説明

取引処理装置、及び取引処理方法

【課題】セキュリティレベルの高い人物認証機能を有するとともに、利用者にとって、利便性を低下させない取引処理装置、及び取引処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】残高照会処理後の引出し処理のように、複数の取扱処理を連続取引処理として取り扱い処理するATM1において、残高照会処理後に、お引出しボタン203が選択入力された場合において、人物認証部7によって、お引出しボタン203の操作入力に応じた引出し処理の際に人物カメラ部6が取得した利用者の顔画像と、残高照会処理の際に人物カメラ部6が取得した利用者の顔画像とを比較し、同一人物でないと判定した場合、操作入力された引出し処理を、利用者と異なる別人の新規取引処理として取り扱い処理し、同一人物であると判定した場合、同じ利用者の連続取引処理として取り扱い処理した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、利用者の個体識別情報を取得し、取得した個人識別情報により本人認証を行なう認証機能を備え、該認証機能を用いて、本人であることを確認した上で取引処理を行なう取引処理装置、及び取引処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、急速な情報化社会の進展に伴い、企業や自治体等で、個人情報、機密に対する事故や不正利用防止の意識が高まっている。また、金融業界でもカード情報の流出事故、本人成り済まし等による不正利用が大きな問題となっている。
【0003】
このような問題に伴って、利用者の個体識別情報を取得し、取得した個人識別情報で本人認証を行なう認証機能として、例えば、個人固有の特徴を用いる画像認証が、事故、成り済まし、不正利用の危険が少ない、より精度の高い人物認証手段として認知されつつある。
【0004】
さらに、画像情報を用いた人物認証技術において、使用者、使用環境、目的のさらなる多様化が進むにつれて、不正を目的とする利用者に対する成り済まし防止、不正利用防止の効果を高めるとともに、不正を目的としない正当な利用者に対しては事故を起させない、利便性を低下させないことがさらに求められている。
【0005】
このような更なる課題に対し、複数の画像情報を比較することにより同一人物であることを判断することは非常に有効と言われている。具体的には、このような人物認証技術は、複数の画像情報を照合して識別を行うことで人物が途中で入れ替わることを判断する技術であり、これにより同一人物の認証精度、セキュリティレベルを向上させることが可能である。
【0006】
一例として、利用者の顔画像を複数回撮影し、利用者が途中で入れ替わっていないかを判断する個人認証方式が提案されている(特許文献1参照)。この特許文献1で提案されている個人認証方式は、取引の入力を受け付ける前と、入力を受け付けた後に利用者の顔画像を撮影し、利用者が途中で入れ替わっていないかを判断し、利用者が同一人物でないと判断した場合は、エラー処理を行い、取引を中断する方法である。
【0007】
また、別の不正取引防止方法として、現金自動取引装置を利用した取引において利用者が取引に用いるカードを残したまま立ち去ってしまった場合でも、その利用者以外の者による不正な取引を防止する方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0008】
この特許文献2で提案されている不正取引防止方法は、顧客検知センサ部からの信号が利用者の存在を検知していない場合、表示部に暗証番号の入力を要求する案内画面を表示させ、入力された暗証番号をチェックした結果、正当な利用者の暗証番号である場合のみ以降の取引を許容する方法である。
【0009】
特許文献1では、画像情報による人物認証結果で取引を可能としており、さらに特許文献2では、連続取引において正当な利用者のみが知り得る個人情報である暗証番号の入力を求めることによって、以降の取引を許容するような処理方法を可能としており、両方の例において、人物の入れ替わりによる事故や、不正利用のおそれを極めて低減できるセキュリティレベルの高いシステムであるとされている。その反面、これらの技術を利用するために、例えば暗証番号を複数回入力する等の、正当な利用者に対しては、利便性が低下するという課題が生じる。
【0010】
例えば、現金自動取引装置の場合に、連続取引の変わり目で前の利用者がカードを装置内に残して立ち去った後、別の利用者がその後、続けて取引操作し、前の利用者の口座情報で取引が成立してしまい事故となるおそれがある。
【0011】
このような場合において、特許文献1に記載された方法では、顔画像により同一利用者でないことを判断し、取引をエラー処理することで事故を未然に防ぐことが可能である。
【0012】
しかし、前の利用者がカードを装置内に残して立ち去ったことを知らず、通常の取引処理と勘違いし、取引操作を行っていた不正利用を目的としていない後の利用者であっても、顔画像により同一利用者でないことを判断され、取引操作がエラー処理されるため、例えば、現金自動取引装置を管理する管理者によってエラー処理を解除するための時間がかかるとともに、これまでに入力した操作をやり直す必要が生じる。このように、再操作やエラー解除のための無駄な時間を要することにより、現金自動取引装置の休止率が増大し、混雑を長引かせる原因になる。したがって、利用者に対して不便を与えることとなるおそれがあった。
【0013】
また、特許文献2に記載された方法においては、現金自動取引装置を操作中の利用者が、連続取引の変わり目で一時的に顧客検知センサ部に検知されない位置に移動した場合に、同一利用者であっても、利用者に対して暗証番号を改めて要求することとなる。
【0014】
同一の利用者が複数の取引を連続して行う場合、次の利用者の待ち時間の短縮及び操作の簡略化を考慮して、従来取引の度に行われていたカードの挿入排出や暗証番号の入力等の操作を1回で済ませることが既に提案されており、利用者に対して暗証番号を再度要求することは、現金自動取引装置の利便性を低下させることとなる。
さらに、暗証番号等の個人情報を複数回入力させることより、秘密情報である暗証番号を他人に盗み見られる可能性が高まるおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2003−208407号公報
【特許文献2】特開2006−178709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで本発明は、セキュリティレベルの高い人物認証機能を有するとともに、利用者にとって、利便性を低下させない取引処理装置、及び取引処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前述の目的を達成するために、本発明は、先の取引処理後に、次の取引処理を連続取引処理として取り扱い処理する取引処理装置であって、利用者によって選択された取引処理について選択操作される取引操作手段と、前記取引処理毎の所定のタイミングで前記利用者の個体識別情報を取得する個体識別情報取得手段と、該個体識別情報取得手段で取得した複数の個体識別情報を比較し、同一人物の個体識別情報か否か判定する人物判定手段とを備え、先の取引処理後に、前記取引操作手段が選択入力された場合において、前記人物判定手段によって、前記取引操作手段の操作入力に応じた次の取引処理の際に前記個体識別情報取得手段が取得した個体識別情報と、前記先の取引処理の際に個体識別情報取得手段が取得した個体識別情報とを比較し、同一人物でないと判定した場合、操作入力された前記次の取引処理を、前記利用者と異なる別人の新規取引処理として取り扱い処理し、同一人物であると判定した場合、同じ利用者の連続取引処理として取り扱い処理することを特徴とする。
【0018】
上述のような構成としたので、連続取引の変わり目で前の利用者がカードを装置内に残して立ち去った後でも、別の利用者がその後続けて取引操作し、前の利用者の口座情報で取引が成立してしまい事故になることは無くなる。また、同一利用者でないと判断した場合でも、取引処理はエラーとならず、後の利用者の操作をやり直させる必要も無くなる。
【0019】
さらに、連続取引に入る前の顔画像と、連続取引に入った後の顔画像を照合することで、同一利用者の場合はセキュリティレベルを保ちながら、再度暗証番号等の個人情報を再入力することは不要となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、セキュリティレベルの高い人物認証機能を有するとともに、利用者にとって、利便性を低下させない取引処理装置、及び取引処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】金融機関システムの概要構成図。
【図2】現金自動取引装置の連続取引を示すフローチャート。
【図3】現金自動取引装置の初期画面のイメージ図。
【図4】現金自動取引装置の残高結果表示画面のイメージ図。
【図5】現金自動取引装置の残高結果表示画面のイメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図1は、本実施形態は、例えば、ATMのような現金自動取引装置1(取引処理装置に対応)を備えた銀行システムなどの金融機関システム100についての概略構成図を示している。
【0023】
金融機関システム100は、図1に示すように、現金自動取引装置1(以下においてATM1という)とホストコンピュータ13とを、勘定系ネットワーク12を介して接続している。
ホストコンピュータ13は、例えば、金融機関の支店や本店に設置され、後述するATM1を、統括し、管理制御するコンピュータである。
【0024】
ATM1は、金融機関等に設置され、顧客の操作によって現金の入金や出金、あるいは残高照会等の取引を行う自動取引装置である。
ATM1は利用者の要求する種々の取引を自動的に実行するために、紙幣機構部2、硬貨機構部3、通帳機構部4、カード機構部5、人物カメラ部6、人物認証部7、明細票部8、操作表示部9、カード回収部11、そしてこれら各部を制御する制御部10などで構成されている。
【0025】
制御部10は、CPUやメモリ等のハード構成と、上述の各種機構部を制御するためのプログラムやデータ等のソフト構成とを備え、上述の各部を制御し、取引処理を実行する。
【0026】
以下においてATM1の各部について詳細に説明する。
紙幣機構部2及び硬貨機構部3は、現金の入金や出金機能、現金の鑑別や搬送、収納機能を有する。
通帳機構部4は、利用者の通帳の挿入/排出動作、磁気ストライプのリード/ライト動作、通帳への印字機能などを有する。
【0027】
カード制御部及び受け付けたカードが正常であるかどうかを判定するカード処理部に対応するカード機構部5は、利用者のカードの挿入又は排出動作、カードの磁気ストライプ又はICチップへのリード又はライト動作、カードのエンボス部分のイメージの読取り機能などを有する。
【0028】
個体識別情報取得手段や人物カメラ部に対応する人物カメラ部6は、カードの挿入時や、カードの抜取り時、現金の抜取り時等の所定のタイミングで、個体識別情報や人物画像あるいは最終個体識別情報として利用者の顔画像を撮影する機能を有する。
人物判定手段に対応する人物認証部7は、人物カメラ部6で撮影された顔画像を解析し照合することで、同一人物かどうか判断する機能を有する。
【0029】
明細票部8は、利用者の取引した内容を明細票に印字し、装置内から排出する機能を有する。
操作表示部9は、画面表示、キー入力検知機能をもっており、主にATMの利用者が取引を行う際、暗証番号など利用者の操作や指で押されたキー入力を受付ける機構部である。尚、操作表示部9はタッチパネル等による構成された入力兼表示部(入力表示部ともいう)が望ましく、様々な情報を表示画面に表示し、この表示画面に含まれる様々な項目への押下ももちろん検知する。
【0030】
カードを回収するカード制御部に対応するカード回収部11は、利用者が取り忘れたカードや、ホストコンピュータ13から回収指示されたカードを保管する機能を有する。
【0031】
このように構成されたATM1が勘定系ネットワーク12を介して接続されるホストコンピュータ13は、ATM1の制御部10と通信可能に接続され、ATM1より受信するデータに含まれる暗証番号をホストコンピュータ13が認証し、その結果をATM1に送信する。これによりATM1によって入力された暗証番号の可否が判断される。
【0032】
また、ホストコンピュータ13は、利用者により取引操作された取引処理の可否を判定するとともに、記憶された残高情報等の個別記録情報に取引処理内容を反映させるように情報更新する。
【0033】
続いて、利用者がカードを用いてATM1で、先の取引処理及び取引終了操作手段の操作入力の直前の取引処理より前の取引処理としての残高照会取引と、次の取引処理としてのお引出し取引を連続で実施する場合の取引フローについて図2を用いて説明する。
【0034】
なお、図3はカードを利用したATM1での取引操作時の初期画面200のイメージ図を示し、図4及び図5はカードを利用して実行した残高照会取引の結果を表示する残高結果表示画面220のイメージ図を示している。
【0035】
まず、取引開始前の待機状態におけるATM1の操作表示部9には、取引操作の誘導画面である初期画面200(図3参照)が表示されている。
初期画面200は、例えば、定期預金について入出金等の取引処理を開始する定期取引ボタン201、口座の資金を同金融店舗内における自分の他の口座に移す振替え処理を開始するお振替えボタン202、口座から現金を引出す引出し処理を開始するお引出しボタン203、口座に現金を預入れる預入れ処理を開始する預入れボタン204、通帳に取引内容を記帳する記帳処理を開始する通帳記入ボタン205、口座の残高の照会処理を開始する残高照会ボタン206、他の口座に振込む振込み処理を開始するお振込みボタン207、両替処理を開始する両替ボタン208、クレジット処理を開始するクレジットボタン209等のATM1で実行処理する取引処理の開始操作をする操作ボタン(取引操作手段に対応)と、案内や取引結果等を表示する各種表示部210(210a,210b)等を表示している。
【0036】
この初期画面200が操作表示部9に表示された状態のATM1において、利用者によって押下された残高照会ボタン206の押下情報を受け付けると(ステップs1)、制御部10はカードの挿入を要求するカード挿入要求画面(図示省略:カードの挿入を要求するカード制御部に対応)を操作表示部9に表示し、カード機構部5は利用者によって挿入される磁気カード或いはICカードを受付けるカード挿入待ち状態で待機する。
【0037】
利用者によってカード機構部5のカード挿入口にカードが挿入されると、制御部10は、カード機構部5によって挿入されたカードの磁気ストライプ或いはICカードの情報を読み取り、正常なカードと判定すれば、挿入されたカードを受付け(ステップs2)、人物カメラ部6で利用者の顔写真(前の取引処理の際に取得した個体識別情報に対応)を撮影する(ステップs3)。この間、操作表示部9には処理中案内表示画面(図示省略)を表示する。
【0038】
なお、初期画面200の操作ボタン(201〜209)が押下されず、利用者によってカードが挿入された場合は、挿入されたカード受付け(ステップs1)の後に、初期画面200の操作ボタン(201〜209)が押下され、選択された取引処理を開始する際に、人物カメラ部6で利用者の顔写真を撮影すればよい(ステップs2)。
【0039】
そして、制御部10は、暗証番号の入力を要求するとともに、入力テンキーが表示された暗証番号入力要求画面(図示省略)を操作表示部9に表示し、テンキーを用いて操作入力された暗証番号を受け付けると(ステップs4)、制御部10は、暗証番号等の入力操作情報及びカード機構部5より読み出された情報を、勘定系ネットワーク12を介してホストコンピュータ13に送信する。
【0040】
ATM1の制御部10から送信された情報を受信したホストコンピュータ13は、前記送信された入力情報及びカード情報を、ホストコンピュータ13で保管する利用者の個人情報と比較する。比較結果が、一致した場合、ホストコンピュータ13は、利用者の口座残高情報を、勘定系ネットワーク12を介してATM1の制御部10に送信する。口座残高情報を受信した制御部10は、操作表示部9に残高結果表示画面220を操作表示部9に表示する(ステップs6)。
【0041】
この残高結果表示画面220は、図4に示すように、利用者が連続して取引処理を開始するための、例えばお振込みボタン207、預入れボタン204、お引出しボタン203、及び各種表示部210(210a,210b)等に加えて、取引を終了するための終了ボタン211(取引終了操作手段に対応)を表示している。
【0042】
この残高結果表示画面220で、例えば、利用者によって、お引出しボタン203が押下された押下情報をATM1が受け付けると(取引操作受付ステップとしてのステップs7:Yes)、制御部10は、人物カメラ部6で利用者の顔写真を撮影する(個体識別情報取得ステップとしてのステップs8)。そして、制御部10は、前記カード機構部5にカードを挿入した際のステップs3で撮影した顔画像と、連続取引処理を開始する前のステップs8で撮影した顔画像を人物認証部7で照合する(人物判定ステップとしてのステップs9)。
【0043】
人物認証部7による顔画像の照合により、同一人物であると判定された場合(ステップs9:Yes)、制御部10は、選択された引き出し処理を開始し、お引出し金額の入力を要求する金額入力画面(図示省略)を操作表示部9に表示し、金額入力の待ち状態で待機する。
【0044】
利用者による引き出す金額や金種等の操作入力を受け付けると(ステップs10)、制御部10は、金額等の操作入力情報をホストコンピュータ13に送信する。送信された操作入力情報を受信したホストコンピュータ13は、操作入力情報に含まれる金額分を口座残高情報から減算処理するとともに、利用者の処理後の口座残高情報を、勘定系ネットワーク12を介してATM1に送信する。口座残高情報を受信した制御部10は、操作入力された金額分の現金を払い出すとともに(ステップs11)、操作表示部9に残高結果表示画面220を表示する(ステップs12)。
【0045】
この残高結果表示画面220で、利用者によって取引終了を意味する終了ボタン211が押下された押下情報を受け付けると(取引終了操作受付ステップとしてのステップs13:Yes)、制御部10は、挿入されたカードをカード機構部5から排出して返却するとともに(ステップs14)、人物カメラ部6で利用者の顔写真を最終個体識別情報として撮影する(最終個体識別情報取得ステップとしてのステップs15)。
【0046】
なお、この残高結果表示画面220で、終了ボタン211が押下されずに、お引出しボタン203等の操作ボタンが押下されると、ステップs7に移動し、再び連続取引処理として上述の説明のように取引処理を実行する。
【0047】
そして、このステップs15で撮影された顔画像と、ステップs3で撮影された顔画像とを、人物認証部7で照合し、同一人物であると判定された場合(人物判定ステップとしてのステップs16:Yes)、制御部10は、この利用者による取引処理を終了する。そして、当初に説明した待機状態となる。
【0048】
これに対し、選択された引き出し処理を開始し、お引出し金額の入力を要求する金額入力画面(図示省略)を操作表示部9に表示し、金額入力の待ち状態で待機する。
【0049】
人物認証部7による照合結果が、同一人物でない、即ち別人である可能性が有る場合は(ステップs16:No)、ステップs11で実行した連続取引処理が別人による取引処理である可能性を有するため、ステップs15で撮影した顔画像(最終個体識別情報に対応)をホストコンピュータ13に送信して記憶し(最終個体識別情報記憶ステップとしてのステップs17)、取引処理を終了する。なお、ATM1に記憶部(記憶手段に対応)を備え、ステップs15で撮影した顔画像をATM1の記憶部で記憶してもよい。
【0050】
なお、ステップs9における人物認証部7による顔画像の照合により、同一人物でないと判定された場合(ステップs9:No)、お引出しボタン203の押下情報は、これまでの取引処理を行っていた先の利用者とは異なる後の利用者によってお引出しボタン203が押下されたものであるため、先の利用者によって挿入されたカードをカード回収部11で回収し(ステップs20:カード回収ステップ)、制御部10は、後の利用者に対して、カードの挿入を要求するカード挿入要求画面を操作表示部9に表示する(ステップs21:カード挿入要求ステップ)。後の利用者によって、カードが挿入されると制御部10は、ステップs2に戻り、その後のフローについては、後の利用者の取引処理として、上述の説明のとおり取引処理を実行する。
【0051】
また、ステップs7において、残高結果表示画面220でお引出しボタン203等の操作ボタンが押下されず(ステップs7:No)、終了ボタン211が押下された場合はステップs13に移り、以下は上述の説明と同様のフローとなる。
【0052】
このようにATM1及びATM1を備えた金融機関システム100は、利用者にとっての利便性を低下させずに、セキュリティレベルの高い人物認証機能を備えることができる。
したがって、利用者にとっての利便性を低下させずに、本人成り済まし等による不正利用を防止することができる。
【0053】
例えば、残高照会処理後の引出し処理のように、複数の取扱処理を連続取引処理として取り扱い処理するATM1において、利用者によって選択された取引処理について選択操作される操作ボタン(201〜209)と、取引処理毎の所定のタイミングで利用者の利用者の顔画像を取得する人物カメラ部6と、人物カメラ部6で取得した利用者の複数の顔画像を比較し、同一人物の利用者の顔画像か否か判定する人物認証部7とを備え、残高照会処理後に、お引出しボタン203が選択入力された場合において、人物認証部7によって、お引出しボタン203の操作入力に応じた引出し処理の際に人物カメラ部6が取得した利用者の顔画像(ステップs8)と、残高照会処理の際に人物カメラ部6が取得した利用者の顔画像(ステップs3)とを比較し、同一人物でないと判定した場合、操作入力された引出し処理を、利用者と異なる別人の新規取引処理として取り扱い処理し、同一人物であると判定した場合、同じ利用者の連続取引処理として取り扱い処理するため、例えば、連続取引の変わり目で前の利用者がカードを装置内に残して立ち去った後、別の利用者がその後、続けて取引操作し、前の利用者の口座情報で取引が成立してしまうという事故を防止することができる。
【0054】
また、例えばお引出しボタン203を押下した別の利用者や、前の利用者が取引終了操作のつもりで間違って、連続取引となるお引出しボタン203を押下してしまった場合において、連続取引の変わり目で前の利用者がカードを装置内に残して立ち去ったことを知らず、通常の新規取引のつもりの別の利用者であっても、ATM1は、人物認証部7の結果に基づいて、前の利用者とは別の利用者の新規取引処理として引出し処理を行うため、別の利用者が再度操作し直すことなく、引出し処理を実行でき、利用者の利便性を低下させることなく、セキュリティレベルを向上することができる。
【0055】
また、利用者の個体識別情報として、人物カメラ部6で利用者の顔画像を撮影し、人物認証部7によって複数枚の顔画像を比較して同一人物か否か判定しているため、例えば、連続取引の際に、暗証番号を入力させて、成り済ましや上述の事故の発生を防止する場合に比べ、利用者の利便性が低下することなく、また、暗証番号入力操作にかかる時間も短縮できる。また、暗証番号を複数回入力すると、秘密情報である暗証番号を他人に盗み見されるリスクが高まるが、上述のATM1は、連続取引処理を実行する場合であっても、通常通り、初期取引の際にのみ暗証番号を入力すればよく、秘密情報である暗証番号を他人に盗み見されるリスクを低減し、セキュリティレベルを向上することができる。
【0056】
なお、上述の説明では、暗証番号を入力する処理について説明したが、指紋認証等の生体認証技術を用いて、暗証番号と併用、あるいは暗証番号なしで個人を特定し、取引処理を許可する構成であってもよい。
【0057】
また、ステップs9において人物認証部7で利用者が同一人物でないと判定した場合に、残高照会処理の際に挿入された利用者のカードをカード回収部11で回収し(ステップs20)、かつ、利用者と異なる別人の新規取引処理として取り扱い処理する際に、カード挿入要求画面を操作表示部9に表示する(ステップs21)ため、前の利用者のカードをATM1で保管し、後の取引処理を行う別の利用者に前の利用者のカードを悪用されることがなく、セキュリティレベルをより向上することができる。
【0058】
また、ATM1に、利用者の挿入するカードを受付けるとともに、受け付けたカードが正常であるかどうかを判定するカード機構部5を備えるとともに、取引処理における人物カメラ部6で撮影する所定のタイミングを、例えば、残高照会処理において、利用者によって挿入されたカードに対して、カード機構部5による正常判定に応じたタイミングや、操作ボタン(201〜209)のうちお引出しボタン203が操作入力され、残高照会処理が完了後、引出し処理の開始に応じたタイミングとすることにより、より確実、且つ無駄なく利用者の顔画像を撮影することができる。
【0059】
例えば、取引処理における処理待機中に人物カメラ部6で利用者の顔画像を撮影する場合、他方を向いて処理の完了を待っているかもしれず、照合可能な顔画像を撮影できないおそれがある。しかし、上述のタイミングで利用者の顔画像を取得する場合、利用者はATM1に向いているため、効率良く照合可能な顔画像を撮影することができる。
【0060】
さらには、利用者によって取引終了操作される終了ボタン211を残高結果表示画面220に備えるとともに、人物カメラ部6が取得した利用者の顔画像を記憶する記憶部をホストコンピュータ13に備え、終了ボタン211の操作入力に応じて、人物カメラ部6によって利用者の顔画像を最終顔画像として取得し、人物認証部7によって、終了ボタン211の操作入力(ステップs7)の直前の取引処理である引出し残高照会処理より前の残高照会処理の際に取得した利用者の顔画像と、ステップs15で撮影した最終顔画像とを比較し、同一人物でないと判定すると、最終顔画像をホストコンピュータ13の記憶部に記憶するため、万が一、顔画像終了後に、別の利用者が成り済まして取引処理が行われた場合であっても、最終顔画像を記憶しているため、のちのち別の利用者を特定することができる。したがって、上述のセキュリティレベルを有するATM1においても、万が一に事故が発生した場合における証拠として成り済ました悪意者の顔画像を用いることができる。
【0061】
なお、上述の説明では、利用者の個体識別情報として利用者の顔画像を人物カメラ部6で撮影したが、体全体の画像を撮影してもよい。また、網膜や虹彩等の生体情報を取得し、人物認証部7で同一人物かどうか判定してもよい。
【0062】
また、残高結果表示画面220で、お引出しボタン203等の操作ボタンを表示し、お引出しボタン203等の操作ボタンの押下情報でATM1は連続取引を受け付ける構成であったが、図4に示すように、取引処理の結果を表示する残高結果表示画面220に終了ボタン211と連続取引ボタン212を表示し、終了ボタン211が押下されずに(ステップs7:No)、連続取引ボタン212が押下されると(ステップs7:Yes)、人物カメラ部6で利用者の顔画像を撮影するとともに(ステップs8)、操作ボタン(201〜209)が表示された操作入力画面(図示省略)を操作表示部9に表示し、人物認証部7による顔画像の照合により、同一人物であると判定された場合(ステップs9:Yes)、操作入力画面で選択された取引処理を連続取引処理として処理を開始し、同一人物でないと判定された場合(ステップs9:No)、ステップs20に移行して、別の利用者の新規取引処理として処理してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…ATM
5…カード機構部
6…人物カメラ部
7…人物認証部
9…操作表示部
10…制御部
201…定期取引ボタン
202…お振替えボタン
203…お引出しボタン
204…預入れボタン
205…通帳記入ボタン
206…残高照会ボタン
207…お振込みボタン
208…両替ボタン
209…クレジットボタン
211…終了ボタン
212…連続取引ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先の取引処理後に、次の取引処理を連続取引処理として取り扱い処理する取引処理装置であって、
利用者によって選択された取引処理について選択操作される取引操作手段と、
前記取引処理毎の所定のタイミングで前記利用者の個体識別情報を取得する個体識別情報取得手段と、
該個体識別情報取得手段で取得した複数の個体識別情報を比較し、同一人物の個体識別情報か否か判定する人物判定手段とを備え、
先の取引処理後に、前記取引操作手段が選択入力された場合において、
前記人物判定手段によって、前記取引操作手段の操作入力に応じた次の取引処理の際に前記個体識別情報取得手段が取得した個体識別情報と、前記先の取引処理の際に個体識別情報取得手段が取得した個体識別情報とを比較し、同一人物でないと判定した場合、操作入力された前記次の取引処理を、前記利用者と異なる別人の新規取引処理として取り扱い処理し、同一人物であると判定した場合、同じ利用者の連続取引処理として取り扱い処理する
取引処理装置。
【請求項2】
前記個体識別情報取得手段を、
前記利用者を撮像する人物カメラ部で構成するとともに、
前記人物判定手段を、
前記人物カメラ部で撮像した複数の人物画像を比較し、同一人物の人物画像か否か判定する構成とした
請求項1に記載の取引処理装置。
【請求項3】
前記人物カメラ部を、
前記利用者の顔面、あるいは前記利用者の人物全体の画像を撮像する構成とした
請求項2に記載の取引処理装置。
【請求項4】
前記人物判定手段で、前記利用者が同一人物でないと判定した場合に、前記先の取引処理の際に挿入された前記利用者のカードを回収し、
かつ、前記利用者と異なる別人の新規取引処理として取り扱い処理する際に、カードの挿入を要求するカード制御部を備えた
請求項1乃至3のうちいずれかひとつに記載の取引処理装置。
【請求項5】
前記利用者の挿入するカードを受付けるとともに、受け付けた該カードが正常であるかどうかを判定するカード処理部を備えるとともに、
前記所定のタイミングを、
前記先の取引処理において、前記利用者によって挿入されたカードに対して、前記カード処理部による正常判定に応じたタイミング、あるいは、前記取引操作手段が操作入力され、前記先の取引処理が完了後、前記次の取引処理の開始に応じたタイミングとする
請求項4に記載の取引処理装置。
【請求項6】
利用者によって取引終了操作される取引終了操作手段と、
前記個体識別情報取得手段が取得した個体識別情報を記憶する記憶手段とを備え、
前記取引終了操作手段の操作入力に応じて、前記個体識別情報取得手段によって利用者の個体識別情報を最終個体識別情報として取得し、
前記人物判定手段によって、前記取引終了操作手段の操作入力の直前の取引処理より前の取引処理の際に取得した個体識別情報と、前記最終個体識別情報とを比較し、同一人物でないと判定すると、前記最終個体識別情報を前記記憶手段に記憶する
請求項1乃至5のうちいずれかに記載の取引処理装置。
【請求項7】
利用者の個体識別情報を取得した個体識別情報取得手段によって利用者の個体識別情報を既に取得した先の取引処理後に、次の取引処理を行うために利用者による取引操作を受け付ける取引操作受付ステップと、
前記個体識別情報取得手段によって次の取引処理における利用者の個体識別情報を取得する個体識別情報取得ステップと、
前記取引操作手段の操作入力に応じて前記個体識別情報取得手段が取得した個体識別情報と、前記先の取引処理の際に個体識別情報取得手段が取得した個体識別情報とを比較し、利用者が同一人物であるか否か判定する人物判定ステップとを有し、
該人物判定ステップで同一人物でないと判定した場合、前記連続取引処理を、前記利用者と異なる別人の新規取引処理として取り扱い処理し、同一人物であると判定した場合、同じ利用者の連続取引処理として取り扱い処理する
取引処理方法。
【請求項8】
前記人物判定ステップで、前記利用者が同一人物でないと判定した場合に、連続取引前の前記先の取引処理の際に挿入された前記利用者のカードを回収するカード回収ステップ、かつ、前記次の取引処理を、前記利用者と異なる別人の新規取引処理として取り扱い処理する際に、カードの挿入を要求するカード挿入要求ステップを有する
請求項7に記載の取引処理方法。
【請求項9】
利用者による取引終了操作を受け付ける取引終了操作受付ステップと、
前記取引終了操作の受付に応じて、前記個体識別情報取得手段によって利用者の個体識別情報を最終個体識別情報として取得する最終個体識別情報取得ステップと、
前記取引終了操作受付ステップの直前の取引処理より前の取引処理時に取得した個体識別情報と、前記最終個体識別情報とを比較し、同一人物でないと判定すると、前記最終個体識別情報を記憶する最終個体識別情報記憶ステップとを有する
請求項7又は8に記載の取引処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−247970(P2012−247970A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118776(P2011−118776)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】