説明

口腔および上気道の疾患を治療するための組成物

本発明は、アントシアノシド類および/またはプロシアニジン類をフロログルシノール類と組み合わせて含む、口腔および上気道の疾患を治療するための組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アントシアノシド類および/またはプロシアニジン類をフロログルシノールと組み合わせて含んだ、口腔および上気道の疾患を治療するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プラーク形成を伴った、咽頭の発赤および炎症が、一般的な、インフルエンザ、鼻風邪、および他の感冒に通常随伴される。一般的な感冒およびインフルエンザは、小児や成人のいずれもが年に平均して3回まで罹患し、ライノウイルス(40%)、コロナウイルス(10%)、ならびに、程度は低いが、アデノウイルスおよびパラインフルエンザウイルスが引き起こす、軽度のウィルス感染症に関連する。これらの病状に対する特別の治療法はないが、浮腫の軽減が疼痛を緩和して疾患の経過を短縮することから、抗ヒスタミン薬やうっ血除去薬が有用と考えられる。
[発明の開示]
本発明は、
a)アントシアノシド類、および/または
b)プロシアニジン類、および
c)フロログルシノール類、
を含む、口腔および上気道の疾患の治療に有用な組成物に関する。
【0003】
本発明によると、本組成物はアントシアノシド類1〜200mg、および/またはプロシアニジン類1〜200mg、およびフロログルシノール類1〜200mgを含む。
【0004】
本発明によると、「アントシアノシド類」は、本来のアントシアノシド類およびそのアグリコンであるアントシアニジン類のいずれをも含む。アントシアノシド類は、好ましくはVaccinium myrtillus抽出物に由来する。文献に報告されるビルベリー(Vaccinium myrtillus)抽出物は、毛細血管の透過性および脆弱性に対する作用によって、特に局所で顕著な抗炎症活性を有する。アントシアノシド類を含むビルベリー抽出物の調製は、当業者に周知である。ビルベリーのアントシアノシド類およびプロシアニジン類は、例えば、歯および歯周部、ならびに粘膜で細菌および真菌の接着を阻止する静菌作用を示す。
【0005】
本発明によると、プロシアニジン類は、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)抽出物から、GB1,541,469に開示されるように得られるが、またはEP0814823に開示されるようにチャノキ(Camellia sinensis)抽出物から、あるいは、これらを含む、好ましくは食用の他の植物から誘導できることが好ましい。
【0006】
フロログルシノール類は、多数の細菌株または真菌株に対する強力な静菌作用を示す。グラム陽性細菌、グラム陰性嫌気性菌、およびカンジダアルビカンス(Candida albicans)株に対する最小発育阻止濃度の値が、0.5〜4μg/mlにおよぶフロログルシノール類もある。
【0007】
本発明によると、フロログルシノール類は、オトギリソウ(Hypericum)属の種の抽出物、好ましくはセイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum)から、またはギンバイカ(Mirtus)属の種の抽出物、好ましくはギンバイカ(Mirtus communis)から、またはホップ(Humulus)属の種の画分、好ましくはα酸およびβ酸に富んだホップ(Humulus lupulus)から誘導できる。本発明によると、ホップから調製したβ酸画分は、20〜80%が、好ましくは60%がコルプロンとして発現するフロログルシノール類を含み、α酸画分は、20〜80%、好ましくは60%のフムロンを含む。
【0008】
本発明によると、オトギリソウ種抽出物の中で特に好ましいものは、フロログルシノール(アドヒペルフォリン/ヒペルフォリン)含有量が20〜80%の範囲にあり、好ましくは60%である、セイヨウオトギリソウの抽出物である。
【0009】
本発明によると、ギンバイカ抽出物は、圧力が235〜260バールの範囲、および温度が40〜60℃の範囲、好ましくは45℃の条件下で、二酸化炭素抽出法によってその葉から調製される。得られた抽出物は、ミルトクモロン(mirtocumolone)含有量が通常35%である。
【0010】
本発明の組成物によって、多様な口腔腐生感染症に由来する化膿性プラークの形成を阻害することが可能であり、これによって抗生物質の使用を避け、一方感染症の進行が緩和される。特に本発明の組成物は、疾患の持続に関して主に相乗効果を示すことが立証されている。
【0011】
さらに、本発明の組成物は、既に言及した、ビルベリー抽出物およびプロシアニジン類が示す細菌の付着性を軽減させる効果、ならびにフロログルシノール類の嫌気性菌株に対する強い活性のために、口腔の清浄度、および歯垢の除去に関して有利な効果を示す。
【0012】
本医薬組成物は、好ましくは、口腔内で徐々に溶解する錠剤型、または有効成分の徐放を可能にするチューインガム、を提起する。これらの組成物は、口腔衛生用と同様に、防止的および予防的な治療に使用される。
【0013】
さらに好ましい態様によると、本発明の組成物は、さらに精油、特にミント油を含む。
【0014】
さらに好ましい態様によると、本発明の組成物は、好ましくはグリチルリチン酸10%を含む甘草エキスをさらに含む。
【0015】
したがって本発明は、上記の組合せを含んだ、口腔および上気道の疾患を治療するための組成物に関する。
【0016】
前記組成物は、「Remington’s Pharmaceutical Handbook」Mack Publishing Co.、N.Y.,USAに記載されたように、周知の薬学技術である従来の方法に従って、先行技術で通常使用される、好適な賦形剤を加えて調製する。
【0017】
本発明は、口腔および上気道の疾患を治療するための薬剤を調製するために、アントシアノシド類、および/またはプロシアニジン類、ならびにフロログルシノール類を組み合わせて使用することにも関する。
【0018】
以下に報告する実施例によって、本発明をさらに示す。
実施例1−錠剤
各500mg錠剤は、以下を含む。
【0019】
Vaccinium myrtillus抽出物
(アントシアニジン類25%) 60mg
ホップ抽出物
(フロログルシノール類60%) 10mg
大豆レシチン
(ホスファチジルコリン30%) 30mg
グリチルリチン抽出物
(グリチルリチン酸10%) 20mg
ミント精油 10mg
スクロース 200mg
マルトデキストリン 150mg
アラビアゴム 15mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
実施例II−錠剤
各500mg錠剤は、以下を含む。
【0020】
ヨーロッパブドウ抽出物
(プロシアニジン類95%) 80mg
ホップ抽出物
(フロログルシノール類60%) 10mg
大豆レシチン
(ホスファチジルコリン30%) 30mg
グリチルリチン抽出物
(グリチルリチン酸10%) 20mg
ミント精油 10mg
マンニトール 320mg
ポビドン 20mg
二酸化ケイ素 5mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
実施例III−錠剤
各500mg錠剤は、以下を含む。
【0021】
ヨーロッパブドウ抽出物
(プロシアニジン類95%) 80mg
ギンバイカ親油性抽出物
(ミルトクプロン35%) 10mg
グリチルリチン抽出物
(グリチルリチン酸10%) 20mg
ミント精油 10mg
マルトデキストリン 332mg
サッカリンナトリウム 3mg
アラビアゴム 30mg
タルク 10mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
実施例IV−錠剤
各500mg錠剤は、以下を含む。
【0022】
Vaccinium myrtillus抽出物
(アントシアニジン類25%) 60mg
ギンバイカ親油性抽出物
(ミルトクプロン35%) 10mg
大豆レシチン
(ホスファチジルコリン30%) 30mg
グリチルリチン抽出物
(グリチルリチン酸10%) 20mg
ミント精油 10mg
スクロース 330mg
トラガカントガム 20mg
二酸化ケイ素 5mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
実施例V−錠剤
各500mg錠剤は、以下を含む。
【0023】
チャノキ抽出物
(プロシアニドールオリゴマー類70%) 80mg
ホップ抽出物
(フロログルシノール類60%) 10mg
大豆レシチン
(ホスファチジルコリン30%) 30mg
グリチルリチン抽出物
(グリチルリチン酸10%) 20mg
ミント精油 10mg
マンニトール 320mg
ポビドン 20mg
二酸化ケイ素 5mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
実施例VI−錠剤
各500mg錠剤は、以下を含む。
【0024】
チャノキ抽出物
(プロシアニドールオリゴマー類70%) 80mg
セイヨウオトギリソウ抽出物
(フロログルシノール類60%) 10mg
大豆レシチン
(ホスファチジルコリン30%) 30mg
グリチルリチン抽出物
(グリチルリチン酸10%) 20mg
ミント精油 10mg
マンニトール 320mg
ポビドン 20mg
二酸化ケイ素 5mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
実施例VII−チューイングガム
各2000mgチューイングガムは以下を含む。
【0025】
ヨーロッパブドウ抽出物
(プロシアニジン95%) 80mg
ギンバイカ親油性抽出物
(ミルトクプロン30%) 10mg
グリチルリチン抽出物
(グリチルリチン酸10%) 20mg
ミント精油 10mg
ガムベース 1598mg
キシリトール 250mg
アスパルテーム 2mg
ステアリン酸マグネシウム 15mg
タルク 15mg

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)アントシアノシド類、および/または
b)プロシアニジン類、および
c)フロログルシノール類、
を含む、口腔および上気道の疾患を治療するための組成物。
【請求項2】
a)アントシアノシド類1〜200mg、および/または
b)プロシアニジン類1〜200mg、および
c)フロログルシノール類1〜200mg、
を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アントシアノシド類が、Vaccinium myrtillus抽出物に由来する上記請求項に記載の組成物。
【請求項4】
前記プロシアニジン類が、ヨーロッパブドウ抽出物またはチヤノキ抽出物、またはこれらを含む他の食用植物に由来する請求項1ないし2に記載の組成物。
【請求項5】
前記フロログルシノール類が、オトギリソウ属の種、ギンバイカ属の種、またはホップの抽出物に由来する請求項1ないし2に記載の組成物。
【請求項6】
前記フロログルシノール類が、セイヨウオトギリソウまたはギンバイカの抽出物、あるいはホップのα酸とβ酸とに富んだ画分に由来する請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ホップからの前記β酸画分がコルプロンとして発現する20〜80%のフロログルシノール類を含み、前記α酸画分がフムロンを20〜80%含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
ホップから調製した前記β酸画分がコルプロンとして発現する60%のフロログルシノール類を含み、前記α酸画分がフムロンを60%含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記オトギリソウ属の種の抽出物が、20〜80%の範囲のフロログルシノール類含有量のセイヨウオトギリソウ抽出物である請求項1ないし2に記載の組成物。
【請求項10】
前記セイヨウオトギリソウ抽出物における前記フロログルシノール類の含有量が、60%である請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ギンバイカ抽出物が、二酸化炭素抽出法によって、235〜260バールの範囲の圧力、および40〜60℃の範囲の温度の条件下で、前記ギンバイカの葉から調製された請求項6に記載の組成物。
【請求項12】
前記ギンバイカ抽出物が、ミルトクモロン35%の含有量を有する請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、さらに精油を含む上記請求項に記載の組成物。
【請求項14】
前記精油が、ミント油である請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
口腔および上気道の疾患を治療するための薬剤を調製するための
a)アントシアノシド類、および/または
b)プロシアニジン類、および
c)フロログルシノール類、
の組合せの使用。

【公表番号】特表2007−512268(P2007−512268A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540228(P2006−540228)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012472
【国際公開番号】WO2005/053719
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(591092198)インデナ エッセ ピ ア (52)
【Fターム(参考)】