受信回路、超音波プローブ、及び超音波画像表示装置
【課題】超音波を受け取るように構成された超音波トランスデューサを含む超音波プローブ内の受信回路を提供する。
【解決手段】受信回路は、超音波トランスデューサで受け取ったエコー信号を増幅する増幅ユニットを含む。増幅ユニットは、電流出力増幅器を含む。受信回路は更に、増幅ユニットの出力信号に遅延時間を与えるように構成された遅延ユニットを含む。
【解決手段】受信回路は、超音波トランスデューサで受け取ったエコー信号を増幅する増幅ユニットを含む。増幅ユニットは、電流出力増幅器を含む。受信回路は更に、増幅ユニットの出力信号に遅延時間を与えるように構成された遅延ユニットを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波エコー信号を増幅する増幅ユニットと、該増幅ユニットの出力信号に所定の遅延時間を与える遅延ユニットとを含む受信回路に関するものであり、また更に該受信回路を備えている超音波プローブ及び超音波画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波画像表示装置では、超音波が超音波プローブ内に設けられた複数の超音波トランスデューサから送信され、またエコー信号が各超音波トランスデューサで受信される。各超音波トランスデューサで受信されたエコー信号は、受信回路に入力され、該回路で位相調整されて加算される。結果として、1つの受信ビームが形成される。
【0003】
受信回路において、エコー信号は、各超音波トランスデューサに設けられた増幅ユニットで増幅される。各増幅ユニットの出力信号に対して、遅延ユニットで所定の遅延が与えられ、次いで加算ユニットで加算が遂行される。(例えば、日本国特許出願公開第2010−68957号を参照されたい。)
各々の上記の増幅ユニットは、通常、電圧を出力する電圧増幅器を含む。しかしながら、電圧増幅器が使用されるとき、電圧増幅器より後の段に緩衝増幅器が必要になり、それによるエネルギ損失に起因して熱が発生される。
【0004】
電圧増幅器が使用されるとき、上記の緩衝増幅器に加えて、出力信号を加算するための加算器が必要とされる。更に、電圧増幅器の周波数特性が広帯域であるので、低域通過フィルタが必要とされる。これは各受信回路の小型化を制限する。
【0005】
一般に、上記の受信回路は超音波画像表示装置の主ユニットの中に設けられている。本発明者は、上記の受信回路を超音波プローブ内に設けることを考えた。しかしながら、前に述べたように、従来の受信回路の小型化は制限されており、従って、受信回路を超音波プローブ内に何ら変更を行わないで設けることは困難である。オペレータによって把持される超音波プローブでは、受信回路が超音波画像表示装置の主ユニットの中に設けられている場合と比べて、熱の発生が問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7678053号
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の面は受信回路であり、該受信回路は、超音波を受け取るための超音波トランスデューサで受け取ったエコー信号を増幅する増幅ユニットと、前記増幅ユニットの出力信号に遅延時間を与える遅延ユニットとを持つ。受信回路は、超音波トランスデューサを含む超音波プローブ内に設けられ、且つ前記増幅ユニットが電流出力増幅器で構成される。
【0008】
本発明の第2の面は、本発明の第1の面に従った受信回路であり、該受信回路では、遅延ユニットが、電流出力増幅器の出力電流を集積するコンデンサと、該出力電流をこのコンデンサに書き込むための書込みスイッチと、コンデンサから電荷を読み出すための読出しスイッチとを含む。
【0009】
本発明の第3の面は、本発明の第2の面に従った受信回路であり、該受信回路では、書込みスイッチがオンである間、コンデンサが出力電流で充電される。
【0010】
本発明の第4の面は、本発明の第2の面に従った受信回路であり、該受信回路では、次のことが具現化される。すなわち、遅延ユニットが、上記のような複数のコンデンサと複数の書込みスイッチ及び読出しスイッチとを含み、これらのコンデンサ、書込みスイッチ及び読出しスイッチは並列回路を形成する。
【0011】
本発明の第5の面は、本発明の第4の面に従った受信回路であり、該受信回路では、次のことが具現化される。すなわち、複数の書込みスイッチの内の任意の1つがターンオンされたとき、他の書込みスイッチはターンオフされ、また電流出力増幅器が、オン状態の書込みスイッチを介していずれかのコンデンサに接続される。
【0012】
本発明の第6の面は、本発明の第2の面に従った受信回路であり、該受信回路では、書込みスイッチ及び/又は読出しスイッチが調節可能である。
【0013】
本発明の第7の面は、本発明の第2の面に従った受信回路であり、該受信回路では、遅延時間は、各々の書込みスイッチがターンオフされた時から対応する読出しスイッチがターンオンされる時までの時間である。
【0014】
本発明の第8の面は、本発明の第2の面に従った受信回路であり、該受信回路では、コンデンサの静電容量が、次の静電容量、すなわち、超音波プローブと超音波画像表示装置の主ユニットとを接続するケーブルの静電容量よりも小さい。
【0015】
本発明の第9の面は、本発明の第2の面に従った受信回路であり、該受信回路では、読出しスイッチより後の段に能動電荷増幅器回路が設けられる。
【0016】
本発明の第10の面は、本発明の第2の面に従った受信回路であり、該受信回路では、次のことが具現化される。すなわち、書込みスイッチの一方の端部が電流出力増幅器に接続され且つその他方の端部がコンデンサの一方の端部に接続され、コンデンサの他方の端部がアースに接続され、また読出しスイッチの一方の端部がコンデンサの前記一方の端部に接続され且つその他方の端部が出力線路に接続される。
【0017】
本発明の第11の面は、本発明の第2の面に従った受信回路であり、該受信回路では、次のことが具現化される。すなわち、書込みスイッチが、同期してターンオン及びターンオフされる第1及び第2のスイッチを含み、また読出しスイッチが、同期してターンオン及びターンオフされる第3及び第4のスイッチを含み、また第1のスイッチの一方の端部が電流出力増幅器の出力側の第1の端子に接続され、且つ第1のスイッチの他方の端部がコンデンサの一方の端部に接続され、また第2のスイッチの一方の端部がコンデンサの他方の端部に接続され、且つ第2のスイッチの他方の端部が電流出力増幅器の出力側の第2の端子に接続され、また第3のスイッチの一方の端部がコンデンサの一方の端部に接続され、且つ第3のスイッチの他方の端部が出力線路に接続され、また第4のスイッチの一方の端部がコンデンサの他方の端部に接続され、且つ第4のスイッチの他方の端部がアースに接続される。
【0018】
本発明の第12の面は、本発明の第1の面に従った受信回路であり、該受信回路では、遅延ユニットからの出力線路において、遅延ユニットの出力電流が加算される。
【0019】
本発明の第13の面は、本発明の第1の面に従った受信回路であり、該受信回路では、遅延ユニットが各々の超音波トランスデューサについて設けられる。
【0020】
本発明の第14の面は、本発明の第1の面に従った受信回路であり、該受信回路では、遅延ユニットが複数のチャンネル内の超音波トランスデューサに対して共通に設けられる。
【0021】
本発明の第15の面は、本発明の第14の面に従った受信回路であり、該受信回路では、遅延ユニットが単独で全てのチャンネル内の超音波トランスデューサに対して共通に設けられる。
【0022】
本発明の第16の面は、本発明の第14の面に従った受信回路であり、該受信回路では、上述した複数の遅延ユニットが全てのチャンネルの内の幾分かのチャンネル内の超音波トランスデューサに対して共通に設けられる。
【0023】
本発明の第17の面は、本発明の第14の面に従った受信回路であり、該受信回路では、複数の増幅ユニットからの複数の出力電流が遅延ユニット内で又は遅延ユニットからの出力線路において加算される。
【0024】
本発明の第18の面は、本発明の第1の面に従った受信回路であり、該受信回路では、電流出力増幅器が、電圧信号である入力信号を増幅し、該入力信号を電流信号に変換して該電流信号を出力するV/I増幅器と、電流信号である入力信号を増幅して、電流信号を出力するI/I増幅器との内のいずれかである。
【0025】
本発明の第19の面は、本発明の第1の面に従った受信回路を備えた超音波プローブである。
【0026】
本発明の第20の面は、本発明の第19の面に従った超音波プローブを備えた超音波画像表示装置である。
【0027】
本発明の以上の面によれば、受信回路の各増幅ユニットは電流出力増幅器を含む。従って、加算器が無くても、個別のチャンネル内の増幅ユニットから出力される電流は、これらの増幅ユニットより後の段にある出力線路で加算される。これにより加算器の必要性が除去される。各々の電流出力増幅器の周波数特性は、超音波の中心周波数へ向かって周波数が高くなるにつれて利得が減少するように定められる。これにより低域通過フィルタの必要性が除去され、或いは簡単な低域通過フィルタで十分である。各々の増幅ユニットが電流を出力するので、その後の段に緩衝増幅器を設けることが不必要である。上記の理由から、受信回路のサイズを低減し且つ熱の発生を従来よりも多く抑制することが可能である。その結果として、受信回路は超音波プローブ内に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の超音波画像表示装置の実施形態の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、第1の実施形態における受信回路を例示するブロック図である。
【図3】図3は、図2に例示された受信回路内の遅延ユニットの構成を例示する回路図である。
【図4】図4は、図3に例示された遅延ユニット内の書込みスイッチ及び読出しスイッチがターンオン及びターンオフされるタイミングを説明する波形図である。
【図5】図5は、能動電流出力回路を含む受信回路を例示するブロック図である。
【図6】図6は、能動電流出力回路の一例を示す回路図である。
【図7】図7は、電流出力増幅器の周波数特性を示すグラフである。
【図8】図8は、書込みスイッチ及び読出しスイッチがオンである時間を変えることによって遅延時間を調節する事例を示す説明図である。
【図9】図9は、遅延ユニットの構成の別の例を示す回路図である。
【図10】図10は、書込み回路の第1のスイッチ及び第2のスイッチを同期してオンにした遅延ユニットを例示する回路図である。
【図11】図11は、別の書込み回路の第1のスイッチ及び第2のスイッチを同期してオンにした遅延ユニットを例示する回路図である。
【図12】図12は、別の書込み回路の第1のスイッチ及び第2のスイッチを同期してオンにした遅延ユニットを例示する回路図である。
【図13】図13は、読出し回路の第3のスイッチ及び第4のスイッチを同期してオンにした遅延ユニットを例示する回路図である。
【図14】図14は、別の読出し回路の第3のスイッチ及び第4のスイッチを同期してオンにした遅延ユニットを例示する回路図である。
【図15】図15は、別の読出し回路の第3のスイッチ及び第4のスイッチを同期してオンにした遅延ユニットを例示する回路図である。
【図16】図16は、第2の実施形態の受信回路を例示するブロック図である。
【図17】図17は、図16に例示された受信回路内の遅延ユニットの構成を例示する回路図である。
【図18】図18は、第3の実施形態の受信回路を例示するブロック図である。
【図19】図19は、図18に例示された受信回路内の遅延ユニットの構成を例示する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0030】
[第1の実施形態]
図1〜7を参照して第1の実施形態について説明する。図1に例示されているように、超音波画像表示装置100が、装置主ユニット101と、該装置主ユニット101に接続された超音波プローブ102とを含む。超音波プローブ102はケーブル103を介して装置主ユニット101に接続される。
【0031】
超音波プローブ102には受信回路1が設けられており、この受信回路1には、超音波トランスデューサで受け取った超音波エコー信号が入力される。特に図示していないが、超音波プローブ102に送信回路を設けることができる。送信回路は所定の送信条件下で超音波プローブ102の超音波トランスデューサを駆動して、走査面を超音波ビームにより音線の逐次的な態様で走査する。
【0032】
受信回路1からの出力信号がケーブル103を介して装置主ユニット101に入力され、該信号はA−D変換ユニット(図示せず)でA−D変換される。A−D変換後に得られたエコー信号に基づいて、超音波画像が作成され、次いでこの超音波画像は装置主ユニット101の表示装置104で表示される。
【0033】
次に図2及びその後の図を参照して、受信回路1について詳しく説明する。受信回路1は増幅ユニット2及び遅延ユニット3を含む。増幅ユニット2及び遅延ユニット3は、超音波プローブ102内に設けられたチャンネル0からチャンネルx(ここで、xは任意の自然数である)までの各チャンネル内の各々の超音波トランスデューサTrについて設けられる。各超音波トランスデューサTrで受け取ったエコー信号は増幅ユニット2で増幅され、次いで遅延ユニット3で所定の遅延時間を受ける。
【0034】
増幅ユニット2は電流出力増幅器を含む。この電流出力増幅器は、電圧信号である入力信号を増幅し、該入力信号を電流信号に変換して該電流信号を出力するV/I増幅器と、電流信号である入力信号を増幅して、電流信号を出力するI/I増幅器との内のいずれかである。
【0035】
図3に例示されているように、各々の遅延ユニット3は、コンデンサC、書込みスイッチSWw、及び読出しスイッチSWrを含む。ところで、図3は、遅延ユニット3及び増幅ユニット2が1つのチャンネルに相当することを示している。複数のコンデンサC、複数の書込みスイッチSWw、及び複数の読出しスイッチSWrが設けられる。すなわち、コンデンサC1,C2,C3,...,Cn(ここで、nは自然数である)、書込みスイッチSWw1,SWw2,SWw3,...,SWwn、及び読出しスイッチSWr1,SWr2,SWr3,...,SWrnが設けられる。個々のコンデンサC、書込みスイッチSWw及び読出しスイッチSWrは互いに並列に接続される。この並列回路によって電流集積(current integration) が行われる。
【0036】
各々の書込みスイッチSWwの一方の端部が増幅ユニット2に接続され、且つその他方の端部がコンデンサCの一方の端部に接続される。コンデンサCの他方の端部はアースに接続される。各々の読出しスイッチSWrの一方の端部がコンデンサCの一方の端部へ接続され、且つその他方の端部が出力線路Oに接続される。
【0037】
各書込みスイッチSWwと各コンデンサCとアースとが、増幅ユニット2の出力電流をコンデンサCに書き込む書込み回路31を形成する。書込み回路31として、複数書込み回路31−1,31−2,31−3,...,31−nが並列に設けられる。各々の書込み回路31において、書込みスイッチSWwがオンであるとき、増幅ユニット2の出力電流がコンデンサCに集積される。
【0038】
各読出しスイッチSWrと各コンデンサCとアースとが、コンデンサCに以前に集積された電荷を読み出す読出し回路32を形成する。読出し回路32として、複数の読出し回路32−1,32−2,32−3,...,32−nが並列に設けられる。各々の読出し回路32において、読出しスイッチSWrがオンであるとき、コンデンサCに集積された電荷が読み出される。
【0039】
次に、書込みスイッチSWw及び読出しスイッチSWrをターンオン及びターンオフするタイミングについて説明する。図4に例示されているように、いずれか1つの書込みスイッチSWwがターンオンされたとき、他の書込みスイッチSWwはターンオフされる。その結果、任意の時点では、増幅ユニット2は、オン状態にある書込みスイッチSWwを介して1つのコンデンサCにのみ接続される。
【0040】
同様に、いずれか1つの読出しスイッチSWrがターンオンされたとき、他の読出しスイッチSWrはターンオフされる。
【0041】
複数の書込みスイッチSWw及び複数の読出しスイッチSWrが逐次的にターンオンされる。より具体的に述べると、書込みスイッチSWwm(ここで、mは2〜nの自然数である)は、その前の書込みスイッチSWw(m−1)がオンからオフへ遷移したときに、ターンオンされる。例えば、書込みスイッチSWw1がオンからオフへ遷移したとき、書込みスイッチSWw2がオフからオンへ遷移し、また書込みスイッチSWw2がオンからオフへ遷移したとき、書込みスイッチSWw3がターンオンされる。結果として、各チャンネルでは、増幅ユニット2からの出力電流が個別のコンデンサCへ逐次的に書き込まれる。同様に、読出しスイッチSWrm(ここで、mは2〜nの自然数である)は、その前の読出しスイッチSWr(m−1)がオンからオフへ遷移したときに、ターンオンされる。
【0042】
全ての書込みスイッチSWw1〜SWwnは、等しい長さであってオーバーラップしない時間期間にわたってターンオンされる。全ての読出しスイッチSWr1〜SWrnは、等しい長さであってオーバーラップしない時間期間にわたってターンオンされる。
【0043】
ところで、コンデンサCの電流が読出しスイッチSWrによって読み出された後、コンデンサCに残っている電流を放電させるための回路を設けることができる。
【0044】
各遅延ユニット3で与えられる遅延時間Dは、集積期間(書込みスイッチSWwがオンである期間)の中心から、読出しスイッチSWrがオフからオンへ遷移したときまでの時間である。遅延時間Dはチャンネル毎に変えることができる。
【0045】
出力線路Oは、各コンデンサCから読み出された電荷を転送する低インピーダンスのノードであり、従って、個々のチャンネル内の遅延ユニット3からのそれぞれの出力線路Oは、一つの電荷加算ノードを形成するように結合することができる(図2参照)。従って、或るチャンネル内の読出しスイッチSWrによってコンデンサCから読み出された電荷は、他のチャンネル内のコンデンサCから読み出された電荷に出力線路Oで加算される。この出力線路Oはケーブル103へと続き、従って、合算された電荷がケーブル103を介して装置主ユニット101へ入力される。
【0046】
コンデンサCに集積された電流が出力線路O及びケーブル103へ効率よく転送されるように、各々のコンデンサCの静電容量はケーブル103の静電容量よりも小さいことが望ましい。従って、各々のコンデンサCの静電容量よりも大きい静電容量を持つケーブルを選択することが望ましい。
【0047】
しかしながら、ケーブルの静電容量が集積/遅延コンデンサCの静電容量よりも大きくないとき、コンデンサCの電荷を出力線路Oへ転送することができるように、次の処置を行うことができる。すなわち、図5に例示されているように、能動電流出力回路4を出力線路Oに設ける。この回路は出力線路Oに対して低インピーダンスを提供して、これによりコンデンサC上の電荷を効率よく転送し易くする。この能動電荷増幅器回路4のために、例えば、図6に例示されているような構成を採用することができる。
【0048】
各々のコンデンサCの静電容量よりも大きい静電容量を持つケーブルがケーブル103として使用されないとき、能動電流出力回路を設ける代わりに、出力線路Oに追加のコンデンサ(図示せず)を設けることができる。この場合、コンデンサCの電荷は、追加のコンデンサに一時的に電荷を蓄積することによって、出力線路Oへ転送することができる。
【0049】
これまで述べた模範的な実施形態によれば、各々の増幅ユニット2は電流出力増幅器、具体的には、V/I増幅器又はI/I増幅器を含む。従って、各チャンネル内の増幅ユニット2から電流が出力され、これらの電流は遅延コンデンサCに集積されて、加算器を設けることなく出力線路Oで加算される。これは、加算器の必要性を除去する。電流を集積するので、各々の電流出力増幅器の周波数特性は、図7に例示されているようなSINC関数の特性を持つ。この関数では、周波数が高くなると利得が減少する。これにより、増幅ユニット2より後の段に低域通過フィルタを設けることが不必要になり、或いは低域通過フィルタを簡単化することが可能になる。増幅ユニット2の出力が電流であるので、その後の段に緩衝増幅器を設けることが不必要である。以上の理由で、受信回路1のサイズを低減すること、及び通常の電圧サンプリングに比べて電力消費を低減することが可能である。従って、受信回路1を超音波プローブ102内に設けることができる。
【0050】
電流集積を用いるサンプリング方法は、クロック・ジッターの影響を受け易く、また十分なS/Nを得ることの助けとならないと云われている。しかしながら、好ましい実施形態では、各増幅ユニット2が複数のコンデンサCの内の1つに常に接続され、且つ複数のコンデンサCの内の1つを絶えず充電する。この結果、クロック・ジッターで誘起されたノイズの一次相殺が得られる。例えば、SWw(m)をターンオフするクロックが僅かに遅延した場合、コンデンサmは過剰な電荷を集積する。しかしながら、このクロックの遅延に起因して、次のコンデンサ(m+1)がコンデンサm上の過大な分の電荷量だけ少ない電荷を集積する。電荷が読出しスイッチによって読み出されているとき、全電荷はクロック・ジッターによって変化せず、クロック・ジッターの効果は過剰な電荷の遅延に過ぎない。従って、この例によれば、クロック・ジッターの影響を、従来の場合のような電圧増幅器を用いた電圧サンプリングにおけるものと等しくすることが可能である。
【0051】
次に、第1の実施形態に対する変更を説明する。先ず、第1の変更について説明する。第1の変更では、受信集束点を連続的に深さ方向に動かす動的集束が実行され、従って、書込みスイッチSWw及び読出しスイッチSWrがオンである時間を変更することによって遅延時間を調節することを可能にすることができる。図8を参照して具体的に説明する。一例として、遅延時間D1が集積期間(この場合、書込みスイッチSWwがオンである)の中心から、読出しスイッチSWrがオフからオンへ遷移する時までの時間であると仮定する。遅延は、書込みスイッチSWwのオン時間をT1からT2へ延長することによって、D1からD2へ短縮することができる。この場合、D2<D1である。同様に、遅延時間は、書込みスイッチSWw(図示せず)のオン時間を短くすることによって増大させることができる。結果として、受信集束点を変更することができる。ところで、書込みスイッチSWw又は読出しスイッチSWrは調節可能とすることができる。
【0052】
ところで、書込みスイッチSWw及び読出しスイッチSWrがオンである時間は、装置主ユニット101によって提供される制御ユニット(図示せず)又はプローブ内の他の制御器からの信号に基づいて調節される。
【0053】
次いで、第2の変更について説明する。上述の遅延ユニット3は図9に例示されるように構成することができる。より具体的に述べると、この例では、各々の書込みスイッチSWwは、同期してターンオン及びターンオフされる第1のスイッチASWw及び第2のスイッチBSWwを含み、また各々の読出しスイッチSWrは、同期してターンオン及びターンオフされる第3のスイッチCSWr及び第4のスイッチDSWrを含む。
【0054】
各々の第1のスイッチASWwの一方の端部が増幅ユニット2の出力側の第1の端子2aに接続され、且つ該スイッチの他方の端部が上記のコンデンサCの一方の端部に接続される。各々の対応する第2のスイッチBSWwの一方の端部がコンデンサCの他方の端部に接続され、且つ該スイッチの他方の端部が増幅ユニット2の出力側の第2の端子2bに接続される。
【0055】
対応する第3のスイッチCSWrの一方の端部がコンデンサCの一方の端部に接続され、且つ該スイッチの他方の端部が上記の出力線路Oに接続される。対応する第4のスイッチDSWrの一方の端部がコンデンサCの他方の端部に接続され、且つ該スイッチの他方の端部がアースに接続される。
【0056】
第1のスイッチASWw、コンデンサC及び第2のスイッチBSWwを含むループは更に、対応する増幅ユニット2からコンデンサCへの出力電流を集積する書込み回路31を含む。第3のスイッチCSWr、コンデンサC及び第4のスイッチDSWrを含むループは更に、コンデンサCに書き込まれた電荷を読み出す読出し回路32を含む。また第2の変更では、上記の書込み回路31及び複数の読出し回路32は複数個、互いに並列に設けられる(書込み回路31−1,31−2,31−3,...,読出し回路32−1,32−2,32−3,...)。
【0057】
次に、第2の変更における各々の書込み回路31及び各々の読出し回路32の動作について説明する。上記の増幅ユニット2の出力電流が上記のコンデンサCに集積されるとき、例えば、書込み回路31−1がコンデンサC1に電流を集積させるとき、図10に例示されるように下記のことが行われる。すなわち、書込み回路31−1の第1のスイッチASWw及び第2のスイッチBSWwは同期してターンオンされる。書込み回路31−1の第1のスイッチASWw及び第2のスイッチBSWwがターンオフされた後、複数の書込み回路31の中の別の個々の書込み回路の第1のスイッチASWw及び第2のスイッチBSWwが同期してターンオンされ、その結果、電流が任意の書込み回路31内のコンデンサCに逐次的に書き込まれる。具体的に述べると、書込み回路31−1の次に、図11に例示されるように、書込み回路31−2の第1のスイッチASWw及び第2のスイッチBSWwが同期してターンオンされ、更に書込み回路31−2の次に、図12に例示されるように、書込み回路31−3の第1のスイッチASWw及び第2のスイッチBSWwが同期してターンオンされる。この例では、結果として、各増幅ユニット2はコンデンサC1〜Cnの内の1つと絶えず接続される。
【0058】
上記のコンデンサCに書き込まれた電流を読み出す場合について以下に説明する。例えば、読出し回路32−1がコンデンサCの電流を読み出すとき、図13に例示されるように、読出し回路32−1の第3のスイッチCSWr及び第4のスイッチDSWrが同期してターンオンされる。読出し回路32−1の第3のスイッチCSWr及び第4のスイッチDSWrがターンオフした後、複数の読出し回路32の内の別の個々の読出し回路内の第3のスイッチCSWr及び第4のスイッチDSWrが逐次的にターンオンされて、その結果、別のコンデンサCの電流が複数の読出し回路32の内の1つで逐次的に読み出される。具体的に述べると、読出し回路32−1に続いて、図14に例示されるように、読出し回路32−2の第3のスイッチCSWr及び第4のスイッチDSWrが同期してターンオンされ、更に読出し回路32−2に続いて、図15に例示されるように、読出し回路32−3の第3のスイッチCSWr及び第4のスイッチDSWrが同期してターンオンされる。
【0059】
ところで、遅延時間Dは、各々の第1のスイッチASWw及び対応する第2のスイッチBSWwがオンからオフへ遷移したときから、次のことが行われるまで、すなわち、第1のスイッチASWw及び第2のスイッチBSWwによって書き込まれた電流を第3のスイッチCSWr及び第4のスイッチDSWrが読み出すときまでの時間である。
【0060】
[第2の実施形態]
次いで、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と同じ要素には同じ参照数字又は符号を付しており、またそれらについての説明は省略する。
【0061】
第1の実施形態では、遅延ユニット3は各チャンネル内の超音波トランスデューサTr及び増幅ユニット2に対して設けられている。これと異なり、第2の実施形態では、遅延ユニット3は複数のチャンネル内の超音波トランスデューサTr及び増幅ユニット2に対して共通に設けられる。この例では、図16に例示されているように、1つの遅延ユニット3が複数のチャンネル内の超音波トランスデューサTr及び増幅ユニット2に対して共通に設けられる。各チャンネルの超音波トランスデューサTrで受け取ったエコー信号が、対応する増幅ユニット2で増幅されて、例外なく遅延ユニット3へ電流として入力される。
【0062】
この例における遅延ユニット3の構成について図17を参照して説明する。超音波トランスデューサTrのチャンネルの数が(x+1)であると仮定する。この例では、書込み回路31−1,31−2,31−3,...,31−nの(x+1)組の書込みスイッチ[SWw1,SWw2,SWw3,...,SWwn]が互いに並列に設けられる。(x+1)×(n)個の書込みスイッチが個々のチャンネル内の増幅ユニット2と接続される。
【0063】
この例ではまた、各チャンネルのエコー信号が所定の遅延時間Dだけ遅延されるように、書込みスイッチSWw及び読出しスイッチSWrがターンオン及びターンオフされる。この例ではまた、各チャンネルの増幅ユニット2が常に複数のコンデンサの内の1つと接続される。ところで、各々の書込み回路31において、複数の書込みスイッチSWwを同期してオンにすることができる。この場合、複数のチャンネル内の複数の増幅ユニット2からの出力が加算されて、コンデンサCに集積される。従って、複数の増幅ユニット2からの出力電流が遅延ユニット3で加算される。
【0064】
またこれまで述べた例によれば、第1の実施形態による利点と同じ利点が得られる。それに加えて、各コンデンサCにおける飽和の危険性が、チャンネル間でコンデンサCを共用することによって低減することができる。
【0065】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について説明する。上記の実施形態と同じ要素には同じ参照数字又は符号を付しており、またそれらについての説明は省略する。
【0066】
また第3の実施形態では、第2の実施形態におけるように複数のチャンネルの超音波トランスデューサTr及び増幅ユニット2に対して共通な遅延ユニット3が設けられる。しかしながら、第2の実施形態と異なり、全てのチャンネルの内の幾分かのチャンネルずつの超音波トランスデューサTr及び増幅ユニット2に対してそれぞれ共通な複数の遅延ユニットが設けられる。その結果、相対的大きなチャンネル群の中の幾分かのチャンネルの信号が各遅延ユニット3に入力される。この例では、図18に例示されているように3つのチャンネルに相当する超音波トランスデューサTr及び増幅ユニット2対して1つの遅延ユニット3が設けられる。従って、図19に例示されているように、各遅延ユニット3には、書込み回路31−1,31−2,31−3,...,31−nの書込みスイッチSWw1,SWw2,SWw3,...,SWwnが3つずつ設けられる。それらのスイッチは、遅延ユニット3が接続される複数のチャンネル内の複数の増幅ユニット2と接続される。ところで、図19はch0〜ch2に対して設けられた遅延ユニット3を示している。
【0067】
またこれまで述べた例によれば、第1又は第2の実施形態による利点と同じ利点が得られる。
【0068】
以上、上記の実施形態に基づいて本発明を説明した。しかしながら、本発明は、その内容から逸脱するこなく様々な変更を行うことができる。例えば、第2及び第3の実施形態でも、出力線路Oに能動電流出力回路4又はコンデンサを設けることができる。また第2及び第3の実施形態でも、第1の実施形態に対する第2の変更のような下記の処置を行うことができる。すなわち、各書込みスイッチSWwが、チャンネル毎に設けられた第1のスイッチASWw及び第2のスイッチBSWwを含み、また各読出しスイッチSWrが、チャンネル毎に設けられた第3のスイッチCSWr及びa 第4のスイッチDSWrを含むことができる。
【符号の説明】
【0069】
100 超音波画像表示装置
101 装置主ユニット
102 超音波プローブ
103 ケーブル
104 表示装置
1 受信回路
2 増幅ユニット
3 遅延ユニット
Tr 超音波トランスデューサ
O 出力線路
C コンデンサ
SWw 書込みスイッチ
SWr 読出しスイッチ
31 書込み回路
32 読出し回路
4 能動電流出力回路
ASWw 第1のスイッチ
BSWw 第2のスイッチ
CSWr 第3のスイッチ
DSWr 第4のスイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波エコー信号を増幅する増幅ユニットと、該増幅ユニットの出力信号に所定の遅延時間を与える遅延ユニットとを含む受信回路に関するものであり、また更に該受信回路を備えている超音波プローブ及び超音波画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波画像表示装置では、超音波が超音波プローブ内に設けられた複数の超音波トランスデューサから送信され、またエコー信号が各超音波トランスデューサで受信される。各超音波トランスデューサで受信されたエコー信号は、受信回路に入力され、該回路で位相調整されて加算される。結果として、1つの受信ビームが形成される。
【0003】
受信回路において、エコー信号は、各超音波トランスデューサに設けられた増幅ユニットで増幅される。各増幅ユニットの出力信号に対して、遅延ユニットで所定の遅延が与えられ、次いで加算ユニットで加算が遂行される。(例えば、日本国特許出願公開第2010−68957号を参照されたい。)
各々の上記の増幅ユニットは、通常、電圧を出力する電圧増幅器を含む。しかしながら、電圧増幅器が使用されるとき、電圧増幅器より後の段に緩衝増幅器が必要になり、それによるエネルギ損失に起因して熱が発生される。
【0004】
電圧増幅器が使用されるとき、上記の緩衝増幅器に加えて、出力信号を加算するための加算器が必要とされる。更に、電圧増幅器の周波数特性が広帯域であるので、低域通過フィルタが必要とされる。これは各受信回路の小型化を制限する。
【0005】
一般に、上記の受信回路は超音波画像表示装置の主ユニットの中に設けられている。本発明者は、上記の受信回路を超音波プローブ内に設けることを考えた。しかしながら、前に述べたように、従来の受信回路の小型化は制限されており、従って、受信回路を超音波プローブ内に何ら変更を行わないで設けることは困難である。オペレータによって把持される超音波プローブでは、受信回路が超音波画像表示装置の主ユニットの中に設けられている場合と比べて、熱の発生が問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7678053号
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の面は受信回路であり、該受信回路は、超音波を受け取るための超音波トランスデューサで受け取ったエコー信号を増幅する増幅ユニットと、前記増幅ユニットの出力信号に遅延時間を与える遅延ユニットとを持つ。受信回路は、超音波トランスデューサを含む超音波プローブ内に設けられ、且つ前記増幅ユニットが電流出力増幅器で構成される。
【0008】
本発明の第2の面は、本発明の第1の面に従った受信回路であり、該受信回路では、遅延ユニットが、電流出力増幅器の出力電流を集積するコンデンサと、該出力電流をこのコンデンサに書き込むための書込みスイッチと、コンデンサから電荷を読み出すための読出しスイッチとを含む。
【0009】
本発明の第3の面は、本発明の第2の面に従った受信回路であり、該受信回路では、書込みスイッチがオンである間、コンデンサが出力電流で充電される。
【0010】
本発明の第4の面は、本発明の第2の面に従った受信回路であり、該受信回路では、次のことが具現化される。すなわち、遅延ユニットが、上記のような複数のコンデンサと複数の書込みスイッチ及び読出しスイッチとを含み、これらのコンデンサ、書込みスイッチ及び読出しスイッチは並列回路を形成する。
【0011】
本発明の第5の面は、本発明の第4の面に従った受信回路であり、該受信回路では、次のことが具現化される。すなわち、複数の書込みスイッチの内の任意の1つがターンオンされたとき、他の書込みスイッチはターンオフされ、また電流出力増幅器が、オン状態の書込みスイッチを介していずれかのコンデンサに接続される。
【0012】
本発明の第6の面は、本発明の第2の面に従った受信回路であり、該受信回路では、書込みスイッチ及び/又は読出しスイッチが調節可能である。
【0013】
本発明の第7の面は、本発明の第2の面に従った受信回路であり、該受信回路では、遅延時間は、各々の書込みスイッチがターンオフされた時から対応する読出しスイッチがターンオンされる時までの時間である。
【0014】
本発明の第8の面は、本発明の第2の面に従った受信回路であり、該受信回路では、コンデンサの静電容量が、次の静電容量、すなわち、超音波プローブと超音波画像表示装置の主ユニットとを接続するケーブルの静電容量よりも小さい。
【0015】
本発明の第9の面は、本発明の第2の面に従った受信回路であり、該受信回路では、読出しスイッチより後の段に能動電荷増幅器回路が設けられる。
【0016】
本発明の第10の面は、本発明の第2の面に従った受信回路であり、該受信回路では、次のことが具現化される。すなわち、書込みスイッチの一方の端部が電流出力増幅器に接続され且つその他方の端部がコンデンサの一方の端部に接続され、コンデンサの他方の端部がアースに接続され、また読出しスイッチの一方の端部がコンデンサの前記一方の端部に接続され且つその他方の端部が出力線路に接続される。
【0017】
本発明の第11の面は、本発明の第2の面に従った受信回路であり、該受信回路では、次のことが具現化される。すなわち、書込みスイッチが、同期してターンオン及びターンオフされる第1及び第2のスイッチを含み、また読出しスイッチが、同期してターンオン及びターンオフされる第3及び第4のスイッチを含み、また第1のスイッチの一方の端部が電流出力増幅器の出力側の第1の端子に接続され、且つ第1のスイッチの他方の端部がコンデンサの一方の端部に接続され、また第2のスイッチの一方の端部がコンデンサの他方の端部に接続され、且つ第2のスイッチの他方の端部が電流出力増幅器の出力側の第2の端子に接続され、また第3のスイッチの一方の端部がコンデンサの一方の端部に接続され、且つ第3のスイッチの他方の端部が出力線路に接続され、また第4のスイッチの一方の端部がコンデンサの他方の端部に接続され、且つ第4のスイッチの他方の端部がアースに接続される。
【0018】
本発明の第12の面は、本発明の第1の面に従った受信回路であり、該受信回路では、遅延ユニットからの出力線路において、遅延ユニットの出力電流が加算される。
【0019】
本発明の第13の面は、本発明の第1の面に従った受信回路であり、該受信回路では、遅延ユニットが各々の超音波トランスデューサについて設けられる。
【0020】
本発明の第14の面は、本発明の第1の面に従った受信回路であり、該受信回路では、遅延ユニットが複数のチャンネル内の超音波トランスデューサに対して共通に設けられる。
【0021】
本発明の第15の面は、本発明の第14の面に従った受信回路であり、該受信回路では、遅延ユニットが単独で全てのチャンネル内の超音波トランスデューサに対して共通に設けられる。
【0022】
本発明の第16の面は、本発明の第14の面に従った受信回路であり、該受信回路では、上述した複数の遅延ユニットが全てのチャンネルの内の幾分かのチャンネル内の超音波トランスデューサに対して共通に設けられる。
【0023】
本発明の第17の面は、本発明の第14の面に従った受信回路であり、該受信回路では、複数の増幅ユニットからの複数の出力電流が遅延ユニット内で又は遅延ユニットからの出力線路において加算される。
【0024】
本発明の第18の面は、本発明の第1の面に従った受信回路であり、該受信回路では、電流出力増幅器が、電圧信号である入力信号を増幅し、該入力信号を電流信号に変換して該電流信号を出力するV/I増幅器と、電流信号である入力信号を増幅して、電流信号を出力するI/I増幅器との内のいずれかである。
【0025】
本発明の第19の面は、本発明の第1の面に従った受信回路を備えた超音波プローブである。
【0026】
本発明の第20の面は、本発明の第19の面に従った超音波プローブを備えた超音波画像表示装置である。
【0027】
本発明の以上の面によれば、受信回路の各増幅ユニットは電流出力増幅器を含む。従って、加算器が無くても、個別のチャンネル内の増幅ユニットから出力される電流は、これらの増幅ユニットより後の段にある出力線路で加算される。これにより加算器の必要性が除去される。各々の電流出力増幅器の周波数特性は、超音波の中心周波数へ向かって周波数が高くなるにつれて利得が減少するように定められる。これにより低域通過フィルタの必要性が除去され、或いは簡単な低域通過フィルタで十分である。各々の増幅ユニットが電流を出力するので、その後の段に緩衝増幅器を設けることが不必要である。上記の理由から、受信回路のサイズを低減し且つ熱の発生を従来よりも多く抑制することが可能である。その結果として、受信回路は超音波プローブ内に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の超音波画像表示装置の実施形態の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、第1の実施形態における受信回路を例示するブロック図である。
【図3】図3は、図2に例示された受信回路内の遅延ユニットの構成を例示する回路図である。
【図4】図4は、図3に例示された遅延ユニット内の書込みスイッチ及び読出しスイッチがターンオン及びターンオフされるタイミングを説明する波形図である。
【図5】図5は、能動電流出力回路を含む受信回路を例示するブロック図である。
【図6】図6は、能動電流出力回路の一例を示す回路図である。
【図7】図7は、電流出力増幅器の周波数特性を示すグラフである。
【図8】図8は、書込みスイッチ及び読出しスイッチがオンである時間を変えることによって遅延時間を調節する事例を示す説明図である。
【図9】図9は、遅延ユニットの構成の別の例を示す回路図である。
【図10】図10は、書込み回路の第1のスイッチ及び第2のスイッチを同期してオンにした遅延ユニットを例示する回路図である。
【図11】図11は、別の書込み回路の第1のスイッチ及び第2のスイッチを同期してオンにした遅延ユニットを例示する回路図である。
【図12】図12は、別の書込み回路の第1のスイッチ及び第2のスイッチを同期してオンにした遅延ユニットを例示する回路図である。
【図13】図13は、読出し回路の第3のスイッチ及び第4のスイッチを同期してオンにした遅延ユニットを例示する回路図である。
【図14】図14は、別の読出し回路の第3のスイッチ及び第4のスイッチを同期してオンにした遅延ユニットを例示する回路図である。
【図15】図15は、別の読出し回路の第3のスイッチ及び第4のスイッチを同期してオンにした遅延ユニットを例示する回路図である。
【図16】図16は、第2の実施形態の受信回路を例示するブロック図である。
【図17】図17は、図16に例示された受信回路内の遅延ユニットの構成を例示する回路図である。
【図18】図18は、第3の実施形態の受信回路を例示するブロック図である。
【図19】図19は、図18に例示された受信回路内の遅延ユニットの構成を例示する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0030】
[第1の実施形態]
図1〜7を参照して第1の実施形態について説明する。図1に例示されているように、超音波画像表示装置100が、装置主ユニット101と、該装置主ユニット101に接続された超音波プローブ102とを含む。超音波プローブ102はケーブル103を介して装置主ユニット101に接続される。
【0031】
超音波プローブ102には受信回路1が設けられており、この受信回路1には、超音波トランスデューサで受け取った超音波エコー信号が入力される。特に図示していないが、超音波プローブ102に送信回路を設けることができる。送信回路は所定の送信条件下で超音波プローブ102の超音波トランスデューサを駆動して、走査面を超音波ビームにより音線の逐次的な態様で走査する。
【0032】
受信回路1からの出力信号がケーブル103を介して装置主ユニット101に入力され、該信号はA−D変換ユニット(図示せず)でA−D変換される。A−D変換後に得られたエコー信号に基づいて、超音波画像が作成され、次いでこの超音波画像は装置主ユニット101の表示装置104で表示される。
【0033】
次に図2及びその後の図を参照して、受信回路1について詳しく説明する。受信回路1は増幅ユニット2及び遅延ユニット3を含む。増幅ユニット2及び遅延ユニット3は、超音波プローブ102内に設けられたチャンネル0からチャンネルx(ここで、xは任意の自然数である)までの各チャンネル内の各々の超音波トランスデューサTrについて設けられる。各超音波トランスデューサTrで受け取ったエコー信号は増幅ユニット2で増幅され、次いで遅延ユニット3で所定の遅延時間を受ける。
【0034】
増幅ユニット2は電流出力増幅器を含む。この電流出力増幅器は、電圧信号である入力信号を増幅し、該入力信号を電流信号に変換して該電流信号を出力するV/I増幅器と、電流信号である入力信号を増幅して、電流信号を出力するI/I増幅器との内のいずれかである。
【0035】
図3に例示されているように、各々の遅延ユニット3は、コンデンサC、書込みスイッチSWw、及び読出しスイッチSWrを含む。ところで、図3は、遅延ユニット3及び増幅ユニット2が1つのチャンネルに相当することを示している。複数のコンデンサC、複数の書込みスイッチSWw、及び複数の読出しスイッチSWrが設けられる。すなわち、コンデンサC1,C2,C3,...,Cn(ここで、nは自然数である)、書込みスイッチSWw1,SWw2,SWw3,...,SWwn、及び読出しスイッチSWr1,SWr2,SWr3,...,SWrnが設けられる。個々のコンデンサC、書込みスイッチSWw及び読出しスイッチSWrは互いに並列に接続される。この並列回路によって電流集積(current integration) が行われる。
【0036】
各々の書込みスイッチSWwの一方の端部が増幅ユニット2に接続され、且つその他方の端部がコンデンサCの一方の端部に接続される。コンデンサCの他方の端部はアースに接続される。各々の読出しスイッチSWrの一方の端部がコンデンサCの一方の端部へ接続され、且つその他方の端部が出力線路Oに接続される。
【0037】
各書込みスイッチSWwと各コンデンサCとアースとが、増幅ユニット2の出力電流をコンデンサCに書き込む書込み回路31を形成する。書込み回路31として、複数書込み回路31−1,31−2,31−3,...,31−nが並列に設けられる。各々の書込み回路31において、書込みスイッチSWwがオンであるとき、増幅ユニット2の出力電流がコンデンサCに集積される。
【0038】
各読出しスイッチSWrと各コンデンサCとアースとが、コンデンサCに以前に集積された電荷を読み出す読出し回路32を形成する。読出し回路32として、複数の読出し回路32−1,32−2,32−3,...,32−nが並列に設けられる。各々の読出し回路32において、読出しスイッチSWrがオンであるとき、コンデンサCに集積された電荷が読み出される。
【0039】
次に、書込みスイッチSWw及び読出しスイッチSWrをターンオン及びターンオフするタイミングについて説明する。図4に例示されているように、いずれか1つの書込みスイッチSWwがターンオンされたとき、他の書込みスイッチSWwはターンオフされる。その結果、任意の時点では、増幅ユニット2は、オン状態にある書込みスイッチSWwを介して1つのコンデンサCにのみ接続される。
【0040】
同様に、いずれか1つの読出しスイッチSWrがターンオンされたとき、他の読出しスイッチSWrはターンオフされる。
【0041】
複数の書込みスイッチSWw及び複数の読出しスイッチSWrが逐次的にターンオンされる。より具体的に述べると、書込みスイッチSWwm(ここで、mは2〜nの自然数である)は、その前の書込みスイッチSWw(m−1)がオンからオフへ遷移したときに、ターンオンされる。例えば、書込みスイッチSWw1がオンからオフへ遷移したとき、書込みスイッチSWw2がオフからオンへ遷移し、また書込みスイッチSWw2がオンからオフへ遷移したとき、書込みスイッチSWw3がターンオンされる。結果として、各チャンネルでは、増幅ユニット2からの出力電流が個別のコンデンサCへ逐次的に書き込まれる。同様に、読出しスイッチSWrm(ここで、mは2〜nの自然数である)は、その前の読出しスイッチSWr(m−1)がオンからオフへ遷移したときに、ターンオンされる。
【0042】
全ての書込みスイッチSWw1〜SWwnは、等しい長さであってオーバーラップしない時間期間にわたってターンオンされる。全ての読出しスイッチSWr1〜SWrnは、等しい長さであってオーバーラップしない時間期間にわたってターンオンされる。
【0043】
ところで、コンデンサCの電流が読出しスイッチSWrによって読み出された後、コンデンサCに残っている電流を放電させるための回路を設けることができる。
【0044】
各遅延ユニット3で与えられる遅延時間Dは、集積期間(書込みスイッチSWwがオンである期間)の中心から、読出しスイッチSWrがオフからオンへ遷移したときまでの時間である。遅延時間Dはチャンネル毎に変えることができる。
【0045】
出力線路Oは、各コンデンサCから読み出された電荷を転送する低インピーダンスのノードであり、従って、個々のチャンネル内の遅延ユニット3からのそれぞれの出力線路Oは、一つの電荷加算ノードを形成するように結合することができる(図2参照)。従って、或るチャンネル内の読出しスイッチSWrによってコンデンサCから読み出された電荷は、他のチャンネル内のコンデンサCから読み出された電荷に出力線路Oで加算される。この出力線路Oはケーブル103へと続き、従って、合算された電荷がケーブル103を介して装置主ユニット101へ入力される。
【0046】
コンデンサCに集積された電流が出力線路O及びケーブル103へ効率よく転送されるように、各々のコンデンサCの静電容量はケーブル103の静電容量よりも小さいことが望ましい。従って、各々のコンデンサCの静電容量よりも大きい静電容量を持つケーブルを選択することが望ましい。
【0047】
しかしながら、ケーブルの静電容量が集積/遅延コンデンサCの静電容量よりも大きくないとき、コンデンサCの電荷を出力線路Oへ転送することができるように、次の処置を行うことができる。すなわち、図5に例示されているように、能動電流出力回路4を出力線路Oに設ける。この回路は出力線路Oに対して低インピーダンスを提供して、これによりコンデンサC上の電荷を効率よく転送し易くする。この能動電荷増幅器回路4のために、例えば、図6に例示されているような構成を採用することができる。
【0048】
各々のコンデンサCの静電容量よりも大きい静電容量を持つケーブルがケーブル103として使用されないとき、能動電流出力回路を設ける代わりに、出力線路Oに追加のコンデンサ(図示せず)を設けることができる。この場合、コンデンサCの電荷は、追加のコンデンサに一時的に電荷を蓄積することによって、出力線路Oへ転送することができる。
【0049】
これまで述べた模範的な実施形態によれば、各々の増幅ユニット2は電流出力増幅器、具体的には、V/I増幅器又はI/I増幅器を含む。従って、各チャンネル内の増幅ユニット2から電流が出力され、これらの電流は遅延コンデンサCに集積されて、加算器を設けることなく出力線路Oで加算される。これは、加算器の必要性を除去する。電流を集積するので、各々の電流出力増幅器の周波数特性は、図7に例示されているようなSINC関数の特性を持つ。この関数では、周波数が高くなると利得が減少する。これにより、増幅ユニット2より後の段に低域通過フィルタを設けることが不必要になり、或いは低域通過フィルタを簡単化することが可能になる。増幅ユニット2の出力が電流であるので、その後の段に緩衝増幅器を設けることが不必要である。以上の理由で、受信回路1のサイズを低減すること、及び通常の電圧サンプリングに比べて電力消費を低減することが可能である。従って、受信回路1を超音波プローブ102内に設けることができる。
【0050】
電流集積を用いるサンプリング方法は、クロック・ジッターの影響を受け易く、また十分なS/Nを得ることの助けとならないと云われている。しかしながら、好ましい実施形態では、各増幅ユニット2が複数のコンデンサCの内の1つに常に接続され、且つ複数のコンデンサCの内の1つを絶えず充電する。この結果、クロック・ジッターで誘起されたノイズの一次相殺が得られる。例えば、SWw(m)をターンオフするクロックが僅かに遅延した場合、コンデンサmは過剰な電荷を集積する。しかしながら、このクロックの遅延に起因して、次のコンデンサ(m+1)がコンデンサm上の過大な分の電荷量だけ少ない電荷を集積する。電荷が読出しスイッチによって読み出されているとき、全電荷はクロック・ジッターによって変化せず、クロック・ジッターの効果は過剰な電荷の遅延に過ぎない。従って、この例によれば、クロック・ジッターの影響を、従来の場合のような電圧増幅器を用いた電圧サンプリングにおけるものと等しくすることが可能である。
【0051】
次に、第1の実施形態に対する変更を説明する。先ず、第1の変更について説明する。第1の変更では、受信集束点を連続的に深さ方向に動かす動的集束が実行され、従って、書込みスイッチSWw及び読出しスイッチSWrがオンである時間を変更することによって遅延時間を調節することを可能にすることができる。図8を参照して具体的に説明する。一例として、遅延時間D1が集積期間(この場合、書込みスイッチSWwがオンである)の中心から、読出しスイッチSWrがオフからオンへ遷移する時までの時間であると仮定する。遅延は、書込みスイッチSWwのオン時間をT1からT2へ延長することによって、D1からD2へ短縮することができる。この場合、D2<D1である。同様に、遅延時間は、書込みスイッチSWw(図示せず)のオン時間を短くすることによって増大させることができる。結果として、受信集束点を変更することができる。ところで、書込みスイッチSWw又は読出しスイッチSWrは調節可能とすることができる。
【0052】
ところで、書込みスイッチSWw及び読出しスイッチSWrがオンである時間は、装置主ユニット101によって提供される制御ユニット(図示せず)又はプローブ内の他の制御器からの信号に基づいて調節される。
【0053】
次いで、第2の変更について説明する。上述の遅延ユニット3は図9に例示されるように構成することができる。より具体的に述べると、この例では、各々の書込みスイッチSWwは、同期してターンオン及びターンオフされる第1のスイッチASWw及び第2のスイッチBSWwを含み、また各々の読出しスイッチSWrは、同期してターンオン及びターンオフされる第3のスイッチCSWr及び第4のスイッチDSWrを含む。
【0054】
各々の第1のスイッチASWwの一方の端部が増幅ユニット2の出力側の第1の端子2aに接続され、且つ該スイッチの他方の端部が上記のコンデンサCの一方の端部に接続される。各々の対応する第2のスイッチBSWwの一方の端部がコンデンサCの他方の端部に接続され、且つ該スイッチの他方の端部が増幅ユニット2の出力側の第2の端子2bに接続される。
【0055】
対応する第3のスイッチCSWrの一方の端部がコンデンサCの一方の端部に接続され、且つ該スイッチの他方の端部が上記の出力線路Oに接続される。対応する第4のスイッチDSWrの一方の端部がコンデンサCの他方の端部に接続され、且つ該スイッチの他方の端部がアースに接続される。
【0056】
第1のスイッチASWw、コンデンサC及び第2のスイッチBSWwを含むループは更に、対応する増幅ユニット2からコンデンサCへの出力電流を集積する書込み回路31を含む。第3のスイッチCSWr、コンデンサC及び第4のスイッチDSWrを含むループは更に、コンデンサCに書き込まれた電荷を読み出す読出し回路32を含む。また第2の変更では、上記の書込み回路31及び複数の読出し回路32は複数個、互いに並列に設けられる(書込み回路31−1,31−2,31−3,...,読出し回路32−1,32−2,32−3,...)。
【0057】
次に、第2の変更における各々の書込み回路31及び各々の読出し回路32の動作について説明する。上記の増幅ユニット2の出力電流が上記のコンデンサCに集積されるとき、例えば、書込み回路31−1がコンデンサC1に電流を集積させるとき、図10に例示されるように下記のことが行われる。すなわち、書込み回路31−1の第1のスイッチASWw及び第2のスイッチBSWwは同期してターンオンされる。書込み回路31−1の第1のスイッチASWw及び第2のスイッチBSWwがターンオフされた後、複数の書込み回路31の中の別の個々の書込み回路の第1のスイッチASWw及び第2のスイッチBSWwが同期してターンオンされ、その結果、電流が任意の書込み回路31内のコンデンサCに逐次的に書き込まれる。具体的に述べると、書込み回路31−1の次に、図11に例示されるように、書込み回路31−2の第1のスイッチASWw及び第2のスイッチBSWwが同期してターンオンされ、更に書込み回路31−2の次に、図12に例示されるように、書込み回路31−3の第1のスイッチASWw及び第2のスイッチBSWwが同期してターンオンされる。この例では、結果として、各増幅ユニット2はコンデンサC1〜Cnの内の1つと絶えず接続される。
【0058】
上記のコンデンサCに書き込まれた電流を読み出す場合について以下に説明する。例えば、読出し回路32−1がコンデンサCの電流を読み出すとき、図13に例示されるように、読出し回路32−1の第3のスイッチCSWr及び第4のスイッチDSWrが同期してターンオンされる。読出し回路32−1の第3のスイッチCSWr及び第4のスイッチDSWrがターンオフした後、複数の読出し回路32の内の別の個々の読出し回路内の第3のスイッチCSWr及び第4のスイッチDSWrが逐次的にターンオンされて、その結果、別のコンデンサCの電流が複数の読出し回路32の内の1つで逐次的に読み出される。具体的に述べると、読出し回路32−1に続いて、図14に例示されるように、読出し回路32−2の第3のスイッチCSWr及び第4のスイッチDSWrが同期してターンオンされ、更に読出し回路32−2に続いて、図15に例示されるように、読出し回路32−3の第3のスイッチCSWr及び第4のスイッチDSWrが同期してターンオンされる。
【0059】
ところで、遅延時間Dは、各々の第1のスイッチASWw及び対応する第2のスイッチBSWwがオンからオフへ遷移したときから、次のことが行われるまで、すなわち、第1のスイッチASWw及び第2のスイッチBSWwによって書き込まれた電流を第3のスイッチCSWr及び第4のスイッチDSWrが読み出すときまでの時間である。
【0060】
[第2の実施形態]
次いで、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と同じ要素には同じ参照数字又は符号を付しており、またそれらについての説明は省略する。
【0061】
第1の実施形態では、遅延ユニット3は各チャンネル内の超音波トランスデューサTr及び増幅ユニット2に対して設けられている。これと異なり、第2の実施形態では、遅延ユニット3は複数のチャンネル内の超音波トランスデューサTr及び増幅ユニット2に対して共通に設けられる。この例では、図16に例示されているように、1つの遅延ユニット3が複数のチャンネル内の超音波トランスデューサTr及び増幅ユニット2に対して共通に設けられる。各チャンネルの超音波トランスデューサTrで受け取ったエコー信号が、対応する増幅ユニット2で増幅されて、例外なく遅延ユニット3へ電流として入力される。
【0062】
この例における遅延ユニット3の構成について図17を参照して説明する。超音波トランスデューサTrのチャンネルの数が(x+1)であると仮定する。この例では、書込み回路31−1,31−2,31−3,...,31−nの(x+1)組の書込みスイッチ[SWw1,SWw2,SWw3,...,SWwn]が互いに並列に設けられる。(x+1)×(n)個の書込みスイッチが個々のチャンネル内の増幅ユニット2と接続される。
【0063】
この例ではまた、各チャンネルのエコー信号が所定の遅延時間Dだけ遅延されるように、書込みスイッチSWw及び読出しスイッチSWrがターンオン及びターンオフされる。この例ではまた、各チャンネルの増幅ユニット2が常に複数のコンデンサの内の1つと接続される。ところで、各々の書込み回路31において、複数の書込みスイッチSWwを同期してオンにすることができる。この場合、複数のチャンネル内の複数の増幅ユニット2からの出力が加算されて、コンデンサCに集積される。従って、複数の増幅ユニット2からの出力電流が遅延ユニット3で加算される。
【0064】
またこれまで述べた例によれば、第1の実施形態による利点と同じ利点が得られる。それに加えて、各コンデンサCにおける飽和の危険性が、チャンネル間でコンデンサCを共用することによって低減することができる。
【0065】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について説明する。上記の実施形態と同じ要素には同じ参照数字又は符号を付しており、またそれらについての説明は省略する。
【0066】
また第3の実施形態では、第2の実施形態におけるように複数のチャンネルの超音波トランスデューサTr及び増幅ユニット2に対して共通な遅延ユニット3が設けられる。しかしながら、第2の実施形態と異なり、全てのチャンネルの内の幾分かのチャンネルずつの超音波トランスデューサTr及び増幅ユニット2に対してそれぞれ共通な複数の遅延ユニットが設けられる。その結果、相対的大きなチャンネル群の中の幾分かのチャンネルの信号が各遅延ユニット3に入力される。この例では、図18に例示されているように3つのチャンネルに相当する超音波トランスデューサTr及び増幅ユニット2対して1つの遅延ユニット3が設けられる。従って、図19に例示されているように、各遅延ユニット3には、書込み回路31−1,31−2,31−3,...,31−nの書込みスイッチSWw1,SWw2,SWw3,...,SWwnが3つずつ設けられる。それらのスイッチは、遅延ユニット3が接続される複数のチャンネル内の複数の増幅ユニット2と接続される。ところで、図19はch0〜ch2に対して設けられた遅延ユニット3を示している。
【0067】
またこれまで述べた例によれば、第1又は第2の実施形態による利点と同じ利点が得られる。
【0068】
以上、上記の実施形態に基づいて本発明を説明した。しかしながら、本発明は、その内容から逸脱するこなく様々な変更を行うことができる。例えば、第2及び第3の実施形態でも、出力線路Oに能動電流出力回路4又はコンデンサを設けることができる。また第2及び第3の実施形態でも、第1の実施形態に対する第2の変更のような下記の処置を行うことができる。すなわち、各書込みスイッチSWwが、チャンネル毎に設けられた第1のスイッチASWw及び第2のスイッチBSWwを含み、また各読出しスイッチSWrが、チャンネル毎に設けられた第3のスイッチCSWr及びa 第4のスイッチDSWrを含むことができる。
【符号の説明】
【0069】
100 超音波画像表示装置
101 装置主ユニット
102 超音波プローブ
103 ケーブル
104 表示装置
1 受信回路
2 増幅ユニット
3 遅延ユニット
Tr 超音波トランスデューサ
O 出力線路
C コンデンサ
SWw 書込みスイッチ
SWr 読出しスイッチ
31 書込み回路
32 読出し回路
4 能動電流出力回路
ASWw 第1のスイッチ
BSWw 第2のスイッチ
CSWr 第3のスイッチ
DSWr 第4のスイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を受け取るための超音波トランスデューサで受け取ったエコー信号を増幅する増幅ユニットと、
前記増幅ユニットの出力信号に遅延時間を与える遅延ユニットと、を含んでいる受信回路であって、
当該受信回路は、超音波トランスデューサを含む超音波プローブ内に設けられ、且つ前記増幅ユニットが電流出力増幅器で構成されていることを特徴とする、受信回路。
【請求項2】
前記遅延ユニットは、
前記電流出力増幅器の出力電流を集積するコンデンサと、
前記コンデンサに前記出力電流を書き込む書込みスイッチと、
前記コンデンサから電荷を読み出す読出しスイッチと、
を含んでいる、請求項1記載の受信回路。
【請求項3】
前記コンデンサは、前記書込みスイッチがオンである間に前記出力電流で充電される、請求項2記載の受信回路。
【請求項4】
前記遅延ユニットは、前記複数のコンデンサと、複数の書込みスイッチ及び読出しスイッチとを含んでおり、これらのコンデンサ、書込みスイッチ及び読出しスイッチが並列回路を形成している、請求項2記載の受信回路。
【請求項5】
前記複数の書込みスイッチの任意の1つがターンオンされたとき、他の書込みスイッチがターンオフされ、その場合、前記電流出力増幅器が、オン状態にある前記書込みスイッチを介して前記複数のコンデンサのいずれかに接続される、請求項4記載の受信回路。
【請求項6】
前記書込みスイッチ及び/又は前記読出しスイッチのオン時間が調節可能である、請求項2記載の受信回路。
【請求項7】
前記遅延時間は、前記書込みスイッチがターンオフされ時から、前記読出しスイッチがターンオンされされるまでの時間である、請求項2記載の受信回路。
【請求項8】
前記コンデンサの静電容量が、超音波プローブと超音波画像表示装置の装置主ユニットとの間を接続するケーブルの静電容量よりも小さい、 請求項2記載の受信回路。
【請求項9】
前記読出しスイッチより後の段に能動電荷増幅器回路が設けられている、請求項2記載の受信回路。
【請求項10】
前記書込みスイッチの一方の端部が前記電流出力増幅器に接続され且つ該スイッチの他方の端部が前記コンデンサの一方の端部に接続され、また前記コンデンサの他方の端部がアースに接続され、また前記読出しスイッチの一方の端部が前記コンデンサの前記一方の端部に接続され且つ該スイッチの他方の端部が出力線路に接続されている、請求項2記載の受信回路。
【請求項11】
前記書込みスイッチが、同期してターンオン及びターンオフされる第1及び第2のスイッチを含み、また前記読出しスイッチが、同期してターンオン及びターンオフされる第3及び第4のスイッチを含み、また前記第1のスイッチの一方の端部が前記電流出力増幅器の出力側の第1の端子に接続され、且つ前記第1のスイッチの他方の端部が前記コンデンサの一方の端部に接続され、また前記第2のスイッチの一方の端部が前記コンデンサの他方の端部に接続され、且つ前記第2のスイッチの他方の端部が前記電流出力増幅器の出力側の第2の端子に接続され、また前記第3のスイッチの一方の端部が前記コンデンサの前記一方の端部に接続され、且つ前記第3のスイッチの他方の端部が出力線路に接続され、また前記第4のスイッチの一方の端部が前記コンデンサの前記他方の端部に接続され、且つ前記第4のスイッチの他方の端部がアースに接続されている、請求項2記載の受信回路。
【請求項12】
前記遅延ユニットの出力電流が前記遅延ユニットからの出力線路において加算される、請求項1記載の受信回路。
【請求項13】
前記遅延ユニットが各々の超音波トランスデューサについて設けられている、請求項1記載の受信回路。
【請求項14】
前記遅延ユニットが複数のチャンネル内の超音波トランスデューサに対して共通に設けられている、請求項1記載の受信回路。
【請求項15】
前記遅延ユニットが全てのチャンネル内の超音波トランスデューサに対して共通に単独に設けられている、請求項14記載の受信回路。
【請求項16】
複数の前記遅延ユニットが全てのチャンネルの内の幾分かのチャンネル内の超音波トランスデューサに対して共通に設けられている、請求項14記載の受信回路。
【請求項17】
複数の前記増幅ユニットからの複数の出力電流が前記遅延ユニット内で又は前記遅延ユニットからの出力線路において加算される、請求項14記載の受信回路。
【請求項18】
前記電流出力増幅器が、電圧信号である入力信号を増幅し、該入力信号を電流信号に変換して該電流信号を出力するV/I増幅器と、電流信号である入力信号を増幅して、電流信号を出力するI/I増幅器との内のいずれかである、請求項1記載の受信回路。
【請求項19】
請求項1記載の受信回路を備えた超音波プローブ。
【請求項20】
請求項19記載の超音波プローブを備えた超音波画像表示装置。
【請求項1】
超音波を受け取るための超音波トランスデューサで受け取ったエコー信号を増幅する増幅ユニットと、
前記増幅ユニットの出力信号に遅延時間を与える遅延ユニットと、を含んでいる受信回路であって、
当該受信回路は、超音波トランスデューサを含む超音波プローブ内に設けられ、且つ前記増幅ユニットが電流出力増幅器で構成されていることを特徴とする、受信回路。
【請求項2】
前記遅延ユニットは、
前記電流出力増幅器の出力電流を集積するコンデンサと、
前記コンデンサに前記出力電流を書き込む書込みスイッチと、
前記コンデンサから電荷を読み出す読出しスイッチと、
を含んでいる、請求項1記載の受信回路。
【請求項3】
前記コンデンサは、前記書込みスイッチがオンである間に前記出力電流で充電される、請求項2記載の受信回路。
【請求項4】
前記遅延ユニットは、前記複数のコンデンサと、複数の書込みスイッチ及び読出しスイッチとを含んでおり、これらのコンデンサ、書込みスイッチ及び読出しスイッチが並列回路を形成している、請求項2記載の受信回路。
【請求項5】
前記複数の書込みスイッチの任意の1つがターンオンされたとき、他の書込みスイッチがターンオフされ、その場合、前記電流出力増幅器が、オン状態にある前記書込みスイッチを介して前記複数のコンデンサのいずれかに接続される、請求項4記載の受信回路。
【請求項6】
前記書込みスイッチ及び/又は前記読出しスイッチのオン時間が調節可能である、請求項2記載の受信回路。
【請求項7】
前記遅延時間は、前記書込みスイッチがターンオフされ時から、前記読出しスイッチがターンオンされされるまでの時間である、請求項2記載の受信回路。
【請求項8】
前記コンデンサの静電容量が、超音波プローブと超音波画像表示装置の装置主ユニットとの間を接続するケーブルの静電容量よりも小さい、 請求項2記載の受信回路。
【請求項9】
前記読出しスイッチより後の段に能動電荷増幅器回路が設けられている、請求項2記載の受信回路。
【請求項10】
前記書込みスイッチの一方の端部が前記電流出力増幅器に接続され且つ該スイッチの他方の端部が前記コンデンサの一方の端部に接続され、また前記コンデンサの他方の端部がアースに接続され、また前記読出しスイッチの一方の端部が前記コンデンサの前記一方の端部に接続され且つ該スイッチの他方の端部が出力線路に接続されている、請求項2記載の受信回路。
【請求項11】
前記書込みスイッチが、同期してターンオン及びターンオフされる第1及び第2のスイッチを含み、また前記読出しスイッチが、同期してターンオン及びターンオフされる第3及び第4のスイッチを含み、また前記第1のスイッチの一方の端部が前記電流出力増幅器の出力側の第1の端子に接続され、且つ前記第1のスイッチの他方の端部が前記コンデンサの一方の端部に接続され、また前記第2のスイッチの一方の端部が前記コンデンサの他方の端部に接続され、且つ前記第2のスイッチの他方の端部が前記電流出力増幅器の出力側の第2の端子に接続され、また前記第3のスイッチの一方の端部が前記コンデンサの前記一方の端部に接続され、且つ前記第3のスイッチの他方の端部が出力線路に接続され、また前記第4のスイッチの一方の端部が前記コンデンサの前記他方の端部に接続され、且つ前記第4のスイッチの他方の端部がアースに接続されている、請求項2記載の受信回路。
【請求項12】
前記遅延ユニットの出力電流が前記遅延ユニットからの出力線路において加算される、請求項1記載の受信回路。
【請求項13】
前記遅延ユニットが各々の超音波トランスデューサについて設けられている、請求項1記載の受信回路。
【請求項14】
前記遅延ユニットが複数のチャンネル内の超音波トランスデューサに対して共通に設けられている、請求項1記載の受信回路。
【請求項15】
前記遅延ユニットが全てのチャンネル内の超音波トランスデューサに対して共通に単独に設けられている、請求項14記載の受信回路。
【請求項16】
複数の前記遅延ユニットが全てのチャンネルの内の幾分かのチャンネル内の超音波トランスデューサに対して共通に設けられている、請求項14記載の受信回路。
【請求項17】
複数の前記増幅ユニットからの複数の出力電流が前記遅延ユニット内で又は前記遅延ユニットからの出力線路において加算される、請求項14記載の受信回路。
【請求項18】
前記電流出力増幅器が、電圧信号である入力信号を増幅し、該入力信号を電流信号に変換して該電流信号を出力するV/I増幅器と、電流信号である入力信号を増幅して、電流信号を出力するI/I増幅器との内のいずれかである、請求項1記載の受信回路。
【請求項19】
請求項1記載の受信回路を備えた超音波プローブ。
【請求項20】
請求項19記載の超音波プローブを備えた超音波画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−157695(P2012−157695A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−12536(P2012−12536)
【出願日】平成24年1月25日(2012.1.25)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−12536(P2012−12536)
【出願日】平成24年1月25日(2012.1.25)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
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