説明

収縮可能な容器を充填する方法

本発明は、液体を、強い分子配向を有するプラスチック容器1内で包装する方法に関する。本発明の方法は、高温の液体で容器1を充填する段階と、充填する段階中において、容器1の複数の壁5を冷却する段階と、容器1をシールする段階と、シールする段階中において、容器1の複数の壁5を冷却する段階と、シールする段階の後に容器1が受動的な収縮を受ける段階と、収縮の段階の後に容器1の複数の壁5を冷却する段階とを備えている。本発明は、さらに、上記方法を実施する装置と、上記容器とに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体製品で収縮可能な容器を充填する方法に関する。本発明は、高温の作用で収縮するプラスチック容器内で高温の製品を充填する方法に関する。この方法は、特に、熱処理を受けていないPETボトルを60℃より高い温度の製品で充填することに適用される。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート製の(PET)ボトルは、抵抗力、軽量化、透明度及び感覚刺激性等の優れた特性により、多くの分野で使用されている。これらのPETボトルは、型内でプレフォームを二軸延伸することによって、高い生産速度で製造されている。
【0003】
しかしながら、これらのボトルは多くの利点があるが、これらのボトルは、60℃より高い温度になる時に変形するという欠点を有する。これらのボトルに高温(85℃)の製品を充填することにより、ボトルを変形させてしまい、ボトルが使用には適さなくなってしまうという問題が生じる。上記の欠点を改善して、PETボトルを高温で充填することができるいくつかの方法が従来技術において提案されてきた。
【0004】
熱硬化は、二軸方向に配向されたPETボトルの熱抵抗を改良する最も有効な方法と考えられている。商業運転で広く用いられているこの方法の原理は、結晶化を向上させて高温での分子安定性を改良するべく、ボトルの壁に熱処理を施すことからなる。この原理は、従来技術で用いられてきた熱硬化処理及び装置によって様々な方法で適用されうる。熱硬化の主な利点の一つは、ボトルの製造中においてボトルの熱硬化が実施されるということである。
【0005】
しかしながら、高温の液体で充填することができるように熱処理を受けるボトルは、多数の欠点を有している。
【0006】
一つの欠点は、特定の等級のポリエチレン・テレフタレートのみが使用できるということである。これらの等級は、製造が比較的に困難であり、容器のコストが向上してしまう。
【0007】
二つ目の欠点は、熱硬化処理がブロー成形サイクルを含むので、ボトルの製造速度を落としてしまうということである。
【0008】
三つ目の欠点は、これらのボトルの重量に起因している。ボトルが高温液体で充填されている場合、冷却後にボトル内で負圧となる。この負圧は、ボトルの壁を不規則に変形させる作用を有する。ボトル内の負圧を補正する最も広く用いられている方法は、制御された方法でボトルを変形させることができる補償パネルを追加することである。しかしながら、補償パネルを有するボトルは、比較的に強固であり、それゆえ比較的に重い。その結果、製品の良好な保存のために厳格に必要とされ、多くの材料が使用される。さらに、補償パネルは、容器の概観を損ね、使用者には魅力的ではなくなってしまう。
【0009】
形成可能である、側補償パネルの使用を避けている、ボトルの底部の設計が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開公報2004/106175号
【特許文献2】国際公開公報2005/002982号
【特許文献3】仏国特許第2432991号
【特許文献4】米国特許第5251424号
【特許文献5】米国特許第6502369号
【0011】
また、特許文献3では、熱硬化を受けたボトルの使用を避ける、PETボトルを充填する方法が提供されている。この方法は、充填サイクル中において、ボトルのいかなる変形も避けるべく、ボトルの外壁を冷却することからなる。この方法によれば、ボトルが変形することを防ぐことがもはや本質的でない時にボトルの外壁の冷却が中断させられてしまう可能性がある。この方法により、充填中においてボトルが変形するのを防ぐ。しかしながら、この方法は、冷却後のボトル内の負圧の影響を弱めるための補償パネルの使用を省略しない。
【0012】
また、特許文献4は、熱硬化を受けたPETボトルの使用を避けたPETボトルを充填する方法を提供している。この方法は、高温の液体でボトルを充填し、閉鎖前に一回分の液体窒素を足すことからなる。窒素の蒸発は、ボトル内の圧力を生じ、ボトルが収縮するのを防ぐ。さらに、この方法は、窒素がボトル内で十分な圧力を維持して液体の体積変化を補償するので、側補償パネルの使用を省略する。理論的には、特許文献4に記載の方法は、従来のPETボトルを使用することができ、コストの低減を実現できる。しかしながら、実際には、この方法は実施するのが非常に難しい。壁が高温であるボトルの閉鎖時に即時に発生する過剰圧力は、容器の即時かつ望ましくない変形をもたらす。
【0013】
特許文献4の欠点を改善するために、特許文献5は、特許文献4と同様であるが、ボトルが型のキャビティ内で充填されている、方法を提供する。この方法は、型のキャビティ内にボトルを導入し、ボトルを高温の液体で充填し、閉鎖後に一回分の液体窒素を追加することからなる。窒素の蒸発により容器の壁が冷却された型の壁に対して押され。この方法により、高温で充填された従来のボトルを得ることができる。しかしながら、型のキャビティ内を各ボトルで充填する、充填機械が複雑なので、この方法を使用することが難しくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来技術で提供される方法は、全て、温度の作用により容器が収縮するのを防ぐという共通の特徴を有する。それゆえ、容器の体積は、充填前も充填後も同じである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一般的な提示
従来技術で提案された方法とは異なり、本発明の原理は、充填段階中に容器の収縮特性を用いる段階からなり、その結果、容器の体積変化を生じる。本発明により充填された容器の体積は、充填後では、より小さい。
【0016】
本発明による方法は、容器が高温(PETボトルの場合には一般に85℃)で充填された時、制御された方法で容器の収縮特性を用いることからなる。この方法は、第一に、従来技術の熱処理を受けない容器を用いることができ、第二に、冷却後に容器内の負の相対圧力の生成を避ける又は制限することができるので、有利である。
【0017】
本発明の一つの目的は、特に、特許請求の範囲に記載の方法である。また、本発明は、特許請求の範囲に記載の装置及び容器に関する。
【0018】
本発明の方法により、容器が製品で充填されて高温に曝される時に収縮する容器を充填することができる。これらのプラスチック容器は、高温で収縮する分子配向を有している。本発明は、特に、ボトル等の二軸に配向されたPET容器を充填する場合に適用される。また、本発明は、高温の作用で収縮する複数のフィルムから製造されているプラスチック容器を高温で充填する方法に適用する。
【0019】
さらに、本発明による方法は、収縮可能な容器の内側の正の相対的な圧力を生じうる。本発明は、容器の壁を加熱することによって、充填されて密閉シールされた容器を収縮することからなる。本発明の方法により、壁の薄い容器を把持し、かつ垂直方向の圧縮に対する抵抗を増すことができる。
【0020】
本発明は、以下の図面によってより良好に理解されるであろう。図1〜11は、本発明の第一実施例を示している。図1及び2は、本発明の第一実施例の一般的な概念を示している。図3〜8は、本発明の方法の様々な段階を示している。図10及び11は、高温で収縮するフィルムからなる容器の高温充填を示している。図12及び13は、高温で収縮可能な容器内で過剰圧力を生じ、低温で充填される、本発明の第二実施例を示している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、充填されて塞がれた直後の容器を示しており、容器内の製品は高温である。
【図2】図2は、製品を充填する方法の終わりにおける容器を示している。容器の体積は、容器の収縮によって小さくなっている。
【図3】図3は、充填前の容器を示している。
【図4】図4は、高温の製品での容器の充填を示している。
【図5】図5は、容器のシール閉鎖を示している。
【図6】図6は、容器の収縮を示している。製品は高温である。容器内の圧力は、頭部空間内の気体の体積を圧縮する。
【図7】図7は、容器の冷却と、製品の気温へ戻る様子を示している。
【図8】図8は、容器が気温へ冷却される様子を示している。頭部空間内の気体の体積の拡張が製品の熱収縮を補償している。
【図9】図9は、充填工程中において容器の局所的冷却を示している。
【図10】図10は、高温の製品で充填されて密閉シールされた直後の容器を示している。
【図11】図11は、収縮された容器の幾何学的形状を示している。
【図12】図12は、容器の複数の壁の局所的収縮を生むための加熱と、容器内の圧力の生成を示している。
【図13】図13は、収縮後の容器の体積が最初の容器の体積よりも小さいことを示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、容器が高温に加熱される時に容器の収縮特性を用いることからなる。本発明の記載では、語「高温」は、容器の収縮を開始する温度を示し、収縮温度より低い温度を示す、語「低温」とは反対である。
【0023】
容器の収縮特性は、製造工程、より正確には、製造中に誘発される分子配向に強く依存する。例えば、型内でプレフォームを二軸延伸することによって製造されたPETボトル等の容器は、容器が高温に加熱される時に強く収縮する。フィルムからなる容器等の他の容器も、同様な収縮特性を示している。
【0024】
本発明の第一実施例は、容器の複数の壁を加熱して収縮させる作用を有する高温製品で容器を充填する時の容器の収縮を用いることからなる。本発明の重要な特徴は、変形を制限し、かつ冷却後に通常において容器内で上昇する負の相対圧力を少なくとも部分的に改善するべく、制御された方法で容器の収縮を用いることからなる。
【0025】
本発明の一般的な原理は、図1及び2に示されている。
【0026】
図1は、ネック部4と筒状体5と底部6とを有する容器1の最初の幾何学的形状を示す。容器の壁部は、それが高温に加熱された時に著しく収縮する。図1は、高温の製品9が充填されておりかつストッパ8で密閉シールされた容器1に示す。容器は、また、頭部空間において、可能な限り空気である気体10が充填されている。容器が閉鎖される瞬間において容器内の高温製品及び気体の相対的体積を確定する充填レベル11は、正確に確定される。容器を密閉シールする前に、容器が収縮するのを防ぐことが一般的に好ましい。その理由は、容器が急速に収縮する時に密閉シールの前に収縮を停止させる手段を採用することが有利だからである。
【0027】
図2は、気温に冷却した後の容器1及びその中身を示す。容器は、高温の製品で充填されている間に収縮している。容器の体積の変化は、容器の高さの変化、直径の変化又は幾何学的形状の変化に関連しうる。全ての場合において、体積の変化は、容器の収縮している壁によって生じる。容器の特定の部分、ストッパでシールを提供する、例えばネック部では、収縮しない。図2は、容器内の製品9の体積も示している。体積は、気温へ冷却した時の製品9の収縮によって減少している。本発明によれば、密閉シールされた後の容器の壁の収縮により、冷却中の製品の収縮を少なくとも部分的に補償することができる。製品の温度が室温になった時に、ゼロ以上の容器内の相対圧力を生じるのに十分に容器を収縮させることができることはしばしば有利である。したがって、補償パネルを有する容器の使用は、必要ではない。
【0028】
図3〜8は、PET容器の充填と、方法の各ステップを示している。
【0029】
図3は、ネック部4と筒状体5と底部6とを有するPET容器1を示す。この容器の壁内で、高度の分子配向があり、これにより、この壁は、高温で収縮する。二軸延伸によって製造されるPET容器の場合、上記の高温は、収縮できるほど分子運動性が十分になる温度に対応すし、60℃を超えている。一般に、高温充填温度は、十分な保存特性を保証すべく、少なくとも85℃である。これらの温度で、PET容器の壁は、著しくかつ迅速に収縮する。
【0030】
図4は、高温の製品9で容器1を充填しており、容器が高温で収縮している様子を示している。一般に、容器が充填操作中に収縮するのを防ぐべく、容器1の外壁を冷却する必要がある。手段7は、ネック部4、側部5及び底部6において容器の外壁を冷却する。特定の場合において、容器壁部の部分的な冷却は十分である。例示すると、ボトルの外壁は、容器に低温流体でスプレイ噴霧されて冷却される。温度の作用の下で容器が収縮するのを防ぐように迅速に充填される。容器1は、頭部空間内の十分な体積の気体を残すべく、製品9で完全に充填されない。この気体は、一般に空気であるが、この気体は、特定の場合において、窒素又は二酸化炭素等の特定の期待を使用することが有利である場合がある。頭部における特定の気体の追加は、通常、充填直後及び容器の密閉シールの前に行われる。
【0031】
図5は、高温の製品9を充填した後の容器の密閉シールを示している。密閉シールの瞬間における充填レベル11は、充填量、すなわち、容器内の製品9及び気体10の相対的な比を確定する。充填の度合いは、冷却後の容器内の残留圧力を確定するので、本発明で重要な役割を担う。この態様は、この工程の様々な段階が完全に説明された後に、より良く理解される。図5に示す容器を密閉シールする段階の間、容器の外壁を冷却し続けることが好ましいことがしばしばある。このシール操作は、容器1を密閉シールするべく、ストッパ8をネック部4へ当てることからなる。シールの瞬間では、容器内の相対的圧力はゼロである。冷却手段7は、容器が過剰に高い温度に上昇したり収縮したりするのを防ぐ。図5中に示すシール段階は、公知の方法を用いて迅速に実施される。例示をすると、シールは、栓で塞ぐか又は溶接することによって実施される。
【0032】
図6は、容器が制御された方法で収縮する、充填工程中の重要な段階を示している。この段階では、容器の壁部は、温度の作用で収縮し、容器の体積を減じる。これにより、密閉シールされている容器内の圧力が上昇するという結果を生じる。この急速な圧力上昇は、容器内の気体の体積を圧縮する作用を有する。
【0033】
製品が依然として収縮を生じるほど十分に温かい時に、図6に示す容器が収縮する段階が始まる。一般に、製品が依然として高温である時、シール直後に収縮が起こる。製品の温度が過剰に高い時、製品及び容器を適切な収縮温度まで冷却することが望ましい。過剰に高い収縮温度では、容器の望ましくない変形を生じるからである。例えば、PET容器に100℃で充填する時、80℃で収縮することが有利となりうる。それゆえ、収縮作用の前に、製品及び容器を80℃まで冷却する必要がある。
【0034】
収縮は、容器内の圧力を生じるのに十分に高い温度でありかつ容器の望ましくない変形を防ぐのに十分に低い温度で開始する。PET容器の場合、この温度は、一般に、65℃〜100℃である。しかしながら、75℃〜90℃の収縮温度が有利である。
【0035】
容器の収縮は、通常小さく、裸眼では容易に見ることができない。収縮は、容器や充填の度合いや収縮温度や収縮時間に依存する。収縮の度合いは、残留圧力、すなわち、冷却後の容器内の相対的圧力に直接的に影響を与える。一般に、高温で充填された液状製品は、冷却中に2〜5%で収縮する。例えば、85℃から20℃へ冷却している間、水は、約3%だけ体積が減少する。この体積の減少は、温度変化や製品の特性に依存する。理論的には、容器の体積変化に等しい容器の収縮により、残留圧力がゼロとなる。容器の収縮が製品の体積変化よりも大きい時、残留圧力は正である。逆に、容器の収縮が製品の体積変化よりも小さい時、残留圧力は負である。実際には、容器が密閉シールされた時の気体の温度は、残留圧力に影響を有しうる。容器が密閉シールされた瞬間に低温気体を捕捉することは有利である。
【0036】
容器の幾何学的形状は、容器の体積における体積の収縮に直接的に影響を与える。小さな体積及び高い壁厚の容器は、高い収縮圧力を生じるために好ましいということが観察された。
【0037】
容器が製造される条件も、収縮に大きく影響を与える。PET容器の場合、二軸延伸の低い温度により、温度の影響の下でかなり容器が収縮するということが観察されている。逆に、二軸延伸の高い温度により、容器の収縮力は低い。延伸温度は、容器の収縮力及び収縮率を最適化するために使用することができる。
【0038】
充填の度合いは、容器を密閉シールする瞬間における製品体積と容器体積の比によって確定され、容器の収縮に影響を及ぼす。充填の度合いが非常に高い時、容器はわずかに収縮し、容器内の残留圧力が負となる。その結果、充填の度合いが非常に低い時、容器が大きく収縮し、容器が望ましくなく変形する。充填の度合いは、望ましい残留圧力に応じて調節しなければならない。通常、充填の度合いは、85%〜98%、好ましくは90%〜96%に選択される。
【0039】
図6は、収縮機構について示している。製品9の高温の作用の下で、容器は、収縮し、頭部空間内の気体10の体積を圧縮する。この気体の圧縮は、充填レベル11の変化によって表示される。容器の収縮率は、一般に、非常に迅速であり、収縮温度に依存する。好ましくは、収縮時間は5分未満であり、さらに好ましくは3分未満である。製品が依然として高温である時に収縮が開始する。
【0040】
図7は、容器とその中身を気温に冷却する段階を示している。手段7は、容器の外壁を冷却する。例えば、水は、容器を冷却するために容器に噴霧されるか、又は、容器が迅速に、容器の分子鎖が安定する温度、すなわち、容器が収縮しない温度へ冷却される。二軸延伸PET容器では、この温度は、約60℃である。この温度未満では、容器は、大気との自然対流によって比較的にゆっくりと冷却される。
【0041】
図8は、気温に冷却された後の容器を示している。冷却された容器は、図3に示す充填の前の容器とは異なっている。容器の体積は、充填中の収縮によって減じられている。好適な方法では、容器内の相対的な圧力は、ゼロに等しいかゼロより大きい。この好適な方法では、容器は、補償パネルを有していない。というのも、容器内の圧力が正又はゼロであるので補償パネルは不要である。容器の側壁の結晶化の度合いは、30%未満、通常、15〜25%である。
【0042】
本発明の記載では、容器は、常に、ネック部4が上を向いてしめされている。容器の内面全体を無菌とするべく、容器が密閉シールされた後に容器を逆さにすることは常識である。容器を逆さにすることにより、逆さにされている間に高温製品と接触される、ネック部4及びストッパ8の内面が消毒される。製品の高温によって、容器を消毒することにより、容器の内壁に留まっている可能性のある細菌を殺すことが可能であり、製品は、最適に保存される。容器の殺菌は、有利的には、容器の収縮と同時に実施される。
【0043】
本発明により、容器を、非常に正確にかつ再生可能な方法で高温で充填することができることができる。再生可能性は、同一の方法で生産される容器の使用を要求する。試作完成品をブロー成形で製造されるPET容器の場合、例えば、ブロー成形温度を制御することが重要である。これは、収縮特性に大いに影響を与える。製品で充填する間、同じ方法で全てのボトルを充填することが重要である。容器を製造する工程及び容器を充填する工程を制御することにより、非常に安定した製造が可能となる。
【0044】
本発明により、PET容器を熱硬化することなく、100℃でPET容器を充填することができる。100℃で製品を充填することは、容器に充填して容器を密閉シールする段階中において最適な冷却手段を要求する。本発明によれば、容器は100℃で充填されて収縮しうる、又は、容器は、100℃で充填されて、例えば85℃などのより低い温度で収縮しうる。
【0045】
特に高い温度で充填が生じるとき、特定の部分のみが熱処理を受けた容器を使用することが有利である。例えば、容器のその特定部分が収縮するのを防ぐべく、ネック部のみが結晶化される、PET容器を使用することが有利である。一つの特に有利なボトルは、側壁の結晶の度合いよりも結晶の度合いの大きなネック部を有する。
【0046】
容器の底部は、収縮中において、ボトル内で形成されている、温度及び圧力の両方に耐えるように設計されている。結晶の度合いが低い場合でも、花弁状のタイプの底部は、特に安定していることが判明している。非常に延伸された底部は、自由な吹き込み(泡形状)で得られる幾何学的形状に近い幾何学的形状を持ち、充填工程に非常に適している。
【0047】
より一般的には、優先的な収縮ゾーンを有している容器を作ることが有利である。これらの優先的な収縮ゾーンは、収縮ゾーン内の比較的に高い分子配向を生成することによって、容器の製造中において、作られうる。ブロー成形によって製造されるPET容器では、優先的な収縮ゾーンは、延伸率及び延伸温度を変えることによって作られうる。低いブロー成形温度又は高い延伸率により、収縮を増加することができる。
【0048】
図9は、優先的な収縮ゾーンを有する別の方法を示している。この方法は、収縮段階中において、容器の特定部分が収縮するのを停止することからなる。手段7は、容器の下側部分を冷却し、容器のこの部分を収縮させることを防ぐ。冷却されていない容器の上側部分は、収縮する。
【0049】
本発明を実施する第一の方法は、ボトル等の、二軸に配向されたPET容器の高温充填に特に適している。本発明により、熱硬化処理を受けるボトルを使用することを未然に防ぐことができる。これにより、補償パネルのないボトルを使用し、100℃の温度で充填することができる。本発明により、厚さが0.3mm未満の、薄い壁のボトルを使用することができる。最後に、本発明により、わずかな残留内部圧力を有するボトルを得ることができる。この圧力は、高温で充填工程中において容器の収縮によって生じる。
【0050】
本発明は、高温で収縮する多種多様の容器を高温充填するために用いることができる。フィルムで製造されている容器を使用することができる。図10及び11は、フィルム製の容器に高温の液体を充填している様子を示している。
【0051】
図10は、容器を密閉シールする段階を示している。容器1は、ネック部4及び底部6に接合されている管状本体5を備えている。この管状本体5は、高温の作用で収縮するフィルムで作られている。このフィルムは、一つ以上の層を備え、収縮特性を生じるべく、十分に高度の分子配向を有している。このフィルムは、収縮特性を損なう可能性のある、熱硬化を受けない。フィルム5と端部4及び6との間の接合は、溶接によって行われうる。これら端部4及び6は、一般に、管状本体5よりも大きな厚さを有し、成形によって製造されうる。好適な実施例によれば、容器のネック部及び底部を形成する端部4及び6は、それぞれ、高温の作用の下で収縮しない。容器1には、高温製品9で充填され、ストッパ8で密閉シールされる。一定体積の気体10が、密閉シール中において、頭部空間内で捕捉される。図10に示すように、容器の外壁は、高温充填及び密閉シール中に必ずしも冷却されない。冷却は、密閉シールの前に容器の収縮を制限又は防ぐために必要となりうる。
【0052】
図11は、容器及びその中身が気温へ冷却された後に収縮した容器1を示している。管状本体5のみが、高温の作用の下で収縮する。冷却後、容器1内の残留した相対圧力は、正かゼロである。容器内のわずかな過剰圧力は、容器の把持手段を改良し、垂直方向の圧縮への抵抗を増すのに望ましい。
【0053】
しかしながら、容器の収縮は、容器内の製品の体積の変化を補償するのに十分でないということが起こりうる。これは、特に、製品の体積と比べて気体の体積が小さい、大容量ボトルの場合に特に起こりうる。また、低い収縮力を生じる、非常に薄い壁を有するボトルの場合でも同様に起こりうる。最後に、ボトル内で捕捉される酸素の量を最小化するべく、高度の充填を有するボトルの場合である。容器が充填された後にボトル内で負圧が生じるのを防ぐために、充填中に外部熱源を用いてボトルを加熱する段階を追加することが提案されている。この加熱段階により、正確な瞬間に収縮を開始できる、又は、収縮の大きさが増す。
【0054】
第一の変形例は、容器が充填されて密閉シールされた直後に容器を少なくとも部分的に加熱することからなる。この加熱は、容器の収縮を増す作用と、頭部空間内に収容されている気体を圧縮する作用とを有している。冷却時には、圧力下の気体が膨張する。
【0055】
第二の実施例では、容器が加熱され、その一方で、容器及びその中身が既に冷却され始めている。好ましくは、中間壁の温度はガラス遷移温度に近い時に容器が加熱される。
【0056】
第三の実施例では、冷却が終了した時に容器が加熱される。この加熱により、容器の壁が、収縮し、容器内で正又はゼロの相対圧力を生じる。
【0057】
好ましくは、容器の加熱は側壁上で生じる。いわゆる収縮ゾーンと呼ばれる、予め定めたゾーンにおいて局所的に容器の壁を加熱することが有利となりうる。
【0058】
有利的には、容器内に収容されている製品の加熱を制限するべく、加熱は迅速な高温加熱である。温風を吹き付けることによる加熱は有利である。一般に、ボトルは、対称軸線回りで一様に収縮する。対称軸線回りにボトルを回転させつつボトルがオーブン上を通過することによって、一様な収縮を得ることができる。別の方法は、容器の壁を収縮させるべく赤外線ランプを用いることからなる。
【0059】
図12及び13は、収縮温度より低い温度で充填された容器を加圧するために収縮特性を用いることからなる工程を実施する第二の方法を示している。充填の後に容器を加圧することは、容器が厚さの薄い壁を有する時に特に有用である。この圧力を生じる従来の方法は、充填後に、頭部空間内に窒素等の気体を追加することからなる。気体の状態の変化は、わずかな過剰圧力を生じ、この過剰圧力により、容器の強度が改良され、容器が使い易くなる。本発明により、頭部空間内に特定の気体を追加することなく、この過剰圧力を生じさせることができる。
【0060】
図12は、容器の収縮温度未満である低温の製品9で充填されている容器1を示している。ストッパ4は、容器1を密閉シールする。一定体積の空気10は、容器に包囲され、かつ容器の収縮ゾーン内に位置する。手段12は、容器の体積をわずかに減らしかつ空気10の体積をわずかに圧縮するべく、上記収縮ゾーンを少なくとも加熱する。
【0061】
図13は、収縮された容器を示す。高さ3の減少は、容器の体積の変化を示すのに役立っている。容器内の空気10の体積は、減少し、これは、空気がわずかに圧縮されているということを意味している。本発明は、ボトル等のPET容器を加圧するのに特に有利である。
【0062】
本発明は、充填中に容器の収縮特性を用いることからなり、充填中において容器の収縮を考慮した、容器の形状を要求する。容器は、最終的な体積が所望の体積に対応するように設計されなければならない。一般に、容器の収縮は、1〜20%であり、好ましくは、3〜15%である。
【0063】
例1
ボトルは、重量が24グラムで、底部が花弁状のタイプである。最初の体積は543.2mlである。以下に述べる操作方法で90℃で充填した後に、体積は508.7mlとなった。それゆえ、ボトルは、充填中に6.35%だけ収縮した。冷却後に、ボトル内の相対的圧力はわずかに正である。
【0064】
ボトルは、以下の操作方法を用いて充填された。
1.空のボトルの提供
2.ボトルの洗浄
3.ボトルを供給部署へ移送
4.15℃の水を噴霧することによるボトルの外壁の冷却の開始
a.90℃の水でボトルを充填する
i.充填時間:4秒
ii.充填体積:最初の体積の92%、すなわち499.7ml
b.シール部署への移送
i.期間:1秒
c.ボトルのシール閉鎖
i.ストッパの期間:1秒
5.ボトルの外壁の冷却の終了
6.外気におけるボトルの収縮
i.収縮段階及び移送
ii.大気の温度:20℃
iii.期間:3分
7.ボトルの迅速な冷却
i.容器及びその中身が気温に戻るまで15℃の水が噴霧されることにより冷却
【0065】
例2
ボトルは、重量が37.4グラムで、底部が花弁状のタイプである。最初の体積は1064.2mlである。以下に述べる操作方法で88℃で充填した後に、体積は1012.1mlとなった。それゆえ、ボトルは、充填中に4.9%だけ収縮した。冷却後に、ボトル内の相対的圧力はわずかに正である。
【0066】
ボトルは、以下の操作方法を用いて充填された。
1.空のボトルの提供
2.ボトルの洗浄
3.ボトルを供給部署へ移送
4.15℃の水を噴霧することによるボトルの外壁の冷却の開始
a.88℃の水でボトルを充填する
i.充填時間:8秒
ii.充填体積:最初の体積の92%、すなわち979.1ml
b.シール部署への移送
i.期間:1秒
c.ボトルのシール閉鎖
i.ストッパの期間:1秒
5.ボトルの外壁の冷却の終了
6.外気におけるボトルの収縮
i.収縮段階及び移送
ii.大気の温度:20℃
iii.期間:3分
7.ボトルの迅速な冷却
i.容器及びその中身が気温に戻るまで20℃の水が噴霧されることにより冷却
【0067】
例3
ボトルは、重量が24グラムで、底部が花弁状のタイプである。最初の体積は543.2mlである。以下に述べる操作方法で95℃で充填した後に、体積は489.5mlとなった。それゆえ、ボトルは、充填中に9.89%だけ収縮した。冷却後に、ボトル内の相対的圧力はわずかに正である。
【0068】
ボトルは、以下の操作方法を用いて充填された。
1.空のボトルの提供
2.ボトルの洗浄
3.ボトルを供給部署へ移送
4.5℃の水を噴霧することによるボトルの外壁の冷却の開始
a.95℃の水でボトルを充填する
i.充填時間:4秒
ii.充填体積:最初の体積の92%、すなわち499.7ml
b.シール部署への移送
i.期間:1秒
c.ボトルのシール閉鎖
i.ストッパの期間:1秒
5.ボトルの外壁の冷却の終了
6.外気におけるボトルの収縮
i.収縮段階及び移送
ii.大気の温度:20℃
iii.期間:3分
7.ボトルの迅速な冷却
i.容器及びその中身が気温に戻るまで20℃の水が噴霧されることにより冷却
【0069】
例4
ボトルは、重量が46グラムで、底部が花弁状のタイプである。最初の体積は1556mlである。以下に述べる操作方法で88℃で充填した後に、体積は1503.8mlとなった。それゆえ、ボトルは、充填中に3.4%だけ収縮した。冷却後に、ボトル内の相対的圧力はわずかに正である。
【0070】
ボトルは、以下の操作方法を用いて充填された。
1.空のボトルの提供
2.ボトルの洗浄
3.ボトルを供給部署へ移送
4.5℃の水を噴霧することによるボトルの外壁の冷却の開始
a.88℃の水でボトルを充填する
i.充填時間:6秒
ii.充填体積:最初の体積の92%、すなわちxxxml
b.シール部署への移送
i.期間:1秒
c.ボトルのシール閉鎖
i.ストッパの期間:1秒
5.ボトルの外壁の冷却の終了
6.外気におけるボトルの収縮
i.収縮段階及び移送
ii.大気の温度:20℃
iii.期間:3分
7.温風(400℃)によるボトルの側壁の加熱
i.ボトルの壁の収縮
ii.ボトル内の圧力の増加
8.ボトルの迅速な冷却
i.容器及びその中身が気温に戻るまで20℃の水が噴霧されることにより冷却
【0071】
例5
ボトルは、重量が46グラムで、底部が花弁状のタイプである。最初の体積は1556mlである。以下に述べる操作方法で98℃で充填した後に、体積は1455mlとなった。それゆえ、ボトルは、充填中に6.5%だけ収縮した。冷却後に、ボトル内の相対的圧力はわずかに正である。
【0072】
ボトルは、以下の操作方法を用いて充填された。
1.空のボトルの提供
2.ボトルの洗浄
3.ボトルを供給部署へ移送
4.5℃の水を噴霧することによるボトルの外壁の冷却の開始
a.98℃の水でボトルを充填する
i.充填時間:6秒
ii.充填体積:92%
b.シール部署への移送
i.期間:1秒
c.ボトルのシール閉鎖
i.ストッパの期間:1秒
5.ボトルの外壁の冷却の終了
6.外気におけるボトルの収縮
i.収縮段階及び移送
ii.大気の温度:20℃
iii.期間:3分
7.ボトルの迅速な冷却
i.容器及びその中身が気温に戻るまで20℃の水が噴霧されることにより冷却
8.温風(400℃)によるボトルの側壁の加熱
i.ボトルの壁の収縮
ii.ボトル内の圧力の増加
【図1−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高度の分子配向を有するプラスチック製容器(1)に液体で充填する方法において、
前記方法は、
高温の液体で前記容器(1)を充填する段階と、
前記充填する段階中において、前記容器(1)の複数の壁(5)を冷却する段階と、
前記容器(1)をシールする段階と、
前記シールする段階中において、前記容器(1)の前記複数の壁(5)を冷却する段階と、
前記シールする段階の後に前記容器(1)の受動的な収縮の段階と、
前記収縮の段階の後に前記容器(1)の前記複数の壁(5)を冷却する段階とを備えている、高度の分子配向を有するプラスチック製容器(1)に液体で充填する方法。
【請求項2】
前記容器(1)の前記複数の壁(5)の一部分が冷却される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記容器(1)の前記複数の壁(5)は、前記シールする段階の後に少なくとも部分的に加熱される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記充填する段階の後かつ前記シールする段階の前において、窒素又は二酸化炭素の気体が前記容器(1)に追加される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
容器(1)の高温充填のための手段と、
前記容器(1)の複数の壁(5)を冷却する手段(7)と、
前記容器(1)をシールする手段と、
前記容器(1)が収縮するのを許容する手段とを備えている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法を実施する装置。
【請求項6】
前記容器(1)の複数の壁(5)を加熱する手段をさらに備えている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
液体を収容し、かつ請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法によって得られる、高度に配向されたプラスチック容器(1)において、
前記容器(1)の充填の後の体積が、前記容器(1)の最初の体積よりも小さいことを特徴とする、高度に配向されたプラスチック容器(1)。
【請求項8】
高温で充填されるための、二軸に配向されたPET容器(1)において、
前記PET容器(1)は、補償パネルを有しておらず、かつ請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法によって得られ、
前記容器(1)の複数の側壁(5)の結晶化度は、30%未満であり、充填後の前記容器(1)の体積は、前記容器(1)の最初の体積よりも小さいことを特徴とする、高温で充填されるための、二軸に配向されたPET容器(1)。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12−13】
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【公表番号】特表2010−523413(P2010−523413A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501621(P2010−501621)
【出願日】平成20年2月24日(2008.2.24)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050661
【国際公開番号】WO2008/120115
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(508053821)エイサパック ホールディング ソシエテ アノニム (16)
【Fターム(参考)】