説明

収縮仕上がり性に優れたポリオレフィン系熱収縮性フィルム

【課題】架橋を行うことなく優れた低温収縮性、耐熱性が得られ、高価な商品を包装する
際に必要とされる高度な収縮仕上がり性を発現可能なポリオレフィン系熱収縮性フィルム
を提供することを課題とする。
【解決手段】示差走査熱量計(以下、DSCと略す)によって測定される溶融ピーク温度
が130℃〜170℃の範囲であり、かつ硬度(ショアーA)が60〜90であるポリオ
レフィン系エラストマー10〜60重量部とプロピレン系樹脂40〜90重量部からなる
表層、及びエチレン系樹脂からなる芯層の少なくとも3層からなるフィルムを縦横2軸延
伸したポリオレフィン系熱収縮性フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は収縮包装材料に関し、より詳しくは、収縮仕上がり性に優れたポリオレフィン系
熱収縮性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱収縮性包装材料としては、ポリ塩化ビニル系シュリンクフィルム、ポリプロピレ
ン系シュリンクフィルム、ポリエチレン系シュリンクフィルム等が知られていが、低価格
、使用後の廃棄処理の容易さなどの点でポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィ
ン系シュリンクフィルムが好んで用いられている。しかしながら、ポリプロピレン系シュ
リンクフィルムは耐熱性等に優れるものの、低温収縮性、耐引裂性に乏しい等の欠点を有
している。一方、ポリエチレン系シュリンクフィルムは、低温収縮性、耐引裂性等に優れ
るものの、耐熱性に乏しい等の欠点を有している。
【0003】
これらの欠点を改善すべく、エチレン系樹脂に架橋処理を施したポリエチレン系架橋シュ
リンクフィルムが開示されている(特許文献1)。これらのポリエチレン系架橋シュリン
クフィルムは、低温収縮性、耐熱性、耐引裂性等に優れるものの、架橋処理を施されてい
るため、製造工程や規格外製品で発生するスクラップを再利用し難く、製品のコストアッ
プを招く、省資源性が低下するといった問題を有していた。
また、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂を表層や内部層に、単独又はブレンド系で積層
したポリオレフィン系熱収縮性フィルム(特許文献2〜7)が開示されている。これらの
フィルムは、低温収縮性や耐熱性等が依然不十分であり、化粧品や薬品等の高価な商品を
包装する際に必要とされる高度な収縮仕上がり性が得られないという課題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−84826号公報
【特許文献2】特開平10−296932号公報
【特許文献3】特開2005−144725号公報
【特許文献4】特開2008−036844号公報
【特許文献5】特開2008−149503号公報
【特許文献6】特開2009−039950号公報
【特許文献7】特開2009−101682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、架橋を行うことなく優れた低温収縮性、耐熱性が得られ、高価な商品を包装す
る際に必要とされる高度な収縮仕上がり性を発現可能なポリオレフィン系熱収縮性フィル
ムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達したものである
。すなわち、本発明は、 示差走査熱量計(以下、DSCと略す)によって測定される溶
融ピーク温度が130℃〜170℃の範囲であり、かつ硬度(ショアーA)が60〜90
であるポリオレフィン系エラストマー10〜60重量部とプロピレン系樹脂40〜90重
量部からなる表層、及びエチレン系樹脂からなる芯層の少なくとも3層からなり、縦横2
軸延伸したポリオレフィン系熱収縮性フィルムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のポリオレフィン系熱収縮性フィルムは、低温収縮性等や耐熱性に優れたポリオレ
フィン系エラストマーと、耐熱性等に優れたプロピレン系樹脂からなる表層、低温収縮性
と耐引裂性等に優れたエチレン系樹脂からなる芯層の少なくとも3層からなり、縦横2軸
延伸することで、優れた低温収縮性、耐熱性が得られ、高価な商品を包装する際に必要と
される高度な収縮仕上がり性を発現することができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、表層に用いるポリオレフィン系エラストマーは、DSCによって測定さ
れる溶融ピーク温度が130℃〜170℃の範囲であり、かつ硬度(ショアーA)が60
〜90である事が必要である。溶融ピーク温度が130℃未満であると、耐熱性が不足し
、170℃を超えると低温収縮性が不足する。硬度(ショアーA)は、60未満であると
、耐熱性もやや不足気味となり、また滑り性も低下し、90を超えると低温収縮性が不足
する。つまり、前述の融解ピーク温度範囲と硬度範囲を兼ね備える事が、低温収縮性と耐
熱性の高度なバランスを達成するの不可欠であり、高価な商品を包装する際に必要とされ
る高度な収縮仕上がり性の発現に繋がるものである。このポリオレフィン系エラストマー
とし用いられる例としては、結晶と非晶がナノオーダーで構造制御された三井化学株式会
社製ノティオが上げられる。また、このポリオレフィン系エラストマーは、表層の樹脂1
00重量部中に10〜60重量部含まれる事が必要である。表層中の組成が10重量部未
満では低温収縮性が不足し、60重量部を超えると滑り性や耐熱性が低下し、双方の場合
において、高価な商品を包装する際に必要とされる高度な収縮仕上がり性を発現すること
ができない。
【0009】
さらに、表層のポリオレフィン系エラストマーは、DSCを用いた測定において、溶融開
始温度から溶融ピーク温度よりも20℃低い温度までの間に吸収された熱量の総量が上記
溶融開始温度から上記溶融終了温度までの間に吸収された全熱量の39%以下、好ましくは
30%以下、さらに好ましくは20%以下であることが望ましい。40%を超えると、
滑り性が低下し易くなる。
【0010】
本発明の表層に用いるプロピレン系樹脂とは、プロピレン含量が50mol%以上からな
る重合体のことであり、メタロセン触媒やチーグラー・ナッタ触媒等により製造された、
ポリプロピレン単独重合体、プロピレンとα−オレフィンの共重合体、例えばプロピレン
−エチレン、プロピレン−ブテン共重合体等、及びプロピレン−エチレン−ブテン3元共
重合体の中から選ばれる少なくとも一種以上からなり、表層の樹脂100重量部中に40
〜90重量部含まれ、主に耐熱性を付与する作用を成す。プロピレン系樹脂の表層中の組
成が40重量部未満では耐熱性や滑り性が低下し、90重量部を超えると低温収縮性が低
下し、双方の場合において、高価な商品を包装する際に必要とされる高度な収縮仕上がり
性を発現することができないので好ましくない。
【0011】
また、表層に用いるプロピレン系樹脂はDSCによって測定される溶融ピーク温度が12
0〜165℃、MFRが0.3〜10.0g/10分であることが好ましい。融解ピーク
温度が120℃未満では耐熱性が低下し易く、165℃を超えると低温収縮性が低下し易
く、MFRが0.3g/10分未満や、10.0g/10分を超える場合には、透明性が
低下し易い。
【0012】
本発明の芯層に用いるエチレン系樹脂とは、エチレン含量が50mol%以上からなる重
合体のことであり、プロピレン、ブテン−1、ペンテンー1、ヘキセン−1、ヘプテン−
1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1から成る群から選ばれた1種又は2種以上の
α−オレフィンとエチレンとの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂
肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、
アイオノマー樹脂、ポリエチレン単独重合体から選ばれる少なくとも1種以上からなり、
主に低温収縮性、耐引裂性を付与する作用を成す。
【0013】
芯層にエチレン系樹脂が使用されない場合には、低温収縮性、耐引裂性が不足し、高価な
商品を包装する際に必要とされる高度な収縮仕上がり性を発現することができない他、包
装品が破れやすい等の問題が生じるので好ましくない。
【0014】
また、芯層に用いられるエチレン系樹脂は、密度0.865〜0.925g/cm3、M
I0.5〜4.0g/10分のエチレン−αオレフィン共重合体1種または2種以上から
なることが好ましい。密度については、0.870〜0.910g/cm3であることが
さらに好ましい。密度が0.865g/cm3未満の場合にはフィルムの引張弾性率が低
下し、包装機での走行性が低下する傾向があり、0.925g/cm3 を超えると低温収
縮性が低下し易くなる。MIが0.5g/10分未満のものは、押出時のモーター負荷が
増大し易くな、4.0g/10分を超えると延伸加工性、耐熱性の低下や、溶断シール時
にピンホールやシール開きが発生し易くなる。
【0015】
表層及び/又は芯層は、本発明の目的に支障をきたさない範囲であれば、他の樹脂を混合
することもできる。たとえば、表層にはエチレン系樹脂を混合して、芯層には表層で用い
るポリオレフィン系エラストマーや、プロピレン系樹脂を混合して用いる事が出来、これ
により、要求される特性に応じて諸物性の調整を行う事が出来、またトリムや格外品等の
再利用樹脂を混合使用する事も出来る。
【0016】
本発明の層構成は、少なくとも3層以上の層構成であり、例えばA/B/Aの3層構成、
A/A+B/B/A+B/A、A/B/A+B/B/A等の5層構成が挙げられる。中で
も、A+B層を設けた層構成は、諸物性の調整や再利用樹脂の混合使用がやりやすくなり
、好適である。
A+B層における、ポリオレフィン系エラストマー、プロピレン系樹脂とエチレン系樹脂
の混合比率は、本発明の目的に支障をきたさない範囲であれば、特に制限はない。
【0017】
本発明の各層の厚み構成比については特に限定されないが、芯層の厚み比率が全体厚みに
対し40〜80%の範囲内であることが好ましい。芯層の厚み比率が40%未満では耐引
裂性が低下し易くなり、80%を超えると耐熱性が低下し易くなる。フィルムの全体厚み
も特に限定されないが、熱収縮性包装材料用途としては7〜35μmであることが好まし
い。
【0018】
本発明の目的に支障をきたさない範囲であれば、滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤
、防曇剤、酸化防止剤等の添加剤がそれぞれの有効な作用を具備させる目的で適宜使用す
ることができる。
【0019】
次に、本発明のフィルムの製造方法を示す。前記の樹脂を用いて本発明のフィルムを製造
する方法は、公知の縦横2軸延伸方法で行うことができる。
【0020】
以下、3層積層環状製膜延伸の場合を例に挙げ、具体的に説明する。
まず、ポリオレフィン系エラストマーとプロピレン系樹脂の混合物を表層、及びエチレン
系樹脂を芯層となるように、3台の押出機により溶融混練し、3層環状ダイより環状に共
押出し、延伸することなく一旦急冷固化してチューブ状未延伸フィルムを作製する。得ら
れたチューブ状未延伸フィルムを、チューブラー延伸装置に供給し、高度の配向可能な温
度範囲、例えば芯層樹脂の融点以下10℃よりも低い温度で、好ましくは融点以下15℃
よりも低い温度でチューブ内部にガス圧を適用して膨張延伸により、縦横とも延伸倍率3
〜6倍で同時二軸配向を起こさせる。延伸装置から取り出したフィルムは、希望によりア
ニーリングすることができ、このアニーリングにより保存中の自然収縮を抑制することが
できる。
【実施例】
【0021】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
なお、実施例と比較例おける測定及び評価の方法、及び用いた原料を以下に示す。
【0022】
1.フィルム厚み:JIS−Z1709に準じて測定した。
【0023】
2.厚み比:フィルムの断面を顕微鏡で観察することにより測定した。
【0024】
3.ヘイズ:JIS−K7105に準じて測定した。
【0025】
4.MI:JIS−K7210に準じて、190℃、2.16kg荷重条件で測定した。
【0026】
5.MFR:JIS−K7210に準じて、230℃、2.16kg荷重条件で測定した。
【0027】
6.溶融ピーク温度:示差走査熱量計(DSC)を用いて、JIS−K7121に準じて
測定した。
【0028】
7.硬度(ショアーA):ASTM D2440に準じて瞬間値を測定した。
【0029】
8.低温吸収割合:DSCを用いた測定において、(溶融開始温度から溶融ピーク温度よ
りも20℃低い温度までの間に吸収された熱量の総量)/(上記溶融開始温度から上記溶
融終了温度までの間に吸収された全熱量)×100、で導かれる低温側の吸収熱量の全熱
量に対する割合を測定した。
【0030】
9.引張弾性率:JIS−Z7127に準じて測定した。
【0031】
10.100℃熱収縮率:縦横それぞれ100mmの正方形に切り取ったフィルムを10
0℃のグリセリン浴中に10秒間浸漬した後、水中で急冷し、縦横それぞれの長さを測定
し、式(1)によりMD、TDの熱収縮率を算出した。
【数1】

【0032】
11.収縮包装仕上がり性:協和電機(株)製のL型シール式半折自動包装機(型式:AT-
500)にて、市販の化粧品ボトル容器を余裕率20%の条件で予備包装し、フィルムの耐
熱限界5℃手前に設定した収縮トンネル内を5秒滞留させ、トンネル通過後の包装サンプルの中から無作為に5つを選び、以下の基準で評価した。
<評価基準>
○:包装サンプルの四隅の角立ちが極めて小さく、小ジワも殆ど無く、見栄えが良い。
△:包装サンプルの四隅の角立ちや小ジワがやや目立つ。
×:包装サンプルの四隅の角立ちや小ジワが明らかに目立ち、外観を著しく損ねる。また
は、包装時にフィルムが走行不良を起こし、傷などが入って外観を損ねる。
【0033】
A1;
ポリオレフィン系エラストマー(三井化学(株)製ノティオPN−3560、溶融ピーク温度159℃、硬度(ショアーA)70、低温吸収割合6%)
A2;
ポリオレフィン系エラストマー(三井化学(株)製ノティオPN−0040、溶融ピーク温度160℃、硬度(ショアーA)86、低温吸収割合17%)
A3;
ポリオレフィン系エラストマー(三井化学(株)製タフマーA4085S、溶融ピーク温度66℃、硬度(ショアーA)86)
B1;
プロピレン-エチレンランダム共重合体 (溶融ピーク温度145℃、MFR=2.3g/10分)
B2;
プロピレン-エチレンランダム共重合体 (溶融ピーク温度125℃、MFR =2.0g/10分)
B3;
プロピレン-エチレンランダム共重合体 (溶融ピーク温度145℃、MFR =0.5g/10分)
C1;
エチレン−オクテン−1共重合体 (密度=0.905g/cm3、MI=0.8g/10分)
C2;
エチレン−オクテン−1共重合体 (密度=0.920g/cm3、MI=1.0g/10分)
C3;
エチレン−オクテン−1共重合体 (密度=0.870g/cm3、MI=1.0g/10分)
【0034】
実施例1
表1に示すように、A1を25重量部、B1を75重量部からなる樹脂組成物を両表面層とし、C1を芯層とし、3台の押出機で溶融混練した後、厚み比が1/5/1になるように各押出機の押出量を設定し、3層環状ダイスにより下向きに共押出した。形成された3層構成チューブを、内側は冷却水が循環している円筒状冷却マンドレルの外表面を摺動させながら、外側は水槽を通すことにより冷却して引き取り、未延伸フィルムを得た。得られた未延伸チューブをチューブラー二軸延伸装置に導き、90〜110℃で縦横それぞれ5倍に延伸し、フィルム厚み15μmの積層二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果は、表1に示す通りで、良好な特性であった。
【0035】
実施例2
実施例1において、A2を25重量部、B1を75重量部からなる樹脂組成物を両表面層とし、C2を芯層とした以外は、実施例1と同様の方法で、フィルム厚み15μmの積層二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果は、表1に示す通りで、良好な特性であった。
【0036】
実施例3
実施例1において、A1を10重量部、B2を90重量部からなる樹脂組成物を両表面層とし、C3を芯層とした以外は、実施例1と同様の方法で、フィルム厚み15μmの積層二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果は、表1に示す通りで、良好な特性であった。
【0037】
実施例4
実施例3において、厚み比を1/4/1とし、縦横の延伸倍率をそれぞれ4倍とした以外は、実施例3と同様の方法で、フィルム厚み15μmの積層二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果は、表1に示す通りで、良好な特性であった。
【0038】
実施例5
実施例1において、A1を60重量部、B1を40重量部からなる樹脂組成物を両表面層とした以外は、実施例1と同様の方法で、フィルム厚み15μmの積層二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果は、表1に示す通りで、良好な特性であった。
【0039】
実施例6
実施例1において、A1を60重量部、B3を40重量部からなる樹脂組成物を両表面層とした以外は、実施例1と同様の方法で、フィルム厚み15μmの積層二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果は、表2に示す通りで、良好な特性であった。
【0040】
比較例1
実施例1において、A1を75重量部、B1を25重量部からなる樹脂組成物を両表面層とした以外は、実施例1と同様の方法で、フィルム厚み15μmの積層二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果は、表1に示す通りで、滑り性や耐熱性が低下し、収縮包装仕上がりが劣るものであった。
【0041】
比較例2
実施例1において、A1を5重量部、B1を95重量部からなる樹脂組成物を両表面層とした以外は、実施例1と同様の方法で、フィルム厚み15μmの積層二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果は、表1に示す通りで、低温収縮性が不足し、収縮包装仕上がりが劣るものであった。
【0042】
比較例3
実施例1において、A3を25重量部、B1を75重量部からなる樹脂組成物を両表面層とした以外は、実施例1と同様の方法で、フィルム厚み15μmの積層二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果は、表1に示す通りで、耐熱性が不足し、収縮包装仕上がりが劣るものであった。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の熱収縮性包装材料は、優れた低温収縮性、耐熱性が得られ、高価な商品を包装す
る際に必要とされる高度な収縮仕上がり性を発現することができるポリオレフィン系熱収
縮性フィルムとして好適に用いることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
示差走査熱量計(以下、DSCと略す)によって測定される溶融ピーク温度が130
℃〜170℃の範囲であり、かつ硬度(ショアーA)が60〜90であるポリオレフィン
系エラストマー10〜60重量部とプロピレン系樹脂40〜90重量部からなる表層、及
びエチレン系樹脂からなる芯層の少なくとも3層からなり、縦横2軸延伸したポリオレフ
ィン系熱収縮性フィルム。
【請求項2】
表層プロピレン系樹脂の、DSCによって測定される溶融ピーク温度が120〜165℃
、MFRが0.3〜10.0g/10分であることを特徴とする請求項1記載のポリオレ
フィン系熱収縮性フィルム。
【請求項3】
芯層エチレン系樹脂が、密度0.865〜0.925g/cm3、MI0.5〜4.0g
/10分のエチレン−αオレフィン共重合体1種または2種以上からなることを特徴とす
る請求項1〜2のいずれか一項に記載のポリオレフィン系熱収縮性フィルム。
【請求項4】
芯層エチレン系樹脂が、密度0.870〜0.910g/cm3、MI0.5〜4.0g
/10分のエチレン−αオレフィン共重合体1種または2種以上からなることを特徴とす
る請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリオレフィン系熱収縮性フィルム。
【請求項5】
表層に用いるポリオレフィン系エラストマーが、DSCを用いた測定において、溶融開始
温度から溶融ピーク温度よりも20℃低い温度までの間に吸収された熱量の総量が上記溶
融開始温度から上記溶融終了温度までの間に吸収された全熱量の39%以下、好ましくは
30%以下、さらに好ましくは20%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリオレフィン系熱収縮性フィルム。


【公開番号】特開2011−136548(P2011−136548A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242434(P2010−242434)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000142252)株式会社興人 (182)
【Fターム(参考)】