。(図2)
(付記9)
前記導体(22)は、前記無線タグ(7)の長手方向と平行な方向に、前記応答信号の波長の1/2以上の長さを有する、付記6〜8の何れか一項に記載の無線タグ読取システム。(図2)
(付記10)
前記導体(23〜25)を複数有し、各導体(23〜25)は、前記無線タグ(7)の長手方向と平行な方向に一列に配置される、少なくとも第1の部分及び第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチとを有し、前記第1の部分と前記第2の部分は、それぞれ前記無線タグ(7)の長手方向と平行な方向に、前記応答信号の波長の1/2未満の長さを有し、かつ前記第1の部分と前記第2の部分の前記無線タグ(7)の長手方向と平行な方向における長さの合計は、前記応答信号の波長の1/2以上である、
付記6に記載の無線タグ読取システム。(図9)
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1の実施形態による無線タグ読取装置の概略構成図である。
【図2】リーダライタアンテナ、無線タグ及び導体の位置関係を示す配置図である。
【図3】(a)は、第1のシミュレーションにおいて規定される座標系と無線タグの関係を示す図であり、(b)及び(c)は、第1のシミュレーションにおける、無線タグと導体とリーダライタアンテナの相対的な配置図である。
【図4】(a)は、第1のシミュレーションにおける、導体を配置した場合と導体を配置しない場合の各無線タグのアンテナ利得の計算結果を示すグラフであり、(b)は、第1のシミュレーションにおける、導体を配置した場合と導体を配置しない場合の各無線タグの通信可能距離の計算結果を示すグラフである。
【図5】第2のシミュレーションにおける導体と無線タグとの相対的な配置図である。
【図6】(a)は、第2のシミュレーションにおける、導体を配置した場合と導体を配置しない場合の各無線タグのアンテナ利得の計算結果を示すグラフであり、(b)は、第2のシミュレーションにおける、導体を配置した場合と導体を配置しない場合の各無線タグの通信可能距離の計算結果を示すグラフである。
【図7】(a)は、第3のシミュレーションにおける、導体を無線タグの中心から15mm離して配置した場合と導体を配置しない場合の各無線タグの通信可能距離の計算結果を示すグラフであり、(b)は、導体を無線タグの中心から20mm離して配置した場合と導体を配置しない場合の各無線タグの通信可能距離の計算結果を示すグラフである。
【図8】(a)は、第3のシミュレーションにおける、導体を無線タグの中心から22.5mm離して配置した場合と導体を配置しない場合の各無線タグの通信可能距離の計算結果を示すグラフであり、(b)は、導体を無線タグの中心から25mm離して配置した場合と導体を配置しない場合の各無線タグの通信可能距離の計算結果を示すグラフである。
【図9】(a)は、第2の実施形態に係る無線タグ読取装置の収納容器の概略側面断面図であり、(b)は、仕切り板に設置された導体の概略構成図である。
【符号の説明】
【0044】
1,11 無線タグ読取装置
2 収納容器
3 リーダライタアンテナ
4 リーダライタ
5 管理装置
6 物品
7 無線タグ
21 仕切り板
22 導体
23〜25 スイッチ付導体
23a、23b 導体
23c スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグを有する少なくとも一つの物品を収納する収納容器であって、
リーダライタアンテナから前記無線タグに対して放射された質問信号または前記無線タグから前記リーダライタアンテナに対して放射された応答信号に対して、前記無線タグのアンテナと電磁結合する導体を有する収納容器。
【請求項2】
前記収納容器の空間を複数の領域に区切る部材を有し、前記導体は、前記部材に取り付けられる、請求項1に記載の収納容器。
【請求項3】
前記導体は、前記収納容器に収納された物品に取り付けられた前記無線タグよりも、前記リーダライタアンテナから離して配置され、かつ前記リーダライタアンテナのアンテナ面に直交する方向における、前記無線タグの中心から前記導体までの距離は、前記応答信号の波長の1/16以下である、請求項1または2に記載の収納容器。
【請求項4】
前記導体を複数有し、各導体は、前記無線タグと平行な方向に一列に配置される、少なくとも第1の部分及び第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチとを有し、前記第1の部分と前記第2の部分は、それぞれ前記無線タグの長手方向と平行な方向に、前記応答信号の波長の1/2未満の長さを有し、かつ前記第1の部分と前記第2の部分の前記無線タグの長手方向と平行な方向における長さの合計は、前記応答信号の波長の1/2以上である、
請求項1に記載の収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−280273(P2009−280273A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137229(P2008−137229)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】