説明

収納棚

【課題】収納部の高さ位置を自由にかつ容易に変更することができる収納棚を提供する。
【解決手段】建物の壁面Wに沿って上下方向に延在するように設置される左右一対のレール2,2と、レール2,2に設けられ、壁面Wから前方に突出するように設けられる物品の収納体1とを備え、収納体1は、その後端に左右一対の突出部4,4を備え、各レール2,2は、それぞれ収納体1の各突出部4,4を挿入可能とする空間を隔てて上下方向に配置され、突出部4,4を空間に挿入したときに、その前方及び後方への移動を規制する前方壁部及び後方壁部と、前方壁部、後方壁部間に上下方向に間隔をおいて複数設けられ、突出部4を空間に挿入したときに下方への移動を規制する係合部15とを備え、かつ空間は、収納体1をその姿勢を変更して突出部15を上方又は下方の他の係合部15に移動・係止可能に形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下動自在な収納棚に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗面室や浴室内において石鹸,化粧品の瓶又はシャンプーボトル等を載置するために、洗面台や浴室の壁面に固定されて用いられる収納棚が広く知られている(例えば、下記特許文献1)。
図9に示すように、特許文献1に記載された収納棚100は、浴室等の壁面に沿ってビス等を用いて取り付けられる背板パネル101と、該背板パネル101の板面101aから水平方向に突出させ物品を載置させる棚板102,102と、棚板102に載置した物品の転落防止のためのガード板103とから概略構成されている。
棚板102は、背板パネル101の上下方向に十分な間隔をおいて2つ固定配置されており、高さ寸法のある物品を載置できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−348954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、浴室においては、例えば洗髪をする場合、個々人の体格や洗髪時の体勢によって好適なシャンプー等の配置高さが異なるが、上記従来の収納棚100によれば、棚板102が背板パネル101に固定されその高さ位置を変更することができないため、収納棚100を使用者の好みの高さに合わせて使用し難いという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みて、物品を収納する収納体の高さ位置を自由にかつ容易に変更することができる収納棚を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る収納棚は、上記した課題を解決するべく、下記の手段を提供している。
すなわち、請求項1に係る収納棚は、建物の壁面に沿って上下方向に延在するように設置される左右一対のレールと、これらのレールに設けられ、前記壁面から離間する前方に突出するように設けられる物品の収納体とを備え、該収納体は、その後端に左右一対の突出部を備え、前記各レールは、それぞれ前記収納体の各突出部を挿入可能とする空間を隔てて上下方向に配置され、該突出部を前記空間に挿入したときに、その前方及び後方への移動を規制する前方壁部及び後方壁部と、これら前方壁部、後方壁部間に上下方向に間隔をおいて複数設けられ、前記突出部を前記空間に挿入したときにその下方への移動を規制する係合部とを備え、かつ前記空間は、前記収納体をその姿勢を変更して前記突出部を上方又は下方の他の係合部に移動・係止可能に形成されていることを特徴とする。
本発明の収納棚によれば、収納体の姿勢を変更することにより該収納体をレールの上下方向に移動させてその係止位置を容易に変更することができる。また、突出部を前記空間に挿入させた際に、突出部を支持する前方壁部と、突出部を支持する後方壁部とを有しているため、突出部をレール内において安定的に保持することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明による収納棚によれば、収納体の姿勢を変更することにより該収納体をレールの上下方向に容易に移動させて係止位置を変更することができ、使用者の好みに合わせて収納位置を自由に設定することができるという効果を奏する。
【0007】
また、突出部を係止部に係止させた際に、突出部を支持する前方壁部と後壁部とを有しているため、収納部の突出部をレール内において安定的に保持することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】は、本発明の第1の実施形態として示した収納棚の斜視図である。
【図2】は、本発明の第1の実施形態として示した収納棚の収納体の斜視図である。
【図3】は、本発明の第1の実施形態として示した収納棚のレールの断面図である。
【図4】は、本発明の第1の実施形態として示した収納棚の収納体とレールとの係止状態を一部を断面視して示した側面図であり、(a)は、収納体がレールに係止した状態を示した側面図であり、(b)は収納体のレールへの係止が解除された状態を示した側面図である。
【図5】は、本発明の第2の実施形態として示した収納棚の正面図である。
【図6】は、図5に示された収納棚をS−S線において矢視した一部断面図である。
【図7】は、本発明の第2の実施形態として示した収納棚の収納体とレールとの係止状態を示した側面図である。
【図8】は、本発明の第2の実施形態として示した収納棚の収納体とレールとの係止状態を示した正面図である。
【図9】は、従来の収納棚を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る収納棚の第1及び第2の実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。なお、本発明の図1,図5にそれぞれ示す第1及び第2の実施形態の収納棚10,20は、浴室内に設置する収納棚を例として説明し、各図において、建物すわなち浴室の壁面W方向を後方(又は矢印X方向)とし、浴室の壁面Wに対し離間する方向を前方(又は矢印Y方向)とする。
図1は、本発明の第1の実施形態を示す図であって、物品を保持する複数の収納体1,1・・(なお、本図においては一の収納体1のみ表示)と、この複数の収納体1,1・・を浴室の壁面Wに支持固定するレール2,2とを備えた収納棚10を示したものである。
【0010】
図2に示すように、収納体1は、平面視略矩形で所定の深さ寸法を有するよう形成され、物品を収容可能とされた収納部3と収納部3を図1に示すレール2,2に係止する突出部4,4とを有する。
収納部3は、金属製の棒材3a,3a・・を折曲して形成された受け部5と上枠部6とを備えて形成されている。
受け部5は、両端部を立ち上げるように折曲した複数の金属製の棒材3a,3a・・が等間隔で平行に配置されて形成されたものであり、これら複数の棒材3a,3a・・によって底部7と互いに対向する立ち上がり部8,8とを形成している。
【0011】
上枠部6は、金属製の棒材が略コ字状に折曲され受け部5の上端に配されたものであり、平面視矩形の受け部5の前方及び側方の3方向を取り囲むように受け部5の両側の立ち上がり部8,8の上端と溶接され、受け部6を構成する複数の棒材3a,3a・・同士を連結している。
【0012】
突出部4は、上枠部6の端部8t,8tから互いに離間する方向に水平に延在する丸棒状の基部4aと基部4aから下方に向かって延在する丸棒状の折曲部4bとを備え、レール2,2内に係止できるようになっている。基部4aは、図4(a)に示すレール2の係止部15の上面15aに係止されるようになっており、折曲部4bは、基部4aの端部から下方かつ後方に向かって傾斜するように形成されている。
【0013】
図1に示すように、レール2は、断面視略コ字状又は逆コ字状に形成された長尺のレールを一対として用いられるものであり、図3に示すように、浴室の壁面Wに取り付けられる後方壁部11と、後方壁部11の端部から垂直に延在する側壁部12と、側壁部12の端部から垂直に延在するとともに後方壁部11に対向する前方壁部13とを有している。これら後方壁部11,側壁部12及び前方壁部13によって一方向が開口部2aとされた空間14が形成されている。
【0014】
係止部15は、前方壁部13と後方壁部11との間、具体的には前方壁部13側の内壁面から後方に向かって膨出するよう形成されており、図1に示すように長手方向に所定の間隔をおいて複数形成されている。図4(a)に示すように、この係止部15の上面15aには、収納体1の突出部4を係止できるようになっている。
図4(b)に示すように、係止部15の頂面15bから後方壁部11までの間は、基部4a及び折曲部4bの断面径よりも僅かに大きい一定の幅寸法の通路16となっており、収納部3を持ち上げて収納体1の姿勢を変更し折曲部4bを後方壁部11に沿って平行に配した際に、基部4aと折曲部4bとが該通路16を通過可能となっている。
【0015】
次に、上記の収納棚10の使用方法について説明する。
まず、図1に示すように、一対のレール2,2をその長手方向を上下方向に向け、かつ開口部2a,2aが対向するように浴室の壁面Wに間隔をおいて配置し、固定する。
レール2,2の上端または下端から収納体1の突出部4,4を挿入し、所望の高さに位置する係止部15に係止する。
【0016】
この際、収納体1をレール2,2内にて移動させるときは、図1に示す折曲部4bの先端を結ぶ軸線L1を中心として、図4(b)に示すように収納体1を回動させて収納部3の前方部分を上方に持ち上げ、折曲部4bを後方壁部11側に沿って平行に配置させ、基部4aと係止部15との係止を解除し、基部4a及び折曲部4bが通路16を通過できる姿勢にする。
【0017】
そして、収納体1を所望の係止位置に移動させ収納体1をレール2,2に係止したいときは、図4(a)に示すように、収納部1の姿勢を元の水平状態に戻し、基部4a,4aを係止部15の上面15aに係止させるとともに前方壁部13に基部4aを係合させ、折曲部4bの先端を後方壁部11に係合させる。
【0018】
このようにして、収納体1の突出部4,4をレール2,2内にて係止部15,15に係止及び係合させることにより、突出部4,4を係止部15の上面15a並びにレール2,2の前方壁部13及び後方壁部11から支持できるとともに、収納体1を回動させて姿勢を変えるだけで容易に係止部15と突出部4との係止を解除し収納体1をレール2,2の空間14内にて自由に移動させることができる。
【0019】
以上のように、本発明の収納棚10によれば、軸線L1を中心として収納体1の姿勢を変更することにより突出部4と係止部15とが係止し又は係止が解除されるため、収納体1のレール2,2への係止及び係止の解除が簡便で、収納体1をレール2,2の上下方向に複数設けられた係止部15,15・・に容易に移動させ、係止させることにより、収納体1の高さ調節をすることができるという効果が得られる。
【0020】
また、突出部4を係止部15の上面15aに係止させた際に、係止部15の上方において突出部4を支持する前方壁部13と、前方壁部13の下方において突出部4を支持する後方壁部11とを有しているため、収納体1の突出部4をレール2,2内において安定的に保持することができるという効果が得られる。
【0021】
また、収納体1の突出部4が丸棒状の基部4a及び一定の長さ寸法を有する折曲部4bを備えて形成され、この突出部4がレール2の空間14内に挿入配置される構成となっているため、収納体1が誤って上方に若干移動し基部4aが係止部15の上面15aから離間してしまっても、折曲部4bが後方壁部11に沿って平行にならない限り突出部4の係止が完全に解除されず、収納体1がレール2,2内で落下し難いため、係止構造がシンプルであっても、収納体1をレール2,2に確実に固定することができるという効果が得られる。
【0022】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。この実施形態において、第1の実施形態の構成と同様の構成については同一の符号を付しその説明を省略する。
第2の実施形態の収納棚20は、第1の実施形態の収納棚10と主として係止部及び突出部の構成において異なっている。
図5に示すように、本実施形態の突出部24,24の基部24a,24aは、収納部3の上枠部6から互いに離間する方向に水平に延びている。また、折曲部24b,24bは、基部24a,24aの端部から湾曲しながら下方にやや傾斜して延びた後、更に湾曲しながら互いに接近する方向に水平に延び、突出部4を正面視した際の外形が、弧が水平方向に僅かに潰れた円弧形状を形成している。
【0023】
レール22,22は、図6に示すように、前方壁部13と後方壁部11との間寸法が、突出部24の断面径寸法よりも僅かに大きい寸法に形成されているとともに、図5,図6に示すように、係止部25が互いに対向する側壁部12,12の内面から互いに対向して突出するように形成されている。なお、レール22の係止部25と前方壁部13又は後方壁部11との間には突出部24が通過し得る通路は形成されていない。
【0024】
上記の構成において、突出部24を係止部25に係止させた場合には、図7に示すように、収納体21が収納部3の自重によって前傾しようとし、突出部24の基部24aがレール22の前方壁部13に係合するとともに、折曲部24bの下端部が後方壁部11に係合し、これら前方壁部13,後方壁部11,及び係止部25により突出部24が支持されて収納体21を係止できるようになっている。
【0025】
したがって、収納体21の突出部24をレール22,22の空間14に挿入して係止部25に突出部24,24を係止させた場合、突出部24の基部24a又は折曲部24bを通る軸線を中心に収納体21を回動させて収納体21の突出部24に係止部25を通過させることはできず、その代わりに、図8に示すように、収納体21を上方に移動させた上で、後方壁部11を取り付けた浴室の壁面Wに垂直でかつ収納体21を突出部24,24間の中心を通る軸線L2を中心に収納体21を回動させて突出部24の折曲部24bを回動に従って僅かに弾性変形及び弾性復帰させて係止部25との係合を解除できるようになっている。
【0026】
以上のように、本発明の収納棚20によれば、軸線L2を中心として収納体1を回動させて姿勢を変更することにより突出部24と係止部25とが係止し又は係止が解除されるため、収納体1のレール22,22への係止及び係止の解除が簡便で、収納体1をレール22,22の上下方向に複数設けられた係止部25,25・・に容易に移動させ、係止させることにより、収納体1の高さ調節をすることができるという効果が得られる。
【0027】
また、突出部24を係止部25の上面25aに係止させた際に、突出部24を支持する前方壁部13と、前方壁部13の下方において突出部24を支持する後方壁部11とを有しているため、収納体1の突出部24をレール22,22内において安定的に保持することができるという効果が得られる。
【0028】
また、収納体21を上方に移動させて軸線L2を中心に回動させた場合に係止が解除される構成となっているため、使用者が誤って収納体21に触れ基部24aが係止部25の上面から離間してしまっても、容易に突出部24と係止部25との係止が解除されず、収納体21がレール22,22内で落下し難いため、係止構造がシンプルであっても、収納体21をレール22,22に確実に固定することができるという効果が得られる。
【0029】
なお、上記した第1及び第2の実施形態において、レール2,2及びレール22,22は互いに分離した構成となっているが、この構成に限られるものではなく、例えば図1又は図6において2点鎖線で示すように、後方壁部11,11が連結した構成とされているものであってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 収納体
2,22 レール
2a 開口部
3 収納部
4,24 突出部
4a,24a 第1の腕部
4b,24b 第2の腕部
10,20 収納体
11 後方壁部
13 前方壁部
14 空間
15,25 係止部
16 通路
L1,L2 軸線
W 浴室の壁面(建物の壁面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁面に沿って上下方向に延在するように設置される左右一対のレールと、
これらのレールに設けられ、前記壁面から離間する前方に突出するように設けられる物品の収納体とを備え、
該収納体は、その後端に左右一対の突出部を備え、
前記各レールは、それぞれ前記収納体の各突出部を挿入可能とする空間を隔てて上下方向に配置され、該突出部を前記空間に挿入したときに、その前方及び後方への移動を規制する前方壁部及び後方壁部と、これら前方壁部、後方壁部間に上下方向に間隔をおいて複数設けられ、前記突出部を前記空間に挿入したときにその下方への移動を規制する係合部とを備え、かつ前記空間は、前記収納体をその姿勢を変更して前記突出部を上方又は下方の他の係合部に移動・係止可能に形成されていることを特徴とする収納棚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−239653(P2012−239653A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112809(P2011−112809)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(501362906)積水ホームテクノ株式会社 (89)
【Fターム(参考)】