説明

受電装置、送電装置および電力伝送システム

【課題】供給される電力の周波数の低周波化が図られた送電装置、受電装置および電力伝送システムを提供する。
【解決手段】受電装置は、外部に設けられた送電器から非接触で電力を受電する受電器を備え、受電器は、第1コイル線45をピッチP1をあけて巻き回することで形成された第1コイルを含み、第1コイル11は、第1部分80aと、第1部分80aとピッチP1をあけて隣り合う第2部分80bとを含み、第1部分80aと第2部分80bとは、配列方向AD1に配列し、第1コイル線45の延在方向に対して垂直な第1コイル線45の断面は、配列方向AD1に対して垂直な第1仮想平面VP1に断面を配列方向AD1から投影したときの第1投影線PD1の長さが、第1仮想平面VP1に垂直な第2仮想平面VP2に断面を配列方向AD1に垂直な方向VD1から投影したときの第2投影線PD2の長さよりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受電装置、送電装置、電力伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への配慮からバッテリなどの電力を用いて駆動輪を駆動させるハイブリッド車両や電気自動車などが着目されている。
【0003】
特に近年は、上記のようなバッテリを搭載した電動車両において、プラグなどを用いずに非接触でバッテリを充電可能なワイヤレス充電が着目されている。そして、最近では非接触の充電方式においても各種の充電方式が提案されており、特に、共鳴現象を利用することで非接触で電力を伝送する技術が脚光を浴びている。
【0004】
電磁共鳴を利用したワイヤレス電力伝送システムとしては、たとえば、特開2010−73976号公報に記載されたワイヤレス電力伝送システムが挙げられる。このワイヤレス電力伝送システムは、給電コイルを含む給電装置と、受電コイルを含む受電装置とを備える。そして、給電コイルと受電コイルとの間は、電磁共鳴によって電力の伝送がなされている。
【0005】
特開2010−267917号公報に記載された非接触電力給電システムは、第1の自己共振コイルと、第2の自己共振コイルとを備え、第1の自己共振コイルおよび第2の自己共振コイルとが電磁共鳴することで電力の受け渡しがなされている。
【0006】
なお、一般に、特開2003−79597号公報および特開2008−67807号公報に記載されているように、磁気共鳴撮像装置が従来から各種提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−73976号公報
【特許文献2】特開2010−267917号公報
【特許文献3】特開2003−79597号公報
【特許文献4】特開2008−67807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特開2010−73976号公報および特開2010−267917号公報に電力伝送システムにおいては、送電装置に数MHzから数十MHzの高周波電力が供給され、受電装置に数MHzから数十MHzの高周波電力が送電されている。
【0009】
高周波電力の取り扱いは困難であり、周辺機器の開発や電力伝送時の制御が複雑になるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、送電装置および受電装置に供給される電力の周波数の低周波化が図られた送電装置、受電装置および電力伝送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る受電装置は、外部に設けられた送電部から非接触で電力を受電する受電部を備える。上記受電部は、第1コイル線をピッチをあけて巻き回すことで形成された第1コイルを含む。上記第1コイルは、第1部分と、第1部分とピッチをあけて隣り合う第2部分とを含む。上記第1部分と第2部分とは、配列方向に配列する。上記第1コイル線の延在方向に対して垂直な第1コイル線の断面は、配列方向に対して垂直な第1仮想平面に断面を配列方向から投影したときの第1投影線の長さが、第1仮想平面に垂直な第2仮想平面に断面を配列方向に垂直な方向から投影したときの第2投影線の長さよりも大きい。
【0012】
好ましくは、上記第1コイル線は、配列方向に配列する第1主表面および第2主表面と、第1主表面および第2主表面を接続するように設けられた第1側面および第2側面とを含む。上記第1主表面の面積と第2主表面との面積とのいずれもが、第1側面の面積と第2側面の面積とのいずれよりも大きい。好ましくは、上記第1コイルのピッチは、第1コイル線の幅よりも小さい。
【0013】
好ましくは、上記第1コイルは、第1端部と第2端部とを含む。上記第1コイルは、第1端部から第2端部に向かうにつれて、巻回中心線の周囲を取り囲むように延びると共に巻回中心線の延びる方向に変位するように第1コイル線を曲げて形成される。上記第1部分および第2部分とは、巻回中心線の延びる方向に配列する。
【0014】
好ましくは、上記第1コイルのうち第1コイル線の長さ方向の中央部に位置する中央部分と、第1コイルのうち、中央部分に対して巻回中心線の延びる方向に隣り合う部分との間の間隔は、第1端部と、第1端部に対して巻回中心線の延びる方向に隣り合う部分との間の間隔よりも大きい。
【0015】
好ましくは、上記第1コイルは、第1端部および第2端部を含む。上記第1コイル線は、第1端部から第2端部に向かうにつれて、巻回中心線の周囲を取り囲むように延びると共に、巻回中心線から離れるように曲げられる。上記第1コイルは、第1部分と第2部分との配列方向と巻回中心線とが交差するように、第1コイルを線回することで形成される。
【0016】
好ましくは、上記第1コイルのうち第1コイル線の長さ方向の中央部に位置する中央部分と、第1コイルのうち、中央部分に対して巻回中心線と交差する方向に隣り合う部分との間の間隔は、第1端部と、第1端部に対して巻回中心線と交差する方向に隣り合う部分との間の間隔よりも大きい。好ましくは、上記第1コイル線の延在方向に対して垂直な方向における第1コイル線の断面形状は、方形形状とされる。
【0017】
好ましくは、上記送電部の固有周波数と受電部の固有周波数との差は、受電部の固有周波数の10%以下である。好ましくは、上記受電部は、受電部と送電部の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する磁界と、受電部と送電部の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する電界との少なくとも一方を通じて送電部から電力を受電する。好ましくは、上記受電部と送電部との結合係数は、0.1以下である。
【0018】
本発明に係る送電装置は、外部に設けられた受電部に非接触で電力を送電する送電部を備える。上記送電部は、第2コイル線をピッチをあけて巻き回すことで形成された第2コイルを含む。上記第2コイルは、第3部分と、第3部分とピッチをあけて隣り合う第4部分とを含む。上記第3部分と第4部分とは、配列方向に配列する。上記第2コイル線の延在方向に対して垂直な第2コイル線の断面は、配列方向に対して垂直な第3仮想平面に断面を配列方向から投影したときの第3投影線の長さが、第3仮想平面に垂直な第4仮想平面に断面を配列方向に対して垂直な方向から投影したときの第4投影線の長さよりも大きい。
【0019】
好ましくは、上記第2コイル線は、第3主表面および第4主表面と、第3主表面および第4主表面を接続するように設けられた第3側面および第4側面とを含む。上記第3主表面の面積と第4主表面との面積とのいずれもが、第3側面の面積と第4側面の面積の面積よりも大きい。好ましくは、上記第2コイルのピッチは、第2コイル線の幅よりも小さい。
【0020】
好ましくは、上記第2コイルは、第3端部と第4端部とを含む。上記第2コイルは、第3端部から第4端部に向かうにつれて、巻回中心線の周囲を取り囲むように延びると共に巻回中心線の延びる方向に変位するように第2コイル線を曲げて形成される。上記第3部分および第4部分とは、巻回中心線の延びる方向に配列する。
【0021】
好ましくは、上記第2コイルのうち第2コイル線の長さ方向の中央部に位置する中央部分と、第2コイルのうち、中央部分に対して巻回中心線の延びる方向に隣り合う部分との間の間隔は、第3端部と、第3端部に対して巻回中心線の延びる方向に隣り合う部分との間の間隔よりも大きい。
【0022】
好ましくは、上記第2コイルは、第3端部および第4端部を含む。上記第2コイル線は、第3端部から第4端部に向かうにつれて、巻回中心線の周囲を取り囲むように延びると共に、巻回中心線から離れるように曲げられる。上記第2コイルは、第3部分と第4部分との配列方向と巻回中心線とが交差するように、第2コイルを線回することで形成される。
【0023】
好ましくは、上記第2コイルのうち第2コイル線の長さ方向の中央部に位置する中央部分と、第2コイルのうち、中央部分に対して巻回中心線と交差する方向に隣り合う部分との間の間隔は、第3端部と、第3端部に対して巻回中心線と交差する方向に隣り合う部分との間の間隔よりも大きい。好ましくは、上記第2コイル線の延在方向に対して垂直な方向における第2コイル線の断面形状は、方形形状とされる。
【0024】
好ましくは、上記送電部の固有周波数と受電部の固有周波数との差は、受電部の固有周波数の10%以下である。好ましくは、上記送電部は、受電部と送電部の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する磁界と、受電部と送電部の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する電界との少なくとも一方を通じて、受電部に電力を送電する。好ましくは、上記受電部と送電部との結合係数は、0.1以下である。
【0025】
本発明に係る電力伝送システムは、受電部を含む受電装置と、受電部に非接触で電力を送電する送電部を含む送電装置とを備えた電力伝送システムである。上記受電部は、第1コイル線をピッチをあけて巻き回すことで形成された第1コイルを含む。上記第1コイルは、第1部分と、第1部分とピッチをあけて隣り合う第2部分とを含む上記第1部分と第2部分とは、配列方向に配列する。上記第1コイル線の延在方向に対して垂直な第1コイル線の断面は、配列方向に対して垂直な第1仮想平面に断面を配列方向から投影したときの第1投影線の長さが、第1仮想平面に垂直な第2仮想平面に断面を配列方向に垂直な方向から投影したときの第2投影線の長さよりも大きい。
【0026】
本発明に係る電力伝送システムは、受電部を含む受電装置と、受電部に非接触で電力を送電する送電部を含む送電装置とを備える。上記送電部は、第2コイル線をピッチをあけて巻き回すことで形成された第2コイルを含む。上記第2コイルは、第3部分と、第3部分とピッチをあけて隣り合う第4部分とを含む。上記第3部分と第4部分とは、配列方向に配列する。上記第2コイル線の延在方向に対して垂直な第2コイル線の断面は、配列方向に対して垂直な第3仮想平面に断面を配列方向から投影したときの第3投影線の長さが、第3仮想平面に垂直な第4仮想平面に断面を配列方向に対して垂直な方向から投影したときの第4投影線の長さよりも大きい。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る受電装置、送電装置および電力伝送システムによれば、受電装置、送電装置、および電力伝送システムによれば、受電装置および送電装置に供給される電力の周波数の低周波数化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施の形態1に係る受電装置と、送電装置と、電力伝送システムとを説明する模式的に示す模式図である。
【図2】電力伝送システムのシミュレーションモデルを示す図である。
【図3】固有周波数の差と電力伝送効率との関係とを解析したシミュレーション結果を示すグラフである。
【図4】固有周波数f0を固定した状態で、エアギャップAGを変化させたときの電力伝送効率と、コイル24に供給される電流の周波数f3との関係を示すグラフである。
【図5】電流源(磁流源)からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。
【図6】受電装置40および送電装置41を模式的に示す斜視図である。
【図7】コイル11を形成するコイル線45の一部を示す斜視図である。
【図8】コイル11の一部を示す断面図である。
【図9】図8に示すコイル11の第1変形例を示す断面図である。
【図10】コイル11の変形例を示す例である。
【図11】コイル11の変形例を示す断面図である。
【図12】コイル24を形成するコイル線55の一部を示す斜視図である。
【図13】コイル24の一部を示す断面図である。
【図14】図13に示すコイル24の第1変形例を示す断面図である。
【図15】コイルの変形例を示す例である。
【図16】コイル24の変形例を示す断面図である。
【図17】コイル11の一部を示す平面図である。
【図18】コイル24の一部を示す平面図である。
【図19】コイル11の共振周波数(固有周波数)と、比較例としてのコイルの共振周波数(固有周波数)とを示すグラフである。
【図20】コイル11と、コイル24との間のエアギャップを変化させたときの電力伝送効率を示すグラフである。
【図21】コイル11と、コイル24との間のエアギャップを変化させたときの電力伝送効率を示すグラフである。
【図22】本実施の形態2に係る受電装置と送電装置との要部を模式的に示す斜視図である。
【図23】コイル11の一部を示す断面図である。
【図24】図23に示すコイル11の第1変形例を示す断面図である。
【図25】図23に示すコイル11の第2変形例を示す断面図である。
【図26】コイル24の一部を示す断面図である。
【図27】図26に示すコイル24の第1変形例を示す断面図である。
【図28】図26に示すコイル24の第2変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1から図28を用いて、本発明の実施の形態に係る受電装置と送電装置と、この送電装置および受電装置を含む電力伝送システムについて説明する。なお、本明細書においては、複数の実施の形態について説明するが、各実施の形態に記載された構成を適宜組み合わせることは出願当初から予定されている。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係る受電装置と、送電装置と、電力伝送システムとを説明する模式的に示す模式図である。
【0031】
本実施の形態1に係る電力伝送システムは、受電装置40を含む電動車両10と、送電装置41を含む外部給電装置20とを有する。電動車両10は、送電装置41が設けられた駐車スペース42の所定位置に停車して、受電装置40は、主に、送電装置41から非接触で電力を受電する。
【0032】
駐車スペース42には、電動車両10を所定の位置に停車するように、輪止やラインが設けられている。
【0033】
外部給電装置20は、交流電源21に接続された高周波電力ドライバ22と、高周波電力ドライバ22などの駆動を制御する制御部26と、この高周波電力ドライバ22に接続された送電装置41とを含む。送電装置41は、高周波電力ドライバ22に接続されたコイル23と、送電部28とを含む。なお、図1の破線に示すように、高周波電力ドライバ22と、コイル23との間にインピーダンス調整器29を配置してもよい。送電部28は、コイル23から電磁誘導によって電力を受け取るコイル24を含む。このコイル24の構成については、後述するが、コイル24は、大きな浮遊容量を有する。
【0034】
このため、送電部28は、コイル24のインダクタンスLと、コイル24のキャパシタンスCとから形成された電気回路を有する。なお、図1の破線に示すように、コイル24の両端にキャパシタ25を設けてもよい。この場合には、送電部28は、コイル24およびキャパシタ25のキャパシタンスと、コイル24のインダクタンスとによって形成された電気回路を有する。
【0035】
電動車両10は、受電装置40と、受電装置40に接続された整流器13と、整流器13に接続されたDC/DCコンバータ14と、このDC/DCコンバータ14に接続されたバッテリ15と、パワーコントロールユニット(PCU(Power Control Unit))16と、このパワーコントロールユニット16に接続されたモータユニット17と、DC/DCコンバータ14やパワーコントロールユニット16などの駆動を制御する車両ECU(Electronic Control Unit)18とを備える。なお、本実施の形態に係る電動車両10は、図示しないエンジンを備えたハイブリッド車両であるが、モータにより駆動される車両であれば、電気自動車や燃料電池車両も含む。
【0036】
整流器13は、コイル12に接続されており、コイル12から供給される交流電流を直流電流に変換して、DC/DCコンバータ14に供給する。
【0037】
DC/DCコンバータ14は、整流器13から供給された直流電流の電圧を調整して、バッテリ15に供給する。なお、DC/DCコンバータ14は必須の構成ではなく省略してもよい。この場合には、外部給電装置20にインピーダンスを整合するための整合器を送電装置41と高周波電力ドライバ22との間に設けることで、DC/DCコンバータ14の代用をすることができる。
【0038】
パワーコントロールユニット16は、バッテリ15に接続されたコンバータと、このコンバータに接続されたインバータとを含み、コンバータは、バッテリ15から供給される直流電流を調整(昇圧)して、インバータに供給する。インバータは、コンバータから供給される直流電流を交流電流に変換して、モータユニット17に供給する。
【0039】
モータユニット17は、たとえば、三相交流モータなどが採用されており、パワーコントロールユニット16のインバータから供給される交流電流によって駆動する。
【0040】
なお、電動車両10がハイブリッド車両の場合には、電動車両10は、エンジン、動力分割機構とをさらに備え、モータユニット17は、発電機として主に機能するモータジェネレータと、電動機として主に機能するモータジェネレータとを含む。
【0041】
受電装置40は、受電部27と、コイル12とを含む。受電部27は、コイル11を含む。コイル11も大きな浮遊容量を有する。このため、受電部27は、コイル11のインダクタンスと、コイル11のキャパシタンスとによって形成された電気回路を含む。なお、図1の破線に示すように、コイル11の両端に接続されたキャパシタ19を設けてもよい。この場合には、受電部27は、コイル11のインダクタンスと、コイル11の浮遊容量およびキャパシタ19のキャパシタンスとによって形成された電気回路を有する。
【0042】
本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、送電部28の固有周波数と、受電部27の固有周波数との差は、受電部27または送電部28の固有周波数の10%以下である。このような範囲に各送電部28および受電部27の固有周波数を設定することで、電力伝送効率を高めることができる。その一方で、固有周波数の差が受電部27または送電部28の固有周波数の10%よりも大きくなると、電力伝送効率が10%より小さくなり、バッテリ15の充電時間が長くなるなどの弊害が生じる。
【0043】
ここで、送電部28の固有周波数とは、キャパシタ25が設けられていない場合には、コイル24のインダクタンスと、コイル24のキャパシタンスとから形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。キャパシタ25が設けられた場合には、送電部28の固有周波数とは、コイル24およびキャパシタ25のキャパシタンスと、コイル24のインダクタンスとによって形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。上記電気回路において、制動力および電気抵抗をゼロもしくは実質的にゼロとしたときの固有周波数は、送電部28の共振周波数とも呼ばれる。
【0044】
同様に、受電部27の固有周波数とは、キャパシタ19が設けられていない場合には、コイル11のインダクタンスと、コイル11のキャパシタンスとから形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。キャパシタ19が設けられた場合には、受電部27の固有周波数とは、コイル11およびキャパシタ19のキャパシタンスと、コイル11のインダクタンスとによって形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。上記電気回路において、制動力および電気抵抗をゼロもしくは実質的にゼロとしたときの固有周波数は、受電部27の共振周波数とも呼ばれる。
【0045】
図2および図3を用いて、固有周波数の差と電力伝送効率との関係とを解析したシミュレーション結果について説明する。図2は、電力伝送システムのシミュレーションモデルを示す。電力伝送システム89は、送電装置90と、受電装置91とを備え、送電装置90は、コイル92と、送電部93とを含む。送電部93は、コイル94と、コイル94に設けられたキャパシタ95とを含む。
【0046】
受電装置91は、受電部96と、コイル97とを備える。受電部96は、コイル99とこのコイル99に接続されたキャパシタ98とを含む。
【0047】
コイル94のインダクタンスをインダクタンスLtとし、キャパシタ95のキャパシタンスをキャパシタンスC1とする。コイル99のインダクタンスをインダクタンスLrとし、キャパシタ98のキャパシタンスをキャパシタンスC2とする。このように各パラメータを設定すると、送電部93の固有周波数f1は、下記の式(1)によって示され、受電部96の固有周波数f2は、下記の式(2)によって示される。
【0048】
f1=1/{2π(Lt×C1)1/2}・・・(1)
f2=1/{2π(Lr×C2)1/2}・・・(2)
ここで、インダクタンスLrおよびキャパシタンスC1,C2を固定して、インダクタンスLtのみを変化させた場合において、送電部93および受電部96の固有周波数のズレと、電力伝送効率との関係を図3に示す。なお、このシミュレーションにおいては、コイル94およびコイル99の相対的な位置関係は固定した状態であって、さらに、送電部93に供給される電流の周波数は一定である。
【0049】
図3に示すグラフのうち、横軸は、固有周波数のズレ(%)を示し、縦軸は、一定周波数での伝送効率(%)を示す。固有周波数のズレ(%)は、下記式(3)によって示される。
【0050】
(固有周波数のズレ)={(f1−f2)/f2}×100(%)・・・(3)
図3からも明らかなように、固有周波数のズレ(%)が±0%の場合には、電力伝送効率は、100%近くとなる。固有周波数のズレ(%)が±5%の場合には、電力伝送効率は、40%となる。固有周波数のズレ(%)が±10%の場合には、電力伝送効率は、10%となる。固有周波数のズレ(%)が±15%の場合には、電力伝送効率は、5%となる。すなわち、固有周波数のズレ(%)の絶対値(固有周波数の差)が、受電部96の固有周波数の10%以下の範囲となるように各送電部および受電部の固有周波数を設定することで電力伝送効率を高めることができることがわかる。さらに、固有周波数のズレ(%)の絶対値が受電部96の固有周波数の5%以下となるように、各送電部および受電部の固有周波数を設定することで電力伝送効率をより高めることができることがわかる。なお、シミュレーションソフトしては、電磁界解析ソフトウェア(JMAG(登録商標):株式会社JSOL製)を採用している。
【0051】
次に、本実施の形態に係る電力伝送システムの動作について説明する。
図1において、コイル23には、高周波電力ドライバ22から交流電力が供給される。コイル23に所定の交流電流が流れると、電磁誘導によってコイル24にも交流電流が流れる。この際、コイル24を流れる交流電流の周波数が特定の周波数となるように、コイル23に電力が供給されている。
【0052】
コイル24に特定の周波数の電流が流れると、コイル24の周囲には特定の周波数で振動する電磁界が形成される。
【0053】
コイル11は、コイル24から所定範囲内に配置されており、コイル11はコイル24の周囲に形成された電磁界から電力を受け取る。
【0054】
本実施の形態においては、コイル11およびコイル24は、所謂、ヘリカルコイルが採用されている。このため、コイル24の周囲には、特定の周波数で振動する磁界が主に形成され、コイル11は当該磁界から電力を受け取る。
【0055】
ここで、コイル24の周囲に形成される特定の周波数の磁界について説明する。「特定の周波数の磁界」は、典型的には、電力伝送効率とコイル24に供給される電流の周波数と関連性を有する。そこで、まず、電力伝送効率と、コイル24に供給される電流の周波数との関係について説明する。コイル24からコイル11に電力を伝送するときの電力伝送効率は、コイル24およびコイル11の間の距離などの様々な要因よって変化する。たとえば、送電部28および受電部27の固有周波数(共振周波数)を固有周波数f0とし、コイル24に供給される電流の周波数を周波数f3とし、コイル11およびコイル24の間のエアギャップをエアギャップAGとする。
【0056】
図4は、固有周波数f0を固定した状態で、エアギャップAGを変化させたときの電力伝送効率と、コイル24に供給される電流の周波数f3との関係を示すグラフである。
【0057】
図4に示すグラフにおいて、横軸は、コイル24に供給する電流の周波数f3を示し、縦軸は、電力伝送効率(%)を示す。効率曲線L1は、エアギャップAGが小さいときの電力伝送効率と、コイル24に供給する電流の周波数f3との関係を模式的に示す。この効率曲線L1に示すように、エアギャップAGが小さい場合には、電力伝送効率のピークは周波数f4,f5(f4<f5)において生じる。エアギャップAGを大きくすると、電力伝送効率が高くなるときの2つのピークは、互いに近づくように変化する。そして、効率曲線L2に示すように、エアギャップAGを所定距離よりも大きくすると、電力伝送効率のピークは1つとなり、コイル24に供給する電流の周波数が周波数f6のときに電力伝送効率がピークとなる。エアギャップAGを効率曲線L2の状態よりもさらに大きくすると、効率曲線L3に示すように電力伝送効率のピークが小さくなる。
【0058】
たとえば、電力伝送効率の向上を図るため手法として次のような第1の手法が考えられる。第1の手法としては、エアギャップAGにあわせて、図1に示すコイル24に供給する電流の周波数を一定として、キャパシタ25やキャパシタ19のキャパシタンスを変化させることで、送電部28と受電部27との間での電力伝送効率の特性を変化させる手法が考えられる。具体的には、コイル24に供給される電流の周波数を一定とした状態で、電力伝送効率がピークとなるように、キャパシタ25およびキャパシタ19のキャパシタンスを調整する。この手法では、エアギャップAGの大きさに関係なく、コイル24およびコイル11に流れる電流の周波数は一定である。なお、電力伝送効率の特性を変化させる手法としては、送電装置41と高周波電力ドライバ22との間に設けられた整合器を利用する手法や、コンバータ14を利用する手法などを採用することもできる。
【0059】
また、第2の手法としては、エアギャップAGの大きさに基づいて、コイル24に供給する電流の周波数を調整する手法である。たとえば、図4において、電力伝送特性が効率曲線L1となる場合には、コイル24には周波数が周波数f4または周波数f5の電流をコイル24に供給する。そして、周波数特性が効率曲線L2,L3となる場合には、周波数が周波数f6の電流をコイル24に供給する。この場合では、エアギャップAGの大きさに合わせてコイル24およびコイル11に流れる電流の周波数を変化させることになる。
【0060】
第1の手法では、コイル24を流れる電流の周波数は、固定された一定の周波数となり、第2の手法では、コイル24を流れる周波数は、エアギャップAGによって適宜変化する周波数となる。第1の手法や第2の手法などによって、電力伝送効率が高くなるように設定された特定の周波数の電流がコイル24に供給される。コイル24に特定の周波数の電流が流れることで、コイル24の周囲には、特定の周波数で振動する磁界(電磁界)が形成される。受電部27は、受電部27と送電部28の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する磁界を通じて送電部28から電力を受電している。したがって、「特定の周波数で振動する磁界」とは、必ずしも固定された周波数の磁界とは限らない。なお、上記の例では、エアギャップAGに着目して、コイル24に供給する電流の周波数を設定するようにしているが、電力伝送効率は、コイル24およびコイル11の水平方向のずれ等のように他の要因によっても変化するものであり、当該他の要因に基づいて、コイル24に供給する電流の周波数を調整する場合がある。
【0061】
なお、本実施の形態では、コイルとしてヘリカルコイルを採用した例について説明したが、コイルとして、メアンダラインなどのアンテナなどを採用した場合には、コイル24に特定の周波数の電流が流れることで、特定の周波数の電界がコイル24の周囲に形成される。そして、この電界をとおして、送電部28と受電部27との間で電力伝送が行われる。
【0062】
本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、電磁界の「静電界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用することで、送電および受電効率の向上が図られている。図5は、電流源(磁流源)からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。図5を参照して、電磁界は3つの成分から成る。曲線k1は、波源からの距離に反比例した成分であり、「輻射電界」と称される。曲線k2は、波源からの距離の2乗に反比例した成分であり、「誘導電界」と称される。また、曲線k3は、波源からの距離の3乗に反比例した成分であり、「静電界」と称される。なお、電磁界の波長を「λ」とすると、「輻射電界」と「誘導電界」と「静電界」との強さが略等しくなる距離は、λ/2πとあらわすことができる。
【0063】
「静電界」は、波源からの距離とともに急激に電磁波の強度が減少する領域であり、本実施の形態に係る電力伝送システムでは、この「静電界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用してエネルギー(電力)の伝送が行なわれる。すなわち、「静電界」が支配的な近接場において、近接する固有周波数を有する送電部28および受電部27(たとえば一対のLC共振コイル)を共鳴させることにより、送電部28から他方の受電部27へエネルギー(電力)を伝送する。この「静電界」は遠方にエネルギーを伝播しないので、遠方までエネルギーを伝播する「輻射電界」によってエネルギー(電力)を伝送する電磁波に比べて、共鳴法は、より少ないエネルギー損失で送電することができる。
【0064】
このように、本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、送電部28と受電部27とを電磁界によって共振させることで送電装置41から受電装置に電力を送電している。そして、送電部28と受電部27との間の結合係数(κ)は、0.1以下である。なお、一般的に電磁誘導を利用した電力伝送では、送電部と受電部と間の結合係数(κ)は1.0に近いものとなっている。
【0065】
本実施の形態の電力伝送における送電部28と受電部27との結合を、たとえば、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「電磁界(電磁場)共振結合」または「電界(電場)共振結合」という。
【0066】
「電磁界(電磁場)共振結合」は、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「電界(電場)共振結合」のいずれも含む結合を意味する。
【0067】
本明細書中で説明した送電部28のコイル24と受電部27のコイル11とは、コイル形状のアンテナが採用されているため、送電部28と受電部27とは主に、磁界によって結合しており、送電部28と受電部27とは、「磁気共鳴結合」または「磁界(磁場)共鳴結合」している。
【0068】
なお、コイル24,11として、たとえば、メアンダラインなどのアンテナを採用することも可能であり、この場合には、送電部28と受電部27とは主に、電界によって結合している。このときには、送電部28と受電部27とは、「電界(電場)共振結合」している。
【0069】
図6は、受電装置40および送電装置41を模式的に示す斜視図である。なお、この図6に示す例においては、コイル11にキャパシタ19が設けられておらず、コイル24にキャパシタ25は設けられていない。この図6に示すように、送電部28は、略1巻きとされたコイル23と、コイル23の上方に配置されたコイル24とを含む。受電部27は、コイル11と、コイル11の上方に配置され、略1巻きのコイル12とを含む。
【0070】
コイル11およびコイル23は、いずれも、コイル線から形成されており、コイル11,24は、コイル線をピッチP1,P2をあけて巻き回すことで形成されている。なお、ピッチP1,P2は、たとえば、2mm以上5mm以下の範囲で設定されている。
【0071】
図7は、コイル11を形成するコイル線45の一部を示す斜視図である。この図7に示すように、コイル線45は、コイル線45の厚さ方向に配列する主表面46および主表面47と、コイル線45の幅方向に配列する側面48および側面49とを含む。なお、コイル線45の幅W1は、たとえば、1cm(10mm)以上2cm(20mm)以下程度に設定されている。コイル線45の厚さT1は、たとえば、1mm以上2mm以下程度である。
【0072】
主表面46の面積および主表面47の面積のいずれもが、側面48の面積および側面49の面積と同じかもしくは大きい。
【0073】
なお、この図7に示す例においては、コイル線45は、コイル線45の延びる方向と垂直な断面が長方形形状となるように形成されている。なお、コイル線45の断面形状は、このような形状に限られず、たとえば、断面形状が長円形形状や楕円形状などであってもよい。この場合は、長径の延びる方向とコイル線が延びる方向とに平行な仮想平面に、長径に垂直な方向からコイル線を投影したときの面積を主表面の面積とする。また、短径の延びる方向とコイル線が延びる方向とに平行な仮想平面に、短径に垂直な方向からコイル線を投影したときの面積を側面の面積とする。
【0074】
図6において、コイル11は、図7に示す主表面46および主表面47がピッチP1をあけて互いに対向するようにコイル線45を巻き回して形成されている。
【0075】
なお、この図6に示す例においては、コイル11は、端部50および端部51を含む。コイル線45は、端部50から端部51に向かうにつれて、巻回中心線O1の周囲を取り囲むように延びると共に、巻回中心線O1から離れるように曲げられている。なお、典型的には、巻回中心線O1を中心に同心円状とされた渦巻き状に形成されているが、形状としては、各種形状を採用することができる。
【0076】
図8は、コイル11の一部を示す断面図である。この図8に示す断面図は、コイル線45の延びる方向に垂直な断面である。コイル11は、第1部分80aと、この第1部分80aとピッチP1をあけて隣り合う第2部分80bと、この第2部分80bとピッチP1をあけて隣り合う第3部分80cとを含む。なお、ピッチP1は、巻回中心線O1に垂直な方向である。
【0077】
この図8に示す例においては、第3部分80cの断面の中心と、第2部分80bの断面の中心と、第1部分80aの断面の中心とは、ぞれぞれ、配列方向AD1に配列している。なお、配列方向AD1は、図6に示す巻回中心線O1に対して垂直な方向となっており、ピッチP1の方向と、配列方向AD1の方向とは平行である。
【0078】
ここで、配列方向AD1に垂直な方向を垂直方向VD1とし、配列方向AD1に垂直な仮想平面を仮想平面VP1する。垂直方向VD1に垂直な仮想平面を仮想平面VP2とする。
【0079】
そして、仮想平面VP1に向けて第1部分80aの断面を配列方向AD1から仮想平面VP1に投影したときの投影線分を投影線分PD1とする。そして、第1部分80aの断面を垂直方向VD1から仮想平面VP2に投影したときの仮想線分を投影線分PD2とする。この図8からも明らかなように、投影線分PD1の長さは、投影線分PD2の長さよりも長い。
【0080】
ここで、コイル11の浮遊容量は、第1部分80aと第2部分80bとが配列方向AD1に対向する部分と、第2部分80bと第3部分80cとが配列方向AD1に対向する部分に形成される。この図8に示す例においては、第1部分80aの主表面46と、第2部分80bの主表面47とが配列方向AD1に対向している。また、第2部分80bの主表面46と、第3部分80cの主表面47とが配列方向AD1に対向している。そして、各対向する部分で浮遊容量が形成されている。
【0081】
その一方で、各第1部分80a、第2部分80bおよび第3部分80cの周縁部のうち、垂直方向VD1に配列する側面49および側面48は、浮遊容量の形成に寄与していない。
【0082】
この図8に示す例においては、コイル線45におけるコイル線45の延在方向に垂直な断面は、投影線分PD1が投影線分PD2よりも大きくなるように形成されているため、コイル11は、大きな浮遊容量を有する。大きな浮遊容量を形成することで、コイル11によって形成される電気回路の固有周波数を低くすることができる。
【0083】
なお、コイル線45の形状としては、長方形形状のコイル線に限られない。図9は、図8に示すコイル11の第1変形例を示す断面図である。この図9に示す例においては、コイル線45の延びる方向に垂直な断面形状において、コイル線45は、台形形状となるように形成されている。
【0084】
この図9に示す例においても、コイル11の断面を仮想平面VP1に投影したときの投影線分PD1は、断面を仮想平面VP2に投影したときの投影線分PD2よりも大きい。
【0085】
この図9に示す例においても、第3部分80cと、第2部分80bと、第1部分80aとは、配列方向AD1に互いにピッチP1をあけて配列している。
【0086】
そして、第3部分80cおよび第2部分80bとにおいては、第2部分80bの主表面47と、第3部分80cの主表面46、側面48および側面49とが対向している。そして、当該対向する部分同士の間で容量が形成される。
【0087】
ここで、この図9に示す例においても、投影線分PD1は、投影線分PD2よりも大きいため、この図9に示す例においても、大きな容量を確保することができる。
【0088】
図10は、コイル11の変形例を示す例である。この図10に示す例においては、コイル11は、内周側の端部から外周側の端部に向かうにしたがって、巻回中心線O1の延びる方向と、巻回中心線O1に垂直な方向とに変位するようにコイル線45を巻き回すことで形成されている。
【0089】
この図10に示す例において、第3部分80cの断面の中心と、第2部分80bの断面の中心と、第1部分80aの断面の中心とは、配列方向AD2に配列している。ここで、配列方向AD2に垂直な仮想平面を仮想平面VP3とする。仮想平面VP3に垂直な仮想平面を仮想平面VP4とする。ここで、ピッチP1の方向は、巻回中心線O1と直交しており、配列方向AD2は、巻回中心線O1に直交していない。このため、配列方向AD2と、ピッチP1の方向とは互いに交差する。なお、配列方向AD2に垂直な方向を垂直方向VD2とする。
【0090】
ここで、第1部分80aにおいて、コイル線45に垂直な方向の断面について検討する。第1部分80aにおける断面を配列方向AD2から仮想平面VP3に投影したときの線分を投影線分PD3とする。さらに、第1部分80aにおける断面を仮想平面VP4に垂直方向VD2から投影したときの投影線分を投影線分PD4とする。この図10に示す例においても、コイル線45は、投影線分PD3が投影線分PD4よりも長くなるように形成されている。
【0091】
このため、たとえば、第1部分80aと、第2部分80bとが配列方向AD2に対向する面積と、第3部分80cと第2部分80bとが対向する面積が大きく、コイル11の容量の増大が図られている。
【0092】
この図10などに示す例においては、主表面46と、この主表面46に対してピッチP1をあけて巻回中心線O1側に位置する主表面47とは、巻回中心線O1に対して垂直な方向に配列してる。ただし、必要であれば巻回中心線O1に対してある程度の角度をつけるように形成してもよい。
【0093】
なお、図6に示す例においては、ピッチP1をあけて対向する主表面46および主表面47が巻回中心線O1に垂直な方向に配列するようにコイル11は形成されているが、コイル11の形状としては、このような形状に限られない。
【0094】
図11は、コイル11の変形例を示す断面図である。この図11示す例においては、コイル11は、主表面46および主表面47は、巻回中心線O1に対して90度よりも小さい角度で交差する仮想線L1上に配列している。
【0095】
この図11に示す例においては、コイル11は、コイル線45の主表面46および主表面47が巻回中心線O1と交差する方向に延びる仮想線(仮想平面)上に配列するように形成されている。そして、ピッチP1をあけて対向する主表面46および主表面47の間に浮遊容量が形成される。
【0096】
主表面46および主表面47の面積は大きいため、主表面46および主表面47の間に形成される浮遊容量も大きい。また、コイル11のピッチP1は、コイル11の高さH1(コイル線45の幅W1)よりも小さいため、主表面46および主表面47の間に形成される容量は大きくなる。このように、コイル11の浮遊容量が大きくなると、コイル11の浮遊容量とコイル11のインダクタンスとによって形成される電気回路の固有周波数は小さくなる。
【0097】
図6において、コイル24もコイル線55をピッチをあけて巻き回すことで形成されている。図12は、コイル24を形成するコイル線55の一部を示す斜視図である。この図12に示すように、コイル線55は、コイル線55の厚さ方向に配列する主表面56および主表面57と、コイル線55の幅方向に配列する側面58および側面59とを含む。
【0098】
主表面56の面積および主表面57の面積のいずれもが、側面58の面積および側面59の面積と同じかもしくは大きい。
【0099】
この図12に示す例においては、コイル線55は、コイル線55の延びる方向に垂直な断面形状が略長方形形状となるように形成されている。なお、コイル線55の断面形状は、長方形形状に限られず、たとえば、長円形形状や楕円形状であってもよい。
【0100】
図6において、コイル24は、図12に示す主表面56および主表面57がピッチP2をあけて互いに対向するようにコイル線55を巻き回して形成されている。
【0101】
なお、この図6に示す例においては、コイル24は、端部60および端部61を含む。
コイル線55は、端部60から端部61に向かうにつれて、巻回中心線O2の周囲を取り囲むように延びると共に、巻回中心線O2から離れるように曲げられている。
【0102】
この図6に示す例においては、主表面56と、この主表面56に対してピッチP2をあけて対向する主表面57とは、巻回中心線O2に対して垂直な方向に配列している。
【0103】
図13は、コイル24の一部を示す断面図である。この図13に示す断面図は、コイル線55の延びる方向に垂直な断面である。この図13においては、コイル24の一部である第1部分81aと、この第1部分81aとピッチP2をあけて隣り合う第2部分81bと、この第2部分81bとピッチP2をあけて隣り合う第3部分81cとを含む。なお、ピッチP2は、巻回中心線O2に対して垂直な方向である。
【0104】
第3部分81cの断面の中心と、第2部分81bの断面の中心と、第1部分81aの断面の中心とは、ぞれぞれ、配列方向AD3に配列している。なお、配列方向AD3は、図6に示す巻回中心線O2に対して垂直な方向となっている。
【0105】
ここで、配列方向AD3に垂直な方向を垂直方向VD3とし、配列方向AD3に垂直な仮想平面を仮想平面VP5する。配列方向AD3に垂直な仮想平面を仮想平面VP6とする。そして、仮想平面VP5に向けて第1部分81aの断面を配列方向AD3から仮想平面VP5に投影したときの投影線分を投影線分PD5とする。そして、第1部分81aの断面を垂直方向VD3から仮想平面VP6に投影したときの仮想線分を投影線分PD6とする。この図13からも明らかなように、投影線分PD5の長さは、投影線分PD6の長さよりも長い。
【0106】
ここで、コイル24の浮遊容量は、第1部分81aと第2部分81bとが配列方向AD3に対向する部分と、第2部分81bと第3部分81cとが配列方向AD3に対向する部分に形成される。この図13に示す例においては、第1部分81aの主表面56と、第2部分81bの主表面57とが配列方向AD3に対向している。また、第2部分81bの主表面56と、第3部分81cの主表面57とが配列方向AD3に対向している。そして、各対向する部分で浮遊容量が形成されている。その一方で、各第1部分81a、第2部分81bおよび第3部分81cの周縁部のうち、垂直方向VD3に配列する側面59および側面58は、浮遊容量の形成に寄与していない。
【0107】
この図13に示す例においては、コイル線55におけるコイル線55の延在方向に垂直な断面は、投影線分PD5が投影線分PD6よりも大きくなるように形成されているため、コイル24には大きな浮遊容量が形成されている。大きな浮遊容量を形成することで、コイル24によって形成される電気回路の固有周波数を低くすることができる。
【0108】
なお、コイル線55の形状としては、長方形形状のコイル線に限られない。図14は、図13に示すコイル24の第1変形例を示す断面図である。この図14に示す例においては、コイル線55の延びる方向に垂直な断面形状において、コイル線55は、台形形状となるように形成されている。
【0109】
この図14に示す例においても、コイル24の断面を仮想平面VP5に投影したときの投影線分PD5は、断面を仮想平面VP6に投影したときの投影線分PD6よりも大きい。この図14に示す例においても、第3部分81cと、第2部分81bと、第1部分81aとは、配列方向AD3に互いにピッチP2をあけて配列している。
【0110】
そして、第3部分81cおよび第2部分81bとにおいては、第3部分81cの主表面57と、第2部分81bの主表面56、側面58および側面59が対向している。そして、当該対向する部分同士の間で容量が形成される。同様に、第2部分81bと第1部分81aとの間でも容量が形成される。
【0111】
ここで、この図14に示す例においても、投影線分PD5は、投影線分PD6よりも大きいため、この図14に示す例においても、大きな容量を確保することができる。図15は、コイルの変形例を示す例である。この図15に示す例においては、コイル24は、内周側の端部から外周側の端部に向かうにしたがって、巻回中心線O2の延びる方向と、巻回中心線O2に垂直な方向とに変位するようにコイル線55を巻き回すことで形成されている。
【0112】
この図15に示す例において、第3部分81cの断面の中心と、第2部分81bの断面の中心と、第1部分81aの断面の中心とは、配列方向AD4に配列している。この図15に示す例においては、配列方向AD4は、巻回中心線O2と直交していない。ピッチP2の方向は、巻回中心線O2に直交するため、ピッチP2の方向と、配列方向AD4とは、互いに交差する方向となっている。ここで、配列方向AD4に垂直な仮想平面を仮想平面VP7とする。仮想平面VP7に垂直な仮想平面を仮想平面VP8とする。
【0113】
ここで、第1部分81aにおいて、コイル線55に垂直な方向の断面について検討する。第1部分81aにおける断面を配列方向AD4から仮想平面VP7に投影したときの線分を投影線分PD7とする。さらに、第1部分81aにおける断面を仮想平面VP8に投影したときの投影線分を投影線分PD8とする。この図15に示す例においても、コイル線55は、投影線分PD7が投影線分PD8よりも長くなるように形成されている。
【0114】
このため、たとえば、第1部分81aと、第2部分81bとが配列方向AD4に対向する面積と、第3部分81cと第2部分81bとが対向する面積が大きく、コイル24の容量の増大が図られている。
【0115】
図16は、コイル24の変形例を示す断面図である。この図16に示す例においては、主表面56および主表面57は、巻回中心線O2に対して90度よりも小さい角度で交差する仮想線(仮想平面)L2上に配列している。
【0116】
このように、コイル24は、コイル線55の主表面56および主表面57が巻回中心線O2と交差する方向に延びる仮想線(仮想平面)上に配列するように形成されている。
【0117】
このように形成されたコイル24においては、ピッチP2をあけて対向する主表面56および主表面57の間に浮遊容量が形成される。
【0118】
主表面56および主表面57の面積は大きいため、主表面56および主表面57の間に形成される浮遊容量も大きくなる。また、コイル24のピッチP2は、コイル24の高さH2(コイル線55の幅W2)よりも小さいため、主表面56および主表面57の間に形成される容量は大きくなる。このように、コイル24の浮遊容量が大きくなると、コイル24の浮遊容量とコイル24のインダクタンスによって形成される電気回路の固有周波数は小さくなる。
【0119】
コイル24の固有周波数と、コイル11の固有周波数とは一致している。この際、コイル24に供給される電力の周波数は、コイル24,11の固有周波数またはその近傍に設定される。
【0120】
このように、コイル24に供給される電力の周波数が低く設定されることにより、図6において、コイル23からコイル24に供給される電力の周波数も低く設定される。コイル24によって供給される電力が低くなることで、コイル24の周囲に形成される磁界の周波数も低くなる。コイル24およびコイル11の周囲に形成される磁界の周波数が低くなることで、コイル11に供給される電力の周波数も低くすることができる。コイル11に供給された電力は、コイル12によって取り出され、その後、図1に示す整流器13およびコンバータ14をとおりバッテリ15に供給される。
【0121】
このように本実施の形態に係る電力送電システムによれば、低い周波数での電力伝送が可能となる。さらに、交流電源21、高周波電力ドライバ22、整流器13およびコンバータ14に流れる電力の周波数が低くなることで、これらの機器の構成も簡略化することができる。さらに、電力の低周波化に伴って、制御部26および車両ECU18での制御フローも簡略化することができる。
【0122】
さらに、図6からも明らかなように、コイル11の高さH1は、図7に示す幅W1である。このため、コイル11の高さのコンパクト化が図られている。
【0123】
同様に、コイル24の高さH2は、図12に示すコイル線55の幅W2であり、コイル24のコンパクト化を図ることができる。
【0124】
図17は、コイル11の一部を示す平面図である。この図17において、コイル11の主表面47および主表面46は、巻回中心線O1に垂直に交わる仮想線L1の延びる方向に配列している。
【0125】
コイル11において、コイル線45の長さ方向の中央部に位置する部分を中央部M1とする。そして、部分62と、中央部M1と、部分63とが仮想線L1上に配列している。
【0126】
そして、部分62と中央部M1との間のピッチをピッチP3とし、中央部M1と部分63との間のピッチをピッチP4とする。
【0127】
また、端部50と、部分64、部分65、端部51とが順次仮想線L1上に配列している。そして、端部50と部分64との間のピッチをピッチP5とし、部分65と端部51との間のピッチをピッチP6とする。
【0128】
ここで、ピッチP4およびピッチP3は、ピッチP5およびピッチP6よりも大きくなるようにコイル線45は巻き回されている。
【0129】
電力伝送時には、コイル11に交流電流が流れる。この際、中央部M1には端部50,51よりも大きな電流が流れる。
【0130】
その一方で、上記のように、中央部M1の両側のピッチP3,P4は、ピッチP5,P6よりも大きいため、中央部M1の部分で放電が発生することを抑制することができる。
【0131】
図18は、コイル24の一部を示す平面図である。この図18に示すように、コイル24の主表面57および主表面56は、巻回中心線O2に垂直に交わる仮想線L2の延びる方向に配列している。
【0132】
コイル24において、コイル線55の長さ方向の中央部に位置する部分を中央部M2とする。そして、部分66と、中央部M2と、部分67とが仮想線L2上に配列している。
【0133】
そして、部分66と中央部M2との間のピッチをピッチP7とし、中央部M2と部分67との間のピッチをピッチP8とする。
【0134】
また、端部60と、部分68、部分69、端部61とが順次仮想線L2上に配列している。そして、端部60と部分68との間のピッチをピッチP9とし、部分69と端部61との間のピッチをピッチP10とする。
【0135】
ここで、ピッチP8およびピッチP7は、ピッチP9およびピッチP10よりも大きくなるようにコイル線55は巻き回されている。
【0136】
電力伝送時には、コイル24に交流電流が流れる。この際、中央部M2には端部60,61よりも大きな電流が流れる。
【0137】
その一方で、上記のように、中央部M2の両側のピッチP7,P8は、ピッチP9,P10よりも大きいため、中央部M2の部分で放電が発生することを抑制することができる。なお、コイル11およびコイル24は、同一方向に巻かれているが、この巻き方向は、必ずしも同じ方向でなくてもよい。
【0138】
コイル11およびコイル24は、いずれも、上述のような断面形状のコイル線が採用されている。このため、丸線のコイルで形成した場合と比較して、コイル11およびコイル24は表面積が大きい。高周波の電流が流れるときには、表面効果により、電流は導体の表面を流れる。このため、コイル11およびコイル24は表面が広いため、コイル11およびコイル24の電気的抵抗が低く抑えられている。
【0139】
図19は、コイル11の共振周波数(固有周波数)と、比較例としてのコイルの共振周波数(固有周波数)とを示すグラフである。
【0140】
この図19に示す曲線L3,L4,L5は、銅線コイルの理論式によって導き出されたシミュレーション結果である。グラフの縦軸は各コイルの共振周波数を示し、横軸は、各コイルの直径を示す。
【0141】
曲線L3は、コイル線をピッチ1mmで5回巻きまわして形成したコイルの共振周波数を示す。なお、当該コイル線の直径は、1mmである。
【0142】
曲線L4は、コイル線をピッチ2mmで5回巻きまわして形成したコイルの共振周波数を示す。なお、当該コイル線の直径は、1mmである。曲線L5は、コイル線をピッチ3mmで5回巻きまわして形成したコイルの共振周波数を示す。なお、当該コイル線の直径は、1mmである。
【0143】
ここで、「D」をコイルループ直径、「p」をコイル線の長さ、「λ」をコイルを流れる電流の波長、「K」を長岡係数、「μ」を空気中の透磁率、「N」をコイルの巻き数、「a」をコイルループ半径(=D/2)、「Vc」を光速とすると、コイルのインダクタンス(L)の理論式は、下記式(4)によって示される。キャパシタンス(C)の理論式は、下記式(5)によって示される。コイルの共振周波数(fc)の理論式は、下記式(6)によって示される。
【0144】
L=KμπDN/p・・・(4)
C=πaN/[60Vc{ln(2πN)−1}]・・・(5)
fc=1/[2π(LC)1/2]・・・(6)
ここで、グラフ中の実験点EP11〜実験点EP13は、実測値を示す。具体的には、実験点EP11は、直径1mmのコイル線を5巻きすることで形成されたコイルの実測値である。このコイルのコイルループ直径は、0.1mであり、ピッチは、3mm程度とされている。
【0145】
ここで、実験点EP11は、曲線L3に非常に近接しており、上記理論式のシミュレーション結果が信頼することができるものであることがわかる。
【0146】
実験点EP12は、図7に示すコイル線45を巻きまわすことで形成されており、コイル線の幅は1cm程度とされている。実験点EP12のコイルは、上記コイル線を3.8巻きすることで形成されている。このコイルのコイルループ直径は、0.1mであり、ピッチは、3mm程度である。この実験点EP12に示すコイルの共振周波数は、17.6MHzである。
【0147】
実験点EP13は、図7に示すコイル線45を巻きまわすことで形成されており、コイル線の幅は2cm程度とされている。実験点EP13のコイルは、上記コイル線を3.8巻きすることで形成されている。このコイルのコイルループ直径は、0.1mであり、ピッチは、3mm程度である。この点13に示すコイルの共振周波数は、13.6MHzである。
【0148】
このように、本実施の形態に係るコイル11およびコイル24によれば、コイル11およびコイル24によって形成される電気回路の共振周波数を低く抑えることができることがわかる。
【0149】
図20および図21は、コイル11と、コイル24との間のエアギャップを変化させたときの電力伝送効率を示すグラフである。
【0150】
縦軸は、電力伝送効率(S21[dB])を示し、横軸は、コイル24に供給される電力の周波数を示す。
【0151】
この図20においては、コイル11およびコイル24は、幅W(コイル11の高さH1)が1cmのコイル線を3.8巻きすることで形成されている。各コイル11およびコイル24のピッチは、2mm〜5mm程度とされている。なお、コイル線のピッチ間には絶縁体として絶縁テープが挿入されている。
【0152】
図21に示す例においては、コイル11およびコイル24は、幅W(コイル11の高さH1)が2cmのコイル線を3.8巻きすることで形成されている。各コイル11およびコイル24のピッチは、2mm〜5mm程度とされている。なお、コイル線のピッチ間には絶縁体として絶縁テープが挿入されている。
【0153】
そして、図20において、コイル11とコイル24との間の距離を距離Xとする。曲線L10は距離Xが2cmとして、コイル24に供給される電力の周波数を変化させたときの電力伝送効率を示す。
【0154】
同様に、曲線L11,L12、L13,L14,L15は、距離Xが4cm、6cm、8cm、10cm、12cmのときの電力伝送効率を示す。
【0155】
そして、図21においては、曲線L20、L21,L22,L23,L24,L25は、距離Xが2cm、4cm、6cm、8cm、10cm、12cmのときの電力伝送効率を示す。
【0156】
図20に示す例においては、中心周波数は、17.6MHzである。そして、図20からも明らかなように、距離Xが変化した場合に、電力伝送効率が高い周波数は、中心周波数またはその周囲に位置する周波数であることがわかる。
【0157】
したがって、距離Xの変化に合わせてコイル24に供給する電力の周波数を中心周波数またはその周囲の周波数に適宜調整することで、高い電力伝送効率を確保することができる。
【0158】
その一方で、たとえば、コイル11およびコイル24を直径が1mmの銅線で形成した場合には、中心周周波数が40MHz〜70MHz程度なる。なお、このコイルにおいても、コイルのピッチを2mm〜5mm程度として、巻数を3.8巻き程度である。
【0159】
このように、本実施の形態に係るコイル11およびコイル24を備えた電力伝送システムにおいては、電力の周波数の低周波化を図ることができることがわかる。
【0160】
図21に示す例においては、中心周波数は、13.6MHzである。また、図21からも明らかなように、距離Xが変化したとしても、電力伝送効率が高い周波数は、中心周波数またはその周囲に位置する周波数であることがわかる。
【0161】
このため、この図21のコイル11およびコイル24を備えた電力伝送システムにおいても、電力の低周波化を図ることができることがわかる。このように、本実施の形態に係る電力伝送システムによれば、送電装置と、受電装置と、送電装置に接続された周辺機器と、受電装置に接続された周辺機器を流れる電力の低周波化を図ることができる。
【0162】
(実施の形態2)
図22から図24などを用いて、本実施の形態2に係る電力伝送システム、送電装置、および受電装置について説明する。なお、図22から図24に示す構成のうち、上記図1から図21に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0163】
図22は、本実施の形態2に係る受電装置と送電装置との要部を模式的に示す斜視図である。この図22に示す例においても、コイル11は、コイル線45を巻きまわして形成されており、コイル24も、コイル線55を巻きまわすことで形成されている。
【0164】
コイル11は、端部50および端部51を含む。そして、コイル11は、端部50から端部51に向かうにつれて、巻回中心線O3の周囲を取り囲むように延びると共に、巻回中心線O3の延びる方向に変位するように形成されている。
【0165】
すなわち、この図22に示す例においては、コイル11は、巻回中心線O3を中心に同心円状となるように、螺旋状に形成されている。なお、典型的には、巻回中心線O3上からコイル11を見たときに、コイル11は、巻回中心線O3を中心として円形形状となるように形成されているが、コイル11の形状としては、このような形状に限られない。
【0166】
コイル線45の主表面46および主表面47は、巻回中心線O3の延びる方向に互いに間隔をあけて配置されている。具体的には、主表面46および主表面47は、互いにピッチP7をあけて互いに対向するように配置されている。図23は、コイル11の一部を示す断面図である。この図23において、主表面46の面積と主表面47の面積とのいずれもが、側面48の面積と側面49の面積とのいずれよりも大きい。そして、第3部分80cと、第2部分80bと、第1部分80aとは、配列方向AD11方向に配列している。この図23に示す例においては、配列方向AD11は、巻回中心線O3と平行となっている。ここで、配列方向AD11と垂直な方向を垂直方向VD11とする。
【0167】
配列方向AD11に垂直な仮想平面を仮想平面VP11とし、垂直方向VD11に垂直な仮想平面を仮想平面VP12とする。そして、第1部分80aの断面を配列方向AD11から仮想平面VP11に投影したときの投影線分を投影線分PD11とする。そして、第1部分80aを垂直方向VD11から仮想平面VP12に投影したときの投影線分を投影線分PD12とする。この図23からも明らかなように、投影線分PD11は、投影線分PD12よりも長い。このため、実施の形態2においても、コイル11に形成される容量を大きくすることができる。
【0168】
なお、この図23に示す例においては、ピッチP7の方向と、配列方向AD11の方向とは、いずれも、図22に示す巻回中心線O3の延びる方向となっている。このため、コイル線45の厚さ方向は、配列方向AD11となっており、面積が大きい主表面46および主表面47が互いに対向する。このため、コイル11の浮遊容量は大きくなっている。
【0169】
ここで、コイル線45の幅W1よりも、ピッチP7は小さい。このため、図22に示すコイル11の高さが低く抑えられている。さらに、ピッチP7を小さくすることで、コイル11の浮遊容量を大きくすることができる。なお、ピッチP7は、たとえば、2mm以上5mm以下程度とされている。
【0170】
このように形成されたコイル11は、コイル11のインダクタンスと、コイル11の浮遊容量とを有し、このインダクタンスおよび浮遊容量によって電気回路が形成される。
【0171】
図22において、コイル11のうち、コイル線45の長さ方向の中央部に位置する部分を中央部M3とする。
【0172】
コイル11のうち、中央部M3に対して巻回中心線O3の延びる方向と隣り合う部分を部分66および部分67とする。コイル11のうち、端部51に対して巻回中心線O3の延びる方向に隣り合う部分を68とする。コイル11のうち、端部50と巻回中心線O3の延びる方向に隣り合う部分を部分69とする。
【0173】
そして、中央部M3と部分66との間のピッチをピッチP9とし、中央部M3と部分67との間のピッチをピッチP10とする。端部51と部分68との間のピッチをピッチP11とし、端部50と部分69との間のピッチをピッチP12とする。ピッチP9とピッチP10とは、いずれも、ピッチP11とピッチP12とのいずれよりも大きい。
【0174】
コイル11のうち、中央部M3が位置する部分は、電力伝送時において、大量の電流が流れる。その一方で、上記のようにピッチP9およびピッチP10を広くすることで、中央部M3と部分66との間、または、中央部M3と部分67との間で放電が生じることを抑制することができる。
【0175】
図24は、図23に示すコイル11の第1変形例を示す断面図である。この図24に示す例においては、コイル線45の断面形状は、台形形状とされている。この図24に示す例においても、第3部分80cと、第2部分80bと、第1部分80aとは、配列方向AD11方向に配列しており、投影線分PD11は、投影線分PD12よりも長くなっている。このため、この図24に示す例においても、コイル11に形成される容量は大きい。
【0176】
具体的には、第3部分80cと第2部分80bとにおいては、第2部分80bの主表面47と、第3部分80cの主表面46、側面48および側面49とが対向しており、第3部分80cと第2部分80bとの間で大きな容量が形成されている。なお、同様に、第1部分80aと第2部分80bとの間でも大きな容量が形成されている。図25は、図23に示すコイル11の第2変形例を示す断面図である。この図25に示す例においては、コイル11は下端部から他方の上端部に向かうにつれて、巻回中心線O3に沿って変位するとともに、巻径が大きくなるように形成されている。
【0177】
このため、この図25に示す例においては、配列方向AD12とピッチP7の方向とは一致しておらず、配列方向AD12は、ピッチP7の方向および巻回中心線O3に対して交差する。その一方で、この図25に示す例においても、投影線分PD13の長さは、投影線分PD14の長さよりも長いため、第3部分80cと、第2部分80bと、第1部分80aとの間で大きな容量が形成される。
【0178】
コイル24は、巻回中心線O4を中心に螺旋状に形成されている。コイル線55の主表面56および主表面57は、巻回中心線O4の延びる方向に互いに間隔をあけて配置されている。具体的には、主表面56および主表面57は、互いにピッチP8をあけて互いに対向するように配置されている。図26は、コイル24の一部を示す断面図である。この図26において、主表面56の面積と主表面57の面積とのいずれもが、側面58の面積と側面49の面積とのいずれよりも大きい。そして、第3部分81cと、第2部分81bと、第1部分81aとは、配列方向AD13方向に配列している。この図26に示す例においては、配列方向AD13は、巻回中心線O4と平行となっている。ここで、配列方向AD13と垂直な方向を垂直方向VD13とする。
【0179】
配列方向AD13に垂直な仮想平面を仮想平面VP15とし、垂直方向VD13に垂直な仮想平面を仮想平面VP16とする。そして、第1部分81aの断面を配列方向AD13から仮想平面VP15に投影したときの投影線分を投影線分PD15とする。そして、第1部分81aを垂直方向VD13から仮想平面VP16に投影したときの投影線分を投影線分PD16とする。この図26からも明らかなように、投影線分PD15は、投影線分PD16よりも長い。このため、実施の形態2においても、コイル24に形成される容量を大きくすることができる。
【0180】
なお、この図26に示す例においては、ピッチP8方向と、配列方向AD13の方向とは、いずれも、図22に示す巻回中心線O4の延びる方向となっている。このため、コイル線55の厚さ方向は、配列方向AD13となっており、面積が大きい主表面56および主表面57が互いに対向する。このため、コイル24の浮遊容量は大きくなる。なお、コイル線55の巻回方向としては、図22に示す巻回方向の反対方向に巻くようにしてもよい。
【0181】
ここで、コイル線55の幅W2よりも、ピッチP8は小さい。このため、図22に示すコイル24の高さが低く抑えられている。さらに、ピッチP8を小さくすることで、コイル24の浮遊容量を大きくすることができる。なお、ピッチP8は、たとえば、2mm以上5mm以下程度とされている。
【0182】
このように形成されたコイル24は、コイル24のインダクタンスと、コイル24の浮遊容量とを有し、このインダクタンスおよび浮遊容量によって電気回路が形成される。図22において、コイル24のうち、コイル線55の長さ方向の中央部に位置する部分を中央部M4とする。
【0183】
コイル24のうち、中央部M4に対して巻回中心線O4の延びる方向と隣り合う部分を部分70および部分71とする。コイル24のうち、端部51に対して巻回中心線O4の延びる方向に隣り合う部分を72とする。コイル24のうち、端部50と巻回中心線O4の延びる方向に隣り合う部分を部分73とする。
【0184】
そして、中央部M4と部分70との間のピッチをピッチP13とし、中央部M4と部分71との間のピッチをピッチP14とする。端部51と部分72との間のピッチをピッチP15とし、端部50と部分73との間のピッチをピッチP16とする。
【0185】
ピッチP13とピッチP14とは、いずれも、ピッチP15とピッチP16とのいずれよりも大きい。
【0186】
コイル24のうち、中央部M4が位置する部分は、電力伝送時において、大量の電流が流れる。その一方で、上記のようにピッチP13およびピッチP14を広くすることで、中央部M4と部分70との間、または、中央部M4と部分71との間で放電が生じることを抑制することができる。
【0187】
図27は、図26に示すコイル24の第1変形例を示す断面図である。この図27に示す例においては、コイル線55の断面形状は、台形形状とされている。この図27に示す例においても、第3部分81cと、第2部分81bと、第1部分81aとは、配列方向AD13方向に配列しており、投影線分PD15は、投影線分PD16よりも長くなっている。このため、この図27に示す例においても、コイル24に形成される容量は大きい。
【0188】
具体的には、第3部分81cと第2部分81bとにおいては、第2部分81bの主表面57と、第3部分81cの主表面56、側面58および側面59とが対向しており、第3部分81cと第2部分81bとの間で大きな容量が形成されている。同様に、第1部分81aと第2部分81bとの間でも大きな容量が形成される。図28は、図26に示すコイル24の第2変形例を示す断面図である。この図28に示す例においては、コイル24は下端部から他方の上端部に向かうにつれて、巻回中心線O4に沿って変位するとともに、巻径が大きくなるように形成されている。
【0189】
このため、この図28に示す例においては、配列方向AD14とピッチP8の方向とは一致しておらず、配列方向AD14は、ピッチP8の方向および巻回中心線O4に対して交差する。その一方で、この図28に示す例においても、投影線分PD17の長さは、投影線分PD18の長さよりも長いため、第3部分81cと、第2部分81bと、第1部分81aとの間で大きな容量が形成される。
【0190】
ここで、本実施の形態においても、コイル11によって形成される電気回路の固有周波数と、コイル24によって形成される固有周波数とは、一致している。さらに、コイル11とコイル24との結合係数は0.1以下である。
【0191】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0192】
本発明は、受電装置、送電装置および電力伝送システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0193】
10 電動車両、11,12,23,24 コイル、13 整流器、14 コンバータ、15 バッテリ、16 パワーコントロールユニット、17 モータユニット、19,25 キャパシタ、20 外部給電装置、21 交流電源、22 高周波電力ドライバ、26 制御部、27 受電部、28 送電部、29 インピーダンス調整器、40 受電装置、41 送電装置、42 駐車スペース、45,55,54 コイル線、46,47,56,57 主表面、48,49,58,59 側面、50,51,60,61 端部、62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73 部分、C キャパシタンス、EP11,EP12,EP13 実験点、L インダクタンス、L1,L2 仮想線、M1,M2,M3,M4 中央部、O1,O2,O3,O4 巻回中心線、P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8,P9,P10,P11,P12,P13,P14 ピッチ、T1 厚さ、W1,W2 幅、X 距離。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に設けられた送電部から非接触で電力を受電する受電部を備え、
前記受電部は、第1コイル線をピッチをあけて巻き回すことで形成された第1コイルを含み、
前記第1コイルは、第1部分と、前記第1部分と前記ピッチをあけて隣り合う第2部分とを含み、
前記第1部分と前記第2部分とは、配列方向に配列し、
前記第1コイル線の延在方向に対して垂直な前記第1コイル線の断面は、前記配列方向に対して垂直な第1仮想平面に前記断面を配列方向から投影したときの第1投影線の長さが、前記第1仮想平面に垂直な第2仮想平面に前記断面を前記配列方向に垂直な方向から投影したときの第2投影線の長さよりも大きい、受電装置。
【請求項2】
前記第1コイル線は、第1主表面および第2主表面と、前記第1主表面および前記第2主表面を接続するように設けられた第1側面および第2側面とを含み、
前記第1主表面の面積と前記第2主表面との面積とのいずれもが、前記第1側面の面積と前記第2側面の面積とのいずれよりも大きい、請求項1に記載の受電装置。
【請求項3】
前記第1コイルのピッチは、前記第1コイル線の幅よりも小さい、請求項1または請求項2に記載の受電装置。
【請求項4】
前記第1コイルは、第1端部と第2端部とを含み、
前記第1コイルは、前記第1端部から前記第2端部に向かうにつれて、巻回中心線の周囲を取り囲むように延びると共に前記巻回中心線の延びる方向に変位するように前記第1コイル線を曲げて形成され、
前記第1部分および前記第2部分とは、前記巻回中心線の延びる方向に配列された、請求項1から請求項3のいずれかに記載の受電装置。
【請求項5】
前記第1コイルのうち前記第1コイル線の長さ方向の中央部に位置する中央部分と、前記第1コイルのうち、前記中央部分に対して前記巻回中心線の延びる方向に隣り合う部分との間の間隔は、前記第1端部と、前記第1端部に対して前記巻回中心線の延びる方向に隣り合う部分との間の間隔よりも大きい、請求項4に記載の受電装置。
【請求項6】
前記第1コイルは、第1端部および第2端部を含み、
前記第1コイル線は、前記第1端部から前記第2端部に向かうにつれて、巻回中心線の周囲を取り囲むように延びると共に、前記巻回中心線から離れるように曲げられ、
前記第1コイルは、前記第1部分と前記第2部分との配列方向と前記巻回中心線とが交差するように、前記第1コイルを線回することで形成された、請求項1から請求項3のいずれかに記載の受電装置。
【請求項7】
前記第1コイルのうち前記第1コイル線の長さ方向の中央部に位置する中央部分と、前記第1コイルのうち、前記中央部分に対して前記巻回中心線と交差する方向に隣り合う部分との間の間隔は、前記第1端部と、前記第1端部に対して前記巻回中心線と交差する方向に隣り合う部分との間の間隔よりも大きい、請求項6に記載の受電装置。
【請求項8】
前記第1コイル線の延在方向に対して垂直な方向における前記第1コイル線の断面形状は、方形形状とされた、請求項1から請求項7のいずれか記載の受電装置。
【請求項9】
前記送電部の固有周波数と前記受電部の固有周波数との差は、前記受電部の固有周波数の10%以下である、請求項1から請求項8のいずれかに記載の受電装置。
【請求項10】
前記受電部は、前記受電部と前記送電部の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する磁界と、前記受電部と前記送電部の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する電界との少なくとも一方を通じて前記送電部から電力を受電する、請求項1から請求項9のいずれかに記載の受電装置。
【請求項11】
前記受電部と前記送電部との結合係数は、0.1以下である、請求項1から請求項10のいずれかに記載の受電装置。
【請求項12】
外部に設けられた受電部に非接触で電力を送電する送電部を備え、
前記送電部は、第2コイル線をピッチをあけて巻き回すことで形成された第2コイルを含み、
前記第2コイルは、第3部分と、前記第3部分と前記ピッチをあけて隣り合う第4部分とを含み、
前記第3部分と前記第4部分とは、配列方向に配列し、
前記第2コイル線の延在方向に対して垂直な前記第2コイル線の断面は、前記配列方向に対して垂直な第3仮想平面に前記断面を前記配列方向から投影したときの第3投影線の長さが、前記第3仮想平面に垂直な第4仮想平面に前記断面を前記配列方向に対して垂直な方向から投影したときの第4投影線の長さよりも大きい、送電装置。
【請求項13】
前記第2コイル線は、第3主表面および第4主表面と、前記第3主表面および前記第4主表面を接続するように設けられた第3側面および第4側面とを含み、
前記第3主表面の面積と前記第4主表面との面積とのいずれもが、前記第3側面の面積と前記第4側面の面積の面積よりも大きい、請求項12に記載の送電装置。
【請求項14】
前記第2コイルのピッチは、前記第2コイル線の幅よりも小さい、請求項12または請求項13に記載の送電装置。
【請求項15】
前記第2コイルは、第3端部と第4端部とを含み、
前記第2コイルは、前記第3端部から前記第4端部に向かうにつれて、巻回中心線の周囲を取り囲むように延びると共に前記巻回中心線の延びる方向に変位するように前記第2コイル線を曲げて形成され、
前記第3部分および前記第4部分とは、前記巻回中心線の延びる方向に配列された、請求項12から請求項14のいずれかに記載の送電装置。
【請求項16】
前記第2コイルのうち前記第2コイル線の長さ方向の中央部に位置する中央部分と、前記第2コイルのうち、前記中央部分に対して前記巻回中心線の延びる方向に隣り合う部分との間の間隔は、前記第3端部と、前記第3端部に対して前記巻回中心線の延びる方向に隣り合う部分との間の間隔よりも大きい、請求項15に記載の送電装置。
【請求項17】
前記第2コイルは、第3端部および第4端部を含み、
前記第2コイル線は、前記第3端部から前記第4端部に向かうにつれて、巻回中心線の周囲を取り囲むように延びると共に、前記巻回中心線から離れるように曲げられ、
前記第2コイルは、前記第3部分と前記第4部分との配列方向と前記巻回中心線とが交差するように、前記第2コイルを線回することで形成された、請求項12から請求項14のいずれかに記載の送電装置。
【請求項18】
前記第2コイルのうち前記第2コイル線の長さ方向の中央部に位置する中央部分と、前記第2コイルのうち、前記中央部分に対して前記巻回中心線と交差する方向に隣り合う部分との間の間隔は、前記第3端部と、前記第3端部に対して前記巻回中心線と交差する方向に隣り合う部分との間の間隔よりも大きい、請求項17に記載の送電装置。
【請求項19】
前記第2コイル線の延在方向に対して垂直な方向における前記第2コイル線の断面形状は、方形形状とされた、請求項12から請求項18のいずれか記載の送電装置。
【請求項20】
前記送電部の固有周波数と前記受電部の固有周波数との差は、前記受電部の固有周波数の10%以下である、請求項12から請求項19のいずれかに記載の送電装置。
【請求項21】
前記送電部は、前記受電部と前記送電部の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する磁界と、前記受電部と前記送電部の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する電界との少なくとも一方を通じて、前記受電部に電力を送電する、請求項12から請求項20のいずれかに記載の送電装置。
【請求項22】
前記受電部と前記送電部との結合係数は、0.1以下である、請求項12から請求項21のいずれかに記載の送電装置。
【請求項23】
受電部を含む受電装置と、前記受電部に非接触で電力を送電する送電部を含む送電装置とを備えた電力伝送システムであって、
前記受電部は、第1コイル線をピッチをあけて巻き回すことで形成された第1コイルを含み、
前記第1コイルは、第1部分と、前記第1部分と前記ピッチをあけて隣り合う第2部分とを含み、
前記第1部分と前記第2部分とは、配列方向に配列し、
前記第1コイル線の延在方向に対して垂直な前記第1コイル線の断面は、前記配列方向に対して垂直な第1仮想平面に前記断面を配列方向から投影したときの第1投影線の長さが、前記第1仮想平面に垂直な第2仮想平面に前記断面を前記配列方向に垂直な方向から投影したときの第2投影線の長さよりも大きい、電力伝送システム。
【請求項24】
受電部を含む受電装置と、前記受電部に非接触で電力を送電する送電部を含む送電装置とを備えた電力伝送システムであって、
前記送電部は、第2コイル線をピッチをあけて巻き回すことで形成された第2コイルを含み、
前記第2コイルは、第3部分と、前記第3部分と前記ピッチをあけて隣り合う第4部分とを含み、
前記第3部分と前記第4部分とは、配列方向に配列し、
前記第2コイル線の延在方向に対して垂直な前記第2コイル線の断面は、前記配列方向に対して垂直な第3仮想平面に前記断面を前記配列方向から投影したときの第3投影線の長さが、前記第3仮想平面に垂直な第4仮想平面に前記断面を前記配列方向に対して垂直な方向から投影したときの第4投影線の長さよりも大きい、電力伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−89860(P2013−89860A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230800(P2011−230800)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)