取引カード
本発明は、ホログラフィックホイル、集積回路チップ、磁気ストライプ上にテキストを備えるシルバー磁気ストライプ、不透明階調度、不可視の光学的に認識可能な化合物、カードの裏面の署名がカードの表から可視であるような半透明の署名欄、およびカードの表の有効期限日等の、複数の特徴を有する、不透明、透明、または半透明の取引カードを生産するためのプロセスに関する。該不可視の光学的に認識可能な化合物は、好ましくは、赤外線フタロシアニン色素、赤外線蛍光体および量子ドットエネルギー伝達化合物である。赤外線インクは、ATMまたはカード組立てラインにあるセンサにより検出することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、取引カードに関し、より具体的には、ホログラム、磁気ストライプ、または集積回路、ならびに他の取引カードの構成要素を含み得る、光学的に認識可能な透明または半透明の取引カードの製造および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現金ではなくクレジットで支払うことをカード保有者に可能にする、取引カードは、米国においては、1950年代初めから普及し始めた。初期の取引カードは、典型的には、一部の飲食店やホテルに限定され、一部の個人に限定されることが多かった。プラスチック製クレジットカードの導入以来、取引カードの使用は、米国から欧州、そして世界中へと急速に普及した。取引カードは、情報媒体であるだけでなく、典型的には、消費者が常時現金を持ち合わせる必要なく、物品やサービスの代価を支払うことを可能にし、または、消費者が現金を必要とする場合は、取引カードにより、現金自動支払預入機(ATM)から現金を入手することが可能になる。また、取引カードは、盗難による現金紛失のリスクに曝される機会を減少させ、外国諸国への旅行時には両替の必要性を削減する。取引カードの利点により、現在では、何億枚ものカードが毎年作製および発行されており、したがって、企業は自社のカードを競合他社のカードから差別化する必要性がある。
【0003】
初期には、取引カードには、しばしば、カード上に発行者の名前、カード所有者の名前、カード番号、有効期限日がエンボス加工された。また、カードには、通常、偽造や模造への対策として、カード所有者が署名を記入する署名欄がカードの裏面に含まれた。このように、初期のカードは、データを販売業者に提供する道具として機能するにすぎず、カードに関連する唯一のセキュリティは、カード上にエンボス加工されたカード所有者の名前に加えて、カードのカード所有者の署名を領収書のカード所有者の署名と比較することであった。しかしながら、多数の販売業者は、しばしば、領収書の署名とカードの署名を照合することを忘れる。
【0004】
取引カードの人気により、非常に多くの企業、銀行、航空会社、取引グループ、スポーツチーム、クラブおよび他の組織が独自の取引カードを開発している。このような多数の企業は、絶えず自社の取引カードを差別化しようとし、より魅力的な借入金利や安価な加入料金を提供するだけでなく、取引カード上に独特かつ美的に魅力的な特徴を提供することにより、市場のシェアを拡大しようとしている。このような多数の取引カードは、商品の購買層情報や口座情報を含んでいただけでなく、取引カードは、グラフィック画像、デザイン、写真、およびセキュリティ特徴も含む。最近のセキュリティ特徴は、3次元のように見える回折格子またはホログラフィック画像を取引カードに組み込むことで、ホログラムの作製には非常に複雑なシステムおよび装置が必要なために、取引カードを偽造または模造する能力を実質的に制限する。ホログラムは、2つ以上の光線、すなわち、物体波と参照波を感光乳剤上で干渉させ、これによって、光の干渉波により作製される干渉波を記録することにより作製される。物体波は、会社のロゴ、球、文字、または動物等、記録される物体から反射または物体を透過したコヒーレント光線である。参照波は、通常、球面波面を有するコヒーレントの平行光線である。干渉パターンを記録後、類似の波長の参照波を使用して、干渉パターンから画像を再作製することによって、ホログラフィック画像を作製する。
【0005】
しかしながら、典型的な状況においては、カード上の干渉パターンから画像を再作製する類似のレーザー光線は使用できない。このように、ホログラムは、普通の白光で見られることが可能でなければならない。したがって、ホログラムが取引カード上に記録される場合、記録される画像は、基板の表面近くに配置されて、得られるホログラムが普通の白光で可視であることを可能にする。これらのホログラムは、反射面ホログラムまたはレインボーホログラムとして知られる。反射ホログラムは金属ホイル上で大量生産され、次に取引カード上に刻印され得る。さらに、取引カード上にホログラムを組み込むことによって、ホログラムが深度および色変化の錯覚を有するかどうかを観察することにより、普通の白光で取引カードの信憑性を判断する信頼性のさらに高い方法が提供される。
【0006】
取引カードの使用が増加したことにより、支払、クレジット、商業決済、不正行為、返済等、管理上およびセキュリティ上の問題が増加した。したがって、取引カード業界は、多様な業界に対して、取引カードデータの電子的読み取り、伝送、および承認を可能にする、より高度な取引カードの開発に着手した。例えば、拡大した特徴、機能、およびセキュリティに対する市場の需要を満たすために、磁気ストライプカード、光学式カード、スマートカード、コーリングカード、およびスーパースマートカードが開発された。視覚データに加えて、取引カードの裏に磁気ストライプを組み込むことによって、デジタル化されたデータを機械が読み取り可能な形式で格納することが可能になる。このように、磁気ストライプリーダが磁気ストライプカードと併用されて、口座情報や有効期限日など、磁気ストライプに格納されたデータの伝送に加えて、キャッシュレジスタから受信した購買データをオンラインでホストコンピュータに通信する。
【0007】
磁気ストライプが模造されやすいこと、磁気ストライプ内の情報の機密性の欠如、およびデータのホストコンピュータへの伝送に関連する問題により、取引カードに組み込むことが可能な集積回路が開発された。これらの集積回路(IC)カードは、スマートカードと呼ばれ、高度なセキュリティおよび将来の用途に対する柔軟性により、多様な業界で非常に信頼性が高いことが証明された。
【0008】
磁気ストライプカードおよびスマートカードが開発されるのに伴い、市場ではカードの国際規格が必要となった。カードの物理的寸法、特徴、およびエンボス加工の領域は、国際標準化機構(以下「ISO」)のISO7810およびISO7811に基づき規格化された。発行者の識別、特定の化合物の場所、コード化要件、および記録技術は、ISO7812およびISO7813に規格化され、一方でチップカードの規格は、ISO7813に確立された。例えば、ISO7811は、磁気ストライプの規格を定義し、これによれば、0.5インチのストライプはカードの表または裏面のいずれかに配置され、縦方向の3つの平行トラックに区分される。第1と第2のトラックは、それぞれ、79の英数文字と40の数字が入るスペースがあり、読み取り専用情報を保持する。第3のトラックは、金融取引のために確保され、ユーザの個人識別番号、国番号、通貨単位、サイクルあたりの承認金額、関連口座、および制限が暗号化されている。取引カードの特徴および仕様に関する詳細情報は、例えば、Smart Cards by Jose Luis Zoreda and Jose Manuel Oton、1994、Smart Card Handbook by W. Rankl and W. Effing、1997、およびANSI(米国規格協会:11 West 42nd Street, New York, NY 10036)から入手可能な多様な取引カードのISO規格文書を参照でき、これらの出版物全ての内容全体は参照により本明細書に組み入れられる。
【0009】
機械読取可能コンポーネントを取引カードに組み込むことによって、取引カードから自動的に読み取る、および/または取引カードに自動的に書き込むことにより、取引を簡易化するデバイスの普及が促進された。このようなデバイスは、例えば、バーコードスキャナ、磁気ストライプリーダ、店舗販売時点情報管理(POS)、現金自動預け払い機(ATM)およびカードキーデバイスを含む。ATMに関しては、1999年に出荷されたATMデバイスの合計数は、NCR(138-18 231st Street, Laurelton, New York 11413)、Diebold(5995 Mayfair, North Canton, Ohio 44720-8077)、Fujitsu(11085 N. Torrey Pines Road, La Jolla, California 92037)、Omron(日本)、OKI(日本)およびTritonなど、大手ATM製造会社により出荷されたATMを含めて、179、274台(Nilson Reportsデータに基づく)である。
【0010】
多数のカード受入デバイスでは、デバイスの読み取りヘッドを取引カードの関連コンポーネントに適切に合わせることができるように、取引カードがデバイスに挿入されることが必要である。特に、多数のATMでは、取引カードがATMのスロットに実質的に挿入されることが必要である。カードがスロットに挿入された後、ATMは、取引カードをATMスロットにさらに引き込むための追加の機械式デバイスを有する場合がある。ATMを活性化するために、ATMは、典型的には、光トランジスタおよび発光ダイオード(LED)等のセンサを含み、これがカード表面に光を放射し、光トランジスタがLEDから光を受ける。カードは、光トランジスタからの赤外線放射を遮断し、したがって、カードが検出されたことを示す。ATMの典型的なLEDは、約820〜920nmまたは900〜1000nmの範囲の波長を有するIRED(赤外線発光ダイオード)源で(図5を参照)、これは、光トランジスタセンサにより必要とされるレベルでは環境光には存在しない。典型的な光トランジスタのスペクトル感度曲線は、約400nm〜1100nmの範囲にある(図6を参照)。しかしながら、可視スペクトルは約400nm〜700nmで、光トランジスタのスペクトル感度は、950nmで約60%、および840nmで90%である。このように、可視光は、アナログからデジタルへのアルゴリズムの一部ではない。さらに、ISO7810の第8.10条は、全ての機械読取可能カードは、光透過濃度が450nm〜950nmで、1.3を超える(5%未満の透過)こと、および950nm〜1000nmで1.1を超える(7.9%未満の透過)ことを義務付ける。
【0011】
カードがATMにより検出されるために、光は、典型的には、カード本体により遮断される。さらに、カードにより遮断されることが必要な光量は、アナログからデジタルへの変換から受け取る電圧データに関連する。センサの電圧範囲は、典型的には、約1.5Vから4.5Vの範囲である。カードがセンサに挿入されると、電圧は1.5V未満に落ちて、運搬システムにカードが存在することを示す。カードが光トランジスタにより検出された後、磁気ストライプリーダが磁気ストライプをスキャンして、磁気ストライプに記録された情報を取得する。ATMのLEDセンサデバイスの製造会社は、例えば、日本のOmronおよびSankyo−Seiki(4800 Great America Parkway、Suite201、Santa Clara,California 95054)である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述のように、取引カードおよびリーダは、典型的には、カードデータおよび化合物の場所を詳細に規定する多様なISO規格に従う。しかしながら、多数の企業が様々なバージョンのATMを製造しているため、ATM内のセンサの場所は標準化要件の対象ではない。これまで、ATM内のセンサの場所が変わっても、ATMが取引カードを感知する能力に影響がなかったのは、取引カードが実質的に不透明な表面を含んでいたためで、不透明な取引カードの任意の部分がIRED発光を遮断し、挿入光トランジスタを活性化することができたからである。しかしながら、つい最近になって、特有の画像を提供するため、および消費者の需要を満たすため、企業は透明または半透明な取引カードを開発しようとしてきた。透明なカードを使用すると、IRED発光は透明な表面から十分に反射しないため、挿入光トランジスタを活性化しないことが多く、放射光がカードを通過するだけで、光トランジスタにより検出されるようになる。したがって、機械はカードの存在を検出することができず、しばしば機器を故障させた。
【0013】
この問題を解決しようとして、半透明な領域を提供してATM上の入力センサを活性化しようとして、企業は透明なカード上に不透明領域を印刷してきた。しかしながら、前述のように、多数のATMでは、センサの場所が一定しないため、取引カード上の限られた不透明領域を使用しても、カードが十分な台数のATMのセンサを活性化することは不可能であった。代替として、企業は、LED光の方向を変えようとして、取引カード上にレンズを組み込もうとした。しかしながら、カードの製造工程中には、相当な圧力や高熱が関わることが多く、レンズ表面は崩壊または破壊されてしまう。このように、入力センサを活性化する能力がある透明または半透明な取引カードであって、入力センサが多様な場所でカードと相互作用することができる、取引カードに対する必要性が存在する。
【0014】
さらに、カード製造工程中、既定の時間間隔中に製造されるカードの枚数を正確に数えるために、カードは組立ラインで検出されなければならない。カードを数えるために、典型的なカード製造組立ラインは、ATMセンサに類似したLEDセンサを備えるカウンタを含み、不透明なカード表面からのLED光線の反射に基づいてカードを数える。透明な取引カードの製造は、ATMデバイスに類似した制約から、LED光線が透明な表面から反射しない、または十分に吸収されないという問題点がある。このように、既存の組立ラインで製造され得る透明なカードが必要とされる。類似の問題は、カードが最終寸法にパンチされる場合に存在する。
【0015】
既存のシステムは物品の識別や検出を可能にすることができるが、ほとんどはいくつかのマイナス面を含む。例えば、UV、可視光検出等に基づく識別特徴は、場合によっては見ることが困難で、一定の照明要件が必要な場合が多く、典型的には、物品と検出デバイスとの間の距離に依存する。これに加えて、識別マークを含む一定のタイプのプラスチック、紙、または他の材料を使用することは、特別な識別デバイスにより限定される場合がある。例えば、不透明な材料は、典型的には、可視(IR周辺)領域と遠IR光領域の両方で光を遮断することにより、ATMの光トランジスタを不活性化する。さらに、検出または認証特徴をカード製品に組み込むためには、カードの製造工程中に別個の材料または工程ステップが必要になる。新しい材料または工程を組み込むためには、現在の機器への高価な改変または新しい機器が必要になることが多く、カード製品の製造時間を延長することが多い。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、ホログラフィックホイル、集積回路チップ、磁気ストライプ上にテキストを備えるシルバー磁気ストライプ、不透明階調度、カードの作製中に含まれる光学的に認識可能なインクまたはフィルム、カードの裏の署名がカードの表から可視であるような半透明の署名欄、およびカードの表の「有効期限」日付等のいずれか1つ以上の特徴を有する、透明または半透明な取引カードの製造のための工程に関する。カードは、カードの表面に塗られる不可視または透明な赤外線インクまたはフィルムのために光学的に認識可能であって、したがって、カードは、赤外線を遮断(吸収、屈折、拡散および/または反射)して、他の光全てを透過することが可能になる。特に、取引カードがATMデバイスに挿入されると、IREDからの光線は、赤外線インクまたはフィルムにより遮断され、したがって、光トランジスタを不活性化する。さらに、取引カードの製造中、光学的に認識可能なカードによって、個人化デバイス、検査ユニット、またはカウンタデバイスからのIRED光線は、組立ラインで製造される取引カードの数を数えることが可能である。
【0017】
本発明は、添付の図面に関連して考慮する場合、詳細説明および請求項を参照することにより、より完全な理解が得られるであろう。添付の図面は一定の縮尺ではない場合がある。添付の図面において、図面中の同様な参照番号またはステップは、類似の化合物を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の例示的な実施形態に従う、例示的な取引カード表の図である。
【図2】図2は、本発明の例示的な実施形態に従う、例示的な取引カード裏の図である。
【図3】図3は、本発明の例示的な実施形態に従う、例示的な取引カード製造工程の流れ図である。
【図4】図4は、本発明の例示的な実施形態に従う、IRフィルムの反射および透過に対するエネルギー対波長のグラフである。
【図5】図5は、本発明の例示的な実施形態に従う、約820〜920nmまたは900〜1000nmの範囲の波長を有するATMの典型的なIRED(赤外線発光ダイオード)源のグラフである。
【図6】図6は、本発明の例示的な実施形態に従う、約400nm〜1100nmの範囲の波長を有する典型的な光トランジスタのスペクトル感度曲線のグラフである。
【図7A】図7A―7Jは、本発明の例示的な実施形態に従うカード層の多様な実施形態を示す。
【図7B】図7A―7Jは、本発明の例示的な実施形態に従うカード層の多様な実施形態を示す。
【図7C】図7A―7Jは、本発明の例示的な実施形態に従うカード層の多様な実施形態を示す。
【図7D】図7A―7Jは、本発明の例示的な実施形態に従うカード層の多様な実施形態を示す。
【図7E】図7A―7Jは、本発明の例示的な実施形態に従うカード層の多様な実施形態を示す。
【図7F】図7A―7Jは、本発明の例示的な実施形態に従うカード層の多様な実施形態を示す。
【図7G】図7A―7Jは、本発明の例示的な実施形態に従うカード層の多様な実施形態を示す。
【図7H】図7A―7Jは、本発明の例示的な実施形態に従うカード層の多様な実施形態を示す。
【図7I】図7A―7Jは、本発明の例示的な実施形態に従うカード層の多様な実施形態を示す。
【図7J】図7A―7Jは、本発明の例示的な実施形態に従うカード層の多様な実施形態を示す。
【図8】図8は、本発明の例示的な実施形態に従う、ATM内の例示的なセンサ機構の模式図である。
【図9】図9は、本発明の例示的な実施形態に従う、IRフィルムを監視するためのインラインロール真空蒸着操作のための多様な光学コンポーネントを備える例示的な反射および透過モニタである。
【図10】図10は、本発明の例示的な実施形態に従う、PETフィルムの化学蒸着のための例示的なシステムである。
【図11A】図11は、本発明の例示的な実施形態に従う、カード作製のための層の例示的な実施形態を示す。
【図11B】図11は、本発明の例示的な実施形態に従う、カード作製のための層の例示的な実施形態を示す。
【図12A】図12Aは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なフィルム接着のための強度(ポンド/インチ)対フィルム接着のグラフに関する例示的なフィルム接着強度を示す。
【図12B】図12Bは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なフィルム接触面のための強度(ポンド/インチ)対フィルム接触面のグラフに関する、フィルム接触面での例示的な接着強度を示す。
【図13】図13は、本発明の例示的な実施形態に従う、緑色を示す例示的なIRインクの成分を示す。
【図14】図14は、本発明の例示的な実施形態に従う、これらの例示的な緑色のカードに関する測定値を示す。
【図15】図15は、本発明の例示的な実施形態に従う、例示的な緑色のカードに対する例示的なATMの試験結果を示す。
【図16】図16は、本発明の例示的な実施形態に従う、例示的な緑色のカードの透過濃度の実施例をパーセント透過対波長のグラフにおいて示す。
【図17A】図17A―17Iは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なカードの実施形態に対する例示的な試験結果をパーセント透過対波長(nm)のグラフにおいて示す。
【図17B】図17A―17Iは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なカードの実施形態に対する例示的な試験結果をパーセント透過対波長(nm)のグラフにおいて示す。
【図17C】図17A―17Iは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なカードの実施形態に対する例示的な試験結果をパーセント透過対波長(nm)のグラフにおいて示す。
【図17D】図17A―17Iは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なカードの実施形態に対する例示的な試験結果をパーセント透過対波長(nm)のグラフにおいて示す。
【図17E】図17A―17Iは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なカードの実施形態に対する例示的な試験結果をパーセント透過対波長(nm)のグラフにおいて示す。
【図17F】図17A―17Iは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なカードの実施形態に対する例示的な試験結果をパーセント透過対波長(nm)のグラフにおいて示す。
【図17G】図17A―17Iは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なカードの実施形態に対する例示的な試験結果をパーセント透過対波長(nm)のグラフにおいて示す。
【図17H】図17A―17Iは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なカードの実施形態に対する例示的な試験結果をパーセント透過対波長(nm)のグラフにおいて示す。
【図17I】図17A―17Iは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なカードの実施形態に対する例示的な試験結果をパーセント透過対波長(nm)のグラフにおいて示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
概して、本発明は多様な物品の識別および検出を可能にし、物品は機械が認識可能な化合物を有する材料を含む。物品は、例えば、取引カード、文書、紙等を含む。材料は、例えば、コーティング、フィルム、繊維、プラスチック、インク、ファイバ、紙、プランシェット等を含む。
【0020】
例示的な実施形態においては、機械認識可能化合物は、赤外線遮断(吸収、屈折、拡散、反射、または他の遮断)成分を含む光学的に認識可能な化合物である。光学的に認識可能な化合物は、不可視であるか、可視であるか、または所望の効果を生むように色付けされ、および/または、例えば、UV蛍光体またはIR蛍光体の特徴等、他の検出可能な化合物を含み得る。光学化合物は、好ましくは、優れた安定性、抵抗特性、耐用性、および優れた外観、柔軟性、硬度、耐溶剤性、耐水性、耐腐食性、および外観の安定性等の他の物理的特性を有する。さらに、このような化合物を使用しても、典型的には、多数の基板に存在する場合があるUV化合物に干渉しない。当業者は、光学的に認識可能な化合物は、センサにより認識可能な任意の化学物質、溶液、色素、インク基質、材料等であることを理解するであろう。例示的な実施形態においては、光学的に認識可能なインクは、ほとんどの赤外線を遮断、吸収、または反射するが、他のほとんどの波長の光を透過する赤外線インクである。
【0021】
例示的な実施形態においては、光学的に認識可能な化合物は、フィルム、プラスチック、ファイバ、インク、濃縮物、熱可塑性物質または熱硬化性母材、繊維、プランシェット、および/または有機または無機物質から抽出される化合物の約0.001から40.0重量(%)の範囲で含む他の媒体の形で材料に組み込まれる。赤外線インクは、例えば、スクリーン印刷工程、または、リソグラフィ、グラビア印刷、フレスコ、光沢コーティング、カーテンコーティング、ローラコーティング等の任意の他の印刷またはコーティング手段により、カード5(図1を参照)に適用され得る。例示的なスクリーン印刷工程は、染色機器を備えるスクリーンプレス(UV硬化性または対流熱)および約80ライン/cmの特定のメッシュサイズのスクリーンを利用する。IRインクは、以下に説明するように、シルクスクリーンプレスを使用して、プラスチックのカード表面全体の任意の部分に印刷される。
【0022】
特定のレベルの照明に対する通常の監視者の目の相対感度は、約400〜770nmの間であるため、通常の白光では、ヒトの目に不可視であることから、770nmを超える赤外線インクが好ましい。このように、不可視の赤外線材料は、カード5の透明な表面を実質的に遮ることはない。これに加えて、例示的なインクは、約200Fから400F度のカード製造温度に耐え、通常のクレジットカードの使用状態の下では、少なくとも約3年間の「耐光期間」(任意の光、および特にUVが存在すると消失または劣化するインクの抵抗性)を含む。さらに、例示的なインクは、例えば、約800〜1000nmである、Sankyo Seiki LED等のIREDのスペクトル出力を遮断、吸収、または反射する。例示的なインクは、光トランジスタに到達する光も制限するので、インクを有する透明なカードの存在は、例えば、カードをつかみとるタイプのATM機械等の取引機械において検出される。
【0023】
本発明の機械認識可能化合物の例示的な組成物は、広範囲の化合物の混合物を含む。有効な化合物は、無機、有機金属、または有機層状物質または希土類化合物、最も一般的には、希土類の酸化物、酸硫化物、または酸ハロゲン化物から抽出される。化合物は、比較的不活性であるので、最終製品の性能特性に対する効果は最小化される。赤外線化合物は、染料、層状物質、色素、および/またはカプセル化された色素のいずれかを含み、これは、広範な最終使用可能製品に組み込まれ得る特定の媒体に分散される。赤外線化合物の粒子サイズによって、材料(プラスチック、繊維、インク等)は、最適に分散または溶解され、材料が組み込まれる物品内に均一に存在することが可能になる。
【0024】
層状の誘電性および金属性の物質またはドープ希土類物質を含む従来周知の赤外線物質は、本発明の例示的な実施形態に従う化合物の色素として効果的に使用され得る。この場合、色素または染料は、特定の波長のエネルギーを吸収し、ある波長のエネルギーを別の波長に変えることができる。エネルギー変換または吸収は、電磁気スペクトル内の任意の刺激を上回るまたは下回ることができる。化合物は、特定の波長の光を吸収、またはある色を別の色に変えることができる。または化合物は不可視を可視に変える場合などがある。このように、本発明の赤外線化合物はある波長のエネルギーを別の波長に可逆的に変更するシステムに組み込まれ、したがって物品内に「指紋」型の検出可能な特徴を生み出す。
【0025】
さらに、調製されたフィルムまたは材料は、結合剤と混合されて、繊維、ファイバ、コーティング等において使用するための赤外線化合物を形成することができる。本発明に組み込まれ得る結合剤は、ワックス、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム、天然樹脂、または合成樹脂等の従来の添加剤を含む。このような結合剤の実施例は、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、エチレン-ビニルアセテート共重合体、ポリビニルアセテート、ポリエチレン、塩化ゴム、アクリル、エポキシ樹脂、ブタジエン-ニトリル、セラック、ゼイン、セルロース、ポリウレタン、ポリビニルブチレート、塩化ビニル、シリコン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ニトロセルロース、ポリアミド、ビスマレイミド、ポリイミド、エポキシ-ポリエステルハイブリッド等である。使用され得るフィルムは、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、ポリカーボネート等を含む。以下に検討するように、加熱、接着剤、または両者の組み合わせを使用して、一般的なカード品に任意のフィルムがラミネート加工または接着され得る。
【0026】
化合物の含有量が低すぎると、十分な遮断が実現されない場合があり、光トランジスタが捕捉デバイスに適正な信号を送信しない場合があり、すなわち、カードが検出されないことになる。したがって、赤外線化合物は通常化合物内に総量で、約1ppmから80.0重量(%)、好ましくは、重量の約0.25%〜25.0%存在する。さらに、本発明は、材料のより優れた抵抗特性、美しさまたは耐久性を達成するために、例えば、UV吸収剤、反射剤、抗酸化剤、および/または光学的光沢剤等、他の材料が追加され得ると考える。
【0027】
特に、刺激後にある色から別の色への色位相を可能にする他の材料が追加され得る。染料、色素、蛍光染料、蛍光色素等の一般的に採用される材料が使用され得、ある色の状態から別の色の状態への可逆的な色の変化を促進する。このような材料は、初期の工程中に赤外線化合物に直接組み込まれ得るか、あるいは、赤外線化合物が処理された後に添加され得る。溶媒、水、グリコール等のような材料の使用は、材料のレオロジー特性を調節するために追加され得る。また、界面活性剤、消泡剤、離型剤、接着促進剤、平滑剤等の使用は、処理特性を改善するための処方に追加され得る。また、光学的光沢物質も、無色状態の白色度を保証するため、および赤外線化合物が配置される多数の基板の間のコントラストを低レベルに維持するために追加され得る。
【0028】
本発明の実施形態においては、IR遮断および/または吸収インクは、金融取引カードの1つ以上の層に印刷され得る。インクは、好ましくは、純粋の再結晶化赤外線フタロシアニン色素、無機赤外線蛍光体、および量子ドットエネルギー伝達化合物を含む。これらの材料は一緒に混合され、金融取引カードの1つ以上の層に印刷され得る。印刷方法を使用する層の分離に加えて、材料の組み合わせによって赤外線吸収が発生すること、および赤外線フタロシアニン色素、蛍光体、および量子ドット化合物の間でエネルギー伝達が発生することが可能になる。赤外線の吸収、反射および/または発光は、典型的には、1つの分子から別の分子へと伝達され、したがって、この結果、1つの分子から別の分子へのエネルギー伝達が発生し、この結果、特定の赤外線が吸収され、捕捉されるようになり、最終的に、金融取引カードを通過することが妨害される。
【0029】
理論によりとらわれることなく、励起エネルギーの非放射エネルギー伝達は、エネルギー供与体とエネルギー受容体との間で発生すると考えられる。この場合、フタロシアニン色素により吸収されるエネルギーは、無機赤外線蛍光体および量子ドット物質により捕捉されると考えられる。したがって、蛍光体により発光される可視放射は、量子ドット物質により抑えられる。さらに、多様な熱可塑性基板と組み合わせて、本明細書に説明されるインクの複数層を個別に印刷することによって、屈折率の差のために複屈折特性も提供され、さらに、本明細書に説明される金融取引カードのIR遮断および吸収能力を増加させる。
【0030】
上記のこのような非伝統的なエネルギーの伝達は、典型的には、励起分子が非励起分子と接触した場合に発生する2つ以上の分子の励起錯体である、「エキシプレックス」という概念で説明される。しかしながら、特筆すべき点として、本発明においては、エキシプレックスの形成は、供与体と受容体の電子スペクトルが分離している場合にでも発生すると考えられることである。約800nmから約1000nm以上の間の波長を有する赤外線放射を用いた光励起後、供与体は受容体と衝突し、受容体の自由軌道への電子移転が発生すると考えられる。次に電子はこの軌道から供与体の基底(非励起)状態に移転されるが、これは、光量子の発光をその時に伴わない。この過程は、印刷工程の溶媒蒸発およびインク結合剤への樹脂接着により、使用される材料が溶液から除去されることにより増幅される。この過程は、赤外線放射のはるかに強い吸収を提供する。材料が印刷後に樹脂結合し、ラミネート加工工程中にさらに結合することを可能にする適切な結合剤が選択される。
【0031】
本発明の純粋な再結晶フタロシアニン色素は、約700nmから約1000nmの間のような赤外線放射を吸収する能力を有するフタロシアニンを含み得る。好ましくは、これらのフタロシアニン色素は、アンチモン核錯体を含むが、ニッケル、プラチナ、パラジウム、またはフタロシアニンの赤外線放射吸収能力に貢献する他の任意の金属原子等の他の核金属錯体が利用され得る。さらに、ハロゲン官能基を含むフタロシアニン色素が利用され得る。好ましくは、蛍光体がハロゲン官能基として使用される。しかしながら、当業者には明らかである、他の任意のハロゲンが利用され得る。広範囲の赤外線吸収を提供するフタロシアニン色素が選択され得る。最も好ましくは、本発明のためにアンチモン核錯体フタロシアニン色素が使用される。
【0032】
好ましくは、850nmと1000nmで赤外線吸収ピークを有する1つ以上のフタロシアニン色素が利用される。好ましくは、2つ以上のフタロシアニン色素の組み合わせが使用される。さらに、本発明のフタロシアニン色素は、単独または組み合わせのいずれかで、約0.0001重量%から約1重量%の間の量が存在し得る。例示的なフタロシアニン色素は、NJ、NewarkのIndigo Scienceから入手され得、850nmの吸収ピークを有するIndigo5547aフタロシアニン色素、および1000nmの吸収ピークを有するIndigo1000aフタロシアニン色素を含む。
【0033】
本発明において利用される無機赤外線蛍光体は、Y、Yb、Ho、Gd、およびErドープ希土類酸化化合物を主成分とし得る。蛍光体は、好ましくは、単独または組み合わせのいずれかにおいて、Gd203、Er203、Y203、YF3を含み得る。蛍光体は、単一または組み合わせて利用され得、約0.01重量%から約5重量%の間の量で存在し得る。
【0034】
量子ドットエネルギー伝達ベース化合物は、約C9から約C27リガンドを有する量子ドット物質を含み、単一または組み合わせのいずれかで、約0.0002重量%から約7.0重量%の間の量で存在し得る。
【0035】
上記の材料は、結合剤、樹脂、触媒、および材料からインクを作製するために有用な他の化合物と混合され得る。好ましくは、2−エトキシ−エチルプロピオン酸塩、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、エチルアルコール、n−プロパノール、メチルエチルケトンを含む溶媒が利用され得る。溶媒は、約5重量%から約60重量%の間の量で存在し得る。本発明のために有用な樹脂は、VMCH、YMCA、ポリアミド、ポリエステル、リンシードアルキル樹脂、およびアクリルを含み、約8重量%から約35重量%の間の量で存在し得る。フタロシアニン色素の樹脂への結合を助けるシラン系触媒が使用され得る。特に、シラン系触媒は、フタロシアニン色素の分子を開環するために使用され得、分子が、例えば、アルカリ等の樹脂に結合することを助ける。好ましいシランタイプの触媒は、3−アミノ−プロピル・トリエトキシシランを含むが、本発明は記載のようにこれに限定されるべきではない。シラン系触媒は、約0.005重量%から約2.00重量%の間の量が存在し得る。最も好ましくは、シラン系触媒は、約500ppmで存在する。
【0036】
上記の材料が混合され、グラビア印刷、スクリーン、およびリソグラフィック変形により金融取引カードの1つ以上の層に印刷される。図7Jは、本明細書に説明される本発明に従う好ましい金融取引カードの切断図である。本発明のインクは、塩化ポリビニルの1つ以上の側面に配置され、磁気ストライプ、印刷されたおよび/または印刷されていないコア層、およびオーバーラミネート層と一緒にラミネート加工される。本発明によって、IR遮断および/または吸収型の金融取引カードを、接着剤および/または部分組立部品なしで容易に製造することが可能である。
【0037】
金融取引カードの層を位置合わせして配置後(またはこの変形のいくつかにおいて当業者には明らかである)、層は、圧力下で約300°Fから約310°Fで約13分間、積層ラミネート加工ユニットでラミネート加工されてから、約50°Fから約60°Fでさらに13分間、冷却される。得られるカードは、約30milで、優れた耐用性を有し、1.3を超える光密度を備える約800nmから1200nmの間の赤外線を十分に遮断する。
【0038】
印刷方法は、典型的には、上記にまとめた多様な処方の化合物に基づいて選択される。多様な印刷方法は、好ましくは、グラビア印刷、シルクスクリーン、リソグラフ工程を含み得るが、インクジェット、ロールコーティング、およびフレキソ印刷も利用され得る。本実施形態のインクおよび/または基板およびそれらの配置は、様々なタイプのコア基板およびそれらの厚さに対応するように変えることができる。さらに、好ましくは、印刷可能な基板としてPVCが利用される。しかしながら、インクと基板の間の屈折率に少なくともわずかな差が存在する場合は、PETG、ポリカーボネート、およびPET等のような他の基板が利用され得る。
【0039】
赤外線フタロシアニン色素、赤外線蛍光体、および量子ドット物質の組み合わせを参照しながら説明された上記の本発明のインクの好ましい実施例は、以下の実施例5−10で説明される。
【0040】
本発明のさらなる実施形態において、多様な材料のファイバが連続的に使用されるか、または単一のファイバが広範囲な材料に組み込まれ得る。本発明は、例えば、天然ファイバ、合成ファイバ、共重合体ファイバ、化学ファイバ、金属ファイバ等を考慮する。これらのファイバの実施例は、ナイロン、ポリエステル、綿、毛、絹、カゼインファイバ、蛋白ファイバ、アセチル化ステープル、エチルセルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、アセテート、ポリビニルアルコール、トリアセテート、ガラス、木、ロックウール、カーボン、無機ファイバ等であり得る。このようなファイバは、紙パルプ、プラスチックラベルストック、プラスチック材料等の他のタイプの材料に組み込みまたは混合され得る。このような材料は、単一で連続的に使用され得るか、または他の材料でモノ−またはジ−フィラメントとして使用され得る。
【0041】
さらに、プラスチックに組み込まれる赤外線材料は、例えば、ナイロン、アクリル、エポキシ樹脂、ポリエステル、ビスマレイミド、ポリアミド、ポリイミド、スチレン、シリコン、ビニル、ABS、ポリカーボネート、亜硝酸塩等の多様な材料と共に使用され得る。このように、ファイバ、プラスチック、フィルム等に組み込まれる化合物は、単一または複数工程の適用で適切な形で直接処理され得る。このような化合物は、単一の成分の形、またはその後通常の化合物の処理操作に類似の方式で処理されるマスターバッチの形で、処方に追加され得る。このような化合物の処理は、連続ミキサ、2本または3本ロールミル、押出、および/または他の分散溶解調合方法を含む。例示的な実施形態においては、糸は、織られることも織られないこともあり得るが、赤外線材料は、熱可塑性母剤に直接押し出され、またはファイバまたはプラスチックフィルムの形で連続的、または区分化され使用され得る糸の形に直接引かれ得る。
【0042】
例示的な赤外線化合物は、多様な組成のフィルム上に堆積され、ほとんどのカードの用途において使用され得る。さらに、本発明に従う赤外線化合物は、単独で使用、または0.001から50.0重量割合で、最も好ましくは、1.0から15.0重量割合の範囲で他の材料と混合され得る。
【0043】
特に好ましい赤外線化合物は、3M Company(Minneapolis、MN)により製造される多層高分子フィルムで、米国特許第5,882,774号の「Optical Film」、第6,045,894号の「Clear to Colored Security Film」、および第6,049,419号の「Multilayer Infrared Reflecting Optical Body」に説明されるが、これらの各々は参照により全体を本明細書に組み入れる。具体的には、多層高分子フィルムは、赤外線放射、すなわち、可視光よりも長い波長、特に約700nmの波長を有することが一般的に知られた電磁気放射を反射するように設計された、複屈折誘電性多層フィルムまたは等方性誘電性多層フィルムのいずれかである。
【0044】
本発明で利用される特に好ましいフィルムは、少なくとも2つの層を備え、高い屈折率を有する材料と低い屈折率を有する材料が交互に重なった層を有する誘電性光学フィルムである。フィルムは複屈折または等方性のいずれかにすることができるが、複屈折であることが好ましく、ブルースター角が非常に大きいか、またはポリマー層の接触面には存在しない多層スタックの作製を可能にするように設計される。この特徴により、p偏光の反射性が、入射角とともに徐々に減少するか、入射角に依存しないか、または入射角が垂線から遠ざかるとともに増加する多層ミラーおよび偏光板の作製が可能になる。この結果、多層フィルムは広帯域幅で高反射性を有する。
【0045】
このようなフィルムの特定の実施例は、1995年3月10日出願の米国特許出願番号第08/402,201号、および1998年1月13日出願の米国特許出願番号第09/006,601号の「Modified Copolyesters and Improved Multilayer Reflective Film」に説明される。さらに、米国特許第RE3,034,605号は、スペクトルの可視領域の色を阻止するさらに高い次元の高調波を阻止するフィルムを説明する。他の適切なフィルムは、米国特許第5,360,659号に説明されるフィルムを含み、ここでは、可視スペクトル(約380nmから約770nm)における反射を抑制する一方で、約770nmから約2000nmの間の赤外線波長領域において光を反射する、6層交互反復ユニットを有する2つの成分フィルムが説明される。
【0046】
多層高分子フィルムは、何百または何千の薄層を含むことができ、スタックに存在する層と同じ多くの材料を含み得る。製造を容易にするために、好ましい多層フィルムはいくつかの異なる材料だけを有する。好ましい多層フィルムは、上記のように、第1の屈折率を有する第1の高分子材料と、第1の物質の屈折率とは異なる第2の屈折率の第2の高分子材料とが交互に重なった層を含む。個別の層は、典型的には、約0.05μmから約0.45μmの厚さの状態である。好ましくは、光学フィルムの個別の層の数は、本発明では、他の数も考慮されるが、約80から約1000層の範囲であり得る。さらに、光学フィルムは、約0.5milの厚さから、約20.0milの厚さにすることができる。
【0047】
本発明で有用な多層フィルムは、結晶性ナフタレン・ジカルボン酸高分子と、コポリエステルまたはコポリカーボネート等の別の選択されたポリマーとが交互に重なった層を備え、各層の厚さは、約0.5μm未満であり得る。具体的には、ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)、ポリブチレン2,6−ナフタレート(PBN)またはポリエチレン・テレフタレート(PET)が、典型的には、使用される。隣接する組になった層(高い屈折率を有する1つの層と低い率の他層)は、好ましくは、反射されることが望ましい光の波長の2分の1である全光学的厚さを有する。しかしながら、当業者には明らかであるように、組になった層内の光学的厚さの他の比率が選択され得る。好ましい光学フィルムは、PETとポリメチルメタクリル樹脂(PMMA)とが交互に重なった層を有し、約0.5milほどの低いものであり得る。
【0048】
上記の光学フィルムは特に好ましいが、本発明においては、例えば、赤外線放射の透過を遮断するが、可視光を透過する等、1つの範囲または複数の範囲の波長の磁気放射を効果的に吸収、屈折、拡散、反射、または別様に遮断するが、別の1つの範囲または複数の波長の電磁気放射を透過する、他の任意のフィルムが利用され得、本発明は本明細書の説明に限定されるべきではない。当業者には明らかであるように、他の適切な光学フィルムが利用され得る。
【0049】
本発明は、ここで、以下の実施例、比較例、試験例および使用例を参照して詳細に説明される。本明細書の実施例、試験およびグラフに開示されるように、得られるインクは、光トランジスタの検出からIR放射を十分に遮断する。本発明は、これらに限定されないことを理解されたい。例えば、当業者は、実施例のいずれかにおいて、インクは、異なる光学効果または認証目的のために他の材料を含み得ることを理解するであろう。
【0050】
(実施例1)
本実施例は、Sericol,Inc.製造の約2%のEpolin VII−164色素および約98%のTech Mark Mixing Clearを含む。980.0gのTech Mark溶剤蒸発性スクリーンインクが高速分散機で混合される。混合中、20.0gのEpolight VII−164色素が完全に溶解される。得られるインクは、25℃で約3.2Paの粘性を有し、スクリーン工程を使用して印刷される。スクリーン工程は、透明なPVC13.0milフィルムの両側に305ポリマースクリーンを含む。
【0051】
(実施例2)
以下のインクは、約15.0ポンドのEpolight VII−164および約20.0ポンドのEpolight VI−30を約965ポンドのTM Mixing Clearに添加することにより作製された。混合物は約40分間分散された。得られる混合物は、80ライン/cmポリエステルスクリーンを使用して、PVCコアプラスチック上にコーティングされた。得られたコーティングは、780nmから1070nmの高い吸収力と低い可視吸収を示した。カードコア、磁気ストライプ、およびラミネートは組み立てられ、組立全体は、約280Fの温度でBurckle Stack Lamination Unitに入れられた。
【0052】
(実施例3)
約30.0gのEpolight VII−172の濃縮物が約700.0gの塩化ポリビニル樹脂と混合された。得られた混合物は、約260Fで押出成形、空気冷却、およびペレット化された。得られたペレットの約1.0ポンドが約99.0ポンドのPVCと混合された。Klockner Pentaplastは、約0.013インチのカレンダー印刷されたシートを提供した。カードは前記シートを使用して加工された。これらのカードは、約800nmから1000nmのIR領域で十分な吸収を示した。カードは、Sankyo ATM捕捉デバイスにより検出された。
【0053】
(実施例4)
十分な光学特性を備える多層PETプラスチックがカード製作に組み合わされた。PETプラスチックは、上記のように3M Co.(Minneapolis、MN)より提供された。得られたカードは、十分な光学性を示し、ATMデバイスがカードを検出した。
【0054】
(実施例5)
約37.0重量%の2−エトキシ−エチル−プロプリオネートを含むインクが、約27.0重量%のVMCHビニル樹脂と混合された。インクはさらに、Newark、NJのIndigo Scienceから取得された、約850nmの吸収ピークを有する、約0.00075重量%のIndigo5547aフタロシアニン色素と、これもIndigo Scienceから取得された、約1000nmの吸収ピークを有する、約0.0009重量%のIndigo1000aフタロシアニン色素との混合物を約0.0015重量%含んだ。Y−軸リガンドに沿ってC17を中心として非対称性を有する、約0.00003重量%の量子ドット物質が添加された。Y、Yb、TmおよびYt酸化を含む無機蛍光体が約0.005重量%添加された。約500ppmの3−アミノ−プロピル・トリエトキシシランが含まれた。得られたインクは、PVC基板の両面に溶剤−蒸発性スクリーンプレスでスクリーン印刷され、約305°Fで13分間ラミネート加工された。
【0055】
(実施例6)
上記の濃度のフタロシアニン色素、量子ドット物質および無機蛍光体を有するインクが、約16.0重量%のビニルVMCA樹脂および約88.0重量%のメチルエチルケトンと混合されて、グラビア印刷用のインクが作製された。混合物は、7.0milPVCの両側に印刷され、ラミネート加工されて、上記の実施例5のように金融取引カードを形成した。
【0056】
(実施例7)
上記の濃度のフタロシアニン色素、量子ドット物質および無機蛍光体を含むインクは、約18.0重量%のエチルアセテート、約14.0重量%のnプロピルアセテート、約7.0重量%のエチルアルコール、約3.0重量%のn−プロパノール、および約19.0重量%のメチルエチルケトン溶剤を含む約22.0重量%のニトロ−ポリアミド樹脂と混合され、ミルされた(milled)。混合物は、7.0milPVC層の両側にグラビア印刷され、ラミネート加工されて、上記の実施例5のように金融取引カードを形成した。
【0057】
(実施例8)
上記の濃度のフタロシアニン色素、量子ドット物質および無機蛍光体を含むインクは、約20.0重量%のアクリル樹脂および約34.0重量%のMEKと混合された。混合物は、7.0milPETGにグラビア印刷され、ラミネート加工されて、上記の実施例5のように金融取引カードを形成した。
【0058】
(実施例9)
上記の濃度のフタロシアニン色素、量子ドット物質および無機蛍光体を含むインクは、約98.0重量%のSerical TM−MXと混合されて、ポリエステル325−メッシュスクリーンを使用して7.0milPVCにスクリーン印刷された。
【0059】
(実施例10)
フタロシアニン色素、量子ドット物質および無機蛍光体の重量%にして約10倍の濃度を含むインクは、約18.0重量%のゲル状およびフリーフローのリンシードアルキル樹脂の混合物を使用して、3本ロールミルで混合され、印刷粘度に調整され、約17.0重量%の脱臭ケロシン(Mgisol52)を使用して結合された。混合物は、10milPVCの両側にリソグラフ印刷され、1晩乾燥して、上記の実施例5のようにラミネート加工された。
【0060】
(追加の実施例)
IRインク処方の追加の実施例が図13に開示される。図13のIRインクの実施例は、可視の緑色を示す。さらに、図14は、一定の波長範囲、透過濃度、ATMの可読性、およびISO基準等、これらの例示的なカードに関連する測定値を示す。図15は、例示的な緑色のカードの例示的な試験結果を示し、ここでは、カードのサンプルが多様な製造会社のATMに挿入された。試験の結果、例示的なカードのATM検出は有効であった。さらに、図16は、例示的な緑色のカードの透過濃度の実施例をパーセント透過対波長のグラフで示す(グラフはISOのカード規格も示す)。
【0061】
図17A〜17Iは、多様なカードの実施形態に対する例示的な試験結果を、パーセント透過対波長(nm)のグラフで示す。例えば、図17Aに関して、テキストのないPVC上のIRインクの品質保証が試験され、曲線は例示的なカードの4隅の1つを表す。次の曲線は、カード製造のある間隔後、例えば、約50枚のカードの後、選択された等の別のカードのサンプルを表す。図17Bは、様々なインク処方を有するカードを通過する光の様々な波長のパーセント透過を示し、各曲線は異なるインク処方を用いたカードを表す。
【0062】
図17C〜17Iは、フィルム、コーティング、カードの様々なスペクトルを表し、カード作製に使用された材料が、実施形態に説明されたカードを作製するために、十分な量の赤外線放射を遮断し、可視光を透過する能力を示す。遮断の機構は、電磁気スペクトルの放射を吸収、反射、拡散、分散、または電磁スペクトルの放射を遮断する他の方法であり得る。
【0063】
IRインクに加えて、光学的に認識可能な化合物は、代替として、赤外線を遮断(吸収または反射)するが、他の波長の光を全て透過する、フィルムまたはホットミラーであり得る。例示的な実施形態において、フィルムは、表シート10と裏シート12との間にセットされる。図4は、本発明の例示的実施形態に従う例示的なIRフィルムの反射および透過に対するエネルギー対波長のグラフである。図4は、可視光はフィルムを通過する一方で、赤外線はこれより高い波長で遮断され、赤外線のかなりの量が反射されることを示す。
【0064】
光学的に認識可能な化合物は、光トランジスタ、CCD等による検出を阻止することができるプラスチック製品、フィルム、製品、文書、または他の物品に組み込まれ得る。材料は、研削することによって、または液体状、ペースト状、または他のタイプの媒体に分散または堆積した材料の使用によって、フィルム、プラスチック、印刷インク、コーティング、または他の適用媒体を用いて、取引カードに組み込まれ得る。インクにひっかき傷が付く等、インクに対する環境的破損を最小限に抑えるために、インクは、好ましくは、ラミネート加工下のプラスチックシートに直接適用される(以下のステップ170で説明)。さらに、赤外線インクは、プラスチックシートの内側または外側表面に適用され得る。
【0065】
例示的な実施形態においては、光学的に認識可能な化合物を物品に組み込んでも、別の印刷ユニット、既存の工程機器または追加の操作ステップに対する変更を必要としない場合がある。特に、取引カードのような物品の加工は、いずれにしても着色剤を組み込む既存の機器を利用するので、光学的に認識可能な化合物を既存の着色剤に適用しても、余分な機器またはステップは工程に追加されない。
【0066】
さらなる例示的な実施形態においては、光学的に認識可能な化合物は、機械により検出可能な光を遮断する。より具体的には、機械は、1つまたは複数の波長で赤外線干渉によりカードの存在を適切に検出する。例示的な実施形態においては、物質の検出は、物質が適切な器具からの不可視赤外線放射により照射されると、視覚効果を生成することを含み得、このような放射が赤外線物質に接触すると、色のついた光等の視覚効果が見られ得る。代替として、物質は、物質の存在を示す遠隔検出器により検出され得る。物質の検出または認証は、読み取りデバイスの刺激波長よりも上または下で発生する。このように、光学的に認識可能な物質が検出されると、検出デバイスは、次に、ユーザに有効な識別信号を提供することができるが、これは、検出デバイス上または近辺に存在することが好ましい。
【0067】
例示的な実施形態においては、IR物質の検出は、ATM機械のセンサを誘発する。特に、図8に関して、本発明はさらに高い割合の可視光(約400nmから700nmまで)の通過を可能にし、カードが半透明な性質を見せることを可能にするが、一方で一定の光(約700nm以上)の遮断を可能にして、ATMの光トランジスタが、カードが運搬機構に挿入されたことを検出することを可能にする。上記のように、例示的なATM感知デバイスは、IRED、フィルタ、および投光器を含む。
【0068】
ATM機械のセンサを誘発することに加えて、半透明なカード5は、任意の磁気ストライプまたはスマートカードリーダで使用され得る。リーダシステムは、カードリーダ/ライタ、店舗販売時点情報管理端末、ATMまたは他の任意の受入デバイスを含むことができる。例示的な実施形態において、カード5は、カードがリーダに挿入されると、カードの存在を検出するだけでなく、カード5の透明部分を照射する、リーダと併せて使用される。照射源は、白熱またはソリッドステートの光源(赤外線発光ダイオードまたはレーザー)のいずれかであり得る。操作中、カードが受入デバイスに挿入されると、カードの端が照射組立部を押下する(または、スイッチを活性化、ビームを遮断等)。カードの用途に応じて、照射源は、受入デバイスまたは外部ソフトウェアの制御下にすることができる。したがって、照射源は、外部ソフトウェアにより命令されると、特定の色を点滅または表示することができる。これに加えて、カードの構造に応じて、照射源は、セキュリティまたは製品強化のために有用な埋め込まれた設計を励起させるために使用され得る。
【0069】
上記のように、光学的に認識可能な化合物は、任意のタイプの物品に組み込まれ得る。例示的な物品は、それ自体、任意の数の多数の特徴を含むことができる取引カードである。例示的な実施形態においては、本発明は、一般的に、不透明、透明または半透明なプラスチック層10、12を含むベースと、テキスト30、32、34、ロゴ50、エンボス加工された文字35、磁気ストライプ42、署名欄45、ホログラフィックホイル15、ICチップ20および不透明階調度25等のカード5に付けられる複数の特徴と、を備えた取引カード5である(図1および2)。
【0070】
また、カード5は、上記のように、透明または半透明な取引カード5がATM等のカード読み取りデバイスにより認識されることを可能にするための、および/または透明な取引カード5がカード加工中に認識され数えられることを可能にするための光学的に認識可能な化合物を含む。取引カード5上の光学的に認識可能な化合物は、赤外線を遮断(吸収または反射)するが、他の波長の光を透過する、実質的に不可視または半透明の赤外線インク、ミラーまたはフィルムである(図4を参照)。カード5は、クレジット、支払、デビット、アクセス、識別、情報保管、電子商取引、および/または他の機能のために使用され得る。
【0071】
図3に関して、本発明の例示的な実施形態に従い、表と裏の面を有するカード5を製造するために、例えば、透明なコアPVC等のプラスチック基板から成る表シート10と裏シート12(図1および2)が作製される(ステップ100)。当業者は、カード5のシート10および12が、例えば、プラスチック、ガラス、アクリル、および/またはそれらの任意の組み合わせ等、任意の適切な透明、半透明および/または不透明な材料にすることができることを理解するであろう。各シート10、12は、実質的に同一で、好ましくは、約3’×4’(622mm×548mm)および約0.005〜0.350インチ、またはより好ましくは0.01〜0.15インチまたは13.5milの厚さである。
【0072】
図7Aを参照すると、個別のカードシートの製造は、フィルムの直接の配置(9層)または部分組立品(5層)の使用を含む。例示的な部分組立品は、熱可塑性または熱硬化性の接着剤に適用される室温の結合接着剤を備える5層のフィルムから成る。得られるカードは、(カード表からカード裏へ向かって)ホログラフィックホイル、エンボス加工面、チップ、および他の印を表面に有する2.0milの外側ラミネート(PVC、塩化ポリビニル)、外側(カード表)に印刷面がある9.0milの印刷済みPVCコア、2.0milのPVC接着剤、D&K(525 Grossen、Elk Grove Village、IL 60007)により製造された1.7milのPET GS(押出コーティングされたポリエチレン・テレフタレート−糊付け可能/スタンプ可能)、2.0milのPET IR遮断フィルム、1.7milのPET GS、2.0milのPET接着剤、外側(カード裏)に印刷面がある9.0milの印刷済みPVCコア、署名欄、適用された磁気ストライプおよび他の印を有する2.0milの外側裏ラミネートを備える。最適には、PET IR遮断フィルムは、層の中間に加工されて、カードをバランスし、得られるカード製品のそりを最小限に抑える。他の例示的な実施形態の層は、図7B〜7Hに示される。
【0073】
特に、図7Gは、個別の取引カードの代替実施形態を示す。図7Aに関するように、カードシートは、図7Hに説明されるように作製され得る。各カードシートは、9層のフィルム、または5層の組立部品の使用を含み得る。得られるカードは、(カードの表から裏に向かって)ホログラフィックホイル、エンボス加工表面、チップおよび/または他の印を表面に有する約2.0milの外側ラミネート(PVC)、外側(カード表)に印刷面がある約9.0milの印刷済みPVCコア、約1.0milの配向PVC、約3milの接着剤(1milのPETの各側に1milの接着剤)、上記のような約2.0milのPET IR遮断フィルム、約3.0milの接着剤(1milのPETの各側に1milの接着剤)、約1.0milの配向PVC、外側(カード裏)に印刷面がある約9.0milの印刷済みPVCコア、および署名欄、適用された磁気ストライプ、および/または当業者には明らかな他の任意の印を備える、約2.0milの外側のPVCラミネートを備える。図7Aに説明されたカードに関するように、PET IR遮断フィルムは、層の中間に加工されて、カードを均衡化し、得られるカード製品のそりを最小限に抑える。
【0074】
図7Gを参照しながら説明した上記の接着層(約3.0milの接着剤)は、2.0milのPET IR遮断フィルムの両側に堆積され得るが、好ましくは、ポリエステルの第1の層の両側に堆積されたポリエステルベースの接着剤の第2および第3の層を有するポリエステルの第1の層(1.0milPET)を備える。ポリエステルベースの接着層は、それぞれ約1.0milにすることができる。好ましくは、ポリエステルベースの接着層は、ポリエステルおよびPVCへの優れた接着性を示し、3.0milの接着剤の片側上のPET IR遮断フィルム、およびもう片側の1.0milの配向PVC層の両方に結合する。具体的には、ポリエステルベースの接着剤として使用され得る好ましい材料は、Bemis Associates Inc.の5250Adhesive Filmである。代替として、ポリエステルベースの接着剤として使用され得る別の好ましい材料は、Transilwrap Company,Inc.のTrans−Kote(登録商標)Core Stock KRTYである。
【0075】
9層のフィルムおよび/または5層の組立部品の使用を含む図7Gのカードシートは、上記のように、加熱および加圧を使用する当業者に周知のラミネート加工工程によりまとめて作製され得る。図7Hに説明されるようにカードを作製する好ましい方法は、2段階のラミネート加工サイクルを利用し、第1の加熱ステップは、約24分間、約300°Fの温度で約170psiの圧力でカードの層をまとめてラミネート加工するステップを含む。第2のステップは、約16分間、約57°Fに温度を下げ、約400psiの圧力で層をまとめてラミネート加工するステップを含む。当然ながら、カードの作製の他の方法が利用され得る。
【0076】
当然ながら、1つ以上の範囲の電磁放射の光を遮断する一方で、別の範囲の電磁放射がその中を透過することを可能にするための光学フィルムをその中に組み込む(上記のように)、他の多層フィルムが利用され得る。多層フィルムは、本明細書に定義されるような個別の取引カードを形成する任意の材料および厚さの層を任意の順序で有することができる。
【0077】
図7Iは、本発明に従う、別の例示的なカードシートの作製を示す。特に、図7Iは、図7Aおよび7Gを参照しながら上記に説明したように、その中に組み込まれたIR遮断光学フィルムを有する別の透明または半透明のカードを示す。以下に定義されるカードシートの作製は、共押出/ラミネート加工工程により行われ得る。具体的には、カードシートは、上記のように、PET IR遮断光学フィルムの層(約2.0mil)を備える。EVAベースの材料(約2.0mil)は、IR遮断フィルムの各側に共押出成形されて3層の組立部品を形成することができる。3層の組立部品は、次に、印刷されたPVC層(各々約11mil)の各側にラミネート加工され得る。カードはさらに、印刷済みPVC層の側面に堆積されたPVCラミネート層(各々約2.0mil)を有し、したがって、カードの外層を形成する。
【0078】
PET IR遮断フィルムに共押出成形されるEVAベースの材料として利用され得る好ましい材料は、酸修飾EVAポリマーである。酸修飾EVAポリマーは、好ましくは、Bynel(登録商標)Series 1100樹脂であり得る。典型的には、Bynel(登録商標)Series 1100樹脂は、ペレット形で入手可能で、ポリエチレン樹脂を処理するために設計された従来の押出成形および共押出成形機器において使用される。Bynel(登録商標)Series 1100樹脂は、約238℃の推奨最高溶解温度を有する。しかしながら、接着の結果が不適切な場合、溶解温度を下げてもよい。カードの残りの層は、上記のように、またはカードを形成する他の任意のラミネート加工工程により、カードにラミネート加工され得る。
【0079】
さらに、図7Hは、本発明に従う、別の例示的なカードシートの作製を示す。特に、図7Hは、その中に組み込まれたIR遮断インクを有する透明または半透明の多層取引カードを示す。IR遮断インクは、取引カード中を透過しないようにIR放射を遮断する特徴を有する任意のインクにすることができる。上記の実施例1および2は、使用され得る2つの可能なインク化合物を説明する。当然ながら、他のインクも使用され得、本発明は本明細書の説明に限定されるべきではない。
【0080】
図7Hのカードシートは、(カードの表から裏に向かって)ホログラフィックホイル、エンボス加工された表面、チップ、および/または他の印を表面に有する約2.0milのPVCラミネートの外層、約13.0milの印刷済みPVC、約2.0milのPVCコア、約13.0milの印刷済みPVC、および署名欄、適用された磁気ストライプおよび/または当業者には明らかな他の任意の印を備える、約2.0milのPVCラミネートの外層を備えることができる。PVCコア層(以下、図7Hに従い、約2.0milの厚さである)は、任意選択にしてもよく、より厚いカードが所望される場合に含まれ得ることに留意されたい。当然ながら、PVCコア層は、任意の所望される厚さを有する取引カードを作製するために任意の厚さであり得る。これらのカードは、上記の実施例1および2を参照しながら上記で説明した印刷方法に従い、層の表面全体にIR遮断インクを有するコアPVC層上に印刷され得る。当然ながら、本発明に従う取引カードにおいては、他の任意の印刷方法またはIR遮断インクが利用され得る。
【0081】
カードシートが上記の方法に従い、または他の任意の方法によりラミネート加工された後、シートは、任意の必要な硬化、貫通、加熱、洗浄および/または端部のシーリングを含む周知のスタンピング工程により個別のカードに切断される。各個別の取引カードは約2.5”×3.0”で、したがって、取引カードの形状およびサイズのISO規格に準拠する。
【0082】
さらに図11は、層の数、材料、層の厚さ(mil単位)、材料の入手元/製造元、結合強度データに関する備考、全体の厚さ(mil単位)等、カード作製のための層/シートの例示的な実施形態を詳細に示す。これに加えて、図12Aでは、多様なフィルムの結合に対するフィルム結合強度が、強度(ポンド/インチ)対フィルム結合のグラフに示される。図12Bでは、多様なフィルムの接合面に対するフィルム接合面での結合強度が、強度(ポンド/インチ)対フィルム接合面のグラフに示される。
【0083】
好ましくは、表シート10を裏シート12の上に接着することにより、シートを最終的に組み合わせた後(ステップ160)、取引カード5全体の厚さは、約0.032インチ(32mil)で、これは、スマートカードの厚さのISO規格内である。ICチップ20は、最終的に基板の表面に埋め込まれ(ステップ195)、チップ20の表面は、表シート10の外側面と同一の外延を持つので、ICチップ20は、カード5全体の厚さに影響を与えない。さらに、約3’×4’のシートは、シートから切断される個別のカード5の境界を定義するマーキングを含む。各例示的なシートからは50枚以上の取引カード(典型的には56枚のカード)が得られ、各カード5は、ISOカードのサイズ規格、すなわち、約2”×3.5”内である。
【0084】
一般的に、IRフィルムを有するカード5の作製の例示的工程は、最適な可視および赤外線特性を有するPETフィルムの化学蒸着を含む(ステップ105)。化学蒸着は、Magnetron Companyにより製造されるMagnetron Machineにより実施される。図10を参照すると、工程は、3つのコーティングゾーンのあるロール型化学蒸着スパッタリングシステムを組み込む。Magnetronロール型蒸着機械は、化学蒸着を使用して、Ag、Au、インジウム酸化物を含むバッチを光学用ポリエチレン・テレフタレートに蒸着する。Ag/Au/インジウム層は各々約100オングストロームで、低いほうの波長反射に応じて、約3層から5層存在する。真空コーティング、ソーラーコーティングおよびMagnetronスパッタリングに関する詳細は、例えば、「Handbook of Optical Properties,VolumeI,Thin Films for Optical Coatings」Rolf HummelおよびKarl H Guenther編、1995、CRC Press,Inc.を参照できるが、その全体を参照により組み入れる。
【0085】
次に、フィルムの表面張力を削減するために、プラズマまたはフレーム処理がPETフィルムに適用される(ステップ110)。層の堆積および組立中、IRフィルムは、IR遮断スペクトルを最適化するように監視される。したがって、フィルムは、次に、PETフィルムの可視および赤外線特性を試験するために、分光光度計を使用して規格に対して試験される(ステップ115)。図9を参照すると、真空蒸着インラインロールコーティング操作のための多様な光学コンポーネントを備える反射および透過モニタが利用されて、IRフィルムを監視する。インライン分光高度計の監視は、蒸着工程の一部である。全体の実行中、多様な波長での透過が監視される。タック接着剤がPET GS(ポリエチレン・テレフタレート−糊付け可能/スタンプ可能)に適用され(ステップ120)、加圧ラミネートがPET IR遮断フィルムの酸化インジウムの金属面に適用される(ステップ125)。次に、タック接着剤がIR遮断フィルムのPET側に適用され(ステップ130)、加圧ラミネートがPET GSに適用される(ステップ135)。例示的なラミネート加工条件は、22分間、280F度および600psiで、その後、約18分間高圧下で冷却される。熱シール接着は、PET GSの両外側に適用されるか、代替として、PVC接着剤がPET GSの両外側に適用される(ステップ140)。
【0086】
例示的な実施形態においては、特定の化合物がシート10および12の表面に印刷される。当業者は、テキスト30、32、34、ロゴ50、光学的に認識可能なインク、および不透明階調度25の印刷が、例えば、表10面、裏12面、いずれかの面の内側または外側の表面、ベース材料の2枚のシートの間、および/またはそれらの組み合わせ等、カード5の任意の表面に適用され得ることを理解するであろう。さらに、任意の適切な印刷、記録、刻印、マーキング等の方法は本発明の範囲内である。
【0087】
不透明階調度25と光学的に認識可能なインクは、シルクスクリーン印刷工程によりシートに印刷される(ステップ150)。不透明階調度25に関して、例示的な階調度は、カード5の上部で密度が高く、カード5の下部に達するにつれて密度が徐々に低くなる、または透明になるインク点刻を有するシルバーパールインク階調を備える。当業者は、不透明階調度25が、階調度25全体で任意の密度であり得、階調度25はカード5の面に全体の任意の方向に横断することができることを理解するであろう。不透明階調度25は、カード5に類似の階調度25を提供することができる任意の材料により形成され得る。各カード5の例示的なインク階調度25は、Pantoneカラー等、プラスチック上に印刷するために適切に構成された周知の印刷インクを使用して印刷される。例示的な実施形態においては、点刻25のために使用されるインクは、シルバーパールインクで、各プラスチックシートの外側表面に適用される。インク階調度25は、不透明のさらに濃いインク範囲を提供するシルクスクリーン印刷を使用して、またはハーフトーン画像をより精密に提供するオフセット印刷工程を使用して、シートの各々の表面に印刷される。「American Express」という語句は、類似のスクリーン工程を使用してPantone8482で印刷される。
【0088】
シルクスクリーン印刷に関してさらに特定すると、所望の階調度25を含むアートワークは、シートから作製される個別のカード5の枚数に一致する回数複写される。複写されたアートワークは、次に、当該分野において周知の任意の適切なフォトリソグラフィ工程によりスクリーンに適切に適用され、次に、スクリーンは現像される。スクリーンはシート上に配置され、インクはスクリーンの表面に適切に洗浄される。スクリーンの露出した部分は、インクがスクリーンを通過して、アートワークのパターンでシート上に載ることを可能にする。複数の色が所望される場合、この工程は各色で繰り返され得る。さらに、他のセキュリティ特徴は、任意選択的に、カード5にシルク印刷される。例えば、不可視の紫外線のクレジットカードロゴ(ブラックライトで可視)が、オフセットおよびシルクスクリーン工程を使用して、Pantoneの307と297の二色で印刷される。
【0089】
テキスト30、32、34およびロゴ50は、インクの範囲は狭くなるが、より明確なテキストを提供するオフセット印刷工程(ステップ155)等、公知の印刷工程により各シートの外側表面に印刷される。オフセット印刷に関してより特定すると、アートワークは、金属板に複写され、金属板は、1回に4色まで印刷可能であるオフセット印刷機械に装填される。オフセット印刷されるテキストは、例えば、会社名30、コピーライト告知33、バッチコード番号34、「有効」日付32、連絡先電話番号、法規上の注意(非表示)等を含む。例示的なオフセットテキストは、不透明な白いインクの4DBC、または、UV AMX Grayと呼ばれるPantone Cool Gray11の特殊混合で印刷される。
【0090】
得られるカード5は透明であり得るため、テキストはカード5の両側から見ることができる。このような場合、テキストが1枚のシートだけに印刷されると、テキストは、カード5の反対側からテキストを見る場合に見難い場合がある(すなわち、プラスチック基板を「通して」テキストを見る)。テキストの見難さを最小限にするために、表シート10は、標準形式のテキストによって外側表面に印刷され、裏シート12は、同じテキストが外側表面に印刷されるが、テキストは「逆」形式である。裏12のテキストは、表面10のテキストに合わせて配置され、テキストの整列は、フルシートのカード5の外周マーキングにより支援される。カード5の化合物(磁気ストライプ40、チップ20等)により見難くなる場合がある一定のテキストまたはデザインは、1枚のシートだけに印刷され得る。例えば、例示的な実施形態においては、会社のロゴ50は、1枚のシートだけに印刷され、ICチップ20の後ろ側に配置されるので、表10から見ると隠されて、裏12から見るとICチップ20の少なくとも一部分を隠すことになる。当業者は、任意のオフセット印刷がシートの外側または内側表面に生じ得ることを理解するであろう。
【0091】
カード5の裏12に適用されるラミネート加工シート(ステップ170)は、好ましくは、一連の磁気ストライプ40を含み、磁気ストライプ40の各々は、個別のカード5に対応する。磁気ストライプ40は、カード5の長さに沿って伸び、裏12の表面に適用され、カード5の表は、ISOの磁気ストライプ40のサイズと位置の規格に準じる。しかしながら、磁気ストライプ40は、任意の幅、長さ、形状で、カード5の任意の場所に配置され得る。記録された情報を含むトラックが2つある磁気ストライプ40は、例えば、大日本印刷株式会社(〒162−8001 東京都新宿区市谷加賀町1−1−1、日本、電話:東京03−3266−2111)から入手できる。例示的な実施例においては、磁気ストライプは、ローリング高温金型を使用して、適切な圧力で低温のピール磁気ストライプを外側のラミネートロールに結合するテープ積層機械を使用して、外側のラミネートに適用される。ロールは、次に、カード層が組み立てられる前にテープ積層の出力時点でシートに切断され、ストライプは、ラミネート加工工程中にカードに結合される。
【0092】
現在使用されている先行技術の磁気ストライプ40は黒であるが、特定の例示的な実施例においては、本発明の磁気ストライプ40は、シルバー磁気ストライプ40である。例示的なシルバー磁気ストライプ40は、2750エルステッドであって、ISO規格にも準拠する。さらに、シルバー磁気ストライプ40は、磁気ストライプ40上の印刷を含む。磁気ストライプ40上の印刷は、任意の適切なテキスト、ロゴ50、ホログラムホイル15等を含むことができる。しかしながら、例示的な実施形態においては、印刷は、インターネットウェブサイトアドレスのテキスト表示を含む。大日本印刷株式会社(大日本印刷株式会社に関する詳細情報は、www.dnp.co.jpから入手可能)は、例えば、カード表面に接触しない感熱ヘッドを有して、昇華性染料再転写技術を利用する、大日本印刷株式会社のCPX10000カード印刷機を使用して、磁気ストライプ上にホログラムまたはテキストを印刷する。カード印刷機は、二重転写技術を利用して、感熱ヘッドにより画像を透明なフィルム上に印刷してから、加熱ローラーにより、印刷された画像を実際のカード媒体に再転写する。磁気ストライプ40の表面上に情報を印刷することは、例えば、American banknote Holographies(399 Executive Blvd、Elmsford、NY 10523、(914)593−2355)により実施される。磁気ストライプ40の表面上の印刷に関する詳細情報は、例えば、1987年8月4日にNew YorkのUnited States Banknote Companyに発行された米国特許第4,689,795号を参照でき、その内容全体を参照により本明細書に組み入れる。
【0093】
所望の印刷が完了して磁気ストライプが適用された後、表10と裏12のシートが合わせられ(ステップ160)、シートは、好ましくは、適切な接着剤等の任意の適切な接着工程により合わせて接着される。当業者は、2枚のシートに印刷し、2枚のシートを組み合わせる代わりに、単一のプラスチックカード5が使用され得、カード5の片方に印刷されてから、同じカード5は反対側に印刷するために印刷機に再び送られることを理解するであろう。本発明においては、シートを合わせて接着した後、プラスチックシートとほぼ同じ寸法、すなわち、3’×4’のラミネートシートが、カード5の表10と裏12に適用される。組み合わされたプラスチックシートの表10と裏12にラミネートが適用された後(ステップ170)、カード5の層は、適切な圧力で圧縮され、約300度で、90〜700psiの間の圧力で、単一のカード5デバイスを作製する適切な滞留時間を経て、適切に圧縮される。前述のカード加工は、例えば、Oberthur Card Systems(15 James Hance Court、Exton、Pennsylvania)により完了され得る。
【0094】
カードは、熱と圧力を使用して、層を合わせてラミネート加工することにより、作製され得る。例えば、取引カードは、接着剤、プラテンラミネート加工、またはカードを合わせてラミネート加工する他のラミネート加工工程を使用してロール式ラミネート加工される場合がある。工程温度は、多層の取引カードの層に使用される材料(PETG、ポリカーボネート等の材料)に応じて、約200°Fから約500°Fの範囲にできる。PVCの場合、温度は、一般的に、約270°Fから約320°Fの範囲である。圧力は、約50psiから約600psiの範囲にできる。本発明の取引カードをラミネート加工するための工程時間は、数秒(例えば、接着剤によりロール式ラミネート加工の場合は1〜10秒)から、多層の取引カードの材料としてポリカーボネートが使用される場合の約1時間までの範囲にできる。PVC材料の場合、約20分から30分の加熱サイクルが使用され得る。PVC材料の場合、冷却サイクルは約15分から約25分まで続く場合がある。
【0095】
例示的な実施形態、特に、例えば、図7Hを参照して説明されたカードのようなIRインクカードにおいては、カード層は、熱および圧力を使用するラミネート加工工程で合わせて結合される。加熱プレス段階中、プレスは約300F度まで加熱され、圧力は、約1000psiまで上昇し、約90秒間維持される。圧力は、次に、約30秒間かけて約350psiまで上昇し、同じ温度、すなわち、300F度で16分間維持される。次に、カードは、約57F度の冷却プレスに移動する。圧力は約400psiまで上昇し、約57F度の冷却水がプレートを循環する中で、16分間維持される。そして、カードが冷却プレスから出てくる。
【0096】
図1および2を参照すると、ラミネート加工が適用された後、署名欄がカード5の裏面12に適用され(ステップ175)、ホログラフィックホイル15がカード5の表10に適用される(ステップ190)。署名欄45に関して、先行技術の署名欄は、カード5の裏12へ紙様テープを接着することにより形成されるが、本発明の例示的実施形態においては、署名欄45は、約2”×3/8”の大きさの半透明欄で、ホットスタンプ工程を使用してカードに適用される。販売業者による署名欄45の署名検証は、販売業者がカード5の不正使用に対する金融債務を避けるために、カード5の発行人の要件であることが多い。このように、取引カード5の半透明の署名欄45によって、販売員がカード5の表から署名欄45を少なくとも部分的に見ることを可能にするだけでなく、署名欄が見えることによって、販売員がカード5をひっくり返して、署名された受領書を使用して署名の信憑性を検証することを促進することにもなる。
【0097】
カードシートがラミネート加工された後、シートは、任意の必要な硬化、貫通、加熱、洗浄、および/または端部のシーリングを含む既知のスタンピング工程により、個別のカード5に切断される(ステップ180)。個別の取引カード5は、約3”×4”で、取引カード5の形状およびサイズに対するISO規格に準拠する。例示的な実施形態においては、56枚のカード分のラミネート加工されたシートは、裁断機上で半分に適切に切断されて、28枚のカード分の半シートが2枚得られる。半シートは、機械の光学装置に可視の既定の整列印を使用して、シートを金型(xおよびy軸)に位置合わせする、カードパンチ機に入れられる。半シートは、次に、7段階のパンチに送られる。具体的には、固定距離送り後、光学センサが探索して、送りが予め印刷されていた整列印で停止し、機械が1度に1列の4枚のカードをパンチする。標準工程に従い打ち抜きおよび仕上げ後、ホログラフィックホイル15の適用前に、IR反射特性がライン中に検証される(ステップ185)。
【0098】
例示的なホログラフィックホイルの適用に関して、ホログラフィックホイル15は、任意の適切な方法によりカード5に接着される(ステップ190)。例示的な実施形態においては、約1−1/4”×1−1/4”で角が丸く、接触表面全体に0.0007”のクラウンを備える実質的に正方形のスチール製金型が、ホログラフィックホイル15の大型シートから個別のホイル15をスタンプする。金型は、ホットスタンプ機械の一部で、金型は、ホイル15のシート全体に送られ、特定の画像の周囲でホイル15を切断し、直後にホイル15を加熱してラミネート加工された後のカード5の表10表面に適用する。金型の温度は、約300F°+/−10F°の範囲である。滞留時間は、約1/2秒で、適用速度は、個別のホットスタンプコーティング機に基づいて設定される。しかしながら、前述の温度および滞留は、1分間に100枚のカードの速度に対して規定される。Stephen P. McGrewによる米国特許第4,206,965号、4,421,380号、4,589,686号および4,717,221号は、ホログラフィック画像のホットスタンピングに関する詳細を提供し、参照により組み入れる。
【0099】
ホログラフィックホイル15に関して、ホイル15は、任意の色で、任意のホログラムを含むことができ、カード5の任意の場所に適用され得、任意のサイズ、形状および厚さに切断され得る。例示的な実施形態において、ホログラフィックホイル15のシートは、好ましくは、下部にはグレーの接着剤と、上部には、各々約1−1/4”×1―1/4”のホログラフィック画像を多数含む青い、鏡様の3次元ホログラフィク表面を含む。例示的なホログラムは、360度の可視性を含み、白光では虹色を回折する。フルカラーのホログラムは、例えば、American Banknote Holographiesにより作製される。
【0100】
個別のホイル15の隅は、ホイル15がカード5の表面から剥がれ落ちる可能性を最小限に抑えるために丸いことが好ましい。さらに、カードに適用されると、青いホログラフィック表面は、カード5から外側に向き、一方でグレーの接着側は、カード5の表面に適用される。ホログラフィックホイル15の上部表面は、反射ホログラフィー、透過ホログラフィー、化学洗浄、ミラー化合物の組み込み、および/またはそれらの任意の組み合わせ等、任意の適切な方法により作製され得る。ホログラフィックホイル15は、例えば、American Banknote Holographies、Inc.(1448 County Line Road、Huntingdon Valley、PA、19006)により製造され得る。
【0101】
例示的なホログラフィックホイルは多様な層を含む。当業者は、類似のホログラフィック効果を提供する、これらの層の任意の順序、組み合わせ、および/または組成は依然として本発明の範囲内であることを理解するであろう。例示的な実施形態においては、ホログラフィック転写ホイル構造は、90ゲージのポリエステル担体、剥離コート、エンボス加工可能樹脂、真空蒸着アルミニウム、タイコート、およびサイズコートの層を含む。転写工程の間、エンボス加工可能樹脂、真空蒸着アルミニウム、タイコート、およびサイズコート層が基板に堆積される。
【0102】
例示的な実施形態において、ホログラフィックホイル15のシートは、457.9nmで、20ワットのArgonレーザーからポジ感光乳剤(Shiplyフォトレジストを使用するスピンコートされた板)への収束光の2つ以上の光線、すなわち、物体波と参照波を干渉することにより、適切に作製される透過ホログラムである。システムは、例えば、303A現像剤を使用して、光のビームを干渉することにより作製される干渉パターンを記録する。物体波は、好ましくは、3次元ミラーである、記録される物体から反射される、または物体を透過するコヒーレント光線である。参照波は、好ましくは、球状波面10を有するコヒーレントの平行光線である。
【0103】
ホログラフィックホイル15を取引カード5に組み込むことによって、ホログラムが深度および色変化の錯覚を有するかどうかを観察することにより、普通の白光で取引カードの信憑性を判断する信頼性のさらに高い方法が提供される。したがって、ホログラムが通常の白光で見られることを可能にするために、ホログラムが取引カード5に記録される場合、記録される画像は、基板の表面近くに配置される。さらに、ホログラムは、ホログラフィックホイル15のような金属化担体上にエンボス加工されるか、または、代替として、ホログラムは、透明なプラスチック材料上に直接成形され得る。透明なプラスチック材料上に形成される場合、ホログラムは、金属またはインク等、エンボス加工されるホログラムの上に可視物質を堆積することにより、可視になる。クレジットカード5上のホログラムの製作またはホログラフィックホイル15の製作に関する詳細は、例えば、1987年8月4日にNew YorkのUnited States Banknote Companyに発行された米国特許第4,684、795号、または、American Banknote Holographies,Inc.のウェブサイト、www.abnh.comで入手可能で、どちらも参照により本明細書に組み入れる。
【0104】
例示的な実施形態において、ホログラフィックホイルをビニル製のクレジットカードに適用することは、金属化クレジットカードホイルを使用することにより達成される。ホイルは、1.0mil(92ゲージ)のポリエステル担体上のサイズが決定されていない、金属化された、エンボス加工可能で、磨耗および化学耐性のあるホットスタンピングホイルである。例示的な材料の全ては、原材料サプライヤーカラーコード#563(青)で薄い色が付けられている。ホイルは、アルミニウムで真空金属化され、約1.60から2.00の光学的密度範囲を有する。最適なホイルは、可視の不具合および粒子物体のない状態である。ホイルは、300F、80psi、1.0秒の滞留時間、45度の角度で担体の除去が0.1秒遅延する金型面を有する放出試験ユニットに基づいて、約0から7グラムの放出特性を含む。例示的なベース材料は、約100ポンドの空気圧でリニアインチあたり約1600ポンドの範囲および約200から350Fの金型温度の範囲で、硬質ニッケル金型を使用して、エンボス加工することにより、ホログラフィック画像表面の永久的な高い忠実度の(エンボス加工の打ち抜き100%、少なくとも70%の回折効率)印刷を受けることができる。ベース材料のエンボス加工性を試験する場合、試験は、1次および2次画像を含み、エンボス加工可能なコーティングが最適な2次画像を作製可能であることを確認する。
【0105】
ホログラフィックホイルの機械的および化学的耐性に関して、ホイルは磨耗に対する耐性がある。このように、ホイルのサイズを決定してビニル製クレジットカードに刻印後、転写されたホログラムは、破壊の兆候が見えるまで、CS−10ホイルおよび500グラムの負荷を使用してTaber Abrader上で約100サイクルに耐える。ホイルはすり減りに対する耐性があり、ホイルは同じ条件で、実質的に可視の印、引っかき傷、もやが全くなく、Taber Abrader上で約6サイクルに耐える。ホログラフィックホイルは、DC50000エンコーダまたは同等なシステム上でエンボス加工されると、ホログラム周辺のビニルのひび割れのどのような実質的な兆候にも耐性がある。さらに、ポリエステル担体上のエンボス加工された、サイズが決定されていないホイルは、ベースコートのひび割れなく、15%伸びることが可能である。さらに、例示的なホログラムを備える例示的なビニル製カードは、110℃の炉で15分間耐えて、試験後画像は明確に可視である。これに加えて、例示的なホログラムは、0℃で8時間および60℃で16時間の5サイクル後、可視的影響は全く示さない。
【0106】
ビニル製カードの例示的なホログラムは、可塑剤、アルカリ、酸、溶媒にも耐性がある。特に、ホログラムを備えるカードは、カードが重度に膨らむまでの温かい液の可塑剤(典型的には、フタル酸ジオクチル)の浸漬に耐性がある。カード上の画像は、60℃で5日間、可塑化ビニルに接触しても実質的な影響がない。アルカリに関して、カード上のホログラムは、室温で10%水酸化アンモニアに約1時間の侵漬をしても、品質が低下せず、耐性がある。さらに、ホログラムは、人工のアルカリ性発汗(10%塩化ナトリウム、1%リン酸ナトリウム、4%炭酸アンモニアでpH8.0)に室温で50時間浸漬後も実質的な品質低下を見せない。酸に関して、カード上の例示的なホログラムは、室温で10%酢酸に約1時間の侵漬をしても、品質が低下せず、実質的な耐性がある。さらに、例示的なホログラムは、人工の酸性発汗(10%塩化ナトリウム、1%リン酸ナトリウム、1%乳酸でpH3.5)に室温で50時間浸漬後も実質的な品質低下を見せず、実質的な耐性がある。
【0107】
溶媒に関して、カード上の例示的なホログラムは、実質的に、以下に対する耐性がある。エチレングリコール(100%および水中50%)では室温で4時間後実質的な影響なし、エチルアルコール(100%および水中50%)では室温で4時間後実質的な影響なし、メチルエチルケトンでは室温で1分後実質的な影響なし、トルエンはカードの重度の膨れまでの実質的な影響なし(室温で30分)、水は60℃で16時間後実質的な影響なし、濃縮洗剤液では室温で20時間後実質的な影響なし。
【0108】
さらに、ビニル製のカードの例示的なホログラムは、業務用洗濯乾燥機の耐久プレス加工の設定でズボンのポケットに入れて洗濯乾燥後、実質的な影響を示さない。
【0109】
クレジットカードの基板は、ホログラムの現在の組成またはそのコーティングを実質的に傷めることなく、ホログラムのホットスタンピングを適切に受理することができるビニルベースまたは他の同等な種類の材料を備える。ホログラムをビニル製カードに接着する場合、コーティングは、一貫したブラッシュを示し、色、粘度が均一で、汚染がない。また、ホログラムのカードへの接着は、Scotch610テープをホログラムに貼り、45°の角度ではがしても、基板から相当量のホイルを取り除くことにはならないように十分な強度である。
【0110】
画像の輝度に関して、回折測定は、レジストレーションブロック上の最低約2マイクロワットで取得される。さらに、画像の品質に関して、画像は実質的に、大きい汚点、引っかき傷、しわ、斑点、かすみ、および/または画像を実質的に変形させる任意の他の欠陥を持たない。
【0111】
最終的な例示的製品は、1−53/64”+/−1/64”の幅で、ロールあたり10、000画像の長さで細長く切断される。レジストレーションブロックは、スリット材料の端から約5/64”以内に配置される。全ての最終ロールは、3.0”のIDコアに直面する金属面があり、最終リールあたり最大3スプライスが可能で、レジストレーションブロックは125”×125”の正方形である。
【0112】
個別のカード5をスタンピングしてホログラフィックホイルを適用後、接着剤、加熱、テープ、溝等の任意の適切な方法により、ICチップ20がカード5に適用される(ステップ195)。より特定すると、カード5の表10の小さい部分が、例えば、ミリング工程を使用して、機械加工される。ミリングステップは、掘られた穴がプラスチックの2つのコア層を切断するが、プラスチックの最後の外側のラミネート層には達しないように、約0.02milのプラスチックを表10の表面から取り除き、5235HSTポケットを形成する。ICチップ20は、標準の金めっきではなく、銀による5235パラジウムめっきである。ICチップ20は、「ポッティング」と呼ばれる工程を使用してカードに適用される。非伝導性接着剤等の任意の適切な接着剤が機械加工された穴に置かれ、ICチップ20の上部表面が実質的にカード5の表10の表面と均等であるように、ICチップが接着剤の上に置かれる。適切な圧力および熱がICチップ20に適用され、ICチップがカード5に十分に添付されるようにする。ICチップ20は、カード5の任意の場所に配置される任意の適切な集積回路である。例示的な実施形態においては、ICチップ20の構造、設計、機能、および配置は、ICチップ20およびカード5のISO規格に準拠する。ICチップ20は、例えば、ドイツのSiemensから取得され得る。
【0113】
ホログラフィックホイル15とICチップ20をカード5に適用後、口座番号35や「有効期限」32の日付(非表示)等の一定の情報は、好ましくは、公知のエンボス加工方法によりカード5にエンボス加工される(ステップ200)。エンボス加工は、例えば、Oberthurカードシステムにより完了され得る。任意の情報がカード5の任意の場所にエンボス加工できるが、特定の例示的実施形態においては、口座番号35は、ホログラフィックホイル15によりエンボス加工されて、ホログラフィックホイル15が詐欺に利用される偽造カード5に転写される可能性を減少させる。これに加えて、先行技術のカード5は、有効開始および終了日を含むが、本発明のカード5は、「有効」32日付、すなわち、カードの有効期限日だけを含む。
【0114】
前述はカード5の加工のための例示的な実施形態を説明したが、当業者は、テキスト30、32、34、ロゴ50、エンボス加工の数字35、磁気ストライプ42、署名欄45、ホログラフィックホイル15、ICチップ20および不透明階調度25(図1および2を参照)を基板上に組み込むための任意の適切な方法は本発明の範囲内であることを理解するであろう。特に、ホログラフィックホイル15、ICチップ20、ロゴ50、磁気ストライプ40、署名欄45、または他の任意の化合物は、例えば、熱、圧力、接着剤、溝付き、および/またはそれらの任意の組み合わせ等の任意の適切な手段によって、カード5の任意の部分に貼り付けられ得る。
【0115】
本発明は例示的な実施形態を参照しながら上記に説明された。しかしながら、本開示を熟読した当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に変更および変形を行ってもよいことを認識するであろう。例えば、本発明の様々なステップは、本発明の効果を変更することなく排除され得る。さらに、日本の大日本印刷株式会社により開発された昇華性染料再転写技術および/または二重転写技術等の他のタイプのカード加工、コード化、印刷方法が使用され得る。これらおよび他の変更または変形は、以下の請求項に記載されるように、本発明の範囲内に含まれると考えられる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、取引カードに関し、より具体的には、ホログラム、磁気ストライプ、または集積回路、ならびに他の取引カードの構成要素を含み得る、光学的に認識可能な透明または半透明の取引カードの製造および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現金ではなくクレジットで支払うことをカード保有者に可能にする、取引カードは、米国においては、1950年代初めから普及し始めた。初期の取引カードは、典型的には、一部の飲食店やホテルに限定され、一部の個人に限定されることが多かった。プラスチック製クレジットカードの導入以来、取引カードの使用は、米国から欧州、そして世界中へと急速に普及した。取引カードは、情報媒体であるだけでなく、典型的には、消費者が常時現金を持ち合わせる必要なく、物品やサービスの代価を支払うことを可能にし、または、消費者が現金を必要とする場合は、取引カードにより、現金自動支払預入機(ATM)から現金を入手することが可能になる。また、取引カードは、盗難による現金紛失のリスクに曝される機会を減少させ、外国諸国への旅行時には両替の必要性を削減する。取引カードの利点により、現在では、何億枚ものカードが毎年作製および発行されており、したがって、企業は自社のカードを競合他社のカードから差別化する必要性がある。
【0003】
初期には、取引カードには、しばしば、カード上に発行者の名前、カード所有者の名前、カード番号、有効期限日がエンボス加工された。また、カードには、通常、偽造や模造への対策として、カード所有者が署名を記入する署名欄がカードの裏面に含まれた。このように、初期のカードは、データを販売業者に提供する道具として機能するにすぎず、カードに関連する唯一のセキュリティは、カード上にエンボス加工されたカード所有者の名前に加えて、カードのカード所有者の署名を領収書のカード所有者の署名と比較することであった。しかしながら、多数の販売業者は、しばしば、領収書の署名とカードの署名を照合することを忘れる。
【0004】
取引カードの人気により、非常に多くの企業、銀行、航空会社、取引グループ、スポーツチーム、クラブおよび他の組織が独自の取引カードを開発している。このような多数の企業は、絶えず自社の取引カードを差別化しようとし、より魅力的な借入金利や安価な加入料金を提供するだけでなく、取引カード上に独特かつ美的に魅力的な特徴を提供することにより、市場のシェアを拡大しようとしている。このような多数の取引カードは、商品の購買層情報や口座情報を含んでいただけでなく、取引カードは、グラフィック画像、デザイン、写真、およびセキュリティ特徴も含む。最近のセキュリティ特徴は、3次元のように見える回折格子またはホログラフィック画像を取引カードに組み込むことで、ホログラムの作製には非常に複雑なシステムおよび装置が必要なために、取引カードを偽造または模造する能力を実質的に制限する。ホログラムは、2つ以上の光線、すなわち、物体波と参照波を感光乳剤上で干渉させ、これによって、光の干渉波により作製される干渉波を記録することにより作製される。物体波は、会社のロゴ、球、文字、または動物等、記録される物体から反射または物体を透過したコヒーレント光線である。参照波は、通常、球面波面を有するコヒーレントの平行光線である。干渉パターンを記録後、類似の波長の参照波を使用して、干渉パターンから画像を再作製することによって、ホログラフィック画像を作製する。
【0005】
しかしながら、典型的な状況においては、カード上の干渉パターンから画像を再作製する類似のレーザー光線は使用できない。このように、ホログラムは、普通の白光で見られることが可能でなければならない。したがって、ホログラムが取引カード上に記録される場合、記録される画像は、基板の表面近くに配置されて、得られるホログラムが普通の白光で可視であることを可能にする。これらのホログラムは、反射面ホログラムまたはレインボーホログラムとして知られる。反射ホログラムは金属ホイル上で大量生産され、次に取引カード上に刻印され得る。さらに、取引カード上にホログラムを組み込むことによって、ホログラムが深度および色変化の錯覚を有するかどうかを観察することにより、普通の白光で取引カードの信憑性を判断する信頼性のさらに高い方法が提供される。
【0006】
取引カードの使用が増加したことにより、支払、クレジット、商業決済、不正行為、返済等、管理上およびセキュリティ上の問題が増加した。したがって、取引カード業界は、多様な業界に対して、取引カードデータの電子的読み取り、伝送、および承認を可能にする、より高度な取引カードの開発に着手した。例えば、拡大した特徴、機能、およびセキュリティに対する市場の需要を満たすために、磁気ストライプカード、光学式カード、スマートカード、コーリングカード、およびスーパースマートカードが開発された。視覚データに加えて、取引カードの裏に磁気ストライプを組み込むことによって、デジタル化されたデータを機械が読み取り可能な形式で格納することが可能になる。このように、磁気ストライプリーダが磁気ストライプカードと併用されて、口座情報や有効期限日など、磁気ストライプに格納されたデータの伝送に加えて、キャッシュレジスタから受信した購買データをオンラインでホストコンピュータに通信する。
【0007】
磁気ストライプが模造されやすいこと、磁気ストライプ内の情報の機密性の欠如、およびデータのホストコンピュータへの伝送に関連する問題により、取引カードに組み込むことが可能な集積回路が開発された。これらの集積回路(IC)カードは、スマートカードと呼ばれ、高度なセキュリティおよび将来の用途に対する柔軟性により、多様な業界で非常に信頼性が高いことが証明された。
【0008】
磁気ストライプカードおよびスマートカードが開発されるのに伴い、市場ではカードの国際規格が必要となった。カードの物理的寸法、特徴、およびエンボス加工の領域は、国際標準化機構(以下「ISO」)のISO7810およびISO7811に基づき規格化された。発行者の識別、特定の化合物の場所、コード化要件、および記録技術は、ISO7812およびISO7813に規格化され、一方でチップカードの規格は、ISO7813に確立された。例えば、ISO7811は、磁気ストライプの規格を定義し、これによれば、0.5インチのストライプはカードの表または裏面のいずれかに配置され、縦方向の3つの平行トラックに区分される。第1と第2のトラックは、それぞれ、79の英数文字と40の数字が入るスペースがあり、読み取り専用情報を保持する。第3のトラックは、金融取引のために確保され、ユーザの個人識別番号、国番号、通貨単位、サイクルあたりの承認金額、関連口座、および制限が暗号化されている。取引カードの特徴および仕様に関する詳細情報は、例えば、Smart Cards by Jose Luis Zoreda and Jose Manuel Oton、1994、Smart Card Handbook by W. Rankl and W. Effing、1997、およびANSI(米国規格協会:11 West 42nd Street, New York, NY 10036)から入手可能な多様な取引カードのISO規格文書を参照でき、これらの出版物全ての内容全体は参照により本明細書に組み入れられる。
【0009】
機械読取可能コンポーネントを取引カードに組み込むことによって、取引カードから自動的に読み取る、および/または取引カードに自動的に書き込むことにより、取引を簡易化するデバイスの普及が促進された。このようなデバイスは、例えば、バーコードスキャナ、磁気ストライプリーダ、店舗販売時点情報管理(POS)、現金自動預け払い機(ATM)およびカードキーデバイスを含む。ATMに関しては、1999年に出荷されたATMデバイスの合計数は、NCR(138-18 231st Street, Laurelton, New York 11413)、Diebold(5995 Mayfair, North Canton, Ohio 44720-8077)、Fujitsu(11085 N. Torrey Pines Road, La Jolla, California 92037)、Omron(日本)、OKI(日本)およびTritonなど、大手ATM製造会社により出荷されたATMを含めて、179、274台(Nilson Reportsデータに基づく)である。
【0010】
多数のカード受入デバイスでは、デバイスの読み取りヘッドを取引カードの関連コンポーネントに適切に合わせることができるように、取引カードがデバイスに挿入されることが必要である。特に、多数のATMでは、取引カードがATMのスロットに実質的に挿入されることが必要である。カードがスロットに挿入された後、ATMは、取引カードをATMスロットにさらに引き込むための追加の機械式デバイスを有する場合がある。ATMを活性化するために、ATMは、典型的には、光トランジスタおよび発光ダイオード(LED)等のセンサを含み、これがカード表面に光を放射し、光トランジスタがLEDから光を受ける。カードは、光トランジスタからの赤外線放射を遮断し、したがって、カードが検出されたことを示す。ATMの典型的なLEDは、約820〜920nmまたは900〜1000nmの範囲の波長を有するIRED(赤外線発光ダイオード)源で(図5を参照)、これは、光トランジスタセンサにより必要とされるレベルでは環境光には存在しない。典型的な光トランジスタのスペクトル感度曲線は、約400nm〜1100nmの範囲にある(図6を参照)。しかしながら、可視スペクトルは約400nm〜700nmで、光トランジスタのスペクトル感度は、950nmで約60%、および840nmで90%である。このように、可視光は、アナログからデジタルへのアルゴリズムの一部ではない。さらに、ISO7810の第8.10条は、全ての機械読取可能カードは、光透過濃度が450nm〜950nmで、1.3を超える(5%未満の透過)こと、および950nm〜1000nmで1.1を超える(7.9%未満の透過)ことを義務付ける。
【0011】
カードがATMにより検出されるために、光は、典型的には、カード本体により遮断される。さらに、カードにより遮断されることが必要な光量は、アナログからデジタルへの変換から受け取る電圧データに関連する。センサの電圧範囲は、典型的には、約1.5Vから4.5Vの範囲である。カードがセンサに挿入されると、電圧は1.5V未満に落ちて、運搬システムにカードが存在することを示す。カードが光トランジスタにより検出された後、磁気ストライプリーダが磁気ストライプをスキャンして、磁気ストライプに記録された情報を取得する。ATMのLEDセンサデバイスの製造会社は、例えば、日本のOmronおよびSankyo−Seiki(4800 Great America Parkway、Suite201、Santa Clara,California 95054)である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述のように、取引カードおよびリーダは、典型的には、カードデータおよび化合物の場所を詳細に規定する多様なISO規格に従う。しかしながら、多数の企業が様々なバージョンのATMを製造しているため、ATM内のセンサの場所は標準化要件の対象ではない。これまで、ATM内のセンサの場所が変わっても、ATMが取引カードを感知する能力に影響がなかったのは、取引カードが実質的に不透明な表面を含んでいたためで、不透明な取引カードの任意の部分がIRED発光を遮断し、挿入光トランジスタを活性化することができたからである。しかしながら、つい最近になって、特有の画像を提供するため、および消費者の需要を満たすため、企業は透明または半透明な取引カードを開発しようとしてきた。透明なカードを使用すると、IRED発光は透明な表面から十分に反射しないため、挿入光トランジスタを活性化しないことが多く、放射光がカードを通過するだけで、光トランジスタにより検出されるようになる。したがって、機械はカードの存在を検出することができず、しばしば機器を故障させた。
【0013】
この問題を解決しようとして、半透明な領域を提供してATM上の入力センサを活性化しようとして、企業は透明なカード上に不透明領域を印刷してきた。しかしながら、前述のように、多数のATMでは、センサの場所が一定しないため、取引カード上の限られた不透明領域を使用しても、カードが十分な台数のATMのセンサを活性化することは不可能であった。代替として、企業は、LED光の方向を変えようとして、取引カード上にレンズを組み込もうとした。しかしながら、カードの製造工程中には、相当な圧力や高熱が関わることが多く、レンズ表面は崩壊または破壊されてしまう。このように、入力センサを活性化する能力がある透明または半透明な取引カードであって、入力センサが多様な場所でカードと相互作用することができる、取引カードに対する必要性が存在する。
【0014】
さらに、カード製造工程中、既定の時間間隔中に製造されるカードの枚数を正確に数えるために、カードは組立ラインで検出されなければならない。カードを数えるために、典型的なカード製造組立ラインは、ATMセンサに類似したLEDセンサを備えるカウンタを含み、不透明なカード表面からのLED光線の反射に基づいてカードを数える。透明な取引カードの製造は、ATMデバイスに類似した制約から、LED光線が透明な表面から反射しない、または十分に吸収されないという問題点がある。このように、既存の組立ラインで製造され得る透明なカードが必要とされる。類似の問題は、カードが最終寸法にパンチされる場合に存在する。
【0015】
既存のシステムは物品の識別や検出を可能にすることができるが、ほとんどはいくつかのマイナス面を含む。例えば、UV、可視光検出等に基づく識別特徴は、場合によっては見ることが困難で、一定の照明要件が必要な場合が多く、典型的には、物品と検出デバイスとの間の距離に依存する。これに加えて、識別マークを含む一定のタイプのプラスチック、紙、または他の材料を使用することは、特別な識別デバイスにより限定される場合がある。例えば、不透明な材料は、典型的には、可視(IR周辺)領域と遠IR光領域の両方で光を遮断することにより、ATMの光トランジスタを不活性化する。さらに、検出または認証特徴をカード製品に組み込むためには、カードの製造工程中に別個の材料または工程ステップが必要になる。新しい材料または工程を組み込むためには、現在の機器への高価な改変または新しい機器が必要になることが多く、カード製品の製造時間を延長することが多い。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、ホログラフィックホイル、集積回路チップ、磁気ストライプ上にテキストを備えるシルバー磁気ストライプ、不透明階調度、カードの作製中に含まれる光学的に認識可能なインクまたはフィルム、カードの裏の署名がカードの表から可視であるような半透明の署名欄、およびカードの表の「有効期限」日付等のいずれか1つ以上の特徴を有する、透明または半透明な取引カードの製造のための工程に関する。カードは、カードの表面に塗られる不可視または透明な赤外線インクまたはフィルムのために光学的に認識可能であって、したがって、カードは、赤外線を遮断(吸収、屈折、拡散および/または反射)して、他の光全てを透過することが可能になる。特に、取引カードがATMデバイスに挿入されると、IREDからの光線は、赤外線インクまたはフィルムにより遮断され、したがって、光トランジスタを不活性化する。さらに、取引カードの製造中、光学的に認識可能なカードによって、個人化デバイス、検査ユニット、またはカウンタデバイスからのIRED光線は、組立ラインで製造される取引カードの数を数えることが可能である。
【0017】
本発明は、添付の図面に関連して考慮する場合、詳細説明および請求項を参照することにより、より完全な理解が得られるであろう。添付の図面は一定の縮尺ではない場合がある。添付の図面において、図面中の同様な参照番号またはステップは、類似の化合物を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の例示的な実施形態に従う、例示的な取引カード表の図である。
【図2】図2は、本発明の例示的な実施形態に従う、例示的な取引カード裏の図である。
【図3】図3は、本発明の例示的な実施形態に従う、例示的な取引カード製造工程の流れ図である。
【図4】図4は、本発明の例示的な実施形態に従う、IRフィルムの反射および透過に対するエネルギー対波長のグラフである。
【図5】図5は、本発明の例示的な実施形態に従う、約820〜920nmまたは900〜1000nmの範囲の波長を有するATMの典型的なIRED(赤外線発光ダイオード)源のグラフである。
【図6】図6は、本発明の例示的な実施形態に従う、約400nm〜1100nmの範囲の波長を有する典型的な光トランジスタのスペクトル感度曲線のグラフである。
【図7A】図7A―7Jは、本発明の例示的な実施形態に従うカード層の多様な実施形態を示す。
【図7B】図7A―7Jは、本発明の例示的な実施形態に従うカード層の多様な実施形態を示す。
【図7C】図7A―7Jは、本発明の例示的な実施形態に従うカード層の多様な実施形態を示す。
【図7D】図7A―7Jは、本発明の例示的な実施形態に従うカード層の多様な実施形態を示す。
【図7E】図7A―7Jは、本発明の例示的な実施形態に従うカード層の多様な実施形態を示す。
【図7F】図7A―7Jは、本発明の例示的な実施形態に従うカード層の多様な実施形態を示す。
【図7G】図7A―7Jは、本発明の例示的な実施形態に従うカード層の多様な実施形態を示す。
【図7H】図7A―7Jは、本発明の例示的な実施形態に従うカード層の多様な実施形態を示す。
【図7I】図7A―7Jは、本発明の例示的な実施形態に従うカード層の多様な実施形態を示す。
【図7J】図7A―7Jは、本発明の例示的な実施形態に従うカード層の多様な実施形態を示す。
【図8】図8は、本発明の例示的な実施形態に従う、ATM内の例示的なセンサ機構の模式図である。
【図9】図9は、本発明の例示的な実施形態に従う、IRフィルムを監視するためのインラインロール真空蒸着操作のための多様な光学コンポーネントを備える例示的な反射および透過モニタである。
【図10】図10は、本発明の例示的な実施形態に従う、PETフィルムの化学蒸着のための例示的なシステムである。
【図11A】図11は、本発明の例示的な実施形態に従う、カード作製のための層の例示的な実施形態を示す。
【図11B】図11は、本発明の例示的な実施形態に従う、カード作製のための層の例示的な実施形態を示す。
【図12A】図12Aは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なフィルム接着のための強度(ポンド/インチ)対フィルム接着のグラフに関する例示的なフィルム接着強度を示す。
【図12B】図12Bは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なフィルム接触面のための強度(ポンド/インチ)対フィルム接触面のグラフに関する、フィルム接触面での例示的な接着強度を示す。
【図13】図13は、本発明の例示的な実施形態に従う、緑色を示す例示的なIRインクの成分を示す。
【図14】図14は、本発明の例示的な実施形態に従う、これらの例示的な緑色のカードに関する測定値を示す。
【図15】図15は、本発明の例示的な実施形態に従う、例示的な緑色のカードに対する例示的なATMの試験結果を示す。
【図16】図16は、本発明の例示的な実施形態に従う、例示的な緑色のカードの透過濃度の実施例をパーセント透過対波長のグラフにおいて示す。
【図17A】図17A―17Iは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なカードの実施形態に対する例示的な試験結果をパーセント透過対波長(nm)のグラフにおいて示す。
【図17B】図17A―17Iは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なカードの実施形態に対する例示的な試験結果をパーセント透過対波長(nm)のグラフにおいて示す。
【図17C】図17A―17Iは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なカードの実施形態に対する例示的な試験結果をパーセント透過対波長(nm)のグラフにおいて示す。
【図17D】図17A―17Iは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なカードの実施形態に対する例示的な試験結果をパーセント透過対波長(nm)のグラフにおいて示す。
【図17E】図17A―17Iは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なカードの実施形態に対する例示的な試験結果をパーセント透過対波長(nm)のグラフにおいて示す。
【図17F】図17A―17Iは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なカードの実施形態に対する例示的な試験結果をパーセント透過対波長(nm)のグラフにおいて示す。
【図17G】図17A―17Iは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なカードの実施形態に対する例示的な試験結果をパーセント透過対波長(nm)のグラフにおいて示す。
【図17H】図17A―17Iは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なカードの実施形態に対する例示的な試験結果をパーセント透過対波長(nm)のグラフにおいて示す。
【図17I】図17A―17Iは、本発明の例示的な実施形態に従う、多様なカードの実施形態に対する例示的な試験結果をパーセント透過対波長(nm)のグラフにおいて示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
概して、本発明は多様な物品の識別および検出を可能にし、物品は機械が認識可能な化合物を有する材料を含む。物品は、例えば、取引カード、文書、紙等を含む。材料は、例えば、コーティング、フィルム、繊維、プラスチック、インク、ファイバ、紙、プランシェット等を含む。
【0020】
例示的な実施形態においては、機械認識可能化合物は、赤外線遮断(吸収、屈折、拡散、反射、または他の遮断)成分を含む光学的に認識可能な化合物である。光学的に認識可能な化合物は、不可視であるか、可視であるか、または所望の効果を生むように色付けされ、および/または、例えば、UV蛍光体またはIR蛍光体の特徴等、他の検出可能な化合物を含み得る。光学化合物は、好ましくは、優れた安定性、抵抗特性、耐用性、および優れた外観、柔軟性、硬度、耐溶剤性、耐水性、耐腐食性、および外観の安定性等の他の物理的特性を有する。さらに、このような化合物を使用しても、典型的には、多数の基板に存在する場合があるUV化合物に干渉しない。当業者は、光学的に認識可能な化合物は、センサにより認識可能な任意の化学物質、溶液、色素、インク基質、材料等であることを理解するであろう。例示的な実施形態においては、光学的に認識可能なインクは、ほとんどの赤外線を遮断、吸収、または反射するが、他のほとんどの波長の光を透過する赤外線インクである。
【0021】
例示的な実施形態においては、光学的に認識可能な化合物は、フィルム、プラスチック、ファイバ、インク、濃縮物、熱可塑性物質または熱硬化性母材、繊維、プランシェット、および/または有機または無機物質から抽出される化合物の約0.001から40.0重量(%)の範囲で含む他の媒体の形で材料に組み込まれる。赤外線インクは、例えば、スクリーン印刷工程、または、リソグラフィ、グラビア印刷、フレスコ、光沢コーティング、カーテンコーティング、ローラコーティング等の任意の他の印刷またはコーティング手段により、カード5(図1を参照)に適用され得る。例示的なスクリーン印刷工程は、染色機器を備えるスクリーンプレス(UV硬化性または対流熱)および約80ライン/cmの特定のメッシュサイズのスクリーンを利用する。IRインクは、以下に説明するように、シルクスクリーンプレスを使用して、プラスチックのカード表面全体の任意の部分に印刷される。
【0022】
特定のレベルの照明に対する通常の監視者の目の相対感度は、約400〜770nmの間であるため、通常の白光では、ヒトの目に不可視であることから、770nmを超える赤外線インクが好ましい。このように、不可視の赤外線材料は、カード5の透明な表面を実質的に遮ることはない。これに加えて、例示的なインクは、約200Fから400F度のカード製造温度に耐え、通常のクレジットカードの使用状態の下では、少なくとも約3年間の「耐光期間」(任意の光、および特にUVが存在すると消失または劣化するインクの抵抗性)を含む。さらに、例示的なインクは、例えば、約800〜1000nmである、Sankyo Seiki LED等のIREDのスペクトル出力を遮断、吸収、または反射する。例示的なインクは、光トランジスタに到達する光も制限するので、インクを有する透明なカードの存在は、例えば、カードをつかみとるタイプのATM機械等の取引機械において検出される。
【0023】
本発明の機械認識可能化合物の例示的な組成物は、広範囲の化合物の混合物を含む。有効な化合物は、無機、有機金属、または有機層状物質または希土類化合物、最も一般的には、希土類の酸化物、酸硫化物、または酸ハロゲン化物から抽出される。化合物は、比較的不活性であるので、最終製品の性能特性に対する効果は最小化される。赤外線化合物は、染料、層状物質、色素、および/またはカプセル化された色素のいずれかを含み、これは、広範な最終使用可能製品に組み込まれ得る特定の媒体に分散される。赤外線化合物の粒子サイズによって、材料(プラスチック、繊維、インク等)は、最適に分散または溶解され、材料が組み込まれる物品内に均一に存在することが可能になる。
【0024】
層状の誘電性および金属性の物質またはドープ希土類物質を含む従来周知の赤外線物質は、本発明の例示的な実施形態に従う化合物の色素として効果的に使用され得る。この場合、色素または染料は、特定の波長のエネルギーを吸収し、ある波長のエネルギーを別の波長に変えることができる。エネルギー変換または吸収は、電磁気スペクトル内の任意の刺激を上回るまたは下回ることができる。化合物は、特定の波長の光を吸収、またはある色を別の色に変えることができる。または化合物は不可視を可視に変える場合などがある。このように、本発明の赤外線化合物はある波長のエネルギーを別の波長に可逆的に変更するシステムに組み込まれ、したがって物品内に「指紋」型の検出可能な特徴を生み出す。
【0025】
さらに、調製されたフィルムまたは材料は、結合剤と混合されて、繊維、ファイバ、コーティング等において使用するための赤外線化合物を形成することができる。本発明に組み込まれ得る結合剤は、ワックス、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム、天然樹脂、または合成樹脂等の従来の添加剤を含む。このような結合剤の実施例は、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、エチレン-ビニルアセテート共重合体、ポリビニルアセテート、ポリエチレン、塩化ゴム、アクリル、エポキシ樹脂、ブタジエン-ニトリル、セラック、ゼイン、セルロース、ポリウレタン、ポリビニルブチレート、塩化ビニル、シリコン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ニトロセルロース、ポリアミド、ビスマレイミド、ポリイミド、エポキシ-ポリエステルハイブリッド等である。使用され得るフィルムは、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、ポリカーボネート等を含む。以下に検討するように、加熱、接着剤、または両者の組み合わせを使用して、一般的なカード品に任意のフィルムがラミネート加工または接着され得る。
【0026】
化合物の含有量が低すぎると、十分な遮断が実現されない場合があり、光トランジスタが捕捉デバイスに適正な信号を送信しない場合があり、すなわち、カードが検出されないことになる。したがって、赤外線化合物は通常化合物内に総量で、約1ppmから80.0重量(%)、好ましくは、重量の約0.25%〜25.0%存在する。さらに、本発明は、材料のより優れた抵抗特性、美しさまたは耐久性を達成するために、例えば、UV吸収剤、反射剤、抗酸化剤、および/または光学的光沢剤等、他の材料が追加され得ると考える。
【0027】
特に、刺激後にある色から別の色への色位相を可能にする他の材料が追加され得る。染料、色素、蛍光染料、蛍光色素等の一般的に採用される材料が使用され得、ある色の状態から別の色の状態への可逆的な色の変化を促進する。このような材料は、初期の工程中に赤外線化合物に直接組み込まれ得るか、あるいは、赤外線化合物が処理された後に添加され得る。溶媒、水、グリコール等のような材料の使用は、材料のレオロジー特性を調節するために追加され得る。また、界面活性剤、消泡剤、離型剤、接着促進剤、平滑剤等の使用は、処理特性を改善するための処方に追加され得る。また、光学的光沢物質も、無色状態の白色度を保証するため、および赤外線化合物が配置される多数の基板の間のコントラストを低レベルに維持するために追加され得る。
【0028】
本発明の実施形態においては、IR遮断および/または吸収インクは、金融取引カードの1つ以上の層に印刷され得る。インクは、好ましくは、純粋の再結晶化赤外線フタロシアニン色素、無機赤外線蛍光体、および量子ドットエネルギー伝達化合物を含む。これらの材料は一緒に混合され、金融取引カードの1つ以上の層に印刷され得る。印刷方法を使用する層の分離に加えて、材料の組み合わせによって赤外線吸収が発生すること、および赤外線フタロシアニン色素、蛍光体、および量子ドット化合物の間でエネルギー伝達が発生することが可能になる。赤外線の吸収、反射および/または発光は、典型的には、1つの分子から別の分子へと伝達され、したがって、この結果、1つの分子から別の分子へのエネルギー伝達が発生し、この結果、特定の赤外線が吸収され、捕捉されるようになり、最終的に、金融取引カードを通過することが妨害される。
【0029】
理論によりとらわれることなく、励起エネルギーの非放射エネルギー伝達は、エネルギー供与体とエネルギー受容体との間で発生すると考えられる。この場合、フタロシアニン色素により吸収されるエネルギーは、無機赤外線蛍光体および量子ドット物質により捕捉されると考えられる。したがって、蛍光体により発光される可視放射は、量子ドット物質により抑えられる。さらに、多様な熱可塑性基板と組み合わせて、本明細書に説明されるインクの複数層を個別に印刷することによって、屈折率の差のために複屈折特性も提供され、さらに、本明細書に説明される金融取引カードのIR遮断および吸収能力を増加させる。
【0030】
上記のこのような非伝統的なエネルギーの伝達は、典型的には、励起分子が非励起分子と接触した場合に発生する2つ以上の分子の励起錯体である、「エキシプレックス」という概念で説明される。しかしながら、特筆すべき点として、本発明においては、エキシプレックスの形成は、供与体と受容体の電子スペクトルが分離している場合にでも発生すると考えられることである。約800nmから約1000nm以上の間の波長を有する赤外線放射を用いた光励起後、供与体は受容体と衝突し、受容体の自由軌道への電子移転が発生すると考えられる。次に電子はこの軌道から供与体の基底(非励起)状態に移転されるが、これは、光量子の発光をその時に伴わない。この過程は、印刷工程の溶媒蒸発およびインク結合剤への樹脂接着により、使用される材料が溶液から除去されることにより増幅される。この過程は、赤外線放射のはるかに強い吸収を提供する。材料が印刷後に樹脂結合し、ラミネート加工工程中にさらに結合することを可能にする適切な結合剤が選択される。
【0031】
本発明の純粋な再結晶フタロシアニン色素は、約700nmから約1000nmの間のような赤外線放射を吸収する能力を有するフタロシアニンを含み得る。好ましくは、これらのフタロシアニン色素は、アンチモン核錯体を含むが、ニッケル、プラチナ、パラジウム、またはフタロシアニンの赤外線放射吸収能力に貢献する他の任意の金属原子等の他の核金属錯体が利用され得る。さらに、ハロゲン官能基を含むフタロシアニン色素が利用され得る。好ましくは、蛍光体がハロゲン官能基として使用される。しかしながら、当業者には明らかである、他の任意のハロゲンが利用され得る。広範囲の赤外線吸収を提供するフタロシアニン色素が選択され得る。最も好ましくは、本発明のためにアンチモン核錯体フタロシアニン色素が使用される。
【0032】
好ましくは、850nmと1000nmで赤外線吸収ピークを有する1つ以上のフタロシアニン色素が利用される。好ましくは、2つ以上のフタロシアニン色素の組み合わせが使用される。さらに、本発明のフタロシアニン色素は、単独または組み合わせのいずれかで、約0.0001重量%から約1重量%の間の量が存在し得る。例示的なフタロシアニン色素は、NJ、NewarkのIndigo Scienceから入手され得、850nmの吸収ピークを有するIndigo5547aフタロシアニン色素、および1000nmの吸収ピークを有するIndigo1000aフタロシアニン色素を含む。
【0033】
本発明において利用される無機赤外線蛍光体は、Y、Yb、Ho、Gd、およびErドープ希土類酸化化合物を主成分とし得る。蛍光体は、好ましくは、単独または組み合わせのいずれかにおいて、Gd203、Er203、Y203、YF3を含み得る。蛍光体は、単一または組み合わせて利用され得、約0.01重量%から約5重量%の間の量で存在し得る。
【0034】
量子ドットエネルギー伝達ベース化合物は、約C9から約C27リガンドを有する量子ドット物質を含み、単一または組み合わせのいずれかで、約0.0002重量%から約7.0重量%の間の量で存在し得る。
【0035】
上記の材料は、結合剤、樹脂、触媒、および材料からインクを作製するために有用な他の化合物と混合され得る。好ましくは、2−エトキシ−エチルプロピオン酸塩、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、エチルアルコール、n−プロパノール、メチルエチルケトンを含む溶媒が利用され得る。溶媒は、約5重量%から約60重量%の間の量で存在し得る。本発明のために有用な樹脂は、VMCH、YMCA、ポリアミド、ポリエステル、リンシードアルキル樹脂、およびアクリルを含み、約8重量%から約35重量%の間の量で存在し得る。フタロシアニン色素の樹脂への結合を助けるシラン系触媒が使用され得る。特に、シラン系触媒は、フタロシアニン色素の分子を開環するために使用され得、分子が、例えば、アルカリ等の樹脂に結合することを助ける。好ましいシランタイプの触媒は、3−アミノ−プロピル・トリエトキシシランを含むが、本発明は記載のようにこれに限定されるべきではない。シラン系触媒は、約0.005重量%から約2.00重量%の間の量が存在し得る。最も好ましくは、シラン系触媒は、約500ppmで存在する。
【0036】
上記の材料が混合され、グラビア印刷、スクリーン、およびリソグラフィック変形により金融取引カードの1つ以上の層に印刷される。図7Jは、本明細書に説明される本発明に従う好ましい金融取引カードの切断図である。本発明のインクは、塩化ポリビニルの1つ以上の側面に配置され、磁気ストライプ、印刷されたおよび/または印刷されていないコア層、およびオーバーラミネート層と一緒にラミネート加工される。本発明によって、IR遮断および/または吸収型の金融取引カードを、接着剤および/または部分組立部品なしで容易に製造することが可能である。
【0037】
金融取引カードの層を位置合わせして配置後(またはこの変形のいくつかにおいて当業者には明らかである)、層は、圧力下で約300°Fから約310°Fで約13分間、積層ラミネート加工ユニットでラミネート加工されてから、約50°Fから約60°Fでさらに13分間、冷却される。得られるカードは、約30milで、優れた耐用性を有し、1.3を超える光密度を備える約800nmから1200nmの間の赤外線を十分に遮断する。
【0038】
印刷方法は、典型的には、上記にまとめた多様な処方の化合物に基づいて選択される。多様な印刷方法は、好ましくは、グラビア印刷、シルクスクリーン、リソグラフ工程を含み得るが、インクジェット、ロールコーティング、およびフレキソ印刷も利用され得る。本実施形態のインクおよび/または基板およびそれらの配置は、様々なタイプのコア基板およびそれらの厚さに対応するように変えることができる。さらに、好ましくは、印刷可能な基板としてPVCが利用される。しかしながら、インクと基板の間の屈折率に少なくともわずかな差が存在する場合は、PETG、ポリカーボネート、およびPET等のような他の基板が利用され得る。
【0039】
赤外線フタロシアニン色素、赤外線蛍光体、および量子ドット物質の組み合わせを参照しながら説明された上記の本発明のインクの好ましい実施例は、以下の実施例5−10で説明される。
【0040】
本発明のさらなる実施形態において、多様な材料のファイバが連続的に使用されるか、または単一のファイバが広範囲な材料に組み込まれ得る。本発明は、例えば、天然ファイバ、合成ファイバ、共重合体ファイバ、化学ファイバ、金属ファイバ等を考慮する。これらのファイバの実施例は、ナイロン、ポリエステル、綿、毛、絹、カゼインファイバ、蛋白ファイバ、アセチル化ステープル、エチルセルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、アセテート、ポリビニルアルコール、トリアセテート、ガラス、木、ロックウール、カーボン、無機ファイバ等であり得る。このようなファイバは、紙パルプ、プラスチックラベルストック、プラスチック材料等の他のタイプの材料に組み込みまたは混合され得る。このような材料は、単一で連続的に使用され得るか、または他の材料でモノ−またはジ−フィラメントとして使用され得る。
【0041】
さらに、プラスチックに組み込まれる赤外線材料は、例えば、ナイロン、アクリル、エポキシ樹脂、ポリエステル、ビスマレイミド、ポリアミド、ポリイミド、スチレン、シリコン、ビニル、ABS、ポリカーボネート、亜硝酸塩等の多様な材料と共に使用され得る。このように、ファイバ、プラスチック、フィルム等に組み込まれる化合物は、単一または複数工程の適用で適切な形で直接処理され得る。このような化合物は、単一の成分の形、またはその後通常の化合物の処理操作に類似の方式で処理されるマスターバッチの形で、処方に追加され得る。このような化合物の処理は、連続ミキサ、2本または3本ロールミル、押出、および/または他の分散溶解調合方法を含む。例示的な実施形態においては、糸は、織られることも織られないこともあり得るが、赤外線材料は、熱可塑性母剤に直接押し出され、またはファイバまたはプラスチックフィルムの形で連続的、または区分化され使用され得る糸の形に直接引かれ得る。
【0042】
例示的な赤外線化合物は、多様な組成のフィルム上に堆積され、ほとんどのカードの用途において使用され得る。さらに、本発明に従う赤外線化合物は、単独で使用、または0.001から50.0重量割合で、最も好ましくは、1.0から15.0重量割合の範囲で他の材料と混合され得る。
【0043】
特に好ましい赤外線化合物は、3M Company(Minneapolis、MN)により製造される多層高分子フィルムで、米国特許第5,882,774号の「Optical Film」、第6,045,894号の「Clear to Colored Security Film」、および第6,049,419号の「Multilayer Infrared Reflecting Optical Body」に説明されるが、これらの各々は参照により全体を本明細書に組み入れる。具体的には、多層高分子フィルムは、赤外線放射、すなわち、可視光よりも長い波長、特に約700nmの波長を有することが一般的に知られた電磁気放射を反射するように設計された、複屈折誘電性多層フィルムまたは等方性誘電性多層フィルムのいずれかである。
【0044】
本発明で利用される特に好ましいフィルムは、少なくとも2つの層を備え、高い屈折率を有する材料と低い屈折率を有する材料が交互に重なった層を有する誘電性光学フィルムである。フィルムは複屈折または等方性のいずれかにすることができるが、複屈折であることが好ましく、ブルースター角が非常に大きいか、またはポリマー層の接触面には存在しない多層スタックの作製を可能にするように設計される。この特徴により、p偏光の反射性が、入射角とともに徐々に減少するか、入射角に依存しないか、または入射角が垂線から遠ざかるとともに増加する多層ミラーおよび偏光板の作製が可能になる。この結果、多層フィルムは広帯域幅で高反射性を有する。
【0045】
このようなフィルムの特定の実施例は、1995年3月10日出願の米国特許出願番号第08/402,201号、および1998年1月13日出願の米国特許出願番号第09/006,601号の「Modified Copolyesters and Improved Multilayer Reflective Film」に説明される。さらに、米国特許第RE3,034,605号は、スペクトルの可視領域の色を阻止するさらに高い次元の高調波を阻止するフィルムを説明する。他の適切なフィルムは、米国特許第5,360,659号に説明されるフィルムを含み、ここでは、可視スペクトル(約380nmから約770nm)における反射を抑制する一方で、約770nmから約2000nmの間の赤外線波長領域において光を反射する、6層交互反復ユニットを有する2つの成分フィルムが説明される。
【0046】
多層高分子フィルムは、何百または何千の薄層を含むことができ、スタックに存在する層と同じ多くの材料を含み得る。製造を容易にするために、好ましい多層フィルムはいくつかの異なる材料だけを有する。好ましい多層フィルムは、上記のように、第1の屈折率を有する第1の高分子材料と、第1の物質の屈折率とは異なる第2の屈折率の第2の高分子材料とが交互に重なった層を含む。個別の層は、典型的には、約0.05μmから約0.45μmの厚さの状態である。好ましくは、光学フィルムの個別の層の数は、本発明では、他の数も考慮されるが、約80から約1000層の範囲であり得る。さらに、光学フィルムは、約0.5milの厚さから、約20.0milの厚さにすることができる。
【0047】
本発明で有用な多層フィルムは、結晶性ナフタレン・ジカルボン酸高分子と、コポリエステルまたはコポリカーボネート等の別の選択されたポリマーとが交互に重なった層を備え、各層の厚さは、約0.5μm未満であり得る。具体的には、ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)、ポリブチレン2,6−ナフタレート(PBN)またはポリエチレン・テレフタレート(PET)が、典型的には、使用される。隣接する組になった層(高い屈折率を有する1つの層と低い率の他層)は、好ましくは、反射されることが望ましい光の波長の2分の1である全光学的厚さを有する。しかしながら、当業者には明らかであるように、組になった層内の光学的厚さの他の比率が選択され得る。好ましい光学フィルムは、PETとポリメチルメタクリル樹脂(PMMA)とが交互に重なった層を有し、約0.5milほどの低いものであり得る。
【0048】
上記の光学フィルムは特に好ましいが、本発明においては、例えば、赤外線放射の透過を遮断するが、可視光を透過する等、1つの範囲または複数の範囲の波長の磁気放射を効果的に吸収、屈折、拡散、反射、または別様に遮断するが、別の1つの範囲または複数の波長の電磁気放射を透過する、他の任意のフィルムが利用され得、本発明は本明細書の説明に限定されるべきではない。当業者には明らかであるように、他の適切な光学フィルムが利用され得る。
【0049】
本発明は、ここで、以下の実施例、比較例、試験例および使用例を参照して詳細に説明される。本明細書の実施例、試験およびグラフに開示されるように、得られるインクは、光トランジスタの検出からIR放射を十分に遮断する。本発明は、これらに限定されないことを理解されたい。例えば、当業者は、実施例のいずれかにおいて、インクは、異なる光学効果または認証目的のために他の材料を含み得ることを理解するであろう。
【0050】
(実施例1)
本実施例は、Sericol,Inc.製造の約2%のEpolin VII−164色素および約98%のTech Mark Mixing Clearを含む。980.0gのTech Mark溶剤蒸発性スクリーンインクが高速分散機で混合される。混合中、20.0gのEpolight VII−164色素が完全に溶解される。得られるインクは、25℃で約3.2Paの粘性を有し、スクリーン工程を使用して印刷される。スクリーン工程は、透明なPVC13.0milフィルムの両側に305ポリマースクリーンを含む。
【0051】
(実施例2)
以下のインクは、約15.0ポンドのEpolight VII−164および約20.0ポンドのEpolight VI−30を約965ポンドのTM Mixing Clearに添加することにより作製された。混合物は約40分間分散された。得られる混合物は、80ライン/cmポリエステルスクリーンを使用して、PVCコアプラスチック上にコーティングされた。得られたコーティングは、780nmから1070nmの高い吸収力と低い可視吸収を示した。カードコア、磁気ストライプ、およびラミネートは組み立てられ、組立全体は、約280Fの温度でBurckle Stack Lamination Unitに入れられた。
【0052】
(実施例3)
約30.0gのEpolight VII−172の濃縮物が約700.0gの塩化ポリビニル樹脂と混合された。得られた混合物は、約260Fで押出成形、空気冷却、およびペレット化された。得られたペレットの約1.0ポンドが約99.0ポンドのPVCと混合された。Klockner Pentaplastは、約0.013インチのカレンダー印刷されたシートを提供した。カードは前記シートを使用して加工された。これらのカードは、約800nmから1000nmのIR領域で十分な吸収を示した。カードは、Sankyo ATM捕捉デバイスにより検出された。
【0053】
(実施例4)
十分な光学特性を備える多層PETプラスチックがカード製作に組み合わされた。PETプラスチックは、上記のように3M Co.(Minneapolis、MN)より提供された。得られたカードは、十分な光学性を示し、ATMデバイスがカードを検出した。
【0054】
(実施例5)
約37.0重量%の2−エトキシ−エチル−プロプリオネートを含むインクが、約27.0重量%のVMCHビニル樹脂と混合された。インクはさらに、Newark、NJのIndigo Scienceから取得された、約850nmの吸収ピークを有する、約0.00075重量%のIndigo5547aフタロシアニン色素と、これもIndigo Scienceから取得された、約1000nmの吸収ピークを有する、約0.0009重量%のIndigo1000aフタロシアニン色素との混合物を約0.0015重量%含んだ。Y−軸リガンドに沿ってC17を中心として非対称性を有する、約0.00003重量%の量子ドット物質が添加された。Y、Yb、TmおよびYt酸化を含む無機蛍光体が約0.005重量%添加された。約500ppmの3−アミノ−プロピル・トリエトキシシランが含まれた。得られたインクは、PVC基板の両面に溶剤−蒸発性スクリーンプレスでスクリーン印刷され、約305°Fで13分間ラミネート加工された。
【0055】
(実施例6)
上記の濃度のフタロシアニン色素、量子ドット物質および無機蛍光体を有するインクが、約16.0重量%のビニルVMCA樹脂および約88.0重量%のメチルエチルケトンと混合されて、グラビア印刷用のインクが作製された。混合物は、7.0milPVCの両側に印刷され、ラミネート加工されて、上記の実施例5のように金融取引カードを形成した。
【0056】
(実施例7)
上記の濃度のフタロシアニン色素、量子ドット物質および無機蛍光体を含むインクは、約18.0重量%のエチルアセテート、約14.0重量%のnプロピルアセテート、約7.0重量%のエチルアルコール、約3.0重量%のn−プロパノール、および約19.0重量%のメチルエチルケトン溶剤を含む約22.0重量%のニトロ−ポリアミド樹脂と混合され、ミルされた(milled)。混合物は、7.0milPVC層の両側にグラビア印刷され、ラミネート加工されて、上記の実施例5のように金融取引カードを形成した。
【0057】
(実施例8)
上記の濃度のフタロシアニン色素、量子ドット物質および無機蛍光体を含むインクは、約20.0重量%のアクリル樹脂および約34.0重量%のMEKと混合された。混合物は、7.0milPETGにグラビア印刷され、ラミネート加工されて、上記の実施例5のように金融取引カードを形成した。
【0058】
(実施例9)
上記の濃度のフタロシアニン色素、量子ドット物質および無機蛍光体を含むインクは、約98.0重量%のSerical TM−MXと混合されて、ポリエステル325−メッシュスクリーンを使用して7.0milPVCにスクリーン印刷された。
【0059】
(実施例10)
フタロシアニン色素、量子ドット物質および無機蛍光体の重量%にして約10倍の濃度を含むインクは、約18.0重量%のゲル状およびフリーフローのリンシードアルキル樹脂の混合物を使用して、3本ロールミルで混合され、印刷粘度に調整され、約17.0重量%の脱臭ケロシン(Mgisol52)を使用して結合された。混合物は、10milPVCの両側にリソグラフ印刷され、1晩乾燥して、上記の実施例5のようにラミネート加工された。
【0060】
(追加の実施例)
IRインク処方の追加の実施例が図13に開示される。図13のIRインクの実施例は、可視の緑色を示す。さらに、図14は、一定の波長範囲、透過濃度、ATMの可読性、およびISO基準等、これらの例示的なカードに関連する測定値を示す。図15は、例示的な緑色のカードの例示的な試験結果を示し、ここでは、カードのサンプルが多様な製造会社のATMに挿入された。試験の結果、例示的なカードのATM検出は有効であった。さらに、図16は、例示的な緑色のカードの透過濃度の実施例をパーセント透過対波長のグラフで示す(グラフはISOのカード規格も示す)。
【0061】
図17A〜17Iは、多様なカードの実施形態に対する例示的な試験結果を、パーセント透過対波長(nm)のグラフで示す。例えば、図17Aに関して、テキストのないPVC上のIRインクの品質保証が試験され、曲線は例示的なカードの4隅の1つを表す。次の曲線は、カード製造のある間隔後、例えば、約50枚のカードの後、選択された等の別のカードのサンプルを表す。図17Bは、様々なインク処方を有するカードを通過する光の様々な波長のパーセント透過を示し、各曲線は異なるインク処方を用いたカードを表す。
【0062】
図17C〜17Iは、フィルム、コーティング、カードの様々なスペクトルを表し、カード作製に使用された材料が、実施形態に説明されたカードを作製するために、十分な量の赤外線放射を遮断し、可視光を透過する能力を示す。遮断の機構は、電磁気スペクトルの放射を吸収、反射、拡散、分散、または電磁スペクトルの放射を遮断する他の方法であり得る。
【0063】
IRインクに加えて、光学的に認識可能な化合物は、代替として、赤外線を遮断(吸収または反射)するが、他の波長の光を全て透過する、フィルムまたはホットミラーであり得る。例示的な実施形態において、フィルムは、表シート10と裏シート12との間にセットされる。図4は、本発明の例示的実施形態に従う例示的なIRフィルムの反射および透過に対するエネルギー対波長のグラフである。図4は、可視光はフィルムを通過する一方で、赤外線はこれより高い波長で遮断され、赤外線のかなりの量が反射されることを示す。
【0064】
光学的に認識可能な化合物は、光トランジスタ、CCD等による検出を阻止することができるプラスチック製品、フィルム、製品、文書、または他の物品に組み込まれ得る。材料は、研削することによって、または液体状、ペースト状、または他のタイプの媒体に分散または堆積した材料の使用によって、フィルム、プラスチック、印刷インク、コーティング、または他の適用媒体を用いて、取引カードに組み込まれ得る。インクにひっかき傷が付く等、インクに対する環境的破損を最小限に抑えるために、インクは、好ましくは、ラミネート加工下のプラスチックシートに直接適用される(以下のステップ170で説明)。さらに、赤外線インクは、プラスチックシートの内側または外側表面に適用され得る。
【0065】
例示的な実施形態においては、光学的に認識可能な化合物を物品に組み込んでも、別の印刷ユニット、既存の工程機器または追加の操作ステップに対する変更を必要としない場合がある。特に、取引カードのような物品の加工は、いずれにしても着色剤を組み込む既存の機器を利用するので、光学的に認識可能な化合物を既存の着色剤に適用しても、余分な機器またはステップは工程に追加されない。
【0066】
さらなる例示的な実施形態においては、光学的に認識可能な化合物は、機械により検出可能な光を遮断する。より具体的には、機械は、1つまたは複数の波長で赤外線干渉によりカードの存在を適切に検出する。例示的な実施形態においては、物質の検出は、物質が適切な器具からの不可視赤外線放射により照射されると、視覚効果を生成することを含み得、このような放射が赤外線物質に接触すると、色のついた光等の視覚効果が見られ得る。代替として、物質は、物質の存在を示す遠隔検出器により検出され得る。物質の検出または認証は、読み取りデバイスの刺激波長よりも上または下で発生する。このように、光学的に認識可能な物質が検出されると、検出デバイスは、次に、ユーザに有効な識別信号を提供することができるが、これは、検出デバイス上または近辺に存在することが好ましい。
【0067】
例示的な実施形態においては、IR物質の検出は、ATM機械のセンサを誘発する。特に、図8に関して、本発明はさらに高い割合の可視光(約400nmから700nmまで)の通過を可能にし、カードが半透明な性質を見せることを可能にするが、一方で一定の光(約700nm以上)の遮断を可能にして、ATMの光トランジスタが、カードが運搬機構に挿入されたことを検出することを可能にする。上記のように、例示的なATM感知デバイスは、IRED、フィルタ、および投光器を含む。
【0068】
ATM機械のセンサを誘発することに加えて、半透明なカード5は、任意の磁気ストライプまたはスマートカードリーダで使用され得る。リーダシステムは、カードリーダ/ライタ、店舗販売時点情報管理端末、ATMまたは他の任意の受入デバイスを含むことができる。例示的な実施形態において、カード5は、カードがリーダに挿入されると、カードの存在を検出するだけでなく、カード5の透明部分を照射する、リーダと併せて使用される。照射源は、白熱またはソリッドステートの光源(赤外線発光ダイオードまたはレーザー)のいずれかであり得る。操作中、カードが受入デバイスに挿入されると、カードの端が照射組立部を押下する(または、スイッチを活性化、ビームを遮断等)。カードの用途に応じて、照射源は、受入デバイスまたは外部ソフトウェアの制御下にすることができる。したがって、照射源は、外部ソフトウェアにより命令されると、特定の色を点滅または表示することができる。これに加えて、カードの構造に応じて、照射源は、セキュリティまたは製品強化のために有用な埋め込まれた設計を励起させるために使用され得る。
【0069】
上記のように、光学的に認識可能な化合物は、任意のタイプの物品に組み込まれ得る。例示的な物品は、それ自体、任意の数の多数の特徴を含むことができる取引カードである。例示的な実施形態においては、本発明は、一般的に、不透明、透明または半透明なプラスチック層10、12を含むベースと、テキスト30、32、34、ロゴ50、エンボス加工された文字35、磁気ストライプ42、署名欄45、ホログラフィックホイル15、ICチップ20および不透明階調度25等のカード5に付けられる複数の特徴と、を備えた取引カード5である(図1および2)。
【0070】
また、カード5は、上記のように、透明または半透明な取引カード5がATM等のカード読み取りデバイスにより認識されることを可能にするための、および/または透明な取引カード5がカード加工中に認識され数えられることを可能にするための光学的に認識可能な化合物を含む。取引カード5上の光学的に認識可能な化合物は、赤外線を遮断(吸収または反射)するが、他の波長の光を透過する、実質的に不可視または半透明の赤外線インク、ミラーまたはフィルムである(図4を参照)。カード5は、クレジット、支払、デビット、アクセス、識別、情報保管、電子商取引、および/または他の機能のために使用され得る。
【0071】
図3に関して、本発明の例示的な実施形態に従い、表と裏の面を有するカード5を製造するために、例えば、透明なコアPVC等のプラスチック基板から成る表シート10と裏シート12(図1および2)が作製される(ステップ100)。当業者は、カード5のシート10および12が、例えば、プラスチック、ガラス、アクリル、および/またはそれらの任意の組み合わせ等、任意の適切な透明、半透明および/または不透明な材料にすることができることを理解するであろう。各シート10、12は、実質的に同一で、好ましくは、約3’×4’(622mm×548mm)および約0.005〜0.350インチ、またはより好ましくは0.01〜0.15インチまたは13.5milの厚さである。
【0072】
図7Aを参照すると、個別のカードシートの製造は、フィルムの直接の配置(9層)または部分組立品(5層)の使用を含む。例示的な部分組立品は、熱可塑性または熱硬化性の接着剤に適用される室温の結合接着剤を備える5層のフィルムから成る。得られるカードは、(カード表からカード裏へ向かって)ホログラフィックホイル、エンボス加工面、チップ、および他の印を表面に有する2.0milの外側ラミネート(PVC、塩化ポリビニル)、外側(カード表)に印刷面がある9.0milの印刷済みPVCコア、2.0milのPVC接着剤、D&K(525 Grossen、Elk Grove Village、IL 60007)により製造された1.7milのPET GS(押出コーティングされたポリエチレン・テレフタレート−糊付け可能/スタンプ可能)、2.0milのPET IR遮断フィルム、1.7milのPET GS、2.0milのPET接着剤、外側(カード裏)に印刷面がある9.0milの印刷済みPVCコア、署名欄、適用された磁気ストライプおよび他の印を有する2.0milの外側裏ラミネートを備える。最適には、PET IR遮断フィルムは、層の中間に加工されて、カードをバランスし、得られるカード製品のそりを最小限に抑える。他の例示的な実施形態の層は、図7B〜7Hに示される。
【0073】
特に、図7Gは、個別の取引カードの代替実施形態を示す。図7Aに関するように、カードシートは、図7Hに説明されるように作製され得る。各カードシートは、9層のフィルム、または5層の組立部品の使用を含み得る。得られるカードは、(カードの表から裏に向かって)ホログラフィックホイル、エンボス加工表面、チップおよび/または他の印を表面に有する約2.0milの外側ラミネート(PVC)、外側(カード表)に印刷面がある約9.0milの印刷済みPVCコア、約1.0milの配向PVC、約3milの接着剤(1milのPETの各側に1milの接着剤)、上記のような約2.0milのPET IR遮断フィルム、約3.0milの接着剤(1milのPETの各側に1milの接着剤)、約1.0milの配向PVC、外側(カード裏)に印刷面がある約9.0milの印刷済みPVCコア、および署名欄、適用された磁気ストライプ、および/または当業者には明らかな他の任意の印を備える、約2.0milの外側のPVCラミネートを備える。図7Aに説明されたカードに関するように、PET IR遮断フィルムは、層の中間に加工されて、カードを均衡化し、得られるカード製品のそりを最小限に抑える。
【0074】
図7Gを参照しながら説明した上記の接着層(約3.0milの接着剤)は、2.0milのPET IR遮断フィルムの両側に堆積され得るが、好ましくは、ポリエステルの第1の層の両側に堆積されたポリエステルベースの接着剤の第2および第3の層を有するポリエステルの第1の層(1.0milPET)を備える。ポリエステルベースの接着層は、それぞれ約1.0milにすることができる。好ましくは、ポリエステルベースの接着層は、ポリエステルおよびPVCへの優れた接着性を示し、3.0milの接着剤の片側上のPET IR遮断フィルム、およびもう片側の1.0milの配向PVC層の両方に結合する。具体的には、ポリエステルベースの接着剤として使用され得る好ましい材料は、Bemis Associates Inc.の5250Adhesive Filmである。代替として、ポリエステルベースの接着剤として使用され得る別の好ましい材料は、Transilwrap Company,Inc.のTrans−Kote(登録商標)Core Stock KRTYである。
【0075】
9層のフィルムおよび/または5層の組立部品の使用を含む図7Gのカードシートは、上記のように、加熱および加圧を使用する当業者に周知のラミネート加工工程によりまとめて作製され得る。図7Hに説明されるようにカードを作製する好ましい方法は、2段階のラミネート加工サイクルを利用し、第1の加熱ステップは、約24分間、約300°Fの温度で約170psiの圧力でカードの層をまとめてラミネート加工するステップを含む。第2のステップは、約16分間、約57°Fに温度を下げ、約400psiの圧力で層をまとめてラミネート加工するステップを含む。当然ながら、カードの作製の他の方法が利用され得る。
【0076】
当然ながら、1つ以上の範囲の電磁放射の光を遮断する一方で、別の範囲の電磁放射がその中を透過することを可能にするための光学フィルムをその中に組み込む(上記のように)、他の多層フィルムが利用され得る。多層フィルムは、本明細書に定義されるような個別の取引カードを形成する任意の材料および厚さの層を任意の順序で有することができる。
【0077】
図7Iは、本発明に従う、別の例示的なカードシートの作製を示す。特に、図7Iは、図7Aおよび7Gを参照しながら上記に説明したように、その中に組み込まれたIR遮断光学フィルムを有する別の透明または半透明のカードを示す。以下に定義されるカードシートの作製は、共押出/ラミネート加工工程により行われ得る。具体的には、カードシートは、上記のように、PET IR遮断光学フィルムの層(約2.0mil)を備える。EVAベースの材料(約2.0mil)は、IR遮断フィルムの各側に共押出成形されて3層の組立部品を形成することができる。3層の組立部品は、次に、印刷されたPVC層(各々約11mil)の各側にラミネート加工され得る。カードはさらに、印刷済みPVC層の側面に堆積されたPVCラミネート層(各々約2.0mil)を有し、したがって、カードの外層を形成する。
【0078】
PET IR遮断フィルムに共押出成形されるEVAベースの材料として利用され得る好ましい材料は、酸修飾EVAポリマーである。酸修飾EVAポリマーは、好ましくは、Bynel(登録商標)Series 1100樹脂であり得る。典型的には、Bynel(登録商標)Series 1100樹脂は、ペレット形で入手可能で、ポリエチレン樹脂を処理するために設計された従来の押出成形および共押出成形機器において使用される。Bynel(登録商標)Series 1100樹脂は、約238℃の推奨最高溶解温度を有する。しかしながら、接着の結果が不適切な場合、溶解温度を下げてもよい。カードの残りの層は、上記のように、またはカードを形成する他の任意のラミネート加工工程により、カードにラミネート加工され得る。
【0079】
さらに、図7Hは、本発明に従う、別の例示的なカードシートの作製を示す。特に、図7Hは、その中に組み込まれたIR遮断インクを有する透明または半透明の多層取引カードを示す。IR遮断インクは、取引カード中を透過しないようにIR放射を遮断する特徴を有する任意のインクにすることができる。上記の実施例1および2は、使用され得る2つの可能なインク化合物を説明する。当然ながら、他のインクも使用され得、本発明は本明細書の説明に限定されるべきではない。
【0080】
図7Hのカードシートは、(カードの表から裏に向かって)ホログラフィックホイル、エンボス加工された表面、チップ、および/または他の印を表面に有する約2.0milのPVCラミネートの外層、約13.0milの印刷済みPVC、約2.0milのPVCコア、約13.0milの印刷済みPVC、および署名欄、適用された磁気ストライプおよび/または当業者には明らかな他の任意の印を備える、約2.0milのPVCラミネートの外層を備えることができる。PVCコア層(以下、図7Hに従い、約2.0milの厚さである)は、任意選択にしてもよく、より厚いカードが所望される場合に含まれ得ることに留意されたい。当然ながら、PVCコア層は、任意の所望される厚さを有する取引カードを作製するために任意の厚さであり得る。これらのカードは、上記の実施例1および2を参照しながら上記で説明した印刷方法に従い、層の表面全体にIR遮断インクを有するコアPVC層上に印刷され得る。当然ながら、本発明に従う取引カードにおいては、他の任意の印刷方法またはIR遮断インクが利用され得る。
【0081】
カードシートが上記の方法に従い、または他の任意の方法によりラミネート加工された後、シートは、任意の必要な硬化、貫通、加熱、洗浄および/または端部のシーリングを含む周知のスタンピング工程により個別のカードに切断される。各個別の取引カードは約2.5”×3.0”で、したがって、取引カードの形状およびサイズのISO規格に準拠する。
【0082】
さらに図11は、層の数、材料、層の厚さ(mil単位)、材料の入手元/製造元、結合強度データに関する備考、全体の厚さ(mil単位)等、カード作製のための層/シートの例示的な実施形態を詳細に示す。これに加えて、図12Aでは、多様なフィルムの結合に対するフィルム結合強度が、強度(ポンド/インチ)対フィルム結合のグラフに示される。図12Bでは、多様なフィルムの接合面に対するフィルム接合面での結合強度が、強度(ポンド/インチ)対フィルム接合面のグラフに示される。
【0083】
好ましくは、表シート10を裏シート12の上に接着することにより、シートを最終的に組み合わせた後(ステップ160)、取引カード5全体の厚さは、約0.032インチ(32mil)で、これは、スマートカードの厚さのISO規格内である。ICチップ20は、最終的に基板の表面に埋め込まれ(ステップ195)、チップ20の表面は、表シート10の外側面と同一の外延を持つので、ICチップ20は、カード5全体の厚さに影響を与えない。さらに、約3’×4’のシートは、シートから切断される個別のカード5の境界を定義するマーキングを含む。各例示的なシートからは50枚以上の取引カード(典型的には56枚のカード)が得られ、各カード5は、ISOカードのサイズ規格、すなわち、約2”×3.5”内である。
【0084】
一般的に、IRフィルムを有するカード5の作製の例示的工程は、最適な可視および赤外線特性を有するPETフィルムの化学蒸着を含む(ステップ105)。化学蒸着は、Magnetron Companyにより製造されるMagnetron Machineにより実施される。図10を参照すると、工程は、3つのコーティングゾーンのあるロール型化学蒸着スパッタリングシステムを組み込む。Magnetronロール型蒸着機械は、化学蒸着を使用して、Ag、Au、インジウム酸化物を含むバッチを光学用ポリエチレン・テレフタレートに蒸着する。Ag/Au/インジウム層は各々約100オングストロームで、低いほうの波長反射に応じて、約3層から5層存在する。真空コーティング、ソーラーコーティングおよびMagnetronスパッタリングに関する詳細は、例えば、「Handbook of Optical Properties,VolumeI,Thin Films for Optical Coatings」Rolf HummelおよびKarl H Guenther編、1995、CRC Press,Inc.を参照できるが、その全体を参照により組み入れる。
【0085】
次に、フィルムの表面張力を削減するために、プラズマまたはフレーム処理がPETフィルムに適用される(ステップ110)。層の堆積および組立中、IRフィルムは、IR遮断スペクトルを最適化するように監視される。したがって、フィルムは、次に、PETフィルムの可視および赤外線特性を試験するために、分光光度計を使用して規格に対して試験される(ステップ115)。図9を参照すると、真空蒸着インラインロールコーティング操作のための多様な光学コンポーネントを備える反射および透過モニタが利用されて、IRフィルムを監視する。インライン分光高度計の監視は、蒸着工程の一部である。全体の実行中、多様な波長での透過が監視される。タック接着剤がPET GS(ポリエチレン・テレフタレート−糊付け可能/スタンプ可能)に適用され(ステップ120)、加圧ラミネートがPET IR遮断フィルムの酸化インジウムの金属面に適用される(ステップ125)。次に、タック接着剤がIR遮断フィルムのPET側に適用され(ステップ130)、加圧ラミネートがPET GSに適用される(ステップ135)。例示的なラミネート加工条件は、22分間、280F度および600psiで、その後、約18分間高圧下で冷却される。熱シール接着は、PET GSの両外側に適用されるか、代替として、PVC接着剤がPET GSの両外側に適用される(ステップ140)。
【0086】
例示的な実施形態においては、特定の化合物がシート10および12の表面に印刷される。当業者は、テキスト30、32、34、ロゴ50、光学的に認識可能なインク、および不透明階調度25の印刷が、例えば、表10面、裏12面、いずれかの面の内側または外側の表面、ベース材料の2枚のシートの間、および/またはそれらの組み合わせ等、カード5の任意の表面に適用され得ることを理解するであろう。さらに、任意の適切な印刷、記録、刻印、マーキング等の方法は本発明の範囲内である。
【0087】
不透明階調度25と光学的に認識可能なインクは、シルクスクリーン印刷工程によりシートに印刷される(ステップ150)。不透明階調度25に関して、例示的な階調度は、カード5の上部で密度が高く、カード5の下部に達するにつれて密度が徐々に低くなる、または透明になるインク点刻を有するシルバーパールインク階調を備える。当業者は、不透明階調度25が、階調度25全体で任意の密度であり得、階調度25はカード5の面に全体の任意の方向に横断することができることを理解するであろう。不透明階調度25は、カード5に類似の階調度25を提供することができる任意の材料により形成され得る。各カード5の例示的なインク階調度25は、Pantoneカラー等、プラスチック上に印刷するために適切に構成された周知の印刷インクを使用して印刷される。例示的な実施形態においては、点刻25のために使用されるインクは、シルバーパールインクで、各プラスチックシートの外側表面に適用される。インク階調度25は、不透明のさらに濃いインク範囲を提供するシルクスクリーン印刷を使用して、またはハーフトーン画像をより精密に提供するオフセット印刷工程を使用して、シートの各々の表面に印刷される。「American Express」という語句は、類似のスクリーン工程を使用してPantone8482で印刷される。
【0088】
シルクスクリーン印刷に関してさらに特定すると、所望の階調度25を含むアートワークは、シートから作製される個別のカード5の枚数に一致する回数複写される。複写されたアートワークは、次に、当該分野において周知の任意の適切なフォトリソグラフィ工程によりスクリーンに適切に適用され、次に、スクリーンは現像される。スクリーンはシート上に配置され、インクはスクリーンの表面に適切に洗浄される。スクリーンの露出した部分は、インクがスクリーンを通過して、アートワークのパターンでシート上に載ることを可能にする。複数の色が所望される場合、この工程は各色で繰り返され得る。さらに、他のセキュリティ特徴は、任意選択的に、カード5にシルク印刷される。例えば、不可視の紫外線のクレジットカードロゴ(ブラックライトで可視)が、オフセットおよびシルクスクリーン工程を使用して、Pantoneの307と297の二色で印刷される。
【0089】
テキスト30、32、34およびロゴ50は、インクの範囲は狭くなるが、より明確なテキストを提供するオフセット印刷工程(ステップ155)等、公知の印刷工程により各シートの外側表面に印刷される。オフセット印刷に関してより特定すると、アートワークは、金属板に複写され、金属板は、1回に4色まで印刷可能であるオフセット印刷機械に装填される。オフセット印刷されるテキストは、例えば、会社名30、コピーライト告知33、バッチコード番号34、「有効」日付32、連絡先電話番号、法規上の注意(非表示)等を含む。例示的なオフセットテキストは、不透明な白いインクの4DBC、または、UV AMX Grayと呼ばれるPantone Cool Gray11の特殊混合で印刷される。
【0090】
得られるカード5は透明であり得るため、テキストはカード5の両側から見ることができる。このような場合、テキストが1枚のシートだけに印刷されると、テキストは、カード5の反対側からテキストを見る場合に見難い場合がある(すなわち、プラスチック基板を「通して」テキストを見る)。テキストの見難さを最小限にするために、表シート10は、標準形式のテキストによって外側表面に印刷され、裏シート12は、同じテキストが外側表面に印刷されるが、テキストは「逆」形式である。裏12のテキストは、表面10のテキストに合わせて配置され、テキストの整列は、フルシートのカード5の外周マーキングにより支援される。カード5の化合物(磁気ストライプ40、チップ20等)により見難くなる場合がある一定のテキストまたはデザインは、1枚のシートだけに印刷され得る。例えば、例示的な実施形態においては、会社のロゴ50は、1枚のシートだけに印刷され、ICチップ20の後ろ側に配置されるので、表10から見ると隠されて、裏12から見るとICチップ20の少なくとも一部分を隠すことになる。当業者は、任意のオフセット印刷がシートの外側または内側表面に生じ得ることを理解するであろう。
【0091】
カード5の裏12に適用されるラミネート加工シート(ステップ170)は、好ましくは、一連の磁気ストライプ40を含み、磁気ストライプ40の各々は、個別のカード5に対応する。磁気ストライプ40は、カード5の長さに沿って伸び、裏12の表面に適用され、カード5の表は、ISOの磁気ストライプ40のサイズと位置の規格に準じる。しかしながら、磁気ストライプ40は、任意の幅、長さ、形状で、カード5の任意の場所に配置され得る。記録された情報を含むトラックが2つある磁気ストライプ40は、例えば、大日本印刷株式会社(〒162−8001 東京都新宿区市谷加賀町1−1−1、日本、電話:東京03−3266−2111)から入手できる。例示的な実施例においては、磁気ストライプは、ローリング高温金型を使用して、適切な圧力で低温のピール磁気ストライプを外側のラミネートロールに結合するテープ積層機械を使用して、外側のラミネートに適用される。ロールは、次に、カード層が組み立てられる前にテープ積層の出力時点でシートに切断され、ストライプは、ラミネート加工工程中にカードに結合される。
【0092】
現在使用されている先行技術の磁気ストライプ40は黒であるが、特定の例示的な実施例においては、本発明の磁気ストライプ40は、シルバー磁気ストライプ40である。例示的なシルバー磁気ストライプ40は、2750エルステッドであって、ISO規格にも準拠する。さらに、シルバー磁気ストライプ40は、磁気ストライプ40上の印刷を含む。磁気ストライプ40上の印刷は、任意の適切なテキスト、ロゴ50、ホログラムホイル15等を含むことができる。しかしながら、例示的な実施形態においては、印刷は、インターネットウェブサイトアドレスのテキスト表示を含む。大日本印刷株式会社(大日本印刷株式会社に関する詳細情報は、www.dnp.co.jpから入手可能)は、例えば、カード表面に接触しない感熱ヘッドを有して、昇華性染料再転写技術を利用する、大日本印刷株式会社のCPX10000カード印刷機を使用して、磁気ストライプ上にホログラムまたはテキストを印刷する。カード印刷機は、二重転写技術を利用して、感熱ヘッドにより画像を透明なフィルム上に印刷してから、加熱ローラーにより、印刷された画像を実際のカード媒体に再転写する。磁気ストライプ40の表面上に情報を印刷することは、例えば、American banknote Holographies(399 Executive Blvd、Elmsford、NY 10523、(914)593−2355)により実施される。磁気ストライプ40の表面上の印刷に関する詳細情報は、例えば、1987年8月4日にNew YorkのUnited States Banknote Companyに発行された米国特許第4,689,795号を参照でき、その内容全体を参照により本明細書に組み入れる。
【0093】
所望の印刷が完了して磁気ストライプが適用された後、表10と裏12のシートが合わせられ(ステップ160)、シートは、好ましくは、適切な接着剤等の任意の適切な接着工程により合わせて接着される。当業者は、2枚のシートに印刷し、2枚のシートを組み合わせる代わりに、単一のプラスチックカード5が使用され得、カード5の片方に印刷されてから、同じカード5は反対側に印刷するために印刷機に再び送られることを理解するであろう。本発明においては、シートを合わせて接着した後、プラスチックシートとほぼ同じ寸法、すなわち、3’×4’のラミネートシートが、カード5の表10と裏12に適用される。組み合わされたプラスチックシートの表10と裏12にラミネートが適用された後(ステップ170)、カード5の層は、適切な圧力で圧縮され、約300度で、90〜700psiの間の圧力で、単一のカード5デバイスを作製する適切な滞留時間を経て、適切に圧縮される。前述のカード加工は、例えば、Oberthur Card Systems(15 James Hance Court、Exton、Pennsylvania)により完了され得る。
【0094】
カードは、熱と圧力を使用して、層を合わせてラミネート加工することにより、作製され得る。例えば、取引カードは、接着剤、プラテンラミネート加工、またはカードを合わせてラミネート加工する他のラミネート加工工程を使用してロール式ラミネート加工される場合がある。工程温度は、多層の取引カードの層に使用される材料(PETG、ポリカーボネート等の材料)に応じて、約200°Fから約500°Fの範囲にできる。PVCの場合、温度は、一般的に、約270°Fから約320°Fの範囲である。圧力は、約50psiから約600psiの範囲にできる。本発明の取引カードをラミネート加工するための工程時間は、数秒(例えば、接着剤によりロール式ラミネート加工の場合は1〜10秒)から、多層の取引カードの材料としてポリカーボネートが使用される場合の約1時間までの範囲にできる。PVC材料の場合、約20分から30分の加熱サイクルが使用され得る。PVC材料の場合、冷却サイクルは約15分から約25分まで続く場合がある。
【0095】
例示的な実施形態、特に、例えば、図7Hを参照して説明されたカードのようなIRインクカードにおいては、カード層は、熱および圧力を使用するラミネート加工工程で合わせて結合される。加熱プレス段階中、プレスは約300F度まで加熱され、圧力は、約1000psiまで上昇し、約90秒間維持される。圧力は、次に、約30秒間かけて約350psiまで上昇し、同じ温度、すなわち、300F度で16分間維持される。次に、カードは、約57F度の冷却プレスに移動する。圧力は約400psiまで上昇し、約57F度の冷却水がプレートを循環する中で、16分間維持される。そして、カードが冷却プレスから出てくる。
【0096】
図1および2を参照すると、ラミネート加工が適用された後、署名欄がカード5の裏面12に適用され(ステップ175)、ホログラフィックホイル15がカード5の表10に適用される(ステップ190)。署名欄45に関して、先行技術の署名欄は、カード5の裏12へ紙様テープを接着することにより形成されるが、本発明の例示的実施形態においては、署名欄45は、約2”×3/8”の大きさの半透明欄で、ホットスタンプ工程を使用してカードに適用される。販売業者による署名欄45の署名検証は、販売業者がカード5の不正使用に対する金融債務を避けるために、カード5の発行人の要件であることが多い。このように、取引カード5の半透明の署名欄45によって、販売員がカード5の表から署名欄45を少なくとも部分的に見ることを可能にするだけでなく、署名欄が見えることによって、販売員がカード5をひっくり返して、署名された受領書を使用して署名の信憑性を検証することを促進することにもなる。
【0097】
カードシートがラミネート加工された後、シートは、任意の必要な硬化、貫通、加熱、洗浄、および/または端部のシーリングを含む既知のスタンピング工程により、個別のカード5に切断される(ステップ180)。個別の取引カード5は、約3”×4”で、取引カード5の形状およびサイズに対するISO規格に準拠する。例示的な実施形態においては、56枚のカード分のラミネート加工されたシートは、裁断機上で半分に適切に切断されて、28枚のカード分の半シートが2枚得られる。半シートは、機械の光学装置に可視の既定の整列印を使用して、シートを金型(xおよびy軸)に位置合わせする、カードパンチ機に入れられる。半シートは、次に、7段階のパンチに送られる。具体的には、固定距離送り後、光学センサが探索して、送りが予め印刷されていた整列印で停止し、機械が1度に1列の4枚のカードをパンチする。標準工程に従い打ち抜きおよび仕上げ後、ホログラフィックホイル15の適用前に、IR反射特性がライン中に検証される(ステップ185)。
【0098】
例示的なホログラフィックホイルの適用に関して、ホログラフィックホイル15は、任意の適切な方法によりカード5に接着される(ステップ190)。例示的な実施形態においては、約1−1/4”×1−1/4”で角が丸く、接触表面全体に0.0007”のクラウンを備える実質的に正方形のスチール製金型が、ホログラフィックホイル15の大型シートから個別のホイル15をスタンプする。金型は、ホットスタンプ機械の一部で、金型は、ホイル15のシート全体に送られ、特定の画像の周囲でホイル15を切断し、直後にホイル15を加熱してラミネート加工された後のカード5の表10表面に適用する。金型の温度は、約300F°+/−10F°の範囲である。滞留時間は、約1/2秒で、適用速度は、個別のホットスタンプコーティング機に基づいて設定される。しかしながら、前述の温度および滞留は、1分間に100枚のカードの速度に対して規定される。Stephen P. McGrewによる米国特許第4,206,965号、4,421,380号、4,589,686号および4,717,221号は、ホログラフィック画像のホットスタンピングに関する詳細を提供し、参照により組み入れる。
【0099】
ホログラフィックホイル15に関して、ホイル15は、任意の色で、任意のホログラムを含むことができ、カード5の任意の場所に適用され得、任意のサイズ、形状および厚さに切断され得る。例示的な実施形態において、ホログラフィックホイル15のシートは、好ましくは、下部にはグレーの接着剤と、上部には、各々約1−1/4”×1―1/4”のホログラフィック画像を多数含む青い、鏡様の3次元ホログラフィク表面を含む。例示的なホログラムは、360度の可視性を含み、白光では虹色を回折する。フルカラーのホログラムは、例えば、American Banknote Holographiesにより作製される。
【0100】
個別のホイル15の隅は、ホイル15がカード5の表面から剥がれ落ちる可能性を最小限に抑えるために丸いことが好ましい。さらに、カードに適用されると、青いホログラフィック表面は、カード5から外側に向き、一方でグレーの接着側は、カード5の表面に適用される。ホログラフィックホイル15の上部表面は、反射ホログラフィー、透過ホログラフィー、化学洗浄、ミラー化合物の組み込み、および/またはそれらの任意の組み合わせ等、任意の適切な方法により作製され得る。ホログラフィックホイル15は、例えば、American Banknote Holographies、Inc.(1448 County Line Road、Huntingdon Valley、PA、19006)により製造され得る。
【0101】
例示的なホログラフィックホイルは多様な層を含む。当業者は、類似のホログラフィック効果を提供する、これらの層の任意の順序、組み合わせ、および/または組成は依然として本発明の範囲内であることを理解するであろう。例示的な実施形態においては、ホログラフィック転写ホイル構造は、90ゲージのポリエステル担体、剥離コート、エンボス加工可能樹脂、真空蒸着アルミニウム、タイコート、およびサイズコートの層を含む。転写工程の間、エンボス加工可能樹脂、真空蒸着アルミニウム、タイコート、およびサイズコート層が基板に堆積される。
【0102】
例示的な実施形態において、ホログラフィックホイル15のシートは、457.9nmで、20ワットのArgonレーザーからポジ感光乳剤(Shiplyフォトレジストを使用するスピンコートされた板)への収束光の2つ以上の光線、すなわち、物体波と参照波を干渉することにより、適切に作製される透過ホログラムである。システムは、例えば、303A現像剤を使用して、光のビームを干渉することにより作製される干渉パターンを記録する。物体波は、好ましくは、3次元ミラーである、記録される物体から反射される、または物体を透過するコヒーレント光線である。参照波は、好ましくは、球状波面10を有するコヒーレントの平行光線である。
【0103】
ホログラフィックホイル15を取引カード5に組み込むことによって、ホログラムが深度および色変化の錯覚を有するかどうかを観察することにより、普通の白光で取引カードの信憑性を判断する信頼性のさらに高い方法が提供される。したがって、ホログラムが通常の白光で見られることを可能にするために、ホログラムが取引カード5に記録される場合、記録される画像は、基板の表面近くに配置される。さらに、ホログラムは、ホログラフィックホイル15のような金属化担体上にエンボス加工されるか、または、代替として、ホログラムは、透明なプラスチック材料上に直接成形され得る。透明なプラスチック材料上に形成される場合、ホログラムは、金属またはインク等、エンボス加工されるホログラムの上に可視物質を堆積することにより、可視になる。クレジットカード5上のホログラムの製作またはホログラフィックホイル15の製作に関する詳細は、例えば、1987年8月4日にNew YorkのUnited States Banknote Companyに発行された米国特許第4,684、795号、または、American Banknote Holographies,Inc.のウェブサイト、www.abnh.comで入手可能で、どちらも参照により本明細書に組み入れる。
【0104】
例示的な実施形態において、ホログラフィックホイルをビニル製のクレジットカードに適用することは、金属化クレジットカードホイルを使用することにより達成される。ホイルは、1.0mil(92ゲージ)のポリエステル担体上のサイズが決定されていない、金属化された、エンボス加工可能で、磨耗および化学耐性のあるホットスタンピングホイルである。例示的な材料の全ては、原材料サプライヤーカラーコード#563(青)で薄い色が付けられている。ホイルは、アルミニウムで真空金属化され、約1.60から2.00の光学的密度範囲を有する。最適なホイルは、可視の不具合および粒子物体のない状態である。ホイルは、300F、80psi、1.0秒の滞留時間、45度の角度で担体の除去が0.1秒遅延する金型面を有する放出試験ユニットに基づいて、約0から7グラムの放出特性を含む。例示的なベース材料は、約100ポンドの空気圧でリニアインチあたり約1600ポンドの範囲および約200から350Fの金型温度の範囲で、硬質ニッケル金型を使用して、エンボス加工することにより、ホログラフィック画像表面の永久的な高い忠実度の(エンボス加工の打ち抜き100%、少なくとも70%の回折効率)印刷を受けることができる。ベース材料のエンボス加工性を試験する場合、試験は、1次および2次画像を含み、エンボス加工可能なコーティングが最適な2次画像を作製可能であることを確認する。
【0105】
ホログラフィックホイルの機械的および化学的耐性に関して、ホイルは磨耗に対する耐性がある。このように、ホイルのサイズを決定してビニル製クレジットカードに刻印後、転写されたホログラムは、破壊の兆候が見えるまで、CS−10ホイルおよび500グラムの負荷を使用してTaber Abrader上で約100サイクルに耐える。ホイルはすり減りに対する耐性があり、ホイルは同じ条件で、実質的に可視の印、引っかき傷、もやが全くなく、Taber Abrader上で約6サイクルに耐える。ホログラフィックホイルは、DC50000エンコーダまたは同等なシステム上でエンボス加工されると、ホログラム周辺のビニルのひび割れのどのような実質的な兆候にも耐性がある。さらに、ポリエステル担体上のエンボス加工された、サイズが決定されていないホイルは、ベースコートのひび割れなく、15%伸びることが可能である。さらに、例示的なホログラムを備える例示的なビニル製カードは、110℃の炉で15分間耐えて、試験後画像は明確に可視である。これに加えて、例示的なホログラムは、0℃で8時間および60℃で16時間の5サイクル後、可視的影響は全く示さない。
【0106】
ビニル製カードの例示的なホログラムは、可塑剤、アルカリ、酸、溶媒にも耐性がある。特に、ホログラムを備えるカードは、カードが重度に膨らむまでの温かい液の可塑剤(典型的には、フタル酸ジオクチル)の浸漬に耐性がある。カード上の画像は、60℃で5日間、可塑化ビニルに接触しても実質的な影響がない。アルカリに関して、カード上のホログラムは、室温で10%水酸化アンモニアに約1時間の侵漬をしても、品質が低下せず、耐性がある。さらに、ホログラムは、人工のアルカリ性発汗(10%塩化ナトリウム、1%リン酸ナトリウム、4%炭酸アンモニアでpH8.0)に室温で50時間浸漬後も実質的な品質低下を見せない。酸に関して、カード上の例示的なホログラムは、室温で10%酢酸に約1時間の侵漬をしても、品質が低下せず、実質的な耐性がある。さらに、例示的なホログラムは、人工の酸性発汗(10%塩化ナトリウム、1%リン酸ナトリウム、1%乳酸でpH3.5)に室温で50時間浸漬後も実質的な品質低下を見せず、実質的な耐性がある。
【0107】
溶媒に関して、カード上の例示的なホログラムは、実質的に、以下に対する耐性がある。エチレングリコール(100%および水中50%)では室温で4時間後実質的な影響なし、エチルアルコール(100%および水中50%)では室温で4時間後実質的な影響なし、メチルエチルケトンでは室温で1分後実質的な影響なし、トルエンはカードの重度の膨れまでの実質的な影響なし(室温で30分)、水は60℃で16時間後実質的な影響なし、濃縮洗剤液では室温で20時間後実質的な影響なし。
【0108】
さらに、ビニル製のカードの例示的なホログラムは、業務用洗濯乾燥機の耐久プレス加工の設定でズボンのポケットに入れて洗濯乾燥後、実質的な影響を示さない。
【0109】
クレジットカードの基板は、ホログラムの現在の組成またはそのコーティングを実質的に傷めることなく、ホログラムのホットスタンピングを適切に受理することができるビニルベースまたは他の同等な種類の材料を備える。ホログラムをビニル製カードに接着する場合、コーティングは、一貫したブラッシュを示し、色、粘度が均一で、汚染がない。また、ホログラムのカードへの接着は、Scotch610テープをホログラムに貼り、45°の角度ではがしても、基板から相当量のホイルを取り除くことにはならないように十分な強度である。
【0110】
画像の輝度に関して、回折測定は、レジストレーションブロック上の最低約2マイクロワットで取得される。さらに、画像の品質に関して、画像は実質的に、大きい汚点、引っかき傷、しわ、斑点、かすみ、および/または画像を実質的に変形させる任意の他の欠陥を持たない。
【0111】
最終的な例示的製品は、1−53/64”+/−1/64”の幅で、ロールあたり10、000画像の長さで細長く切断される。レジストレーションブロックは、スリット材料の端から約5/64”以内に配置される。全ての最終ロールは、3.0”のIDコアに直面する金属面があり、最終リールあたり最大3スプライスが可能で、レジストレーションブロックは125”×125”の正方形である。
【0112】
個別のカード5をスタンピングしてホログラフィックホイルを適用後、接着剤、加熱、テープ、溝等の任意の適切な方法により、ICチップ20がカード5に適用される(ステップ195)。より特定すると、カード5の表10の小さい部分が、例えば、ミリング工程を使用して、機械加工される。ミリングステップは、掘られた穴がプラスチックの2つのコア層を切断するが、プラスチックの最後の外側のラミネート層には達しないように、約0.02milのプラスチックを表10の表面から取り除き、5235HSTポケットを形成する。ICチップ20は、標準の金めっきではなく、銀による5235パラジウムめっきである。ICチップ20は、「ポッティング」と呼ばれる工程を使用してカードに適用される。非伝導性接着剤等の任意の適切な接着剤が機械加工された穴に置かれ、ICチップ20の上部表面が実質的にカード5の表10の表面と均等であるように、ICチップが接着剤の上に置かれる。適切な圧力および熱がICチップ20に適用され、ICチップがカード5に十分に添付されるようにする。ICチップ20は、カード5の任意の場所に配置される任意の適切な集積回路である。例示的な実施形態においては、ICチップ20の構造、設計、機能、および配置は、ICチップ20およびカード5のISO規格に準拠する。ICチップ20は、例えば、ドイツのSiemensから取得され得る。
【0113】
ホログラフィックホイル15とICチップ20をカード5に適用後、口座番号35や「有効期限」32の日付(非表示)等の一定の情報は、好ましくは、公知のエンボス加工方法によりカード5にエンボス加工される(ステップ200)。エンボス加工は、例えば、Oberthurカードシステムにより完了され得る。任意の情報がカード5の任意の場所にエンボス加工できるが、特定の例示的実施形態においては、口座番号35は、ホログラフィックホイル15によりエンボス加工されて、ホログラフィックホイル15が詐欺に利用される偽造カード5に転写される可能性を減少させる。これに加えて、先行技術のカード5は、有効開始および終了日を含むが、本発明のカード5は、「有効」32日付、すなわち、カードの有効期限日だけを含む。
【0114】
前述はカード5の加工のための例示的な実施形態を説明したが、当業者は、テキスト30、32、34、ロゴ50、エンボス加工の数字35、磁気ストライプ42、署名欄45、ホログラフィックホイル15、ICチップ20および不透明階調度25(図1および2を参照)を基板上に組み込むための任意の適切な方法は本発明の範囲内であることを理解するであろう。特に、ホログラフィックホイル15、ICチップ20、ロゴ50、磁気ストライプ40、署名欄45、または他の任意の化合物は、例えば、熱、圧力、接着剤、溝付き、および/またはそれらの任意の組み合わせ等の任意の適切な手段によって、カード5の任意の部分に貼り付けられ得る。
【0115】
本発明は例示的な実施形態を参照しながら上記に説明された。しかしながら、本開示を熟読した当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に変更および変形を行ってもよいことを認識するであろう。例えば、本発明の様々なステップは、本発明の効果を変更することなく排除され得る。さらに、日本の大日本印刷株式会社により開発された昇華性染料再転写技術および/または二重転写技術等の他のタイプのカード加工、コード化、印刷方法が使用され得る。これらおよび他の変更または変形は、以下の請求項に記載されるように、本発明の範囲内に含まれると考えられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光波長領域の放射線を実質的に透過するように適合されたカード本体を備え、
該カード本体は、該カード本体に関連付けられた赤外線遮断物質を含む機械認識可能化合物を含み、該赤外線遮断物質は、IR吸収化合物、蛍光体化合物、および量子ドット化合物の混合物を含み、
該機械認識可能化合物は、入射赤外線放射の透過を遮断する、
金融取引カード。
【請求項2】
前記IR吸収化合物は、IR吸収フタロシアニン色素である、請求項1に記載の金融取引カード。
【請求項3】
前記IR吸収化合物は、約0.0001重量%から約1重量%の間の量で存在する、請求項1に記載の金融取引カード。
【請求項4】
前記機械認識可能化合物は、少なくとも2つのIR吸収フタロシアニン色素の混合物を含む、請求項1に記載の金融取引カード。
【請求項5】
前記IR吸収フタロシアニン色素は、ハロゲン官能基を有する金属核錯体である、請求項2に記載の金融取引カード。
【請求項6】
前記蛍光体は、Gd2O3、Er2O3、Y2O3、YF3、およびそれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載の金融取引カード。
【請求項7】
前記蛍光体は、約0.01重量%から約5.0重量%の間の量で存在する、請求項1に記載の金融取引カード。
【請求項8】
前記量子ドット物質は、約C9から約C27の間のリガンドを含む、請求項1に記載の金融取引カード。
【請求項9】
前記量子ドット物質は、約0.0002重量%から約7重量%の間の量で存在する、請求項1に記載の金融取引カード。
【請求項10】
前記機械認識可能化合物は、前記取引カード内に含まれる少なくとも1つの基板層に印刷されたインクである、請求項1に記載の金融取引カード。
【請求項11】
前記機械認識可能化合物は、樹脂結合剤をさらに含む、請求項1に記載の金融取引カード。
【請求項12】
前記樹脂結合剤は、約8重量%から約35重量%の間の量で存在する、請求項11に記載の金融取引カード。
【請求項13】
金融取引カードを製作するための方法であって、
第1の実質的に透明な熱可塑性シートを提供するステップと、
該第1の熱可塑性シートの少なくとも1つの表面の少なくとも一部分にインクを印刷するステップであって、該インクは、IR吸収化合物、蛍光化合物、量子ドット化合物、および樹脂結合剤を含む、ステップと、
実質的に透明なラミネート加工されたシートを形成するように、該第1のシートを、少なくとも1つの第2の実質的に透明な熱可塑性シートとともにラミネート加工するステップと、
該実質的に透明なラミネート加工されたシートから少なくとも1つの個別の取引カードを切断するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
前記IR吸収化合物は、IR吸収フタロシアニン色素である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記IR吸収化合物は、約0.0001重量%と約1重量%の間の量で存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記インクは、少なくとも2つのIR吸収フタロシアニン色素の混合物を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記IR吸収フタロシアニン色素は、ハロゲン官能基を有する金属核錯体である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記蛍光体化合物は、Gd2O3、Er2O3、Y2O3、YF3、およびそれらの混合物から成る群より選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記蛍光体化合物は、約0.01重量%と約5重量%の間の量で存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記量子ドット化合物は、約C9から約C27の間のリガンドを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記量子ドット化合物は、前記インク中に約0.0002重量%から約7重量%の間の量で存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記樹脂結合剤は、約8重量%から約35重量%の間の量で存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記インクはさらに溶媒を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記溶媒は、前記インク中に約5重量%から約60重量%の間の量で存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項25】
前記インクは、前記基板を前記第2のシートとともにラミネート加工する前に、前記第1のシートの両面に印刷される、請求項13に記載の方法。
【請求項26】
前記印刷するステップは、グラビア印刷、シルクスクリーン、リソグラフ、インクジェット、ロールコーティングおよびフレキソ印刷から成る群より選択される印刷方法による、請求項13に記載の方法。
【請求項1】
可視光波長領域の放射線を実質的に透過するように適合されたカード本体を備え、
該カード本体は、該カード本体に関連付けられた赤外線遮断物質を含む機械認識可能化合物を含み、該赤外線遮断物質は、IR吸収化合物、蛍光体化合物、および量子ドット化合物の混合物を含み、
該機械認識可能化合物は、入射赤外線放射の透過を遮断する、
金融取引カード。
【請求項2】
前記IR吸収化合物は、IR吸収フタロシアニン色素である、請求項1に記載の金融取引カード。
【請求項3】
前記IR吸収化合物は、約0.0001重量%から約1重量%の間の量で存在する、請求項1に記載の金融取引カード。
【請求項4】
前記機械認識可能化合物は、少なくとも2つのIR吸収フタロシアニン色素の混合物を含む、請求項1に記載の金融取引カード。
【請求項5】
前記IR吸収フタロシアニン色素は、ハロゲン官能基を有する金属核錯体である、請求項2に記載の金融取引カード。
【請求項6】
前記蛍光体は、Gd2O3、Er2O3、Y2O3、YF3、およびそれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載の金融取引カード。
【請求項7】
前記蛍光体は、約0.01重量%から約5.0重量%の間の量で存在する、請求項1に記載の金融取引カード。
【請求項8】
前記量子ドット物質は、約C9から約C27の間のリガンドを含む、請求項1に記載の金融取引カード。
【請求項9】
前記量子ドット物質は、約0.0002重量%から約7重量%の間の量で存在する、請求項1に記載の金融取引カード。
【請求項10】
前記機械認識可能化合物は、前記取引カード内に含まれる少なくとも1つの基板層に印刷されたインクである、請求項1に記載の金融取引カード。
【請求項11】
前記機械認識可能化合物は、樹脂結合剤をさらに含む、請求項1に記載の金融取引カード。
【請求項12】
前記樹脂結合剤は、約8重量%から約35重量%の間の量で存在する、請求項11に記載の金融取引カード。
【請求項13】
金融取引カードを製作するための方法であって、
第1の実質的に透明な熱可塑性シートを提供するステップと、
該第1の熱可塑性シートの少なくとも1つの表面の少なくとも一部分にインクを印刷するステップであって、該インクは、IR吸収化合物、蛍光化合物、量子ドット化合物、および樹脂結合剤を含む、ステップと、
実質的に透明なラミネート加工されたシートを形成するように、該第1のシートを、少なくとも1つの第2の実質的に透明な熱可塑性シートとともにラミネート加工するステップと、
該実質的に透明なラミネート加工されたシートから少なくとも1つの個別の取引カードを切断するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
前記IR吸収化合物は、IR吸収フタロシアニン色素である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記IR吸収化合物は、約0.0001重量%と約1重量%の間の量で存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記インクは、少なくとも2つのIR吸収フタロシアニン色素の混合物を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記IR吸収フタロシアニン色素は、ハロゲン官能基を有する金属核錯体である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記蛍光体化合物は、Gd2O3、Er2O3、Y2O3、YF3、およびそれらの混合物から成る群より選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記蛍光体化合物は、約0.01重量%と約5重量%の間の量で存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記量子ドット化合物は、約C9から約C27の間のリガンドを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記量子ドット化合物は、前記インク中に約0.0002重量%から約7重量%の間の量で存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記樹脂結合剤は、約8重量%から約35重量%の間の量で存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記インクはさらに溶媒を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記溶媒は、前記インク中に約5重量%から約60重量%の間の量で存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項25】
前記インクは、前記基板を前記第2のシートとともにラミネート加工する前に、前記第1のシートの両面に印刷される、請求項13に記載の方法。
【請求項26】
前記印刷するステップは、グラビア印刷、シルクスクリーン、リソグラフ、インクジェット、ロールコーティングおよびフレキソ印刷から成る群より選択される印刷方法による、請求項13に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図7I】
【図7J】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図17E】
【図17F】
【図17G】
【図17H】
【図17I】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図7I】
【図7J】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図17E】
【図17F】
【図17G】
【図17H】
【図17I】
【公表番号】特表2010−533923(P2010−533923A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517114(P2010−517114)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/070047
【国際公開番号】WO2009/012251
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(502073256)アメリカン エクスプレス トラベル リレイテッド サービシーズ カンパニー, インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/070047
【国際公開番号】WO2009/012251
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(502073256)アメリカン エクスプレス トラベル リレイテッド サービシーズ カンパニー, インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]