説明

収納容器

【課題】容易に体裁よく収納が可能な収納容器を提供する。
【解決手段】収納容器10は、六面を有する立方体の枠体11と、六面に対する面を有するマット20とを含む。マット20の六面が枠体11の立方体の六面に位置するように収納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は収納容器に関し、特に、乳幼児の発達段階に応じた使用ができる収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
折り畳むことによって箱状に形成可能なプレイマットが特開平9−168672号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1によれば、正方形状のマットに折り目と面ファスナを設けることによって立方体状の物いれが形成できる。
【特許文献1】特開平9−168672号公報(要約等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1によれば、プレイマットを折り畳んで物入れを構成できるが、プレイマット自体が布で構成されているため、その形状を保つことが困難であるとともに、上部に蓋がないため収納物が見えるという問題があった。そのため、たとえば、乳幼児がおもちゃで遊んでいるときに急な来客があって、おもちゃを急いで折り畳んだマットに収納する場合に、短時間で体裁よくおもちゃ等を収納できないという問題があった。
【0004】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、容易に体裁よく収納が可能な収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明にかかる収納容器は、六面を有する立方体の枠体と、六面に対する面を有するマットと、マットの六面が立方体の六面に位置するように収納される。
【0006】
マットの六面が立方体の枠体の六面に位置するように収納されるため、マット内に収納できるものであれば、任意のものを立方体の容器に収納できる。その結果、容易に体裁よく収納が可能になる。
【0007】
たとえば、マットをオムツ交換用とすれば、交換用のオムツを簡単に収納できる。マットを乳幼児のプレイマットとして使用すれば、乳幼児が遊ぶ小物のおもちゃを遊びをやめたときに、そのまま収容できる。
【0008】
好ましくは、マットは椅子用のクッションカバーとして使用可能である。
【0009】
さらに好ましくは、枠体の一辺の長さは400mmである。
【0010】
なお、六面を有する立方体の枠体は複数重ねて使用可能であるのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。図1はこの発明の一実施形態における、収納容器10の全体構成を示す斜視図である。図1を参照して、収納容器10は、六面を有する立方体の枠体11と、六面に対する面を有するマット20とを含み、マット20の六面がそれぞれ立方体の六面に位置するように収納されている。
【0012】
枠体11は、立方体の8個の頂点に設けられ、相互に直交する三辺のフレームを受ける頂点部材12a〜12hと、これらの頂点部材12a〜12hによって保持されるフレーム13a〜13lとを含む。枠体11の一辺の長さは約400mmが好ましい。この理由については後述する。また、フレームは、プラスチック等で構成された円筒状のものが好ましい。
【0013】
次に、枠体11に収納されるマット20について説明する。図2はマット20の展開図である。図2を参照して、マット20は正方形の六面21a〜21fを有しており、その形状としては、縦方向一列に四面21a〜21dがならび、その下端部から一面上の面21cを挟むように、二面21e、21fが設けられるのが好ましい。
【0014】
面21aの縦方向の中央部の先端、および、面21e,21fの横方向の両端部の上下に面ファスナ22a〜22eが設けられている。マット20は、所定の厚さ、柔軟性、および、弾力性を有しているのが好ましい。
【0015】
次に、枠体11とマット20とから収納容器10を作成する方法について説明する。図3は、枠体11とマット20とから収納容器10を作成する方法を示す図である。図3(A)はマット20から収納部を構成した状態を示す図であり、図3(B)は枠体11を示す図である。図3(A)を参照して、マット20の面21cを底部とし面21cの4辺に連続した4面21b,21d,21e,21fを立ち上げて壁面とし、面21b〜21fで収納部を形成する。このとき、面21e,21fに設けられた面ファスナ22b〜22eを用いて、隣接する壁面の上部同士を接続する。なお、図においては、面ファスナ22が結合される対面側の面ファスナについては図示を省略している。
【0016】
このようにして形成された収納部の上部の開口部を面21aで蓋をする。このとき蓋となる面21aの先端部の中央には面ファスナ22aが設けられているため、この面ファスナ22aで面21aと面21dとを接続して収納部の開口部の蓋が開かないようにする。
【0017】
このようにして形成された立方体状の収納部をフレーム13a〜13dで構成される開口部から枠体11の内部に収納して収納容器10が完成する。なお、枠体11の底面となる面には底板が設けられているものとする。
【0018】
次に、この収納容器10の具体的な使用方法について説明する。まず、収納容器10にオムツが収納されている場合について説明する。乳幼児が泣いてオムツの交換が必要になったときは、収納容器10から立方体の収納部を取り出してマット20を広げる。
【0019】
図4はこの場合のマット20の使用状態を示す図である。図4を参照して、まず、マット20を、面21dを上側として広げ、面21dに乳幼児の頭部が位置するように寝かせる。母親は面21a側に位置して、乳幼児のオムツを交換する。このとき、予め収納容器10内にオムツが収納されているため、スムーズにオムツの交換が可能になる。また、オムツの交換中に急な来客等があっても、オムツの交換後はオムツをマット20内に収納して素早く枠体11の中に収容できるため、オムツが雑然と放置されるという状況を避けることができる。
【0020】
なお、同様にして、マット20は、乳幼児のプレイマットとしても使用可能である。この場合、乳幼児はマット20の上におもちゃを広げて遊ぶことができるとともに、遊んだ後は、おもちゃをマット20内に収納すれば、簡単に後片付けができる。
【0021】
次に、収納容器10となる立方体の一辺の長さの決定方法について説明する。発明者らは乳幼児の発達段階における動作、たとえば、立ち上がり、伝い歩き、押し歩きといった動作を行っている状態をビデオカメラと感圧センサシートにて計測した。それを三次元動作解析ソフトウエアを用いて動作解析を行い、図示のない圧分布データより重心移動等の解析を行った。その結果を図5に示す。図5は、月齢11ヶ月の乳幼児(身長750mm、体重9.9kg)の腰部の持上げ速度●と手すり本体にかかる荷重□とが、手すりの高さによってどのように変化するかを示すグラフである。図5を参照して、立ち上がり動作では、高さが高くなるに従い腰部の持ち上げ平均速度は小さくなり、立ち上がりにくくなっていると考えられる。また、持ち手部分の高さが400mmにおいては、垂直抗力が小さいことから、他とは異なり、主に下半身の力で立ち上がっていると考えられる。動作解析をあわせてみるとこのときに、スムーズな立ち上がり動作を行っていることがわかった。
【0022】
伝い歩き動作では、高さ300mmのとき、図示のない圧分布による足裏の足位置等からみて、足の方向がさまざまな方向を向いてしまっていた。また、500,600mmでは、スムーズな足運びが行われていないため、重心の移動軌跡のぶれが大きかったのに対し、高さ400mmにおいては、重心移動も、足運びもスムーズにできていることが分かった。以上のように、もち手部分の高さが400mmになるような立方体を乳幼児に与えることにより、効果的に下半身の筋肉を働かせ、筋力の発達を促すことができる。
【0023】
そこで、この実施の形態においては、収納容器10を構成する枠体11を一辺の長さが400mmとした。マット20をプレイマットとして用い、その上に枠体11をおいて乳幼児が遊ぶときには、乳幼児は枠体11を手すりとして遊ぶことができる。その結果、この収納容器10は乳幼児の発育を促す遊具としても利用できる。
【0024】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。図6はこの発明の他の実施の形態を示す図である。この実施の形態においては、マット20を乳幼児の椅子として使用する。図6はその状態を示す斜視図である。ここでは、マット20の六面のうち、面21cを座面とし、面21bを背もたれとし、面21e,21fを両側面としている。なお、面21aは後部へ折り畳み、面21dは前方向に延在させている。
【0025】
次に、この発明のさらに他の実施の形態について説明する。図7は、この発明のさらに他の実施の形態を説明するための図である。この実施の形態においては、枠体11の上に、枠体11を構成する立方体の一辺を省いた第2枠体15を接続し、その第2枠体15に図示のように図6に示したのと同様の椅子用のマットの形態にされたマット20を載置する。以上のようにこの実施の形態においては、乳幼児が成長した後において枠体11とマットとを子供用の椅子として利用できる。なお、第2枠体15は図6に示した乳幼児用の椅子に使用してもよい。
【0026】
なお、上記実施の形態においては、枠体には底面として使用される一つの面のみに底板を設けたが、これに限らず、他の面にも、面を構成する部材を設けてもよい。また、この面は必要な部分のみに設けてもよいし、開閉可能に設けてもよい。
【0027】
また、この面をホワイトパネルとし、乳幼児がそのホワイトパネルを用いてお絵かきができるようにしてもよい。
【0028】
また、枠体をフレームのみとした場合、または、少なくとも対向する二面のフレームに面部材を設けない場合は、この枠体の内部を乳幼児が通って、いわゆる、「はいはい」の練習ができる。この場合、複数の枠体を連続して配置してもよい。
【0029】
また、面を構成する部材を少なくとも一面に設けた枠体は、机としても利用可能である。
【0030】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。図8はこの実施形態における、収納容器30の全体構成を示す斜視図である。図8を参照して、収納容器30は、六面を有する立方体の枠体11と、上面を除く五面を有するマット40とを含み、マット40の五面がそれぞれ立方体の上面を除く五面に位置するように収納されている。枠体11は、先の実施の形態における枠体11と同様であるので、同一部分に同一参照符号を付して、その説明を省略する。
【0031】
次に、枠体11に収納されるマット40について説明する。図9はマット40の展開図である。図9を参照して、マット20は全体として正方形であり、以下に説明するように、折りたたむことによって上部が開口した立方体が形成される。すなわち、マット40は、その全体が九面の正方形の小マット41a〜41iから構成されており、それぞれの小マット41a〜41iは図9(A)において点線42で示すように折り目がつけられている。ここで、マット40は、中央部に設けられた3つの小マット41a〜41cと、小マット41a〜41cの一方側に設けられた3つの小マット41d〜41fと、他方側に設けられた3つの小マット41g〜41iとを含む。
【0032】
これらの小マット41a〜41iを図9(B)に示すようにそれぞれの折り目42で折り、小マット41bを底面にすることによって、図9(C)に示すような、上部が開口された立方体形状の収納部44を形成できる。なお、中央部に設けられた小マット41aおよび41cのそれぞれの中央部の表面側にはそれぞれの小マット41a,41cから外部に延在するように長手の面ファスナ43a,43bが設けられており、この面ファスナ43a,43bは、小マット41a,41cの裏面側に設けられた図示のない面ファスナに接続可能である。
【0033】
図9(C)に示すように形成された収納部44は、図9(D)に示す枠体11に収容されて、図8に示すような収納容器が完成する。なお、収納部44が枠体11に収容されたときは、面ファスナ43a,43bはそれぞれフレーム13a,13cをまたいで裏面側に設けられた図示のない面ファスナに接続され、収納部44と枠体11とが一体化される。図10は、図8においてX−Xで示す部分の断面図であり、面ファスナ43a,43bはそれぞれフレーム13a,13cをまたいで裏面側に設けられた図示のない面ファスナに接続されている状態を示す図である。
【0034】
なお、マット40は、先の実施の形態と同様に、所定の厚さ、柔軟性、および、弾力性を有しているのが好ましい。
【0035】
なお、上記実施の形態においては、枠体11はフレームのみで、フレーム間に面を設けなかったが、これに限らず、面を設けてもよい。また、この面は必要な部分のみに設けてもよいし、開閉可能に設けてもよい。
【0036】
また、上記実施の形態においては、五面で収納部を構成する場合に、収納部の開口部となる部分の近傍に1箇所づつ面ファスナを設けた例について説明したが、これに限らず、中央部に設けてもよいし、2箇所に設けてもよい。
【0037】
また、上記実施の形態においては、枠体は、立方体の頂点に設けられた頂点部材と、頂点部材によって保持されるフレームとから構成した例について説明したが、これに限らず、全体を円筒形状のフレームで構成してもよい。
【0038】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の一実施形態における収納容器の全体構成を示す斜視図である。
【図2】マットの展開図である。
【図3】収納容器の分解斜視図である。
【図4】マットをオムツ交換マットとして使用した状態を示す図である。
【図5】乳幼児の動作状態を示すグラフである。
【図6】マットを椅子として使用した状態を示す斜視図である。
【図7】マットを椅子として使用した状態を示す斜視図である。
【図8】収納容器の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図9】他の実施の形態におけるマットの展開図である。
【図10】図8においてX-Xで示す部分の断面図である。
【符号の説明】
【0040】
10,30 収納容器、11 枠体、12 頂点部材、13 フレーム、20,40 マット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
六面を有する立方体の枠体と、
前記六面に対する面を有するマットとを含む収納容器であって、
前記マットの六面は前記立方体の六面に位置するように前記枠体内に収納される、収納容器。
【請求項2】
前記マットは、おむつ交換用マットである、請求項1に記載の収納容器。
【請求項3】
前記マットは、乳幼児のプレイマットである、請求項1または2に記載の収納容器。
【請求項4】
前記マットは椅子用のクッションカバーである、請求項1から3のいずれかに記載の収納容器。
【請求項5】
前記枠体の一辺の長さは400mmである、請求項1から4のいずれかに記載の収納容器。
【請求項6】
前記六面を有する立方体の枠体は複数重ねて使用可能である、請求項1から5のいずれかに記載の収納容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−35304(P2009−35304A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201287(P2007−201287)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(390006231)アップリカ育児研究会アップリカ▲葛▼西株式会社 (97)
【Fターム(参考)】