受動コモンモードフィルタおよび受動コモンモードフィルタを作動させるための方法
インバータ装置内のコモンモード電流をフィルタリングするための電磁干渉フィルタにおいて、接地ラインを有するインバータ装置への少なくとも1つの電源ライン中に接続されたインダクタと、インダクタと接地ラインとの間に接続されたキャパシタと、インダクタと接地ラインとの間のキャパシタと直列に接続された被制御スイッチと、前記インバータ装置内での転換に従って制御される制御ユニットとを備えていて、これにより前記スイッチは、コモンモード電流が前記インバータ装置によって引き込まれるとき、オンされ、コモンモード電流が実質的に前記インバータ装置によって引き込まれなくなるとき、オフされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PWMモータードライブおよび他のタイプのパワーエレクトロニクス装置のためのコモンモードフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
図1に略図的に示されている、従来の受動コモンモードフィルタは、まずいことに、大きく、かつ高価である。これは、特に、モータードライブのために、そうであり、コモンモード電流の大きさおよび対応する受動コモンモードフィルタのサイズは、モーターケーブルの長さの増加と共に増加する。例えば、100メートルのケーブル長を有する、受動コモンモードフィルタのサイズおよびコストは、PWMドライブ自体のそれに匹敵する。図1を参照すると、PWMドライブによって引き込まれるコモンモード電流パルスは、Y−capと表記されたフィルタキャパシタを経由して分流され、コモンモードインダクタLによって回路網からブロックされる。図1に示したように、従来のコモンモードフィルタは、一般に、各ライン、ここではL1およびL2のためにコアに巻かれた巻き線を有するトロイダルコアCを有しているコモンモードインダクタLを用いている。各ラインは、フィルタキャパシタY−capを介して接地点GNDに接続されている。PWMドライブまたは他の装置によって引き込まれ、かつPWMドライブから接地ラインの中へ流れるコモンモード電流は、Y−capを通して循環させられる。このように、結果としてのコモンモード電流は、伝導された(conducted)EMIとして、ラインL1およびL2上または接地ラインGND上に現れない。このフィルタリング動作を提供するために、キャパシタおよびインダクタは、相当なサイズになるので、装置のサイズおよびコストを増加させる。
【0003】
図1を参照すると、ドライブによって引き込まれるコモンモード電流の望ましくない高周波成分は、Y−capによって分流される。工業用ドライブにおけるY−capの一般的な最大値は0.1μFである。コモンモードインダクタンスLの値は、ドライブによって引き込まれるコモンモード電流の周波数スペクトル、およびフィルタの入力側で成し遂げられなければならない伝導されたEMIの減衰によって設定される。図1の回路はPWMドライブに接続されたACライン中のフィルタを示しているが、フィルタは、例えば、整流器とインバータとの間の電力変換器のDCバス中に配置してもよい。
【0004】
従来の受動フィルタの動作を、図2の波形によって示すが、これは、ドライブによって引き込まれるコモンモード電流の所定の波形に対して計算されたフィルタの応答を示している。印加されるライン電圧の効果は、実質的に、この説明とは無関係なので、ここでは無視する。図2(a)は、図1の回路の等価回路を示していて、図2(b)は、図1の回路の波形を示している。
【0005】
t0で、5Aの振幅で0.5μsのパルス幅のコモンモード電流の最初の正のパルスがドライブによって引き込まれる。この電流パルスの終わりに、Y−capの両端の電圧ecは、16Vを超えるところまで上がる。コモンモード電流の負のパルスがドライブによって引き込まれる時間t1までに、ecは、Lを通る共振放電のために、対応するLを通る電流iLと共に、すでに負に振れている。t1でドライブによって引き込まれるコモンモード電流の負のパルスは、今度は、さらにY−cap上の負の電圧を増加させる。
【0006】
t2で、ecは、正の方向へ振れ戻っていて、ここで、この時にドライブによって引き込まれるコモンモード電流の正のパルスによって、さらに押し上げられる。いくつかのサイクルの後、電圧ecおよび電流iLは、相対的に高い「定常状態」レベルに達する。
【0007】
図2の波形によって示されているキャパシタ/インダクタの両端の電圧の増大は、フィルタの共振周波数がPWMドライブのインバータのPWMスイッチング周波数に近いという理由により起こる。もちろん、フィルタは、通常、PWM周波数での共振、または、ほぼ共振を避けるように設計される。
【0008】
フィルタの共振周波数がPWM周波数よりかなり高い設計を図3に例示し、それがかなり低いものを図4に例示する。示したように、いずれの場合も、インバータのスイッチングの発生と発生の間の期間、インダクタは、まだ、かなりの電圧を加えられている。(ただし、これらの図と図2との目盛り(scale)の違いに注意すること。)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
インダクタは、その両端に印加される合計の電圧−時間積分をサポートする大きさに作らなければならない。この電圧−時間積分は、コア内の最大磁束を決定する。コアに必要なサイズ(およびコスト)は、ほぼ、この積分に比例する。電圧−時間積分の大部分は、コモンモード電流がドライブによって引き込まれない、インバータのスイッチングの発生と発生の間の間隔の間に生成される。このように、インダクタは、ドライブによって引き込まれるコモンモード電流の短い伝導(conduction)期間の間だけ印加されるものより、非常に大きい電圧−時間積分に対処しなければならない。
【0010】
従来のフィルタの更なる望ましくない特徴は、受動フィルタは、150kHzより上の領域の、コモンモード電流の高周波成分を減衰させるが、PWM周波数の低次の高調波に関する低周波成分を増幅してしまうことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、コモンモードフィルタの“Y”キャパシタと直列のスイッチを用いることによる、従来の受動コモンモードフィルタのサイズおよびコストを実質的に減らすための方法を提供する。これは、コモンモードインダクタのコアのサイズを推定で90〜95%まで縮小することを可能にする。スイッチは、インバータが切り換わる瞬間と同期して制御されるので、インバータが切り換わる瞬間と瞬間の間の期間、インダクタの両端のY−capによって印加されるコモンモード電圧は、コモンモード電流が装置によって引き込まれる期間を除いて回路からキャパシタを切り離すようにスイッチングすることによって、実質的に除去される。これは、インダクタのサイズを著しく縮小することを可能にする。
【0012】
従って、本発明は、インバータ装置内のコモンモード電流をフィルタリングするための電磁干渉フィルタを具備していて、このフィルタは、接地ラインを有するインバータ装置への少なくとも1つの電源ライン中に接続されたインダクタと、インダクタと接地ラインとの間に接続されたキャパシタと、インダクタと接地ラインとの間のキャパシタと直列に接続された被制御スイッチと、前記インバータ装置内での転換(commutation)に従って制御される制御ユニットとを備えていて、これにより前記スイッチは、コモンモード電流が前記インバータ装置によって引き込まれるとき、オンされ、コモンモード電流が実質的に前記インバータ装置によって引き込まれなくなるとき、オフされる。
【0013】
本発明は、また、インバータ装置内のコモンモード電流のための電磁干渉フィルタリング方法において、コモンモード電流がインバータ装置によって引き込まれるときにだけ、インバータ装置へのインダクタを有する電源ライン中のコモンモード電流パルスを、インバータ装置のための電源ラインと接地ラインとの間に接続されたキャパシタを通るようにスイッチングするステップを有している。
【0014】
本発明の他の特徴および効果は、添付の図面を参照する本発明の以下の記載から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の原理は、インバータのスイッチングの発生と発生の間の期間、インダクタをキャパシタの両端の電圧から分離することである。これは、図5Aに示すように、各々のY−capと直列にソリッドステートスイッチを挿入することによって実現される。
【0016】
このスイッチは、ドライブによって引き込まれるコモンモード電流のパルスと同期して閉じ、パルスとパルスの間にはさまれた(intervening)期間は開いている。Y−capは、コモンモード電流のパルスがドライブによって引き込まれ、キャパシタによってバイパスされるべきときにはいつでも、回路中に組み込まれている。このように、これらの電流パルスは、依然として、分路キャパシタおよび直列ブロッキングインダクタを「見ている(see)」。
【0017】
しかし、パルスとパルスの間にはさまれた間隔の間、インダクタではなくスイッチが、ドライブによって引き込まれるコモンモード電流によって発生したキャパシタ上の電圧の大部分を吸収する。従って、インダクタの両端に発生するコモンモード電圧の積分は、非常に小さくなり、コモンモードインダクタの物理的なサイズを、かなり縮小することができる。
【0018】
図5Aにおける各々のスイッチの両端の並列抵抗Rの目的は、スイッチがオフにされるときの著しい電圧スパイクを防ぐことであり、かつ、キャパシタY−capの両端の電圧が、スイッチのオフ期間の間、実質的に入力ライン電圧を追跡することを可能にすることである。
【0019】
図5Bは、各スイッチSの1つの実現を示していて、端子AとBの間に接続される同期オン−オフ制御と共に、直列に接続された2つのMOSFET Q1およびQ2を有している。端子CおよびDは、インダクタLと接地点との間のY−capと直列に接続される。
【0020】
図13Aおよび13Bは、代替装置を示しており、1つのスイッチSが、全ての入力ラインのために設けられている。図13Aは単相の装置を示しており、図13Bは三相回路網のための装置を示している。各場合において、単一のスイッチSは、コモンモード電流をスイッチングするために設けられている。
【0021】
図6における計算された波形は、提案された方式の動作を示している。
【0022】
図6aは、ドライブによって引き込まれるコモンモード電流のパルスを示している。図6bは、スイッチが付加されていない従来の受動フィルタのためのインダクタの両端の電圧を示している。図6cは、スイッチが付加された回路内のインダクタの両端の電圧を示している。図6bと図6cとの目盛りの違いに注意すること。インダクタの両端の電圧は、図6cにおいては、かなり小さい。図6dは、同じ目盛り上で、スイッチあり、および、なしのインダクタの両端の電圧を示している。
【0023】
回路にスイッチが付加された場合のインダクタの両端に印加される電圧−時間積分が、スイッチが付加されていない場合と比べて非常に小さいことは明白である。この例では、スイッチありの場合の計算された電圧−時間積分は、スイッチなしの場合の値の0.5%に過ぎず、これは、理論的にはコモンモードインダクタのサイズを200:1に縮小可能であることを示している。
【0024】
図6における例では、フィルタの共振周波数は、PWM周波数にほぼ等しい。部品の値は、以下の通りである。ICOMPK=5Aおよびtp=0.5μsのとき、L=10.5mH、Cy=0.1μF。実際には、これらの部品の値は、従来の受動フィルタ単独でも実用的ではない。従って、コモンモードインダクタの上記で計算された99.5%のサイズ縮小は、容認できないほど大きいコモンモードインダクタを有する基本的な受動フィルタに基づいているので、楽観的である。しかし、この実用的ではない受動設計にスイッチを付加すれば、完璧に実用的な設計が生まれ、フィルタの共振周波数はPWM周波数と一致してはならないという制約は、もはや当てはまらない。
【0025】
共振周波数がPWM周波数よりかなり上および下の受動部品のための設計例を、それぞれ図7および8における計算された波形によって示す。(図6に関する)これらの例の各々において、ドライブによって引き込まれるフィルタリングされてないコモンモード電流の規定された(stipulated)波形のために、150kHzを超えるコモンモード電流に要求される減衰を提供するインダクタンス値が計算される。図7においては、Cy=0.1μF、L=4.2mH、R=4.1kΩおよびIcompk=2A、tp=0.5μsおよびQ=20、PWMfreq=5kHzである。図8においては、Cy=0.1μF、L=42mH、R=13kΩおよびIcompk=20A、tp=0.5μsおよびQ=20、PWMfreq=5kHzである。
【0026】
以下の表は、図6から8における例に対する、計算された電圧−時間積分、および対応するコモンモードインダクタの概算相対サイズを示している。
【0027】
【表1】
【0028】
上記の計算された結果は、スイッチSを付加することによって、実際的に、コモンモードインダクタのサイズを、従来のフィルタのために必要とされるサイズの5%から10%まで縮小可能であることを示している。
【0029】
示された波形は、スイッチSが開いているとき、および閉じているときの回路の動作を定義する基本的な微分方程式から導き出されたものである。これらの微分方程式の記号的な(symbolic)解答は、以下で与えられる。
【0030】
これらの記号的な式に部品の値を代用するため、およびサイクル毎の動作を計算するために、エクセルスプレッドシートが用いられた。各動作期間のための初期条件は、前の期間の最終条件に等しくなるように設定される。
【0031】
【数1】
【0032】
【数2】
【0033】
【数3】
【0034】
【数4】
【0035】
【数5】
【0036】
図9は、三相ドライブ回路のためのスイッチSに対する制御方式の一実施形態のブロック図を示している。典型的なドライブ回路のPWM制御器10およびインバータゲートドライブ回路20が示されている。遅延回路30は、制御器10とインバータドライブ回路20とを接続している。遅延回路30は、ドライバ回路20に対して、わずかな遅延を提供するために導入され、スイッチSが、コモンモード電流スパイクと、ほぼ同時に、または、わずかに早く応答することを可能にしている。ORゲート40は、PWM出力信号を受信して、任意の相で転換が起こるべきであるときに、信号を出力する。単安定または他のパルス発生器50は、必要な継続時間のスイッチSドライブ信号を生成して、コモンモードパルスが発生するとき、特定のスイッチSをオンし、コモンモードパルスが終わるとき、オフする。
【0037】
図10は、能動フィルタへの本発明の応用を示している。能動フィルタは、トランジスタQ3およびQ4を含むスイッチング回路を有していて、それは、キャパシタC5を通るコモンモード電流をキャンセルする。スイッチSは、ラインのうちの1つだけ、すなわちライン2の中にだけ設けられていることが示されているが、ライン1および2の両方の中に設けることもできる。しかし、もしスイッチが双方向性であるならば、1つで十分である。コモンモードインダクタLが示されている。能動フィルタのスイッチQ3およびQ4を作動させるために、変流器(current transformer)CTが設けられている。キャパシタC5は、接地ラインから、キャンセルのための能動スイッチQ3およびQ4に、コモンモード電流を供給する。このように、示された回路は、本発明によって縮小された受動フィルタのインダクタLのサイズを有する、能動および受動の両方のコモンモードEMIフィルタリングを提供する。
【0038】
本発明をその特定の実施形態に関して説明してきたが、多くの他の変形および変更および他の用途は、当業者にとって明らかである。従って、本発明は、ここでの特定の開示によって、限定されるべきではなく、添付の請求項によってのみ、限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来の受動コモンモードフィルタの回路図である。
【図2】図2(a)は、図1の回路の単純化された等価回路を示していて、図2(b)は、図1の波形を示している。
【図3】図1の回路の波形を示していて、フィルタ共振周波数は、PWM周波数の約2倍である。
【図4】図1の波形を示していて、受動フィルタの共振周波数は、PWM周波数の約0.5倍である。
【図5A】本発明の第1の実施形態の単純化された回路図を示している。
【図5B】図5Aの各スイッチSのための1つの回路の実現を示している。
【図6a】図5Aの回路内のコモンモード電流を示している。
【図6b】従来の受動フィルタ内のインダクタの両端の電圧を示している。
【図6c】図5Aの回路内のインダクタの両端の電圧を示している。
【図6d】従来の回路および図5Aの回路のためのインダクタの両端の電圧を示している。
【図7】図7(a)、(b)および(c)は、それぞれ、従来のフィルタ内のインダクタの両端の電圧およびボルト秒Vt(図7(a))、本発明のフィルタ内のもの(図7(b))、および2Aのピークコモンモード電流および5kHzのPWM周波数を有するフィルタのためのコモンモード電流(図7(c))を示している。
【図8】図8(a)、(b)および(c)は、図7のものと同様の波形であるが、20Aのピークコモンモード電流および5kHzのPWM周波数を有するフィルタのためのものである。
【図9】本発明のフィルタのスイッチSのための制御方式のブロック図である。
【図10】本発明による追加の受動フィルタ部品を有する能動EMIフィルタの回路図を示している。
【図11】本発明のフィルタのフィルタリング間隔のための計算に役立つ等価回路を示している。
【図12】ドライブ回路内での転換と転換の間にはさまれた期間の計算に役立つ等価回路を示している。
【図13A】スイッチSの代替配置を示している。
【図13B】スイッチSの代替配置を示している。
【符号の説明】
【0040】
L コモンモードインダクタ
Y−cap キャパシタ
S スイッチ
R 並列抵抗
10 PWM制御器
20 インバータゲートドライブ回路
30 遅延回路
40 ORゲート
50 単安定または他のパルス発生器
【技術分野】
【0001】
本発明は、PWMモータードライブおよび他のタイプのパワーエレクトロニクス装置のためのコモンモードフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
図1に略図的に示されている、従来の受動コモンモードフィルタは、まずいことに、大きく、かつ高価である。これは、特に、モータードライブのために、そうであり、コモンモード電流の大きさおよび対応する受動コモンモードフィルタのサイズは、モーターケーブルの長さの増加と共に増加する。例えば、100メートルのケーブル長を有する、受動コモンモードフィルタのサイズおよびコストは、PWMドライブ自体のそれに匹敵する。図1を参照すると、PWMドライブによって引き込まれるコモンモード電流パルスは、Y−capと表記されたフィルタキャパシタを経由して分流され、コモンモードインダクタLによって回路網からブロックされる。図1に示したように、従来のコモンモードフィルタは、一般に、各ライン、ここではL1およびL2のためにコアに巻かれた巻き線を有するトロイダルコアCを有しているコモンモードインダクタLを用いている。各ラインは、フィルタキャパシタY−capを介して接地点GNDに接続されている。PWMドライブまたは他の装置によって引き込まれ、かつPWMドライブから接地ラインの中へ流れるコモンモード電流は、Y−capを通して循環させられる。このように、結果としてのコモンモード電流は、伝導された(conducted)EMIとして、ラインL1およびL2上または接地ラインGND上に現れない。このフィルタリング動作を提供するために、キャパシタおよびインダクタは、相当なサイズになるので、装置のサイズおよびコストを増加させる。
【0003】
図1を参照すると、ドライブによって引き込まれるコモンモード電流の望ましくない高周波成分は、Y−capによって分流される。工業用ドライブにおけるY−capの一般的な最大値は0.1μFである。コモンモードインダクタンスLの値は、ドライブによって引き込まれるコモンモード電流の周波数スペクトル、およびフィルタの入力側で成し遂げられなければならない伝導されたEMIの減衰によって設定される。図1の回路はPWMドライブに接続されたACライン中のフィルタを示しているが、フィルタは、例えば、整流器とインバータとの間の電力変換器のDCバス中に配置してもよい。
【0004】
従来の受動フィルタの動作を、図2の波形によって示すが、これは、ドライブによって引き込まれるコモンモード電流の所定の波形に対して計算されたフィルタの応答を示している。印加されるライン電圧の効果は、実質的に、この説明とは無関係なので、ここでは無視する。図2(a)は、図1の回路の等価回路を示していて、図2(b)は、図1の回路の波形を示している。
【0005】
t0で、5Aの振幅で0.5μsのパルス幅のコモンモード電流の最初の正のパルスがドライブによって引き込まれる。この電流パルスの終わりに、Y−capの両端の電圧ecは、16Vを超えるところまで上がる。コモンモード電流の負のパルスがドライブによって引き込まれる時間t1までに、ecは、Lを通る共振放電のために、対応するLを通る電流iLと共に、すでに負に振れている。t1でドライブによって引き込まれるコモンモード電流の負のパルスは、今度は、さらにY−cap上の負の電圧を増加させる。
【0006】
t2で、ecは、正の方向へ振れ戻っていて、ここで、この時にドライブによって引き込まれるコモンモード電流の正のパルスによって、さらに押し上げられる。いくつかのサイクルの後、電圧ecおよび電流iLは、相対的に高い「定常状態」レベルに達する。
【0007】
図2の波形によって示されているキャパシタ/インダクタの両端の電圧の増大は、フィルタの共振周波数がPWMドライブのインバータのPWMスイッチング周波数に近いという理由により起こる。もちろん、フィルタは、通常、PWM周波数での共振、または、ほぼ共振を避けるように設計される。
【0008】
フィルタの共振周波数がPWM周波数よりかなり高い設計を図3に例示し、それがかなり低いものを図4に例示する。示したように、いずれの場合も、インバータのスイッチングの発生と発生の間の期間、インダクタは、まだ、かなりの電圧を加えられている。(ただし、これらの図と図2との目盛り(scale)の違いに注意すること。)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
インダクタは、その両端に印加される合計の電圧−時間積分をサポートする大きさに作らなければならない。この電圧−時間積分は、コア内の最大磁束を決定する。コアに必要なサイズ(およびコスト)は、ほぼ、この積分に比例する。電圧−時間積分の大部分は、コモンモード電流がドライブによって引き込まれない、インバータのスイッチングの発生と発生の間の間隔の間に生成される。このように、インダクタは、ドライブによって引き込まれるコモンモード電流の短い伝導(conduction)期間の間だけ印加されるものより、非常に大きい電圧−時間積分に対処しなければならない。
【0010】
従来のフィルタの更なる望ましくない特徴は、受動フィルタは、150kHzより上の領域の、コモンモード電流の高周波成分を減衰させるが、PWM周波数の低次の高調波に関する低周波成分を増幅してしまうことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、コモンモードフィルタの“Y”キャパシタと直列のスイッチを用いることによる、従来の受動コモンモードフィルタのサイズおよびコストを実質的に減らすための方法を提供する。これは、コモンモードインダクタのコアのサイズを推定で90〜95%まで縮小することを可能にする。スイッチは、インバータが切り換わる瞬間と同期して制御されるので、インバータが切り換わる瞬間と瞬間の間の期間、インダクタの両端のY−capによって印加されるコモンモード電圧は、コモンモード電流が装置によって引き込まれる期間を除いて回路からキャパシタを切り離すようにスイッチングすることによって、実質的に除去される。これは、インダクタのサイズを著しく縮小することを可能にする。
【0012】
従って、本発明は、インバータ装置内のコモンモード電流をフィルタリングするための電磁干渉フィルタを具備していて、このフィルタは、接地ラインを有するインバータ装置への少なくとも1つの電源ライン中に接続されたインダクタと、インダクタと接地ラインとの間に接続されたキャパシタと、インダクタと接地ラインとの間のキャパシタと直列に接続された被制御スイッチと、前記インバータ装置内での転換(commutation)に従って制御される制御ユニットとを備えていて、これにより前記スイッチは、コモンモード電流が前記インバータ装置によって引き込まれるとき、オンされ、コモンモード電流が実質的に前記インバータ装置によって引き込まれなくなるとき、オフされる。
【0013】
本発明は、また、インバータ装置内のコモンモード電流のための電磁干渉フィルタリング方法において、コモンモード電流がインバータ装置によって引き込まれるときにだけ、インバータ装置へのインダクタを有する電源ライン中のコモンモード電流パルスを、インバータ装置のための電源ラインと接地ラインとの間に接続されたキャパシタを通るようにスイッチングするステップを有している。
【0014】
本発明の他の特徴および効果は、添付の図面を参照する本発明の以下の記載から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の原理は、インバータのスイッチングの発生と発生の間の期間、インダクタをキャパシタの両端の電圧から分離することである。これは、図5Aに示すように、各々のY−capと直列にソリッドステートスイッチを挿入することによって実現される。
【0016】
このスイッチは、ドライブによって引き込まれるコモンモード電流のパルスと同期して閉じ、パルスとパルスの間にはさまれた(intervening)期間は開いている。Y−capは、コモンモード電流のパルスがドライブによって引き込まれ、キャパシタによってバイパスされるべきときにはいつでも、回路中に組み込まれている。このように、これらの電流パルスは、依然として、分路キャパシタおよび直列ブロッキングインダクタを「見ている(see)」。
【0017】
しかし、パルスとパルスの間にはさまれた間隔の間、インダクタではなくスイッチが、ドライブによって引き込まれるコモンモード電流によって発生したキャパシタ上の電圧の大部分を吸収する。従って、インダクタの両端に発生するコモンモード電圧の積分は、非常に小さくなり、コモンモードインダクタの物理的なサイズを、かなり縮小することができる。
【0018】
図5Aにおける各々のスイッチの両端の並列抵抗Rの目的は、スイッチがオフにされるときの著しい電圧スパイクを防ぐことであり、かつ、キャパシタY−capの両端の電圧が、スイッチのオフ期間の間、実質的に入力ライン電圧を追跡することを可能にすることである。
【0019】
図5Bは、各スイッチSの1つの実現を示していて、端子AとBの間に接続される同期オン−オフ制御と共に、直列に接続された2つのMOSFET Q1およびQ2を有している。端子CおよびDは、インダクタLと接地点との間のY−capと直列に接続される。
【0020】
図13Aおよび13Bは、代替装置を示しており、1つのスイッチSが、全ての入力ラインのために設けられている。図13Aは単相の装置を示しており、図13Bは三相回路網のための装置を示している。各場合において、単一のスイッチSは、コモンモード電流をスイッチングするために設けられている。
【0021】
図6における計算された波形は、提案された方式の動作を示している。
【0022】
図6aは、ドライブによって引き込まれるコモンモード電流のパルスを示している。図6bは、スイッチが付加されていない従来の受動フィルタのためのインダクタの両端の電圧を示している。図6cは、スイッチが付加された回路内のインダクタの両端の電圧を示している。図6bと図6cとの目盛りの違いに注意すること。インダクタの両端の電圧は、図6cにおいては、かなり小さい。図6dは、同じ目盛り上で、スイッチあり、および、なしのインダクタの両端の電圧を示している。
【0023】
回路にスイッチが付加された場合のインダクタの両端に印加される電圧−時間積分が、スイッチが付加されていない場合と比べて非常に小さいことは明白である。この例では、スイッチありの場合の計算された電圧−時間積分は、スイッチなしの場合の値の0.5%に過ぎず、これは、理論的にはコモンモードインダクタのサイズを200:1に縮小可能であることを示している。
【0024】
図6における例では、フィルタの共振周波数は、PWM周波数にほぼ等しい。部品の値は、以下の通りである。ICOMPK=5Aおよびtp=0.5μsのとき、L=10.5mH、Cy=0.1μF。実際には、これらの部品の値は、従来の受動フィルタ単独でも実用的ではない。従って、コモンモードインダクタの上記で計算された99.5%のサイズ縮小は、容認できないほど大きいコモンモードインダクタを有する基本的な受動フィルタに基づいているので、楽観的である。しかし、この実用的ではない受動設計にスイッチを付加すれば、完璧に実用的な設計が生まれ、フィルタの共振周波数はPWM周波数と一致してはならないという制約は、もはや当てはまらない。
【0025】
共振周波数がPWM周波数よりかなり上および下の受動部品のための設計例を、それぞれ図7および8における計算された波形によって示す。(図6に関する)これらの例の各々において、ドライブによって引き込まれるフィルタリングされてないコモンモード電流の規定された(stipulated)波形のために、150kHzを超えるコモンモード電流に要求される減衰を提供するインダクタンス値が計算される。図7においては、Cy=0.1μF、L=4.2mH、R=4.1kΩおよびIcompk=2A、tp=0.5μsおよびQ=20、PWMfreq=5kHzである。図8においては、Cy=0.1μF、L=42mH、R=13kΩおよびIcompk=20A、tp=0.5μsおよびQ=20、PWMfreq=5kHzである。
【0026】
以下の表は、図6から8における例に対する、計算された電圧−時間積分、および対応するコモンモードインダクタの概算相対サイズを示している。
【0027】
【表1】
【0028】
上記の計算された結果は、スイッチSを付加することによって、実際的に、コモンモードインダクタのサイズを、従来のフィルタのために必要とされるサイズの5%から10%まで縮小可能であることを示している。
【0029】
示された波形は、スイッチSが開いているとき、および閉じているときの回路の動作を定義する基本的な微分方程式から導き出されたものである。これらの微分方程式の記号的な(symbolic)解答は、以下で与えられる。
【0030】
これらの記号的な式に部品の値を代用するため、およびサイクル毎の動作を計算するために、エクセルスプレッドシートが用いられた。各動作期間のための初期条件は、前の期間の最終条件に等しくなるように設定される。
【0031】
【数1】
【0032】
【数2】
【0033】
【数3】
【0034】
【数4】
【0035】
【数5】
【0036】
図9は、三相ドライブ回路のためのスイッチSに対する制御方式の一実施形態のブロック図を示している。典型的なドライブ回路のPWM制御器10およびインバータゲートドライブ回路20が示されている。遅延回路30は、制御器10とインバータドライブ回路20とを接続している。遅延回路30は、ドライバ回路20に対して、わずかな遅延を提供するために導入され、スイッチSが、コモンモード電流スパイクと、ほぼ同時に、または、わずかに早く応答することを可能にしている。ORゲート40は、PWM出力信号を受信して、任意の相で転換が起こるべきであるときに、信号を出力する。単安定または他のパルス発生器50は、必要な継続時間のスイッチSドライブ信号を生成して、コモンモードパルスが発生するとき、特定のスイッチSをオンし、コモンモードパルスが終わるとき、オフする。
【0037】
図10は、能動フィルタへの本発明の応用を示している。能動フィルタは、トランジスタQ3およびQ4を含むスイッチング回路を有していて、それは、キャパシタC5を通るコモンモード電流をキャンセルする。スイッチSは、ラインのうちの1つだけ、すなわちライン2の中にだけ設けられていることが示されているが、ライン1および2の両方の中に設けることもできる。しかし、もしスイッチが双方向性であるならば、1つで十分である。コモンモードインダクタLが示されている。能動フィルタのスイッチQ3およびQ4を作動させるために、変流器(current transformer)CTが設けられている。キャパシタC5は、接地ラインから、キャンセルのための能動スイッチQ3およびQ4に、コモンモード電流を供給する。このように、示された回路は、本発明によって縮小された受動フィルタのインダクタLのサイズを有する、能動および受動の両方のコモンモードEMIフィルタリングを提供する。
【0038】
本発明をその特定の実施形態に関して説明してきたが、多くの他の変形および変更および他の用途は、当業者にとって明らかである。従って、本発明は、ここでの特定の開示によって、限定されるべきではなく、添付の請求項によってのみ、限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来の受動コモンモードフィルタの回路図である。
【図2】図2(a)は、図1の回路の単純化された等価回路を示していて、図2(b)は、図1の波形を示している。
【図3】図1の回路の波形を示していて、フィルタ共振周波数は、PWM周波数の約2倍である。
【図4】図1の波形を示していて、受動フィルタの共振周波数は、PWM周波数の約0.5倍である。
【図5A】本発明の第1の実施形態の単純化された回路図を示している。
【図5B】図5Aの各スイッチSのための1つの回路の実現を示している。
【図6a】図5Aの回路内のコモンモード電流を示している。
【図6b】従来の受動フィルタ内のインダクタの両端の電圧を示している。
【図6c】図5Aの回路内のインダクタの両端の電圧を示している。
【図6d】従来の回路および図5Aの回路のためのインダクタの両端の電圧を示している。
【図7】図7(a)、(b)および(c)は、それぞれ、従来のフィルタ内のインダクタの両端の電圧およびボルト秒Vt(図7(a))、本発明のフィルタ内のもの(図7(b))、および2Aのピークコモンモード電流および5kHzのPWM周波数を有するフィルタのためのコモンモード電流(図7(c))を示している。
【図8】図8(a)、(b)および(c)は、図7のものと同様の波形であるが、20Aのピークコモンモード電流および5kHzのPWM周波数を有するフィルタのためのものである。
【図9】本発明のフィルタのスイッチSのための制御方式のブロック図である。
【図10】本発明による追加の受動フィルタ部品を有する能動EMIフィルタの回路図を示している。
【図11】本発明のフィルタのフィルタリング間隔のための計算に役立つ等価回路を示している。
【図12】ドライブ回路内での転換と転換の間にはさまれた期間の計算に役立つ等価回路を示している。
【図13A】スイッチSの代替配置を示している。
【図13B】スイッチSの代替配置を示している。
【符号の説明】
【0040】
L コモンモードインダクタ
Y−cap キャパシタ
S スイッチ
R 並列抵抗
10 PWM制御器
20 インバータゲートドライブ回路
30 遅延回路
40 ORゲート
50 単安定または他のパルス発生器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータ装置内のコモンモード電流をフィルタリングするための電磁干渉フィルタにおいて、
接地ラインを有するインバータ装置への少なくとも1つの電源ライン中に接続されたインダクタと、
インダクタと接地ラインとの間に接続されたキャパシタと、
インダクタと接地ラインとの間のキャパシタと直列に接続された被制御スイッチと、
前記インバータ装置内での転換に従って制御される制御ユニットとを備えていて、これにより前記スイッチは、コモンモード電流が前記インバータ装置によって引き込まれるとき、オンされ、コモンモード電流が実質的に前記インバータ装置によって引き込まれなくなるとき、オフされることを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
インダクタが、各電源ライン中に接続されていて、キャパシタおよび被制御スイッチが、各インダクタと前記接地ラインとの間に直列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
抵抗が、スイッチの両端に接続されていて、前記スイッチがオフにされているとき、前記キャパシタが入力ライン電圧を追跡することを可能にすること、および、前記スイッチがオフにされているとき、著しい電圧スパイクを防止することのうちの少なくとも1つを行うことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記スイッチは、コモンモード電流がインバータ装置によって引き込まれるときを除いて、オフにされることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項5】
インバータ装置は、PWMドライブユニットの構成要素であることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項6】
PWMドライブユニットは、モータを駆動することを特徴とする請求項5に記載のフィルタ。
【請求項7】
スイッチは、トランジスタを有していることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記スイッチは、MOSFETを有していることを特徴とする請求項7に記載のフィルタ。
【請求項9】
前記スイッチは、2つの直列接続されたMOSFETを有していることを特徴とする請求項8に記載のフィルタ。
【請求項10】
インダクタは、共通のコアに巻かれていることを特徴とする請求項2に記載のフィルタ。
【請求項11】
インバータ装置は、インバータの転換を制御するために制御器から制御信号を受信し、 ある期間、前記制御信号を遅延させるための遅延回路をさらに有していて、転換が起きて、かつ前記インバータ装置がコモンモード電流を引き込むとき、前記スイッチが応答することを可能にしていることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項12】
制御信号が、論理回路に供給されるので、前記スイッチのための制御信号は、転換がインバータ装置内で起こるときはいつでも、供給されることを特徴とする請求項11に記載のフィルタ。
【請求項13】
必要な継続時間の制御信号パルスを供給するための前記論理回路に接続されたパルス整形回路をさらに備えているので、前記スイッチは、コモンモード電流のパルスの継続時間の間、オンされることを特徴とする請求項12に記載のフィルタ。
【請求項14】
前記コモンモード電流をフィルタリングするための能動フィルタ回路をさらに備えていて、これにより能動および受動コモンモードフィルタリングが実行されることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項15】
インダクタが、各電源ライン中に接続されていて、キャパシタが、各インダクタに接続されていて、キャパシタは、共通の接続ポイントを有していて、前記スイッチは、共通の接続ポイントと前記接地ラインとの間に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項16】
インバータ装置内のコモンモード電流のための電磁干渉フィルタリング方法において、
コモンモード電流がインバータ装置によって引き込まれるときにだけ、インバータ装置へのインダクタを有する電源ライン中のコモンモード電流パルスを、インバータ装置のための電源ラインと接地ラインとの間に接続されたキャパシタを通るようにスイッチングするステップを有していることを特徴とする方法。
【請求項17】
スイッチングのステップでは、前記キャパシタと直列な被制御スイッチを設けて、前記スイッチを、インバータ装置がコモンモード電流を引き込むとき、オンし、コモンモード電流パルスが終わるとき、オフし、これにより前記スイッチは、コモンモード電流のパルスの継続時間の間だけ、オンとなることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
さらに前記スイッチに対して並列に抵抗性分路を設け、これにより前記キャパシタは、前記被制御スイッチがオフのとき、入力ライン電圧を追跡可能となっていることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記抵抗性分路は、被制御スイッチがオフにされるとき、電圧スパイクをバイパスさせることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
インバータ装置は、PWMドライブ装置の構成要素であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項21】
PWMドライブ装置は、モータードライブを有していることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記インバータ装置の転換を制御するために前記インバータ装置に供給される制御信号に関連する制御信号で前記被制御スイッチを制御するステップをさらに有していて、これにより前記被制御スイッチは、前記インバータ装置内での転換の間、オンされ、コモンモード電流パルスを前記電源ラインと前記接地ラインとの間に分流させることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記インバータ装置を転換するための制御信号を遅延させるステップをさらに有していて、これにより前記被制御スイッチが、コモンモード電流パルスが前記インバータ装置によって引き込まれるのと実質的に同時に、または、わずかに前にオンすることを可能にしていることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記コモンモード電流パルスが実質的に終わるときに前記スイッチをオフさせるための前記被制御スイッチに対する制御信号の継続時間を設定するステップをさらに有していることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
さらに各電源ライン中に設けられたインダクタに接続されるキャパシタが設けられ、スイッチングのステップは、各キャパシタと直列に接続されたスイッチを制御するステップを有していることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項26】
さらに各電源ライン中に設けられたインダクタに接続されるキャパシタが設けられ、キャパシタは共通接続を有していて、スイッチングのステップでは、キャパシタの共通接続ポイントに接続されたスイッチをスイッチングすることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項1】
インバータ装置内のコモンモード電流をフィルタリングするための電磁干渉フィルタにおいて、
接地ラインを有するインバータ装置への少なくとも1つの電源ライン中に接続されたインダクタと、
インダクタと接地ラインとの間に接続されたキャパシタと、
インダクタと接地ラインとの間のキャパシタと直列に接続された被制御スイッチと、
前記インバータ装置内での転換に従って制御される制御ユニットとを備えていて、これにより前記スイッチは、コモンモード電流が前記インバータ装置によって引き込まれるとき、オンされ、コモンモード電流が実質的に前記インバータ装置によって引き込まれなくなるとき、オフされることを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
インダクタが、各電源ライン中に接続されていて、キャパシタおよび被制御スイッチが、各インダクタと前記接地ラインとの間に直列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
抵抗が、スイッチの両端に接続されていて、前記スイッチがオフにされているとき、前記キャパシタが入力ライン電圧を追跡することを可能にすること、および、前記スイッチがオフにされているとき、著しい電圧スパイクを防止することのうちの少なくとも1つを行うことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記スイッチは、コモンモード電流がインバータ装置によって引き込まれるときを除いて、オフにされることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項5】
インバータ装置は、PWMドライブユニットの構成要素であることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項6】
PWMドライブユニットは、モータを駆動することを特徴とする請求項5に記載のフィルタ。
【請求項7】
スイッチは、トランジスタを有していることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記スイッチは、MOSFETを有していることを特徴とする請求項7に記載のフィルタ。
【請求項9】
前記スイッチは、2つの直列接続されたMOSFETを有していることを特徴とする請求項8に記載のフィルタ。
【請求項10】
インダクタは、共通のコアに巻かれていることを特徴とする請求項2に記載のフィルタ。
【請求項11】
インバータ装置は、インバータの転換を制御するために制御器から制御信号を受信し、 ある期間、前記制御信号を遅延させるための遅延回路をさらに有していて、転換が起きて、かつ前記インバータ装置がコモンモード電流を引き込むとき、前記スイッチが応答することを可能にしていることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項12】
制御信号が、論理回路に供給されるので、前記スイッチのための制御信号は、転換がインバータ装置内で起こるときはいつでも、供給されることを特徴とする請求項11に記載のフィルタ。
【請求項13】
必要な継続時間の制御信号パルスを供給するための前記論理回路に接続されたパルス整形回路をさらに備えているので、前記スイッチは、コモンモード電流のパルスの継続時間の間、オンされることを特徴とする請求項12に記載のフィルタ。
【請求項14】
前記コモンモード電流をフィルタリングするための能動フィルタ回路をさらに備えていて、これにより能動および受動コモンモードフィルタリングが実行されることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項15】
インダクタが、各電源ライン中に接続されていて、キャパシタが、各インダクタに接続されていて、キャパシタは、共通の接続ポイントを有していて、前記スイッチは、共通の接続ポイントと前記接地ラインとの間に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項16】
インバータ装置内のコモンモード電流のための電磁干渉フィルタリング方法において、
コモンモード電流がインバータ装置によって引き込まれるときにだけ、インバータ装置へのインダクタを有する電源ライン中のコモンモード電流パルスを、インバータ装置のための電源ラインと接地ラインとの間に接続されたキャパシタを通るようにスイッチングするステップを有していることを特徴とする方法。
【請求項17】
スイッチングのステップでは、前記キャパシタと直列な被制御スイッチを設けて、前記スイッチを、インバータ装置がコモンモード電流を引き込むとき、オンし、コモンモード電流パルスが終わるとき、オフし、これにより前記スイッチは、コモンモード電流のパルスの継続時間の間だけ、オンとなることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
さらに前記スイッチに対して並列に抵抗性分路を設け、これにより前記キャパシタは、前記被制御スイッチがオフのとき、入力ライン電圧を追跡可能となっていることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記抵抗性分路は、被制御スイッチがオフにされるとき、電圧スパイクをバイパスさせることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
インバータ装置は、PWMドライブ装置の構成要素であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項21】
PWMドライブ装置は、モータードライブを有していることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記インバータ装置の転換を制御するために前記インバータ装置に供給される制御信号に関連する制御信号で前記被制御スイッチを制御するステップをさらに有していて、これにより前記被制御スイッチは、前記インバータ装置内での転換の間、オンされ、コモンモード電流パルスを前記電源ラインと前記接地ラインとの間に分流させることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記インバータ装置を転換するための制御信号を遅延させるステップをさらに有していて、これにより前記被制御スイッチが、コモンモード電流パルスが前記インバータ装置によって引き込まれるのと実質的に同時に、または、わずかに前にオンすることを可能にしていることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記コモンモード電流パルスが実質的に終わるときに前記スイッチをオフさせるための前記被制御スイッチに対する制御信号の継続時間を設定するステップをさらに有していることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
さらに各電源ライン中に設けられたインダクタに接続されるキャパシタが設けられ、スイッチングのステップは、各キャパシタと直列に接続されたスイッチを制御するステップを有していることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項26】
さらに各電源ライン中に設けられたインダクタに接続されるキャパシタが設けられ、キャパシタは共通接続を有していて、スイッチングのステップでは、キャパシタの共通接続ポイントに接続されたスイッチをスイッチングすることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【公表番号】特表2006−500892(P2006−500892A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−537986(P2004−537986)
【出願日】平成15年9月17日(2003.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/029393
【国際公開番号】WO2004/027967
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(597161115)インターナショナル レクティフィアー コーポレイション (71)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年9月17日(2003.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/029393
【国際公開番号】WO2004/027967
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(597161115)インターナショナル レクティフィアー コーポレイション (71)
【Fターム(参考)】
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