収縮可能な分岐装置
分岐したルーメン内に挿入され拡張される医療器具。器具の拡張領域は、例において、収縮時に器具を所定の構造体に折りたたむ複数の領域を有する。複数の領域は、異なる係数の器具材料により形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーンによる分岐したルーメンの処置に関する。
【背景技術】
【0002】
身体は、動脈や他の体腔等の血管を有する様々な通路を備える。この通路は、ときに閉塞するか、弱化する。通路は、腫瘍により閉塞されるか、血小板により制限されるか、動脈瘤によって弱化される。これらの症状が生じた場合に、通路は再開放されるか、補強されるか、あるいは医療用人工気管と置き換えられる。人工気管は、通常身体の通路や体腔に位置される人工的な移植物である。人工気管の多くは管状部材であり、例としてステント、スンテントグラフト、および覆われたステントが挙げられる。
【0003】
人工気管の多くは、カテーテルによって体内に搬送される。通常カテーテルは、縮径または縮小された形態の人工気管が、例えば、体腔の弱化部位または閉塞部位のような体内の所望の部位に搬送されるときに、人工気管を支持する。所望の部位に至ると、人工気管は、腔の壁に接触するように設置される。
【0004】
設置の一方法は、人工気管を拡張する工程を含む。人工気管の設置に使用される拡張機構は、人工気管を径方向に拡張すべく押圧する機能を有する。例えば、拡張は、バルーンにより拡張可能な人工気管と組み合わせてバルーンを搬送するカテーテルによって行われる。人工気管は、体内における最終的な形態に対して縮径している。バルーンが膨張され、人工気管をルーメンの壁に接触する所定の位置に固定すべく人工気管が変形および/または拡張される。バルーンは収縮され、カテーテルが取り払われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
体腔は通常分岐する通路を有する分岐した領域を備える。血管形成術およびステント搬送等の処置が、通常分岐部位の基端側の位置にて必要である。分岐した人工気管と組み合わせて使用されるバルーンは、人工気管の分岐部を拡張する非線形部を有する。収縮時において、バルーンは、体から容易に取り払われ、取り払い時に人工気管に引っかからないように予測可能な低いかさの構造体を形成することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
後述の手段は、本発明の新規な特徴を容易に理解できるように記載されたものであり、全体を網羅することを意図したものではない。本発明は、明細書全体、特許請求の範囲、図面、および要約を参照することにより完全に理解される。
【0007】
一実施例において、分岐したルーメンを処置するための医療器具が開示される。医療器具は、基端側領域、先端側領域、長手軸を有するカテーテルシャフトを備える。主バルーンは、長手軸に沿ってカテーテルシャフトの先端側領域の周囲に位置される。副バルーンは、カテーテルシャフトの先端側領域に連結され、長手軸とはずらして位置される。副バルーンは、第1の区域と第2の区域とを有する膨張可能な部分を有し、第1の区域は第2の区域より高い可撓性を有する。
【0008】
別例において、分岐したルーメンを処置するための医療器具を形成する方法が開示される。方法は、カテーテルシャフトの先端側領域の周囲に位置されるバルーンシステムを設ける工程を含み、バルーンシステムは、カテーテルシャフトの長手軸に沿った第1の膨張可能な部分と、カテーテルシャフトの長手軸からずれた第2の膨張可能な部分とを有する。方法は、バルーンシステムの第2の膨張可能な部分の領域を変形し、結晶化度および/または厚みが変化する第2の膨張可能な部分に第1の区域と第2の区域とを形成する変形工程をさらに含む。第1の区域は第2の区域より高い可撓性を有する。
【0009】
さらなる別例において、分岐した血管を処置するための医療器具が開示される。医療器具は、基端側領域、および先端側領域を有するカテーテルシャフトを備える。第1のバルーンは、カテーテルシャフトの先端側領域の周囲に位置される。第2のバルーンは、カテーテルシャフトの先端側領域に連結される。第2のバルーンは、パターンを形成する第1の区域と第2の区域とを有する。第1の区域は第2の区域より高い可撓性を有する。第1の区域および第2の区域により、バルーンは、1つ以上のひだを有する所定の形状に折りたたまれる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】分岐したルーメンへのステントの搬送および配置を示す断面図。
【図1B】分岐したルーメンへのステントの搬送および配置を示す断面図。
【図1C】分岐したルーメンへのステントの搬送および配置を示す断面図。
【図1D】分岐したルーメンへのステントの搬送および配置を示す断面図。
【図2A】バルーンカテーテルの一部を示す断面図。
【図2B】バルーンカテーテルの一部を示す斜視図。
【図3A】破壊されるストライプを備えた膨張した状態のバルーンを示す側面図。
【図3B】破壊されるストライプを備えた折りたたまれた状態のバルーンを示す側面図。
【図3C】破壊されるストライプを備えた折りたたまれた状態のバルーンを示す断面図。
【図4A】結晶化度を高めたストライプを備えた膨張した状態のバルーンを示す側面図。
【図4B】明度を高めたストライプを備えた折りたたまれた状態のバルーンを示す側面図。
【図4C】明度を高めたストライプを備えた折りたたまれた状態のバルーンを示す断面図。
【図5】レーザー加工されるバルーンを示す概略図。
【図6】変形された表面を示す走査電子顕微鏡画像。
【図7】膨張したバルーンの、別例による破壊または高い結晶化度のパターンを示す図。
【図8】膨張したバルーンの、別例による破壊または高い結晶化度のパターンを示す図。
【図9】膨張したバルーンの、別例による破壊または高い結晶化度のパターンを示す図。
【図10】破壊されるストライプを備えたバルーンを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、添付の図面を参照して後述する様々な実施例を考慮して完全に理解される。
後述する明細書は、図面を参照して記載される。異なる図面の類似の要素は、同じ符号を付与される。図面は、正確な縮尺ではない。図面は、実施例を示すが、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【0012】
図1A乃至1Dにおいて、分岐した領域11を有する血管等の体腔10は、膨張可能なバルーンシステム15を覆うステント14を搬送するカテーテル12により処置される。分岐した領域11において、体腔10は、第1の枝16および第2の枝18を形成する。特に図1Aにおいて、カテーテル12は、ガイドワイヤ13を伝って分岐した領域11の周囲の処置部位に蛇行する通路を通して搬送される。同様に、図1Bおよび1Cにおいて、バルーンシステム15が拡張され、ステント14が体腔10の壁に接触するまで拡張される。図1Dにおいて、バルーンシステム15が膨張され、ステント14を所定の位置に残したままカテーテル12が取り払われる。
【0013】
ステント14は、分岐した領域11に位置されるように配置される。本実施例において、ステント14は、先端側開口部20および基端側開口部22の他、側部開口部24を備え、これらにより、ステント14は、第1の枝16において分岐した領域にかけるべく位置される場合に第2の枝18を妨害することはない。付加的に、ステント14は、図1Dに示すステント14の軸Aに沿って位置され第1の枝16に接触するまで拡張される主軸領域26と、第2の枝18に接触するまで拡張される軸外領域28とを備える。バルーンシステム15も同様にステントの主軸領域26を拡張するための主軸領域30と、ステントの軸外領域28を拡張するための軸外領域32とを備える。
【0014】
図2Aおよび2Bは、それぞれ体腔16に位置されるバルーンカテーテル33の先端部を示す断面図および斜視図である。例えば図1Aおよび1Bに示すように、カテーテル33は、ガイドワイヤルーメン36を形成する内側シャフト34と、外側シャフト38と、二重バルーンシステムとを備える。同軸の内側シャフトおよび外側シャフトは、膨張流体が通過してバルーンシステムに至る環状ルーメン37を形成する。二重バルーンシステムは、ルーメンの第1の枝16にてステントを拡張すべくカテーテルの軸Bに沿って円筒状に膨張する領域54を有する第1の主バルーン42を有する。主バルーン42は、カテーテルに取り付けられる基端側および先端側のスリーブすなわち胴部56、58をさらに備える。
【0015】
システムは、ルーメンの第2の枝18に接触するまでカテーテルの軸外にて膨張する第2の軸外バルーン44をさらに備える。軸外バルーン44は、主バルーンの一部に沿って、主バルーンの一部の周囲に延び、基部41、頂点すなわちドーム43、基端側スリーブ51、および先端側スリーブ53を備える。バルーンの両者の基端側スリーブは、カテーテルの外側シャフト38の領域47に取り付けられ、バルーンの両者の先端側スリーブは、カテーテルの内側シャフトの先端側領域49に取り付けられる。軸外バルーン44の基端側スリーブ51すなわち脚部は、膨張流体の、バルーン44の内部への通路50を形成する。例において、バルーン44の先端側スリーブ53はシールされ、膨張流体がバルーンの軸外の膨張可能部分を超えて流れることが防止される。
【0016】
本実施例において、ルーメン37を通して搬送される膨張流体は、主バルーンおよび軸外バルーンがほぼ同時に膨張するように主バルーンおよび軸外バルーンに配流される。別例において、軸外バルーンおよび主バルーンは、カテーテル軸に沿って連続して位置される。別例において、軸外バルーンおよび主バルーンは、同時に、または連続して搬送される別体のカテーテルに設けられる。別例において、膨張可能な主領域および軸外領域を有する1つのバルーンが設けられる。例示のステントおよびカテーテルの構成は、米国特許出願公開第2005/0102023号明細書、ならびに米国特許第6325826号、第6210429号、第6706062号、第6596020号、および第6962602号明細書に開示され、その全体がここで開示されたものとする。
【0017】
図3Aにおいて、軸外バルーン144は、可撓性を備えた部分と、同部分と比較して可撓性のより低い部分とを有する。具体的に、バルーン144は、周囲のバルーン材料120より高い可撓性を有する領域104を有する。図3Bおよび3Cにおいて、可撓性のより高い領域104は、バルーン144の収縮時に内方に折りたたまれる傾向にある。
【0018】
図4Aにおいて、バルーン144’は、周囲のバルーン材料120と比較してより高い剛性を備えた領域114を有する。同様に、図4Bおよび4Cにおいて、より高い剛性を備えた領域114は、バルーンが収縮し折りたたまれるときに、バルーンの外に留まる傾向にある。図3A乃至3C、および4A乃至4Cに示す領域104および114は、軸Cに平行なストライプのパターンをそれぞれ形成する。軸Cに沿ってスリーブ53が位置される。ストライプのパターンにより、バルーン144のドームは、蛇腹式に折りたたまれる。すなわちバルーン144は、折りたたまれるときにひだを形成する傾向にある。
【0019】
図5において、領域104および114は、紫外線等の放射線にバルーンを暴露することによってバルーン材料の結晶化度を破壊または変形するなどしてバルーン材料120を処理することにより形成される。レーザー30からの紫外線放射は、制御部32によって制御することにより調整され、選択されたエネルギーを暴露された領域に搬送する。例えば、材料を破壊するために、レーザーのフルエンスは材料の破壊閾値を超えるべく制御される。化学結合が破断され、材料は破壊領域を残すエネルギーの断片に破断される。ほとんどのエネルギーは、放射された材料に堆積するため、周囲の材料に対する熱による損傷はほとんどないものといえる。領域104への高いエネルギー入力により、材料の厚みが幾分取り払われるため、より低い総エネルギーに暴露される領域、すなわち変形されない高分子材の剛性は低減される。図3Bおよび3Cに示すように、より高い可撓性を備えた領域104は、バルーンが収縮されるときにより容易に折りたたまれ谷を形成する。
【0020】
破壊することなく高分子材の結晶化度を変更するために、レーザーのフルエンスは、破壊閾値未満に制御される。実施例において、領域104を形成するために使用されたものと同じレーザー30および制御部32が使用され、領域114を形成する。より低いエネルギーにより処理される領域114は、これらの領域の剛性すなわち係数を高める増加した結晶化度を有する。剛性が高まることにより、処理された領域は変形されない領域と比較してより低い可撓性を有するものとなるため、バルーンは、変形されない領域と比較してより高い剛性を備えた領域においては、屈曲しにくくなる。図4Bおよび4Cに示すように、より高い剛性を備えた領域114は、再折りたたみ時に蛇腹式の折りたたみの頂点を形成する。領域が破壊されても、高められた結晶化度を有しても、バルーンは、少なくとも2つの変形された領域を有する。変形された領域がストライプの形態にある場合に、バルーンは2つ以上のストライプを有し、例えば図3Aおよび4Aに示すような3つのストライプ、あるいはそれ以上の4、5、6、7、あるいは8つのストライプを有する。実施例において、バルーンは例えば交互のパターンの領域104および114の両者を備える。
【0021】
結晶化度の破壊または変更の度合いの量は、所望の収縮プロファイルを得られるように選択される。バルーンが破壊される場合に、取り払われる材料の量は、例えば、例えばバルーンの壁の厚みの0.5乃至2.5%等の、約0.1乃至15%である。バルーンの結晶化度が、実質的な破壊の影響なく変更された場合に、高分子材の結晶化度は、変更されない高分子材と比較して、約2乃至90%だけ、例えば2乃至5%、5乃至10%、10乃至20%、20乃至40%、40乃至60%、60乃至70%、70乃至80%、80乃至90%、あるいは20乃至80%だけ高められる。実施例において、結晶化度のパーセンテージは、変更前と比較して変更後に2、3、あるいは4倍である。結晶化度が変更された領域および処理されない領域におけるバルーンの厚みは、ほぼ同じである。いくつかの材料において、結晶化度の上昇は、材料の表面の小塊によって示される。結晶化度は、高分子材料を加熱することによりガラス転移温度と溶融流れ温度との間まで上昇する。この温度範囲内において、結晶の形成が開始されるか、先に形成された結晶がより大きくなる。
【0022】
結晶化度の変化の量は、暴露の時間、フルエンス、および/または放射線の波長を制御するなどして、暴露される領域に搬送されるエネルギーを制御することにより調整される。結晶化度は、低いフルエンスにて暴露時間を長くすることにより上昇する。上述したように、フルエンス閾値は、バルーン材料や、材料に入力されるエネルギーの波長のタイプに応じて決定される。バルーンを処理するための好適な紫外線レーザーは、約150乃至450ナノメートルの波長を有し、例えば、157、193、248、308、あるいは351ナノメートルの波長を有する。PETやPEBAX(登録商標)バルーンを193ナノメートルのマルチガスレーザーにより処理する場合に、約150mJ/cm2未満、例えば約60乃至70mJ/cm2であればバルーン材料の破断を回避できる。その他の材料およびレーザーの組み合わせにおいては、異なるフルエンスの閾値により、破断が回避される。紫外線による破断は米国特許第4911711号明細書にさらに開示される。好適な破断および制御システムは、独国Goettingenに所在するCoherent Lambda Physiks 社から販売されている。結晶化度は、WAXまたはSAXによるX線回折により測定される。結晶化度の測定は、ミネソタ大学Shepard characterization lab等の様々なベンダーによってなされる。
【0023】
結晶化度は、表面のみにて変化するか、バルーン壁の厚みにわたって変化する。紫外線レーザー等のバルーン内に熱を入力する好適な技術により、主にバルーンの表面に影響が付与される。例えば、紫外線レーザーは、高分子材表面内の一部のみ貫通し、例えば1乃至60オングストローム(0.1ナノメートル乃至6ナノメートル)にてバルーン内に至る。その他の加熱技術は、材料内をより深く貫通する。エネルギーを作用させるいくつかの方法により、エネルギーは材料内を貫通するに留まらず、等方的に放射する。この加熱は、材料の表面以外の部分まで加熱されてしまうため、材料の大規模加熱または大量加熱といえる。
【0024】
CO2レーザー、赤外線レーザー、YAGレーザー、ダイオードレーザー、エキシマレーザー、あるいは任意のその他の好適な光子源や、例えば熱カートリッジに連結される導電体のような加熱ごて、あるいは高周波生成器が、バルーンに熱を作用させることに使用される。高周波生成機の場合において、金属粒子を有するゼリーが処理される領域に塗布される。レーザーがバルーンに熱を作用させることに使用される場合に、バルーンは、熱を吸収させるべく流体により充填され、バルーンのその他の部分が同時に処理されることが防止される。ここで開示されるように、例えばエネルギーがバルーンに入力される時間の量を制御することにより、あるいはエネルギー入力装置によって出力されるエネルギーを制御することにより結晶化度の量は制御される。
【0025】
バルーンの所定の領域に熱を集中させるために、マスクが使用されるか、熱を作用させる装置が、結晶化が要求される領域にのみ集中される。バルーンの処理のいくつかの方法において、結晶化の深みにより、処理される領域が頂点にて終端するか折り目の谷にて終端するか決定される。紫外線レーザーによる表面処理は、バルーンの折り目の谷に、処理される領域を形成する傾向にある。CO2レーザーや加熱ごてによる処理は、バルーンの折り目の頂点に、処理される領域を形成する。
【0026】
可撓性や剛性の変化は、イオンビーム暴露や、バルーン壁の領域の機械的切断等のその他の技術によって形成されてもよい。これらの技術は全てバルーンに要求される特性を付与すべく任意の組み合わせにて使用可能である。イオンビーム処理は、さらに2006年9月20日に出願された米国特許出願公開第11/533588号明細書、および2006年2月16日に出願された米国特許出願公開第11/355392号明細書に開示され、この両者はその全体がここで開示されたものとする。処理される領域は、バルーンに直接エネルギーを作用させることにより、あるいは例えば自由膨張やブロー成形により連続して形成される高分子材管状パリソンにエネルギーを作用させることにより形成される。バルーンの製造はさらに米国特許第4963313号明細書に開示される。
【0027】
図6において、例えば紫外線レーザーの適用等の加熱作用の効果は、バルーン表面の材料を再構成することにある。紫外線レーザーを使用して結晶化されたバルーン表面の拡大図は、小塊52を示す。バルーンは、マサチューセッツ州Natickに所在するボストンサイエンティフィック社から販売されている登録商標TAXUS Liberte のオーバーザワイヤータイプのポリマー(登録商標PEBAX7233)バルーンであり、独国Goettingenに所在するCoherent Lambda Physiks 社から販売されているLambda LPX210i、すなわちマルチガス紫外線エキシマレーザーを使用して紫外線に暴露される。レーザーは、波長が193ナノメートルにて作動し、30mJ/cm2の出力が得られるように30VAに設定される減衰器を備える。小塊52の形成は、バルーン壁から高分子材料が取り払うものではなく、バルーン表面の材料を再構成し、小塊間の有効壁厚を低減するものである。処理されていないバルーン壁は円滑であり、小塊を含まない。小塊52は、バルーンが紫外線レーザーにより処理されるときに視認されるが、別の処理、例えばCO2レーザーや加熱ごてによる処理においては視認されるものではない。紫外線レーザーにより処理される領域は、表面変形により、不透明となる。
【0028】
バルーンの形成に好適な高分子材は、二軸配向ポリマー、熱可塑性エラストマー、工学熱可塑性エラストマー、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレン、ポリアミド(例えば、ナイロン66)、ポリエーテルブロックアミド(例えば、登録商標PEBAX)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリイソプレンゴム(PI)、ニトリルゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(BR)、エチルエステル熱可塑性エラストマー(例えば、ARNITEL)、熱可塑性ポリウレタン(PU)(例えば、登録商標PELLETHANEのようなグリコールエーテルとイソシアネートに基づくもの)を含む。実施例において、ポリ(エーテル−アミド)ブロック共重合体は、通常以下の化学式を有する。
【0029】
【数1】
ここでPAは、例えばナイロン12等のポリアミド区域を示し、PEは、例えばポリ(テトラメチレングリコール)等のポリエーテル区域を示す。これらの高分子材は、登録商標名PEBAXにてARKEMA社から販売されている。バルーンは1つの高分子材、あるいは多数の高分子材から例えば共押し出し法により形成される。
【0030】
上述した線形の処理される領域に付加的に、処理される領域は、再折りたたみを促進すべくその他の構造体に構成される。実施例において、バルーンのドームの周囲の処理される領域は、スリーブが延びる軸に対して直行する軸の周囲に巻かれる螺旋状をなす。螺旋状領域は、螺旋状パターンである1つの連続した領域であるか複数の非連続の領域である。
【0031】
図7に示すように、処理される領域は、連続した線に形成されるものではなく、連続した点150、すなわち長点のような形状に形成され、これらによりバルーンが収縮時に折りたたまれる位置が決定される。図8に示すように、処理される領域155は、スリーブの軸Cに対して角度をなすストライプを形成する。軸に対する角度は30°乃至60°の間にあり、例えば45°である。図9に示すように、処理される領域160は、ドームの一方の側、すなわち基端側スリーブ51の近傍の側が、ドームの反対側、すなわち先端側スリーブ53の近傍の側より幅広である。パターンにかかわらず、バルーンのドームの約20%乃至80%が、高いまたは低い可撓性の領域を形成すべく処理され、例えば50プラスマイナス5%が処理される。
【0032】
実施例において、処理される領域の幅は、約2mm以下であり、例えば約0.1mm乃至0.5mmである。実施例において、破壊は、スリーブにもっとも近位のドームの部分にのみ行われる。分岐バルーンにおいて、ドームの頂点は、ドームのもっとも肉薄な部分である傾向にあり、これは、1インチ(約2.54cm)の数万分の1のみの厚みを有する。したがって、このバルーンにおいて、破壊は、バルーンの非常に肉薄な部分において回避される。しかしながら、結晶化度の変更は、スリーブにもっとも近位のバルーンドーム部にて行われるか、ドームの頂点において行われる。
【0033】
図10に5つの平行な処理される領域172を備えた分岐バルーン170を示す。ドーム174の上面は、処理される領域172を備えない。バルーン170が収縮すると、ドームの側面はひだに折りたたまれ、これにより収縮したバルーン170は予期される形状まで低減される。したがって、バルーン170は、折りたたまれた状態において未処理のバルーンと比較してルーメンからより容易に引き抜かれる。
【0034】
分岐したバルーンの選択された部分を処理することにより、分岐バルーンは、バルーンの収縮時において予期される方法により折りたたまれる。折りたたまれた状態は、バルーンが小型に折りたたまれるように選択される。折りたたみ時にバルーンが小型になるほど、バルーンの膨張および収縮後にルーメンからバルーンを容易に取り払うことができる。さらに、より小型に折りたたまれたバルーンは、取り払い時に拡張したステントにひっかかる可能性が低減される。円筒状バルーンとは異なり、分岐バルーンは、膨張していない場合においても自然に拡張状態になる傾向にある。したがって、折りたたみを促進すべくバルーンを処理することにより、特にバルーンが処理されなければ得られない折りたたみ特性が得られる。
(例)
マサチューセッツ州Natickに所在するボストンサイエンティフィック社から販売されている2.0×2.75mmの分岐PEBAX(登録商標)ポリマーバルーンが、独国Goettingenに所在するCoherent Lambda Physiks 社から販売されているLambda LPX210i、すなわちマルチガス紫外線エキシマレーザーを使用する紫外線に暴露される。このレーザーは、フッ化アルゴンガス混合体を使用し、29ナノ秒のパルス幅、25Hzの繰り返し率、193ナノメートルの波長にて作動する。このレーザーは、約60乃至70mJ/cm2であるPEBAX(登録商標)の破断閾値を超える100mJ/cm2のフルエンスを搬送すべく100VAに設定される減衰器を備える。レーザーからの均質化したビームは、約9ミリメートル幅、且つ約9ミリメートル長である。バルーンの胴部の側部に等距離に間隔をおいて位置される約0.14ミリメートル幅の5つの平行な線形領域は、マスクを通して暴露される。領域のうち3つは、75マイクロメートルの間隔にて暴露される。領域のうち2つは、100マイクロメートルの間隔にて暴露される。暴露される領域は不透明となる。
【0035】
実施例は後述する1つ以上の効果を有する。分岐したルーメンのバルーンによる処置は、バルーンの屈曲部が収縮時に予期される形状になる傾向を低減することにより容易に行うことができる。血管形成術やステント搬送後の収縮時における側部枝バルーンの形状は、例えば体腔から容易に取り払うことができる所望の予期される形状に折りたたむか、形状を形成することにより低減される。コンパクトに折りたたまれたバルーンをルーメンから取り払う方が、コンパクトに折りたたまれていない類似のバルーンを同じルーメンから取り払うことに要する引き抜き力より少なくて済む。
【0036】
本発明による多数の実施例が開示された。しかしながら、本発明の精神および範囲を逸脱することなく様々な変更が可能であるものといえる。多くの点において、本明細書は、例示に過ぎないものといえる。本発明の範囲を逸脱しない限り、形状、寸法等の事項や工程の順序に関して、詳細に変更を行うことができる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に表現される記載において開示される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーンによる分岐したルーメンの処置に関する。
【背景技術】
【0002】
身体は、動脈や他の体腔等の血管を有する様々な通路を備える。この通路は、ときに閉塞するか、弱化する。通路は、腫瘍により閉塞されるか、血小板により制限されるか、動脈瘤によって弱化される。これらの症状が生じた場合に、通路は再開放されるか、補強されるか、あるいは医療用人工気管と置き換えられる。人工気管は、通常身体の通路や体腔に位置される人工的な移植物である。人工気管の多くは管状部材であり、例としてステント、スンテントグラフト、および覆われたステントが挙げられる。
【0003】
人工気管の多くは、カテーテルによって体内に搬送される。通常カテーテルは、縮径または縮小された形態の人工気管が、例えば、体腔の弱化部位または閉塞部位のような体内の所望の部位に搬送されるときに、人工気管を支持する。所望の部位に至ると、人工気管は、腔の壁に接触するように設置される。
【0004】
設置の一方法は、人工気管を拡張する工程を含む。人工気管の設置に使用される拡張機構は、人工気管を径方向に拡張すべく押圧する機能を有する。例えば、拡張は、バルーンにより拡張可能な人工気管と組み合わせてバルーンを搬送するカテーテルによって行われる。人工気管は、体内における最終的な形態に対して縮径している。バルーンが膨張され、人工気管をルーメンの壁に接触する所定の位置に固定すべく人工気管が変形および/または拡張される。バルーンは収縮され、カテーテルが取り払われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
体腔は通常分岐する通路を有する分岐した領域を備える。血管形成術およびステント搬送等の処置が、通常分岐部位の基端側の位置にて必要である。分岐した人工気管と組み合わせて使用されるバルーンは、人工気管の分岐部を拡張する非線形部を有する。収縮時において、バルーンは、体から容易に取り払われ、取り払い時に人工気管に引っかからないように予測可能な低いかさの構造体を形成することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
後述の手段は、本発明の新規な特徴を容易に理解できるように記載されたものであり、全体を網羅することを意図したものではない。本発明は、明細書全体、特許請求の範囲、図面、および要約を参照することにより完全に理解される。
【0007】
一実施例において、分岐したルーメンを処置するための医療器具が開示される。医療器具は、基端側領域、先端側領域、長手軸を有するカテーテルシャフトを備える。主バルーンは、長手軸に沿ってカテーテルシャフトの先端側領域の周囲に位置される。副バルーンは、カテーテルシャフトの先端側領域に連結され、長手軸とはずらして位置される。副バルーンは、第1の区域と第2の区域とを有する膨張可能な部分を有し、第1の区域は第2の区域より高い可撓性を有する。
【0008】
別例において、分岐したルーメンを処置するための医療器具を形成する方法が開示される。方法は、カテーテルシャフトの先端側領域の周囲に位置されるバルーンシステムを設ける工程を含み、バルーンシステムは、カテーテルシャフトの長手軸に沿った第1の膨張可能な部分と、カテーテルシャフトの長手軸からずれた第2の膨張可能な部分とを有する。方法は、バルーンシステムの第2の膨張可能な部分の領域を変形し、結晶化度および/または厚みが変化する第2の膨張可能な部分に第1の区域と第2の区域とを形成する変形工程をさらに含む。第1の区域は第2の区域より高い可撓性を有する。
【0009】
さらなる別例において、分岐した血管を処置するための医療器具が開示される。医療器具は、基端側領域、および先端側領域を有するカテーテルシャフトを備える。第1のバルーンは、カテーテルシャフトの先端側領域の周囲に位置される。第2のバルーンは、カテーテルシャフトの先端側領域に連結される。第2のバルーンは、パターンを形成する第1の区域と第2の区域とを有する。第1の区域は第2の区域より高い可撓性を有する。第1の区域および第2の区域により、バルーンは、1つ以上のひだを有する所定の形状に折りたたまれる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】分岐したルーメンへのステントの搬送および配置を示す断面図。
【図1B】分岐したルーメンへのステントの搬送および配置を示す断面図。
【図1C】分岐したルーメンへのステントの搬送および配置を示す断面図。
【図1D】分岐したルーメンへのステントの搬送および配置を示す断面図。
【図2A】バルーンカテーテルの一部を示す断面図。
【図2B】バルーンカテーテルの一部を示す斜視図。
【図3A】破壊されるストライプを備えた膨張した状態のバルーンを示す側面図。
【図3B】破壊されるストライプを備えた折りたたまれた状態のバルーンを示す側面図。
【図3C】破壊されるストライプを備えた折りたたまれた状態のバルーンを示す断面図。
【図4A】結晶化度を高めたストライプを備えた膨張した状態のバルーンを示す側面図。
【図4B】明度を高めたストライプを備えた折りたたまれた状態のバルーンを示す側面図。
【図4C】明度を高めたストライプを備えた折りたたまれた状態のバルーンを示す断面図。
【図5】レーザー加工されるバルーンを示す概略図。
【図6】変形された表面を示す走査電子顕微鏡画像。
【図7】膨張したバルーンの、別例による破壊または高い結晶化度のパターンを示す図。
【図8】膨張したバルーンの、別例による破壊または高い結晶化度のパターンを示す図。
【図9】膨張したバルーンの、別例による破壊または高い結晶化度のパターンを示す図。
【図10】破壊されるストライプを備えたバルーンを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、添付の図面を参照して後述する様々な実施例を考慮して完全に理解される。
後述する明細書は、図面を参照して記載される。異なる図面の類似の要素は、同じ符号を付与される。図面は、正確な縮尺ではない。図面は、実施例を示すが、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【0012】
図1A乃至1Dにおいて、分岐した領域11を有する血管等の体腔10は、膨張可能なバルーンシステム15を覆うステント14を搬送するカテーテル12により処置される。分岐した領域11において、体腔10は、第1の枝16および第2の枝18を形成する。特に図1Aにおいて、カテーテル12は、ガイドワイヤ13を伝って分岐した領域11の周囲の処置部位に蛇行する通路を通して搬送される。同様に、図1Bおよび1Cにおいて、バルーンシステム15が拡張され、ステント14が体腔10の壁に接触するまで拡張される。図1Dにおいて、バルーンシステム15が膨張され、ステント14を所定の位置に残したままカテーテル12が取り払われる。
【0013】
ステント14は、分岐した領域11に位置されるように配置される。本実施例において、ステント14は、先端側開口部20および基端側開口部22の他、側部開口部24を備え、これらにより、ステント14は、第1の枝16において分岐した領域にかけるべく位置される場合に第2の枝18を妨害することはない。付加的に、ステント14は、図1Dに示すステント14の軸Aに沿って位置され第1の枝16に接触するまで拡張される主軸領域26と、第2の枝18に接触するまで拡張される軸外領域28とを備える。バルーンシステム15も同様にステントの主軸領域26を拡張するための主軸領域30と、ステントの軸外領域28を拡張するための軸外領域32とを備える。
【0014】
図2Aおよび2Bは、それぞれ体腔16に位置されるバルーンカテーテル33の先端部を示す断面図および斜視図である。例えば図1Aおよび1Bに示すように、カテーテル33は、ガイドワイヤルーメン36を形成する内側シャフト34と、外側シャフト38と、二重バルーンシステムとを備える。同軸の内側シャフトおよび外側シャフトは、膨張流体が通過してバルーンシステムに至る環状ルーメン37を形成する。二重バルーンシステムは、ルーメンの第1の枝16にてステントを拡張すべくカテーテルの軸Bに沿って円筒状に膨張する領域54を有する第1の主バルーン42を有する。主バルーン42は、カテーテルに取り付けられる基端側および先端側のスリーブすなわち胴部56、58をさらに備える。
【0015】
システムは、ルーメンの第2の枝18に接触するまでカテーテルの軸外にて膨張する第2の軸外バルーン44をさらに備える。軸外バルーン44は、主バルーンの一部に沿って、主バルーンの一部の周囲に延び、基部41、頂点すなわちドーム43、基端側スリーブ51、および先端側スリーブ53を備える。バルーンの両者の基端側スリーブは、カテーテルの外側シャフト38の領域47に取り付けられ、バルーンの両者の先端側スリーブは、カテーテルの内側シャフトの先端側領域49に取り付けられる。軸外バルーン44の基端側スリーブ51すなわち脚部は、膨張流体の、バルーン44の内部への通路50を形成する。例において、バルーン44の先端側スリーブ53はシールされ、膨張流体がバルーンの軸外の膨張可能部分を超えて流れることが防止される。
【0016】
本実施例において、ルーメン37を通して搬送される膨張流体は、主バルーンおよび軸外バルーンがほぼ同時に膨張するように主バルーンおよび軸外バルーンに配流される。別例において、軸外バルーンおよび主バルーンは、カテーテル軸に沿って連続して位置される。別例において、軸外バルーンおよび主バルーンは、同時に、または連続して搬送される別体のカテーテルに設けられる。別例において、膨張可能な主領域および軸外領域を有する1つのバルーンが設けられる。例示のステントおよびカテーテルの構成は、米国特許出願公開第2005/0102023号明細書、ならびに米国特許第6325826号、第6210429号、第6706062号、第6596020号、および第6962602号明細書に開示され、その全体がここで開示されたものとする。
【0017】
図3Aにおいて、軸外バルーン144は、可撓性を備えた部分と、同部分と比較して可撓性のより低い部分とを有する。具体的に、バルーン144は、周囲のバルーン材料120より高い可撓性を有する領域104を有する。図3Bおよび3Cにおいて、可撓性のより高い領域104は、バルーン144の収縮時に内方に折りたたまれる傾向にある。
【0018】
図4Aにおいて、バルーン144’は、周囲のバルーン材料120と比較してより高い剛性を備えた領域114を有する。同様に、図4Bおよび4Cにおいて、より高い剛性を備えた領域114は、バルーンが収縮し折りたたまれるときに、バルーンの外に留まる傾向にある。図3A乃至3C、および4A乃至4Cに示す領域104および114は、軸Cに平行なストライプのパターンをそれぞれ形成する。軸Cに沿ってスリーブ53が位置される。ストライプのパターンにより、バルーン144のドームは、蛇腹式に折りたたまれる。すなわちバルーン144は、折りたたまれるときにひだを形成する傾向にある。
【0019】
図5において、領域104および114は、紫外線等の放射線にバルーンを暴露することによってバルーン材料の結晶化度を破壊または変形するなどしてバルーン材料120を処理することにより形成される。レーザー30からの紫外線放射は、制御部32によって制御することにより調整され、選択されたエネルギーを暴露された領域に搬送する。例えば、材料を破壊するために、レーザーのフルエンスは材料の破壊閾値を超えるべく制御される。化学結合が破断され、材料は破壊領域を残すエネルギーの断片に破断される。ほとんどのエネルギーは、放射された材料に堆積するため、周囲の材料に対する熱による損傷はほとんどないものといえる。領域104への高いエネルギー入力により、材料の厚みが幾分取り払われるため、より低い総エネルギーに暴露される領域、すなわち変形されない高分子材の剛性は低減される。図3Bおよび3Cに示すように、より高い可撓性を備えた領域104は、バルーンが収縮されるときにより容易に折りたたまれ谷を形成する。
【0020】
破壊することなく高分子材の結晶化度を変更するために、レーザーのフルエンスは、破壊閾値未満に制御される。実施例において、領域104を形成するために使用されたものと同じレーザー30および制御部32が使用され、領域114を形成する。より低いエネルギーにより処理される領域114は、これらの領域の剛性すなわち係数を高める増加した結晶化度を有する。剛性が高まることにより、処理された領域は変形されない領域と比較してより低い可撓性を有するものとなるため、バルーンは、変形されない領域と比較してより高い剛性を備えた領域においては、屈曲しにくくなる。図4Bおよび4Cに示すように、より高い剛性を備えた領域114は、再折りたたみ時に蛇腹式の折りたたみの頂点を形成する。領域が破壊されても、高められた結晶化度を有しても、バルーンは、少なくとも2つの変形された領域を有する。変形された領域がストライプの形態にある場合に、バルーンは2つ以上のストライプを有し、例えば図3Aおよび4Aに示すような3つのストライプ、あるいはそれ以上の4、5、6、7、あるいは8つのストライプを有する。実施例において、バルーンは例えば交互のパターンの領域104および114の両者を備える。
【0021】
結晶化度の破壊または変更の度合いの量は、所望の収縮プロファイルを得られるように選択される。バルーンが破壊される場合に、取り払われる材料の量は、例えば、例えばバルーンの壁の厚みの0.5乃至2.5%等の、約0.1乃至15%である。バルーンの結晶化度が、実質的な破壊の影響なく変更された場合に、高分子材の結晶化度は、変更されない高分子材と比較して、約2乃至90%だけ、例えば2乃至5%、5乃至10%、10乃至20%、20乃至40%、40乃至60%、60乃至70%、70乃至80%、80乃至90%、あるいは20乃至80%だけ高められる。実施例において、結晶化度のパーセンテージは、変更前と比較して変更後に2、3、あるいは4倍である。結晶化度が変更された領域および処理されない領域におけるバルーンの厚みは、ほぼ同じである。いくつかの材料において、結晶化度の上昇は、材料の表面の小塊によって示される。結晶化度は、高分子材料を加熱することによりガラス転移温度と溶融流れ温度との間まで上昇する。この温度範囲内において、結晶の形成が開始されるか、先に形成された結晶がより大きくなる。
【0022】
結晶化度の変化の量は、暴露の時間、フルエンス、および/または放射線の波長を制御するなどして、暴露される領域に搬送されるエネルギーを制御することにより調整される。結晶化度は、低いフルエンスにて暴露時間を長くすることにより上昇する。上述したように、フルエンス閾値は、バルーン材料や、材料に入力されるエネルギーの波長のタイプに応じて決定される。バルーンを処理するための好適な紫外線レーザーは、約150乃至450ナノメートルの波長を有し、例えば、157、193、248、308、あるいは351ナノメートルの波長を有する。PETやPEBAX(登録商標)バルーンを193ナノメートルのマルチガスレーザーにより処理する場合に、約150mJ/cm2未満、例えば約60乃至70mJ/cm2であればバルーン材料の破断を回避できる。その他の材料およびレーザーの組み合わせにおいては、異なるフルエンスの閾値により、破断が回避される。紫外線による破断は米国特許第4911711号明細書にさらに開示される。好適な破断および制御システムは、独国Goettingenに所在するCoherent Lambda Physiks 社から販売されている。結晶化度は、WAXまたはSAXによるX線回折により測定される。結晶化度の測定は、ミネソタ大学Shepard characterization lab等の様々なベンダーによってなされる。
【0023】
結晶化度は、表面のみにて変化するか、バルーン壁の厚みにわたって変化する。紫外線レーザー等のバルーン内に熱を入力する好適な技術により、主にバルーンの表面に影響が付与される。例えば、紫外線レーザーは、高分子材表面内の一部のみ貫通し、例えば1乃至60オングストローム(0.1ナノメートル乃至6ナノメートル)にてバルーン内に至る。その他の加熱技術は、材料内をより深く貫通する。エネルギーを作用させるいくつかの方法により、エネルギーは材料内を貫通するに留まらず、等方的に放射する。この加熱は、材料の表面以外の部分まで加熱されてしまうため、材料の大規模加熱または大量加熱といえる。
【0024】
CO2レーザー、赤外線レーザー、YAGレーザー、ダイオードレーザー、エキシマレーザー、あるいは任意のその他の好適な光子源や、例えば熱カートリッジに連結される導電体のような加熱ごて、あるいは高周波生成器が、バルーンに熱を作用させることに使用される。高周波生成機の場合において、金属粒子を有するゼリーが処理される領域に塗布される。レーザーがバルーンに熱を作用させることに使用される場合に、バルーンは、熱を吸収させるべく流体により充填され、バルーンのその他の部分が同時に処理されることが防止される。ここで開示されるように、例えばエネルギーがバルーンに入力される時間の量を制御することにより、あるいはエネルギー入力装置によって出力されるエネルギーを制御することにより結晶化度の量は制御される。
【0025】
バルーンの所定の領域に熱を集中させるために、マスクが使用されるか、熱を作用させる装置が、結晶化が要求される領域にのみ集中される。バルーンの処理のいくつかの方法において、結晶化の深みにより、処理される領域が頂点にて終端するか折り目の谷にて終端するか決定される。紫外線レーザーによる表面処理は、バルーンの折り目の谷に、処理される領域を形成する傾向にある。CO2レーザーや加熱ごてによる処理は、バルーンの折り目の頂点に、処理される領域を形成する。
【0026】
可撓性や剛性の変化は、イオンビーム暴露や、バルーン壁の領域の機械的切断等のその他の技術によって形成されてもよい。これらの技術は全てバルーンに要求される特性を付与すべく任意の組み合わせにて使用可能である。イオンビーム処理は、さらに2006年9月20日に出願された米国特許出願公開第11/533588号明細書、および2006年2月16日に出願された米国特許出願公開第11/355392号明細書に開示され、この両者はその全体がここで開示されたものとする。処理される領域は、バルーンに直接エネルギーを作用させることにより、あるいは例えば自由膨張やブロー成形により連続して形成される高分子材管状パリソンにエネルギーを作用させることにより形成される。バルーンの製造はさらに米国特許第4963313号明細書に開示される。
【0027】
図6において、例えば紫外線レーザーの適用等の加熱作用の効果は、バルーン表面の材料を再構成することにある。紫外線レーザーを使用して結晶化されたバルーン表面の拡大図は、小塊52を示す。バルーンは、マサチューセッツ州Natickに所在するボストンサイエンティフィック社から販売されている登録商標TAXUS Liberte のオーバーザワイヤータイプのポリマー(登録商標PEBAX7233)バルーンであり、独国Goettingenに所在するCoherent Lambda Physiks 社から販売されているLambda LPX210i、すなわちマルチガス紫外線エキシマレーザーを使用して紫外線に暴露される。レーザーは、波長が193ナノメートルにて作動し、30mJ/cm2の出力が得られるように30VAに設定される減衰器を備える。小塊52の形成は、バルーン壁から高分子材料が取り払うものではなく、バルーン表面の材料を再構成し、小塊間の有効壁厚を低減するものである。処理されていないバルーン壁は円滑であり、小塊を含まない。小塊52は、バルーンが紫外線レーザーにより処理されるときに視認されるが、別の処理、例えばCO2レーザーや加熱ごてによる処理においては視認されるものではない。紫外線レーザーにより処理される領域は、表面変形により、不透明となる。
【0028】
バルーンの形成に好適な高分子材は、二軸配向ポリマー、熱可塑性エラストマー、工学熱可塑性エラストマー、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレン、ポリアミド(例えば、ナイロン66)、ポリエーテルブロックアミド(例えば、登録商標PEBAX)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリイソプレンゴム(PI)、ニトリルゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(BR)、エチルエステル熱可塑性エラストマー(例えば、ARNITEL)、熱可塑性ポリウレタン(PU)(例えば、登録商標PELLETHANEのようなグリコールエーテルとイソシアネートに基づくもの)を含む。実施例において、ポリ(エーテル−アミド)ブロック共重合体は、通常以下の化学式を有する。
【0029】
【数1】
ここでPAは、例えばナイロン12等のポリアミド区域を示し、PEは、例えばポリ(テトラメチレングリコール)等のポリエーテル区域を示す。これらの高分子材は、登録商標名PEBAXにてARKEMA社から販売されている。バルーンは1つの高分子材、あるいは多数の高分子材から例えば共押し出し法により形成される。
【0030】
上述した線形の処理される領域に付加的に、処理される領域は、再折りたたみを促進すべくその他の構造体に構成される。実施例において、バルーンのドームの周囲の処理される領域は、スリーブが延びる軸に対して直行する軸の周囲に巻かれる螺旋状をなす。螺旋状領域は、螺旋状パターンである1つの連続した領域であるか複数の非連続の領域である。
【0031】
図7に示すように、処理される領域は、連続した線に形成されるものではなく、連続した点150、すなわち長点のような形状に形成され、これらによりバルーンが収縮時に折りたたまれる位置が決定される。図8に示すように、処理される領域155は、スリーブの軸Cに対して角度をなすストライプを形成する。軸に対する角度は30°乃至60°の間にあり、例えば45°である。図9に示すように、処理される領域160は、ドームの一方の側、すなわち基端側スリーブ51の近傍の側が、ドームの反対側、すなわち先端側スリーブ53の近傍の側より幅広である。パターンにかかわらず、バルーンのドームの約20%乃至80%が、高いまたは低い可撓性の領域を形成すべく処理され、例えば50プラスマイナス5%が処理される。
【0032】
実施例において、処理される領域の幅は、約2mm以下であり、例えば約0.1mm乃至0.5mmである。実施例において、破壊は、スリーブにもっとも近位のドームの部分にのみ行われる。分岐バルーンにおいて、ドームの頂点は、ドームのもっとも肉薄な部分である傾向にあり、これは、1インチ(約2.54cm)の数万分の1のみの厚みを有する。したがって、このバルーンにおいて、破壊は、バルーンの非常に肉薄な部分において回避される。しかしながら、結晶化度の変更は、スリーブにもっとも近位のバルーンドーム部にて行われるか、ドームの頂点において行われる。
【0033】
図10に5つの平行な処理される領域172を備えた分岐バルーン170を示す。ドーム174の上面は、処理される領域172を備えない。バルーン170が収縮すると、ドームの側面はひだに折りたたまれ、これにより収縮したバルーン170は予期される形状まで低減される。したがって、バルーン170は、折りたたまれた状態において未処理のバルーンと比較してルーメンからより容易に引き抜かれる。
【0034】
分岐したバルーンの選択された部分を処理することにより、分岐バルーンは、バルーンの収縮時において予期される方法により折りたたまれる。折りたたまれた状態は、バルーンが小型に折りたたまれるように選択される。折りたたみ時にバルーンが小型になるほど、バルーンの膨張および収縮後にルーメンからバルーンを容易に取り払うことができる。さらに、より小型に折りたたまれたバルーンは、取り払い時に拡張したステントにひっかかる可能性が低減される。円筒状バルーンとは異なり、分岐バルーンは、膨張していない場合においても自然に拡張状態になる傾向にある。したがって、折りたたみを促進すべくバルーンを処理することにより、特にバルーンが処理されなければ得られない折りたたみ特性が得られる。
(例)
マサチューセッツ州Natickに所在するボストンサイエンティフィック社から販売されている2.0×2.75mmの分岐PEBAX(登録商標)ポリマーバルーンが、独国Goettingenに所在するCoherent Lambda Physiks 社から販売されているLambda LPX210i、すなわちマルチガス紫外線エキシマレーザーを使用する紫外線に暴露される。このレーザーは、フッ化アルゴンガス混合体を使用し、29ナノ秒のパルス幅、25Hzの繰り返し率、193ナノメートルの波長にて作動する。このレーザーは、約60乃至70mJ/cm2であるPEBAX(登録商標)の破断閾値を超える100mJ/cm2のフルエンスを搬送すべく100VAに設定される減衰器を備える。レーザーからの均質化したビームは、約9ミリメートル幅、且つ約9ミリメートル長である。バルーンの胴部の側部に等距離に間隔をおいて位置される約0.14ミリメートル幅の5つの平行な線形領域は、マスクを通して暴露される。領域のうち3つは、75マイクロメートルの間隔にて暴露される。領域のうち2つは、100マイクロメートルの間隔にて暴露される。暴露される領域は不透明となる。
【0035】
実施例は後述する1つ以上の効果を有する。分岐したルーメンのバルーンによる処置は、バルーンの屈曲部が収縮時に予期される形状になる傾向を低減することにより容易に行うことができる。血管形成術やステント搬送後の収縮時における側部枝バルーンの形状は、例えば体腔から容易に取り払うことができる所望の予期される形状に折りたたむか、形状を形成することにより低減される。コンパクトに折りたたまれたバルーンをルーメンから取り払う方が、コンパクトに折りたたまれていない類似のバルーンを同じルーメンから取り払うことに要する引き抜き力より少なくて済む。
【0036】
本発明による多数の実施例が開示された。しかしながら、本発明の精神および範囲を逸脱することなく様々な変更が可能であるものといえる。多くの点において、本明細書は、例示に過ぎないものといえる。本発明の範囲を逸脱しない限り、形状、寸法等の事項や工程の順序に関して、詳細に変更を行うことができる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に表現される記載において開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端側領域、先端側領域、および長手軸を有するカテーテルシャフトと、
同カテーテルシャフトの先端側領域の周囲に長手軸に沿って位置される主バルーンと、
該カテーテルシャフトの先端側領域に連結され、長手軸からずれて位置される副バルーンとを備え、同副バルーンは、第1の区域および第2の区域を備え、該第1の区域は第2の区域より高い可撓性を備えることを特徴とする分岐した血管を処置するための医療器具。
【請求項2】
前記副バルーンの膨張可能な部分が拡張される場合に、同拡張は、長手軸に平行な方向と比較して長手軸に直行する方向においてより大きく行われることを特徴とする請求項1に記載の医療器具。
【請求項3】
前記第1の区域および第2の区域は、パターンを形成することを特徴とする請求項1または2に記載の医療器具。
【請求項4】
前記パターンは、カテーテルシャフトの長手軸に平行なストライプのパターンであることを特徴とする請求項3に記載の医療器具。
【請求項5】
前記パターンは、カテーテルシャフトの長手軸に対して角度をなすストライプのパターンであることを特徴とする請求項3に記載の医療器具。
【請求項6】
前記第1の区域および第2の区域により、バルーンは、ひだ状に折りたたまれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項7】
前記第1の区域は破壊領域であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項8】
前記第2の区域は、第1の区域より高い結晶化度を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項9】
前記第2の区域は、高分子材の隆起した小塊から形成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項10】
カテーテルシャフトの先端側領域の周囲に位置され、且つ該カテーテルシャフトの長手軸に沿った第1の膨張可能な部分と該カテーテルシャフトの長手軸から外れた第2の膨張可能な部分とを備えるバルーンシステムを設ける工程と、
同バルーンシステムの第2の膨張可能な部分の領域を変形し、変化する結晶化度および厚みのうち少なくともいずれか一方を有する該第2の膨張可能な部分に第1の区域および第2の区域を形成する変形工程とを含み、該第1の区域は第2の区域より高い可撓性を備えることを特徴とする分岐したルーメンを処置するための医療器具を形成する方法。
【請求項11】
前記変形工程は、該第2の膨張可能な部分の領域に放射線を配向する工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記放射線の配向工程は、第2の区域を形成すべく破壊閾値未満のフルエンスを有する放射線を配向する工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記放射線の配向工程は、第1の区域を形成すべく破壊閾値を超えるフルエンスを有する放射線を配向する工程を含むことを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の区域および第2の区域は、ストライプのパターンを形成することを特徴とする請求項10乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の区域および第2の区域により、第2の膨張可能な部分は、ひだ状に折りたたまれることを特徴とする請求項10乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の膨張可能な部分は高分子材を備え、前記第1の区域は破壊領域であることを特徴とする請求項10乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の膨張可能な部分は高分子材を備え、前記第2の区域は第1の区域より高い結晶化度を有することを特徴とする請求項10乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
基端側領域および先端側領域を有するカテーテルシャフトと、
同カテーテルシャフトの先端側領域の周囲に位置される第1のバルーンと、
該カテーテルシャフトの先端側領域に連結される第2のバルーンとを備え、同第2のバルーンは、パターンを形成する第1の区域および第2の区域を備え、該第1の区域は第2の区域より高い可撓性を備えることと、
該第1の区域および第2の区域により、バルーンは1つ以上のひだを有する所定の形状に折りたたまれることとを特徴とする分岐した血管を処置するための医療器具。
【請求項19】
前記第1の区域は破壊領域であることを特徴とする請求項18に記載の医療器具。
【請求項20】
前記第2の区域は、第1の区域より高い結晶化度を有することを特徴とする請求項18または19に記載の医療器具。
【請求項1】
基端側領域、先端側領域、および長手軸を有するカテーテルシャフトと、
同カテーテルシャフトの先端側領域の周囲に長手軸に沿って位置される主バルーンと、
該カテーテルシャフトの先端側領域に連結され、長手軸からずれて位置される副バルーンとを備え、同副バルーンは、第1の区域および第2の区域を備え、該第1の区域は第2の区域より高い可撓性を備えることを特徴とする分岐した血管を処置するための医療器具。
【請求項2】
前記副バルーンの膨張可能な部分が拡張される場合に、同拡張は、長手軸に平行な方向と比較して長手軸に直行する方向においてより大きく行われることを特徴とする請求項1に記載の医療器具。
【請求項3】
前記第1の区域および第2の区域は、パターンを形成することを特徴とする請求項1または2に記載の医療器具。
【請求項4】
前記パターンは、カテーテルシャフトの長手軸に平行なストライプのパターンであることを特徴とする請求項3に記載の医療器具。
【請求項5】
前記パターンは、カテーテルシャフトの長手軸に対して角度をなすストライプのパターンであることを特徴とする請求項3に記載の医療器具。
【請求項6】
前記第1の区域および第2の区域により、バルーンは、ひだ状に折りたたまれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項7】
前記第1の区域は破壊領域であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項8】
前記第2の区域は、第1の区域より高い結晶化度を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項9】
前記第2の区域は、高分子材の隆起した小塊から形成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項10】
カテーテルシャフトの先端側領域の周囲に位置され、且つ該カテーテルシャフトの長手軸に沿った第1の膨張可能な部分と該カテーテルシャフトの長手軸から外れた第2の膨張可能な部分とを備えるバルーンシステムを設ける工程と、
同バルーンシステムの第2の膨張可能な部分の領域を変形し、変化する結晶化度および厚みのうち少なくともいずれか一方を有する該第2の膨張可能な部分に第1の区域および第2の区域を形成する変形工程とを含み、該第1の区域は第2の区域より高い可撓性を備えることを特徴とする分岐したルーメンを処置するための医療器具を形成する方法。
【請求項11】
前記変形工程は、該第2の膨張可能な部分の領域に放射線を配向する工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記放射線の配向工程は、第2の区域を形成すべく破壊閾値未満のフルエンスを有する放射線を配向する工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記放射線の配向工程は、第1の区域を形成すべく破壊閾値を超えるフルエンスを有する放射線を配向する工程を含むことを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の区域および第2の区域は、ストライプのパターンを形成することを特徴とする請求項10乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の区域および第2の区域により、第2の膨張可能な部分は、ひだ状に折りたたまれることを特徴とする請求項10乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の膨張可能な部分は高分子材を備え、前記第1の区域は破壊領域であることを特徴とする請求項10乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の膨張可能な部分は高分子材を備え、前記第2の区域は第1の区域より高い結晶化度を有することを特徴とする請求項10乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
基端側領域および先端側領域を有するカテーテルシャフトと、
同カテーテルシャフトの先端側領域の周囲に位置される第1のバルーンと、
該カテーテルシャフトの先端側領域に連結される第2のバルーンとを備え、同第2のバルーンは、パターンを形成する第1の区域および第2の区域を備え、該第1の区域は第2の区域より高い可撓性を備えることと、
該第1の区域および第2の区域により、バルーンは1つ以上のひだを有する所定の形状に折りたたまれることとを特徴とする分岐した血管を処置するための医療器具。
【請求項19】
前記第1の区域は破壊領域であることを特徴とする請求項18に記載の医療器具。
【請求項20】
前記第2の区域は、第1の区域より高い結晶化度を有することを特徴とする請求項18または19に記載の医療器具。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2011−522628(P2011−522628A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512717(P2011−512717)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/046495
【国際公開番号】WO2009/149410
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(506192652)ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド (172)
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/046495
【国際公開番号】WO2009/149410
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(506192652)ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド (172)
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
【Fターム(参考)】
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