説明

口内を清掃するための装置

本発明は、指ぬき状の本体(1)を有する、口内を清掃するための装置に関する。当該装置が簡単に指から滑脱し得ず、しかも複数回の時でも衛生的に保たれるように、本体(1)が、フレキシブルに構成された位置固定装置(4)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指ぬき状の本体を有する、口内を清掃するための装置に関する。
【0002】
従来技術
口内を清掃するためのこのような装置は、既に多様な形および構成で知られており、慣用されている。口内、特に歯および歯茎の清掃は、現在ますます重要になりつつある。この場合、使用される装置に課せられる、効果および衛生に関する要求はますます高くなりつつある。
【0003】
たとえば、ドイツ連邦共和国特許第10215805号明細書に基づき、いわゆる歯清掃部材が公知である。この歯清掃部材は、一方の端部で閉じられたスリーブ(Stulpe)の形状を有する、織られたまたは編まれた基層と、この基層により担持されたパイル層(Florschicht)とを備えている。このパイル層は、基層から外方に突出した糸を有している。この場合、パイル層は、基層と一緒に織られたまたは一緒に編まれたループ(Schlinge)から成る層を有している。
【0004】
公知先行技術において不都合となるのは、使用者の指が大きすぎるか、または小さすぎる場合、しばしば取扱いが困難になることである。なぜならば、公知先行技術による装置は、過度にルーズにまたは過度にきつく使用者の指にフィットし、両方の場合に、指から滑り落ちるおそれがあるからである。さらに、細かく織られた布地は、バクテリアまたはそれに類するもののための格好の温床(Hort)を形成し、これらのバクテリアまたはそれに類するものは、あとからの使用時に再び、歯茎、または存在し得る歯茎損傷部に移される。
【0005】
課題
本発明の根底を成す課題は、簡単に指から滑脱し得ず、しかも複数回の時でも衛生的に保たれるような、口内を清掃するための装置を提供することである。
【0006】
課題を解決するための手段
この課題を解決するために、本体が、位置固定装置(Sicherung)を有しているようにした。
【0007】
本発明による口内を清掃するための装置は、種々異なる材料から製造され得る。本実施例では、使用される材料はマイクロ繊維織物である。
【0008】
この場合、マイクロ繊維とは、個別の繊維がポリエステル・ポリアミド混合物から製造されていて、かつ1デニールよりも細い繊維のための呼称である。細い絹糸は、たとえば約1.24デニールである。大抵のマイクロ繊維は、0.5〜0.6デニールである。使用される繊維織物の個別の繊維は、人毛の直径のたった100分の1の直径しか有していない。このように繊維がとても小さいので、多数の繊維をまとめることができ、このことはより大きな繊維表面をもたらす。
【0009】
マイクロ繊維織物は、極めて軟らかく、その形状を良好に保持する。全てのマイクロ繊維製品の重要な利点は、その特に強い吸水性である。マイクロ繊維製品は、従来の木綿繊維の5倍も多くの水を吸収する。このことは、口領域での使用に関する場合、1つの重要な特性である。口領域は、使用者により清掃のために口内にもたらされた水と唾液とのために、極めて湿潤な環境である。
【0010】
使用された繊維製品の抗菌効果は、銀イオンに基づいている。この銀イオンは、繊維ポリマに堅固に組み込まれている。生体活性の繊維製品上では、バクテリアの成長が妨げられる。抗菌作用は直接に繊維製品上のみで生じて、放出されない。したがって、この繊維製品の使用は利用者にとって安全である。
【0011】
この場合、使用される材料は、確定的なものとみなすべきではない。むしろ、使用される材料が、その材料に課された課題を達成することができるかが重要である。課題を達成することができる場合、その材料は口内を清掃するための装置に用いられる材料とみなされる。
【0012】
この場合、課題は、確定的なものではなく、例示的なものとして列挙されるべきである。第一には、基層が、容易に織る、編むもしくは加工することのできるフレキシブルな材料から形成されていなければならないことを考慮すべきである。
【0013】
基層上には、パイル層が被着される。このパイル層では、別の特性を重視しなければならない。なぜならば、このパイル層には、第一に以下の課題が課されるからである。すなわち、液体の吸収に加えて、特に抗菌作用を発揮し、使用後には簡単に洗浄可能であるという課題である。
【0014】
廉価な製造の別の手段は、以下のように、同じく本発明の思想に包含されている。この場合、2つのマイクロ繊維製品が互いに重ね合わされて、U字形プロファイルの打抜きカッタにより所望の形状およびサイズに打ち抜かれる。同時に、超音波溶接技術を用いて打抜き縁部が互いに結合される。セーフティループ(Sicherheitsschlaufe)は、この作業ステップで同時に取り付けることができる。完成した指サック(Fingerling)は、さらに左から右へと裏返しにされる。
【0015】
パイル層の別の重要な課題は、このパイル層が、容易に基層に結合可能でなければならないということである。有利な実施形態では、本体に位置固定装置が取り付けられる。
【0016】
位置固定装置の取付け方は重要ではない。同様に、位置固定装置が基層と同じ材料から成っているかどうかも重要ではない。このことは、単に加工を容易にし、位置固定装置のフレキシビリティと伸縮性を保証するだけである。
【0017】
位置固定装置は、有利な実施形態ではループとして形成されており、中指に被さるために働く。本発明の思想に、本体に設けられた位置固定装置の異なる形状も同じく含まれているべきである。
【0018】
したがって、本体から2つの糸が突出しており、使用者が、口内の清掃時に当該装置の滑落を防止するために、これらの糸を手首に巻くか、または手首に結びつけることも同じく考えられる。本発明の思想は基本的に、装置を、指からの滑落から保護することにある。
【0019】
さらに、有利な実施例で示された装置Eは、当該装置Eが右手の人差し指および中指において使用されると望ましいように設計されている。この実施例とは無関係に、本発明の思想には、同じく、別の全ての指における配置が包含されている。したがって、どの指に本体が被せられるかは重要ではない。同じく、左右どちらの手を装置の使用のために使用するかも重要ではない。
【0020】
基本的には、手袋としての設計も考え得る。その場合、1つまたは複数の指に組み込まれ得る本体に加えて、手袋の残りの部分によって当該装置が固定される。
【0021】
本体に設けられた位置固定装置により、歯茎に十分な力を及ぼすことが容易に可能となり、これにより歯茎をマッサージすることもできる。
【0022】
人間に対する使用の他にも、動物に対する使用も本発明の思想に包含される。
【0023】
口内とは、歯、舌、歯茎および口腔に加えて、口内の全ての異物を表す。したがって、使用者は特に適合された装置により、口内に位置する金属製の装飾部分を清掃するか、または金またはセラミックから成る歯充填物を磨くことができる。
【0024】
図面の説明
本発明の別の利点、特徴および詳細は、以下の有利な実施形態の説明および添付の図面から明らかになる。図面には、口内を清掃するための本発明による装置が唯1つの図面で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】口内を清掃するための装置Eを示す図である。
【0026】
図1には口内を清掃するための装置Eが示されている。この装置Eは、基本形状を成す本体1と、位置固定装置4とを有している。本体1と位置固定装置4とは、一箇所で互いに堅固に結合されている。
【0027】
他方で本体1は、パイル層2と基層3とから成っている。基層3は、弾性的に形成されている。この基層3は、パイル層の下側で指先の端部にまで延びていて、指先を指ぬき(Fingerhut)のように取り囲んでいる。基層上には、パイル層が、有利な実施例では爪床の高さにまで配置されている。指背、つまり手の甲側の指面は、基層によってしか覆われていない。
【0028】
位置固定装置4は、有利な実施例では、基層3と同じ材料から製造されている。位置固定装置4は、フレキシブルかつループ状に形成されている。
【0029】
本発明の機能形式は以下の通りである:使用者が本体1を人差し指5に被せる。この場合、有利な実施例では、右手の人差し指5である。
【0030】
位置固定装置4を、同じ右手の中指6に被せる。
【0031】
次いで、使用者は位置固定装置4により固定された本体1を口内に導入することができ、前後に動かすことにより口内、特に歯をこれによって清掃することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 本体
2 パイル層
3 基層
4 位置固定装置
5 人差し指
6 中指
E 装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指ぬき状の本体(1)を有する、口内を清掃するための装置において、前記本体(1)が、位置固定装置(4)を備えていることを特徴とする、口内を清掃するための装置。
【請求項2】
前記位置固定装置がフレキシブルに形成されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記位置固定装置がループとして形成されている、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記本体(1)が、パイル区分(2)と基本区分(3)とから成っており、前記位置固定装置(4)が、前記基本区分(3)に結合されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
指ぬき状の本体(1)を有する、口内を清掃するための装置において、少なくとも1つのパイル区分(2)が、抗菌性の布地から成っていることを特徴とする、口内を清掃するための装置。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2011−509129(P2011−509129A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541689(P2010−541689)
【出願日】平成21年1月2日(2009.1.2)
【国際出願番号】PCT/DE2009/000001
【国際公開番号】WO2009/086813
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(510192101)
【氏名又は名称原語表記】Thomas Methfessel
【住所又は居所原語表記】Bodmannstrasse 6, D−87439 Kempten, Germany
【Fターム(参考)】