説明

受信装置

【課題】 同一周波数で希望番組と異なる他の番組が受信された場合に、突然の番組の変更や、長期間放送を聴くことができない等の不利益を生じさせない「受信装置」を提供する。
【解決手段】 本発明のラジオ受信装置は、データが多重化された放送信号を受信可能であり、希望放送局の希望番組を受信しているとき、希望番組と異なる他の番組を他の放送局から受信したか否かを判定し、他の番組を受信したと判定されたとき、既に取得した希望番組のジャンル識別情報(元PTY)と他の番組のジャンル識別情報(新PTY)とを比較し、ジャンル識別情報が同一であるとき、他の番組の番組識別情報(新PI)に対してフォロー動作を実施し、ジャンル識別情報が同一でないとき、希望番組の番組識別情報(元PI)に対しフォロー動作を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置に関し、特に、データが多重化された放送信号を受信可能なラジオ放送の受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両などの移動体には、テレビ放送やラジオ放送を受信する受信装置が搭載されている。車載用の受信装置では、車両の移動によりそれまで受信していた受信チャンネルが放送エリアから外れてしまった場合には、同一番組を放送している他のチャンネルへの自動切替(フォロー動作)が行われている。例えば、特許文献1では、放送サービスエリアから外れた場合には、次の放送サービスエリアの番組のタイムテーブルを参照し、同一番組が別のチャンネルで放送されている場合にはその別のチャンネルへ自動で切替え、同一番組が放送されていない場合には、ジャンルが同一となる番組のチャンネルへの自動切換えを行っている。
【0003】
また、RDS(Radio Data System)放送を受信するラジオ受信装置においても、重畳された番組識別情報に基づき代替放送局をバックグランド若しくは一定周期でサーチし、受信感度が低下した場合には代替放送局への自動切換えを行っている。特許文献2は、そうしたRDSラジオ受信装置において、1つのプリセットボタンに対し同一内容の番組が重複して設定されることを防止する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−299644号公報
【特許文献2】特開2009−202021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
RDS放送では、ラジオの放送信号に、番組を識別する情報(PI: Program Identification)、番組のジャンルを識別する情報(PTY: Program Type)、国コードを識別する情報などの付加情報を重畳している。このようなRDS放送を受信可能なラジオ受信装置において、例えば、FM放送を聞きながら車両を運転し移動しているときに、自車位置が変化することにより同一の周波数であっても、別の放送局の番組放送が受信されることがある。つまり、ある放送局の受信エリアと他の放送局の受信エリアとが重複するような場合、そのような重複するエリアを走行していると、それぞれの放送局の番組が受信され得る。特に、ヨーロッパなどの大陸を走行する場合には、国境付近において、そのような事態が生じる。
【0006】
同一周波数において他の放送局の異なる番組が受信されると、すなわち、番組の混信が生じると、元々取得していた番組識別情報(元PI)とは別の番組識別情報(新PI)が取得される。このような場合、ラジオ受信装置における動作として、次の2通りの手法が存在する。
1.そのまま流れに任せ、新番組識別情報(新PI)を有効とし、新番組識別情報(新PI)に対して、それと同一番組を放送する代替放送局の有無をチェック(AF Check)したり、代替放送局への自動切換え(Switch)などのフォロー動作を実施する。
2.ユーザーが希望して聴いていた放送である元番組識別情報(元PI)のみを有効とし、
元番組識別情報(元PI)を継続させるため、元番組識別情報(元PI)に対して、それと同一番組を放送する代替放送局の有無のチェックや代替放送局への自動切換えなどをフォロー動作を実施する。そして、ユーザーからのシーク等により他の周波数に変更されたり、プリセットコールが行われたときに、新番組識別情報(新PI)を有効にする。
【0007】
しかしながら、第1の手法の場合は、自動的に新番組識別情報(新PI)に切り換ることで、ユーザーが希望するものとは全く違う番組に切り替わりそれが継続されてしまうという問題がある。また、第2の手法の場合は、元番組識別情報(元PI)に対応する代替放送局をサーチしても、受信感度が良い代替放送局が全く見つからない場合には、代替放送局のサーチが繰り返され、このサーチは、ユーザー操作が実施されるまで継続されてしまうという問題がある。この間、音声はもちろん新番組放送となるが、元番組識別情報(元PI)に対するフォロー動作の実施となるため、新番組放送の受信感度が悪化しても、新番組放送への対応をすることができない。
【0008】
本発明は、上記のような従来の課題を解決するものであり、同一周波数で希望番組と異なる他の番組が受信された場合に、突然の番組の変更や、長期間放送を聴くことができない等の不利益を生じさせないラジオ受信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る受信装置は、データが多重化された放送信号を受信可能なであって、希望放送局の希望番組を受信しているとき、前記希望番組と異なる他の番組を他の放送局から受信したか否かを判定する判定手段と、前記放送信号に多重化されたデータから受信している番組の番組識別情報およびジャンル識別情報を取得する取得手段と、前記判定手段により他の番組を受信したと判定されたとき、前記取得手段により取得された前記希望番組のジャンル識別情報と前記他の番組のジャンル識別情報とを比較する比較手段と、前記比較手段によりジャンル識別情報が同一であるとき、前記他の番組の番組識別情報に基づき代替放送局の受信を制御し、ジャンル識別情報が同一でないとき、前記希望番組の番組識別情報に基づき代替放送局の受信を制御する制御手段とを有する受信装置。
【0010】
好ましくは前記取得手段はさらに、多重化されたデータから受信している番組の国識別情報を取得し、前記比較手段はさらに、前記取得手段から取得された前記希望番組の国識別情報と前記他の番組の国識別情報とを比較し、前記制御手段はさらに、前記ジャンル識別情報が同一でありかつ前記国識別情報が同一であるとき、前記他の番組の番組識別情報に基づき代替放送局の受信を制御する。好ましくは前記判定手段は、前記取得手段により取得された前記希望番組の番組識別情報と前記他の番組の番組識別情報とが異なるとき、前記他の番組を受信したと判定する。
【0011】
さらに本発明の受信装置は、データが多重化された放送信号を受信可能な受信装置であって、希望放送局の希望番組を受信しているとき、前記希望番組と異なる他の番組を他の放送局から受信したか否かを判定する判定手段と、前記放送信号に多重化されたデータから受信している番組の番組識別情報を取得する取得手段と、前記判定手段により他の番組を受信したと判定されたとき、前記希望番組の番組識別情報に基づき一定条件で代替放送局をサーチし、代替放送局が見つからなかった場合には、前記他の番組の番組識別情報に基づき代替放送局の受信を制御する制御手段とを有する。
【0012】
さらに本発明の受信装置は、データが多重化された放送信号を受信可能な受信装置であって、希望放送局の希望番組を受信しているとき、前記希望番組と異なる他の番組を他の放送局から受信したか否かを判定する判定手段と、前記放送信号に多重化されたデータから受信している番組の番組識別情報を取得する取得手段と、前記判定手段により他の番組を受信したと判定されたとき、タイマー時間を表示させ、前記タイマー時間内にユーザーからの取消しの指示があった場合には、前記希望番組の番組識別情報に基づき代替放送局の受信を制御し、前記タイマー時間内にユーザーからの取消しの指示がなかった場合には、前記他の番組の番組識別情報に基づき代替放送局の受信を制御する制御手段とを有する。
【0013】
さらに本発明に係る受信制御プログラムは、データが多重化された放送信号を受信可能な受信装置が実行するものであって、希望放送局の希望番組を受信しているとき、前記希望番組と異なる他の番組を他の放送局から受信したか否かを判定するステップと、他の番組を受信したと判定されたとき、既に取得された前記希望番組のジャンル識別情報と前記他の番組のジャンル識別情報とを比較するステップと、ジャンル識別情報が同一であるとき、前記他の番組の番組識別情報に基づき代替放送局の受信を制御し、ジャンル識別情報が同一でないとき、前記希望番組の番組識別情報に基づき代替放送局の受信を制御するステップとを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、同一周波数において希望番組と異なる他の番組が受信されたとき、希望番組と他の番組のジャンルが一致しなければ、希望番組の番組識別情報に基づき代替放送局の受信を制御するようにしたので、ユーザーとって、希望する番組と著しく内容が異なる番組に突然変更されることが抑制され、同時に、ユーザーにとって長期間にわたり番組を聴くことができなくなるという不利益も解消される。さらに他の発明によれば、希望番組と異なる他の番組が受信されても、その後に一定の条件のもとで希望番組の受信が可能か否かを再確認するようにしたので、希望番組が再び受信できるようになった場合には、ユーザーの希望に合致した番組の受信を継続することができる。さらに他の発明によれば、希望番組と異なる他の番組が受信されたときに、タイマー時間を表示させ、その間のユーザーからの指示の有無に応じて、希望番組または他の番組の受信を選択させるようにしたので、ユーザーにとって、他の番組に突然変更されるといった違和感は生じない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例に係るラジオ受信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例に係るラジオ受信装置のフォロー動作を説明するフローである。
【図3】同一周波数で他の放送局の番組との競合が生じた場合の動作フローである。
【図4】本発明の第1の実施例に係るラジオ受信装置において番組が競合したときの動作フローを示す図である。
【図5】本発明の第2の実施例に係るラジオ受信装置において番組が競合したときの動作フローを示す図である。
【図6】本発明の第3の実施例に係るラジオ受信装置において番組が競合したときの動作フローを示す図である。
【図7】本発明の第4の実施例に係るラジオ受信装置において番組が競合したときの動作フローを示す図である。
【図8】本発明の第4の実施例に係るラジオ受信装置の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明の好ましい実施の形態は、移動体としての自動車に搭載されたラジオ受信装置を例示する。また、ラジオ受信装置は、データが多重化されたラジオ放送信号を受信することができ、ここでは、その一例として、RDS放送を受信するものとする。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の実施例に係る車載用のラジオ受信装置の構成を示すブロック図である。ラジオ受信装置10は、アンテナ12、アンテナ12を介して選択された放送局(周波数)の放送信号を受信するチューナー14、チューナー14からの受信信号を受け取り、当該受信信号に基づき各種処理を実行する信号処理部16、チューナー14および信号処理部16等を制御する制御部18、信号処理部16により処理されたオーディオ信号を増幅するアンプ20、アンプ20で増幅されたオーディオ信号を出力するスピーカ22、信号処理部16で復号されたデータなどを表示可能な表示部24、ユーザからの入力を受け取る入力部26、放送信号に重畳されたRDSデータなどを記憶する記憶部28を有する。
【0018】
チューナー14は、公知のように、アンテナ12からRF信号を受け取り、これを増幅するRF増幅器、増幅されたRF信号から希望局の周波数信号を選択する同調回路、局部発信器からの周波数信号とRF信号を混合し中間周波(IF)信号を生成する混合器、中間周波信号を直流検波しその受信電界強度信号(Sメータ信号)を抽出するSメータ回路を含んでいる。さらに、チューナー14は、ADC(アナログ/ディジタル変換器)により中間周波信号(IF)およびSメータ信号をディジタル信号に変換し、これらを信号処理部16へ出力する。
【0019】
信号処理部16は、例えばDSP(Digital Signal Processor)などを用いて構成され、信号処理部16は、チューナー14から入力されたディジタル信号について各種処理を実行する。信号処理部16は、例えば、FFT、ディジタルフィルタリング、信号同期、時間・周波数デインターリーブ、オーディオデコード、データデコード、フェーズダイバーシティ等の信号処理を行う。これらの信号処理は、信号処理部16内のプログラムメモリに格納されたソフトウエアにより制御することができる。
【0020】
制御部18は、信号処理部16と制御バスを介して接続され、信号処理部16から得られた信号に基づき信号処理部16、チューナー14の動作等を制御する。好ましくは、制御部18は、マイクロコントローラなどから構成され、メモリに格納されたプログラムを実行することで各部を制御する。さらに好ましくは、制御部18は、自車が移動中にRDS放送を受信している場合には、取得したRDSデータに含まれる番組識別情報に基づき、受信している番組と同一番組を放送している代替放送局の有無をチェックし、現在の放送局の受信感度に応じて代替放送局へ自動的に切換えるフォロー動作を制御するプログラムを実行する。
【0021】
次に、本実施例のラジオ受信装置のRDS放送を受信しているときのフォロー動作について図2のフローを参照して説明する。ユーザーによって選択された希望放送局の放送信号がチューナー14によって受信され(S101)、受信された放送信号は信号処理部16へ出力される。信号処理部16は、入力されたディジタル信号をデコードし、そこからディジタルオーディオ信号と、RDSデータを取得する。ディジタルオーディオ信号は、アンプ20に出力され、そこでアナログオーディオ信号に変換され、増幅された後、スピーカ22から出力される。一方、RDSデータは、制御部18へ提供され、制御部18は、RDSデータに用いて受信制御を行うとともに、取得したRDSデータを記憶部28に格納する(S102)。RDSデータには、番組を識別するための番組識別情報(PI)、番組のジャンルを識別するためのジャンル識別情報(PTY)、番組の国コードを識別する国識別情報などが含まれている。また、制御部18は、RDSデータに含まれる情報、例えば、現在受信している放送局や番組のジャンルなどを表示部24に表示させることができる。
【0022】
希望放送局を受信中に、制御部18は、RDSデータに含まれる番組識別情報(PI)に基づき、現在受信している番組と同一番組を放送している代替放送局の有無をサーチする(S103)。このサーチは、例えば、一定の周期で行われ、サーチが行われている間は、スピーカ22からの音声出力をミュートする。但し、このサーチ期間は、非常に短時間であり、ユーザーにとって音切れ等の不快感を感じ得ない程度である。制御部18によりサーチされた代替放送局の周波数、および代替放送局の受信感度(Sメータ)は、記憶部28に格納される。この代替放送局およびその受信感度は、代替放送局のサーチが行われるたびに最新のものに更新される。
【0023】
制御部18は、現在受信中の希望放送局の受信感度を監視し、受信感度が良好であるか否かを判定する(S104)。この判定は、例えば、チューナー14からの電界強度であるSメータがしきい値以上であるか否かに基づき行われる。しきい値は、例えば、標準入力では60dBとする。受信感度が良好と判定された場合には、現在の放送局の受信がそのまま継続される(S105)。他方、受信感度が良くないと判定された場合には、記憶物28に記憶された情報を参照し、受信感度が良好な代替放送局の有無をチェックし(S106)、そのような代替放送局が見つかれば、その代替放送局に切替えられる(S107)。仮に、そのような代替放送局が存在しない場合には、そのまま現在の放送局の受信が継続される(S105)。
【0024】
なお、上記のフォロー動作では、現在受信中の放送局の受信感度が悪化した場合には、代替放送局の有無をチェックするようにしたが、これに限らず、現在受信中の放送局の受信感度よりも良好な受信感度の代替放送局が見つかった時点で、代替放送局への切換えを行うようにしてもよい。また、図1に示すラジオ受信装置は、1つのチューナーを有するものであるが、メインチューナーとサブチューナーを有するものであってもよい。この場合、典型的に、サブチューナーは、メインチューナーが受信している放送局の代替放送局をバックグランドでサーチし、代替放送局のリストを生成し、当該代替放送局のリストがフォロー動作に参照されるようにしてもよい。
【0025】
図2に示すフローは、同一周波数において放送局が変わらない場合、つまり他の放送局の番組との競合もしくは混信が生じない場合の処理である。図3は、同一周波数において希望番組と異なる他の放送局の番組が受信された場合のフォロー動作を示している。同図に示すように、制御部18は、RDSデータに含まれる番組識別情報(PI)を取得し(S201)、これを、記憶部28に保持されている直前の番組識別情報と比較し(S202)、番組識別情報が同一であるか否かを判定する(S203)。もし、番組識別情報が同一であれば、競合は生じていないものと判定し、図2に示すフォロー動作を実施する(S204)。一方、番組識別情報が同一でなければ、競合が生じていると判定し、本発明に従う番組競合時のフォロー動作(以下、競合フォロー動作という)を実施する(S205)。
【0026】
図4は、本発明の第1の実施例による競合フォロー動作のフローを示す図である。制御部18は、上記したように番組識別情報が異なると判定されたとき、RDSデータに含まれる新たなジャンル識別情報(新PTY)を取得し(S301)、これを、記憶部28に保持された元のジャンル識別情報(元PTY)と比較し(S302)、両番組のジャンルが同一か否かを判定する(S303)。例えば、番組のジャンルには、ニュース、ドラマ、音楽、バラエティなどがある。制御部18は、ジャンルが同一である場合には、番組変更がユーザーの嗜好に沿うものとみなし、新番組識別情報(新PI)に対してフォロー動作を実施する(S304)。
【0027】
他方、制御部18は、番組のジャンルが異なる場合には、番組変更がユーザーの嗜好にそぐわないものとみなし、元番組識別情報(元PI)に対するフォロー動作を実施する(S305)。なお、元番組識別情報(元PI)に対するフォロー動作を継続した場合、いつまでたっても代替放送局が見つからない事態が生じ得る。このため、一定期間もしくは一定回数のシークを行った時点で、元PIの代替放送局が見つからないならば、新PIのフォロー動作に移行するようにしてもよい。これは、後述する第3の実施例に移行することに等しい。
【0028】
このように、第1の実施例によれば、番組のジャンルが同じ場合にのみ新番組識別情報(新PI)に対するフォロー動作を実施するようにしたので、ユーザにとって、内容が著しく異なる番組に突然変更されることによる不快感をなくすことができる。
【0029】
図5は、本発明の第2の実施例による競合フォロー動作のフローを示す図である。第2の実施例では、制御部18は、RSDデータに含まれる新たなジャンル識別情報(新PTY)および国識別情報を取得し(S401)、これらを元のジャンル識別情報(元PTY)および元の国識別情報と比較する(S402)。番組のジャンルが同一であり(S403)、かつ国識別情報が同一である場合には(S404)、新たな番組識別情報(新PI)に対するフォロー動作が実施される(S405)。他方、ジャンルが異なる場合、あるいは国識別情報が異なる場合には、元の番組識別情報(元PI)に対してフォロー動作が実施される(S406)。
【0030】
自車が国境付近を走行している場合には、国籍または言語の異なる番組が競合することがあり、突如、受信している番組が他国の言語の放送に遷移し、そのまま他国の放送に対するフォロー動作が実施されてしまうことがある。第2の実施例によれば、新たな番組の国籍が異なる場合には、元の番組識別情報(元PI)に対してフォロー動作を行うことで、ユーザーが希望しない他国の放送への受信が遷移されてしまうことを防止することができる。
【0031】
図6は、本発明の第3の実施例による競合フォロー動作のフローを示す図である。制御部18は、元番組識別情報と異なる新たな番組識別情報(新PI)が取得されると(S501)、元の番組識別情報(元PI)の代替放送局の有無を一定条件でチェックする(S502)。一定条件とは、任意に設定できるものであるが、例えば、新たな番組識別情報(新PI)が取得されたと判定された時点から一定期間、あるいはそのような時点から代替放送局を見つけるための下限周波数から上限周波数までのシークの回数などである。一定条件でチェックした結果、しきい値以上の電界強度の代替放送局が見つかった場合には、元の番組である代替放送局へ受信が切換えられ(S504)、その後、元の番組識別情報(元PI)に対してフォロー動作が実施される(S505)。他方、元の番組の代替放送局が見つからなかった場合には、新しい番組識別情報(新PI)に対してフォロー動作が実施される(S506)。
【0032】
第3の実施例によれば、同一周波数において新しい番組が受信された場合であっても、元の番組が受信可能か否かを再確認することで、即座に新しい番組の新PIに対するフォロー動作に移行することが抑制され、元の番組が受信可能であれば、元PIに対するフォロー動作が実施され、ユーザーの希望に合致させることができる。
【0033】
図7は、本発明の第4の実施例による競合フォロー動作のフローを示す図である。制御部18は、元PIと異なる新しい番組識別情報(新PI)が取得されると(S601)、新番組識別情報(新PI)を有効とするまでのタイマーを表示部24に表示させる(S602)。タイマー時間は、予め設定され、これはユーザーにより変更が可能である。例えば、表示部24には、図8に示すように、60秒のタイマー30が表示され、これがカウントダウンして表示される。また、新番組識別情報に対するフォロー動作をキャンセルするためのキャンセルボタン32が表示される。さらに、表示部24には、新番組のジャンル識別情報34が表示され、ユーザーは、当該ジャンルを見て、新番組の受信を継続するか否かを判断することができる。
【0034】
制御部18は、新番組の受信の継続について、タイマー時間内にユーザーからキャンセルの指示があったか否かを監視する(S603)。キャンセルの入力が有った場合には、制御部18は、元の番組識別情報(元PI)に対してフォロー動作を実施し(S604)、すなわち、元番組識別情報(元PI)に基づき代替放送局のサーチおよび切換えが行われる。一方、キャンセルの入力がない場合には、ユーザーが番組変更を容認したとみなし、制御部18は、タイマー終了後、新番組識別情報(新PI)に対しフォロー動作を実施する(S605)。このように、第4の実施例によれば、ユーザーの意向に沿うようにフォロー動作を実施することができる。
【0035】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。なお、上記実施例では、RDS放送を受信するラジオ受信装置を例示したが、データを多重化できる放送であれば、RDS放送に限らず、他のラジオ放送であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
10:ラジオ受信装置 12:アンテナ
14:チューナー 16:信号処理部
18:制御部 20:アンプ
22:スピーカ 24:表示部
26:入力部 28:記憶部
30:タイマー表示 32:キャンセルボタン
34:ジャンル表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データが多重化された放送信号を受信可能な受信装置であって、
希望放送局の希望番組を受信しているとき、前記希望番組と異なる他の番組を他の放送局から受信したか否かを判定する判定手段と、
前記放送信号に多重化されたデータから受信している番組の番組識別情報およびジャンル識別情報を取得する取得手段と、
前記判定手段により他の番組を受信したと判定されたとき、前記取得手段により取得された前記希望番組のジャンル識別情報と前記他の番組のジャンル識別情報とを比較する比較手段と、
前記比較手段によりジャンル識別情報が同一であるとき、前記他の番組の番組識別情報に基づき代替放送局の受信を制御し、ジャンル識別情報が同一でないとき、前記希望番組の番組識別情報に基づき代替放送局の受信を制御する制御手段と、
を有する受信装置。
【請求項2】
前記取得手段はさらに、多重化されたデータから受信している番組の国識別情報を取得し、
前記比較手段はさらに、前記取得手段から取得された前記希望番組の国識別情報と前記他の番組の国識別情報とを比較し、
前記制御手段はさらに、前記ジャンル識別情報が同一でありかつ前記国識別情報が同一であるとき、前記他の番組の番組識別情報に基づき代替放送局の受信を制御する、請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記取得手段により取得された前記希望番組の番組識別情報と前記他の番組の番組識別情報とが異なるとき、前記他の番組を受信したと判定する、請求項1または2に記載の受信装置。
【請求項4】
データが多重化された放送信号を受信可能な受信装置であって、
希望放送局の希望番組を受信しているとき、前記希望番組と異なる他の番組を他の放送局から受信したか否かを判定する判定手段と、
前記放送信号に多重化されたデータから受信している番組の番組識別情報を取得する取得手段と、
前記判定手段により他の番組を受信したと判定されたとき、前記希望番組の番組識別情報に基づき一定条件で代替放送局をサーチし、代替放送局が見つからなかった場合には、前記他の番組の番組識別情報に基づき代替放送局の受信を制御する制御手段と、
を有する受信装置。
【請求項5】
データが多重化された放送信号を受信可能な受信装置であって、
希望放送局の希望番組を受信しているとき、前記希望番組と異なる他の番組を他の放送局から受信したか否かを判定する判定手段と、
前記放送信号に多重化されたデータから受信している番組の番組識別情報を取得する取得手段と、
前記判定手段により他の番組を受信したと判定されたとき、タイマー時間を表示させ、前記タイマー時間内にユーザーからの取消しの指示があった場合には、前記希望番組の番組識別情報に基づき代替放送局の受信を制御し、前記タイマー時間内にユーザーからの取消しの指示がなかった場合には、前記他の番組の番組識別情報に基づき代替放送局の受信を制御する制御手段と、
を有する受信装置。
【請求項6】
データが多重化された放送信号を受信可能な受信装置が実行する受信制御プログラムであって、
希望放送局の希望番組を受信しているとき、前記希望番組と異なる他の番組を他の放送局から受信したか否かを判定するステップと、
他の番組を受信したと判定されたとき、既に取得された前記希望番組のジャンル識別情報と前記他の番組のジャンル識別情報とを比較するステップと、
ジャンル識別情報が同一であるとき、前記他の番組の番組識別情報に基づき代替放送局の受信を制御し、ジャンル識別情報が同一でないとき、前記希望番組の番組識別情報に基づき代替放送局の受信を制御するステップと、
を有する受信制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−90307(P2013−90307A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232392(P2011−232392)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】