説明

受診者呼出しシステム及び受診者呼出し方法

【課題】受診者が携帯電話機能の活用により簡易に診察を登録し、受診者が医療機関に対して双方向に受診順番の確認をする受診者呼出しシステム及び呼出し方法を提供する。
【解決手段】受診者18の診察券を受領すると受診者呼出しシステム1の電子メールアドレスが書き込まれた登録札を発行する自動登録券発行機2、及び、受診者等からの電子メールを受信する電子メール受信部3と、受診者の診察を登録する受診者登録呼出し部4と、受信した受診者等の電子メールアドレスを記憶する電子メール記憶部5と、受診者等に電子メールを送信する電子メール送信部6とからなる受診者呼出し手段8を備え、受診者の受診順番が近づくと受診順番が近いことを通知する電子メールを携帯電話11等に送信し、携帯電話11等から受診順番の問い合わせの電子メールを受信すると受診者の受診順番をその携帯電話11等に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受診者呼出しシステム及び受診者呼出し方法に係り、特に、医療機関において診察の順番待ちをする受診者に対して呼び出しを行う受診者呼出しシステム及び受診者呼出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
受診者に順番待ちが発生する可能性のある、例えば総合病院、専門病院、診察所等の医療機関や、顧客に順番待ちが発生する可能性のある、例えば飲食店、美容院、銀行等のサービス業、或いは、利用者に順番待ちが発生する、例えば役所、税務署、保健所等の公共サービス機関では、順番待ちをする者に対して何らかの対策を採るのが一般的である。例えば、医療機関では、診察の順番を待つ受診者のために、受診者の診察順番をディスプレイに表示するシステムを備えるのが一般的である。このシステムでは、受診者には診察の登録をする際に番号札等の個人識別情報が与えられる。そして、受診者は、その番号札に記載された番号を基にディスプレイの表示から診察順番を判断する。
【0003】
このシステムでは、受診者はディスプレイの見える場所に待機し、時折ディスプレイに表示された診察順番を確認する必要がある。従って、このシステムでは、受診者がディスプレイから離れた場所に居たために自分の診察順番に気が付かなかったという事態が生じ得る。この事態が生じると、医療機関は診察順番であるはずの受診者が現われず診察が遅延する。
【0004】
このような事態を回避するため、医療機関では各種の対策を採っている。例えば、特許文献1には、ポケベルを利用して病院内薬局の調剤終了を患者または患者の代理人に連絡する病院内薬局の調剤終了連絡サービス方法およびシステムが開示されている。ここでは、会計担当は、ネットワーク端末のバーコードリーダから調剤終了連絡用のポケベルの番号を入力し、データベースに登録した後に患者にポケベルを貸与する。薬局担当は、調剤が終了すると、ネットワーク端末から患者のポケベルの番号を入力して呼び出し、患者は薬局窓口に行きポケベルを返却して薬剤を受け取る。
【0005】
また、特許文献2には、携帯電話から病院の診察予約ができ、受診者の診察時間が近くなったら携帯電話に診察時間が近くなったことを自動的に発信する病院予約システムが開示されている。ここでは、受診者は、携帯電話により、インターネット経由で予約受付サーバにアクセスし、予約申し込みをする。予約受付サーバは予約されると予約番号を携帯電話に発信する。病院側は、予約番号入力装置に予約番号を入力し、待合室の予約番号表示機に予約番号を表示させる。待合室の受診者は、表示された予約番号を見てどのくらいで自分の順番が回ってくるかを判断する。そして、予約受付サーバは、予約連絡要否欄をチェックし、連絡が必要であれば、診察開始時間から予約した人の順番がどのくらいになるかを一人当たりの平均診察時間から計算して推測し、予約時に登録された予約連絡時間前になったら携帯電話に自動的に受診者の順番が近いことを連絡する。
【0006】
【特許文献1】特開2002−140431号公報
【特許文献2】特開2002−318854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された病院内薬局の調剤終了連絡サービス方法およびシステムのように、病院内でポケベル、PHS等の携帯通信機器を貸与するサービスは、実際に医療機関において実施されている。しかし、患者がその携帯通信機器を使用できるのはその病院内に限られ、外部に持ち出すことはできないという問題がある。また、その携帯通信機器は、病院側から患者側への一方向通信しかできず、患者側からの調剤終了についての問い合わせはできないという問題がある。
【0008】
特許文献2に開示された病院予約システムは、受診者は遠隔から予約管理センタにアクセスし、インターネットを介して登録及び病院予約を行うシステムである。従って、受診者は、予約管理センタのURLを探して予約申し込みという手続が必要となる。また、病院側も、予約番号の入力という手続が必要となる。また、このシステムは、病院側から受診者側への一方向通信しかできず、受診者側からの受診順番についての問い合わせはできないという問題がある。
【0009】
本願の目的は、かかる課題を解決し、受診者が携帯電話機能の活用により簡易に診察を登録し、受診者が医療機関に対して双方向に受診順番の確認をする受診者呼出しシステム及び受診者呼出し方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る受診者呼出しシステムは、受付に設けられ受診者の診察券を受領すると、印刷されたQRコードに書き込まれた電子メールアドレスが携帯電話により読取り可能な登録札を発行する診察自動登録手段、及び、読取られたアドレスに送信された電子メールを受信する電子メール受信部と、電子メールの受信により受診者の診察を登録し、受診者を呼び出す受診者登録呼出し部と、受信した電子メールから携帯電話のアドレスを記憶する電子メール記憶部と、記憶された携帯電話のアドレスに電子メールを送信する電子メール送信部と、からなる受診者呼出し手段、を備え、受診者登録呼出し部は、受診者の受診順番が近づくと電子メール送信部に受診順番が近いことを通知する電子メールを携帯電話に送信させ、電子メール受信部が携帯電話から受診順番の問い合わせの電子メールを受信すると、電子メール送信部に受診者の受診順番についての情報をその携帯電話に送信させることを特徴とする。
【0011】
また、受診者呼出しシステムは、診察自動登録手段が、登録札のQRコードに受診者の識別情報を書き込み、受診者登録呼出し部は、その識別情報が読取られた携帯電話から送信された電子メールに含まれる識別情報によりその受診者を認識することが好ましい。
【0012】
また、受診者呼出しシステムは、受診者呼出し手段が、携帯電話に通知する複数の通知文を記憶する通知文記憶部を備え、受診者登録呼出し部は、受診者の受診順番により記憶された通知文を選択し、電子メール送信部にその通知文を含む電子メールを携帯電話に送信させることが好ましい。
【0013】
また、受診者呼出しシステムは、電子メール記憶部が、登録された受診者の識別情報を有する複数の携帯電話のアドレスをその受診者と関連して記憶し、受診者登録呼出し部は、電子メール記憶部に記憶されたその複数の携帯電話のアドレスに同一の通知文を含む電子メールを送信させることが好ましい。
【0014】
また、受診者呼出しシステムは、診察自動登録手段が、同一の診察券を再度受領すると、同一の識別情報が書き込まれた登録札を再度発行することが好ましい。
【0015】
また、受診者呼出しシステムは、受診者呼出し手段の受診者登録呼出し部が、携帯電話に送信する受診者の受診順番についての情報を、受付に設けられた診察順番表示手段に表示される受診順番についての情報と連動させることが好ましい。
【0016】
また、受診者呼出しシステムは、電子メール記憶部が、記憶した携帯電話のアドレスを、そのアドレスが登録された当日限りで抹消することが好ましい。
【0017】
また、本発明に係る受診者呼出し方法は、受付において受診者の診察券が受領されると、印刷されたQRコードに書き込まれた電子メールアドレスを携帯電話により読取り可能な登録札が発行されるステップと、読取られたアドレスに送信された電子メールが受信されるステップと、電子メールの受信により受診者の診察の登録が行われるステップと、受信された電子メールから携帯電話のアドレスが記憶されるステップと、受診者の受診順番が近づくと受診順番が近いことを通知する電子メールが携帯電話に送信されるステップと、携帯電話から受診順番の問い合わせの電子メールを受信すると、受診者の受診順番についての情報がその携帯電話に送信されるステップと、を備えることを特徴とする。
【0018】
また、受診者呼出し方法は、登録札のQRコードには受診者の識別情報が書き込まれ、その識別情報が読取られた携帯電話から送信された電子メールに含まれる識別情報によりその受診者が認識されることが好ましい。
【0019】
また、受診者呼出し方法は、携帯電話に通知される複数の通知文が用意され、受診者の受診順番により選択された通知文を含む電子メールが携帯電話に送信されることが好ましい。
【0020】
また、受診者呼出し方法は、登録された受診者の識別情報を有する複数の携帯電話のアドレスに同一の通知文を含む電子メールが送信されることが好ましい。
【0021】
また、受診者呼出し方法は、同一の診察券が再度受領されると同一の識別情報が書き込まれた登録札が再度発行されることが好ましい。
【0022】
さらに、受診者呼出し方法は、携帯電話に送信される受診者の受診順番についての情報が、受付に設けられた診察順番表示画面に表示される受診順番についての情報と連動されることが好ましい。
【0023】
さらに、受診者呼出し方法は、携帯電話のアドレスが当日限りで抹消されることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
上記構成により、受診者呼出しシステム及び呼出し方法は、電子メールアドレスが書き込まれたQRコードを登録札に印刷し、携帯電話によりそのアドレスを読取らせ、書き込まれた電子メールアドレスに送信させることで、簡易に双方向通信の初期設定ができる。それにより、受診者の受診順番が近づくと受診順番が近いことを携帯電話の電子メールに送信し、携帯電話からの電子メールによる受診順番の問い合わせを受信すると、受診者の受診順番についての情報をその携帯電話に送信する。
【0025】
以上のように、本発明に係る受診者呼出しシステム及び呼出し方法によれば、受診者が携帯電話機能の活用により簡易に診察を登録し、受診者が医療機関に対して双方向に受診順番の確認をすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、図面を用いて本発明に係る受診者呼出しシステム及び呼出し方法の実施の形態につき、詳細に説明する。
【0027】
(受診者呼出しシステム)
図1に、受診者呼出しシステムの1つの実施形態の概略構成を示す。受診者呼出しシステム1は、医療機関21に設けられ、診察自動登録手段である自動登録券発行機2、診察順番表示手段である診察順番表示システム9、及び受診者呼出し手段8から構成される。また、受診者呼出し手段8は、電子メール受信部3、受診者登録呼出し部4、電子メール記憶部5、電子メール送信部6、及び通知文記憶部7から構成される。本発明では、本受診者呼出しシステム1による診察の登録及び呼出しを利用する者は、受診者18本人に限らず、例えば、受診者18の介護者19や保護者20なども含まれる。そこで、図1では、受診者18、介護者19及び保護者20の3者を図示し、これらの者が所持する携帯電話を、受診者18の携帯電話11,介護者19の携帯電話12、保護者20の携帯電話13として図示する。しかし、本発明において携帯電話により診察の自動登録を行う者はこれらの者に限らず、受診者18の関係者であれば誰であっても良い。そして、本明細書ではこれら受診者18、介護者19、保護者20を総称して受診者18等といい、これら受診者18等の所持する携帯電話を総称して携帯電話11等という。この受診者18等の携帯電話11等と、受診者呼出し手段8の電子メール受信部3及び電子メール送信部6とは、公衆通信回線14を介して接続される。
【0028】
図2に、受診者18等と医療機関の受診者呼出しシステム1とが双方向通信を行うための初期設定について示す。図2(a)に、受診者18等が診察券15と引き換えに登録札16と呼出し札17を受領する場面を示す。図2(a)に示すように、受診者18等は、医療機関21の診察受付(図示せず)へ行き、自動登録券発行機2に診察券15を挿入する。自動登録券発行機2は、受診者18の診察券15が挿入されると自動的に登録札16及び呼出し札17を発行する。ここで、診察券15には受診者18のIDが書き込まれ、自動登録券発行機2は、この受診者18のIDを読取るとしても良い。
【0029】
この登録札16は2つの役割を有する。第1の役割は、相互の電子メールアドレスである、呼出しシステム電子メールアドレス30、及び受診者等電子メールアドレス31を相互に通知し合うことである。これは、受診者18等の携帯電話11等と、受診者呼出しシステム1の受診者呼出し手段8との双方向通信をシステム上可能とするためである。そのため、この登録札16には、QRコード24が印刷され、そのQRコード24には、受診者18等が受診者呼出し手段8へ登録するための呼出しシステム電子メールアドレス30が書き込まれている。そして、登録札16には、受診者18等にこの登録方法を認識させるために、例えば、「このQRコードを携帯電話で読取り送信してください。」などのメッセージが印刷されている。
【0030】
図2(b)に、受診者18等が、読取った呼出しシステム電子メールアドレス30に返信する場合を示す。受診者18等は携帯電話11等により登録札16のQRコード24から呼出しシステム電子メールアドレス30を読取り、その呼出しシステム電子メールアドレス30に登録電子メール32を発信する。この登録電子メール32は、受診者呼出し手段8の電子メール受信部3により受信される。そして、受診者登録呼出し部4により受診者18の診察が登録され、受信した登録電子メール32から携帯電話11等の受診者等電子メールアドレス31が電子メール記憶部5により記憶される。これにより、互いの電子メールアドレス31,32が相互に通知され、受診者18等と受診者呼出しシステム1とが双方向に通信を行うことが可能となる。なお、登録札16には、受診者18等に対する「診察時間が近くなると電子メールで御案内します。」などのメッセージが印刷されている。
【0031】
電子メール記憶部5は、上述したように、受診者18等から送信された受診者等電子メールアドレス31を記憶するが、それに関連して受診者18の名称等のIDを登録電子メール32から読取って記憶しても良い。この場合には、受診者18のIDは、自動登録券発行機2が診察券15から読取った情報から抽出される。
【0032】
図1に示す電子メール記憶部5により記憶された受診者等電子メールアドレス31は、登録された当日限りで抹消する。これは、受診者18等の個人情報の保護のためである。このため、受診者等電子メールアドレス31は、電子メール記憶部5の揮発性の記憶領域に記憶され、電源が落ちることで自動的に消滅する。
【0033】
登録札16の第2の役割は、受診者18の識別情報23を受診者18等と受診者呼出しシステム1の双方に共有させることである。つまり、登録札16のQRコード24には、図2(a)に示すように、その受診者18の識別情報23が書き込まれている。そして、受診者18等は携帯電話11等によりこのQRコード24から呼出しシステム電子メールアドレス30を読取る際に識別情報23も同時に読取る。そして、この識別情報23は、図2(b)に示すように、受診者18等から受診者呼出し手段8に登録電子メール32が送信される際に受診者呼出し手段8に通知される。
【0034】
この識別情報23は、携帯電話11等から送信された登録電子メール32が、診察券15を自動登録券発行機2に挿入した受診者18等からの登録電子メール32であることを認識させるために用いられる。すなわち、医療機関21の受診経験者は、呼出しシステム電子メールアドレス30を記憶或いは記録し、診察券15を自動登録券発行機2に挿入せずに登録電子メール32を送信することができる。また、呼出しシステム電子メールアドレス30は、診察券15のない者でも知ることが可能であり、登録電子メール32を送信することができる。本受診者呼出しシステム1では、このような受診経験者や診察券のない者による登録電子メール32の誤送信を識別情報23により判別する。さらに、識別情報23は登録電子メール32が悪用されることを防ぐために暗号化されたデータとしても良い。従って、この識別情報23により識別された受診者18等と受診者呼出しシステム1との双方向の通信が成立する。
【0035】
この識別情報23は、本実施形態では、例えば、受診者18のその日の受診登録番号を示す数字であっても良く、診察券15に記録されたその受診者18個人のIDであっても良い。受診者登録呼出し部4は、電子メール記憶部5にその日の受診者18の受診登録番号が記憶されている場合には、受診登録番号を示す識別情報23からその受診者18を特定できる。また、受診者登録呼出し部4は、電子メール記憶部5に受診者18のIDが記憶されている場合には、受診者18のIDを示す識別情報23からその受診登録番号を特定できる。さらに、この識別情報23にはその日の日付が付加されても良く、診療機関の名称が付加されても良い。
【0036】
呼出し札17は、医療機関21側において受診者18等への呼出しを行うために使用される。まず、受診者18等はこの発行された呼出し札17を受付に提出する。この呼出し札17には、例えば、「この呼出し札を受付に提出してください。」とのメッセージが印刷され、図2(a)に示すように、受診者18の識別情報23が呼出し札17のバーコード22に印刷されている。この呼出し札17に印刷されたバーコード22の識別情報23は、登録札16に印刷されたQRコード24の識別情報23と同一の情報である。受診者18等により提出された呼出し札17は、その受診者18のカルテに添付されて診察室26に回される。診察室26では、カルテに添付された呼出し札17のバーコード22の識別情報23を読取ることで受診者18を認識する。
【0037】
ここで、本受診者呼出しシステム1の診察の登録や呼出しを行う者は、受診者18に限らず、例えば、受診者18の介護者19や保護者20などの関係者も含まれることについて説明する。一般的には、医療機関21は、診察を受ける受診者18自身に携帯電話11による診察の登録をさせ、受診者18自身に対して呼出しを行う。しかし、例えば、受診者18が老人、身体障害者などであり、介護者19の介護を受け、受診者18自身だけではなく介護者19にも受診順番を通知すべき場合がある。また、例えば、受診者18が未成年などであり、保護者20の付き添いを要する場合も同様である。
【0038】
このため、受診者18等が自動登録券発行機2に診察券15を挿入した後に、その診察券15を再度挿入すると、自動登録券発行機2は同一の識別情報23を有する登録札16を再度発行する。すなわち、受診者18等は診察券15を必要回数だけ挿入することで、必要な人数分の登録札16を得ることができる。この場合、自動登録券発行機2は、例えば、第1回目の診察券15の挿入による登録札16は、受診者18本人用であり、同一の診察券15による第2回目以降の診察券15の挿入による登録札16は、受診者18以外の、例えば介護者や保護者用であると認識し、その区別を識別情報23に書き込んでも良い。また、受診者18及び介護者19、保護者20などの関係者は、一つの登録札16からそれぞれの携帯電話11等により呼出しシステム電子メールアドレス30及び識別情報23を読込んでもよい。但し、この場合には、自動登録券発行機2は、受診者18本人と受診者18以外の、例えば介護者や保護者とを識別できない。
【0039】
図3に、受診者呼出しシステム1から受診者18等への受診順番の通知手段を示す。診察室26では、受診者18の受診順番が近づくと、カルテに添付された呼出し札17のバーコード22に記録された識別情報23が読取られ、その受診者18が受診順番の通知対象となる。受診者登録呼出し部4は、通知対象となる受診者18等に対し、電子メール送信部6に受診順番が近いことを通知する呼出し電子メール33をそれらの携帯電話11等に送信させる。すなわち、例えば、「お待たせしました。間もなくです。診療室前でお待ちください。」などの通知文が送信される。ここで、本明細書において受診順番とは、その受診者の前に受診を待つ者の人数をいう。そして、この通知はその受診者18の受診順番があと何人、例えば3人となった時点で通知する。或いは、通知する受診順番のデフォルト値として、例えば3人目としておく。そして、図2(b)に示すように、受診者18等が、登録電子メール32を送信する際に、このデフォルト値を、希望する希望呼出し受診順番25、例えば5人目に指定して送信しても良い。この場合。受診者18等がその携帯電話11等により読込んだ登録札16のQRコード24には、その本文欄に、例えば「希望する呼出し受診順番:3人目」と表記があり、受診者18等は、例えば「希望する呼出し受診順番:5人目」と変更して送信する。或いは、単に携帯電話11等の本文欄に希望する呼出し受診順番の数字のみを入力することとしても良い。この呼出し受診順番を変更できることで、例えば、受診者18等が医療機関21の外部にいる場合には、医療機関21への移動時間を考慮して早めに呼び出してもらうことなどが可能となる。
【0040】
電子メール記憶部5は、登録された受診者18の識別情報23を有する、例えば、介護者19や保護者20などの複数の受診者等電子メールアドレス31をその受診者18と関連して記憶している。そして、受診者登録呼出し部4は、電子メール送信部6に対し、電子メール記憶部5に記憶されたその複数の受診者等電子メールアドレス31に同一の通知文を含む呼出し電子メール33を送信させる。
【0041】
通知文記憶部7には、受診者18等に通知する複数の通知文が記憶されている。受診者登録呼出し部4は、その状況により通知文記憶部7に記憶された通知文から選択して送信させる。また、受診者登録呼出し部4は、この識別情報23により受診者18と受診者18以外の者に対して異なる通知文を送信するなど、受診順番の通知の内容を異ならせても良い。例えば、受診者18以外の者には、「お待たせしました。間もなくです。受診者様と診療室前でお待ちください。」といった通信文を選択しても良い。このために、例えば、登録札16には2種類のQRコード24を印刷しておき、一方を受診者用QRコード24aとし、他方を受診者以外の者用QRコード24bとして選択させて読取らせても良い。
【0042】
図4に、受診者等から受診者呼出しシステム1へ受診者の受診順番を問い合わす通知手段を示す。図4(a)には、受診者18等からの問合せ電子メール34を示し、図4(b)には、受診者18等への返答電子メール35を示す。図4(a)に示すように、受診者18等は、その携帯電話11等から受診者18の受診順番を問い合わせる問合せ電子メール34を発信することができる。受診者18等は、携帯電話11等に問い合わせの文言を入力する必要はなく、登録電子メール32に対する返信メールであって通知文のない、いわゆる空メールを送信するだけで良い。この問合せ電子メール34には、その受診者18等の識別情報23が含まれている。電子メール受信部3により受信された問合せ電子メール34は、受診者登録呼出し部4によりその識別情報23が確認される。そして、受診者登録呼出し部4は、登録された受診者18等からの問合せ電子メール34であると判断すると、その受診者18の受診順番を確認する。
【0043】
図4(b)に示すように、受診者登録呼出し部4は、電子メール記憶部5に記憶されたその複数の受診者等電子メールアドレス31に同一の通知文を含む返答電子メール35を送信させる。この返答電子メール35には、例えば、「受診順番は、あと6人です。」といった通知文記憶部7に記憶された通知文が選択され、確認された人数が加えられて送信される。受診者18等は、この返答電子メール35により、待ち時間を推定することができる。なお、本実施形態では、返答電子メール35は、受診者18、介護者19、保護者20などのいずれかからの問合せ電子メール34に対し、受診者18及びその関係者全員に送信されるが、問合せ電子メール34を送信したいずれかの者のみに返答電子メール35を送信することとしても良い。
【0044】
一般的に、受付には診察順番表示システム9が設けられ、受診者18等は、この診察順番表示システム9に表示される受診順番についての情報を確認しながら受付において待機する。受診者登録呼出し部4は、受診者18等の携帯電話11等に送信する受診者18の受診順番についての情報を、診察順番表示システム9に表示される受診順番についての情報と連動させる。これにより、受診者18等は、受付以外の場所では、携帯電話11等により受診順番を確認し、受付に到着した後は、診察順番表示システム9に表示される受診順番により確認することができる。
【0045】
(受診者呼出し方法)
図5に、受診者呼出し方法の1つの実施形態の概略構成をフローチャートで示す。受診者呼出し方法10の各ステップは、S1〜S6により表示される。受付において受診者18等により受診者18の診察券15が自動登録券発行機2に挿入されると、登録札16及び呼出し札17が発行される(S1)。そして、受診者18等により呼出し札17が受付に提出され、呼出札17は診察室26に回される(S2)。受診者18等の携帯電話11等により登録札16に印刷されたQRコード24に書き込まれた呼出しシステム電子メールアドレス30及び識別情報23が読取られ、そのアドレスに登録電子メール32が送信される(S3)。受診者18等の携帯電話11等からの登録電子メール32の受信により、識別情報23が認識され、受診者18等の受診者等電子メールアドレス31の登録が行われる(S4)。受診者18の受診順番が近づくと、診察室26において呼出し札17のバーコード22から受診者18の識別情報23が読取られ、その受診者18が受診順番の通知対象となり(S5)、受診者18等の携帯電話11等に受診順番が近いことを通知する呼出し電子メール33が送信される(S6)。
【0046】
図6に、受診者等の携帯電話等から受診者の受診順番を問い合わす方法の1つの実施形態をフローチャートで示す。受診者18等の携帯電話11等から受診者18の受診順番を問い合わせる問合せ電子メール34が発信される(S7)。問合せ電子メール34が受信されると、受診者登録呼出し部4により受診者18の受診順番が確認される(S8)。そして、受診者18の受診順番が受診者18等の携帯電話11等に送信される(S9)。
【0047】
図5及び図6に示す受診者呼出し方法10は、上述した受診者呼出しシステム1と同様な内容を備えるため、その説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る受診者呼出しシステムの1つの実施形態の概略構成を示すシステム構成図である。
【図2】受診者等と受診者呼出しシステムとが双方向通信を行うための初期設定方法を示す説明図である。
【図3】受診者呼出しシステムから受診者等への受診順番の通知手段を示す説明図である。
【図4】受診者等から受診者呼出しシステムへ受診者の受診順番を問い合わす通知手段を示す説明図である。
【図5】本発明に係る受診者呼出し方法の1つの実施形態の概略構成を示すフローチャートである。
【図6】受診者等の携帯電話等から受診者の受診順番を問い合わす方法の1つの実施形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
1 受診者呼出しシステム、2 自動登録券発行機(診察自動登録手段)、3 電子メール受信部、4 受診者登録呼出し部、5 電子メール記憶部、6 電子メール送信部、7 通知文記憶部、8 受診者呼出し手段、9 診察順番表示システム(診察順番表示手段)、10 受診者呼出し方法、11 受診者の携帯電話、12 介護者の携帯電話、13 保護者の携帯電話、14 公衆通信回線、15 診察券、16 登録札、17 呼出し札、18 受診者、19 介護者、20 保護者、21 医療機関、22 バーコード、23 識別情報、24 QRコード、25 希望呼出し受診順番、26 診察室、30 呼出しシステム電子メールアドレス、31 受診者等電子メールアドレス、32 登録電子メール、33 呼出し電子メール、34 問合せ電子メール、35 返答電子メール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受付に設けられ受診者の診察券を受領すると、印刷されたQRコードに書き込まれた電子メールアドレスが携帯電話により読取り可能な登録札を発行する診察自動登録手段、及び、
読取られたアドレスに送信された電子メールを受信する電子メール受信部と、
電子メールの受信により受診者の診察を登録し、受診者を呼び出す受診者登録呼出し部と、
受信した電子メールから携帯電話のアドレスを記憶する電子メール記憶部と、
記憶された携帯電話のアドレスに電子メールを送信する電子メール送信部と、からなる受診者呼出し手段、を備え、
受診者登録呼出し部は、受診者の受診順番が近づくと電子メール送信部に受診順番が近いことを通知する電子メールを携帯電話に送信させ、電子メール受信部が携帯電話から受診順番の問い合わせの電子メールを受信すると、電子メール送信部に受診者の受診順番についての情報をその携帯電話に送信させることを特徴とする受診者呼出しシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の受診者呼出しシステムにおいて、診察自動登録手段は、登録札のQRコードに受診者の識別情報を書き込み、受診者登録呼出し部は、その識別情報が読取られた携帯電話から送信された電子メールに含まれる識別情報によりその受診者を認識することを特徴とする受診者呼出しシステム。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか1に記載の受診者呼出しシステムにおいて、受診者呼出し手段は、携帯電話に通知する複数の通知文を記憶する通知文記憶部を備え、受診者登録呼出し部は、受診者の受診順番により記憶された通知文を選択し、電子メール送信部にその通知文を含む電子メールを携帯電話に送信させることを特徴とする受診者呼出しシステム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1に記載の受診者呼出しシステムにおいて、電子メール記憶部は、登録された受診者の識別情報を有する複数の携帯電話のアドレスをその受診者と関連して記憶し、受診者登録呼出し部は、電子メール記憶部に記憶されたその複数の携帯電話のアドレスに同一の通知文を含む電子メールを送信させることを特徴とする受診者呼出しシステム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1に記載の受診者呼出しシステムにおいて、診察自動登録手段は、同一の診察券を再度受領すると、同一の識別情報が書き込まれた登録札を再度発行することを特徴とする受診者呼出しシステム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1に記載の受診者呼出しシステムにおいて、受診者呼出し手段の受診者登録呼出し部は、携帯電話に送信する受診者の受診順番についての情報を、受付に設けられた診察順番表示手段に表示される受診順番についての情報と連動させることを特徴とする受診者呼出しシステム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1に記載の受診者呼出しシステムにおいて、電子メール記憶部は、記憶した携帯電話のアドレスを、そのアドレスが登録された当日限りで抹消することを特徴とする受診者呼出しシステム。
【請求項8】
受付において受診者の診察券が受領されると、印刷されたQRコードに書き込まれた電子メールアドレスを携帯電話により読取り可能な登録札が発行されるステップと、
読取られたアドレスに送信された電子メールが受信されるステップと、
電子メールの受信により受診者の診察の登録が行われるステップと、
受信された電子メールから携帯電話のアドレスが記憶されるステップと、
受診者の受診順番が近づくと受診順番が近いことを通知する電子メールが携帯電話に送信されるステップと、
携帯電話から受診順番の問い合わせの電子メールを受信すると、受診者の受診順番についての情報がその携帯電話に送信されるステップと、
を備えることを特徴とする受診者呼出し方法。
【請求項9】
請求項8に記載の受診者呼出し方法において、登録札のQRコードには受診者の識別情報が書き込まれ、その識別情報が読取られた携帯電話から送信された電子メールに含まれる識別情報によりその受診者が認識されることを特徴とする受診者呼出し方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の受診者呼出し方法において、携帯電話に通知される複数の通知文が用意され、受診者の受診順番により選択された通知文を含む電子メールが携帯電話に送信されることを特徴とする受診者呼出し方法。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか1に記載の受診者呼出し方法において、登録された受診者の識別情報を有する複数の携帯電話のアドレスに同一の通知文を含む電子メールが送信されることを特徴とする受診者呼出し方法。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか1に記載の受診者呼出し方法において、同一の診察券が再度受領されると同一の識別情報が書き込まれた登録札が再度発行されることを特徴とする受診者呼出し方法。
【請求項13】
請求項8乃至12のいずれか1に記載の受診者呼出し方法において、携帯電話に送信される受診者の受診順番についての情報は、受付に設けられた診察順番表示画面に表示される受診順番についての情報と連動されることを特徴とする受診者呼出し方法。
【請求項14】
請求項8乃至13のいずれか1に記載の受診者呼出し方法において、携帯電話のアドレスは当日限りで抹消されることを特徴とする受診者呼出し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−310413(P2008−310413A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155102(P2007−155102)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000166432)戸田建設株式会社 (328)
【Fターム(参考)】