説明

収納袋

【課題】不快な臭いをより効果的に除去する消臭機能を有する収納袋を得る。
【解決手段】消臭機能を有する収納袋1であって、収納袋本体2を形成する包装材5を繊維製シート状物4とし、該繊維製シート状物4に、繊維製シート状物4を基体として極性物質の吸着能を有する官能基であるカチオンモノマーをグラフト重合により結合しておくことにより、収納袋1内に収納した収納物から発散する臭いを繊維製シート状物4に結合されているカチオンモノマーで吸着して除去できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臭物質を吸着して除去する消臭機能を有する収納袋に関する。
【背景技術】
【0002】
不快を感じる臭いを放つ物が身近にたくさん存在する。例えば、汗をかいたスポーツ衣類、下着、旅先における洗濯物、買いものにおける生魚、総菜、寝たきりに見られる失禁衣類、ペットの排泄物などがある。
【0003】
これらの物は、臭いによる不快を避けるため通気性のない収納袋に収納して臭いが外部に放出されないようにして搬送し或いは洗濯や廃棄といった処理がされる迄の間、家庭内などの居住空間に一時保管しておくといったことが行われている。しかし、一般の家庭で使用されているような簡易な収納袋では、完全な密封は期待できるものではなく、臭いによる不快は解消できなかった。
【0004】
そこで、臭いによる不快を和らげるものとして、活性炭を主成分とする脱臭剤が保持された脱臭シートと、消臭シートを収納した脱臭消臭袋(例えば、特許文献1参照。)を収納袋内に収納しておくいったことが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−141553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、消臭シートを収納した脱臭消臭袋を収納袋内に収納するといった方法では、脱臭消臭袋を常に身近に備えていなければならず、また脱臭消臭袋を収納袋内に収納するので、その分収納袋の収納スペースが制限されてしまうといった問題がある。また、使用された収納袋は、その殆どがゴミとして廃棄されており、環境に悪影響を与え、また資源の無駄となるといった問題がある。
【0007】
本発明者は、上記の問題点を解決するものとして、脱臭消臭袋の代わりに収納袋自体に消臭機能を持たせることについて研究していたところ、特許第2643823号に開示されている吸着材料が臭を吸着して除去するものとして優れた効果があることに着目し、本発明を完成するに至った。
本発明の目的とするところは、不快な臭いをより効果的に除去する消臭機能を有する収納袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、消臭機能を有する収納袋であって、収納袋本体を形成する包装材が繊維製シート状物からなり、該繊維製シート状物には、繊維製シート状物を基体として極性物質の吸着能を有する官能基であるカチオンモノマーがグラフト重合により結合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、消臭機能を有する収納袋であって、収納袋本体を形成する包装材が繊維製シート状物からなり、該繊維製シート状物には、繊維製シート状物を基体として極性物質の吸着能を有する官能基であるカチオンモノマーがグラフト重合により結合されているので、収納袋本体に収納した収納物から発散する臭いは、収納袋本体を形成する包装材となる繊維製シート状物に結合されているカチオンモノマーに吸着される、すなわち、酸基であるカチオンモノマーに臭い分子である塩基性物質がイオン結合して吸着されるから、収納袋本体内に収納した収納物から発散される臭いをより効果的に除去できる。
【0010】
そして、カチオンモノマーに吸着された臭い分子である塩基性物質が飽和状態となると消臭効果は無くなるが、酢、クエン酸、塩酸、硫酸などの酸の希釈液を使用して洗浄することにより、カチオンモノマーにイオン結合している臭い分子である塩基性物質を引き剥がして除去することができるので、繊維製シート状物に結合しているカチオンモノマーは臭い分子である塩基性物質の吸着能が再生されることになり、消臭機能を有する収納袋としての再使用を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る収納袋の実施の一例を示す一部切り欠き斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る収納袋の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る収納袋の実施の一例を示す一部切り欠き斜視図である。本例の収納袋1は、収納袋本体2と、この収納袋本体2の外側を覆う外側袋体3の二重袋で構成されている。
前記の収納袋本体2は、繊維製シート状物4よりなる包装材5で形成されている。前記の包装材5となる繊維製シート状物4には、該繊維製シート状物4を基体として極性物質の吸着能を有する官能基であるカチオンモノマーがグラフト重合により結合されている。
【0013】
前記の包装材5となる繊維製シート状物4にあっては、カチオンモノマーが結合し得るものであれば特に限定されるものではない。
この繊維製シート状物4に結合されるカチオンモノマーは、酸基でプラスの電荷をもつ極性物質の吸着能を有し、マイナスの電荷をもつ塩基性物質とイオン結合することにより塩基性物質を吸着し得るものである。その結果、臭い分子である塩基性物質を吸着することができる。
【0014】
また、収納袋本体2の外側を覆う外側袋体3にあっては、その材料は一般に包装材として使用されている材料であればよく、特に限定されるものではない。
上記のようにして、カチオンモノマーが結合した繊維製シート状物4によりなる包装材5により収納袋本体2が形成される。
【0015】
このように構成された本例の収納袋1によれば、収納袋本体2内に収納した収納物から発散する臭いは、収納袋本体2を形成する包装材5となる繊維製シート状物4に結合されているカチオンモノマーに吸着される、すなわち、酸基であるカチオンモノマーに臭い分子である塩基性物質がイオン結合して吸着されるので、収納袋本体2内に別途消臭用の脱臭消臭袋といったものを収納しておくことなく、収納袋本体2に収納した収納物から発散される臭いをより効果的に除去できる。
【0016】
そして、カチオンモノマーに吸着された臭い分子である塩基性物質が飽和状態となり、消臭効果が無くなったら、収納袋本体2を酢やクエン酸などの酸の希釈液を使用して洗浄する。酢やクエン酸などの酸はプラス電荷であり、その電荷はカチオンモノマーの電荷より大きいので、収納袋本体2を酢やクエン酸などの酸の希釈液を使用して洗浄することにより、カチオンモノマーにイオン結合している臭い分子である塩基性物質がカチオンモノマーから引き剥がされ酢やクエン酸などの酸とイオン結合して洗い流される。このようにしてカチオンモノマーから臭い分子である塩基性物質を除去することにより、繊維製シート状物4に結合しているカチオンモノマーは臭い分子である塩基性物質の吸着能が再生されることになり、消臭機能を有する収納袋1としての再使用を可能とすることができる。
【0017】
また、本例では、収納袋1は繊維製シート状物4にカチオンモノマーを結合させて構成される包装材5で形成した収納袋本体2と外側袋体3の二重袋で構成されているので、外側袋体3のデザインの自由度が広く、種々の用途や趣味に応じたデザインを施すことができる。
なお、本例では収納袋1は繊維製シート状物4にカチオンモノマーを結合させて形成した包装材5で構成した収納袋本体2と外側袋体3の二重袋で構成されているが、収納袋1を収納袋本体2だけで構成してもよいことはもちろんである。
【符号の説明】
【0018】
1 収納袋
2 収納袋本体
3 外側袋体
4 繊維製シート状物
5 包装材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消臭機能を有する収納袋であって、収納袋本体を形成する包装材が繊維製シート状物からなり、該繊維製シート状物には、繊維製シート状物を基体として極性物質の吸着能を有する官能基であるカチオンモノマーがグラフト重合により結合されていることを特徴とする収納袋。

【図1】
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【公開番号】特開2011−31962(P2011−31962A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180768(P2009−180768)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(398051578)
【Fターム(参考)】