説明

収納装置

【課題】樹脂製袋を複数の方向から容易に取り出すことが可能となる。
【解決手段】周囲に広い開口を有する収納籠20の内側に樹脂製袋束40を収納し、さらに内側に略U字型に湾曲させた押圧板30を配置した。略U字型に湾曲した押圧板30が弾性力により樹脂製袋束40を収納籠20に押圧することにより、樹脂製袋束40は収納籠20付近の位置に導かれる。こうすることにより、収納籠20は開口を有しているため、樹脂製袋束40の最も表面側にある樹脂製袋42を外部から容易に取り出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット等のレジ台等に備えられる樹脂袋を取り出しやすくした収納箱が知られている。例えば、特許文献1には、袋台の上に樹脂製袋を二つ折りにして載せ、その上部から粘着部を先端に有するレバーを押し当てることにより、粘着部によって最上部に載せられた樹脂製袋1枚のみを取り出すことができる収納箱が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−81377
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした収納箱では、樹脂製袋は上面のみからしか取り出すことができないという問題点があった。このため、こうした収納箱は、特許文献1の図7に示すように、使用者の作業場よりも低い位置に設置しなければならないため、設置場所が限定されるという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、複数の方向から容易に収納物を取り出すことができる収納装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の目的の少なくとも一つを達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の収納装置は、被収納物の外側に配置され、少なくとも2以上の方向に開口を有する収納部材と、前記収納部材に前記被収納物を押圧する押圧部材と、を備えたものである。
【0008】
この収納装置は、収納部材の少なくとも2以上の方向に開口を有している。こうすることにより、被収納物を複数の方向から取り出すことができる。また、被収納物を収納部材に押圧する押圧部材を備えているため、被収納物は収納部材付近の位置に導かれる。こうすることにより、収納部材は開口を有しているため、被収納物が開口付近の位置に導かれることになり、被収納物を外部から容易に取り出すことができる。
【0009】
本発明の収納装置において、前記押圧部材は、前記被収納物の位置にかかわらず、該被収納物の少なくとも一部と前記収納部材とを弾性力により押圧し、当接させる弾性部材であってもよい。こうすることにより、例えば、使用に伴って被収納物の厚さが減少するような場合であっても、この減少に伴って押圧部材の位置も変化し、押圧部材は、常に被収納物を収納部材に押圧することができる。すなわち、被収納物の厚さが減少し、押圧部材と収納部材との間から脱落することを未然に防ぐことができる。
【0010】
本発明の収納装置において、前記押圧部材は、前記収納部材に前記被収納物を押圧し、前記開口の位置に前記被収納物の少なくとも一部を位置決めさせるものであってもよい。こうすることにより、被収納物の少なくとも一部が開口に導かれることになるため、被収納物を容易に取り出すことができる。
【0011】
本発明の収納装置において、前記押圧部材は、前記被収納物を押圧する押圧面を更に有していてもよい。こうすることにより、被収納物に対して単位面積当たりにかかる押圧力が減少するため、被収納物に過剰な押圧力かかることを未然に防ぐことができる。
【0012】
本発明の収納装置において、前記収納部材は、該収納部材の下方に前記被収納物を保持する保持部を更に有していてもよい。こうすることにより、例えば、被収納物が重く押圧部材のみでは位置決めできないものであったとしても、保持部で被収納物を保持することで、被収納物を収納部材に収納することができる。また、押圧部材の押圧力がより小さな押圧力であっても、被収納物を収納部材に収納することができる。
【0013】
本発明の収納装置において、前記収納部材は、1又は2以上の棒状の部材からなるものであってもよい。こうすることにより、開口領域を広く確保できるため、被収納物をより容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の樹脂製袋用ケース10の構成の概略を示す斜視図である。
【図2】本発明の樹脂製袋用ケース10の使用態様を示す斜視図である。
【図3】本発明の樹脂製袋用ケース10の使用態様を説明する説明図である。
【図4】本発明の樹脂製袋用ケース10の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図5】本発明の樹脂製袋用ケース10の他の実施の形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、上記簡単に説明した図面に基づいて、本発明を実施するための形態を説明するにあたり、本実施の形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施の形態の樹脂製袋用ケース10が本発明の収納装置に相当し、収納籠20が収納部材に相当し、押圧板30が押圧部材に相当し、樹脂製袋束40が被収納物に相当し、下部バー22が保持部に相当する。なお、樹脂製袋用ケース10の使用態様を説明することにより、本発明の収納装置の使用態様の一例も明らかにしている。
【0016】
次に、図1を用いて、本発明の樹脂製袋用ケース10の構成を詳しく説明する。図1は、本発明の樹脂製袋用ケース10の構成の概略を示す斜視図である。本発明の樹脂製袋用ケース10は、図1に示すように、金属製の収納籠20と樹脂製の押圧板30とからなる。なお、以下において、前面側や背面側等の方向は、図1に記載の方向を基準として説明する。
【0017】
収納籠20は、下面側に下部バー22を、背面側に接続板24をそれぞれ備えており、図1に示すように、複数の棒状部材と接続板24とによって形成されている。この収納籠20は、下面側に下部バー22を有するため、開放された上面側から樹脂製袋束40を収納したとき、下面側から樹脂製袋束40が脱落することを防ぐことができる。また、収納籠20は棒状の部材を組みあわせることによって形成されているため、左右両側面側及び前面側には大きく開口している。このため、樹脂製袋束40から樹脂製袋を取り出しやすい。
【0018】
この収納籠20は、図1に示すように、収納籠20の大きさが樹脂製袋束40の大きさよりも若干大きく設計されている。このため、縦置きで配置した場合であっても、樹脂製袋束40が途中で折れてしまうことを未然に防ぐことができる。更に、外部から横方向に力が加わった場合に押厚板40が破損することを未然に防ぐことができる。
【0019】
接続板24には、2つの貫通穴25a及び25bを有しており、図示しないビスを用いることで、図2に示すように、レジ台等の壁面100に取り付けることができる。こうすることにより、レジの入力を行う作業領域と樹脂製袋の取り出しを行う作業領域との距離を縮めることができる。すなわち、利便性を向上させることができる。なお、図2は、本発明の樹脂製袋用ケース10の使用態様を示す斜視図である。
【0020】
押圧板30は、1枚の板状の部材を略U字型に湾曲させたものである。このため、弾性力により湾曲部を軸として、略U字が開く方向に板状部材は復元しようとする。すなわち、押圧板30を収納籠20の内部に配置した場合、樹脂製袋束40を収納籠20に向かって押圧する。このとき、押圧板30の表面部であって、特に略U字形状の側面部(本発明の押圧面に相当)で樹脂製袋束40を押圧する。こうすることにより、収納籠20と押圧板30との間に配置された樹脂製袋束40を収納籠20の適切な位置に収納することができる。なお、この押圧板30の大きさは、樹脂製袋束40よりも若干小さく形成されている。
【0021】
次に、こうして構成された本実施の形態の樹脂袋ケース10の使用様態について図面を用いて説明する。ここで、図2は、本発明の樹脂製袋用ケース10の使用態様を説明する説明図である。
【0022】
まず、図3(A)に示すように、押圧板30の上に樹脂製袋束40を載せる。なお、樹脂製袋束40は、例えば、複数のポリティッシュ(登録商標)の束であっても良い。ポリティッシュ(登録商標)は、通常、複数枚が重ねられた束として袋入りで販売されており、この袋の中央部には、取り出し用の切り込みが付けられている。このような場合には、この切込部を上方向にして押圧板30の上に載せる。
【0023】
次に、図3(B)に示すように、押圧板30と樹脂製袋束40とを重ねたまま、押圧板30を内側にして、略U字型に湾曲させる。そして、そのままの状態で、図3(C)に示すように、上面側より収納籠20の内部に導入する。こうすると、押圧板30が弾性力により略U字型に湾曲した状態から板状態へ変形しようとするため、樹脂製袋束40が収納籠20に押圧される。こうすることにより、樹脂製袋束40を収納籠20の所望の位置に収納することができる。
【0024】
また、押圧板30の湾曲は、収納籠20が樹脂製袋束40を介して係止することによって復元が妨げられている。このため、樹脂製袋束40から樹脂製袋を取り出すことにより樹脂製袋束40の厚さが薄くなった場合であっても、薄くなった分だけ押圧板30の湾曲が復元し、樹脂製袋束40を収納籠20に押圧することができる。こうすることにより、樹脂製袋束40の厚さの変化にかかわらず、樹脂製袋束40を収納籠20に押圧し続けることができる。
【0025】
更に、全ての樹脂製袋束40を使い切った場合には、収納籠20のいずれかの開口より押圧板30を略U字型に押圧し、上面側より取り出す。その後、再度同様の方法で新しい樹脂製袋束40を配置することで、簡単に樹脂製袋束40を交換することができる。なお、この使用態様は、樹脂製袋用ケース10を使用する際の一例であり、使用者により、適宜使用方法を決定することができる。このように、樹脂袋ケース10を使用する際には、図2に示すように、収納籠20をレジ台等の壁面100に取り付け、収納籠20の内部に押圧板30を挿入し、収納籠20と押圧板30との間に樹脂製袋束40を配置して使用する。
【0026】
以上詳述した本実施の形態の樹脂製袋用ケース10によれば、収納籠20は背面側を除き大きく開口しており、収納籠20の内部に配置された押圧板30により樹脂製袋束40が収納籠20に押圧され、樹脂製袋束40は収納籠20の表面付近、すなわち、開口付近に導かれる。こうすることにより、背面側以外の複数の方向から樹脂製袋を容易に取り出すことができる。
【0027】
また、押圧板30は、弾性変形した略U字形状で樹脂製袋束40と当接しており、樹脂製袋束40をその復元力(弾性力)により、収納籠20に樹脂製袋束40を係止させている。このため、樹脂製袋束40の厚さが薄くなると、弾性力により略U字形状が開き、樹脂製袋束40が薄くなった分だけ、押圧板30と収納籠20との距離が短くなる。こうすることにより、被収納物の厚さが減少し、押圧部材と収納部材との間から脱落することを未然に防ぐことができる。
【0028】
更に、押圧板30は、収納籠20の側面部に略U字型に湾曲した側面で樹脂製袋束40を押圧し、収納籠20の開口に樹脂製袋束40の位置を位置決めしているため、収納籠20の開口付近に樹脂製袋束40の一部が導くことができる。こうすることにより、使用者は、開口付近に導かれた樹脂製袋を収納籠20からより容易に取り出すことができる。
【0029】
更にまた、押圧板30は、略U字に湾曲した側面で樹脂製袋束40を押圧するため、一点で押圧する場合と比較して、樹脂製袋束40に与えられる圧力を低下することができる。こうすることにより、樹脂製袋を取り出す際に、所定の位置にのみが押圧されることを原因とする樹脂製袋の破損を未然に防ぐことができる。
【0030】
そして、収納籠20は、下面側に樹脂製袋束40を保持する下部バー22を有しているため、樹脂製袋束40が収納籠20から脱落することを防止することができる。こうすることにより、収納籠20に樹脂製袋束40をより容易に配置することができる。また、押圧板30の押圧力に比較して樹脂製袋束40が重い場合であっても、収納籠20に樹脂製袋束40を収納することができる。
【0031】
そして更に、収納籠20は、棒状の部材からなるため、横方向の開口を広くすることができる。こうすることにより、使用者は、樹脂製袋を収納籠20からより容易に取り出すことができる。
【0032】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0033】
例えば、上述した実施の形態では、収納籠20が接続板24を介してレジ台等の壁面100に取り付けられるものとしたが、図4に示すように、接続板24の代わりに、レジ台等の壁面100に予め取り付けられた釣り具50を介して収納籠20を取り付けてもよい。
【0034】
ここで、この釣り具50について、図面を用いて更に詳しく説明する。図4は、樹脂製袋用ケース10の他の実施の形態を示す斜視図である。この釣り具50は、貫通穴52a及び貫通穴52bと、上フック54a及び下フック54bとを備えている。釣り具50は、貫通穴52a及び貫通穴52bを図示しないビスでそれぞれ固定することにより、レジ台等に固定される。また、上フック54a及び下フック54bを収納籠20に水平方向に備えられた棒状の部材を掛けることにより、収納籠20を固定することができる。こうすることにより、収納籠20をレジ台等からの取り付け及び取り外しを容易に行うことができ、取り出し方向を自由に変更することができる。
【0035】
上述した実施の形態では、一面に切込部を有する樹脂製袋束40を用いたが、切込部は複数(例えば、3方向)有していても良い。こうすれば、切込部の方向を変更することなく複数の方向から樹脂製袋を取り出すことができるため、より利便性を向上させることができる。更に、樹脂製袋束40は、切込部を有する袋に収納されていなくても良い。こうすれば、切込部の方向にかかわらず、樹脂製袋を取り出すことができるため、より利便性を向上させることができる。
【0036】
上述した実施の形態では、金属製であって棒状の部材からなる収納籠20を用いたが、例えば、硬質ゴム製やプラスチック製、セラミック製、ワイヤー構造等、収納物の重さ及び押圧板の押圧力に耐えうる素材であれば、特に限定されるものではない。このため、収納籠20の材質は、収納物及び押圧板により、適宜選択することができる。また、収納籠20を構成する部材も棒状に限定されるものではなく、板状部材など、開口を有していれば、種々の部材を用いることができる。この場合も、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0037】
上述した実施の形態では、樹脂製の押圧板30を用いたが、弾性を有する素材であれば特に限定されるものではなく、例えば、硬質ゴム製であっても良く、種々の素材を用いることができる。また、押圧板30の形状も、略長方形状に限定されるものではなく、例えば、略多角形状であってもよいし、楕円状であっても良い。更に、押圧板30の大きさも、樹脂製袋束40より若干小さいものに限定されるものではなく、収納籠20に収納可能な大きさであれば、樹脂製袋束40よりも大きくても小さくてもよいし、略同一の大きさであっても良い。これらの場合も、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0038】
上述した実施の形態では、樹脂製の押圧板30を用いたが、樹脂製袋束40を押圧可能な部材であれば特に限定されるものではなく、図5に示すように、接続板24と保持具62とをねじりバネ60で接続し、保持具62を用いて樹脂製袋束40を押圧するものとしても良い。この場合も、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。なお、ここで図5は、本発明の樹脂製袋用ケース10の他の実施形態を示す斜視図である。
【0039】
上述した実施の形態では、下面側に2つの下部バー22を備えるものとしたが、下部バー22の数は2つに限定されるものではなく、3つ以上であっても良いし、下面側を板状の部材で覆うものであっても良い。こうすれば、より重量が大きなものであっても収納籠20に収納することができる。また、押圧板30で樹脂製袋束40を保持可能な場合には、下部バー22を有しなくても良い。こうすれば、下部からも収納物を収納籠20に収納することができるため、収納時の自由度を増すことができる。
【0040】
上述した実施の形態では、被収容物を樹脂製袋束40であるとしたが、湾曲可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、紙製の袋であっても良いし、チラシ広告やクーポン券などの印刷物であっても良いし、フィルムやシートなどであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0041】
上述した実施の形態で示すように、樹脂製袋の収納分野、特に、レジ台付属用樹脂製袋収納箱として利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
10 樹脂製袋ケース、20 収納籠、22 下部バー、24 接続板、25a 貫通穴、25b 貫通穴、30 押圧板、40 樹脂製袋束、42 樹脂製袋、50 釣り具、52a 貫通穴、52b 貫通穴、54a 上フック、54b 下フック、60 ねじりバネ、62 保持具、100 壁面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収納物の外側に配置され、少なくとも2以上の方向に開口を有する収納部材と、
前記収納部材に前記被収納物を押圧する押圧部材と、
を備えた収納装置。
【請求項2】
前記押圧部材は、前記被収納物の位置にかかわらず、該被収納物の少なくとも一部と前記収納部材とを弾性力により押圧し、当接させる弾性部材からなる、
請求項1に記載の収納装置。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記被収納物を押圧する押圧面を更に有する、
請求項1又は2に記載の収納装置。
【請求項4】
前記収納部材は、該収納部材の下方に前記被収納物を保持する保持部を更に有する、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の収納装置。
【請求項5】
前記収納部材は、1又は2以上の棒状の部材からなる、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−184715(P2010−184715A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28511(P2009−28511)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000209223)棚橋工業株式会社 (23)
【Fターム(参考)】