説明

取付装置

【課題】表示装置等を容易に着脱することができ、かつ、小型化することができる取付装置を提供する。
【解決手段】所定部材に固定される本体部2を有する取付装置1において、前記本体部2が、互いに相対して設けられ、前記着脱部材3を挟み込んで当該着脱部材3を前記本体部2に固定する一組の固定部材5と、前記一組の固定部材が前記着脱部材を挟み込む方向と略直交する方向に互いに相対して設けられ、且つ前記一組の固定部材5を、前記着脱部材3挟み込んでいる方向とは逆の方向に動かすことで、前記固定部材5による固定を解除する解除部材6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置等を車両等に着脱自在に取り付ける取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置等のナビゲーション装置や液晶テレビ等の表示装置を自動車等の車両等に着脱自在に取り付ける取付装置として、例えば、特許文献1に記載のパネル着脱機構が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載のパネル着脱機構は、表示装置本体としての操作パネルと、前記操作パネルが取り付けられるブラケットと、を備え、前記操作パネルには、前記操作パネルの側面の下部に設けられ且つ該操作パネル内に向かって突出する突部が形成されたデタッチボタンと、前記操作パネルの背面に設けられた突部と、前記操作パネルの背面の上端から上方に突出する係止突部と、が設けられている。また、前記ブラケットには、前記係止突起が係止する係止孔と、前記操作パネルの背面の突部と係止するととともに前記デタッチボタンの突部によって押し上げられる固定部材と、が設けられている。
【0004】
特許文献1に記載のパネル着脱機構は、操作パネルの背面の係止突起とブラケットの係止孔とが係止するとともに、操作パネルの背面の突部とブラケットの固定部材とが係止することによって、操作パネルがブラケットに取り付けられる。
【0005】
また、特許文献1に記載のパネル着脱機構は、操作者がデタッチボタンを押し込むことによって、前記デタッチボタンの突部がブラケットの固定部材を押し上げ、操作パネルの突部と前記固定部材との係止状態が解除され、さらに、操作パネルの下部を手前に引張ることで係止突起と係止孔との係止状態が解除され、操作パネルがブラケットから取り外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−184581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のパネル着脱機構は、操作パネルの係止突起とブラケットの係止孔とを係止させる係止機構と、操作パネルの突部とブラケットの固定部材とを係止させる係止機構とが、それぞれ異なる機構であるので、操作パネルをブラケットから取り外すには、デタッチボタンを押し込んで突部と固定部材との係止状態を解除する操作、操作パネルの下部を手間に引張って該下部をブラケットから離間させる操作、操作パネルの下部を下方に引張って係止突起と係止孔との係止状態を解除する操作、操作パネルの上部を手前に引張って該上部をブラケットから離間させる操作、といった一連の複数の操作を行わなくてはならない。
【0008】
このように、係止状態を解除する操作と、ブラケットから操作パネルを離間させる操作とをそれぞれに行わなければならないので、一度の操作すなわちワンタッチで操作パネルをブラケットから取り外すことができず、取り外し作業が煩雑となるという課題があった。
【0009】
また、操作パネルの係止突起とブラケットの係止孔とを係止させる係止機構と、操作パネルの突部とブラケットの固定部材とを係止させる係止機構とが、それぞれ異なる機構であるので、操作パネルをブラケットに取り付けるには、操作パネルの下部が手前の位置となるように該操作パネルを傾斜させた状態で係止突起と係止孔とを係止させる操作、操作パネルの下部を該操作パネルの背面側に向かって押し込んで突部とブラケットの固定部材とを係止させる操作、といった一連の複数の操作を行わなくてはならない。
【0010】
このように、それぞれの係止機構ごとに係止させる操作を行わなければならないので、ワンタッチで操作パネルをブラケットに取り付けることができず、取り付け作業が煩雑となるという課題があった。
【0011】
また、突部と係止する固定部材のスライド方向と、固定部材と突部との係止状態を解除するデタッチボタンのスライド方向とが、同一方向であるので、デタッチボタンの不意の接触等で係止状態が解除されないように、デタッチボタンを操作するための押圧力が高く設定され、デタッチ操作には比較的に大きい力が必要となるという課題があった。
【0012】
また、操作パネルをブラケットに取り付ける際の力、および、操作パネルをブラケットから取り外す際の力が、分散配置されたそれぞれの係止機構に分散されるので、比較的に大きい力が必要となるという課題があった。
【0013】
また、操作パネルの画面が小型の場合には、操作パネルを操作したり画面の確認等をしたりする際に、操作者のすぐ近くの手元で操作パネルが操作されるので、上述のように操作パネルの取り付けおよび取り外しが煩雑であり、取り付けおよび取り外しに比較的大きな力が必要であって、かつ、デタッチ操作にも比較的大きな力が必要であると、操作パネルをブラケットから取り外さなくなってしまい、操作者のすぐ近くの手元にない操作パネルを使用しなくなる虞があるという課題があった。
【0014】
また、操作パネルに対応する寸法として、前記操作パネルの外形とほぼ同じ寸法のブラケットが必要なので、パネル着脱機構が大型となるという課題、および、ブラケットを操作パネルよりも小型化できないという課題があった。
【0015】
また、操作パネルとブラケットとが、互いに対応した専用品であるので、汎用性がないという課題があった。そして、汎用性がないので、コストアップになるという課題があった。
【0016】
そこで、本発明は、例えば、表示装置等を車両等に容易に着脱することができ、かつ、小型化することができる取付装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の取付装置は、所定部材に固定される本体部を有する取付装置において、前記本体部が、互いに相対して設けられ、着脱部材を挟み込んで当該着脱部材を前記本体部に固定する一組の固定部材と、前記一組の固定部材が前記着脱部材を挟み込む方向と略直交する方向に互いに相対して設けられ、且つ前記一組の固定部材を、前記着脱部材を挟み込んでいる方向とは逆の方向に動かすことで、前記固定部材による固定を解除する解除部材と、を備えることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例にかかる取付装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す取付装置の概略構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施例にかかる取付装置の着脱部材の構成を説明する説明図である。(A)は平面側を示す図、(B)は底面側を示す図、(C)は固定縁部側の側面を示す図、(D)は挿通孔側の側面を示す図である。
【図4】本発明の一実施例にかかる取付装置の基体部の構成を説明する説明図である。(A)は平面側を示す斜視図、(B)は底面側を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施例にかかる取付装置の固定部材の構成を説明する説明図である。(A)は平面側を示す斜視図、(B)は底面側を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施例にかかる取付装置の解除部材の構成を説明する説明図である。(A)は平面側を示す斜視図、(B)は底面側を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施例にかかる取付装置の組立方法を説明する分解斜視図である。
【図8】本発明の一実施例にかかる取付装置の構成を説明する説明図である。(A)は平面を示す図、(B)は底面を示す図である。
【図9】図8に示す取付装置の構成を説明する説明図である。(A)は固定部材側の側面を示す図、(B)は解除部材側の側面を示す図である。
【図10】図8に示す取付装置の断面図である。(A)はII−II矢視断面図、(B)はIII−III矢視断面図、(C)はIV−IV矢視断面図、(D)はV−V矢視断面図である。
【図11】本発明の一実施例にかかる取付装置から表示装置を取り外す方法を説明する図である。(A)は操作者の手指によって解除部材が操作される状態を説明する説明図、(B)は操作者の手指に表示装置が把持されて取り外された状態を説明する説明図である。
【図12】本発明の一実施例にかかる取付装置の解除部材と固定部材との動作を説明する図である。(A)は解除部材が操作されていない状態を説明する説明図、(B)は解除部材の操作によって該解除部材が回動された状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態にかかる取付装置について説明する。本発明の一実施形態にかかる取付装置は、一組の固定部材が互いに相対して着脱部材を挟み込む方向に対して略直交する方向に、互いに相対する解除部材が設けられ、且つ、当該解除部材が前記一組の固定部材を、前記着脱部材を挟み込んでいる方向とは逆の方向に動かして、前記固定部材による固定を解除するので、解除部材を操作するだけで着脱部材と一組の固定部材との係止状態が解除される。このため、一度の操作すなわちワンタッチで、表示装置に固定される着脱部材を本体部から取り外すことができる。したがって、表示装置を所定部材に容易に取り付けることができる。
【0020】
また、一組の固定部材が互いに相対して着脱部材を挟み込む方向に対して略直交する方向に、互いに相対する解除部材が設けられているので、着脱部材を本体部に押し込むだけで、前記着脱部材が前記一組の固定部材に固定される。このため、ワンタッチで、表示装置に固定される着脱部材を本体部に取り付けることができる。したがって、表示装置を所定部材から容易に取り外すことができる。よって、表示装置を所定部材に容易に着脱することができる。
【0021】
また、一組の固定部材が互いに相対して設けられ且つ互いに相対して着脱部材を挟み込んで固定するので、表示装置に固定される着脱部材を本体部に取り付ける際の力が固定部材に集中する。このため、比較的に小さい力で、着脱部材を本体部に取り付けることができる。
【0022】
また、一組の固定部材が互いに相対して着脱部材を挟み込む方向に対して略直交する方向に、互いに相対する解除部材が設けられているので、一組の固定部材が着脱部材を挟み込む方向と、前記着脱部材と前記固定部材との固定を解除する解除部材の操作方向とが略直交する。また、互いに相対する解除部材のそれぞれに、固定部材の固定状態を解除する際の力が分散される。そして、一組の固定部材が挟み込む方向と解除操作方向とが略直交するとともに固定状態を解除する際の力が分散するので、固定方向と解除操作方向とが同一であり且つ一箇所のデタッチボタンを操作するという従来の場合よりも、比較的に小さい力で、解除部材を操作することができる。したがって、比較的に小さい力で、表示装置を所定部材に着脱することができる。
【0023】
また、上述のように、比較的に小さい力で表示装置を所定部材に容易に着脱することができるので、必要に応じて頻繁に表示装置を着脱する場合であっても、その着脱操作が煩雑となることが軽減される。したがって、着脱操作が煩雑であることを理由として表示装置を使用しなくなることが防止される。
【0024】
また、表示装置に固定される着脱部材を本体部に着脱するので、本体部および着脱部材が、表示装置の外形と同様の形状および同様の寸法でなくともよい。このため、表示装置に対して、取付装置を小型化することができる。また、外形等のデザイン性を変更することもできる。
【0025】
また、表示装置に固定される着脱部材を本体部に着脱するので、表示装置の形状や寸法などデザインを変更しても、取付装置を使用することができる。このため、取付装置を汎用することができる。したがって、汎用性があり、安価に提供することができる。
【0026】
また、前記一組の固定部材の相対する方向および前記解除部材の相対する方向が、前記着脱部材の着脱方向に対して略直交する方向であるので、着脱部材、一組の固定部材および解除部材を略平面上に配置することができる。このため、本体部を薄型化することができる。したがって、取付装置を一層小型化することができる。
【0027】
また、前記一組の固定部材のそれぞれが、互いに相対して遠近移動可能に設けられ、且つ付勢部材によって互いに接近する方向に付勢され、前記解除部材が、互いに相対して回動可能に設けられ、且つ、前記固定部材と前記解除部材とにはそれぞれ、前記解除部材の回動に伴って摺動され且つ前記互いに相対する一組の固定部材の間隔を拡げる摺動部が設けられているので、解除部材の互いに相対する方向の本体部に関して、解除部材を互いに相対する方向に摺動させる場合よりも狭い幅の本体部としても、一組の固定部材と着脱部材との固定状態を解除することのできる当該一組の固定部材の移動量を得ることができる。このため、解除部材を互いに相対する方向に摺動させる場合よりも、本体部の小型化をすることができ、取付装置をさらに小型化することができる。
【0028】
また、解除部材が、互いに相対して回動可能に設けられているので、手指の先端側を解除部材に押し当てながら該解除部材を回動させて、一組の固定部材と着脱部材との係止が解除された状態で、表示装置を手指で把持して本体部から取り外すことができる。このため、表示装置を持ち替えたり、他の手指で操作をしたりすることなく、解除操作と取り外し操作とがほぼ同時に行われ、瞬時に表示装置を取り外すことができる。
【0029】
また、一組の固定部材のそれぞれが、互いに相対して遠近移動可能に設けられ、且つ付勢部材によって互いに接近する方向に付勢されているので、表示装置に固定される着脱部材を本体部に押し当てるだけで、前記着脱部材を一組の固定部材に固定できる。このため、容易かつ瞬時に表示装置を取り付けることができる。
【0030】
また、解除部材が、互いに相対して回動可能に設けられているので、回動中心を支点として摺動部が作用点となり、解除部材を互いに相対する方向に摺動させる従来の場合よりも、比較的に小さい力で解除部材を操作することができる。このため、表示装置を着脱する際の操作にかかる力が、さらに比較的に小さい力とすることができる。
【0031】
また、更に備えられた着脱部材の周縁部には、前記一組の固定部材と係止される固定縁部が設けられ、前記固定縁部が、当該固定縁部に対向する前記固定部材側に向かって突出される弧状に形成され、かつ、前記固定部材が、当該固定部材に対向する前記固定縁部の外形に沿って形成されているので、固定縁部を直線状に形成する場合よりも、前記固定縁部を長尺とすることができる。このため、一組の固定部材と着脱部材とを確実に固定することができる。また、固定縁部を直線状に形成する場合よりも、一組の固定部材と着脱部材との位置ズレの許容量が増加するので、一組の固定部材と着脱部材との固定状態を安定化することができる。したがって、表示装置を確実に保持することができる。
【0032】
また、前記本体部には、前記着脱部材の移動を規制する規制突起が設けられ、且つ、前記着脱部材には、前記規制突起と係止される係止穴が設けられているので、着脱部材の移動に伴って一組の固定部材が摺動することが規制されるとともに、着脱部材の移動に伴って解除部材が回動することが規制される。このため、着脱部材が固定される表示装置に不用意な力が作用したり、表示装置を操作する際の振動や所定部材の振動が伝達されたりした場合であっても、一組の固定部材と着脱部材との係止状態が解除されたり、一組の固定部材と着脱部材との係止力が低下したりすることを規制することができる。したがって、表示装置をさらに確実に保持することができる。
【0033】
また、前記所定部材は自転車のハンドルの一部であり、前記本体部は、前記着脱部材が固定される側の背面に、前記ハンドルの一部に取り付けるための溝を有しているので、本体部をハンドルの一部に安定して取り付けることができる。したがって、取付装置によって表示装置を自転車に安定して取り付けることができる。
【実施例】
【0034】
本発明の一実施例にかかる取付装置1について図1ないし図12を参照して説明する。本発明の一実施例にかかる取付装置1は、例えば、図1に示すように、所定部材としての自転車のハンドルの一部であるハンドルバー90に、表示装置としてのサイクルコンピュータ100を取り付けるのに使用される。
【0035】
なお、自転車は一例であり、所定部材としては、原動機や電動機などを動力源とする四輪車としての自動車等、原動機や電動機などを動力源とする二輪車としてのオートバイ等の車両などであってもよい。また、所定部材としてのハンドルバー90も一例であり、自動車等のダッシュボード等であってもよい。
【0036】
また、サイクルコンピュータ100は一例であり、表示装置としては、カーナビゲーション装置等のナビゲーション装置、カーオーディオ機器等の表示パネル、携帯電話等や携帯型GPS受信機等の携帯情報端末、液晶テレビ等のテレビ受信機等、種々の情報を表示する表示装置であってもよい。
【0037】
取付装置1は、図2に示すように、サイクルコンピュータ100にネジ等でビス留め固定される着脱部材3と、自転車のハンドルバー90に結束バンド91等の結束具で緊縛固定されて前記着脱部材3が着脱自在に装着される本体部2と、を備えており、矢印Aの方向にサイクルコンピュータ100を移動させて、着脱部材3が本体部2に装着される。
【0038】
着脱部材3は、図3(A)ないし図3(D)に示すように、本体部2に着脱される着脱方向であるZ方向が薄板状に形成され、X方向が長辺とされ且つY方向が短辺とされて楕円形状に形成されている。着脱部材3は、補強材としての線条部8と、サイクルコンピュータ100にビス留めされるネジの挿通孔9と、後述する基体部4から突出する規制突起16(図3に示す)と係止される係止穴10と、後述する固定部材5(図5に示す)と係止される固定縁部11と、本体部2への装着を円滑にする傾斜縁端部12と、を備えている。なお、着脱部材3は、上述した楕円形状の他に、円形状や多角形状など、種々の形状とすることができる。
【0039】
着脱部材3は、ポリカーボネート樹脂(以下、「PC樹脂」という。)やアクリロニトリルスチレンアクリレート樹脂(以下、「ASA樹脂」という。)等、紫外線や風雨に対する耐久性を有し、振動等に対する衝撃強度の高い合成樹脂で形成されている。着脱部材3は、射出成形などの公知の成型法で形成されている。なお、着脱部材3は、難燃性や耐熱性などに優れた合成樹脂等、種々の合成樹脂で形成することができる。
【0040】
線条部8は、着脱部材3の一方の面から突出して設けられている。線条部8は、固定縁部11に沿って弧状に複数形成されるとともに、着脱部材3の長辺のX方向に沿って直線状に形成されている。線条部8によって着脱部材3の機械強度が向上するので、着脱部材3が薄肉化および軽量化される。なお、線条部8は、網目状などの種々の形状によって、着脱部材3の機械強度を向上することができる。
【0041】
挿通孔9は、着脱部材3のX方向の長辺の両端部にそれぞれ設けられている。挿通孔9は、着脱部材3の他方の面に、ねじ部材などの頭部が当接する凹状周縁部9aが形成されている。
【0042】
係止穴10は、着脱部材3の一方の面に設けられ、該着脱部材3のY方向の長辺の両端部側かつ固定縁部11の近傍にそれぞれ設けられている。係止穴10は、規制突起16の外形よりも僅かに大きい孔径に形成されている。なお、係止穴10は、貫通孔とすることもできる。
【0043】
着脱部材3には係止穴10が設けられているので、本体部2に装着された着脱部材3が、前記本体部2に対してX方向およびY方向に移動することが規制されるとともに、本体部2と着脱部材3とのガタツキが抑えられる。このため、着脱部材3と一組の固定部材5との係止が不用意に解除されることを規制することができる。したがって、サイクルコンピュータ100を本体部2に確実に保持することができる。
【0044】
固定縁部11は、着脱部材3の一方の面に設けられ、該着脱部材3のY方向の短辺の両端部側にそれぞれ設けられている。固定縁部11は、本体部2に着脱部材3が装着された際に対向する固定部材5に向かって突出する弧状に形成されている。固定縁部11は、固定部材5の縁端部と重ねられて係止する幅に形成されている。このため、互いに相対する一組の固定部材5に、着脱部材3が狭持されるとともに係止されて、本体部2に着脱部材3が保持される。
【0045】
また、固定縁部11が、固定部材5に向かって突出する弧状に形成されているので、直線状に形成されている場合よりも、固定縁部11の全長が長尺となる。また、固定縁部11が直線状に形成されている場合よりも、装着される着脱部材3の位置ズレに対する許容量が増加するので、着脱部材3と固定部材5とが安定して確実に係止される。
【0046】
傾斜縁端部12は、着脱部材3の他方の面に設けられ、該着脱部材3のY方向の短辺の両端部側にそれぞれ設けられている。傾斜縁端部12は、着脱部材3の一方の面に設けられた固定縁部11と略同一の弧状に形成されている。傾斜縁端部12は、着脱部材3の縁端部に向かって該着脱部材3の肉厚が減少して形成されている。傾斜縁端部12は、本体部2に着脱部材3が装着される際に、一組の固定部材5の縁端部に重ねられる幅に形成されている。このため、互いに相対する一組の固定部材5の縁端部と傾斜縁端部12とが滑合して、前記互いに相対する一組の固定部材5の間隔が拡がり、互いに相対する一組の固定部材5の間に着脱部材3が円滑に侵入する。
【0047】
本体部2は、図2に示すように、基体部4と、前記着脱部材3と係止する一組の固定部材5と、前記着脱部材3と前記一組の固定部材5との固定を解除する解除部材6と、を備え、一組の固定部材5の相対する方向および解除部材6の相対する方向が、着脱部材3の着脱方向に対して略直交する方向とされている。
【0048】
なお、一組の固定部材5の相対する方向および解除部材6の相対する方向が、着脱部材3の着脱方向に対して略直交する方向とされているとは、例えば、図2に示すように、着脱部材3の着脱される方向であるZ方向に対して、一組の固定部材5がY方向に相対して設けられているとともに解除部材6がX方向に相対して設けられていることをいう。
【0049】
また、一組の固定部材5の相対する方向および解除部材6の相対する方向が、着脱部材3の着脱方向に対して略直交する方向とされているので、着脱部材3、一組の固定部材5および解除部材6を本体部2に対して略平面上に配置することができる。このため、本体部が薄型化されて、取付装置を一層小型化することができる。
【0050】
基体部4は、図4(A)および図4(B)に示すように、枠状に形成された枠状部17と、前記着脱部材3が載置される載置部15と、ハンドルバー90に取り付けられる取付部31と、を備えている。基体部4は、X方向が長辺とされ且つY方向が短辺とされる四角形状に形成されている。なお、基体部4は、四角形状の他に、楕円形状や長方形状など種々の形状に形成することができる。
【0051】
基体部4は、PC樹脂やASA樹脂等、紫外線や風雨に対する耐久性を有し、振動等に対する衝撃強度の高い合成樹脂で形成されている。基体部4は、射出成形などの公知の成型法で形成されている。なお、基体部4は、難燃性や耐熱性などに優れた合成樹脂等、種々の合成樹脂で形成することができる。
【0052】
枠状部17は、基体部4のX方向の長辺の両端部側にそれぞれ、後述する一組の固定部材5が滑動可能に係合され且つ解除部材6(図6に示す)が回動可能に係合される係合部18が設けられている。枠状部17は、基体部4のY方向の短辺の両端部側の側壁部17aのそれぞれが、固定部材5の外形に沿って弧状に形成されている。
【0053】
側壁部17aは、外周面が、Z方向の底面側から該Z方向の平面側に向かって外形が縮小される傾斜面に形成されている。側壁部17aは、内周面が、固定部材5の外形に沿って弧状に形成されている。側壁部17aには、互いに相対する一組の固定部材5同士が接近する方向、すなわち着脱部材3を挟み込む方向のY方向に固定部材5を付勢する付勢部材7(図10(D)に示す)が設けられる。
【0054】
付勢部材7は、接着材や粘着材等の固着手段37(図10(D)に示す)によって側壁部17aの内周面に固着される。付勢部材7は、例えば、シリコーンゴムやエチレンプロピレンジエンゴム等の耐候性を有するスポンジ状の発泡体などが使用される。付勢部材7は、固定部材5が着脱部材3と係止されていない状態で、前記固定部材5が付勢される肉厚に形成される。付勢部材7は、側壁部17aの内周面のほぼ全長に亘って設けられる。
【0055】
係合部18は、基体部4の短辺のY方向の両端部側から立設され且つ解除部材6が回動可能に係合される軸受部20と、解除部材6が基体部4の内側に向かって回動するのを規制する規制突起26と、前記解除部材6が基体部4の外側に向かって回動するのを規制する規制突起27と、回動される解除部材6が案内される案内部28と、基体部4の短辺のY方向に沿って延長して設けられた内壁部22と、内壁部22の上端から突出され且つ固定部材5が滑動して案内される案内突条23と、内壁部22に設けられ且つ固定部材5が滑動可能に係合される窪み部24と、前記軸受部20に設けられ且つ固定部材5が滑動可能に係合される切欠部25と、前記切欠部25と連なって設けられ且つ固定部材5を受け入れる受入室35と、基体部4の短辺のY方向に沿って設けられ且つ固定部材5が滑動される滑動突条29と、を備えている。
【0056】
軸受部20は、側壁部17aの両端部側にそれぞれ連なって設けられ、互いに相対して設けられている。軸受部20は、側壁部17aの上端部よりも突出して形成されている。軸受部20には、解除部材6の軸部52(図6に示す)が軸承される軸受穴21が設けられている。
【0057】
規制突起26は、互いに相対する軸受部20の間に設けられているとともに、互いに相対して設けられている。規制突起26は、基体部4のX方向の長辺方向が幅広に形成されている。規制突起26は、解除部材6の側面部56(図6に示す)と当接して、該解除部材6が基体部4の内側に向かって回動するのを規制する突出量で突出されている。
【0058】
なお、解除部材6が基体部4の内側に向かって回動するとは、解除部材6の軸部52を回転中心として、該解除部材6の斜面部54(図6(A)に示す)が基体部4の底面側に向かってZ方向側に移動することをいう。
【0059】
規制突起27は、互いに相対する規制突起26の間に設けられているとともに、互いに相対して設けられている。規制突起27は、基体部4のY方向の短辺方向が幅広に形成されている。規制突起27は、解除部材6の当接部60(図6(B)に示す)と当接して、該解除部材6が基体部4の外側に向かって回動するのを規制する突出量で突出されている。
【0060】
なお、解除部材6が基体部4の外側に向かって回動するとは、解除部材6の軸部52を回転中心として、該解除部材6の斜面部54が基体部4の上面側に向かってZ方向側に移動することをいう。
【0061】
規制突起26と側面部56とが当接して解除部材6が基体部4の内側に向かって回動するのを規制するとともに、規制突起27と当接部60とが当接して解除部材6が基体部4の外側に向かって回動するのを規制するので、規制突起26と側面部56、および、規制突起27および当接部60が当接しない範囲で解除部材6が基体部4に対して回動可能となる。
【0062】
案内部28は、互いに相対する規制突起27の間に設けられ且つ該規制突起27に連なって設けられている。案内部28は、基体部4のX方向の長辺方向に、内壁部22の近傍にまで延長して設けられている。案内部28の上端部は、軸受部20の軸受穴21を曲率中心とする曲率半径の円弧形状に形成されている。案内部28は、該案内部28の上端部が解除部材6の弧状突起59と摺接されるとともに、該弧状突起59と摺動される突出量で突出されている。
【0063】
内壁部22は、基体部4の短辺方向のY方向に沿って一方の側壁部17aと他方の側壁部17aとに横架され、互いに相対して設けられている。内壁部22は、軸受部20との間に、固定部材5の滑動部42(図5に示す)が挿通される間隔があけて設けられている。内壁部22の上端部には、ガイド溝部46(図5(B)に示す)と滑動されて該ガイド溝部46を案内する案内突条23が設けられている。
【0064】
案内突条23は、内壁部22の上端部に設けられ、該内壁部22の上端部のY方向の両端部側にそれぞれ設けられている。案内突条23は、基体部4の短辺方向のY方向に延長して形成されている。案内突条23は、内壁部22同士の対向する側面に連なって設けられている。
【0065】
窪み部24は、内壁部22同士の対向する側面の反対側の側面に設けられている。窪み部24は、案内部28の近傍から一方の側壁部17aに向かって幅広に形成されているとともに、前記案内部28の近傍から他方の側壁部17aに向かって幅広に形成されている。窪み部24は、固定部材5の外れ防止部45(図5に示す)が基体部4の短辺方向のY方向に移動可能となる幅に形成されている。窪み部24は、固定部材5の外れ防止部材45が入り込むとともに、該外れ防止部材45が基体部4のX方向の上面側に向かって窪み部24と係合する深さに形成されている。
【0066】
切欠部25は、軸受部20の基端部側に設けられ、該軸受部20の基端部側が内壁部22側に向かって切り欠かれている。切欠部25は、固定部材5の滑動部42が挿通される方形状に形成されている。
【0067】
受入室35は、図4(B)に示すように、切欠部25に連なって設けられ、該切欠部25の基端部側に設けられている。受入室35には、固定部材5の滑動部42を受け入れる空間が形成されている。
【0068】
滑動突条29は、案内部28の近傍から一方の軸受部20に向かって延長して設けられているとともに、前記案内部28の近傍から他方の軸受部20に向かって延長して設けられている。滑動突条29は、固定部材5のガイド溝部43(図5(B)に示す)と滑動される範囲に設けられている。滑動突条29の上端部は、ガイド溝部43の内周面の形状に沿って円弧状に形成されている。
【0069】
載置部15は、基体部4の略中心部に設けられている。載置部15には、該載置部15から放射状に延長されて枠状部17と連結された複数の連結部30が設けられている。載置部15は、六角形状に形成され、上端部が着脱部材3の載置面15aとされている。なお、載置部15は、六角形状の他に、円形状、四角形状、または、多角形状とすることができる。
【0070】
連結部30同士の間には、図4(B)に示すように、結束バンド91を挿通する挿通孔33,34が設けられている。連結部30は、載置部15を中心として略等角度間隔で放射状に複数設けられている。
【0071】
基体部4の短辺方向のY方向の両端部側の挿通孔33は、ハンドルバー90に後述するハンドルバー用取付凹部32aを取り付けた際に、結束バンド91を挿通させて前記ハンドルバー90に該結束バンド91を緊縛するためのものである。基体部4の長辺方向のX方向の両端部側の挿通孔34は、アヘッドステムに後述するアヘッドステム用取付凹部32bを取り付けた際に、結束バンド91を挿通させて前記アヘッドステムに該結束バンド91を緊縛するためのものである。
【0072】
載置面15aは、図4(A)に示すように、平面状に形成されている。載置面15aは、着脱部材3が載置された際に、該着脱部材3が安定して載置される大きさに形成されている。載置面15aには、着脱部材3の係止穴10と係止される規制突起16が設けられている。
【0073】
規制突起16は、載置面15aのY方向の両端部からそれぞれ突出して形成されている。規制突起16は、着脱部材3の係止穴10の形状に沿って円柱形状に形成されている。規制突起16は、着脱部材3の係止穴10と安定して係止される突出量で突出されているとともに、該係止穴10の穴径よりも僅かに小径に形成されている。
【0074】
載置面15aに規制突起16を突設したので、本体部2に装着されて載置部15に載置される着脱部材3が、基体部4の長辺方向のX方向や短辺方向のY方向に移動することが規制される。このため、着脱部材3がY方向に移動するとともに一組の固定部材5と当接して該一組の固定部材5を不用意に滑動させることが抑えられる。したがって、着脱部材3が固定されるサイクルコンピュータ100等の表示装置が不用意に本体部2から外れてしまうことが抑えられる。
【0075】
取付部31は、図4(B)に示すように、基体部4の底面側に設けられている。取付部31は、自転車のハンドルの一部であるハンドルバー90に取り付けるための溝としてのハンドルバー用取付凹部32aと、自転車のハンドルの一部である図示しないアヘッドステムに取り付けるための溝としてのアヘッドステム用取付凹部32bと、を備えている。なお、取付部31は、取付装置1が取り付けられる車両や取付箇所に応じて、面ファスナーや接着材、ビス留め等、公知の取付手段に対応した形態とすることができる。
【0076】
一組の固定部材5は、図5(A)および図5(B)に示すように、着脱部材3の外形に沿って弧状に形成された弧状部40と、前記弧状部40の両端部側に設けられた滑動部42と、を備えている。一組の固定部材5は、Y方向に互いに相対して本体部2に設けられる。
【0077】
一組の固定部材5は、PC樹脂やASA樹脂等、紫外線や風雨に対する耐久性を有し、振動等に対する衝撃強度の高い合成樹脂で形成されている。一組の固定部材5は、射出成形などの公知の成型法で形成されている。なお、一組の固定部材5は、難燃性や耐熱性などに優れた合成樹脂等、種々の合成樹脂で形成することができる。
【0078】
弧状部40は、着脱部材3と係止される側が、該着脱部材3の弧状の外形に沿って弧状に形成されているとともに、側壁部17a側が、該側壁部17aの弧状の外形に沿って弧状に形成されている。弧状部40は、該弧状部40の着脱部材3と係止される側に設けられ該着脱部材3の傾斜縁端部12と摺接される傾斜縁部40aと、前記弧状部40の着脱部材3と係止される側に設けられ該着脱部材3の固定縁部11と係止される庇状係止部41と、前記弧状部40からZ方向の下方に延長された押圧壁47と、前記押圧壁47と滑動部42との間に設けられ且つ案内突条23と滑動されるガイド溝部46と、前記案内突条23と当接する当接部50と、を備えている。
【0079】
傾斜縁部40aは、着脱部材3の傾斜縁端部12に沿って弧状に形成されているとともに、該傾斜縁端部12と相対する傾斜面に形成されている。このため、着脱部材3が本体部2に装着される際に、着脱部材3の傾斜縁端部12と固定部材5の傾斜縁部40aとが摺動され、互いに相対する一組の固定部材5の間隔がY方向、すなわち着脱部材3を挟み込んでいる方向とは逆の方向に拡げられる。したがって、比較的に軽い力で着脱部材3を本体部2に装着することができる。
【0080】
庇状係止部41は、着脱部材3の固定縁部11に沿って弧状に形成されているとともに、該固定縁部11とZ方向に重ねられて係合する幅で形成されている。このため、着脱部材3の固定縁部11と固定部材5の庇状係止部41とがZ方向に係止され、着脱部材3が固定部材5に固定される。
【0081】
押圧壁47は、弧状部40の下面から下方に延長されて設けられているとともに、該弧状部40の一端側から他端側に亘って設けられている。押圧壁47は、側壁部17aの貼付部36に沿って弧状に形成されている。このため、貼付部36に貼付された付勢部材7によって押圧壁47がY方向に付勢され、一組の固定部材5がY方向、すなわち着脱部材3を挟み込む方向に付勢される。押圧壁47は、付勢部材7によって付勢される側面の反対側の側面に、前記押圧壁47を補強する補強部47aが形成されている。
【0082】
ガイド溝部46は、押圧壁47と滑動部42との間がY方向に切り欠かれて形成されている。ガイド溝部46は、案内突条23の外形に沿って該案内突条23よりも僅かに幅広に形成されている。
【0083】
当接部50は、ガイド溝部46の延長線上に設けられているとともに、当接突起48同士が当接する位置で案内突条23と当接する位置に設けられている。このため、対向する当接突起48が当接するとともに案内突条23と当接部50とが当接して、一組の固定部材5の移動が規制される。
【0084】
滑動部42は、弧状部40の両端部に設けられ、一組の固定部材5同士が対向する方向に延長されて設けられている。滑動部42は、滑動突条29と滑動されるガイド溝部43と、切欠部25と係合する外れ防止部44と、窪み部24と係合する外れ防止部45と、互いに当接する当接突起48と、解除部材6の摺動部58と摺動される摺動部49と、を備えている。
【0085】
ガイド溝部43は、滑動部42の下端部に設けられている。ガイド溝部43は、Y方向に延長されて形成されているとともに、滑動突条29に跨って該滑動突条29と滑動される深さの溝に形成されている。ガイド溝部43は、U字形状に形成されており、滑動突条29との摩擦が軽減されている。
【0086】
外れ防止部44は、滑動部42の基端側のガイド溝部43の外側に設けられている。外れ防止部44は、ガイド溝部43の肉厚を厚肉に形成して設けられている。外れ防止部44は、切欠部25を挿通するとともに、Z方向で切欠部25と係合する四角形状に形成されている。
【0087】
外れ防止部45は、滑動部42の先端側のガイド溝部43の外側から互いに対向する方向に突出して設けられている。外れ防止部45は、窪み部24内をY方向に移動するとともに、Z方向で窪み部24と係合する四角形状に形成されている。
【0088】
当接突起48は、滑動部42の先端部が突出して形成されている。当接突起48は、付勢部材7によって付勢された一組の固定部材5が互いに相対して当接する突出量で突出されている。このため、対向する当接突起48が互いに当接するとともに当接部50が案内突条23と当接するので、外れ防止部44が切欠部25から引き出されるのを規制して、外れ防止部44と切欠部25とのZ方向の係合が解除されるのを規制することができる。
【0089】
摺動部49は、滑動部42の中間部の側面から外側に向かって突出して設けられている。摺動部49は、当接突起48側に向かって徐々に突出量が減少する三角形状に形成されている。摺動部49には、解除部材6の摺動部58の摺動面58aと摺動される摺動面49aが設けられている。
【0090】
摺動面49aは、解除部材6の摺動部58の摺動面58aと相対して形成されている。摺動面49aは、外れ防止部44側が、該外れ防止部44に向かって僅かに傾斜する弧状に形成されている。このため、解除部材6の回動に伴って、摺動面49aの弧状に形成された箇所と前記摺動面58aとが、線接触から点接触、または、点接触から線接触するので、摺動部49と摺動部58との摺動抵抗を軽減することができる。したがって、解除部材6の回動に伴って一組の固定部材5を円滑に滑動させることができる。
【0091】
解除部材6は、図6(A)および図6(B)に示すように、上面部53と、前記上面部53から連なる斜面部54と、前記斜面部54から連なる側面部55と、前記側面部55の下方に設けられた当接部56と、前記上面部53および斜面部54の下部に設けられた摺動部58と、前記斜面部54の下部に設けられた弧状突起59と、前記斜面部54の下部に設けられた当接部60と、軸受部20に軸承される軸部52と、前記上面部53から前記斜面部54に亘って設けられた弧状凹部51と、を備えている。解除部材6は、X方向に互いに相対して本体部2に設けられる。
【0092】
解除部材6は、PC樹脂やASA樹脂等、紫外線や風雨に対する耐久性を有し、振動等に対する衝撃強度の高い合成樹脂で形成されている。解除部材6は、射出成形などの公知の成型法で形成されている。なお、解除部材6は、難燃性や耐熱性などに優れた合成樹脂等、種々の合成樹脂で形成することができる。
【0093】
上面部53は、解除部材6の上端部に形成され、中央部に弧状凹部51が形成されている。上面部53は、解除部材6の両端部側に設けられている。上面部53は、X方向が軸部52の軸径とほぼ同じ幅に形成されている。
【0094】
斜面部54は、前記上面部53に連なって形成されているとともに、X方向が上面部53よりも幅広に形成されている。斜面部54には、前記上面部53に形成された弧状凹部51の先端部が形成されている。
【0095】
側面部55は、前記斜面部54に連なって形成されているとともに、X方向が上面部53とほぼ同じ幅に形成されている。側面部55は、基体部4の長辺方向のX方向の両端部側の枠状部17から突出して形成されている。
【0096】
側面部55が枠状部17から突き出して形成されているとともに、斜面部54と側面部55との間に縁部が形成されるので、枠状部17から突き出された縁部を操作者の手指で操作することができる。このため、解除部材6の操作性が向上する。
【0097】
当接部56は、側面部55の下端部からZ方向の下方に延長して設けられているとともに、前記側面部55のY方向のほぼ全長に亘って設けられている。当接部56は、係合部18の規制突起26と当接する延長量で延長して形成されている。当接部56は、規制突起26のX方向の外側の側面部と当接する位置に設けられている。
【0098】
摺動部58は、上面部53の下面から斜面部54の下面に亘って設けられている。摺動部58は、板状に形成され、弧状凹部51の開口部近傍から斜面部54の両端部側に向かって傾斜され且つ固定部材5の摺動部49の摺動面49aと相対する摺動面58aが形成されている。
【0099】
摺動面58aは、固定部材5の摺動部49の摺動面49aと相対するとともに、解除部材6の回動に伴って前記摺接面49aと摺接する延長量で、上面部53および斜面部54の下面から延長して形成されている。このため、解除部材6の回動に伴って、固定部材5の摺動部49と解除部材6の摺動部58とが摺動して、互いに相対する一組の固定部材5がY方向、すなわち着脱部材3を挟み込む方向と、着脱部材3を挟み込む方向とは逆の方向とに遠近移動される。したがって、解除部材6を回動させて、着脱部材3を挟み込んでいる方向とは逆の方向に、一組の固定部材5を移動させ、該一組の固定部材5による固定を解除することができる。
【0100】
なお、互いに相対する一組の固定部材5が遠近移動するとは、互いに相対する一方の固定部材5と他方の固定部材5とが、互いに遠ざかる方向、すなわち着脱部材3を挟み込んでいる方向とは逆の方向に移動したり、互いに近づく方向、すなわち着脱部材を挟み込む方向に移動したりすることをいう。すなわち、互いに相対する一方の固定部材5と他方の固定部材5とが、離反したり、接近したりして、互いに相対する一組の固定部材5の間隔が拡がったり、狭まったりすることをいう。
【0101】
弧状突起59は、軸部52を曲率中心とする曲率半径の円弧状に形成されている。弧状突起59は、係合部18の案内部28の曲率半径よりも僅かに小さい曲率半径で形成されている。このため、操作者の手指で解除部材6が押し込まれた際に、該解除部材6の回動に伴って弧状突起59と案内部28とが摺動される。したがって、解除部材6が押し込まれる際の圧力を案内部28で支持することができる。よって、解除部材6の軸部52および軸受部20の軸受穴21にかかる押圧力の負荷を軽減することができる。
【0102】
当接部60は、弧状凹部51の開口部と弧状突起59とに連なって設けられている。当接部60は、弧状凹部51の開口部からZ方向の下方に延長され、係合部18の規制突起27と当接される延長量で形成されている。当接部60は、Y方向が幅広に形成されている。当接部60は、規制突起27の内壁部22と相対する側面部と当接する位置に設けられている。
【0103】
軸部52は、解除部材6のY方向の両端部のそれぞれから突出して設けられている。軸部52は、当接部56と軸部52との距離よりも、斜面部54と側面部55との間に形成される縁部と軸部52との距離が長くなる位置に設けられている。このため、縁部を押し込んで解除部材6を回動操作する際の操作者の手指への負荷が、解除部材6を直線状に押し込む場合よりも軽減される。
【0104】
弧状凹部51は、着脱部材3のX方向の両端部の外形に沿って形成されている。弧状凹部51は、着脱部材3のX方向の両端部と当接しない大きさと深さとに形成されている。
【0105】
次に、本発明の一実施例にかかる取付装置1の組立方法について図7ないし図10を参照して説明する。
【0106】
図7に示すように、側壁部17aの貼付部36に接着材37を介して付勢部材7が貼付されるとともに、基体部4の係合部18の案内突条23、滑動突条29、窪み部24、案内部28、軸受部20の軸受穴21、切欠部25のそれぞれに潤滑材が塗布され、一組の固定部材5の摺動部49の摺動面49a、外れ防止部44,45、ガイド溝部43,46、および、当接部50のそれぞれに潤滑材が塗布され、基体部4に一組の固定部材5が組み付けられる。
【0107】
このとき、図10(D)に示すように、付勢部材7によって一組の固定部材5が、互いに対向する方向、すなわち着脱部材3を挟み込む方向であるY方向に付勢される。また、図10(A)に示すように、案内突条23とガイド溝部46とが滑合されるとともに滑動突条29と滑動部42とが滑合され、外れ防止部44と切欠部25とがZ方向に係合される。また、図10(B)に示すように、外れ防止部45と窪み部24とがZ方向に係合される。
【0108】
なお、潤滑材は、例えば、塗布前は液状であって、塗布されると常温で乾燥して摺動耐久性の高い潤滑被膜を形成する乾性被膜潤滑剤などが使用される。また、潤滑材は、塗布された箇所の周囲に滲み出したりせず、塗布された部材の合成樹脂に影響を及ぼしたりしないものであれば、グリースなどの潤滑剤を使用することができる。
【0109】
続いて、解除部材6の摺動部58の摺動面58a、および、弧状突起59の先端部のそれぞれに潤滑材が塗布され、図7に示すように、基体部4の係合部18に解除部材6が組み付けられる。
【0110】
このとき、解除部材6の軸部52が、軸受部20の軸受穴21に回動可能に軸承され、固定部材5の摺動部49と解除部材6の摺動部58とが相対されるとともに、図10(B)に示すように、解除部材6の当接部60と係合部18の規制突起27とが当接される。また、図10(C)に示すように、解除部材6の弧状突起59と係合部18の案内部28とが摺接される。また、付勢部材7で付勢される固定部材5の摺動部49と、解除部材6の摺動部58とが摺接されるので、解除部材6が初期状態とされる。
【0111】
なお、解除部材6の初期状態とは、操作者が操作をする前の状態のことをいい、解除部材6が基体部4の外側に向かって回動されて、解除部材6の当接部60が規制突起27と当接された状態であることをいう。
【0112】
続いて、図7に示すように、基体部4の載置部15に着脱部材3が装着される。このとき、着脱部材3の傾斜縁端部12と固定部材5の傾斜縁部40aとが摺動され、互いに相対する一組の固定部材5の間隔が拡がって、前記傾斜縁端部12が前記傾斜縁部40aを通過し、着脱部材3が一組の固定部材に挟み込まれる。また、図8(A)、図9(A)、図9(B)、図10(A)および図10(D)に示すように、着脱部材3の固定縁部11と固定部材5の庇状係止部41とが係止されて、着脱部材3が固定部材5に固定される。また、装着部15の規制突起16と着脱部材3の係止穴10とが係止されて、着脱部材3のX方向およびY方向の移動が規制される。
【0113】
このようにして、図8および図9に示すように、本発明の一実施例にかかる取付装置1が組み立てられる。
【0114】
次に、本発明の一実施例にかかる取付装置1の脱着方法について図11および図12を参照して説明する。
【0115】
図11(A)に示すように、結束バンド91でハンドルバー90に緊縛固定された取付装置1に装着されたサイクルコンピュータ100の両側面部を手指110によって把持し、解除部材6の斜面部54と側面部55との間に形成される縁部に前記手指110を押し当てて、前記解除部材6を基体部4の内側に向かって回動させる。
【0116】
このとき、図12(A)および図12(B)に示すように、解除部材6が基体部4の内側に向かって回動され、解除部材6の摺動部58の摺動面58aと、固定部材5の摺動部49の摺動面49aとが摺動されて、互いに相対する一組の固定部材5の間隔が拡がるY方向、すなわち着脱部材3を挟み込んでいる方向とは逆の方向に移動され、固定部材5の庇状係止部41と着脱部材3の固定縁部11とのZ方向の係止が解除される。
【0117】
続いて、サイクルコンピュータ100の両側面部を手指110で把持した状態でZ方向の上方に向かって引き上げて、本体部2からサイクルコンピュータ100を取り外す。このようにして、本発明の一実施例に係る取付装置1の本体部2から、サイクルコンピュータ100に固定された着脱部材3が脱着される。
【0118】
このように、手指110でサイクルコンピュータ100の両側面部を把持した状態で、前記手指110の先端部を解除部材6に押し当てるとともに本体部2からサイクルコンピュータ100を取り外すので、一度の操作すなわちワンタッチでサイクルコンピュータ100を本体部2から取り外すことができる。このため、サイクルコンピュータ100の取り外し作業を容易に行うことができる。
【0119】
また、手指110でサイクルコンピュータ100の両側面部を把持した状態で、該サイクルコンピュータ100を本体部2に重ね合わせるだけで着脱部材3と一組の固定部材5とが固定されるので、ワンタッチでサイクルコンピュータ100を本体部2に取り付けることもできる。このため、サイクルコンピュータ100の着脱操作を容易に行うことができる。
【0120】
本実施例によれば、一組の固定部材5が互いに相対して着脱部材3を挟み込む方向に対して略直交する方向に、互いに相対する解除部材6が設けられ、且つ、当該解除部材6が前記一組の固定部材5を、前記着脱部材3を挟み込んでいる方向とは逆の方向に動かして、前記固定部材5による固定を解除するので、解除部材6を操作するだけで着脱部材3と一組の固定部材5との固定状態が解除される。このため、一度の操作すなわちワンタッチで、サイクルコンピュータ100に固定される着脱部材3を本体部2から取り外すことができる。したがって、サイクルコンピュータ100を自転車に容易に取り付けることができる。
【0121】
前述した実施例によれば、以下の取付装置1が得られる。
【0122】
(付記)
自転車のハンドルの一部としてのハンドルバー90に固定される本体部2を有する取付装置1において、
前記本体部2が、
互いに相対して設けられ、着脱部材3を挟み込んで当該着脱部材3を前記本体部2に固定する一組の固定部材5と、
前記一組の固定部材5が前記着脱部材3を挟み込む方向と略直交する方向に互いに相対して設けられ、且つ前記一組の固定部材5を、前記着脱部材3を挟み込んでいる方向とは逆の方向に動かすことで、前記固定部材5による固定を解除する解除部材6と、
を備えることを特徴とする取付装置1。
【0123】
この取付装置1によれば、一組の固定部材5が互いに相対して着脱部材3を挟み込む方向に対して略直交する方向に、互いに相対する解除部材6が設けられ、且つ、当該解除部材6が前記一組の固定部材5を、前記着脱部材3を挟み込んでいる方向とは逆の方向に動かして、前記固定部材5による固定を解除するので、解除部材6を操作するだけで着脱部材3と一組の固定部材5との固定状態が解除される。したがって、一度の操作すなわちワンタッチで、サイクルコンピュータ100に固定される着脱部材3を本体部2から取り外すことができる。よって、サイクルコンピュータ100を自転車に容易に取り付けることができる。
【0124】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0125】
1 取付装置
2 本体部
3 着脱部材
4 基体部
5 固定部材
6 解除部材
7 付勢部材
10 係止穴
16 規制突起
40 弧状部
41 庇状係止部
49 摺動部
49a 摺動面
58 摺動部
58a 摺動面
90 ハンドルバー
100 サイクルコンピュータ(表示装置)
X 一組の固定部材の相対する方向
Y 解除部材の相対する方向
Z 着脱部材の着脱方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定部材に固定される本体部を有する取付装置において、
前記本体部が、
互いに相対して設けられ、着脱部材を挟み込んで当該着脱部材を前記本体部に固定する一組の固定部材と、
前記一組の固定部材が前記着脱部材を挟み込む方向と略直交する方向に互いに相対して設けられ、且つ前記一組の固定部材を、前記着脱部材を挟み込んでいる方向とは逆の方向に動かすことで、前記固定部材による固定を解除する解除部材と、
を備えることを特徴とする取付装置。
【請求項2】
前記一組の固定部材の相対する方向および前記解除部材の相対する方向が、前記着脱部材の着脱方向に対して略直交する方向であることを特徴とする請求項1に記載の取付装置。
【請求項3】
前記一組の固定部材のそれぞれが、互いに相対して遠近移動可能に設けられ、且つ付勢部材によって互いに接近する方向に付勢され、
前記解除部材が、互いに相対して回動可能に設けられ、且つ、前記固定部材と前記解除部材とにはそれぞれ、前記解除部材の回動に伴って摺動され且つ前記互いに相対する固定部材の間隔を拡げる摺動部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の取付装置。
【請求項4】
前記着脱部材を更に備え、
前記着脱部材の周縁部には、前記固定部材と係止される固定縁部が設けられ、
前記固定縁部が、当該固定縁部に対向する前記固定部材側に向かって突出される弧状に形成され、且つ、
前記固定部材が、当該固定部材に対向する前記固定縁部の外形に沿って形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の取付装置。
【請求項5】
前記本体部には、前記着脱部材の移動を規制する規制突起が設けられ、且つ、
前記着脱部材には、前記規制突起と係止される係止穴が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の取付装置。
【請求項6】
前記所定部材は自転車のハンドルの一部であり、
前記本体部は、前記着脱部材が固定される側の背面に、前記ハンドルの一部に取り付けるための溝を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−75635(P2013−75635A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217927(P2011−217927)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)