説明

受光装置およびその製造方法

【課題】高価な金型を用いること無く、絶縁樹脂で被覆された受光装置を得る。
【解決手段】受光部11を有する受光素子10が配列された基板20上に絶縁樹脂材30Aを塗布する。受光部11に対応する開口部61と、開口部61の周縁部に形成された堰止め用突起62とを有するマスク60を、基板20上に配置する。マスク60により、絶縁樹脂材30Aを押し広げて受光素子10の周縁部および基板20の上面を被覆する絶縁樹脂30を形成する。絶縁樹脂30には、開口部31と、開口部31の上部周縁部に凹部32とが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、受光部を有する受光素子が絶縁樹脂によりパッケージされた受光装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CDまたはDVD等の光ディスクに記録された情報を読み取る光ヘッドには受光装置が内臓される。このような受光装置は、光ディスクから反射される400nm〜780nm程度の波長の光を受光する受光部を有する受光素子を基板上に搭載し、受光素子の受光部面側全体を絶縁樹脂で被覆した構造を有する。
このような構造の受光装置を製造する方法として、受光素子の電極パッドと基板の接続パッドをワイヤボンディングし、次に、金型に装着し、絶縁樹脂を充填した後、ダイシングする方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
受光素子の受光部面側全体を絶縁樹脂で被覆する構造とすると、絶縁樹脂を透明材料により形成しなければならず高価となること、また、絶縁樹脂の上面に空気中の塵や埃が堆積し、受光素子の受光部に到達される光が遮断されるという不都合がある。そこで、絶縁樹脂における受光素子の受光部に対応する箇所に開口部を設けた構造が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−5363号公報
【特許文献2】特許第4200463号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された受光装置の製造方法は、金型を用いる方法であるため、金型の製作費用が高価となる。
特許文献2には、受光装置の製造方法が記載されておらず、より安価に製造する新たな製造方法をなんら示唆するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の受光装置は、上面に受光部を有し、基板上に搭載された受光素子が、受光部を露出する開口部を有する絶縁樹脂のみにより、受光素子の上面における受光部の周囲と周囲側面全体、および受光素子から露出された基板の上面が被覆された受光装置であって、絶縁樹脂は、開口部の上部周縁部に全周囲に亘る凹部を有することを特徴とする。
この発明の受光装置の製造方法は、接続パッドを有する基板上に、受光部および電極パッドを有する受光素子を載置し、接続パッドと前記電極パッドを接続部材により接続する工程と、少なくとも受光素子の周囲における基板上に絶縁樹脂材を塗布する工程と、受光素子の受光部に対応する開口部を有し、開口部の全周囲に亘り受光素子側に突き出す堰止め用突起が形成されたマスクにより、基板上に塗布された絶縁樹脂材を押さえ込み、堰止め用突起を堰止め部として絶縁樹脂材を前記受光素子上に押し広げる工程と、絶縁樹脂材を硬化して絶縁樹脂にする工程と、光素子の周囲における基板および絶縁樹脂を切断することにより、受光素子の受光部を露出する開口部を有し、開口部の上部周縁部に凹部が形成された絶縁樹脂により、受光素子の上面と側面、および基板の上面が被覆された受光装置を得る工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、絶縁樹脂材を塗布し、堰止め用突起を有するマスクにより絶縁樹脂を押し広げて受光部の周囲における受光素子の上面を被覆するので、高価な金型を用いずに受光装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の受光装置の一実施の形態を示す外観拡大斜視図。
【図2】図1のII―II線切断断面図。
【図3】図1に図示された受光装置の製造方法の一実施の形態を説明するための図であり、最初の工程に係る断面図。
【図4】図3の次の工程を説明するための断面図。
【図5】図4の次の工程を説明するための断面図。
【図6】図5の次の工程を説明するための断面図。
【図7】図6の次の工程を説明するための断面図。
【図8】図1に図示された受光装置の製造に用いるマスクの一実施の形態を示す外観斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の受光装置の一実施の形態を図面と共に説明する。
図1は、この発明の受光装置の一実施の形態を示す拡大外観斜視図であり、図2は図1に図示された受光装置のII−II線に沿う切断断面図である。
受光装置1は、受光素子(図2参照)10と、基板20と、受光素子10と基板20とを電気的に接続する接続するワイヤ2(図2参照)と、絶縁樹脂30とを備えている。
受光素子10は、上面に受光部11を有する半導体チップである。受光素子10は平面形状が矩形であり、受光部11の周囲における上面には複数の電極パッド12が設けられている。
【0010】
基板20は、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁性の樹脂により形成され、平面サイズは、受光素子10の外形より大きいサイズを有している。受光素子10は基板20のほぼ中央部に搭載されており、基板20における受光素子10の周囲には接続パッド21が形成されている。受光素子10の電極パッド12と基板20の接続パッド21とは、ワイヤ2により接続されている。ワイヤ2はワイヤボンディングにより電極パッド12および接続パッド21に接合されている。
【0011】
絶縁樹脂30は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂で形成されている。絶縁樹脂30は、不透明であるが、透明としても差し支えはない。絶縁樹脂30は、電極パッド12、接続パッド21およびワイヤ2を含んで、受光素子10の上面周縁部および周囲側面全体を覆っている。絶縁樹脂30の中央部には、平面サイズが受光素子10の受光部11より少し大きい開口部31が形成されており、受光素子10の受光部11は、その全体が、開口部31を介して外部に露出している。また、絶縁樹脂30には、開口部31の上部周縁部に凹部32が形成されている。この凹部32は、図1に図示されるように、開口部31の全周囲に亘り設けられている。
【0012】
詳細は後述するが、絶縁樹脂30の凹部32は、絶縁樹脂30の上部側の部分がマスクに設けられた堰止め用突起により受光素子10の受光部11側への広がりが堰止められて形成されたものである。
【0013】
絶縁樹脂30は、平面形状が、基板20と同じ大きさのほぼ矩形形状を有している。しかし、基板20とは異なり、4つの角部に切欠部33を有している。切欠部33は、絶縁樹脂30の厚さの中間位置に達する深さを有する。特に、限定される訳ではないが、切欠部33の深さを、凹部32とほぼ同じ深さとしてもよい。切欠部33の平面形状は、円の1/4の面積部分の形状を有する。切欠部33の平面形状は、図1では、円弧状としているが、楕円の一部、あるいは多角形状の一部の形状としても差し支えはない。
受光装置1の外形サイズは、一例として、大略、3〜5mm(長さ)×2.5〜4.5mm(幅)×0.8〜1.5mm(厚さ)である。しかし、本発明は、このサイズに限定されるものではない。
【0014】
次に、図3〜図7を参照して、図1および図2に図示された受光装置1の製造方法の一実施の形態を説明する。
なお、受光装置1の製造方法は、多数の受光素子10を搭載することができる大面積の基板20を用いて、多数の受光装置1を一度に得る方法を用いるが、図3〜図7では、1個の受光装置1が形成される領域のみが図示されている。
先ず、受光部11および複数の電極パッド12を有する受光素子10を、複数の接続パッド21が形成された基板20上に搭載する。この場合、基板20は多数の受光素子10を搭載可能な大面積を有するものであり、受光素子10は、この大面積の基板20上に、多数個、マトリクス状に配列される。必要に応じ、各受光素子10は、基板20にダイボンドする。
そして、金等からなるワイヤ2を、各受光素子10の電極パッド12および基板20の接続パッド21にボンディングし、両パッド12、21を接続する。この状態を図3に図示する。
【0015】
次に、マトリクス状に配列された受光素子10から露出する基板20上に、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなる絶縁樹脂材30Aを塗布する。絶縁樹脂材30Aは、粘度200〜350Pa・s程度のものが好ましく、ディスペンサや刷毛を用いて塗布する。この場合、絶縁樹脂材30Aは、受光素子10上には塗布しないが、受光部11に掛からないように受光素子10上の周縁部に塗布してもよい。
【0016】
次に、絶縁樹脂材30Aが塗布された基板20上に、絶縁樹脂材30Aが塗布されたマスク60を配置する。
図8は、マスク60を基板20側からみた斜視図である。マスク60は、ステンレス等の金属で形成されており、繰り返し使用が可能である。マスク60には、受光素子10の受光部11に対応する開口部61が形成されている。開口部61の縁部には、基板20側に向かって突き出す堰止め用突起62が形成されている。堰止め用突起62は、開口部61の縁部全周に亘り形成されている。また、マスク60には、図1に図示された受光装置1の切欠部33を形成するための4個の突出部63が形成されている。各突出部63は円筒形状を有し、その高さは、絶縁樹脂30の厚さより薄く、例えば、堰止め用突起62の高さとほぼ同一に高さに形成されている。
【0017】
マスク60は、多数の開口部61と開口部61の周囲に形成された突出部63がマトリクス状に配列されて構成されている。そして、図示はしないが、マスク60の周側縁部には、各側辺部に沿って所定の間隔で配列された筒状の押し当て部が形成されている。各押し当て部の高さは、絶縁樹脂30の厚さと同一である。
【0018】
図4に図示されるように、マスク60に塗布される絶縁樹脂材30Aは、受光素子10に対面する側の面における堰止め用突起62の外側に薄く形成される。そして、基板20上に配列された各受光素子10の受光部11が開口部61内に配置されるように、マスク60を基板20上に位置決めする。この状態を図4に図示する。
【0019】
次に、マスク60を基板20側に押圧して、マスク60の周側縁に配列された押し当て部の下面を基板20の上面に当接する。これにより、基板20上に塗布されていた絶縁樹脂材30Aが押し広げられて、受光素子10の周縁部を覆う。また、マスク60に塗布されていた絶縁樹脂材30Aは、基板20上に塗布されていた絶縁樹脂材30Aと一体になり、受光素子10の周縁部を覆う。このため、受光素子10の電極パッド12、基板20の接続パッド21およびワイヤ2を含んで、受光素子10の上面周縁部、側面全体および基板20の受光素子10から露出した上面全体が絶縁樹脂材30Aにより被覆される。つまり、マスク60の突出部63の高さは、絶縁樹脂材30Aの厚さと実質的に同一となる。但し、後述する如く、絶縁樹脂材30Aを加熱して絶縁樹脂30にする際の絶縁樹脂材30Aの収縮分、絶縁樹脂30の厚さは、突出部63の高さより小さくなる。
【0020】
絶縁樹脂材30Aが押し広げられる際、マスク60には、受光素子10の受光部11に対応して堰止め用突起62が形成されているため、絶縁樹脂材30Aの広がりは、この堰止め用突起62に堰止められる。絶縁樹脂材30Aは、堰止め用突起62から、厚さ方向において遠くに位置する下部側では受光部11側に向かって広がる。しかし、絶縁樹脂材30Aの上部側では堰止め用突起62により広がりが抑制される。この状態を図5に図示する。
【0021】
ここで、マスク60に堰止め用突起62が形成されていない場合には、絶縁樹脂材30Aが、開口部31の縁部にばりとなって絶縁樹脂材30Aの上面に突き出して形成される。ばりは、絶縁樹脂材30Aの上面から突き出して形成されるため、光ヘッドを組み立てる際の精度を低下する。これに対して、本実施形態では、マスク60に堰止め用突起62が形成されている。このため、仮に、絶縁樹脂材30Aが堰止め用突起62を越え、開口部31内に上方に突き出すばりが形成されたとしても、図5に30A’で示す如く、ばり30A’は絶縁樹脂材30Aの上面から突き出すことはない。つまり、本実施形態の場合には、堰止め用突起62の高さ分だけ、ばり30A’の位置が低くなる。これにより、光ヘッドを組み立てる際の精度を確保することができる。
【0022】
マスク60を基板20側に押圧してマスク60の突出部63の下面を基板20の上面に当接する際に、マスク60の突出部63に対応する部分の絶縁樹脂材30Aは、マスク60の突出部63に押し出されるため、この部分は空隙となる。
【0023】
次に、図5に図示された状態で加熱することにより絶縁樹脂材30Aを硬化し、絶縁樹脂30を形成する。そして、絶縁樹脂30上に配置されたマスク60を剥離する。この状態において、絶縁樹脂30には、受光素子10の受光部11に対応する開口部31が形成され、開口部31の上部周縁部に全周囲に亘る凹部32が形成されている。また、マスク60の突出部63に対応する部分に絶縁樹脂30の厚さの中間位置に達する深さの切欠部33が形成されている。
【0024】
次に、絶縁樹脂30上全面に保護シート71を貼り付ける。保護シート71としては剥離可能な粘着層を有するものを用いる。この状態を図6に図示する。
【0025】
次に、基板20、絶縁樹脂30および保護シート71を切断して、多数の受光装置1を得る。
基板20、絶縁樹脂30および保護シート71を切断する場合、マスク60の突出部63に対応して形成された絶縁樹脂30の円筒形状の空隙が、その軸心を通る切断線により4つに等分割されるように切断する。図6における切断位置Aは、このような、空隙を4つに等分割する位置を示しており、この切断位置Aにおいて、基板20および絶縁樹脂30を点線に示す如く切断する。これにより、各絶縁樹脂30の4隅には、円筒が1/4に等分割された形状の面積を有する切欠部33が形成される。この状態を図7に図示する。
【0026】
保護シート71は、光ヘッドを組み立てるまでの保護部材であるから、光ヘッドを組み付ける直前に剥離して、図1および図2に図示された受光装置1を形成する。保護シート71を剥離する際、受光装置1の絶縁樹脂30には4隅に切欠部33が形成されている。従って、いずれかの切欠部33にピンセットの一端を差し込み、この一端と、保護シート71の外部に位置された他端とにより保護シート71を摘まんで剥離することができる。このように、本実施形態によれば、絶縁樹脂30に切欠部33を形成したので、保護シート71の剥離が容易となり生産性の効率化を図ることができる。
【0027】
以上説明した如く、上記一実施の形態によれば、下記の効果を得ることができる。
(1)絶縁樹脂材30Aを塗布し、堰止め用突起62を有するマスク60により絶縁樹脂材30Aを押し広げて受光部11の周囲における受光素子10の上面を被覆するので、高価な金型を用いずに受光装置を得ることができる
(2)マスク60に、絶縁樹脂材30Aが開口部61側に広がるのを堰止めるための堰止め用突起62が形成されているので、絶縁樹脂30にばりが発生するのを防止することができる。このため、光ヘッドを組み立てる際の精度を確保することが可能となる。
(3)マスク60に、絶縁樹脂材30Aの厚さ方向の中間位置に達する深さの突出部63を設け、受光装置1の絶縁樹脂30に切欠部33が形成されるようにした。このため、絶縁樹脂30上に貼り付けた保護シート71を、切欠部33にピンセットの一端を差し込んで容易に剥離することができ、生産効率が向上する。
(4)マスク60をステンレス等の金属で形成したので、繰り返し使用することができる。
この場合、マスクを樹脂フィルムにより形成する従来の方法では、絶縁樹脂材30Aを成形する際の熱によりマスクが変形してしまい、使い捨てとなっていた。従って、従来に比して製造コストを低減することができる。
【0028】
なお、上記一実施の形態においては、絶縁樹脂材30Aを塗布する工程において、絶縁樹脂材30Aを、受光素子10から露出する基板20上のみに塗布するものとして説明した。しかし、絶縁樹脂材30Aは、受光素子10の受光部11上に掛からなければ、受光素子10の周縁部にも塗布してもよい。また、絶縁樹脂材30Aをマスク60にも塗布する場合で説明したが、絶縁樹脂材30Aをマスク60には塗布しないようにしてもよい。
【0029】
上記一実施の形態では、絶縁樹脂材30Aの堰止め用突起62をマスク60のみに設けた場合で説明した。しかし、堰止め用突起を受光素子10にも設けるようにしてもよい。受光素子10に堰止め用突起を設ける場合は、ウエハ製造工程において設けるようにすると効率的である。この場合の一例を示せば、ウエハ状態において、樹脂材料をスピンコーティングし、乾燥後、フォトレジストにより堰止め用突起状にパターニングされたマスクを形成して、堰止め用突起以外の部分をエッチングすればよい。
【0030】
上記一実施の形態では、マスク60の周側縁に設けた押し当て部の下面を基板20の上面に当接させて、絶縁樹脂30の厚さを確保する方法で説明した。しかし、マスク60に形成する突出部63の高さを絶縁樹脂30の厚さと同一にして、マスク60を、突出部63の下面が基板20の上面に当接するまで絶縁樹脂材30Aを押さえ込むようにしてもよい。この場合には、マスク60の周側縁に押し当て部を形成してもしなくてもよい。あるいは、他の方法として、絶縁樹脂30の厚さは、マスク60を上下に移動する駆動部材にセンサを設け、このセンサにより調整するようにしてもよい。
【0031】
上記一実施の形態では、受光装置1の4隅に切欠部33が形成された構造であった。しかし、切欠部33は、1箇所としてもよく、また、角部ではない箇所に設けるようにしてもよい。
【0032】
その他、本発明の受光装置は、発明の趣旨の範囲内において、種々、変形して構成することが可能であり、要は、上面に受光部を有し、基板上に搭載された受光素子が、受光部を露出する開口部を有する絶縁樹脂のみにより、受光素子の上面における受光部の周囲と周囲側面全体、および受光素子から露出された基板の上面が被覆された受光装置であって、絶縁樹脂は、開口部の上部周縁部に全周囲に亘る凹部を有するものであればよい。
【0033】
また、本発明の受光装置の製造方法は、接続パッドを有する基板上に、受光部および電極パッドを有する受光素子を載置し、接続パッドと前記電極パッドを接続部材により接続する工程と、少なくとも受光素子の周囲における基板上に絶縁樹脂材を塗布する工程と、受光素子の受光部に対応する開口部を有し、開口部の全周囲に亘り受光素子側に突き出す堰止め用突起が形成されたマスクにより、基板上に塗布された絶縁樹脂材を押さえ込み、堰止め用突起を堰止め部として絶縁樹脂材を前記受光素子上に押し広げる工程と、絶縁樹脂材を硬化して絶縁樹脂にする工程と、受光素子の周囲における基板および絶縁樹脂を切断することにより、受光素子の受光部を露出する開口部を有し、開口部の上部周縁部に凹部が形成された絶縁樹脂により、受光素子の上面と側面、および基板の上面が被覆された受光装置を得る工程とを備えるものであればよい。
【符号の説明】
【0034】
1 受光装置
11 受光部
20 基板
30 絶縁樹脂
30A 絶縁樹脂材
31 開口部
32 凹部
33 切欠部
60 マスク
61 開口部
62 堰止め用突起
63 突出部
71 保護シート
A 切断位置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に受光部を有し、基板上に搭載された受光素子が、前記受光部を露出する開口部を有する絶縁樹脂のみにより、前記受光素子の上面における前記受光部の周囲と周囲側面全体、および前記受光素子から露出された前記基板の上面が被覆された受光装置であって、
前記絶縁樹脂は、前記開口部の上部周縁部に全周囲に亘る凹部を有することを特徴とする受光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受光装置において、前記絶縁樹脂は多角形状を有し、少なくとも1つの角部に前記絶縁樹脂の上面から陥没した切欠部を有することを特徴とする受光装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の受光装置において、前記絶縁樹脂は矩形形状を有し、角部のすべてに前記切欠部を有することを特徴とする受光装置。
【請求項4】
請求項2または3の受光装置において、前記絶縁樹脂上に、前記切欠部上を含み前記絶縁樹脂の上面全体を覆う保護シートが剥離可能に貼り付けられていることを特徴とする受光装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の受光装置において、前記切欠部は前記絶縁樹脂の厚さ方向の中間位置までの深さを有することを特徴とする受光装置。
【請求項6】
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の受光装置において、前記切欠部は前記絶縁樹脂を厚さ方向に貫通する深さを有し、前記基板の上面は前記切欠部に表出していることを特徴とする受光装置。
【請求項7】
接続パッドを有する基板上に、受光部および電極パッドを有する受光素子を載置し、前記接続パッドと前記電極パッドを接続部材により接続する工程と、
少なくとも前記受光素子の周囲における前記基板上に絶縁樹脂材を塗布する工程と、
前記受光素子の受光部に対応する開口部を有し、前記開口部の全周囲に亘り前記受光素子側に突き出す堰止め用突起が形成されたマスクにより、前記基板上に塗布された前記絶縁樹脂材を押さえ込み、前記堰止め用突起を堰止め部として前記絶縁樹脂材を前記受光素子上に押し広げる工程と、
前記絶縁樹脂材を硬化して絶縁樹脂を形成する工程と、
前記受光素子の周囲における前記基板および前記絶縁樹脂を切断することにより、前記受光素子の受光部を露出する開口部を有し、前記開口部の上部周縁部に凹部が形成された絶縁樹脂により、前記受光素子の上面と側面、および前記基板の上面が被覆された受光装置を得る工程と、
を備えることを特徴とする受光装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の受光装置の製造方法において、前記絶縁樹脂材を前記受光素子上に押し広げる工程は、前記マスクの前記堰止め用突起の周囲に前記絶縁樹脂材を塗布する工程を含むことを特徴とする受光装置の製造方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の受光装置の製造方法において、前記マスクは、前記受光素子の周囲に対応する部分に突出部を有し、前記堰止め用突起を堰止め部として前記絶縁樹脂材を前記受光素子上に押さえ込む工程は、前記突出部の下面に対応する部分の前記絶縁樹脂材を押圧して、前記絶縁樹脂材に切欠部を形成する工程を含むことを特徴とする受光装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の受光装置の製造方法において、前記マスクは、前記突出部よりも外周に、前記突出部よりも高さが高い押し当て部を有し、前記絶縁樹脂材を前記受光素子上に押さえ込む工程は、前記押し当て部の下面が前記基板の上面に当接するまで前記マスクを押圧する工程を含むことを特徴とする受光装置の製造方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の受光装置の製造方法において、前記受光素子を前記基板上に載置する工程は、複数個の前記受光素子を前記基板上に載置する工程であり、前記絶縁樹脂材を前記受光素子上に押し広げる工程は、複数個の前記受光素子に対応する面積を有するマスクを用いて行う工程であり、前記受光素子の周囲における前記基板および前記絶縁樹脂を切断する工程は、前記絶縁樹脂材を押し出して形成された前記切欠部を分割するように切断する工程であることを特徴とする受光装置の製造方法。
【請求項12】
請求項7乃至11のいずれか1項に記載の受光装置の製造方法において、さらに、前記絶縁樹脂材を硬化して絶縁樹脂を形成する工程と前記受光素子の周囲における前記基板および前記絶縁樹脂を切断する工程との間に、前記受光素子上に保護シートを貼り付ける工程を備えることを特徴とする受光装置の製造方法。
【請求項13】
請求項7乃至12のいずれか1項に記載の受光素子の製造方法において、前記絶縁樹脂材は粘度が200〜350Pa・sであることを特徴とする受光装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−113796(P2012−113796A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4923(P2011−4923)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(390022471)アオイ電子株式会社 (85)
【Fターム(参考)】