説明

受信装置、受信方法及びプログラム

【課題】データ判定値を用いなくても再送時の伝搬路推定精度を向上させることができる受信装置等を提供すること。
【解決手段】自動再送要求を行う通信システムに用いられる受信装置であって、初送信号と少なくとも1つの再送信号を受信する受信部と、前記受信部が受信している最新の再送信号に対してチャネル推定を行って周波数応答推定値を求めるチャネル推定部と、前記最新の再送信号より以前の受信信号からチャネル情報を生成するチャネル情報生成部と、を備え、前記チャネル推定部は、前記チャネル情報を用いて前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動再送要求を行う通信システムに用いられる受信装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信の分野では、受信装置で無線伝搬状況を把握するためにチャネル推定を行っている。受信装置はチャネル推定結果を用いて復調・復号を行うため、チャネル推定精度が悪くなると、伝送特性も大きく劣化してしまう。
【0003】
チャネル推定は、多くの場合、送受信装置で既知の信号であるパイロット信号を用いて行われる。一般に、送信信号に多くのパイロット信号を配置すれば、チャネル推定精度は向上する。しかしながら、パイロット信号が増加すると、データ信号が減少するので、データレートが減少してしまう。従って、高速データ伝送を行うためには、パイロット信号を増加させずにチャネル推定精度を向上させる技術が必要になる。
【0004】
従来、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)を利用してチャネル推定精度を向上させる技術が、例えば特許文献1に開示されている。図12は特許文献1のチャネル推定方法のフローチャートである。
【0005】
ステップs511では、受信装置は受信したデータブロックpをチャネル推定し、データシンボル推定値を求め、データシンボル推定値を復調してデータビット推定(例えば符号化ビットLLR(対数尤度比:Log Likelihood Ratio))を求める。ステップs512は、データビット推定を誤り訂正復号し、データ判定値(特許文献1ではデータビット推測、例えば符号化ビットLLR)を求める。ステップs513は、符号化ビットLLRを用いて次に続くブロックp+1のチャネル推定を行う。なおブロックpとブロックp+1のデータには関連がある。このように特許文献1では、1つ前に送られたブロックpのデータ判定値をパイロット信号とみなし、ブロックp+1のチャネル推定を行うので、ブロックp+1のチャネル推定精度を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2008−518522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら特許文献1では、ブロックp+1の伝搬路推定精度はブロックpのデータ判定値の信頼性に依存し、例えばブロックpのデータ判定値の信頼性が低い場合は、ブロックp+1の伝搬路推定精度をほとんど向上させることができない、という問題があった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的はデータ判定値を用いなくてもブロックp+1の伝搬路推定精度を向上させることができる受信装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、以下に記載する構成を採用するとともに、以下の特徴を備えている。
【0010】
本発明の受信装置は、自動再送要求を行う通信システムに用いられる受信装置であって、
受信信号として、初送信号と、少なくとも1つの再送信号とを受信する受信部と、
前記受信部が受信している最新の再送信号に対してチャネル推定を行って周波数応答推定値を求めるチャネル推定部と、
前記最新の再送信号より以前の受信信号からチャネル情報を生成するチャネル情報生成部と、を備え、
前記チャネル推定部は、前記チャネル情報を用いて前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の受信装置は、スキャッタードパイロット信号が含まれており、
前記チャネル推定部は、前記スキャッタードパイロット信号と前記チャネル情報とを用いて前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の受信装置において、前記チャネル情報は、チャネルの統計量であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の受信装置において、前記チャネルの統計量は、時間相関であり、該時間相関を用いて前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の受信装置において、前記チャネルの統計量は、周波数相関であり、該周波数相関を用いて前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の受信装置において、前記チャネルの統計量は、パス位置であり、該パス位置を用いてチャネルインパルス応答推定値から前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の受信装置において、前記チャネルの統計量は、時間相関及び周波数相関であり、該時間相関及び周波数相関を用いて前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の受信装置において、前記チャネルの統計量は、時間相関及びパス位置であり、該時間相関及びパス位置を用いてチャネルインパルス応答推定値を求め、該チャネルインパルス応答から前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の受信装置において、前記チャネル情報は、チャネル推定値であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の受信装置において、前記チャネル推定値はチャネルインパルス応答推定値であり、前記チャネル推定部は、忘却係数を用いて前記最新の再送信号と該再送信号より以前の受信信号における前記チャネルインパルス応答推定値を合成することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の受信装置において、前記チャネル推定値は周波数応答推定値であり、前記チャネル推定部は、忘却係数を用いて前記最新の再送信号と該再送信号より以前の受信信号における前記チャネルインパルス応答推定値を合成することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の受信装置において、前記チャネル推定部は、前記忘却係数を用いて、再送信号より以前の受信信号に加え、前記最新の再送信号と前回の再送信号の期間に受信した信号を用いてチャネル推定を行うことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の受信装置において、前記チャネル情報は、チャネル統計量及びチャネル推定量であり、前記チャネル推定部は、該チャネル統計量及びチャネル推定値を用いて、前記最新の再送信号と該再送信号より以前の受信信号におけるチャネルインパルス応答推定値又は前記周波数応答推定値を合成することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の受信装置において、前記チャネル推定部は、前記スキャッタードパイロット信号、前記チャネル情報及び前回の受信信号におけるデータ判定値から周波数応答推定値を求めることを特徴とする。
【0024】
また、本発明の受信装置において、前記チャネル推定部は、前記スキャッタードパイロット信号、前記チャネル情報及び前回の受信信号におけるデータ判定値を用いてチャネルインパルス応答を求めてから前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の受信装置において、前記チャネル推定部は、時間及び周波数方向の補間を行って前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする。
【0026】
また、本発明の受信装置において、前記データ判定値には、軟判定値を用いることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の受信装置において、前記データ判定値には、ある閾値以上の前記軟判定値を用いることを特徴とする。
【0028】
また、本発明の受信装置において、前記データ判定値には、硬判定値を用いることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の受信装置において、前記硬判定値は重み付けされていることを特徴とする。
【0030】
また、本発明の受信装置において、前記硬判定値に重み付けされる場合に用いられる重みは、軟判定値の信頼性に応じて求めることを特徴とする。
【0031】
本発明の受信方法は、
自動再送要求を行う通信システムに用いられる受信装置における受信方法であって、
受信信号として、初送信号と、少なくとも1つの再送信号とを受信する受信過程と、
前記受信過程が受信している最新の再送信号に対してチャネル推定を行って周波数応答推定値を求めるチャネル推定過程と、
前記最新の再送信号より以前の受信信号からチャネル情報を生成するチャネル情報生成過程と、を有し、
前記チャネル推定過程は、前記チャネル情報を用いて前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする。
【0032】
本発明のプログラムは、
自動再送要求を行う通信システムに用いられる受信装置において実行されるプログラムであって、
受信信号として、初送信号と、少なくとも1つの再送信号とを受信する受信機能と、
前記受信機能が受信している最新の再送信号に対してチャネル推定を行って周波数応答推定値を求めるチャネル推定機能と、
前記最新の再送信号より以前の受信信号からチャネル情報を生成するチャネル情報生成機能と、を実現し、
前記チャネル推定機能は、前記チャネル情報を用いて前記周波数応答推定値を求めることを実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
このように本発明では、前回の送信から求めたチャネル情報を用いてチャネル推定するようにした。従って、データ判定値の信頼性が低くても、再送時のチャネル推定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1実施形態における送信装置の機能構成を説明する為の図である。
【図2】第1実施形態における符号化部の機能構成を説明する為の図である。
【図3】第1実施形態におけるパンクチャ部の動作について説明する為の図である。
【図4】第1実施形態における信号について説明する為の模式図である。
【図5】第1実施形態における受信装置の機能構成を説明する為の図である。
【図6】第1実施形態における動作説明に用いるための図である。
【図7】第1実施形態における受信処理について説明する為のフローチャートである。
【図8】第2実施形態における動作説明に用いるための図である。
【図9】第2実施形態における受信処理について説明する為のフローチャートである。
【図10】第3実施形態における受信装置の機能構成を説明する為の図である。
【図11】第3実施形態における受信処理について説明する為のフローチャートである。
【図12】従来の受信装置の処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0036】
[1.第1実施形態]
図1は本実施形態における送信装置10の構成を示すブロック図である。送信装置10は、符号化部101、インターリーブ部102、変調部103、パイロット信号生成部104、パイロット信号多重部105、IFFT(逆高速フーリエ変換:Inverse Fast Fourier Transform)部106、送信信号情報多重部107、GI(ガードインターバル:Guard Interval)挿入部108、無線送信部109、無線受信部110、GI除去部111、FFT部112、復調部113、応答信号解析部114を備えて構成されている。
【0037】
符号化部101は、符号化ビットに対し誤り訂正符号化を施し、所定の符号化率の符号化ビットを出力する。ここで、符号化部101について図を用いて詳細に説明する。
【0038】
図2は符号化部101の構成を示すブロック図である。符号化部101は誤り訂正符号化部201、送信データ記憶部202、パンクチャ部203を備えて構成されている。
【0039】
誤り訂正符号化部201は、入力された情報ビットを畳込み符号、ターボ符号等の誤り訂正符号を用いて符号化する機能部である。符号化された情報ビットは、送信データ記憶部202と、パンクチャ部203に出力される。
【0040】
送信データ記憶部202は、符号化された情報ビットを記憶する機能部である。パンクチャ部203は、符号化された情報ビットを所定のパターンでパンクチャリング処理を行って符号化ビットを出力する。送信データ記憶部202に記憶された信号は、再送時に送信される。
【0041】
図3はパンクチャ部203の符号化率1/3のターボ符号のパンクチャパターンの一例を示している。図中のxは情報ビット、p1、p2は誤り訂正符号化部において情報ビットから生成された冗長ビット(パリティビット)を示している。なお、図中の1は送信するビット、0は送信しないビットを表している。
【0042】
パターン1は所定の符号化率にするためのパターンで、最初に送信データを送信する場合(初送)や、HARQ(ハイブリッド自動再送要求:Hybrid Automatic Repeat reQuest)の再送方法の1つであるCC(Chase Combining)を用いるときに使われる。符号化率1/2のパターン1の場合を例に説明する。今、符号化率1/3の系列を[i1,12,11,22,2]とする。i、iは情報ビット、p1,1、p1,2はパリティビット1、p2,1、p2,2はパリティビット2を表している。このとき符号化率1/2のパターン1でパンクチャリングを行うと、符号化率1/2の系列[i1,12,2]となる。
【0043】
パターン2は、HARQの再送方法の1つであるIR(Incremental Redundancy)を用いるときに使われる。IRを行う方法として、いくつかタイプがある。例えば、再送時に情報ビットと初送時に送信しなかったパリティビットを送信するタイプ(符号化率1/2の例)、初送時に送信しなかったパリティビットを再送時に送信するタイプ(符号化率3/4の例)である。例えば、符号化率1/2のパターン2を用いる場合を説明する。パターン1の例と同様に符号化率1/3の系列[i1,12,11,22,2]をパンクチャリングすると、符号化率1/2の系列[i2,11,2]となり、パターン1とは異なるパリティビットが送信される。
【0044】
再度図1の説明に戻る。符号化部101が出力する符号化ビットは、インターリーブ部102でインターリーブが行われ、変調部103でPSK(位相偏移変調:Phase Shift Keying)、QAM(直交振幅変調:Quadrature Amplitude Modulation)等の変調シンボルにマッピングされる。パイロット信号生成部104は送受信側で既知の信号であるパイロット信号を生成する。パイロット信号多重部105は、変調シンボルとパイロット信号を既定のパターンで多重する。
【0045】
図4にパイロット信号と情報データ変調シンボルのマッピングの例を示す。図4では横軸に時間、縦軸に周波数をとり、パイロット信号は黒で、情報データ変調シンボルは白で表されている。周波数方向に離散的に配置されたパイロット信号を持つOFDMシンボルが複数存在するが、パイロットが配置されるサブキャリア(パイロットサブキャリアとよぶ)が異なっているパイロット信号の配置を示している。パイロット信号が配置されていないサブキャリアには情報データ変調シンボルが配置される。情報データ変調シンボルが配置されるサブキャリアをデータサブキャリアとよぶ。なお、離散的に配置されたパイロット信号をスキャッタードパイロット信号という。
【0046】
パイロット信号多重部105の出力は、IFFT部106で周波数時間変換され、送信信号情報多重部107で送信するデータが初送であるか再送であるか等の送信信号に関する情報を多重する。なお、送信信号情報は、受信側で分離できるように送信すればよく、例えば、時間分割多重、周波数分割多重、符号分割多重を行うことができる。
【0047】
GI挿入部108では、周波数時間変換された信号に対し、GIを挿入する。無線送信部109では、GIを挿入した信号に対して、デジタルーアナログ変換、周波数変換等を行い、送信する。
【0048】
無線受信部110では、受信機が送信した応答信号を含む信号を受信し、周波数変換やアナログーデジタル変換を行う。この応答信号は、送信装置が受信装置に対して送信した情報ビットが正しく受信できたか(ACK:ACKnowledgement)、正しく受信できなかったか(NACK:Negative ACKnowledgement)を、受信装置20が送信装置10に通知する信号である。
【0049】
そしてGI除去部111でGIを除去し、FFT(高速フーリエ変換:Fast Fourier Transform)部112で時間周波数変換を行い、復調部113で復調を行う。
【0050】
応答信号解析部114は、復調した信号に対して、応答信号を解析し、送信装置10が受信装置20に対して送信した情報ビットがACKであるかNACKであるかを判断する。応答信号がACKである場合、再送は行わない。一方、応答信号がNACKである場合、再送が行われる。前述のCCによる再送の場合は、初送と同一の符号化ビットを再送する。また、IRの場合は、初送では送られていないパリティビットを含む符号化ビットを再送する。
【0051】
図5は本実施形態における受信装置20の構成を示すブロック図である。受信装置20は、無線受信部501、GI除去部502、分離部503、送信信号情報解析部504、FFT部505、チャネル推定部506、チャネル情報生成部507、伝搬路補償部508、復調部509、デインターリーブ部510、受信信号記憶部511、HARQ合成部512、復号部513、再送制御部514、応答信号生成部515、変調部516、IFFT部517、GI挿入部518、無線送信部519を含んで構成される。
【0052】
まず、初送信号を受信した場合について説明する。無線受信部501では、受信信号に対し、周波数変換やアナログ−デジタル変換等を行う。無線受信部501が出力した信号は、GI除去部502でGIが除去され、分離部503で送信信号情報が分離される。
【0053】
送信信号情報解析部504は、分離部503において分離された送信信号情報に基づいて、受信信号が初送であるか再送であるか等の送信信号に関する情報を求め、結果をチャネル推定部506、HARQ合成部512に出力する。
【0054】
FFT部505は、分離部503が分離した送信信号情報を除く受信信号に対して時間周波数変換を行う。いま、初送信号であるので、チャネル情報生成部507はチャネルに関する情報(チャネル情報)を持っていない。したがって、チャネル推定部506はパイロット信号を用いてチャネル推定を行い、チャネル推定値を求める。チャネル推定値にはチャネルインパルス応答推定値と周波数応答推定値がある。チャネル情報生成部507は、主にチャネル推定値を用いてチャネルの統計量を求める。
【0055】
伝搬路補償部508は、チャネル推定部506により求められたチャネル推定値を用いて受信信号に対して伝搬路補償を行う。伝搬路補償後の信号は、復調部509で復調が行われ符号化ビットLLR(対数尤度比:Log Likelihood Ratio)、が出力される。そして、デインターリーブ部510では送信側で行われたインターリーブの逆パターンでデインターリーブが行われる。デインターリーブ部510の出力は受信信号記憶部511と、HARQ合成部512に出力される。
【0056】
HARQ合成部512は、受信信号記憶部511から得られる前回再送時までに得られたビットLLRとデインターリーブ部510の出力をLLR合成し、未だ送信されていないビットに対してはデパンクチャを行う。なお、初送信号の場合は、デパンクチャのみが行われる。
【0057】
復号部513は、HARQ合成部512の出力を誤り訂正復号する。再送制御部514は、誤り訂正復号結果に誤りがあるかどうかを判断し、誤り検出情報を生成する。復号結果に誤りがないと判断した場合は、復号により得られる情報ビットを出力すると共に、誤りがないことを示す誤り検出情報を応答信号生成部515に出力する。他方、復号結果に誤りがあると判断した場合は、誤りがあることを示す誤り検出情報を応答信号生成部515に出力する。なお、復号結果に誤りがあるかどうかの判断にはCRC(巡回冗長検査:Cyclic Redundancy Check)を用いることができる。
【0058】
応答信号生成部515では、再送制御部514から出力された誤り検出情報に基づいてACK又はNACKの応答信号を生成する。変調部516は、応答信号を変調シンボルにマッピングし、IFFT部517では変調シンボルに対して周波数時間変換を行う。GI挿入部518は周波数時間変換した信号に対してガードインターバルを挿入し、無線送信部519でデジタルーアナログ変換や周波数変換等を行って送信される。
【0059】
次に再送信号を受信した場合について説明する。ここで再送信号とはHARQの2回目以降の送信信号を表す。ここでは、再送信号を受信したときに処理が変わるチャネル推定部506とHARQ合成部512を中心に説明する。本実施形態のチャネル推定部506は、再送信号の受信信号の場合、チャネル情報生成部507で生成されたチャネルの統計量を用いてチャネル推定する。チャネルの統計量とは、例えば、パス位置、周波数相関、時間相関、電力遅延プロファイルなどがある。
【0060】
チャネルの統計量は時間によってあまり変化しないと考えられるので、前回の送信が行われた時にチャネルの統計量を求めておけば、今回の送信のチャネル推定に統計量を用いることができる。チャネルの統計量をチャネル推定に用いれば、同じパイロット数でもチャネル推定精度を向上させることができる。以下でチャネルの統計量の求め方、及び、統計量を用いたチャネル推定の詳細を述べる。
【0061】
本実施形態においては、図4に示したようなパイロット配置の場合で説明する。図4のように離散的にパイロット信号が配置された場合、パイロットサブキャリアの周波数応答はパイロット信号で推定できるが、データサブキャリアの周波数応答はパイロット信号では直接求められない。従って、パイロットサブキャリアの周波数応答を用いてデータサブキャリアの周波数応答を補間する必要がある。このような条件の中で良好なチャネル推定精度が得られる技術としてMMSE(最小平均2乗誤差:Minimum Mean Square Error)チャネル推定がある。MMSEチャネル推定は次のように行われる。
【数1】

【0062】
なお、H^はパイロットサブキャリアの周波数応答ベクトル、Fは、行サイズがパイロットサブキャリア数、列サイズがパス数のフーリエ変換行列である。hは推定したいチャネルインパルス応答である。E[]は期待値を表す。h^は推定したチャネルインパルス応答であり、これをフーリエ変換することでデータサブキャリアの周波数応答を精度よく求めることができる。具体的にはh^は(2)のように求めればよい。
【数2】

【0063】
なお、αはSNR(信号対雑音電力比)によって最適値が決まるが、最適値を求めずに0.001等の適当な固定値を用いてもよい。このMMSEチャネル推定は、データサブキャリアの周波数応答を優れた精度で求めることができるが、チャネルインパルス応答のパス位置を知っておく必要がある。
【0064】
本実施形態では、チャネル情報生成部507で、HARQの前回の送信(もしくは前回までの送信)時にパス位置を求める。パス位置は例えば次のように求めることができる。パイロットサブキャリアの周波数応答をIFFTして、振幅の大きいパスを選び、パス位置を求めることができる。また、前回の送信でNACKで応答した後に、チャネル推定、復調と復号を繰り返し行う繰り返しチャネル推定を行ってパス位置を求めても良い。また情報量基準(Information Criterion)を用いて周波数応答の推定精度が最大となるようなパス位置を求めても良い。
【0065】
次にチャネルの相関を用いてデータサブキャリアの周波数応答を求める技術を説明する。チャネルの相関には時間相関と周波数相関がある。例えば図6に示しているように、パイロットから求めた周波数応答推定値H1〜H4からデータサブキャリアの周波数応答推定値Hは次のように求めることができる。
【数3】

【0066】
なお、<>は集合平均を表し、Hはパイロットサブキャリアの周波数応答を要素に持つ4次元ベクトル、H^=[H1,H2,H3,H4]、σは雑音電力、Iは4行4列の単位行列を表し、上付きのTは転置行列を表す。また上付きのHの複素共役転置行列を表す。Rは次のようにHとH^の相関を表す。
【数4】

【0067】
なお、σ()は時間相関、σ()は周波数相関を表す。また、tはnOFDMシンボル間隔、fはnサブキャリア間隔を表す。また、σ(t)=σ(−t)、σ(f)=σ(−f)である。なお、上付きの*は複素共役を表す。
【0068】
さらに、σ、σは例えば次のように求めることができる。
【数5】

【数6】

【0069】
なお、Jは第1種0次のベッセル関数、fは最大ドップラー周波数、τはチャネルインパルス応答の最大遅延時間、τrmsは遅延スプレッドを表す。最大ドップラー周波数は搬送周波数f、光速c、端末の移動速度vとするとf = vf/cで求めることができる。端末の移動速度は、例えば、GPS(Global Positioning System)等を用いて測ることができる。τ、τrmsはチャネルインパルス応答から求められる電力遅延プロファイルから算出することができる。また電力遅延プロファイルのみを用いても次式のように周波数相関を求めることもできる。
【数7】

【0070】
ただし、Fは行サイズが周波数相関を求めるサブキャリア数、列サイズをパス数としたフーリエ変換行列であり、Cは電力遅延プロファイルを対角要素に持つ対角行列である。上式では、Fの行要素に対応するサブキャリア間の相関を求めることができる。
【0071】
なお、必ずしも時間相関、周波数相関の両方を求める必要はなく、どちらか一方のみを求めてもよい。相関値を計算しない場合、相関値を1としても良いし、その他の固定値を用いても良い。
【0072】
また、前回の再送時に求めたチャネル推定値も用いることができる。これは時間相関を用いて前回の再送時のチャネル推定値を図6のH1〜H4を用いて更新し、更新したH1〜H4を用いてHdを求めることで行うことができる。前回の再送時のチャネル推定値を用いることで、パイロットサブキャリアの周波数応答の推定精度が向上するため、補間の精度も向上させることができる。
【0073】
次に、本実施形態における受信処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップs701でp−1回目の再送信号を受信し、受信処理を行う。なお、p>2であり、1回目の再送信号は初送信号を表す。p−1回目の受信処理で誤りが検出されNACKを応答する。
【0074】
ステップs702では、p−1回目の再送信号、又は、p−1回目までの再送信号を用いてチャネル情報としてチャネルの統計量を算出する。ステップs703はp回目の再送信号を受信する。
【0075】
ステップs704では、ステップs702で求められたチャネル情報と、p回目の再送信号で受信したパイロット信号を用いてチャネル推定を行う。ステップs705はチャネル推定値を用いて伝搬路補償を行う。ステップs706は伝搬路補償後の信号に対して、復調処理、復号処理を行い、誤り検出を行う。ステップs707は誤り検出結果に応じて応答信号を生成して送信側に応答する。
【0076】
このように本実施形態では、HARQにおいて、前回送信時のチャネルの統計量を用いて今回送信時のチャネル推定を行うようにしたので、精度の高いチャネル推定が可能となる。
【0077】
[2.第2実施形態]
第1実施形態では、前回再送時のチャネルの統計量や推定値といったチャネルの情報を用いてチャネル推定を行った。次に、第2実施形態では、前回再送時のチャネル推定値を次に再送信号が送られてくるまでに更新する技術を説明する。
【0078】
本実施形態は、第1実施形態とは、チャネル推定部及びチャネル情報生成部が異なるので、その他の説明は省略する。
【0079】
受信装置は、データが送られていないときにも、共通パイロット信号を受信している。共通パイロット信号は、そのセルに属している受信装置なら受信することができる。従って、次回の再送信号が送られてくるまで、チャネル推定値を更新することができる。チャネル推定値の更新は忘却係数を用いて行うことができる。図8を例に説明する。i回目の受信信号の更新後の第nサブキャリアの周波数応答をH〜i,nとすると、H〜は例えば次のように求めることができる。
【数8】

【0080】
ただし、H^i,nはi回目に受信信号の第nサブキャリアの周波数応答推定値を表し、λは忘却係数である。(7)はi−1回目からの更新を表しているが、(8)、(9)、(10)のように、過去の複数の信号からの更新も可能である。
【数9】

【数10】

【数11】

【0081】
ただし、i=0は前回再送時とし、b0,nは前回再送時の周波数応答推定値、a0,n=1とすればよい。
【0082】
このように、p−1回目の再送からp回目の再送までのチャネル推定値を更新すれば、パイロットサブキャリアの周波数応答の推定精度が向上するため、データサブキャリアの周波数応答推定精度も向上する。なお、p−1回目の再送とp回目の再送の間は更新せず、p−1回目の再送からの更新のみを行うことも可能である。
【0083】
なお、p回目の再送信号の推定精度を向上させるために過去の信号を用いていたが、未来の信号を用いることも可能である。これはp回目の再送信号を受信した後に受信する共通パイロット信号を用いて、p回目の再送信号のチャネル推定値を更新すれば良い。
【0084】
図9は第2実施形態の受信処理のフローチャートである。ステップs901で、p−1回目の再送信号に対してNACKで応答する。ステップs902でp回目の再送信号を受信したかどうかを判断し、p回目の再送信号を受信していない場合は、ステップs903でチャネル推定値を共通パイロット信号を用いて更新する。そして再度ステップs902でp回目の再送信号を受信したかどうかを判断する。
【0085】
p回目の再送信号を受信した場合はステップs904で、p回目の再送信号のパイロット信号と、ステップs903で生成している更新されたチャネル推定値を用いてチャネル推定を行う。その後、ステップs905で伝搬路補償、ステップs906で復調・復号を行った後誤り検出を行い、ステップs907で応答信号を送信して終了する。
【0086】
なお、本実施形態では、忘却係数を用いて、前回再送時のチャネル推定値を次回の再送時まで更新する場合を説明したが、チャネルの統計量を用いて更新することも可能である。チャネルの統計量を用いる場合は、第1の実施形態で説明した式(3)を用いればよい。
【0087】
[3.第3実施形態]
続いて第3実施形態について説明する。第3実施形態では前回の再送時に得られたチャネル情報に加え、データ判定値も用いてチャネル推定を行う技術について説明する。
【0088】
図10は第3実施形態における受信装置23の構成を示すブロック図である。受信装置23は、無線受信部501、GI除去部502、分離部503、送信信号情報解析部504、FFT部505、チャネル推定部1006、チャネル情報生成部507、伝搬路補償部508、復調部509、デインターリーブ部510、受信信号記憶部511、HARQ合成部512、復号部513、再送制御部514、応答信号生成部515、変調部516、IFFT部517、GI挿入部518、無線送信部519を含んで構成されている。
【0089】
第3実施形態の受信装置は、第1、2の実施形態とはチャネル推定部1006が異なるので、チャネル推定部1006について説明する。なお、第1、2の実施形態と同一の機能部には同一の符号を付して説明を省略する。第3実施形態のチャネル推定部1006は、チャネル情報生成部507から得られるチャネル情報に加え、復号部513から得られる符号化ビットLLRも用いてチャネル推定を行う。
【0090】
第3実施形態のチャネル推定を、図11を用いて説明する。図中の黒の塗りつぶしはパイロット信号であり、左右の斜線でハッチングしたものは変調シンボルレプリカである。変調シンボルレプリカはデータ判定値から求められる変調シンボルのレプリカである。チャネル推定はパイロット信号、変調シンボルレプリカを用いて行う。データ判定値には軟判定値、硬判定値を含む。
【0091】
シンボルレプリカを生成するには、硬判定値の場合は送信装置と同様に変調シンボルにマッピングすれば良い。軟判定値の場合は、QPSKを例に説明する。QPSKシンボルを構成する2ビットをb、bとし、各々のビットLLRをλ(b)、λ(b)と表す。このときQPSKのシンボルレプリカXは、次のように求められる。
【数12】

【0092】
第kサブキャリアでデータ変調シンボルSが送信された時の受信信号Yを次のように表す。なお、Hは周波数応答、Nは雑音である。
【数13】

【0093】
のレプリカをS^とすると、S^から求めた周波数応答推定値H^は次のようになる。
【数14】

【0094】
周波数応答推定値ベクトルをH^とする。H^は全てのH^とパイロット信号から推定した周波数応答推定値を要素に持つ。H^から前回までの再送で求めたパス位置を用いてMMSE基準で次のようにチャネルインパルス応答推定値h^を求めることができる。
【数15】

【0095】
式(14)で得られたh^をフーリエ変換すれば周波数応答推定値を求めることができる。なお、軟判定値を用いた場合、S^はビットの信頼性が低い場合、S^の振幅が小さくなってしまう。このとき式(13)は非常に大きい値となってしまう。これを回避するためには、軟判定値を用いてチャネル推定する場合、ある程度の信頼性が得られたシンボルレプリカのみを用いればよい。
【0096】
次に硬判定値を用いる場合を説明する。硬判定値から求めたシンボルレプリカをパイロット信号と同様に用いても良いが、シンボルレプリカの信頼性に従って重み付けをすることも可能である。H^をパイロット信号及び硬判定値のシンボルレプリカから推定した周波数応答推定値を要素に持つベクトルとすると、次のようにチャネルインパルス応答推定値を求めることができる。
【数16】

【0097】
なお、Qは各シンボルレプリカの重みを対角要素に持つ対角行列である。重みは軟判定シンボルレプリカの電力と硬判定シンボルレプリカの電力の比で求めることができる。つまり、軟判定シンボルレプリカをS、硬判定シンボルレプリカをS、とすると、重みは|S/|Sとすればよい。なお、|S=1とすれば、軟判定シンボルレプリカをSのみで重みを求めることができる。
【0098】
また、データ判定値は時間・周波数補間にも用いることができる。時間・周波数補間には、硬判定値シンボルのみを用いてもよいし、先に説明したようにシンボルレプリカの信頼性に応じた重み付けを行っても良い。これは式(3)を、Qを用いて次のように変形すればできる。
【数17】

【0099】
第3実施形態はCCでもIRでもHARQの全ての方式で適用することができる。CCの場合は先に説明をそのまま適用すれば良い。IRの場合は、前回の再送と今回の再送で重複したビットを送信している場合は、容易に適用できる。重複していない(つまり一度も送信されていない)ビットに関しても、誤り訂正復号によってビットLLRは求めることができるので、適用することができる。
【0100】
このように第3実施形態では、チャネル情報に加え、前回再送時のデータ判定値を用いてチャネル推定を行うようにした。このため、仮想的にパイロット信号数を増やすことができ、チャネル推定精度を向上させることができる。
【0101】
[4.変形例]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【0102】
なお、上記第1から3の実施形態では、スキャッタードパイロットの場合について説明してきたが、本発明はこれに限らない。
【0103】
また、上記第1から3の実施形態では、主にOFDMを例に説明してきたが、本発明はこれに限らず、MC−CDMA(Multi−Carrier−Code Division Multiple Access)といった他のマルチキャリア方式や、SC−FDMA(Single Carrier−Frequency Division Multiple Access)やCDMAといったシングルキャリア方式にも適用可能である。
【0104】
また、上記第1から3の実施形態では、シングルアンテナの場合について説明してきたが、本発明はこれに限らず、送受信側で複数のアンテナを備えるMIMO(Multiple Input Multiple Output)伝送にも拡張することができる。例えば、送信アンテナ数が2本、受信アンテナ数が2本のMIMO伝送の場合、送信アンテナ1と受信アンテナ1、送信アンテナ1と受信アンテナ2、送信アンテナ2と受信アンテナ1、送信アンテナ2と受信アンテナ2、の各々のチャネルを上記実施形態と同様にチャネル推定すれば良い。
【0105】
また、上記第1から3の実施形態では、再送時に変調方式を変えない場合を説明してきたが、本発明はこれに限らない。変調方式は、前回再送時よりも大きい多値数の変調方式を用いても良いし、小さい多値数の変調方式を用いても良い。前回再送時と同じビット数で送信する場合、大きい多値数の変調方式を用いると、前回よりも少ないリソース(例えばサブキャリア数など)で送信することができる。大きい多値数の変調方式を用いると、前回よりも多いリソースで送信される。また、前回再送時と同じだけのリソースを使用する場合、大きい多値数の変調方式を用いたとき、前回再送時よりも多いビット数を送信することができる。小さい多値数の変調方式を用いたときは、前回再送時よりも少ないビット数を送信することになる。
【0106】
また、上述した実施形態に関わる受信装置で動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
【0107】
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれる。また、上述した実施形態における移動局装置及び基地局装置の一部、又は全部を典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。受信装置の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、又は全部を集積してチップ化してもよい。各機能ブロックを集積回路化した場合に、それらを制御する集積回路制御部が付加される。
【0108】
また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0109】
10 受信装置
101 符号株
102 インターリーブ部
103 変調部
104 パイロット信号生成部
105 パイロット信号多重部
106 IFFT部
107 送信信号情報多重部
108 GI挿入部
109 無線送信部
110 無線受信部
111 GI除去部
112 FFT部
113 復調部
114 応答信号解析部
20 送信装置
501 無線受信部
502 GI除去部
503 分離部
504 送信信号情報解析部
505 FFT部
506 チャネル推定部
507 チャネル情報生成部
508 伝搬路補償部
509 復調部
510 デインターリーブ部
511 受信信号記憶部
512 HARQ合成部
513 復号部
514 再送制御部
515 応答信号生成部
516 変調部
517 IFFT部
518 GI挿入部
519 無線送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動再送要求を行う通信システムに用いられる受信装置であって、
受信信号として、初送信号と、少なくとも1つの再送信号とを受信する受信部と、
前記受信部が受信している最新の再送信号に対してチャネル推定を行って周波数応答推定値を求めるチャネル推定部と、
前記最新の再送信号より以前の受信信号からチャネル情報を生成するチャネル情報生成部と、を備え、
前記チャネル推定部は、
前記チャネル情報を用いて前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記受信信号にはスキャッタードパイロット信号が含まれており、
前記チャネル推定部は、前記スキャッタードパイロット信号と前記チャネル情報とを用いて前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記チャネル情報は、チャネルの統計量であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の受信装置。
【請求項4】
前記チャネルの統計量は時間相関であり、該時間相関を用いて前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
前記チャネルの統計量は周波数相関であり、該周波数相関を用いて前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする請求項3に記載の受信装置。
【請求項6】
前記チャネルの統計量は、パス位置であり、該パス位置を用いてチャネルインパルス応答推定値を求め、該チャネルインパルス応答推定値から前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする請求項3に記載の受信装置。
【請求項7】
前記チャネルの統計量は、時間相関及び周波数相関であり、該時間相関及び周波数相関を用いて前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする請求項3に記載の受信装置。
【請求項8】
前記チャネルの統計量は、時間相関及びパス位置であり、該時間相関及びパス位置を用いてチャネルインパルス応答推定値を求め、該チャネルインパルス応答から前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする請求項3に記載の受信装置。
【請求項9】
前記チャネル情報は、チャネル推定値であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の受信装置。
【請求項10】
前記チャネル推定値はチャネルインパルス応答推定値であり、
前記チャネル推定部は、忘却係数を用いて前記最新の再送信号と該再送信号より以前の受信信号における前記チャネルインパルス応答推定値を合成することを特徴とする請求項9に記載の受信装置。
【請求項11】
前記チャネル推定値は周波数応答推定値であり、
前記チャネル推定部は、
忘却係数を用いて前記最新の再送信号と該再送信号より以前の受信信号における前記チャネルインパルス応答推定値を合成することを特徴とする請求項9に記載の受信装置。
【請求項12】
前記チャネル推定部は、前記忘却係数を用いて、再送信号より以前の受信信号に加え、前記最新の再送信号と前回の再送信号の期間に受信した信号を用いてチャネル推定を行うことを特徴とする請求項9又は10に記載の受信装置。
【請求項13】
前記チャネル情報は、チャネル統計量及びチャネル推定量であり、
前記チャネル推定部は、
該チャネル統計量及びチャネル推定値を用いて、前記最新の再送信号と該再送信号より以前の受信信号におけるチャネルインパルス応答推定値又は前記周波数応答推定値を合成することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の受信装置。
【請求項14】
前記チャネル推定部は、
前記スキャッタードパイロット信号、前記チャネル情報及び前回の受信信号におけるデータ判定値から周波数応答推定値を求めることを特徴とする請求項2に記載の受信装置。
【請求項15】
前記チャネル推定部は、
前記スキャッタードパイロット信号、前記チャネル情報及び前回の受信信号におけるデータ判定値を用いてチャネルインパルス応答を求めてから前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする請求項14に記載の受信装置。
【請求項16】
前記チャネル推定部は、時間及び周波数方向の補間を行って前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする請求項14に記載の受信装置。
【請求項17】
前記データ判定値には、軟判定値を用いることを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載の受信装置。
【請求項18】
前記データ判定値には、ある閾値以上の前記軟判定値を用いることを特徴とする請求項17に記載の受信装置。
【請求項19】
前記データ判定値には、硬判定値を用いることを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載の受信装置。
【請求項20】
前記硬判定値は重み付けされていることを特徴とする請求項19に記載の受信装置。
【請求項21】
前記硬判定値に重み付けされる場合に用いられる重みは、軟判定値の信頼性に応じて求めることを特徴とする請求項20に記載の受信装置。
【請求項22】
自動再送要求を行う通信システムに用いられる受信装置における受信方法であって、
受信信号として、初送信号と、少なくとも1つの再送信号とを受信する受信過程と、
前記受信過程が受信している最新の再送信号に対してチャネル推定を行って周波数応答推定値を求めるチャネル推定過程と、
前記最新の再送信号より以前の受信信号からチャネル情報を生成するチャネル情報生成過程と、を有し、
前記チャネル推定過程は、前記チャネル情報を用いて前記周波数応答推定値を求めることを特徴とする受信方法。
【請求項23】
自動再送要求を行う通信システムに用いられる受信装置において実行されるプログラムであって、
受信信号として、初送信号と、少なくとも1つの再送信号とを受信する受信機能と、
前記受信機能が受信している最新の再送信号に対してチャネル推定を行って周波数応答推定値を求めるチャネル推定機能と、
前記最新の再送信号より以前の受信信号からチャネル情報を生成するチャネル情報生成機能と、を実現し、
前記チャネル推定機能は、前記チャネル情報を用いて前記周波数応答推定値を求めることを実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−60525(P2012−60525A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203404(P2010−203404)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】