説明

収縮特性を有する熱成形可能な包装材料

本発明は、熱成形可能な多層フィルムであって、その長さ方向および横方向の各々における熱収縮性が、20%以上であり、熱成形によって実質的に影響されない、多層フィルムに関する。パッケージを製造するために、本発明の多層フィルムを有利に加工する装置も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱成形可能であると同時に熱収縮可能な多層フィルムであって、熱収縮性が実質的に熱成形によって影響されない多層フィルム、さらに少なくとも、これらの多層フィルムから製造される包装トレイ、および適合する包装機械によって製造される対応するパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、食品は、食品が配置される包装トレイと、包装トレイを密封する蓋フィルムとからなるプラスチックパッケージ内に入れられて、販売されることがさらに一層多くなっている。
【0003】
包装トレイは、従来、熱成形性多層フィルムを熱への露出による熱成形によって製造されている。また、包装される製品が導入された後、この包装トレイは、熱への露出、すなわち、熱融着によって蓋材料に融着される。
【0004】
蓋フィルムが熱収縮性多層フィルムであるこの種のパッケージは、公知である。
【0005】
熱収縮性多層フィルムは、通常、二軸配向されたフィルムであり、食品、特に鶏肉または新鮮な肉のような腐敗し易い食品の包装に用いられている。前記多層フィルムは、好ましくは、ガスおよび/または香気の浸透を阻止するバリア層を備えている。熱収縮性多層フィルムは、その軟化点に加熱されると、元の配向されていない寸法に収縮して戻る性質を有している。二軸配向された多層フィルムは、その製造のプロセスに基づいて、長さ方向と横方向の両方に延伸され、多くの場合、長さ方向と横方向の両方において、35%の熱収縮性(収縮能力)を有している。
【0006】
包装トレイを製造するのに用いられるフィルムウエブが熱収縮性多層フィルムであるパッケージが必要とされている。しかし、これを達成するのは、困難である。従来の包装材料の場合、包装トレイを製造するのに必要とされる材料の熱成形性が、通常、その材料に同時に存在する熱収縮性の妨げになる。一方では、従来の熱収縮性多層フィルムを熱成形すると、多くの場合、層間剥離が生じる。他方では、従来の熱成形性多層フィルムを熱成形すると、通常、熱成形領域において、どのような熱収縮性も示さないかまたはわずかな熱収縮性しか示さない包装トレイが得られる。
【0007】
熱成形可能であると同時に熱収縮可能な包装材料は、特に有利である。このような包装材料は、特に、包装トレイと蓋フィルムの両方が熱収縮性材料から形成される場合、包装された製品を緊密に密閉するのに用いられる。このような包装材料は、その熱的特性および機械的特性に関して、特別の要件を満たさねばならない。例えば、熱成形によって包装トレイを成形し、次いで、蓋フィルムによって融着した後でのみ、収縮プロセスが開始されるべきである。何故なら、このように制御されることによって、包装される製品の少なくとも部分的な密閉が達成されるからである。従って、一方では、包装トレイを得るための熱成形が、その付随する熱への露出によって収縮プロセスを開始させることなく、なされることが可能でなければならない。他方では、包装トレイの蓋フィルムへの融着、すなわち、熱溶着も、その付随する熱への露出によって収縮プロセスを開始させることなく、なされることが可能でなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、先行技術による包装材料を上回る利点を有する包装材料を提供することにある。特に、この包装材料は、包装材料の著しい収縮を生じることなく、包装トレイを得るために熱成形され、包装される製品を導入した後、蓋フィルムに融着されることが可能であるべきである。この後でのみ、収縮プロセスが、従来の手段、例えば、熱への露出によって開始されるべきである。これによって、閉鎖されたパッケージが、包装される製品に対して、少なくとも部分的に密着されることになる。一方では、熱成形および熱融着の後、著しい層間接着が確保されるべきであり、他方では、十分な熱収縮性がさらに持続されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、長さ方向および横方向のいずれにおいても、少なくとも20%の熱収縮性を有する熱成形可能な多層フィルムであって、前記熱収縮性が熱成形によって実質的に影響されない多層フィルムによって、達成される。好ましくは、本発明による多層フィルムの熱収縮性は、長さ方向および横方向のいずれにおいても、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも30%、さらに好ましくは、少なくとも35%、最も好ましくは、少なくとも40%、特に、少なくとも45%である。
【0010】
驚くことに、一方では、熱成形可能で、さらに熱成形の後に十分な層間接着を呈し、他方では、熱収縮可能で、適切な機器を用いる熱成形の過程において、熱への露出がこの特性に事実上影響を与えない多層フィルムが、製造され得ることが見出された。
【0011】
「実質的に影響されない」または「事実上影響を受けない」という用語は、好ましくは、この明細書の目的では、本発明による多層フィルムの熱成形前の熱収縮性と、本発明による多層フィルムの熱成形後の熱収縮性とが、わずかしか変化しない、または事実上変化しないことを意味している。万一熱成形が熱収縮性の減少を引き起こす場合、その熱収縮性の減少は、好ましくは、多層フィルムの元の熱収縮性に対して、10%未満、より好ましくは、7.5%未満、特に、5%未満である。
【0012】
好ましくは、本発明による多層フィルムは、熱融着可能である。この多層フィルムの熱収縮性は、好ましくは、熱融着によっても実質的に影響されない。
【0013】
一実施形態では、本発明は、熱成形可能な熱収縮性多層フィルムにおいて、以下の層、すなわち、
・少なくとも1つの熱可塑性ポリマーに基づく下地層(T)と、
・DIN ISO 1133に基づき、190℃および2.16kgの条件下で測定された、0.1〜2.0g/10分の範囲内にあるメルトフローインデックスMFIを有する少なくとも1つのポリマーに基づく連結剤層(H1)であって、その層厚みが連結剤層(H1)に直接的に隣接する層の少なくとも1つの層厚みよりも大きい、連結剤層(H1)と、
・任意選択的な酸素の浸透を阻止するバリア層(B)と、
・DIN ISO 1133に基づき、190℃および2.16kgの条件下で測定された、0.1から2.0g/10分の範囲内にあるメルトフローインデックスMFIを有する少なくとも1つのポリマーに基づく任意選択的な連結剤層(H2)であって、その層厚みが連結剤層(H2)に直接的に隣接する層の少なくとも1つの層厚みよりも大きい、連結剤層(H2)と、
・多層フィルムの2つの表面層の一方をなし、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーに基づく融着層(S)と、
を備える多層フィルムに関する。
【0014】
多層フィルム内の個々の層の配列は、好ましくは、上記の列挙した順序、すなわち、(T)//(H1)//(B)//(H2)//(S)である。記号「//」は、2つの隣接する層間の界面を示している。勿論、「//」によって隔てられた2つの層は、直接的に前後に続く必要はなく、すなわち、互いに接触する必要はなく、さらに他の層をそれらの間に挿入することも可能である。本発明によれば、(T)//(H1)//(S)および(T)//(H1)//(B)//(H2)//(S)の層配列を有する多層フィルムが、特に好ましい。
【0015】
好ましくは、連結剤層(H1)と任意選択的に存在する連結剤層(H2)のメルトフローインデックスMFIは、同じであってもよいし、異なっていてもよいが、DIN ISO 1133に基づき、190℃および2.16kgの条件下で測定された、0.2〜1.9g/10分、より好ましくは、0.3〜1.8g/10分、さらに好ましくは、0.4〜1.7g/10分、最も好ましくは、0.5〜1.6g/10分、特に、0.6〜1.5g/10分の範囲内にある。
【0016】
原理的に、連結剤層(H1)および任意選択的な連結剤層(H2)に対しては、種々のポリマー、コポリマー、またはそれらの混合物が考えられる。好ましくは、連結剤層(H1)および任意選択的に存在する連結剤層(H2)は、同じであってもよいし、異なっていてもよいが、エチレン/酢酸ビニルコポリマーに基づくとよい。特に好ましくは、このエチレン/酢酸ビニルコポリマーは、同じであってもよいし、異なっていてもよいが、ASTM E−168に基づいて測定された、3〜18モル%、より好ましくは、5〜17モル%、最も好ましくは、10〜16モル%の範囲内にある酢酸ビニルを含むものである。このエチレン/酢酸ビニルコポリマーをさらに変性させることが可能である。これに関連して、アクリル酸/アクリレートで変性されたエチレン/酢酸ビニルコポリマー、無水物で変性されたエチレン/酢酸ビニルコポリマー、または前述のポリマーの少なくとも1つを含むポリマーブレンドが挙げられる。
【0017】
好ましい実施形態では、連結剤層(H1)の層厚みは、連結剤層(H1)に直接的に隣接する2つの層のいずれの層厚みよりも大きく、および/または任意選択的に存在する連結剤層(H2)の層厚みは、連結剤層(H2)に直接的に隣接する2つの層のいずれの層厚みよりも大きい。驚くことに、連結剤層(H1)および任意選択的に存在する連結剤層(H2)の層厚みを適切に選択することによって、熱成形の過程における各連結剤層によって互いに接合された層の剥離を避けることが可能であることが見出されている。
【0018】
特に好ましくは、連結剤層(H1)および任意選択的に存在する連結剤層(H2)は、同じであってもよいし、異なっていてもよいが、少なくとも20μm、より好ましくは、少なくとも25μm、さらに好ましくは、少なくとも30μm、最も好ましくは、少なくとも35μm、特に、少なくとも40μmのフィルム厚みを有している。
【0019】
本発明による多層フィルムの好ましい実施形態では、下地層(T)は、多層フィルムの2つの表面層の1つをなしている。
【0020】
好ましくは、本発明による多層フィルムの下地層(T)は、少なくとも1つのポリオレフィン、オレフィンコポリマー、ポリエステル、またはそれらの混合物に基づいている。好ましくは、このポリマーは、ポリエチレン、エチレンコポリマー、ポリプロピレン、およびプロピレンコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーである。好ましいポリオレフィンは、ポリエチレン、特に、最大で0.92g/cm3の密度を有するポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、エチレンコポリマー、特に、エチレン/酢酸ビニルコポリマーおよび/またはプロピレンコポリマーである。特に好ましくは、下地層(T)は、ポリプロピレン、プロピレンコポリマー(特に、プロピレンランダムコポリマーまたはプロピレンブロックコポリマー)、またはそれらの混合物に基づいている。
【0021】
下地層(T)は、従来の添加物、例えば、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、および/またはスリップ剤を含んでいてもよい。
【0022】
好ましくは、下地層(T)の層厚みは、本発明による多層フィルムの全フィルム厚みの50%未満、好ましくは、25%未満である。好ましくは、下地層(T)は、5〜100μm、より好ましくは、6〜75μm、さらに好ましくは、7〜50μm、最も好ましくは、8〜35μm、特に、9〜15μmの範囲内にある層厚みを有している。
【0023】
本発明による多層フィルムの融着層(S)は、好ましくは、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、ポリアルキルメタクリレート、アルキルメタクリレートコポリマー、アイオノマー、またはそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーに、少なくとも基づいている。
【0024】
好ましい実施形態では、融着層(S)は、メタロセン(m−PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、および線状低密度ポリエチレン(LLDPE)によって作製されるポリエチレンからなる群から選択される少なくとも1つのポリエチレンに基づいている。特に好ましくは、融着層(S)は、m−PE、LDPE、LLDPE、またはそれらの混合物に基づいている。好ましくは、融着層(S)は、少なくとも1つのポリエチレン、特に好ましくは、m−PE(メタロセンポリエチレン)、特に好ましくは、0.9g/cm3以上の密度を有するm−PEと、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、好ましくは、0.9g/cm3以上の密度を有するLLDPEとの混合物に基づいている。好ましい実施形態では、混合物は、いずれの場合も、融着層(S)の全重量に対して、70〜85重量%のm−PE、30〜15重量%のLLDPE、および任意選択的に、5重量%以下の従来の添加物を含んでいる。また、融着層(S)は、少なくとも1つのポリプロピレンおよび/またはプロピレンコポリマー、好ましくは、プロピレン/エチレンコポリマーに基づいてもよい。好ましい実施形態では、熱融着層(S)は、少なくとも1つのアクリル酸コポリマー、特に、アイオノマー、すなわち、エチレン/アクリル酸コポリマーまたはエチレン/メタクリル酸コポリマーに基づき、これらのポリマーは、いずれの場合も、少なくとも一部が、好ましくは、35%以下が、塩、好ましくは、Na塩またはZn塩として、(好ましくは、サーリン(Surlyn)(登録商標)におけるように、例えば、少なくとも一部が亜鉛塩として)、含まれている。融着温度は、好ましくは、100℃〜140℃の範囲内にある。融着層(S)の溶融温度は、好ましくは、90〜140℃、特に好ましくは、95℃〜130℃の範囲内にある。融着層(S)は、従来の助剤、例えば、帯電防止剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、および/またはスペーサを含んでいてもよい。
【0025】
融着層(S)の層厚みは、好ましくは、本発明による多層フィルムの全フィルム厚みの最大で25%である。好ましくは、融着層(S)は、5〜25μm、より好ましくは、7.5〜20μm、特に、10〜20μmの範囲内にある層厚みを有している。
【0026】
好ましい実施形態では、本発明による多層フィルムは、下地層(T)に加えて、連結剤層(H1)および融着層(S)と、酸素の浸透を阻止するバリア層(B)および/または連結剤層(H2)、好ましくは、酸素の浸透を阻止するバリア層(B)および連結剤層(H2)とを備えている。
【0027】
バリア層(B)は、好ましくは、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデンコポリマー、特に、10重量%以下のメタクリル酸単位を有する塩化ビニリデン/メタクリル酸コポリマー、またはそれらの混合物に基づいている。エチレン/ビニルアルコールコポリマー(EVOH)も、原理的に、適している。酸素の不浸透性を測定する適切な方法は、当業者に知られている。酸素の浸透性は、好ましくは、DIN 53380に基づいて測定された、最大で70、より好ましくは、最大で50、さらに好ましくは、最大で40、最も好ましくは、最大で30、特に、最大で20「cm3-2-1バールO2」である。好ましくは、バリア層の厚みは、このバリア効果が発揮されるように選択されている。この点に関して、熱成形の結果として、フィルム厚みが、多層フィルムの熱成形領域では低減されることが考慮されるべきである。酸素の浸透性は、好ましくは、熱成形の後でも、前述の値に保たれている。
【0028】
好ましい実施形態では、バリア層(B)は、5〜50μm、より好ましくは、7.5〜25μm、特に、9〜15μmの範囲内にある層厚みを有している。
【0029】
原理的に、本発明による多層フィルムは、1つまたは複数の層とは無関係に、従来の添加物または助剤を付加的に含んでいてもよい。多層フィルムの表面スリップ特性を変えるためには、少なくとも1つの層が、スリップ剤を含んでいてもよい。スリップ剤は、好ましくは、下地層(T)および/または融着層(S)内に含まれるべきであるが、付加的にそれらの間の層の少なくとも1つに含まれていてもよい。加えて、多層フィルムは、1つまたは複数の層に、従来の安定化剤、酸化防止剤、可塑剤、加工助剤、UV吸収剤、充填剤、難燃剤、帯電防止剤などを含んでいてもよい。このような物質は、当業者に知られている。
【0030】
本発明による多層フィルムの特に好ましい実施形態を以下の表に列挙する。この多層フィルムは、(T)//(H1)//(B)//(H2)//(S)の構造を有している。
【0031】
【表1】

【0032】
本発明による特に好ましい多層フィルムは、以下の構造を有している。
【0033】
【表2】

【0034】
本発明による多層フィルムは、さらに他の複数の層、例えば、同じであってもよいし、異なっていてもよいが、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、およびポリエステルからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーに基づく複数の層を含んでいてもよい。
【0035】
本発明による多層フィルムは、印刷されてもよい。具体的には、多層フィルムの少なくとも1つの層は、印刷されてもよく、および/または有機または無機染料および顔料のような添加物によって、着色されていてもよい。
【0036】
好ましい実施形態では、本発明による多層フィルムは、透明である。本発明の目的では、「透明」という用語は、包装された製品が、熱成形性多層フィルムを通して裸眼によって見えることを意味している。透明性は、好ましくは、密度計によって定量化されている。このような方法は、当業者には馴染み深いものである。好ましくは、混濁度が透明性の目安になる光学値として測定されるとよい。混濁度の測定は、好ましくは、0.3〜34%の範囲内にある混濁度の基準を用いて測定器具を較正した後、ASTM試験規格D 1003−61mの手順Aに基づいて、行なわれる。適切な測定器具の一例として、積分球を有するByk-Gardner社製の混濁度メータが挙げられる。前記混濁度メータは、8°〜160°の立体角にわたって、拡散光透過率の値を統合測定することが可能である。熱成形の後、本発明による多層フィルムは、好ましくは、前述の方法によって測定された、20%未満、より好ましくは、18%未満、さらに好ましくは、15%未満、最も好ましくは、10%未満、特に8%未満の混濁度を呈する。熱成形は、本発明による多層フィルムの光学的な特性に対して、好ましくは、(同一厚みの材料に対して)、全く影響を及ぼさないかまたは殆ど影響を及ぼさない。
【0037】
本発明による多層フィルムは、熱成形可能である。本発明の目的では、「熱成形可能」という用語は、適切な装置によって、熱への露出下において「成形される」、すなわち、加圧(および/または真空引き)によって、例えば、開口したレセプタクル、好ましくは、トレイを生じるように、賦形される材料を意味している。この材料は、熱可塑性を有する材料である。従って、この材料は、加熱されたときに変形されるが、室温では十分な寸法安定性を示し、その結果、熱成形によって予め定められた形状(例えば、トレイ)は、収縮プロセスが熱の入力によって開始されるまで、保持されることになる。
【0038】
本発明による多層フィルムは、熱収縮可能である。この目的を達成するために、多層フィルムは、好ましくは、二軸配向されている。具体的には、多層フィルムは、好ましくは、長さ方向(すなわち、機械方向)において、1:5〜1:3、好ましくは、1:3.5〜1:4.5の延伸比を有し、横方向において、1:5〜1:3、好ましくは、1:3.5〜1:4.5の延伸比を有している。この明細書における層厚みの詳細は、長さ方向および横方向に配向された後の本発明による多層フィルムのそれぞれの層の層厚みとして、理解されるべきである。
【0039】
本発明による多層フィルムの場合、1つの層または全ての層は、耐摩耗性および/または耐破裂性を改良するために、互いに架橋されているとよい。この架橋は、例えば、β線(高エネルギー電子)を用いることによって、達成されているとよい。この放射源は、略150kV〜略300kVの範囲内において作動するどのような所望の電子発生器であってもよい。放射は、60kGy以下の放射量で従来通りに行なわれるとよく、好ましい放射量は、2〜15Mradの範囲内にある。
【0040】
本発明による多層フィルムは、好ましくは、50〜250μm、より好ましくは、60〜200μm、さらに好ましくは、70〜170μm、最も好ましくは、80〜150μm、特に、90〜130μmの範囲内にある全フィルム厚みを有している。
【0041】
本発明による多層フィルムの製造は、サブステップとして、ブロー成形法、フィルム成形法、コーティング法、押出成形法、共押出成形法または対応する共押出コーティング法、または積層法を含んでいる。これらの方法の組合せも可能である。このような方法は、当業者に知られている。これに関連して、例えば、A.L.Brody、K. S. Marsh、「包装技術のワイリー百科事典」(Wiley-Interscience、第2版、1997年);W.Soroka、「包装技術の基礎」(Institute of Packaging Professionals、1995年);J. Nentwig、「プラスチックフィルム」(Hanser Fachbuch、2000年);およびS. E. M. Selke、「プラスチック包装技術入門」(ハンサー入門シリーズ)(Hanser Gardner Publications、1997年)を参照されたい。当技術分野において常用される周知の製造設備も検討されるとよい。フィルム共押出の場合、好ましくは、急冷を可能とする設備、例えば、大径チルロールが用いられている。
【0042】
多層フィルムの層構造に用いられるポリマーは、市販され、当技術分野において十分に報じられているものである。本発明による多層フィルムを製造するために、ポリマーは、従来の混合機において必要とされる限りにおいて、従来方式でペレットまたは顆粒の形態で混合され、さらに、好ましくは押出機によって溶融することによって、処理される。もし多層フィルムが食品の包装を目的とする場合、用いられるポリマーは、全て、食品パッケージ用として認可されていなければならない。
【0043】
本発明による多層フィルムは、商品、好ましくは、食品、特に好ましくは、腐敗し易い食品の包装に極めて適している。この多層フィルムは、例えば、肉、肴、野菜、果物、乳製品、燻製物、インスタント食品、穀類、穀草、パン・菓子類のような食品、および他の物品、例えば、医薬品の包装に適している。
【0044】
また、本発明は、パッケージまたは包装トレイ、好ましくは、食品用パッケージまたは包装トレイを製造するための熱成形可能な熱収縮性多層フィルム、好ましくは、本発明による熱成形可能な熱収縮性多層フィルムの使用も提供している。パッケージの製造では、熱収縮性包装トレイが、好ましくは、まず多層フィルムを熱成形することによって得られる。この多層フィルムの独特の特性によって、熱収縮性は、特に多層フィルムの熱成形領域においても、好ましくは、熱成形によって実質的に影響されない。
【0045】
加えて、本発明は、熱成形された熱収縮性包装トレイを製造する方法であって、熱成形可能な熱収縮性多層フィルム、好ましくは、本発明による熱成形可能な熱収縮性多層フィルムを、熱収縮性が熱成形領域において実質的に影響されない条件下で、熱成形することを含む方法に関する。
【0046】
好ましい熱成形プロセスでは、種々の熱成形比、例えば、1:2〜1:5、好ましくは、1:4.5の熱成形比が用いられるとよい。多層フィルムの個々の層厚みは、目的とする熱成形比に適するようにされるとよく、これによって、材料厚みが、その後、熱成形領域においても十分になることが、当業者に知られている。
【0047】
また、本発明は、前述の方法によって得られる熱成形された熱収縮性包装トレイに関する。
【0048】
本発明による多層フィルムは、従来の装置によって熱成形されてもよい。しかし、好ましくは、本発明による多層フィルムを熱成形するには、すなわち、熱成形された熱収縮性包装トレイを形成するには、以下に述べる熱成形装置を用いて、熱成形された包装トレイを製造するとよい。これと関連して、熱収縮性が熱成形によって実質的に影響されない本発明による多層フィルムの特性は、好ましくは、以下に述べるこの熱成形装置による熱成形とも関連している。
【0049】
熱成形された包装トレイを製造する熱成形装置
【0050】
これは、熱成形中に冷却される熱成形工具を用いて、本発明によるフィルムウエブから本発明による熱成形された包装トレイを製造する熱成形装置である。好ましくは、この熱成形工具は、熱成形中に冷却を行なう冷却手段を備えている。このような冷却手段は、熱成形工具の領域に配置され、冷媒、例えば、冷却液または冷却ガスが循環する冷却ダクトであるとよい。
【0051】
好ましくは、この装置は、保持手段を備え、フィルムウエブは、この保持手段と熱成形工具との間に固定されている。好ましくは、フィルムウエブは、熱成形が行なわれる前に、保持手段によって固定されるようになっている。好ましい実施形態では、この保持手段は、同じように、冷却手段を備えている。この冷却手段は、熱成形工具におけるのと同一の冷却手段回路または他の冷却回路に接続されているとよい。特に適切な冷却手段は、例えば、冷凍機などにも用いられるものである。
【0052】
好ましくは、少なくとも1つの冷却手段回路は、熱成形工具および/または保持手段が常に実質的に一定の温度であるように、制御、例えば、温度制御されるようになっている。
【0053】
また、熱成形装置が、フィルムウエブを、特に熱成形の前に、加熱する加熱手段、特に好ましくは、加熱板を備えていると、好ましい。フィルムウエブが、特に好ましくは、熱成形の前に加熱されると、フィルムウエブの過熱を避けると共に、熱成形工具または加熱手段の冷却中に多くの熱を散逸させねばならないことを防ぐために、加熱手段は、フィルムウエブから再び離され、および/またはその電源が切られる。好ましくは、加熱は、所望の領域のみ、特に、後で冷却されねばならない領域以外の領域のみが加熱されるように、局部的な個所を対象として、行なわれる。当業者であれば、フィルムウエブの一部の領域が加熱中に加熱されるのを防ぐために、および/またはこれらの領域の望ましくない加熱を防止するために、加熱と冷却が同時に行なわれてもよいことが認めるだろう。好ましくは、フィルムウエブは、まず、その一部が加熱され、熱成形前および熱成形中に、冷却される。
【0054】
さらに好ましい実施形態では、熱成形装置は、フィルムウエブを加圧するかまたは熱成形工具内に引き込み、その最終的な形状を達成するための真空手段および/または加圧手段を備えている。
【0055】
熱成形装置は、特に、パッケージ用の本発明による包装トレイの製造に適している。この熱成形装置は、好ましくは、包装機、好ましくは、いわゆる成形/充填/融着式包装機の構成部品であるとよい。
【0056】
前述の熱成形装置を用いて、本発明によるフィルムウエブは、熱成形中に冷却され、熱成形された収縮性包装トレイが、フィルムウエブから製造されることになる。好ましくは、フィルムウエブは、熱成形の前に、適切な位置に固定される。また、好ましくは、フィルムウエブは、熱成形の前に、加熱される。好ましくは、加熱と冷却は、時間をずらして行なわれ、好ましくは、加熱が冷却の前に行なわれる。好ましくは、フィルムウエブは、熱成形の前に、その一部が加熱され、熱成形中に冷却される。熱成形は、当業者に馴染み深いどのような方法によって行なわれてもよい。しかし、好ましくは、熱成形は、過圧および/または減圧(真空)によってなされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
熱成形装置の好ましい実施形態を、図1〜図6と関連して、さらに詳細に説明する。図1は、熱成形前の装置を示している。図2は、本発明によるフィルムウエブの加熱を示している。図3は、包装トレイを得るための熱成形を示している。図4は、保持装置の解除を示している。図5は、本発明による成形された包装トレイを示している。図6は、本発明による熱成形装置を示している。
【0058】
図1は、複数の熱成形チャンバ10を有する熱成形工具3を備える熱成形装置を示している。本発明によれば、この熱成形工具は冷却され、冷却は、この場合、冷媒が通過する孔2を通して、行なわれるようになっている。熱成形工具3の上方には、本発明による収縮性フィルムウエブ1が配置されている。フィルムウエブ1は、後で変形されるが、ここでは、熱成形工具3とクランプフレーム4との間に固定されている。クランプフレーム4も、この場合、冷媒が通過する孔5によって、冷却可能である。フィルムウエブ1の上方には、両矢印6によって示されるように、昇降可能な加熱板7が配置されている。当業者であれば、熱成形工具3も垂直方向に移動可能であることを理解するだろう。
【0059】
図2は、クランプフレーム4と熱成形工具3との間に固定された本発明によるフィルムウエブ1の加熱を示している。この目的を達成するために、加熱板7が、好ましくは、フィルムウエブと接触するように、降下させられている。フィルムウエブは、加熱板の領域において所望の温度を示すまで、加熱されるようになっている。好ましくは、加熱は、時間制御によって行なわれる。
【0060】
フィルムが十分に加熱されるとすぐに、加熱板が再び上昇し、収縮性フィルムウエブ1の熱成形が開始され、本発明による包装トレイ8が得られる(図3)。この場合、熱成形チャンバ10は、真空引きされるとよい。この真空引きによって、フィルムウエブが図示されるように変形されることになる。加熱工程および熱成形工程の全体を通して、熱成形工具およびクランプフレームは、冷却されている。
【0061】
フィルム1が熱成形され、包装トレイ8が得られるとすぐに(図4)、熱成形工具3が降下し、これによって、本発明による包装トレイ8が、熱成形工具3から取り出される。熱成形工具は、得られた包装トレイを熱成形領域から外に運ぶことを可能にするのに十分なほどに下げられ、次いで、フィルムウエブ1の成形が、再開されることになる。
【0062】
図5は、本発明による完成した包装トレイを示している。熱成形型の冷却によって、パッケージの縁9および/またはパッケージの底は、直線状である。何故なら、フィルムウエブは、熱成形後に全く収縮しないか、または熱成形後または熱成形中に極めてわずかしか収縮しないからである。従って、この熱成形によって得られた包装トレイは、熱収縮可能であり、その熱収縮性は、熱成形によって実質的に影響されていない。
【0063】
図6は、本発明による収縮性フィルムウエブから熱成形されたプラスチック包装トレイを製造する熱形成装置を示している。この装置12は、底工具3および上工具19を備えている。底工具3は、製造される包装トレイの形状と逆の形状を備えている。通路2が、底工具に設けられ、これらの通路2を通って、冷媒が循環し、これによって、底工具が冷却されるようになっている。両矢印によって示されるように、底工具は、昇降可能である。図示されないフィルムウエブが、底工具と上工具との間に延在している。上工具19も昇降可能である。同じことが、クランプフレーム4および加熱手段7にも当てはまる。クランプフレームによって、フィルムウエブは、底工具に押圧され、その場に強く固定され、これによって、熱成形可能になる。加えて、クランプフレーム4も、冷媒が循環する通路2を備え、これによって、クランプフレーム4のフレーム部は、冷却可能である。クランプフレームを冷却することによって、特に、クランプフレームの下に位置するフィルムウエブが加熱されず、従って、応力を受けないという利点が得られる。後で、上フィルムが、この領域に融着される。この領域が応力を受けていないので、後で得られるパッケージに対してなされる融着は、極めて高レベルの気密性を発揮することになる。本発明による熱成形装置は、製造される包装トレイごとに、1つの加熱要素7を備えている。これらの加熱要素によって、フィルムウエブは、可能な限り迅速に加熱される。フィルムウエブと各加熱手段との間の熱伝導を改良するために、過圧をフィルムウエブの下の領域に生じさせるとよい。この過圧によって、フィルムウエブが加熱手段に押圧され、その結果、熱伝導が改良される。当業者であれば、フィルムウエブを加熱手段に吸引する減圧をフィルムウエブと加熱手段7との間に生じさせてもよいことを認めるだろう。フィルムウエブは、可塑化温度に達するとすぐに、各熱成形型に対して雄型としても作用する加熱手段7によって加圧され、および/またはフィルムウエブを熱成形型内に吸引する減圧が、熱成形型に加えられる。この熱成形型は、冷却されるので、フィルムウエブは、熱成形中および/または熱成形の直後に、冷却されることになる。この冷却は、フィルムウエブが、フィルムの収縮性による包装トレイの望ましくない回復が生じない温度に達するまで、継続される。
【0064】
従って、本発明のさらに他の態様は、熱成形された熱収縮性包装トレイにも関する。この包装トレイは、好ましくは、本発明による多層フィルムを備えるか、または本発明による多層フィルムから形成されている。この包装トレイでは、熱成形領域における熱収縮性は、長さ方向と横方向のいずれにおいても、少なくとも20%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも30%、さらに好ましくは、すくなくとも35%、最も好ましくは、少なくとも40%、特に、少なくとも45%である。
【0065】
本発明による熱成形された熱収縮性包装トレイは、有利には、パッケージ、好ましくは、食品用のパッケージを製造するのに用いられる。この目的を達成するために、包装される製品は、好ましくは、熱成形された熱収縮性包装トレイに導入され、熱収縮性または非熱収縮性蓋フィルムが、この包装トレイの開口の上に配置される。次いで、任意選択的な熱収縮性蓋フィルムは、熱成形領域における包装トレイの熱収縮性および蓋フィルムの任意選択的な熱収縮性の両方が実質的に影響されない条件下で、熱成形された熱収縮性包装トレイに熱融着される。本発明による熱収縮性多層フィルムは、好ましくは、熱収縮性蓋フィルムとして適している。好ましくは、熱成形された包装トレイを製造するのに用いられる多層フィルムと同一の本発明による熱収縮性多層フィルムが、蓋フィルムとして用いられる。
【0066】
しかし、非収縮性で、比較的剛性のある、好ましくは、熱可塑性材料の多層複合フィルムを、収縮性包装トレイを閉鎖する第2の包装要素として、蓋フィルムに用いることも可能である。
【0067】
特に好ましくは、以下の一連の層、すなわち、
A)任意選択的な発泡ポリオレフィン、好ましくは、発泡プロピレンホモポリマーおよび/またはコポリマー、またはそれらの混合物、または任意選択的な発泡ポリエステル、好ましくは、発泡ポリエチレンテレフタレートの基層と、
B)層A)の少なくとも1つのポリオレフィンまたはポリエステルからなる層と、
C)好ましくは、層A)のポリオレフィンまたは層A)のポリエステルの主モノマーであるモノマーに基づくポリオレフィンに基づく任意選択的な接合層と、
D)任意選択的な連結剤層と、
E)任意選択的な気体および/または香気の浸透を阻止するバリア層と、
F)連結剤層と、
G)融着可能および/または剥離可能な表面層と、
を有する多層フィルムが、この目的に適している。
【0068】
好ましくは、この多層フィルムは、層A)と層B)の全厚みが0.5〜2mmの範囲内にあり、層B)の厚みが層A)の厚みの1/6〜1/2の範囲内にあることによって特徴付けられる。好ましくは、層A)と層B)の全厚みが0.6〜1.4mmの範囲内にあり、層B)の厚みが層A)の厚みの1/6〜1/3の範囲内にある。
【0069】
層A)は、好ましくは、発泡され、好ましくは、少なくとも1つのポリオレフィン、特に好ましくは、発泡プロピレンホモポリマーおよび/またはコポリマーからなっている。何故なら、厚みが薄く、密度の小さいこれらの材料は、すでに必要とされる曲げ強度を有するからである。発泡層A)を得るのに、ポリオレフィンの混合物を用いることも可能である。特に適切な混合物は、長鎖分岐、従って、高溶融強度を有するポリプロピレンと、プロピレン/エチレンコポリマー、例えば、ヘテロ相プロピレン/エチレンブロックコポリマーとからなる。特に適しているのは、長鎖分岐および1.4〜4.2g/10分の範囲内にあるメルトフローインデックスMFIを有するポリプロピレンとヘテロ相のプロピレン/エチレンブロックコポリマーを1:1の混合比で混合したポリマーである。
【0070】
本発明によるパッケージを製造するのに用いられる発泡層、具体的には、任意選択的にポリオレフィンコポリマー、好ましくは、プロピレン/エチレンコポリマーとの混合物の形態にあるポリオレフィン、好ましくは、ポリプロピレンからなる発泡層は、好ましくは、0.1〜0.8g/cm3、特に好ましくは、0.25〜0.5g/cm3の密度を有し、75〜300セル/mm3のセル数を有している。密度およびセル数は、押出および発泡による発泡層の好ましい製造中のプロセスパラメータ、例えば、押出温度または他のプロセスパラメータによって変更されてもよい。同様に、発泡ポリエステル層A)を製造することも可能である。
【0071】
高密度ポリオレフィンの層B)は、実質的に、好ましくは発泡基層A)のポリプロピレンからなっている。もしこの基層が発泡ポリプロピレン、またはポリプロピレンおよびプロピレン/エチレンコポリマーの発泡混合物からなる場合、高密度ポリオレフィン層B)は、好ましくは、ポリプロピレンまたはプロピレン/エチレンコポリマーからなっている。ヘテロ相プロピレン/エチレンブロックコポリマーは、特に好ましい。層B)を得るのに用いられるポリオレフィンのメルトフローインデックス(MFI)は、好ましくは、1.8〜5.5g/10分の範囲内にある。もし層A)が発泡ポリエステルからなる場合、このポリエステルが、層B)を得るのに用いられる。層B)の厚みは、層A)の厚みの1/6〜1/2、特に好ましくは、1/8〜1/3である。
【0072】
もし層D)〜層G)が共押出、好ましくは、共インフレーションフィルム成形によって先に作製され、次いで、他の層に接合される場合、層C)が設けられる。層C)は、ポリオレフィン、好ましくは、発泡層A)のポリオレフィンの主モノマーでもあるモノマーから作製されたポリオレフィン、または層A)のポリエステルに基づいている。従って、もし層A)が発泡ポリプロピレンおよび任意選択的にプロピレン/エチレンコポリマーからなる場合、層C)は、任意選択的に無水マレイン酸でグラフト化されたポリプロピレンからなるとよい。エチレン/酢酸ビニルのコポリマーが、層C)の材料として用いられてもよい。層C)の厚みは、好ましくは、5〜25μm、特に好ましくは、8〜15μmの範囲内にある。
【0073】
本発明による多層フィルムは、低ガス透過性、すなわち、低酸素および湿気透過性および香気保護を有する必要がある場合、バリア層E)を備える。このバリア層は、好ましくは、32〜45モル%、好ましくは、35〜42モル%のエチレンを含むエチレン/ビニルアルコールコポリマーからなっている。バリア層E)は、その各面において、連結剤層D)またはF)によって、接合層C)または表面層G)に接合されている。この目的に用いられる材料は、好ましくは、無水マレイン酸でグラフト化されたプロピレンコポリマーまたはポリエチレンである。
【0074】
表面層G)は、好ましくは、融着可能および/または剥離可能である。従って、この融着可能な層は、好ましくは、(ASTM D1238に基づき、2.16kg、190℃の条件下で測定された)0.5〜0.8g/10分、好ましくは、1〜5g/10分の範囲内のメルトフローインデックス(MFI)を有する低密度ポリエチレン(LDPE)、アイオノマーポリマー、例えば、α−オレフィンと、カルボキシル基を金属塩、好ましくは亜鉛塩として20から100重量%含むエチレン系不飽和モノマーとのコポリマー、または3〜30重量%、好ましくは、4〜6重量%の酢酸ビニルを含むエチレン/酢酸ビニルコポリマーから作製されている。
【0075】
特に好ましい実施形態によれば、融着可能な層は、剥離可能であってもよい。この目的を達成するために、好ましくは、LDPEとポリブチレン(PB)の混合物が層材料として用いられている。この目的を達成するために、この混合物は、15〜30重量%、好ましくは、20〜28重量%のポリブチレンを含んでいる。好ましくは、ポリブチレンは、(ASTM D1238に基づき、190℃および216kgの条件下で測定された)0.3〜2.0g/10分の範囲内にあるメルトフローインデックス(MFI)を有している。
【0076】
好ましくは、表面層の厚みは、10〜50μm、好ましくは、15〜30μmの範囲内にある。
【0077】
LDPEが融着可能な層を作製するポリマーとして用いられ、多層フィルムがバリア層を備える場合、一般的に、もしエチレン/ビニルアルコールコポリマーがバリア層材料として用いられていないなら、連結剤層によって、バリア層と融着層とを接合する必要がある。連結剤の材料として、ポリオレフィン、好ましくは、無水マレイン酸でグラフト化されたポリエチレンが用いられるとよい。しかし、3:1〜4:1の比率のLDPEとLLDPEの混合物を連結剤として用いることも可能である。具体的な連結剤層の厚みは、2〜8μm、有利には、3〜6μmの範囲内にある。
【0078】
表面層G)は、従来から知られているスリップ剤およびブロッキング防止剤、例えば、エルカ酸アミド、ポリジメチルシロキサンのようなポリアルキルシロキサン、および/または二酸化珪素を含んでいてもよい。全ての層または個々の層が、安定化剤および周知の形式のさらに他の添加物を含んでいてもよい。
【0079】
加えて、層B)は、0.5〜2重量%の白色顔料、例えば、カオリン、炭酸カルシウム、滑石粉、二酸化チタン、またはそれらの混合物を含んでいてもよい。このような無機顔料は、好ましくは、30〜50重量%の再生された本発明による多層フィルムを含むマスターバッチの形態で、層B)を作製するのに用いられるポリマーに添加される。
【0080】
蓋フィルムとして適切な多層フィルムは、もしこの多層フィルムが、好ましくは、押出積層ステップによって、(随意的に発泡されると好ましい)ポリオレフィンまたはポリエステルの層A)に接合される層C)〜G)から構成される場合、好ましくは、従来のインフレーションフィルム成形法またはキャストフィルム共押出法によって作製される。この目的を達成するために、層A)と、層C)および層G)からなる多層のフィルムとが、層B)がそれらの間に押し出されるようにして、互いに接合される。押出の直後に、十分な圧力が、このようにして得られた層A)〜層G)の積層体に加えられ、互いに十分に接合される。
【0081】
しかし、このような多層フィルムを共押出によって作製することもできる。この場合、層A)も他の層と同時に共押出しされ、任意選択的に、層C)が省略されてもよく、任意選択的に、層A)が発泡されてもよい。
【0082】
蓋フィルムとして用いられる非収縮性多層フィルムの曲げ強度は、好ましくは、パッケージの蓋が、湾曲されずまたはアーチ状に変形されず、広い範囲にわたって、平坦、すなわち、平面に保たれるように、本発明による包装トレイを製造するのに用いられる本発明による熱収縮性多層フィルムの収縮力に耐えるのに十分なほど大きいとよい。このようにして、パッケージの魅力的な外見が保たれるのみならず、パッケージの貯蔵性、積み重ね性、見栄えが損なわれないことになる。
【0083】
好ましくは、適切な蓋フィルムは、(DIN 53369に基づいて測定された)0.7MPa〜2MPaの包装トレイの収縮力に耐えるために、(DIN 8075に基づき、σ:3.5%の条件下で測定された)10〜20MPaの曲げ強度を有している。
【0084】
従って、本発明は、融着された熱収縮性パッケージにも関するものである。
【0085】
本発明によるこのようなパッケージを製造するために、好ましくは、包装機、特に好ましくは、図8または図9に示される包装機が用いられている。この包装機は、好ましくは、前述の熱成形装置を熱成形ステーションとして備えていると共に、好ましくは、後述の融着装置、特に好ましくは、図7による融着装置を融着ステーションとして備えている。
【0086】
本発明によるこのような包装機は、収縮性包装トレイと収縮性蓋フィルム(上フィルム)からなるパッケージを製造するのに用いられるとよい。このようなパッケージは、シュリンクパックパッケージとして知られている。図9は、いわゆるシュリンクパックの製造用の包装機を示している。しかし、上フィルム(蓋フィルム)は、前述したように、非収縮性フィルムウエブから構成されていてもよい。このようなパッケージは、シュリンクトレイパッケージとして知られている。図8は、いわゆるシュリンクトレイを製造する包装機を示している。
【0087】
本発明による包装機の融着装置は、底工具および上工具を備えている。底工具は、下方に配置され、上工具は、互いに接合されるフィルムウエブの上方に配置されている。底工具および上工具は、上フィルム(=蓋フィルム)を底フィルムに融着させるために、互いに加圧されるようになっている。2枚のフィルムウエブは、温度の影響下で、互いに融着されることになる。本発明によれば、底工具および/または上工具は、冷却されている。この冷却は、例えば、底工具および/または上工具に設けられた通路を通る冷却媒体の循環によって、なされるとよい。水または冷凍庫用として知られている媒体が、冷媒として適切である。好ましくは、上フィルムおよび/または包装トレイは、各フィルムの無制御の収縮が開始されないように、冷却される。すなわち、各フィルムウエブの温度は、収縮の開始温度に達してはならず、または超えてはならない。
【0088】
好ましくは、少なくとも底工具、特に好ましくは、底工具と上工具の両方が、垂直方向において移動可能となっている。
【0089】
また、好ましくは、上工具または底工具は、加熱される融着手段、例えば、加熱される融着フレームを備えている。加熱は、一般的には、電気加熱によってなされている。本発明では、加熱は、有利には、融着手段に制限されるべきである。これによって、各工具を不必要に冷却する必要がなくなる。
【0090】
融着フレームを備えていない側の工具には、好ましくは、融着カウンタフレームが配置されている。好ましくは、融着カウンタフレームは、ゴムサポートを備えている。カウンタフレームも、好ましくは、冷却され、特に好ましくは、同じように垂直方向において移動可能となっている。
【0091】
上工具は、好ましくは、垂直方向において移動可能であるように配置されている。上工具が長い時間にわって加熱されることによって、任意選択的な収縮性上フィルムの望ましくない収縮が生じるのを防ぐために、好ましくは、上工具も冷却されている。この実施形態は、上フィルムがシュリンクフィルムであると、特に有利である。
【0092】
好ましくは、融着装置は、冷却板を備え、この冷却板は、特に好ましくは、上フィルムの領域に配置されている。この冷却板は、好ましくは、同じように垂直方向において移動可能であるように配置されている。もし上フィルムが複数の包装トレイに同時に融着される場合、冷却板は、好ましくは、各包装トレイの領域ごとに配置されることになる。
【0093】
また、本発明は、本発明による包装トレイおよび上フィルム(蓋フィルム)から熱成形された収縮性パッケージを製造する方法にも関するものである。この方法では、少なくとも包装トレイは、本発明による収縮性多層フィルムから、熱成形によって製造される。この方法では、フィルムウエブの一部がまず加熱され、フィルムウエブの一部が、熱成形前および熱成形中に冷却され、上フィルムおよび/または包装トレイが、包装トレイへの上フィルムの融着中に冷却される。
【0094】
本発明によるシュリンクフィルムから製造される少なくとも1つの包装要素を含む複数の包装要素を融着する場合、融着用の熱は、パッケージのシュリンクフィルムから離れた側から入力される。好ましくは、本発明によるこの方法では、融着中、熱は、下方または上方から入力される。
【0095】
以下の説明は、本発明による両方の方法に適用される。
【0096】
垂直な縁を有する包装トレイがこのような方法によって製造され得ること、および/または熱成形後に望ましくない収縮が生じないことは、当業者によっては驚きであり、予期されないものであった。このようにして、完全に新しいタイプの極めて再現性のある大きさの包装容器を製造することができる。また、本発明による方法によれば、融着工具によるシュリンクフィルムの望ましくない収縮を回避することができる。
【0097】
すでに説明したように、フィルムウエブは、好ましくは、熱成形の前に、適切な位置に固定される。好ましくは、フィルムウエブは、クランプフレームによって、適切な位置に固定される。このクランプフレームは、特に好ましくは、冷却され、最も好ましくは、垂直方向において移動可能であるように配置される。クランプフレームを冷却することによって、後で融着される領域が少なくとも垂直方向において応力を受けないので、融着領域において殆ど漏れが生じないという利点が得られる。
【0098】
また、好ましくは、本発明によるフィルムウエブは、熱成形の前に加熱される。好ましくは、加熱と冷却は、時間をずらして行なわれ、好ましくは、加熱が冷却の前に行なわれる。また、好ましくは、フィルムウエブの片方の表面が加熱され、反対側の表面が冷却される。本発明による方法のさらに他の好ましい実施形態では、加熱と冷却が、同時に行なわれる。具体的には、フィルムウエブのいくつかの領域が加熱されると共に、いくつかの領域が冷却される。特に好ましくは、フィルムウエブは、最も良好な熱伝導を達成するために、加熱手段または冷却手段の方向に加圧または吸引される。もし複数の包装トレイが同時に製造される場合、加熱手段は、好ましくは、製造される各包装トレイに割り当てられる。このようにして、必要とされる熱が、極めて局部的な個所を対象として、フィルムウエブに加えられるとよい。
【0099】
すでに説明したように、熱成形は、当業者に馴染み深い方法によって、行なわれるとよい。しかし、好ましくは、熱成形は、過圧および/または減圧(真空)によって行なわれる。また、熱成形が、雄型によってなされるのも好ましく、熱成形が、雄型と加熱手段が1つの要素をなす補助手段付きの雄型によってなされるのも好ましい。
【0100】
本発明によれば、フィルムウエブは、熱成形前、熱成形中、および/または熱成形後に、少なくともいくつかの領域において冷却される。特に、熱成形された領域は、熱成形された領域の望ましくない回復が生じなくなるまで、熱成形中および/または熱成形後に冷却される。一般的に、この冷却は、各フィルムの可塑化温度よりも低い温度で、なされる。
【0101】
融着中、本発明によるシュリンクフィルムと面する融着工具は、好ましくは、冷却されるようになっている。本発明による方法のこの実施形態は、シュリンクフィルムと面する工具がシュリンクフィルムの収縮を不都合に引き起こさないという利点を有している。2つの収縮性フィルムを蓋フィルムと包装トレイとして用いるとき、好ましくは、両方の工具が冷却される。
【0102】
好ましくは、本発明による収縮性フィルムは、少なくとも、融着前および/または融着中に、適切な位置に固定される。好ましくは、この固定は、融着工具によって行なわれる。また、好ましくは、収縮性フィルムウエブの固定は、フィルムウエブを包装機に沿って運搬するチェーンによって行なわれる。
【0103】
本発明を、図1〜図9を参照して、詳細に説明する。これらの説明は、単なる例示であって、本発明の一般的な概念を制限するものではない。本発明による包装トレイ、本発明によるパッケージ、本発明による方法、本発明による装置、例えば、熱成形装置、融着ステーション、および包装機について、説明する。
【0104】
図7は、融着装置を示している。この融着装置は、好ましくは、図8または図9による包装機に用いられる。
【0105】
図7は、上工具6および底工具3からなる融着装置13を示している。この融着装置は、包装機の一部である。上フィルム14(蓋フィルム、図示せず)と、包装トレイ8に熱成形される収縮性フィルムウエブ1(図示せず)とが、これら上工具と底工具との間に配置されている。この場合、上フィルム14(=蓋フィルム)も同じように収縮可能である。フィルムウエブ1は、包装機(図示せず)の2つのチェーン(図示せず)によって固定され、かつ運搬される。上フィルム14は、包装トレイ8を閉鎖するために、フィルムウエブ1に融着される。上フィルム14は、チェーンなどによって固定されず、知られているように、底フィルム1に接合して運搬される。両矢印によって示されるように、上工具は、垂直方向において移動可能である。上工具には、加熱された融着フレーム4が配置され、この融着フレーム4は、融着中、融着カウンタフレーム5に押圧される。このようにして、フィルムウエブ1,14は、互いに対して押圧されることになる。この圧力と高温によって、上フィルムは、包装トレイ8の縁に融着される。各包装トレイの領域において、冷却板2が上工具に配置され、上フィルムが融着領域の外で加熱されるのを防いでいる。この実施形態は、収縮性上フィルムを用いる場合に、特に意義がある。冷却板2は、同じように、垂直方向において移動可能である。底工具も、両矢印によって示されるように、垂直方向において移動可能である。この場合、融着中の包装トレイの望ましくない収縮を避けるために、底工具も冷却される。もし上フィルムが収縮性を有しない場合、一般的に、冷却板2および上工具6の冷却を省略することも可能である。
【0106】
図8は、シュリンクトレイ、すなわち、非収縮性の比較的剛性のある蓋フィルムによって閉鎖される収縮性包装トレイを有するパッケージを製造する包装機を示している。フィルムウエブがロール11から巻き戻され、熱成形装置12において、包装トレイ8が、このフィルムウエブに形成される。次に、これらの包装トレイ8は、包装される製品によって充填され、融着ステーション13において、蓋フィルム14によって閉鎖される。この場合、フィルムウエブ11は、収縮性フィルムからなり、フィルムウエブ14は、非収縮性で、比較的剛性を有し、トレイとして作用する。融着後、包装トレイは、シュリンク装置15内において収縮される。熱成形された包装トレイのみが、高温媒体、例えば、温風、蒸気、または温水と接触することになる。このようにして製造されたシュリンクパッケージは、切断装置16を用いて分断され、完成パッケージ17として運び出される。両矢印は、各ステーションの1つまたは2つのユニットが昇降可能であることを示している。
【0107】
図9は、シュリンクパックを製造する包装機を2つの図で示している。シュリンクパックは、収縮性上フィルムおよび収縮性底フィルムからなっている。ここでも、収縮性フィルムウエブが、ロール11から巻き戻され、熱成形ステーション12において、包装トレイ8が、熱成形によって、フィルムウエブに形成される。包装トレイが包装される製品(図示せず)によって充填されると、融着ステーション13において、この包装トレイは、フィルムウエブ14によって閉鎖される。この場合、蓋フィルムは、同じように、収縮性フィルムである。次の方法ステップでは、切断ステーション16において、パッケージは、分断される。このようにして製造されたパッケージ18は、シュリンクトンネル内において収縮される。ここで、パッケージ18は、全ての側面が沸騰水に晒される。それぞれの両矢印は、各ステーションの1つまたは2つのユニットが昇降可能であることを示している。
【0108】
従って、本発明のさらに他の態様は、熱成形可能な熱収縮性多層フィルム、好ましくは、本発明による熱成形可能な熱収縮性多層フィルムを加工するもので、本発明による包装機にも関する。この包装機は、
(a)本発明による熱成形工具によって、熱収縮性フィルムウエブ、好ましくは、本発明による熱収縮性フィルムウエブから熱成形された包装トレイを製造する前述の装置であって、熱成形工具が熱成形中に冷却される前述の装置と、
(b)底工具および上工具を有する前述の融着装置であって、底工具および/または上工具が融解中に冷却される前述の融着装置と、
を備えている。
【0109】
熱成形されたプラスチック包装トレイを製造する装置、または融着装置と関連して個別に説明した前述の好ましい実施形態は、本発明による包装機にも関連する。
【0110】
本発明によるさらに他の態様は、熱成形可能な熱収縮性多層フィルム、特に、本発明による熱成形可能な熱収縮性多層フィルムからパッケージを製造する方法に関する。この方法は、
(i)熱成形可能な熱収縮性多層フィルム、好ましくは、本発明による熱成形可能な熱収縮性多層フィルムのフィルムウエブを熱成形することによって、前述したような熱成形された熱収縮性包装トレイを製造するステップであって、前述のパラメータが監視されるステップと、
(ii)熱収縮性蓋フィルムまたは非熱収縮性蓋フィルムをステップ(i)において得られた熱成形された熱収縮性包装トレイに融着させることによって、前述したような融着された熱収縮性パッケージを製造するステップであって、前述のパラメータが監視されるステップと、
を含んでいる。
【0111】
熱成形された包装トレイを製造する装置、または融着装置、および/または包装装置と関連して個別に説明した前述の好ましい方法の変更例は、パッケージを製造する本発明によるこの方法にも関連する。
【0112】
前述の包装機または前述の方法によって、融着された熱収縮性パッケージが得られるかまたは得られることが可能である。このパッケージは、熱成形された包装トレイを1つの包装要素として備え、任意選択的な熱収縮性蓋フィルムを他の包装要素として備え、これらの2つの包装要素は、縁において互いに融着されている。収縮プロセスが熱成形または熱融着のいずれによっても開始されないので、包装トレイおよび任意選択的な蓋フィルムのいずれの熱収縮特性は、熱融着後でも、実質的に影響されない。好ましくは、熱成形領域における包装トレイの任意選択的な熱収縮性および蓋フィルムの熱収縮性の両方は、長さ方向および横方向のいずれにおいても、少なくとも20%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも30%、さらに好ましくは、少なくとも35%、最も好ましくは、少なくとも40%、特に、少なくとも45%である。
【0113】
融着された本発明による熱収縮性パッケージは、最終的に、前述したように収縮され、これによって、熱成形された包装トレイおよび任意選択的な蓋フィルムが接触し、包装された製品に密着する。この収縮プロセスは、熱の入力によって、例えば、熱チャンバ内において、開始される。
【0114】
本発明は、融着された熱収縮性パッケージの前述の収縮によって得られる収縮されたパッケージにも関する。
【0115】
収縮プロセスによって排出される空気は、例えば、パッケージの小さい開口を通して漏出させるとよく、この開口は、最終的には閉じられる。代替的に、パッケージは、融着中または融着後に、減圧されてもよい。
【0116】
本発明のさらに他の態様は、本発明による多層フィルムと、本発明による包装機とを備える包装システムに関する。
【0117】
収縮性を試験する方法
【0118】
本発明によるフィルムの収縮性は、試験されるフィルム試料上の10×10cmのヘアライン十字をフィルムペンによって引っ張ることによって、測定される。ここで、ヘアライン十字の片方のバーを機械方向(md)、すなわち、押出方向に引張り、ヘアライン十字の第2のバーを機械方向と交差する方向(cmd)に引っ張る。フィルム試料が6秒間浸透される水浴は、93℃の温度に設定されている。
【0119】
6秒後に、試料が取り出され、各方向において、ヘアライン十字の短縮が測定され、百分率で表される。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】熱成形前の装置を示す概略図である。
【図2】本発明によるフィルムウエブの加熱状態を示す概略図である。
【図3】包装トレイを得るための熱成形状態を示す概略図である。
【図4】保持装置の解除状態を示す概略図である。
【図5】本発明による成形された包装トレイを示す概略図である。
【図6】本発明による熱成形装置を示す概略図である。
【図7】融着装置を示す概略図である。
【図8】いわゆるシュリンクトレイを製造する包装機を示す概略図である。
【図9】いわゆるシュリンクパックの製造用の包装機を示す概略図である。
【符号の説明】
【0121】
1 フィルムウエブ
2 冷却手段
3 熱成形工具、底工具
4 保持手段、クランプフレーム
5 冷却手段
6 包装トレイの底、両矢印
7 加熱手段、加熱板、加熱要素、加熱カートリッジ
8 包装トレイ
9 パック縁
10 パック底
11 フィルムロール
12 熱成形ステーション
13 融着ステーション
14 上フィルム
15 融着ステーション、融着トンネル
16 切断ステーション
17 完成後の収縮されたパッケージ
18 収縮前のパッケージ
19 上工具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向および横方向のいずれにおいても、少なくとも20%の熱収縮性を有する熱成形可能な多層フィルムであって、前記熱収縮性が、熱成形によって実質的に影響されないことを特徴とする多層フィルム。
【請求項2】
熱融着可能であることを特徴とする、請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項3】
熱成形可能な熱収縮性多層フィルムにおいて、
少なくとも1つの熱可塑性ポリマーに基づく下地層と、
DIN ISO 1133に基づき、190℃および2.16kgの条件下で測定された、0.1〜2.0g/10分の範囲内にあるメルトフローインデックスMFIを有する少なくとも1つのポリマーに基づく連結剤層(H1)であって、その層厚みが、前記連結剤層(H1)に直接的に隣接する層の少なくとも1つの層厚みよりも大きい連結剤層(H1)と、
任意選択的な酸素の浸透を阻止するバリア層(B)と、
DIN ISO 1133に基づき、190℃および2.16kgの条件下で測定された、0.1〜2.0g/10分の範囲内にあるメルトフローインデックスMFIを有する少なくとも1つのポリマーに基づく任意選択的な連結剤層(H2)であって、その層厚みが、前記連結剤層(H2)に直接的に隣接する層の少なくとも1つの層厚みよりも大きい任意選択的な連結剤層(H2)と、
前記多層フィルムの2つの表面層の1つをなす、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーに基づく融着層(S)と、
を備えている多層フィルム。
【請求項4】
前記連結剤層(H1)の前記層厚みは、前記連結剤層(H1)に直接的に隣接する2つの層のいずれの層厚みよりも大きく、および/または記連結剤層(H2)の前記層厚みは、前記連結剤層(H2)に直接的に隣接する2つの層のいずれの層厚みよりも大きいことを特徴とする、請求項3に記載の多層フィルム。
【請求項5】
前記連結剤層(H1)および前記任意選択的な連結剤層(H2)の層厚みは、同一であってもよいし、異なっていてもよいが、少なくとも20μmであることを特徴とする、請求項3または4に記載の多層フィルム。
【請求項6】
少なくとも1つの連結剤層は、エチレン/酢酸ビニルコポリマーに基づいていることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項7】
前記エチレン/酢酸ビニルコポリマーは、同一であってもよいし、異なっていてもよいが、3〜18モル%の範囲内にある酢酸ビニルを含んでいることを特徴とする、請求項6に記載の多層フィルム。
【請求項8】
裏当て層(T)は、少なくとも1つのポリオレフィン、オレフィンコポリマー、ポリエステル、またはそれらの混合物に基づいていることを特徴とする、請求項3〜7のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項9】
前記裏当て層(T)は、ポリエチレン、エチレンコポリマー、ポリプロピレン、およびプロピレンコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーに基づいていることを特徴とする、請求項8に記載の多層フィルム。
【請求項10】
前記裏当て層(T)は、5〜100μmの範囲内にある層厚みを有していることを特徴とする、請求項3〜9のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項11】
前記融着層(S)は、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、ポリアルキルメタクリレート、アルキルメタクリレートコポリマー、アイオノマー、またはそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリマーに基づいていることを特徴とする、請求項3〜10のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項12】
前記融着層(S)は、5〜25μmの範囲内にある層厚みを有していることを特徴とする、請求項3〜11のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項13】
ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデンコポリマー、それらの混合物、またはエチレン/ビニルアルコールコポリマーに基づくバリア層(B)を備えていることを特徴とする、請求項3〜12のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項14】
5〜50μmの範囲内にある層厚みを有するバリア層(B)を備えていることを特徴とする、請求項3〜13のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項15】
前記裏当て層(T)は、前記2つの表面層の他の1つをなしていることを特徴とする、請求項3〜14のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項16】
長さ方向および横方向のいずれにおいても、少なくとも20%の熱収縮性を有し、前記熱収縮性が、熱成形によって実質的に影響されないことを特徴とする、請求項3〜15のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項17】
長さ方向において1:5〜1:3の範囲内にある延伸比、および横方向において1:5〜1:3の範囲内にある延伸比を有していることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項18】
互いに直接的に隣接する層は、互いに架橋されていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項19】
前記多層フィルムは、50〜250μmの範囲内にある全フィルム厚みを有していることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項20】
熱成形された熱収縮性包装トレイを作製するための請求項1〜19のいずれか一項に記載の熱成形可能な熱収縮性多層フィルムの使用方法。
【請求項21】
熱成形された熱収縮性包装トレイを製造する方法であって、前記熱収縮性が前記熱成形領域において実質的に影響されない条件下で、請求項1〜19のいずれか一項に記載の熱成形可能な熱収縮性多層フィルムを熱成形することを含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の熱収縮性多層フィルムを備える熱成形された熱収縮性包装トレイであって、前記熱成形領域における前記熱収縮性が、長さ方向および横方向のいずれにおいても、少なくとも20%であることを特徴とする包装トレイ。
【請求項23】
パッケージを製造するための請求項22に記載の熱成形された熱収縮性包装トレイの使用方法。
【請求項24】
前記パッケージが食品用であることを特徴とする、請求項23に記載の使用方法。
【請求項25】
パッケージを製造する方法であって、請求項21に記載の方法と、前記熱成形された熱収縮性包装トレイを、熱収縮性蓋フィルムによって、前記熱成形領域における前記包装トレイの熱収縮性および前記蓋フィルムの前記熱収縮性の両方が実質的に影響されない条件下において、熱融着することと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
パッケージを製造する方法であって、請求項21に記載の方法と、前記熱成形された熱収縮性包装トレイを、非収縮性蓋フィルムによって、前記包装トレイの前記熱収縮性が実質的に開始されない条件下において、熱融着することと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
前記蓋フィルムの曲げ強度が、前記熱収縮性包装トレイの収縮力に対応することを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項22に記載の熱成形された熱収縮性包装トレイと、任意選択的な蓋フィルムと、を備えるパッケージにおいて、前記熱成形領域における前記包装トレイの前記熱収縮性および前記蓋フィルムの前記任意選択的な熱収縮性が、長さ方向および横方向のいずれにおいても、少なくとも20%であることを特徴とするパッケージ。
【請求項29】
熱の入力を含むことを特徴とする、請求項28に記載のパッケージを熱収縮させる方法。
【請求項30】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の多層フィルムを加工する包装機において、
(a)熱成形工具によって、熱収縮性フィルムから熱成形された包装フィルムを製造する装置であって、前記熱成形工具が冷却手段を備える装置と、
(b)底工具および上工具を有する融着装置であって、前記底工具および/または前記上工具が融着中に冷却される融着装置と、
を備えていることを特徴とする包装機。
【請求項31】
前記熱成形工具は、冷却手段を備えていることを特徴とする、請求項30に記載の包装機。
【請求項32】
前記フィルムウエブは、保持手段と前記熱成形工具との間に固定され、前記保持手段は、冷却手段によって冷却可能であり、垂直方向において移動可能であるように配置されていることを特徴とする、請求項30または31に記載の包装機。
【請求項33】
前記熱成形工具は、前記フィルムウエブを加熱する加熱手段である加熱板を備え、前記加熱板は、熱成形雄型の形態を取っていることを特徴とする、請求項30〜32のいずれか一項に記載の包装機。
【請求項34】
前記熱成形工具は、前記フィルムウエブと前記加熱手段との接触を改良するために、前記フィルムウエブを熱成形する真空手段および/または加圧手段を備えていることを特徴とする、請求項30〜33のいずれか一項に記載の包装機。
【請求項35】
前記融着装置の場合、前記底工具は、冷却手段を備えていることを特徴とする、請求項30〜34のいずれか一項に記載の包装機。
【請求項36】
前記融着装置の場合、前記底工具は、垂直方向において移動可能であることを特徴とする、請求項30〜35のいずれか一項に記載の包装機。
【請求項37】
前記融着装置は、加熱可能な融着手段、すなわち加熱可能な融着バーを備えていることを特徴とする、請求項30〜36のいずれか一項に記載の包装機。
【請求項38】
前記融着装置の場合、前記上工具は、冷却板を、製造されるパッケージごとに1つ備えていることを特徴とする、請求項30〜37のいずれか一項に記載の包装機。
【請求項39】
前記上工具(6)および/または前記冷却板(2)は、垂直方向において移動可能であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の包装機。
【請求項40】
前記融着装置は、融着カウンタフレーム(5)を備え、前記融着カウンタフレーム(5)は、前記底工具(3)に配置されていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の包装機。
【請求項41】
前記融着カウンタフレーム(5)は、冷却されるようになっていることを特徴とする、請求項40に記載の包装機。
【請求項42】
前記融着カウンタフレーム(5)は、昇降可能であることを特徴とする、請求項40または41に記載の包装機。
【請求項43】
前記融着カウンタフレーム(5)は、ラバーサポートを備えていることを特徴とする、請求項40〜42のいずれか一項に記載の包装機。
【請求項44】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の熱成形可能な熱収縮性多層フィルムと、請求項30〜43のいずれか一項に記載の包装機と、を備えている包装システム。
【請求項45】
熱収縮性多層フィルム、特に、請求項1〜19のいずれか一項に記載の熱収縮性多層フィルムを用いてパッケージを製造する方法において、
(i)前記熱収縮性多層フィルムのフィルムウエブを熱成形することによって、熱成形された熱収縮性包装トレイを製造するステップであって、前記フィルムウエブは、まずその一部が加熱され、熱成形前および熱成形中に、その一部が冷却されるステップと、
(ii)任意選択的な熱収縮性蓋フィルムをステップ(i)において得られた前記熱成形された熱収縮性包装トレイに融着させることによって、融着された熱収縮性パッケージを製造するステップであって、前記蓋フィルムおよび/または前記包装トレイが冷却されるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項46】
ステップ(i)において、前記フィルムウエブは、熱成形前に、適切な位置に固定されることを特徴とする、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
ステップ(i)において、前記フィルムウエブが、まずその一部が加熱され、熱成形前および熱成形中に、その一部が冷却されることを特徴とする、請求項45または46に記載の方法。
【請求項48】
ステップ(i)において、前記フィルムウエブのある副次的な領域が加熱されると共に、前記フィルムウエブのある副次的な領域が冷却されることを特徴とする、請求項45〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
ステップ(i)において、前記フィルムウエブは、過圧および/または減圧によって変形されることを特徴とする、請求項45〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記包装トレイは、融着領域を備え、前記融着領域は、加熱中および/または熱成形中に、冷却されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
加熱手段は、各包装トレイに割り当てられることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記熱成形されたフィルムは、回復が生じなくなるまで冷却されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
ステップ(ii)において、前記収縮性蓋フィルムは、融着工具またはチェーンコンベヤによって、適切な位置に固定されることを特徴とする、請求項45〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
上フィルムを包装トレイに融着する方法であって、前記包装トレイおよび/または前記上フィルムが熱収縮性フィルムから作製される方法において、融着用の熱は、前記パッケージの前記熱収縮性フィルムから離れた側から入力されることを特徴とする方法。
【請求項55】
融着用の熱が上方から入力されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記収縮性多層フィルムと面する前記融着工具(6,3)は、冷却されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
(iii)ステップ(ii)において得られた前記融着された熱収縮性パッケージを熱の入力によって収縮させるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項45〜56のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−531343(P2008−531343A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557417(P2007−557417)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【国際出願番号】PCT/EP2006/001870
【国際公開番号】WO2006/092290
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(506146091)シーエフエス・ケンプテン・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (2)
【Fターム(参考)】