説明

取り替え式キーモジュール及び取り替え式キーモジュールを有するキーボード

【課題】 キーモジュールを単独で交換不可能である問題、余計な出費がかさむ問題、更に従来の技術では時間の浪費が深刻であり交換部材のメンテナンスが手早く行えない問題を解決する。
【解決手段】 キーモジュールはキーキャップホルダーと弾性部材とキーキャップとにより構成される。キーキャップホルダー内部には収容空間を有すると共に第一面には開口部を有し、対向する第二面には貫通孔を有する。弾性部材はキーキャップホルダー内に設置され且つキーキャップホルダーの第二面に配置される。キーキャップはキーキャップホルダーの開口部に貫設され、その中に可動するよう設置されて弾性部材に接触され、キーキャップは解放位置とプッシュ位置の間を更に往復する。弾性部材が未受力の場合、キーキャップを押して解放位置で常態を保持させ、キーキャップがプッシュ位置に位置されると、弾性部材を押してキーキャップホルダーの第二面の貫通孔を貫通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキーモジュールに関し、より詳しくは、弾性部材の異なる押圧圧力設定により、ユーザーが需要に合わせキーキャップの特定の荷重を選択可能な取り替え式キーモジュール及び取り替え式キーモジュールを有するキーボードに関する。
【背景技術】
【0002】
キーボードはパソコンの主要入力装置である。ノート型パソコンにとって、キーボードは一体成形される本体構造の一部分である。しかしながら、パソコンの他の部分に比べ、キーボードの耐用年数は短い。例えばキーボード表面が汚れて表面に印字されている文字が判読困難になる問題、キーが押圧或いは回復不可になる問題、或いはユーザーが飲み物等の液体をキーボード内へこぼし、ショートを引き起こす等の問題が、キーボードの使用寿命を縮めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】台湾実用新案公報第M386537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、キーボードに操作上または電気的な問題が発生した場合、通常は新しいキーボードに交換するため、ユーザーが修理に出さねばならず、時間が掛かり、更に不要な浪費を招いた。
【0005】
また、従来のキーボード上に印字されている文字の改訂や、異なる字型や印字の変更に対応が出来ず、他の一層の薄膜をキーボード上に設置させるか、キーボード上の本来の字体を除去し、必要な字型或いは印字を新たにプリントする必要があった。
【0006】
上述の2種類の方式は処理が煩雑であり時間が掛かるのみならず、キーボード内部に配置されるキー薄膜は一体成型される薄膜であるため、従来のキーボードの各キーの押圧荷重が同じであり、不慣れなユーザーや特殊な需要があるユーザーにとって操作上の不便を生じさせた。
【0007】
その他、ユーザーがキーの色を変えたい、或いは異なる押圧感のキーに変更したい場合、従来技術のキーにおいてキー単独での交換が出来ないため、キーボードそのものを交換せねばならず、キーを自分で定義出来るように設計するならば、従来のキーでは個別のキー標示にその機能を標示出来なかった。
【0008】
この為、取り替え式キーモジュールにより、キーボードそのものは交換せず、特定のキーのみを交換する事で問題を解決し、上述の従来の各種欠点を回避する事は、解決が待たれる問題であった。
【0009】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものである。本発明は、従来の技術のキーモジュールでは単独での交換が行なえない為に余計な出費が発生し、更には従来技術の深刻な時間の浪費と交換部材のメンテナンスが手早く行えない等の問題を解決させることを解決する、取り替え式キーモジュール及び取り替え式キーモジュールを有するキーボードを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るキーボードに設置される取り替え式キーモジュールは、内部に収容空間を有すると共に第一面には開口部を有し第一面に対向する第二面には貫通孔を有するキーキャップホルダーと、キーキャップホルダー内に設置され且つ前記第二面に設けられる弾性部材と、キーキャップホルダーに可動するよう設置されると共に開口部に貫設された後に弾性部材に接触し、解放位置とプッシュ位置との間を往復して変位するキーキャップとを含み、弾性部材は未受力の場合にキーキャップを押して解放位置で常態を保持し、キーキャップがプッシュ位置に配置されると、キーキャップは弾性部材を押して貫通孔を貫通することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る取り替え式キーモジュールを有するキーボードは、内部に収容空間を有する本体と、本体内に設置されると共に複数のトリガースイッチを電気的に設置させる導電部材と、本体上に設置されると共に複数の開口部とを有し、導電部材のそれらトリガースイッチにそれぞれ対応するカバープレートと、各々がカバープレートに設置されると共に導電部材のそれらトリガースイッチにそれぞれ対応する複数の取り替え式キーモジュールとを含む。各取り替え式キーモジュールは、内部に収容空間を有すると共に第一面に開口部を有し、第一面に対向する第二面に貫通孔を有するキーキャップホルダーと、キーキャップホルダー内に設置され且つ第二面に設けられる弾性部材と、キーキャップホルダーに可動するよう設置され開口部に貫設された後に弾性部材に接触されて、解放位置とプッシュ位置の間を往復して変位するキーキャップとを更に含み、弾性部材が未受力の場合、弾性部材はキーキャップを当接してキーキャップに解放位置で常態を保持させ、キーキャップがプッシュ位置に位置されると、キーキャップは弾性部材を押して貫通孔を貫通させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、キーを単独で交換でき、キーボードそのものの交換が必要となる従来の技術の各種欠点を解決させるほか、弾性部材の異なる押圧圧力の設定により、ユーザーは個人の好みに合わせてキーキャップを変換可能になり、ユーザーの操作感と習慣に対して更に最適化される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る一実施形態の取り替え式キーモジュールの傾斜組み合わせ図である。
【図2】本発明に係る一実施形態の取り替え式キーモジュールの傾斜分解図である。
【図3】本発明に係る一実施形態の取り替え式キーモジュールの断面図である。
【図4】本発明に係る一実施形態の取り替え式キーモジュールの作動概略図である。
【図5】本発明に係る一取り替え式キーモジュールをキーボードから外した概略図である。
【図6】本発明に係る一実施形態の取り替え式キーモジュールを有するキーボードの傾斜組み合わせ図である。
【図7】本発明に係る一実施形態の取り替え式キーモジュールを有するキーボードの傾斜分解図である。
【図8】本発明に係る一実施形態の取り替え式キーモジュールを有するキーボードの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0015】
(第1実施形態)
図1から図8において、本発明の第1実施形態の構成を示す。図1は本発明の実施形態に係る取り替え式キーモジュール100の傾斜組み合わせ図である。図2は本発明に係る実施形態の取り替え式キーモジュール100の傾斜分解図である。図3は本発明に係る実施形態の取り替え式キーモジュール100の断面図である。
【0016】
図1ないし図3は、本発明に係る実施形態の取り替え式キーモジュール100である。キーボード(図6のキーボード10)に適用し設置される取り替え式キーモジュール100は、キーキャップホルダー120と、弾性部材140と、キーキャップ160とにより構成される。キーキャップホルダー120の内部には収容空間を有すると共に、キーキャップホルダー120の第一面(キーキャップホルダー120の上面)には開口部121を有する。キーキャップホルダー120の第一面に対向する第二面(キーキャップホルダー120の底面)には貫通孔123を有する。弾性部材140はキーキャップホルダー120内に設置される。キーキャップ160はキーキャップホルダー120の第二面上に設けられ、キーキャップホルダー120に可動するよう設置されると共に開口部を貫設した後弾性部材140に接触され、解放位置とプッシュ位置との間を往復して変位する。また、図4によると、弾性部材140が未受力の場合はキーキャップ160に当接させて解放位置で常態を保持し、キーキャップ160がプッシュ位置に移動されると、キーキャップ160は弾性部材140を貫通孔123にまで押す。
【0017】
図1から図3によると、キーキャップホルダー120の側面にはスライド槽122が配置される。キーキャップ160はスライド槽122に係合されると共にキーキャップ160に解放位置とプッシュ位置の間を往復させて変位させる係合部166を有する。また図4の本発明に係る実施形態の取り替え式キーモジュールの作動概略図によると、スライド槽122と係合部166間の位置が限定されるため、キーキャップ160がキーキャップホルダー120から外れる問題を回避できる。
【0018】
キーキャップ160は互いに連結される作動部165とプッシュ部161とを有し、作動部165はキーキャップホルダー120の第一面の開口部121を貫通した後に弾性部材140に接触される。プッシュ部161はキーキャップホルダー120の外に配置される。ここで、キーキャップ160の係合部166とキーキャップホルダー120のスライド槽122との位置はキーキャップ160とキーキャップホルダー120との他の対向する面上にそれぞれ設置され、また係合部166とスライド槽122との位置も上述のそれぞれの配置の関係に制限されず、係合部166とスライド槽122との位置の入れ替えも排除しない。
【0019】
図2は取り替え式キーモジュール100の傾斜分解図である。弾性部材140は凹型槽部141を有し、キーキャップ160は圧迫柱168を更に有する。図3と図4によると、圧迫柱168は作動部165上に設置され、圧迫柱168は凹型槽部141内に内設される。弾性部材140の材質はゴム材料であるが、これに限定されるわけではない。
【0020】
図5は、本発明の取り替え式キーモジュール100をキーボード10から取り外した概略図である。キーキャップホルダー120は少なくとも一つの抜き取り孔126を更に有し、キーモジュール100をキー抜き器80によりキーボード10から切り離す。この他、キーキャップホルダー120は少なくとも一つの槽孔124を更に有し、カバープレート60は槽孔124に係合されると共にキーキャップホルダー120をキーボード10上に固設する少なくとも一つのフック部材64を更に有する。
【0021】
図6は本発明に係る実施形態の取り替え式キーモジュールを有するキーボード10の傾斜概略図であり、図7は本発明に係る実施形態の取り替え式キーモジュールを有するキーボード10の傾斜分解図である。ここで、本発明に係る実施形態のキーボード10は、内部に収容空間を有する本体20と、本体20内に設置されると共に複数のトリガースイッチ42を電気的に設置させる導電部材40と、本体20上に設置されると共に導電部材40のそれらのトリガースイッチ42にそれぞれ対応する複数の開口部65を有するカバープレート60と、各々がカバープレート60の開口部内に設置されると共に導電部材40の特定のトリガースイッチ42に対応する複数のキーモジュール100とによって構成される。
【0022】
本実施形態の各キーモジュール100の構造は図1から図4に図示されているため、更なる説明を省略する。この他、キーキャップホルダー120は少なくとも一つの槽孔124を更に有し、カバープレート60は槽孔124に係合されると共にキーキャップホルダー120をカバープレート60上に固設する少なくとも一つのフック部材64を更に有する。
【0023】
以上のように、本発明の取り替え式キーモジュール及び取り替え式キーモジュールを有するキーボードは、従来のキーボードの欠点を有効的に改善し、本発明の単独取り替え式キーモジュールの方式により、操作者は手早く且つ経済的にキーモジュールの交換作業が可能となり、キーボードそのものを交換する必要もなくなる。同時に、本発明では各キーモジュール内の弾性部材の異なる押圧圧力の設定により、ユーザーは必要に合わせて各キーキャップの特定の荷重を選択出来、ユーザーの操作感と使用習慣に対して更に最適化される。
【0024】
上述の実施形態は、本発明の技術思想及び特徴を説明するためのものに過ぎず、当該技術分野を熟知する者に本発明の内容を理解させると共にこれをもって実施させることを目的とし、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。従って、本発明の精神を逸脱せずに行う各種の同様の効果をもつ改良又は変更は、後述の請求項に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0025】
10 … キーボード
20 … 本体
40 … 導電部材
42 … トリガースイッチ
60 … カバープレート
64 … フック部材
65 … 開口部
80 … キー抜き器
100 … キーモジュール
120 … キーキャップホルダー
121 … 開口部
122 … スライド槽
123 … 貫通孔
124 … 槽孔
126 … 抜き取り孔
140 … 弾性部材
141 … 凹型槽部
160 … キーキャップ
161 … プッシュ部
165 … 作動部
166 … 係合部
168 … 圧迫柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーボードに適用して設置される取り替え式キーモジュールであって、
内部に収容空間を有すると共に第一面には開口部を有し、
前記第一面に対向する第二面には、貫通孔を有するキーキャップホルダーと、前記キーキャップホルダー内に設置され前記第二面に設けられる弾性部材と、前記キーキャップホルダーに可動するよう設置されると共に前記開口部に貫設された後に前記弾性部材に接触され解放位置とプッシュ位置の間を往復して変位するキーキャップとを含み、
前記弾性部材は未受力の場合には前記キーキャップに当接して前記解放位置で常態を保持し、前記キーキャップが前記プッシュ位置に移動されると、前記キーキャップが前記弾性部材を押して前記貫通孔を貫通することを特徴とする取り替え式キーモジュール。
【請求項2】
前記キーキャップホルダーの側面にスライド槽を有し、前記キーキャップは前記スライド槽に係合されると共に前記キーキャップに前記解放位置と前記プッシュ位置との間を往復して変位する係合部を有することを特徴とする、請求項1に記載の取り替え式キーモジュール。
【請求項3】
前記キーキャップは互いに結合される作動部とプッシュ部とを有し、前記作動部は前記開口部を貫通した後に前記弾性部材に接触し、前記プッシュ部は前記キーキャップホルダーの外に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の取り替え式キーモジュール。
【請求項4】
前記弾性部材は凹型槽部を有し、前記キーキャップは前記作動部上に設置される圧迫柱を更に有し、前記圧迫柱は前記凹型槽部内に内設されることを特徴とする、請求項3に記載の取り替え式キーモジュール。
【請求項5】
前記キーキャップホルダーは少なくとも一つの抜き取り孔を更に有することを特徴とする、請求項1に記載の取り替え式キーモジュール。
【請求項6】
キーボードであって、
内部に収容空間を有する本体と、
前記本体内に設置されると共に複数のトリガースイッチを電気的に設置する導電部材と、
前記本体上に設置されると共に複数の開口部を有し、前記導電部材の前記トリガースイッチにそれぞれ対応するカバープレートと、
前記カバープレートに設置されると共に前記導電部材のそれら前記トリガースイッチにそれぞれ対応される複数の取り替え式キーモジュールとを含み、
前記取り替え式キーモジュールは、
内部に収容空間を有すると共に第一面には開口部を有し、前記第一面に対向する第二面には貫通孔を有するキーキャップホルダーと、
前記キーキャップホルダー内に設置され、且つ前記第二面に設けられる弾性部材と、
前記キーキャップホルダーに可動するよう設置され、前記開口部に貫設された後に前記弾性部材に接触されて、解放位置とプッシュ位置の間を往復して変位するキーキャップを更に含み、
前記弾性部材が未受力の場合、前記弾性部材は前記キーキャップに当接させて前記キーキャップに前記解放位置で常態を保持させ、前記キーキャップが前記プッシュ位置に配置されると、前記キーキャップは前記弾性部材を押して前記貫通孔を貫通することを特徴とするキーボード。
【請求項7】
前記キーキャップホルダーの側面にはスライド槽を有し、前記キーキャップは前記スライド槽に係合される係合部を有すると共に前記キーキャップに前記解放位置と前記プッシュ位置との間を往復して変位する係合部を有することを特徴とする、請求項6に記載のキーボード。
【請求項8】
前記キーキャップは互いに結合される作動部とプッシュ部とにより構成され、前記作動部は前記開口部を貫通した後に前記弾性部材に接触し、前記プッシュ部は前記キーキャップホルダーの外に配置されることを特徴とする、請求項6に記載のキーボード。
【請求項9】
前記弾性部材は凹型槽部を有し、前記キーキャップは前記作動部上に設置される圧迫柱を更に有し、前記圧迫柱は前記凹型槽部内に内設されることを特徴とする、請求項8に記載のキーボード。
【請求項10】
前記キーキャップホルダーは少なくとも一つの抜き取り孔を更に有することを特徴とする、請求項6に記載のキーボード。
【請求項11】
前記キーキャップホルダーは少なくとも一つの槽孔を更に有し、前記カバープレートは前記槽孔に係合されるフック部材を有すると共に前記キーキャップホルダーを前記カバープレート上に固設させる少なくとも一つのフック部材を更に有することを特徴とする、請求項6に記載のキーボード。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−58183(P2013−58183A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−48652(P2012−48652)
【出願日】平成24年3月6日(2012.3.6)
【出願人】(502361706)技嘉科技股▲ふん▼有限公司 (111)
【氏名又は名称原語表記】GIGA−BYTE TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.6,Bao Chiang Road,Hsin−Tien District,New Taipei City 231,Taiwan
【Fターム(参考)】