説明

収納庫用床パネル

【課題】強度を保持したまま収納庫の軽量化を図るとともに、プルダウン運転時間の短縮化を図ることができる収納庫用床パネルを提供すること。
【解決手段】断熱材により形成された平板状の断熱ボード141と、金属性材料から形成され、かつ断熱ボード141の表面及び裏面を覆う態様で該断熱ボード141に接着された金属製板材142,143とを備え、車両に搭載される断熱構造の収納庫10の床を構成する収納庫用床パネル14において、少なくとも収納庫10の内部側の金属製板材142は、ハニカム構造、コルゲート構造及びアイソグリッド構造の少なくとも1つを有してなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納庫用床パネルに関し、より詳細には、例えば冷凍車等の車両に搭載される断熱構造の収納庫の床を構成する収納庫用床パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば冷凍車等の車両に搭載される断熱構造の収納庫の床を構成する収納庫用床パネルとして、断熱ボードと金属製板材とを備えたものが知られている。断熱ボードは、断熱材により形成される平板状のものである。金属製板材は、アルミニウム、ステンレス等の金属性材料から形成された平板状のものであり、断熱ボードの表面及び裏面を覆う態様で該断熱ボードに接着されている。このように収納庫用床パネルは、断熱ボードの両面に金属製板材が接着されたサンドイッチ構造を有している。
【0003】
そして、これら収納庫用床パネルを係合手段を通じて係合させることで収納庫の床を構成している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−349277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記収納庫用床パネルにおける収納庫の内側の金属製板材は、積荷の重量や、積荷を運搬する台車のキャスタの押圧力に耐えうるだけの強度が要求されるために、十分な厚みを有するのが一般的であった。
【0006】
そのため、該金属製板材は、重量が大きなものとなるだけでなく熱容量も大きいものであり、これにより、収納庫の重量の増大化だけでなく、収納庫の内部を冷却ユニットにより所望の温度に冷却するプルダウン運転時間の増大化を招来していた。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、強度を保持したまま収納庫の軽量化を図るとともに、プルダウン運転時間の短縮化を図ることができる収納庫用床パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る収納庫用床パネルは、断熱材により形成された平板状の断熱ボードと、金属性材料から形成され、かつ断熱ボードの表面及び裏面を覆う態様で該断熱ボードに接着された金属製板材とを備え、車両に搭載される断熱構造の収納庫の床を構成する収納庫用床パネルにおいて、少なくとも収納庫の内部側の金属製板材は、ハニカム構造、コルゲート構造及びアイソグリッド構造の少なくとも1つを有してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、少なくとも収納庫の内部側の金属製板材は、ハニカム構造、コルゲート構造及びアイソグリッド構造の少なくとも1つを有してなるので、強度を保持したままで軽量化を図ることができ、熱容量を低減させることができる。従って、強度を保持したまま収納庫の軽量化を図るとともに、収納庫の内部を冷却ユニットにより所望の温度に冷却するプルダウン運転時間の短縮化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である収納庫用床パネルが適用された収納庫を搭載する車両の模式図である。
【図2】図2は、冷却ユニットを構成する冷媒回路を示す模式図である。
【図3】図3は、収納庫の床を構成する収納庫用床パネルを拡大して示す模式図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態である収納庫用床パネルの要部の横断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態である収納庫用床パネルの変形例を拡大して示す模式図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態である収納庫用床パネルの他の変形例を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る収納庫用床パネルの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態である収納庫用床パネルが適用された収納庫を搭載する車両の模式図である。ここで例示する車両は、例えば冷凍車のようなものであり、上記収納庫10の他に冷却ユニット20を搭載するものである。
【0013】
収納庫10は、平板状の断熱パネル11,14を適宜組み合わせることによって後面に開口部12が形成された直方状を成しており、断熱構造を有するものである。この収納庫10の開口部12は、扉体13により開閉されるものである。
【0014】
冷却ユニット20は、冷媒回路20aを備えて構成してある。冷媒回路20aは、内部に冷媒が封入してあり、図2に示すように、蒸発器21と、圧縮機22と、凝縮器23と、膨張機構24とを冷媒配管25にて順次接続することにより構成されるものである。
【0015】
蒸発器21は、収納庫10を構成する前面側の断熱パネル11の上部側前面に取り付けられた筐体30の内部に配設されており、より詳細には、収納庫10の内部と吹出口31及び吸込口32を通じて連通する断熱構造の蒸発器収容庫33の内部に配設されている。この蒸発器21は、供給された冷媒を蒸発させるものである。
【0016】
圧縮機22は、筐体30の外部であって車両の下部に配設されており、蒸発器21で蒸発した冷媒を吸引して圧縮するものである。
【0017】
凝縮器23は、筐体30の内部であって蒸発器収容庫33の前方側に配設されており、圧縮機22で圧縮された冷媒を凝縮させるものである。この凝縮器23の近傍には、凝縮器用送風ファン23Fが配設されている。この凝縮器用送風ファン23Fは、駆動することにより凝縮器23の周囲に外気を通過させるものである。
【0018】
膨張機構24は、例えば温度膨張弁やキャピラリーチューブのようなものであり、筐体30の内部に配設されている。この膨張機構24は、凝縮器23で凝縮した冷媒を断熱膨張させるもので、断熱膨張させた冷媒を蒸発器21に供給するものである。
【0019】
このような冷却ユニット20においては、冷媒回路20aで冷媒を循環させることにより、蒸発器21の周囲空気、すなわち蒸発器収容庫33の内部空気が冷却される。そして、蒸発器21の近傍に配設された蒸発器用送風ファン21Fが駆動することにより、吸込口32を通じて収納庫10の内部空気を蒸発器収容庫33に吸い込み、かつ吹出口31を通じて蒸発器収容庫33の内部空気を収納庫10の内部に吹き出すことで、収納庫10と蒸発器収容庫33との間で互いの内部空気を循環させる結果、収納庫10の内部を冷却することができる。
【0020】
図3は、上記収納庫10の床を構成する収納庫用床パネル14を拡大して示す模式図である。この図3に示すように、収納庫10の床を構成する収納庫用床パネル14は、断熱ボード141と金属製板材142,143とを備えて構成してある。
【0021】
断熱ボード141は、例えばポリスチレンフォーム等の断熱材により形成された平板状のものである。金属製板材142,143は、例えばアルミニウム等の金属性材料から形成されたものであり、断熱ボード141の表面及び裏面を覆う態様で該断熱ボード141に接着されている。
【0022】
このように収納庫用床パネル14は、断熱ボード141の両面に金属製板材142,143が接着されたサンドイッチ構造を有しており、図示せぬ係合手段を介して他の収納庫用床パネル14と係合されることで収納庫10の床を構成している。
【0023】
そして、本実施の形態である収納庫用床パネル14においては、収納庫10の内部側の金属製板材142、すなわち上方側の金属製板材142が、図3に拡大して示すように、金属製基板142aと金属製薄板142b,142cとを備えて構成してある。金属製基板142aは、図4に示すように、ハニカム構造を有するものであり、多数の中空部を有している。金属製薄板142b,142cは、金属製基板142aの上面及び下面を覆う態様で、すなわち金属製基板142aの中空部を塞ぐ態様で該金属製基板142aに接着されている。つまり、収納庫用床パネル14における収納庫10の内部側の金属製板材142は、ハニカム構造を有してなるものである。
【0024】
以上説明したように、本実施の形態である収納庫用床パネル14においては、収納庫10の内部側の金属製板材142がハニカム構造を有しているために、強度を保持したままで軽量化を図ることができ、熱容量を低減させることができる。
【0025】
よって、上記収納庫用床パネル14によれば、強度を保持したまま収納庫10の軽量化を図るとともに、収納庫10の内部を冷却ユニット20により所望の温度に冷却するプルダウン運転時間の短縮化を図ることができる。
【0026】
また、上記収納庫用床パネル14によれば、収納庫10の軽量化を図ることができるため、車両の全重量の低減させることができ、車両の燃費向上を図ることができる。
【0027】
以上本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されず種々の変更を行うことができる。
【0028】
上述した実施の形態においては、収納庫用床パネル14における収納庫10の内部側の金属製板材142がハニカム構造を有していたが、本発明においては、かかる金属製板材142だけに限られず、収納庫10の外部側の金属製板材143もハニカム構造を有していてもよい。これによれば、強度を保持したままで収納庫10の軽量化をさらに図ることができる。
【0029】
上述した実施の形態においては、収納庫用床パネル14における収納庫10の内部側の金属製板材142は、金属製基板142aの表面及び裏面を覆う態様で金属製薄板142b,142cが接着されていたが、本発明における金属製板材142は、金属製基板142aの表面を覆う態様で金属製薄板142bが接着され、かつ金属製基板142aの裏面が断熱ボード141の表面に接着されるものであっても構わない。これによれば、金属製基板142aの裏面に接着されていた金属製薄板142cを省略することができ、収納庫10の軽量化をさらに図ることができる。
【0030】
上述した実施の形態においては、収納庫用床パネル14における収納庫10の内部側の金属製板材142がハニカム構造を有している例について述べたが、本発明では、かかるハニカム構造に限定されず、次のような構造を有して成るものであっても良い。
【0031】
図5は、本発明の実施の形態である収納庫用床パネルの変形例を拡大して示す模式図である。尚、上述した実施の形態と同一の構成を有するものには同一の符号を付して説明する。
【0032】
この図5に示すように、収納庫10の床を構成する収納庫用床パネル15は、断熱ボード141と金属製板材152,143とを備えて構成してある。
【0033】
断熱ボード141は、例えばポリスチレンフォーム等の断熱材により形成された平板状のものである。金属製板材152,143は、例えばアルミニウム等の金属性材料から形成されたものであり、断熱ボード141の表面及び裏面を覆う態様で該断熱ボード141に接着されている。
【0034】
このように収納庫用床パネル15は、断熱ボード141の両面に金属製板材152,143が接着されたサンドイッチ構造を有しており、図示せぬ係合手段を介して他の収納庫用床パネル15と係合されることで収納庫10の床を構成している。
【0035】
そして、本実施の形態である収納庫用床パネル15においては、収納庫10の内部側の金属製板材152、すなわち上方側の金属製板材152が、図5に拡大して示すように、金属製基板152aと金属製薄板152b,152cとを備えて構成してある。金属製基板152aは、平板を波線状に屈曲させることで形成されたコルゲート構造を有するものであり、多数の中空部を有している。金属製薄板152b,152cは、金属製基板152aの上面及び下面を覆う態様で該金属製基板152aに接着されている。つまり、収納庫用床パネル15における収納庫10の内部側の金属製板材152は、コルゲート構造を有してなるものである。
【0036】
このような構成を有する収納庫用床パネル15においては、収納庫10の内部側の金属製板材152がコルゲート構造を有しているために、強度を保持したままで軽量化を図ることができ、熱容量を低減させることができる。よって、強度を保持したまま収納庫10の軽量化を図るとともに、収納庫10の内部を冷却ユニット20により所望の温度に冷却するプルダウン運転時間の短縮化を図ることができる。
【0037】
図6は、本発明の実施の形態である収納庫用床パネルの他の変形例を示す横断面図である。尚、上述した実施の形態と同一の構成を有するものには同一の符号を付して説明する。
【0038】
上述した実施の形態である金属製板材142の金属製基板142aは、ハニカム構造を有するものであったが、本発明においては、図6に示すようにアイソグリッド構造を有する金属製基板142a′を適用しても良い。このような構成を有する収納庫用床パネルにおいては、収納庫10の内部側の金属製板材142′がアイソグリッド構造を有しているために、強度を保持したままで軽量化を図ることができ、熱容量を低減させることができる。よって、強度を保持したまま収納庫10の軽量化を図るとともに、収納庫10の内部を冷却ユニット20により所望の温度に冷却するプルダウン運転時間の短縮化を図ることができる。
【0039】
上述した実施の形態、並びに図5及び図6に示す変形例では、収納庫用床パネルにおける収納庫の内部側の金属製板材がハニカム構造、コルゲート構造及びアイソグリッド構造のいずれか1つを有していたが、本発明における収納庫用床パネルは、これらハニカム構造、コルゲート構造及びアイソグリッド構造のうち複数を有して成るものであっても良い。
【0040】
上述した実施の形態では特に説明をしていないが、本発明においては、必要に応じて収納庫の内部側の金属製板材における上面に例えばアルミニウム等の金属性材料から形成される型材を敷設するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上のように、本発明に係る収納庫用床パネルは、例えば冷凍車等の車両に搭載される断熱構造の収納庫の床を構成するのに適している。
【符号の説明】
【0042】
10 収納庫
11 断熱パネル
12 開口部
13 扉体
14 収納庫用床パネル
141 断熱ボード
142 金属製板材
142a 金属製基板
142b 金属製薄板
142c 金属製薄板
143 金属製板材
20 冷却ユニット
20a 冷媒回路
21 蒸発器
21F 蒸発器用送風ファン
22 圧縮機
23 凝縮器
23F 凝縮器用送風ファン
24 膨張機構
25 冷媒配管
30 筐体
31 吹出口
32 吸込口
33 蒸発器収容庫

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱材により形成された平板状の断熱ボードと、
金属性材料から形成され、かつ断熱ボードの表面及び裏面を覆う態様で該断熱ボードに接着された金属製板材と
を備え、車両に搭載される断熱構造の収納庫の床を構成する収納庫用床パネルにおいて、
少なくとも収納庫の内部側の金属製板材は、ハニカム構造、コルゲート構造及びアイソグリッド構造の少なくとも1つを有してなることを特徴とする収納庫用床パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−113041(P2013−113041A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262167(P2011−262167)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】