説明

取引データ処理装置およびプログラム

【課題】一取引の料金を掛け払いとする場合の会計操作を比較的に簡素にすることができる取引データ処理装置を提供する。
【解決手段】実施形態の取引データ処理装置は、得手段と、受付手段と、決済手段と、を備える。前記得手段は、一取引の料金額を得る。前記受付手段は、個人識別情報を受け付ける。前記決済手段は、前記受付手段が前記個人識別情報を受け付けた場合、前記得手段が前記料金額を得た一取引の支払いを、前記受付手段が前記個人識別情報を受け付けた個人の掛け払い、とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、取引データ処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、企業等の社員食堂での支払いを、カードリーダが社員カードから読み取った社員番号に対応する個人の給与天引き払い、とすることが可能な取引データ処理装置が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような、取引データ処理装置では、会計操作の簡素化が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施形態の取引データ処理装置は、得手段と、受付手段と、決済手段と、を備える。前記得手段は、一取引の料金額を得る。前記受付手段は、個人識別情報を受け付ける。前記決済手段は、前記受付手段が前記個人識別情報を受け付けた場合、前記得手段が前記料金額を得た一取引の支払いを、前記受付手段が前記個人識別情報を受け付けた個人の掛け払い、とする。
【0005】
実施形態のプログラムは、コンピュータを、前記得手段と、前記受付手段と、前記決済手段と、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、第1の実施形態にかかるPOS端末を示す外観斜視図である。
【図2】図2は、第1の実施形態にかかるPOS端末の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、第1の実施形態にかかるPOS端末の機能構成を示す図である。
【図4】図4は、第1の実施形態にかかるPOS端末が行う販売処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図5は、第2の実施形態にかかるPOS端末が行う販売処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、添付図面を参照して、実施形態にかかる取引データ処理装置およびプログラムを詳細に説明する。以下の各実施形態は、取引データ処理装置として、例えば企業の社員食堂に設置されて会計処理を実行するPOS(Point Of Sales:販売時点管理)端末の例である。
【0008】
(第1の実施形態)
図1に示すように、POS端末1は、キーボード11、プリンタ12、第1の表示器13、第2の表示器14およびカードリーダ15を備えている。これらのキーボード11、プリンタ12、第1の表示器13、第2の表示器14およびカードリーダ15は、POS本体16を構成している。また、POS本体16には、入力装置であるスキャナ17が接続されている。POS端末1は、POS端末1の各部を制御する制御部18(図2参照)をPOS本体16に内蔵している。POS本体16は、ドロワ19上に載置されている。
【0009】
キーボード11は、操作者が操作入力を行うための各種の操作キーを有している。操作キーは、数値を入力するための置数キー、複数のメニュー商品キー、小計キー、預/現計キー、実行キー等である。メニュー商品キーは、メニュー商品の商品識別情報である商品コードが割り当てられたプリセットキーである。メニュー商品は、例えば、日替わり定食やA定食、B定食、カレーライス等である。預/現計キーは、一取引の料金を現金決済することを宣言するキーである。キーボード11は、操作されたキーに応じた信号を制御部18に入力する。
【0010】
第1の表示器13および第2の表示器14は、例えば液晶表示器であり、制御部18に駆動されて各種情報を表示する。
【0011】
カードリーダ15は、社員カード2に記憶された各種磁気情報を読み取る磁気カードリーダである。カードリーダ15は、読み取った情報を制御部18に入力する。ここで、社員カード2に記憶されたカード情報には、社員番号を含む社員情報が含まれている。社員番号は、個人識別情報の一例である。カード情報は、一例として、7桁の数字で表され、先頭の5桁が社員番号、6桁目が「0」、7桁目がチェックデジット(C/D)である。
【0012】
プリンタ12は、例えば、サーマルプリンタであり、制御部18に駆動されて、一取引単位でレシートを発行する。
【0013】
スキャナ17は、バーコード化された商品コードを光学的に読み取るものである。スキャナ17は、読み取った商品コードを制御部18に入力する。本実施形態では、メニュー商品の商品コードを示すバーコードが一覧印字されたバーコード一覧表が、POS端末1とともに会計カウンターに用意されている。したがって、操作者は、メニュー商品キーの操作の他に、一覧表のバーコードをスキャナ17に読取入力させることで、メニュー商品の商品コードの入力を行うことができる。
【0014】
図2に示すように、制御部18は、CPU(Central Processing Unit)21と、ROM(Read Only Memory)22と、RAM(Random Access Memory)23と、を有するコンピュータである。CPU21は、各種演算やPOS端末1の各部を集中的に制御する。ROM22は、各種プログラムや各種データを記憶している。RAM23は、各種プログラムを一時的に記憶したり各種データを書き換え自在に記憶する。CPU21には、ROM22、RAM23の他、日時を計時する計時部24および通信インターフェース(図面では、通信I/F)26がバス25によって接続されている。POS端末1は、通信インターフェース26を介してホスト装置等の外部装置との通信が可能となっている。
【0015】
また、CPU21には、バス25およびI/O機器制御部27を介して、前述したキーボード11、プリンタ12、第1の表示器13、第2の表示器14、カードリーダ15、スキャナ17とともに、記憶装置28が接続されている。これにより、CPU21による各部の制御が可能となっているとともに、キーボード11やスキャナ17、カードリーダ15等からの信号がCPU21に入力可能となっている。
【0016】
記憶装置28は、例えばハードディスクドライブ装置等から構成されている。記憶装置28は、CPU21を動作させるプログラムや商品マスタファイル、販売データを記憶する売上ファイル、掛け払いデータファイル等を格納している。商品マスタファイルは、商品毎に、商品コードや商品名称、単価等を記憶している。掛け払いデータファイルは、掛け払い処理をした取引番号毎に、取引日時、掛け払いした社員(個人)の社員番号と、一取引の料金額と、を関連付けて記憶する。取引番号は、一取引毎に発行される番号である。この掛け払いデータファイルは、所定のタイミング、例えば一日毎に、ホスト装置に送信され、この掛け払いデータファイルの内容に基づいて、掛け払いの料金が社員の給与から天引きされるようになっている。
【0017】
次に、POS端末1のCPU21がプログラムに従って実行する販売処理について図3および図4を参照して説明する。
【0018】
POS端末1のCPU21は、プログラムに従うことにより、図3に示すように、得部51と、受付部52と、決済部54と、として機能する。
【0019】
得部51は、得手段であって、一取引の料金額を得るものである。受付部52は、受付手段であって、個人識別情報である社員番号を受け付けるものである。
【0020】
決済部53は、決算手段であって、受付部52が社員番号を受け付けた場合、得部51が料金額を得た一取引の支払いを、受付部52が社員番号を受け付けた個人の掛け払い、とするものである。この掛け払いは、給与天引きである。ここで、本実施形態では、決済部53は、掛け払い以外の支払いを受け付け可能である。掛け払い以外の支払いの例としては、現金払い、クレジット払い、電子マネー払い等を挙げることがでるが、ここでは、現金払いの例を説明する。そして、決済部53は、受付部52が社員番号を受け付けてから規定時間内に、掛け払い以外の支払いを受け付けなかった場合、一取引の支払いを、受付部52が社員番号を受け付けた個人の掛け払い、とする。
【0021】
次に、図4のフローチャートを参照しながら販売処理を詳細に説明する。CPU21は、まず、キーボード11やスキャナ17からの商品コードの入力を待つ(ステップS1のNo)。CPU21は、キーボード11やスキャナ17からの商品コードの入力を受け付けると(ステップS1のYes)、商品コードを受け付けた商品の商品情報を、商品マスタファイルから読み出す(ステップS2)。この読み出した商品情報は、商品名、単価を含む。次に、CPU21は、商品コードを受け付けた商品を販売登録する(ステップS3)。詳細には、CPU21は、ステップS2で読み出した商品情報を用いて当該商品の販売データを作成してこの販売データをRAM23に記憶させることで、当該商品の販売登録を行う。販売データには、商品名や単価が含まれる。また、CPU21は、商品の商品情報のうち単価等を第1の表示器13および第2の表示器14に表示させる。さらに、CPU21は、ここまで販売登録した商品の合計金額を算出して、RAM23に記憶させるとともに、第1の表示器13および第2の表示器14に表示させる。そして、CPU21は、小計キーが操作されない場合には(ステップS4のNo)、ステップS1〜S3の処理を繰り返し行う。ここに、一取引の料金額を得る得部51の機能が実行される。
【0022】
CPU21は、小計キーが操作された場合には(ステップS4のYes)、カードリーダ15から従業員番号を含むカード情報の入力を待つ(ステップS5のNo)。ここで、本実施形態では、CPU21は、従業員番号の入力をカードリーダ15だけから受け付け、キーボード11からは受け付けないようなっている。このようにすることで、従業員番号の不正使用を抑制している。CPU21は、社員カード2のカード情報の読み取りを行ったカードリーダ15から、従業員番号を含むカード情報の入力を受け付けた場合(ステップS5のYes)、カードリーダ15からカード情報の入力を受け付けてから規定時間以内に預/現計キーが押下されたか、を判断する(ステップS6)。CPU21は、カードリーダ15からカード情報の入力を受け付けてから規定時間以内に預/現計キーが押下されなかったと、判断した場合(ステップS6のNo)、ステップS3で料金を算出した当該一取引の支払いを、ステップS5でカード情報が入力された個人の掛け払い、とする掛け払い処理(決済処理)を実行する(ステップS7)。詳細には、CPU21は、取引番号と、取引日時(例えば、小計キーが押された時点の日時)と、ステップS3で算出した当該一取引の料金と、ステップS5で入力されたカード情報に含まれる社員番号と、を関連付けして掛け払いデータファイルに記憶させる。また、CPU21は、当該一取引の支払いが掛け払いで行われた旨を示す情報を販売データに含ませて、この販売データを売上げファイルに記憶させて、決済を完了する。ここに、決済部53の機能が実行される。そして、CPU21は、当該取引のレシート印字情報を生成して、このレシート印字情報に基づいてプリンタ12にレシートを発行させる(ステップS8)。
【0023】
一方、ステップS6において、CPU21は、カードリーダ15からカード情報の入力を受け付けてから規定時間以内に預/現計キーが押下されたと、判断した場合(ステップS6のYes)、ステップS3で料金を算出した当該一取引の支払いを、現金払いとする、現金払い処理(決済処理)を行う(ステップS9)。詳細には、CPU21は、キーボード11からの預かり金額の入力を受け付ける。次に、CPU21は、預かり金額がステップS3で算出した商品の合計金額以上である場合には、釣り銭金額を算出し、商品の合計金額、預かり金額および釣り銭金額を販売データに含ませて、この販売データを売上げファイルに記憶させて、決済を完了する。また、この際、CPU21は、預かり金額および釣り銭金額を第1の表示器13および第2の表示器14に表示させる。なお、CPU21は、預かり金額がステップS3で算出した商品の合計金額未満である場合には、預かり金額不足であるので、再びキーボード11からの預かり金額が入力されるのを待つ。この現金払い処理が完了すると、CPU21は、ステップS8に進んで、プリンタ12にレシートを発行させる(ステップS8)。
【0024】
以上説明したとおり、本実施形態では、決済部53は、受付部52が従業員番号を受け付けた場合、得部51が料金額を得た一取引の支払いを、受付部52が従業員番号を受け付けた個人の掛け払い、とする。したがって、本実施形態は、例えば、受付部52が従業員番号を受け付けた場合、得部51が料金額を得た一取引の支払いを、受付部52が従業員番号を受け付けた個人の掛け払いとするために、更に、会計キー(図示せず)の操作を必要とする構成に比べて、会計操作が簡素である。即ち、本実施形態によれば、一取引の料金を掛け払いとする場合の会計操作を比較的に簡素にすることができる。
【0025】
(第2の実施形態)
本実施形態では、社員カード2に、支払い種別が記憶されて、その支払い種別に応じた会計処理をCPU21が行う点が第1の実施形態と異なる。
【0026】
本実施形態の社員カード2に記憶されたカード情報は、8桁の数字情報であり、7桁目までは、第1の実施形態と同じである。8桁目は、支払い種別を示す。8桁目が「1」の場合は掛け払いを示し、「0」の場合は現金払いを示す。このように、8桁目に支払い種別が設定されていることにより、社員カード2に記憶されたカード情報では、支払い種別と社員番号とが対応付けられている。なお、この支払い種別の設定は、カードリーダライタ(図示せず)によって、変更可能となっている。
【0027】
そして、本実施形態の決済部53は、社員番号(個人識別情報)に対応付けられた支払い種別が掛け払いである場合、一取引の支払いを、社員番号を受付部52が受け付けた個人の掛け払いとする。
【0028】
以下に、本実施形態の決済処理を図5のフローチャートを参照して説明する。CPU21は、図4のフローチャートのステップS6に代えてステップS26を行う。ステップS26では、CPU21は、カードリーダ15から入力を受け付けたカード情報に設定されている支払い種別が、「1」の掛け払いであるか否かを判定する。CPU21は、その支払い種別が「1」の掛け払いであると判定した場合(ステップS26のYes)、ステップS7に進んで、掛け払い処理を実行する。ここに、決済部53の機能が実行される。一方、CPU21は、その支払い種別が「1」の掛け払いではなく、「0」の現金払いであると判定した場合(ステップS26のNo)、ステップS9に進んで、現金払い処理を実行する。
【0029】
以上、説明した本実施形態では、決済部53が、社員番号(個人識別情報)に対応付けられた支払い種別が掛け払いである場合、一取引の支払いを、社員番号を受付部52が受け付けた個人の掛け払いとする。したがって、第1の実施形態と同様に、会計操作が簡素である。
【0030】
以上説明したとおり、上記の各実施形態によれば、一取引の料金を掛け払いとする場合の会計操作を比較的に簡素にすることができる。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
1…POS端末
51…得部
52…受付部
53…決済部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】実公昭61−45595号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一取引の料金額を得る得手段と、
個人識別情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段が前記個人識別情報を受け付けた場合、前記得手段が前記料金額を得た一取引の支払いを、前記受付手段が前記個人識別情報を受け付けた個人の掛け払い、とする決済手段と、
を備える取引データ処置装置。
【請求項2】
前記決済手段は、掛け払い以外の支払いを受け付け可能であり、
前記決済手段は、前記受付手段が前記個人識別情報を受け付けてから規定時間内に、掛け払い以外の支払いを受け付けなかった場合、前記一取引の支払いを、前記受付手段が前記個人識別情報を受け付けた個人の掛け払い、とする請求項1に記載の取引データ処理装置。
【請求項3】
前記決済手段は、前記個人識別情報に対応付けられた支払い種別が掛け払いである場合、前記一取引の支払いを、前記個人識別情報を前記受付手段が受け付けた個人の掛け払いとする請求項1に記載の取引データ処理装置。
【請求項4】
前記掛け払いは、給与天引きである請求項1ないし3のいずれか一項に記載の取引データ処理装置。
【請求項5】
コンピュータを、
一取引の料金額を得る得手段と、
個人識別情報を受け付ける受付手段と、
前記得手段が前記料金額を得た一取引の支払いを、前記受付手段が前記個人識別情報を受け付けた個人の掛け払い、とする決済手段と、
として機能させるプログラム。
【請求項6】
前記決済手段は、掛け払い以外の支払いを受け付け可能であり、
前記決済手段は、前記受付手段が前記個人識別情報を受け付けてから規定時間内に、掛け払い以外の支払いを受け付けなかった場合、前記一取引の支払いを、前記受付手段が前記個人識別情報を受け付けた個人の掛け払い、とする請求項5に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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