受信波から位相タイミングパルスを生成した正弦波位相測定回路
【課題】 本発明は、周期交流波である発振正弦波と振幅の異なる受信正弦波間での位相差測定を目的とし、極性転換するタイミングに位相タイミングパルスを生成することにより、高調波雑音の影響を減殺し、受信信号強度が変化しても常に同じ位相タイミングを得ることが出来、360度精度よく、低周波数で応用可能な位相差測定回路を提供する。
【解決手段】 受信正弦波を半周期毎の正弦半波に変換し、受信正弦波の極性が変わるタイミング=正弦半波の頂点で、接続したトランジスタのVBE電圧と、トランスに接続された全波整流ダイオードは平衡状態となり、負荷コイルによってベース電流がそのタイミング瞬間のみに発生する。このベース電流パルスをコレクタで電圧として取り出す。この位相タイミングパルスは、ゼロクロス点前に立ち上がり、ゼロクロス後に立ち下がり、その波頭の位置は、受信波のゼロクロス点=正弦半波の極転換点となる。
【解決手段】 受信正弦波を半周期毎の正弦半波に変換し、受信正弦波の極性が変わるタイミング=正弦半波の頂点で、接続したトランジスタのVBE電圧と、トランスに接続された全波整流ダイオードは平衡状態となり、負荷コイルによってベース電流がそのタイミング瞬間のみに発生する。このベース電流パルスをコレクタで電圧として取り出す。この位相タイミングパルスは、ゼロクロス点前に立ち上がり、ゼロクロス後に立ち下がり、その波頭の位置は、受信波のゼロクロス点=正弦半波の極転換点となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周期交流波である発振正弦波と振幅の異なる受信正弦波間での位相差測定に関するものであり、電磁波、超音波、交流磁界による空間距離、固体の厚み、誘電率、液体濃度の測定、等に用いる事を目的とする。
【背景技術】
【0002】
発振器と受信器間の正弦波位相差を検出するには、受信正弦波を増幅しゼロクロス点で比較器にて矩形波へ変換し、エッジタイミングを検出する方法が一般的に利用されている。( 非特許文献1のSignalConversion、 特許文献1,2,3の波形整形回路又はComparatorがこれに相当) 受信波には高調波ノイズが含まれており且つ周波数が遅い場合には、受信正弦波が、ゼロV電圧をクロスするにあたり複数のゼロクロス点が発生、この為比較器のゲインが高いとチャタリングが発生、ゲインが低い場合には、出力信号のエッジが鈍り、ゼロ点の検出が不確しかで、位相差を測定するタイミングの誤差となる。さらに受信信号が弱くなると、0V電圧と接する期間が長くなり、この不確かな0V期間が冗長する。 ローパスフィルターによって高調波は除去できても、受信基本波の位相もずらしてしまう為、利用できない。
【非特許文献1】特許庁資料室より、3-C-1-c3位相信号処理
【特許文献1】特開 平10−55402
【特許文献2】特開 2000-204457
【特許文献3】特開 平10−19044
【0003】
OP-AMPを利用した比較器やトランジスタの増幅作用を利用したゼロクロス検出方法では、受信波の強度が強い場合と弱い場合(受信波振幅が大きい又は小さい)では、時間当たりの電位差(dV/dt)が異なる為、増幅による出力信号遅れが異なる。(非特許文献2のP74 4.4スイッチング特性にトランジスタの立ち上がり時間/立下り時間は、hFEとベース電流に依存している関係式が記載されている。非特許文献3の比較器のデーターシートに記載されている図Response Time for Various Input Overdrivesでは、入力電圧の違いによって出力時間遅れが異なる。 特許文献1,2,3では波形整形、Comparatorを利用するものの、位相測定誤差となるトランジスタやOP-AMPのスイッチング特性限界について触れられていない。)
位相タイミング信号を得るのに、ゼロV点での立ち上がり/立下り時間遅れと電圧の傾斜(dV/dt)の二つの点に注目すると、正帰還量を大きくする、又はゲインが大きいと出力信号のエッジは急峻となるが、スタート時間の遅れが増大する。正帰還を小さくする、又はゲインが小さい場合、スタート時間の遅れは減少するが、エッジの急峻さは失われる。これは、次段の回路でThreshold比較によるエッジを検出する場合、エッジの急峻さが失われることは位相遅れに繋がる。増幅器のスルーレート性能に依存するが、スルーレート性能が高い事は、同時にノイズによる影響も大きくなり、トレードオフの関係にある。
【非特許文献2】トランジスタの特性 東芝セミコンダクター社の解説 [平成17年6月27日検索] インターネット (http://www.semicon.toshiba.co.jp/prd/tr/doc/pdf/12341d1af_32.pdf)
【非特許文献3】Voltage Comparator OP-AMP 製品名LM311のデータシート「平成17年6月29日」インターネット (http://cache.national.com/ds/LM/LM111.pdf)
【特許文献4】特開 平10−55402
【特許文献5】特開 2000-204457
【特許文献6】特開 平10−19044
【0004】
受信波をA/D変換して解析する方法も紹介されているが、サンプリングレートの限界による時間精度限界、乃至は複雑なアルゴリズムを組む事となり、コストがかさむ。(特許文献4,5,6参照)
【特許文献7】特開 2001−262065
【特許文献8】特開 2001−202664
【特許文献9】特開 平7−62676
【0005】
PLLによく利用されているDBMミキサーでは、高精度ではあるが、直線性が得られる範囲は限られており、π/2度あたりが限界。また二つの入力波の振幅が同じでないと、位相検出誤差が発生する。(非特許文献3参照)
【非特許文献4】Author Stephan R. Kurtz 溺ixers as Phase Detectors [Online] WJ Communications, Inc社のTech-note [平成17年5月2日検索]インターネット (http://www.wjcommunications.com/pdf/technotes/Mixers_phase_detectors.pdf)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電圧0Vは、周期波の位相を測る場合の基準点ではあるが、実際に0Vでの電圧比較は、受信波に含まれる高調波成分、受信回路内部での比較基準電圧のオフセット、リップルによって0Vクロス点は不確かさをもつ。高調波成分によって損なわれない、測定誤差を最小に抑える位相検出の方法を課題とする。
【0007】
増幅による正弦波から矩形波への波形変換では、受信波振幅の大小によって位相遅れが変化してしまう事から、受信波の強弱に関係なく位相を常に正確に検出する方法を課題とする。
【0008】
高級計測装置ではなく、位相検出が正確さを保ちながらも汎用的にローコストで実施できることを課題とする。
【0009】
PLLのように周波数を一致させる目的ではなく、位相差を利用した測定であることから360度の検出であり、振幅に依存することなく正確に位相が検出できる事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
受信信号の電圧変化をとらえ、0Vを横切るタイミングを検出するのではなく、受信信号が0Vで極性を転換する事を利用する。受信正弦波を半周期毎の正弦半波に変換し、受信電力を半サイクル毎に負荷コイル貯め、受信正弦波の極性が変わるタイミング=正弦半波の頂点で、接続したトランジスタのVBE電圧と、トランスに接続された全波整流ダイオードは丁度順電圧分を超えた所で平衡状態となる事から、負荷コイルによってベース電流がそのタイミング瞬間のみに発生する。 このベース電流パルスは、非連続な鋭角三角波に近く、パルス幅はおおよそ受信正弦波の波長の1/50以下と狭い。このベース電流パルスをコレクタで電圧として取り出す。 この生成されたパルスを位相タイミングパルスと呼ぶこととし、受信波のゼロクロス点=正弦半波の極転換点=位相タイミングパルスの波頭となる。又、位相タイミングパルスは、ゼロクロス点前に立ち上がり、ゼロクロス後に立ち下がる。この位相タイミングパルスの特徴をつかみ、位相タイミングパルスの前縁と後縁の両方の傾きを検出し、位相タイミングパルスの波頭を算出する事で、信号の立ち上がり/立下りの急峻さ(dV/dt)に影響されない、検出遅れおよび誤差のない位相タイミング信号を取り出す。
【0011】
受信信号電力を負荷コイルに貯め、極性変換するタイミングで3つの能動素子の電圧平衡時のみに流れるベース電流を検出する事から、固定電圧で受信信号の電圧変化を比較検出する方式と違い、受信波に重畳する高調波ノイズによるチャタリングを発生しない。これは、三つの能動素子のVbeとVfの非線形部分を利用しているので、線形部分を利用した増幅と違い、高調波ノイズ成分を増幅することなく、逆に圧縮している。 受信波の振幅が変化しても3つの能動素子の平衡状態が始まり又終わるタイミングは、極性が転換する瞬間に限られることから、振幅に依存しなく、周期のみに依存するので、受信正弦波の振幅の大小に関わらず位相タイミングパルス発生タイミングは遅れなく常に一定となる。
【0012】
ベース電流をコレクタで電圧変換するにおいてエミッタ接地では、トランジスタのミラー効果によってTstorage時間がOFF時に発生し、位相タイミングパルスの後縁が不安定に流れてしまう。これをベース接地にすることで、ミラー効果を無くし、OFF時後縁を安定させ、波頭をシャープに際立たせることが出来る。なお、受信信号振幅が大きいと、正弦半波振幅がトランジスタのVEB定格を超えてしまうので、ダイオードを付加しVEB耐電圧を高める。
【0013】
位相タイミングパルスは180度毎に生成されるので、受信波の極性を検出することによって、半サイクル分をキャンセルし、受信波サイクル毎のパルス周期にする。これによって発振波との位相差を360度にわたって測定できる。
【発明の効果】
【0014】
ローパスフィルターを通さなくとも、受信正弦波の極性が切り替わるタイミングを、ノイズによるチャタリングを全く起こすことなく検出できる。タイミング検出不定となるチャタリング期間がなく、能動素子の非線形効果により、高調波ノイズ成分は圧縮されて位相タイミングパルスが生成されるので、ノイズによる影響を減殺し、確実に位相タイミングを検出できる。
【0015】
比較器による増幅では出力に遅れが生じ、入力の大きさによって遅れ時間が異なるが、位相タイミングパルスは、受信波のゼロクロス点寸前に立ち上がり、寸後にたち下がるので、遅れを生じない。トランジスタのTonとToff分のズレはあるが、受信波のゼロクロス点=正弦半波の極転換点=位相タイミングパルスの波頭とほぼ一致する。
【0016】
位相タイミングパルス幅は、極性転換時の瞬間のみに発生することから、受信振幅の大きさに無関係に全て同じタイミングとなるが、さらにベース接地回路では、位相タイミングパルスの前縁と後縁の傾きを調べることが出来る事から、波頭の位置、イコール受信正弦波のゼロクロス点を算出する事が出来、傾きによる誤差を無くした精度の高い位相タイミングを得る。
【0017】
ローコストな部品と少ない部品点数でDBMとほぼ同等な単純な回路構成で、受信正弦波の位相タイミングパルスを生成でき、発振正弦波との位相差を高速クロックでカウントするだけなので、簡単にローコストに位相を測定できる。 半周期おきに生成される位相タイミングパルスを、受信波の極性を調べることによって1周期毎に分周することで、360度の位相差検出が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、エミッタ接地型位相タイミングパルス生成回路で、トランスT1一次側で入力信号を受け、二次側ではセンタータップを0Vに接地し、二次側両サイドに其々D1とD2ダイオードが逆方向に接続された逆全波整流回路を成し、その負荷としてコイルL2と抵抗R2が接続され、且つエミッタに順方向にダイオードD3を接続したエミッタ接地NPNトランジスタQ1のベースがこれに接続され、コレクタには抵抗R1と+電源が接続され、出力をコレクタから取り出す。負荷コイルの定常状態保持能力により、受信正弦波の極性が転換する瞬時に、トランスに接続されたダイオードの順方向電圧VfとトランジスタのVbeの3者間均衡が起こり、幅の短いベース電流パルスが流れ、これをコレクタで電圧変換増幅する事によって、緩やかな受信正弦波でも急峻な位相検出用タイミングパルスが生成される。 抵抗R2は、トランス二次側の電流制限抵抗で、受信波強度が強い場合、負荷コイルによる逆起電力が大きくなり過ぎ、正弦半波が崩れてしまうので、これを制限する働きをする。 コレクタ電流を電圧に変換させるためのコレクタ抵抗R1と、正弦半波の振幅の拡大からトランジスタのVebを保護するため、ダイオードD3がエミッタに接続される。
【0019】
図2は、ベース接地型位相タイミングパルス生成回路で、トランスT1一次側で入力信号を受け、二次側ではセンタータップを0Vにアースし、二次側両サイドに其々D1とD2ダイオードが順方向に接続された全波整流回路を成し、その負荷としてコイルL2と抵抗R2が接続され、且つベース側にダイオードD3が順方向に接続されたベース接地NPNトランジスタQ1のエミッタがこれに接続され、コレクタには抵抗R1と+電源が接続され、出力をコレクタからとりだす。負荷コイルの定常状態保持能力により、受信正弦波の極性が転換する瞬時に、トランスに接続されたダイオードの順方向電圧VfとトランジスタのVbeの3者間均衡が起こり、幅の短いベース電流パルスが流れ、これをコレクタで電圧変換増幅する事によって、緩やかな受信正弦波でも急峻な位相検出用タイミングパルスが生成される。 抵抗R2は、トランス二次側の電流制限抵抗で、受信波強度が強い場合、負荷コイルによる逆起電力が大きくなり過ぎ、正弦半波が崩れてしまうので、これを制限する働きをする。 コレクタ電流を電圧に変換させるためのコレクタ抵抗R1と、正弦半波の振幅の拡大からトランジスタのVebを保護するため、ダイオードD3がベースに接続される。 ベース接地では、ミラー効果によるトランジスタの蓄積遅れ時間Tstorageを無くすことが出来、位相タイミングパルスのON前縁と同様にOFF後縁が明瞭際立つ。
【0020】
図3、4、5はエミッタ接地による位相タイミングパルス生成回路のシュミレーションされた波形を表す。3は、受信正弦波の電圧波形で、2は逆方向に全波整流された正弦半波形で、1は、トランジスターのコレクターから得られる位相タイミングパルス出力電圧波形を表す。シュミレーションでは、トランジスタのTon, Tstorage, Toffが反映されていないが、極転換点(+/-極性が入れ替わる時点)は、3受信正弦波が0Vでクロスする時点であり、2逆正弦半波が頂点を迎える時点であり、且つ1位相タイミングパルスの波頭と一致していることが観測される。図4は、時間と電圧の両方で極転換点付近を拡大した。 図5は、1位相タイミングパルスをある電圧で切り、矩形信号とした4位相タイミングパルス幅信号と、その信号幅を高周波クロックで計測する5位相タイミングパルス幅内クロックトレインを表す。
【0021】
図6、7、8、9はエミッタ接地位相タイミングパルス回路の動作を詳しく説明し、図10、11は、ベース接地回路をオシロスコープで観測した正弦半波と位相タイミングパルスの波形を表す。 図6において、8はトランス2次側の片側閉路(ループAとする)電圧波形で、9はもう一方の閉路(ループBとする)の電圧波形。7はダイオードが逆向きに接続されていることから逆正弦半波電圧波形で、6は負荷コイルに流れる位相タイミングパルス生成コイル電流。負荷コイル電流6は、受信波の1/2の周期で減少増大を繰り返すが、常に同じ方向に流れ続ける。7逆正弦半波は、極転換点で正の最大値をとる。
【0022】
図7は、図6の極転換点付近の拡大図で、11負荷コイルに流れる電流の減少期間は、逆正弦半波電圧が正に留まっている期間と一致する。逆正弦半波電圧が負の期間には、負荷コイルに流れる電流は増加する。
【0023】
図8は極変換点でのトランスに接続された二つのダイオードの電圧平衡が得られるメカニズムを表す。 12は、ループAに接続されているダイオードの両端電圧Vd1、13はループBに接続されているダイオードの両端電圧Vd2。Vd1は、極転換点まで保たれ、一方でVd2は徐々に上昇し、極転換点でVd1=Vd2が成立し,極変換後、Vd2は維持され、Vd1は減少する。 図9は、図8の電圧図に対し、トランスに接続された二つのダイオードと位相タイミングパルスを生成するトランジスタ間での電圧平衡点(=極転換点)での電流を表す。 負荷コイルから3方向に流れ出す電流は、14ループAの電流、15ループBの電流、16トランジスターのベースに注入される電流を表す。極転換点では、順方向電圧を丁度超えたところで3つの能動素子間に電圧平衡が起き、負荷コイル電流はループAからループBへ移行、その変遷期間にベース電流パルスが生じ流れることが分かる。
【0024】
図8の様に、逆正弦半波は、ダイオードの順方向バイアス電圧分だけ受信波電圧より高い電圧曲線を描く。 又、負荷コイルが接続されていることから、コイルの自己誘導による逆起電力から、逆正弦半波は、0Vでリミットされずに、正の電圧へ持ち上がる。
今負荷コイルを円柱状であり、コイル内部中心での磁界強度は、
【0025】
【数1】
で求められ、 近似的にファラデーの法則から誘導される起電力は、磁束の変化(コイルに流れる電流の変化)によって誘導され以下の式で表される。
【0026】
【数2】
Nはコイルの巻き数、Aはコイルの断面積、lはコイルの長さ、Lはコイルの自己インダクタンス。負荷コイルへの電流は、トランスからの供給が細っても、逆起電力を発生させ電流を流し続けようとする。これによって、位相タイミングパルスを生成するトランジスタへのベース電流がもたらされる。
【0027】
図8と図9に示される縦破線の時点(極転換点)前まで、12ループAダイオード両端電圧Vd1は、順方向バイアス電圧が確保されているので図9の14ループAに電流が流れている。13ループBダイオード両端電圧Vd2は、順方向バイアス電圧に未だ到っていないので図8の15ループ電流は流れていない。極転換点直前では、9ループB電圧が下がり、7逆正弦半波電圧は上がるので、徐々にVd2は上がり、ダイオードの非直線性によってループBの電流が若干流れ出す。又徐々に16トランジスタのベース電流も流れ始める。極転換点に至ると、トランスのループAとループBは、電位差ゼロで平衡状態となり、12ループAダイオード両端電圧Vd1と13ループBダイオード両端電圧Vd2且つトランジスタのベース-エミッタ間電圧が等しくなる。これによって負荷コイルから、それぞれ3方向に電流が流れる。
【0028】
トランジスタのベース-エミッタ間電圧と、二つのダイオードのP-N接合順方向電圧は、同じで、Is逆方向飽和電流も同じと仮定し、平衡状態のベース電流の大きさを求めると、
平衡状態の電圧は、
【0029】
【数3】
各ダイオードに流れる電流は、
【0030】
【数4】
で与えられ、ダイオードとトランジスタVBEのコンダクタンスは、
【0031】
【数5】
となるから、よって
【0032】
【数6】
VBE: トランジスタのベース-エミッタ間電圧
Is: 逆方向飽和電流
数3式により
【0033】
【数7】
が得られる。
【0034】
極転換点で発生する能動素子間の電圧平衡状態は一瞬で終わり、Vd1とVd2のバランスはすぐに崩れる。 能動素子の非線形状態におけるバランスである事から、トランジスタへのベース電流も、今まで流れていたループA電流も同時に瞬間で終わり、直ちにループB電流に取って代わられる。非線形バランスから得られるベース電流パルスは、波頭の位置=受信正弦波の極変換点とした、シャープな曲線三角波となる。
【0035】
受信波の強度が強いと、逆正弦半波の振幅も大きくなるが、逆正弦半波電圧はマイナス側に大きく伸びるだけで、プラス側の極転換点の電位は、ダイオードの順方向電圧まで上昇し、そこを頂点とするに留まるので、逆正弦半波の頂点電圧は、振幅に関わらず一定。位相タイミングパルスの幅と波形は、能動素子それぞれの順方向電圧、非線形特性に依存する。
【0036】
17極転換点パルス電圧出力(半サイクル毎)は、180度毎に生成されるので、これを1サイクルに1パルスとなるようスクリーニングをかける。図15の参考回路では、28極性スクリーニングは、RC積分回路で受信正弦波の位相をずらした上でマイナス期間とプラス期間を、この信号をIC1OP-AMPで0Vと比較増幅する事で得る。 IC1の出力でQ2NPNトランジスタを駆動し、受信正弦波のマイナス期間のみに位相タイミングパルスが次段に伝わるようにしている。プラス期間では、Q2トランジスタがONして、電源+Vに吊り上げられ、位相タイミングパルスは消される。
【0037】
スクリーニングされ、単極性となった位相タイミングパルスは、図14と図15の29比較MonoFlop生成回路に渡され、MonoFlop信号となる。IC2,IC3,IC4のOP-AMPを利用しそれぞれ異なったThreshold電圧で比較し、各レベルでの位相タイミングパルスの幅情報をもつ矩形波信号に変換される。
【0038】
図14と図15において比較MonoFlop信号(図10の18上Mono-Flop信号, 19 中Mono-Flop信号, 20 下Mono-Flop信号に其々相当する)は、30クロックトレイン生成と計数回路に入る。高速クロックとANDゲートを組み、21 上Mono−Flop内クロックトレイン(= 図10のA3)、 22 中Mono−Flop内クロックトレイン(= 図10のA2), 23 上Mono−Flop内クロックトレイン(= 図10のA1)が生成され、各Mono−Flopパルスの幅のクロック数分がカウンターで計数される。又図10のように位相タイミングパルスの波頭の位置をパルスの前縁傾斜と後縁傾斜から導く為、U8によって 図10のA2s前縁傾斜1パルストレイン、U9によって 図10のA2e後縁傾斜1パルストレイン、U10によって 図10のA3s前縁傾斜2パルストレイン、U11によって 図10のA3e後縁傾斜2パルストレインがカウントされる。後段の演算処理によって、位相タイミングパルスがA3レベルまで達していれば、A3sとA3eがパルス傾斜情報として用いられ、A2レベル以上A3レベル以下の場合は、A2sとA2eがパルス傾斜情報として用いられ、極転換点(=波頭)が算出される、A2レベルに達していない場合は、受信弱としてエラーを出力する。位相差を測定する基準発振波となる25 Ref発振波も位相タイミングパルスを生成し同様なプロセスで処理出来るが、オリジナルの正弦波であるからノイズもなく振幅も大きいので、ゼロクロス法でよい。
【0039】
図12、13のように24 位相タイミングパルスは、クロックの計数値として3つの異なる電圧レベルで3つの幅情報と2つの傾斜情報を得て、26 C1仮の位相差、27 C2真の位相差を31演算処理にて得る。図12、図13の32 演算処理では、これら与えられた幅情報と傾斜情報から、近似的に波頭の位置を割り出し、真の位相差を演算する。
TsをA2レベル前縁端から波頭までの時間、TEを波頭からA2レベル後縁端までの時間とすると、
【0040】
【数8】
また、
【0041】
【数9】
であるから、上記二式から
【0042】
【数10】
が得られる。A1レベル前縁から波頭までの時間は、
【0043】
【数11】
26仮の位相差C1にA2S+Tsを加えることによって、27真の位相差が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
発振正弦波と振幅の異なる受信正弦波間での位相差をノイズからの影響を減殺し、振幅が変化しても確実で精度よく位相差が測定できるので、電磁波、超音波、交流磁界による空間距離、固体の厚み、誘電率、液体濃度の測定、等に用いる事が可能。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】位相タイミングパルスを生成する回路図(エミッタ接地)である。
【図2】位相タイミングパルスを生成する回路図(ベース接地)である。
【図3】シュミレーションによる位相タイミングパルスの波形図(エミッタ接地)である。
【図4】シュミレーションによる位相タイミングパルス波形拡大図(エミッタ接地)である。
【図5】シュミレーションによる位相タイミングパルス幅内クロックレインの波形図である。
【図6】位相タイミングパルス生成電流(エミッタ接地)図である。
【図7】極転換点詳細図である。
【図8】能動素子平衡点電圧詳細図である。
【図9】能動素子平衡点電流詳細図である。
【図10】オシロスコープによる位相タイミングパルスと正弦半波の観測図である。
【図11】オシロスコープによる位相タイミングパルスと正弦半波の観測図(時間スケール拡大)である。
【図12】位相タイミングパルスをデジタル解析した図である。
【図13】受信位相タイミングパルスとRef発信波のデジタル位相差と測定のしくみの図である。
【図14】この発明の位相差測定ブロック図(実施例)である。
【図15】この発明の位相差測定回路図(実施例)である。
【符号の説明】
【0046】
T1 ---- センタータップトランス、D1, D2 ---- ダイオード、L1 ---- コイル、R1, R2, R3, R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11,R12 ---- 抵抗、Q1, Q2 ---- NPNトランジスタ、C1 ---- キャパシタ、 V1 ---- 電源、IC1, IC2, IC3, IC4 ---- 比較器OP-AMP、U1, U2, U3, U8, U9,U10、U11 --- ANDゲート、U4, U5, U6, U7 ---- フリップフロップ
A1 ---- 位相タイミングパルス下幅クロックトレイン、A2 ---- 位相タイミングパルス中幅クロックトレイン、A3 ---- 位相タイミングパルス上幅クロックトレイン、C1---- 仮の位相差(受信位相タイミングパルスA1レベル前縁とRef波のゼロクロス点間との仮位相差)、C2 --- 真の位相差(前縁傾斜と後縁傾斜から求めた位相タイミングパルス波頭=受信波の極権極点とRef波のゼロクロス点間との真の位相差)、A2s ---- 位相タイミングパルス前縁傾斜1パルストレイン、A2e ---- 受信位相タイミングパルス後縁傾斜1パルストレイン、A3s ---- 受信位相タイミングパルス前縁傾斜2パルストレイン、A3e ---- 受信位相タイミングパルス後縁傾斜2パルストレイン
1 ---- 位相タイミングパルス、2 ---- 逆正弦半波、3 ---- 受信正弦波、4 ---- 位相タイミングパルス幅信号、5 ---- 位相タイミングパルス幅内クロックトレイン、6 ---- 位相タイミングパルス生成負荷コイル電流、7 ---- 逆正弦半波、8 ---- トランス二次側ループA電圧、9 ---- トランス二次側ループB電圧, 10 ---- 極転換点(トランス平衡状態)、11 ---- 負荷コイル電流減少期間、12 ---- ループAダイオード電圧Vd1、13 ---- ループBダイオード電圧Vd2、14 ---- ループA電流、15 ---- ループB電流、16 ---- トランジスタのベース電流、17 ----上ThresholdによるMono-Flop信号, 18 ---- 中ThresholdによるMono-Flop信号, 19 ---- 下ThresholdによるMono-Flop信号, 20 ---- 上Mono−Flop内クロックトレイン 21 ---- 中Mono−Flop内クロックトレイン, 22 ---- 下Mono−Flop内クロックトレイン, 23 ---- 受信位相タイミングパルス, 24 ---- Ref受信波のタイミング, 25 ---- C1仮の位相差、26 ---- C2 真の位相差、27 ---- 位相タイミングパルス生成、28 ---- 極性スクリーニング、29 ---- 比較MonoFlop生成、30 ---- クロックトレイン生成と計数、31 ---- 演算処理
【技術分野】
【0001】
本発明は、周期交流波である発振正弦波と振幅の異なる受信正弦波間での位相差測定に関するものであり、電磁波、超音波、交流磁界による空間距離、固体の厚み、誘電率、液体濃度の測定、等に用いる事を目的とする。
【背景技術】
【0002】
発振器と受信器間の正弦波位相差を検出するには、受信正弦波を増幅しゼロクロス点で比較器にて矩形波へ変換し、エッジタイミングを検出する方法が一般的に利用されている。( 非特許文献1のSignalConversion、 特許文献1,2,3の波形整形回路又はComparatorがこれに相当) 受信波には高調波ノイズが含まれており且つ周波数が遅い場合には、受信正弦波が、ゼロV電圧をクロスするにあたり複数のゼロクロス点が発生、この為比較器のゲインが高いとチャタリングが発生、ゲインが低い場合には、出力信号のエッジが鈍り、ゼロ点の検出が不確しかで、位相差を測定するタイミングの誤差となる。さらに受信信号が弱くなると、0V電圧と接する期間が長くなり、この不確かな0V期間が冗長する。 ローパスフィルターによって高調波は除去できても、受信基本波の位相もずらしてしまう為、利用できない。
【非特許文献1】特許庁資料室より、3-C-1-c3位相信号処理
【特許文献1】特開 平10−55402
【特許文献2】特開 2000-204457
【特許文献3】特開 平10−19044
【0003】
OP-AMPを利用した比較器やトランジスタの増幅作用を利用したゼロクロス検出方法では、受信波の強度が強い場合と弱い場合(受信波振幅が大きい又は小さい)では、時間当たりの電位差(dV/dt)が異なる為、増幅による出力信号遅れが異なる。(非特許文献2のP74 4.4スイッチング特性にトランジスタの立ち上がり時間/立下り時間は、hFEとベース電流に依存している関係式が記載されている。非特許文献3の比較器のデーターシートに記載されている図Response Time for Various Input Overdrivesでは、入力電圧の違いによって出力時間遅れが異なる。 特許文献1,2,3では波形整形、Comparatorを利用するものの、位相測定誤差となるトランジスタやOP-AMPのスイッチング特性限界について触れられていない。)
位相タイミング信号を得るのに、ゼロV点での立ち上がり/立下り時間遅れと電圧の傾斜(dV/dt)の二つの点に注目すると、正帰還量を大きくする、又はゲインが大きいと出力信号のエッジは急峻となるが、スタート時間の遅れが増大する。正帰還を小さくする、又はゲインが小さい場合、スタート時間の遅れは減少するが、エッジの急峻さは失われる。これは、次段の回路でThreshold比較によるエッジを検出する場合、エッジの急峻さが失われることは位相遅れに繋がる。増幅器のスルーレート性能に依存するが、スルーレート性能が高い事は、同時にノイズによる影響も大きくなり、トレードオフの関係にある。
【非特許文献2】トランジスタの特性 東芝セミコンダクター社の解説 [平成17年6月27日検索] インターネット (http://www.semicon.toshiba.co.jp/prd/tr/doc/pdf/12341d1af_32.pdf)
【非特許文献3】Voltage Comparator OP-AMP 製品名LM311のデータシート「平成17年6月29日」インターネット (http://cache.national.com/ds/LM/LM111.pdf)
【特許文献4】特開 平10−55402
【特許文献5】特開 2000-204457
【特許文献6】特開 平10−19044
【0004】
受信波をA/D変換して解析する方法も紹介されているが、サンプリングレートの限界による時間精度限界、乃至は複雑なアルゴリズムを組む事となり、コストがかさむ。(特許文献4,5,6参照)
【特許文献7】特開 2001−262065
【特許文献8】特開 2001−202664
【特許文献9】特開 平7−62676
【0005】
PLLによく利用されているDBMミキサーでは、高精度ではあるが、直線性が得られる範囲は限られており、π/2度あたりが限界。また二つの入力波の振幅が同じでないと、位相検出誤差が発生する。(非特許文献3参照)
【非特許文献4】Author Stephan R. Kurtz 溺ixers as Phase Detectors [Online] WJ Communications, Inc社のTech-note [平成17年5月2日検索]インターネット (http://www.wjcommunications.com/pdf/technotes/Mixers_phase_detectors.pdf)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電圧0Vは、周期波の位相を測る場合の基準点ではあるが、実際に0Vでの電圧比較は、受信波に含まれる高調波成分、受信回路内部での比較基準電圧のオフセット、リップルによって0Vクロス点は不確かさをもつ。高調波成分によって損なわれない、測定誤差を最小に抑える位相検出の方法を課題とする。
【0007】
増幅による正弦波から矩形波への波形変換では、受信波振幅の大小によって位相遅れが変化してしまう事から、受信波の強弱に関係なく位相を常に正確に検出する方法を課題とする。
【0008】
高級計測装置ではなく、位相検出が正確さを保ちながらも汎用的にローコストで実施できることを課題とする。
【0009】
PLLのように周波数を一致させる目的ではなく、位相差を利用した測定であることから360度の検出であり、振幅に依存することなく正確に位相が検出できる事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
受信信号の電圧変化をとらえ、0Vを横切るタイミングを検出するのではなく、受信信号が0Vで極性を転換する事を利用する。受信正弦波を半周期毎の正弦半波に変換し、受信電力を半サイクル毎に負荷コイル貯め、受信正弦波の極性が変わるタイミング=正弦半波の頂点で、接続したトランジスタのVBE電圧と、トランスに接続された全波整流ダイオードは丁度順電圧分を超えた所で平衡状態となる事から、負荷コイルによってベース電流がそのタイミング瞬間のみに発生する。 このベース電流パルスは、非連続な鋭角三角波に近く、パルス幅はおおよそ受信正弦波の波長の1/50以下と狭い。このベース電流パルスをコレクタで電圧として取り出す。 この生成されたパルスを位相タイミングパルスと呼ぶこととし、受信波のゼロクロス点=正弦半波の極転換点=位相タイミングパルスの波頭となる。又、位相タイミングパルスは、ゼロクロス点前に立ち上がり、ゼロクロス後に立ち下がる。この位相タイミングパルスの特徴をつかみ、位相タイミングパルスの前縁と後縁の両方の傾きを検出し、位相タイミングパルスの波頭を算出する事で、信号の立ち上がり/立下りの急峻さ(dV/dt)に影響されない、検出遅れおよび誤差のない位相タイミング信号を取り出す。
【0011】
受信信号電力を負荷コイルに貯め、極性変換するタイミングで3つの能動素子の電圧平衡時のみに流れるベース電流を検出する事から、固定電圧で受信信号の電圧変化を比較検出する方式と違い、受信波に重畳する高調波ノイズによるチャタリングを発生しない。これは、三つの能動素子のVbeとVfの非線形部分を利用しているので、線形部分を利用した増幅と違い、高調波ノイズ成分を増幅することなく、逆に圧縮している。 受信波の振幅が変化しても3つの能動素子の平衡状態が始まり又終わるタイミングは、極性が転換する瞬間に限られることから、振幅に依存しなく、周期のみに依存するので、受信正弦波の振幅の大小に関わらず位相タイミングパルス発生タイミングは遅れなく常に一定となる。
【0012】
ベース電流をコレクタで電圧変換するにおいてエミッタ接地では、トランジスタのミラー効果によってTstorage時間がOFF時に発生し、位相タイミングパルスの後縁が不安定に流れてしまう。これをベース接地にすることで、ミラー効果を無くし、OFF時後縁を安定させ、波頭をシャープに際立たせることが出来る。なお、受信信号振幅が大きいと、正弦半波振幅がトランジスタのVEB定格を超えてしまうので、ダイオードを付加しVEB耐電圧を高める。
【0013】
位相タイミングパルスは180度毎に生成されるので、受信波の極性を検出することによって、半サイクル分をキャンセルし、受信波サイクル毎のパルス周期にする。これによって発振波との位相差を360度にわたって測定できる。
【発明の効果】
【0014】
ローパスフィルターを通さなくとも、受信正弦波の極性が切り替わるタイミングを、ノイズによるチャタリングを全く起こすことなく検出できる。タイミング検出不定となるチャタリング期間がなく、能動素子の非線形効果により、高調波ノイズ成分は圧縮されて位相タイミングパルスが生成されるので、ノイズによる影響を減殺し、確実に位相タイミングを検出できる。
【0015】
比較器による増幅では出力に遅れが生じ、入力の大きさによって遅れ時間が異なるが、位相タイミングパルスは、受信波のゼロクロス点寸前に立ち上がり、寸後にたち下がるので、遅れを生じない。トランジスタのTonとToff分のズレはあるが、受信波のゼロクロス点=正弦半波の極転換点=位相タイミングパルスの波頭とほぼ一致する。
【0016】
位相タイミングパルス幅は、極性転換時の瞬間のみに発生することから、受信振幅の大きさに無関係に全て同じタイミングとなるが、さらにベース接地回路では、位相タイミングパルスの前縁と後縁の傾きを調べることが出来る事から、波頭の位置、イコール受信正弦波のゼロクロス点を算出する事が出来、傾きによる誤差を無くした精度の高い位相タイミングを得る。
【0017】
ローコストな部品と少ない部品点数でDBMとほぼ同等な単純な回路構成で、受信正弦波の位相タイミングパルスを生成でき、発振正弦波との位相差を高速クロックでカウントするだけなので、簡単にローコストに位相を測定できる。 半周期おきに生成される位相タイミングパルスを、受信波の極性を調べることによって1周期毎に分周することで、360度の位相差検出が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、エミッタ接地型位相タイミングパルス生成回路で、トランスT1一次側で入力信号を受け、二次側ではセンタータップを0Vに接地し、二次側両サイドに其々D1とD2ダイオードが逆方向に接続された逆全波整流回路を成し、その負荷としてコイルL2と抵抗R2が接続され、且つエミッタに順方向にダイオードD3を接続したエミッタ接地NPNトランジスタQ1のベースがこれに接続され、コレクタには抵抗R1と+電源が接続され、出力をコレクタから取り出す。負荷コイルの定常状態保持能力により、受信正弦波の極性が転換する瞬時に、トランスに接続されたダイオードの順方向電圧VfとトランジスタのVbeの3者間均衡が起こり、幅の短いベース電流パルスが流れ、これをコレクタで電圧変換増幅する事によって、緩やかな受信正弦波でも急峻な位相検出用タイミングパルスが生成される。 抵抗R2は、トランス二次側の電流制限抵抗で、受信波強度が強い場合、負荷コイルによる逆起電力が大きくなり過ぎ、正弦半波が崩れてしまうので、これを制限する働きをする。 コレクタ電流を電圧に変換させるためのコレクタ抵抗R1と、正弦半波の振幅の拡大からトランジスタのVebを保護するため、ダイオードD3がエミッタに接続される。
【0019】
図2は、ベース接地型位相タイミングパルス生成回路で、トランスT1一次側で入力信号を受け、二次側ではセンタータップを0Vにアースし、二次側両サイドに其々D1とD2ダイオードが順方向に接続された全波整流回路を成し、その負荷としてコイルL2と抵抗R2が接続され、且つベース側にダイオードD3が順方向に接続されたベース接地NPNトランジスタQ1のエミッタがこれに接続され、コレクタには抵抗R1と+電源が接続され、出力をコレクタからとりだす。負荷コイルの定常状態保持能力により、受信正弦波の極性が転換する瞬時に、トランスに接続されたダイオードの順方向電圧VfとトランジスタのVbeの3者間均衡が起こり、幅の短いベース電流パルスが流れ、これをコレクタで電圧変換増幅する事によって、緩やかな受信正弦波でも急峻な位相検出用タイミングパルスが生成される。 抵抗R2は、トランス二次側の電流制限抵抗で、受信波強度が強い場合、負荷コイルによる逆起電力が大きくなり過ぎ、正弦半波が崩れてしまうので、これを制限する働きをする。 コレクタ電流を電圧に変換させるためのコレクタ抵抗R1と、正弦半波の振幅の拡大からトランジスタのVebを保護するため、ダイオードD3がベースに接続される。 ベース接地では、ミラー効果によるトランジスタの蓄積遅れ時間Tstorageを無くすことが出来、位相タイミングパルスのON前縁と同様にOFF後縁が明瞭際立つ。
【0020】
図3、4、5はエミッタ接地による位相タイミングパルス生成回路のシュミレーションされた波形を表す。3は、受信正弦波の電圧波形で、2は逆方向に全波整流された正弦半波形で、1は、トランジスターのコレクターから得られる位相タイミングパルス出力電圧波形を表す。シュミレーションでは、トランジスタのTon, Tstorage, Toffが反映されていないが、極転換点(+/-極性が入れ替わる時点)は、3受信正弦波が0Vでクロスする時点であり、2逆正弦半波が頂点を迎える時点であり、且つ1位相タイミングパルスの波頭と一致していることが観測される。図4は、時間と電圧の両方で極転換点付近を拡大した。 図5は、1位相タイミングパルスをある電圧で切り、矩形信号とした4位相タイミングパルス幅信号と、その信号幅を高周波クロックで計測する5位相タイミングパルス幅内クロックトレインを表す。
【0021】
図6、7、8、9はエミッタ接地位相タイミングパルス回路の動作を詳しく説明し、図10、11は、ベース接地回路をオシロスコープで観測した正弦半波と位相タイミングパルスの波形を表す。 図6において、8はトランス2次側の片側閉路(ループAとする)電圧波形で、9はもう一方の閉路(ループBとする)の電圧波形。7はダイオードが逆向きに接続されていることから逆正弦半波電圧波形で、6は負荷コイルに流れる位相タイミングパルス生成コイル電流。負荷コイル電流6は、受信波の1/2の周期で減少増大を繰り返すが、常に同じ方向に流れ続ける。7逆正弦半波は、極転換点で正の最大値をとる。
【0022】
図7は、図6の極転換点付近の拡大図で、11負荷コイルに流れる電流の減少期間は、逆正弦半波電圧が正に留まっている期間と一致する。逆正弦半波電圧が負の期間には、負荷コイルに流れる電流は増加する。
【0023】
図8は極変換点でのトランスに接続された二つのダイオードの電圧平衡が得られるメカニズムを表す。 12は、ループAに接続されているダイオードの両端電圧Vd1、13はループBに接続されているダイオードの両端電圧Vd2。Vd1は、極転換点まで保たれ、一方でVd2は徐々に上昇し、極転換点でVd1=Vd2が成立し,極変換後、Vd2は維持され、Vd1は減少する。 図9は、図8の電圧図に対し、トランスに接続された二つのダイオードと位相タイミングパルスを生成するトランジスタ間での電圧平衡点(=極転換点)での電流を表す。 負荷コイルから3方向に流れ出す電流は、14ループAの電流、15ループBの電流、16トランジスターのベースに注入される電流を表す。極転換点では、順方向電圧を丁度超えたところで3つの能動素子間に電圧平衡が起き、負荷コイル電流はループAからループBへ移行、その変遷期間にベース電流パルスが生じ流れることが分かる。
【0024】
図8の様に、逆正弦半波は、ダイオードの順方向バイアス電圧分だけ受信波電圧より高い電圧曲線を描く。 又、負荷コイルが接続されていることから、コイルの自己誘導による逆起電力から、逆正弦半波は、0Vでリミットされずに、正の電圧へ持ち上がる。
今負荷コイルを円柱状であり、コイル内部中心での磁界強度は、
【0025】
【数1】
で求められ、 近似的にファラデーの法則から誘導される起電力は、磁束の変化(コイルに流れる電流の変化)によって誘導され以下の式で表される。
【0026】
【数2】
Nはコイルの巻き数、Aはコイルの断面積、lはコイルの長さ、Lはコイルの自己インダクタンス。負荷コイルへの電流は、トランスからの供給が細っても、逆起電力を発生させ電流を流し続けようとする。これによって、位相タイミングパルスを生成するトランジスタへのベース電流がもたらされる。
【0027】
図8と図9に示される縦破線の時点(極転換点)前まで、12ループAダイオード両端電圧Vd1は、順方向バイアス電圧が確保されているので図9の14ループAに電流が流れている。13ループBダイオード両端電圧Vd2は、順方向バイアス電圧に未だ到っていないので図8の15ループ電流は流れていない。極転換点直前では、9ループB電圧が下がり、7逆正弦半波電圧は上がるので、徐々にVd2は上がり、ダイオードの非直線性によってループBの電流が若干流れ出す。又徐々に16トランジスタのベース電流も流れ始める。極転換点に至ると、トランスのループAとループBは、電位差ゼロで平衡状態となり、12ループAダイオード両端電圧Vd1と13ループBダイオード両端電圧Vd2且つトランジスタのベース-エミッタ間電圧が等しくなる。これによって負荷コイルから、それぞれ3方向に電流が流れる。
【0028】
トランジスタのベース-エミッタ間電圧と、二つのダイオードのP-N接合順方向電圧は、同じで、Is逆方向飽和電流も同じと仮定し、平衡状態のベース電流の大きさを求めると、
平衡状態の電圧は、
【0029】
【数3】
各ダイオードに流れる電流は、
【0030】
【数4】
で与えられ、ダイオードとトランジスタVBEのコンダクタンスは、
【0031】
【数5】
となるから、よって
【0032】
【数6】
VBE: トランジスタのベース-エミッタ間電圧
Is: 逆方向飽和電流
数3式により
【0033】
【数7】
が得られる。
【0034】
極転換点で発生する能動素子間の電圧平衡状態は一瞬で終わり、Vd1とVd2のバランスはすぐに崩れる。 能動素子の非線形状態におけるバランスである事から、トランジスタへのベース電流も、今まで流れていたループA電流も同時に瞬間で終わり、直ちにループB電流に取って代わられる。非線形バランスから得られるベース電流パルスは、波頭の位置=受信正弦波の極変換点とした、シャープな曲線三角波となる。
【0035】
受信波の強度が強いと、逆正弦半波の振幅も大きくなるが、逆正弦半波電圧はマイナス側に大きく伸びるだけで、プラス側の極転換点の電位は、ダイオードの順方向電圧まで上昇し、そこを頂点とするに留まるので、逆正弦半波の頂点電圧は、振幅に関わらず一定。位相タイミングパルスの幅と波形は、能動素子それぞれの順方向電圧、非線形特性に依存する。
【0036】
17極転換点パルス電圧出力(半サイクル毎)は、180度毎に生成されるので、これを1サイクルに1パルスとなるようスクリーニングをかける。図15の参考回路では、28極性スクリーニングは、RC積分回路で受信正弦波の位相をずらした上でマイナス期間とプラス期間を、この信号をIC1OP-AMPで0Vと比較増幅する事で得る。 IC1の出力でQ2NPNトランジスタを駆動し、受信正弦波のマイナス期間のみに位相タイミングパルスが次段に伝わるようにしている。プラス期間では、Q2トランジスタがONして、電源+Vに吊り上げられ、位相タイミングパルスは消される。
【0037】
スクリーニングされ、単極性となった位相タイミングパルスは、図14と図15の29比較MonoFlop生成回路に渡され、MonoFlop信号となる。IC2,IC3,IC4のOP-AMPを利用しそれぞれ異なったThreshold電圧で比較し、各レベルでの位相タイミングパルスの幅情報をもつ矩形波信号に変換される。
【0038】
図14と図15において比較MonoFlop信号(図10の18上Mono-Flop信号, 19 中Mono-Flop信号, 20 下Mono-Flop信号に其々相当する)は、30クロックトレイン生成と計数回路に入る。高速クロックとANDゲートを組み、21 上Mono−Flop内クロックトレイン(= 図10のA3)、 22 中Mono−Flop内クロックトレイン(= 図10のA2), 23 上Mono−Flop内クロックトレイン(= 図10のA1)が生成され、各Mono−Flopパルスの幅のクロック数分がカウンターで計数される。又図10のように位相タイミングパルスの波頭の位置をパルスの前縁傾斜と後縁傾斜から導く為、U8によって 図10のA2s前縁傾斜1パルストレイン、U9によって 図10のA2e後縁傾斜1パルストレイン、U10によって 図10のA3s前縁傾斜2パルストレイン、U11によって 図10のA3e後縁傾斜2パルストレインがカウントされる。後段の演算処理によって、位相タイミングパルスがA3レベルまで達していれば、A3sとA3eがパルス傾斜情報として用いられ、A2レベル以上A3レベル以下の場合は、A2sとA2eがパルス傾斜情報として用いられ、極転換点(=波頭)が算出される、A2レベルに達していない場合は、受信弱としてエラーを出力する。位相差を測定する基準発振波となる25 Ref発振波も位相タイミングパルスを生成し同様なプロセスで処理出来るが、オリジナルの正弦波であるからノイズもなく振幅も大きいので、ゼロクロス法でよい。
【0039】
図12、13のように24 位相タイミングパルスは、クロックの計数値として3つの異なる電圧レベルで3つの幅情報と2つの傾斜情報を得て、26 C1仮の位相差、27 C2真の位相差を31演算処理にて得る。図12、図13の32 演算処理では、これら与えられた幅情報と傾斜情報から、近似的に波頭の位置を割り出し、真の位相差を演算する。
TsをA2レベル前縁端から波頭までの時間、TEを波頭からA2レベル後縁端までの時間とすると、
【0040】
【数8】
また、
【0041】
【数9】
であるから、上記二式から
【0042】
【数10】
が得られる。A1レベル前縁から波頭までの時間は、
【0043】
【数11】
26仮の位相差C1にA2S+Tsを加えることによって、27真の位相差が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
発振正弦波と振幅の異なる受信正弦波間での位相差をノイズからの影響を減殺し、振幅が変化しても確実で精度よく位相差が測定できるので、電磁波、超音波、交流磁界による空間距離、固体の厚み、誘電率、液体濃度の測定、等に用いる事が可能。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】位相タイミングパルスを生成する回路図(エミッタ接地)である。
【図2】位相タイミングパルスを生成する回路図(ベース接地)である。
【図3】シュミレーションによる位相タイミングパルスの波形図(エミッタ接地)である。
【図4】シュミレーションによる位相タイミングパルス波形拡大図(エミッタ接地)である。
【図5】シュミレーションによる位相タイミングパルス幅内クロックレインの波形図である。
【図6】位相タイミングパルス生成電流(エミッタ接地)図である。
【図7】極転換点詳細図である。
【図8】能動素子平衡点電圧詳細図である。
【図9】能動素子平衡点電流詳細図である。
【図10】オシロスコープによる位相タイミングパルスと正弦半波の観測図である。
【図11】オシロスコープによる位相タイミングパルスと正弦半波の観測図(時間スケール拡大)である。
【図12】位相タイミングパルスをデジタル解析した図である。
【図13】受信位相タイミングパルスとRef発信波のデジタル位相差と測定のしくみの図である。
【図14】この発明の位相差測定ブロック図(実施例)である。
【図15】この発明の位相差測定回路図(実施例)である。
【符号の説明】
【0046】
T1 ---- センタータップトランス、D1, D2 ---- ダイオード、L1 ---- コイル、R1, R2, R3, R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11,R12 ---- 抵抗、Q1, Q2 ---- NPNトランジスタ、C1 ---- キャパシタ、 V1 ---- 電源、IC1, IC2, IC3, IC4 ---- 比較器OP-AMP、U1, U2, U3, U8, U9,U10、U11 --- ANDゲート、U4, U5, U6, U7 ---- フリップフロップ
A1 ---- 位相タイミングパルス下幅クロックトレイン、A2 ---- 位相タイミングパルス中幅クロックトレイン、A3 ---- 位相タイミングパルス上幅クロックトレイン、C1---- 仮の位相差(受信位相タイミングパルスA1レベル前縁とRef波のゼロクロス点間との仮位相差)、C2 --- 真の位相差(前縁傾斜と後縁傾斜から求めた位相タイミングパルス波頭=受信波の極権極点とRef波のゼロクロス点間との真の位相差)、A2s ---- 位相タイミングパルス前縁傾斜1パルストレイン、A2e ---- 受信位相タイミングパルス後縁傾斜1パルストレイン、A3s ---- 受信位相タイミングパルス前縁傾斜2パルストレイン、A3e ---- 受信位相タイミングパルス後縁傾斜2パルストレイン
1 ---- 位相タイミングパルス、2 ---- 逆正弦半波、3 ---- 受信正弦波、4 ---- 位相タイミングパルス幅信号、5 ---- 位相タイミングパルス幅内クロックトレイン、6 ---- 位相タイミングパルス生成負荷コイル電流、7 ---- 逆正弦半波、8 ---- トランス二次側ループA電圧、9 ---- トランス二次側ループB電圧, 10 ---- 極転換点(トランス平衡状態)、11 ---- 負荷コイル電流減少期間、12 ---- ループAダイオード電圧Vd1、13 ---- ループBダイオード電圧Vd2、14 ---- ループA電流、15 ---- ループB電流、16 ---- トランジスタのベース電流、17 ----上ThresholdによるMono-Flop信号, 18 ---- 中ThresholdによるMono-Flop信号, 19 ---- 下ThresholdによるMono-Flop信号, 20 ---- 上Mono−Flop内クロックトレイン 21 ---- 中Mono−Flop内クロックトレイン, 22 ---- 下Mono−Flop内クロックトレイン, 23 ---- 受信位相タイミングパルス, 24 ---- Ref受信波のタイミング, 25 ---- C1仮の位相差、26 ---- C2 真の位相差、27 ---- 位相タイミングパルス生成、28 ---- 極性スクリーニング、29 ---- 比較MonoFlop生成、30 ---- クロックトレイン生成と計数、31 ---- 演算処理
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランス一次側で入力信号を受け、二次側ではセンタータップを接地し、二次側両サイドに其々ダイオードが逆方向に接続された逆さ全波整流回路を成し、その負荷としてコイルと抵抗が接続され、且つエミッタに順方向にダイオードを接続したエミッタ接地NPNトランジスタのベースがこれに接続され、受信正弦波の極性が転換する時点で、負荷コイルの定常状態保持能力により幅の短い電流パルスがトランジスタのベース電流として流れ、これをコレクタで電圧変換増幅する事によって、緩やかな受信正弦波の位相検出用タイミングパルスを生成し、発振正弦信号のタイミングから受信位相タイミングパルスまでの位相差をデジタルクロックカウントする位相差測定方法とその回路。
【請求項2】
請求項1の回路のトランスに接続されたダイオードの向きを順方向に変え、NPNトランジスタの代わりにPNPトランジスタを用いて、ベース電流を負荷コイルに流し込む事によって、緩やかな受信正弦波の位相検出用タイミングパルスを生成しこれを利用する位相検出方法と回路。
【請求項3】
トランス一次側で入力信号を受け、二次側ではセンタータップを0Vにアースし、二次側両サイドに其々ダイオードが順方向に接続された全波整流回路を成し、その負荷としてコイルと抵抗が接続され、且つベース側にダイオードが順方向に接続されたベース接地NPNトランジスタのエミッタがこれに接続され、受信正弦波の極性が転換する時点で、負荷コイルの定常状態保持能力により幅の短い電流パルスがトランジスタのベース電流及びコレクタ電流として流れ、これをコレクタで電圧変換増幅する事によって、緩やかな受信正弦波の位相検出用タイミングパルスを生成し、発振正弦信号のタイミングから受信位相タイミングパルスまでの位相差をデジタルクロックカウントする位相差測定方法とその回路。
【請求項4】
請求項3の回路のトランスに接続されたダイオードの向きを逆方向に変え、NPNトランジスタの代わりにPNPトランジスタを用いて、ベース電流をトランジスタのエミッタから流し込む事によって、緩やかな受信正弦波の位相検出用タイミングパルスを生成しこれを利用する位相検出方法と回路。
【請求項5】
請求項1〜4記載の位相検出方法で生成された位相タイミングパルスは180度毎に発生するので、元の受信正弦波の極性を参照する事によって、位相タイミングパルスをどちらか一方の極性毎にスクリーニングし、360度毎のパルス周期とする方法。
【請求項6】
請求項3と4記載の方法によって生成された位相タイミングパルスの前縁と後縁を二つ以上の電圧レベルで検出し、前縁と後縁の傾きを其々演算することによって、位相タイミングパルスの波頭の位置を算出する方法。
【請求項1】
トランス一次側で入力信号を受け、二次側ではセンタータップを接地し、二次側両サイドに其々ダイオードが逆方向に接続された逆さ全波整流回路を成し、その負荷としてコイルと抵抗が接続され、且つエミッタに順方向にダイオードを接続したエミッタ接地NPNトランジスタのベースがこれに接続され、受信正弦波の極性が転換する時点で、負荷コイルの定常状態保持能力により幅の短い電流パルスがトランジスタのベース電流として流れ、これをコレクタで電圧変換増幅する事によって、緩やかな受信正弦波の位相検出用タイミングパルスを生成し、発振正弦信号のタイミングから受信位相タイミングパルスまでの位相差をデジタルクロックカウントする位相差測定方法とその回路。
【請求項2】
請求項1の回路のトランスに接続されたダイオードの向きを順方向に変え、NPNトランジスタの代わりにPNPトランジスタを用いて、ベース電流を負荷コイルに流し込む事によって、緩やかな受信正弦波の位相検出用タイミングパルスを生成しこれを利用する位相検出方法と回路。
【請求項3】
トランス一次側で入力信号を受け、二次側ではセンタータップを0Vにアースし、二次側両サイドに其々ダイオードが順方向に接続された全波整流回路を成し、その負荷としてコイルと抵抗が接続され、且つベース側にダイオードが順方向に接続されたベース接地NPNトランジスタのエミッタがこれに接続され、受信正弦波の極性が転換する時点で、負荷コイルの定常状態保持能力により幅の短い電流パルスがトランジスタのベース電流及びコレクタ電流として流れ、これをコレクタで電圧変換増幅する事によって、緩やかな受信正弦波の位相検出用タイミングパルスを生成し、発振正弦信号のタイミングから受信位相タイミングパルスまでの位相差をデジタルクロックカウントする位相差測定方法とその回路。
【請求項4】
請求項3の回路のトランスに接続されたダイオードの向きを逆方向に変え、NPNトランジスタの代わりにPNPトランジスタを用いて、ベース電流をトランジスタのエミッタから流し込む事によって、緩やかな受信正弦波の位相検出用タイミングパルスを生成しこれを利用する位相検出方法と回路。
【請求項5】
請求項1〜4記載の位相検出方法で生成された位相タイミングパルスは180度毎に発生するので、元の受信正弦波の極性を参照する事によって、位相タイミングパルスをどちらか一方の極性毎にスクリーニングし、360度毎のパルス周期とする方法。
【請求項6】
請求項3と4記載の方法によって生成された位相タイミングパルスの前縁と後縁を二つ以上の電圧レベルで検出し、前縁と後縁の傾きを其々演算することによって、位相タイミングパルスの波頭の位置を算出する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−10596(P2007−10596A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−194527(P2005−194527)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(305025728)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(305025728)
【Fターム(参考)】
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