取付金具及び取付構造
【課題】施工性の向上を図ることができる取付金具及び取付構造を提供する。
【解決手段】 取付金具1は、パネル9に固定される段付き金具2と、段付き金具2と協働して定規アングル10を挟持する金具保持部3とを備える。段付き金具2は、パネル9に当接する当接片21、金具保持部3の内部に差し込まれた差込片22、段差連結部23を有する。段付き金具2は、水平方向及び上下方向において所定の遊びをもって突起部5,6及び爪部7,8により規制されている。当接片21をパネル9に締結固定するに伴い、差込片22が切り欠き46,47に差し込まれる定規アングル10に当接し、定規アングル10を切り欠き46,47を形成する第1側壁46a,47aに押し付ける。
【解決手段】 取付金具1は、パネル9に固定される段付き金具2と、段付き金具2と協働して定規アングル10を挟持する金具保持部3とを備える。段付き金具2は、パネル9に当接する当接片21、金具保持部3の内部に差し込まれた差込片22、段差連結部23を有する。段付き金具2は、水平方向及び上下方向において所定の遊びをもって突起部5,6及び爪部7,8により規制されている。当接片21をパネル9に締結固定するに伴い、差込片22が切り欠き46,47に差し込まれる定規アングル10に当接し、定規アングル10を切り欠き46,47を形成する第1側壁46a,47aに押し付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造部材及び二次部材の少なくとも一方に固定された定規アングルなどの下地材に建築用のパネルを取り付けるための取付金具及び取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビル等の梁に複数の中空状壁パネル(例えば、押出成形セメント板)を縦張りにして建て込むときは、先ず、床スラブ側梁部材の上部にピース定規アングルを介して、通し定規アングルを水平方向に取り付ける。その後、通し定規アングルの水平部に押出成形セメント板を配置し、通し定規アングルの鉛直部を段付き取付金具であるZクリップの下部で挟むと共に、Zクリップの中間傾斜部または下部などを通し定規アングルの鉛直部に溶接し、Zクリップの上部を押出成形セメント板にボルトで締め付けて固定している。しかしながら、この場合には、Zクリップの回転による脱落を防止するためにZクリップを通し定規アングルに溶接する作業が必要であるので、施工に時間がかかる問題があった。
【0003】
上記の問題点を解決するため、様々な試みが行われている。例えば、特開2003−96915号公報に記載されているように、通し定規アングルを挟持する定規アングル挟持部と、Zクリップを保持するZクリップ保持部とを備えたZクリップ回転防止金具が知られている。この回転防止金具によれば、Zクリップを通し定規アングルに溶接する作業を省くことができ、施工時間の短縮を図ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−96915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の特許文献1の発明にあっては、壁パネルの建て込みときに、壁パネルに仮止めされたZクリップと、通し定規アングルに装着された回転防止金具との位置合わせ作業が必要であるため、施工時間の短縮を図り難い。また、Zクリップと回転防止金具との2種類の部品を取り扱う必要性があるので、部品管理が煩雑であり、施工性を向上することができない。
【0006】
本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、施工性の向上を図ることができる取付金具及び取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る取付金具は、構造部材及び二次部材の少なくとも一方に取り付けられた下地材に建築用のパネルを取り付けるための取付金具であって、パネルに固定される段付き金具と、段付き金具と協働して下地材を挟持する金具保持部とを備え、段付き金具は、パネルに当接する当接片と、金具保持部の内部に差し込まれる差込片と、当接片及び差込片を連結する段差連結部とを有し、金具保持部は、差込片を受け入れる筐体部と、段付き金具の離脱を規制する離脱規制部とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る取付金具では、段付き金具の差込片が金具保持部の内部に差し込まれ、段付き金具が離脱規制部によって規制されているので、段付き金具と金具保持部とは一体化される。このため、段付き金具及び金具保持部は一つの部品として取り扱うことが可能となる。従って、段付き金具の当接片をパネルに固定させることにより、段付き金具と金具保持部が協働して下地材を挟持し、パネルを容易に取り付けることができるので、施工性の向上を図ることが可能となる。
【0009】
本発明に係る取付金具において、筐体部は、差込片と対面する本体部と、差込片の両側の側縁に沿って延在する一対の側板部とを有し、一対の側板部のそれぞれには、下地材が差し込まれる切り欠きが形成されていると好適である。
【0010】
このようにすれば、本体部と側板部とが差込片の位置を規制し、差込片の回転や位置ずれを防止することができる。パネルに台風や地震などの外力が作用したとき、パネルに固定された段付き金具のパネル面外方向の回転変位やパネル面内方向の変位を、差込片が金具保持部に当接して防止することができる。また、切り欠きを形成するので、その内部に差し込まれる下地材を挟持することができる。
【0011】
本発明に係る取付金具において、離脱規制部は、本体部又は側板部から当接片側に張り出して段差連結部の一方の面に干渉する爪部と、一対の側板部から内側に突出して段差連結部の他方の面に干渉する一対の突起部とを有すると好適である。
【0012】
この場合、本体部又は側板部から張り出した爪部が段差連結部の一方の面に干渉し、側板部に設けられた突起部が段差連結部の他方の面に干渉することによって、段付き金具と金具保持部とは一体化される。従って、段付き金具及び金具保持部は一つの部品として取り扱うことができ、部品管理が容易になり、施工性の向上を図り易くなる。
【0013】
本発明に係る取付金具において、当接片は、締結部材によってパネルに締結固定されており、差込片は、締結部材の締め付け方向に所定の遊びをもって離脱規制部により規制されており、当接片をパネルに締結固定するに伴い、差込片は、切り欠き部に差し込まれる下地材に当接して、下地材を切り欠きを形成する側壁に押し付けると好適である。
【0014】
この場合、差込片が、締結部材の締め付け方向に所定の遊びをもっているので、その遊び範囲で移動することが可能である。このため、下地材を切り欠きに差し込む際に、干渉による下地材の差し込みを邪魔することがなく、下地材を容易に切り欠きに挿入することができる。また、当接片をパネルに締結固定するに伴い、この差込片は、下地材に当接して下地材を切り欠きを形成する側壁に押し付けるので、金具保持部と協働して下地材を確実に挟持することができる。
【0015】
本発明に係る取付金具において、差込片は、その差し込み方向に所定の遊びをもって離脱規制部により規制されていると好適である。
【0016】
このようにすれば、所定の遊び範囲内で施工誤差を調整しながら施工することができ、施工効率をアップすることができる。また、例えば台風や地震によるパネルの変形、日射によるパネルの熱変形に対して、パネルがこの遊び範囲内で移動変位できるので、パネルの損傷を防止することが可能となる。
【0017】
本発明に係る取付金具において、差込片における下地材に当接する部分と切り欠きを形成する側壁との少なくとも一方には、滑り止め部が設けられていると好適である。
【0018】
このようにすれば、下地材を確実に挟持することができ、下地材の位置ズレの発生を抑制することができる。
【0019】
本発明に係る取付金具において、下地材の厚さをL1とし、筐体部におけるパネルと当接する平面から、切り欠きを形成する側壁のうちパネルに近い側壁までの距離をL2とし、当接片のパネルと当接する当接面から、差込片における下地材と当接する平面までの距離をL3としたときに、(L1+L2)>L3なる関係式を満たすと好適である。
【0020】
このようにすれば、段付き金具と金具保持部との協働によって、下地材を確実に挟持することができる。
【0021】
本発明に係る取付構造は、上述の取付金具を用いて建築用のパネルを下地材に取り付ける取付構造であって、段付き金具及び金具保持部は、パネルに当接され、段付き金具の当接片は、パネルに固定され、下地材は、切り欠きに差し込まれ、差込片によって切り欠きを形成する側壁に押し付けられていることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る取付構造では、段付き金具と金具保持部とを一体的に結合する取付金具を用いてパネルを下地材に取り付けるため、従来と比べて部品管理が容易になり、施工効率をアップすることができる。その結果、施工性の向上を図り易くなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、施工性の向上を図ることができる取付金具及び取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る取付金具を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る取付金具を示す斜視図である。
【図3】段付き金具を示す斜視図である。
【図4】金具保持部を示す斜視図である。
【図5】金具保持部を示す斜視図である。
【図6】組み立てられた状態における段付き金具と金具保持部との位置関係を示す断面図である。
【図7】組み立てられた状態における段付き金具と金具保持部との位置関係を示す断面図である。
【図8】組み立てられた状態における段付き金具と金具保持部との位置関係を示す断面図である。
【図9】取付金具と定規アングルとの寸法関係を示す図である。
【図10】取付金具を用いて建築パネルを定規アングルに取り付ける作業を示す図である。
【図11】取付金具を用いて建築パネルをH形鋼に取り付ける場合の取付構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明に係る取付金具及びその取付構造の実施形態を説明する。なお、説明において同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0026】
図1及び図2は、本実施形態に係る取付金具を示す斜視図である。この取付金具1は、建築用のパネルを定規アングル(下地材)に取り付けるためのものであり、略箱状に形成された金具保持部3、一端が金具保持部3内に差し込まれ他端が金具保持部3から突き出した長尺状の段付き金具2を備えている。
【0027】
図3は段付き金具を示す斜視図である。図3に示すように、段付き金具2は、一枚の金属製の平板を折り曲げることによって稲妻状に成形されている。この段付き金具2は、建築用のパネルに取り付ける際にパネルに当接する当接片21と、金具保持部3の内部に差し込まれた差込片22と、当接片21及び差込片22を連結する段差連結部23とを有する。
【0028】
当接片21と差込片22とは、互いに平行している。当接片21の中央には、ボルトを挿入するための貫通穴24が形成されている。この貫通穴24は、段付き金具2の長さ方向にそって縦長の楕円形状に加工されている。段差連結部23は、所定の角度をもって傾斜している。
【0029】
図4及び図5は金具保持部を示す斜視図である。金具保持部3は、段付き金具2の差込片22を受け入れる筐体部4を備えている。筐体部4は、一枚の金属製の平板を所定の形状に打ち抜き加工した後、その平板を断面C字状に折り曲げにより成形されている。具体的には、筐体部4は、差込片22と対面する本体部41と、本体部41の両端から本体部41に対して直交に延びる一対の側板部42,43と、側板部42,43の端部から側板部42,43に対して直交に延在する一対のパネル当接部44,45とから構成されている。
【0030】
パネル当接部44,45は、取付金具1を建築用のパネルに取り付ける際にパネルに当接する部分であり、その剛性を高めるため先端部がV字状に曲げ加工されている。側板部42,43には、定規アングルを差し込むための切り欠き46,47が形成されている。この切り欠き46,47は、側板部42,43の下端から上方に向かって延在している。
【0031】
切り欠き46,47を形成する側壁のうち、パネル当接部44,45に近い第1側壁46a,47aには、鋸状に加工された滑り止め部Sが設けられている。一方、第1側壁46a,47aに対向する第2側壁46b,47bには、滑り止め部が設けられていない。また、切り欠き46,47に定規アングルを挿入し易くするため、第1側壁46a,47aの先端部は、第2側壁46b,47bとの間隔を広げるようにテーパ状に形成されている。
【0032】
側板部42,43には、内側に突出する一対の突起部(離脱規制部)5,6が設けられている。この一対の突起部5,6は、同じ位置に配置され、互いに対向している。また、金具保持部3は、本体部41から当接片21側(上方)に張り出す2つの爪部7,8が設けられている。爪部7,8は、筐体部4の内側に傾斜している。
【0033】
図6〜図8は、組み立てられた状態における段付き金具と金具保持部との位置関係を示す断面図である。図6(a)に示すように、上下方向(差込片22の差し込み方向)において、段付き金具2は所定の遊びをもって突起部6及び爪部8により規制されている。具体的には、段付き金具2を上方に持ち上げると、段差連結部23の上面23aが爪部8に干渉することになる(実線部分)。一方、段付き金具2を下方に押すと、段差連結部23の下面23bが突起部6に干渉することになる(2点鎖線部分)。
【0034】
図6(b)に示すように、左右方向(ボルトの締め付け方向)において、段付き金具2は所定の遊びをもって突起部6及び本体部(離脱規制部)41により規制されている。すなわち、段付き金具2を右側に移動すると、差込片22が本体部41の内壁面に干渉することになる(実線部分)。一方、段付き金具2を左側に移動すると、差込片22が突起部6と干渉することになる(2点鎖線部分)。
【0035】
また、図7(a)に示すように、外力を受けない状態では、自重によって段付き金具2の段差連結部23が突起部6に接触し、下面23bが突起部6と干渉することになる。このとき、段付き金具2が突起部6を支点として矢印に示す方向(面外方向)に回転しようとする動きが生じるので、差込片22の下端部が本体部41の内壁面と接触し、その回転の動きが本体部41によって阻止される(図7(b))。
【0036】
上記の説明において、段差連結部23の下面23bが突起部6と干渉することを想定して行ったが、下面23bがパネル当接部44,45の上端面に干渉することもある。具体的には、図8(a)に示すように、突起部6が図6及び図7よりも切り欠き47に近い側に配置された場合、段差連結部23の下面23bが突起部6と接触する前に、先にパネル当接部45の上端面45aに接触することになる。
【0037】
このとき、段付き金具2が上端面45aとの接触箇所を支点として矢印に示す方向(面外方向)に回転しようとする動きが生じ、差込片22の下端部が本体部41の内壁面と接触し、回転の動きが本体部41によって阻止される(図8(b))。
【0038】
このように構成された取付金具1では、段付き金具2が上下方向及び水平方向において所定の範囲で移動自在に設けられると共に、金具保持部3から抜け出すことができない構造となるので、段付き金具2と金具保持部3とは一体化される。
【0039】
図9取付金具と定規アングルとの寸法関係を示す図である。図9に示すように、定規アングル10の板厚をL1とし、パネル当接部45におけるパネルと当接する当接面45bから第1側壁47a側壁までの距離をL2とし、当接片21のパネルと当接する当接面21aから差込片22における定規アングル10と当接する平面22aまでの距離をL3としたときに、(L1+L2)>L3なる関係式を満たす。
【0040】
以下、図10を参照して取付金具1を用いて建築のパネルを定規アングルに取り付ける作業について説明する。
【0041】
図10(a)に示すように、まず、取付金具1の当接片21をパネル9に当接させ、貫通穴24にポルトを挿入して、ボルト締めで取付金具1をパネル9に仮止めする。次に、L字状の定規アングル10を切り欠き47に差し込む。このとき、段付き金具2は所定の遊びで金具保持部3に保持されているので、差込片22と定規アングル10との干渉を生じない。これによって、定規アングル10をスムーズに切り欠き47に差し込むことが可能となる。
【0042】
続いて、ポルトで当接片21をパネル9に締結固定させる。このとき、ボルトの締め付けによりパネル9が引き寄せられ、パネル9がパネル当接部45の当接面45bと当接する。そして、差込片22がパネル9に接近し、差込片22の平面22aが切り欠き47に差し込まれた定規アングル10に当接し、定規アングル10を第1側壁47aに押し付けることになる(図10(b))。このように段付き金具2と金具保持部3との協働によって、定規アングル10が固く挟持される。
【0043】
本実施形態に係る取付金具1によれば、段付き金具2がその差込片22が金具保持部3の内部に差し込まれ、突起部5,6及び爪部7,8によって規制されているので、段付き金具2と金具保持部3とは一体化される。このため、段付き金具2及び金具保持部3は一つの部品として取り扱うことが可能となり、部品管理が容易になり、施工性の向上を図ることが可能となる。
【0044】
しかも、差込片22が水平方向及び上下方向において所定の遊びをもっているので、その遊び範囲で移動することが可能である。このため、定規アングル10を切り欠き46,47に差し込む際に、差込片22と定規アングル10との干渉が生じずに、定規アングル10を容易に切り欠き46,47に挿入することができる。また、当接片21をパネル9に締結固定するに伴い、差込片22は、定規アングル10に当接して定規アングル10を切り欠き46,47を形成する第1側壁46a,47aに押し付けるので、金具保持部3と協働して定規アングル10を確実に挟持することができる。
【0045】
更に、差込片22が上下方向に所定の遊びをもっているので、所定の遊び範囲内で施工誤差を調整しながら施工することが可能となり、施工効率をアップすることができる。また、例えば台風や地震によるパネル9の変形、日射によるパネル9の熱変形に対して、パネル9がこの遊び範囲内で移動変位できるので、パネル9の損傷を防止する効果をもたらす。
【0046】
更に、切り欠き46,47を形成する第1側壁46a,47aには、滑り止め部Sが設けられているので、定規アングル10を確実に挟持することができ、定規アングル10の位置ズレの発生を確実に抑制することができる。
【0047】
上述した実施形態は本発明に係る取付金具及びその取付構造の一例を説明したものであり、本発明に係る取付金具及びその取付構造は実施形態に記載したものに限定されるものではない。本発明に係る取付金具及びその取付構造は、各請求項に記載した要旨を変更しないように実施形態に係る取付金具及びその取付構造を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0048】
例えば、上述の実施形態では、下地材として定規アングルの例を挙げて説明したが、下地材は定規アングルに限らず、H形鋼等でもよい。例えば図11に示すように、H型鋼からなる間柱11にパネル12を取り付ける際に、2つの取付金具1を用いて間柱11のフランジ部11a,11bをそれぞれ挟持してパネル12に固定させる。また、上記の実施形態では段付き金具は平板を曲げ加工したものであるが、リブ補強されたもので差し支えない。更に、上記の実施形態では、パネルは押出成形セメント板であるが、軽量気泡コンクリートパネルにも使用可能である。
【0049】
また、上記の実施形態において、滑り止め部Sとして鋸状に加工されたものとしたが、例えば第1側壁46a,47aにゴム材料を貼り付けることとしてもよい。また、差込片22における定規アングル10と当接する平面22aに滑り止め部Sを設けてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…取付金具、2…段付き金具、3…金具保持部、4…筐体部、5,6…突起部(離脱規制部)、7,8…爪部(離脱規制部)、9,12…パネル、10…定規アングル(下地材)、11…間柱(下地材)、21…当接片、22…差込片、23…段差連結部、23a…上面、23b…下面、41…本体部(離脱規制部)、42,43…側板部、46,47…切り欠き、S…滑り止め部、
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造部材及び二次部材の少なくとも一方に固定された定規アングルなどの下地材に建築用のパネルを取り付けるための取付金具及び取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビル等の梁に複数の中空状壁パネル(例えば、押出成形セメント板)を縦張りにして建て込むときは、先ず、床スラブ側梁部材の上部にピース定規アングルを介して、通し定規アングルを水平方向に取り付ける。その後、通し定規アングルの水平部に押出成形セメント板を配置し、通し定規アングルの鉛直部を段付き取付金具であるZクリップの下部で挟むと共に、Zクリップの中間傾斜部または下部などを通し定規アングルの鉛直部に溶接し、Zクリップの上部を押出成形セメント板にボルトで締め付けて固定している。しかしながら、この場合には、Zクリップの回転による脱落を防止するためにZクリップを通し定規アングルに溶接する作業が必要であるので、施工に時間がかかる問題があった。
【0003】
上記の問題点を解決するため、様々な試みが行われている。例えば、特開2003−96915号公報に記載されているように、通し定規アングルを挟持する定規アングル挟持部と、Zクリップを保持するZクリップ保持部とを備えたZクリップ回転防止金具が知られている。この回転防止金具によれば、Zクリップを通し定規アングルに溶接する作業を省くことができ、施工時間の短縮を図ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−96915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の特許文献1の発明にあっては、壁パネルの建て込みときに、壁パネルに仮止めされたZクリップと、通し定規アングルに装着された回転防止金具との位置合わせ作業が必要であるため、施工時間の短縮を図り難い。また、Zクリップと回転防止金具との2種類の部品を取り扱う必要性があるので、部品管理が煩雑であり、施工性を向上することができない。
【0006】
本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、施工性の向上を図ることができる取付金具及び取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る取付金具は、構造部材及び二次部材の少なくとも一方に取り付けられた下地材に建築用のパネルを取り付けるための取付金具であって、パネルに固定される段付き金具と、段付き金具と協働して下地材を挟持する金具保持部とを備え、段付き金具は、パネルに当接する当接片と、金具保持部の内部に差し込まれる差込片と、当接片及び差込片を連結する段差連結部とを有し、金具保持部は、差込片を受け入れる筐体部と、段付き金具の離脱を規制する離脱規制部とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る取付金具では、段付き金具の差込片が金具保持部の内部に差し込まれ、段付き金具が離脱規制部によって規制されているので、段付き金具と金具保持部とは一体化される。このため、段付き金具及び金具保持部は一つの部品として取り扱うことが可能となる。従って、段付き金具の当接片をパネルに固定させることにより、段付き金具と金具保持部が協働して下地材を挟持し、パネルを容易に取り付けることができるので、施工性の向上を図ることが可能となる。
【0009】
本発明に係る取付金具において、筐体部は、差込片と対面する本体部と、差込片の両側の側縁に沿って延在する一対の側板部とを有し、一対の側板部のそれぞれには、下地材が差し込まれる切り欠きが形成されていると好適である。
【0010】
このようにすれば、本体部と側板部とが差込片の位置を規制し、差込片の回転や位置ずれを防止することができる。パネルに台風や地震などの外力が作用したとき、パネルに固定された段付き金具のパネル面外方向の回転変位やパネル面内方向の変位を、差込片が金具保持部に当接して防止することができる。また、切り欠きを形成するので、その内部に差し込まれる下地材を挟持することができる。
【0011】
本発明に係る取付金具において、離脱規制部は、本体部又は側板部から当接片側に張り出して段差連結部の一方の面に干渉する爪部と、一対の側板部から内側に突出して段差連結部の他方の面に干渉する一対の突起部とを有すると好適である。
【0012】
この場合、本体部又は側板部から張り出した爪部が段差連結部の一方の面に干渉し、側板部に設けられた突起部が段差連結部の他方の面に干渉することによって、段付き金具と金具保持部とは一体化される。従って、段付き金具及び金具保持部は一つの部品として取り扱うことができ、部品管理が容易になり、施工性の向上を図り易くなる。
【0013】
本発明に係る取付金具において、当接片は、締結部材によってパネルに締結固定されており、差込片は、締結部材の締め付け方向に所定の遊びをもって離脱規制部により規制されており、当接片をパネルに締結固定するに伴い、差込片は、切り欠き部に差し込まれる下地材に当接して、下地材を切り欠きを形成する側壁に押し付けると好適である。
【0014】
この場合、差込片が、締結部材の締め付け方向に所定の遊びをもっているので、その遊び範囲で移動することが可能である。このため、下地材を切り欠きに差し込む際に、干渉による下地材の差し込みを邪魔することがなく、下地材を容易に切り欠きに挿入することができる。また、当接片をパネルに締結固定するに伴い、この差込片は、下地材に当接して下地材を切り欠きを形成する側壁に押し付けるので、金具保持部と協働して下地材を確実に挟持することができる。
【0015】
本発明に係る取付金具において、差込片は、その差し込み方向に所定の遊びをもって離脱規制部により規制されていると好適である。
【0016】
このようにすれば、所定の遊び範囲内で施工誤差を調整しながら施工することができ、施工効率をアップすることができる。また、例えば台風や地震によるパネルの変形、日射によるパネルの熱変形に対して、パネルがこの遊び範囲内で移動変位できるので、パネルの損傷を防止することが可能となる。
【0017】
本発明に係る取付金具において、差込片における下地材に当接する部分と切り欠きを形成する側壁との少なくとも一方には、滑り止め部が設けられていると好適である。
【0018】
このようにすれば、下地材を確実に挟持することができ、下地材の位置ズレの発生を抑制することができる。
【0019】
本発明に係る取付金具において、下地材の厚さをL1とし、筐体部におけるパネルと当接する平面から、切り欠きを形成する側壁のうちパネルに近い側壁までの距離をL2とし、当接片のパネルと当接する当接面から、差込片における下地材と当接する平面までの距離をL3としたときに、(L1+L2)>L3なる関係式を満たすと好適である。
【0020】
このようにすれば、段付き金具と金具保持部との協働によって、下地材を確実に挟持することができる。
【0021】
本発明に係る取付構造は、上述の取付金具を用いて建築用のパネルを下地材に取り付ける取付構造であって、段付き金具及び金具保持部は、パネルに当接され、段付き金具の当接片は、パネルに固定され、下地材は、切り欠きに差し込まれ、差込片によって切り欠きを形成する側壁に押し付けられていることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る取付構造では、段付き金具と金具保持部とを一体的に結合する取付金具を用いてパネルを下地材に取り付けるため、従来と比べて部品管理が容易になり、施工効率をアップすることができる。その結果、施工性の向上を図り易くなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、施工性の向上を図ることができる取付金具及び取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る取付金具を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る取付金具を示す斜視図である。
【図3】段付き金具を示す斜視図である。
【図4】金具保持部を示す斜視図である。
【図5】金具保持部を示す斜視図である。
【図6】組み立てられた状態における段付き金具と金具保持部との位置関係を示す断面図である。
【図7】組み立てられた状態における段付き金具と金具保持部との位置関係を示す断面図である。
【図8】組み立てられた状態における段付き金具と金具保持部との位置関係を示す断面図である。
【図9】取付金具と定規アングルとの寸法関係を示す図である。
【図10】取付金具を用いて建築パネルを定規アングルに取り付ける作業を示す図である。
【図11】取付金具を用いて建築パネルをH形鋼に取り付ける場合の取付構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明に係る取付金具及びその取付構造の実施形態を説明する。なお、説明において同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0026】
図1及び図2は、本実施形態に係る取付金具を示す斜視図である。この取付金具1は、建築用のパネルを定規アングル(下地材)に取り付けるためのものであり、略箱状に形成された金具保持部3、一端が金具保持部3内に差し込まれ他端が金具保持部3から突き出した長尺状の段付き金具2を備えている。
【0027】
図3は段付き金具を示す斜視図である。図3に示すように、段付き金具2は、一枚の金属製の平板を折り曲げることによって稲妻状に成形されている。この段付き金具2は、建築用のパネルに取り付ける際にパネルに当接する当接片21と、金具保持部3の内部に差し込まれた差込片22と、当接片21及び差込片22を連結する段差連結部23とを有する。
【0028】
当接片21と差込片22とは、互いに平行している。当接片21の中央には、ボルトを挿入するための貫通穴24が形成されている。この貫通穴24は、段付き金具2の長さ方向にそって縦長の楕円形状に加工されている。段差連結部23は、所定の角度をもって傾斜している。
【0029】
図4及び図5は金具保持部を示す斜視図である。金具保持部3は、段付き金具2の差込片22を受け入れる筐体部4を備えている。筐体部4は、一枚の金属製の平板を所定の形状に打ち抜き加工した後、その平板を断面C字状に折り曲げにより成形されている。具体的には、筐体部4は、差込片22と対面する本体部41と、本体部41の両端から本体部41に対して直交に延びる一対の側板部42,43と、側板部42,43の端部から側板部42,43に対して直交に延在する一対のパネル当接部44,45とから構成されている。
【0030】
パネル当接部44,45は、取付金具1を建築用のパネルに取り付ける際にパネルに当接する部分であり、その剛性を高めるため先端部がV字状に曲げ加工されている。側板部42,43には、定規アングルを差し込むための切り欠き46,47が形成されている。この切り欠き46,47は、側板部42,43の下端から上方に向かって延在している。
【0031】
切り欠き46,47を形成する側壁のうち、パネル当接部44,45に近い第1側壁46a,47aには、鋸状に加工された滑り止め部Sが設けられている。一方、第1側壁46a,47aに対向する第2側壁46b,47bには、滑り止め部が設けられていない。また、切り欠き46,47に定規アングルを挿入し易くするため、第1側壁46a,47aの先端部は、第2側壁46b,47bとの間隔を広げるようにテーパ状に形成されている。
【0032】
側板部42,43には、内側に突出する一対の突起部(離脱規制部)5,6が設けられている。この一対の突起部5,6は、同じ位置に配置され、互いに対向している。また、金具保持部3は、本体部41から当接片21側(上方)に張り出す2つの爪部7,8が設けられている。爪部7,8は、筐体部4の内側に傾斜している。
【0033】
図6〜図8は、組み立てられた状態における段付き金具と金具保持部との位置関係を示す断面図である。図6(a)に示すように、上下方向(差込片22の差し込み方向)において、段付き金具2は所定の遊びをもって突起部6及び爪部8により規制されている。具体的には、段付き金具2を上方に持ち上げると、段差連結部23の上面23aが爪部8に干渉することになる(実線部分)。一方、段付き金具2を下方に押すと、段差連結部23の下面23bが突起部6に干渉することになる(2点鎖線部分)。
【0034】
図6(b)に示すように、左右方向(ボルトの締め付け方向)において、段付き金具2は所定の遊びをもって突起部6及び本体部(離脱規制部)41により規制されている。すなわち、段付き金具2を右側に移動すると、差込片22が本体部41の内壁面に干渉することになる(実線部分)。一方、段付き金具2を左側に移動すると、差込片22が突起部6と干渉することになる(2点鎖線部分)。
【0035】
また、図7(a)に示すように、外力を受けない状態では、自重によって段付き金具2の段差連結部23が突起部6に接触し、下面23bが突起部6と干渉することになる。このとき、段付き金具2が突起部6を支点として矢印に示す方向(面外方向)に回転しようとする動きが生じるので、差込片22の下端部が本体部41の内壁面と接触し、その回転の動きが本体部41によって阻止される(図7(b))。
【0036】
上記の説明において、段差連結部23の下面23bが突起部6と干渉することを想定して行ったが、下面23bがパネル当接部44,45の上端面に干渉することもある。具体的には、図8(a)に示すように、突起部6が図6及び図7よりも切り欠き47に近い側に配置された場合、段差連結部23の下面23bが突起部6と接触する前に、先にパネル当接部45の上端面45aに接触することになる。
【0037】
このとき、段付き金具2が上端面45aとの接触箇所を支点として矢印に示す方向(面外方向)に回転しようとする動きが生じ、差込片22の下端部が本体部41の内壁面と接触し、回転の動きが本体部41によって阻止される(図8(b))。
【0038】
このように構成された取付金具1では、段付き金具2が上下方向及び水平方向において所定の範囲で移動自在に設けられると共に、金具保持部3から抜け出すことができない構造となるので、段付き金具2と金具保持部3とは一体化される。
【0039】
図9取付金具と定規アングルとの寸法関係を示す図である。図9に示すように、定規アングル10の板厚をL1とし、パネル当接部45におけるパネルと当接する当接面45bから第1側壁47a側壁までの距離をL2とし、当接片21のパネルと当接する当接面21aから差込片22における定規アングル10と当接する平面22aまでの距離をL3としたときに、(L1+L2)>L3なる関係式を満たす。
【0040】
以下、図10を参照して取付金具1を用いて建築のパネルを定規アングルに取り付ける作業について説明する。
【0041】
図10(a)に示すように、まず、取付金具1の当接片21をパネル9に当接させ、貫通穴24にポルトを挿入して、ボルト締めで取付金具1をパネル9に仮止めする。次に、L字状の定規アングル10を切り欠き47に差し込む。このとき、段付き金具2は所定の遊びで金具保持部3に保持されているので、差込片22と定規アングル10との干渉を生じない。これによって、定規アングル10をスムーズに切り欠き47に差し込むことが可能となる。
【0042】
続いて、ポルトで当接片21をパネル9に締結固定させる。このとき、ボルトの締め付けによりパネル9が引き寄せられ、パネル9がパネル当接部45の当接面45bと当接する。そして、差込片22がパネル9に接近し、差込片22の平面22aが切り欠き47に差し込まれた定規アングル10に当接し、定規アングル10を第1側壁47aに押し付けることになる(図10(b))。このように段付き金具2と金具保持部3との協働によって、定規アングル10が固く挟持される。
【0043】
本実施形態に係る取付金具1によれば、段付き金具2がその差込片22が金具保持部3の内部に差し込まれ、突起部5,6及び爪部7,8によって規制されているので、段付き金具2と金具保持部3とは一体化される。このため、段付き金具2及び金具保持部3は一つの部品として取り扱うことが可能となり、部品管理が容易になり、施工性の向上を図ることが可能となる。
【0044】
しかも、差込片22が水平方向及び上下方向において所定の遊びをもっているので、その遊び範囲で移動することが可能である。このため、定規アングル10を切り欠き46,47に差し込む際に、差込片22と定規アングル10との干渉が生じずに、定規アングル10を容易に切り欠き46,47に挿入することができる。また、当接片21をパネル9に締結固定するに伴い、差込片22は、定規アングル10に当接して定規アングル10を切り欠き46,47を形成する第1側壁46a,47aに押し付けるので、金具保持部3と協働して定規アングル10を確実に挟持することができる。
【0045】
更に、差込片22が上下方向に所定の遊びをもっているので、所定の遊び範囲内で施工誤差を調整しながら施工することが可能となり、施工効率をアップすることができる。また、例えば台風や地震によるパネル9の変形、日射によるパネル9の熱変形に対して、パネル9がこの遊び範囲内で移動変位できるので、パネル9の損傷を防止する効果をもたらす。
【0046】
更に、切り欠き46,47を形成する第1側壁46a,47aには、滑り止め部Sが設けられているので、定規アングル10を確実に挟持することができ、定規アングル10の位置ズレの発生を確実に抑制することができる。
【0047】
上述した実施形態は本発明に係る取付金具及びその取付構造の一例を説明したものであり、本発明に係る取付金具及びその取付構造は実施形態に記載したものに限定されるものではない。本発明に係る取付金具及びその取付構造は、各請求項に記載した要旨を変更しないように実施形態に係る取付金具及びその取付構造を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0048】
例えば、上述の実施形態では、下地材として定規アングルの例を挙げて説明したが、下地材は定規アングルに限らず、H形鋼等でもよい。例えば図11に示すように、H型鋼からなる間柱11にパネル12を取り付ける際に、2つの取付金具1を用いて間柱11のフランジ部11a,11bをそれぞれ挟持してパネル12に固定させる。また、上記の実施形態では段付き金具は平板を曲げ加工したものであるが、リブ補強されたもので差し支えない。更に、上記の実施形態では、パネルは押出成形セメント板であるが、軽量気泡コンクリートパネルにも使用可能である。
【0049】
また、上記の実施形態において、滑り止め部Sとして鋸状に加工されたものとしたが、例えば第1側壁46a,47aにゴム材料を貼り付けることとしてもよい。また、差込片22における定規アングル10と当接する平面22aに滑り止め部Sを設けてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…取付金具、2…段付き金具、3…金具保持部、4…筐体部、5,6…突起部(離脱規制部)、7,8…爪部(離脱規制部)、9,12…パネル、10…定規アングル(下地材)、11…間柱(下地材)、21…当接片、22…差込片、23…段差連結部、23a…上面、23b…下面、41…本体部(離脱規制部)、42,43…側板部、46,47…切り欠き、S…滑り止め部、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造部材及び二次部材の少なくとも一方に取り付けられた下地材に建築用のパネルを取り付けるための取付金具であって、
前記パネルに固定される段付き金具と、
前記段付き金具と協働して前記下地材を挟持する金具保持部とを備え、
前記段付き金具は、前記パネルに当接する当接片と、前記金具保持部の内部に差し込まれる差込片と、前記当接片及び前記差込片を連結する段差連結部とを有し、
前記金具保持部は、前記差込片を受け入れる筐体部と、前記段付き金具の離脱を規制する離脱規制部とを有することを特徴とする取付金具。
【請求項2】
前記筐体部は、前記差込片と対面する本体部と、前記差込片の両側の側縁に沿って延在する一対の側板部とを有し、
前記一対の側板部のそれぞれには、前記下地材が差し込まれる切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の取付金具。
【請求項3】
前記離脱規制部は、前記本体部又は前記側板部から前記当接片側に張り出して前記段差連結部の一方の面に干渉する爪部と、前記一対の側板部から内側に突出して前記段差連結部の他方の面に干渉する一対の突起部とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の取付金具。
【請求項4】
前記当接片は、締結部材によって前記パネルに締結固定されており、
前記差込片は、前記締結部材の締め付け方向に所定の遊びをもって前記離脱規制部により規制されており、
前記当接片を前記パネルに締結固定するに伴い、前記差込片は、前記切り欠き部に差し込まれる前記下地材に当接して、前記下地材を前記切り欠きを形成する側壁に押し付けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の取付金具。
【請求項5】
前記差込片は、その差し込み方向に所定の遊びをもって前記離脱規制部により規制されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の取付金具。
【請求項6】
前記差込片における前記下地材に当接する部分と前記切り欠きを形成する側壁との少なくとも一方には、滑り止め部が設けられていることを特徴とする請求項4または5に記載の取付金具。
【請求項7】
前記下地材の厚さをL1とし、
前記筐体部における前記パネルと当接する平面から、前記切り欠きを形成する側壁のうち前記パネルに近い側壁までの距離をL2とし、
前記当接片の前記パネルと当接する当接面から、前記差込片における前記下地材と当接する平面までの距離をL3としたときに、
(L1+L2)>L3なる関係式を満たすことを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の取付金具。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の取付金具を用いて建築用のパネルを下地材に取り付ける取付構造であって、
前記段付き金具及び前記金具保持部は、前記パネルに当接され、
前記段付き金具の前記当接片は、前記パネルに固定され、
前記下地材は、前記切り欠きに差し込まれ、前記差込片によって前記切り欠きを形成する側壁に押し付けられていることを特徴とする取付構造。
【請求項1】
構造部材及び二次部材の少なくとも一方に取り付けられた下地材に建築用のパネルを取り付けるための取付金具であって、
前記パネルに固定される段付き金具と、
前記段付き金具と協働して前記下地材を挟持する金具保持部とを備え、
前記段付き金具は、前記パネルに当接する当接片と、前記金具保持部の内部に差し込まれる差込片と、前記当接片及び前記差込片を連結する段差連結部とを有し、
前記金具保持部は、前記差込片を受け入れる筐体部と、前記段付き金具の離脱を規制する離脱規制部とを有することを特徴とする取付金具。
【請求項2】
前記筐体部は、前記差込片と対面する本体部と、前記差込片の両側の側縁に沿って延在する一対の側板部とを有し、
前記一対の側板部のそれぞれには、前記下地材が差し込まれる切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の取付金具。
【請求項3】
前記離脱規制部は、前記本体部又は前記側板部から前記当接片側に張り出して前記段差連結部の一方の面に干渉する爪部と、前記一対の側板部から内側に突出して前記段差連結部の他方の面に干渉する一対の突起部とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の取付金具。
【請求項4】
前記当接片は、締結部材によって前記パネルに締結固定されており、
前記差込片は、前記締結部材の締め付け方向に所定の遊びをもって前記離脱規制部により規制されており、
前記当接片を前記パネルに締結固定するに伴い、前記差込片は、前記切り欠き部に差し込まれる前記下地材に当接して、前記下地材を前記切り欠きを形成する側壁に押し付けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の取付金具。
【請求項5】
前記差込片は、その差し込み方向に所定の遊びをもって前記離脱規制部により規制されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の取付金具。
【請求項6】
前記差込片における前記下地材に当接する部分と前記切り欠きを形成する側壁との少なくとも一方には、滑り止め部が設けられていることを特徴とする請求項4または5に記載の取付金具。
【請求項7】
前記下地材の厚さをL1とし、
前記筐体部における前記パネルと当接する平面から、前記切り欠きを形成する側壁のうち前記パネルに近い側壁までの距離をL2とし、
前記当接片の前記パネルと当接する当接面から、前記差込片における前記下地材と当接する平面までの距離をL3としたときに、
(L1+L2)>L3なる関係式を満たすことを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の取付金具。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の取付金具を用いて建築用のパネルを下地材に取り付ける取付構造であって、
前記段付き金具及び前記金具保持部は、前記パネルに当接され、
前記段付き金具の前記当接片は、前記パネルに固定され、
前記下地材は、前記切り欠きに差し込まれ、前記差込片によって前記切り欠きを形成する側壁に押し付けられていることを特徴とする取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−216094(P2010−216094A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61014(P2009−61014)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【出願人】(508378078)有限会社ベストファスナー (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【出願人】(508378078)有限会社ベストファスナー (2)
【Fターム(参考)】
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