説明

受付装置および受付方法

【課題】画像プリントの受付の際に、画像プリントに対する顧客の嗜好を反映させた画像補正が可能な受付技術を提供する。
【解決手段】受付部21は、顧客から複数の画像データを取得し、当該画像データを画像プリントするためのオーダを受付ける。画像特性取得部41は、取得した画像データの画像特性を取得する。補正指示取得部42は、複数の画像データの各々に対する顧客からの補正指示を取得する。嗜好解析部43は、補正指示がなされた複数の画像データの画像特性と画像データの各々に対する補正指示とに基づき顧客の画像に対する嗜好を解析する。基準補正量修正部44は、解析された嗜好に基づき基準補正量を修正する。画像補正部45は、修正された基準補正量を画像データに適用して補正画像データを作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客から画像データを取得し、画像プリントを受け付ける受付技術に関する。特に、画像データに対する補正量を入力することができる受付技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の写真処理機器の進歩に伴い、写真処理機器が小型化、低価格化している。そのため、自身の店舗にミニラボと称せられる写真処理機器を設置し、ミニラボで顧客からのオーダを処理する写真プリント店が増大している。これにより、顧客に写真プリントを引渡すまでの時間を短縮することで顧客の利便性を向上させると共に、独自性の高いプリント画像作り等により他店舗との差別化を図っている。
【0003】
また、写真プリントのオーダを入力可能な受付装置を店舗に設置し、顧客自らが写真プリントのための画像データや写真プリントの枚数等のオーダ情報を入力可能にする店舗も増大している。このような受付装置を用いることで、店舗の省力化が図られている。
【0004】
このような受付装置では、顧客自らが画像データに対する補正量を指定することが可能となっているものがある。しかしながら、近年のデジタルカメラ等の普及により、一度に受付を行う画像データの数が増大しており、一般の顧客が、各々の画像データに対して補正量を指定することは容易ではない。まして、全ての画像データに対して個別に補正量を指定することは、かなり困難である。
【0005】
このような問題点を解決するために、様々な方法が検討されている。例えば、特許文献1の技術では、顧客のプリント履歴を顧客ごとに個別に管理し、顧客からプリント注文を受けた画像の中から再プリントの注文を受けた画像を再プリント対象画像として前記プリント履歴に基づいて検出し、前記再プリント対象画像に対して以前に行った画質補正と同じ画質補正が施されるように、前記プリント履歴に基づいて画質補正の項目と補正量を設定している。これにより、一度画質補正を行えば、その履歴に基づき補正量が決定されるため、以降の画像プリント時の補正量の指定を省くことができる。
【0006】
【特許文献1】特開2006−107291(段落番号0007−0008、図23)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、特許文献1では、補正量指示の労力を低減することができるものである。しかし、特許文献1の技術では、過去に使用した補正量が以降の処理において一律に使用されるため、画像データの画像特性によっては好ましくない補正結果が得られる場合がある。また、単に過去に用いた補正量を使用するだけであり、画像に対する顧客の嗜好を反映させることは困難である。
【0008】
本発明の課題は、上記実状に鑑み、画像プリントの受付の際に、画像プリントに対する顧客の嗜好を反映させた画像補正が可能な受付技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の受付装置は、顧客から複数の画像データを取得し、当該画像データを画像プリントするためのオーダを受付ける受付部と、前記画像データに対して基準補正量を適用して補正画像データを生成する画像補正部を備えた受付装置であって、前記画像データの画像特性を取得する画像特性取得部と、複数の前記画像データの各々に対する前記顧客からの補正指示を取得する補正指示取得部と、補正指示がなされた前記複数の画像データの画像特性と当該画像データの各々に対する補正指示とに基づき、前記顧客の画像に対する嗜好を解析する嗜好解析部と、前記嗜好に基づき前記基準補正量を修正する基準補正量修正部と、を備えている。
【0010】
この構成では、顧客がいくつかの画像データに対して設定した補正指示が補正指示取得部により取得され、その補正指示と画像データの画像特性とに基づき顧客の嗜好が解析される。さらに、その嗜好に基づき基準となる基準補正量が修正され、修正された基準補正量が画像データに適用される。これにより、顧客がいくつかの画像データに対して設定した補正量から顧客の嗜好が解析され、その嗜好に適合するように画像の補正が行われるため、顧客は全ての画像データに対する補正量を設定することなく、自身の嗜好に合った補正画像を得ることができる。
【0011】
また、本発明の受付装置の好適な実施形態の一つでは、記補正指示取得部は、前記補正指示としてコメントを取得し、前記嗜好解析部は、補正指示がなされた前記複数の画像データに対する複数の前記コメントを解析するコメント解析部を備え、補正指示がなされた前記画像データの画像特性と当該解析結果とに基づき前記嗜好を解析する。
【0012】
この構成では、コメントとして補正指示を入力できるため、顧客は細かな操作をすることなく補正指示を入力することができる。このとき、コメントは自由形式(フリーフォーマット)で入力できると好適である。
【0013】
本発明の受付装置では、基準補正量に顧客の嗜好を反映させ、その基準補正量を用いて画像補正を行うことにより、顧客の嗜好に合った画像プリントを行うことができる。しかしながら、各々の画像データは僅かなりとも異なる画像特性を有しているため、基準補正画像を全ての画像データに対して均一的に適用しても適正な画像が得られない場合がある。そのため、本発明の受付装置の好適な実施形態の一つでは、前記画像補正部は、修正された前記基準補正量を、補正を行う前記画像データの画像特性に適合するように修正する基準補正量修正部を備え、当該画像データに対して当該基準補正量を適用して前記補正画像データを生成する。
【0014】
この構成では、顧客の嗜好が反映された基準補正量を、補正対象の画像データの画像特性に適合するように修正し、その画像特性に適合するように修正された基準補正量を各々の画像データに対して適用し補正画像データを作成する。これにより、得られる補正画像データは、顧客の嗜好を反映しつつ、その画像データに適合した補正を行うことができる。
【0015】
上述した本発明による受付装置の技術的特徴は、受付方法にも適用可能である。例えば、顧客から複数の画像データを取得し、当該画像データを画像プリントするためのオーダを受付ける受付ステップと、前記画像データに対して基準補正量を適用して補正画像データを生成する画像補正ステップを備えた受付方法であって、前記画像データの画像特性を取得する画像特性取得ステップと、複数の前記画像データの各々に対する前記顧客からの補正指示を取得する補正指示取得ステップと、補正指示がなされた前記複数の画像データの画像特性と当該画像データの各々に対する補正指示とに基づき、前記顧客の画像に対する嗜好を解析する嗜好解析ステップと、前記嗜好に基づき前記基準補正量を修正する基準補正量修正ステップと、を備えている。当然ながら、このような受付方法も上述した受付装置で述べた作用効果を得ることができ、さらに上述した付加的技術を組み込むことも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〔第1実施形態〕
以下に、本発明による受付装置を用いた受付システムの第1実施形態を図面に基づき説明する。図1は、本実施形態における受付システムAの斜視図である。受付システムAは、上部の受付装置AUおよび下部の料金受領装置ADから構成されている。受付装置AUは、フラッシュメモリ等の半導体メモリからなる各種の半導体記録媒体から画像データを取得するための半導体ドライブ2、CD−R等のディスク型記録媒体から画像データを取得するディスクドライブ3、受付証Rをプリントし排出する受付証プリンタ4、カメラ付き携帯電話等の機器に接続し画像データを取得するコネクタ5、および各種の表示を行うと共に顧客からの入力を可能にするタッチパネル6を表示面に形成したディスプレイ7を備えている。
【0017】
図2は、受付装置AUの機能ブロック図である。受付装置AUの本体1の内部には、顧客から画像データを取得すると共に各種受付処理を制御する受付制御部20、受付制御部20により取得された画像データを画像記録媒体31に記録管理する画像管理部24、受付制御部20により取得された画像データの画像特性を取得する画像特性取得部41、受付制御部20により取得された画像データの各々に対する補正指示を取得する補正指示取得部42、補正指示取得部42により取得された補正指示とその補正指示に対応する画像データの画像特性とに基づき顧客の画像に対する嗜好を解析する嗜好解析部43、嗜好解析部43により解析された嗜好に基づき基準補正量を修正する基準補正量修正部44、基準補正量に基づき画像データを補正し補正画像データを生成する画像補正部45、基準補正量や画像特性取得部41により取得された画像特性等の各種処理結果を保持するメモリ32、ディスプレイ7への出力およびタッチパネル6からの入力を制御するGUI部33、ディスプレイ7への表示データの生成等を行う表示部25と、が備えられている。
【0018】
本実施形態では、受付制御部20、画像管理部24、画像特性取得部41、補正指示取得部42、嗜好解析部43、基準補正量修正部44、画像補正部45および表示部25は、ソフトウェアにより構成されるが、ハードウェアにより構成してもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが協働する構成としても構わない。
【0019】
また、受付制御部20には、顧客からのオーダ受付処理を行う受付部21と、受付けたオーダを特定可能な情報(以下、オーダ特定情報と称する)を生成するオーダ特定情報生成部22と、オーダ特定情報をはじめとする引渡時に必要となる情報をプリントした受付証Rを作成する受付証作成部23と、が備えられている。
【0020】
なお、本実施形態では、オーダ特定情報はオーダ毎に排他的に割り当てられた数字を用いるが、他の情報を用いても構わない。また、画像管理部24により、各々の画像データにはコマ番号が付与されており、このコマ番号により画像データの識別を行っている。当然ながら、他の情報を用いて画像データを識別する構成としても構わない。
【0021】
一方、料金受領装置ADは、縦長姿勢のケース10の上部位置に備えられ、硬貨を受領する硬貨投入孔11Aを備えた硬貨受領器11、紙幣を受領する紙幣挿入孔12Aを備えた紙幣受領器12、およびケース10の下部位置に備えられ、釣銭を排出する釣銭排出口13Aを供えた釣銭排出器13を備えている。
【0022】
次に、図3のフローチャートを用いて、本発明の受付装置の処理の流れを説明する。受付装置AUのディスプレイ7には、受付部21により、初期画面として各種処理へ移行するためのメニューが表示されている。顧客は、タッチパネル6を操作してオーダ受付処理に移行させる。このとき、受付部21は、ディスプレイ7に顧客に対する指示を表示している。顧客はその指示に従い、オーダに係る画像データおよび各種情報(以下、オーダ情報と総称する)を入力すると、オーダ特定情報生成部22によりオーダ特定情報が生成され、入力された情報は受付部21により取得される。
【0023】
例えば、画像データが記録されている記録メディアを対応する半導体ドライブ2、ディスクドライブ3、コネクタ5のいずれかにセットし、画像データを受付装置AUに読み込ませ、画像プリントする画像データを選択する。また、プリント枚数や顧客情報の入力等を行う。
【0024】
また、受付部21により取得された画像データは、画像管理部24に送られ、オーダ特定情報に関連付けられて画像記録媒体31に一時的に記録される(#01)。このとき、画像管理部24は各々の画像データに対して連番のコマ番号を付与する。このとき、取得した画像データがサムネイル画像データを含まないフォーマットの場合には、画像管理部24によりサムネイル画像データが作成され、画像データと関連付けて記録される。
【0025】
オーダ情報の入力が完了すると、その旨が画像特性取得部41に通知される。通知を受理した画像特性取得部41は、画像管理部24を介して画像記録媒体31に記録されている画像データのうち、現在のオーダに係る画像データの画像特性を取得する(#02)。本実施形態では、画像特性として画像データから求められるカラーヒストグラム、濃度ヒストグラムを用いる。当然ながら、画像特性として他の公知の画像特徴量を用いても構わないし、画像データに含まれている各種情報を用いることもできる。画像データに含まれている各種情報としては、例えば、EXIF(EXchangeable Image File)フォーマットに含まれる、撮影時のシャッター速度、レンズ絞り値、レンズの開放F値、フラッシュの有無、撮影対象物の明るさ等を用いることができる。画像特性取得部41により取得された画像特性は、コマ番号と関連付けられてメモリ32に一時記憶される。
【0026】
ディスプレイ7には画像データのサムネイル画像が表示され、顧客が各画像データに対する補正量を入力することができる。本実施形態では、この補正量を補正指示として用いる。図4は、この補正量を入力するための補正画面50である。補正画面50は、各画像データのサムネイル画像を表示するためのサムネイル画像表示領域51、各サムネイル画像表示領域51に表示されるサムネイル画像に対応する画像データのコマ番号を表示するコマ番号表示領域52、補正量入力完了時に押下する補正完了ボタン53、表示すべきサムネイル画像が複数ページにわたる場合にページを変更するページ変更ボタン54(前ページボタン54a、次ページボタン54b)、各サムネイル画像に対応する画像データに対する補正量を入力する補正量入力部55、補正量を確定させるための補正量確定チェックボックス56が各々のサムネイル画像表示領域51に対応するように備えられている。
【0027】
また、各々の補正量入力部55は、シアン(C)に対する補正量を入力するシアン補正量入力部55C、マゼンタ(M)に対する補正量を入力するマゼンタ補正量入力部55M、イエロー(Y)に対する補正量を入力するイエロー補正量入力部55Y、濃度に対する補正量を入力する濃度補正量入力部55Dから構成されている。なお、本実施形態では、シアン、マゼンタ、イエロー、濃度に対する補正量を入力する構成としたが、RGB等、他の色空間における補正量を入力する構成としても構わないし、コントラスト等、他の補正量を入力する構成としても構わない。
【0028】
顧客は、補正したい画像データの下に配置されている補正量入力部55に対してタッチパネル6を操作することにより、その画像データに対する補正量を入力することができる。例えば、顧客がコマ番号「1」の画像データに対してシアンの補正を行う場合には、以下の処理を行う。顧客がタッチパネル6を操作して、コマ番号「1」の下に配置されているシアン補正量入力部55Cを選択すると、表示部25は、GUI部33を介して、選択されたシアン補正量入力部55Cの近傍にプルダウンメニューを表示させる。本実施形態では、プルダウンメニューには[−5,−4,−3,−2,−1,N,1,2,3,4,5]が表示されており、各数字は補正量を表し、「N」は補正なしを表している。顧客は、タッチパネル6を操作して、表示されたプルダウンメニューから所望の補正量を選択する。同時に、シアン補正量入力部55Cには、選択された補正量が表示され、顧客に対して現在設定されている補正量を認知させている。他の項目に対しても同様の操作および処理によりコマ番号「1」の画像データに対する補正量が入力され、補正量確定チェックボックス56にチェックが入れられると(#03のYes分岐)、補正指示取得部42により、その補正量が取得され、コマ番号と関連付けられてメモリ32に一時記憶される(#04)。シアン、マゼンタ、イエロー、濃度に対する補正量を集合{シアン補正量,マゼンタ補正量,イエロー補正量,濃度補正量}で表すものとすると、図4の例では、コマ番号「1」と「3」に対応する補正量確定チェックボックス56にチェックが入っているので、コマ番号「1」と補正量{−2,N,N,N}およびコマ番号「3」と補正量{N,N,N,N}とがそれぞれ関連付けられてメモリ32に記憶される。同時に、補正指示取得部42は、補正量を取得した旨を嗜好解析部43に通知する。
【0029】
補正量が取得された旨の通知を受理した嗜好解析部43は、2以上の画像データに対する補正量がメモリ32に記憶されているか否かを判定する(#05)。補正量が2未満であれば(#05のNo分岐)、上述の処理により、顧客がさらに補正量を入力するのを待つ。一方、メモリ32に2以上の画像データに対する補正量が記憶されている場合には(#05のYes分岐)、嗜好解析部43は、メモリ32に記憶されている補正量と、その補正量に対応する画像データの画像特性とに基づき、顧客の画像に対する嗜好を解析する(#06)。
【0030】
本実施形態では、予め基準となる画像特性(以下、基準画像特性と称する)が設定されており、基準画像特性に対する画像データの画像特性のずれと、その画像データに対して設定された補正量に基づき嗜好を解析する。また、上述したように、本実施形態では画像特性としてカラーヒストグラムおよび濃度ヒストグラムを用いているため、基準画像特性もカラーヒストグラムおよび濃度ヒストグラムを用いる。当然ながら、他の画像特徴量を画像特性として用いた場合には、基準画像特性もその画像特徴量を用いて表される。
【0031】
まず、基準画像特性と画像データの画像特性とを比較することにより、基準画像特性に対する画像データの画像特性のずれ(以下、相対画像特性と称する)が求められる。この比較は、例えばカラーヒストグラムや濃度ヒストグラムの差分等を用いることができる。図4の例では、コマ番号「1」と「3」の画像データに対して補正量が入力されているため、コマ番号「1」と「3」の画像データと基準画像特性とが比較され、各々の画像データの相対画像特性が求められる。例えば、コマ番号「1」の画像データの画像特性は、基準画像特性と大きく異なっていないとすると、コマ番号「1」の画像データの相対画像特性は「標準」であると判定される。一方、コマ番号「3」の画像データの画像特性は、基準画像特性と比較して、濃度ヒストグラムにおいて高濃度の割合が大きいとすると、コマ番号「3」の画像データの相対画像特性は「暗め」であると判定される。
【0032】
次に、嗜好解析部43は、これらの判定結果および補正指示取得部42により取得された補正量から、顧客の嗜好を解析する。まず、コマ番号「1」の画像データの相対画像特性は「標準」であり、補正量は{−2,N,N,N}であるため、顧客は標準的な画像特性を有する画像データに対して、シアンを2段階弱める補正を指示したことになる。すなわち、この顧客は標準的な画像よりもシアンが弱い画像が好みであると推定できる。
【0033】
一方、コマ番号「3」の画像データの相対画像特性は「暗め」であり、補正量は{N,N,N,N}である。つまり、顧客は暗めの画像特性を有する画像データに対しては補正を行っていないため、標準的な画像よりも暗めの画像が好みであると推定できる。
【0034】
本実施形態では、相対画像特性と補正量とにより決定される基準補正量を修正するための補正量修正関数f(相対画像特性,シアン補正量,マゼンタ補正量,イエロー補正量,濃度補正量)が予め設定されており、嗜好は複数の補正量修正関数fの合成関数である基準補正量修正関数gとして表される。上述の例では、コマ番号「1」の画像データに対しては補正量修正関数f1(標準,−2,N,N,N)が、コマ番号「3」の画像データに対しては補正量修正関数f3(暗め,N,N,N,N)が得られる。さらに、これらから基準補正量修正関数g=f1・f3が得られる。なお、「・」は関数を合成するための演算を表す演算子である。この基準補正量修正関数gは、シアンが弱く、暗めな画像という顧客の嗜好を反映した関数となっている。この基準補正量修正関数gが解析された嗜好として、嗜好解析部43から基準補正量修正部44に送られる。なお、基準補正量修正関数gはメモリ32に一時記憶される。
【0035】
嗜好(基準補正量修正関数g)を取得した基準補正量修正部44は、メモリ32から基準補正量を取得し、その基準補正量に対して基準補正量修正関数gを適用して修正された基準補正量(以下、修正基準補正量と称する)を作成し、修正基準補正量をメモリ32に記憶させる。(#07)。なお、本実施形態では、基準補正量は、各色要素(RGB)のカラーバランス値と濃度に対するトーンカーブとして表現されており、修正基準補正量とは別に不変値としてメモリ32に記憶されている。上述の例では、基準補正量修正関数gは、シアンが弱く暗めという顧客の嗜好を反映した関数となっているため、シアンを弱める、すなわち赤が強くなるようカラーバランスが調整され、暗めになるよう濃度のトーンカーブが調整される。このようにして作成された修正基準補正量は、メモリ32に記憶される。なお、既にメモリ32に修正基準補正量が記憶されている場合には、新たに作成された修正基準補正量で置換される。同時に、基準補正量が修正された旨が、基準補正量修正部44から画像補正部45に通知される。
【0036】
基準補正量が修正された旨の通知を受理した画像補正部45は、補正画面50に表示しているサムネイル画像に対応する画像データに対して、修正基準補正量を適用してプレビュー画像を生成する(#08)。具体的には、画像補正部45は、画像管理部24を介して、表示部25により補正画面50に表示されているサムネイル画像に対応する画像データを取得し、それらの画像データに対して、公知の方法により修正基準補正量を適用して、補正画像データを作成し、その補正画像データを公知の方法により所定の画像サイズに縮小することでサムネイル画像データを作成する。作成されたサムネイル画像データは、画像補正部45から表示部25に送られ、表示部25は、取得したサムネイル画像データを補正画面50のサムネイル画像表示領域51に表示する。なお、本実施形態では、画像データに対して修正基準補正量を適用して補正画像データを作成した後、補正画像データからサムネイル画像データを作成したが、サムネイル画像データに対して修正基準補正量を適用して、直接補正されたサムネイル画像データを作成する構成としても構わない。後者の場合には、処理時間を短縮できるメリットがある。
【0037】
顧客は、さらに補正量を設定したい画像がある場合には、上述と同様にその画像に対応する補正量入力部55に対して補正量を設定し、補正量確定チェックボックス56のチェックを入れると(#03のYes分岐)、補正指示取得部42により補正量が取得される(#04)。このとき、既に二の画像データに対する補正量が設定されているため(#05のYes分岐)、嗜好解析部43により今回設定された補正量から補正量修正関数fが求められる。さらに、メモリ32に記憶されている基準補正量修正関数gと、この補正量修正関数fとから新たな基準補正量修正関数g’=g・fが求められ、この基準補正量修正関数g’が基準補正量修正部44に送られると共に、メモリ32上の基準補正量修正関数gを更新する。
【0038】
基準補正量修正部44は、基準補正量に対して基準補正量修正関数g’を適用し、新たな修正基準補正量を作成する。以下の処理は、上述した処理と同様である。
【0039】
本実施形態では、上述のように、基準補正量修正関数gを一時記憶しておき、補正量が設定される度に、基準補正量修正関数gを更新し、この基準補正量修正関数gをマスタとなる基準補正量に適用して修正基準補正量を作成する構成としたが、他の構成としても構わない。例えば、基準補正量修正関数gを一時記憶する代わりに、補正量修正関数fを一時記憶しておき、補正量修正関数fから基準補正量修正関数を作成する構成としても構わないし、基準補正量修正関数gを作成せずに、修正基準補正量に対して補正量修正関数fを適用する構成としても構わない。
【0040】
一方、顧客が補正画面50において補正完了ボタン53を押下すると(#09のYes分岐)補正量の設定処理が完了する。その後、全ての受付処理が完了すると、ディスプレイ7に料金が表示され、顧客は料金受領装置ADを用いて支払い処理を行う。支払い処理が完了すると、受付証作成部23により、画像プリントを顧客に引渡す際に必要な情報が作成され、受付証プリンタ4はそれらの情報を受付証Rにプリントし顧客に渡す。
【0041】
また、画像補正部45は、画像記録媒体31に記録されている画像データに対する補正を行う。具体的には、画像補正部45は、画像管理部24を介して画像記録媒体31から画像データを、メモリ32から修正基準補正量をそれぞれ取得し、公知の方法により修正基準補正量を各々の画像データに適用して補正画像データを作成し、それらを再度画像記録媒体31に記録する。
【0042】
その後、上述のようにして補正画像データが銀塩プリンタ(図示せず)等に送られ、プリントされた後、画像プリントとして顧客に引渡される。
【0043】
〔第2実施形態〕
以下に、図面を用いて本発明の受付装置の第2実施形態を説明する。図5は、本実施形態における受付装置AUの機能ブロック図である。本実施形態では、嗜好解析部43にコメント解析部43aを備える点において第1実施形態と異なっている。また、図6に示すように本実施形態における補正画面50は、コメント入力部57を備え、補正量確定チェックボックス56を備えていない点において第1実施形態と異なっている。他の第1実施形態と同じ符号を付している機能部等は第1実施形態と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0044】
コメント入力部57は、図6に示すように、顧客が画像補正に関するコメントを入力するための入力欄であり、コメント解析部43aは、コメント入力部57に入力されたコメントを解析し、補正量を決定する機能を有する。
【0045】
次に、図7のフローチャートを用いて本実施形態の処理の流れを説明する。まず、第1実施形態の#01〜#02と同様の処理により画像データが取得され(#11)、それらの画像特性が取得される(#12)。
【0046】
顧客は、補正画面50に表示されるサムネイル画像を見ながら、補正したい画像と補正内容を決定し、それらをコメント入力部57に入力する。入力には、タッチパネル6を用いて、ディスプレイ7に表示されるソフトキーボードを操作してもよいし、受付装置AUに接続されるキーボード(図示せず)を操作しても構わない。図6の例では、コメント入力部57に、コメントとして「1は赤を強く」および「3は少し暗め」が入力されている。コメント入力部入力57は、コメント入力されると(#03のYes分岐)、その旨を補正指示取得部42に通知する。
【0047】
コメントが入力された旨の通知を受理した補正指示取得部42は、コメント入力部57からコメントを取得し(#14)、そのコメントを嗜好解析部43に送る。
【0048】
コメントを取得した嗜好解析部43では、コメント解析部43aにより、そのコメントの解析が行われ、その解析結果に基づき補正量が決定される(#15)。なお、コメント解析には、公知のテキストマイニング等を用いることができる。例えば、コメント「1は赤を強く」からは、補正対象となる画像データのコマ番号は「1」、補正内容は「赤を強くする」と解析され、この解析結果に基づき、コマ番号「1」の画像データの補正量は{−2,N,N,N}と決定される。一方、コメント「3は少し暗く」からは、補正対象となる画像データのコマ番号は「3」、補正内容は「少し暗め」と解析され、この解析結果に基づき、コマ番号「3」の画像データの補正量は{N,N,N,1}と決定される。このように決定された補正量は嗜好解析部43に送られ、上述の#06と同様の処理により嗜好が解析され(#17)、基準補正量修正部44に送られる。
【0049】
以降の基準補正量の修正(#18)、プレビュー画像の作成(#19)の処理は、#07〜#08の処理と同様なので、説明は省略する。
【0050】
この後、第1実施形態と同様に、顧客は補正量入力部55を操作して、各々の画像データに対する補正量を修正することができる。このとき、各々の画像データは顧客の嗜好に基づき補正されているため、若干の修正を行うだけで済み、顧客の補正量入力の労力を低減することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、補正量入力部55とコメント入力部57とを備えた構成としたが、補正量入力部55を備えない構成としても構わない。
【0052】
〔第3実施形態〕
以下に、図面を用いて本発明の受付装置の第3実施形態を説明する。図8は、本実施形態における受付装置AUの機能ブロック図である。本実施形態は、画像補正部45に補正量適合部45aを備えている点において第1実施形態と異なっている。
【0053】
上述の実施形態における処理により、修正基準補正量は顧客の嗜好を反映したものとなっている。しかしながら、各々の画像データは僅かなりとも異なる画像特性を有しているため、修正基準補正量を全ての画像データに対して均一的に適用しても適正な画像が得られない。
【0054】
そのため、本実施形態では、補正量適合部45aにより、修正基準補正量を各々の画像特性に適合する補正量に変換し、画像データに対して、その画像特性に適合した補正量を適用している。
【0055】
本実施形態の処理の流れは、図3の#08のプレビュー画像の作成処理が異なるだけなので、ここでは図9のフローチャートを用いて、画像補正部45によるプレビュー画像の作成処理の流れのみを説明する。
【0056】
まず、表示部25から補正画面50に表示しているサムネイル画像に対応する画像データのコマ番号を取得する(#31)。図4の場合には、コマ番号「1,2,3,4,5,6」が取得される。
【0057】
次に、取得したコマ番号の画像データを、画像管理部24を介して取得する(#32)。また、メモリ32からは、取得したコマ番号の画像データの画像特性を取得する(#33)。取得した画像特性は、各々のコマ番号と関連付けられて、補正量適合部45aに送られる。
【0058】
画像特性を取得した補正量適合部45aは、メモリ32から修正基準補正量を取得し、各々の画像特性に適合するように修正基準補正量を修正する(#34)。例えば、修正基準補正量が赤を強めるものであり、補正する画像データの画像特性が赤が強めである場合に、そのまま修正基準補正量を用いて補正を行うと、赤が強調されすぎるため、赤が若干弱くなるように修正基準補正量を修正して、その画像特性に適合した補正量(以下、適合補正量と称する)が作成される。このような処理が、各々の画像データの画像特性に応じて行われる。すなわち、補正量適合部45aにより、各々の画像データの適合補正量が作成されることとなる。このようにして作成された適合補正量は、対応する画像特性のコマ番号と関連付けられて画像補正部45に返される。
【0059】
各々のコマ番号と関連付けられた適合補正量を取得した画像補正部45は、各々の画像データに対して、対応する適合補正量を適用し、プレビュー画像を作成する(#35)。
【0060】
このように、本実施形態では、顧客の嗜好を反映した修正基準補正量をさらに画像特性に適合させることにより、各々の画像データの画像特性に適合すると共に、顧客の嗜好を反映させた補正を行うことができる。
【0061】
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態に、修正基準補正量を、顧客を識別可能な情報(以下、顧客識別情報と称する)と共に記録する構成を付加することができる。この場合には、修正基準補正量は顧客識別情報と共にハードディスク等の不揮発性記録媒体に記録されており、顧客が受付操作時に自身の顧客識別情報を入力することで、記録されている修正基準補正量が基準補正量として使用される。したがって、修正基準補正量がオーダの度に作り変えられるのではなく、顧客が指示した補正が累積した結果の修正基準補正量が作成されることとなる。そのため、修正基準補正量は顧客の嗜好に収束してゆく。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態における受付装置の斜視図
【図2】本発明の第1実施形態における受付装置の機能要素を表す機能ブロック図
【図3】本発明の第1実施形態における受付装置の処理の流れを表すフローチャート
【図4】本発明の第1実施形態における補正画面を表す図
【図5】本発明の第2実施形態における受付装置の機能要素を表す機能ブロック図
【図6】本発明の第2実施形態における補正画面を表す図
【図7】本発明の第2実施形態における受付装置の処理の流れを表すフローチャート
【図8】本発明の第3実施形態における受付装置の機能要素を表す機能ブロック図
【図9】本発明の第3実施形態におけるプレビュー画像作成処理の流れを表すフローチャート
【符号の説明】
【0063】
A:受付システム
AU:受付装置
20:受付制御部
21:受付部
22:オーダ特定情報生成部
23:受付証作成部
24:画像管理部
25:表示部
31:画像記録媒体
41:画像特性取得部
42:補正指示取得部
43:嗜好解析部
44:基準補正量修正部
45:画像補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客から複数の画像データを取得し、当該画像データを画像プリントするためのオーダを受付ける受付部と、前記画像データに対して基準補正量を適用して補正画像データを生成する画像補正部を備えた受付装置であって、
前記画像データの画像特性を取得する画像特性取得部と、
複数の前記画像データの各々に対する前記顧客からの補正指示を取得する補正指示取得部と、
補正指示がなされた前記複数の画像データの画像特性と当該画像データの各々に対する補正指示とに基づき、前記顧客の画像に対する嗜好を解析する嗜好解析部と、
前記嗜好に基づき前記基準補正量を修正する基準補正量修正部と、を備えたことを特徴とする受付装置。
【請求項2】
前記補正指示取得部は、前記補正指示としてコメントを取得し、
前記嗜好解析部は、補正指示がなされた前記複数の画像データに対する複数の前記コメントを解析するコメント解析部を備え、補正指示がなされた前記画像データの画像特性と当該解析結果とに基づき前記嗜好を解析することを特徴とする請求項1記載の受付装置。
【請求項3】
前記画像補正部は、修正された前記基準補正量を、補正を行う前記画像データの画像特性に適合するように修正する基準補正量修正部を備え、当該画像データに対して当該基準補正量を適用して前記補正画像データを生成することを特徴とする請求項1または2記載の受付装置。
【請求項4】
顧客から複数の画像データを取得し、当該画像データを画像プリントするためのオーダを受付ける受付ステップと、前記画像データに対して基準補正量を適用して補正画像データを生成する画像補正ステップを備えた受付方法であって、
前記画像データの画像特性を取得する画像特性取得ステップと、
複数の前記画像データの各々に対する前記顧客からの補正指示を取得する補正指示取得ステップと、
補正指示がなされた前記複数の画像データの画像特性と当該画像データの各々に対する補正指示とに基づき、前記顧客の画像に対する嗜好を解析する嗜好解析ステップと、
前記嗜好に基づき前記基準補正量を修正する基準補正量修正ステップと、を備えたことを特徴とする受付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−134707(P2010−134707A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310098(P2008−310098)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】