説明

取材場所の特定方法、それに使用する記録装置、特定装置、撮影位置または映像により特定された場所の特定装置および特定の撮影位置において撮影された映像を検索する装置

【課題】 従来は、取材者が筆記や記憶により取材場所の特定を行なっていたため、取材された大量の素材のうちの一部においては、VTRテープのカセットから取材メモが剥離したり、取材者の誤認などにより取材場所の信頼性が低く、従って、編集作業に際して取材場所の特定が困難になり、とくに、報道番組においては、これが精度の高い報道の障害となっていた。
【解決手段】 テレビジョン番組素材の取材時や一般の映像撮影時に、撮影位置を示す位置情報を映像情報と相互に不可分の関係をもって記録媒体に記録し、その記録された映像情報を再生するに際して、映像情報とともに位置情報を再生し、再生した位置情報を地名、または地図上の点および有限の領域のいずれかにより表示させるようにし、また、映像情報と相互に不可分の関係をもって記録されている位置情報を利用して映像の検索装置を構成した。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、取材されたテレビジョンの番組素材を、後で編集、放送(ON AIR)、あるいは資料化する際に、その番組素材が何処で取材されたかを容易に特定し得るように、また、取材に限らずある映像を撮影したときにその撮影位置を特定し得るようにし、さらには、テレビジョンに映出された映像により特定された場所を特定し得るようにし、また、特定の撮影位置において撮影された映像を検索し得るようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】ドラマや報道番組など殆どのテレビジョン番組は、複数の場所でそれぞれ取材された番組素材が編集されて1本の番組にまとめられている。出来上がったテレビジョン番組は、制作者の意図に従って間違いなく目的の場所で取材された素材が使用されたものでなくてはならない。
【0003】ところで、従来は、取材者が筆記や記憶により取材場所の特定を行なっていたため、取材された大量の素材のうちの一部においては、VTRテープのカセットから取材メモが剥離したり、取材者の誤認などにより取材場所の信頼性が低く、従って、編集作業に際して取材場所の特定が困難になり、とくに、報道番組においては、これが精度の高い報道の障害となっていた。
【0004】また、従来の取材場所の特定では、特定のための作業に時間がかかり、編集の効率が低下するという問題もあった。また、取材された番組素材を資料として保管する場合にも、ユニークなラベルを人手でつける必要があり、多くのマンパワーを必要としていた。また、取材者にとっては、取材をしながら取材場所を筆記したり記憶したりという取材以外の負担も生じていた。
【0005】さらに、大災害などの報道現場では、多くの取材者が一斉に取材を行なう。そのため、取材された大量のテープがどこで取材されたものか、取材者が筆記した紙や記憶を頼りにするだけでは、取材場所を正確に特定することができなかった。また、取材した素材を資料として保存する場合、検索のためのキーワードを付ける作業にも多くの人手を必要としていた。
【0006】本発明の目的は、これまで困難であった取材場所の特定を、自動的にかつ精度良く行うことにより、テレビジョン番組における報道の確度を高め、編集の効率を向上させ、また、取材者から取材場所の筆記や記憶の負担をなくすことを目的としている。また、新しい視聴者参加番組の開発にも利用し、素材の資料化、アーカイブ化で検索のサーチ情報(例えば、キーワード)として使用することも本発明の目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明による取材場所の特定方法は、テレビジョン番組素材の取材時に、GPS受信機から得られた取材場所の緯度・経度情報を映像情報を記録する記録媒体に取材映像情報とともに記録し、前記記録された取材映像情報を再生するに際して、該取材映像情報とともに記録されている前記緯度・経度情報を再生し、該再生した緯度・経度情報が地図上のどの地点に該当するかを所番地で表示させることにより、前記テレビジョン番組素材の取材場所を特定し得るようにしたことを特徴とするものである。
【0008】また、本発明による取材場所の特定方法は、前記記録媒体がVTRテープであり、前記緯度・経度情報が記録される部分が前記VTRテープ上のタイムコードのユーザーズビットであることを特徴とするものである。
【0009】また、本発明による取材場所の特定方法は、前記再生した緯度・経度情報が地図上のどの地点に該当するかを所番地で表示させるにあたっては、前記再生した緯度・経度情報に基づいて地図情報を参照し、緯度・経度を所番地に置き換えるようにしたことを特徴とするものである。
【0010】また、本発明による取材場所の特定方法に使用する記録装置は、GPS受信機、および該GPS受信機から得られた取材場所の緯度・経度情報を映像情報を記録する記録媒体に取材映像情報とともに記録する手段を少なくとも具えてなることを特徴とするものである。
【0011】また、本発明による取材場所の特定方法に使用する特定装置は、取材映像情報とともに記録されている緯度・経度情報を記録媒体から再生する手段、および該手段により再生した緯度・経度情報が地図上のどの地点に該当するかを所番地で表示させる手段を少なくとも具えてなることを特徴とするものである。
【0012】また、本発明による撮影位置の特定装置は、撮影した位置を示す位置情報を発生する手段、および該手段により発生した位置情報を当該位置において撮影した映像情報とともに相互に不可分の関係をもって記録媒体に記録する記録手段を映像情報を撮影する側に具えて、再生時に、前記記録手段によって記録されている前記記録媒体から前記位置情報を再生し、該再生された位置情報を地名、または地図上の点および有限の領域のいずれかにより表示装置に表示することにより前記映像情報の撮影位置を特定し得るようにしたことを特徴とするものである。
【0013】また、本発明による撮影位置の特定装置は、位置情報が当該位置において撮影した映像情報とともに相互に不可分の関係をもって記録されている記録媒体から、該記録媒体に記録されている前記位置情報を、同じく前記記録媒体に記録されている前記映像情報とともに再生する再生手段、および該再生手段によって再生された前記位置情報を地名、または地図上の点および有限の領域のいずれかにより表示する表示手段を映像情報を再生する側に具えて、前記映像情報の撮影位置を特定し得るようにしたことを特徴とするものである。
【0014】また、本発明による撮影位置の特定装置は、前記位置情報がGPS受信機によって得られた緯度・経度データであることを特徴とするものである。
【0015】また、本発明による撮影位置の特定装置は、前記記録媒体がVTRテープであり、前記位置情報が記録される部分が前記VTRテープ上のタイムコードのユーザーズビットであることを特徴とするものである。
【0016】また、本発明による撮影位置の特定装置は、前記記録媒体には、前記位置情報に加えて撮影した年月日および時刻の情報も、前記撮影位置において撮影した映像情報とともに相互に不可分の関係をもって記録されていることを特徴とするものである。
【0017】また、本発明による撮影位置の特定装置は、前記記録媒体には、前記位置情報に加えて該位置情報の確からしさを示す信頼度に関する情報も記録されていることを特徴とするものである。
【0018】また、本発明による撮影位置の特定装置は、前記位置情報を地名として表示する表示手段を、前記再生した位置情報に基づいて地図データを参照し、位置情報を地名に置き換えるように構成したことを特徴とするものである。
【0019】また、本発明による撮影位置の特定装置は、撮影した位置を示す位置情報を発生する手段、および該手段により発生した位置情報を当該位置において撮影した映像情報に相互に不可分の関係をもって多重化して伝送する多重化伝送手段を送信側に具えて、受信側において、前記多重化伝送手段によって伝送された多重化伝送信号から前記位置情報を多重化分離して再生し、該再生された位置情報を地名、または地図上の点および有限の領域のいずれかにより表示装置に表示することにより前記映像情報の撮影位置を特定し得るようにしたことを特徴とするものである。
【0020】また、本発明による撮影位置の特定装置は、前記多重化伝送信号が放送波信号であることを特徴とするものである。
【0021】また、本発明による撮影位置の特定装置は、前記多重化伝送信号がMPEG2データストリームであり、前記位置情報は、Video Sequenceのextensions anduser data(1) またはextensions and user data(2)関数を使用して多重化伝送することを特徴とするものである。
【0022】また、本発明による撮影位置の特定装置は、前記位置情報を当該位置において撮影した映像情報に相互に不可分の関係をもって多重化して伝送するのは、プライバシー保護の観点から生成される許可信号があるときに限られるようにしたことを特徴とするものである。
【0023】また、本発明による撮影位置の特定装置は、位置情報が当該位置において撮影した映像情報に相互に不可分の関係をもって多重化されている多重化信号を多重化分離して再生する多重化分離・再生手段、および該多重化分離・再生手段によって多重化分離されて再生された前記位置情報を地名、または地図上の点および有限の領域のいずれかにより表示する表示手段を受信側に具えて、前記映像情報の撮影位置を特定し得るようにしたことを特徴とするものである。
【0024】また、本発明による撮影位置の特定装置は、前記表示手段が動作したことを確認して、動作回数を計数する手段をさらに具え、料金計算が可能なようにしたことを特徴とするものである。
【0025】また、本発明による映像により特定された場所の特定装置は、映像により特定された場所を示す位置情報を発生する手段、および該手段により発生した位置情報を前記映像とともに相互に不可分の関係をもって多重化して伝送する多重化伝送手段を送信側に具えて、受信側において、前記多重化伝送手段によって伝送された多重化伝送信号から前記位置情報を多重化分離して再生し、該再生された位置情報を地名、または地図上の点および有限の領域のいずれかにより表示装置に表示することにより、前記映像により特定された場所を特定し得るようにしたことを特徴とするものである。
【0026】また、本発明による映像により特定された場所の特定装置は、受信側で前記位置情報を表示させ得なかった受信者のために、さらに、受信者からインターネットによるリクエストに応じてリクエストされた位置情報をインターネット経由で前記受信者に再度送信するための手段を送信側に具えたことを特徴とするものである。
【0027】また、本発明による映像により特定された場所の特定装置は、映像により特定された場所を示す位置情報が前記映像とともに相互に不可分の関係をもって多重化伝送されている多重化信号を多重化分離して再生する多重化分離・再生手段、および該多重化分離・再生手段によって多重化分離されて再生された前記位置情報を地名、または地図上の点および有限の領域のいずれかにより表示する表示手段を受信側に具えて前記映像により特定された場所を特定し得るようにしたことを特徴とするものである。
【0028】また、本発明による映像により特定された場所の特定装置は、さらに、スマートカード記憶装置を具えて、前記多重化信号を前記多重化分離・再生手段により多重化分離して再生するに先立って、受信した前記多重化信号をいったん記憶・蓄積するようにしていることを特徴とするものである。
【0029】また、本発明による特定の撮影位置において撮影された映像を検索する装置は、位置情報が当該位置において撮影した映像情報とともに相互に不可分の関係をもって記録されている記録媒体から複数の前記位置情報および前記映像情報が再生され集められた管理データを用い、特定の撮影位置を指定する位置指定手段、該位置指定手段により指定した特定の撮影位置と、前記管理データに含まれるカット毎の前記位置情報とを照合する照合手段、および該照合手段による照合の結果、前記位置情報のうちから前記特定の撮影位置に一致する映像情報を前記管理データから抽出して出力する出力手段を具えて、前記管理データに含まれ、前記特定の撮影位置において撮影されたすべての映像情報を検索し得るようにしたことを特徴とするものである。
【0030】また、本発明による特定の撮影位置において撮影された映像を検索する装置は、前記管理データが、インターネットを経由して、外部事業者から集められたものを含んでいることを特徴とするものである。
【0031】また、本発明による特定の撮影位置において撮影された映像を検索する装置は、前記位置指定手段により指定される前記特定の撮影位置が、有限の領域をもって表わせるものであることを特徴とするものである。
【0032】また、本発明による特定の撮影位置において撮影された映像を検索する装置は、前記有限の領域が、画面表示された地図上で電子的に範囲を指定することによって得られるものであることを特徴とするものである。
【0033】
【発明の実施の形態】以下に添付図面を参照し、発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。本発明は、VTRテープ等に収められたテレビジョンの番組素材が何処で取材されたものであるかを編集時や放送時に特定するものであるが、取材場所のみでなく取材日時も分かった方が素材の信頼性が一層高められるので、以下に説明する本発明の実施形態においては、GPS受信機から得られる日時情報も緯度・経度情報とともに映像情報を記録する記録媒体に記録するようにしている(表1参照)。
【0034】また、以下に説明する実施形態では、いわゆる一体型カメラを用いてテレビジョン番組素材の取材(撮影)を行い、ANSI/SMPTE12M規格に準拠した取材カメラのタイムコードのユーザーズビットを使用して、緯度・経度情報と日時情報をカセットVTRテープに記録するようにしている。
【0035】図1は、テレビジョン番組素材の取材時の本発明による緯度・経度情報(前述したように、本実施形態では日時情報を含む)の記録装置の一実施形態を示している。図1において、GPS受信機1からの受信出力信号は、取材カメラ3とのインターフェースを司る受信インターフェース2に入力される。受信インターフェース2は、同インターフェースに入力される信号の中から緯度・経度情報と日時情報を抽出し、取材カメラ3からのデータ要求に対して、それぞれのデータ(緯度・経度情報と日時情報)を取材カメラ3に渡す。取材カメラは、受信した緯度・経度情報と日時情報をANSI/SMPTE12Mタイムコードの規格に規定されるユーザーズビットのバイナリ・グループ1からバイナリ・グループ(以下、BGと略記する)8までに記録する。
【0036】タイムコードの記録は、映像に重畳して記録するVITCとテープの長手方向に記録するLTCがある。VITCを採用した場合には、1つのフレームを構成する2つのフィールドに同一内容を繰り返し記録するものとする。BGは、1グループが4ビットで構成されており、1フレームに8BGが含まれる。タイムコードのフレームカウントが00のフレームを起点として、1秒間のフレーム数が30の場合には240BGまで、フレーム数が29の場合には232BGまでをそれぞれ連結し、1つの伝送単位として使用する。ここで、フレームカウント00からフレームカウント29または28までの1伝送単位には、それぞれ240BGまたは232BGが存在し、0から239または0から231までの通し番号を付すものとする。
【0037】表1は、1秒間のフレーム数が30の場合について、1伝送単位の各BGへの情報割当ての一例を示している。
【表1】


【0038】表1において、1伝送単位の最初の11BGまでには、BCD(BinaryCoded Decimal)表記でGPS受信機1(図1参照)から得られた日時情報である年月日と時分秒を格納する。また、BG12は東経と西経の区別で、“0”を東経、“1”を西経とする。表1に示される例は“0”であるから東経を表している。経度の度分秒の情報はBG13からBG19に収納する。さらに、BG20は北緯と南緯の区別で、“0”を北緯、“1”を南緯とする。表1に示される例は“0”であるから北緯を表している。緯度の度分秒の情報はBG22からBG27に収納する。
【0039】BG28以降は、取材メモを収納するための領域で、本発明とは直接関係しないが、隣接する2つのBGを連結して1バイトのデータ長を確保し、1秒間のフレーム数が30フレームの場合には、B0〜B105迄(表1参照)の106バイトを文字列などのデータを収納するための領域として確保する。このデータ領域の使用形態は、JISに規定する文字セット規格とその符号化方式に準拠するものとし、制御文字の規定に従って記録される付帯文字列は、一伝送単位を越え、複数の伝送単位にまたがっていてもよい。規定した付帯文字列は、取材メモなど一層の情報強化のために使用される。
【0040】番組素材が収録された(取材を終了した)カセットテープは取材用カメラ3(図1参照)から取り出され、従来であれば、これに取材日時や取材場所をメモした取材メモが添付され、放送局に持ち帰られる。しかし、本発明によれば、取材場所を示す緯度・経度情報は自動的に記録されているので取材メモを添付する必要がなく、従って、メモが剥離して何処で取材したものか分らなくなることもない。
【0041】図2は、本発明によって取材された番組素材を編集する際の装置の一例の構成を示している。図2において、番組素材テープは再生VTR4によって再生され、テープのタイムコードの所定のBG(1秒間のフレーム数が30の場合、0BGから11BGまでが日時情報、12BGから27BGまでが緯度・経度情報)に記録されている日時情報と緯度・経度情報は、タイムコード読み取り回路5によってテープ再生と同時に読み取られ、コンピュータ6に送られる。
【0042】コンピュータ6には、文字編集回路7と地図情報を記憶したメモリ(ROM)8が接続されていて、日時情報は日時(年月日から秒までの)を表す文字コードに変換され、また、緯度・経度情報は地図情報を記憶したメモリ8を参照して、○○市××町24−6のような所番地を表す文字コードに変換され、取材場所が特定されたことになる。
【0043】また、タイムコードの取材メモの領域(1秒間のフレーム数が30の場合、28BGから239BGまでの領域)に記録されている取材メモ(これは、そのままで文字コードになっている)も、他の情報(日時情報と緯度・経度情報)とともにタイムコード読み取り回路5によって読み取られ、コンピュータ6に送られ、コンピュータ画面上に表示される。なお、コンピュータ6に接続されている文字編集回路7は、取材メモの中から必要な語句を選択し、更に新しい語句を追加するなどの文字編集を行い、画像を特定するキャプチャとしてふさわしい文字とするためのものである。
【0044】この文字編集された文字列は先に文字化してあった日時情報と所番地を表す文字とマージされ、画像、音声とともに収録VTR9のタイムコードに記録される。これは、原則として102バイト以内に納めるものとする。なお、キャプチャは、同時にモニタ10の表示画面上にもディスプレイされ、必要に応じて収録VTR9にも供給され収録される。
【0045】上記において、再生VTR4と収録VTR9は、それぞれ素材テープを再生し、多数の素材テープ、再生映像中から必要な部分を取り出し収録することによって完成した1本の番組を作り上げるための各VTRであり、これら両VTR(再生VTR4と収録VTR9)を制御して編集作業を行うために編集器11が設けられている。この部分については、通常行われているテレビジョン番組の編集と何ら変わりなく、公知でもあるので説明は省略する。なお、破線は、この線が制御のためのものであることを示している。
【0046】以上は、VTRの編集時の構成を例に本発明を説明したが、記録媒体はVTRに限らずDVD、家庭用VCRあるいは半導体メモリなどでも良く、資料化の画像を特定する用途にも利用できることはいうまでもない。また、記録は、タイムコードのBGを使用する例を説明したが、MPEGディジタル画像のセクション形式のデータとしたり、また、ヘッダに埋め込まれるタグとして記録することも可能である。
【0047】以上、取材されたテレビジョンの番組素材を、後で編集、放送、あるいは資料化する際に、その番組素材が何処で取材されたかを容易に特定し得るという観点から本発明を説明してきた。
【0048】しかし、番組素材が何処で取材されたかが容易に特定し得るのは、GPS受信機から得られた取材場所の緯度・経度情報が取材映像情報とともに相互に不可分の関係をもって記録媒体に記録されていて、これら緯度・経度情報と映像情報とを後の編集などにおいて相互に不可分に取り扱うことができるということに基づいている。
【0049】このように、本発明では、緯度・経度情報(すなわち、位置情報)と映像情報とを相互に不可分に取扱うようにしていることから、映像が何処(場所)で発生したものか分からなくなることはなく、従って、本出願人らは、この技術を用いた映像システムを「 Where−it−CAM 」、「どこカム」、「どこからカム」(現在、商標登録出願中)(「この映像はどこからきたんだ!」の意味)と名づけた。
【0050】この相互に不可分に取り扱うことができるという利点を生かした本発明の実施例として、記録媒体に映像情報とともに記録される位置情報は、取材映像情報の取材位置情報に限らず、例えば、資源調査などに際して、調査のために撮影された映像が何処で撮影されたかの撮影場所を示す位置情報についても全く同様に取り扱うことができる。
【0051】さらに、本発明では、位置情報は撮影位置に限らず、テレビジョンに映出された映像により特定された場所を示す位置情報であってもよく、この位置情報をテレビジョン信号に多重して放送することにより、視聴者が位置情報をテレビジョン画面に、例えば、地図上の点として表示させることにより、放送されたある店の所在場所を知ってそこを訪れるなど、放送の新しい利用形態を生むものと考えられる。
【0052】また、取材場所や撮影位置や映像により特定された場所を示す情報は、必ずしも緯度・経度情報に限るものでなく、広く位置情報であればよい。また、位置情報と同時に撮影日時に関する情報も記録あるいは多重伝送すると効果的である。
【0053】また、再生された位置情報に間違いがあってはならない。従って、本発明により位置情報を記録または多送伝送するときには、その位置情報がどの程度信頼できるかの信頼度に関する情報を併せ記録または多重伝送することが望ましい。
【0054】さらに、本発明では、位置情報と映像情報とが相互に不可分であることを利用して特定の撮影位置において撮影された映像を検索する装置を構成することができる。
【0055】以下に、これらにつき、順を追って具体的に説明する。まず、位置情報の記録場所に関しては、記録装置にデジタルVTR(VCR)を用いた場合に、非圧縮VTRでは、SMPTE−12M、SMPTE−262M、SMPTE−266Mの規格に準拠して情報を記録し、また、MPEG2で圧縮した画像を収録するVTRでは、Video Sequenceのextensions and userdata(1) 、または同じVedeo Sequenceのextensions and user data(2)関数を使用し、必要な情報を記録することができる。これら記録場所は、信号上の位置を指定しているから、信号をそのまま伝送に使用し、例えば、MPEG2標準によりデジタルテレビ放送を行う場合にも、位置情報の多重場所としてそのまま適用できることは言うまでもない。
【0056】このように、本発明では、図3に示すように、1) アナログまたはデジタルの映像メディア上で映像のカット内に適宜の時間間隔毎に位置、年月日および時刻情報が極めて精度良く、自動的かつ強制的に記録されていて、そして2) 位置情報が映像メディア上に映像信号と相互に不可分の関係をもって記録されるという構成をとっているので、以下のような効果が得られる。
1.時間がたっても位置、年月日および時刻情報が失われることが無い。
2.位置、年月日および時刻情報が十分信頼できるために、コンテンツのより詳細な情報を再構築(編集)することが容易となる。
3.電子地図などを参照することにより撮影地点の地名などを取得し、カット毎の表(管理サーバーとも言う)を自動的に生成することができる。このことは高額な人件費を必要とするオフライン編集作業、オンライン編集作業の時間短縮とコスト削減に役立つばかりでなく、より詳細な記録をもとに労力をさらにクリエイティブな方向に向けることができる。これは、例えば、別の撮影者が撮影したものからも、同一の位置情報を有するものを集めることによって時間の経過を映像で明確にすることができ、また、複数放送局間で番組素材の交換が可能となるためである。
【0057】4.電子地図を同時表示し、位置情報をその上に点で表示する(これは、位置情報の緯度・経度を電子地図のそれに合わせて輝点表示することで容易に実現できる)ことにより、一つのあるいは複数のカットの撮影位置を視覚的に把握することができ、映像の位置的または時間的な関連づけ作業を容易に行うことができる。このことはとくに放送番組制作の分野においては、事件、事故、災害の初動取材に役立ち、その社会的意義は大きい。例えば、a)土地勘や経験のない取材者でも正確に位置を把握しながら被害状況を記録する。
b)家庭用ビデオカメラなどにも同じ機能を付加することにより、訓練を受けていない視聴者からの映像も正確な情報として事件、事故、災害の初動取材に使用することが可能となる。
これらのことから分かるように、本発明は単にデータベースを作るだけでなく、知識やノウハウの共有(ナレッジ・ベース化)の構築に役立ち、また情報により客観性や保存性が加わるため、放送局内部だけでなく蓄積された映像資料が学術的にも応用可能となる。
【0058】また、撮影位置が山とか海のように広大な場所であるときには、電子地図上に該当位置を点で示すより、その点を含んだ有限の領域として表示する方が自然である。このため、例えば、位置を表す点を中心に一定の大きさの円を描き(このときは点は表示しない)、電子地図に重畳して表示することは、PC(パソコン)を用いて何らの困難なく実現することができる。
【0059】5.図4に示すように、記録メディアから位置、年月日および時刻情報を抽出してデータファイル(管理サーバー)を容易に生成し得るので、デジタル映像データベースを構築する際、テープのまま保存し、オフラインで使用する方法とデジタルストレージに保存して、オンラインデータとして使用する方法をシームレスに構築できる。これを利用して、例えば、番組を作るためのビデオ素材を撮影位置情報から検索することが可能になる。
【0060】ビデオ素材を撮影位置情報から検索する検索装置の一構成例を図5に示す。図5において、管理データ12は、位置情報が映像情報と相互に不可分の関係で記録された、例えば、膨大の数のVTRカセットテープからデータが光磁気ディスクに移され、さらに位置情報をインデックス番号として整理されていて、位置情報を指定することにより対応する映像情報が引き出されるようになっている。
【0061】検索者は、PC(パソコン)13を用い、図に示すマウスによって撮影位置の範囲を指定する。これにより、指定出力aが照合回路14に供給されるとともに、また、同照合回路14には、管理データ12に含まれるすべての位置情報bも時間順次に供給される。いま、照合回路14において、指定出力aと位置情報bとが照合され、一致(位置情報が指定範囲内にあること)したとすると、その故(一致したこと)cを管理データ12に伝える。管理データ12はその情報cを受けと、その位置情報をインデックス番号として有する映像情報dを出力回路15を介して検索された映像情報eとして出力するように動作する。
【0062】指定出力aが位置情報bに一致しないときには、照合回路14に出力が生じないため、出力回路15の出力側からは、指定した撮影位置(指定範囲)を満足する映像のみが取り出される。検索装置の他の構成例としては、いったん映像の位置情報データを取得し、PC(パソコン)上にデータベースを構築すれば、映像をオンラインで登録しておかなくても、テープの管理情報と対照することで所望の(位置情報を同じくする)映像の検索が可能となる。このようなデータベースは放送用のみならず資源調査・司法業務などにおける証拠資料撮影などの産業用途での使用、さらに、素人であるユーザーにおける家庭での位置情報付きビデオアルバムの作成などへの応用を可能とする。
【0063】6.位置、年月日および時刻情報を抽出したファイル(管理サーバー)と連動させることにより、データベース上では従来技術にない正確さでの地名検索、日付時刻検索のほか、これまでのデータベース検索にはまったくない新規なビデオロケーションサーチ、すなわち、「この辺検索システム」(Around There!Search)を行うことができる(図6参照)。さらに、精度の高い人工衛星写真と組み合わせることによりピンポイントの精度で、建造物などの特定の位置での撮影が過去に行われたかを簡単に検索することが可能となり、新規の撮影を省き過去の映像との比較を行う、などの新しい映像資産の活用方法を開くことができる。
【0064】以上のように、映像情報と相互に不可分の関係に記録または放送される位置情報はきわめて重要な意味をもち、これが間違っていると映像自体が意味のないものになってしまう。従って、測位に使用した測位衛星(GPS)の数(捕捉衛星数)などに依存して測位される位置情報の確からしさも変わってしまうので、これを位置情報とともに記録することで、蓄積された映像資料の取扱いに反映させることができ、例えば、間違った映像資料が放送されることを未然に防ぐことができる。
【0065】本発明においては、記録された位置情報の信頼性を管理するために次のようにする。まず、位置情報として、緯度・経度、高度、方位のほか捕捉衛星数および位置情報記録の書き替え回数を記録する。GPSによる測位においては、3個以上の衛星をもちいて3次元測位を可能にし、4個以上の衛星が捕捉されたときには、受信位置から処理に最適な衛星4個を選び出して時刻データの補正を行って測位データの精度を上げている。このように、GPS受信機が受信したデータの信頼性を評価する手段として、捕捉衛星数を考慮した表2に示す方法を採用するものとする。
【0066】
【表2】


【0067】従って、捕捉衛星数と位置情報記録の書き替え回数を位置情報とともに信頼度情報として記録しておくことにより、後の利用に役立たせることができる。また、屋内での撮影では常に測位不能となるので、それ以前に記録された信頼できる最新の位置情報を記録しておくものとする。この場合、該当する映像資料の利用者は、記録されている捕捉衛星の数および書き替え回数(表2参照)に応じて次の処理を行う。
a)捕捉衛星数が1個の場合 情報が信頼できないことを認識し、電子地図などを用いてデータの修正を行う。
b)捕捉衛星数が2個の場合 位置情報の精度が低いことを認識し、データの信頼度を半径200メートル程度として利用する。
c)捕捉衛星数が3個以上の場合 位置情報の精度が十分高いので、最大半径20メートル程度の範囲において信頼できるものとして利用する。
d)書き替え回数がR(x) の場合 x回の位置情報記録の書き替えが行われていることを認識し、必要に応じてもとの番組素材の撮影者に連絡をとるなどしてその信頼性を確認する。
【0068】また、本発明において、位置情報は、素材が編集・フォーマット変換などのプロセスを受けても書き替えられることは無いが、捕捉衛星数R(x) (信頼度R)であった場合、専用の機材を用いて任意に書き替えることを可能とする。しかし、この場合、上記のように書き替え回数を記録することにしているので、事故、錯誤、エラー、などのために情報が書き替えられた場合、その信頼性を最後まで評価する手段を残すことができる。
【0069】次に、テレビ放送映像と位置情報との連携によるダイナミックロケーションリンク(番組の内容そのものが直接位置情報にリンクした放送システム)について説明する。本発明においては映像と位置情報を相互に不可分に記録するだけでなく、映像情報に多重化伝送(変調)手段を用いて位置情報を付加した放送を行う(以下、付加情報サービスという)ことができる。位置情報(緯度・経度、時間、方位)はテレビ信号に多重して送られ、視聴者は位置情報のデコード方式に対応するチューナーやテレビ受像機を用いることによってその画面上、もしくは接続されたPC(パソコン)の画面上に電子地図を展開し、自分の好みの縮尺や画法で位置情報を確認することができる。
【0070】この場合、位置情報の放送にあたっては、プライバシー保護が必要な素材に誤って位置情報を付加したまま放送しないようにする必要・配慮から位置情報をそのまま放送せず、バイナリーデータ、またはBML(Broadcast Markup Langnage)やXML(Extensible Markup Language)などのテキストデータとして放送し、視聴者が持つデコーダーの機能により放送内容と再リンクさせるようにする。この際、放送局は本発明による位置情報と位置情報の送出を許可する許可信号との論理積を取るだけであるから、複雑な制御を行うことなしに位置情報の送信を可能とする。また、位置情報は容易に書き替えることができるので、プライバシー保護のため代表する連絡先を統一して本来の位置情報を、例えば、同一地域のビジターセンターの位置に置き替えるなどの表示も可能である。
【0071】このような位置情報の送出にプライバシー保護による制約のない、一般的な番組(ニュースなどは除く)やコマーシャル時間等においては、イベント開催地・お勧めのレストラン・医療機関などを番組で取り上げ、その正確な位置をユーザーがデジタルテレビ放送等を通じて入手し、適切な手段をもってコンピュータ、カーナビゲーションシステム、PDA(Personal Digital Assistant)等を用いて個人のデータベースとして再利用することが可能となる。
【0072】放送局は、視聴者が位置情報を地名あるいは地図上の点や有限の領域として表示装置に表示したり、メモリに取り込んだりしたとき、上述した付加情報サービスの利用であると認め、表示装置の動作回数を係数するなどして当該料金を視聴者から請求することができる(図7参照)。このようにすることによりダイナミックロケーションリンクのシステムを稼働させることができる。また、この場合、放送局はインターネットを通じて視聴者がリクエストした位置情報をインターネット経由で再度送信することにより、視聴者は番組中に見逃した位置情報を個別に取り出すようにすることができる。
【0073】放送時に多重される位置情報は、視聴者の要求コマンドの発行により、インターネットを通じて再度視聴者の使いやすい形式のデータファイルとして送信することもできる。この場合、視聴者の要求コマンドは課金プログラム(サーバー)の確認を得たうえで、例えば、電子メールの形式で送信され、これにより、視聴者はすでに保有するデータベースプログラム、電子地図アプリケーション、PDA(Personal Digital Assistant) 、自動車用カーナビゲーションシステムにデータを登録して使用する。この再送信にあたっては、その都度利用料金が課金されるものとする(図7参照)。
【0074】上記においては、視聴者が位置情報を表示装置に表示したり、メモリに取り込んだときには必ず課金するものとしたが、別の方法として、付加価値の高いものは放送に多重せず、(従って、放送に多重された位置情報の利用には課金しない)、放送に代えて、インターネットを用いた手段で課金を行って視聴者に届けるという方法も取り得る。
【0075】さらに、これら位置情報の放送に際しては、位置情報とともに適切なキーワードを付加して放送するので、受信機を設計する受信機メーカーはソフトウェアロボット等の技術を使用して、視聴者があらかじめ登録することのできる好みの分野やコンテンツに関する情報を位置情報と共に収集し得るように設計することも可能である。例えば、a)自宅から半径2キロ以内の食肉の特売を行っているスーパーマーケットのコマーシャルを蓄積し、その内容を比較するといった用い方。
b)車椅子を持ち込み可能な自宅から10キロ以内で行われるクラシック演奏会の会場までの道のりをPC画面上の電子地図で確認し、蓄積された情報から自宅近くのタクシー会社を探し、タクシーを手配するなど。
【0076】また、位置情報を付加した放送(付加情報サービス)が常時できるようになっていれば、大地震などの緊急時には、インターネット等を通じて各視聴者相互の最寄り避難所または視聴者が実際に非難した避難所の位置情報を安否情報とともに24時間放送することにより、安否を気づかう家族が相互に連絡をとりやすくすることができる。また緊急時の救助・支援を行う行政担当者が放送により本発明による付加情報サービスをモニターすることにより、全体の被害状況の把握と建設車両や医療物資輸送など救援物資の適切な配置を進めることができるなど、社会の安全を守る強力なインフラストラクチャーとなり得るものである。
【0077】最後に、本発明をその構成上3つの形態に分類して図8に示す。図8(a)に示す形態は、取材場所とその取材場所で撮影された映像、または取材に限らないで、一般に撮影場所とそこで撮影され映像を、それぞれ位置情報と映像情報として相互に不可分の関係をもってカセットテープなど記録媒体に記録し、再生時において、表示された映像が何処で撮影されたものかを示すようにした発明である。
【0078】図8(b)に示す形態は、図8(a)に示す形態とは、相互に不可分の関係をもつ位置情報と映像情報とを記録媒体に記録するのでなく、両情報を多重化して、例えば、放送などのように受信者に向けて伝送するようにした点で異なっている。
【0079】また、図8(c)に示す形態は、両情報を多重化して受信者に向けて伝送する点は、図8(b)に示す形態と同じであるが、位置情報が撮影場所ではなく、映像により特定された場所そのものである点で、図8R>8(a)や図8(b)に示す形態とは異なっている。図8R>8(c)に示す形態は、受信者が映像を見たとき、直ちにその映像(被写体)の存在位置を知ることができるため、需要が多く見込まれ、新たな事業を展開できるものと考えられる。
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、素材が何処で取材されたものかを人手を介さないで記録できるため、カメラマンやプロデューサが取材メモ等に労力を掛ける必要がなくなり、取材に専念することができる。また、積極的に取材メモを残したい場合でも、自動的に記録される時間情報や緯度・緯度情報との相乗効果で密度の濃い情報となる。
【0081】また、本発明によれば、編集者が取材者と違っていても、取材場所を正確に確認できるため精度の高い編集、送出が可能となる。また、資料化やアーカイブのキャプチャとして利用することもできる。
【0082】また、本発明によれば、資源調査で、例えば、河川を撮影したとし、そのときの撮影位置を河川の映像と相互に不可分の関係に記録しておくことにより、撮影時にメモをとらなくても、その河川が何処で写したものかを非常に正確に知ることができる。
【0083】また、本発明によれば、テレビジョン番組やコマーシャルで放映された店舗の映像とともに相互に不可分に放送され、存在場所を示す位置情報が得られるので、何らの困難なくその場所にたどり着くことができる。
【0084】また、本発明によれば、数多く集められた映像の中から、特定の撮影位置において撮影されたビデオ素材(映像)を検索して取り出すことができる。これにより、放送現場においては、過去に撮影された沢山の映像を再使用することができ、番組制作が高効率化、低コスト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 テレビジョン番組素材の取材時の本発明による緯度・経度情報の記録装置の一実施形態を示している。
【図2】 本発明によって取材された番組素材を編集する際の装置の一例の構成を示している。
【図3】 本発明により、位置情報が映像のカット内に適宜の時間間隔毎に映像と相互に不可分の関係に記録されることを示している。
【図4】 位置情報を抽出して管理サーバーを容易に生成し得ることを示している。
【図5】 ビデオ素材を撮影位置情報から検索する検索装置の一構成例を示している。
【図6】 「この辺」検索システムを示している。
【図7】 付加情報サービスの利用に対する課金システムの一例を示している。
【図8】 本発明を、その構成上3つの形態に分類して示している。
【符号の説明】
1 GPS受信機
2 受信インターフェース
3 取材カメラ
4 再生VTR
5 タイムコード読み取り回路
6 コンピュータ
7 文字編集回路
8 地図情報を記録したメモリ(ROM)
9 収録VTR
10 モニタ
11 編集器
12 管理データ
13 PC(パソコン)
14 照合回路
15 出力回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】 テレビジョン番組素材の取材時に、GPS受信機から得られた取材場所の緯度・経度情報を映像情報を記録する記録媒体に取材映像情報とともに記録し、前記記録された取材映像情報を再生するに際して、該取材映像情報とともに記録されている前記緯度・経度情報を再生し、該再生した緯度・経度情報が地図上のどの地点に該当するかを所番地で表示させることにより、前記テレビジョン番組素材の取材場所を特定し得るようにしたことを特徴とする取材場所の特定方法。
【請求項2】 請求項1記載の取材場所の特定方法において、前記記録媒体がVTRテープであり、前記緯度・経度情報が記録される部分が前記VTRテープ上のタイムコードのユーザーズビットであることを特徴とする取材場所の特定方法。
【請求項3】 請求項1または2記載の取材場所の特定方法において、前記再生した緯度・経度情報が地図上のどの地点に該当するかを所番地で表示させるにあたっては、前記再生した緯度・経度情報に基づいて地図情報を参照し、緯度・経度を所番地に置き換えるようにしたことを特徴とする取材場所の特定方法。
【請求項4】 GPS受信機、および該GPS受信機から得られた取材場所の緯度・経度情報を映像情報を記録する記録媒体に取材映像情報とともに記録する手段を少なくとも具えてなることを特徴とする請求項1乃至3記載の取材場所の特定方法に使用する記録装置。
【請求項5】 取材映像情報とともに記録されている緯度・経度情報を記録媒体から再生する手段、および該手段により再生した緯度・経度情報が地図上のどの地点に該当するかを所番地で表示させる手段を少なくとも具えてなることを特徴とする請求項1乃至3記載の取材場所の特定方法に使用する特定装置。
【請求項6】 撮影した位置を示す位置情報を発生する手段、および該手段により発生した位置情報を当該位置において撮影した映像情報とともに相互に不可分の関係をもって記録媒体に記録する記録手段を映像情報を撮影する側に具えて、再生時に、前記記録手段によって記録されている前記記録媒体から前記位置情報を再生し、該再生された位置情報を地名、または地図上の点および有限の領域のいずれかにより表示装置に表示することにより前記映像情報の撮影位置を特定し得るようにしたことを特徴とする撮影位置の特定装置。
【請求項7】 位置情報が当該位置において撮影した映像情報とともに相互に不可分の関係をもって記録されている記録媒体から、該記録媒体に記録されている前記位置情報を、同じく前記記録媒体に記録されている前記映像情報とともに再生する再生手段、および該再生手段によって再生された前記位置情報を地名、または地図上の点および有限の領域のいずれかにより表示する表示手段を映像情報を再生する側に具えて、前記映像情報の撮影位置を特定し得るようにしたことを特徴とする撮影位置の特定装置。
【請求項8】 請求項7記載の撮影位置の特定装置において、前記位置情報はGPS受信機によって得られた緯度・経度データであることを特徴とする撮影位置の特定装置。
【請求項9】 請求項7または8記載の撮影位置の特定装置において、前記記録媒体がVTRテープであり、前記位置情報が記録される部分が前記VTRテープ上のタイムコードのユーザーズビットであることを特徴とする撮影位置の特定装置。
【請求項10】 請求項7乃至9のいずれか1項記載の撮影位置の特定装置において、前記記録媒体には、前記位置情報に加えて撮影した年月日および時刻の情報も、前記撮影位置において撮影した映像情報とともに相互に不可分の関係をもって記録されていることを特徴とする撮影位置の特定装置。
【請求項11】 請求項7乃至10のいずれか1項記載の撮影位置の特定装置において、前記記録媒体には、前記位置情報に加えて該位置情報の確からしさを示す信頼度に関する情報も記録されていることを特徴とする撮影位置の特定装置。
【請求項12】 請求項7乃至11のいずれか1項記載の撮影位置の特定装置において、前記位置情報を地名として表示する表示手段を、前記再生した位置情報に基づいて地図データを参照し、位置情報を地名に置き換えるように構成したことを特徴とする撮影位置の特定装置。
【請求項13】 撮影した位置を示す位置情報を発生する手段、および該手段により発生した位置情報を当該位置において撮影した映像情報に相互に不可分の関係をもって多重化して伝送する多重化伝送手段を送信側に具えて、受信側において、前記多重化伝送手段によって伝送された多重化伝送信号から前記位置情報を多重化分離して再生し、該再生された位置情報を地名、または地図上の点および有限の領域のいずれかにより表示装置に表示することにより前記映像情報の撮影位置を特定し得るようにしたことを特徴とする撮影位置の特定装置。
【請求項14】 請求項13記載の撮影位置の特定装置において、前記多重化伝送信号が放送波信号であることを特徴とする撮影位置の特定装置。
【請求項15】 請求項13または14記載の撮影位置の特定装置において、前記多重化伝送信号がMPEG2データストリームであり、前記位置情報は、Video Sequenceのextensions and user data(1) またはextensions and userdata(2) 関数を使用して多重化伝送することを特徴とする撮影位置の特定装置。
【請求項16】 請求項13乃至15のいずれか1項記載の撮影位置の特定装置において、前記位置情報を当該位置において撮影した映像情報に相互に不可分の関係をもって多重化して伝送するのは、プライバシー保護の観点から生成される許可信号があるときに限られるようにしたことを特徴とする撮影位置の特定装置。
【請求項17】 位置情報が当該位置において撮影した映像情報に相互に不可分の関係をもって多重化されている多重化信号を多重化分離して再生する多重化分離・再生手段、および該多重化分離・再生手段によって多重化分離されて再生された前記位置情報を地名、または地図上の点および有限の領域のいずれかにより表示する表示手段を受信側に具えて、前記映像情報の撮影位置を特定し得るようにしたことを特徴とする撮影位置の特定装置。
【請求項18】 請求項17記載の撮影位置の特定装置において、前記表示手段が動作したことを確認して、動作回数を計数する手段をさらに具え、料金計算が可能なようにしたことを特徴とする撮影位置の特定装置。
【請求項19】 映像により特定された場所を示す位置情報を発生する手段、および該手段により発生した位置情報を前記映像とともに相互に不可分の関係をもって多重化して伝送する多重化伝送手段を送信側に具えて、受信側において、前記多重化伝送手段によって伝送された多重化伝送信号から前記位置情報を多重化分離して再生し、該再生された位置情報を地名、または地図上の点および有限の領域のいずれかにより表示装置に表示することにより、前記映像により特定された場所を特定し得るようにしたことを特徴とする映像により特定された場所の特定装置。
【請求項20】 請求項19記載の映像により特定された場所の特定装置において、該装置は、受信側で前記位置情報を表示させ得なかった受信者のために、さらに、受信者からインターネットによるリクエストに応じてリクエストされた位置情報をインターネット経由で前記受信者に再度送信するための手段を送信側に具えたことを特徴とする映像により特定された場所の特定装置。
【請求項21】 映像により特定された場所を示す位置情報が前記映像とともに相互に不可分の関係をもって多重化伝送されている多重化信号を多重化分離して再生する多重化分離・再生手段、および該多重化分離・再生手段によって多重化分離されて再生された前記位置情報を地名、または地図上の点および有限の領域のいずれかにより表示する表示手段を受信側に具えて前記映像により特定された場所を特定し得るようにしたことを特徴とする映像により特定された場所の特定装置。
【請求項22】 請求項21記載の映像により特定された場所の特定装置は、さらに、スマートカード記憶装置を具えて、前記多重化信号を前記多重化分離・再生手段により多重化分離して再生するに先立って、受信した前記多重化信号をいったん記憶・蓄積するようにしていることを特徴とする映像により特定された場所の特定装置。
【請求項23】 位置情報が当該位置において撮影した映像情報とともに相互に不可分の関係をもって記録されている記録媒体から複数の前記位置情報および前記映像情報が再生され集められた管理データを用い、特定の撮影位置を指定する位置指定手段、該位置指定手段により指定した特定の撮影位置と、前記管理データに含まれるカット毎の前記位置情報とを照合する照合手段、および該照合手段による照合の結果、前記位置情報のうちから前記特定の撮影位置に一致する映像情報を前記管理データから抽出して出力する出力手段を具えて、前記管理データに含まれ、前記特定の撮影位置において撮影されたすべての映像情報を検索し得るようにしたことを特徴とする特定の撮影位置において撮影された映像を検索する装置。
【請求項24】 請求項23記載の検索する装置において、前記管理データは、インターネットを経由して、外部事業者から集められたものを含んでいることを特徴とする特定の撮影位置において撮影された映像を検索する装置。
【請求項25】 請求項23または24記載の検索する装置において、前記位置指定手段により指定される前記特定の撮影位置は、有限の領域をもって表わせるものであることを特徴とする特定の撮影位置において撮影された映像を検索する装置。
【請求項26】 請求項25記載の検索する装置において、前記有限の領域は、画面表示された地図上で電子的に範囲を指定することによって得られるものであることを特徴とする特定の撮影位置において撮影された映像を検索する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2001−111942(P2001−111942A)
【公開日】平成13年4月20日(2001.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−19766(P2000−19766)
【出願日】平成12年1月28日(2000.1.28)
【出願人】(599110810)株式会社 エヌエイチケイエンタープライズ二十一 (1)
【出願人】(594044646)株式会社エヌエイチケイテクニカルサービス (20)
【Fターム(参考)】