受信機器、送信機器および伝送システム
送信機器は、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力手段と、前記圧縮音楽データ出力手段が出力した圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、圧縮音楽データと音楽情報との順序で伝送するフォーマッタとを備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル機器間で、音楽情報とその圧縮音楽データをデジタル伝送するための受信機器、送信機器および伝送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の音楽情報や音楽データをシリアルデジタル伝送する方法として、IEC60958や、IEC61937等の国際規格がある。
【0003】
IEC60958は、2chのリニアPCMデータを伝送する際に用いられている方式で、CDやDVDからのデジタルデータ伝送に広く用いられている。また、IEC61937は、MPEG等の圧縮音楽データのようにリニアPCMでないデータの通信の際に用いられる方式であり、近年ではDVDの圧縮マルチチャンネル音声を出力し、外部のデコーダアンプに接続しデコードして再生する場合に用いられている。上記した従来の音楽情報および音楽データ伝送方法では、伝送された圧縮音楽データを簡単に伝送し、再生可能にすることを目的としている。
【0004】
近年、MPEGでは、128kbpsステレオ程度の低いビットレートでも、高音質な再生を可能にするISO13818−7 MPEG2 AACを国際標準規格として標準化している。その一方、MPEG2 AACでも、さらに低いビットレート48kbpsステレオになると、10kHz程度以上の高い周波数の音に対する人間の感度が、低い周波数の音に対する感度より低くなり高域成分への情報配分を減らすため、結果的に狭帯域な再生音になる。48kbpsステレオ程度のビットレートの情報量で符号化を行うと、音質を維持して量子化し符号化できる帯域は、高々10kHz程度に減少する。そこで、MPEGでは、このような狭帯域な再生音を与える符号化列に、少しの情報量付加によって、高い帯域の再生を可能とする方法が提案されている。低いビットレートでも、高周波数帯域の情報をビットストリームデータ内の領域に持ち、基本部分は、低いサンプリング周波数で圧縮されていても、復号側で、前記高域周波数情報を用いて高い周波数帯域部分を復元し、高周波数帯域まで再生可能な方式がAAC SBR(Spectral Band Replication)として規格化されつつある(ISO13818−7:2003/AMD1)。
【0005】
図1は、データ伝送を行なう場合の機器接続例を示す図である。
音楽データ伝送システム900は、音楽データを所定のインターフェース(例えば、IEC61937)で伝送する音楽データ送信機器910と、音楽データを受信する音楽データ受信機器920と、これらを接続する伝送路930とから構成される。
【0006】
図2Aは、音楽データ送信機器910から伝送されるデータバースト80のフォーマット構成を示す図である。
【0007】
図2Aに示されるように、各データバースト80は、バーストプリアンブル81と、このバーストプリアンブル81に追随するバーストペイロード82とから構成される。
【0008】
図2Bは、バーストプリアンブル81のフォーマット構成を示す図である。
バーストプリアンブル81は、同期語のフィールドを表すPa811,Pb812と、データの種類および受信機のための情報(バースト情報)を提供するフィールドを表すPc813と、バーストペイロードの長さを提供するフィールドを表すPd814とから構成される。
【0009】
図3は、バースト情報の構成例を示す図である。
Pc813のビット0−4については、その値が7である場合、MPEG−2 AACであることを意味し、その値が0−6および8−31である場合、IEC61937で定義された内容に従うことを意味する。また、ビット5−15についても、IEC61937で定義された内容に従うことを意味する。
【0010】
図4は、バースト情報のビット8−12についての構成例を示す図である。
Pc813のビット8−12については、その値が0である場合、適用なしを意味し、その値が1である場合、LC(Low Complexity)プロファイルであることを意味し、その値が2又は3である場合、将来のプロファイル予約されていることを意味し、その値が4−31である場合、予約されていることを意味する。
【0011】
つまり、従来のバースト情報では、MPEG−2 AACとMPEG−2 AAC SBRとの峻別がなされていない。
【0012】
図2Cは、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AACのビットストリーム構造を示す図である。
【0013】
図2Cに示されるように、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AACのビットストリームは、ストリームヘッダ821と、圧縮音楽データの基本圧縮ストリーム822とから構成される。
【0014】
図2Dは、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AAC SBRのビットストリーム構造を示す図である。
【0015】
図2Dに示されるように、MPEG2 AAC SBRのビットストリームは、ストリームヘッダ821と、基本圧縮ストリーム822との他、さらに高域情報パラメータ823とから構成される。高域情報パラメータ823は、基本圧縮ストリーム822の最後の部分の一部(例えば、フィルエレメント)を用いて記録されている。
【0016】
音楽データ受信機器920では、このビットストリームを解析し、高域情報パラメータを用いて高周波数帯域を復元するが、音楽データ受信機器920が通常のAAC復号処理のみに対応し、SBR処理に対応していなくても、基本圧縮ストリーム822のみを復号し、高域情報パラメータ823を無視することで、MPEG2 AACと上位互換性が保たれている。
【0017】
しかし、この情報をIEC61937規格で送ろうとした場合、48kbpsステレオのような低いビットレート時には、基本圧縮ストリーム822部分は、128kbpsのように高いビットレートで圧縮される場合に比べ、情報量に限りがあるため、周波数帯域を制限して、圧縮することがほとんどである。原音のサンプリング周波数が48kHzとすると、半分のサンプリング周波数fcにダウンサンプリングして圧縮されており、ストリームヘッダ821には、そのサンプリング周波数fcが記録されている。
【0018】
図5は、従来の音楽データ受信機器の構成図である。
図5に示されるように、音楽データ受信機器920は、圧縮音楽情報解析部922と、ビットストリーム解析部923と、基本信号復号部924と、高域信号復元部925と、帯域拡張部926と、D/A変換器927と、出力制御部928とを備える。
【0019】
圧縮音楽情報解析部922は、伝送路93を介して入力された圧縮音楽データを解析する。
【0020】
ビットストリーム解析部923は、ストリームヘッダの情報を解析する。
基本信号復号部924は、ビットストリームの基本部分を復号する。
【0021】
高域信号復元部925は、高域情報パラメータに基づき高域信号を復元する。
帯域拡張部926は、基本信号と高域信号とを合成し、時間領域信号に変換する。
【0022】
D/A変換器927は、デジタル信号をアナログ信号に変換する。
出力制御部928は、D/A変換器927などにサンプリング周波数やデジタルフィルタの係数等のパラメータを設定する。
【0023】
次いで、音楽データ受信機器920において行われる圧縮音楽データ再生処理について説明する。
【0024】
図6は、音楽データ受信機器920において行われる圧縮音楽データ再生処理の動作を示すフローチャートである。
【0025】
音楽データ受信機器920の圧縮音楽情報解析部922は、IEC61937のデータフォーマットで送信される圧縮音楽データを受信するのを待つ(S91)。圧縮音楽データを受信すると、圧縮音楽情報解析部922は、バーストプリアンブル81の情報(Pc)を解析し、圧縮音楽データの種類を判断する(S92)。ここでは、MPEG2AAC Lowsampling frequencyと判断される場合、つまり、Pcのビット0−4の値=7でビット8−12の値=1の場合について説明する。次に、ビットストリーム解析部923は、ストリームヘッダ821の情報を解析する(S93)。ビットストリーム解析部923は、ストリームヘッダ821に記録されているサンプリング周波数を、出力制御部928に通知する。出力制御部928は、D/A変換器927等に、検出したサンプリング周波数に対応したマスタークロックや、デジタルフィルタの係数を設定する(S94)。次に、基本信号復号部924は、基本圧縮ストリーム822の読み取りを開始する(S95)。そして、基本信号復号部924は、高域情報パラメータが有るか否か判断する(S96)。この判断は、基本信号復号部924が、基本圧縮ストリーム822の最後の部分まで読んで、高域情報パラメータ823の存在を確認して初めて行える。具体的には、フィルエレメントの先頭付近に高域情報パラメータが格納されていることを示す所定の識別子が設定されていることを確認し、CRCチェックにより所定の識別子に間違いないことを確認して、判断がされる。
【0026】
高域情報パラメータ823が存在する場合は、基本信号復号部924から、再度、出力制御部928にストリームヘッダ821に記録されているサンプリング周波数の倍のサンプリング周波数に設定した後、実際の再生を開始する。
【0027】
AAC−SBR方式は、従来のMPEG2 AACとまったく同じビットストリームのデータ構造であることが特徴であり、従来のMPEG2 AACと互換性が保たれる反面、ストリームヘッダ821上では、高域情報パラメータ823が入っていることを示すフラグは存在しない。また、高域情報パラメータは、基本圧縮ストリームの最後の部分に記録されている。
【0028】
したがって、音楽データ受信機器920では、音楽圧縮データの中身を最後まで解析して初めて、高域情報パラメータ823の存在がわかることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
このように、基本圧縮ストリーム822や、高域情報パラメータ823、つまりバーストストリーム80の最後まで読んでから、サンプリング周波数を出力するためのパラメータをD/A変換器927などに設定することになり、設定に時間がかかるという課題がある。
【0030】
そこで、本発明は、圧縮音楽データ伝送において、伝送される音楽データに応じた高域情報の有無判断を即座に行うことを可能にする圧縮音楽データの受信機器、送信機器および伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上記目的を達成するために、本発明に係る送信機器においては、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力手段と、前記圧縮音楽データ出力手段が出力した圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、圧縮音楽データと音楽情報との順序で伝送するフォーマッタとを備えることを特徴とする。
【0032】
これにより、受信機器において、圧縮音楽データを解析する前に、音楽情報に含まれるモードを示す値から高域情報の有無を知ることができる。つまり、データバーストの最後までみなくても、データバーストの先頭、ヘッダから高域情報の有無を知ることができる。したがって、圧縮音楽データを解析することなしに、高域情報の有無に基づいて、サンプリング周波数に対する倍率等を直ちに決定でき、圧縮音楽データを復号することで音楽再生を即座に行うことができる。
【0033】
また、本発明に係る送信機器においては、前記音楽情報は、j(j>2)ビットで表され、前記フォーマッタは、前記jビット中のk(j>k>2)ビットに、前記第2モードを示す所定の値を設定することを特徴とする。
【0034】
これにより、従来との互換性を保ちつつ、第2モード、すなわち高域情報有りを示すことができる。
【0035】
また、本発明に係る送信機器においては、前記フォーマッタは、前記kビットと異なる前記jビット中のm(j>m>2)ビットに、前記kビットに設定された前記所定の値が有効であることを示す所定の値を設定することを特徴とする。
【0036】
これにより、従来との互換性を保ちつつ、わずかなビット数で、第2モード、すなわち高域情報有りを示したり、他の情報を示したりすることができる。
【0037】
また、本発明に係る送信機器においては、前記フォーマッタは、前記音楽情報と、前記圧縮音楽データとを、前記基本音楽データのサンプリング周波数に対応する伝送クロックで伝送することを特徴とする。
【0038】
これにより、受信機器において、伝送クロックに基づいて圧縮音楽データを解析することなしに、サンプリング周波数を取得することができ、音楽を再生するまでの時間を非常に短縮することができる。
【0039】
また、本発明に係る受信機器においては、圧縮された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データに関する音楽情報とを、圧縮音楽データと音楽情報との順序で受信する受信機器であって、前記圧縮音楽データは、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで作成され、前記音楽情報は、前記圧縮音楽データのモードを示す値を含み、前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析手段を備えることを特徴とする。
【0040】
これにより、音楽データを受信する前に、音楽情報に含まれるモードを示す値から高域情報の有無を知ることができる。したがって、圧縮音楽データを解析する前に、高域情報の有無に基づいて、サンプリング周波数に対する倍率等を直ちに決定でき、圧縮音楽データを復号すると音楽再生を即座に行うことができる。
【0041】
また、本発明に係る受信機器においては、前記圧縮音楽データ解析手段は、前記音楽情報と、前記圧縮音楽データとを、前記基本音楽データのサンプリング周波数に対応する伝送クロックで受信し、受信した伝送クロックに基づいてサンプリング周波数を取得し、前記受信機器は、さらに前記圧縮音楽データに基づく信号をD/A変換するD/A変換器と、前記圧縮音楽データ解析手段から通知されたサンプリング周波数と、前記圧縮音楽データのモードとに基づいて、所定の倍率のサンプリング周波数をD/A変換器に予め設定する出力制御手段とを備えることを特徴とする。
【0042】
これにより、音楽データを解析する前に、音楽再生の準備を整えることができる。
また、本発明に係る受信機器においては、前記受信機器は、さらに前記基本音楽データを復号する基本信号復号手段と、前記第2モードの場合に、前記高域情報に基づいて高域信号を復元する高域信号復元手段と、前記第1モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号を出力し、前記第2モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号と高域信号復元手段により復元された信号とを合成して出力する帯域拡張手段とを備え、前記D/A変換器は、前記帯域拡張手段が出力する信号を予め設定された所定のサンプリング周波数でD/A変換することを特徴とする。
【0043】
これにより、第1モードの場合に、基本音楽データに応じた帯域で音楽再生を行うことができ、第2モードの場合に帯域拡張された高品質な音楽再生を行うことができる。
【0044】
また、本発明に係る受信機器においては、前記受信機器は、さらに前記基本音楽データに基づいて、高域信号を生成する高域信号生成手段を備え、前記出力制御手段は、前記第1モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号と前記高域信号生成手段により生成された高域信号とを合成して出力するように前記帯域拡張手段を制御するとともに、D/A変換器の動作を制御することを特徴とする。
【0045】
これにより、第1モードの場合においても、第2モードの場合と同様に帯域拡張された高品質な音楽再生を行うことができる。
【0046】
なお、本発明は、このような送信機器や、受信機器として実現することができるだけでなく、このような送信機器と受信機器とを伝送路を介して接続した伝送システムとして構成したり、送信機器や受信機器が備える特徴的な手段をステップとする受信方法や、送信方法、伝送方法として実現したり、それらのステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体やインターネット等の伝送媒体を介して配信することができるのは言うまでもない。
【0047】
<本願発明の背景技術に関する詳細な情報>
2003年6月17日に出願の日本国特許出願番号2003−171729が、ここに引用として組み入れられる。
【発明の効果】
【0048】
以上のように本発明によれば、IEC61937を用いて圧縮音楽データを伝送する場合、前記圧縮音楽データ出力手段が出力した圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、圧縮音楽データと、音楽情報との順序で、かつ圧縮された基本音楽データのサンプリング周波数に対応する伝送クロックで伝送するので、伝送クロックの解析から基本音楽データのサンプリング周波数が取得され、圧縮音楽データのモードを示す値を解析することにより高域情報の有無がわかる。
【0049】
よって、本発明により、従来のように圧縮音楽データの最後まで全てを読み込んで解析を行う必要が無くなり、サンプリング周波数や、このサンプリング周波数に対する倍率等を直ちに決定でき、音楽再生を即座に行うことができ、データ伝送により音楽を再生するシステムが普及してきた今日における本願発明の実用的価値は極めて高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
(実施の形態1)
以下本発明の実施の形態としてIEC60958およびIEC61937の伝送規格を例にとった場合の音楽データ伝送システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、IEC60958およびIEC61937の伝送規格についての詳細は、Interface for non−linear PCM encoded audio bitstreams applying IEC61937等を参照されたい。
【0051】
図7は、本発明に用いられる民生用デジタルオーディオ機器の接続例を示す図である。
音楽データ伝送システム1は、音楽データ送信機器10と、音楽データ受信機器20と、これらを接続する伝送路30とから構成される。
【0052】
音楽データ送信機器10として、DVDプレーヤや、セットトップボックス等があげられる。
【0053】
また、音楽データ受信機器20としてAVアンプ等があげられる。
伝送路30として、光伝送路等があげられる。
【0054】
図8は、音楽データ送信機器10の機能構成を示すブロック図である。
音楽データ送信機器10は、圧縮音楽データ出力部11と、フォーマッタ12とを備える。
【0055】
圧縮音楽データ出力部11は、受信したリニアなPCM音楽データから非リニアな圧縮音楽データを作成し、作成した圧縮データを出力したり、受信した非リニアな圧縮音楽データをそのまま出力したりする。
【0056】
フォーマッタ12は、圧縮音楽データがMPEG−2 AACや、MPEG−2 AAC SBRの場合、IEC61937の伝送フォーマットを作成する。
【0057】
図9は、IEC61937の伝送フォーマットを作成する際にフォーマッタ12が実行するPcに設定する値を決定する処理の動作を示すフローチャートである。
【0058】
フォーマッタ12は、ユーザからの圧縮音楽データの送信指示がくるのを待つ(S11)。圧縮音楽データの送信指示が有ると(S11でYes)、フォーマッタ12は、圧縮音楽データの種別を判定する(S12)。この判定は、圧縮音楽データ出力部11からの圧縮音楽データの種別の通知等により行われる。
【0059】
判定の結果、圧縮音楽データの種別がMPEG−2 AACである場合、ビット0−4の値を7に決定し(S13)、Pc決定処理を終了する。これに対して判定の結果、圧縮音楽データの種別がMPEG−2 AAC Low Sampling Frequencyである場合、ビット0−4の値を「19」を設定し、ビット5,6にハーフレートかクオーターレートかを判断し、ハーフレートであれば、0をクオーターレートであれば1を設定する。さらにSBRであるかどうかを判断し、SBRでない場合は、ビット8−12の値を0にそれぞれ決定し(S14)、SBRである場合は、ビット8−12の値を4にそれぞれ決定し(S15)、Pc決定処理を終了する。
【0060】
これにより、音楽データ受信機器20はPcの値を解析するだけでバーストペイロード42に高域情報パラメータ423が含まれているか否かを素早く知ることができる。
【0061】
Pc決定処理が終わると、フォーマッタ12は、バーストペイロード42に圧縮音楽データを格納し、バーストプリアンブル41のPa〜Pdに所定の値をセットし、伝送路30を介してバーストストリームを出力する。
【0062】
図10Aは、音楽データ送信機器10からIEC61937でMPEG2AACを伝送する場合のデータバースト40のフォーマット構成を示す図である。
【0063】
図10Aに示されるように、各データバースト40は、同期情報や、伝送音楽データの情報を示す、バーストプリアンブル41と、図10C、図10Dに示すMPEG2 AACのビットストリームが格納されるバーストペイロード42とから構成される。
【0064】
図10Bは、バーストプリアンブル41のフォーマット構成を示す図である。
バーストプリアンブル41は、同期語のフィールドを表すPa411,Pb412と、データの種類および受信機のための情報(バースト情報)を提供するフィールドを表すPc413と、バーストペイロードの長さを提供するフィールドを表すPd414とから構成される。
【0065】
Pc413は、16bitで構成され、MPEG−2 AACの場合の伝送では、data−typeを表すbit0−4に「7」を設定するのに対し、例えば、MPEG2 AAC SBR 1/2 Low sampling frequencyの場合の伝送では、従来と異なり、data−typeを表すbit0−4に「19」を、bit5、6に「0」を、データの詳細内容を表すbit8−12に「4」を設定する。
【0066】
図11に、MPEG2AAC Low sampling frequency のバーストプリアンブル41のPc(bit0−15)に行う設定例を示す。
【0067】
図11に示されるように、Pc813のビット0−4については、その値が0−6および8−18である場合、IEC61937に定義された内容に従うことを意味し、その値が7である場合、MPEG−2 AACであることを意味し、その値が19である場合、MPEG−2 AAC Low sampling frequencyであることを意味し、その値が20−31である場合、IEC61937に従うことを意味する。
【0068】
また、ビット0−4が19のMPEG−2 AAC Low sampling frequencyの場合において、ビット5,6については、その値が0である場合、MPEG−2 AAC 1/2 Low sampling frequencyであることを意味し、その値が1である場合、MPEG−2 AAC 1/4 Low sampling frequencyであることを意味し、その値が2および3である場合、予約されていることを意味する。また、ビット7−15については、IEC61937に従うことを意味する。
【0069】
図12は、MPEG2 AAC Low sampling frequencyのバーストプリアンブルPc(bit8−12)の構成例を示す図である。
【0070】
Pcのビット8−12については、その値が0である場合、適用なしを意味し、その値が1である場合、LCプロファイル(低演算量プロファイル)であることを意味し、その値が2およびである場合、将来に予約されていることを意味し、その値が4である場合、低演算量プロファイルで、かつSBRが含まれていることを意味し、5−31である場合、予約されていることを意味する。
【0071】
つまり、本発明に係るバースト情報では、MPEG−2 AACとMPEG−2 AAC SBRとの峻別がなされており、ビット8−12に値4を設定することで、MPEG−2 AAC SBRであることを意味し、それ以外の値を設定することで、MPEG−2 AACであることを意味することができる。また、ビット0−4に値19を設定することで、ビット8−12の値4が有効であることを示すことができ、しかも、ビット5,6に値0を設定することで、ハーフサンプリングであることがわかる。また、ビット5,6に値1を設定することで、クォータサンプリングであることがわかる。なお、ここでは、ビット0−4に値19を設定することで、ビット8−12の値4が有効であるとしたが、他の値、例えばMPEG4 AACやMPEG1、2 Layer3などの他のデータタイプの場合でもビット8−12の値4が有効であるとしてもよい。
【0072】
図10Cは、バーストペイロード42に格納されるMPEG2 AACのビットストリーム構造を示す図である。
【0073】
図10Cに示されるように、従来と同様、バーストペイロード42に格納されるMPEG2 AACのビットストリームは、ストリームヘッダ421と、圧縮音楽データの基本圧縮ストリーム422とから構成される。
【0074】
図10Dは、バーストペイロード42に格納されるMPEG2 AAC SBRのビットストリーム構造を示す図である。
【0075】
図10Dに示されるように、従来と同様、MPEG2 AAC SBRのビットストリームは、ストリームヘッダ421と、基本圧縮ストリーム422との他、さらに高域情報パラメータ423とから構成される。
【0076】
次いで、図7に示される音楽データ受信機器20の構成を説明する。
図13は、音楽データ受信機器20の機能構成を示すブロック図である。
【0077】
音楽データ受信機器20は、圧縮音楽情報解析部22と、ビットストリーム解析部23と、基本信号復号部24と、高域信号復元部25と、帯域拡張部26と、D/A変換器27と、出力制御部28とを備える。
【0078】
圧縮音楽情報解析部22は、伝送路30を介して入力された伝送クロックおよび圧縮音楽データを解析する。つまり、圧縮音楽情報解析部22は、伝送クロックに基づいて基本音楽データのサンプリング周波数fsを取得するとともに、圧縮音楽データのモードを示す値、すなわち高域情報を含むか否かを解析する。
【0079】
ビットストリーム解析部23は、ストリームヘッダの情報を解析する。
基本信号復号部24は、ビットストリームの基本部分を復号する。
【0080】
高域信号復元部25は、高域情報パラメータに基づき高域信号を復元する。
帯域拡張部26は、基本信号と高域信号とを合成し、時間領域信号に変換する。
【0081】
D/A変換器27は、デジタル信号をアナログ信号に変換する。
出力制御部28は、D/A変換器927などにサンプリング周波数やデジタルフィルタの係数等のパラメータを設定する。
【0082】
次いで、圧縮音楽データ再生処理の動作を説明する。
図14は、圧縮音楽データ再生処理の動作を示すフローチャートである。
【0083】
音楽データ受信機器20の圧縮音楽情報解析部22は、圧縮音楽データを受信するのを待つ(S21)。圧縮音楽データを受信すると(S21でYes)、圧縮音楽情報解析部22は、まず伝送クロックを解析し、伝送クロックに基づいて伝送クロックに対応するサンプリング周波数fsを取得する(S22)。サンプリング周波数fsを取得すると、圧縮音楽情報解析部22は、IEC61937のバーストプリアンブルPc内に記録されているオーディオデータの情報を読み、Pcの値から圧縮音楽データの種別を解析する(S23)。通常、Pcのbit0−4には、圧縮音楽データの種類が、bit5、6には、属性情報が、bit7にはエラーを示すフラグが、bit8−12には、その圧縮音楽データの独自情報が、それぞれ記録されている。
【0084】
仮に、ビット0−4の値が「19」、つまりdata−typeがMPEG2 AAC Low sampling frequencyであるとすると、次にbit5、6を読み、その値が「0」に設定されている場合、ハーフサンプリングで、バーストプリアンブルの繰り返し周期が2048であることがわかり、次に、bit8−12を読み、MPEG2AAC low sampling frequencyのプロファイルやその圧縮オーディオデータに高域情報パラメータが含まれているかどうか、つまり4であるか否かを判断する。このような高域情報の有無の解析に基づいて、圧縮音楽情報解析部22は、このサンプリング周波数fsと、ステップS22の判断により得られた解析結果、すなわち高域情報パラメータの有無の結果を出力制御部28に送る。つまり、MPEG−2 AAC SBR 1/2 Low sampling frequencyの場合には、ローサンプリングを示すビット0−4の値19と、ビット5,6の値0と、高域情報有りを示すビット8−12の値4とを送る。
【0085】
高域情報パラメータが存在しない場合、例えば通常のMPEG−2 AAC等の場合には、出力制御部28は、受信したIEC61937のクロックに対応するサンプリング周波数または、基本圧縮ストリーム内のヘッダーに記録されているサンプリング周波数に設定する(S24)。高域情報パラメータが存在しない場合、ビットストリーム解析部23で解析された基本圧縮ストリームは、基本信号復号部24で復号される。D/A変換器27では、すでにサンプリング周波数fsに設定されているため、そのままデジタル信号をアナログ信号に変換し、従来より早いタイミングで再生が開始される(S25)。
【0086】
つまり、高域情報パラメータが含まれていない場合、出力制御部28では、ストリームヘッダ421に記録されているサンプリング周波数と同じサンプリング周波数をD/A変換器27に設定する。基本信号復号部24では、基本圧縮ストリーム422を復号する。なお、高域信号復元部25では、高域情報が存在しないため、特に処理は行わない。また、帯域拡張部26でも、基本信号復号部24からの信号だけを使い、特に帯域拡張処理は行わず、そのまま時間領域の信号に変換する。帯域拡張部26からの信号はD/A変換器27に出力され、基本信号復号部24で処理された帯域成分を持った信号が出力されることになる。
【0087】
一方、高域情報パラメータが存在する場合は、出力制御部28は、伝送クロックに基づいて取得されたサンプリング周波数fsの2倍の周波数に設定する(S26)。なお、設定されたサンプリング周波数を音楽データ受信機器20のディスプレイ部で表示してもよい。高域情報パラメータが存在する場合、ビットストリーム解析部23で解析された基本圧縮ストリームは、基本信号復号部24で復号される。一方、高域信号復元部25では、高域信号情報パラメータに基づいて、高域信号が復元される。
【0088】
次に、基本信号と高域信号は、帯域拡張部26で合成され時間領域信号に変換され、伝送クロックに基づいて取得されたサンプリング周波数の2倍のサンプリング周波数の信号として、D/A変換器27に出力される。D/A変換器27では、すでに2倍のサンプリング周波数に設定されているため、そのままデジタル信号をアナログ信号に変換し、高域周波数成分まで含まれている信号として出力され、従来より早く高音質な再生を開始することが可能となる(S27)。
【0089】
以上のように、IEC61937上のバーストプリアンブルのPcの中に、高域情報パラメータの存在を示す値を設定することにより、受信機側で速やかに高域情報の有無を判断でき、高域周波数まで含まれている信号を再生することが可能となる。
【0090】
(実施の形態2)
次に本発明に係る音楽データ受信機器の他の構成について説明する。
【0091】
図15は、本発明の実施の形態2に係る他の音楽データ受信機器の機能構成を示すブロック図である。
【0092】
ところで、実施の形態1に係る音楽データ受信機器20では、音楽データが第1のモード、つまりMPEG−2 AACである場合、帯域拡張していないが、この音楽データ受信機器50では、MPEG−2 AACの基本音声データから高域情報を生成する高域信号生成部51を備えるように構成される点が、実施の形態1と異なっている。
【0093】
この音楽データ受信機器50の圧縮音楽情報解析部52で、入力される圧縮音楽データを解析するが、高域情報パラメータが存在しない場合は、高域信号生成部51により、基本信号復号部24で復号された信号を元に、より高域の周波数成分を予測して自動的に高域信号を生成する。また、同時に出力制御部58には、サンプリング周波数fsの2倍の周波数を設定するような情報を送る。この場合、高域信号復元部25では、特に処理は行わない。
【0094】
帯域拡張部56では、基本信号復号部24からの信号と、高域信号生成部51からの信号とを合成し、伝送クロックから得られたサンプリング周波数の2倍のサンプリング周波数信号を出力する。
【0095】
以上のように、高域情報パラメータがない場合でも、基本信号復号部24で復号された信号より高域成分を予測することにより、元のビットストリーム信号に記録されている信号成分よりも広帯域の信号を再生することが可能である。
【0096】
なお、基本音楽データの周波数帯域は10kHz以下とは限られない。この場合、20kHz以上に帯域拡大され、人には直接聞こえないけれども、より自然界にある状態と同様な帯域に近づくことで高品質な再生が可能となる。
【0097】
なお、実施の形態1,2では、高域情報パラメータの有無により、D/A変換機に設定するサンプリング周波数を2倍の周波数にしているが、4倍もしくは任意のサンプリング周波数に設定してもよい。
【0098】
また、本発明は、例として説明したIEC61937,IEC60958規格だけでなく、将来のオーディオビデオデータ伝送規格である、IEEE1394やHDMI(High Definition Multimedia Interface)等でIEC61937コンフォーマントで使用する場合にも応用可能である。
【0099】
また、実施の形態1,2では、MPEG2 AACについて中心に述べたが、MPEG4 AACなどの他のコーデックでも、同様な方式で伝送、処理することが可能である。
【0100】
さらに、実施の形態1,2では、伝送クロックに基づいてサンプリング周波数を取得したが、ビットストリーム解析部23が解析したストリームヘッダに含まれるサンプリング周波数を圧縮音楽情報解析部22に通知してもよい。この場合においても、従来より高速に再生を開始することができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
圧縮マルチチャンネル音声を出力するDVDプレーヤや、セットトップボックス等の音楽データ送信機器と、デコードして再生するAVアンプ等の音楽データ受信機器とを光伝送路等の伝送路を介して接続する伝送システムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は、データ伝送を行なう場合の従来の機器接続例を示す図である。
【図2A】図2Aは、図1に示される音楽データ送信機器910から伝送されるデータバースト80のフォーマット構成を示す図である。
【図2B】図2Bは、バーストプリアンブル81のフォーマット構成を示す図である。
【図2C】図2Cは、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AACのビットストリーム構造を示す図である。
【図2D】図2Dは、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AAC SBRのビットストリーム構造を示す図である。
【図3】図3は、バースト情報の構成例を示す図である。
【図4】図4は、バースト情報のビット8−12についての構成例を示す図である。
【図5】図5は、従来の音楽データ受信機器の構成図である。
【図6】図6は、音楽データ受信機器920において行われる圧縮音楽データ再生処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本発明に用いられる民生用デジタルオーディオ機器の接続例を示す図である。
【図8】図8は、音楽データ送信機器10の機能構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、IEC61937の伝送フォーマットを作成する際にフォーマッタ12が実行するPc決定処理の動作を示すフローチャートである。
【図10A】図10Aは、音楽データ送信機器10からIEC61937でMPEG2AACを伝送する場合のデータバースト40のフォーマット構成を示す図である。
【図10B】図10Bは、バーストプリアンブル41のフォーマット構成を示す図である。
【図10C】図10Cは、バーストペイロード42に格納されるMPEG2 AACのビットストリーム構造を示す図である。
【図10D】図10Dは、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AAC SBRのビットストリーム構造を示す図である。
【図11】図11は、MPEG2AAC Low sampling frequency のバーストプリアンブル41のPc(bit0−15)に行う設定例を示す図である。
【図12】図12は、MPEG2 AAC Low sampling frequencyのバーストプリアンブルPc(bit8−12)の構成例を示す図である。
【図13】図13は、音楽データ受信機器20の機能構成を示すブロック図である。
【図14】図14は、圧縮音楽データ再生処理の動作を示すフローチャートである。
【図15】図15は、本発明の実施の形態2に係る他の音楽データ受信機器の機能構成を示すブロック図である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル機器間で、音楽情報とその圧縮音楽データをデジタル伝送するための受信機器、送信機器および伝送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の音楽情報や音楽データをシリアルデジタル伝送する方法として、IEC60958や、IEC61937等の国際規格がある。
【0003】
IEC60958は、2chのリニアPCMデータを伝送する際に用いられている方式で、CDやDVDからのデジタルデータ伝送に広く用いられている。また、IEC61937は、MPEG等の圧縮音楽データのようにリニアPCMでないデータの通信の際に用いられる方式であり、近年ではDVDの圧縮マルチチャンネル音声を出力し、外部のデコーダアンプに接続しデコードして再生する場合に用いられている。上記した従来の音楽情報および音楽データ伝送方法では、伝送された圧縮音楽データを簡単に伝送し、再生可能にすることを目的としている。
【0004】
近年、MPEGでは、128kbpsステレオ程度の低いビットレートでも、高音質な再生を可能にするISO13818−7 MPEG2 AACを国際標準規格として標準化している。その一方、MPEG2 AACでも、さらに低いビットレート48kbpsステレオになると、10kHz程度以上の高い周波数の音に対する人間の感度が、低い周波数の音に対する感度より低くなり高域成分への情報配分を減らすため、結果的に狭帯域な再生音になる。48kbpsステレオ程度のビットレートの情報量で符号化を行うと、音質を維持して量子化し符号化できる帯域は、高々10kHz程度に減少する。そこで、MPEGでは、このような狭帯域な再生音を与える符号化列に、少しの情報量付加によって、高い帯域の再生を可能とする方法が提案されている。低いビットレートでも、高周波数帯域の情報をビットストリームデータ内の領域に持ち、基本部分は、低いサンプリング周波数で圧縮されていても、復号側で、前記高域周波数情報を用いて高い周波数帯域部分を復元し、高周波数帯域まで再生可能な方式がAAC SBR(Spectral Band Replication)として規格化されつつある(ISO13818−7:2003/AMD1)。
【0005】
図1は、データ伝送を行なう場合の機器接続例を示す図である。
音楽データ伝送システム900は、音楽データを所定のインターフェース(例えば、IEC61937)で伝送する音楽データ送信機器910と、音楽データを受信する音楽データ受信機器920と、これらを接続する伝送路930とから構成される。
【0006】
図2Aは、音楽データ送信機器910から伝送されるデータバースト80のフォーマット構成を示す図である。
【0007】
図2Aに示されるように、各データバースト80は、バーストプリアンブル81と、このバーストプリアンブル81に追随するバーストペイロード82とから構成される。
【0008】
図2Bは、バーストプリアンブル81のフォーマット構成を示す図である。
バーストプリアンブル81は、同期語のフィールドを表すPa811,Pb812と、データの種類および受信機のための情報(バースト情報)を提供するフィールドを表すPc813と、バーストペイロードの長さを提供するフィールドを表すPd814とから構成される。
【0009】
図3は、バースト情報の構成例を示す図である。
Pc813のビット0−4については、その値が7である場合、MPEG−2 AACであることを意味し、その値が0−6および8−31である場合、IEC61937で定義された内容に従うことを意味する。また、ビット5−15についても、IEC61937で定義された内容に従うことを意味する。
【0010】
図4は、バースト情報のビット8−12についての構成例を示す図である。
Pc813のビット8−12については、その値が0である場合、適用なしを意味し、その値が1である場合、LC(Low Complexity)プロファイルであることを意味し、その値が2又は3である場合、将来のプロファイル予約されていることを意味し、その値が4−31である場合、予約されていることを意味する。
【0011】
つまり、従来のバースト情報では、MPEG−2 AACとMPEG−2 AAC SBRとの峻別がなされていない。
【0012】
図2Cは、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AACのビットストリーム構造を示す図である。
【0013】
図2Cに示されるように、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AACのビットストリームは、ストリームヘッダ821と、圧縮音楽データの基本圧縮ストリーム822とから構成される。
【0014】
図2Dは、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AAC SBRのビットストリーム構造を示す図である。
【0015】
図2Dに示されるように、MPEG2 AAC SBRのビットストリームは、ストリームヘッダ821と、基本圧縮ストリーム822との他、さらに高域情報パラメータ823とから構成される。高域情報パラメータ823は、基本圧縮ストリーム822の最後の部分の一部(例えば、フィルエレメント)を用いて記録されている。
【0016】
音楽データ受信機器920では、このビットストリームを解析し、高域情報パラメータを用いて高周波数帯域を復元するが、音楽データ受信機器920が通常のAAC復号処理のみに対応し、SBR処理に対応していなくても、基本圧縮ストリーム822のみを復号し、高域情報パラメータ823を無視することで、MPEG2 AACと上位互換性が保たれている。
【0017】
しかし、この情報をIEC61937規格で送ろうとした場合、48kbpsステレオのような低いビットレート時には、基本圧縮ストリーム822部分は、128kbpsのように高いビットレートで圧縮される場合に比べ、情報量に限りがあるため、周波数帯域を制限して、圧縮することがほとんどである。原音のサンプリング周波数が48kHzとすると、半分のサンプリング周波数fcにダウンサンプリングして圧縮されており、ストリームヘッダ821には、そのサンプリング周波数fcが記録されている。
【0018】
図5は、従来の音楽データ受信機器の構成図である。
図5に示されるように、音楽データ受信機器920は、圧縮音楽情報解析部922と、ビットストリーム解析部923と、基本信号復号部924と、高域信号復元部925と、帯域拡張部926と、D/A変換器927と、出力制御部928とを備える。
【0019】
圧縮音楽情報解析部922は、伝送路93を介して入力された圧縮音楽データを解析する。
【0020】
ビットストリーム解析部923は、ストリームヘッダの情報を解析する。
基本信号復号部924は、ビットストリームの基本部分を復号する。
【0021】
高域信号復元部925は、高域情報パラメータに基づき高域信号を復元する。
帯域拡張部926は、基本信号と高域信号とを合成し、時間領域信号に変換する。
【0022】
D/A変換器927は、デジタル信号をアナログ信号に変換する。
出力制御部928は、D/A変換器927などにサンプリング周波数やデジタルフィルタの係数等のパラメータを設定する。
【0023】
次いで、音楽データ受信機器920において行われる圧縮音楽データ再生処理について説明する。
【0024】
図6は、音楽データ受信機器920において行われる圧縮音楽データ再生処理の動作を示すフローチャートである。
【0025】
音楽データ受信機器920の圧縮音楽情報解析部922は、IEC61937のデータフォーマットで送信される圧縮音楽データを受信するのを待つ(S91)。圧縮音楽データを受信すると、圧縮音楽情報解析部922は、バーストプリアンブル81の情報(Pc)を解析し、圧縮音楽データの種類を判断する(S92)。ここでは、MPEG2AAC Lowsampling frequencyと判断される場合、つまり、Pcのビット0−4の値=7でビット8−12の値=1の場合について説明する。次に、ビットストリーム解析部923は、ストリームヘッダ821の情報を解析する(S93)。ビットストリーム解析部923は、ストリームヘッダ821に記録されているサンプリング周波数を、出力制御部928に通知する。出力制御部928は、D/A変換器927等に、検出したサンプリング周波数に対応したマスタークロックや、デジタルフィルタの係数を設定する(S94)。次に、基本信号復号部924は、基本圧縮ストリーム822の読み取りを開始する(S95)。そして、基本信号復号部924は、高域情報パラメータが有るか否か判断する(S96)。この判断は、基本信号復号部924が、基本圧縮ストリーム822の最後の部分まで読んで、高域情報パラメータ823の存在を確認して初めて行える。具体的には、フィルエレメントの先頭付近に高域情報パラメータが格納されていることを示す所定の識別子が設定されていることを確認し、CRCチェックにより所定の識別子に間違いないことを確認して、判断がされる。
【0026】
高域情報パラメータ823が存在する場合は、基本信号復号部924から、再度、出力制御部928にストリームヘッダ821に記録されているサンプリング周波数の倍のサンプリング周波数に設定した後、実際の再生を開始する。
【0027】
AAC−SBR方式は、従来のMPEG2 AACとまったく同じビットストリームのデータ構造であることが特徴であり、従来のMPEG2 AACと互換性が保たれる反面、ストリームヘッダ821上では、高域情報パラメータ823が入っていることを示すフラグは存在しない。また、高域情報パラメータは、基本圧縮ストリームの最後の部分に記録されている。
【0028】
したがって、音楽データ受信機器920では、音楽圧縮データの中身を最後まで解析して初めて、高域情報パラメータ823の存在がわかることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
このように、基本圧縮ストリーム822や、高域情報パラメータ823、つまりバーストストリーム80の最後まで読んでから、サンプリング周波数を出力するためのパラメータをD/A変換器927などに設定することになり、設定に時間がかかるという課題がある。
【0030】
そこで、本発明は、圧縮音楽データ伝送において、伝送される音楽データに応じた高域情報の有無判断を即座に行うことを可能にする圧縮音楽データの受信機器、送信機器および伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上記目的を達成するために、本発明に係る送信機器においては、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力手段と、前記圧縮音楽データ出力手段が出力した圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、音楽情報と圧縮音楽データとの順序で伝送するフォーマッタとを備えることを特徴とする。
【0032】
これにより、受信機器において、圧縮音楽データを解析する前に、音楽情報に含まれるモードを示す値から高域情報の有無を知ることができる。つまり、データバーストの最後までみなくても、データバーストの先頭、ヘッダから高域情報の有無を知ることができる。したがって、圧縮音楽データを解析することなしに、高域情報の有無に基づいて、サンプリング周波数に対する倍率等を直ちに決定でき、圧縮音楽データを復号することで音楽再生を即座に行うことができる。
【0033】
また、本発明に係る送信機器においては、前記音楽情報は、j(j>2)ビットで表され、前記フォーマッタは、前記jビット中のk(j>k>2)ビットに、前記第2モードを示す所定の値を設定することを特徴とする。
【0034】
これにより、従来との互換性を保ちつつ、第2モード、すなわち高域情報有りを示すことができる。
【0035】
また、本発明に係る送信機器においては、前記フォーマッタは、前記kビットと異なる前記jビット中のm(j>m>2)ビットに、前記kビットに設定された前記所定の値が有効であることを示す所定の値を設定することを特徴とする。
【0036】
これにより、従来との互換性を保ちつつ、わずかなビット数で、第2モード、すなわち高域情報有りを示したり、他の情報を示したりすることができる。
【0037】
また、本発明に係る送信機器においては、前記フォーマッタは、前記音楽情報と、前記圧縮音楽データとを、前記基本音楽データのサンプリング周波数に対応する伝送クロックで伝送することを特徴とする。
【0038】
これにより、受信機器において、伝送クロックに基づいて圧縮音楽データを解析することなしに、サンプリング周波数を取得することができ、音楽を再生するまでの時間を非常に短縮することができる。
【0039】
また、本発明に係る受信機器においては、圧縮された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データに関する音楽情報とを、音楽情報と圧縮音楽データとの順序で受信する受信機器であって、前記圧縮音楽データは、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで作成され、前記音楽情報は、前記圧縮音楽データのモードを示す値を含み、前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析手段を備えることを特徴とする。
【0040】
これにより、音楽データを受信する前に、音楽情報に含まれるモードを示す値から高域情報の有無を知ることができる。したがって、圧縮音楽データを解析する前に、高域情報の有無に基づいて、サンプリング周波数に対する倍率等を直ちに決定でき、圧縮音楽データを復号すると音楽再生を即座に行うことができる。
【0041】
また、本発明に係る受信機器においては、前記圧縮音楽データ解析手段は、前記音楽情報と、前記圧縮音楽データとを、前記基本音楽データのサンプリング周波数に対応する伝送クロックで受信し、受信した伝送クロックに基づいてサンプリング周波数を取得し、前記受信機器は、さらに前記圧縮音楽データに基づく信号をD/A変換するD/A変換器と、前記圧縮音楽データ解析手段から通知されたサンプリング周波数と、前記圧縮音楽データのモードとに基づいて、所定の倍率のサンプリング周波数をD/A変換器に予め設定する出力制御手段とを備えることを特徴とする。
【0042】
これにより、音楽データを解析する前に、音楽再生の準備を整えることができる。
また、本発明に係る受信機器においては、前記受信機器は、さらに前記基本音楽データを復号する基本信号復号手段と、前記第2モードの場合に、前記高域情報に基づいて高域信号を復元する高域信号復元手段と、前記第1モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号を出力し、前記第2モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号と高域信号復元手段により復元された信号とを合成して出力する帯域拡張手段とを備え、前記D/A変換器は、前記帯域拡張手段が出力する信号を予め設定された所定のサンプリング周波数でD/A変換することを特徴とする。
【0043】
これにより、第1モードの場合に、基本音楽データに応じた帯域で音楽再生を行うことができ、第2モードの場合に帯域拡張された高品質な音楽再生を行うことができる。
【0044】
また、本発明に係る受信機器においては、前記受信機器は、さらに前記基本音楽データに基づいて、高域信号を生成する高域信号生成手段を備え、前記出力制御手段は、前記第1モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号と前記高域信号生成手段により生成された高域信号とを合成して出力するように前記帯域拡張手段を制御するとともに、D/A変換器の動作を制御することを特徴とする。
【0045】
これにより、第1モードの場合においても、第2モードの場合と同様に帯域拡張された高品質な音楽再生を行うことができる。
【0046】
なお、本発明は、このような送信機器や、受信機器として実現することができるだけでなく、このような送信機器と受信機器とを伝送路を介して接続した伝送システムとして構成したり、送信機器や受信機器が備える特徴的な手段をステップとする受信方法や、送信方法、伝送方法として実現したり、それらのステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体やインターネット等の伝送媒体を介して配信することができるのは言うまでもない。
【0047】
<本願発明の背景技術に関する詳細な情報>
2003年6月17日に出願の日本国特許出願番号2003−171729が、ここに引用として組み入れられる。
【発明の効果】
【0048】
以上のように本発明によれば、IEC61937を用いて圧縮音楽データを伝送する場合、前記圧縮音楽データ出力手段が出力した圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、音楽情報と、圧縮音楽データとの順序で、かつ圧縮された基本音楽データのサンプリング周波数に対応する伝送クロックで伝送するので、伝送クロックの解析から基本音楽データのサンプリング周波数が取得され、圧縮音楽データのモードを示す値を解析することにより高域情報の有無がわかる。
【0049】
よって、本発明により、従来のように圧縮音楽データの最後まで全てを読み込んで解析を行う必要が無くなり、サンプリング周波数や、このサンプリング周波数に対する倍率等を直ちに決定でき、音楽再生を即座に行うことができ、データ伝送により音楽を再生するシステムが普及してきた今日における本願発明の実用的価値は極めて高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
(実施の形態1)
以下本発明の実施の形態としてIEC60958およびIEC61937の伝送規格を例にとった場合の音楽データ伝送システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、IEC60958およびIEC61937の伝送規格についての詳細は、Interface for non−linear PCM encoded audio bitstreams applying IEC61937等を参照されたい。
【0051】
図7は、本発明に用いられる民生用デジタルオーディオ機器の接続例を示す図である。
音楽データ伝送システム1は、音楽データ送信機器10と、音楽データ受信機器20と、これらを接続する伝送路30とから構成される。
【0052】
音楽データ送信機器10として、DVDプレーヤや、セットトップボックス等があげられる。
【0053】
また、音楽データ受信機器20としてAVアンプ等があげられる。
伝送路30として、光伝送路等があげられる。
【0054】
図8は、音楽データ送信機器10の機能構成を示すブロック図である。
音楽データ送信機器10は、圧縮音楽データ出力部11と、フォーマッタ12とを備える。
【0055】
圧縮音楽データ出力部11は、受信したリニアなPCM音楽データから非リニアな圧縮音楽データを作成し、作成した圧縮データを出力したり、受信した非リニアな圧縮音楽データをそのまま出力したりする。
【0056】
フォーマッタ12は、圧縮音楽データがMPEG−2 AACや、MPEG−2 AAC SBRの場合、IEC61937の伝送フォーマットを作成する。
【0057】
図9は、IEC61937の伝送フォーマットを作成する際にフォーマッタ12が実行するPcに設定する値を決定する処理の動作を示すフローチャートである。
【0058】
フォーマッタ12は、ユーザからの圧縮音楽データの送信指示がくるのを待つ(S11)。圧縮音楽データの送信指示が有ると(S11でYes)、フォーマッタ12は、圧縮音楽データの種別を判定する(S12)。この判定は、圧縮音楽データ出力部11からの圧縮音楽データの種別の通知等により行われる。
【0059】
判定の結果、圧縮音楽データの種別がMPEG−2 AACである場合、ビット0−4の値を7に決定し(S13)、Pc決定処理を終了する。これに対して判定の結果、圧縮音楽データの種別がMPEG−2 AAC Low Sampling Frequencyである場合、ビット0−4の値を「19」を設定し、ビット5,6にハーフレートかクオーターレートかを判断し、ハーフレートであれば、0をクオーターレートであれば1を設定する。さらにSBRであるかどうかを判断し、SBRでない場合は、ビット8−12の値を0にそれぞれ決定し(S14)、SBRである場合は、ビット8−12の値を4にそれぞれ決定し(S15)、Pc決定処理を終了する。
【0060】
これにより、音楽データ受信機器20はPcの値を解析するだけでバーストペイロード42に高域情報パラメータ423が含まれているか否かを素早く知ることができる。
【0061】
Pc決定処理が終わると、フォーマッタ12は、バーストペイロード42に圧縮音楽データを格納し、バーストプリアンブル41のPa〜Pdに所定の値をセットし、伝送路30を介してバーストストリームを出力する。
【0062】
図10Aは、音楽データ送信機器10からIEC61937でMPEG2AACを伝送する場合のデータバースト40のフォーマット構成を示す図である。
【0063】
図10Aに示されるように、各データバースト40は、同期情報や、伝送音楽データの情報を示す、バーストプリアンブル41と、図10C、図10Dに示すMPEG2 AACのビットストリームが格納されるバーストペイロード42とから構成される。
【0064】
図10Bは、バーストプリアンブル41のフォーマット構成を示す図である。
バーストプリアンブル41は、同期語のフィールドを表すPa411,Pb412と、データの種類および受信機のための情報(バースト情報)を提供するフィールドを表すPc413と、バーストペイロードの長さを提供するフィールドを表すPd414とから構成される。
【0065】
Pc413は、16bitで構成され、MPEG−2 AACの場合の伝送では、data−typeを表すbit0−4に「7」を設定するのに対し、例えば、MPEG2 AAC SBR 1/2 Low sampling frequencyの場合の伝送では、従来と異なり、data−typeを表すbit0−4に「19」を、bit5、6に「0」を、データの詳細内容を表すbit8−12に「4」を設定する。
【0066】
図11に、MPEG2AAC Low sampling frequency のバーストプリアンブル41のPc(bit0−15)に行う設定例を示す。
【0067】
図11に示されるように、Pc813のビット0−4については、その値が0−6および8−18である場合、IEC61937に定義された内容に従うことを意味し、その値が7である場合、MPEG−2 AACであることを意味し、その値が19である場合、MPEG−2 AAC Low sampling frequencyであることを意味し、その値が20−31である場合、IEC61937に従うことを意味する。
【0068】
また、ビット0−4が19のMPEG−2 AAC Low sampling frequencyの場合において、ビット5,6については、その値が0である場合、MPEG−2 AAC 1/2 Low sampling frequencyであることを意味し、その値が1である場合、MPEG−2 AAC 1/4 Low sampling frequencyであることを意味し、その値が2および3である場合、予約されていることを意味する。また、ビット7−15については、IEC61937に従うことを意味する。
【0069】
図12は、MPEG2 AAC Low sampling frequencyのバーストプリアンブルPc(bit8−12)の構成例を示す図である。
【0070】
Pcのビット8−12については、その値が0である場合、適用なしを意味し、その値が1である場合、LCプロファイル(低演算量プロファイル)であることを意味し、その値が2およびである場合、将来に予約されていることを意味し、その値が4である場合、低演算量プロファイルで、かつSBRが含まれていることを意味し、5−31である場合、予約されていることを意味する。
【0071】
つまり、本発明に係るバースト情報では、MPEG−2 AACとMPEG−2 AAC SBRとの峻別がなされており、ビット8−12に値4を設定することで、MPEG−2 AAC SBRであることを意味し、それ以外の値を設定することで、MPEG−2 AACであることを意味することができる。また、ビット0−4に値19を設定することで、ビット8−12の値4が有効であることを示すことができ、しかも、ビット5,6に値0を設定することで、ハーフサンプリングであることがわかる。また、ビット5,6に値1を設定することで、クォータサンプリングであることがわかる。なお、ここでは、ビット0−4に値19を設定することで、ビット8−12の値4が有効であるとしたが、他の値、例えばMPEG4 AACやMPEG1、2 Layer3などの他のデータタイプの場合でもビット8−12の値4が有効であるとしてもよい。
【0072】
図10Cは、バーストペイロード42に格納されるMPEG2 AACのビットストリーム構造を示す図である。
【0073】
図10Cに示されるように、従来と同様、バーストペイロード42に格納されるMPEG2 AACのビットストリームは、ストリームヘッダ421と、圧縮音楽データの基本圧縮ストリーム422とから構成される。
【0074】
図10Dは、バーストペイロード42に格納されるMPEG2 AAC SBRのビットストリーム構造を示す図である。
【0075】
図10Dに示されるように、従来と同様、MPEG2 AAC SBRのビットストリームは、ストリームヘッダ421と、基本圧縮ストリーム422との他、さらに高域情報パラメータ423とから構成される。
【0076】
次いで、図7に示される音楽データ受信機器20の構成を説明する。
図13は、音楽データ受信機器20の機能構成を示すブロック図である。
【0077】
音楽データ受信機器20は、圧縮音楽情報解析部22と、ビットストリーム解析部23と、基本信号復号部24と、高域信号復元部25と、帯域拡張部26と、D/A変換器27と、出力制御部28とを備える。
【0078】
圧縮音楽情報解析部22は、伝送路30を介して入力された伝送クロックおよび圧縮音楽データを解析する。つまり、圧縮音楽情報解析部22は、伝送クロックに基づいて基本音楽データのサンプリング周波数fsを取得するとともに、圧縮音楽データのモードを示す値、すなわち高域情報を含むか否かを解析する。
【0079】
ビットストリーム解析部23は、ストリームヘッダの情報を解析する。
基本信号復号部24は、ビットストリームの基本部分を復号する。
【0080】
高域信号復元部25は、高域情報パラメータに基づき高域信号を復元する。
帯域拡張部26は、基本信号と高域信号とを合成し、時間領域信号に変換する。
【0081】
D/A変換器27は、デジタル信号をアナログ信号に変換する。
出力制御部28は、D/A変換器927などにサンプリング周波数やデジタルフィルタの係数等のパラメータを設定する。
【0082】
次いで、圧縮音楽データ再生処理の動作を説明する。
図14は、圧縮音楽データ再生処理の動作を示すフローチャートである。
【0083】
音楽データ受信機器20の圧縮音楽情報解析部22は、圧縮音楽データを受信するのを待つ(S21)。圧縮音楽データを受信すると(S21でYes)、圧縮音楽情報解析部22は、まず伝送クロックを解析し、伝送クロックに基づいて伝送クロックに対応するサンプリング周波数fsを取得する(S22)。サンプリング周波数fsを取得すると、圧縮音楽情報解析部22は、IEC61937のバーストプリアンブルPc内に記録されているオーディオデータの情報を読み、Pcの値から圧縮音楽データの種別を解析する(S23)。通常、Pcのbit0−4には、圧縮音楽データの種類が、bit5、6には、属性情報が、bit7にはエラーを示すフラグが、bit8−12には、その圧縮音楽データの独自情報が、それぞれ記録されている。
【0084】
仮に、ビット0−4の値が「19」、つまりdata−typeがMPEG2 AAC Low sampling frequencyであるとすると、次にbit5、6を読み、その値が「0」に設定されている場合、ハーフサンプリングで、バーストプリアンブルの繰り返し周期が2048であることがわかり、次に、bit8−12を読み、MPEG2AAC low sampling frequencyのプロファイルやその圧縮オーディオデータに高域情報パラメータが含まれているかどうか、つまり4であるか否かを判断する。このような高域情報の有無の解析に基づいて、圧縮音楽情報解析部22は、このサンプリング周波数fsと、ステップS22の判断により得られた解析結果、すなわち高域情報パラメータの有無の結果を出力制御部28に送る。つまり、MPEG−2 AAC SBR 1/2 Low sampling frequencyの場合には、ローサンプリングを示すビット0−4の値19と、ビット5,6の値0と、高域情報有りを示すビット8−12の値4とを送る。
【0085】
高域情報パラメータが存在しない場合、例えば通常のMPEG−2 AAC等の場合には、出力制御部28は、受信したIEC61937のクロックに対応するサンプリング周波数または、基本圧縮ストリーム内のヘッダーに記録されているサンプリング周波数に設定する(S24)。高域情報パラメータが存在しない場合、ビットストリーム解析部23で解析された基本圧縮ストリームは、基本信号復号部24で復号される。D/A変換器27では、すでにサンプリング周波数fsに設定されているため、そのままデジタル信号をアナログ信号に変換し、従来より早いタイミングで再生が開始される(S25)。
【0086】
つまり、高域情報パラメータが含まれていない場合、出力制御部28では、ストリームヘッダ421に記録されているサンプリング周波数と同じサンプリング周波数をD/A変換器27に設定する。基本信号復号部24では、基本圧縮ストリーム422を復号する。なお、高域信号復元部25では、高域情報が存在しないため、特に処理は行わない。また、帯域拡張部26でも、基本信号復号部24からの信号だけを使い、特に帯域拡張処理は行わず、そのまま時間領域の信号に変換する。帯域拡張部26からの信号はD/A変換器27に出力され、基本信号復号部24で処理された帯域成分を持った信号が出力されることになる。
【0087】
一方、高域情報パラメータが存在する場合は、出力制御部28は、伝送クロックに基づいて取得されたサンプリング周波数fsの2倍の周波数に設定する(S26)。なお、設定されたサンプリング周波数を音楽データ受信機器20のディスプレイ部で表示してもよい。高域情報パラメータが存在する場合、ビットストリーム解析部23で解析された基本圧縮ストリームは、基本信号復号部24で復号される。一方、高域信号復元部25では、高域信号情報パラメータに基づいて、高域信号が復元される。
【0088】
次に、基本信号と高域信号は、帯域拡張部26で合成され時間領域信号に変換され、伝送クロックに基づいて取得されたサンプリング周波数の2倍のサンプリング周波数の信号として、D/A変換器27に出力される。D/A変換器27では、すでに2倍のサンプリング周波数に設定されているため、そのままデジタル信号をアナログ信号に変換し、高域周波数成分まで含まれている信号として出力され、従来より早く高音質な再生を開始することが可能となる(S27)。
【0089】
以上のように、IEC61937上のバーストプリアンブルのPcの中に、高域情報パラメータの存在を示す値を設定することにより、受信機側で速やかに高域情報の有無を判断でき、高域周波数まで含まれている信号を再生することが可能となる。
【0090】
(実施の形態2)
次に本発明に係る音楽データ受信機器の他の構成について説明する。
【0091】
図15は、本発明の実施の形態2に係る他の音楽データ受信機器の機能構成を示すブロック図である。
【0092】
ところで、実施の形態1に係る音楽データ受信機器20では、音楽データが第1のモード、つまりMPEG−2 AACである場合、帯域拡張していないが、この音楽データ受信機器50では、MPEG−2 AACの基本音声データから高域情報を生成する高域信号生成部51を備えるように構成される点が、実施の形態1と異なっている。
【0093】
この音楽データ受信機器50の圧縮音楽情報解析部52で、入力される圧縮音楽データを解析するが、高域情報パラメータが存在しない場合は、高域信号生成部51により、基本信号復号部24で復号された信号を元に、より高域の周波数成分を予測して自動的に高域信号を生成する。また、同時に出力制御部58には、サンプリング周波数fsの2倍の周波数を設定するような情報を送る。この場合、高域信号復元部25では、特に処理は行わない。
【0094】
帯域拡張部56では、基本信号復号部24からの信号と、高域信号生成部51からの信号とを合成し、伝送クロックから得られたサンプリング周波数の2倍のサンプリング周波数信号を出力する。
【0095】
以上のように、高域情報パラメータがない場合でも、基本信号復号部24で復号された信号より高域成分を予測することにより、元のビットストリーム信号に記録されている信号成分よりも広帯域の信号を再生することが可能である。
【0096】
なお、基本音楽データの周波数帯域は10kHz以下とは限られない。この場合、20kHz以上に帯域拡大され、人には直接聞こえないけれども、より自然界にある状態と同様な帯域に近づくことで高品質な再生が可能となる。
【0097】
なお、実施の形態1,2では、高域情報パラメータの有無により、D/A変換機に設定するサンプリング周波数を2倍の周波数にしているが、4倍もしくは任意のサンプリング周波数に設定してもよい。
【0098】
また、本発明は、例として説明したIEC61937,IEC60958規格だけでなく、将来のオーディオビデオデータ伝送規格である、IEEE1394やHDMI(High Definition Multimedia Interface)等でIEC61937コンフォーマントで使用する場合にも応用可能である。
【0099】
また、実施の形態1,2では、MPEG2 AACについて中心に述べたが、MPEG4 AACなどの他のコーデックでも、同様な方式で伝送、処理することが可能である。
【0100】
さらに、実施の形態1,2では、伝送クロックに基づいてサンプリング周波数を取得したが、ビットストリーム解析部23が解析したストリームヘッダに含まれるサンプリング周波数を圧縮音楽情報解析部22に通知してもよい。この場合においても、従来より高速に再生を開始することができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
圧縮マルチチャンネル音声を出力するDVDプレーヤや、セットトップボックス等の音楽データ送信機器と、デコードして再生するAVアンプ等の音楽データ受信機器とを光伝送路等の伝送路を介して接続する伝送システムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は、データ伝送を行なう場合の従来の機器接続例を示す図である。
【図2A】図2Aは、図1に示される音楽データ送信機器910から伝送されるデータバースト80のフォーマット構成を示す図である。
【図2B】図2Bは、バーストプリアンブル81のフォーマット構成を示す図である。
【図2C】図2Cは、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AACのビットストリーム構造を示す図である。
【図2D】図2Dは、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AAC SBRのビットストリーム構造を示す図である。
【図3】図3は、バースト情報の構成例を示す図である。
【図4】図4は、バースト情報のビット8−12についての構成例を示す図である。
【図5】図5は、従来の音楽データ受信機器の構成図である。
【図6】図6は、音楽データ受信機器920において行われる圧縮音楽データ再生処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本発明に用いられる民生用デジタルオーディオ機器の接続例を示す図である。
【図8】図8は、音楽データ送信機器10の機能構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、IEC61937の伝送フォーマットを作成する際にフォーマッタ12が実行するPc決定処理の動作を示すフローチャートである。
【図10A】図10Aは、音楽データ送信機器10からIEC61937でMPEG2AACを伝送する場合のデータバースト40のフォーマット構成を示す図である。
【図10B】図10Bは、バーストプリアンブル41のフォーマット構成を示す図である。
【図10C】図10Cは、バーストペイロード42に格納されるMPEG2 AACのビットストリーム構造を示す図である。
【図10D】図10Dは、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AAC SBRのビットストリーム構造を示す図である。
【図11】図11は、MPEG2AAC Low sampling frequency のバーストプリアンブル41のPc(bit0−15)に行う設定例を示す図である。
【図12】図12は、MPEG2 AAC Low sampling frequencyのバーストプリアンブルPc(bit8−12)の構成例を示す図である。
【図13】図13は、音楽データ受信機器20の機能構成を示すブロック図である。
【図14】図14は、圧縮音楽データ再生処理の動作を示すフローチャートである。
【図15】図15は、本発明の実施の形態2に係る他の音楽データ受信機器の機能構成を示すブロック図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル機器間で、音楽情報とその圧縮音楽データをデジタル伝送するための受信機器、送信機器および伝送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の音楽情報や音楽データをシリアルデジタル伝送する方法として、IEC60958や、IEC61937等の国際規格がある。
【0003】
IEC60958は、2chのリニアPCMデータを伝送する際に用いられている方式で、CDやDVDからのデジタルデータ伝送に広く用いられている。また、IEC61937は、MPEG等の圧縮音楽データのようにリニアPCMでないデータの通信の際に用いられる方式であり、近年ではDVDの圧縮マルチチャンネル音声を出力し、外部のデコーダアンプに接続しデコードして再生する場合に用いられている。上記した従来の音楽情報および音楽データ伝送方法では、伝送された圧縮音楽データを簡単に伝送し、再生可能にすることを目的としている。
【0004】
近年、MPEGでは、128kbpsステレオ程度の低いビットレートでも、高音質な再生を可能にするISO13818−7 MPEG2 AACを国際標準規格として標準化している。その一方、MPEG2 AACでも、さらに低いビットレート48kbpsステレオになると、10kHz程度以上の高い周波数の音に対する人間の感度が、低い周波数の音に対する感度より低くなり高域成分への情報配分を減らすため、結果的に狭帯域な再生音になる。48kbpsステレオ程度のビットレートの情報量で符号化を行うと、音質を維持して量子化し符号化できる帯域は、高々10kHz程度に減少する。そこで、MPEGでは、このような狭帯域な再生音を与える符号化列に、少しの情報量付加によって、高い帯域の再生を可能とする方法が提案されている。低いビットレートでも、高周波数帯域の情報をビットストリームデータ内の領域に持ち、基本部分は、低いサンプリング周波数で圧縮されていても、復号側で、前記高域周波数情報を用いて高い周波数帯域部分を復元し、高周波数帯域まで再生可能な方式がAAC SBR(Spectral Band Replication)として規格化されつつある(ISO13818−7:2003/AMD1)。
【0005】
図1は、データ伝送を行なう場合の機器接続例を示す図である。
音楽データ伝送システム900は、音楽データを所定のインターフェース(例えば、IEC61937)で伝送する音楽データ送信機器910と、音楽データを受信する音楽データ受信機器920と、これらを接続する伝送路930とから構成される。
【0006】
図2Aは、音楽データ送信機器910から伝送されるデータバースト80のフォーマット構成を示す図である。
【0007】
図2Aに示されるように、各データバースト80は、バーストプリアンブル81と、このバーストプリアンブル81に追随するバーストペイロード82とから構成される。
【0008】
図2Bは、バーストプリアンブル81のフォーマット構成を示す図である。
バーストプリアンブル81は、同期語のフィールドを表すPa811,Pb812と、データの種類および受信機のための情報(バースト情報)を提供するフィールドを表すPc813と、バーストペイロードの長さを提供するフィールドを表すPd814とから構成される。
【0009】
図3は、バースト情報の構成例を示す図である。
Pc813のビット0−4については、その値が7である場合、MPEG−2 AACであることを意味し、その値が0−6および8−31である場合、IEC61937で定義された内容に従うことを意味する。また、ビット5−15についても、IEC61937で定義された内容に従うことを意味する。
【0010】
図4は、バースト情報のビット8−12についての構成例を示す図である。
Pc813のビット8−12については、その値が0である場合、適用なしを意味し、その値が1である場合、LC(Low Complexity)プロファイルであることを意味し、その値が2又は3である場合、将来のプロファイル予約されていることを意味し、その値が4−31である場合、予約されていることを意味する。
【0011】
つまり、従来のバースト情報では、MPEG−2 AACとMPEG−2 AAC SBRとの峻別がなされていない。
【0012】
図2Cは、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AACのビットストリーム構造を示す図である。
【0013】
図2Cに示されるように、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AACのビットストリームは、ストリームヘッダ821と、圧縮音楽データの基本圧縮ストリーム822とから構成される。
【0014】
図2Dは、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AAC SBRのビットストリーム構造を示す図である。
【0015】
図2Dに示されるように、MPEG2 AAC SBRのビットストリームは、ストリームヘッダ821と、基本圧縮ストリーム822との他、さらに高域情報パラメータ823とから構成される。高域情報パラメータ823は、基本圧縮ストリーム822の最後の部分の一部(例えば、フィルエレメント)を用いて記録されている。
【0016】
音楽データ受信機器920では、このビットストリームを解析し、高域情報パラメータを用いて高周波数帯域を復元するが、音楽データ受信機器920が通常のAAC復号処理のみに対応し、SBR処理に対応していなくても、基本圧縮ストリーム822のみを復号し、高域情報パラメータ823を無視することで、MPEG2 AACと上位互換性が保たれている。
【0017】
しかし、この情報をIEC61937規格で送ろうとした場合、48kbpsステレオのような低いビットレート時には、基本圧縮ストリーム822部分は、128kbpsのように高いビットレートで圧縮される場合に比べ、情報量に限りがあるため、周波数帯域を制限して、圧縮することがほとんどである。原音のサンプリング周波数が48kHzとすると、半分のサンプリング周波数fcにダウンサンプリングして圧縮されており、ストリームヘッダ821には、そのサンプリング周波数fcが記録されている。
【0018】
図5は、従来の音楽データ受信機器の構成図である。
図5に示されるように、音楽データ受信機器920は、圧縮音楽情報解析部922と、ビットストリーム解析部923と、基本信号復号部924と、高域信号復元部925と、帯域拡張部926と、D/A変換器927と、出力制御部928とを備える。
【0019】
圧縮音楽情報解析部922は、伝送路93を介して入力された圧縮音楽データを解析する。
【0020】
ビットストリーム解析部923は、ストリームヘッダの情報を解析する。
基本信号復号部924は、ビットストリームの基本部分を復号する。
【0021】
高域信号復元部925は、高域情報パラメータに基づき高域信号を復元する。
帯域拡張部926は、基本信号と高域信号とを合成し、時間領域信号に変換する。
【0022】
D/A変換器927は、デジタル信号をアナログ信号に変換する。
出力制御部928は、D/A変換器927などにサンプリング周波数やデジタルフィルタの係数等のパラメータを設定する。
【0023】
次いで、音楽データ受信機器920において行われる圧縮音楽データ再生処理について説明する。
【0024】
図6は、音楽データ受信機器920において行われる圧縮音楽データ再生処理の動作を示すフローチャートである。
【0025】
音楽データ受信機器920の圧縮音楽情報解析部922は、IEC61937のデータフォーマットで送信される圧縮音楽データを受信するのを待つ(S91)。圧縮音楽データを受信すると、圧縮音楽情報解析部922は、バーストプリアンブル81の情報(Pc)を解析し、圧縮音楽データの種類を判断する(S92)。ここでは、MPEG2AAC Lowsampling frequencyと判断される場合、つまり、Pcのビット0−4の値=7でビット8−12の値=1の場合について説明する。次に、ビットストリーム解析部923は、ストリームヘッダ821の情報を解析する(S93)。ビットストリーム解析部923は、ストリームヘッダ821に記録されているサンプリング周波数を、出力制御部928に通知する。出力制御部928は、D/A変換器927等に、検出したサンプリング周波数に対応したマスタークロックや、デジタルフィルタの係数を設定する(S94)。次に、基本信号復号部924は、基本圧縮ストリーム822の読み取りを開始する(S95)。そして、基本信号復号部924は、高域情報パラメータが有るか否か判断する(S96)。この判断は、基本信号復号部924が、基本圧縮ストリーム822の最後の部分まで読んで、高域情報パラメータ823の存在を確認して初めて行える。具体的には、フィルエレメントの先頭付近に高域情報パラメータが格納されていることを示す所定の識別子が設定されていることを確認し、CRCチェックにより所定の識別子に間違いないことを確認して、判断がされる。
【0026】
高域情報パラメータ823が存在する場合は、基本信号復号部924から、再度、出力制御部928にストリームヘッダ821に記録されているサンプリング周波数の倍のサンプリング周波数に設定した後、実際の再生を開始する。
【0027】
AAC−SBR方式は、従来のMPEG2 AACとまったく同じビットストリームのデータ構造であることが特徴であり、従来のMPEG2 AACと互換性が保たれる反面、ストリームヘッダ821上では、高域情報パラメータ823が入っていることを示すフラグは存在しない。また、高域情報パラメータは、基本圧縮ストリームの最後の部分に記録されている。
【0028】
したがって、音楽データ受信機器920では、音楽圧縮データの中身を最後まで解析して初めて、高域情報パラメータ823の存在がわかることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
このように、基本圧縮ストリーム822や、高域情報パラメータ823、つまりバーストストリーム80の最後まで読んでから、サンプリング周波数を出力するためのパラメータをD/A変換器927などに設定することになり、設定に時間がかかるという課題がある。
【0030】
そこで、本発明は、圧縮音楽データ伝送において、伝送される音楽データに応じた高域情報の有無判断を即座に行うことを可能にする圧縮音楽データの受信機器、送信機器および伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上記目的を達成するために、本発明に係る送信機器においては、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力手段と、前記圧縮音楽データ出力手段が出力した圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、圧縮音楽データと音楽情報との順序で伝送するフォーマッタとを備えることを特徴とする。
【0032】
これにより、受信機器において、圧縮音楽データを解析する前に、音楽情報に含まれるモードを示す値から高域情報の有無を知ることができる。つまり、データバーストの最後までみなくても、データバーストの先頭、ヘッダから高域情報の有無を知ることができる。したがって、圧縮音楽データを解析することなしに、高域情報の有無に基づいて、サンプリング周波数に対する倍率等を直ちに決定でき、圧縮音楽データを復号することで音楽再生を即座に行うことができる。
【0033】
また、本発明に係る送信機器においては、前記音楽情報は、j(j>2)ビットで表され、前記フォーマッタは、前記jビット中のk(j>k>2)ビットに、前記第2モードを示す所定の値を設定することを特徴とする。
【0034】
これにより、従来との互換性を保ちつつ、第2モード、すなわち高域情報有りを示すことができる。
【0035】
また、本発明に係る送信機器においては、前記フォーマッタは、前記kビットと異なる前記jビット中のm(j>m>2)ビットに、前記kビットに設定された前記所定の値が有効であることを示す所定の値を設定することを特徴とする。
【0036】
これにより、従来との互換性を保ちつつ、わずかなビット数で、第2モード、すなわち高域情報有りを示したり、他の情報を示したりすることができる。
【0037】
また、本発明に係る送信機器においては、前記フォーマッタは、前記音楽情報と、前記圧縮音楽データとを、前記基本音楽データのサンプリング周波数に対応する伝送クロックで伝送することを特徴とする。
【0038】
これにより、受信機器において、伝送クロックに基づいて圧縮音楽データを解析することなしに、サンプリング周波数を取得することができ、音楽を再生するまでの時間を非常に短縮することができる。
【0039】
また、本発明に係る受信機器においては、圧縮された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データに関する音楽情報とを、圧縮音楽データと音楽情報との順序で受信する受信機器であって、前記圧縮音楽データは、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで作成され、前記音楽情報は、前記圧縮音楽データのモードを示す値を含み、前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析手段を備えることを特徴とする。
【0040】
これにより、音楽データを受信する前に、音楽情報に含まれるモードを示す値から高域情報の有無を知ることができる。したがって、圧縮音楽データを解析する前に、高域情報の有無に基づいて、サンプリング周波数に対する倍率等を直ちに決定でき、圧縮音楽データを復号すると音楽再生を即座に行うことができる。
【0041】
また、本発明に係る受信機器においては、前記圧縮音楽データ解析手段は、前記音楽情報と、前記圧縮音楽データとを、前記基本音楽データのサンプリング周波数に対応する伝送クロックで受信し、受信した伝送クロックに基づいてサンプリング周波数を取得し、前記受信機器は、さらに前記圧縮音楽データに基づく信号をD/A変換するD/A変換器と、前記圧縮音楽データ解析手段から通知されたサンプリング周波数と、前記圧縮音楽データのモードとに基づいて、所定の倍率のサンプリング周波数をD/A変換器に予め設定する出力制御手段とを備えることを特徴とする。
【0042】
これにより、音楽データを解析する前に、音楽再生の準備を整えることができる。
また、本発明に係る受信機器においては、前記受信機器は、さらに前記基本音楽データを復号する基本信号復号手段と、前記第2モードの場合に、前記高域情報に基づいて高域信号を復元する高域信号復元手段と、前記第1モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号を出力し、前記第2モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号と高域信号復元手段により復元された信号とを合成して出力する帯域拡張手段とを備え、前記D/A変換器は、前記帯域拡張手段が出力する信号を予め設定された所定のサンプリング周波数でD/A変換することを特徴とする。
【0043】
これにより、第1モードの場合に、基本音楽データに応じた帯域で音楽再生を行うことができ、第2モードの場合に帯域拡張された高品質な音楽再生を行うことができる。
【0044】
また、本発明に係る受信機器においては、前記受信機器は、さらに前記基本音楽データに基づいて、高域信号を生成する高域信号生成手段を備え、前記出力制御手段は、前記第1モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号と前記高域信号生成手段により生成された高域信号とを合成して出力するように前記帯域拡張手段を制御するとともに、D/A変換器の動作を制御することを特徴とする。
【0045】
これにより、第1モードの場合においても、第2モードの場合と同様に帯域拡張された高品質な音楽再生を行うことができる。
【0046】
なお、本発明は、このような送信機器や、受信機器として実現することができるだけでなく、このような送信機器と受信機器とを伝送路を介して接続した伝送システムとして構成したり、送信機器や受信機器が備える特徴的な手段をステップとする受信方法や、送信方法、伝送方法として実現したり、それらのステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体やインターネット等の伝送媒体を介して配信することができるのは言うまでもない。
【0047】
<本願発明の背景技術に関する詳細な情報>
2003年6月17日に出願の日本国特許出願番号2003−171729が、ここに引用として組み入れられる。
【発明の効果】
【0048】
以上のように本発明によれば、IEC61937を用いて圧縮音楽データを伝送する場合、前記圧縮音楽データ出力手段が出力した圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、圧縮音楽データと、音楽情報との順序で、かつ圧縮された基本音楽データのサンプリング周波数に対応する伝送クロックで伝送するので、伝送クロックの解析から基本音楽データのサンプリング周波数が取得され、圧縮音楽データのモードを示す値を解析することにより高域情報の有無がわかる。
【0049】
よって、本発明により、従来のように圧縮音楽データの最後まで全てを読み込んで解析を行う必要が無くなり、サンプリング周波数や、このサンプリング周波数に対する倍率等を直ちに決定でき、音楽再生を即座に行うことができ、データ伝送により音楽を再生するシステムが普及してきた今日における本願発明の実用的価値は極めて高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
(実施の形態1)
以下本発明の実施の形態としてIEC60958およびIEC61937の伝送規格を例にとった場合の音楽データ伝送システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、IEC60958およびIEC61937の伝送規格についての詳細は、Interface for non−linear PCM encoded audio bitstreams applying IEC61937等を参照されたい。
【0051】
図7は、本発明に用いられる民生用デジタルオーディオ機器の接続例を示す図である。
音楽データ伝送システム1は、音楽データ送信機器10と、音楽データ受信機器20と、これらを接続する伝送路30とから構成される。
【0052】
音楽データ送信機器10として、DVDプレーヤや、セットトップボックス等があげられる。
【0053】
また、音楽データ受信機器20としてAVアンプ等があげられる。
伝送路30として、光伝送路等があげられる。
【0054】
図8は、音楽データ送信機器10の機能構成を示すブロック図である。
音楽データ送信機器10は、圧縮音楽データ出力部11と、フォーマッタ12とを備える。
【0055】
圧縮音楽データ出力部11は、受信したリニアなPCM音楽データから非リニアな圧縮音楽データを作成し、作成した圧縮データを出力したり、受信した非リニアな圧縮音楽データをそのまま出力したりする。
【0056】
フォーマッタ12は、圧縮音楽データがMPEG−2 AACや、MPEG−2 AAC SBRの場合、IEC61937の伝送フォーマットを作成する。
【0057】
図9は、IEC61937の伝送フォーマットを作成する際にフォーマッタ12が実行するPcに設定する値を決定する処理の動作を示すフローチャートである。
【0058】
フォーマッタ12は、ユーザからの圧縮音楽データの送信指示がくるのを待つ(S11)。圧縮音楽データの送信指示が有ると(S11でYes)、フォーマッタ12は、圧縮音楽データの種別を判定する(S12)。この判定は、圧縮音楽データ出力部11からの圧縮音楽データの種別の通知等により行われる。
【0059】
判定の結果、圧縮音楽データの種別がMPEG−2 AACである場合、ビット0−4の値を7に決定し(S13)、Pc決定処理を終了する。これに対して判定の結果、圧縮音楽データの種別がMPEG−2 AAC Low Sampling Frequencyである場合、ビット0−4の値を「19」を設定し、ビット5,6にハーフレートかクオーターレートかを判断し、ハーフレートであれば、0をクオーターレートであれば1を設定する。さらにSBRであるかどうかを判断し、SBRでない場合は、ビット8−12の値を0にそれぞれ決定し(S14)、SBRである場合は、ビット8−12の値を4にそれぞれ決定し(S15)、Pc決定処理を終了する。
【0060】
これにより、音楽データ受信機器20はPcの値を解析するだけでバーストペイロード42に高域情報パラメータ423が含まれているか否かを素早く知ることができる。
【0061】
Pc決定処理が終わると、フォーマッタ12は、バーストペイロード42に圧縮音楽データを格納し、バーストプリアンブル41のPa〜Pdに所定の値をセットし、伝送路30を介してバーストストリームを出力する。
【0062】
図10Aは、音楽データ送信機器10からIEC61937でMPEG2AACを伝送する場合のデータバースト40のフォーマット構成を示す図である。
【0063】
図10Aに示されるように、各データバースト40は、同期情報や、伝送音楽データの情報を示す、バーストプリアンブル41と、図10C、図10Dに示すMPEG2 AACのビットストリームが格納されるバーストペイロード42とから構成される。
【0064】
図10Bは、バーストプリアンブル41のフォーマット構成を示す図である。
バーストプリアンブル41は、同期語のフィールドを表すPa411,Pb412と、データの種類および受信機のための情報(バースト情報)を提供するフィールドを表すPc413と、バーストペイロードの長さを提供するフィールドを表すPd414とから構成される。
【0065】
Pc413は、16bitで構成され、MPEG−2 AACの場合の伝送では、data−typeを表すbit0−4に「7」を設定するのに対し、例えば、MPEG2 AAC SBR 1/2 Low sampling frequencyの場合の伝送では、従来と異なり、data−typeを表すbit0−4に「19」を、bit5、6に「0」を、データの詳細内容を表すbit8−12に「4」を設定する。
【0066】
図11に、MPEG2AAC Low sampling frequency のバーストプリアンブル41のPc(bit0−15)に行う設定例を示す。
【0067】
図11に示されるように、Pc813のビット0−4については、その値が0−6および8−18である場合、IEC61937に定義された内容に従うことを意味し、その値が7である場合、MPEG−2 AACであることを意味し、その値が19である場合、MPEG−2 AAC Low sampling frequencyであることを意味し、その値が20−31である場合、IEC61937に従うことを意味する。
【0068】
また、ビット0−4が19のMPEG−2 AAC Low sampling frequencyの場合において、ビット5,6については、その値が0である場合、MPEG−2 AAC 1/2 Low sampling frequencyであることを意味し、その値が1である場合、MPEG−2 AAC 1/4 Low sampling frequencyであることを意味し、その値が2および3である場合、予約されていることを意味する。また、ビット7−15については、IEC61937に従うことを意味する。
【0069】
図12は、MPEG2 AAC Low sampling frequencyのバーストプリアンブルPc(bit8−12)の構成例を示す図である。
【0070】
Pcのビット8−12については、その値が0である場合、適用なしを意味し、その値が1である場合、LCプロファイル(低演算量プロファイル)であることを意味し、その値が2およびである場合、将来に予約されていることを意味し、その値が4である場合、低演算量プロファイルで、かつSBRが含まれていることを意味し、5−31である場合、予約されていることを意味する。
【0071】
つまり、本発明に係るバースト情報では、MPEG−2 AACとMPEG−2 AAC SBRとの峻別がなされており、ビット8−12に値4を設定することで、MPEG−2 AAC SBRであることを意味し、それ以外の値を設定することで、MPEG−2 AACであることを意味することができる。また、ビット0−4に値19を設定することで、ビット8−12の値4が有効であることを示すことができ、しかも、ビット5,6に値0を設定することで、ハーフサンプリングであることがわかる。また、ビット5,6に値1を設定することで、クォータサンプリングであることがわかる。なお、ここでは、ビット0−4に値19を設定することで、ビット8−12の値4が有効であるとしたが、他の値、例えばMPEG4 AACやMPEG1、2 Layer3などの他のデータタイプの場合でもビット8−12の値4が有効であるとしてもよい。
【0072】
図10Cは、バーストペイロード42に格納されるMPEG2 AACのビットストリーム構造を示す図である。
【0073】
図10Cに示されるように、従来と同様、バーストペイロード42に格納されるMPEG2 AACのビットストリームは、ストリームヘッダ421と、圧縮音楽データの基本圧縮ストリーム422とから構成される。
【0074】
図10Dは、バーストペイロード42に格納されるMPEG2 AAC SBRのビットストリーム構造を示す図である。
【0075】
図10Dに示されるように、従来と同様、MPEG2 AAC SBRのビットストリームは、ストリームヘッダ421と、基本圧縮ストリーム422との他、さらに高域情報パラメータ423とから構成される。
【0076】
次いで、図7に示される音楽データ受信機器20の構成を説明する。
図13は、音楽データ受信機器20の機能構成を示すブロック図である。
【0077】
音楽データ受信機器20は、圧縮音楽情報解析部22と、ビットストリーム解析部23と、基本信号復号部24と、高域信号復元部25と、帯域拡張部26と、D/A変換器27と、出力制御部28とを備える。
【0078】
圧縮音楽情報解析部22は、伝送路30を介して入力された伝送クロックおよび圧縮音楽データを解析する。つまり、圧縮音楽情報解析部22は、伝送クロックに基づいて基本音楽データのサンプリング周波数fsを取得するとともに、圧縮音楽データのモードを示す値、すなわち高域情報を含むか否かを解析する。
【0079】
ビットストリーム解析部23は、ストリームヘッダの情報を解析する。
基本信号復号部24は、ビットストリームの基本部分を復号する。
【0080】
高域信号復元部25は、高域情報パラメータに基づき高域信号を復元する。
帯域拡張部26は、基本信号と高域信号とを合成し、時間領域信号に変換する。
【0081】
D/A変換器27は、デジタル信号をアナログ信号に変換する。
出力制御部28は、D/A変換器927などにサンプリング周波数やデジタルフィルタの係数等のパラメータを設定する。
【0082】
次いで、圧縮音楽データ再生処理の動作を説明する。
図14は、圧縮音楽データ再生処理の動作を示すフローチャートである。
【0083】
音楽データ受信機器20の圧縮音楽情報解析部22は、圧縮音楽データを受信するのを待つ(S21)。圧縮音楽データを受信すると(S21でYes)、圧縮音楽情報解析部22は、まず伝送クロックを解析し、伝送クロックに基づいて伝送クロックに対応するサンプリング周波数fsを取得する(S22)。サンプリング周波数fsを取得すると、圧縮音楽情報解析部22は、IEC61937のバーストプリアンブルPc内に記録されているオーディオデータの情報を読み、Pcの値から圧縮音楽データの種別を解析する(S23)。通常、Pcのbit0−4には、圧縮音楽データの種類が、bit5、6には、属性情報が、bit7にはエラーを示すフラグが、bit8−12には、その圧縮音楽データの独自情報が、それぞれ記録されている。
【0084】
仮に、ビット0−4の値が「19」、つまりdata−typeがMPEG2 AAC Low sampling frequencyであるとすると、次にbit5、6を読み、その値が「0」に設定されている場合、ハーフサンプリングで、バーストプリアンブルの繰り返し周期が2048であることがわかり、次に、bit8−12を読み、MPEG2AAC low sampling frequencyのプロファイルやその圧縮オーディオデータに高域情報パラメータが含まれているかどうか、つまり4であるか否かを判断する。このような高域情報の有無の解析に基づいて、圧縮音楽情報解析部22は、このサンプリング周波数fsと、ステップS22の判断により得られた解析結果、すなわち高域情報パラメータの有無の結果を出力制御部28に送る。つまり、MPEG−2 AAC SBR 1/2 Low sampling frequencyの場合には、ローサンプリングを示すビット0−4の値19と、ビット5,6の値0と、高域情報有りを示すビット8−12の値4とを送る。
【0085】
高域情報パラメータが存在しない場合、例えば通常のMPEG−2 AAC等の場合には、出力制御部28は、受信したIEC61937のクロックに対応するサンプリング周波数または、基本圧縮ストリーム内のヘッダーに記録されているサンプリング周波数に設定する(S24)。高域情報パラメータが存在しない場合、ビットストリーム解析部23で解析された基本圧縮ストリームは、基本信号復号部24で復号される。D/A変換器27では、すでにサンプリング周波数fsに設定されているため、そのままデジタル信号をアナログ信号に変換し、従来より早いタイミングで再生が開始される(S25)。
【0086】
つまり、高域情報パラメータが含まれていない場合、出力制御部28では、ストリームヘッダ421に記録されているサンプリング周波数と同じサンプリング周波数をD/A変換器27に設定する。基本信号復号部24では、基本圧縮ストリーム422を復号する。なお、高域信号復元部25では、高域情報が存在しないため、特に処理は行わない。また、帯域拡張部26でも、基本信号復号部24からの信号だけを使い、特に帯域拡張処理は行わず、そのまま時間領域の信号に変換する。帯域拡張部26からの信号はD/A変換器27に出力され、基本信号復号部24で処理された帯域成分を持った信号が出力されることになる。
【0087】
一方、高域情報パラメータが存在する場合は、出力制御部28は、伝送クロックに基づいて取得されたサンプリング周波数fsの2倍の周波数に設定する(S26)。なお、設定されたサンプリング周波数を音楽データ受信機器20のディスプレイ部で表示してもよい。高域情報パラメータが存在する場合、ビットストリーム解析部23で解析された基本圧縮ストリームは、基本信号復号部24で復号される。一方、高域信号復元部25では、高域信号情報パラメータに基づいて、高域信号が復元される。
【0088】
次に、基本信号と高域信号は、帯域拡張部26で合成され時間領域信号に変換され、伝送クロックに基づいて取得されたサンプリング周波数の2倍のサンプリング周波数の信号として、D/A変換器27に出力される。D/A変換器27では、すでに2倍のサンプリング周波数に設定されているため、そのままデジタル信号をアナログ信号に変換し、高域周波数成分まで含まれている信号として出力され、従来より早く高音質な再生を開始することが可能となる(S27)。
【0089】
以上のように、IEC61937上のバーストプリアンブルのPcの中に、高域情報パラメータの存在を示す値を設定することにより、受信機側で速やかに高域情報の有無を判断でき、高域周波数まで含まれている信号を再生することが可能となる。
【0090】
(実施の形態2)
次に本発明に係る音楽データ受信機器の他の構成について説明する。
【0091】
図15は、本発明の実施の形態2に係る他の音楽データ受信機器の機能構成を示すブロック図である。
【0092】
ところで、実施の形態1に係る音楽データ受信機器20では、音楽データが第1のモード、つまりMPEG−2 AACである場合、帯域拡張していないが、この音楽データ受信機器50では、MPEG−2 AACの基本音声データから高域情報を生成する高域信号生成部51を備えるように構成される点が、実施の形態1と異なっている。
【0093】
この音楽データ受信機器50の圧縮音楽情報解析部52で、入力される圧縮音楽データを解析するが、高域情報パラメータが存在しない場合は、高域信号生成部51により、基本信号復号部24で復号された信号を元に、より高域の周波数成分を予測して自動的に高域信号を生成する。また、同時に出力制御部58には、サンプリング周波数fsの2倍の周波数を設定するような情報を送る。この場合、高域信号復元部25では、特に処理は行わない。
【0094】
帯域拡張部56では、基本信号復号部24からの信号と、高域信号生成部51からの信号とを合成し、伝送クロックから得られたサンプリング周波数の2倍のサンプリング周波数信号を出力する。
【0095】
以上のように、高域情報パラメータがない場合でも、基本信号復号部24で復号された信号より高域成分を予測することにより、元のビットストリーム信号に記録されている信号成分よりも広帯域の信号を再生することが可能である。
【0096】
なお、基本音楽データの周波数帯域は10kHz以下とは限られない。この場合、20kHz以上に帯域拡大され、人には直接聞こえないけれども、より自然界にある状態と同様な帯域に近づくことで高品質な再生が可能となる。
【0097】
なお、実施の形態1,2では、高域情報パラメータの有無により、D/A変換機に設定するサンプリング周波数を2倍の周波数にしているが、4倍もしくは任意のサンプリング周波数に設定してもよい。
【0098】
また、本発明は、例として説明したIEC61937,IEC60958規格だけでなく、将来のオーディオビデオデータ伝送規格である、IEEE1394やHDMI(High Definition Multimedia Interface)等でIEC61937コンフォーマントで使用する場合にも応用可能である。
【0099】
また、実施の形態1,2では、MPEG2 AACについて中心に述べたが、MPEG4 AACなどの他のコーデックでも、同様な方式で伝送、処理することが可能である。
【0100】
さらに、実施の形態1,2では、伝送クロックに基づいてサンプリング周波数を取得したが、ビットストリーム解析部23が解析したストリームヘッダに含まれるサンプリング周波数を圧縮音楽情報解析部22に通知してもよい。この場合においても、従来より高速に再生を開始することができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
圧縮マルチチャンネル音声を出力するDVDプレーヤや、セットトップボックス等の音楽データ送信機器と、デコードして再生するAVアンプ等の音楽データ受信機器とを光伝送路等の伝送路を介して接続する伝送システムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は、データ伝送を行なう場合の従来の機器接続例を示す図である。
【図2A】図2Aは、図1に示される音楽データ送信機器910から伝送されるデータバースト80のフォーマット構成を示す図である。
【図2B】図2Bは、バーストプリアンブル81のフォーマット構成を示す図である。
【図2C】図2Cは、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AACのビットストリーム構造を示す図である。
【図2D】図2Dは、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AAC SBRのビットストリーム構造を示す図である。
【図3】図3は、バースト情報の構成例を示す図である。
【図4】図4は、バースト情報のビット8−12についての構成例を示す図である。
【図5】図5は、従来の音楽データ受信機器の構成図である。
【図6】図6は、音楽データ受信機器920において行われる圧縮音楽データ再生処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本発明に用いられる民生用デジタルオーディオ機器の接続例を示す図である。
【図8】図8は、音楽データ送信機器10の機能構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、IEC61937の伝送フォーマットを作成する際にフォーマッタ12が実行するPc決定処理の動作を示すフローチャートである。
【図10A】図10Aは、音楽データ送信機器10からIEC61937でMPEG2AACを伝送する場合のデータバースト40のフォーマット構成を示す図である。
【図10B】図10Bは、バーストプリアンブル41のフォーマット構成を示す図である。
【図10C】図10Cは、バーストペイロード42に格納されるMPEG2 AACのビットストリーム構造を示す図である。
【図10D】図10Dは、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AAC SBRのビットストリーム構造を示す図である。
【図11】図11は、MPEG2AAC Low sampling frequency のバーストプリアンブル41のPc(bit0−15)に行う設定例を示す図である。
【図12】図12は、MPEG2 AAC Low sampling frequencyのバーストプリアンブルPc(bit8−12)の構成例を示す図である。
【図13】図13は、音楽データ受信機器20の機能構成を示すブロック図である。
【図14】図14は、圧縮音楽データ再生処理の動作を示すフローチャートである。
【図15】図15は、本発明の実施の形態2に係る他の音楽データ受信機器の機能構成を示すブロック図である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル機器間で、音楽情報とその圧縮音楽データをデジタル伝送するための受信機器、送信機器および伝送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の音楽情報や音楽データをシリアルデジタル伝送する方法として、IEC60958や、IEC61937等の国際規格がある。
【0003】
IEC60958は、2chのリニアPCMデータを伝送する際に用いられている方式で、CDやDVDからのデジタルデータ伝送に広く用いられている。また、IEC61937は、MPEG等の圧縮音楽データのようにリニアPCMでないデータの通信の際に用いられる方式であり、近年ではDVDの圧縮マルチチャンネル音声を出力し、外部のデコーダアンプに接続しデコードして再生する場合に用いられている。上記した従来の音楽情報および音楽データ伝送方法では、伝送された圧縮音楽データを簡単に伝送し、再生可能にすることを目的としている。
【0004】
近年、MPEGでは、128kbpsステレオ程度の低いビットレートでも、高音質な再生を可能にするISO13818−7 MPEG2 AACを国際標準規格として標準化している。その一方、MPEG2 AACでも、さらに低いビットレート48kbpsステレオになると、10kHz程度以上の高い周波数の音に対する人間の感度が、低い周波数の音に対する感度より低くなり高域成分への情報配分を減らすため、結果的に狭帯域な再生音になる。48kbpsステレオ程度のビットレートの情報量で符号化を行うと、音質を維持して量子化し符号化できる帯域は、高々10kHz程度に減少する。そこで、MPEGでは、このような狭帯域な再生音を与える符号化列に、少しの情報量付加によって、高い帯域の再生を可能とする方法が提案されている。低いビットレートでも、高周波数帯域の情報をビットストリームデータ内の領域に持ち、基本部分は、低いサンプリング周波数で圧縮されていても、復号側で、前記高域周波数情報を用いて高い周波数帯域部分を復元し、高周波数帯域まで再生可能な方式がAAC SBR(Spectral Band Replication)として規格化されつつある(ISO13818−7:2003/AMD1)。
【0005】
図1は、データ伝送を行なう場合の機器接続例を示す図である。
音楽データ伝送システム900は、音楽データを所定のインターフェース(例えば、IEC61937)で伝送する音楽データ送信機器910と、音楽データを受信する音楽データ受信機器920と、これらを接続する伝送路930とから構成される。
【0006】
図2Aは、音楽データ送信機器910から伝送されるデータバースト80のフォーマット構成を示す図である。
【0007】
図2Aに示されるように、各データバースト80は、バーストプリアンブル81と、このバーストプリアンブル81に追随するバーストペイロード82とから構成される。
【0008】
図2Bは、バーストプリアンブル81のフォーマット構成を示す図である。
バーストプリアンブル81は、同期語のフィールドを表すPa811,Pb812と、データの種類および受信機のための情報(バースト情報)を提供するフィールドを表すPc813と、バーストペイロードの長さを提供するフィールドを表すPd814とから構成される。
【0009】
図3は、バースト情報の構成例を示す図である。
Pc813のビット0−4については、その値が7である場合、MPEG−2 AACであることを意味し、その値が0−6および8−31である場合、IEC61937で定義された内容に従うことを意味する。また、ビット5−15についても、IEC61937で定義された内容に従うことを意味する。
【0010】
図4は、バースト情報のビット8−12についての構成例を示す図である。
Pc813のビット8−12については、その値が0である場合、適用なしを意味し、その値が1である場合、LC(Low Complexity)プロファイルであることを意味し、その値が2又は3である場合、将来のプロファイル予約されていることを意味し、その値が4−31である場合、予約されていることを意味する。
【0011】
つまり、従来のバースト情報では、MPEG−2 AACとMPEG−2 AAC SBRとの峻別がなされていない。
【0012】
図2Cは、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AACのビットストリーム構造を示す図である。
【0013】
図2Cに示されるように、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AACのビットストリームは、ストリームヘッダ821と、圧縮音楽データの基本圧縮ストリーム822とから構成される。
【0014】
図2Dは、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AAC SBRのビットストリーム構造を示す図である。
【0015】
図2Dに示されるように、MPEG2 AAC SBRのビットストリームは、ストリームヘッダ821と、基本圧縮ストリーム822との他、さらに高域情報パラメータ823とから構成される。高域情報パラメータ823は、基本圧縮ストリーム822の最後の部分の一部(例えば、フィルエレメント)を用いて記録されている。
【0016】
音楽データ受信機器920では、このビットストリームを解析し、高域情報パラメータを用いて高周波数帯域を復元するが、音楽データ受信機器920が通常のAAC復号処理のみに対応し、SBR処理に対応していなくても、基本圧縮ストリーム822のみを復号し、高域情報パラメータ823を無視することで、MPEG2 AACと上位互換性が保たれている。
【0017】
しかし、この情報をIEC61937規格で送ろうとした場合、48kbpsステレオのような低いビットレート時には、基本圧縮ストリーム822部分は、128kbpsのように高いビットレートで圧縮される場合に比べ、情報量に限りがあるため、周波数帯域を制限して、圧縮することがほとんどである。原音のサンプリング周波数が48kHzとすると、半分のサンプリング周波数fcにダウンサンプリングして圧縮されており、ストリームヘッダ821には、そのサンプリング周波数fcが記録されている。
【0018】
図5は、従来の音楽データ受信機器の構成図である。
図5に示されるように、音楽データ受信機器920は、圧縮音楽情報解析部922と、ビットストリーム解析部923と、基本信号復号部924と、高域信号復元部925と、帯域拡張部926と、D/A変換器927と、出力制御部928とを備える。
【0019】
圧縮音楽情報解析部922は、伝送路93を介して入力された圧縮音楽データを解析する。
【0020】
ビットストリーム解析部923は、ストリームヘッダの情報を解析する。
基本信号復号部924は、ビットストリームの基本部分を復号する。
【0021】
高域信号復元部925は、高域情報パラメータに基づき高域信号を復元する。
帯域拡張部926は、基本信号と高域信号とを合成し、時間領域信号に変換する。
【0022】
D/A変換器927は、デジタル信号をアナログ信号に変換する。
出力制御部928は、D/A変換器927などにサンプリング周波数やデジタルフィルタの係数等のパラメータを設定する。
【0023】
次いで、音楽データ受信機器920において行われる圧縮音楽データ再生処理について説明する。
【0024】
図6は、音楽データ受信機器920において行われる圧縮音楽データ再生処理の動作を示すフローチャートである。
【0025】
音楽データ受信機器920の圧縮音楽情報解析部922は、IEC61937のデータフォーマットで送信される圧縮音楽データを受信するのを待つ(S91)。圧縮音楽データを受信すると、圧縮音楽情報解析部922は、バーストプリアンブル81の情報(Pc)を解析し、圧縮音楽データの種類を判断する(S92)。ここでは、MPEG2AAC Lowsampling frequencyと判断される場合、つまり、Pcのビット0−4の値=7でビット8−12の値=1の場合について説明する。次に、ビットストリーム解析部923は、ストリームヘッダ821の情報を解析する(S93)。ビットストリーム解析部923は、ストリームヘッダ821に記録されているサンプリング周波数を、出力制御部928に通知する。出力制御部928は、D/A変換器927等に、検出したサンプリング周波数に対応したマスタークロックや、デジタルフィルタの係数を設定する(S94)。次に、基本信号復号部924は、基本圧縮ストリーム822の読み取りを開始する(S95)。そして、基本信号復号部924は、高域情報パラメータが有るか否か判断する(S96)。この判断は、基本信号復号部924が、基本圧縮ストリーム822の最後の部分まで読んで、高域情報パラメータ823の存在を確認して初めて行える。具体的には、フィルエレメントの先頭付近に高域情報パラメータが格納されていることを示す所定の識別子が設定されていることを確認し、CRCチェックにより所定の識別子に間違いないことを確認して、判断がされる。
【0026】
高域情報パラメータ823が存在する場合は、基本信号復号部924から、再度、出力制御部928にストリームヘッダ821に記録されているサンプリング周波数の倍のサンプリング周波数に設定した後、実際の再生を開始する。
【0027】
AAC−SBR方式は、従来のMPEG2 AACとまったく同じビットストリームのデータ構造であることが特徴であり、従来のMPEG2 AACと互換性が保たれる反面、ストリームヘッダ821上では、高域情報パラメータ823が入っていることを示すフラグは存在しない。また、高域情報パラメータは、基本圧縮ストリームの最後の部分に記録されている。
【0028】
したがって、音楽データ受信機器920では、音楽圧縮データの中身を最後まで解析して初めて、高域情報パラメータ823の存在がわかることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
このように、基本圧縮ストリーム822や、高域情報パラメータ823、つまりバーストストリーム80の最後まで読んでから、サンプリング周波数を出力するためのパラメータをD/A変換器927などに設定することになり、設定に時間がかかるという課題がある。
【0030】
そこで、本発明は、圧縮音楽データ伝送において、伝送される音楽データに応じた高域情報の有無判断を即座に行うことを可能にする圧縮音楽データの受信機器、送信機器および伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上記目的を達成するために、本発明に係る送信機器においては、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力手段と、前記圧縮音楽データ出力手段が出力した圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、音楽情報と圧縮音楽データとの順序で伝送するフォーマッタとを備えることを特徴とする。
【0032】
これにより、受信機器において、圧縮音楽データを解析する前に、音楽情報に含まれるモードを示す値から高域情報の有無を知ることができる。つまり、データバーストの最後までみなくても、データバーストの先頭、ヘッダから高域情報の有無を知ることができる。したがって、圧縮音楽データを解析することなしに、高域情報の有無に基づいて、サンプリング周波数に対する倍率等を直ちに決定でき、圧縮音楽データを復号することで音楽再生を即座に行うことができる。
【0033】
また、本発明に係る送信機器においては、前記音楽情報は、j(j>2)ビットで表され、前記フォーマッタは、前記jビット中のk(j>k>2)ビットに、前記第2モードを示す所定の値を設定することを特徴とする。
【0034】
これにより、従来との互換性を保ちつつ、第2モード、すなわち高域情報有りを示すことができる。
【0035】
また、本発明に係る送信機器においては、前記フォーマッタは、前記kビットと異なる前記jビット中のm(j>m>2)ビットに、前記kビットに設定された前記所定の値が有効であることを示す所定の値を設定することを特徴とする。
【0036】
これにより、従来との互換性を保ちつつ、わずかなビット数で、第2モード、すなわち高域情報有りを示したり、他の情報を示したりすることができる。
【0037】
また、本発明に係る送信機器においては、前記フォーマッタは、前記音楽情報と、前記圧縮音楽データとを、前記基本音楽データのサンプリング周波数に対応する伝送クロックで伝送することを特徴とする。
【0038】
これにより、受信機器において、伝送クロックに基づいて圧縮音楽データを解析することなしに、サンプリング周波数を取得することができ、音楽を再生するまでの時間を非常に短縮することができる。
【0039】
また、本発明に係る受信機器においては、圧縮された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データに関する音楽情報とを、音楽情報と圧縮音楽データとの順序で受信する受信機器であって、前記圧縮音楽データは、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで作成され、前記音楽情報は、前記圧縮音楽データのモードを示す値を含み、前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析手段を備えることを特徴とする。
【0040】
これにより、音楽データを受信する前に、音楽情報に含まれるモードを示す値から高域情報の有無を知ることができる。したがって、圧縮音楽データを解析する前に、高域情報の有無に基づいて、サンプリング周波数に対する倍率等を直ちに決定でき、圧縮音楽データを復号すると音楽再生を即座に行うことができる。
【0041】
また、本発明に係る受信機器においては、前記圧縮音楽データ解析手段は、前記音楽情報と、前記圧縮音楽データとを、前記基本音楽データのサンプリング周波数に対応する伝送クロックで受信し、受信した伝送クロックに基づいてサンプリング周波数を取得し、前記受信機器は、さらに前記圧縮音楽データに基づく信号をD/A変換するD/A変換器と、前記圧縮音楽データ解析手段から通知されたサンプリング周波数と、前記圧縮音楽データのモードとに基づいて、所定の倍率のサンプリング周波数をD/A変換器に予め設定する出力制御手段とを備えることを特徴とする。
【0042】
これにより、音楽データを解析する前に、音楽再生の準備を整えることができる。
また、本発明に係る受信機器においては、前記受信機器は、さらに前記基本音楽データを復号する基本信号復号手段と、前記第2モードの場合に、前記高域情報に基づいて高域信号を復元する高域信号復元手段と、前記第1モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号を出力し、前記第2モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号と高域信号復元手段により復元された信号とを合成して出力する帯域拡張手段とを備え、前記D/A変換器は、前記帯域拡張手段が出力する信号を予め設定された所定のサンプリング周波数でD/A変換することを特徴とする。
【0043】
これにより、第1モードの場合に、基本音楽データに応じた帯域で音楽再生を行うことができ、第2モードの場合に帯域拡張された高品質な音楽再生を行うことができる。
【0044】
また、本発明に係る受信機器においては、前記受信機器は、さらに前記基本音楽データに基づいて、高域信号を生成する高域信号生成手段を備え、前記出力制御手段は、前記第1モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号と前記高域信号生成手段により生成された高域信号とを合成して出力するように前記帯域拡張手段を制御するとともに、D/A変換器の動作を制御することを特徴とする。
【0045】
これにより、第1モードの場合においても、第2モードの場合と同様に帯域拡張された高品質な音楽再生を行うことができる。
【0046】
なお、本発明は、このような送信機器や、受信機器として実現することができるだけでなく、このような送信機器と受信機器とを伝送路を介して接続した伝送システムとして構成したり、送信機器や受信機器が備える特徴的な手段をステップとする受信方法や、送信方法、伝送方法として実現したり、それらのステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体やインターネット等の伝送媒体を介して配信することができるのは言うまでもない。
【0047】
<本願発明の背景技術に関する詳細な情報>
2003年6月17日に出願の日本国特許出願番号2003−171729が、ここに引用として組み入れられる。
【発明の効果】
【0048】
以上のように本発明によれば、IEC61937を用いて圧縮音楽データを伝送する場合、前記圧縮音楽データ出力手段が出力した圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、音楽情報と、圧縮音楽データとの順序で、かつ圧縮された基本音楽データのサンプリング周波数に対応する伝送クロックで伝送するので、伝送クロックの解析から基本音楽データのサンプリング周波数が取得され、圧縮音楽データのモードを示す値を解析することにより高域情報の有無がわかる。
【0049】
よって、本発明により、従来のように圧縮音楽データの最後まで全てを読み込んで解析を行う必要が無くなり、サンプリング周波数や、このサンプリング周波数に対する倍率等を直ちに決定でき、音楽再生を即座に行うことができ、データ伝送により音楽を再生するシステムが普及してきた今日における本願発明の実用的価値は極めて高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
(実施の形態1)
以下本発明の実施の形態としてIEC60958およびIEC61937の伝送規格を例にとった場合の音楽データ伝送システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、IEC60958およびIEC61937の伝送規格についての詳細は、Interface for non−linear PCM encoded audio bitstreams applying IEC61937等を参照されたい。
【0051】
図7は、本発明に用いられる民生用デジタルオーディオ機器の接続例を示す図である。
音楽データ伝送システム1は、音楽データ送信機器10と、音楽データ受信機器20と、これらを接続する伝送路30とから構成される。
【0052】
音楽データ送信機器10として、DVDプレーヤや、セットトップボックス等があげられる。
【0053】
また、音楽データ受信機器20としてAVアンプ等があげられる。
伝送路30として、光伝送路等があげられる。
【0054】
図8は、音楽データ送信機器10の機能構成を示すブロック図である。
音楽データ送信機器10は、圧縮音楽データ出力部11と、フォーマッタ12とを備える。
【0055】
圧縮音楽データ出力部11は、受信したリニアなPCM音楽データから非リニアな圧縮音楽データを作成し、作成した圧縮データを出力したり、受信した非リニアな圧縮音楽データをそのまま出力したりする。
【0056】
フォーマッタ12は、圧縮音楽データがMPEG−2 AACや、MPEG−2 AAC SBRの場合、IEC61937の伝送フォーマットを作成する。
【0057】
図9は、IEC61937の伝送フォーマットを作成する際にフォーマッタ12が実行するPcに設定する値を決定する処理の動作を示すフローチャートである。
【0058】
フォーマッタ12は、ユーザからの圧縮音楽データの送信指示がくるのを待つ(S11)。圧縮音楽データの送信指示が有ると(S11でYes)、フォーマッタ12は、圧縮音楽データの種別を判定する(S12)。この判定は、圧縮音楽データ出力部11からの圧縮音楽データの種別の通知等により行われる。
【0059】
判定の結果、圧縮音楽データの種別がMPEG−2 AACである場合、ビット0−4の値を7に決定し(S13)、Pc決定処理を終了する。これに対して判定の結果、圧縮音楽データの種別がMPEG−2 AAC Low Sampling Frequencyである場合、ビット0−4の値を「19」を設定し、ビット5,6にハーフレートかクオーターレートかを判断し、ハーフレートであれば、0をクオーターレートであれば1を設定する。さらにSBRであるかどうかを判断し、SBRでない場合は、ビット8−12の値を0にそれぞれ決定し(S14)、SBRである場合は、ビット8−12の値を4にそれぞれ決定し(S15)、Pc決定処理を終了する。
【0060】
これにより、音楽データ受信機器20はPcの値を解析するだけでバーストペイロード42に高域情報パラメータ423が含まれているか否かを素早く知ることができる。
【0061】
Pc決定処理が終わると、フォーマッタ12は、バーストペイロード42に圧縮音楽データを格納し、バーストプリアンブル41のPa〜Pdに所定の値をセットし、伝送路30を介してバーストストリームを出力する。
【0062】
図10Aは、音楽データ送信機器10からIEC61937でMPEG2AACを伝送する場合のデータバースト40のフォーマット構成を示す図である。
【0063】
図10Aに示されるように、各データバースト40は、同期情報や、伝送音楽データの情報を示す、バーストプリアンブル41と、図10C、図10Dに示すMPEG2 AACのビットストリームが格納されるバーストペイロード42とから構成される。
【0064】
図10Bは、バーストプリアンブル41のフォーマット構成を示す図である。
バーストプリアンブル41は、同期語のフィールドを表すPa411,Pb412と、データの種類および受信機のための情報(バースト情報)を提供するフィールドを表すPc413と、バーストペイロードの長さを提供するフィールドを表すPd414とから構成される。
【0065】
Pc413は、16bitで構成され、MPEG−2 AACの場合の伝送では、data−typeを表すbit0−4に「7」を設定するのに対し、例えば、MPEG2 AAC SBR 1/2 Low sampling frequencyの場合の伝送では、従来と異なり、data−typeを表すbit0−4に「19」を、bit5、6に「0」を、データの詳細内容を表すbit8−12に「4」を設定する。
【0066】
図11に、MPEG2AAC Low sampling frequency のバーストプリアンブル41のPc(bit0−15)に行う設定例を示す。
【0067】
図11に示されるように、Pc813のビット0−4については、その値が0−6および8−18である場合、IEC61937に定義された内容に従うことを意味し、その値が7である場合、MPEG−2 AACであることを意味し、その値が19である場合、MPEG−2 AAC Low sampling frequencyであることを意味し、その値が20−31である場合、IEC61937に従うことを意味する。
【0068】
また、ビット0−4が19のMPEG−2 AAC Low sampling frequencyの場合において、ビット5,6については、その値が0である場合、MPEG−2 AAC 1/2 Low sampling frequencyであることを意味し、その値が1である場合、MPEG−2 AAC 1/4 Low sampling frequencyであることを意味し、その値が2および3である場合、予約されていることを意味する。また、ビット7−15については、IEC61937に従うことを意味する。
【0069】
図12は、MPEG2 AAC Low sampling frequencyのバーストプリアンブルPc(bit8−12)の構成例を示す図である。
【0070】
Pcのビット8−12については、その値が0である場合、適用なしを意味し、その値が1である場合、LCプロファイル(低演算量プロファイル)であることを意味し、その値が2およびである場合、将来に予約されていることを意味し、その値が4である場合、低演算量プロファイルで、かつSBRが含まれていることを意味し、5−31である場合、予約されていることを意味する。
【0071】
つまり、本発明に係るバースト情報では、MPEG−2 AACとMPEG−2 AAC SBRとの峻別がなされており、ビット8−12に値4を設定することで、MPEG−2 AAC SBRであることを意味し、それ以外の値を設定することで、MPEG−2 AACであることを意味することができる。また、ビット0−4に値19を設定することで、ビット8−12の値4が有効であることを示すことができ、しかも、ビット5,6に値0を設定することで、ハーフサンプリングであることがわかる。また、ビット5,6に値1を設定することで、クォータサンプリングであることがわかる。なお、ここでは、ビット0−4に値19を設定することで、ビット8−12の値4が有効であるとしたが、他の値、例えばMPEG4 AACやMPEG1、2 Layer3などの他のデータタイプの場合でもビット8−12の値4が有効であるとしてもよい。
【0072】
図10Cは、バーストペイロード42に格納されるMPEG2 AACのビットストリーム構造を示す図である。
【0073】
図10Cに示されるように、従来と同様、バーストペイロード42に格納されるMPEG2 AACのビットストリームは、ストリームヘッダ421と、圧縮音楽データの基本圧縮ストリーム422とから構成される。
【0074】
図10Dは、バーストペイロード42に格納されるMPEG2 AAC SBRのビットストリーム構造を示す図である。
【0075】
図10Dに示されるように、従来と同様、MPEG2 AAC SBRのビットストリームは、ストリームヘッダ421と、基本圧縮ストリーム422との他、さらに高域情報パラメータ423とから構成される。
【0076】
次いで、図7に示される音楽データ受信機器20の構成を説明する。
図13は、音楽データ受信機器20の機能構成を示すブロック図である。
【0077】
音楽データ受信機器20は、圧縮音楽情報解析部22と、ビットストリーム解析部23と、基本信号復号部24と、高域信号復元部25と、帯域拡張部26と、D/A変換器27と、出力制御部28とを備える。
【0078】
圧縮音楽情報解析部22は、伝送路30を介して入力された伝送クロックおよび圧縮音楽データを解析する。つまり、圧縮音楽情報解析部22は、伝送クロックに基づいて基本音楽データのサンプリング周波数fsを取得するとともに、圧縮音楽データのモードを示す値、すなわち高域情報を含むか否かを解析する。
【0079】
ビットストリーム解析部23は、ストリームヘッダの情報を解析する。
基本信号復号部24は、ビットストリームの基本部分を復号する。
【0080】
高域信号復元部25は、高域情報パラメータに基づき高域信号を復元する。
帯域拡張部26は、基本信号と高域信号とを合成し、時間領域信号に変換する。
【0081】
D/A変換器27は、デジタル信号をアナログ信号に変換する。
出力制御部28は、D/A変換器927などにサンプリング周波数やデジタルフィルタの係数等のパラメータを設定する。
【0082】
次いで、圧縮音楽データ再生処理の動作を説明する。
図14は、圧縮音楽データ再生処理の動作を示すフローチャートである。
【0083】
音楽データ受信機器20の圧縮音楽情報解析部22は、圧縮音楽データを受信するのを待つ(S21)。圧縮音楽データを受信すると(S21でYes)、圧縮音楽情報解析部22は、まず伝送クロックを解析し、伝送クロックに基づいて伝送クロックに対応するサンプリング周波数fsを取得する(S22)。サンプリング周波数fsを取得すると、圧縮音楽情報解析部22は、IEC61937のバーストプリアンブルPc内に記録されているオーディオデータの情報を読み、Pcの値から圧縮音楽データの種別を解析する(S23)。通常、Pcのbit0−4には、圧縮音楽データの種類が、bit5、6には、属性情報が、bit7にはエラーを示すフラグが、bit8−12には、その圧縮音楽データの独自情報が、それぞれ記録されている。
【0084】
仮に、ビット0−4の値が「19」、つまりdata−typeがMPEG2 AAC Low sampling frequencyであるとすると、次にbit5、6を読み、その値が「0」に設定されている場合、ハーフサンプリングで、バーストプリアンブルの繰り返し周期が2048であることがわかり、次に、bit8−12を読み、MPEG2AAC low sampling frequencyのプロファイルやその圧縮オーディオデータに高域情報パラメータが含まれているかどうか、つまり4であるか否かを判断する。このような高域情報の有無の解析に基づいて、圧縮音楽情報解析部22は、このサンプリング周波数fsと、ステップS22の判断により得られた解析結果、すなわち高域情報パラメータの有無の結果を出力制御部28に送る。つまり、MPEG−2 AAC SBR 1/2 Low sampling frequencyの場合には、ローサンプリングを示すビット0−4の値19と、ビット5,6の値0と、高域情報有りを示すビット8−12の値4とを送る。
【0085】
高域情報パラメータが存在しない場合、例えば通常のMPEG−2 AAC等の場合には、出力制御部28は、受信したIEC61937のクロックに対応するサンプリング周波数または、基本圧縮ストリーム内のヘッダーに記録されているサンプリング周波数に設定する(S24)。高域情報パラメータが存在しない場合、ビットストリーム解析部23で解析された基本圧縮ストリームは、基本信号復号部24で復号される。D/A変換器27では、すでにサンプリング周波数fsに設定されているため、そのままデジタル信号をアナログ信号に変換し、従来より早いタイミングで再生が開始される(S25)。
【0086】
つまり、高域情報パラメータが含まれていない場合、出力制御部28では、ストリームヘッダ421に記録されているサンプリング周波数と同じサンプリング周波数をD/A変換器27に設定する。基本信号復号部24では、基本圧縮ストリーム422を復号する。なお、高域信号復元部25では、高域情報が存在しないため、特に処理は行わない。また、帯域拡張部26でも、基本信号復号部24からの信号だけを使い、特に帯域拡張処理は行わず、そのまま時間領域の信号に変換する。帯域拡張部26からの信号はD/A変換器27に出力され、基本信号復号部24で処理された帯域成分を持った信号が出力されることになる。
【0087】
一方、高域情報パラメータが存在する場合は、出力制御部28は、伝送クロックに基づいて取得されたサンプリング周波数fsの2倍の周波数に設定する(S26)。なお、設定されたサンプリング周波数を音楽データ受信機器20のディスプレイ部で表示してもよい。高域情報パラメータが存在する場合、ビットストリーム解析部23で解析された基本圧縮ストリームは、基本信号復号部24で復号される。一方、高域信号復元部25では、高域信号情報パラメータに基づいて、高域信号が復元される。
【0088】
次に、基本信号と高域信号は、帯域拡張部26で合成され時間領域信号に変換され、伝送クロックに基づいて取得されたサンプリング周波数の2倍のサンプリング周波数の信号として、D/A変換器27に出力される。D/A変換器27では、すでに2倍のサンプリング周波数に設定されているため、そのままデジタル信号をアナログ信号に変換し、高域周波数成分まで含まれている信号として出力され、従来より早く高音質な再生を開始することが可能となる(S27)。
【0089】
以上のように、IEC61937上のバーストプリアンブルのPcの中に、高域情報パラメータの存在を示す値を設定することにより、受信機側で速やかに高域情報の有無を判断でき、高域周波数まで含まれている信号を再生することが可能となる。
【0090】
(実施の形態2)
次に本発明に係る音楽データ受信機器の他の構成について説明する。
【0091】
図15は、本発明の実施の形態2に係る他の音楽データ受信機器の機能構成を示すブロック図である。
【0092】
ところで、実施の形態1に係る音楽データ受信機器20では、音楽データが第1のモード、つまりMPEG−2 AACである場合、帯域拡張していないが、この音楽データ受信機器50では、MPEG−2 AACの基本音声データから高域情報を生成する高域信号生成部51を備えるように構成される点が、実施の形態1と異なっている。
【0093】
この音楽データ受信機器50の圧縮音楽情報解析部52で、入力される圧縮音楽データを解析するが、高域情報パラメータが存在しない場合は、高域信号生成部51により、基本信号復号部24で復号された信号を元に、より高域の周波数成分を予測して自動的に高域信号を生成する。また、同時に出力制御部58には、サンプリング周波数fsの2倍の周波数を設定するような情報を送る。この場合、高域信号復元部25では、特に処理は行わない。
【0094】
帯域拡張部56では、基本信号復号部24からの信号と、高域信号生成部51からの信号とを合成し、伝送クロックから得られたサンプリング周波数の2倍のサンプリング周波数信号を出力する。
【0095】
以上のように、高域情報パラメータがない場合でも、基本信号復号部24で復号された信号より高域成分を予測することにより、元のビットストリーム信号に記録されている信号成分よりも広帯域の信号を再生することが可能である。
【0096】
なお、基本音楽データの周波数帯域は10kHz以下とは限られない。この場合、20kHz以上に帯域拡大され、人には直接聞こえないけれども、より自然界にある状態と同様な帯域に近づくことで高品質な再生が可能となる。
【0097】
なお、実施の形態1,2では、高域情報パラメータの有無により、D/A変換機に設定するサンプリング周波数を2倍の周波数にしているが、4倍もしくは任意のサンプリング周波数に設定してもよい。
【0098】
また、本発明は、例として説明したIEC61937,IEC60958規格だけでなく、将来のオーディオビデオデータ伝送規格である、IEEE1394やHDMI(High Definition Multimedia Interface)等でIEC61937コンフォーマントで使用する場合にも応用可能である。
【0099】
また、実施の形態1,2では、MPEG2 AACについて中心に述べたが、MPEG4 AACなどの他のコーデックでも、同様な方式で伝送、処理することが可能である。
【0100】
さらに、実施の形態1,2では、伝送クロックに基づいてサンプリング周波数を取得したが、ビットストリーム解析部23が解析したストリームヘッダに含まれるサンプリング周波数を圧縮音楽情報解析部22に通知してもよい。この場合においても、従来より高速に再生を開始することができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
圧縮マルチチャンネル音声を出力するDVDプレーヤや、セットトップボックス等の音楽データ送信機器と、デコードして再生するAVアンプ等の音楽データ受信機器とを光伝送路等の伝送路を介して接続する伝送システムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は、データ伝送を行なう場合の従来の機器接続例を示す図である。
【図2A】図2Aは、図1に示される音楽データ送信機器910から伝送されるデータバースト80のフォーマット構成を示す図である。
【図2B】図2Bは、バーストプリアンブル81のフォーマット構成を示す図である。
【図2C】図2Cは、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AACのビットストリーム構造を示す図である。
【図2D】図2Dは、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AAC SBRのビットストリーム構造を示す図である。
【図3】図3は、バースト情報の構成例を示す図である。
【図4】図4は、バースト情報のビット8−12についての構成例を示す図である。
【図5】図5は、従来の音楽データ受信機器の構成図である。
【図6】図6は、音楽データ受信機器920において行われる圧縮音楽データ再生処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本発明に用いられる民生用デジタルオーディオ機器の接続例を示す図である。
【図8】図8は、音楽データ送信機器10の機能構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、IEC61937の伝送フォーマットを作成する際にフォーマッタ12が実行するPc決定処理の動作を示すフローチャートである。
【図10A】図10Aは、音楽データ送信機器10からIEC61937でMPEG2AACを伝送する場合のデータバースト40のフォーマット構成を示す図である。
【図10B】図10Bは、バーストプリアンブル41のフォーマット構成を示す図である。
【図10C】図10Cは、バーストペイロード42に格納されるMPEG2 AACのビットストリーム構造を示す図である。
【図10D】図10Dは、バーストペイロード82に格納されるMPEG2 AAC SBRのビットストリーム構造を示す図である。
【図11】図11は、MPEG2AAC Low sampling frequency のバーストプリアンブル41のPc(bit0−15)に行う設定例を示す図である。
【図12】図12は、MPEG2 AAC Low sampling frequencyのバーストプリアンブルPc(bit8−12)の構成例を示す図である。
【図13】図13は、音楽データ受信機器20の機能構成を示すブロック図である。
【図14】図14は、圧縮音楽データ再生処理の動作を示すフローチャートである。
【図15】図15は、本発明の実施の形態2に係る他の音楽データ受信機器の機能構成を示すブロック図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力手段と、
前記圧縮音楽データ出力手段が出力した圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、圧縮音楽データと音楽情報との順序で伝送するフォーマッタとを備えることを特徴とする送信機器。
【請求項2】
前記音楽情報は、j(j>2)ビットで表され、
前記フォーマッタは、前記jビット中のk(j>k>2)ビットに、前記第2モードを示す所定の値を設定する
ことを特徴とする請求項1記載の送信機器。
【請求項3】
前記フォーマッタは、前記kビットと異なる前記jビット中のm(j>m>2)ビットに、前記kビットに設定された前記所定の値が有効であることを示す所定の値を設定する
ことを特徴とする請求項2記載の送信機器。
【請求項4】
前記フォーマッタは、前記音楽情報と、前記圧縮音楽データとを、前記基本音楽データのサンプリング周波数に対応する伝送クロックで伝送する
ことを特徴とする請求項1記載の送信機器。
【請求項5】
圧縮された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データに関する音楽情報とを、圧縮音楽データと音楽情報との順序で受信する受信機器であって、
前記圧縮音楽データは、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで作成され、
前記音楽情報は、前記圧縮音楽データのモードを示す値を含み、
前記受信機器は、前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析手段
を備えることを特徴とする受信機器。
【請求項6】
前記圧縮音楽データ解析手段は、前記音楽情報と、前記圧縮音楽データとを、前記基本音楽データのサンプリング周波数に対応する伝送クロックで受信し、受信した伝送クロックに基づいてサンプリング周波数を取得し、
前記受信機器は、さらに
前記圧縮音楽データに基づく信号をD/A変換するD/A変換器と、
前記圧縮音楽データ解析手段から通知されたサンプリング周波数と、前記圧縮音楽データのモードとに基づいて、所定の倍率のサンプリング周波数をD/A変換器に予め設定する出力制御手段と
を備えることを特徴とする請求項5記載の受信機器。
【請求項7】
前記受信機器は、さらに
前記基本音楽データを復号する基本信号復号手段と、
前記第2モードの場合に、前記高域情報に基づいて高域信号を復元する高域信号復元手段と、
前記第1モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号を出力し、前記第2モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号と高域信号復元手段により復元された信号とを合成して出力する帯域拡張手段とを備え、
前記D/A変換器は、前記帯域拡張手段が出力する信号を予め設定された所定のサンプリング周波数でD/A変換する
ことを特徴とする請求項6記載の受信機器。
【請求項8】
前記受信機器は、さらに
前記基本音楽データに基づいて、高域信号を生成する高域信号生成手段を備え、
前記出力制御手段は、前記第1モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号と前記高域信号生成手段により生成された高域信号とを合成して出力するように前記帯域拡張手段を制御するとともに、D/A変換器の動作を制御する
ことを特徴とする請求項7記載の受信機器。
【請求項9】
伝送路で接続された送信機器と受信機器とからなる圧縮音楽データの伝送システムであって、
前記送信機器は、
圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力手段と、
前記圧縮音楽データ出力手段が出力した圧縮音楽データと、当該音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、圧縮音楽データと音楽情報との順序で伝送するフォーマッタとを備え、
前記受信機器は、
前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析手段を備える
ことを特徴とする伝送システム。
【請求項10】
圧縮された圧縮音楽データを送信する方法であって、
圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力ステップと、
前記圧縮音楽データ出力ステップにより出力された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、圧縮音楽データと音楽情報との順序で伝送するフォーマットステップと
を含むことを特徴とする送信方法。
【請求項11】
圧縮された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データに関する音楽情報とを、圧縮音楽データと音楽情報との順序で受信する受信方法であって、
前記圧縮音楽データは、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで作成され、
前記音楽情報は、前記圧縮音楽データのモードを示す値を含み、
前記受信方法は、
前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析ステップ
を含むことを特徴とする受信方法。
【請求項12】
伝送路で接続された送信機器と受信機器からなるシステムにおける圧縮された圧縮音楽データの伝送方法であって、
前記送信機器において、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力ステップと、
前記送信機器において、前記圧縮音楽データ出力ステップにより出力された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、圧縮音楽データと、音楽情報との順序で伝送するフォーマットステップと、
前記受信機器において、前記伝送クロックおよび前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析ステップと
を含むことを特徴とする伝送方法。
【請求項13】
圧縮された圧縮音楽データを送信する送信機器に用いられるプログラムであって、
圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力ステップと、
前記圧縮音楽データ出力ステップが出力した圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、圧縮音楽データと、音楽情報との順序で伝送するフォーマットステップとを
コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
圧縮された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データに関する音楽情報とを、圧縮音楽データと音楽情報との順序で受信する受信装置に用いられるプログラムであって、
前記圧縮音楽データは、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで作成され、
前記音楽情報は、前記圧縮音楽データのモードを示す値を含み、
前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力手段と、
前記圧縮音楽データ出力手段が出力した圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、音楽情報と圧縮音楽データとの順序で伝送するフォーマッタとを備えることを特徴とする送信機器。
【請求項2】
前記音楽情報は、j(j>2)ビットで表され、
前記フォーマッタは、前記jビット中のk(j>k>2)ビットに、前記第2モードを示す所定の値を設定する
ことを特徴とする請求項1記載の送信機器。
【請求項3】
前記フォーマッタは、前記kビットと異なる前記jビット中のm(j>m>2)ビットに、前記kビットに設定された前記所定の値が有効であることを示す所定の値を設定する
ことを特徴とする請求項2記載の送信機器。
【請求項4】
前記フォーマッタは、前記音楽情報と、前記圧縮音楽データとを、前記基本音楽データのサンプリング周波数に対応する伝送クロックで伝送する
ことを特徴とする請求項1記載の送信機器。
【請求項5】
圧縮された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データに関する音楽情報とを、音楽情報と圧縮音楽データとの順序で受信する受信機器であって、
前記圧縮音楽データは、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで作成され、
前記音楽情報は、前記圧縮音楽データのモードを示す値を含み、
前記受信機器は、前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析手段
を備えることを特徴とする受信機器。
【請求項6】
前記圧縮音楽データ解析手段は、前記音楽情報と、前記圧縮音楽データとを、前記基本音楽データのサンプリング周波数に対応する伝送クロックで受信し、受信した伝送クロックに基づいてサンプリング周波数を取得し、
前記受信機器は、さらに
前記圧縮音楽データに基づく信号をD/A変換するD/A変換器と、
前記圧縮音楽データ解析手段から通知されたサンプリング周波数と、前記圧縮音楽データのモードとに基づいて、所定の倍率のサンプリング周波数をD/A変換器に予め設定する出力制御手段と
を備えることを特徴とする請求項5記載の受信機器。
【請求項7】
前記受信機器は、さらに
前記基本音楽データを復号する基本信号復号手段と、
前記第2モードの場合に、前記高域情報に基づいて高域信号を復元する高域信号復元手段と、
前記第1モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号を出力し、前記第2モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号と高域信号復元手段により復元された信号とを合成して出力する帯域拡張手段とを備え、
前記D/A変換器は、前記帯域拡張手段が出力する信号を予め設定された所定のサンプリング周波数でD/A変換する
ことを特徴とする請求項6記載の受信機器。
【請求項8】
前記受信機器は、さらに
前記基本音楽データに基づいて、高域信号を生成する高域信号生成手段を備え、
前記出力制御手段は、前記第1モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号と前記高域信号生成手段により生成された高域信号とを合成して出力するように前記帯域拡張手段を制御するとともに、D/A変換器の動作を制御する
ことを特徴とする請求項7記載の受信機器。
【請求項9】
伝送路で接続された送信機器と受信機器とからなる圧縮音楽データの伝送システムであって、
前記送信機器は、
圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力手段と、
前記圧縮音楽データ出力手段が出力した圧縮音楽データと、当該音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、音楽情報と圧縮音楽データとの順序で伝送するフォーマッタとを備え、
前記受信機器は、
前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析手段を備える
ことを特徴とする伝送システム。
【請求項10】
圧縮された圧縮音楽データを送信する方法であって、
圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力ステップと、
前記圧縮音楽データ出力ステップにより出力された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、音楽情報と圧縮音楽データとの順序で伝送するフォーマットステップと
を含むことを特徴とする送信方法。
【請求項11】
圧縮された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データに関する音楽情報とを、音楽情報と圧縮音楽データとの順序で受信する受信方法であって、
前記圧縮音楽データは、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで作成され、
前記音楽情報は、前記圧縮音楽データのモードを示す値を含み、
前記受信方法は、
前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析ステップ
を含むことを特徴とする受信方法。
【請求項12】
伝送路で接続された送信機器と受信機器からなるシステムにおける圧縮された圧縮音楽データの伝送方法であって、
前記送信機器において、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力ステップと、
前記送信機器において、前記圧縮音楽データ出力ステップにより出力された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、音楽情報と、圧縮音楽データとの順序で伝送するフォーマットステップと、
前記受信機器において、前記伝送クロックおよび前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析ステップと
を含むことを特徴とする伝送方法。
【請求項13】
圧縮された圧縮音楽データを送信する送信機器に用いられるプログラムであって、
圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力ステップと、
前記圧縮音楽データ出力ステップが出力した圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、音楽情報と、圧縮音楽データとの順序で伝送するフォーマットステップとを
コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
圧縮された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データに関する音楽情報とを、音楽情報と圧縮音楽データとの順序で受信する受信装置に用いられるプログラムであって、
前記圧縮音楽データは、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで作成され、
前記音楽情報は、前記圧縮音楽データのモードを示す値を含み、
前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力手段と、
前記圧縮音楽データ出力手段が出力した圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、圧縮音楽データと音楽情報との順序で伝送するフォーマッタとを備えることを特徴とする送信機器。
【請求項2】
前記音楽情報は、j(j>2)ビットで表され、
前記フォーマッタは、前記jビット中のk(j>k>2)ビットに、前記第2モードを示す所定の値を設定する
ことを特徴とする請求項1記載の送信機器。
【請求項3】
前記フォーマッタは、前記kビットと異なる前記jビット中のm(j>m>2)ビットに、前記kビットに設定された前記所定の値が有効であることを示す所定の値を設定する
ことを特徴とする請求項2記載の送信機器。
【請求項4】
前記フォーマッタは、前記音楽情報と、前記圧縮音楽データとを、前記基本音楽データのサンプリング周波数に対応する伝送クロックで伝送する
ことを特徴とする請求項1記載の送信機器。
【請求項5】
圧縮された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データに関する音楽情報とを、圧縮音楽データと音楽情報との順序で受信する受信機器であって、
前記圧縮音楽データは、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで作成され、
前記音楽情報は、前記圧縮音楽データのモードを示す値を含み、
前記受信機器は、前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析手段
を備えることを特徴とする受信機器。
【請求項6】
前記圧縮音楽データ解析手段は、前記音楽情報と、前記圧縮音楽データとを、前記基本音楽データのサンプリング周波数に対応する伝送クロックで受信し、受信した伝送クロックに基づいてサンプリング周波数を取得し、
前記受信機器は、さらに
前記圧縮音楽データに基づく信号をD/A変換するD/A変換器と、
前記圧縮音楽データ解析手段から通知されたサンプリング周波数と、前記圧縮音楽データのモードとに基づいて、所定の倍率のサンプリング周波数をD/A変換器に予め設定する出力制御手段と
を備えることを特徴とする請求項5記載の受信機器。
【請求項7】
前記受信機器は、さらに
前記基本音楽データを復号する基本信号復号手段と、
前記第2モードの場合に、前記高域情報に基づいて高域信号を復元する高域信号復元手段と、
前記第1モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号を出力し、前記第2モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号と高域信号復元手段により復元された信号とを合成して出力する帯域拡張手段とを備え、
前記D/A変換器は、前記帯域拡張手段が出力する信号を予め設定された所定のサンプリング周波数でD/A変換する
ことを特徴とする請求項6記載の受信機器。
【請求項8】
前記受信機器は、さらに
前記基本音楽データに基づいて、高域信号を生成する高域信号生成手段を備え、
前記出力制御手段は、前記第1モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号と前記高域信号生成手段により生成された高域信号とを合成して出力するように前記帯域拡張手段を制御するとともに、D/A変換器の動作を制御する
ことを特徴とする請求項7記載の受信機器。
【請求項9】
伝送路で接続された送信機器と受信機器とからなる圧縮音楽データの伝送システムであって、
前記送信機器は、
圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力手段と、
前記圧縮音楽データ出力手段が出力した圧縮音楽データと、当該音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、圧縮音楽データと音楽情報との順序で伝送するフォーマッタとを備え、
前記受信機器は、
前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析手段を備える
ことを特徴とする伝送システム。
【請求項10】
圧縮された圧縮音楽データを送信する方法であって、
圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力ステップと、
前記圧縮音楽データ出力ステップにより出力された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、圧縮音楽データと音楽情報との順序で伝送するフォーマットステップと
を含むことを特徴とする送信方法。
【請求項11】
圧縮された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データに関する音楽情報とを、圧縮音楽データと音楽情報との順序で受信する受信方法であって、
前記圧縮音楽データは、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで作成され、
前記音楽情報は、前記圧縮音楽データのモードを示す値を含み、
前記受信方法は、
前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析ステップ
を含むことを特徴とする受信方法。
【請求項12】
伝送路で接続された送信機器と受信機器からなるシステムにおける圧縮された圧縮音楽データの伝送方法であって、
前記送信機器において、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力ステップと、
前記送信機器において、前記圧縮音楽データ出力ステップにより出力された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、圧縮音楽データと、音楽情報との順序で伝送するフォーマットステップと、
前記受信機器において、前記伝送クロックおよび前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析ステップと
を含むことを特徴とする伝送方法。
【請求項13】
圧縮された圧縮音楽データを送信する送信機器に用いられるプログラムであって、
圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力ステップと、
前記圧縮音楽データ出力ステップが出力した圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、圧縮音楽データと、音楽情報との順序で伝送するフォーマットステップとを
コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
圧縮された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データに関する音楽情報とを、圧縮音楽データと音楽情報との順序で受信する受信装置に用いられるプログラムであって、
前記圧縮音楽データは、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで作成され、
前記音楽情報は、前記圧縮音楽データのモードを示す値を含み、
前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力手段と、
前記圧縮音楽データ出力手段が出力した圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、音楽情報と圧縮音楽データとの順序で伝送するフォーマッタとを備えることを特徴とする送信機器。
【請求項2】
前記音楽情報は、j(j>2)ビットで表され、
前記フォーマッタは、前記jビット中のk(j>k>2)ビットに、前記第2モードを示す所定の値を設定する
ことを特徴とする請求項1記載の送信機器。
【請求項3】
前記フォーマッタは、前記kビットと異なる前記jビット中のm(j>m>2)ビットに、前記kビットに設定された前記所定の値が有効であることを示す所定の値を設定する
ことを特徴とする請求項2記載の送信機器。
【請求項4】
前記フォーマッタは、前記音楽情報と、前記圧縮音楽データとを、前記基本音楽データのサンプリング周波数に対応する伝送クロックで伝送する
ことを特徴とする請求項1記載の送信機器。
【請求項5】
圧縮された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データに関する音楽情報とを、音楽情報と圧縮音楽データとの順序で受信する受信機器であって、
前記圧縮音楽データは、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで作成され、
前記音楽情報は、前記圧縮音楽データのモードを示す値を含み、
前記受信機器は、前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析手段
を備えることを特徴とする受信機器。
【請求項6】
前記圧縮音楽データ解析手段は、前記音楽情報と、前記圧縮音楽データとを、前記基本音楽データのサンプリング周波数に対応する伝送クロックで受信し、受信した伝送クロックに基づいてサンプリング周波数を取得し、
前記受信機器は、さらに
前記圧縮音楽データに基づく信号をD/A変換するD/A変換器と、
前記圧縮音楽データ解析手段から通知されたサンプリング周波数と、前記圧縮音楽データのモードとに基づいて、所定の倍率のサンプリング周波数をD/A変換器に予め設定する出力制御手段と
を備えることを特徴とする請求項5記載の受信機器。
【請求項7】
前記受信機器は、さらに
前記基本音楽データを復号する基本信号復号手段と、
前記第2モードの場合に、前記高域情報に基づいて高域信号を復元する高域信号復元手段と、
前記第1モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号を出力し、前記第2モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号と高域信号復元手段により復元された信号とを合成して出力する帯域拡張手段とを備え、
前記D/A変換器は、前記帯域拡張手段が出力する信号を予め設定された所定のサンプリング周波数でD/A変換する
ことを特徴とする請求項6記載の受信機器。
【請求項8】
前記受信機器は、さらに
前記基本音楽データに基づいて、高域信号を生成する高域信号生成手段を備え、
前記出力制御手段は、前記第1モードの場合に前記基本信号復号手段により復号された信号と前記高域信号生成手段により生成された高域信号とを合成して出力するように前記帯域拡張手段を制御するとともに、D/A変換器の動作を制御する
ことを特徴とする請求項7記載の受信機器。
【請求項9】
伝送路で接続された送信機器と受信機器とからなる圧縮音楽データの伝送システムであって、
前記送信機器は、
圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力手段と、
前記圧縮音楽データ出力手段が出力した圧縮音楽データと、当該音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、音楽情報と圧縮音楽データとの順序で伝送するフォーマッタとを備え、
前記受信機器は、
前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析手段を備える
ことを特徴とする伝送システム。
【請求項10】
圧縮された圧縮音楽データを送信する方法であって、
圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力ステップと、
前記圧縮音楽データ出力ステップにより出力された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、音楽情報と圧縮音楽データとの順序で伝送するフォーマットステップと
を含むことを特徴とする送信方法。
【請求項11】
圧縮された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データに関する音楽情報とを、音楽情報と圧縮音楽データとの順序で受信する受信方法であって、
前記圧縮音楽データは、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで作成され、
前記音楽情報は、前記圧縮音楽データのモードを示す値を含み、
前記受信方法は、
前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析ステップ
を含むことを特徴とする受信方法。
【請求項12】
伝送路で接続された送信機器と受信機器からなるシステムにおける圧縮された圧縮音楽データの伝送方法であって、
前記送信機器において、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力ステップと、
前記送信機器において、前記圧縮音楽データ出力ステップにより出力された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、音楽情報と、圧縮音楽データとの順序で伝送するフォーマットステップと、
前記受信機器において、前記伝送クロックおよび前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析ステップと
を含むことを特徴とする伝送方法。
【請求項13】
圧縮された圧縮音楽データを送信する送信機器に用いられるプログラムであって、
圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで、圧縮された圧縮音楽データを出力する圧縮音楽データ出力ステップと、
前記圧縮音楽データ出力ステップが出力した圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データのモードを示す値を含む音楽情報とを、音楽情報と、圧縮音楽データとの順序で伝送するフォーマットステップとを
コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
圧縮された圧縮音楽データと、当該圧縮音楽データに関する音楽情報とを、音楽情報と圧縮音楽データとの順序で受信する受信装置に用いられるプログラムであって、
前記圧縮音楽データは、圧縮された基本音楽データを含める第1モードと、当該基本音楽データおよび基本音楽データの高域を拡大するための高域情報を含める第2モードとのいずれかのモードで作成され、
前記音楽情報は、前記圧縮音楽データのモードを示す値を含み、
前記圧縮音楽データのモードを示す値を解析する圧縮音楽データ解析ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2006−527864(P2006−527864A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516846(P2006−516846)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【国際出願番号】PCT/JP2004/008775
【国際公開番号】WO2004/112021
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【国際出願番号】PCT/JP2004/008775
【国際公開番号】WO2004/112021
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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