説明

取引情報引継ぎ方式

【課題】金融機関において、取引処理中に端末で障害が発生した場合においても取引可能な別の端末に取引情報を引継ぐことで入力途中の取引を継続することが可能なシステムを提供する。
【解決手段】取引情報を保持する機能を有する端末110で取引処理中に障害等が発生し端末110で取引が継続できなくなった場合、端末110の取引情報114をサーバ100に送信し、サーバ100では取引情報114を記憶部104に一時保管し、代替処理可能な端末を端末監視部101を用いて引継ぎ可能な端末120を抽出し、サーバ100から端末120へ取引情報114を送信し、端末120では取引情報114から取引情報を取り出し、取引処理中の取引を引継ぐ事を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末とサーバで構成される情報システム並びに制御方式に関して、特に情報システムにおける冗長化方式に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金融機関の営業店において、勘定系の取引時には端末から必要な情報を入力したり、現金入出金機や通帳伝票プリンタなど金融デバイスに現金や通帳などの媒体を挿入して、サーバ及びホストコンピュータへデータを送信し、その結果、サーバ及びホストコンピュータから端末や金融デバイスに対して、画面宛のデータや媒体に対するデータを受信することで取引が完結する。
【0003】
端末に必要な情報を入力する場合、取引によっては住所情報など長いデータを入力したり、多岐の項目に渡る大量のデータの入力が必要になる場合があり、端末や金融デバイスの障害等の要因で取引中のデータが消失すると、取引の再開やデータの再入力に時間が掛かり、顧客を長時間待たせる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−87936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる従来の方法においては、次のような問題がある。すなわち、上述したような特許文献の技術では現用のユーザプレーンの障害発生時に、この障害ユーザプレーンの通信路の維持に必要な情報を予備のユーザプレーンへ引継ぎ、通信中の通信路を切断することなく処理を継続することが可能にするものであるが、処理を引継ぐ先の端末が取引状態であったり、端末に接続されている金融デバイスの状態や構成によっては処理を引継ぐことができない場合がある。
【0006】
本発明の目的は、取引処理中に端末で障害が発生した場合においても取引可能な別の端末に取引情報を引継ぐことで入力途中の取引を継続することが可能なシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
【0008】
すなわち、端末は障害発生時に取引情報を記憶部に保持し、前記取引情報を通信部よりサーバに送信する。サーバは前記取引情報を記憶部に一時保管し、端末監視部を用いて、少なくとも取引に使用するデバイスが接続されていること及び非取引中であることを条件に前記端末が行っていた取引の代替処理が可能な端末を検出すると、端末の表示部に代替処理依頼を表示し、代替処理依頼されたことを操作者に伝達する。
【0009】
代替処理可能であれば操作部で代替処理を受付け、前記取引情報を受信後、前記検出された端末にて代替処理を行う。
【0010】
代替処理不可であれば、操作部による操作で代替処理が実行不可であることをサーバに通知し、サーバは代替処理が可能な他の端末を検出するまでチェックを続ける。サーバが代替処理可能な端末を検出する前に、障害発生した前記端末が障害から復旧した場合、前記端末にて取引内容を復元し、取引を再開する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、障害の発生した取引途中の端末から、引継ぎ可能な端末に取引情報を引継がせ、引継ぎ先の端末に入力途中の取引情報を再入力することなく取引を継続することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】取引処理装置の構成図の例である。
【図2】取引処理中の取引情報を端末内に記憶するフローチャートの例である。
【図3】取引情報をサーバに送信するフローチャートの例である。
【図4】取引情報を引継ぐ際のフローチャートの例である。
【図5】取引に用いる画面の例である。
【図6】取引情報を記憶する際の構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本実施例の取引処理装置の構成図を示す。
【0014】
100サーバは営業店におけるホストコンピュータである。図1に示す100サーバの構成は、101端末監視部と、102通信部と、103取引処理部と、104記憶部と、を有する。
【0015】
101端末監視部は100サーバに接続されている110端末と120端末のデバイス接続状態及び取引状態を監視している。
【0016】
通信部102は110端末及び120端末からそれぞれ取引情報を受信または送信することができる。
【0017】
取引処理部103は110端末または120端末から取引実行通知が送られると、取引処理を行い、取引実行した端末に対して取引完了通知を送ることができる。
【0018】
104記憶部は110端末から送信される取引情報114または120端末から送信される取引情報124を一時記憶する。
【0019】
110端末は金融取引を行う端末である。図1に示す110端末の構成は、111表示部と、112操作部と、113記憶部と、114取引情報と、115通信部と、116入出金装置と、117通帳処理装置と、を有する。
【0020】
111表示部は110サーバから通知が入ったときに110端末の操作者に伝達をする。
【0021】
112操作部は110端末を操作するときの入力装置として用いる。
【0022】
113記憶部は114取引情報を格納する。
【0023】
114取引情報は、取引処理中に障害が発生した時に、他の端末で取引を引継げるように取引の情報をまとめたものである。
【0024】
115通信部は110サーバとの通信をすることができる。
【0025】
116入出金装置は110端末の操作者が紙幣・硬貨を扱う取引を行う際に紙幣・硬貨を入金及び出金することができる。
【0026】
117通帳処理装置は110端末の操作者が通帳を読込み、または書込みを行うことができる。
【0027】
120端末は110端末と同じ構成となっているため、説明は省略する。
【0028】
図2は、本実施例の取引処理中の取引情報を端末内に記憶するフローチャートを示す。
【0029】
図2に示すように、端末110で取引が行われる場合は、以下のように処理が行われる。
【0030】
ステップS100:端末110にて取引を索引する。114取引情報に索引した取引の取引種別が書き込まれる。
【0031】
ステップS101:取引画面内の1つの項目に対して入力を行う。
【0032】
ステップS102:入力されたデータが正しいかチェックを行う。チェックは入力された項目によって適宜変更される。ここでは、桁数チェック、ニューメリックチェックが実行されるが、ここでのチェックはそれだけではなく、あらゆるチェックに適用される。
【0033】
ステップS103:ステップS102のチェックでエラーとなった場合は、データ入力が確定されないため、入力データを114取引情報に格納せず、再度項目入力を行わせる。
【0034】
ステップS104:硬貨・紙幣を扱う取引での金額や、顧客が入力したパスワードなど、重要な項目は、114取引情報に格納しないようにする。
【0035】
ステップS105:ステップS104のチェックに従い、重要項目以外のデータを取引情報に格納する。
【0036】
ステップS106:入力された項目に設定されている項目IDに対応付けて、入力データを114取引情報に格納する。
【0037】
ステップS107:全項目入力した場合は、オペレータにより取引実行され、そうでない場合は未入力項目に対して入力を行う。また、必ずしも全項目に対して入力を行う必要は無く、取引種別及びオペレータ判断によっては、未入力項目がある状態で取引実行しても良い。
【0038】
ステップS108:112操作部を用いたオペレータ操作で取引を実行する。100サーバに取引実行通知を送り、サーバからの取引完了通知待ち状態で待機する。
【0039】
ステップS109:100サーバは103取引処理部にて取引処理を行い、110端末に対して取引完了通知を送信する。
【0040】
ステップS110:取引が完了すると114取引情報をクリアし、次の取引の取引情報を格納するための準備を行う。
【0041】
図3は、本実施例の取引情報をサーバに送信するフローチャートを示す。
【0042】
図3に示すように、110端末で取引処理中に障害が発生した場合は、以下のように処理が行われる。
【0043】
ステップS111:110端末の取引処理中に障害が発生する。
【0044】
ステップS112:110端末の表示部に取引引継ぎ要否を確認するウィンドウを表示する。112操作部により引継ぎ要否を回答する。
【0045】
ステップS113:ステップS112による確認結果が引継ぎ要の場合、114取引情方を取得する。確認結果が引継ぎ不要の場合は、取引情報送信フローを終了し、従来の障害復旧処理のみ行う。
【0046】
ステップS114:114取引情報を取得する。
【0047】
ステップS115:114取引情報を100サーバに送信する。
【0048】
ステップS116:100サーバは取引情報を104記憶部に一時保存し、他端末に取引情報を送信するまでの間、記憶する。
【0049】
ステップS117:取引情報送信フローを終了し、従来の障害復旧処理のみ行う。
【0050】
図4は、本実施例の取引情報を引継ぐ際のフローチャートを示す。
【0051】
図4に示すように、114取引情報を、他端末に引継ぐ時は以下のように処理が行われる。
【0052】
ステップS120:101端末監視部により取引引継ぎ可能な端末を検出する。取引引継ぎ可能な端末は、取引を実行するデバイスが接続されていること及び端末が非取引中であることとする。さらに、取引引継ぎ通知を送信したが、オペレータ判断で取引引継ぎ拒否された場合は、拒否した端末を除くほかの端末から取引引継ぎ先を探し続ける。
【0053】
取引引継ぎ可能な端末を検出する前に110端末が復旧した場合は、110端末に114取引情報を送信し、取引を再開する。もしくは、サーバから114取引情報を送信せずに、110端末内に記憶している114取引情報を用いて取引を再開してもよい。
【0054】
ステップS121:取引引継ぎ可能な端末の有無をチェックする。
【0055】
ステップS122:検出された120端末に対して取引引継ぎ通知を送信する。
【0056】
ステップS123:120端末の表示部に取引引継ぎ可能か確認するダイアログが表示される。120端末の操作者は122操作部により取引引継ぎ可否を回答する。
【0057】
ステップS124:取引引継ぎが不可であれば取引引継ぎ不可の通知を100サーバに送り、100サーバは120端末を除く他の端末で取引引継ぎ可能な端末を探し続ける。
取引引継ぎが可であれば取引引継ぎ可の通知を100サーバに送る。
【0058】
ステップS125:104記憶部から114取引情報を取得する。
【0059】
ステップS126:114取引情報を120端末に送信する。
【0060】
ステップS127:110端末の111表示部に取引引継ぎ先の端末を確保したことを表示し、また、取引に必要なものを持って120端末に向かうように指示する。
【0061】
ステップS128:120端末で受信した114取引情報から取引種別を抽出し、画面索引を行う。画面索引後、114取引情報から抽出した入力データを各項目に入力する。
【0062】
ステップS129:サーバで一時記憶していた114取引情報を削除する。
【0063】
図5は、本実施例の取引に用いる画面の例を示す。
【0064】
200取引画面は振込取引の際に使用する取引画面の例である。各項目のテキストボックスに項目IDが対応付けられており、画面上側から順にID001,ID002,ID003,ID004…と昇順に並ぶ。
【0065】
図6は、本実施例の取引情報を記憶する際の構成例を示す。
【0066】
210取引情報構成は、114取引情報に入力内容を格納する際に用いられ、端末を特定するための店番・機番、取引を特定するための取引種別、各項目のデータを格納するためのID001,ID002,ID003,ID004,ID005…と以降項目IDが昇順で並ぶ構成となっている。
【0067】
例に示す210取引情報構成の内容は、振込取引での入力データであり、振込取引の200取引画面(図5参照)と入力項目が対応付いている。
【符号の説明】
【0068】
100…サーバ、101…端末監視部、102…通信部、103…取引処理部、104…記憶部、110…端末、111…表示部、112…操作部、113…記憶部、114…取引情報、115…通信部、116…入出金装置、117…通帳処理装置、120…端末、121…表示部、122…操作部、123…記憶部、124…取引情報、125…通信部、126…入出金装置、127…通帳処理装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害発生時の取引情報を保持する記憶部と、
前記取引情報をサーバに送信する通信部と、
代替処理依頼されたことを操作者に伝達する表示部と、
代替処理可能か返答をする操作部と、
を有する端末が接続されており、
前記端末の代替処理可能な端末を検出する端末監視部と、
前記取引情報を一時保管するための記憶部と、
前記取引情報を前記検出された端末に送信する通信部と、
を有するサーバ、
を備えることを特徴とする取引処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−20317(P2013−20317A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151367(P2011−151367)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】