説明

取付具

【課題】コンクリート製品の前面と端面の角度が約90度でない場合にも、コンクリート製品を連結する連結部材を保持する連結部材保持具を型枠に取付け可能な取付具を提供する。
【解決手段】連結部材を保持する連結部材保持具を型枠の第1内面に連結部材保持板の一面が当接する取付具であって、第1部分と、それに対し回動軸の周りに回動可能に第1部分の嵌入部を収容する内部空間を有する第2部分を備え、第1部分は閉曲線の第1規定線を回動軸の周りに1回転させ形成される原曲面のうち回動軸を含む第1平面及び第2平面に挟まれた出没外面と、連結部材保持板の他面に開口する貫通孔を取り囲むように他面に当接し第1内面に連結部材保持板の一面を当接させ出没外面の第1平面側に連なる保持板他面当接部を有し、第2部分は嵌入部の出入口の近傍で出没外面と摺動する摺動部と、出入口とは反対側の型枠の第2内面への型枠内面当接部と、隔壁部とを有する取付具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付具に関し、より詳細には、コンクリート製品を連結する連結部材を貫通させる貫通孔を有し連結部材を保持する連結部材保持板を含む連結部材保持具を、内部にコンクリートを打設し硬化させることによってコンクリート製品を形成する型枠に取り付ける取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート製品を連結する連結部材(例えば、連結ボルト)を貫通させる貫通孔を有する連結部材保持板を含む連結部材保持具を用い、該貫通孔に連結部材を嵌入し連結部材を保持させることが行われてきた(例えば、特許文献1等)。
特許文献1には、コンクリートセグメントの継手金具が開示されており、かかる継手金具をコンクリート製品(コンクリートセグメント)の連結端面部に埋設することで、連結ボルトによりコンクリート製品(コンクリートセグメント)同士を連結することができる。
図28は、汎用的に用いられている連結部材保持具であるフランジ継ぎ手201を示す斜視図である。フランジ継ぎ手201は、フランジ板203と、フランジ板203に取り付けられた4本の棒状部材からなる脚部205a、205b、205c、205dと、を有してなる。フランジ板203は、表面203aと裏面203bとを有する平板状のフランジ板本体203c(連結部材保持板)と、フランジ板本体203cから直角方向に突出するように形成された一方突出部203f1と、フランジ板本体203cから直角方向に突出するように一方突出部203f1とは反対側に形成された他方突出部203f2と、を有してなり、片仮名の「コ」の字状に金属によって一体的に形成されている。フランジ板本体203cには、表面203aと裏面203bとの間を貫通する連結ボルト孔203hが形成されている。脚部205a、205bはいずれも基端が他方突出部203f2に取り付け(溶接)られた金属製の丸棒であり、脚部205c、205dはいずれも基端が一方突出部203f1に取り付け(溶接)られた金属製の丸棒であり、これら脚部205a、205b、205c、205dの長手方向は互いに略平行であると共に、表面203a及び裏面203bに略垂直になっている。
【0003】
図29は、図28に示したフランジ継ぎ手201を有するL型ブロック601a、601bを示す正面図であり、図30は図29のU−U断面図である。L型ブロック601a、601bが互いに面する端面601ac、601bcには、前面601aa、601baから連続する凹状の空間631a、631bが形成されており、空間631a、631bにはそれぞれフランジ継ぎ手201が収容されている。詳細には、フランジ継ぎ手201の脚部205a、205b、205c、205dはコンクリート部分602a、602bに埋設されると共に、フランジ板本体203cの表面203aが端面601ac、601bcに沿った位置になるようフランジ継ぎ手201が配設されている。このL型ブロック601a、601bにそれぞれ配設された一対のフランジ板本体203cの連結ボルト孔203hには、連結ボルト301aが貫入され、連結ボルト301aにナット301bが螺合することで、一対のフランジ継ぎ手201が連結され、L型ブロック601a、601bが互いに連結されている。
【0004】
かかるL型ブロック601a、601bの製造方法を説明する。L型ブロック601a、601bのいずれも同じものであるので、ここではL型ブロック601bを例にとり、フランジ継ぎ手201の埋設部分を主に説明する。
図31は、フランジ継ぎ手201を型枠(コンクリートを内部に打設しL型ブロック601bを形成する)の所定位置に取り付ける従来の取付具701を示す斜視図である。従来の取付具701は、等脚台形を略なしフランジ板本体203cの裏面203bに当接する平面状のフランジ板裏面当接面703(本発明にいう保持板他面当接部)と、フランジ板裏面当接面703の底(両底のうち長い方)を短辺とする長方形状(平面状)の型枠内面当接面705(本発明にいう型枠内面当接部)と、フランジ板裏面当接面703の等脚台形の脚と型枠内面当接面705の長辺とを2辺とする台形(平面状)を略なす一対の側面707と、フランジ板裏面当接面703の底(両底のうち短い方)と側面707の底(両底のうち短い方)とを2辺とする長方形状(平面状)の上面709と、上面709の短辺と型枠内面当接面705の短辺とを両底とする等脚台形状(平面状)の後面711と、の6面によって取り囲まれて形成された立体形状をなし、フランジ板裏面当接面703の中央部分には、内周に雌ねじが螺刻された取付ボルト嵌入孔703hが穿設されると共に、型枠内面当接面705の中央部分には、内周に雌ねじが螺刻された取付ボルト嵌入孔705hが穿設されている。ここにフランジ板裏面当接面703と型枠内面当接面705とがなす角度Dは90度である。
【0005】
図32は、取付具701を用いてL型ブロック601bを製造する工程を説明する断面図(図30と同様の断面位置)である。まず、端面601bcを形成する第1内面803を形成する第1型枠板801の所定位置にフランジ継ぎ手201の表面203aが第1内面803に面すると共に、フランジ板本体203cの裏面203bに取付具701のフランジ板裏面当接面703が面するようにした状態で、取付ボルト451を第1型枠板801に形成された取付ボルト貫入穴(不図示)に貫入する。さらに、取付ボルト451を取付ボルト嵌入孔703hに貫入し取付ボルト嵌入孔703hの内周に形成された雌ねじに螺合させる。その後、取付ボルト嵌入孔703h内周の雌ねじに螺合した取付ボルト451を締め付けることで取付具701と第1型枠板801との間にフランジ板本体203cを挟持し、取付具701及びフランジ継ぎ手201を第1型枠板801に取り付ける。
さらに、前面601baを形成する第2内面823を形成する第2型枠板821を型枠内面当接面705に第2内面823が面するように配置し、取付ボルト461を第2型枠板821に形成された取付ボルト貫入穴(不図示)に貫入する。さらに、取付ボルト461を取付ボルト嵌入孔705hに貫入し取付ボルト嵌入孔705hの内周に形成された雌ねじに螺合させる。その後、取付ボルト嵌入孔705h内周の雌ねじに螺合した取付ボルト461を締め付けることで第2型枠板821を取付具701に取り付ける。
なお、ここでは図示していないが、第1型枠板801及び第2型枠板821以外にも型枠板が組み付けられることで、L型ブロック601bの形状に対応した型枠内部800が形成される。そして、型枠内部800にコンクリート901を打設し、その後、コンクリート901を硬化させる(硬化するまで時間をとる)。
【0006】
次いで、コンクリート901が硬化した後、取付ボルト451及び取付ボルト461を緩めて抜き取る。さらに、第1型枠板801及び第2型枠板821をコンクリート901(硬化済)から取り外す。
図33(図32と同様の断面位置)の通り、取付ボルト451、461及び型枠板801、821をコンクリート901(硬化済)から取り外した後、取付具701をコンクリート901(硬化済)から取り外す。これにより取付具701が存していた部分には、前面601baから凹状の空間631bが形成されており、空間631bにはフランジ継ぎ手201が収容されている(フランジ継ぎ手201の脚部205a、205b、205c、205dはコンクリート部分901に埋設されている。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平2−54897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような取付具701は、連結ボルト孔203hを取り囲むように裏面203bに当接することで第1内面803に表面203aを当接させるフランジ板裏面当接面703と、第2内面823に当接する型枠内面当接面705と、フランジ板裏面当接面703と型枠内面当接面705とを連なるように連結する隔壁(一対の側面707、上面709、後面711とを含む)と、を有してなるが、フランジ板裏面当接面703と型枠内面当接面705とがなす角度D(取付具701においては角度Dは90度)を、前面601baと端面601bcとのなす角度に一致させる必要がある。
このため図34のようなL型ブロック661a、661bのように、前面661baと端面661bcとのなす角度Daが約90度でない場合(例えば、Da=約120度)には、取付具701(角度D=約90度)を用いることができないため、このような前面661baと端面661bcとのなす角度が約90度でないL型ブロック661a、661bにおいてはフランジ継ぎ手201を埋設し用いることができない問題があった。
そこで、本発明では、前面と端面とのなす角度Daが約90度でない場合にも用いることができる取付具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、本出願人は、図35(図32と同様の断面位置)に示すような前面661baと端面661bcとのなす角度Daに応じた取付具761(端面661bcを形成する第1内面803と前面661baを形成する第2内面823とがなす角度はDaとされるので、フランジ板裏面当接面763と型枠内面当接面765とがなす角度Dbを角度Daに一致させる)を用いることを検討したが、複雑な形状の取付具761を該なす角度Daそれぞれに応じて準備する必要があり、コスト増加や取付具の管理煩雑化といった問題等があることに気がついた。このため前面と端面とのなす角度がある程度の範囲で変化しても使用可能な取付具とすべく、研究をすすめ次の本発明を完成させた。
【0010】
本発明の取付具(以下、「本取付具」という。)は、コンクリート製品を連結する連結部材を貫通させる一面と他面との間に形成された貫通孔を有し連結部材を保持する板状部分たる連結部材保持板を含む連結部材保持具を、内部にコンクリートを打設し硬化させることによってコンクリート製品を形成する第1内面及び第2内面を有する型枠の第1内面に連結部材保持板の一面が当接するよう型枠の所定位置に取り付ける取付具であって、第1部分と、第1部分に対して仮想上の回動軸の周りに回動可能に第1部分の少なくとも一部である嵌入部を収容する内部空間を有する第2部分と、を備えてなり、第1部分は、回動軸が存する互いに異なる第1平面及び第2平面のうち第1平面の回動軸を含む直線である回動軸線によって分割される2の部分のうち一方の領域に存する第1閉曲線又は両端が回動軸に存する曲線と該両端の間の回動軸とによって形成される第2閉曲線である第1規定線を回動軸線の周りに1回転させて形成される原曲面のうち第1平面と第2平面とに挟まれた部分に沿った外面である出没外面と、連結部材保持板の他面に開口する該貫通孔を取り囲むように該他面に当接することで第1内面に連結部材保持板の一面を当接させる縁又は面であり出没外面の第1平面側に連なるように形成された保持板他面当接部と、を有してなり、第2部分は、第1部分に対して第2部分が回動軸の周りに正逆に回動されることで嵌入部が第2部分の内部空間に出入りする出入口の近傍において出没外面と摺動する縁又は面である摺動部と、内部空間を挟んで出入口とは反対側に形成された該型枠の第2内面に当接する縁又は面である型枠内面当接部と、出入口と型枠内面当接部との間の内部空間を形成する隔壁部と、を有してなる、取付具である。
【0011】
本取付具は、連結部材保持具を型枠の所定位置に取り付ける取付具である。連結部材保持具は、連結部材保持板を含み、連結部材保持板は、コンクリート製品を連結する連結部材を貫通させる一面と他面との間に形成された貫通孔を有し連結部材を保持(貫通孔に連結部材が嵌入されることで保持される)する板状部分である。型枠は、内部にコンクリートを打設し硬化させることによってコンクリート製品を形成する第1内面及び第2内面を有する(上述の例では、第1内面803を構成する第1型枠板801と、第1内面803に所定角Daをもって交わる第2内面823を構成する第2型枠板821と、を含んで型枠が形成されている。)。本取付具は、連結部材保持具を型枠の第1内面に連結部材保持板の一面が当接するよう型枠の所定位置に取り付ける。
本取付具は、第1部分と、第1部分に対して仮想上の回動軸の周りに回動可能に第1部分の少なくとも一部である嵌入部を収容する内部空間を有する第2部分と、を備えてなる。第2部分が、仮想上の回動軸の周りに第1部分に対し正逆に回動することで、第1部分の少なくとも一部である嵌入部が第2部分の内部空間に収容されそして露出される(嵌入部が第2部分から出没する)。
第1部分は、出没外面と、保持板他面当接部と、を有してなる。出没外面は、回動軸に沿って交わる第1平面及び第2平面(回動軸が第1平面及び第2平面の両平面に存する)のうち第1平面に存する閉曲線である第1規定線を回動軸線(回動軸を含む直線)の周りに1回転させて形成される原曲面のうち第1平面と第2平面とに挟まれた部分(原曲面を第1平面と第2平面とによって切断した部分)に沿った外面である。第1規定線は第1閉曲線又は第2閉曲線である。第1閉曲線は、回動軸を含む直線である回動軸線によって第1平面が分割される2の部分のうち一方の領域に存する閉曲線である。第2閉曲線は、両端が回動軸に存する曲線と該両端の間の回動軸とによって形成される閉曲線である。なお、本発明にいう「曲線」は、線分によって構成されてもよく、例えば、複数の線分が折れ曲がった状態で連結される折れ曲がり線のようなものも含む。保持板他面当接部は、連結部材保持板の他面に開口する該貫通孔を取り囲むように該他面に当接する縁又は面であり、該他面に当接することで型枠の第1内面に連結部材保持板の一面を当接させる。保持板他面当接部を構成する縁又は面は、出没外面の第1平面側に連なるように形成されている。
第2部分は、出没外面と摺動する縁又は面である摺動部と、型枠の第2内面に当接する縁又は面である型枠内面当接部と、内部空間を形成する隔壁部と、を有してなる。摺動部は、第1部分に対して第2部分が回動軸の周りに正逆に回動されることで第1部分の嵌入部が第2部分の内部空間に出入りする該内部空間の出入口の近傍において出没外面と摺動する縁又は面である。型枠内面当接部は、第2部分の該内部空間を挟んで第2部分の該出入口とは反対側に形成され(回動軸の周りの方向では、該内部空間の一方側に該出入口が存し、他方側に型枠内面当接部が存する。)、該型枠の第2内面に当接する縁又は面である。隔壁部は、出入口と型枠内面当接部との間の空間を外部と仕切ることで該内部空間を形成する(外部からコンクリートスラリーが該内部空間に進入することを禁止又は減少させる)。
【0012】
かかる本取付具は、次のように連結部材保持具を有するコンクリート製品を製造するために用いることができる。
該コンクリート製品を形成する型枠(コンクリートスラリーを流し込み硬化させるための型枠)の第1内面に、連結部材保持具が有する連結部材保持板の一面が当接するよう、連結部材保持板の他面に第1部分の保持板他面当接部を当接させ第1部分と型枠との間に連結部材保持具を取り付ける(第1部分取付ステップ)。型枠の第2内面に第2部分の型枠内面当接部が当接するよう、型枠に第2部分を取り付ける(第2部分取付ステップ)。なお、第1部分取付ステップと第2部分取付ステップとがうまく行えるよう、(第1内面と第2内面とがなす角度に応じ)第1部分に対する第2部分の回動軸の周りの回動位置を調節する(回動調節ステップ)(第2部分の摺動部が摺動する出没外面は回動軸の回転面の一部をなすので、第1部分に対して第2部分を回動軸の周りに回動させても摺動部は出没外面に摺動可能である)。その後、型枠の内部にコンクリート(スラリー)を打設し硬化させコンクリート部分を形成する(硬化ステップ)。硬化ステップの後、硬化したコンクリート部分から型枠を取り外す(型枠除去ステップ)。型枠除去ステップの後、型枠が取り外されたコンクリート部分から本取付具を取り外す(取付具除去ステップ)。以上のようにして、型枠の第1内面と第2内面とがなす角度が変化しても、第1部分に対する第2部分の回動軸の周りの回動位置を調節することで、第1内面に連結部材保持板の一面が当接するよう連結部材保持板の他面に第1部分の保持板他面当接部を当接させ(第1部分と型枠との間に連結部材保持具を取り付ける)ると共に、第2内面に第2部分の型枠内面当接部が当接するようにでき、連結部材保持板を含む連結部材保持具が埋設されたコンクリート製品を製造することができる。
即ち、本取付具は、前面(例えば、第2内面により形成される面)と端面(例えば、第1内面により形成される面)とのなす角度がある程度の範囲で変化しても、第1部分に対する第2部分の回動軸の周りの回動位置を調節することで使用可能な取付具である。
【0013】
本取付具においては、摺動部が出没外面に液密的に当接するものであってもよい。
摺動部は、出没外面と摺動する縁又は面であり、型枠の内部にコンクリート(スラリー)が打設された際、第2部分の内部空間へのコンクリート(スラリー)の進入を規制することでコンクリート硬化後に本取付具の周囲に存する硬化済コンクリートから本取付具を取り外し可能にするものである。このように硬化済コンクリートから本取付具が取り外せる程度であれば、第2部分の内部空間へコンクリート(スラリー)が多少進入してもよいが、該内部空間へコンクリート(スラリー)が進入しないよう摺動部が出没外面に液密的(型枠中においてコンクリートスラリーが通過できない)に当接するようにすれば、本取付具を再使用する場合に第2部分の内部空間から硬化済コンクリートを除去する必要がなく、本取付具の使用を便ならしめる。
【0014】
本取付具においては、第2部分の内部空間のうち第1部分の嵌入部を収容する部分が、回動軸の周りの回転体を回動軸が存する互いに異なる2の平面によって切断した形状を略なし、回動軸を含む平面による断面形状が第1規定線と相似形状を略なすものであってもよい。
こうすることで、第1部分の嵌入部を収容する第2部分の内部空間の部分が、回転軸を含む平面による断面形状が第1規定線(出没外面は、第1規定線を回動軸線の周りに1回転させて形成される原曲面を第1平面と第2平面とによって切断した部分である)と相似形状を略なすような回動軸の周りの回転体をなすので、回転軸を含む平面による断面において第1部分の嵌入部とそれを収容する第2部分の内部空間とが相似形状を略なし、無駄な空間を第2部分が占めることを防止又は減少させることができる。また、回転軸を含む平面による断面において第1部分の嵌入部の外面と第2部分の内部空間の内面との隙間を小さくすることで、第2部分の内部空間へのコンクリート(スラリー)の進入を防止又は減少させることができる。
【0015】
本取付具においては、第1規定線が第2閉曲線であってもよい(以下、「第2閉曲線本取付具」という。)。
第1規定線は、それを回動軸線(回動軸を含む直線)の周りに1回転させて形成される原曲面を第1平面と第2平面とで切断した部分に沿った外面として出没外面を規定する。第1規定線としては、第1平面が回動軸線によって分割される2の部分のうち一方の領域に存する第1閉曲線及び両端が回動軸に存する曲線と該両端の間の回動軸とによって形成される第2閉曲線の両閉曲線のうちいずれであってもよいが、第2閉曲線とすれば第1部分に対して第2部分を回動軸の周りに回動させても回動軸位置に第1部分が存するので、第1内面と第2内面との間の近傍に存する回動軸位置に硬化済コンクリートが存在しないようにすることができ、取付具除去ステップにおいて硬化済コンクリート部分から本取付具を容易に取り外すことができる(回動軸位置に硬化済コンクリートが存在すれば、本取付具を回動軸を中心に回動させつつ引く抜く必要がある)。
【0016】
第2閉曲線本取付具の場合、第2閉曲線により囲まれる図形の、回動軸と平行な寸法が、回動軸から離れるにつれて単調減少するもの(以下、「抜き勾配本取付具」という。)であってもよい。
第2閉曲線本取付具であるので第1内面と第2内面との間の近傍に存する回動軸位置に硬化済コンクリートが存在しないことに加え、第2閉曲線により囲まれる図形の回動軸と平行な寸法が、回動軸から離れるにつれて単調減少することで、出没外面が回動軸から離れるにつれて幅(回動軸と平行な寸法)が単調減少するため(抜き勾配がついている)、取付具除去ステップにおいて硬化済コンクリート部分から本取付具を回動軸方向に向けて容易に引き抜き取り外すことができる。
【0017】
抜き勾配本取付具の場合、前記図形が、回動軸線に一辺が存する三角形の全部又は該一辺の対角を含む部分を除いた該三角形の部分であってもよい。
第2閉曲線により囲まれる前記図形が、回動軸線に一辺が存する三角形の全部又は該一辺の対角を含む部分を除いた該三角形の部分(例えば、台形)であれば、出没外面の幅(回動軸と平行な寸法)を回動軸から離れるにつれて確実に単調減少させ、取付具除去ステップにおいて硬化済コンクリート部分から本取付具が引っかかりなく回動軸方向に向けて容易に引き抜き取り外すことができる。
【0018】
本取付具においては、第2部分が、回動軸が存する互いに異なる2の平面のうち一方平面の回動軸を含む直線である回動軸線によって分割される2の部分のうち片方の領域に存する第3閉曲線又は両端が回動軸に存する曲線と該両端の間の回動軸とによって形成される第4閉曲線である第2規定線を回動軸線の周りに1回転させて形成される原曲面のうち該2の平面に挟まれた部分に沿った外面を有するもの(以下、「第2部分回転外面本取付具」という。)であってもよい。
こうすることで、回動軸に沿って交わる該2の平面(回動軸が該2の平面に存する)のうち一方平面に存する閉曲線である第2規定線を回動軸線(回動軸を含む直線)の周りに1回転させて形成される原曲面のうち該2の平面に挟まれた部分(原曲面を該2の平面によって切断した部分)に沿った外面を第2部分が有する。第2規定線は第3閉曲線又は第4閉曲線である。第3閉曲線は、回動軸を含む直線である回動軸線によって一方平面が分割される2の部分のうち片方の領域に存する閉曲線である。第4閉曲線は、両端が回動軸に存する曲線と該両端の間の回動軸とによって形成される閉曲線である。なお、本発明にいう「曲線」は、前述の如く、線分によって構成されてもよく、例えば、複数の線分が折れ曲がった状態で連結される折れ曲がり線のようなものも含む。
このような第2規定線を回動軸線の周りに1回転させて形成される原曲面を該2の平面によって切断した部分に沿った外面を第2部分が有することで、かかる外面は回動軸を軸とする回転体をなし、取付具除去ステップにおいて硬化済コンクリート部分から本取付具を取り外す際、第2部分を回動軸の周りに回動させつつ円滑に抜き取ることができる。
【0019】
第2部分回転外面本取付具の場合、第2規定線が第4閉曲線であってもよい(以下、「第4閉曲線規定本取付具」という。)。
第2規定線は、それを回動軸線の周りに1回転させて形成される原曲面のうち前記2の平面によって切断した部分に沿った外面として第2部分の外面を規定する。第2規定線としては、回動軸を含む直線である回動軸線によって一方平面が分割される2の部分のうち片方の領域に存する第3閉曲線及び両端が回動軸に存する曲線と該両端の間の回動軸とによって形成される第4閉曲線の両閉曲線のうちいずれであってもよいが、第4閉曲線とすれば第1部分に対して第2部分を回動軸の周りに回動させても回動軸位置に第2部分が存するので、第1内面と第2内面との間の近傍に存する回動軸位置に硬化済コンクリートが存在しないようにすることができ、取付具除去ステップにおいて硬化済コンクリート部分から本取付具を容易に取り外すことができる(回動軸位置に硬化済コンクリートが存在すれば、本取付具を回動軸を中心に回動させつつ引く抜く必要がある)。
【0020】
第4閉曲線規定本取付具の場合、第4閉曲線によって囲まれる図形の、回動軸と平行な寸法が、回動軸から離れるにつれて単調減少するもの(以下、「第2部分外面抜き勾配本取付具」という。)であってもよい。
第4閉曲線規定本取付具であるので第1内面と第2内面との間の近傍に存する回動軸位置に硬化済コンクリートが存在しないことに加え、第4閉曲線により囲まれる図形の回動軸と平行な寸法が、回動軸から離れるにつれて単調減少することで、第2部分の外面が回動軸から離れるにつれて幅(回動軸と平行な寸法)が単調減少するため(抜き勾配がついている)、取付具除去ステップにおいて硬化済コンクリート部分から本取付具を回動軸方向に向けて容易に引き抜き取り外すことができる。
【0021】
第2部分外面抜き勾配本取付具の場合、前記図形が、回動軸線に一辺が存する三角形の全部又は該一辺の対角を含む部分を除いた該三角形の部分であってもよい。
第4閉曲線により囲まれる前記図形が、回動軸線に一辺が存する三角形の全部又は該一辺の対角を含む部分を除いた該三角形の部分(例えば、台形)であれば、第2部分の外面の幅(回動軸と平行な寸法)を回動軸から離れるにつれて確実に単調減少させ、取付具除去ステップにおいて硬化済コンクリート部分から本取付具が引っかかりなく回動軸方向に向けて容易に引き抜き取り外すことができる。
【0022】
本取付具においては、保持板他面当接部が、連結部材保持板の前記他面に主表面が当接し、前記貫通孔に対応する位置に第1部分孔が形成された板状部材により形成されるもの(以下、「板状部材構成保持板他面当接部本取付具」という。)であってもよい。
保持板他面当接部は、連結部材保持板の他面に開口する貫通孔(連結部材を貫通させる)を取り囲むように該他面に当接する縁又は面であればよいが、連結部材保持板の該他面に主表面が当接する板状部材であって、該貫通孔に対応する位置に第1部分孔が形成された板状部材により構成されてもよい。かかる板状部材により保持板他面当接部を構成すれば、連結部材保持板の他面に開口する該貫通孔を取り囲むように該板状部材の主表面が連結部材保持板の他面に確実に当接できると共に、連結部材保持板の他面に当接した状態において該貫通孔に対応する位置に第1部分孔が存するので、該貫通孔及び第1部分孔に型枠と第1部分とを取り付ける手段(例えば、取付ボルト等)を配設(例えば、嵌入)することができる。
【0023】
板状部材構成保持板他面当接部本取付具の場合、前記第1部分孔の内周に雌ねじ部分が形成されるものであってもよい。
こうすることで貫通孔及び第1部分孔に型枠と第1部分とを取り付ける手段として、雄ねじ部分を有する部材(例えば、取付ボルト等)を用いれば、型枠に例えば部材貫入穴を設けることで、部材貫入穴及び連結部材保持板の前記貫通孔に雄ねじ部分を有する該部材を貫入し、第1部分孔の内周に形成された雌ねじ部分に螺合させることができる。これによって前記貫通孔及び第1部分孔を用いて型枠と第1部分とを取り付ける手段(例えば、取付ボルト等)を容易かつ確実に配設(例えば、嵌入)することができる。
【0024】
本取付具においては、型枠内面当接部が、型枠の第2内面に当接し、第2部分孔が形成された板状部材により形成されるもの(以下、「板状部材構成型枠内面当接部本取付具」という。)であってもよい。
型枠内面当接部は型枠の第2内面に当接する縁又は面であればよいが、型枠の第2内面に当接する板状部材であって、第2部分孔が形成された板状部材により構成されてもよい。かかる板状部材により型枠内面当接部を構成すれば、型枠の第2内面に確実に当接できると共に、型枠の第2内面に当接した状態において第2部分孔が存するので、第2部分孔に型枠と第2部分とを取り付ける手段(例えば、取付ボルト等)を配設(例えば、嵌入)することができる。
【0025】
板状部材構成型枠内面当接部本取付具の場合、前記第2部分孔の内周に雌ねじ部分が形成されるものであってもよい。
こうすることで第2部分孔に型枠と第2部分とを取り付ける手段として、雄ねじ部分を有する部材(例えば、取付ボルト等)を用いれば、型枠に例えば部材貫入穴を設けることで、部材貫入穴に雄ねじ部分を有する該部材を貫入し、第2部分孔の内周に形成された雌ねじ部分に螺合させることができる。これによって第2部分孔を用いて型枠と第2部分とを取り付ける手段(例えば、取付ボルト等)を容易かつ確実に配設(例えば、嵌入)することができる。
【0026】
本発明は、本取付具を用い、連結部材保持具を有するコンクリート製品を製造する製造方法(以下、「本方法」という。)も提供する。
即ち、本方法は、連結部材保持板の他面に保持板他面当接部を当接させ、前記型枠の第1内面に連結部材保持板の一面が当接するよう、第1部分と型枠との間に連結部材保持具を取り付ける第1部分取付ステップと、第1部分に対する第2部分の回動軸の周りの回動位置を調節する回動調節ステップと、該型枠の第2内面に型枠内面当接部が当接するよう、該型枠に第2部分を取り付ける第2部分取付ステップと、該型枠の内部にコンクリートを打設し硬化させコンクリート部分を形成する硬化ステップと、コンクリート部分から型枠を取り外す型枠除去ステップと、型枠が取り外されたコンクリート部分から該取付具を取り外す取付具除去ステップと、を含んでなる、製造方法である。
本方法は、第1部分取付ステップと、回動調節ステップと、第2部分取付ステップと、硬化ステップと、型枠除去ステップと、取付具除去ステップと、を含んでなる。
第1部分取付ステップでは、該コンクリート製品を形成する型枠(コンクリートスラリーを流し込み硬化させるための型枠)の第1内面に、連結部材保持具が有する連結部材保持板の一面が当接するよう、連結部材保持板の他面に第1部分の保持板他面当接部を当接させることで、第1部分と型枠との間に連結部材保持具を取り付ける。
第2部分取付ステップでは、型枠の第2内面に第2部分の型枠内面当接部が当接するよう、型枠に第2部分を取り付ける。なお、第1部分取付ステップと第2部分取付ステップとの前後は問わない。
回動調節ステップでは、第1内面と第2内面とがなす角度に応じ、第1部分に対する第2部分の回動軸の周りの回動位置を調節する。なお、回動調節ステップは、第1部分取付ステップと第2部分取付ステップとの両方が完了するまでに行われればよく、第1部分取付ステップ及び第2部分取付ステップの一方又は両方のステップと回動調節ステップとの前後は問わない。
硬化ステップでは、第1部分取付ステップと回動調節ステップと第2部分取付ステップが完了した後、型枠の内部にコンクリート(スラリー)を打設し硬化させ硬化コンクリート部分を形成する。
型枠除去ステップでは、硬化ステップの後、硬化したコンクリート部分から型枠を取り外す。
取付具除去ステップでは、型枠除去ステップの後、型枠が取り外されたコンクリート部分から本取付具を取り外す。
以上のようにして、本方法によれば、型枠の第1内面と第2内面とがなす角度が変化しても、第1部分に対する第2部分の回動軸の周りの回動位置を調節することで、第1内面に連結部材保持板の一面が当接するよう連結部材保持板の他面に第1部分の保持板他面当接部を当接させ(第1部分と型枠との間に連結部材保持具を取り付ける)ると共に、第2内面に第2部分の型枠内面当接部が当接するようにでき、連結部材保持板を含む連結部材保持具が埋設されたコンクリート製品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る本取付具の正面図である。
【図2】本取付具の左側面図である。
【図3】図2のC−C断面図である。
【図4】子部分及び親部分を取り外した状態の斜視図である。
【図5】子部分及び親部分を取り外した状態の平面図である。
【図6】図5の状態における断面図である。
【図7】子部分の正面図である。
【図8】子部分の左側面図である。
【図9】子部分の底面図である。
【図10】図6中において点線Jにより囲まれた部分の拡大図である。
【図11】親部分の正面図である。
【図12】親部分の左側面図である。
【図13】図12のd−d断面図である。
【図14】図12のe−e断面図である。
【図15】図6中において点線K1により囲まれた部分の拡大図である。
【図16】図6中において点線K2により囲まれた部分の拡大図である。
【図17】完全収容状態から子部分に対して親部分を回動線の周りに回動させたところを示す正面図である。
【図18】本取付具を用いて製造されるL型ブロックの斜視図である。
【図19】図18のH−H断面図である。
【図20】本取付具を用いた製造方法の第1ステップを示す断面図である。
【図21】本取付具を用いた製造方法の第2ステップを示す断面図である。
【図22】本取付具を用いた製造方法の第3ステップを示す断面図である。
【図23】本取付具を用いた製造方法の第4ステップを示す断面図である。
【図24】本取付具を用いた製造方法の第5ステップを示す断面図である。
【図25】本取付具を用いた製造方法の第6ステップを示す断面図である。
【図26】本取付具を用いた製造方法の第7ステップを示す断面図である。
【図27】本取付具を用いた製造方法の第8ステップを示す断面図である。
【図28】フランジ継ぎ手を示す斜視図である。
【図29】フランジ継ぎ手を有するL型ブロックを示す正面図である。
【図30】図29のU−U断面図である。
【図31】フランジ継ぎ手を型枠に取り付ける従来の取付具を示す斜視図である。
【図32】取付具を用いてL型ブロックを製造する工程を説明する断面図である。
【図33】取付具をコンクリート(硬化済)から取り外したところを示す断面図である。
【図34】前面と端面とのなす角度が約90度でないL型ブロックの斜視図である。
【図35】前面と端面とのなす角度が約90度でない場合の取付具を示す断面図である。
【図36】第2閉曲線及び第4閉曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。しかしながら、これらによって本発明は何ら制限されるものではない。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る本取付具11の正面図であり、図2は本取付具11の左側面図(図1中の矢印A方向から見たところを示している)であり、図3は図2のC−C断面図であり、図4は後述の子部分21及び親部分51を取り外した状態の斜視図であり、図5は後述の子部分21及び親部分51を取り外した状態の平面図(図4の矢印D方向から見たところを示している)であり、図6は図5の状態における断面図(子部分21及び親部分51の断面位置を図4中にb−bとして示す)である。
そして、図7は子部分21の正面図であり、図8は子部分21の左側面図(図7中の矢印A方向から見たところを示している)であり、図9は子部分21の底面図(図8中の矢印D方向から見たところを示している。図7中にも矢印Dとして方向を示した。なお、理解を容易にするため、後述のパッキン45にハッチング(断面を示すものではない)を付している。)であり、図10は図6中において点線Jにより囲まれた部分の拡大図である。
さらに、図11は親部分51の正面図であり、図12は親部分51の左側面図(図11中の矢印A方向から見たところを示している)であり、図13は図12のd−d断面図であり、図14は図12のe−e断面図であり、図15は図6中において点線K1により囲まれた部分(図13にも点線K1により囲まれた部分を示す)の拡大図であり、そして図16は図6中において点線K2により囲まれた部分(図13にも点線K2により囲まれた部分を示す)の拡大図である。
以上の図1〜図16を参照して、本取付具11について説明する。
【0030】
子部分21は、本体部22と、本体部22の内面に取り付けられたナット部材41と、本体部22の外面に取り付けられたパッキン45と、を有してなる。
本体部22は、子部分21に対して親部分51が回動する仮想上の回動線Rを軸とする直円柱と、回動線Rを軸とし該直円柱の一底面を底面とする直円錐(該直円錐の頂点は該直円柱の外部に存する。以下「一直円錐」という。)と、回動線Rを軸とし該直円柱の他底面を底面とする直円錐(該直円錐の頂点は該直円柱の外部に存する。以下「他直円錐」という。)と、によって形成される立体の外面を、回動線Rを含む異なる2平面(Q1、Q2)であって直角に交わる2平面(Q1、Q2)によって4つの部分に切断分割されたもののうちの1つに沿った外面形状を有している。詳細には、該直円柱の側面に沿った外面23aを有する子湾曲板23と、一直円錐が有していた円錐面に沿った外面25aを有する子一方円錐板25と、他直円錐が有していた円錐面に沿った外面27aを有する子他方円錐板27と、該2平面(Q1、Q2)のうち一平面Q1に沿って子湾曲板23(縁部)と子一方円錐板25(縁部)と子他方円錐板27(縁部)とに取り付けられた子当接板29(長方形状をした平板)と、該2平面(Q1、Q2)のうち他平面Q2に沿って子一方円錐板25(縁部)と子他方円錐板27(縁部)と子当接板29(縁部)とに取り付けられたパッキン取付板31(長方形状をした平板であり、子湾曲板23とパッキン取付板31との間には開口33が形成される。)と、を含んでなり、内部空間35が形成されている。
【0031】
パッキン取付板31には、回動線Rに平行に真っ直ぐな凹溝が形成されており、かかる凹溝に沿って断面円形状のパッキン45(柔軟なゴム製)が配設(凹溝に嵌入され接着されている)されている(詳細には、パッキン45は長手方向に対して垂直な断面において、略円形状をなし、該長手方向に連続した中空部分を有している。)。パッキン45は長手方向に対する垂直な断面において、凹溝からやや突出しており、このパッキン45によって回動線Rに平行な凸条がパッキン取付板31表面に形成されている。
加えて、子当接板29には、ボルト嵌入孔29hが穿設されると共に、子当接板29の内面29bにはナット部材41が取り付けられている。ナット部材41は貫通穴を有しており、該貫通穴の内周には図示しない所定の雄ねじ部が螺合可能な雌ねじ部が螺刻されており(該雌ねじ部はボルト嵌入孔29hに対応する位置に存している)、ボルト嵌入孔29hを経由して該図示しない所定の雄ねじ部がナット部材41の該雌ねじ部に螺合できる。
【0032】
親部分51は、本体部52と、本体部52の内面に取り付けられたナット部材71と、本体部52の外面に取り付けられたパッキン75と、を有してなる。
本体部52は、子部分21を親部分51が完全に収容した状態(例えば、図1、図2及び図3のような状態。以下、「完全収容状態」という。)において、子部分21の子湾曲板23の外面23a(全面)に内面53bがほぼ当接する親湾曲板53と、子一方円錐板25の外面25a(全面)に内面55bがほぼ当接する親一方円錐板55と、子他方円錐板27の外面27a(全面)に内面57bがほぼ当接する親他方円錐板57と、子部分21が出没する子部分出入り口58とは反対側(収容した子部分21の開口33が存する側)の親湾曲板53(縁部)と親一方円錐板55(縁部)と親他方円錐板57(縁部)とに取り付けられた親当接板59(等脚台形状をした平板)と、を含んでなり、子部分21を収容する内部空間65が形成されている。これら親湾曲板53、親一方円錐板55、親他方円錐板57及び親当接板59は、いずれも均一な厚みの金属製の板状部材により形成されており、親湾曲板53の外面53aと、親一方円錐板55の外面55aと、親他方円錐板57の外面57aと、によって形成される曲面は、完全収容状態の回動線Rを軸とする直円柱と、完全収容状態の回動線Rを軸とし該直円柱の一底面を底面とする直円錐(該直円錐の頂点は該直円柱の外部に存する。)と、完全収容状態の回動線Rを軸とし該直円柱の他底面を底面とする直円錐(該直円錐の頂点は該直円柱の外部に存する。)と、によって形成される立体の外面を、完全収容状態の回動線Rを含む異なる2平面(Q1、Q2)であって直角に交わる2平面(Q1、Q2)によって4つの部分に切断分割されたもののうちの1つに沿った形状を含む(外面53aと外面55aと外面57aとによって形成される曲面は、該1つに沿った形状に親当接板59の外面の一部を含む)。
【0033】
パッキン75は、子部分出入り口58を規定する内縁を巡るように配設されている。詳細には、完全収容状態における子当接板29の外面29aに平行な平面に沿って配設されており、親湾曲板53に形成された真っ直ぐな凹溝に沿って断面円形状のパッキン部分75aが嵌入され接着されており、親一方円錐板55に形成された真っ直ぐな凹溝に沿って断面円形状のパッキン部分75bが嵌入され接着されており、親他方円錐板57に形成された真っ直ぐな凹溝に沿って断面円形状のパッキン部分75cが嵌入され接着されており、そして親当接板59に形成された真っ直ぐな凹溝に沿って断面円形状のパッキン部分75dが嵌入され接着されている。これらパッキン部分75a、75b、75c、75dは等脚台形状に一体に形成されることでパッキン75をなし(柔軟なゴム製)、パッキン45と同様、連続する方向に対する垂直断面において略円形状をなすと共に、連続する方向に連続する中空部分を有している。パッキン75は凹溝からやや突出しており、このパッキン75によって子部分出入り口58近傍に子部分出入り口58を一巡する凸条が形成されている。
子部分21に対して親部分51が回動線Rの周りに回動する際、パッキン部分75aは子湾曲板23外面23aに、パッキン部分75bは子一方円錐板25外面25aに、そしてパッキン部分75cは子他方円錐板27外面27aに、それぞれ摺接し、そして完全収容状態においてはパッキン部分75dとパッキン45とは互いに押し潰された状態で当接しており、子部分21に対して親部分51が完全収容状態から回動線Rの周りにある程度の範囲で回動してもパッキン部分75dとパッキン45との当接はこれらの弾性により維持されるので、子部分21に対する親部分51の回動線Rの周りの回動位置を問わず、子部分21外面とパッキン75との間は液密的に保たれる。
【0034】
親当接板59には、ボルト嵌入孔59hが穿設されると共に、親当接板59の内面59bにはナット部材71が取り付けられている。ナット部材71は貫通穴を有しており、該貫通穴の内周には図示しない所定の雄ねじ部が螺合可能な雌ねじ部が螺設されており(該雌ねじ部はボルト嵌入孔59hに対応する位置に存している)、ボルト嵌入孔59hを経由して該図示しない所定の雄ねじ部がナット部材71の該雌ねじ部に螺合できる。
【0035】
このような子部分21の開口33が親部分51の親当接板59の内面59bに面するよう、子部分21を子部分出入り口58を経由して親部分51の内部空間65へ収容する。このとき子部分21の子湾曲板23には開口33から入り江状に切り欠き部23cが形成されているので、子湾曲板23がナット部材71に干渉することなく容易に収容できる。このようにして子部分21を内部空間65へ収容した親部分51は、図1、図2及び図3のような完全収容状態においては子部分21全部を内部空間65へ丁度収容できる。そして、図17(図1と同様の方向から見た正面図)に示す通り、完全収容状態から子部分21に対して親部分51を回動線Rの周りに回動(例えば、図17及び図3中の矢印S方向)させることができ、また、再び、逆方向に回動させることで完全収容状態に戻すことができる。このように子部分21に対して親部分51を回動線Rの周りに自由に回動(完全収容状態から矢印S方向に80度程度までの範囲)させることができ、このいずれの回動位置においても、子部分21外面と親部分51のパッキン75との間は液密的に保たれることに加え、子湾曲板23外面23aと親湾曲板53内面53bとはほぼ当接し、子一方円錐板25外面25aと親一方円錐板55内面55bとはほぼ当接し、そして子他方円錐板27外面27aと親他方円錐板57内面57bとはほぼ当接するので、子部分21とそれを収容した親部分51との間から内部空間35及び内部空間65にセメントスラリー(図示せず)が進入することを防止又は減少させることができる。
【0036】
次いで、本取付具11の使用方法について説明する。ここでは図18に示すL型ブロック101(101a、101b)の本取付具11を用いた製造方法を説明する。図18においては、L型ブロック101a、101bを示しているが、L型ブロック101aとL型ブロック101bとは同一のものである。図19は、図18のH−H断面図であり、L型ブロック101aとL型ブロック101bとは各々の端面101ae、101beに配設されたフランジ継ぎ手201を用い連結ボルト301a及びナット301bによって連結されている。詳細には、フランジ継ぎ手201が有するいずれのフランジ板203にも連結ボルト孔203hが穿設されており、これら一対のフランジ板203に形成された連結ボルト孔203hに連結ボルト301aが貫入されると共に連結ボルト301aにナット301bを螺合させている。かかるフランジ継ぎ手201をL型ブロック101bの端面101be部分に配設するために本取付具11を用いる方法を説明する(L型ブロック101aについても同様に行うことができる)。
【0037】
図20は、本取付具11を用いた製造方法の第1ステップを示す断面図(図19と同じ断面位置を示している)である。L型ブロック101bの端面101be(L型ブロック101aに面する面)を形成するための内面401cを有する型枠板401の所定位置(L型ブロック101bにフランジ継ぎ手201を配設する位置に相当する位置)にフランジ継ぎ手201を位置させる。このときフランジ板本体203cの表面203aが内面401cに面するようにすると共に、フランジ板本体203cの裏面203bに本取付具11の子部分21(子当接板29の外面29a)が面するようにした状態で、取付ボルト451を型枠板401に形成された取付ボルト貫入穴401hに貫入する。さらに、取付ボルト貫入穴401hに貫入された取付ボルト451を連結ボルト孔203hに貫入しナット部材41に螺合させる(なお、取付ボルト貫入穴401hは、取付ボルト451を貫入し本取付具11を取り付けた際、L型ブロック101bにフランジ継ぎ手201を配設する位置に相当する位置にフランジ継ぎ手201が位置するような位置に形成されている。)。その後、ナット部材41に螺合した取付ボルト451を締め付けることで本取付具11の子部分21と型枠板401との間にフランジ板本体203cを挟持し、子部分21及びフランジ継ぎ手201を型枠板401に取り付ける。
【0038】
図21は、本取付具11を用いた製造方法の第2ステップを示す断面図(図20と同じ断面位置を示している)である。図20にて示した通り、子部分21及びフランジ継ぎ手201が取付ボルト451により型枠板401に取り付けられた状態において、子部分21に対して親部分51を回動線Rの周りに回動させ、後述の型枠板421に親当接板59外面59aがうまく当接できるよう回動位置を調節する。
【0039】
図22は、本取付具11を用いた製造方法の第3ステップを示す断面図(図20及び図21と同じ断面位置を示している)である。図21にて説明した通り、子部分21に対する親部分51の回動線Rの周りの回動位置を調節した後、L型ブロック101bの表面101baを形成するための内面421cを有する型枠板421を親当接板59外面59aに内面421cが面するように配置し、型枠板421の所定位置に形成された取付ボルト貫入穴421hに取付ボルト461を貫入する。さらに、取付ボルト貫入穴421hに貫入された取付ボルト461をボルト嵌入孔59hに貫入しナット部材71に螺合させる(なお、取付ボルト貫入穴421hは、ボルト嵌入孔59hに相当する位置に形成されている。)。
【0040】
図23は、本取付具11を用いた製造方法の第4ステップを示す断面図(図20〜図22と同じ断面位置を示している)である。図22にて説明した通り、型枠板421の取付ボルト貫入穴421hに貫入された取付ボルト461をボルト嵌入孔59hに貫入しナット部材71に螺合させた後、ナット部材71に螺合した取付ボルト461を締め付けることで本取付具11の親部分51を型枠板421に取り付ける。なお、子部分21に対する親部分51の回動線Rの周りの回動位置の調節は、ここでは第2ステップにて行ったが、これと共に又はこれに代えて第3ステップ及び/又は第4ステップにて回動位置調節を行うようにしてもよい。以上のようにして、型枠板401及び型枠板421に本取付具11を取り付け、型枠内部400にコンクリートを打設することが可能になる(内部空間35と内部空間65とによって形成される本取付具11の内部17は型枠内部400とは液密的に密閉されている。)。
【0041】
図24は、本取付具11を用いた製造方法の第5ステップを示す断面図(図20〜図23と同じ断面位置を示している)である。図23にて説明した通り、型枠板401及び型枠板421に本取付具11を取り付けた後、型枠内部400にコンクリート501を打設する。このとき本取付具11の内部17は型枠内部400と液密的に密閉されているので、内部17にはコンクリート501が進入しない。型枠内部400にコンクリート501を打設後、コンクリート501を硬化させる(硬化するまで時間をとる)。
【0042】
図25は、本取付具11を用いた製造方法の第6ステップを示す断面図(図20〜図24と同じ断面位置を示している)である。図24にて説明した通り、型枠内部400にコンクリート501を打設し硬化させた後、取付ボルト451及び取付ボルト461を緩めて抜き取る。さらに、型枠板401及び型枠板421をコンクリート501(硬化済)から取り外す(図25に示した状態)。
【0043】
図26は、本取付具11を用いた製造方法の第7ステップを示す断面図(図20〜図25と同じ断面位置を示している)である。図25にて説明した通り、取付ボルト451、461及び型枠板401、421をコンクリート501(硬化済)から取り外した後、本取付具11をコンクリート501(硬化済)から取り外す。このとき子一方円錐板25外面25aと子他方円錐板27外面27aとの間の幅(回動線Rに平行方向の寸法)が円弧縁方向に行く(回動線Rから遠ざかる)につれて単調減少すると共に、親一方円錐板55外面55aと親他方円錐板57外面57aとの間の幅(回動線Rに平行方向の寸法)が円弧縁方向に行く(回動線Rから遠ざかる)につれて単調減少するので、図26のように本取付具11をコンクリート501(硬化済)から容易に取り外すことができる。本取付具11をコンクリート501(硬化済)から取り外すと、本取付具11が存していた部分に空間531がフランジ板本体203cの裏面203b側に形成される。
【0044】
図27は、本取付具11を用いた製造方法の第8ステップを示す断面図(図20〜図26と同じ断面位置を示している)である。図26にて説明した通り、本取付具11をコンクリート501(硬化済)から取り外し、空間531がフランジ板本体203cの裏面203b側に形成された後、L型ブロック101bと同様に形成されたL型ブロック101aのフランジ板本体203c表面203aと、L型ブロック101bのフランジ板本体203c表面203aと、を当接させ、一対のフランジ板203の連結ボルト孔203hに連結ボルト301aを貫入すると共に連結ボルト301aにナット301bを螺合させ締め付けることで、図18及び図19に示したL型ブロック101a及びL型ブロック101bによる構造体が完成する。
【0045】
以上説明の通り、本取付具11は、コンクリート製品(ここではL型ブロック101b)を連結する連結部材(ここでは連結ボルト301a)を貫通させる一面(表面203a)と他面(裏面203b)との間に形成された貫通孔(連結ボルト孔203h)を有し連結部材(連結ボルト301a)を保持する板状部分たる連結部材保持板(フランジ板本体203c)を含む連結部材保持具(フランジ継ぎ手201)を、内部(型枠内部400)にコンクリート501を打設し硬化させることによってコンクリート製品(L型ブロック101b)を形成する第1内面(内面401c)及び第2内面(内面421c)を有する型枠(ここでは型枠板401及び型枠板421を含んでなる)の第1内面(内面401c)に連結部材保持板(フランジ板本体203c)の一面(表面203a)が当接するよう型枠(型枠板401及び型枠板421を含む)の所定位置に取り付ける取付具であって、第1部分(子部分21)と、第1部分(子部分21)に対して仮想上の回動軸Rの周りに回動可能に第1部分(子部分21)の少なくとも一部(ここでは全部)である嵌入部を収容する内部空間65を有する第2部分(親部分51)と、を備えてなり、第1部分(子部分21)は、回動軸Rが存する互いに異なる第1平面Q1及び第2平面Q2(ここでは第1平面Q1及び第2平面Q2は回動軸Rを交線として互いに直交する)のうち第1平面Q1の回動軸Rを含む直線である回動軸線によって分割される2の部分のうち一方の領域に存する第1閉曲線又は両端が回動軸Rに存する曲線と該両端の間の回動軸とによって形成される第2閉曲線である第1規定線(ここでは第2閉曲線であり、詳細には、両方の底のうち長い底が回動軸上に存する等脚台形を形成する)を回動軸線の周りに1回転させて形成される原曲面(前述の一直円錐と他直円錐とそれらの間に挟まれた直円柱とによって形成される立体の表面)のうち第1平面Q1と第2平面Q2とに挟まれた部分に沿った外面である出没外面(ここでは子湾曲板23外面23aと子一方円錐板25外面25aと子他方円錐板27外面27aとを含んでなる)と、連結部材保持板(フランジ板本体203c)の他面(裏面203b)に開口する該貫通孔(連結ボルト孔203h)を取り囲むように該他面(裏面203b)に当接することで第1内面(内面401c)に連結部材保持板(フランジ板本体203c)の一面(表面203a)を当接させる縁又は面であり出没外面(子湾曲板23外面23aと子一方円錐板25外面25aと子他方円錐板27外面27aとを含んでなる)の第1平面Q1側に連なるように形成された保持板他面当接部(ここでは子当接板29の外面29a)と、を有してなり、第2部分(親部分51)は、第1部分(子部分21)に対して第2部分(親部分51)が回動軸Rの周りに正逆に回動されることで嵌入部が第2部分(親部分51)の内部空間65に出入りする出入口(子部分出入り口58)の近傍において出没外面(子湾曲板23外面23aと子一方円錐板25外面25aと子他方円錐板27外面27aとを含んでなる)と摺動する縁又は面である摺動部(ここではパッキン75と、親湾曲板53内面53bと親一方円錐板55内面55bと親他方円錐板57内面57bと、によって構成される)と、内部空間65を挟んで出入口(子部分出入り口58)とは反対側に形成された該型枠(型枠板401及び型枠板421を含んでなる)の第2内面(内面421c)に当接する縁又は面である型枠内面当接部(ここでは親当接板59の外面59a)と、出入口(子部分出入り口58)と型枠内面当接部(親当接板59の外面59a)との間の内部空間65を形成する隔壁部(ここでは親湾曲板53と親一方円錐板55と親他方円錐板57とを含んでなる)と、を有してなる、取付具である。なお、ここでは第1内面(内面401c)は第1型枠板たる型枠板401によって形成され、第1内面(内面401c)に所定角をもって交わる第2内面(内面421c)を構成する第2型枠板たる型枠板421によって形成されている。
【0046】
本取付具11においては、摺動部(パッキン75と、親湾曲板53内面53bと親一方円錐板55内面55bと親他方円錐板57内面57bと、によって構成される)が出没外面(子湾曲板23外面23aと子一方円錐板25外面25aと子他方円錐板27外面27aとを含んでなる)に液密的に当接するものである(主としてパッキン75が出没外面に液密的に当接する)。
本取付具11においては、第2部分(親部分51)の内部空間65のうち第1部分(子部分21)の嵌入部を収容する部分が、子部分21の子湾曲板23の外面23aにほぼ当接する内面53bと、子一方円錐板25の外面25aにほぼ当接する内面55bと、子他方円錐板27の外面27aにほぼ当接する内面57bと、によって規定され、回動軸Rの周りの回転体を回動軸Rが存する互いに異なる2の平面Q1、Q2(ここでは互いに直交する2の平面Q1、Q2)によって切断した形状を略なし、回動軸Rを含む平面による断面形状(両方の底のうち長い底が回動軸上に存する等脚台形)が第1規定線と相似形状を略なすものである。
本取付具11においては、第1規定線が第2閉曲線(ここでは両方の底のうち長い底が回動軸上に存する等脚台形を形成する第2閉曲線)である。
本取付具11においては、第2閉曲線(両方の底のうち長い底が回動軸R上に存する等脚台形を形成する第2閉曲線)により囲まれる図形の、回動軸Rと平行な寸法が、回動軸から離れるにつれて単調減少するものである。
本取付具11においては、前記図形(第2閉曲線(両方の底のうち長い底が回動軸R上に存する等脚台形を形成する第2閉曲線)により囲まれる図形)が、回動軸線に一辺が存する三角形の全部又は該一辺の対角を含む部分を除いた該三角形の部分である(ここでは該一辺と平行な線によって該三角形を切断し該一辺の対角を含む部分を除いた該三角形の部分である等脚台形である)。
【0047】
本取付具11においては、第2部分(親部分51)が、回動軸Rが存する互いに異なる2の平面Q1、Q2(ここでは互いに直交する2の平面)のうち一方平面Q1の回動軸Rを含む直線である回動軸線によって分割される2の部分のうち片方の領域に存する第3閉曲線又は両端が回動軸Rに存する曲線と該両端の間の回動軸Rとによって形成される第4閉曲線である第2規定線(ここでは第4閉曲線であり、詳細には、両方の底のうち長い底が回動軸上に存する等脚台形を形成する)を回動軸線の周りに1回転させて形成される原曲面(完全収容状態の回動線Rを軸とする直円柱と、完全収容状態の回動線Rを軸とし該直円柱の一底面を底面とする直円錐(該直円錐の頂点は該直円柱の外部に存する。)と、完全収容状態の回動線Rを軸とし該直円柱の他底面を底面とする直円錐(該直円錐の頂点は該直円柱の外部に存する。)と、によって形成される立体の外面)のうち該2の平面Q1、Q2に挟まれた部分に沿った外面を有するものである。
本取付具11においては、第2規定線が第4閉曲線(ここでは両方の底のうち長い底が回動軸上に存する等脚台形を形成する第4閉曲線)である。
本取付具11においては、第4閉曲線(両方の底のうち長い底が回動軸上に存する等脚台形を形成する第4閉曲線)によって囲まれる図形の、回動軸Rと平行な寸法が、回動軸から離れるにつれて単調減少するものである。
本取付具11においては、前記図形(第4閉曲線(両方の底のうち長い底が回動軸上に存する等脚台形を形成する第4閉曲線)によって囲まれる図形)が、回動軸線に一辺が存する三角形の全部又は該一辺の対角を含む部分を除いた該三角形の部分である(ここでは該一辺と平行な線によって該三角形を切断し該一辺の対角を含む部分を除いた該三角形の部分である等脚台形である)。
【0048】
本取付具11においては、保持板他面当接部(子当接板29の外面29a)が、連結部材保持板(フランジ板本体203c)の前記他面(裏面203b)に主表面(外面29a)が当接し、前記貫通孔(連結ボルト孔203h)に対応する位置に第1部分孔(ボルト嵌入孔29hとナット部材41の貫通穴とによって構成される)が形成された板状部材(子当接板29とナット部材41とにより形成される)により形成されるものである。
本取付具11においては、前記第1部分孔(ボルト嵌入孔29hとナット部材41の貫通穴とによって構成される)の内周に雌ねじ部分(ナット部材41の内周に形成される)が形成されるものである。
本取付具11においては、型枠内面当接部(親当接板59の外面59a)が、型枠(型枠板401及び型枠板421を含んでなる)の第2内面(内面421c)に当接し、第2部分孔(ボルト嵌入孔59hとナット部材71の貫通穴とにより構成される)が形成された板状部材(親当接板59とナット部材71とにより形成される)により形成されるものである。
本取付具11においては、前記第2部分孔(ボルト嵌入孔59hとナット部材71の貫通穴とにより構成される)の内周に雌ねじ部分(ナット部材71の内周に形成される)が形成されるものである。
【0049】
図20〜図26にて示したL型ブロック101bの製造方法は、本取付具11を用い、連結部材保持具(フランジ継ぎ手201)を有するコンクリート製品を製造する製造方法であって、連結部材保持板(フランジ板本体203c)の他面(裏面203b)に保持板他面当接部(子当接板29の外面29a)を当接させ、前記型枠(型枠板401及び型枠板421を含んでなる)の第1内面(内面401c)に連結部材保持板(フランジ板本体203c)の一面(表面203a)が当接するよう、第1部分(子部分21)と型枠(型枠板401及び型枠板421を含んでなる)との間に連結部材保持具(フランジ継ぎ手201)を取り付ける第1部分取付ステップ(上述の第1ステップ)と、第1部分(子部分21)に対する第2部分(親部分51)の回動軸Rの周りの回動位置を調節する回動調節ステップ(上述の第2ステップ)と、該型枠(型枠板401及び型枠板421を含んでなる)の第2内面(内面421c)に型枠内面当接部(親当接板59の外面59a)が当接するよう、該型枠(型枠板401及び型枠板421を含んでなる)に第2部分(親部分51)を取り付ける第2部分取付ステップ(上述の第4ステップ)と、該型枠(型枠板401及び型枠板421を含んでなる)の内部(型枠内部400)にコンクリート501を打設し硬化させコンクリート部分を形成する硬化ステップ(上述の第5ステップ)と、コンクリート部分501から型枠(型枠板401及び型枠板421を含んでなる)を取り外す型枠除去ステップ(上述の第6ステップ)と、型枠(型枠板401及び型枠板421を含んでなる)が取り外されたコンクリート部分501から該取付具11を取り外す取付具除去ステップ(上述の第7ステップ)と、を含んでなる、製造方法である。
【0050】
図36は、第2閉曲線G2及び第4閉曲線G4を示す図である。図36(a)は第1平面Q1上を示す図であり、図36(b)は原曲面を示す図(図36(a)中の矢印Z方向から見たところを示している)である。
第2閉曲線G2は、両端Eg1、Eg2が回動軸Rに存する曲線と、該両端Eg1、Eg2の間の回動軸Rに存する線分G2dと、によって形成されている。詳細には、該曲線は、Eg1を一端とする線分G2aと、Eg2を一端とする線分G2cと、線分G2aの他端と線分G2cの他端とを結ぶ線分G2bと、によって形成されており、第2閉曲線G2は、線分G2dと線分G2bとを両方の底(但し線分G2dの方が線分G2bよりも長い)とする等脚台形をなしている。かかる第1規定線たる第2閉曲線G2を回動軸線の周りに1回転させて形成される原曲面P2のうち第1平面Q1と第2平面Q2とに挟まれた部分P2Pに、出没外面(子湾曲板23外面23aと子一方円錐板25外面25aと子他方円錐板27外面27aとを含む)は沿った形状を有する。
第4閉曲線G4は、両端Eg3、Eg4が回動軸Rに存する曲線と、該両端Eg3、Eg4の間の回動軸Rに存する線分G4dと、によって形成されている。詳細には、該曲線は、Eg3を一端とする線分G4aと、Eg4を一端とする線分G4cと、線分G4aの他端と線分G4cの他端とを結ぶ線分G4bと、によって形成されており、第4閉曲線G4は、線分G4dと線分G4bとを両方の底(但し線分G4dの方が線分G4bよりも長い)とする等脚台形をなしている。かかる第2規定線たる第4閉曲線G4を回動軸線の周りに1回転させて形成される原曲面P4のうち第1平面Q1と第2平面Q2とに挟まれた部分P4Pに沿った外面を、第2部分(親部分51)が有する。また、ここでは第4閉曲線G4は第2閉曲線G2と略相似である。
【符号の説明】
【0051】
11 本取付具
17 内部
21 子部分
22 本体部
23 子湾曲板
23a 外面
23c 切り欠き部
25 子一方円錐板
25a 外面
27 子他方円錐板
27a 外面
29 子当接板
29a 外面
29b 内面
29h ボルト嵌入孔
31 パッキン取付板
33 開口
35 内部空間
41 ナット部材
45 パッキン
51 親部分
52 本体部
53 親湾曲板
53a 外面
53b 内面
55 親一方円錐板
55a 外面
55b 内面
57 親他方円錐板
57a 外面
57b 内面
58 子部分出入り口
59 親当接板
59a 外面
59b 内面
59h ボルト嵌入孔
65 内部空間
71 ナット部材
75 パッキン
75a、75b、75c、75d パッキン部分
101、101a、101b L型ブロック
101ba 表面
101ae、101be 端面
201 フランジ継ぎ手
203 フランジ板
203a 表面
203b 裏面
203c フランジ板本体
203f1 一方突出部
203f2 他方突出部
203h 連結ボルト孔
205a、205b、205c、205d 脚部
301a 連結ボルト
301b ナット
400 型枠内部
401、421 型枠板
401c、421c 内面
401h 取付ボルト貫入穴
421h 取付ボルト貫入穴
451、461 取付ボルト
501 コンクリート(部分)
531 空間
601a、601b L型ブロック
601aa、601ba 前面
601ac、601bc 端面
602a、602b コンクリート部分
631a、631b 空間
661a、661b L型ブロック
661ba 前面
661bc 端面
701 取付具(従来)
703 フランジ板裏面当接面
703h、705h 取付ボルト嵌入孔
705 型枠内面当接面
707 側面
709 上面
711 後面
761 取付具
763 フランジ板裏面当接面
765 型枠内面当接面
800 型枠内部
801 第1型枠板
803 第1内面
821 第2型枠板
823 第2内面
901 コンクリート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製品を連結する連結部材を貫通させる一面と他面との間に形成された貫通孔を有し連結部材を保持する板状部分たる連結部材保持板を含む連結部材保持具を、内部にコンクリートを打設し硬化させることによってコンクリート製品を形成する第1内面及び第2内面を有する型枠の第1内面に連結部材保持板の一面が当接するよう型枠の所定位置に取り付ける取付具であって、
第1部分と、第1部分に対して仮想上の回動軸の周りに回動可能に第1部分の少なくとも一部である嵌入部を収容する内部空間を有する第2部分と、を備えてなり、
第1部分は、回動軸が存する互いに異なる第1平面及び第2平面のうち第1平面の回動軸を含む直線である回動軸線によって分割される2の部分のうち一方の領域に存する第1閉曲線又は両端が回動軸に存する曲線と該両端の間の回動軸とによって形成される第2閉曲線である第1規定線を回動軸線の周りに1回転させて形成される原曲面のうち第1平面と第2平面とに挟まれた部分に沿った外面である出没外面と、連結部材保持板の他面に開口する該貫通孔を取り囲むように該他面に当接することで第1内面に連結部材保持板の一面を当接させる縁又は面であり出没外面の第1平面側に連なるように形成された保持板他面当接部と、を有してなり、
第2部分は、第1部分に対して第2部分が回動軸の周りに正逆に回動されることで嵌入部が第2部分の内部空間に出入りする出入口の近傍において出没外面と摺動する縁又は面である摺動部と、内部空間を挟んで出入口とは反対側に形成された該型枠の第2内面に当接する縁又は面である型枠内面当接部と、出入口と型枠内面当接部との間の内部空間を形成する隔壁部と、を有してなる、取付具。
【請求項2】
摺動部が出没外面に液密的に当接するものである、請求項1に記載の取付具。
【請求項3】
第2部分の内部空間のうち第1部分の嵌入部を収容する部分が、回動軸の周りの回転体を回動軸が存する互いに異なる2の平面によって切断した形状を略なし、回動軸を含む平面による断面形状が第1規定線と相似形状を略なすものである、請求項1又は2記載の取付具。
【請求項4】
第1規定線が第2閉曲線である、請求項1乃至3のいずれかに記載の取付具。
【請求項5】
第2閉曲線により囲まれる図形の、回動軸と平行な寸法が、回動軸から離れるにつれて単調減少するものである、請求項4に記載の取付具。
【請求項6】
前記図形が、回動軸線に一辺が存する三角形の全部又は該一辺の対角を含む部分を除いた該三角形の部分である、請求項5に記載の取付具。
【請求項7】
第2部分が、回動軸が存する互いに異なる2の平面のうち一方平面の回動軸を含む直線である回動軸線によって分割される2の部分のうち片方の領域に存する第3閉曲線又は両端が回動軸に存する曲線と該両端の間の回動軸とによって形成される第4閉曲線である第2規定線を回動軸線の周りに1回転させて形成される原曲面のうち該2の平面に挟まれた部分に沿った外面を有するものである、請求項1乃至6のいずれか1に記載の取付具。
【請求項8】
第2規定線が第4閉曲線である、請求項7に記載の取付具。
【請求項9】
第4閉曲線によって囲まれる図形の、回動軸と平行な寸法が、回動軸から離れるにつれて単調減少するものである、請求項8に記載の取付具。
【請求項10】
前記図形が、回動軸線に一辺が存する三角形の全部又は該一辺の対角を含む部分を除いた該三角形の部分である、請求項9に記載の取付具。
【請求項11】
保持板他面当接部が、連結部材保持板の前記他面に主表面が当接し、前記貫通孔に対応する位置に第1部分孔が形成された板状部材により形成されるものである、請求項1乃至10のいずれか1に記載の取付具。
【請求項12】
前記第1部分孔の内周に雌ねじ部分が形成されるものである、請求項11に記載の取付具。
【請求項13】
型枠内面当接部が、型枠の第2内面に当接し、第2部分孔が形成された板状部材により形成されるものである、請求項1乃至12のいずれか1に記載の取付具。
【請求項14】
前記第2部分孔の内周に雌ねじ部分が形成されるものである、請求項13に記載の取付具。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1に記載の取付具を用い、連結部材保持具を有するコンクリート製品を製造する製造方法であって、
連結部材保持板の他面に保持板他面当接部を当接させ、前記型枠の第1内面に連結部材保持板の一面が当接するよう、第1部分と型枠との間に連結部材保持具を取り付ける第1部分取付ステップと、
第1部分に対する第2部分の回動軸の周りの回動位置を調節する回動調節ステップと、
該型枠の第2内面に型枠内面当接部が当接するよう、該型枠に第2部分を取り付ける第2部分取付ステップと、
該型枠の内部にコンクリートを打設し硬化させコンクリート部分を形成する硬化ステップと、
コンクリート部分から型枠を取り外す型枠除去ステップと、
型枠が取り外されたコンクリート部分から該取付具を取り外す取付具除去ステップと、を含んでなる、製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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