説明

受信装置

【課題】受信環境の変化に依らず安定した受信を行うことができる受信装置を提供する。
【解決手段】電波状況分析装置100は、列車の進行方向前方に配置され、第1アンテナを有し、第1アンテナから受信された電波の状況に基づき電波状況分析データを生成する。データ再生装置200は、列車の進行方向後方に配置され、第2アンテナを有し、第2アンテナから受信された電波に基づきデジタルデータを再生する。データ再生装置200は、電波状況分析装置100において生成された電波状況分析データに応じて第2アンテナを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線伝送されたデジタルデータを列車で受信する受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の受信装置では、特に移動受信において生じる直接波が受信できない環境や受信電界が低下する環境においても、受信品質を落とさず受信できるように、受信性能の向上を図っていた。対策の一つとして、複数のアンテナで受信した信号から受信状態の良好な信号を選択することで、常に良好な受信状態を保つことができるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述の特許によれば、アンテナ、チューナ、復調器、誤り訂正回路を2系統持ち、2系統の誤り訂正回路から出力されるトランスポートストリーム(以下、TSとも称する)のエラーフラグに基づいて誤りの有無を判定し、誤りの無いパケットのみを選択し通過させるように切替えを行い、デジタルテレビ放送で用いられている映像及び音声の符号化方式であるMPEG2の復号を行っている。つまり、2つのアンテナで受信したデータのうち良好な受信状態にある方をリアルタイムに選択でき、常に良好な受信状態を保つことできるという利点を有している。
【0004】
【特許文献1】特開2001−136113号公報(要約、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述したデジタル放送受信装置においては、2系統のアンテナ、チューナ、復調器、誤り訂正回路を持つことで、2つのアンテナで受信したデータのうち良好な受信状態にある方をリアルタイムに選択できるという利点はあるものの、例えば、受信装置がある放送局のエリアから別の放送局(中継局を含む)のエリアに向けて移動していて、両方の放送エリアの受信電力が弱い場合や、どちらも受信できない場合などのように受信環境が変化した際、2系統のアンテナ、チューナ、復調器、誤り訂正回路ともに受信状態が悪くなる、もしくは受信できなくなるため、サービスが正しく表示されない、または中断および切断されてしまうことがある。
【0006】
本発明は、上述のような問題点に鑑みて成されたものであり、受信環境の変化に依らず安定した受信を行うことができる受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る受信装置は、放送局から無線伝送されたデジタルデータを列車で受信する受信装置であって、前記列車上において当該列車の進行方向前方に配置され、第1アンテナを有し前記第1アンテナから受信された電波の状況に基づき電波状況分析データを生成する電波状況分析装置と、前記列車上において当該列車の進行方向後方に配置され、第2アンテナを有し前記第2アンテナから受信された電波に基づき前記デジタルデータを再生するデータ再生装置とを備え、前記データ再生装置は、前記電波状況分析装置において生成された前記電波状況分析データに応じて前記第2アンテナを制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る受信装置は、放送局から無線伝送されたデジタルデータを列車で受信する受信装置であって、前記列車上において当該列車の進行方向前方に配置され、第1アンテナを有し前記第1アンテナから受信された電波の状況に基づき電波状況分析データを生成する電波状況分析装置と、前記列車上において当該列車の進行方向後方に配置され、第2アンテナを有し前記第2アンテナから受信された電波に基づき前記デジタルデータを再生するデータ再生装置とを備え、前記データ再生装置は、前記電波状況分析装置において生成された前記電波状況分析データに応じて前記第2アンテナを制御する。従って、受信装置がある放送局のエリアから別の放送局のエリアに向けて移動していて受信環境が変化した際にも、良好な再生データを途切れることなく安定して出力することが可能となる。すなわち、受信環境の変化に依らず安定した受信を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、本発明を適用した受信装置を用いて説明する。尚、実施の形態1〜3は、同じ番組を同一の周波数(チャネル)で中継伝送するSFN(Single Frequency Network)方式において、良好な受信状態を保つようにアンテナの指向性を制御するものであり、実施の形態4〜7は、同じ番組を複数の周波数(チャネル)で放送するMFN(Multi Frequency Network)において、良好な受信状態を保つように周波数を選択する(すなわち放送局を選択する)ものである。これにより、受信装置がある放送局のエリアから別の放送局のエリアに向けて移動していて受信環境が変化した際にも、良好な再生データを途切れることなく安定して出力することが可能となる。また、以下の実施の形態では日本における地上デジタル放送で用いられているOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を受信し、映像及び音声の符号化方式であるMPEG2の復号を行っているとして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0010】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係るデジタル放送受信装置(以下では単に受信装置と称する)の構成を示すブロック図である。この受信装置は、列車において、放送局からSFN方式で無線伝送された映像信号または音声信号(デジタルデータ)を受信するためのものである。
【0011】
図1において、本実施の形態に係る受信装置は、電波状況分析装置100と、データ再生装置200とを備えている。ここで、電波状況分析装置100は列車の進行方向に対して前方に配置され、データ再生装置200は列車の進行方向に対して後方に配置されている。つまり、電波状況分析装置100で受信された電波状況は数秒後にデータ再生装置200で受信される電波状況となるように配置されている。
【0012】
電波状況分析装置100は、アンテナ指向性制御装置10と、チューナ11と、復調装置12と、誤り訂正装置13と、誤り数算出装置14と、受信状態判別装置15とを備えている。
【0013】
アンテナ指向性制御装置10は、放送局から放送されたデジタル放送信号を受信する受信素子であるアンテナ(第1アンテナ)とそのアンテナを制御する(例えば、指向性を持ったアンテナであれば指向性の向きを制御する)装置とから構成されている。
【0014】
チューナ11は、ユーザが希望する放送波を選択することで、アンテナ指向性制御装置10で受信したRF信号からIF信号を得る。そして選択した放送波のOFDM−IF信号を復調装置12に入力させる。
【0015】
復調装置12は、チューナ11で選択して得られた放送波のOFDM信号を復調する。
【0016】
誤り訂正装置13は、送り手側の送信装置(図示略)で行われた誤り訂正のための処理と逆の手順を行うことによって、復調装置12から復調されたOFDM信号に対して誤り検出および誤り訂正を行い、トランスポートストリーム(以下、TSとも表記する)を再生する(第1TS再生手段)。これによって伝送中にノイズやフェージング等によって損傷を受けたデータが復元される。
【0017】
誤り数算出装置14は、誤り訂正装置13で再生したTSに含まれる誤り数を数え出力する。
【0018】
受信状態判別装置15は、誤り数算出装置14で求めた誤り数により第1アンテナにおける受信状態を判定することができ(例えば、あらかじめ設定した閾値と比較して判定する)、その誤り数を含むTSを受信したアンテナ指向性制御装置10から得られたアンテナの指向性情報(例えば、アンテナの方角)とこの誤り数とを含む情報を電波状況分析データとして生成し、データ再生装置200へ入力させる(電波状況分析データ生成手段)。
【0019】
データ再生装置200は、アンテナ指向性制御装置20と、チューナ21と、復調装置22と、誤り訂正装置23と、誤り数算出装置24と、アンテナ指向性切替え装置27と、デコード装置28とを備えている。
【0020】
アンテナ指向性制御装置20は、放送局から放送されたデジタル放送信号を受信する受信素子であるアンテナ(第2アンテナ)とそのアンテナを制御する装置とから構成されている。また、後述するアンテナ指向性切替え装置27からアンテナの指向性情報を受け取った場合には、受け取った情報をもとにアンテナの指向性を制御する。
【0021】
チューナ21は、チューナ11と同様に、ユーザが希望する放送波を選択することで、アンテナ指向性制御装置20で受信したRF信号からIF信号を得る。そして選択した放送波のOFDM−IF信号を復調装置22に入力する。なお、チューナ11,21では、同じ放送波が選択されるものとする。
【0022】
復調装置22は、チューナ21で放送波を選択して得られたOFDM信号を復調する。
【0023】
誤り訂正装置23は、誤り訂正装置13と同様に、送り手側の送信装置(図示略)で行われた誤り訂正のための処理と逆の手順を行うことによって、復調装置22から復調されたOFDM信号に対して誤り検出および誤り訂正を行い、TSを再生する(第2TS再生手段)。
【0024】
誤り数算出装置24は、誤り訂正装置23で再生したTSに含まれる誤り数を数え出力する。
【0025】
アンテナ指向性切替え装置27は、誤り数算出装置24で求めた誤り数により第2アンテナにおける受信状態を知ることで、現在の受信状況を把握できる。また、アンテナ指向性切替え装置27は、電波状況分析装置100から出力されるデータ再生装置200より先行した電波状況での受信信号から得た第1アンテナの指向性情報と誤り数とを受けとることで、現在アンテナ指向性制御装置20で制御している第2アンテナの指向性の方向が数秒後にどのような電波状態になるかを知ることができるので、受信状態が良好になるように第2アンテナの指向性を制御させる信号をアンテナ指向性制御装置20へ入力させる。
【0026】
また、アンテナ指向性切替え装置27は、入力される列車速度情報1から、第2アンテナの指向性を切替えるタイミングを得ている。電波状況分析装置100とデータ再生装置200との距離は既知であるため、列車の速度を知ることで、電波状況分析装置100が通過した場所をデータ再生装置200が通過するまでの(遅延)時間が求まる。例えば、列車の長さが400m(700系・16両編成の場合、437.6m)、時速300kmとすると、約5.25秒後に通過することとなる。尚、列車速度情報1は既存の列車に備えられている装置(例えば、速度計測器)から得ても良いし、速度感知装置を新たに設けても良い。
【0027】
デコード装置28は、誤り訂正装置23で再生されたTSから音声データと映像データとを分離し、更に分離した音声データと映像データとに対して復号を行ってアナログの音声信号と映像信号とを再生する。再生された音声信号は図示せぬスピーカにて音声出力を行い、また再生された映像信号は図示せぬ液晶表示装置にて映像出力を行う。尚、映像信号および音声信号は記録装置に供給しても良い。
【0028】
次に、本実施の形態に係る受信装置の動作について説明する。
【0029】
データ再生装置200が単体で動作する場合は、ユーザが希望するチャネルを選択すると選択したチャネルの周波数情報が制御マイコン(図示せぬ)からチューナ21に送られ、ユーザが希望するチャネルの放送波のOFDM信号が出力される。チューナ21から出力されたOFDM信号は、復調装置22によってデジタルデータに復調され、後段の誤り訂正装置23にて誤り検出および誤り訂正が行なわれTSとして出力される。出力されたTSから、誤り数算出装置24では誤り数を得て、デコード装置28では音声信号と映像信号とを得る。アンテナ指向性切替え装置27では、誤り数算出装置24からの誤り数により現在の受信状況を把握し、この受信状況に応じて第2アンテナを制御する(第2アンテナの指向性を切り替えるか否かの信号をアンテナ指向性制御装置20に出力する)。
【0030】
電波状況分析装置100で受信された電波状況は数秒後にはデータ再生装置200で受信される電波状況となるように配置されているので、これを利用する場合は、電波状況分析装置100で得られた電波状況を分析し、最も良好な受信が可能なアンテナの指向性方向を検知しておく。そのために、電波状況分析装置100では、ユーザが希望するチャネルを選択すると、選択したチャネルの周波数情報が制御マイコン(図示せぬ)からチューナ11に送られ、ユーザが希望するチャネルの放送波のOFDM信号が出力される。チューナ11から出力されたOFDM信号は、復調装置12によってデジタルデータに復調され、後段の誤り訂正装置13にて誤り検出および誤り訂正が行なわれTSとして出力される。受信状態判別装置15は、誤り訂正装置13より出力されたTSから誤り数算出装置14によって誤り数を得て、誤り数とその誤り数を含むTSを受信した第1アンテナの指向性方向とを得る。
【0031】
データ再生装置200のアンテナ指向性切替え装置27では、電波状況分析装置100から出力されるデータ再生装置200より先行した電波状況での受信信号から得た第1アンテナの指向性方向と誤り数とを受けとることで、現在アンテナ指向性制御装置20で制御している第2アンテナの指向性の方向が数秒後にどのような電波状態になるかを知ることができるので、列車速度情報1から切替えタイミングを得て、受信状態が良好になるように第2アンテナの指向性を制御させる信号をアンテナ指向性制御装置20へ入力させる。
【0032】
このように、本実施の形態に係る受信装置においては、電波状況分析装置100で受信された電波状況は数秒後にはデータ再生装置200で受信される電波状況となるように配置されているので、これを利用して第2アンテナを制御することにより、受信装置がある放送局のエリアから別の放送局のエリアに向けて移動していて受信環境が変化した際にも、良好な再生データを途切れることなく安定して出力することが可能となる。すなわち、受信環境の変化に依らず安定した受信を行うことができる。
【0033】
尚、上述した本実施の形態では、電波状況分析装置100およびデータ再生装置200において、指向性を持ったアンテナ(指向性アンテナ)を制御する手段で説明したが、アダプティブアレイアンテナを用いた手段を用いてもよいし、ダイバーシチアンテナを用いた手段を用いてもよい。
【0034】
また、受信状態を知るのに再生されたTSから求めた誤り数を用いたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、受信信号のC/N値を用いてもよい。また、上述においては、データ再生装置200は、電波状況分析データに応じて常に第2アンテナの制御を行う場合について説明したが、あるいは、第2アンテナの制御以外の動作を行ってもよい。例えば、データ再生装置200は、電波状況分析装置100とデータ再生装置200とがいずれも一方放送局の受信エリアにある場合または電波状況分析装置100とデータ再生装置200とがいずれも他方放送局の受信エリアになった場合には電波状況分析データに応じて第2アンテナを制御し、電波状況分析装置100が他方放送局の受信エリアに差し掛かりデータ再生装置200がまだ一方放送局の受信エリアにある場合には、電波状況分析装置100とともにダイバー受信を行ってもよい。
【0035】
<実施の形態2>
実施の形態1においては、電波状況分析データを、TSの再生に伴う誤りに基づき生成する場合について説明したが、これらに限らず、あるいは、ノイズの電力に基づき生成してもよい。
【0036】
図2は、本発明の実施の形態2に係る受信装置の構成を示すブロック図である。図2において、図1に示した実施の形態1に係る受信装置と同様な構成要素は同じ符号を付与することで重複する説明を省略する。
【0037】
本実施の形態における受信装置は、実施の形態1に係る図1の受信装置において、電波状況分析装置100に代えて、電波状況分析装置101を設けたものである。電波状況分析装置101は、図1の電波状況分析装置100において、復調装置12と誤り訂正装置13と誤り数算出装置14とに代えて、電力算出装置16を設けたものである。
【0038】
電力算出装置16は、チューナ11から出力された放送波のOFDM−IF信号からOFDM信号中に挿入されているスキャッタードパイロット信号の広がりを検出することにより、ノイズの電力を表す電力情報を算出する(電力算出手段)。求めた電力情報を、実施の形態1において誤り数算出装置14で求めた誤り数の代替とすることで、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0039】
また、このような構成をとることにより、電波状況分析装置101の回路規模を小さくできるので、消費電力を抑えることができる。
【0040】
このように、本実施の形態に係る受信装置によれば、実施の形態1の効果に加えて、消費電力を抑えることができるという効果が得られる。
【0041】
尚、上述した本実施の形態では、電波状況分析装置101およびデータ再生装置200において、指向性を持ったアンテナ(指向性アンテナ)を制御する手段を用いてもよいし、アダプティブアレイアンテナを用いた手段を用いてもよいし、ダイバーシチアンテナを用いた手段を用いてもよい。
【0042】
<実施の形態3>
実施の形態1においては、誤り訂正装置23で再生されたTSはデコード装置28で音声信号と映像信号とに再生されるが、誤り訂正装置13で再生されたTSは音声信号と映像信号とに再生されない。しかし、これに限らず、あるいは、誤り訂正装置13で再生されたTSをデコード装置28(デジタルデータ再生手段)で音声信号と映像信号とに再生させてもよい。
【0043】
図3は、本発明の実施の形態3に係る受信装置の構成を示すブロック図である。図3において、図1に示した実施の形態1に係る受信装置と同様な構成要素は同じ符号を付与することで重複する説明を省略する。
【0044】
本実施の形態における受信装置は、実施の形態1に係る図1の受信装置において、データ再生装置200に代えて、データ再生装置201を設けたものである。データ再生装置201は、図1のデータ再生装置200において、受信状態判別装置25と再生データ選択装置29とを追加したものである。
【0045】
受信状態判別装置25は、誤り数算出装置24で求めた誤り数により第2アンテナにおける受信状態を判定することができる(例えば、受信状態判別装置15と同様に、あらかじめ設定した閾値と比較して判定する)。
【0046】
再生データ選択装置29には、誤り訂正装置13で再生されたTSと誤り訂正装置23で再生されたTSと受信状態判別装置25における受信状態の判定結果とが入力され、再生データ選択装置29は、受信状態の良し悪しによって、これらのTSのいずれかを選択するように切替え、良好な再生データを出力する(TS選択手段)。
【0047】
すなわち、データ再生装置201は、第2アンテナの受信状態が悪い場合には、データ再生装置201(誤り訂正装置23)ではなく電波状況分析装置100(誤り訂正装置13)で再生したTSを選択することで、より良好な再生データを出力するように動作する。
【0048】
また、データ再生装置201は、上記のような動作のみならず、実施の形態1で説明したデータ再生装置200と同様に、電波状況分析装置100で受信された電波状況は数秒後にはデータ再生装置201で受信される電波状況となるように配置されていることを利用してもよい。すなわち、データ再生装置201は、電波状況分析装置100で得られた電波状況を分析し、受信状態が良好になるように第2アンテナの指向性を制御させる信号をアンテナ指向性制御装置20へ入力させるとともに、第2アンテナにおける受信状態が悪い場合には、データ再生装置201(誤り訂正装置23)ではなく電波状況分析装置100(誤り訂正装置13)で再生したTSを選択することで、より良好な再生データを出力するように動作する。
【0049】
このように、本実施の形態に係る受信装置は、実施の形態1に係る受信装置に比べて、さらに、受信環境の変化に依らず安定した受信を行うことができる。
【0050】
尚、上述した本実施の形態では、電波状況分析装置100およびデータ再生装置201において、指向性を持ったアンテナ(指向性アンテナ)を制御する手段を用いてもよいし、アダプティブアレイアンテナを用いた手段を用いてもよいし、ダイバーシチアンテナを用いた手段を用いてもよい。
【0051】
また、受信状態を知るのに再生されたTSから求めた誤り数を用いたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、チューナ11,21より出力された放送波のOFDM−IF信号から得られるノイズの電力を用いてもよいし、受信信号のC/N値を用いてもよい。
【0052】
<実施の形態4>
実施の形態1〜3においては、SFN方式で無線伝送されたデジタルデータを受信するので、良好な受信状態を保つように、電波状況分析データに応じてアンテナの指向性を制御する必要がある。しかし、MFN方式で無線伝送されたデジタルデータを受信する場合には、必ずしもアンテナの指向性を制御する必要はなく、以下で説明するように、電波状況分析データに応じて周波数を選択する(すなわち放送局を選択する)ようにしてもよい(あるいは、アンテナの指向性の制御と放送局の選択(選局)との両方を行うようにしてもよい)。
【0053】
図4は、本発明の実施の形態4に係る受信装置の構成を示すブロック図である。この受信装置は、列車において、複数の放送局からMFN方式で無線伝送された映像信号または音声信号(デジタルデータ)を選択的に受信するためのものである。
【0054】
図4において、本実施の形態に係る受信装置は、電波状況分析装置300と、データ再生装置400とを備えている。ここで、電波状況分析装置300は列車の進行方向に対して前方に配置され、データ再生装置400は列車の進行方向に対して後方に配置されている。つまり、電波状況分析装置300で受信された電波状況は数秒後にデータ再生装置400で受信される電波状況となるように配置されている。
【0055】
電波状況分析装置300は、アンテナ指向性制御装置30と、チューナ31と、復調装置32と、誤り訂正装置33と、誤り数算出装置34と、受信状態判別装置35と、選局切替え装置37とを備えている。
【0056】
アンテナ指向性制御装置30は、放送局から放送されたデジタル放送信号を受信する受信素子であるアンテナ(第3アンテナ)とそのアンテナを制御する装置とから構成されている。
【0057】
選局切替え装置37は、ユーザが希望する放送波を選択する、もしくは放送局を検索している場合には自動的に放送波を選択する。具体的には、はじめに、ユーザが所望する放送波を選択するが、本実施の形態においては、(後述する実施の形態7とは異なり)選局切替え装置37へのフィードバック機能がなく、第3アンテナの受信状態が悪化した場合にこれを検知し放送局を切替えるという動作ができないので、時々刻々常に周波数の切替えを行っている。受信状態判別装置35では、この周波数情報と受信状態とを電波状況分析データとしてデータ再生装置400へ渡している。なお、後述するように、実施の形態7においては、フィードバック機能があり周波数が異なる同系列の放送局を検索することができるので、受信状態が悪化した場合に同系列の放送局に切替える動作が可能となる。
【0058】
チューナ31は、選局切替え装置37で選択された放送波のRF信号からIF信号を得る。そして選択した放送波のOFDM−IF信号を復調装置32に入力させる。
【0059】
復調装置32は、チューナ31で選択して得られた放送波のOFDM信号を復調する。
【0060】
誤り訂正装置33は、送り手側の送信装置(図示略)で行われた誤り訂正のための処理と逆の手順を行うことによって、復調装置32から復調されたOFDM信号に対して誤り検出および誤り訂正を行い、TSを再生する(第3TS再生手段)。これによって伝送中にノイズやフェージング等によって損傷を受けたデータが復元される。
【0061】
誤り数算出装置34は、誤り訂正装置33で再生したTSに含まれる誤り数を数え出力する。
【0062】
受信状態判別装置35は、誤り数算出装置34で求めた誤り数により第3アンテナにおける受信状態を判定することができ、その誤り数を含むTSを受信したチューナ31から得られた放送局の固有情報(例えば、番組情報)と誤り数とを含む情報を電波状況分析データとして生成し、データ再生装置400へ入力させる(電波状況分析データ生成手段)。
【0063】
データ再生装置400は、アンテナ指向性制御装置40と、チューナ41と、復調装置42と、誤り訂正装置43と、誤り数算出装置44と、選局切替え装置47と、デコード装置48と、選局情報抽出装置70とを備えている。
【0064】
アンテナ指向性制御装置40は、放送局から放送されたデジタル放送信号を受信する受信素子であるアンテナ(第4アンテナ)とそのアンテナを制御する装置とから構成されている。
【0065】
チューナ41は、後述する選局切替え装置47で選択された放送波のRF信号からIF信号を得る。そして選択した放送波のOFDM−IF信号を復調装置42に入力させる。
【0066】
復調装置42は、チューナ41で選択して得られた放送波のOFDM信号を復調する。
【0067】
誤り訂正装置43は、誤り訂正装置33と同様に、送り手側の送信装置(図示略)で行われた誤り訂正のための処理と逆の手順を行うことによって、復調装置42から復調されたOFDM信号に対して誤り検出および誤り訂正を行い、TSを再生する(第4TS再生手段)。
【0068】
誤り数算出装置44は、誤り訂正装置43で再生したTSに含まれる誤り数を数え出力する。
【0069】
デコード装置48は、誤り訂正装置43で再生されたTSから音声データと映像データとを分離し、更に分離した音声データと映像データとに対して復号を行ってアナログの音声信号と映像信号とを再生する。再生された音声信号は図示せぬスピーカにて音声出力を行い、また再生された映像信号は図示せぬ液晶表示装置にて映像出力を行う。尚、映像信号および音声信号は記録装置に供給しても良い。
【0070】
選局情報抽出装置70は、再生されたTSからそのTSに含まれる放送局の固有情報(例えば、BIT(Broadcaster Information Table)信号の系列識別情報であるアフィリエーション(affiliation)ID)を抽出する。
【0071】
選局切替え装置47は、誤り数算出装置44で求めた誤り数により第4アンテナにおける受信状態を知ることで、現在の受信状況を把握できる。また、選局切替え装置47は、電波状況分析装置300から出力されるデータ再生装置400より先行した電波状況での受信信号から得た放送局の固有情報と誤り数とを受けとり、選局情報抽出装置70で抽出した(現在再生している)TSに含まれる放送局の固有情報と整合性がとれる放送局の固有情報を見出し、現在チューナ41で設定されている放送局の受信状況が数秒後にどのようになるかを知ることができるので、このような放送局の固有情報を所定のタイミングでチューナ41へ入力させることにより切替えを行う。
【0072】
すなわち、選局切替え装置47は、電波状況分析装置300で現在選択している一方放送局より受信状況が良好で且つこの一方放送局と同じ番組を放送している(一方放送局と同一のアフィリエーションIDを有する)他方放送局を見出した場合には、チューナ41が他方放送局を選択するように制御する。具体的には、例えば、選局切替え装置47は、日本全国における全ての放送局に関して、固有情報および位置情報を保持しており、GPS等で自身の現在位置を検知し全ての放送局と自身との距離を算出している。そして、選局切替え装置47は、入力される列車速度情報1と電波状況分析データとから得られる所定のタイミングで、一方放送局から、他方放送局への切替えを行う。なお、本実施の形態では、電波状況分析装置300においては、一方放送局から意図して他方放送局への切替えは行われない。
【0073】
尚、列車速度情報1は既存の列車に装備されている装置(例えば、速度計測器)から得ても良いし、速度感知装置を新たに設けても良い。
【0074】
次に、本実施の形態の受信装置の動作について説明する。
【0075】
データ再生装置400が単体で動作する場合は、ユーザが希望するチャネルを選択すると選択したチャネルの周波数情報が制御マイコン(図示せぬ)から選局切替え装置47に送られ、放送局情報をチューナ41に出力させることでユーザが希望するチャネルの放送波のOFDM信号が出力される。チューナ41から出力されたOFDM信号は、復調装置42によってデジタルデータに復調され、後段の誤り訂正装置43にて誤り検出および誤り訂正が行なわれTSとして出力される。出力されたTSから、誤り数算出装置44では誤り数を得て、デコード装置48では音声信号と映像信号とを得る。
【0076】
電波状況分析装置300で受信された電波状況は数秒後にはデータ再生装置400で受信される電波状況となるように配置されているので、これを利用する場合は、電波状況分析装置300で得られた電波状況を分析し、受信が可能な放送局の固有情報を検知しておく。そのために、電波状況分析装置300では、ユーザが希望するチャネルを選択すると、選択したチャネルの周波数情報が制御マイコン(図示せぬ)から選局切替え装置37に送られ、放送局情報をチューナ31に出力させることでユーザが希望するチャネルの放送波のOFDM信号が出力される。チューナ31から出力されたOFDM信号は、復調装置32によってデジタルデータに復調され、後段の誤り訂正装置33にて誤り検出および誤り訂正が行なわれTSとして出力される。受信状態判別装置35は、誤り訂正装置33より出力されたTSから誤り数算出装置34によって誤り数を得て、誤り数とその誤り数を含むTSを受信した放送局の固有情報とを得る。
【0077】
データ再生装置400の選局切替え装置47では、電波状況分析装置300から出力されるデータ再生装置400より先行した電波状況での受信信号から得た放送局の固有情報と誤り数とを受けとり、選局情報抽出装置70で抽出した(現在再生している)TSに含まれる放送局の固有情報と整合性のとれる放送局の固有情報を見出し、現在チューナ41で設定されている放送局の受信状況が数秒後にどのようになるかを知ることができるので、このような放送局の固有情報を列車速度情報1等から得られる所定のタイミングでチューナ41へ入力させることにより切替えを行う。
【0078】
このように、本実施の形態に係る受信装置においては、電波状況分析装置300で受信された電波状況は数秒後にはデータ再生装置400で受信される電波状況となるように配置されているので、これを利用してチューナ41における選局を行うことにより、受信装置がある放送局のエリアから別の放送局のエリアに向けて移動していて受信環境が変化した際にも、良好な再生データを途切れることなく安定して出力することが可能となる。すなわち、受信環境の変化に依らず安定した受信を行うことができる。
【0079】
尚、上述した本実施の形態では、電波状況分析装置300およびデータ再生装置400において、指向性を持ったアンテナ(指向性アンテナ)を制御する手段を用いてもよいし、アダプティブアレイアンテナを用いた手段を用いてもよいし、ダイバーシチアンテナを用いた手段を用いてもよい。
【0080】
また、受信状態を知るのに再生されたTSから求めた誤り数を用いたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、受信信号のC/N値を用いてもよい。また、上述においては、データ再生装置200は、電波状況分析データに応じて常に第2アンテナの制御を行う場合について説明したが、あるいは、第2アンテナの制御以外の動作を行ってもよい。例えば、データ再生装置400は、電波状況分析装置300とデータ再生装置400とがいずれも一方放送局の受信エリアにある場合または電波状況分析装置300とデータ再生装置400とがいずれも他方放送局の受信エリアになった場合には電波状況分析データに応じて第4アンテナを制御し、電波状況分析装置300が他方放送局の受信エリアに差し掛かりデータ再生装置400がまだ一方放送局の受信エリアにある場合には、電波状況分析装置300とともにダイバー受信を行ってもよい。
【0081】
<実施の形態5>
実施の形態4においては、電波状況分析データを、TSの再生に伴う誤りに基づき生成する場合について説明したが、これらに限らず、あるいは、ノイズの電力に基づき生成してもよい。
【0082】
図5は、本発明の実施の形態5に係る受信装置の構成を示すブロック図である。図5において、図4に示した実施の形態4に係る受信装置と同様な構成要素は同じ符号を付与することで重複する説明を省略する。
【0083】
本実施の形態における受信装置は、実施の形態4に係る図4の受信装置において、電波状況分析装置300に代えて、電波状況分析装置301を設けたものである。電波状況分析装置301は、図4の電波状況分析装置300において、復調装置32と誤り訂正装置33と誤り数算出装置34とに代えて、電力算出装置36を設けたものである。
【0084】
電力算出装置36は、チューナ31から出力された放送波のOFDM−IF信号からOFDM信号中に挿入されているスキャッタードパイロット信号の広がりを検出することにより、ノイズの電力を表す電力情報を算出する(電力算出手段)。求めた電力情報を、実施の形態4において誤り数算出装置34で求めた誤り数の代替とすることで、実施の形態4と同様な効果が得られる。
【0085】
また、このような構成をとることにより、電波状況分析装置301の回路規模を小さくできるので、消費電力を抑えることができる。
【0086】
このように、本実施の形態に係る受信装置によれば、実施の形態4の効果に加えて、消費電力を抑えることができるという効果が得られる。
【0087】
尚、上述した本実施の形態では、電波状況分析装置301およびデータ再生装置400において、指向性を持ったアンテナ(指向性アンテナ)を制御する手段を用いてもよいし、アダプティブアレイアンテナを用いた手段を用いてもよいし、ダイバーシチアンテナを用いた手段を用いてもよい。
【0088】
<実施の形態6>
実施の形態4においては、誤り訂正装置43で再生されたTSはデコード装置48で音声信号と映像信号とに再生されるが、誤り訂正装置33で再生されたTSは音声信号と映像信号とに再生されない。しかし、これに限らず、あるいは、誤り訂正装置33で再生されたTSをデコード装置48(デジタルデータ再生手段)で音声信号と映像信号とに再生させてもよい。
【0089】
図6は、本発明の実施の形態6に係る受信装置の構成を示すブロック図である。図6において、図4に示した実施の形態4に係る受信装置と同様な構成要素は同じ符号を付与することで重複する説明を省略する。
【0090】
本実施の形態における受信装置は、実施の形態4に係る図4の受信装置において、データ再生装置400に代えて、データ再生装置401を設けたものである。データ再生装置401は、図4のデータ再生装置400において、受信状態判別装置45と再生データ選択装置49とを追加したものである。
【0091】
受信状態判別装置45は、誤り数算出装置44で求めた誤り数により第4アンテナにおける受信状態を判定することができる(例えば、受信状態判別装置35と同様に、あらかじめ設置した閾値と比較して判定する)。
【0092】
再生データ選択装置49には、誤り訂正装置33で再生されたTSと誤り訂正装置43で再生されたTSと受信状態判別装置45における受信状態の判定結果とが入力され、再生データ選択装置49は、受信状態の良し悪しによって、これらのTSのいずれかを選択するように切替え、良好な再生データを出力する(TS選択手段)。
【0093】
すなわち、データ再生装置401は、第4アンテナの受信状態が悪い場合には、データ再生装置401(誤り訂正装置43)ではなく電波状況分析装置300(誤り訂正装置33)で再生したTSを選択することで、より良好な再生データを出力するように動作する。
【0094】
また、データ再生装置401は、上記のような動作のみならず、実施の形態4で説明したデータ再生装置400と同様に、電波状況分析装置300で受信された電波状況は数秒後にはデータ再生装置401で受信される電波状況となるように配置されていることを利用してもよい。すなわち、データ再生装置401は、電波状況分析装置300で得られた電波状況を分析し、受信状態が良好になるように放送局を切替える信号をチューナ41へ入力させるとともに、第4アンテナにおける受信状態が悪い場合には、データ再生装置401(誤り訂正装置43)ではなく電波状況分析装置300(誤り訂正装置33)で再生したTSを選択することで、より良好な再生データを出力するように動作する。
【0095】
例えば、一方放送局の受信エリアと他方放送局の受信エリアとの境界線に沿って列車が進行するような場合には、受信状況が最も良好な放送局が一方放送局と他方放送局とで時々刻々入れ替わることが考えられる。本実施の形態においては、再生データ選択装置49を用いて誤り訂正装置33で再生されたTSと誤り訂正装置43で再生されたTSとのうち受信状態がより良好な一方を選択するので、上記のような場合においても、良好な再生データを出力することができる。
【0096】
このように、本実施の形態に係る受信装置は、実施の形態4に係る受信装置に比べて、さらに、受信環境の変化に依らず安定した受信を行うことができる。
【0097】
尚、上述した本実施の形態では、電波状況分析装置300およびデータ再生装置401において、指向性を持ったアンテナ(指向性アンテナ)を制御する手段を用いてもよいし、アダプティブアレイアンテナを用いた手段を用いてもよいし、ダイバーシチアンテナを用いた手段を用いてもよい。
【0098】
また、受信状態を知るのに再生されたTSから求めた誤り数を用いたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、チューナ31,41より出力された放送波のOFDM−IF信号から得られるノイズの電力を用いてもよいし、受信信号のC/N値を用いてもよい。
【0099】
<実施の形態7>
実施の形態4〜6においては、選局切替え装置47には、誤り訂正装置43で再生されたTSがデコード装置48および選局情報抽出装置70等を介してフィードバックされるが、選局切替え装置37には、再生されたTSはフィードバックされない。従って、データ再生装置400〜401で一方放送局から他方放送局への切り替えが行われた場合においても、電波状況分析装置300〜301では切り替えは行われない。しかし、これに限らず、あるいは、選局切替え装置37に、再生されたTSをフィードバックさせるようにしてもよい。
【0100】
図7は、本発明の実施の形態7に係る受信装置の構成を示すブロック図である。図7において、図6に示した実施の形態6に係る受信装置と同様な構成要素は同じ符号を付与することで重複する説明を省略する。
【0101】
本実施の形態における受信装置は、実施の形態6に係る図6の受信装置において、電波状況分析装置300に代えて、電波状況分析装置302を設けたものである。電波状況分析装置302は、図6の電波状況分析装置300において、デコード装置38と選局情報抽出装置71と選局比較装置80とを追加したものである。図7においては、図6に比較して、選局情報抽出装置70から出力されるフィードバック信号が、選局切替え装置47に加えて、(選局比較装置80を介して)選局切替え装置37に入力されている。
【0102】
デコード装置38は、誤り訂正装置33で再生されたTSから音声データと映像データと放送局の固有情報とを分離する。
【0103】
選局情報抽出装置71は、選局情報抽出装置70と同様に、再生されたTSからそのTSが含まれる放送局の固有情報(例えば、BIT信号のアフィリエーションID)を抽出する。
【0104】
選局比較装置80には、選局情報抽出装置70,71それぞれで抽出した(現在再生している)TSに含まれる放送局の固有情報が入力される。選局比較装置80は、これらの固有情報を比較することにより、電波状況分析装置302から再生(出力)されるTSの放送局の固有情報がデータ再生装置401から再生(出力)されるTSの放送局の固有情報と整合性がとれるように選局切替え装置37を制御する。
【0105】
言い換えれば、選局比較装置80は、データ再生装置401に整合するように電波状況分析装置302の選局を切替えるような制御を行う。
【0106】
このように、本実施の形態に係る受信装置においては、再生されたTSを、選局切替え装置47に代えて、選局切替え装置37にフィードバックさせる(言い換えれば、電波状況分析装置302は、デコード装置48で再生されたデジタルデータに応じて選局を行う)。従って、実施の形態4〜6の効果に加えて、データ再生装置400〜401に追従して電波状況分析装置300〜301においても一方放送局から他方放送局への切り替えを行うことができるという効果が得られる。
【0107】
尚、上述した本実施の形態では、電波状況分析装置300およびデータ再生装置401において、指向性を持ったアンテナ(指向性アンテナ)を制御する手段を用いてもよいし、アダプティブアレイアンテナを用いた手段を用いてもよいし、ダイバーシチアンテナを用いた手段を用いてもよい。
【0108】
また、受信状態を知るのに再生されたTSから求めた誤り数を用いたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、チューナ31,41より出力された放送波のOFDM−IF信号から得られるノイズの電力を用いてもよいし、受信信号のC/N値を用いてもよい。
【0109】
上記の記述は本発明の適応可能な態様を例示したものであって、電波状況分析装置およびデータ再生装置が2つの構成で示したが、それぞれ複数の電波状況分析装置およびデータ再生装置を用いた構成でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の実施の形態1に係るデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係るデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係るデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態4に係るデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態5に係るデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態6に係るデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態7に係るデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0111】
1 列車速度情報、10,20,30,40 アンテナ指向性制御装置、11,21,31,41 チューナ、12,22,32,42 復調装置、13,23,33,43 誤り訂正装置、14,24,34,44 誤り数算出装置、15,25,35,45 受信状態判別装置、16,36 電力算出装置、27 アンテナ指向性切替え装置、28,38,48 デコード装置、29,49 再生データ選択装置、37,47 選局切替え装置、70,71 選局情報抽出装置、80 選局比較装置、100,101,300,301,302 電波状況分析装置、200,201,400,401 データ再生装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送局から無線伝送されたデジタルデータを列車で受信する受信装置であって、
前記列車上において当該列車の進行方向前方に配置され、第1アンテナを有し前記第1アンテナから受信された電波の状況に基づき電波状況分析データを生成する電波状況分析装置と、
前記列車上において当該列車の進行方向後方に配置され、第2アンテナを有し前記第2アンテナから受信された電波に基づき前記デジタルデータを再生するデータ再生装置と
を備え、
前記データ再生装置は、前記電波状況分析装置において生成された前記電波状況分析データに応じて前記第2アンテナを制御する
受信装置。
【請求項2】
放送局から無線伝送されたデジタルデータを列車で受信する受信装置であって、
前記列車上において当該列車の進行方向前方に配置され、第1アンテナを有し前記第1アンテナから受信された電波の状況に基づき電波状況分析データを生成する電波状況分析装置と、
前記列車上において当該列車の進行方向後方に配置され、第2アンテナを有し前記第2アンテナから受信された電波に基づき前記デジタルデータを再生するデータ再生装置と
を備え、
前記データ再生装置は、
前記電波状況分析装置と前記データ再生装置とがいずれも一方放送局の受信エリアにある場合または前記電波状況分析装置と前記データ再生装置とがいずれも他方放送局の受信エリアになった場合には、前記電波状況分析装置において生成された前記電波状況分析データに応じて前記第2アンテナを制御し、
前記電波状況分析装置が他方放送局の受信エリアに差し掛かり前記データ再生装置がまだ一方放送局の受信エリアにある場合には、前記電波状況分析装置とともにダイバー受信を行う
受信装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の受信装置であって、
前記電波状況分析装置は、
前記第1アンテナから受信された電波に基づきトランスポートストリームの再生を行う第1トランスポートストリーム再生手段と、
前記第1トランスポートストリーム再生手段におけるトランスポートストリームの再生に伴う誤りに基づき前記電波状況分析データを生成する電波状況分析データ生成手段と
をさらに有する受信装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の受信装置であって、
前記電波状況分析装置は、
前記第1アンテナから受信された電波に基づきノイズの電力を算出する電力算出手段と、
前記電力算出手段において算出された前記ノイズの電力に基づき前記電波状況分析データを生成する電波状況分析データ生成手段と
をさらに有する受信装置。
【請求項5】
請求項3に記載の受信装置であって、
前記データ再生装置は、
前記第2アンテナから受信された電波に基づきトランスポートストリームの再生を行う第2トランスポートストリーム再生手段と、
前記第1トランスポートストリーム再生手段において再生を行われたトランスポートストリームおよび前記第2トランスポートストリーム再生手段において再生を行われたトランスポートストリームからいずれか一方を選択するトランスポートストリーム選択手段と、
前記トランスポートストリーム選択手段において選択されたトランスポートストリームから前記デジタルデータを再生するデジタルデータ再生手段
をさらに有する受信装置。
【請求項6】
複数の放送局から無線伝送されたデジタルデータを選択的に列車で受信する受信装置であって、
前記列車上において当該列車の進行方向前方に配置され、第3アンテナを有し前記第3アンテナから受信された電波の状況に基づき電波状況分析データを生成する電波状況分析装置と、
前記列車上において当該列車の進行方向後方に配置され、第4アンテナを有し前記第4アンテナから受信された電波に基づき前記デジタルデータを再生するデータ再生装置と
を備え、
前記データ再生装置は、前記電波状況分析装置において生成された前記電波状況分析データに応じて前記放送局を選択する
受信装置。
【請求項7】
複数の放送局から無線伝送されたデジタルデータを選択的に列車で受信する受信装置であって、
前記列車上において当該列車の進行方向前方に配置され、第3アンテナを有し前記第3アンテナから受信された電波の状況に基づき電波状況分析データを生成する電波状況分析装置と、
前記列車上において当該列車の進行方向後方に配置され、第4アンテナを有し前記第4アンテナから受信された電波に基づき前記デジタルデータを再生するデータ再生装置と
を備え、
前記データ再生装置は、
前記電波状況分析装置と前記データ再生装置とがいずれも一方放送局の受信エリアにある場合または前記電波状況分析装置と前記データ再生装置とがいずれも他方放送局の受信エリアになった場合には、前記電波状況分析装置において生成された前記電波状況分析データに応じて前記第4アンテナを制御し、
前記電波状況分析装置が他方放送局の受信エリアに差し掛かり前記データ再生装置がまだ一方放送局の受信エリアにある場合には、前記電波状況分析装置とともにダイバー受信を行う
受信装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の受信装置であって、
前記電波状況分析装置は、
前記第3アンテナから受信された電波に基づきトランスポートストリームの再生を行う第3トランスポートストリーム再生手段と、
前記第3トランスポートストリーム再生手段におけるトランスポートストリームの再生に伴う誤りに基づき前記電波状況分析データを生成する電波状況分析データ生成手段と
をさらに有する受信装置。
【請求項9】
請求項6又は請求項7に記載の受信装置であって、
前記電波状況分析装置は、
前記第3アンテナから受信された電波に基づきノイズの電力を算出する電力算出手段と、
前記電力算出手段において算出された前記ノイズの電力に基づき前記電波状況分析データを生成する電波状況分析データ生成手段と
をさらに有する受信装置。
【請求項10】
請求項8に記載の受信装置であって、
前記データ再生装置は、
前記第4アンテナから受信された電波に基づきトランスポートストリームの再生を行う第4トランスポートストリーム再生手段と、
前記第3トランスポートストリーム再生手段において再生を行われたトランスポートストリームおよび前記第4トランスポートストリーム再生手段において再生を行われたトランスポートストリームからいずれか一方を選択するトランスポートストリーム選択手段と、
前記トランスポートストリーム選択手段において選択されたトランスポートストリームから前記デジタルデータを再生するデジタルデータ再生手段
をさらに有する受信装置。
【請求項11】
請求項6又は請求項7に記載の受信装置であって、
前記電波状況分析装置は、前記データ再生装置において前記放送局の切替えが生じた場合に当該切り替えに追従するために、前記デジタルデータ再生手段において再生された前記デジタルデータに応じて前記放送局を選択する
受信装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の受信装置であって、
前記第1乃至第2アンテナ又は前記第3乃至第4アンテナは、指向性アンテナである
受信装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の受信装置であって、
前記第1乃至第2アンテナ又は前記第3乃至第4アンテナは、アダプティブアレイアンテナである
受信装置。
【請求項14】
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の受信装置であって、
前記第1乃至第2アンテナ又は前記第3乃至第4アンテナは、ダイバーシチアンテナである
受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−85419(P2008−85419A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−260034(P2006−260034)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】