説明

収納庫

【課題】生産性および安全性を向上させながら、美観にも優れた収納庫を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる収納庫130は、引出134の前板200が、ほぼ板状の基材210と、ステンレス鋼からなり、基材の前面212に対応する前面部222および前面部から屈曲して側面214とほぼ平行に延びる側壁部224を有する化粧板220と、基材の側面と化粧板の側壁部との間に形成された空隙260と、空隙に差し込まれる挿入部232と、挿入部の後端から左右に連続して、少なくとも基材の裏面210cと側面とが交差するエッジ218および側壁部の後端部226を覆う装飾部234とを有するエッジ部材230と、前板の上面210aおよび下面210bのうち、少なくとも下面の両端部において空隙およびエッジ部材の端部を覆うキャップ240と、キャップの間を覆い、断面形状がほぼ一定の押出成形材であるモール250とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面に前板を備えた引出を有する収納庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キッチンには、調理器具や調理材料、食器などを収納しておくために、多くの収納スペースが設けられている。このため天板(システムキッチンにおいてはワークトップ)の下には、引出や開き戸が設けられるのが通常である。近年では、引出などに収納される被収納物をある程度想定し、引出の大きさや仕切りの形状を工夫することにより、使い勝手の向上を図ることが行われている。
【0003】
また、顧客の幅広いニーズに応えるために、収納庫は、木製のものやステンレス等からなる金属製のものなど各種ラインナップが取り揃えられている。各種ラインナップのうち、金属製の収納庫は、高級感や耐久性の高さにおいて人気があり、最近の主流となりつつある。
【0004】
金属製の収納庫では、引出の前面に配置された前板に、ステンレス鋼からなる化粧板を用いることがある。例えば特許文献1に記載された前板の構造では、板状の基材と、基材の前面および背面に接着等により貼り付けられたステンレス鋼からなる化粧板と、基材の側面、上面および下面に貼り付けられた樹脂製の枠材とを備えている。また、特許文献1には、基材に化粧板を貼り付けた状態のまま、基材および化粧板を所定寸法に切断した後で、枠材を貼り付けることが記載されている。
【0005】
特許文献2の図5には、板状の基材と、コの字形状を有するステンレス鋼からなる化粧板と、樹脂製の被覆部材およびパッキン部材とを備えた前板の構造が開示されている。化粧板は、基材の前面に対応する前面部と、前面部から屈曲して、基材の側面に接触した状態で、基材の側面に沿って延びる側壁部とを有している。
【0006】
また、被覆部材は、化粧板の側壁部の端部および端部近傍、基材の裏面と側面とが交差するエッジ、およびエッジ近傍を覆っている。さらに、パッキン部材は、被覆部材のうち基材の裏面側と、基材のエッジ近傍の裏面とを覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−146605号公報
【特許文献2】特開2004−243647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の前板の構造では、基材の側面が、ステンレス鋼からなる化粧板ではなく、樹脂製の枠材で覆われているので、美観が損なわれてしまう。また、化粧板が貼り付けられた状態の基材を切断した後で、枠材を貼り付けるので、生産性が低下してしまう。
【0009】
これに対して、特許文献2に記載の前板の構造では、ステンレス鋼からなる化粧板が、基材の前面から側面に屈曲する側壁部を有していて、基材の側面にステンレスの質感が表れることから、美観が損なわれない。しかし、化粧板の側壁部は、基材の側面にしっかりと接触させることから、ステンレス鋼を折り曲げる際の寸法公差が小さくなり、生産性が低下する。また、樹脂製の被覆部材は、化粧板の側壁部の端部、および端部の近傍を覆うため、接着剤等により強固に貼り付ける必要がある。しかし、経年で接着剤が収縮および剥離した後では、被覆部材が脱落してしまい、化粧板の側壁部の端部が剥き出しになり、使用者の安全性を損なう場合もあり得る。さらに、パッキン部材も必要なことから、工数が増えて生産性が低下する。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑み、生産性および安全性を向上させながら、美観にも優れた収納庫を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明にかかる収納庫の代表的な構成は、前面に前板を備えた引出を有する収納庫であって、前板は、ほぼ板状の基材と、ステンレス鋼からなり、基材の前面に対応する前面部および前面部から屈曲して側面とほぼ平行に延びる側壁部を有する化粧板と、基材の側面と化粧板の側壁部との間に形成された空隙と、空隙に差し込まれる挿入部と、挿入部の後端から左右に連続して、少なくとも基材の裏面と側面とが交差するエッジおよび側壁部の後端部を覆う装飾部とを有するエッジ部材と、前板の上面および下面のうち、少なくとも下面の両端部において空隙およびエッジ部材の端部を覆うキャップと、前板の上面および下面のうち、少なくとも下面においてキャップの間を覆い、断面形状がほぼ一定の押出成形材であるモールとを備えたことを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、基材の前面が化粧板の前面部で覆われ、基材の側面が化粧板の側壁部で覆われるので、基材の前面だけでなく側面にも、化粧板のステンレスの質感が表れることになり、美観に優れる。また、基材の側面と化粧板の側壁部との間に空隙が形成されていて、この空隙にエッジ部材の挿入部が差し込まれることから、ステンレス鋼からなる化粧板を折り曲げる際の寸法公差を大きくでき、生産性を向上できる。
【0013】
また、エッジ部材は、挿入部が空隙に差し込まれるので、空隙に確実に取付けられ、経年劣化しても脱落するおそれを低減できる。さらに、エッジ部材は、装飾部によって少なくとも基材のエッジおよび化粧板の側端部の後端部を覆うことから、美感を向上させるだけでなく、使用者の手を保護して、安全性も向上する。
【0014】
さらに、前板の少なくとも下面においてキャップの間が押出成形材であるモールで覆われるから、まず、長い材料を製造し、その後で基材の寸法に合わせて切断することで、好適な寸法のモールを得ることができる。このため、寸法の異なる複数の引出に対して製造工程を簡略化し、生産性を向上させることができる。したがって、上記収納庫は、生産性および安全性を向上させつつ、美観にも優れたものとなる。
【0015】
前板の上面は、キャップおよびモールに代えて、取手部材で覆われているとよい。これにより、前板の下面がキャップおよびモールで覆われ、かつ、前板の上面が取手部材で覆われるので、キャップおよびモールにより生産性を向上させつつ、取手部材により使い勝手も向上する。なお、取手部材として、引出の前板から前方に突出しつつ下方に向かって湾曲したライン取手を適用した場合には、引出の前板の前面部に取手部材を直接取付ける必要がなく、美観をより優れたものにできる。
【0016】
挿入部は弾性部材であって、装飾部は硬質の樹脂部材であるとよい。これにより、挿入部を弾性部材とすることで、より寸法公差の幅を広げることができ、製造が容易になり生産性が向上する。また、装飾部を硬質の樹脂部材とすることで、キャビネット側のパッキンと繰り返し衝突しても変形を防止することができ、耐久性を向上させることができる。ここで、材質の異なる2種類の部材である挿入部と装飾部とは、接着または熱溶着、超音波溶着等により接合するか、あるいは、2色成形することによって製造すればよい。なお、装飾部は、清掃性を考慮してスベアップ(登録商標)等の滑性樹脂を用いることが望ましい。
【0017】
基材の上面および下面のうち、キャップおよびモールが取り付けられる面には長手方向に沿って溝が形成されていて、キャップおよびモールは、溝と係合する突出部分を有し、突出部分はやじり形状であるとよい。これにより、キャップおよびモールが突出部分を有していることから、溝との位置決めが容易となり、生産性が向上すると共に、脱落が防止され耐久性も向上する。特に、突出部分がやじり形状であることから、抜け落ちにくく、接着剤が固化するまでは仮留めすることができ、また、経年で接着剤が収縮および剥離した後にも脱落し難くなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、生産性および安全性を向上させながら、美観にも優れた収納庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態における収納庫を備えるキッチンを示す図である。
【図2】図1に示す前板の一部を拡大して示す図である。
【図3】図2に示す前板のA−A断面、側面およびB−B断面を示す図である。
【図4】図2に示す前板の内部を上面から見た状態を示す図である。
【図5】前板の分解斜視図である。
【図6】前板の他の構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0021】
(キッチン)
図1は、本実施形態における収納庫を備えるキッチンを示す図である。キッチン100は、一枚の天板110(ワークトップ)の下に複数の収納庫(キャビネット)を備えた、いわゆるシステムキッチンである。天板110は、合成樹脂(人工大理石)やステンレスなどからなり、キッチン100の全体の上面を覆っている。また、天板110には、組込み式に取り付けられたコンロ112の上面に対応するスペース112a、平坦なテーブル面であり主に調理を行うのに利用される調理スペース114、天板110に一体形成されたシンク116が設けられる。
【0022】
天板110の下は、コンロ112本体が設置されているコンロキャビネット120と、調理スペース114に対応したベースキャビネット130と、シンク116が設置されているシンクキャビネット140等の各収納庫で構成される。各収納庫は、収納スペースとして機能し、収納庫内の空きスペースには、コンロ112への配線や、シンク116および水栓への給排水管なども収容されている。このように、天板110の下では、天板110の上のシンク116やコンロ112といった各構成に対応した収納庫がその高さおよび奥行きを等しくして複数設けられている。
【0023】
各収納庫は、被収納物を収納するために、様々な大きさのスライド式の引出を設けている。コンロキャビネット120は、上部にコンロ112のグリル112bおよび操作パネル112cを備え、その脇には調味料などの小物を収納するための小さな引出であるスパイスボックス122が配設されている。コンロキャビネット120の中央部(グリル112bの下)には幅の広い大きな引出124が配設され、鍋やボウルなどの比較的大きな調理器具を収納することが可能になっている。また、コンロキャビネット120の下部の床近傍には、引出式の足元収納である足下収納庫126が配設されている。同様に、ベースキャビネット130には、複数の引出132、134および足下収納庫136が配設され、シンクキャビネット140には、引出144、および足下収納庫146が配設されている。さらに、複数の引出124、132、134、144には、図示のように、取手150、152、154、156がそれぞれ取り付けられている。
【0024】
(収納庫)
次に、本実施形態の特徴である収納庫について説明する。以下では、図2〜図5を参照して、図1に示す各収納庫のうち、ベースキャビネット130の引出134の前面に設けられた前板200の構造について説明する。但し、前板200の構造は、ベースキャビネット130の引出134に限らず、他の収納庫であるベースキャビネット130の引出132、コンロキャビネット120およびシンクキャビネット140の各引出124、146にも適用可能である。
【0025】
図2は、図1に示す前板200の一部を拡大して示す図である。図2(a)は、図1中、点線で示す領域202を拡大して示す図である。図2(b)は、図2(a)に示す前板200の上面からキャップを外した状態を示す図である。図3は、図2に示す前板200のA−A断面、側面およびB−B断面を示す図である。図3(a)は、図2(a)に示すキャップのA−A断面図である。図3(b)は、図3(a)に示すキャップを矢印Cから見た側面図である。図3(c)は、図2に示すモールのB−B断面図である。図3(d)は、モールの他の例を示すB−B断面図である。図4は、前板200の内部を上面から見た状態を示す図である。図4(a)は、前板200の上面からキャップおよびモールを外した状態を示す図である。図4(b)は、図4(a)に示すエッジ部材を拡大して示す図である。図5は、前板200の分解斜視図である。
【0026】
前板200は、図2、図4(a)および図5に示すように、ほぼ板状の基材210と、ステンレス鋼からなる化粧板220と、エッジ部材230、230Aと、キャップ240、240Aおよびモール250とからなる。基材210は、例えば木製であり、前面212と、側面214と、上面210aおよび下面210bと、裏面210cとを有していて、上面210aおよび下面210bのほぼ中央には長手方向に沿って溝216が形成されている(図5参照)。
【0027】
化粧板220は、図2(b)、図4(a)および図5に示すように、基材210の前面212に対応する前面部222と、前面部222から屈曲して基材210の側面214とほぼ平行に延びる側壁部224とを有している。化粧板220の側壁部224と基材210の側面214との間には、図2(b)および図4(a)に示すように、空隙260が形成されている。
【0028】
エッジ部材230は、図4(b)に示すように、弾性部材である挿入部232と、硬質の樹脂部材である装飾部234とからなり、ほぼT字形状を有している。なお、エッジ部材230Aは、図4(a)および図5に示すように、エッジ部材230と左右対称の構造を有していて機能等が同様であるので、説明を省略する。
【0029】
エッジ部材230は、これら材質の異なる挿入部232と装飾部234とを、接着または熱溶着、超音波溶着等により接合するか、あるいは、2色成形することによって製造される。挿入部232は、図2(b)および図4(a)に示すように、空隙260に差し込まれる。装飾部234は、挿入部232の後端から左右に連続する基材側端部236と化粧板側端部238とを備える。なお、装飾部234は、清掃性を考慮してスベアップ(登録商標)等の滑性樹脂を用いることが望ましい。基材側端部236および化粧板側端部238は、挿入部232が空隙260に差し込まれた状態で、基材210側および化粧板220側にそれぞれ張り出している。
【0030】
基材側端部236は、挿入部232が空隙260に差し込まれた状態で、基材210の裏面210cと側面214とが交差するエッジ218と、基材210のエッジ218近傍の裏面210cとを覆う。また、化粧板側端部238は、挿入部232が空隙260に差し込まれた状態で、化粧板220の側壁部224の後端部226を覆う(図2(b)および図4参照)。
【0031】
キャップ240、240Aは、例えばABS樹脂からなり、図5に示すように、基材210の上面210aおよび下面210bの両端部で、上記した空隙260と、基材210の上面210aおよび下面210bに位置するエッジ部材230の端部とを覆っている(図2参照)。なお、キャップ240Aは、図5に示すように、キャップ240と左右対称の構成を有していて、機能等が同様であるから、説明を省略する。
【0032】
また、キャップ240は、図3(a)および図3(b)に示すように、基材210の溝216と係合するやじり形状の突出部分242を有する。さらに、キャップ240には、突出部分242と溝216との係合を補助するボス244が形成されている。
【0033】
モール250は、断面形状がほぼ一定の押出成形材であり、図5に示すように、基材210の上面210aおよび下面210bでキャップ240、240Aの間を覆う。また、モール250は、薄い厚みを維持するために、エラストマー樹脂で成形することが望ましい。さらに、モール250は、図2および図3(c)に示すように、キャップ240、240Aと同様に、基材210の溝216と係合するやじり形状の突出部分252を有する。また、突出部分252は、図3(d)に示すように、根元部分に凹部254を形成して、ヒケを防止する形状としてもよい。
【0034】
以下、図5を参照して、前板200の組立て作業について説明する。まず、基材210の前面212に化粧板220の前面部222を対応させ、さらに、基材210の側面214に化粧板220の側壁部224を対応させた状態で、化粧板220の前面部222を基材210の前面212に接触させる。このため、基材210の前面212が化粧板220の前面部222で覆われ、さらに、基材210の側面214が化粧板220の側壁部224で覆われる。よって、基材210の前面212だけでなく側面214にも、化粧板220のステンレスの質感が現れることになり、美観に優れる。
【0035】
続いて、上記したように、基材210の側面214と化粧板220の側壁部224との間には空隙260が形成されていて、この空隙260にエッジ部材230、230Aの挿入部232が差し込まれる。このため、ステンレス鋼からなる化粧板220を折り曲げる際の寸法公差を大きくでき、生産性を向上できる。また、エッジ部材230、230Aは、挿入部232が空隙260に差し込まれることから、空隙260に確実に取付けられ、経年劣化しても脱落するおそれを低減できる。
【0036】
また、挿入部232が空隙260に差し込まれた状態で、エッジ部材230、230Aの装飾部234は、化粧板220の側壁部224の後端部226と、基材210のエッジ218およびエッジ218近傍の裏面210cとを覆う。このため、装飾部234により美感が向上するだけでなく、使用者の手を保護することにもなり、安全性が向上する。
【0037】
さらに、上記したように、挿入部232を弾性部材としたので、より寸法公差の幅を広げることができ、製造が容易になり、生産性が向上する。また、装飾部234を硬質の樹脂部材としたので、例えばキャビネット側のパッキンと繰り返し衝突しても、変形を防止でき、耐久性が向上する。
【0038】
続いて、基材210の上面210aおよび下面210bの両端部にキャップ240、240Aを取り付け、さらに、キャップ240、240A間にモール250を取り付けることで、前板200の組み立て作業が完了する。キャップ240およびモール250の取付けでは、キャップ240、240Aおよびモール250の突出部分242、252と基材210の溝216とを係合させる。
【0039】
ここで、キャップ240、240Aおよびモール250が突出部分242、252を有しているので、溝216との位置決めが容易となり、生産性が向上し、さらに、脱落が防止され耐久性が向上する。特に、突出部分242、252がやじり形状であるので、抜け落ち難く、接着剤が固化するまでは仮留めが可能となり、さらに、経年で接着剤が収縮および剥離した後にも脱落し難くなる。
【0040】
また、基材210の上面210aおよび下面210bの両端部がキャップ240、240Aで覆われていて、それらの間が押出成形材であるモール250で覆われるので、モール250は、まず長い材料を製造し、その後で基材210の寸法に合わせて切断すればよい。よって、寸法の異なる複数の引出に対して製造工程を簡略化でき、生産性を向上させることができる。
【0041】
これらのことから、本実施形態における収納庫(ベースキャビネット130)では、前面に前板200を備えた引出134を有することで、生産性および安全性を向上させながら、美観にも優れたものとなる。
【0042】
上記実施形態では、前板200の基材210の上面210aは、下面210bと同様に、両端部に配置されるキャップ240、240Aと、キャップ240、240A間に配置されるモール250とで覆われている例を示したが、これに限定されない。すなわち、基材210の上面210aが、キャップ240、240Aおよびモール250に代えて、適宜の取手部材で覆われるようにしてもよい。
【0043】
図6は前板の他の構成例を説明する図である。図に示す前板270では、前板270の上面には、取手部材272が取り付けられている。取手部材272は、図1に示した取手154とは異なり、例えば引出134の前板270から前方に突出しつつ下方に向かって湾曲したひさし形状を有するライン取手である。このように基材210の下面210bをキャップ240、240Aおよびモール250で覆い、さらに、基材210の上面210aを、キャップ240、240Aおよびモール250の上方からライン取手で覆うようにしてもよい。このようにすれば、引出134の前板270の前面にコの字状の取手154を取付ける必要がなく、美観をより優れたものにできる。
【0044】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、前面に前板を備えた引出を有する収納庫に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
100…キッチン、110…天板、112…コンロ、112a…スペース、112b…グリル、112c…操作パネル、114…調理スペース、120…コンロキャビネット、122…スパイスボックス、124、132、134、144…引出、126、136、146…足下収納庫、130…ベースキャビネット、140…シンクキャビネット、150、152、154、156…取手、200…前板、210…基材、210a…上面、210b…下面、210c…裏面、212…前面、214…側面、216…溝、218…エッジ、220…化粧板、222…前面部、224…側壁部、226…後端部、230、230A…エッジ部材、232…挿入部、234…装飾部、236…基材側端部、238…化粧板側端部、240、240A…キャップ、242、252…突出部分、244…ボス、250…モール、254…凹部、260…空隙、270…前板、272…取手部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に前板を備えた引出を有する収納庫であって、
前記前板は、
ほぼ板状の基材と、
ステンレス鋼からなり、前記基材の前面に対応する前面部および該前面部から屈曲して側面とほぼ平行に延びる側壁部を有する化粧板と、
前記基材の側面と前記化粧板の側壁部との間に形成された空隙と、
前記空隙に差し込まれる挿入部と、前記挿入部の後端から左右に連続して、少なくとも前記基材の裏面と側面とが交差するエッジおよび前記側壁部の後端部を覆う装飾部とを有するエッジ部材と、
前記前板の上面および下面のうち、少なくとも下面の両端部において前記空隙およびエッジ部材の端部を覆うキャップと、
前記前板の上面および下面のうち、少なくとも下面において前記キャップの間を覆い、断面形状がほぼ一定の押出成形材であるモールとを備えたことを特徴とする収納庫。
【請求項2】
前記前板の上面は、前記キャップおよび前記モールに代えて、取手部材で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の収納庫。
【請求項3】
前記挿入部は弾性部材であって、
前記装飾部は硬質の樹脂部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の収納庫。
【請求項4】
前記基材の上面および下面のうち、前記キャップおよびモールが取り付けられる面には長手方向に沿って溝が形成されていて、
前記キャップおよびモールは、前記溝と係合する突出部分を有し、
前記突出部分はやじり形状であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の収納庫。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−157397(P2012−157397A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17283(P2011−17283)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000104973)クリナップ株式会社 (341)
【Fターム(参考)】