受信装置、受信方法および受信プログラム
【課題】マイモにおいて、パス抽出を改善して、計算量および電力消費の低減を図る。
【解決手段】パス抽出部とパス抽出部が抽出したパス情報を基にチャネルインパルス応答を推定するチャネルインパルス応答推定部を備えるMIMO受信装置であって、チャネルインパルス応答推定部よりパス抽出部の数を少なくする。
【解決手段】パス抽出部とパス抽出部が抽出したパス情報を基にチャネルインパルス応答を推定するチャネルインパルス応答推定部を備えるMIMO受信装置であって、チャネルインパルス応答推定部よりパス抽出部の数を少なくする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置、受信方法および受信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信においては、特に広帯域伝送の場合、先行して受信するパスに加え、大型の建物や山などの障害物から反射または回折して到来する幾つものパスが存在する。それに加えて、高速伝送では、サンプリング周波数が高くなるため、パスが増大する。
図22は、このようなパスが複数あるマルチパスの影響を説明する図である。
図22において、基地局2201から送信される電波は、例えば、伝搬経路2207を経由して、移動端末2202へ先行して到来する。その他に、基地局2201から送信された電波は、途中の例えば建物2203〜2206に当たって反射してから、移動端末2202へ遅延して到来する。この場合の伝搬経路を、図22において符号2208〜2211を付して示す。
基地局2201から伝搬経路2208〜2211を経由して移動端末2202へ到達する電波を、素波(Component Wave)と言う。図22では、素波が5つしか描かれていないが、実際には多くの素波が存在し、それぞれが移動端末2202において重ね合わされて受信される。
このように、基地局2201から移動端末2202へ直接に到達する素波(直接波)と、建物などの障害物から反射または回折して到来する素波(反射波)とでは、遅延があるのみならず、反射または回折による位相回転も加わるので、移動端末2202で受信後の信号は、基地局2201から送信される信号とは異なるところの歪みの生じた信号となる。したがって、基地局2201と移動端末2202との間の無線通信には誤りが生じることになる。
【0003】
近年、長遅延環境における高精度な伝搬路推定の必要性が高まっている。
直交周波数分割多重(OFDM、Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を用いた無線通信においては、ガードインターバル(Guard Interval; GI)を超える長遅延環境で発生する干渉を抑圧できる受信方式がいろいろと提案されている。しかし、その実現のためには、時間領域の伝搬路特性であるチャネルインパルス応答を高精度に推定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−119070号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】電子情報通信学会技術報告RCS2010−257「OFDMターボ等化受信における情報量基準を用いた高効率タップ選択チャネル推定」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および非特許文献1には、チャネルインパルス応答を推定する方法が記載されている。その方法は、パス抽出と推定の二段階の処理から成る。
しかしながら、MIMO(Multiple Input Multiple Output、多入力/多出力)においては、送信アンテナと受信アンテナの間の複数のチャネル毎に、伝搬路推定を行う必要がある。
パスを抽出する従来技術は、多くの計算を必要とするため、特に、MIMOのように送信アンテナの数および受信アンテナの数が多い場合には、計算量の増加を招き、装置が肥大化し、装置の電力消費も増大する。
したがって、本発明の実施形態は、上述の従来技術の欠点を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、本発明の受信装置は、パス抽出部とパス抽出部が抽出したパス情報を基にチャネルインパルス応答を推定するチャネルインパルス応答推定部を備えるMIMO受信装置であって、チャネルインパルス応答推定部よりパス抽出部の数が少ないことを特徴とする。
【0008】
(2)また、本発明の受信装置は、上述の受信装置であって、1つの受信アンテナの受信信号に含まれる送信ストリームの内の1つを用いてパス抽出を行い、他のストリームはそのパス情報を用いてチャネルインパルス応答を推定することを特徴とする。
【0009】
(3)また、本発明の受信装置は、上述の受信装置であって、全ての受信アンテナの受信信号に含まれる1つの送信ストリームのうち、1つの受信アンテナを用いてパス抽出を行い、他のアンテナの該当ストリームについては、そのパス情報を用いてチャネルインパルス応答を推定することを特徴とする。
【0010】
(4)また、本発明の受信装置は、上述の受信装置であって、全チャネルのうち、1つのチャネルを用いてパス抽出を行い、他のチャネルはそのパス情報を用いてチャネルインパルス応答を推定することを特徴とする。
【0011】
(5)また、本発明の受信装置は、上述の受信装置であって、全チャネルを、パス情報を共有するグループに分け、グループ内の1つのチャネルを用いてパス抽出を行い、そのパス情報を用いて他のチャネルのチャネルインパルス応答を推定することを特徴とする。
【0012】
(6)また、本発明の受信装置は、上述の受信装置であって、複数のチャネルを用いて1つのパス抽出を行うことを特徴とする。
【0013】
(7)また、本発明の受信装置は、上述の受信装置であって、受信装置の移動速度が所定の閾値を上回る場合は、パス抽出部の数を増加させることを特徴とする。
【0014】
(8)また、本発明の受信装置は、上述の受信装置であって、信号対雑音電力比が閾値を上回る場合は、パス抽出部を動作させないことを特徴とする。
【0015】
(9)また、本発明の受信装置は、上述の受信装置であって、受信装置が待機モードの場合は、パス抽出部を動作させないことを特徴とする。
【0016】
(10)本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、本発明の受信方法は、パス抽出過程とパス抽出過程が抽出したパス情報を基にチャネルインパルス応答を推定するチャネルインパルス応答推定過程を備えるMIMO受信方法であって、チャネルインパルス応答推定過程よりパス抽出過程の数が少ないことを特徴とする。
【0017】
(11)本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、本発明の受信プログラムは、上記(10)に記載の受信方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
(追って補充)
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、MIMO伝送の受信に際して、受信信号を取得する際の計算量を大きく削減し、回路規模を大きく削減し、装置の電力消費を大きく低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態に係る通信システムを示す。
【図2】送信装置の構成を示す。
【図3】パイロットシンボルとデータのマッピングの例を示す。
【図4】受信装置の構成を示す。
【図5】伝搬路推定部の構成を示す。
【図6】受信装置が受信する受信信号を簡略化して示す。
【図7】パス抽出部の構成を示す。
【図8】パス抽出の処理を示すフローチャートである。
【図9】CIR推定部の構成を示す。
【図10】CIR推定部の処理を示すフローチャートである。
【図11】受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施形態の受信装置の構成を示す。
【図13】伝搬路推定部の構成を示す。
【図14】受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】第3の実施形態に係る通信システムを示す。
【図16】受信装置の構成を示す。
【図17】伝搬路推定部の構成を示す。
【図18】受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図19】変形例の伝搬路推定部の構成を示す。
【図20】パス抽出部の構成を示す図である。
【図21】パス抽出の処理を示すフローチャートである。
【図22】マルチパスの影響を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線通信システム1の概要を示す図である。
無線通信システム1は、送信装置1aおよび受信装置1bを備える。送信装置1aは、例えば、移動通信システムの基地局(「基地局装置」と言うことがある。)であり、受信装置1bは、当該システムの端末(「端末装置」、「移動局」または「移動局装置」と言うことがある。)である。その代わりに、送信装置1aは、移動通信システム1の端末であり、受信装置1bは、当該システムの基地局であってもよい。
送信装置1aは、T個の送信アンテナ1a−1〜1a−Tを備え、そして受信装置1bは、R個の受信アンテナ1b−1〜1b−Rを備える。したがって、無線通信システム1は、T×R MIMO、特に、T×Rのシングルユーザー MIMOを構成する。なお、MIMOのことを「マイモ」と言うことがある。
無線通信システム1は、送信アンテナの数がT=2で受信アンテナの数がR=2の2×2 MIMOであってもよいし、送信アンテナの数がT=4で受信アンテナの数がR=4の4×4 MIMOであってもよいし、または送信アンテナの数がT=8で受信アンテナの数がR=8の8×8 MIMOであってもよい。
【0021】
図2は、送信装置1aの構成を示す概略ブロック図である。
送信装置1aは、パイロット生成部201−t、符号部202−t、変調部203−t、マッピング部204−t、IFFT部205−t、GI挿入部206−tおよび送信部207−tを備える。ここで、t=1、2、・・・、Tである。図2では、送信アンテナ1a−tを併せて示す。図2では、t=1、t=2、t=Tの3つの場合のみを簡略化して示す。
【0022】
パイロット生成部201−tは、パイロットシンボル(または「パイロット信号系列」であってもよい。)を生成し、マッピング部204−tに出力する。
符号部202−tには、送信する情報ビットが入力する。送信する情報ビットのことを「データ」と言うことがある。
符号部202−tは、この情報ビットを、畳込み符号、ターボ符号、LDPC(Low Density Parity Check; 低密度パリティ検査)符号などの誤り訂正符号を用いて、符号化し、符号化ビットを生成する。符号部202−tは、生成した符号化ビットを変調部203−tに出力する。
変調部203−tは、符号化ビットを、PSK(Phase Shift Keying; 位相変調)やQAM(Quadrature Amplitude Modulation; 直交振幅変調)などの変調方式を用いて変調して、変調シンボルを生成する。
変調部203−tは、生成した変調シンボルをマッピング部204−tに出力する。
【0023】
マッピング部204−tは、パイロット生成部201−tが出力するパイロットシンボルおよび変調部203−tが出力する変調シンボルを、予め定められたマッピング情報に基づいて複数のリソースエレメントにマッピングして、周波数領域の信号を生成する。マッピング部204−tは、生成した周波数領域の信号をIFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)部205−tに出力する。
なお、リソースエレメントとは、送信装置1aが送信する1個のフレームにおいて、周波数軸上の1つのサブキャリアと時間軸上の1つのシンボル区間とから成る単位である。
マッピング情報は、送信装置1aが決定し、送信装置1aから受信装置1bへ予め通知される。マッピング情報は、受信装置1bが決定して、このマッピング情報を送信装置1aへ通知してもよい。
【0024】
図3は、送信アンテナ数TがT=4である場合であって、アンテナ1〜4から4ストリームを送信するときに、パイロットシンボルとデータと、をマッピング部204−tにおいてマッピングする際の4つのマッピング図を示す。なお、ストリームの数のことを「レイヤ数」または「ランク数」と言うことがある。
アンテナ1〜4の系列の各マッピング図において、横軸は時間軸であり、縦軸は周波数軸である。横軸には、14個のシンボル区間を示し、縦軸には12個のサブキャリアを示す。各シンボル区間の各サブキャリアを示す四角(□)が、リソースエレメントを表す。
白い四角のリソースエレメントには、データが割り当てられ、点でハッチングした四角のリソースエレメントには、パイロットシンボルが割り当てられる。斜線でハッチングした四角のリソースエレメントは、ヌル(データおよびパイロットシンボルの両方が割り当てられないこと)を表す。
1つのFFT区間において、或るストリームでパイロットシンボルを挿入するリソースエレメントについては、他のストリームにおいてはヌルとすることで、ストリーム毎のパイロットサブキャリアにおける周波数応答の推定を可能にする。なお、パイロットサブキャリアとは、パイロットシンボルが挿入されるリソースエレメントのことである。
【0025】
図2に戻って、IFFT部205−tは、マッピング部204−tから入力される周波数領域の信号を周波数−時間変換し、時間領域の信号を生成する。ここで、IFFTを行う単位の時間区間をFFT区間と言う。IFFT部205−tは、生成した時間領域の信号をGI挿入部206−tに出力する。
GI挿入部206−tは、IFFT部205−tが出力する時間領域の信号に対して、FFT区間の信号毎にガードインターバルを付加する。ガードインターバルとは、FFT区間の信号の後方の一部を複製したものを、FFT区間の信号の前方に付加した部分を言う。ガードインターバルのことを「GI」と言うことがある。
FFT区間と、ガードインターバルの時間区間(「GI区間」と言うことがある。)とを合わせて、OFDMシンボル区間と言う。また、OFDMシンボル区間の信号をOFDMシンボルと言う。GI挿入部206−tは、ガードインターバルを付加した信号を送信部207−tに出力する。
【0026】
送信部207−tは、GI挿入部206−tが出力する信号をディジタル−アナログ変換(「D/A変換」と言うことがある。)し、変換したアナログ信号を波形整形する。また、送信部207−tは、波形整形した信号をベースバンドから無線周波数帯にアップコンバートし、次に送信アンテナ1a−tから受信装置1bへ無線波として送信する。
【0027】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る受信装置1bの構成を示す概略ブロック図である。
図4において、受信装置1bは、受信部402−r、GI除去部403−r、FFT部404−r、デマッピング部405−r、伝搬路推定部406、MIMO検出部407および復号部408−tを備える。ここで、r=1、2、・・・、Rである。t=1、2、・・・、Tである。図4では、受信アンテナ1b−rをも併せて示す。図4では、r=1、r=2、r=Rの3つの場合、およびt=1、t=2、t=Tの3つの場合のみを簡略化して示す。
【0028】
受信部402−rは、送信装置1aが送信した送信信号を、受信アンテナ1b−rを介して受信する。この送信信号は、T個のストリームから成る。受信部402−rは、受信した信号に対して、ベースバンドへの周波数変換を行い、次にアナログ−ディジタル変換(「A/D変換」と言うことがある。)を行ってから、GI除去部403−rに出力する。
GI除去部403−rは、受信部402−rから入力される信号からGIを除去し、GIを除去した信号をFFT部404−rに出力する。
FFT部404−rは、GI除去部403−rが出力する時間領域の信号に対して時間−周波数変換を行い、変換した周波数領域の信号をデマッピング部405−rに出力する。
デマッピング部405−rは、この周波数領域の信号を、パイロットシンボルとデータとに分離する。デマッピング部405−rは、分離したデータをMIMO検出部407に出力し、そして分離したパイロットシンボルを伝搬路推定部406に出力する。
【0029】
図5は、伝搬路推定部406の構成を示す概略ブロック図である。
伝搬路推定部406は、CFR推定部501−r、チャネル選択部502−r、パス抽出部503−r、CIR推定部504−rおよびFFT部505−t−rを備える。CFR推定部のことを「周波数応答推定部」と言うことがある。また、CIR推定部のことを「チャネルインパルス応答推定部」と言うことがある。なお、図5には、デマッピング部405−rおよびMIMO検出部407を併せて示す。
【0030】
CFR推定部501−rは、デマッピング部405−rが出力するパイロットシンボルを用いて、パイロットサブキャリアの周波数応答を推定する。CFR推定部501−rは、r番目の受信アンテナにおける受信信号に含まれるT個のストリームすべてに対して、周波数応答推定値を算出する。CFR推定部501−rは、T個の周波数応答推定値をチャネル選択部502−rに出力する。
チャネル選択部502−rは、CFR推定部401−rが出力するT個の周波数応答推定値のうち、最も良いと判断した一つの周波数応答推定値を選択して、この選択した1つの周波数応答推定値をパス抽出部503−rに出力する。
チャネル選択部502−rの動作の詳細は、後述する。
また、チャネル選択部502−rは、選択しなかった周波数応答推定値をCIR推定部504−rに出力する。この選択しなかった周波数応答推定値は、(T-1)個ある。
【0031】
パス抽出部503−rは、チャネル選択部502−rが出力する周波数応答推定値を用いて、パス抽出を行う。パス抽出部503−rの動作の詳細は、後述する。
パス抽出部503−rは、抽出したパス情報(「パス番号」とか「遅延数」とかと言うことがある。)をCIR推定部504−rに出力する。また、パス抽出部503−rは、チャネル選択部502−rから受け取った一つの周波数応答推定値を、そのままCIR推定部504−rに出力する。
【0032】
CIR推定部504−rは、チャネル選択部502−rとパス抽出部503−rとから受け取った全体でT個の周波数応答推定値と、パス抽出部502−rから受け取ったパス情報とを用いて、T個のチャネルインパルス応答を推定する。周波数応答推定値は周波数の関数であるが、チャネルインパルス応答は、時間の関数である。CIR推定部504−rの動作の詳細は、後述する。なお、パス抽出部503−rは、パス抽出と同時にチャネルインパルス応答推定値を算出することができる。その場合は、算出したチャネルインパルス応答推定値をCIR推定部504−rへ送出し、CIR推定部504−rは、このチャネルインパルス応答推定値をそのまま用いることができる。
【0033】
CIR推定部504−rは、T個のチャネルインパルス応答推定値を、FFT部505−t−rに出力する。
例えば、CIR推定部504−2は、送信アンテナt=1に関するチャネルインパルス応答推定値をFFT部505−1−2に出力する。CIR推定部504−2は、送信アンテナt=Tに関するチャネルインパルス応答推定値をFFT部505−T−2に出力する。
【0034】
FFT部505−t−rは、CIR推定部504−rが出力するチャネルインパルス応答推定値に時間−周波数変換を施して、復調用周波数応答推定値に変換し、次にこのTR個の復調用周波数応答推定値をMIMO検出部407に出力する。
【0035】
図4に戻って、MIMO検出部407は、デマッピング部405−rの出力(データがマッピングされたサブキャリアの受信信号)と、伝搬路推定部406のFFT部505−t−rが出力するTR個の復調用周波数応答推定値と、を用いて、MIMO分離を行う。
具体的には、このMIMO分離は、ZF(Zero Forcing)基準、MMSE(Minimum Mean Square Error)基準等を用いた線形処理とか、MLD(Maximum Likelihood Detection)等の非線形処理とか、の公知技術を用いて行う。
この結果得られるT個の復調結果を、復号部408−tに出力する。
【0036】
復号部408−tは、MIMO検出部407が出力する復調結果を用いて復号を行う。具体的には、復号部408−tは、最尤復号法、最大事後確率推定(MAP; Maximum A posteriori Probability)、log−MAP、Max−log−MAP、SOVA(Soft Output Viterbi Algorithm)等を用いて、復号処理を行い、情報ビットを出力する。
なお、ZF処理とかMMSE処理とかを用いる場合は、MIMO検出部407は、MIMO分離と、その後の符号化ビットの対数尤度比を求める復調処理と、を行う。MLD処理の場合は、MIMO分離により得られる情報は、符号化ビットの対数尤度比となり、したがって、MIMO検出部407においてMIMO分離と復調処理とが併せて行われる。
【0037】
以下、受信装置1bの受信部402−r、FFT部404−r、MIMO検出部407および伝播路推定部406の動作を、数式を交えて、さらに詳細に説明する。
まず、図4において、受信アンテナ401−rを介して受信部402−rが受信した第iOFDMシンボルにおける第k離散時間の受信信号ri,k,r(k=0、1、・・・、Ng+N−1)は、次式(1)、(2)で表される。
【0038】
【数1】
【0039】
【数2】
【0040】
ここで、Dは、最大遅延数である。hi,d,k,r,tは、第d遅延パスの第k離散時間における第tアンテナから第rアンテナへの複素振幅である。si,k,tは、第t送信アンテナからの時間領域の送信信号であり、そしてZi,k,rは、時間領域の雑音である。また、Nは、FFT区間のポイント数である。Si,n,tは、第nサブキャリアの第tアンテナからの変調シンボルである。Ngは、GI区間のポイント数である。jは、虚数単位である。なお、各変数の添字iは、OFDMシンボルが第i番目のものであることを示す。
【0041】
図6は、受信装置1bが受信する受信信号を説明する簡略化した図である。
説明を簡素化するために、ここでは、T=R=1で説明する。つまり、送信アンテナの個数がT=1で、受信アンテナの個数がR=1の場合について、説明をする。そのため、この例についての説明では、tとrの添字は省略する。
図6において、上から順に直達波(「遅延数d=0の遅延波」と言うことがある。)、d=1の遅延波、d=2の遅延波およびd=3の遅延波(「最大遅延数の遅延波」と言うことがある。)を示す。
【0042】
図6において、横に8個並んだ白の四角(□)の集合は、FFT区間を表す。また、横に2個並んだ小さな点でハッチングした四角の集合は、ガード区間GIを表す。横に何個か並んだ斜線でハッチングした四角の集合は、先行または後行のFFT区間の一部分を表す。GI区間のポイント数は、Ng=2であり、FFT区間のポイント数は、N=8であり、そして最大遅延数は、D=3である。つまり、GI区間は、2つの離散時間を占有し、FFT区間は、8つの離散時間を占有し、そしてパスは、4個である。
【0043】
図6において、離散時間k=5における遅延数0〜3の4つの遅延波を、枠601で囲んで示す。枠601内の受信信号hi,0,5si,5〜hi,3,5si,2の和が、式(1)の左辺のri,5,rを表す。
【0044】
図4へ戻って、FFT区間(図6では、離散時間k=2〜9の区間)の受信信号ri,k,rに対して、FFT部404−rにおいて時間−周波数変換を行った後の第nサブキャリアの受信信号Ri,n,rは、次式(3)〜(5)で表される。
【0045】
【数3】
【0046】
【数4】
【0047】
【数5】
【0048】
ここで、Hi,n,r,tは、第iシンボルにおける第nサブキャリアの第t送信アンテナから第r受信アンテナへの周波数応答である。Z’i,n,rは、シンボル間干渉(ISI; Inter Symbol Interference)およびキャリア間干渉(ICI; Inter Carrier Interference)の和である。Zi,n,rは、周波数領域の雑音である。なお、最大遅延数Dの場合の遅延時間がGI区間Ngを超えず、OFDMシンボル内での伝搬路変動が無い場合(すなわち、hi,d,k,r,t=hi,d,r,tと書ける場合)は、Z’i,n,rはゼロになる。
なお、max(Ng,d)は、Ngとdのうち、大きい方という意味である。しあがって、d≦Ng、すなわち、遅延数がGI長以内のパスについては、k=NgからNg+N−1までの和となる。d>NgのGI超えパスについては、k=dからNg+N−1までの和となる。
伝搬路推定部406の動作の詳細は、後述する。
次に、復調用周波数応答推定値が得られているものとして、MIMO検出部407の説明を行う。なお、復調用周波数応答推定値については、既に、伝搬路推定部406の詳細を示す図5に関連して言及した。
【0049】
MIMO検出部407では、例えばMMSE規範のMIMO分離を用いる場合、復調シンボルS’i,n,tは、次式(6)、(7)のようになる。
【0050】
【数6】
【0051】
【数7】
【0052】
ただし、Ri,n,rは、第nサブキャリアの受信信号であって、式(3)で示されるものである。Hi,nは、R×Tの行列であり、その要素であるH’’i,n,r,tは、後述する伝播路推定部406における伝搬路推定処理で得られるTR個の復調用周波数応答推定値である。行列(またはベクトル)Xに対して、XTは、Xの転置を表す。
σ2は、雑音ならびにISIおよびICIの電力である。
また、MIMO検出部407では、上記の復調シンボルS’i,n,tを用いてビット対数尤度比を算出する処理を行う。この処理には、等価振幅利得が用いられる。
具体的には、QPSK(4相位相変調)の場合、次式(8)で表される第nサブキャリアの等価振幅利得μi,n,tに対して、ビット対数尤度比λは、次式(9)、(10)で表される。
【0053】
【数8】
【0054】
ただし、式(8)のdiagは、行列の対角要素を縦に並べたベクトルを生成する演算子である。
ここで、式(9)は、QPSKの1ビット目のビットbi,n,t,0のビット対数尤度比λ(bi,n,t,0)である。式(10)は、QPSKの2ビット目のビットbi,n,t,1のビット対数尤度比λ(bi,n,t,1)である。
【0055】
【数9】
【0056】
【数10】
【0057】
次に、再び図5を参照して、伝搬路推定部406の説明を詳細に行う。
CFR推定部501−rは、デマッピング部405−rから出力されるパイロットサブキャリアの受信信号を用いて、パイロットサブキャリアの周波数応答推定値を算出する。具体的には、パイロットサブキャリアの周波数応答推定値は、受信信号を既知のパイロットシンボルで除算することによって得られる。
なお、図3のようなパイロットシンボルの配置の場合、或る送信アンテナのパイロットシンボルが挿入されているサブキャリアにおいて、他の送信アンテナの信号はヌルであるので、周波数応答推定値H’i,n,r,t(t=1,・・・,T)は、次式に示すように、式(3)のRi,n,rを式(3)の右辺で用いるSi,n,tで除算する演算によって、得ることができる。
【0058】
【数11】
【0059】
なお、式(11)の周波数応答推定値H’i,n,r,tおよび式(7)右辺の周波数応答推定値H‘’i,n,r,tは、パイロットサブキャリアにおいて、後者が前者よりも周波数領域の雑音の影響が低減されている点を除けば、同一である。
【0060】
チャネル選択部502−rでは、CFR推定部501−rから入力されるT個の周波数応答推定値H’i,n,r,t(t=1,・・・,T)のうち、最も良いものを選択する。具体的には、例えば、電力の合計値Pi,r,tが最も大きくなるものを選択する。なお、このとき算出した電力の平均値からパイロットシンボルの電力を減算したものを雑音電力とし、この雑音電力をMIMO検出部407で用いる。
【0061】
【数12】
【0062】
ただし、naはa番目のパイロットサブキャリアを表し、NPはパイロットサブキャリアの数である。a=0、・・・、Np−1である。
また、これらのチャネル選択およびパス抽出の処理は一定間隔で更新すればよく、例えば、図3において14個のOFDMシンボルが描かれているが、1つ目のOFDMシンボルで行い、残りの13個のOFDMシンボルでは1つ目のOFDMシンボルにおけるパス抽出結果を用いるようにしてもよい。続いて受信される次の14個のOFDMシンボルにおいても同様の動作を行うようにすればよい。なお、1つ目のOFDMシンボルではt=3、4のパイロットサブキャリアが存在しないが、2つ目のOFDMシンボルのものを代用するようにしてもよいし、14個のOFDMシンボルの間は伝搬路変動はないとして、全てのパイロットサブキャリアを用いてもよい。
【0063】
パス抽出部503−rでは、チャネル選択部502−rから1つの周波数応答推定値が入力される。この周波数応答推定値は、複数のパスを含む。パス抽出部503−rは、この複数のパスから一つ又は若干のパスを抽出する。
【0064】
図7は、パス抽出部503−rの構成を示す概略的ブロック図である。
パス抽出部503−rは、伝搬路適合度算出部701、不要候補パス除去部702、判断部703およびパス決定部704を備える。なお、図7には、チャネル選択部502−rおよびCIR推定部504−rを併せて示す。また、パス抽出部503−rは、一次記憶場所(図面を見やすくするために図示せず)として、「選択したパス(selected_path)」、「候補パス(candidate_path)」、「1つ前の伝搬路適合度(channel_match_prev)」、「伝搬路適合度(channel_match)」および「伝搬路(channel)」を備える。
【0065】
伝搬路適合度算出部701、不要候補パス除去部702および判断部703は、縦続に接続される。
伝搬路適合度算出部701には、既述のように、チャネル選択部502−rから、選択された1つのストリームにおける周波数応答推定値が入力される。この周波数応答推定値は、既述のように、複数のパスを含む。
【0066】
伝搬路適合度算出部701は、「候補パス(candidate_path)」の要素と、パス決定部704から入力された「選択したパス(selected_path)」の要素と、に基づいて、チャネルインパルス応答を推定し、次いで、各場合の伝搬路適合度を計算して、「伝搬路適合度(channel_match)」に保存する。伝搬路適合度の算出の詳細は、後述する。
【0067】
伝搬路適合度算出部701は、算出した伝搬路適合度を不要候補パス除去部702に出力する。
不要候補パス除去部702は、入力された伝搬路適合度を「1つ前の伝搬路適合度(channel_match_prev)」の要素と比較して、前者が後者より小さい場合は、その小さな伝搬路適合度を「伝搬路適合度(channel_match_prev)」の内容から削除する。また、不要候補パス除去部702は、その小さな伝播路適合度に対応する「候補パス(candidate_path)」の要素も削除する。
【0068】
不要候補パス除去部702は、「選択したパス(selected_path)」に保存されている選択パスのパス番号を抽出して、判断部703に出力する。また、不要候補パス除去部702は、「候補パス(candidate_path)」に保存されている候補パスを抽出して、判断部703に出力する。
判断部703は、不要候補パス除去部702の出力に候補パスが存在しない場合、すなわち「候補パス(candidate_path)」の内容が空である場合、選択パスのパス番号をCIR推定部504−rに出力する。判断部703は、不要候補パス除去部702の出力に候補パスが存在する場合、「伝搬路適合度(channel_match)」に保存されている伝播路適合度を抽出して、パス決定部704へ出力する。
パス決定部704は、判断部703から入力された伝播路適合度のうち一番大きなものを選択して、「1つ前の伝搬路適合度(channel_match_prev)」に重ね書きする。したがって、「1つ前の伝搬路適合度(channel_match_prev)」に保存されている内容は、この一番大きな伝播路適合度になる。
【0069】
パス決定部704は、この一番大きな伝播路適合度に対応する「伝搬路適合度(channel_match)」の要素を「選択したパス(selected_path)」に移動する。したがって、この要素は、「伝搬路適合度(channel_match)」の内容から削除される。
パス決定部704は、「選択したパス(selected_path)」の要素を抽出して、伝搬路適合度算出部701へ出力する。
【0070】
図8は、パス抽出部503−rにおけるパス抽出の処理を示すフローチャートである。Lは、パス抽出部503−rが想定する最大遅延度である。
(ステップS801)
初期値として、一次記憶場所の「選択したパス(selected_path)」を空とし、一次記憶場所の「候補パス(candidate_path)」を0〜Lとし、一次記憶場所の「1つ前の伝搬路適合度(channel_match_prev)」を小さい値(例えば、負の無限大)とする。また、一次記憶場所の「伝搬路適合度(channel_match)」と「伝搬路(channel)」の初期値として、任意の値(例えばゼロ)を設定する。その後、ステップS802に進む。
(ステップS802)
「選択したパス(selected_path)」に保存されているパスに、「候補パス(candidate_path)」の1つのパスを加えた場合の、チャネルインパルス応答hqを推定する。この操作を複数回だけ行う。具体的には、チャネルインパルス応答hqは、次式により算出する。
【0071】
【数13】
【0072】
ただし、qは、「選択したパス(selected_path)」のパスに、「候補パス(candidate_path)」に保存されている(L+1)個の候補パスの中で削除されていないうちの1個を、追加したパスの集合である。
HPは、CFR推定部501−rで得られる周波数応答推定値を縦に並べたベクトルであって、次式で与えられる。
【0073】
【数14】
【0074】
Fqは、次式で与えられるフーリエ変換行列である。
【0075】
【数15】
【0076】
ただし、naは、a番目のパイロットサブキャリアを表す。また、lbは、qのb番目の要素を表す。
次に、パス抽出部503−rは、スカラー量として表される伝搬路適合度Bqを次式のように算出する。
【0077】
【数16】
【0078】
ただし、|q|はqの要素数、すなわちその時点で抽出されているパス数である。NPはパイロットサブキャリアの数である。
伝搬路適合度Bqは、式(13)のチャネルインパルス応答hqが式(14)の周波数応答推定値のベクトルHPにどれだけ適合しているかを表す量である。
なお、上式は、ベイズ情報量規準を伝搬路適合度として用いた場合の式である。
パス抽出部503−rは、このチャネルインパルス応答推定値の算出と伝搬路適合度の算出とを、候補パスの数だけ行い、この伝播路適合度を一次記憶場所の「伝搬路適合度(channel_match)」に保存する。その後、ステップS803に進む。なお、チャネルインパルス応答の推定に、ステップS805で得られるchannelの値を用いて計算量を削減してもよい。
【0079】
(ステップS803)
ステップS803では「伝搬路適合度(channel_match)」に保存された伝搬路適合度が、「1つ前の伝搬路適合度(channel_match_prev)」に保存されているパスのみによる伝搬路適合度より小さい場合は、その小さなパスは、候補パスから除去する。すなわち、対応するパス番号を、一次記憶場所の「候補パス(candidate_path)から削除する。また、「伝搬路適合度(channel_match)」からも対応するものを削除する。その後、ステップS804に進む。
(ステップS804)
ステップS803によって候補パスが無くなった場合、すなわち一次記憶場所の「候補パス(candidate_path)」が空になった場合、処理を終了する。候補パスが残っている場合はステップS805に進む。
【0080】
(ステップS805)
得られた伝搬路適合度(channel_match)のうち、最大のものに対応する「候補パス(candidate_path)」の要素を、新たな選択パスとして「選択したパス(selected_path)」に移動して保存する。したがって、その要素は、「候補パス(candidate_path)」から削除される。また、このときのチャネルインパルス応答を一次記憶場所の「チャネル(channel)」に保存する。また、このときの伝搬路適合度を、一次記憶場所の「1つ前の伝搬路適合度(channel_match_prev)」に保存する。その後、ステップS806に進む。
(ステップS806)
ステップS805によって候補パスが無くなった場合、すなわち、一時記憶場所の「候補パス(candidate_path)」が空になった場合、処理を終了する。候補パスが残っている場合はステップS802に戻る。
【0081】
最終的に一次記憶場所の「選択したパス(selected_path)」に保存されているパス番号が選択パスであるので、これをCIR推定部504−rに出力する。
また、パス抽出を行ったチャネルに関しては、チャネルインパルス応答推定値も得られているので、これをそのままCIR推定部504−rに出力し、CIR推定部504−rにおけるチャネルインパルス応答推定処理を1つ省略してもよい。
CIR推定部504−rでは、チャネル選択部502−rから入力されるT個の周波数応答推定値とパス抽出部503−rから入力されるパス情報を用いてT個のチャネルインパルス応答を推定して、このT個のチャネルインパルス応答をFFT部505−t−rに出力する。
【0082】
図9は、CIR推定部504−rの構成を示す概略的ブロック図である。
CIR推定部504−rは、重み生成部901−r−t、分配部902−r、重み乗算部903−r−tから構成される。図9では、チャネル選択部502−r、パス抽出部503−rおよびFFT部505−t−rをも併せて示す。ここでt=1、2、・・・、Tである。図9では、t=1、t=2、t=Tの3つの場合を簡略化して示す。
【0083】
重み生成部901−r−tは、パス抽出部503−rから入力されるパス情報qに基づいて、CIR(チャネルインパルス応答)を推定するための重み行列を生成する。
具体的には、第tストリームの重み行列W(t)は、次式(17)で表される。
【0084】
【数17】
【0085】
ここで、Fq(t)は、式(15)で表されるフーリエ変換行列Fqを構成するパイロットサブキャリアn0、n1、・・・nNP−1を、第tストリームのものに置き換えた行列である。
以上の点を図3を参照して説明をする。図3のマッピング図は、送信アンテナが4個存在する例である。図3の先頭の時間の処理を考える。すなわち、4個のマッピング図の時間軸上で一番左端のシンボルについて考える。式(17)の右辺で用いられているFq(t)では、t=1〜4となる。t=1の送信アンテナ1では、周波数軸上で下から0、6、12、・・・番目のリソースエレメントにパイロットシンボルが配置される。したがって、式(17)のFq(1)というものは、式(15)の右辺のn0、n1、・・・、を0、6、12、・・・にしたものである。同様にして、t=2の送信アンテナ2では、周波数軸上で下から3、9、15、・・・番目のリソースエレメントにパイロットシンボルが配置されているから、式(17)のFq(2)というものは、式(15)の右辺のn0、n1、・・・、を3、9、15、・・・にしたものである。
【0086】
なお、t=3、4の送信アンテナ3、4では、時間軸上で一番左端のシンボルについてはパイロットシンボルが存在せず、左端から2番目のシンボルにパイロットシンボルが存在する。この場合は、例えば、先頭のシンボルとその次のシンボルの2つの時間を同時に処理をしてもよい。この場合、先頭のシンボルとその次のシンボルでは伝搬路変動はないものと仮定し、最終的に算出される復調用周波数応答推定値もこの2つのシンボルで共有することができる。
なお、パス抽出部503−rから入力されるパス番号は、重み生成部901−r−1〜901−r−Tに共通に入力される。すなち、このパス番号の集合は、式(17)の右辺で「q」として示されている。
【0087】
分配部902−rは、チャネル選択部502−rから入力される選択しなかった(T−1)個の周波数応答推定値を受け取る。分配部902−rは、パス抽出部503−rから入力される選択した1個の周波数応答推定値を受け取る。分配器902−rは、この全体でT個の周波数応答推定値を、対応する重み乗算部903−r−tに分配する。
なお、チャネル選択部502−rは、選択したチャネルについても、その周波数応答推定値を出力するようにしてもよい。
【0088】
重み乗算部903−r−tは、重み生成部901−r−tから入力される重み行列と、分配部902−rから入力される第tストリームの周波数応答推定値をベクトルとしたものを乗算し、第tストリームのチャネルインパルス応答推定値とする。これをFFT部505−t−rに出力する。
【0089】
図10は、CIR推定部504−rの処理を示すフローチャートである。
なお、図10が示す動作は、図9のパス抽出部503−rがパス情報をCIR推定部504−rに出力した後の処理である。
(ステップS1001)
重み生成部901−r−tは、パス抽出部503−rから入力されるパス情報を用いて、第tストリーム用の重み行列を生成する。その後、ステップS1002に進む。
【0090】
(ステップS1002)
分配部902−rは、チャネル選択部502−rから入力される選択されなかった(T−1)個の周波数応答推定値およびパス抽出部503−rからの1個の周波数応答推定値を、対応する重み乗算部903−r−tに出力して、分配する。その後、ステップS1003に進む。
(ステップS1003)
重み乗算部903−r−tは、ステップS1001で得られる重み行列とステップS1002で得られる周波数応答推定値とを乗算し、CIR推定値を算出する。この推定値は、FFT部505−t−rに出力される。その後、CIR推定部504−rは動作を終了する。
【0091】
FFT部505−t−rは、CIR推定部504−rから入力されたT個のチャネルインパルス応答に対して時間−周波数変換を施すことでチャネルインパルス応答を復調用周波数応答推定値に変換し、次いでこの復調用周波数応答推定値をMIMO検出部407に出力する。
【0092】
図11は、本実施形態に係る受信装置1bの動作を示すフローチャートである。
なお、図11が示す動作は、図4の受信部402−rが受信信号をGI除去部403−rに出力した後の処理である。
【0093】
(ステップS1101)
GI除去部403−rは、受信信号からガードインターバルを除去する。その後、ステップS1102に進む。
(ステップS1102)
FFT部404−rは、ステップS1101で得られる信号に対して時間-周波数変換を行う。デマッピング部405−rは、得られた周波数領域の信号からデータとパイロットを分離する。デマッピング部405−rは、パイロットサブキャリアの受信信号を伝搬路推定部406に出力した後、ステップS1103に進む。
(ステップS1103)
【0094】
伝搬路推定部406のCFR推定部501−rは、パイロットサブキャリアの受信信号から、送信アンテナそれぞれについての周波数応答推定値を算出する。次に、チャネル選択部502−rは、その中から電力の総和が最大のものを選択する。その後、ステップS1104に進む。
(ステップS1104)
パス抽出部503−rは、ステップS1103で得られるチャネルにおける周波数応答推定値を用いてパス抽出を行う。その後、ステップS1105に進む。
【0095】
(ステップS1105)
CIR推定部504−rは、ステップS1104で得られるパス情報を用いて、送信アンテナそれぞれについてのチャネルインパルス応答推定値を算出する。その後、ステップS1106に進む。
(ステップS1106)
ステップS1105で得られるチャネルインパルス応答推定値を、FFT部505−t−rにおいて復調用周波数応答推定値に変換した後、MIMO検出部407でMIMO分離を行う。その後、ステップS1107に進む。
(ステップS1107)
ステップS1106で得られるMIMO分離結果を用いて、復号を行う。その後、受信装置1bは動作を終了する。
【0096】
このように、本実施形態によれば、受信装置1bは、TR個必要なパス抽出部をR個に抑えているため、計算量を大きく削減することができ、回路規模を大きく削減することができ、しかも受信装置の消費電力を大きく低減することができる。
【0097】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、受信アンテナrにおける、T通りのチャネルのうち、1つのチャネルを用いてパス抽出を行い、その結果を用いて残りのT−1個のチャネルについてのチャネルインパルス応答を推定する方法について説明した。
第2の実施形態では、受信アンテナ毎の処理ではなく、送信アンテナ毎の処理を行う。
【0098】
第2の実施形態の通信システムは、送信装置2aおよび受信装置2bを備える。
第2の実施形態の送信装置2aの構成は、図2に示す第1の実施形態の送信装置1aの構成と同じである。したがって、その説明を省略する。
【0099】
図12は、第2の実施形態の受信装置2bの構成を示す概略図である。
受信装置2bは、受信部402−r、GI除去部403−r、FFT部404−r、デマッピング部405−r、伝搬路推定部1206、MIMO検出部407および復号部408−tを備える。ここで、r=1、2、・・・、Rであり、そしてt=1、2、・・・、Tである。図12には、受信アンテナ1b−rを併せて示す。図12では、r=1、r=2、r=Rの3つの場合、そしてt=1、t=2、t=Tの3つの場合のみを簡略化して示す。
受信装置2bの構成を第1の実施形態の受信装置1bの構成と対比すると、後者の伝搬路推定部406が前者では伝搬路推定部1206となっていて相違する。しかし、他の構成(受信部402−r、GI除去部403−r、FFT部404−r、デマッピング部405−r、MIMO検出部407および復号部408−tの構成)は同一であるので、その説明を省略する。
【0100】
図13は、伝搬路推定部1206の構成を示す概略ブロック図である。
伝搬路推定部1206は、CFR推定部1301−r、チャネル選択部1302−t、パス抽出部1303−t、CIR推定部1304−t、FFT部1305−t−rを備える。図13には、デマッピング部405−rおよびMIMO検出部407を併せて示す。
【0101】
CFR推定部1301−rは、デマッピング部405−rが出力するパイロットサブキャリアの受信信号を用いて、パイロットサブキャリアの周波数応答を推定する。CFR推定部1301−rは、r番目の受信アンテナにおける受信信号に含まれるT個のストリームすべてに対して、周波数応答推定値を算出する。
CFR推定部1301−rは、T個の周波数応答推定値をチャネル選択部1302−tに出力する。
【0102】
例えば、チャネル選択部1302−1には、CFR推定部1301−1〜1301−Rから第1送信アンテナにおけるチャネルの周波数応答推定値が入力される。チャネル選択部1302−2には、CFR推定部1301−1〜1301−Rから第2送信アンテナにおけるチャネルの周波数応答推定値が入力される。チャネル選択部1302−Tには、CFR推定部1301−1〜1301−Rから第T送信アンテナにおけるチャネルの周波数応答推定値が入力される。すなわち、チャネル選択部1302−tには、CFR推定部1301−1〜1301−Rから合計でR個の周波数応答推定値が入力される。
【0103】
チャネル選択部1302−tは、第1の実施形態と同様に、この入力の中からパイロットサブキャリアの伝搬路推定値の電力の総和が最大になるチャネルを選択し、その周波数応答推定値を、パス抽出部1303−tに出力する。
パス抽出部1303−tは、第1の実施形態と同様に、パス抽出を行う。パス抽出部1303−tは、抽出したパス情報をCIR推定部1304−tに出力する。
【0104】
また、チャネル選択部1302−tは、R個の周波数応答推定値をCIR推定部1304−tに出力する。
CIR推定部1304−tは、チャネル選択部1302−tが出力するR個の周波数応答推定値と、パス抽出部1303−tが出力するパス情報とを用いて、チャネルインパルス応答推定値を算出する。
【0105】
CIR推定部1304−tは、算出したチャネルインパルス応答推定値を、対応するFFT部1305−t−rに出力する。
例えば、CIR推定部1304−2は、受信アンテナr=1に関するチャネルインパルス応答推定値をFFT部1305−2−1に出力する。CIR推定部1304−2は、受信アンテナr=Rに関するチャネルインパルス応答推定値をFFT部1305−2−Rに出力する。
FFT部1305−t−rでは、第t送信アンテナから第r受信アンテナへのチャネルにおけるチャネルインパルス応答を復調用周波数応答推定値に変換する。FFT部1305−t−rは、復調用周波数応答推定値をMIMO検出部407に出力する。
【0106】
第1の実施形態では、受信アンテナrで観測されるT通りのチャネルのうち、1つのチャネルを用いてパス抽出を行い、その結果を用いて残りのT−1個のチャネルについてチャネルインパルス応答を推定する方法について説明した。第2の実施形態では、1つの受信アンテナで観測されるチャネルではなく、1つの送信アンテナからR個の受信アンテナへのR個のチャネルの中から1つのチャネルを用いてパス抽出を行い、これにより残りのR−1個のチャネルについてチャネルインパルス応答を推定する。
【0107】
図14は、受信装置2bの動作を説明するフローチャートである。
図14が示す動作は、図12の受信部402−rが受信信号をGI除去部403−rに出力した後の処理である。
(ステップS1401)
GI除去部403−rは、受信信号からガードインターバルを除去する。その後、ステップS1402に進む。
(ステップS1402)
FFT部404−rは、ステップS1401で得られる信号に対して時間−周波数変換を行う。デマッピング部405−rは、得られた周波数領域の信号からデータとパイロットを分離する。デマッピング部405−rがパイロットサブキャリアの受信信号を伝搬路推定部1206に出力した後、ステップS1403に進む。
(ステップS1403)
CFR推定部1301−rは、得られたパイロットサブキャリアの受信信号から、送信アンテナそれぞれについての周波数応答推定値を算出する。そのうち、第t送信アンテナからのR個のチャネルにおける周波数応答推定値を、チャネル選択部1302−tに出力する。チャネル選択部1302−tは、その中から電力の総和が最大のものを選択する。その後、ステップS1404に進む。
(ステップS1404)
パス抽出部1303−tは、ステップS1403で得られるチャネルにおける周波数応答推定値を用いて、パス抽出を行う。その後、ステップS1405に進む。
(ステップS1405)
CIR推定部1304−tは、ステップS1404で得られるパス情報およびチャネル選択部1302−tからのR個の周波数応答推定値を用いて、受信アンテナそれぞれについてのチャネルインパルス応答推定値を算出する。その後、ステップS1406に進む。
(ステップS1406)
ステップS1405で得られるチャネルインパルス応答推定値を、FFT部1305−t−rにおいて復調用周波数応答推定値に変換した後、MIMO検出部407でMIMO分離を行う。その後、ステップS1407に進む。
(ステップS1407)
ステップS1406で得られるMIMO分離結果を用いて、復号を行う。その後、受信装置2bは動作を終了する。
このように、本実施形態によれば、図13に示した通り、TR個必要なパス抽出部をT個に抑えているため、計算量を大きく削減することができ、回路規模を大きく削減することができ、しかも消費電力を大きく低減することができる。
【0108】
<第3の実施形態>
第1の実施形態では、受信アンテナ毎に1つのパス抽出を行う場合について説明し、第2の実施形態では、送信アンテナ毎に1つのパス抽出を行う場合について説明をした。
本実施形態では、送信装置の送信アンテナの個数をTとし、受信装置の受信アンテナの個数をR個とした場合の、TR個のチャネルから、パス情報を共有するチャネルをP個に分ける方法について説明する。
【0109】
図15は、第3の実施形態に係る無線通信システム3の概要を示す図である。
無線通信システム3は、送信装置3a−1〜3a−Pおよび受信装置3bを備える。送信装置3a−1〜3a−Pは、例えば、移動通信システムの基地局であり、受信装置3bは、当該システムの端末である。その代わりに、送信装置3a−1〜3a−Pは、移動通信システム3の端末であり、受信装置3bは、当該システムの基地局であってもよい。
【0110】
送信装置3a−1〜送信装置3a−Pは、全体でT個の送信アンテナを有する。したがって、送信装置3a−pは、1個の送信アンテナを備える場合もあれば、複数個の送信アンテナを備える場合もあるが、図15では、図面を見やすくするために、1個の送信アンテナを備えるものとして示す。送信装置がそれぞれ2個の送信アンテナを備える場合は、送信装置の台数Pは、P=T/2である。送信装置がそれぞれ1個の送信アンテナを備える場合は、送信装置の台数Pは、P=Tである。
無線通信システム3は、T×R MIMO,特に、T×Rのマルチユーザー MIMOを構成する。
【0111】
送信装置3a―p(p=1、・・・、P)の構成は、アンテナの個数および送信装置の内部の経路の個数を除いて、図2に示す第1の実施形態の送信装置1aの構成と同じである。したがって、その説明を省略する。
【0112】
図16は、受信装置3bの構成を示す概略図である。
受信装置3bは、受信部402−r、GI除去部403−r、FFT部404−r、デマッピング部405−r、伝搬路推定部1606、MIMO検出部407および復号部408−tを備える。ここで、r=1、2、・・・、Rであり、そしてt=1、2、・・・、Tである。図16には、受信アンテナ3b−rを併せて示す。図16では、r=1、r=2、r=Rの3つの場合、そしてt=1、t=2、t=Tの3つの場合のみを簡略化して示す。
受信装置3bの構成を第1の実施形態の受信装置1b(図4)の構成と対比すると、後者の伝搬路推定部406が前者では伝搬路推定部1606となっていて相違する。しかし、他の構成(受信部402−r、GI除去部403−r、FFT部404−r、デマッピング部405−r、MIMO検出部407および復号部408−tの構成)は同一であるので、その説明を省略する。
【0113】
図17は、受信装置3bにおける伝搬路推定部1606の構成を示す概略ブロック図である。
伝搬路推定部1606は、CFR推定部1701−r、チャネル選択部1702−p、パス抽出部1703−p、CIR推定部1704−r、FFT部1705−t−r、グルーピング部1706および逆グルーピング部170−7を備える。ここで、r=1、2、・・・、Rであり、そしてt=1、2、・・・、Tであり、そしてp=1、2、・・・、Pである。図17には、デマッピング部405−rおよびMIMO検出部407を併せて示す。
図17では、CFR推定部1701−r、CIR推定部1704−rおよびFFT部1705−t−rについては、r=1、r=2、r=Rの3つの場合を簡略化して示す。チャネル選択部1702−pおよびパス抽出部1703−pについては、p=1、p=2、p=Pの3つの場合を簡略化して示す。
なお、図17には、デマッピング部405−rおよびMIMO検出部407も併せて示す。
【0114】
CFR推定部1701−rは、デマッピング部405−rが出力するパイロットサブキャリアの受信信号を用いて、パイロットサブキャリアの周波数応答を推定する。CFR推定部1701−rは、r番目の受信アンテナにおける受信信号に含まれるT個のストリームすべてに対して、周波数応答推定値を算出する。CFR推定部1701−rは、T個の周波数応答推定値をグルーピング部1706へ出力する。
【0115】
グルーピング部1706は、TR個の周波数応答推定値をP組の群にグループ分けして、チャネル選択部1702−pへ出力する。例えば、P=T/2の場合は、グルーピング部1706は、2R個の周波数応答推定値をチャネル選択部1702−pへ出力する。P=Tの場合は、グルーピング部1706は、R個の周波数応答推定値をチャネル選択部1702−pへ出力する。
したがって、チャネル選択部1702−1〜1702−Pには、全体で、TR個の周波数応答推定値が入力する。
また、グルーピング部1706は、TR個の周波数応答推定値を逆グルーピング部1707へ出力する。
【0116】
チャネル選択部1702−pの動作は,以下のとおりである。
まず、P=Tの場合、つまり送信装置3a−tがT台あって各送信装置が1個の送信アンテナを備える場合について、説明をする。
チャネル選択部1702−1は、送信アンテナ3a−1−1に関するR個の周波数応答推定値から、最も良いと判断した、すなわち、電力の総和が最大となると判断した1つの周波数応答推定値を選択してパス抽出部1703−1に出力する。また、チャネル選択部1702−2は、送信アンテナ3a−2−1に関するR個の周波数応答推定値から、最も良いと判断した1つの周波数応答推定値を選択してパス抽出部1703−2に出力する。また、チャネル選択部1702−Pは、送信アンテナ3a−P−1に関するR個の周波数応答推定値から、最も良いと判断した1つの周波数応答推定値を選択してパス抽出部1703−Pに出力する。
【0117】
つぎに、P=T/2の場合、つまり送信装置3a−tがT/2台あって各送信装置3a−pが2個の送信アンテナを備える場合について、説明をする。
チャネル選択部1702−1は、送信アンテナ3a−1−1および送信アンテナ3a−1−2に関する2R個の周波数応答推定値から、最も良いと判断した一つの周波数応答推定値を選択してパス抽出部1703−1に出力する。また、チャネル選択部1702は、送信アンテナ3a−2−1および3a−2−2に関する2R個の周波数応答推定値から、最も良いと判断した一つの周波数応答推定値を選択してパス抽出部1703−2に出力する。また、チャネル選択部1702−Pは、送信アンテナ3a−P−1および3a−P−2に関する2R個の周波数応答推定値から、最も良いと判断した一つの周波数応答推定値を選択してパス抽出部1403−Pに出力する。
【0118】
以上説明をしたようにして、チャネル選択部1702−pは、TR個の周波数応答推定値を送信装置に関して任意のP組の群にグループ分けして、この群をパス抽出部1703−pに出力する。ただし、P≦Tである。このようなグループ分けは、マルチユーザMIMOの場合に有効であり、また、複数の基地局が連携してデータを送信している場合に有効である。
【0119】
パス抽出部1703−pでは、第1の実施形態および第2の実施形態と同様にパス抽出を行い、パス抽出の結果を逆グルーピング部1707に出力する。
逆グルーピング部1707は、TR個の周波数応答推定値と、パス抽出部1703−pで得られるパス抽出の結果と、を対応するCIR推定部1704−rに出力する。
【0120】
CIR推定部1704−rは、TR個の周波数応答推定値と、パス抽出部1703−pで得られるパス抽出の結果と、を用いてチャネルインパルス応答を推定する。CIR推定部1704−rは、推定されたチャネルインパルス応答をFFT部1705−t−rに出力する。
FFT部1705−t−rは、第t送信アンテナから第r受信アンテナへのチャネルにおけるチャネルインパルス応答を復調用周波数応答推定値に変換する。FFT部1705−t−rは、復調用周波数応答推定値をMIMO検出部407に出力する。
【0121】
図18は、本実施形態に係る受信装置3bの動作を示すフローチャート図である。
なお、この図が示す動作は、図16の受信部402−rが受信信号をGI除去部403−rに出力した後の処理である。
【0122】
(ステップS1801)
GI除去部403−rは、受信信号からガードインターバルを除去する。その後、ステップS1802に進む。
(ステップS1802)
FFT部404−rは、ステップS1801で得られる信号に対して時間−周波数変換を行う。デマッピング部405−rは、得られた周波数領域の信号からデータとパイロットを分離する。デマッピング部405−rは、データがマッピングされたサブキャリアの受信信号をMIMO検出部407へ出力するとともに、パイロットサブキャリアの受信信号を伝搬路推定部1606に出力した後、ステップS1803に進む。
【0123】
(ステップS1803)
ステップS1803では、CFR推定部1701−rは、得られたパイロットサブキャリアの受信信号から、送信アンテナそれぞれについての周波数応答推定値を算出し、次にこの周波数応答推定値をグルーピング部1706へ出力する。グルーピング部1706では、TR個の周波数応答推定値の中からパス情報を共有するチャネルを選択し、これをP組の群にグループ分けして、チャネル選択部1702−pへ出力する。
(ステップS1804)
チャネル選択部1702−pは、グルーピング部1706から入力されたものの中から、最も良いと判断した1つまたは若干の周波数応答推定値を選択するチャネル選択を行って、これをパス抽出部1703−pに出力する。
【0124】
(ステップS1805)
パス抽出部1703−pは、ステップS1804で得られるチャネルにおける周波数応答推定値を用いてパス抽出を行い、次に抽出されたパスを逆グルーピング部1707へ出力する。その後、ステップS1806に進む。
【0125】
(ステップS1806)
逆グルーピング部1707では、ステップS1805で得られるパス情報を、グループ分けしたチャネルに割り当てる。該当する各グループに対して、周波数応答推定値とパス情報を組み合わせ、ステップS1807に進む。
【0126】
(ステップS1807)
CIR推定部1704−rは、ステップS1806で得られるパス情報とステップS1803で得られる周波数応答推定値とを用いて、チャネルインパルス応答推定値を算出する。その後、ステップS1808に進む。
【0127】
(ステップS1808)
ステップS1807で得られるチャネルインパルス応答推定値を、FFT部1705−t−rにおいて復調用周波数応答推定値に変換した後、MIMO検出部407でMIMO分離を行う。その後、ステップS1809に進む。
(ステップS1809)
ステップS1808で得られるMIMO分離結果を用いて、復号部408−tで復号を行う。その後、受信装置3bは動作を終了する。
【0128】
このように、本実施形態によれば、図9で示したように、パス抽出部の数をP個にすることができるため、計算量を大きく削減することができ、回路規模を大きく削減することができ、しかも消費電力を大きく低減することができる。また、第1の実施形態および第2の実施形態とは異なり、複数の基地局が協調しているような場合にも効果を発揮できる。
【0129】
<変形例>
第3の実施形態では、P組にグルーピングしたチャネルの中で、周波数応答推定値の電力の総和が最大のものをパス抽出に用いるチャネルとして選択した。
本変形例では、グルーピングしたチャネルを全て用いてパス抽出を行う場合について説明する。
【0130】
本変形例の無線通信システムの概略の構成は、図15に示す第3の実施形態の構成と同じであるので、これを援用する。すなわち、本変形例の無線通信システムは、複数台の送信装置および1台の受信装置を備える。
本変形例の各送信装置の構成は、アンテナの個数および送信装置の内部の経路の個数を除いて、図2に示す第1の実施形態の送信装置1aの構成と同じである。したがって、その説明を省略する。
【0131】
また、受信装置の構成も、図16の受信装置における伝搬路推定部1606が本変形例の伝搬路推定部と異なるだけで、その余の構成は同じである。したがって、本変形例の伝搬路推定部を以下で詳細に説明することとし、受信装置の他の構成の説明を省略する。
【0132】
図19は、本変形例における伝搬路推定部の構成を示す概略ブロック図である。
この伝搬路推定部は、CFR推定部1701−r、パス抽出部1903−p、CIR推定部1704−r、FFT部1705−t−r、グルーピング部1706および逆グルーピング部1907を備える。図19には、デマッピング部405−rおよびMIMO検出部407も併せて示す。
【0133】
図19の伝搬路推定部と図17の伝搬路推定部1606を対比すると、前者のCFR推定部1701−r、グルーピング部1706、CIR推定部1704−rおよびFFT部1705−t−rは、後者のCFR推定部1701−r、グルーピング部1706、CIR推定部1704−rおよびFFT部1705−t−rと同じである。しかし、前者のパス抽出部1903−pおよび逆グルーピング部1907は、後者のパス抽出部1703−pおよび逆グルーピング部1707と相違する。また、前者では、後者のチャネル選択部1702−rに相当するものが存在しない。したがって、同じ構成要素のCFR推定部1701−r、グルーピング部1706、CIR推定部1704−t−rおよびFFT部1705−t−rの説明を省略する。
【0134】
グルーピング部1706は、グループ分けしたチャネルの周波数応答推定値を全てパス抽出部1903−pに出力する。
パス抽出部1903−pでは、グループ分けしたチャネル全てを用いてパス抽出を行う。
第pグループ内におけるチャネルの番号を、ここではg=1、2、・・・、Gとする。また、チャネルgにおける周波数応答推定ベクトルをHP(g)とし、HP(g)とパス集合qを用いて推定されるチャネルインパルス応答推定ベクトルをhq(g)とする。hq(g)は次式で表される。
【0135】
【数18】
【0136】
また、このときの伝搬路適合度を次式で表す。
【0137】
【数19】
【0138】
上式(18)、(19)を、第1の実施形態における図7の説明中の式(15)、(16)の代わりに用いることで、既述のようにしてパス抽出を行うことができる。
【0139】
図20は、パス抽出部1903−pの構成を示す概略的ブロック図である。
パス抽出部1903−rは、伝搬路適合度算出合計部2001、不要候補パス除去部1702、判断部1703およびパス決定部1704を備える。なお、図20には、グルーピング部1706および逆グルーピング部1907を併せて示す。
【0140】
図20のパス抽出部1903−pと図7のパス抽出部503−rとを対しすると、後者の伝搬路適合度算出部701が前者では伝搬路適合度算出合計部2001となっている点が相違するだけで、他の構成(不要候補パス除去部1702、判断部1703およびパス決定部1704の構成)は同じである。したがって、伝搬路適合度算出合計部2001の説明を以下において行い、他の構成についての説明は、省略する。
【0141】
伝搬路適合度算出合計部2001は、「候補パス(candidate_path)」の要素のうち少なくとも1つと、グルーピング部1706から入力された「選択したパス(selected_path)」の要素全てと、に基づいて、チャネルインパルス応答を推定し、次いで、各場合の伝搬路適合度を計算して、「伝搬路適合度(channel_match)」に保存する。
伝搬路適合度算出合計部2001は、算出した伝搬路適合度を不要候補パス除去部702に出力する。
【0142】
図21は、本変形例に係る受信装置の動作を示すフローチャート図である。なお、この図が示す動作は、図19のグルーピング部1706、パス抽出部1903―p、逆グルーピング部1907およびCIR推定部1704−rまでの動作である。
【0143】
(ステップS2101)
ステップS2101では、CFR推定部1701−1〜17−1−Rで得られるパイロットサブキャリアの周波数応答推定値のTR個を、P組の群にグループ分けして、パス抽出部1903−pに出力する。その後、ステップS2102へ進む。
(ステップS2102)
パス抽出部1903−pは、ステップS2101で得られる周波数応答推定値を全て用いてパス抽出を行い、次に抽出されたパスを逆グルーピング部1907へ出力する。その後、ステップS2103に進む。
【0144】
(ステップS2103)
ステップS2103では、ステップS2102で得られるパス情報を、グループ分けしたチャネルに割り当てる。該当する各グループに対して、周波数応答推定値とパス情報を組み合わせ、ステップS2104に進む。
(ステップS2104)
CIR推定部1704−rは、ステップS2102で得られるパス情報とステップS2101で得られる周波数応答推定値とを用いて、チャネルインパルス応答推定値を算出する。
【0145】
このように、本変形例によれば、図19に示した通り、TR個必要なパス抽出部をP個に抑えているため、計算量を大きく削減することができ、回路規模を大きく削減することができ、しかも消費電力を大きく低減することができる。
また、第1〜第3の実施形態と異なるところの、グルーピングされたチャネル全てを用いてパス抽出を行うため、パス構造が実チャネルと合致しやすく、推定精度が向上する。
【0146】
なお、第1〜第3の実施形態および変形例の説明では、TR個のチャネルより少ないパス抽出を行うことで、計算量を抑えつつ、伝搬路推定精度を向上させ、しかも消費電力を低減することができる処理について説明した。しかしながら、実際には、伝搬路推定精度を向上させるために、パス抽出のような計算量を必要とする処理を行う必要のない場合が存在する。
【0147】
具体的には、受信装置が待機モードに入っていて、伝搬路推定精度がそれほど必要のない通信を行っている場合や、受信SN比が極端に大きいような場合である。このような場合は、パス抽出処理を省略し、遅延時間0〜Lのパスを全て推定することで、パス抽出処理にかかる処理を省略でき、消費電力を抑えることができる。
【0148】
また、受信装置の移動速度が速い場合には、グルーピング処理を省略して、TR個のチャネル全てでパス抽出を行うようにしてもよい。このようにすることで、高速移動時の伝搬路推定精度低下を抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明は、マイモの移動通信および固定通信において利用することができる。
【符号の説明】
【0150】
1a・・・第1の実施形態の送信装置、1a−1〜1aT・・・送信アンテナ、1b・・・第1の実施の受信装置、1b−1〜1b−R・・・受信アンテナ、406・・・伝搬路推定部、503−r・・・パス抽出部、504−r・・・CIR推定部、2b・・・第2の実施形態の受信装置、1206・・・伝搬路推定部、3a−1〜3a−P・・・第3の実施形態の送信装置、3a−1−1〜3a−T−1・・・送信アンテナ、3b・・・第3の実施形態の受信装置、3b−1〜3b−R・・・受信アンテナ、1606・・・伝搬路推定部、1903−p・・・変形例のパス抽出部、2201・・・基地局、2202・・・移動端末、2203〜2206・・・障害物
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置、受信方法および受信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信においては、特に広帯域伝送の場合、先行して受信するパスに加え、大型の建物や山などの障害物から反射または回折して到来する幾つものパスが存在する。それに加えて、高速伝送では、サンプリング周波数が高くなるため、パスが増大する。
図22は、このようなパスが複数あるマルチパスの影響を説明する図である。
図22において、基地局2201から送信される電波は、例えば、伝搬経路2207を経由して、移動端末2202へ先行して到来する。その他に、基地局2201から送信された電波は、途中の例えば建物2203〜2206に当たって反射してから、移動端末2202へ遅延して到来する。この場合の伝搬経路を、図22において符号2208〜2211を付して示す。
基地局2201から伝搬経路2208〜2211を経由して移動端末2202へ到達する電波を、素波(Component Wave)と言う。図22では、素波が5つしか描かれていないが、実際には多くの素波が存在し、それぞれが移動端末2202において重ね合わされて受信される。
このように、基地局2201から移動端末2202へ直接に到達する素波(直接波)と、建物などの障害物から反射または回折して到来する素波(反射波)とでは、遅延があるのみならず、反射または回折による位相回転も加わるので、移動端末2202で受信後の信号は、基地局2201から送信される信号とは異なるところの歪みの生じた信号となる。したがって、基地局2201と移動端末2202との間の無線通信には誤りが生じることになる。
【0003】
近年、長遅延環境における高精度な伝搬路推定の必要性が高まっている。
直交周波数分割多重(OFDM、Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を用いた無線通信においては、ガードインターバル(Guard Interval; GI)を超える長遅延環境で発生する干渉を抑圧できる受信方式がいろいろと提案されている。しかし、その実現のためには、時間領域の伝搬路特性であるチャネルインパルス応答を高精度に推定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−119070号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】電子情報通信学会技術報告RCS2010−257「OFDMターボ等化受信における情報量基準を用いた高効率タップ選択チャネル推定」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および非特許文献1には、チャネルインパルス応答を推定する方法が記載されている。その方法は、パス抽出と推定の二段階の処理から成る。
しかしながら、MIMO(Multiple Input Multiple Output、多入力/多出力)においては、送信アンテナと受信アンテナの間の複数のチャネル毎に、伝搬路推定を行う必要がある。
パスを抽出する従来技術は、多くの計算を必要とするため、特に、MIMOのように送信アンテナの数および受信アンテナの数が多い場合には、計算量の増加を招き、装置が肥大化し、装置の電力消費も増大する。
したがって、本発明の実施形態は、上述の従来技術の欠点を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、本発明の受信装置は、パス抽出部とパス抽出部が抽出したパス情報を基にチャネルインパルス応答を推定するチャネルインパルス応答推定部を備えるMIMO受信装置であって、チャネルインパルス応答推定部よりパス抽出部の数が少ないことを特徴とする。
【0008】
(2)また、本発明の受信装置は、上述の受信装置であって、1つの受信アンテナの受信信号に含まれる送信ストリームの内の1つを用いてパス抽出を行い、他のストリームはそのパス情報を用いてチャネルインパルス応答を推定することを特徴とする。
【0009】
(3)また、本発明の受信装置は、上述の受信装置であって、全ての受信アンテナの受信信号に含まれる1つの送信ストリームのうち、1つの受信アンテナを用いてパス抽出を行い、他のアンテナの該当ストリームについては、そのパス情報を用いてチャネルインパルス応答を推定することを特徴とする。
【0010】
(4)また、本発明の受信装置は、上述の受信装置であって、全チャネルのうち、1つのチャネルを用いてパス抽出を行い、他のチャネルはそのパス情報を用いてチャネルインパルス応答を推定することを特徴とする。
【0011】
(5)また、本発明の受信装置は、上述の受信装置であって、全チャネルを、パス情報を共有するグループに分け、グループ内の1つのチャネルを用いてパス抽出を行い、そのパス情報を用いて他のチャネルのチャネルインパルス応答を推定することを特徴とする。
【0012】
(6)また、本発明の受信装置は、上述の受信装置であって、複数のチャネルを用いて1つのパス抽出を行うことを特徴とする。
【0013】
(7)また、本発明の受信装置は、上述の受信装置であって、受信装置の移動速度が所定の閾値を上回る場合は、パス抽出部の数を増加させることを特徴とする。
【0014】
(8)また、本発明の受信装置は、上述の受信装置であって、信号対雑音電力比が閾値を上回る場合は、パス抽出部を動作させないことを特徴とする。
【0015】
(9)また、本発明の受信装置は、上述の受信装置であって、受信装置が待機モードの場合は、パス抽出部を動作させないことを特徴とする。
【0016】
(10)本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、本発明の受信方法は、パス抽出過程とパス抽出過程が抽出したパス情報を基にチャネルインパルス応答を推定するチャネルインパルス応答推定過程を備えるMIMO受信方法であって、チャネルインパルス応答推定過程よりパス抽出過程の数が少ないことを特徴とする。
【0017】
(11)本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、本発明の受信プログラムは、上記(10)に記載の受信方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
(追って補充)
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、MIMO伝送の受信に際して、受信信号を取得する際の計算量を大きく削減し、回路規模を大きく削減し、装置の電力消費を大きく低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態に係る通信システムを示す。
【図2】送信装置の構成を示す。
【図3】パイロットシンボルとデータのマッピングの例を示す。
【図4】受信装置の構成を示す。
【図5】伝搬路推定部の構成を示す。
【図6】受信装置が受信する受信信号を簡略化して示す。
【図7】パス抽出部の構成を示す。
【図8】パス抽出の処理を示すフローチャートである。
【図9】CIR推定部の構成を示す。
【図10】CIR推定部の処理を示すフローチャートである。
【図11】受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施形態の受信装置の構成を示す。
【図13】伝搬路推定部の構成を示す。
【図14】受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】第3の実施形態に係る通信システムを示す。
【図16】受信装置の構成を示す。
【図17】伝搬路推定部の構成を示す。
【図18】受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図19】変形例の伝搬路推定部の構成を示す。
【図20】パス抽出部の構成を示す図である。
【図21】パス抽出の処理を示すフローチャートである。
【図22】マルチパスの影響を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線通信システム1の概要を示す図である。
無線通信システム1は、送信装置1aおよび受信装置1bを備える。送信装置1aは、例えば、移動通信システムの基地局(「基地局装置」と言うことがある。)であり、受信装置1bは、当該システムの端末(「端末装置」、「移動局」または「移動局装置」と言うことがある。)である。その代わりに、送信装置1aは、移動通信システム1の端末であり、受信装置1bは、当該システムの基地局であってもよい。
送信装置1aは、T個の送信アンテナ1a−1〜1a−Tを備え、そして受信装置1bは、R個の受信アンテナ1b−1〜1b−Rを備える。したがって、無線通信システム1は、T×R MIMO、特に、T×Rのシングルユーザー MIMOを構成する。なお、MIMOのことを「マイモ」と言うことがある。
無線通信システム1は、送信アンテナの数がT=2で受信アンテナの数がR=2の2×2 MIMOであってもよいし、送信アンテナの数がT=4で受信アンテナの数がR=4の4×4 MIMOであってもよいし、または送信アンテナの数がT=8で受信アンテナの数がR=8の8×8 MIMOであってもよい。
【0021】
図2は、送信装置1aの構成を示す概略ブロック図である。
送信装置1aは、パイロット生成部201−t、符号部202−t、変調部203−t、マッピング部204−t、IFFT部205−t、GI挿入部206−tおよび送信部207−tを備える。ここで、t=1、2、・・・、Tである。図2では、送信アンテナ1a−tを併せて示す。図2では、t=1、t=2、t=Tの3つの場合のみを簡略化して示す。
【0022】
パイロット生成部201−tは、パイロットシンボル(または「パイロット信号系列」であってもよい。)を生成し、マッピング部204−tに出力する。
符号部202−tには、送信する情報ビットが入力する。送信する情報ビットのことを「データ」と言うことがある。
符号部202−tは、この情報ビットを、畳込み符号、ターボ符号、LDPC(Low Density Parity Check; 低密度パリティ検査)符号などの誤り訂正符号を用いて、符号化し、符号化ビットを生成する。符号部202−tは、生成した符号化ビットを変調部203−tに出力する。
変調部203−tは、符号化ビットを、PSK(Phase Shift Keying; 位相変調)やQAM(Quadrature Amplitude Modulation; 直交振幅変調)などの変調方式を用いて変調して、変調シンボルを生成する。
変調部203−tは、生成した変調シンボルをマッピング部204−tに出力する。
【0023】
マッピング部204−tは、パイロット生成部201−tが出力するパイロットシンボルおよび変調部203−tが出力する変調シンボルを、予め定められたマッピング情報に基づいて複数のリソースエレメントにマッピングして、周波数領域の信号を生成する。マッピング部204−tは、生成した周波数領域の信号をIFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)部205−tに出力する。
なお、リソースエレメントとは、送信装置1aが送信する1個のフレームにおいて、周波数軸上の1つのサブキャリアと時間軸上の1つのシンボル区間とから成る単位である。
マッピング情報は、送信装置1aが決定し、送信装置1aから受信装置1bへ予め通知される。マッピング情報は、受信装置1bが決定して、このマッピング情報を送信装置1aへ通知してもよい。
【0024】
図3は、送信アンテナ数TがT=4である場合であって、アンテナ1〜4から4ストリームを送信するときに、パイロットシンボルとデータと、をマッピング部204−tにおいてマッピングする際の4つのマッピング図を示す。なお、ストリームの数のことを「レイヤ数」または「ランク数」と言うことがある。
アンテナ1〜4の系列の各マッピング図において、横軸は時間軸であり、縦軸は周波数軸である。横軸には、14個のシンボル区間を示し、縦軸には12個のサブキャリアを示す。各シンボル区間の各サブキャリアを示す四角(□)が、リソースエレメントを表す。
白い四角のリソースエレメントには、データが割り当てられ、点でハッチングした四角のリソースエレメントには、パイロットシンボルが割り当てられる。斜線でハッチングした四角のリソースエレメントは、ヌル(データおよびパイロットシンボルの両方が割り当てられないこと)を表す。
1つのFFT区間において、或るストリームでパイロットシンボルを挿入するリソースエレメントについては、他のストリームにおいてはヌルとすることで、ストリーム毎のパイロットサブキャリアにおける周波数応答の推定を可能にする。なお、パイロットサブキャリアとは、パイロットシンボルが挿入されるリソースエレメントのことである。
【0025】
図2に戻って、IFFT部205−tは、マッピング部204−tから入力される周波数領域の信号を周波数−時間変換し、時間領域の信号を生成する。ここで、IFFTを行う単位の時間区間をFFT区間と言う。IFFT部205−tは、生成した時間領域の信号をGI挿入部206−tに出力する。
GI挿入部206−tは、IFFT部205−tが出力する時間領域の信号に対して、FFT区間の信号毎にガードインターバルを付加する。ガードインターバルとは、FFT区間の信号の後方の一部を複製したものを、FFT区間の信号の前方に付加した部分を言う。ガードインターバルのことを「GI」と言うことがある。
FFT区間と、ガードインターバルの時間区間(「GI区間」と言うことがある。)とを合わせて、OFDMシンボル区間と言う。また、OFDMシンボル区間の信号をOFDMシンボルと言う。GI挿入部206−tは、ガードインターバルを付加した信号を送信部207−tに出力する。
【0026】
送信部207−tは、GI挿入部206−tが出力する信号をディジタル−アナログ変換(「D/A変換」と言うことがある。)し、変換したアナログ信号を波形整形する。また、送信部207−tは、波形整形した信号をベースバンドから無線周波数帯にアップコンバートし、次に送信アンテナ1a−tから受信装置1bへ無線波として送信する。
【0027】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る受信装置1bの構成を示す概略ブロック図である。
図4において、受信装置1bは、受信部402−r、GI除去部403−r、FFT部404−r、デマッピング部405−r、伝搬路推定部406、MIMO検出部407および復号部408−tを備える。ここで、r=1、2、・・・、Rである。t=1、2、・・・、Tである。図4では、受信アンテナ1b−rをも併せて示す。図4では、r=1、r=2、r=Rの3つの場合、およびt=1、t=2、t=Tの3つの場合のみを簡略化して示す。
【0028】
受信部402−rは、送信装置1aが送信した送信信号を、受信アンテナ1b−rを介して受信する。この送信信号は、T個のストリームから成る。受信部402−rは、受信した信号に対して、ベースバンドへの周波数変換を行い、次にアナログ−ディジタル変換(「A/D変換」と言うことがある。)を行ってから、GI除去部403−rに出力する。
GI除去部403−rは、受信部402−rから入力される信号からGIを除去し、GIを除去した信号をFFT部404−rに出力する。
FFT部404−rは、GI除去部403−rが出力する時間領域の信号に対して時間−周波数変換を行い、変換した周波数領域の信号をデマッピング部405−rに出力する。
デマッピング部405−rは、この周波数領域の信号を、パイロットシンボルとデータとに分離する。デマッピング部405−rは、分離したデータをMIMO検出部407に出力し、そして分離したパイロットシンボルを伝搬路推定部406に出力する。
【0029】
図5は、伝搬路推定部406の構成を示す概略ブロック図である。
伝搬路推定部406は、CFR推定部501−r、チャネル選択部502−r、パス抽出部503−r、CIR推定部504−rおよびFFT部505−t−rを備える。CFR推定部のことを「周波数応答推定部」と言うことがある。また、CIR推定部のことを「チャネルインパルス応答推定部」と言うことがある。なお、図5には、デマッピング部405−rおよびMIMO検出部407を併せて示す。
【0030】
CFR推定部501−rは、デマッピング部405−rが出力するパイロットシンボルを用いて、パイロットサブキャリアの周波数応答を推定する。CFR推定部501−rは、r番目の受信アンテナにおける受信信号に含まれるT個のストリームすべてに対して、周波数応答推定値を算出する。CFR推定部501−rは、T個の周波数応答推定値をチャネル選択部502−rに出力する。
チャネル選択部502−rは、CFR推定部401−rが出力するT個の周波数応答推定値のうち、最も良いと判断した一つの周波数応答推定値を選択して、この選択した1つの周波数応答推定値をパス抽出部503−rに出力する。
チャネル選択部502−rの動作の詳細は、後述する。
また、チャネル選択部502−rは、選択しなかった周波数応答推定値をCIR推定部504−rに出力する。この選択しなかった周波数応答推定値は、(T-1)個ある。
【0031】
パス抽出部503−rは、チャネル選択部502−rが出力する周波数応答推定値を用いて、パス抽出を行う。パス抽出部503−rの動作の詳細は、後述する。
パス抽出部503−rは、抽出したパス情報(「パス番号」とか「遅延数」とかと言うことがある。)をCIR推定部504−rに出力する。また、パス抽出部503−rは、チャネル選択部502−rから受け取った一つの周波数応答推定値を、そのままCIR推定部504−rに出力する。
【0032】
CIR推定部504−rは、チャネル選択部502−rとパス抽出部503−rとから受け取った全体でT個の周波数応答推定値と、パス抽出部502−rから受け取ったパス情報とを用いて、T個のチャネルインパルス応答を推定する。周波数応答推定値は周波数の関数であるが、チャネルインパルス応答は、時間の関数である。CIR推定部504−rの動作の詳細は、後述する。なお、パス抽出部503−rは、パス抽出と同時にチャネルインパルス応答推定値を算出することができる。その場合は、算出したチャネルインパルス応答推定値をCIR推定部504−rへ送出し、CIR推定部504−rは、このチャネルインパルス応答推定値をそのまま用いることができる。
【0033】
CIR推定部504−rは、T個のチャネルインパルス応答推定値を、FFT部505−t−rに出力する。
例えば、CIR推定部504−2は、送信アンテナt=1に関するチャネルインパルス応答推定値をFFT部505−1−2に出力する。CIR推定部504−2は、送信アンテナt=Tに関するチャネルインパルス応答推定値をFFT部505−T−2に出力する。
【0034】
FFT部505−t−rは、CIR推定部504−rが出力するチャネルインパルス応答推定値に時間−周波数変換を施して、復調用周波数応答推定値に変換し、次にこのTR個の復調用周波数応答推定値をMIMO検出部407に出力する。
【0035】
図4に戻って、MIMO検出部407は、デマッピング部405−rの出力(データがマッピングされたサブキャリアの受信信号)と、伝搬路推定部406のFFT部505−t−rが出力するTR個の復調用周波数応答推定値と、を用いて、MIMO分離を行う。
具体的には、このMIMO分離は、ZF(Zero Forcing)基準、MMSE(Minimum Mean Square Error)基準等を用いた線形処理とか、MLD(Maximum Likelihood Detection)等の非線形処理とか、の公知技術を用いて行う。
この結果得られるT個の復調結果を、復号部408−tに出力する。
【0036】
復号部408−tは、MIMO検出部407が出力する復調結果を用いて復号を行う。具体的には、復号部408−tは、最尤復号法、最大事後確率推定(MAP; Maximum A posteriori Probability)、log−MAP、Max−log−MAP、SOVA(Soft Output Viterbi Algorithm)等を用いて、復号処理を行い、情報ビットを出力する。
なお、ZF処理とかMMSE処理とかを用いる場合は、MIMO検出部407は、MIMO分離と、その後の符号化ビットの対数尤度比を求める復調処理と、を行う。MLD処理の場合は、MIMO分離により得られる情報は、符号化ビットの対数尤度比となり、したがって、MIMO検出部407においてMIMO分離と復調処理とが併せて行われる。
【0037】
以下、受信装置1bの受信部402−r、FFT部404−r、MIMO検出部407および伝播路推定部406の動作を、数式を交えて、さらに詳細に説明する。
まず、図4において、受信アンテナ401−rを介して受信部402−rが受信した第iOFDMシンボルにおける第k離散時間の受信信号ri,k,r(k=0、1、・・・、Ng+N−1)は、次式(1)、(2)で表される。
【0038】
【数1】
【0039】
【数2】
【0040】
ここで、Dは、最大遅延数である。hi,d,k,r,tは、第d遅延パスの第k離散時間における第tアンテナから第rアンテナへの複素振幅である。si,k,tは、第t送信アンテナからの時間領域の送信信号であり、そしてZi,k,rは、時間領域の雑音である。また、Nは、FFT区間のポイント数である。Si,n,tは、第nサブキャリアの第tアンテナからの変調シンボルである。Ngは、GI区間のポイント数である。jは、虚数単位である。なお、各変数の添字iは、OFDMシンボルが第i番目のものであることを示す。
【0041】
図6は、受信装置1bが受信する受信信号を説明する簡略化した図である。
説明を簡素化するために、ここでは、T=R=1で説明する。つまり、送信アンテナの個数がT=1で、受信アンテナの個数がR=1の場合について、説明をする。そのため、この例についての説明では、tとrの添字は省略する。
図6において、上から順に直達波(「遅延数d=0の遅延波」と言うことがある。)、d=1の遅延波、d=2の遅延波およびd=3の遅延波(「最大遅延数の遅延波」と言うことがある。)を示す。
【0042】
図6において、横に8個並んだ白の四角(□)の集合は、FFT区間を表す。また、横に2個並んだ小さな点でハッチングした四角の集合は、ガード区間GIを表す。横に何個か並んだ斜線でハッチングした四角の集合は、先行または後行のFFT区間の一部分を表す。GI区間のポイント数は、Ng=2であり、FFT区間のポイント数は、N=8であり、そして最大遅延数は、D=3である。つまり、GI区間は、2つの離散時間を占有し、FFT区間は、8つの離散時間を占有し、そしてパスは、4個である。
【0043】
図6において、離散時間k=5における遅延数0〜3の4つの遅延波を、枠601で囲んで示す。枠601内の受信信号hi,0,5si,5〜hi,3,5si,2の和が、式(1)の左辺のri,5,rを表す。
【0044】
図4へ戻って、FFT区間(図6では、離散時間k=2〜9の区間)の受信信号ri,k,rに対して、FFT部404−rにおいて時間−周波数変換を行った後の第nサブキャリアの受信信号Ri,n,rは、次式(3)〜(5)で表される。
【0045】
【数3】
【0046】
【数4】
【0047】
【数5】
【0048】
ここで、Hi,n,r,tは、第iシンボルにおける第nサブキャリアの第t送信アンテナから第r受信アンテナへの周波数応答である。Z’i,n,rは、シンボル間干渉(ISI; Inter Symbol Interference)およびキャリア間干渉(ICI; Inter Carrier Interference)の和である。Zi,n,rは、周波数領域の雑音である。なお、最大遅延数Dの場合の遅延時間がGI区間Ngを超えず、OFDMシンボル内での伝搬路変動が無い場合(すなわち、hi,d,k,r,t=hi,d,r,tと書ける場合)は、Z’i,n,rはゼロになる。
なお、max(Ng,d)は、Ngとdのうち、大きい方という意味である。しあがって、d≦Ng、すなわち、遅延数がGI長以内のパスについては、k=NgからNg+N−1までの和となる。d>NgのGI超えパスについては、k=dからNg+N−1までの和となる。
伝搬路推定部406の動作の詳細は、後述する。
次に、復調用周波数応答推定値が得られているものとして、MIMO検出部407の説明を行う。なお、復調用周波数応答推定値については、既に、伝搬路推定部406の詳細を示す図5に関連して言及した。
【0049】
MIMO検出部407では、例えばMMSE規範のMIMO分離を用いる場合、復調シンボルS’i,n,tは、次式(6)、(7)のようになる。
【0050】
【数6】
【0051】
【数7】
【0052】
ただし、Ri,n,rは、第nサブキャリアの受信信号であって、式(3)で示されるものである。Hi,nは、R×Tの行列であり、その要素であるH’’i,n,r,tは、後述する伝播路推定部406における伝搬路推定処理で得られるTR個の復調用周波数応答推定値である。行列(またはベクトル)Xに対して、XTは、Xの転置を表す。
σ2は、雑音ならびにISIおよびICIの電力である。
また、MIMO検出部407では、上記の復調シンボルS’i,n,tを用いてビット対数尤度比を算出する処理を行う。この処理には、等価振幅利得が用いられる。
具体的には、QPSK(4相位相変調)の場合、次式(8)で表される第nサブキャリアの等価振幅利得μi,n,tに対して、ビット対数尤度比λは、次式(9)、(10)で表される。
【0053】
【数8】
【0054】
ただし、式(8)のdiagは、行列の対角要素を縦に並べたベクトルを生成する演算子である。
ここで、式(9)は、QPSKの1ビット目のビットbi,n,t,0のビット対数尤度比λ(bi,n,t,0)である。式(10)は、QPSKの2ビット目のビットbi,n,t,1のビット対数尤度比λ(bi,n,t,1)である。
【0055】
【数9】
【0056】
【数10】
【0057】
次に、再び図5を参照して、伝搬路推定部406の説明を詳細に行う。
CFR推定部501−rは、デマッピング部405−rから出力されるパイロットサブキャリアの受信信号を用いて、パイロットサブキャリアの周波数応答推定値を算出する。具体的には、パイロットサブキャリアの周波数応答推定値は、受信信号を既知のパイロットシンボルで除算することによって得られる。
なお、図3のようなパイロットシンボルの配置の場合、或る送信アンテナのパイロットシンボルが挿入されているサブキャリアにおいて、他の送信アンテナの信号はヌルであるので、周波数応答推定値H’i,n,r,t(t=1,・・・,T)は、次式に示すように、式(3)のRi,n,rを式(3)の右辺で用いるSi,n,tで除算する演算によって、得ることができる。
【0058】
【数11】
【0059】
なお、式(11)の周波数応答推定値H’i,n,r,tおよび式(7)右辺の周波数応答推定値H‘’i,n,r,tは、パイロットサブキャリアにおいて、後者が前者よりも周波数領域の雑音の影響が低減されている点を除けば、同一である。
【0060】
チャネル選択部502−rでは、CFR推定部501−rから入力されるT個の周波数応答推定値H’i,n,r,t(t=1,・・・,T)のうち、最も良いものを選択する。具体的には、例えば、電力の合計値Pi,r,tが最も大きくなるものを選択する。なお、このとき算出した電力の平均値からパイロットシンボルの電力を減算したものを雑音電力とし、この雑音電力をMIMO検出部407で用いる。
【0061】
【数12】
【0062】
ただし、naはa番目のパイロットサブキャリアを表し、NPはパイロットサブキャリアの数である。a=0、・・・、Np−1である。
また、これらのチャネル選択およびパス抽出の処理は一定間隔で更新すればよく、例えば、図3において14個のOFDMシンボルが描かれているが、1つ目のOFDMシンボルで行い、残りの13個のOFDMシンボルでは1つ目のOFDMシンボルにおけるパス抽出結果を用いるようにしてもよい。続いて受信される次の14個のOFDMシンボルにおいても同様の動作を行うようにすればよい。なお、1つ目のOFDMシンボルではt=3、4のパイロットサブキャリアが存在しないが、2つ目のOFDMシンボルのものを代用するようにしてもよいし、14個のOFDMシンボルの間は伝搬路変動はないとして、全てのパイロットサブキャリアを用いてもよい。
【0063】
パス抽出部503−rでは、チャネル選択部502−rから1つの周波数応答推定値が入力される。この周波数応答推定値は、複数のパスを含む。パス抽出部503−rは、この複数のパスから一つ又は若干のパスを抽出する。
【0064】
図7は、パス抽出部503−rの構成を示す概略的ブロック図である。
パス抽出部503−rは、伝搬路適合度算出部701、不要候補パス除去部702、判断部703およびパス決定部704を備える。なお、図7には、チャネル選択部502−rおよびCIR推定部504−rを併せて示す。また、パス抽出部503−rは、一次記憶場所(図面を見やすくするために図示せず)として、「選択したパス(selected_path)」、「候補パス(candidate_path)」、「1つ前の伝搬路適合度(channel_match_prev)」、「伝搬路適合度(channel_match)」および「伝搬路(channel)」を備える。
【0065】
伝搬路適合度算出部701、不要候補パス除去部702および判断部703は、縦続に接続される。
伝搬路適合度算出部701には、既述のように、チャネル選択部502−rから、選択された1つのストリームにおける周波数応答推定値が入力される。この周波数応答推定値は、既述のように、複数のパスを含む。
【0066】
伝搬路適合度算出部701は、「候補パス(candidate_path)」の要素と、パス決定部704から入力された「選択したパス(selected_path)」の要素と、に基づいて、チャネルインパルス応答を推定し、次いで、各場合の伝搬路適合度を計算して、「伝搬路適合度(channel_match)」に保存する。伝搬路適合度の算出の詳細は、後述する。
【0067】
伝搬路適合度算出部701は、算出した伝搬路適合度を不要候補パス除去部702に出力する。
不要候補パス除去部702は、入力された伝搬路適合度を「1つ前の伝搬路適合度(channel_match_prev)」の要素と比較して、前者が後者より小さい場合は、その小さな伝搬路適合度を「伝搬路適合度(channel_match_prev)」の内容から削除する。また、不要候補パス除去部702は、その小さな伝播路適合度に対応する「候補パス(candidate_path)」の要素も削除する。
【0068】
不要候補パス除去部702は、「選択したパス(selected_path)」に保存されている選択パスのパス番号を抽出して、判断部703に出力する。また、不要候補パス除去部702は、「候補パス(candidate_path)」に保存されている候補パスを抽出して、判断部703に出力する。
判断部703は、不要候補パス除去部702の出力に候補パスが存在しない場合、すなわち「候補パス(candidate_path)」の内容が空である場合、選択パスのパス番号をCIR推定部504−rに出力する。判断部703は、不要候補パス除去部702の出力に候補パスが存在する場合、「伝搬路適合度(channel_match)」に保存されている伝播路適合度を抽出して、パス決定部704へ出力する。
パス決定部704は、判断部703から入力された伝播路適合度のうち一番大きなものを選択して、「1つ前の伝搬路適合度(channel_match_prev)」に重ね書きする。したがって、「1つ前の伝搬路適合度(channel_match_prev)」に保存されている内容は、この一番大きな伝播路適合度になる。
【0069】
パス決定部704は、この一番大きな伝播路適合度に対応する「伝搬路適合度(channel_match)」の要素を「選択したパス(selected_path)」に移動する。したがって、この要素は、「伝搬路適合度(channel_match)」の内容から削除される。
パス決定部704は、「選択したパス(selected_path)」の要素を抽出して、伝搬路適合度算出部701へ出力する。
【0070】
図8は、パス抽出部503−rにおけるパス抽出の処理を示すフローチャートである。Lは、パス抽出部503−rが想定する最大遅延度である。
(ステップS801)
初期値として、一次記憶場所の「選択したパス(selected_path)」を空とし、一次記憶場所の「候補パス(candidate_path)」を0〜Lとし、一次記憶場所の「1つ前の伝搬路適合度(channel_match_prev)」を小さい値(例えば、負の無限大)とする。また、一次記憶場所の「伝搬路適合度(channel_match)」と「伝搬路(channel)」の初期値として、任意の値(例えばゼロ)を設定する。その後、ステップS802に進む。
(ステップS802)
「選択したパス(selected_path)」に保存されているパスに、「候補パス(candidate_path)」の1つのパスを加えた場合の、チャネルインパルス応答hqを推定する。この操作を複数回だけ行う。具体的には、チャネルインパルス応答hqは、次式により算出する。
【0071】
【数13】
【0072】
ただし、qは、「選択したパス(selected_path)」のパスに、「候補パス(candidate_path)」に保存されている(L+1)個の候補パスの中で削除されていないうちの1個を、追加したパスの集合である。
HPは、CFR推定部501−rで得られる周波数応答推定値を縦に並べたベクトルであって、次式で与えられる。
【0073】
【数14】
【0074】
Fqは、次式で与えられるフーリエ変換行列である。
【0075】
【数15】
【0076】
ただし、naは、a番目のパイロットサブキャリアを表す。また、lbは、qのb番目の要素を表す。
次に、パス抽出部503−rは、スカラー量として表される伝搬路適合度Bqを次式のように算出する。
【0077】
【数16】
【0078】
ただし、|q|はqの要素数、すなわちその時点で抽出されているパス数である。NPはパイロットサブキャリアの数である。
伝搬路適合度Bqは、式(13)のチャネルインパルス応答hqが式(14)の周波数応答推定値のベクトルHPにどれだけ適合しているかを表す量である。
なお、上式は、ベイズ情報量規準を伝搬路適合度として用いた場合の式である。
パス抽出部503−rは、このチャネルインパルス応答推定値の算出と伝搬路適合度の算出とを、候補パスの数だけ行い、この伝播路適合度を一次記憶場所の「伝搬路適合度(channel_match)」に保存する。その後、ステップS803に進む。なお、チャネルインパルス応答の推定に、ステップS805で得られるchannelの値を用いて計算量を削減してもよい。
【0079】
(ステップS803)
ステップS803では「伝搬路適合度(channel_match)」に保存された伝搬路適合度が、「1つ前の伝搬路適合度(channel_match_prev)」に保存されているパスのみによる伝搬路適合度より小さい場合は、その小さなパスは、候補パスから除去する。すなわち、対応するパス番号を、一次記憶場所の「候補パス(candidate_path)から削除する。また、「伝搬路適合度(channel_match)」からも対応するものを削除する。その後、ステップS804に進む。
(ステップS804)
ステップS803によって候補パスが無くなった場合、すなわち一次記憶場所の「候補パス(candidate_path)」が空になった場合、処理を終了する。候補パスが残っている場合はステップS805に進む。
【0080】
(ステップS805)
得られた伝搬路適合度(channel_match)のうち、最大のものに対応する「候補パス(candidate_path)」の要素を、新たな選択パスとして「選択したパス(selected_path)」に移動して保存する。したがって、その要素は、「候補パス(candidate_path)」から削除される。また、このときのチャネルインパルス応答を一次記憶場所の「チャネル(channel)」に保存する。また、このときの伝搬路適合度を、一次記憶場所の「1つ前の伝搬路適合度(channel_match_prev)」に保存する。その後、ステップS806に進む。
(ステップS806)
ステップS805によって候補パスが無くなった場合、すなわち、一時記憶場所の「候補パス(candidate_path)」が空になった場合、処理を終了する。候補パスが残っている場合はステップS802に戻る。
【0081】
最終的に一次記憶場所の「選択したパス(selected_path)」に保存されているパス番号が選択パスであるので、これをCIR推定部504−rに出力する。
また、パス抽出を行ったチャネルに関しては、チャネルインパルス応答推定値も得られているので、これをそのままCIR推定部504−rに出力し、CIR推定部504−rにおけるチャネルインパルス応答推定処理を1つ省略してもよい。
CIR推定部504−rでは、チャネル選択部502−rから入力されるT個の周波数応答推定値とパス抽出部503−rから入力されるパス情報を用いてT個のチャネルインパルス応答を推定して、このT個のチャネルインパルス応答をFFT部505−t−rに出力する。
【0082】
図9は、CIR推定部504−rの構成を示す概略的ブロック図である。
CIR推定部504−rは、重み生成部901−r−t、分配部902−r、重み乗算部903−r−tから構成される。図9では、チャネル選択部502−r、パス抽出部503−rおよびFFT部505−t−rをも併せて示す。ここでt=1、2、・・・、Tである。図9では、t=1、t=2、t=Tの3つの場合を簡略化して示す。
【0083】
重み生成部901−r−tは、パス抽出部503−rから入力されるパス情報qに基づいて、CIR(チャネルインパルス応答)を推定するための重み行列を生成する。
具体的には、第tストリームの重み行列W(t)は、次式(17)で表される。
【0084】
【数17】
【0085】
ここで、Fq(t)は、式(15)で表されるフーリエ変換行列Fqを構成するパイロットサブキャリアn0、n1、・・・nNP−1を、第tストリームのものに置き換えた行列である。
以上の点を図3を参照して説明をする。図3のマッピング図は、送信アンテナが4個存在する例である。図3の先頭の時間の処理を考える。すなわち、4個のマッピング図の時間軸上で一番左端のシンボルについて考える。式(17)の右辺で用いられているFq(t)では、t=1〜4となる。t=1の送信アンテナ1では、周波数軸上で下から0、6、12、・・・番目のリソースエレメントにパイロットシンボルが配置される。したがって、式(17)のFq(1)というものは、式(15)の右辺のn0、n1、・・・、を0、6、12、・・・にしたものである。同様にして、t=2の送信アンテナ2では、周波数軸上で下から3、9、15、・・・番目のリソースエレメントにパイロットシンボルが配置されているから、式(17)のFq(2)というものは、式(15)の右辺のn0、n1、・・・、を3、9、15、・・・にしたものである。
【0086】
なお、t=3、4の送信アンテナ3、4では、時間軸上で一番左端のシンボルについてはパイロットシンボルが存在せず、左端から2番目のシンボルにパイロットシンボルが存在する。この場合は、例えば、先頭のシンボルとその次のシンボルの2つの時間を同時に処理をしてもよい。この場合、先頭のシンボルとその次のシンボルでは伝搬路変動はないものと仮定し、最終的に算出される復調用周波数応答推定値もこの2つのシンボルで共有することができる。
なお、パス抽出部503−rから入力されるパス番号は、重み生成部901−r−1〜901−r−Tに共通に入力される。すなち、このパス番号の集合は、式(17)の右辺で「q」として示されている。
【0087】
分配部902−rは、チャネル選択部502−rから入力される選択しなかった(T−1)個の周波数応答推定値を受け取る。分配部902−rは、パス抽出部503−rから入力される選択した1個の周波数応答推定値を受け取る。分配器902−rは、この全体でT個の周波数応答推定値を、対応する重み乗算部903−r−tに分配する。
なお、チャネル選択部502−rは、選択したチャネルについても、その周波数応答推定値を出力するようにしてもよい。
【0088】
重み乗算部903−r−tは、重み生成部901−r−tから入力される重み行列と、分配部902−rから入力される第tストリームの周波数応答推定値をベクトルとしたものを乗算し、第tストリームのチャネルインパルス応答推定値とする。これをFFT部505−t−rに出力する。
【0089】
図10は、CIR推定部504−rの処理を示すフローチャートである。
なお、図10が示す動作は、図9のパス抽出部503−rがパス情報をCIR推定部504−rに出力した後の処理である。
(ステップS1001)
重み生成部901−r−tは、パス抽出部503−rから入力されるパス情報を用いて、第tストリーム用の重み行列を生成する。その後、ステップS1002に進む。
【0090】
(ステップS1002)
分配部902−rは、チャネル選択部502−rから入力される選択されなかった(T−1)個の周波数応答推定値およびパス抽出部503−rからの1個の周波数応答推定値を、対応する重み乗算部903−r−tに出力して、分配する。その後、ステップS1003に進む。
(ステップS1003)
重み乗算部903−r−tは、ステップS1001で得られる重み行列とステップS1002で得られる周波数応答推定値とを乗算し、CIR推定値を算出する。この推定値は、FFT部505−t−rに出力される。その後、CIR推定部504−rは動作を終了する。
【0091】
FFT部505−t−rは、CIR推定部504−rから入力されたT個のチャネルインパルス応答に対して時間−周波数変換を施すことでチャネルインパルス応答を復調用周波数応答推定値に変換し、次いでこの復調用周波数応答推定値をMIMO検出部407に出力する。
【0092】
図11は、本実施形態に係る受信装置1bの動作を示すフローチャートである。
なお、図11が示す動作は、図4の受信部402−rが受信信号をGI除去部403−rに出力した後の処理である。
【0093】
(ステップS1101)
GI除去部403−rは、受信信号からガードインターバルを除去する。その後、ステップS1102に進む。
(ステップS1102)
FFT部404−rは、ステップS1101で得られる信号に対して時間-周波数変換を行う。デマッピング部405−rは、得られた周波数領域の信号からデータとパイロットを分離する。デマッピング部405−rは、パイロットサブキャリアの受信信号を伝搬路推定部406に出力した後、ステップS1103に進む。
(ステップS1103)
【0094】
伝搬路推定部406のCFR推定部501−rは、パイロットサブキャリアの受信信号から、送信アンテナそれぞれについての周波数応答推定値を算出する。次に、チャネル選択部502−rは、その中から電力の総和が最大のものを選択する。その後、ステップS1104に進む。
(ステップS1104)
パス抽出部503−rは、ステップS1103で得られるチャネルにおける周波数応答推定値を用いてパス抽出を行う。その後、ステップS1105に進む。
【0095】
(ステップS1105)
CIR推定部504−rは、ステップS1104で得られるパス情報を用いて、送信アンテナそれぞれについてのチャネルインパルス応答推定値を算出する。その後、ステップS1106に進む。
(ステップS1106)
ステップS1105で得られるチャネルインパルス応答推定値を、FFT部505−t−rにおいて復調用周波数応答推定値に変換した後、MIMO検出部407でMIMO分離を行う。その後、ステップS1107に進む。
(ステップS1107)
ステップS1106で得られるMIMO分離結果を用いて、復号を行う。その後、受信装置1bは動作を終了する。
【0096】
このように、本実施形態によれば、受信装置1bは、TR個必要なパス抽出部をR個に抑えているため、計算量を大きく削減することができ、回路規模を大きく削減することができ、しかも受信装置の消費電力を大きく低減することができる。
【0097】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、受信アンテナrにおける、T通りのチャネルのうち、1つのチャネルを用いてパス抽出を行い、その結果を用いて残りのT−1個のチャネルについてのチャネルインパルス応答を推定する方法について説明した。
第2の実施形態では、受信アンテナ毎の処理ではなく、送信アンテナ毎の処理を行う。
【0098】
第2の実施形態の通信システムは、送信装置2aおよび受信装置2bを備える。
第2の実施形態の送信装置2aの構成は、図2に示す第1の実施形態の送信装置1aの構成と同じである。したがって、その説明を省略する。
【0099】
図12は、第2の実施形態の受信装置2bの構成を示す概略図である。
受信装置2bは、受信部402−r、GI除去部403−r、FFT部404−r、デマッピング部405−r、伝搬路推定部1206、MIMO検出部407および復号部408−tを備える。ここで、r=1、2、・・・、Rであり、そしてt=1、2、・・・、Tである。図12には、受信アンテナ1b−rを併せて示す。図12では、r=1、r=2、r=Rの3つの場合、そしてt=1、t=2、t=Tの3つの場合のみを簡略化して示す。
受信装置2bの構成を第1の実施形態の受信装置1bの構成と対比すると、後者の伝搬路推定部406が前者では伝搬路推定部1206となっていて相違する。しかし、他の構成(受信部402−r、GI除去部403−r、FFT部404−r、デマッピング部405−r、MIMO検出部407および復号部408−tの構成)は同一であるので、その説明を省略する。
【0100】
図13は、伝搬路推定部1206の構成を示す概略ブロック図である。
伝搬路推定部1206は、CFR推定部1301−r、チャネル選択部1302−t、パス抽出部1303−t、CIR推定部1304−t、FFT部1305−t−rを備える。図13には、デマッピング部405−rおよびMIMO検出部407を併せて示す。
【0101】
CFR推定部1301−rは、デマッピング部405−rが出力するパイロットサブキャリアの受信信号を用いて、パイロットサブキャリアの周波数応答を推定する。CFR推定部1301−rは、r番目の受信アンテナにおける受信信号に含まれるT個のストリームすべてに対して、周波数応答推定値を算出する。
CFR推定部1301−rは、T個の周波数応答推定値をチャネル選択部1302−tに出力する。
【0102】
例えば、チャネル選択部1302−1には、CFR推定部1301−1〜1301−Rから第1送信アンテナにおけるチャネルの周波数応答推定値が入力される。チャネル選択部1302−2には、CFR推定部1301−1〜1301−Rから第2送信アンテナにおけるチャネルの周波数応答推定値が入力される。チャネル選択部1302−Tには、CFR推定部1301−1〜1301−Rから第T送信アンテナにおけるチャネルの周波数応答推定値が入力される。すなわち、チャネル選択部1302−tには、CFR推定部1301−1〜1301−Rから合計でR個の周波数応答推定値が入力される。
【0103】
チャネル選択部1302−tは、第1の実施形態と同様に、この入力の中からパイロットサブキャリアの伝搬路推定値の電力の総和が最大になるチャネルを選択し、その周波数応答推定値を、パス抽出部1303−tに出力する。
パス抽出部1303−tは、第1の実施形態と同様に、パス抽出を行う。パス抽出部1303−tは、抽出したパス情報をCIR推定部1304−tに出力する。
【0104】
また、チャネル選択部1302−tは、R個の周波数応答推定値をCIR推定部1304−tに出力する。
CIR推定部1304−tは、チャネル選択部1302−tが出力するR個の周波数応答推定値と、パス抽出部1303−tが出力するパス情報とを用いて、チャネルインパルス応答推定値を算出する。
【0105】
CIR推定部1304−tは、算出したチャネルインパルス応答推定値を、対応するFFT部1305−t−rに出力する。
例えば、CIR推定部1304−2は、受信アンテナr=1に関するチャネルインパルス応答推定値をFFT部1305−2−1に出力する。CIR推定部1304−2は、受信アンテナr=Rに関するチャネルインパルス応答推定値をFFT部1305−2−Rに出力する。
FFT部1305−t−rでは、第t送信アンテナから第r受信アンテナへのチャネルにおけるチャネルインパルス応答を復調用周波数応答推定値に変換する。FFT部1305−t−rは、復調用周波数応答推定値をMIMO検出部407に出力する。
【0106】
第1の実施形態では、受信アンテナrで観測されるT通りのチャネルのうち、1つのチャネルを用いてパス抽出を行い、その結果を用いて残りのT−1個のチャネルについてチャネルインパルス応答を推定する方法について説明した。第2の実施形態では、1つの受信アンテナで観測されるチャネルではなく、1つの送信アンテナからR個の受信アンテナへのR個のチャネルの中から1つのチャネルを用いてパス抽出を行い、これにより残りのR−1個のチャネルについてチャネルインパルス応答を推定する。
【0107】
図14は、受信装置2bの動作を説明するフローチャートである。
図14が示す動作は、図12の受信部402−rが受信信号をGI除去部403−rに出力した後の処理である。
(ステップS1401)
GI除去部403−rは、受信信号からガードインターバルを除去する。その後、ステップS1402に進む。
(ステップS1402)
FFT部404−rは、ステップS1401で得られる信号に対して時間−周波数変換を行う。デマッピング部405−rは、得られた周波数領域の信号からデータとパイロットを分離する。デマッピング部405−rがパイロットサブキャリアの受信信号を伝搬路推定部1206に出力した後、ステップS1403に進む。
(ステップS1403)
CFR推定部1301−rは、得られたパイロットサブキャリアの受信信号から、送信アンテナそれぞれについての周波数応答推定値を算出する。そのうち、第t送信アンテナからのR個のチャネルにおける周波数応答推定値を、チャネル選択部1302−tに出力する。チャネル選択部1302−tは、その中から電力の総和が最大のものを選択する。その後、ステップS1404に進む。
(ステップS1404)
パス抽出部1303−tは、ステップS1403で得られるチャネルにおける周波数応答推定値を用いて、パス抽出を行う。その後、ステップS1405に進む。
(ステップS1405)
CIR推定部1304−tは、ステップS1404で得られるパス情報およびチャネル選択部1302−tからのR個の周波数応答推定値を用いて、受信アンテナそれぞれについてのチャネルインパルス応答推定値を算出する。その後、ステップS1406に進む。
(ステップS1406)
ステップS1405で得られるチャネルインパルス応答推定値を、FFT部1305−t−rにおいて復調用周波数応答推定値に変換した後、MIMO検出部407でMIMO分離を行う。その後、ステップS1407に進む。
(ステップS1407)
ステップS1406で得られるMIMO分離結果を用いて、復号を行う。その後、受信装置2bは動作を終了する。
このように、本実施形態によれば、図13に示した通り、TR個必要なパス抽出部をT個に抑えているため、計算量を大きく削減することができ、回路規模を大きく削減することができ、しかも消費電力を大きく低減することができる。
【0108】
<第3の実施形態>
第1の実施形態では、受信アンテナ毎に1つのパス抽出を行う場合について説明し、第2の実施形態では、送信アンテナ毎に1つのパス抽出を行う場合について説明をした。
本実施形態では、送信装置の送信アンテナの個数をTとし、受信装置の受信アンテナの個数をR個とした場合の、TR個のチャネルから、パス情報を共有するチャネルをP個に分ける方法について説明する。
【0109】
図15は、第3の実施形態に係る無線通信システム3の概要を示す図である。
無線通信システム3は、送信装置3a−1〜3a−Pおよび受信装置3bを備える。送信装置3a−1〜3a−Pは、例えば、移動通信システムの基地局であり、受信装置3bは、当該システムの端末である。その代わりに、送信装置3a−1〜3a−Pは、移動通信システム3の端末であり、受信装置3bは、当該システムの基地局であってもよい。
【0110】
送信装置3a−1〜送信装置3a−Pは、全体でT個の送信アンテナを有する。したがって、送信装置3a−pは、1個の送信アンテナを備える場合もあれば、複数個の送信アンテナを備える場合もあるが、図15では、図面を見やすくするために、1個の送信アンテナを備えるものとして示す。送信装置がそれぞれ2個の送信アンテナを備える場合は、送信装置の台数Pは、P=T/2である。送信装置がそれぞれ1個の送信アンテナを備える場合は、送信装置の台数Pは、P=Tである。
無線通信システム3は、T×R MIMO,特に、T×Rのマルチユーザー MIMOを構成する。
【0111】
送信装置3a―p(p=1、・・・、P)の構成は、アンテナの個数および送信装置の内部の経路の個数を除いて、図2に示す第1の実施形態の送信装置1aの構成と同じである。したがって、その説明を省略する。
【0112】
図16は、受信装置3bの構成を示す概略図である。
受信装置3bは、受信部402−r、GI除去部403−r、FFT部404−r、デマッピング部405−r、伝搬路推定部1606、MIMO検出部407および復号部408−tを備える。ここで、r=1、2、・・・、Rであり、そしてt=1、2、・・・、Tである。図16には、受信アンテナ3b−rを併せて示す。図16では、r=1、r=2、r=Rの3つの場合、そしてt=1、t=2、t=Tの3つの場合のみを簡略化して示す。
受信装置3bの構成を第1の実施形態の受信装置1b(図4)の構成と対比すると、後者の伝搬路推定部406が前者では伝搬路推定部1606となっていて相違する。しかし、他の構成(受信部402−r、GI除去部403−r、FFT部404−r、デマッピング部405−r、MIMO検出部407および復号部408−tの構成)は同一であるので、その説明を省略する。
【0113】
図17は、受信装置3bにおける伝搬路推定部1606の構成を示す概略ブロック図である。
伝搬路推定部1606は、CFR推定部1701−r、チャネル選択部1702−p、パス抽出部1703−p、CIR推定部1704−r、FFT部1705−t−r、グルーピング部1706および逆グルーピング部170−7を備える。ここで、r=1、2、・・・、Rであり、そしてt=1、2、・・・、Tであり、そしてp=1、2、・・・、Pである。図17には、デマッピング部405−rおよびMIMO検出部407を併せて示す。
図17では、CFR推定部1701−r、CIR推定部1704−rおよびFFT部1705−t−rについては、r=1、r=2、r=Rの3つの場合を簡略化して示す。チャネル選択部1702−pおよびパス抽出部1703−pについては、p=1、p=2、p=Pの3つの場合を簡略化して示す。
なお、図17には、デマッピング部405−rおよびMIMO検出部407も併せて示す。
【0114】
CFR推定部1701−rは、デマッピング部405−rが出力するパイロットサブキャリアの受信信号を用いて、パイロットサブキャリアの周波数応答を推定する。CFR推定部1701−rは、r番目の受信アンテナにおける受信信号に含まれるT個のストリームすべてに対して、周波数応答推定値を算出する。CFR推定部1701−rは、T個の周波数応答推定値をグルーピング部1706へ出力する。
【0115】
グルーピング部1706は、TR個の周波数応答推定値をP組の群にグループ分けして、チャネル選択部1702−pへ出力する。例えば、P=T/2の場合は、グルーピング部1706は、2R個の周波数応答推定値をチャネル選択部1702−pへ出力する。P=Tの場合は、グルーピング部1706は、R個の周波数応答推定値をチャネル選択部1702−pへ出力する。
したがって、チャネル選択部1702−1〜1702−Pには、全体で、TR個の周波数応答推定値が入力する。
また、グルーピング部1706は、TR個の周波数応答推定値を逆グルーピング部1707へ出力する。
【0116】
チャネル選択部1702−pの動作は,以下のとおりである。
まず、P=Tの場合、つまり送信装置3a−tがT台あって各送信装置が1個の送信アンテナを備える場合について、説明をする。
チャネル選択部1702−1は、送信アンテナ3a−1−1に関するR個の周波数応答推定値から、最も良いと判断した、すなわち、電力の総和が最大となると判断した1つの周波数応答推定値を選択してパス抽出部1703−1に出力する。また、チャネル選択部1702−2は、送信アンテナ3a−2−1に関するR個の周波数応答推定値から、最も良いと判断した1つの周波数応答推定値を選択してパス抽出部1703−2に出力する。また、チャネル選択部1702−Pは、送信アンテナ3a−P−1に関するR個の周波数応答推定値から、最も良いと判断した1つの周波数応答推定値を選択してパス抽出部1703−Pに出力する。
【0117】
つぎに、P=T/2の場合、つまり送信装置3a−tがT/2台あって各送信装置3a−pが2個の送信アンテナを備える場合について、説明をする。
チャネル選択部1702−1は、送信アンテナ3a−1−1および送信アンテナ3a−1−2に関する2R個の周波数応答推定値から、最も良いと判断した一つの周波数応答推定値を選択してパス抽出部1703−1に出力する。また、チャネル選択部1702は、送信アンテナ3a−2−1および3a−2−2に関する2R個の周波数応答推定値から、最も良いと判断した一つの周波数応答推定値を選択してパス抽出部1703−2に出力する。また、チャネル選択部1702−Pは、送信アンテナ3a−P−1および3a−P−2に関する2R個の周波数応答推定値から、最も良いと判断した一つの周波数応答推定値を選択してパス抽出部1403−Pに出力する。
【0118】
以上説明をしたようにして、チャネル選択部1702−pは、TR個の周波数応答推定値を送信装置に関して任意のP組の群にグループ分けして、この群をパス抽出部1703−pに出力する。ただし、P≦Tである。このようなグループ分けは、マルチユーザMIMOの場合に有効であり、また、複数の基地局が連携してデータを送信している場合に有効である。
【0119】
パス抽出部1703−pでは、第1の実施形態および第2の実施形態と同様にパス抽出を行い、パス抽出の結果を逆グルーピング部1707に出力する。
逆グルーピング部1707は、TR個の周波数応答推定値と、パス抽出部1703−pで得られるパス抽出の結果と、を対応するCIR推定部1704−rに出力する。
【0120】
CIR推定部1704−rは、TR個の周波数応答推定値と、パス抽出部1703−pで得られるパス抽出の結果と、を用いてチャネルインパルス応答を推定する。CIR推定部1704−rは、推定されたチャネルインパルス応答をFFT部1705−t−rに出力する。
FFT部1705−t−rは、第t送信アンテナから第r受信アンテナへのチャネルにおけるチャネルインパルス応答を復調用周波数応答推定値に変換する。FFT部1705−t−rは、復調用周波数応答推定値をMIMO検出部407に出力する。
【0121】
図18は、本実施形態に係る受信装置3bの動作を示すフローチャート図である。
なお、この図が示す動作は、図16の受信部402−rが受信信号をGI除去部403−rに出力した後の処理である。
【0122】
(ステップS1801)
GI除去部403−rは、受信信号からガードインターバルを除去する。その後、ステップS1802に進む。
(ステップS1802)
FFT部404−rは、ステップS1801で得られる信号に対して時間−周波数変換を行う。デマッピング部405−rは、得られた周波数領域の信号からデータとパイロットを分離する。デマッピング部405−rは、データがマッピングされたサブキャリアの受信信号をMIMO検出部407へ出力するとともに、パイロットサブキャリアの受信信号を伝搬路推定部1606に出力した後、ステップS1803に進む。
【0123】
(ステップS1803)
ステップS1803では、CFR推定部1701−rは、得られたパイロットサブキャリアの受信信号から、送信アンテナそれぞれについての周波数応答推定値を算出し、次にこの周波数応答推定値をグルーピング部1706へ出力する。グルーピング部1706では、TR個の周波数応答推定値の中からパス情報を共有するチャネルを選択し、これをP組の群にグループ分けして、チャネル選択部1702−pへ出力する。
(ステップS1804)
チャネル選択部1702−pは、グルーピング部1706から入力されたものの中から、最も良いと判断した1つまたは若干の周波数応答推定値を選択するチャネル選択を行って、これをパス抽出部1703−pに出力する。
【0124】
(ステップS1805)
パス抽出部1703−pは、ステップS1804で得られるチャネルにおける周波数応答推定値を用いてパス抽出を行い、次に抽出されたパスを逆グルーピング部1707へ出力する。その後、ステップS1806に進む。
【0125】
(ステップS1806)
逆グルーピング部1707では、ステップS1805で得られるパス情報を、グループ分けしたチャネルに割り当てる。該当する各グループに対して、周波数応答推定値とパス情報を組み合わせ、ステップS1807に進む。
【0126】
(ステップS1807)
CIR推定部1704−rは、ステップS1806で得られるパス情報とステップS1803で得られる周波数応答推定値とを用いて、チャネルインパルス応答推定値を算出する。その後、ステップS1808に進む。
【0127】
(ステップS1808)
ステップS1807で得られるチャネルインパルス応答推定値を、FFT部1705−t−rにおいて復調用周波数応答推定値に変換した後、MIMO検出部407でMIMO分離を行う。その後、ステップS1809に進む。
(ステップS1809)
ステップS1808で得られるMIMO分離結果を用いて、復号部408−tで復号を行う。その後、受信装置3bは動作を終了する。
【0128】
このように、本実施形態によれば、図9で示したように、パス抽出部の数をP個にすることができるため、計算量を大きく削減することができ、回路規模を大きく削減することができ、しかも消費電力を大きく低減することができる。また、第1の実施形態および第2の実施形態とは異なり、複数の基地局が協調しているような場合にも効果を発揮できる。
【0129】
<変形例>
第3の実施形態では、P組にグルーピングしたチャネルの中で、周波数応答推定値の電力の総和が最大のものをパス抽出に用いるチャネルとして選択した。
本変形例では、グルーピングしたチャネルを全て用いてパス抽出を行う場合について説明する。
【0130】
本変形例の無線通信システムの概略の構成は、図15に示す第3の実施形態の構成と同じであるので、これを援用する。すなわち、本変形例の無線通信システムは、複数台の送信装置および1台の受信装置を備える。
本変形例の各送信装置の構成は、アンテナの個数および送信装置の内部の経路の個数を除いて、図2に示す第1の実施形態の送信装置1aの構成と同じである。したがって、その説明を省略する。
【0131】
また、受信装置の構成も、図16の受信装置における伝搬路推定部1606が本変形例の伝搬路推定部と異なるだけで、その余の構成は同じである。したがって、本変形例の伝搬路推定部を以下で詳細に説明することとし、受信装置の他の構成の説明を省略する。
【0132】
図19は、本変形例における伝搬路推定部の構成を示す概略ブロック図である。
この伝搬路推定部は、CFR推定部1701−r、パス抽出部1903−p、CIR推定部1704−r、FFT部1705−t−r、グルーピング部1706および逆グルーピング部1907を備える。図19には、デマッピング部405−rおよびMIMO検出部407も併せて示す。
【0133】
図19の伝搬路推定部と図17の伝搬路推定部1606を対比すると、前者のCFR推定部1701−r、グルーピング部1706、CIR推定部1704−rおよびFFT部1705−t−rは、後者のCFR推定部1701−r、グルーピング部1706、CIR推定部1704−rおよびFFT部1705−t−rと同じである。しかし、前者のパス抽出部1903−pおよび逆グルーピング部1907は、後者のパス抽出部1703−pおよび逆グルーピング部1707と相違する。また、前者では、後者のチャネル選択部1702−rに相当するものが存在しない。したがって、同じ構成要素のCFR推定部1701−r、グルーピング部1706、CIR推定部1704−t−rおよびFFT部1705−t−rの説明を省略する。
【0134】
グルーピング部1706は、グループ分けしたチャネルの周波数応答推定値を全てパス抽出部1903−pに出力する。
パス抽出部1903−pでは、グループ分けしたチャネル全てを用いてパス抽出を行う。
第pグループ内におけるチャネルの番号を、ここではg=1、2、・・・、Gとする。また、チャネルgにおける周波数応答推定ベクトルをHP(g)とし、HP(g)とパス集合qを用いて推定されるチャネルインパルス応答推定ベクトルをhq(g)とする。hq(g)は次式で表される。
【0135】
【数18】
【0136】
また、このときの伝搬路適合度を次式で表す。
【0137】
【数19】
【0138】
上式(18)、(19)を、第1の実施形態における図7の説明中の式(15)、(16)の代わりに用いることで、既述のようにしてパス抽出を行うことができる。
【0139】
図20は、パス抽出部1903−pの構成を示す概略的ブロック図である。
パス抽出部1903−rは、伝搬路適合度算出合計部2001、不要候補パス除去部1702、判断部1703およびパス決定部1704を備える。なお、図20には、グルーピング部1706および逆グルーピング部1907を併せて示す。
【0140】
図20のパス抽出部1903−pと図7のパス抽出部503−rとを対しすると、後者の伝搬路適合度算出部701が前者では伝搬路適合度算出合計部2001となっている点が相違するだけで、他の構成(不要候補パス除去部1702、判断部1703およびパス決定部1704の構成)は同じである。したがって、伝搬路適合度算出合計部2001の説明を以下において行い、他の構成についての説明は、省略する。
【0141】
伝搬路適合度算出合計部2001は、「候補パス(candidate_path)」の要素のうち少なくとも1つと、グルーピング部1706から入力された「選択したパス(selected_path)」の要素全てと、に基づいて、チャネルインパルス応答を推定し、次いで、各場合の伝搬路適合度を計算して、「伝搬路適合度(channel_match)」に保存する。
伝搬路適合度算出合計部2001は、算出した伝搬路適合度を不要候補パス除去部702に出力する。
【0142】
図21は、本変形例に係る受信装置の動作を示すフローチャート図である。なお、この図が示す動作は、図19のグルーピング部1706、パス抽出部1903―p、逆グルーピング部1907およびCIR推定部1704−rまでの動作である。
【0143】
(ステップS2101)
ステップS2101では、CFR推定部1701−1〜17−1−Rで得られるパイロットサブキャリアの周波数応答推定値のTR個を、P組の群にグループ分けして、パス抽出部1903−pに出力する。その後、ステップS2102へ進む。
(ステップS2102)
パス抽出部1903−pは、ステップS2101で得られる周波数応答推定値を全て用いてパス抽出を行い、次に抽出されたパスを逆グルーピング部1907へ出力する。その後、ステップS2103に進む。
【0144】
(ステップS2103)
ステップS2103では、ステップS2102で得られるパス情報を、グループ分けしたチャネルに割り当てる。該当する各グループに対して、周波数応答推定値とパス情報を組み合わせ、ステップS2104に進む。
(ステップS2104)
CIR推定部1704−rは、ステップS2102で得られるパス情報とステップS2101で得られる周波数応答推定値とを用いて、チャネルインパルス応答推定値を算出する。
【0145】
このように、本変形例によれば、図19に示した通り、TR個必要なパス抽出部をP個に抑えているため、計算量を大きく削減することができ、回路規模を大きく削減することができ、しかも消費電力を大きく低減することができる。
また、第1〜第3の実施形態と異なるところの、グルーピングされたチャネル全てを用いてパス抽出を行うため、パス構造が実チャネルと合致しやすく、推定精度が向上する。
【0146】
なお、第1〜第3の実施形態および変形例の説明では、TR個のチャネルより少ないパス抽出を行うことで、計算量を抑えつつ、伝搬路推定精度を向上させ、しかも消費電力を低減することができる処理について説明した。しかしながら、実際には、伝搬路推定精度を向上させるために、パス抽出のような計算量を必要とする処理を行う必要のない場合が存在する。
【0147】
具体的には、受信装置が待機モードに入っていて、伝搬路推定精度がそれほど必要のない通信を行っている場合や、受信SN比が極端に大きいような場合である。このような場合は、パス抽出処理を省略し、遅延時間0〜Lのパスを全て推定することで、パス抽出処理にかかる処理を省略でき、消費電力を抑えることができる。
【0148】
また、受信装置の移動速度が速い場合には、グルーピング処理を省略して、TR個のチャネル全てでパス抽出を行うようにしてもよい。このようにすることで、高速移動時の伝搬路推定精度低下を抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明は、マイモの移動通信および固定通信において利用することができる。
【符号の説明】
【0150】
1a・・・第1の実施形態の送信装置、1a−1〜1aT・・・送信アンテナ、1b・・・第1の実施の受信装置、1b−1〜1b−R・・・受信アンテナ、406・・・伝搬路推定部、503−r・・・パス抽出部、504−r・・・CIR推定部、2b・・・第2の実施形態の受信装置、1206・・・伝搬路推定部、3a−1〜3a−P・・・第3の実施形態の送信装置、3a−1−1〜3a−T−1・・・送信アンテナ、3b・・・第3の実施形態の受信装置、3b−1〜3b−R・・・受信アンテナ、1606・・・伝搬路推定部、1903−p・・・変形例のパス抽出部、2201・・・基地局、2202・・・移動端末、2203〜2206・・・障害物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パス抽出部とパス抽出部が抽出したパス情報を基にチャネルインパルス応答を推定するチャネルインパルス応答推定部を備えるMIMO受信装置であって、チャネルインパルス応答推定部よりパス抽出部の数が少ないことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
1つの受信アンテナの受信信号に含まれる送信ストリームの内の1つを用いてパス抽出を行い、他のストリームはそのパス情報を用いてチャネルインパルス応答を推定することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
全ての受信アンテナの受信信号に含まれる1つの送信ストリームのうち、1つの受信アンテナを用いてパス抽出を行い、他のアンテナの該当ストリームについては、そのパス情報を用いてチャネルインパルス応答を推定することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
全チャネルのうち、1つのチャネルを用いてパス抽出を行い、他のチャネルはそのパス情報を用いてチャネルインパルス応答を推定することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
全チャネルを、パス情報を共有するグループに分け、グループ内の1つのチャネルを用いてパス抽出を行い、そのパス情報を用いて他のチャネルのチャネルインパルス応答を推定することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項6】
複数のチャネルを用いて1つのパス抽出を行うことを特徴とする請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
受信装置の移動速度が所定の閾値を上回る場合は、パス抽出部の数を増加させることを特徴とする請求項1〜6の受信装置。
【請求項8】
信号対雑音電力比が閾値を上回る場合は、パス抽出部を動作させないことを特徴とする請求項1〜6に記載の受信装置。
【請求項9】
受信装置が待機モードの場合は、パス抽出部を動作させないことを特徴とする請求項1〜6に記載の受信装置。
【請求項10】
パス抽出過程とパス抽出過程が抽出したパス情報を基にチャネルインパルス応答を推定するチャネルインパルス応答推定過程を備えるMIMO受信方法であって、チャネルインパルス応答推定過程よりパス抽出過程の数が少ないことを特徴とする受信方法。
【請求項11】
請求項10に記載の受信方法をコンピュータに実行させることを特徴とする受信プログラム。
【請求項1】
パス抽出部とパス抽出部が抽出したパス情報を基にチャネルインパルス応答を推定するチャネルインパルス応答推定部を備えるMIMO受信装置であって、チャネルインパルス応答推定部よりパス抽出部の数が少ないことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
1つの受信アンテナの受信信号に含まれる送信ストリームの内の1つを用いてパス抽出を行い、他のストリームはそのパス情報を用いてチャネルインパルス応答を推定することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
全ての受信アンテナの受信信号に含まれる1つの送信ストリームのうち、1つの受信アンテナを用いてパス抽出を行い、他のアンテナの該当ストリームについては、そのパス情報を用いてチャネルインパルス応答を推定することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
全チャネルのうち、1つのチャネルを用いてパス抽出を行い、他のチャネルはそのパス情報を用いてチャネルインパルス応答を推定することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
全チャネルを、パス情報を共有するグループに分け、グループ内の1つのチャネルを用いてパス抽出を行い、そのパス情報を用いて他のチャネルのチャネルインパルス応答を推定することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項6】
複数のチャネルを用いて1つのパス抽出を行うことを特徴とする請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
受信装置の移動速度が所定の閾値を上回る場合は、パス抽出部の数を増加させることを特徴とする請求項1〜6の受信装置。
【請求項8】
信号対雑音電力比が閾値を上回る場合は、パス抽出部を動作させないことを特徴とする請求項1〜6に記載の受信装置。
【請求項9】
受信装置が待機モードの場合は、パス抽出部を動作させないことを特徴とする請求項1〜6に記載の受信装置。
【請求項10】
パス抽出過程とパス抽出過程が抽出したパス情報を基にチャネルインパルス応答を推定するチャネルインパルス応答推定過程を備えるMIMO受信方法であって、チャネルインパルス応答推定過程よりパス抽出過程の数が少ないことを特徴とする受信方法。
【請求項11】
請求項10に記載の受信方法をコンピュータに実行させることを特徴とする受信プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−74435(P2013−74435A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211477(P2011−211477)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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