説明

受信装置および受信方法

【課題】マルチパス環境においても良好な受信性能が得られる受信装置を得ること。
【解決手段】モードS信号を受信する受信装置であって、受信信号を直交検波する直交検波部2と、直交検波後の受信信号に対して周波数オフセットを補償する周波数補償部5と、周波数オフセットの補償後の受信信号に基づいて先行波の到来時刻である先行波到来時刻を推定する先行波検出部3と、周波数オフセットの補償後の受信信号のプリアンブル部と先行波到来時刻とに基づいて、伝搬路の推定を行う伝搬路推定部6と、伝搬路推定部6による推定結果に基づいて、周波数オフセットの補償後の受信信号に対してマルチパスによる歪みを補償する等化処理を行い、等化処理結果に基づいてビット判定を行う等化部7と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線信号の受信装置および受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モードS応答信号は、二次監視レーダ(Secondary Surveillance Radar)で利用される1090MHz帯で伝送される無線方式のひとつである。モードS応答信号は、SSRの管制側の装置から送信されたモードS質問信号に対する応答として、航空機のトランスポンダから送信される。また、空港内で使用される車両には、モードS応答と同一の物理フォーマットのスキッタと呼ばれる信号を自動的に送信することができる無線装置が搭載されていることがある。モードS応答信号の物理フォーマットは、ADS−B(Automatic Dependent Surveillance−Broadcast)と呼ばれる放送型のデータリンクの物理伝送方式としても利用されている。これらのモードS信号を空港内もしくは空港周辺の複数の地上受信局で受信し、到来時間差から測位を行うマルチラテレーションへの適用が検討されている。マルチラテレーションにおいては、測位を行うためのモードS応答信号受信タイミングの推定精度と対象のモードS応答信号の受信成功率とが性能を左右する。
【0003】
モードS応答信号は、1Mbpsの伝送速度の2値PPM(Pulse Position Modulation)方式で伝送される。1つの応答信号は、8μsのプリアンブル部と、それに続く56μsまたは112μsのデータブロック区間で構成される。一般的なモードS受信装置は、受信RF信号に対して包絡線検波を実施し、その出力を対数アンプで変換した結果をA/D変換し、プリアンブル部における受信信号レベルに基づくタイミング抽出および基準レベル生成を実施した後、その結果に基づきプリアンブル部に続くデータブロック部の各ビットの判定を実施する。
【0004】
具体的なビット判定方法として、例えば、以下に示す第1〜第3の方法が非特許文献1に開示されている。第1の方法では、1ビット区間に2つ含まれるパルス候補(チップ)のそれぞれの中点でサンプルして、2点の受信電力レベルの比較によって判定する。また、第2の方法では、各チップのサンプル値のうちプリアンブルの受信で推定した受信電力からの相対的な受信電力レベルが一定範囲に収まっている側のチップを採用する。また、第3の方法では、各チップを複数回サンプルし、各サンプルがプリアンブルの受信で推定した受信電力からの相対的な受信電力レベルを基準に−6dB,−3dB,3dBのいずれのレンジにあるかに基づいて再量子化し、再量子化後のパターンと予め作成されたテーブルとを用いて判定パターンを得る。第3の方法では、あらかじめ干渉を含む伝搬モデルに基づいてシミュレーションなどによりテーブルを作成しておく。第2の方法や第3の方法は、受信信号に非同期干渉が重畳しやすい環境において、各パルスの受信レベルをてがかりとしてビット判定の誤りを抑える効果がある。
【0005】
上記の第2の方法では、両チップについて上記一定範囲の相対受信電力に収まっている場合または両チップとも一定範囲の相対受信電力に収まらない場合は、絶対レベルの高い側のチップを採用し、信頼度と呼ばれる値をLow(信頼度が低いことを示す値)に設定して出力する。
【0006】
また、上記の第3の方法では、判定ビットと同時に信頼度を取り出すことが可能なテーブルを用意している。モードS応答信号のうち後部24ビットは誤り検出符号であるCRC(Cyclic Redundancy Check)に関する情報が付加されており、上記の信頼度の値は、ビット判定後に実施されるCRCによるシンドローム計算に基づく誤り検出・誤り訂正などに利用される。
【0007】
非特許文献1では、主に非同期干渉に対する受信性能低下を考慮した方法が提示されているが、特にマルチラテレーションにおけるモードS受信においては、空港敷地内の建造物などにより発生するマルチパスの影響を考慮する必要がある。特許文献1では、非同期干渉やマルチパス環境での性能低下を抑えるために、検出したタイミング以外で発生する信号のレベル変動を除去するように、立ち上がりと立ち下がりのタイミングに基づいてパルス再生を行う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4331094号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Radio Technical Commission for Aeronautics(RTCA),‘Minimum Operational Performance Standards for 1090Mhz Automatic Dependent Surveillance−Broadcast’,DO−260A,2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
マルチパスによる遅延波は、希望波である先行波と同じ周波数で、かつ異なる到来時刻および位相で受信信号に重畳するため、数μs程度の遅延時間で複数のマルチパスが重畳する場合にはデータブロック部分の波形は大きく変動する。このため、上記従来の技術では、先行波と複数の遅延波の合成信号の位相関係が互いに信号を弱めあう方向になっている場合や遅延波の遅延時間が各チップの区切り部分に近い場合、ビット検出性能が低下してしまうという問題がある。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、マルチパス環境においても良好な受信性能が得られる受信装置および受信方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、モードS信号(モードS応答信号と、モードS応答信号と同一の物理フォーマットで送信される各種の信号)を受信する受信装置であって、受信信号を直交検波する直交検波部と、直交検波後の受信信号に対して周波数オフセットを補償する周波数補償部と、周波数オフセットの補償後の受信信号に基づいて先行波の先行波到来時刻を推定する先行波検出部と、周波数オフセットの補償後の受信信号のプリアンブル部と前記先行波到来時刻とに基づいて、伝搬路の推定を行う伝搬路推定部と、前記伝搬路推定部による推定結果に基づいて、周波数オフセットの補償後の受信信号に対してマルチパスによる歪みを補償する等化処理を行い、等化処理結果に基づいてビット判定を行う等化部と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、マルチパス環境においても良好な受信性能が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施の形態1の受信装置の機能構成例を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態1の受信処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】図3は、伝搬路推定部の構成例を示す図である。
【図4】図4は、伝搬路推定部に入力される受信信号の波形と伝搬路推定部内での処理に伴う受信波形の変化の様子の一例を示す図である。
【図5】図5は、実施の形態2の受信装置の機能構成例を示す図である。
【図6】図6は、実施の形態2の受信処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明にかかる受信装置および受信方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる受信装置の実施の形態1の機能構成例を示す図である。本実施の形態の受信装置は、アンテナ1、直交検波部2、先行波検出部3、受信処理部4、誤り制御・系列選択部(誤り制御部)8と、判定結果出力部9と、を備える。受信処理部4は、周波数補償部5、伝搬路推定部6および等化部7を備える。
【0017】
本実施の形態の受信装置は、モードS信号(例えばモードS応答信号)を受信して受信信号を復調して送信されたビット列を出力する受信装置である。モードS応答信号は、上記非特許文献1に記載されているように、1Mbpsの伝送速度の2値PPM方式で伝送される信号であり、1つの信号は、8μsのプリアンブル部と、それに続く56μsまたは112μsのデータブロック区間で構成される。
【0018】
図2は、本実施の形態の受信装置における受信処理手順の一例を示すフローチャートである。図1および図2を用いて、本実施の形態の動作について説明する。
【0019】
本実施の形態の受信装置では、直交検波部2が、アンテナ1で受信したアナログ信号を直交検波してデジタルIQ信号を出力する(ステップS1)。直交検波部2から出力される受信信号(デジタルIQ信号)は、1ビットの受信区間である1μsの間に規定の回数だけサンプリングされたデータ列である。直交検波部2は、各チップの受信レベル測定のために、1μsの間に最低2回のサンプリングが必要であるが、マルチラテレーションのように先行波到来時刻の推定が必要なシステムでは、数十から数百回のサンプリングを行う。直交検波部2から出力される受信信号は、先行波検出部3と、受信処理部4の周波数補償部5と、に供給される。
【0020】
先行波検出部3は、受信信号に基づいてモードS応答信号の先頭のパルスの到来時刻を推定する、すなわち先行波を検出する(ステップS2)。たとえば、モードS信号のプリアンブル先頭のパルスの立ち上がりを検出することによって到来時刻を推定できる。この先行波到来時刻の推定方法としては、マルチラテレーション用の測位を実施するために必要な先行波到来時刻を推定する際の先行波到来時刻推定法を適用してよい。先行波検出部3は、この到来時刻の推定結果をタイミング情報(先行波到来時刻)として周波数補償部5および伝搬路推定部6に渡すことにより各ブロックに対して直交検波部2からの出力のどの時刻からモードS信号が始まるかを通知する。また、先行波検出部3は、タイミング情報を通知する代わりに、先行波の到来時刻に基づいて各ブロックの起動を制御する起動制御信号を各ブロックへ送信してもよい。
【0021】
周波数補償部5は、直交検波部2から供給される受信信号(デジタルIQ信号)に残留する周波数偏差を除去して(周波数偏差を補償して)伝搬路推定部6および等化部7に渡す(ステップS3)。周波数偏差の除去方法としては、たとえば受信信号に基づいて周波数偏差を推定した後、周波数シフト処理を実施する。周波数偏差の推定方法としては、たとえば各受信パルスをいったん内部のメモリに蓄積してFFT(Fast Fourier Transform)を行ってピークを検出する方法,前サンプルからの位相差分を平均化する方法等があげられる。周波数シフトは、時間領域で回転成分を乗算していくことで実施できる。
【0022】
より高分解能で周波数偏差の除去を行うため、上記方法で推定した周波数偏差量を中心として複数個の周波数候補を作成し、それぞれ周波数シフトを実施してシフト結果の信号列を時系列に平均化した(低域通過フィルタの適用と等価)結果の絶対値が最も大きくなるものを最終的な周波数偏差補償結果としてもよい。この方法を適用することにより、周波数補償部5の補償性能を向上することができ、後段の等化部7および伝搬路推定部6の処理性能の向上に寄与する。
【0023】
伝搬路推定部6は、先行波検出部3からのタイミング情報をもとに起動し(処理を開始し)、先行波の電力および位相と、マルチパス各素波の到来タイミング、電力および位相と、を推定し、これらの推定結果をインパルス応答推定結果(伝搬路推定結果)として等化部7に渡す(ステップS4)。
【0024】
図3は、伝搬路推定部6の構成例を示す図である。図3に示すように、伝搬路推定部6は、プリアンブル抽出部61、パス検出部62、パス判定部63、応答推定部64、レプリカ生成部65、減算部66、およびチャネル推定結果出力部67を備える。
【0025】
図4は、伝搬路推定部6に入力される受信信号の波形(受信波形)と伝搬路推定部6内での処理に伴う受信波形の変化の様子の一例を示す図である。図4の上から3段は到来する各素波を表しており、例として先行波に加え2つの遅延波(遅延波A、遅延波B)が到来する場合を示している。なお、ここでは、一例として遅延波Aと遅延波Bの2つの遅延波を例示しているが、遅延波の数はこれに限定されない。図4で示す各波形は振幅を縦軸として表示しているが、一般にこれらの波形の間に位相差が存在するため、先行波と各素波の重ね合わせである受信波形は各信号のベクトル加算であり、加算後の振幅は位相差に応じて強め合ったり弱め合ったりする。
【0026】
図3および図4を用いて、伝搬路推定部6の動作を説明する。プリアンブル抽出部61は、周波数補償された受信信号と、先行波検出部3からのタイミング情報または起動制御信号に基づいて、受信信号のプリアンブル部のタイミング同期を実施し、同期した結果をタイミング同期情報として後段に渡す。ある受信信号(モードS信号)に対する初回動作においては、パス検出部62にはプリアンブル抽出部61からタイミング同期情報(たとえば図4のT01)および受信波形(受信信号)が入力される。プリアンブルは、0.5μsの間持続する4つのパルスで構成されており、プリアンブル先頭のタイミングを0μsとすると、各パルスの立ち上がりタイミングは0.0μs(図4のT01),1.0μs,3.5μs,4.5μsである。各パルスの立ち下がりタイミングは0.5μs(図4のT02),1.5μs(図4のT04),4.0μs,5.0μsである。
【0027】
パス検出部62は、これらのパルスの立ち上がりまたは立ち下がり以外のタイミングで、入力された受信信号の振幅または位相の変動量が閾値を超える時刻を遅延波の到来時刻として検出する。この閾値は、任意の方法で決定してよいが、たとえばいずれのモードS信号のパルスも受信しない区間で受信信号の平均電力を求めることにより雑音電力を推定し、雑音電力を用いて決定する(例えば雑音電力より一定程度大きい値として決定する)方法が考えられる。また、雑音電力と受信中のパルスのサンプル値から求めた平均電力である受信信号電力の推定値との両方を用いて閾値を決定してもよい。また、パス検出部62は、上記の受信信号の振幅または位相の変動量が閾値を超える時刻を検出する代わりに、パルス先頭部分で測定した先行波の受信電力に対する相対的な変動量の大きさが閾値を超える時刻を検出するよう構成してもよい。このように、閾値を設定しておくことで、雑音を誤って遅延波として検出することを防ぐことができる。
【0028】
また、パス検出部62は、受信信号の立ち上がり,立ち下がりのタイミングに近いタイミング(立ち上がり,立ち下がりのタイミングから所定の範囲内のタイミング)では、上記の遅延波の到来時刻の検出方法とは異なるパス検出方法を適用する。これにより、伝搬路推定精度を向上させることができる。たとえば、先行波の到来時刻0.0μsに十分近いタイミングで遅延波が到来する場合は、先行波と遅延波を分離せず合算した1つのパスとして取り扱えばよい(すなわち、遅延波としては検出しない)。
【0029】
また、立ち下がり時刻である0.5μsの付近に遅延波が到来することを想定すると、先行波の立ち下がりによる変化(電力の低下)が遅延波により低減される。従って、例えばこの立下り時刻付近の電力変動量の大きさが閾値よりも小さいことにより遅延波の到来を検出する。または立ち下がりタイミングである0.5μsから次のパルスの立ち上がりタイミングである1.0μs(または次のパルスの立ち上がりタイミングより前のタイミング)の間の平均受信電力が閾値よりも大きいことなどを材料にして遅延波の到来を検出する。例えば、前者の閾値はパルス先頭の受信電力の大きさにより決定し、後者の閾値は上述した推定した雑音電力の大きさから決定することができる。
【0030】
また、先行波のパルス立ち上がりタイミングである1.0μsに遅延波が到来する場合の推定方法として、例えば、0.0μsから0.5μsの間に測定した受信電力と1.0μsから1.5μsの間に測定した受信電力との差を利用する、または0.0μs付近の受信電力変動の大きさと1.0μs付近の受信電力変動の大きさとの比較結果を利用する、等の方法が考えられる。これ以降の立ち上がり、立ち下がりタイミング付近での遅延波の判定についても、上記と同様の方法を用いて検出処理を行うことができる。
【0031】
パス検出部62は、以上の方法で遅延波の到来時刻(例えば、図4のT03)を検出し、パス判定部63に遅延波推定情報として渡す。
【0032】
パス判定部63には、パス検出部62へ入力された受信信号と同等の受信信号と、パス検出部62から出力された遅延波推定情報(例えば、図4のT03)が入力され、この遅延波推定情報が妥当であるかの検証を行い、妥当である遅延波推定情報について遅延波の到来時刻であると判定する。
【0033】
具体的には、パス判定部63は、パス検出部62から出力された遅延波推定情報が示す時刻(ここでは、時刻aとする)をもとに、さらにその後の時刻に受信された受信信号を読み取り、当該遅延波のパルスの推定立ち上がり立下り時刻(a+0.5,a+1.0,a+1.5,a+3.5,a+4.0,a+4.5)μsのうち、当該時刻の周辺で同様に振幅または位相の変動量が閾値を超えるものの個数を計数する。この個数により、時刻aに先頭パルスが到来する遅延波の存在を判定する。例えば、この個数が閾値以上である場合に、時刻aに先頭パルスが到来する遅延波が存在すると判定する。すなわち、この個数により、パス検出部63が検出した遅延波の到来時刻が正しいか否かを判定する。
【0034】
また、パス検出部62から出力された遅延波推定情報が先行波の立ち上がり、立ち下がりタイミングに近いケースでは、変動量以外に特定区間の受信電力値を判定に用いてもよい。たとえばa=0.5μs付近の場合は、次のパルス送出区間であるa+1.0μsからa+1.5μsなどの区間の平均受信電力および位相がa+0.0μsからa+0.5μsの平均受信電力および位相と近い値になるかどうかを判定基準とする方法が考えられる。以上の判定結果は、先行波に続く遅延波の先頭パルスの到来時刻を検出することに相当する。パス判定部63は、遅延波推定情報が正しいと判定した場合は、遅延波推定情報を遅延波到来時刻情報として出力し、遅延波推定情報が正しくないと判定した場合は、遅延波到来時刻情報を出力しない。図4の例では、パス判定部63は遅延波Aの先頭がT03タイミングで到来したことを検出して遅延波到来時刻情報として出力する。このように、パス判定部63は、パス検出部62が検出した遅延波到来時刻を検証するブロックであり、パス検出部62とパス判定部63で、広義のパス検出部と考えることができる。
【0035】
以上、パス検出と判定を受信信号の振幅または位相の変動(レベル変動)と受信電力の大きさから求める方法を示したが、このいずれかの処理を、本来のプリアンブルのパルスパターンの信号と受信信号との相関演算処理によって実現してもよい。本来のプリアンブルのパルスパターンと実際の受信信号との相関を取れば、各パスの受信時刻の間隔で相関結果のピークが現れるため、ピークの間隔に基づいて各パスの到来タイミング差を求めることにより、パス検出もしくは判定の基準として利用することができる。また、このような相関演算処理とレベル変動による検出処理とを併用することにより、検出・判定を実施してもよい。
【0036】
応答推定部64は、先行波の到来タイミングであるタイミング情報と、パス判定部63から出力される遅延波到来時刻情報と、に基づいて先行波の応答推定結果を求める。なお、先行波のタイミング情報については、パス検出部62、パス判定部63経由で応答推定部64に入力されるようにしてもよいし、先行波検出部3から応答推定部64へ直接入力されてもよい。例えば、図4において、先行波の到来タイミングであるT01から最初に到来する遅延波Aの到来時刻T03の間の区間には、受信信号として先行波のみが存在することが期待できる。このため、T01からT03におけるパルス存在区間のIQ信号の平均値を算出することで、先行波の電力(振幅)と位相を推定することができる。この動作を行うために、図4の例では、応答推定部64には、先行波の先頭T01から遅延波Aの先頭T03までの受信信号が入力され、応答推定部64は、上記のように先行波の電力(振幅)と位相の推定結果を先行波の応答推定結果として求めて出力する。
【0037】
レプリカ生成部65は、先行波の応答推定結果とタイミング情報と規定のプリアンブル部のパルスパターンとに基づいて先行波のプリアンブル部全体のレプリカを生成する。なお、先行波のタイミング情報については、パス検出部62、パス判定部63経由および応答推定部64で応答推定部64に入力されるようにしてもよいし、先行波検出部3からレプリカ生成部65へ直接入力されてもよい。具体的には、レプリカ生成部65は、タイミング情報を基準として、応答推定結果として推定した電力および位相を元にパルス波形のスケーリングと回転を実施して出力する。
【0038】
生成されたレプリカは、減算部66に入力され、減算部66は、受信信号からレプリカを減算してパス検出部62へ入力する。このようにして、先行波成分を除去した受信信号を生成することができる。図4の例では、図4の下から2段目に示すように、先行波成分を除去した受信信号は、T01からT03までの信号がレプリカの減算により0に近い値となり、T03以降では遅延波Aと遅延波Bの重ね合わせ信号が残留した信号となる。この先行波成分を除去した受信信号を入力とし、T03を先頭タイミングとして再度パス検出部62以降の処理が行われる。
【0039】
パス検出部62およびパス判定部63は、先行波成分を除去した受信信号を入力とし、T03を先頭タイミングとし、初回の処理と同様の処理を実施することにより、2番目に到来する遅延波の到来時刻を検出して遅延波到来時刻情報として出力する。図4の例では、パス判定部63は、遅延波Bの到来時刻T06を遅延波到来時刻情報として出力する。この2回目のパス検出においても、遅延波Aの立ち上がりおよび立ち下り(図4のT03,T05,T07,T09)の近辺については先行波の立ち上がりおよび立ち下りの近辺の処理と同様の処理を行うと伝搬路推定精度を向上させることができる。
【0040】
T03からT06までの区間では、(先行波除去済みの)受信信号には遅延波Aのみが含まれる。従って、応答推定部64は、T03からT06までの区間のうちのパルス存在区間の受信信号平均値に基づいて遅延波Aの電力と位相を遅延波Aの応答推定結果として求める。レプリカ生成部65では、先行波と同様に遅延波Aのレプリカを生成し、減算部66に入力する。以上のような、処理を繰り返すことにより、プリアンブル部分に重畳するマルチパスのタイミング検出と応答の推定を行うことができる。
【0041】
処理の繰り返しの制御については、例えば、パス判定部62が遅延波の検出を行わなくなる、つまりプリアンブルの終了時点までに新たなパスを検出しなくなるまで繰り返しを行うよう制御してもよい。または、最大検出パス数を設定しておき、その数に達した時点か、遅延波の検出がなくなった時点のいずれか早い方で処理を打ち切るよう制御してもよい。図4の例では2度の繰り返しパス検出およびレプリカの減算によって受信信号はT06から始まる遅延波Bのみが残留した信号となり、3度目の繰り返しではパス検出部62およびパス判定部63は次の遅延波を検出しない。このような場合、応答推定部64はT06からプリアンブルの終了時刻である8μsまでの期間でパルスが立ち上がっている区間を用いて遅延波Bの電力と位相を推定する。
【0042】
応答推定部64は上記の繰り返しごとに、各パス(遅延波)の遅延波到来時刻情報、電力および位相の情報をレプリカ生成部65に出力するとともにチャネル推定結果出力部67にも出力する。チャネル推定結果出力部67は、検出された全パスについて、遅延波到来時刻情報、電力および位相の情報をまとめインパルス応答(伝搬路推定結果)として等化部7に出力する。
【0043】
図2の説明に戻り、以上により、伝搬路推定処理が終了し、次に等化部7が、周波数補償部5から入力される周波数補償後の受信信号と、伝搬路推定部6からのインパルス応答と、に基づいて等化処理およびビット判定を実施する(ステップS5)。具体的な等化処理の方法としては、どのような方法を用いてもよいが、例えばZF(Zero−Forcing),MMSE(Minimum Mean Square Error)基準の線形等化や非線形処理のMLSE(Maximum Likelihood Sequence Estimation)などの一般に知られた方法を利用することができる。線形等化を用いる場合は、遅延パス数に応じた処理量増加の問題が抑えられる周波数領域の等化処理を行ってよい。周波数領域等化処理では、受信信号のうち対象のモードS応答信号全体を含む区間と、推定したインパルス応答と、を周波数領域にそれぞれ変換し、各周波数において受信信号と伝搬路特性の逆数を乗算し、その結果を時間領域に戻すことでZF基準の等化処理を行うことができる。等化処理結果の信号はマルチパスのない信号系列(先行波のみ)と同様の波形になることが期待できる(すなわち、等化部7は等化処理によりマルチパスによる歪みを補償する)ので、2つのチップ区間の等化処理後の受信信号の大小に基づいて各ビットの判定を実施すればよい。
【0044】
以上の等化部7の処理結果として、データブロック区間のビット判定結果が誤り制御・系列選択部8に出力される。誤り制御・系列選択部8は、データブロック区間のビット判定結果に基づいてCRCを利用したシンドローム計算等の誤り検出処理を行い(ステップS6)、これにより誤りを検出しなければその結果を判定結果出力部9に送り判定結果が出力される(ステップS7)。以上により復調処理が完了する。判定結果出力部9は、ビット判定結果を出力する。なお、誤り制御・系列選択部8が、誤り検出処理により誤りを検出した場合は、所定の誤り訂正処理を行って、判定結果出力部9に出力する。誤り訂正処理としては、例えば、ビット部分に対して様々なパターンでビットを反転したパターンを再生成して、再度シンドローム計算を実施し誤り検出がされないパターンが見つかった場合、その結果を誤りを訂正した最終出力として判定結果出力部9に出力する。
【0045】
このように、本実施の形態では、先行波および遅延波について1パスずつ到来タイミングを推定し、推定した先行波および遅延波を受信信号から順次除去することを繰り返すことにより、伝搬路の全パスについてインパルス応答を求める。そして、インパルス応答を用いて等化処理を行いビット判定を行うようにした。このため、マルチパス環境においても良好な受信性能が得られる。
【0046】
実施の形態2.
図5は、本発明にかかる受信装置の実施の形態2の機能構成例を示す図である。本実施の形態の受信装置は、実施の形態1の受信処理部4を第1の受信処理部4とし、第2の受信処理部10を追加し、誤り制御・系列選択部8の代わりに誤り制御・系列選択部8aを備える以外は、実施の形態1の受信装置を同様である。本実施の形態の第1の受信処理部4の構成および動作は、実施の形態1の受信処理部4と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0047】
本実施の形態では、第1の受信処理部4に加えて第2の受信処理部10を備えており、第2の受信処理部10には先行波検出部3から先行波のタイミング情報が入力される。第2の受信処理部10は、先行波検出部3からのタイミング情報に基づいてモードS応答信号の同期を行い、たとえば非特許文献1記載の上述の第2の方法などにより受信判定処理を行うビット判定部11を備えている。なお、ビット判定部11が実施する受信判定処理の判定方法は、非特許文献1記載の上述の第2の方法に限らず、非特許文献1記載の上述の第1、3の方法やその他の方法であってもよい。
【0048】
なお、本実施の形態では、受信信号は直交検波によりIQ信号として第2の受信処理部10に入力されるが、各相の2乗和をとることにより電力として取り扱うことで、非特許文献1記載の第1,第2,第3の方法(ビット判定処理)を実施できる。第2の受信処理部10の実装を非特許文献1に記載の第2の方法もしくは第3の方法にすれば、非同期干渉に対する性能低下を抑える効果が期待できるが、複数のマルチパス環境での性能は第1の受信処理部4で復調された場合と比較して劣る。一方、マルチパスが存在せず、非同期干渉のみが混入するケースでは、第2の受信処理部10における復調結果の方が性能面で有利となる可能性がある。このため、第1の受信処理部4と第2の受信処理部10でそれぞれ判定し、信頼度の高い判定系列を選択することで、いずれの環境でも適応的によい性能を得られる受信機が構成できる。なお、図5では、第1の受信処理部4と第2の受信処理部10の2つの受信処理部を備える例を示しているが、3つ以上の受信処理部を備え、3つ以上のビット判定方式により、ビット判定を行い、その結果、最も信頼度の高い判定系列を選択するようにしてもよい。
【0049】
なお、非特許文献1記載の第3の方法を用いる場合、テーブルを複数個用意し、それぞれのテーブルから得られた判定系列について誤り検出を実施し、最終的な判定系列を選択するよう構成してもよい。非特許文献1記載の第3の方法において様々な伝搬環境で作成したテーブルで並列に判定を実施する方法によって、実際の受信環境に近いモデルで生成したテーブルを用いて誤り検出しないパターンを得られる可能性が高くなり、受信性能を向上させることができる。
【0050】
図6は、本実施の形態の受信処理手順の一例を示すフローチャートである。ステップS1〜ステップS5は、実施の形態1と同様である。ステップS3〜ステップS5によるビット判定処理を第1のビット判定処理(ステップS9)と呼ぶこととする。第1のビット判定処理によるビット判定結果は誤り制御・系列選択部8aに入力される。
【0051】
先行波検出部3からのタイミング情報は、第2の受信処理部10にも入力され、第2の受信処理部10は、非特許文献1記載の第2の方法等によるビット判定処理(第2のビット判定処理)を実施し、判定結果を誤り制御・系列選択部8aへ入力する(ステップS8)。
【0052】
誤り制御・系列選択部8aは、第1のビット判定処理によるビット判定結果と、第2のビット判定処理によるビット判定結果と、について、それぞれCRCによるシンドローム計算による誤り検出を行い(ステップS10)、誤りが検出されなかった側のビット判定結果(系列)を判定結果出力部9に出力する(ステップS11)。また、両系列で誤り検出した場合、両系列の間で判定結果の異なるビット部分に対して様々なパターンでビットを反転したパターンを再生成して、再度シンドローム計算を実施し、誤り検出がされないパターンが見つかった場合その結果を誤りを訂正した最終出力として判定結果出力部9に出力する。また、両系列で誤り検出されなかった場合は、どちらの系列を出力してもよい。
【0053】
両系列で誤り検出した場合について、判定結果の異なるビット数が多い場合、取り得るビット反転パターンの総数が指数関数的に増大するため、判定結果の異なるビット数があらかじめ指定した閾値以下の時のみ上記の誤り訂正手続きを試行する、というように構成してもよい。また、非特許文献1の第2の方法では、ビット判定結果以外に信頼度も出力できる。第1の受信処理部4の出力を行う等化部7についても、等化後の結果の信号列から各チップの電力測定を行った際にブロック全体の平均的な検出レベルより一定以上のずれが存在する場合や両チップ間の電力値の差が小さい場合について、信頼度をLowとして出力するような構成で信頼度情報を出力する構成を追加してもよい。このように第1の受信処理部4および第2の受信処理部10で、ビット判定結果とその信頼度をそれぞれ生成する構成とし、誤り制御・系列選択部8aは両者のビット判定結果の差異と信頼度情報に基づいて、誤り訂正を行ってもよい。たとえば両ビット判定結果の判定値が合致し、信頼度Highであるビットをまず確定し、それ以外のビットについて反転処理を逐次実施して誤り訂正を試みるように構成してもよい。
【0054】
以上のように、本実施の形態では、異なる伝搬環境についてそれぞれ適した特性を持つ複数のビット判定方式を並列に実行し、ビット判定方式の1つを実施の形態1で述べた方式として、複数のビット判定方式のビット判定結果のうちよりよい品質のビット判定結果を選択するようにした。このため、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、実施の形態1に比べさらに受信性能の向上を図ることができる。なお、本実施の形態では選択対象となる複数の判定方式に実施の形態1で説明した等化方式を含んでいるが、これに限定せず、たとえば非特許文献1記載の第3の方法で使用するテーブルを2つ以上用意し、それぞれのテーブルから得られた2つ以上の判定系列について誤り検出を実施し、検出結果に基づいて最終的な判定系列を選択するよう構成することでも受信性能の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明にかかる受信装置および受信方法は、無線信号の受信装置に有用であり、特に、モードS応答信号を受信する受信装置に適している。
【符号の説明】
【0056】
1 アンテナ
2 直交検波部
3 先行波検出部
4 受信処理部
5 周波数補償部
6 伝搬路推定部
7 等化部
8 誤り制御・系列選択部
9 定結果出力部
10 第2の受信処理部
11 ビット判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モードS信号を受信する受信装置であって、
受信信号を直交検波する直交検波部と、
直交検波後の受信信号に対して周波数オフセットを補償する周波数補償部と、
周波数オフセットの補償後の受信信号に基づいて先行波の到来時刻である先行波到来時刻を推定する先行波検出部と、
周波数オフセットの補償後の受信信号のプリアンブル部と前記先行波到来時刻とに基づいて、伝搬路の推定を行う伝搬路推定部と、
前記伝搬路推定部による推定結果に基づいて、周波数オフセットの補償後の受信信号に対してマルチパスによる歪みを補償する等化処理を行い、等化処理結果に基づいてビット判定を行う等化部と、
を備える、ことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記伝搬路推定部は、
周波数オフセットの補償後の受信信号からプリアンブル部を抽出するプリアンブル抽出部と、
所定のプリアンブルのパルスパターンと入力された受信信号と入力された先頭時刻とに基づいて前記先頭時刻より後の当該受信信号に含まれる先頭の遅延波を検出対象遅延波とし、前記検出対象遅延波の到来時刻を遅延波到来時刻として検出するパス検出部と、
前記先頭時刻から前記遅延波到来時刻までの間の受信信号を用いて、入力された受信信号のうち、前記検出対象遅延波の前に到来した先行波または遅延波の応答を推定する応答推定部と、
前記応答推定部による推定結果と前記所定のプリアンブルのパルスパターンとに基づいて、前記検出対象遅延波の前に到来した遅延波または先行波のプリアンブル部のレプリカを生成するレプリカ生成部と、
入力された受信信号から前記レプリカを減算した減算後受信信号を出力する減算部と、
を備え、
前記パス検出部、前記応答推定部、前記レプリカ生成部および前記減算部の処理を繰り返した後に、前記応答推定部により推定された全ての推定結果を伝搬路の推定結果として出力し、初回の処理では、前記パス検出部、前記応答推定部および減算部に入力する受信信号を前記プリアンブル抽出部により抽出された受信信号としかつ前記先頭時刻を前記先行波到来時刻とし、2回目以降の処理では、前記パス検出部、前記応答推定部および減算部に入力する受信信号を1つ前の繰り返し処理に算出された前記減算後受信信号としかつ前記先頭時刻を1つ前の繰り返し処理で検出された前記検出対象遅延波とする、ことを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記パス検出部は、入力された受信信号の変動量のうち、前記検出対象遅延波の前に到来した先行波または遅延波の前記所定のプリアンブルのパルスパターンにより生じる受信信号の変動量を除いた変動量に基づいて前記遅延波到来時刻を検出する、ことを特徴とする請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記パス検出部は、受信信号の変動量が、あらかじめ推定した雑音電力と入力された受信信号の平均受信電力とに基づいて設定した閾値より大きくなった時刻を、前記遅延波到来時刻として検出する、ことを特徴とする請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
前記パス検出部は、所定のプリアンブルのパルスパターンと入力された受信信号との相関演算により前記遅延波到来時刻を検出する、ことを特徴とする請求項2に記載の受信装置。
【請求項6】
前記伝搬路推定部および前記等化部によるビット判定方法とは異なる1つ以上のビット判定方法で受信信号に対してビット判定処理を行うビット判定部と、
前記伝搬路推定部および前記等化部によるビット判定により得られた系列と、前記ビット判定部によるビット判定により得られた系列と、に基づいて誤り検出処理を実施し、誤りが検出されなかった前記系列をビット判定結果として選択する誤り制御部と、
をさらに備える、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の受信装置。
【請求項7】
前記誤り制御部は、誤りが検出されなかった前記系列が無い場合、前記伝搬路推定部および前記等化部によるビット判定と前記ビット判定部によるビット判定により得られた系列とでビット判定結果が異なるビット位置についてそれぞれの前記系列についてビット反転処理を実施して再度誤り検出処理を実施し、前記ビット反転処理により誤りを検出しなくなった前記系列をビット判定結果として選択する、ことを特徴とする請求項6に記載の受信装置。
【請求項8】
前記等化部および前記ビット判定部は、ビット判定とともにビット判定結果の信頼度を求め、
前記誤り制御部は、誤りが検出されなかった前記系列が無い場合、前記伝搬路推定部および前記等化部によるビット判定と前記ビット判定部によるビット判定により得られた系列とでビット判定結果が異なるビット位置について信頼度が低いビット位置についてビット反転処理を実施して再度誤り検出処理を実施し、前記ビット反転処理により誤りを検出しなくなった前記系列をビット判定結果として選択する、ことを特徴とする請求項6に記載の受信装置。
【請求項9】
モードS信号を受信する受信装置であって、2つ以上のビット判定方法で受信信号に対して2つ以上のビット判定系列生成を行なうビット判定部と、
それぞれのビット判定系列に基づいて誤り検出処理を実施し、誤りが検出されなかった前記系列をビット判定結果として選択する誤り制御部と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項10】
モードS信号を受信する受信方法であって、
受信信号を直交検波する直交検波ステップと、
直交検波後の受信信号に対して周波数オフセットを補償する周波数補償ステップと、
周波数オフセットの補償後の受信信号に基づいて先行波の到来時刻である先行波到来時刻を推定する先行波検出ステップと、
周波数オフセットの補償後の受信信号のプリアンブル部と前記先行波到来時刻とに基づいて、伝搬路の推定を行う伝搬路推定ステップと、
前記伝搬路推定ステップによる推定結果に基づいて、周波数オフセットの補償後の受信信号に対してマルチパスによる歪みを補償する等化処理を行い、等化処理結果に基づいてビット判定を行う等化ステップと、
を含む、ことを特徴とする受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−38637(P2013−38637A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173831(P2011−173831)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】