説明

受信器

【課題】受信器において、受信状態の悪化要因を特定することが困難であるという課題がある。
【解決手段】受信器10は、放送波を受信し少なくとも映像または音声の何れかを出力する受信器であって、放送波に含まれる所要の選局資源の放送信号を選択受信するとともに、放送信号を受信した際の受信状態を計測するチューナー・復調部3と、チューナー・復調部3によって計測された受信状態を記憶するか判断するデータ処理制御部2と、データ処理制御部2によって記憶すると判断された受信状態を、選局資源毎に記憶する記憶媒体7と、記憶媒体7に記憶された受信状態を通知する出力部5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放送を受信し、受信状態を通知する受信器に関する。
【背景技術】
【0002】
天候変化や受信器の不具合、選局資源毎の伝送特性の相違等、様々な要因により受信状態が悪化する。受信状態が悪化した場合、受信を良好に行うという受信器の主たる役割が阻害されているので、その要因を特定し受信状態を改善する必要がある。
【0003】
ここで過去良好に受信出来ていたかを知る事は、受信状態の悪化が一時的もしくは恒常的なものなのかを知る事につながり、受信状態の悪化要因の特定に役立つ。
【0004】
従来、過去の受信状態の良し悪しは、使用者の記憶を頼りにする方法や、記憶媒体に映像や音声またはデータコンテンツが記憶されている場合に、コンテンツ記憶当時の受信状態は良好だった判断する方法があった。
【0005】
特許文献1において、受信状態を記憶領域に貯蓄していく事で、記憶された受信状態と現在の受信状態を比較し、天候の変化を検知し通知する事ができる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−348480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
受信状態の悪化要因を特定する事を目的と考えた場合、受信状態の悪化要因として選局資源毎の伝送特性も可能性として考えられるため、選局資源毎に過去の受信状況が良好であったかを判断する必要がある。
【0008】
しかしながら、従来の方法では、過去ユーザーが受信器を使用開始してから今現在に至るまで、良好な受信状態で受信出来ていた事があるか、について十分に判断できなかった。
【0009】
また、特許文献1では、受信器全体として、受信状態を取り扱っているため、選局資源毎に異なる受信状態は判断できない、という課題があった。
【0010】
本発明は、受信状態の悪化要因を特定するため、選局資源毎に過去の受信状態を判断できる事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題を解決するため、本発明の受信器は、放送波を受信し少なくとも映像または音声の何れかを出力する受信器であって、前記放送波に含まれる所要の選局資源の放送信号を選択受信する受信部と、前記受信部が前記放送信号を受信した際の受信状態を計測する受信状態計測部と、前記受信状態計測部によって計測された前記受信状態を記憶するか判断する記憶対象判断部と、前記記憶対象判断部によって記憶すると判断された前記受信状態を、選局資源毎に記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された受信状態を通知する受信状態通知部と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の受信器によれば、選局資源毎に過去の受信状態を記憶し通知することで、過去の受信状態が良好であったかどうかを判断できるようになり、受信状態の悪化要因を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態における受信器の構成を示すブロック図
【図2】実施の形態1における受信器の動作を示すフローチャート
【図3】実施の形態2における受信器の動作を示すフローチャート
【図4】実施の形態における受信器上での通知方法の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1について図面を用いて説明する。
(1−1.受信器の構成)
図1は、受信器10の構成を示すブロック図である。受信器10は、ユーザーインタフェース制御部1と、データ処理制御部2と、チューナー・復調部3と、映像・音声再生部4と、出力部5と、記憶媒体制御部6と、記憶媒体7とを含む。
【0015】
ユーザーインタフェース制御部1は、リモコンによる操作、受信器10本体に取り付けられているボタンやタッチパネル等への操作、または受信器10に外部接続されている機器へのユーザーの操作を検知し、制御する。ここではチャンネル切り替えがリモコンのボタン操作によって行われたとする。
【0016】
データ処理制御部2は、受信器10のデータ制御を全般に行う処理部である。ユーザーインタフェース制御部1によりチャンネル切り替え操作が検出された場合、チャンネル切替要求としてデータ処理制御部2に伝えられる。
【0017】
チューナー・復調部3は、放送波を受信し、放送波中の選局資源を選択し、復調するとともに、その受信状態を計測する。前記チャンネル切り替え要求はデータ処理制御部2によりチューナー・復調部3へ伝えられる。チューナー・復調部3は前記チャンネル切り替え要求を受け付けると、選局資源から要求されたチャンネルの選局資源を選択し受信する。受信された選局資源は復調される。また、チューナー・復調部3は、受信している選局資源の受信状態を定期的に計測し、結果をデータ処理制御部2へと伝える。
【0018】
チューナー・復調部3によって受信された選局資源は映像・音声再生部4へと伝えられる。映像・音声再生部4はモニターやスピーカーに出力される映像や音声の視聴情報を作成する。
【0019】
映像・音声再生部4から出力された視聴情報は出力部5へと伝えられる。出力部5とは、具体的には受信器10に取り付けられた、もしくは受信器10に内蔵された出力装置で、モニターやスピーカー、LEDを指す。視聴情報は主にモニターやスピーカーによって音声や映像としてユーザーに提供される。
【0020】
記憶媒体制御部6は、記憶媒体7へのデータの書き込み、記憶媒体7へ記憶されたデータの読み出しを制御する。
【0021】
記憶媒体7は、不揮発性メモリ、ハードディスク等で構成され、受信器10の電源状態に関わらず、データを保持する。
(1−2.受信器の動作)
受信状態の記憶制御の説明を図2のフローチャートを用いて行う。
【0022】
上記に示したようにチューナー・復調部3によって計測された受信状態はデータ処理制御部2に送られる(S201)。チューナー・復調部3によって送られてきた受信状態を以降「現時の受信状態」と表す。
【0023】
ユーザーが、受信状態を表示する受信状態の通知操作を行っていない場合(S201でNO)、データ処理制御部は、受信状態の比較を行う。データ処理制御部2は現時の受信状態を伝えられると、受信状態の比較を行うため、今現在受信している選局資源の受信状態を対象とし記憶媒体制御部6に読み出し要求を行う。
【0024】
ここで受信状態について補足する。受信状態が良好であるかどうか、すなわち、受信感度が高いかどうかについては、搬送波電力と雑音電力との比であるC/N(Carrier to Noise Ratio)や、BER(Bit Error rate)、PER(Packet Error Rate)、RSSI(Received Signal Strength Indicator)、等が算出され、受信状態の判定に利用されている。チューナー・復調部3は、C/N、BER、RSSIのいずれか一つのパラメータを算出して、受信状態としても良いし、複数のパラメータを組み合わせて、受信状態としても良い。
【0025】
記憶媒体制御部6はデータ処理制御部2から受信状態の読み出し要求を受け付けると、記憶媒体7より要求された選局資源の受信状態を読み出し、データ処理制御部2へと伝える。
【0026】
データ処理制御部2は記憶媒体制御部6から伝送された受信状態と、現時の受信状態を比較する(S203)。記憶媒体制御部6から伝送された受信状態を以降「過去の受信状態」と表記する。データ処理制御部2は、現時の受信状態と過去の受信状態を比較し、より受信状態が良好である事を示す受信状態を判断する(S204)。結果、現時の受信状態の方が良好であると判断された場合(S204でYES)、データ処理制御部2は記憶媒体制御部6に現時の受信状態の書き込みを要求する。
【0027】
記憶媒体制御部6はデータ処理制御部2からの書き込み要求を受け付けると、記憶媒体7に記憶されている過去の受信状態を消去し、現時の受信状態を新たに記憶する(S205)。この「記憶」とは電源OFF等で消去される一時的な記憶ではなく、半永久的な記憶を指す。この結果、記憶媒体7に記憶されている選局資源毎の受信状態は過去から現時における期間において、最も受信状態が良好であった時の受信状態が記憶されることとなる。このようにして受信状態は記憶される。
【0028】
このように、選局資源毎に最も受信状態が良好であった時の受信状態を記憶することで、選局資源毎に、過去の受信状態が良好であったかどうかを判断できるようになる。選局資源毎に、例えば異なるアンテナを用いて受信している場合、選局資源毎に受信状態が異なり、選局資源毎の受信状態の悪化を把握することで、問題のあるアンテナの特定等の悪化要因の特定ができる。
【0029】
次に受信状態通知について説明する。
【0030】
ユーザーが、受信状態を表示する受信状態の通知操作を行う(S202でYES)と、受信状態の通知操作はユーザーインタフェース制御部1によって検出される。
【0031】
ユーザーインタフェース制御部1は受信状態通知要求をデータ処理制御部2に伝える。データ処理制御部2は受信状態通知要求を受け付けると、記憶媒体制御部6に受信状態の読み出し要求を行う。
【0032】
記憶媒体制御部6は読み出し要求を受け付けると、記憶媒体7から現在選局中の選局資源に対する受信状態を読み取りデータ処理制御部2へと伝える(S206)。
【0033】
データ処理制御部2は記憶媒体制御部6により伝えられた受信状態を、通知に適した形式へと変換する。この通知に適した形式をここでは通知情報と表す。通知情報とは、例えば、視覚情報として通知される場合においては、文言、数値、色、形、点滅の周期、点滅のパターン等であり、聴覚情報として通知される場合においては、音声、音等である。また、データ処理制御部2は、この時必要に応じて現時の受信状態についても後述する映像・音声再生部4へと伝えて通知するため、通知情報にする。
【0034】
データ処理制御部2から通知情報が映像・音声再生部4へと伝えられる。映像・音声再生部4は通知情報を出力部5へと伝える事で、ユーザーは視覚や聴覚を通して通知を受け取る事ができる(S207)。またこの際、映像・音声再生部4は視聴情報を出力部5へと送出している場合があり、その場合は視聴情報と通知情報とを重畳させたり、通知情報を出力する間、視聴情報の出力を一時的に停止する等の制御を行って通知する。
【0035】
図4はモニターを出力部5とした際に、モニター上に表示するイメージを表す図である。現在選局中の選局資源について、現時の受信状態が、過去、その選局資源において最も良好であった受信状態との比較で表示される。ユーザは、選局した選局資源が視聴できない場合、受信状態を表示する受信状態の通知操作を行うことで、図4に示す受信状態がモニター上に表示される。過去、その選局資源において最も良好であった受信状態自体も低い場合は、そもそも以前からその選局資源は視聴できておらず、初期不良等の原因が想定される。一方、過去の受信状態が良好であったにも関わらず、現時の受信状態が悪い場合は、一時的な天候不良や、複数のアンテナに内、選局中の選局資源に対応するアンテナに、アンテナ向きのずれ等の不具合の発生等が想定される。
(1−3.本発明の構成との対応関係)
チューナー・復調部3は、本発明の受信部および受信状態計測部の一例である。データ処理制御部2は、本発明の記憶対象判断部の一例である。記憶媒体7は、本発明の記憶部の一例である。出力部5は、本発明の受信状態通知部の一例である。ユーザーインタフェース制御部1は、本発明のユーザー操作検出部の一例である。
(実施の形態2)
実施の形態1では、ユーザが受信状態の通知操作を行うことで受信状態が表示されるのに対して、実施の形態2では、受信器側で受信状態の劣化を検出して、自動的に受信状態を表示する点が異なる。
【0036】
実施の形態2において、受信器の構成は実施の形態1と同一であり、説明を省略する。
(2−1.受信器の動作)
実施の形態2における受信状態の通知制御を図3のフローチャートを用いて行う。
【0037】
チューナー・復調部3は定期的に受信状態の計測を行い(S301)、結果をデータ処理制御部2へと伝えている。データ処理制御部2は現時の受信状態の変化を検出する。その結果、受信状態の悪化を検出した場合(S302でYES)、通知を行うため記憶媒体制御部6に受信状態の読み出し要求を行う。
【0038】
記憶媒体制御部6は読み出し要求を受け付けると、記憶媒体7から現在選局中の選局資源に対する受信状態を読み取りデータ処理制御部2へと伝える(S306)。
【0039】
データ処理制御部2は記憶媒体制御部6により伝えられた受信状態を、通知に適した形式へと変換する。この通知に適した形式をここでは通知情報と表す。通知情報は実施の形態1と同様であり、説明を省略する。
【0040】
データ処理制御部2から通知情報が映像・音声再生部4へと伝えられる。映像・音声再生部4は通知情報を出力部5へと伝える事で、ユーザーは視覚や聴覚を通して通知を受け取る事ができる。またこの際、映像・音声再生部4は視聴情報を出力部5へと送出している場合があり、その場合は視聴情報と通知情報とを重畳させたり、通知情報を出力する間視聴情報の出力を一時的に停止する等の制御を行って通知する。
【0041】
モニターを出力部5とした際に、モニター上に表示するイメージは、実施の形態1の図4と同様であり、説明を省略する。
(2−2.本発明の構成との対応関係)
データ処理制御部2は、本発明の受信状態変化検出部の一例である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本実施の形態にかかる受信器は、受信状態の悪化要因を特定することができ、テレビや、ケーブルTVのセットトップボックスに適用することができ、有用である。
【符号の説明】
【0043】
1 ユーザーインタフェース制御部
2 データ処理制御部
3 チューナー・復調部
4 映像・音声再生部
5 出力部
6 記憶媒体制御部
7 記憶媒体
10 受信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送波を受信し少なくとも映像または音声の何れかを出力する受信器であって、
前記放送波に含まれる所要の選局資源の放送信号を選択受信する受信部と、
前記受信部が前記放送信号を受信した際の受信状態を計測する受信状態計測部と、
前記受信状態計測部によって計測された前記受信状態を記憶するか判断する記憶対象判断部と、
前記記憶対象判断部によって記憶すると判断された前記受信状態を、選局資源毎に記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された受信状態を通知する受信状態通知部と、
を備える受信器。
【請求項2】
ユーザーの操作により任意のタイミングで前記記憶部に記憶された受信状態を通知するユーザー操作検出部を、
さらに備える請求項1に記載の受信器。
【請求項3】
受信状態の変化を検出する受信状態変化検出部を、
さらに備える請求項1または2に記載の受信器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−106336(P2013−106336A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251332(P2011−251332)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】