説明

受付システム

【課題】レセプション等での受付事務を自動化して作業効率を改善し、併せて、来訪者に対する迅速な対応を可能にする受付システムを提供する。
【解決手段】受付システムは、各来訪者に対し事前に割り当てられた固有の識別情報(二次元コード等)を記録する携帯電話と、前記識別情報に対応する来訪者の個人情報を格納するデータベースと、到着した来訪者の識別情報を読み取るリーダーと、読み取った識別情報に対応する個人情報をデータベースから抽出する抽出手段(CPU)と、来訪者の個人情報を表示する携帯端末と、データベースから抽出した来訪者の個人情報を携帯端末に送信するための送信手段(CPU)とを有する。上記構成によれば、レセプション会場や結婚式場に到着した来訪者に対し、迅速に受付処理を行うことができる。また、来訪者の到着を瞬時に把握できるので、来訪者を待たせることなく、その者に合った適切な対応を迅速に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種式典の式場、各種行事の会場、催事場、宿泊施設、交通施設等に到着した来訪者を自動的に識別し受け付けるための受付システムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種式典の式場や、宿泊施設等では、予め参加指定された者や宿泊予約をした者等が来訪する。通常、かかる来訪者に対しては、サービス等の提供に先立って受付処理を行い、出欠確認を兼ねて来訪者の氏名や住所等の確認を行うのが一般的である。
【0003】
しかしながら、企業のレセプション等の各種会合や式典の受付で一般的に要求される記帳手続等は、受付担当者にとっても来訪者にとっても、極めて煩わしい作業である。
また、レセプションや結婚式などでは、開始時間が決まっているため、短時間の間に多くの招待客が押し寄せ長蛇の列が生じる。そのため、従来の人的な受付方法では、式典の規模によっては多くの招待客を長時間待たせるといった問題が生じている。
特に、来訪者が要人である場合には、迅速な受付処理が望まれるところであるが、従来のような人的な受付処理では、対応の迅速性の改善には限界がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、上述した問題点に鑑み、本発明の目的は、レセプションや結婚式等で必要とされる受付事務を自動化して作業効率を改善し、併せて、来訪者に対する迅速かつ適切な対応を可能にする受付システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記本発明の目的は、所定の場所や施設への来訪者を自動的に識別して受け付けるための受付システムであって、
各来訪者に対し事前に個別に割り当てられた固有の識別情報を有する、携帯可能な情報記録媒体と、
前記識別情報に対応する来訪者の個人情報を格納するデータベースと、
到着した来訪者の識別情報を読み取るための読取手段と、
読み取った前記識別情報に対応する来訪者の個人情報を、前記データベースから抽出するための抽出手段と、
を有する受付システムによって達成される。
【0006】
さらに、上記受付システムは、
来訪者の個人情報を表示するための携帯端末装置と、
前記データベースから抽出した来訪者の個人情報を、前記携帯端末装置に送信するための送信手段と、を有していることが好ましい。
【0007】
また、上記受付システムにおいて、前記個人情報には少なくとも来訪者の氏名が含まれることが好ましい。
また、各来訪者に対し個別に割り当てられた固有の識別情報が、バーコード、二次元コード、磁気カードが記録する識別コード、又はICチップが記録する識別コードであることが好ましい。
また、前記情報記録媒体および前記携帯端末装置の少なくとも何れか一方が携帯電話であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
上記構成の本発明によれば、レセプション会場や結婚式場に到着した来訪者に対し、迅速に受付処理を行うことができる。その結果、式典や行事の規模にかかわらず、来訪者の待ち時間を大幅に短縮することができる。また、出欠確認を自動的に行える結果、作業効率を大幅に改善することができ、従来受付処理に充てていた人員・時間を他の作業に充てることができる。
【0009】
また、携帯端末装置を受付担当者や主催者に所持させることにより、すべて又は特定の来訪者の到着を瞬時に把握できるので、来訪者を待たせることなく、その者に合った適切な対応を迅速に行うことができる。
特に、サービスを提供する事業者にとっては、重要な顧客が来店・来場した時点でそれが把握できることとなり、顧客満足度のより一層の向上を図ることができるといったメリットがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、所定の場所や施設に到着した来訪者を自動的に識別して受け付けるための受付システムである。ここでいう「所定の場所や施設」とは、来訪することが予定された者(招待者や予約客)が訪れる場所や施設を意味し、具体例としては、パーティーやレセプション等の各種行事の会場、結婚式等の各種式典の式場、催事場、宿泊施設、交通施設等が挙げられる。
【0011】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の受付システムの構成の一例を示す図である。
図2は、本発明の受付システムの構成の他の例を示す図である。
【0012】
(本発明の受付システムの構成)
図示する本発明の受付システムは、主として、各来訪者が携帯する情報記録媒体1と、到着した来訪者の受付処理を自動的に行う受付装置3と、当該来訪者の個人情報を表示するための携帯端末装置5とを含んでいる。受付装置3は、特定の来訪者が集まるレセプション会場等の所定の場所や施設に設置される。情報記録媒体1は、レセプション会場等への到着前から各来訪者が所持している必要がある。携帯端末装置5は、各種行事の式典や行事の受付担当者、案内係、主催者等が所持することを想定している。
【0013】
携帯電話として例示された情報記録媒体1には、各来訪者に固有の識別情報が記録されている。図1では、識別情報として二次元コード(いわゆるQRコード(登録商標))を例示している。当該識別情報は、個々の来訪者に固有のものであって、各来訪者に対し事前に個別に割り当てられている。例えば、来訪者が所有する携帯電話に対し、事前にインターネット経由で前記識別コードを送信してもよい。
なお、図1では視覚的な識別情報として二次元コードが例示されているが、その他、識別情報としてバーコード、文字、記号、図形等を利用することもできる。
【0014】
上述した情報記録媒体は、携帯電話に限定されるものではなく、識別コードを記録可能な磁気カード、磁気テープを貼り付けた招待状、バーコードや二次元コードが貼付又は印刷された招待状を利用することも可能である。また、図2に示すように、識別コードが記録されたICタグやICチップ等が組み込まれた招待状2を利用することもできる。
【0015】
受付装置3は、レセプション会場や結婚式場等の所定の場所に設置される。
この受付装置は、主として、到着した来訪者の識別情報を読み取るためのリーダー(読取手段)31と、来訪が予定されている者の個人情報を格納するデータベース33と、各種演算処理を行い周辺機器を制御するCPU(Central Processing Unit)35とを有している。なお、CPUは、本願発明の「抽出手段」及び「送信手段」としての機能を備えている。
【0016】
識別情報を読み取る手段としてのリーダー31は、会場や式場の所定位置(例えばゲートや受付窓口)に設置される。図1の場合では、リーダー31は、二次元コードスキャナーとしての機能を有している。
なお、リーダーの種類は、来訪者が携帯する情報記録媒体の種類に対応したものであれば特に限定されず、例えばバーコードリーダー、ICタグリーダー、磁気カードリーダー等を利用することができる。
【0017】
データベース33に格納された個人情報は、それぞれ、各来訪者に事前に個別に割り当てられた識別情報に対応している。したがって、来訪者が携帯する情報記録媒体1から識別情報さえ認識できれば、該当する来訪者の個人情報を瞬時に抽出することができる。
なお、データベース33に記録される「個人情報」の具体的内容としては、例えば、各来訪者の住所、氏名、会社名、電話番号、Eメールアドレス、顔写真等が挙げられる。
【0018】
来訪者の個人情報を表示するための携帯端末装置5は、主に、行事や式典の受付担当者や案内係あるいは主催者等が所持することを想定している。図1では、携帯端末装置5の一例として携帯電話を図示している。かかる携帯端末装置には、受付装置のデータベースから読み出された個人情報の全部または一部(少なくとも当該来訪者の氏名)が、インターネット、LAN又は公衆電話回線を経由して送信され表示されるようになっている。
なお、携帯端末装置5の種類は、携帯電話に限定されず、PDAやポケットベル等でもよい。
【0019】
(受付システムによる受付処理)
次に、一例として、上記構成の受付システムをレセプション会場に設置した場合における、来訪者(招待者)の受付処理について説明する。
【0020】
レセプションの各招待者へは、事前に、固有の識別情報が送付されている。
例えば図1に示す例では、事前にインターネット経由で、その者の情報記録媒体1(以下「携帯電話」という。)に識別情報として二次元コードが送信されている。
【0021】
レセプション会場に到着した招待者は、案内に従って、自分の携帯電話1のディスプレイに識別情報(二次元コード)を表示させる。続いて、会場のゲートに設置されたコードリーダーに携帯電話1を近づけ、二次元コードを読み取らせる。
【0022】
当該招待者の識別情報の読み取りが完了したら、受付装置3は、CPU35による制御に従って、読み取った識別情報に対応する個人情報をデータベース33から抽出する。同時に、データベース33内の当該個人情報に、当該招待者の到着日時を付加し、出席情報を記録する。
【0023】
続いて、データベース33から抽出された個人情報は、当該招待者の到着時間情報とともに、受付担当者や主催者が所持する携帯端末5に送信される。
なお、上述した携帯端末5への個人情報・到着時間情報の送信は、必ずしもすべての招待者について行う必要はなく、予め設定された特定人(例えば重要人物や危険人物)についてだけ行うようにしてもよい。また、携帯端末5を複数用意し、招待者の重要度や危険性等に応じて、異なる携帯端末に個人情報・到着時間情報を送信するようにしてもよい。例えば、特別に重要な招待客が来場した場合には、要人案内係の携帯端末に送信し、危険人物が来場した場合には、警備担当者の携帯端末に送信し、身障者が来場した場合には、介助係の携帯端末に送信することも可能である。
【0024】
当該招待者の識別情報の読み取りが完了したら、招待者の携帯電話1には受付完了が通知される。
なお、各招待者に対して個別に案内が必要な場合、例えば着席位置や部屋番号等の案内が必要な場合には、受付完了通知とともに、それらの指示案内情報が通知されてもよい。また、主催者側から各招待者に対して個別にメッセージ(来場のお礼等のテキスト、画像又は動画のデータ)を送る必要がある場合には、これらのメッセージが、受付完了通知とともにが通知されてもよい。勿論、これらの指示案内情報やメッセージは、受付装置3が具備するモニター(図示せず)に表示することも可能である。
【0025】
受付装置3から携帯端末装置5への情報送信手段としては、インターネットやLAN経由でのEメールによる送信方法や、公衆電話回線を利用した送信方法が挙げられる。
また、受付装置3から携帯電話1への受付完了通知等の送信手段としても、同様の方法を採用することができる。
【0026】
受付担当者や主催者の携帯端末5が受付装置から個人情報を受信すると、そのディスプレイには、例えば「H19/07/31 14:35:00 A氏会場到着」と表示される。
【0027】
上述した受付処理は、来訪者の情報記録媒体として携帯電話を利用した態様であるが、図2に示すような、ICタグが組み込まれた招待状2を利用した場合でも同様の処理を行うことができる。
【0028】
上述した本発明の受付システムによれば、レセプション会場や結婚式場に到着した来訪者に対し、迅速に受付処理を行うことができる。その結果、式典や行事の規模にかかわらず、来訪者の待ち時間を大幅に短縮することができる。また、出欠確認を自動的に行える結果、作業効率を大幅に改善することができ、従来受付処理に充てていた人員・時間を他の作業に充てることができる。
【0029】
また、本発明によれば、携帯端末装置を受付担当者や主催者に所持させることにより、すべて又は特定の来訪者の到着を瞬時に把握できるので、来訪者を待たせることなく、その者に合った適切な対応を迅速に行うことができる。
特に、サービスを提供する事業者にとっては、重要な顧客が来店・来場した時点でそれが把握できることとなり、顧客満足度のより一層の向上を図ることができるといったメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の受付システムの構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の受付システムの構成の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 情報記録媒体(携帯電話)
2 招待状
3 受付装置
5 携帯端末装置(携帯電話)
31 リーダー(読取手段)
33 データベース
35 CPU(抽出手段,送信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の場所や施設への来訪者を自動的に識別して受け付けるための受付システムであって、
各来訪者に対し事前に個別に割り当てられた固有の識別情報を有する、携帯可能な情報記録媒体と、
前記識別情報に対応する来訪者の個人情報を格納するデータベースと、
到着した来訪者の識別情報を読み取るための読取手段と、
読み取った前記識別情報に対応する来訪者の個人情報を、前記データベースから抽出するための抽出手段と、
を有することを特徴とする受付システム。
【請求項2】
さらに、
来訪者の個人情報を表示するための携帯端末装置と、
前記データベースから抽出した来訪者の個人情報を、前記携帯端末装置に送信するための送信手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の受付システム。
【請求項3】
前記個人情報には少なくとも来訪者の氏名が含まれることを特徴とする請求項1又は2記載の受付システム。
【請求項4】
各来訪者に対し個別に割り当てられた固有の識別情報が、バーコード、二次元コード、磁気カードが記録する識別コード、又はICチップが記録する識別コードであることを特徴とする請求項1又は2記載の受付システム。
【請求項5】
前記情報記録媒体および前記携帯端末装置の少なくとも何れか一方が携帯電話であることを特徴とする請求項1又は2記載の受付システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−32188(P2009−32188A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197753(P2007−197753)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(507133371)セレストインターコーポレーション株式会社 (3)
【Fターム(参考)】