説明

受部材傾倒式コンベヤ

【課題】受部材の最小限の動作により移送手段に落下した物品から受部材を退けることのできる受部材傾倒式コンベヤを提供する。
【解決手段】受部材傾倒式コンベヤ1は、複数の移送手段の上方を横切る向きに走行する走行チェーン9と、物品11を水平姿勢で受け止める受部材13と、受部材13を上下方向に回動自在に支持する連結ピン15を有するホルダー17と、受部材13に固定された被係合部材19と、ホルダー17に設けられ被係合部材19に着脱自在に係合する係合部材23と、係合部材23を被係合部材19から離脱させる傾倒手段25,27と、連結ピン15を支点として受部材13を上向きに案内する案内手段31とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の形状、重量、等級、又は大きさ等の規格に基づき物品を仕分けし搬送する受部材傾倒式コンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1は物品の仕分けをするコンベヤを開示している。図7は従来例の受部材傾倒式コンベヤ101,103の概略図として、矢印Xの向きに配列された複数の受部材105と、受部材105に受け止められた物品107と、受部材105の下方に設置された移送手段であるコンベヤ109,111,113を表している。
【0003】
図8に示すように、受部材傾倒式コンベヤ101は、受部材105を保持するホルダー115を走行チェーン117に取付け、走行チェーン117をスプロケット119の回転に従わせて矢印Xの向きに走行させるものである。走行チェーン117を支持するガイドレール121の端面が図8に表れており、スプロケット119はガイドレール121の端面に接触しない位置で走行チェーン117のローラ123に掛止めされている。符号125は、スプロケット119、及びガイドレール121等を支持する筐体を指している。
【0004】
受部材105は、ホルダー115に連結ピン127を介して回動自在に連結され、実線で表した水平姿勢で物品を受け止める。ピン等の被係合部材129が受部材105の側面に固定され、フック131を有する係合部材133がホルダー115に回動ピン135を介して回動自在に連結されている。受部材105が水平姿勢をとるとき、係合部材133のフック131が受部材105の被係合部材129に係合する。
【0005】
受部材105は走行チェーン117の走行に従いコンベヤ109,111,113の上方を通過する。例えばコンベヤ109に物品107を落下させるには、その対象となる物品107を受け止めた受部材105がコンベヤ109の真上に達する前に、図に表れていない駆動手段が、回動ピン135を支点として係合部材133を矢印αの向きに回動させ、被係合部材129からフック131を離脱させる。これにより、受部材105が連結ピン127を支点として下向きに旋回し、仮想線で表した傾倒姿勢となる。そして、傾倒姿勢の受部材105から落下する物品107は、コンベヤ109のベルト137で受け止められ図7の矢印Yの向きに搬送される。矢印Yは、走行チェーン117の走行する向きに直交する水平方向を指しており、コンベヤ109,111,113の長手方向に一致する。
【0006】
上記の駆動手段の動作によりコンベヤ111,113に落下される物品もある。受部材傾倒式コンベヤ101,103は互いに同様のものであり、それぞれの受部材105から物品107の落下する落差を小さくするのが好ましい。例えば農産物である物品が落下により傷つく(傷む)恐れのある程の衝撃を受けないようにするためには、物品の落下距離を出来るだけ小さくするのが好ましいが、コンベヤ109,111,113に対して受部材105を低く配置すると、傾倒姿勢をとる受部材105の先端139が物品107の上面よりも低く下がる。このため、コンベヤ109に物品107を落下させた後で傾倒姿勢をとる受部材105が更に走行してコンベヤ111,113の上方を横切るとき、コンベヤ111,113で搬送される物品107に受部材105の先端139が衝突する恐れがある。これを回避するために、受部材105がコンベヤ111,113の上方を横切る手前で受部材105を水平姿勢に復帰させると、次の問題が生じる。
【0007】
即ち、係合部材133は、リターンスプリング等の弾性力で図9に表した姿勢を保たれているものとする。受部材105を水平姿勢に復帰させるとき、被係合部材129に係合部材133のフック131を係合させるには、矢印βの向きに回動する被係合部材129によってフック131を矢印αの向きに押し返す必要がある。矢印βの向きに回動する被係合部材129が符号129'で指した係合位置に達した時点で、受部材105を直ちに停止させるのは困難であり、実際には被係合部材129が係合位置を矢印βの向きに少し超えた直後、係合位置まで戻ったところで受部材105が停止する。このように被係合部材129が係合位置を超える分、受部材105が水平姿勢よりも更に上向きに回動し、受部材105に隣接する別の受部材105に受け止められた物品と接触し、これを不要に揺らすこととなり、物品の落下する原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭58−135026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、受部材の最小限の動作により移送手段に落下した物品から受部材を退けることのできる受部材傾倒式コンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、物品を移送する複数の移送手段の上方を横切る向きに走行する走行チェーンと、物品を水平姿勢で受け止める受部材と、前記走行チェーンに取付けられ、前記受部材を上下方向に回動自在に支持する連結ピンを有するホルダーと、前記受部材に固定された被係合部材と、前記受部材が水平姿勢をとるときの前記被係合部材に係合する位置で、前記ホルダーに設けられた係合部材と、前記係合部材を前記被係合部材から離脱させ前記連結ピンを支点として前記受部材を下向きに回動させることにより、前記受部材に受け止められた物品を前記複数の移送手段のうちの一つの移送手段へ落下させる傾倒手段と、前記受部材が前記移送手段の上方を前記走行チェーンの走行に従い横切る過程で、前記被係合部材が前記係合部材により係合される位置に達しない位置まで、前記連結ピンを支点として前記受部材を上向きに案内する案内手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記受部材が、前記連結ピンを支点として上下方向に旋回する先端を有し、前記先端を下向きにした傾倒姿勢で物品を落下させ、前記案内手段は、前記走行チェーンに従い走行する前記受部材に滑り接触し、前記移送手段で搬送される物品の上方に前記受部材の先端を案内するカムレールであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記案内手段が、前記受部材の先端を下向きに案内する下降傾斜部と、前記受部材の先端を上向きに案内する上昇傾斜部とを一体に連ねたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る受部材傾倒式コンベヤによれば、傾倒姿勢をとる受部材が移送手段の上方を走行チェーンの走行に従い横切る過程で、移送手段で搬送される物品に受部材が衝突しないように、案内手段が連結ピンを支点として受部材を上向きに回動させる。これにより受部材を移送手段の上方へ退けることのできる分、移送手段に対して受部材を低く配置し受部材から移送手段に落下する物品の落差を小さくすることができる。
【0014】
しかも、案内手段が被係合部材を受部材と共に回動させる限度は、被係合部材が係合部材により係合される位置に達しない位置であるので、受部材が水平姿勢よりも更に上向きに回動することはない。このため、上記のように案内手段に案内されることにより上向きに回動する受部材が、これに隣接する別の受部材に受け止められた物品を打撃するような不具合は起こらないので、当該受部材傾倒式コンベヤは物品を安定させ搬送することができる。
【0015】
更に、本発明に係る受部材傾倒式コンベヤによれば、走行チェーンに従い走行する受部材にカムレールである案内手段が滑り接触することにより、傾倒姿勢をとる受部材を上向きに回動するよう案内できる。このため、受部材傾倒式コンベヤの構造を簡素化するのに有利であり、またカムレールを形状の異なるものに交換するだけで、受部材の回動する速度、及び角度を容易に変更することができる。
【0016】
更に、本発明に係る受部材傾倒式コンベヤによれば、案内手段の下降傾斜部が受部材に滑り接触することにより受部材の先端を下向きに案内するので、傾倒手段が係合部材を被係合部材から離脱させた直後に、受部材が物品の荷重で急旋回するのを抑制することができる。また、案内手段の上昇傾斜部が受部材に滑り接触することにより、受部材の下端を上向きに案内し、受部材と共に回動する被係合部材が係合部材により係合される位置に達しない位置まで、連結ピンを支点として受部材を上向きに回動させることができる。これによる効果は上記の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る受部材傾倒式コンベヤの概略を示す正面図。
【図2】本発明の実施形態に係る受部材傾倒式コンベヤの要部を示す図1のA−A線断面図。
【図3】本発明の実施形態に係る受部材傾倒式コンベヤの要部の動作例を示す図1のB−B線断面図。
【図4】本発明の実施形態に係る受部材傾倒式コンベヤの要部の正面図。
【図5】本発明の実施形態に係る受部材傾倒式コンベヤの要部の一部を破断した正面図。
【図6】本発明の実施形態に係る受部材傾倒式コンベヤに復帰手段を適用した例を示す図1のA−A線断面図。
【図7】従来例の受部材傾倒式コンベヤの概略を示す平面図。
【図8】従来例の受部材傾倒式コンベヤのC−C線断面。
【図9】従来例の受部材傾倒式コンベヤの要部の動作を説明する概略図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明で、既述の要素にはその図示の有無に関わらず引き続き同じ呼称を用いるものとする。また、図面は特に断らない限り図1〜図3を参照する。
【0019】
受部材傾倒式コンベヤ1は、複数の移送手段3,5,7の上方を水平に横切る走行チェーン9と、物品11を受け止める受部材13と、走行チェーン9に取付けられ受部材13を上下方向に回動自在に連結ピン15を介して支持するホルダー17と、受部材13に固定された被係合部材19と、ホルダー17に設けられ被係合部材19に着脱自在にフック21を係合する係合部材23と、複数の傾倒手段25,27と、筐体29に固定された波形のカムレールを主体とする案内手段31と、後述の復帰手段とを備える。
【0020】
移送手段3,5,7は、ベルトコンベヤであるが、ローラコンベヤ、又はシュートであっても良い。受部材傾倒式コンベヤ1を平面図に表すと、走行チェーン9の走行する方向と移送手段3,5,7の長手方向とが直交することは従来例と同様である。走行チェーン9は、スプロケットに巻掛されたエンドレスチェーンである。スプロケットを回転機の出力で回転させる走行手段によって走行チェーン9は矢印Xの向きに走行される。物品11は、球形の青果物のように図示されているが、物品11の形状、寸法、及び材質は何ら限定されるものでない。受部材13は、摺接縁33を形成した基部材35に、谷形部材37を接合したものである。谷形部材37は、物品11の荷重で弾性変形する緩衝フィン39を形成している。
【0021】
ホルダー17は、走行チェーン9のピンから延出した支軸41に取付けられている。ホルダー17の上面にブラケット43が設けられ、係合部材23が回動ピン45を介してブラケット43に支持されている。係合部材23は、回動ピン45に対してフック21の反対側に梃部47を延出している。連結ピン15は、受部材13の基部材35を貫通しブラケット43に保持されている。被係合部材19は、基部材35から突出した係合ピンであり、連結ピン15に対して受部材13の先端49の反対側に固定されている。
【0022】
以下に記す「水平姿勢」は、被係合部材19に係合部材23のフック21が係合した状態で、受部材13が連結ピン15を支点とする回動が規制されていることを意味する。受部材13が水平姿勢をとるとき、その谷形部材37に受け止められる物品11が自然に転がらないものとする。図4は、受部材13、ホルダー17、案内手段31、及び傾倒手段25を正面から見た形態を表し、走行チェーン、及び筐体を省略している。図5は、図4から更に受部材がホルダー17で支持される構造を省略し、傾倒手段25の一部を破断している。
【0023】
傾倒手段25は、図2,5に示すように、ソレノイドコイルの磁力でプッシュロッド51を動作させる駆動手段53と、筐体29に駆動手段53を取付けるステー55と、ステー55に接合されたブラケット57と、ブラケット57に支持された基軸59と、基軸59に取付けたリターンスプリング61と、基軸59に回動自在に取付けられ頭部63を係合部材23の梃部47の真上まで延出させた作動レバー65とを備える。傾倒手段25,27は互いに同様のものである。
【0024】
作動レバー65は、リターンスプリング61の弾性力で駆動手段53のプッシュロッド51に突き当てられている。駆動手段53がプッシュロッド51を下方へ前進させると、図3に示すように、係合部材23の梃部47が作動レバー65の頭部63に押し下げられ、係合部材23は矢印αの向きに回動する。これにより、被係合部材19からフック21が離脱するので、受部材13は連結ピン15を支点として下向きに旋回し、先端49を下向きにした傾倒姿勢になる。この後、駆動手段53は、プッシュロッド51を後退させると、作動レバー65の頭部63が上昇し、係合部材23は図2に表した姿勢に復帰する。
【0025】
案内手段31は、走行チェーン9の走行する前方へ向かって下降するよう傾斜した下降傾斜部67,69と、走行チェーン9の走行する前方へ向かって上昇するよう傾斜した上昇傾斜部71,73,75と、水平に延びる水平部77,79とを一体に連ねたものである。図2に水平部77の断面、及び下降傾斜部67の下面が表れ、図3に水平部79の断面、及び上昇傾斜部73の上面が表れている。案内手段31の作用については、以下に述べる受部材傾倒式コンベヤ1の動作に対応させて説明する。
【0026】
水平姿勢の受部材13に受け止められた物品11は、走行チェーン9の走行に従い搬送される。走行チェーン9、及び傾倒手段25,27はそれぞれ一つずつ図1に表れているが、走行チェーン9の図中の背後で他の走行チェーンが走行し、他の走行チェーンに設けた受部材からも物品が落下する点は、従来例と同様である。また、個々の物品11はその規格に基づき移送手段3,5,7から選択される何れか一つの移送手段に落下されるものとする。
【0027】
例えば、移送手段5に物品11を落下させる場合、その対象となる物品11(以下で「対象物」と記す。)を受け止めた受部材13が移送手段3の上方を矢印Xの向きに横切る。この対象物が傾倒手段25の正面を通過するタイミングで、傾倒手段25が対象物を受け止めた受部材13の被係合部材19から係合部材23のフック21を離脱させ、連結ピン15を支点として受部材13を下向きに回動させる。これにより受部材13が傾倒姿勢となり、対象物は受部材13から落下する。更に、シュート81に沿って滑降する対象物を移送手段5が受け止め、走行チェーン9に直交する水平方向へ搬送する。
【0028】
受部材13が上記のように下向きに回動するとき、案内手段31の下降傾斜部67が受部材13の摺接縁33に滑り接触する。これにより、受部材13の先端49が下降傾斜部67により徐々に下向きに案内されるので、傾倒手段25が係合部材23を被係合部材19から離脱させた直後に、受部材13が物品の荷重で急旋回するのを抑制できる。更に、受部材13は走行チェーン9の走行に従い水平部79に達する。水平部79は、図3に示すように受部材13が下向きに回動する下限を規定し、受部材13の先端49がシュート81に突き当たるのを防止する。
【0029】
図1は、上記の他の走行チェーンに設けた受部材から落下した物品11が移送手段5,7で受け止められた状態を表している。移送手段5の上方を傾倒姿勢をとる受部材13が横切るとき、案内手段31の上昇傾斜部73が、受部材13の摺接縁33に滑り接触することにより、連結ピン15を支点として受部材13を上向きに回動させ、受部材13を移送手段5の上方へ退ける。このように、受部材傾倒式コンベヤ1は、受部材13の先端49を上向きに案内することにより、受部材13の先端49が移送手段5で搬送される物品11に衝突するのを回避することができる。よって、受部材傾倒式コンベヤ1は、受部材13を移送手段の上方へ退けられる分、移送手段3,5,7に対して受部材13を低く配置できるので、受部材13から落下する物品11の落差を一層小さくできる。
【0030】
しかも、案内手段31の上昇傾斜部73が被係合部材19を受部材13と共に回動させる限度は、被係合部材19が係合部材23により係合される位置に達しない位置である。言い換えると、受部材13がその先端49を少し前傾させた姿勢になったところで、上昇傾斜部73に続く水平部77が受部材13に滑り接触し、受部材13の上向きの回動が停止するので、受部材13が水平姿勢よりも更に上向きに回動することはない。このため、上昇傾斜部73に案内されることにより上向きに回動する受部材13が、これに隣接する別の受部材13に受け止められた物品に接触するような問題が起こらないので、受部材傾倒式コンベヤ1は物品11を安定させ搬送することができる。
【0031】
続いて、傾倒姿勢をとる受部材13が傾倒手段27の正面を通過し、受部材13の摺接縁33に下降傾斜部69、水平部79、及び上昇傾斜部75が順次に滑り接触する。これにより、受部材13は先ず下向きに回動するが、移送手段7の上方を横切るときには上向きに回動するので、受部材13の先端49が移送手段7で搬送される物品11に衝突するのを回避することができる。このような効果を達成する受部材傾倒式コンベヤ1は次の条件を満たしている。
【0032】
例えば移送手段3,5,7がベルトコンベヤである場合、それぞれのベルトが物品11を受け止める移送面から水平姿勢をとる受部材13が物品11を受け止める物品載置面までの距離(高さ)は、受部材傾倒式コンベヤ1が搬送できると仮定した物品の最大高さと、連結ピン15から受部材13の先端49までの寸法とを合算した長さよりも短い。物品11の落差が更に小さくなるように、上記の移送面から物品載置面までの距離は、物品の最大高さと、受部材13が下向きに傾斜した寸法とを合算した長さよりも短いことが好ましい。ここで、下向きに傾斜した寸法とは、図3に示すように案内手段31の水平部79により受部材13が下向きに回動する下限を規定された状態で、その先端49が上記の物品載置面から降下した距離に相当する。
【0033】
走行チェーン9は、更に走行する前途で向きを転じ、図1の右側へ循環する。この行程で、図6に示す復帰手段83により受部材13を水平姿勢に復帰させるようにしても良い。復帰手段83は、案内手段31を水平部77の位置よりも高く上向きに突出するよう湾曲した部位である。受部材13の摺接縁33に復帰手段83が滑り接触することにより、受部材13が上向きに回動し、受部材13と共に回動する被係合部材19が係合部材23により係合される位置まで押し上げられる。
【0034】
また、移送手段3に対象物を落下させた場合、受部材13は移送手段3の上方を横切る前に傾倒姿勢をとることになる。この受部材13の摺接縁33に上昇傾斜部71が滑り接触することにより、受部材13が上記のように上向きに回動するので、受部材13の先端49が移送手段3で搬送される物品に衝突するのを回避することができる。
【0035】
以上に述べたように、案内手段31としてカムレールを適用したことは、受部材傾倒式コンベヤ1の構造を簡素化するのに有利である。案内手段31であるカムレールを形状の異なるものに交換するだけで、受部材13の回動する速度、及び角度を容易に変更することができる。また、案内手段31の下降傾斜部67,69、及び上昇傾斜部71,73,75の傾斜する勾配を大きく設定すれば、案内手段31の全長を短縮できる。この場合、移送手段3,5,7を並べるピッチも短くできるので、受部材傾倒式コンベヤ1を設置するスペースを節約することができる。
【0036】
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。受部材13、移送手段3,5,7、及び傾倒手段25,27のそれぞれの個数は任意に増減できる。案内手段31に形成する上昇傾斜部71,73,75の数も同様である。上昇傾斜部71,73,75が一連のカムレールである必要はなく、案内手段31を複数に分割しても良い。案内手段31の下降傾斜部67,69、及び水平部77,79を省略しても本発明の実施が妨げられることはない。また、シュート81を省略し、受部材13から落下する物品11を直に移送手段3,5,7が受け止めても良い。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、あらゆる物品の搬送、及び仕分けに適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1...受部材傾倒式コンベヤ、3,5,7...移送手段、9,117...走行チェーン、11,107...物品、13,105...受部材、15,127...連結ピン、17,115...ホルダー、19,129...被係合部材、21,131...フック、23,133...係合部材、25,27...傾倒手段、29,125...筐体、31...案内手段、33...摺接縁、35...基部材、37...谷形部材、39...緩衝フィン、41...支軸、43,57...ブラケット、45,135...回動ピン、47...梃部、49,139...先端、51...プッシュロッド、53...駆動手段、55...ステー、59...基軸、61...リターンスプリング、63...頭部、65...作動レバー、67,69...下降傾斜部、71,73,75...上昇傾斜部、77,79...水平部、81...シュート、83...復帰手段、101,103...受部材傾倒式コンベヤ、109,111,113...コンベヤ、119...スプロケット、121...ガイドレール、123...ローラ、137...ベルト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を移送する複数の移送手段の上方を横切る向きに走行する走行チェーンと、
物品を水平姿勢で受け止める受部材と、
前記走行チェーンに取付けられ、前記受部材を上下方向に回動自在に支持する連結ピンを有するホルダーと、
前記受部材に固定された被係合部材と、
前記受部材が水平姿勢をとるときの前記被係合部材に係合する位置で、前記ホルダーに設けられた係合部材と、
前記係合部材を前記被係合部材から離脱させ前記連結ピンを支点として前記受部材を下向きに回動させることにより、前記受部材に受け止められた物品を前記複数の移送手段のうちの一つの移送手段へ落下させる傾倒手段と、
前記受部材が前記移送手段の上方を前記走行チェーンの走行に従い横切る過程で、前記被係合部材が前記係合部材により係合される位置に達しない位置まで、前記連結ピンを支点として前記受部材を上向きに案内する案内手段と、
を備えることを特徴とする受部材傾倒式コンベヤ。
【請求項2】
前記受部材は、前記連結ピンを支点として上下方向に旋回する先端を有し、前記先端を下向きにした傾倒姿勢で物品を落下させ、
前記案内手段は、前記走行チェーンに従い走行する前記受部材に滑り接触し、前記移送手段で搬送される物品の上方に前記受部材の先端を案内するカムレールであることを特徴とする請求項1に記載の受部材傾倒式コンベヤ。
【請求項3】
前記案内手段は、前記受部材の先端を下向きに案内する下降傾斜部と、前記受部材の先端を上向きに案内する上昇傾斜部とを一体に連ねたことを特徴とする請求項2に記載の受部材傾倒式コンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−46262(P2012−46262A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187402(P2010−187402)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】