口腔ケア装置
【課題】皮膚インピーダンスを低減し、且つマッサージ効果を向上させた口腔ケア装置を提供する。
【解決手段】本発明の口腔ケア装置は、把持部11を備えた本体1と、上記本体1の一端に取り付けられ三つ以上の電極4を備えた電流印加部3と、を有しており、上記電極4のうち、一つがグランド電極5であり、他の少なくとも二つがグランド電極5の極性に対をなす極性を有する印加電極6である。そして、各印加電極6とグランド電極5間には夫々異なる周波数の低周波電流または中周波電流が印加されており、二つ以上の上記周波数の異なる電流の印加により低周波のビート周波数を有する干渉波を口腔内に付与するものである。これにより、皮膚表面に痛みを生じることなく口腔内の軟組織にマッサージ効果を与えることができる。
【解決手段】本発明の口腔ケア装置は、把持部11を備えた本体1と、上記本体1の一端に取り付けられ三つ以上の電極4を備えた電流印加部3と、を有しており、上記電極4のうち、一つがグランド電極5であり、他の少なくとも二つがグランド電極5の極性に対をなす極性を有する印加電極6である。そして、各印加電極6とグランド電極5間には夫々異なる周波数の低周波電流または中周波電流が印加されており、二つ以上の上記周波数の異なる電流の印加により低周波のビート周波数を有する干渉波を口腔内に付与するものである。これにより、皮膚表面に痛みを生じることなく口腔内の軟組織にマッサージ効果を与えることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔ケア装置、殊に電流を口腔内に印加するハンディタイプの口腔ケア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から小型の口腔ケア装置として、特許文献1や特許文献2のように、周波数を1Hzから1000Hz程度の低周波電流を口腔内に印加して、口腔内の歯茎等の軟組織を刺激して、歯肉等の血行促進させるマッサージ効果を与えるものがあった。
【0003】
そして、特許文献1では、例えば対をなす電極をブラシ部に突設した歯ブラシが開示されており、対をなす電極をブラシ部に設けたことで、電極を歯茎に接触し易くすると共に、歯茎にのみ電流を印加するものであった。
【0004】
更に、特許文献2のように、ブラシ部と把持部に夫々電極を設け、人体を電流経路に組み込んで、歯茎等の口腔内の軟組織にマッサージ効果を与える歯ブラシもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−75511号公報
【特許文献2】実開平7−24330号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「信学技報 MBE2004−48(2004−11)」、社団法人 電子情報通信学会、2004年、11頁−14頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1や特許文献2のような低周波電流を印加する歯ブラシでは皮膚インピーダンスが高いため、印加した電流が皮膚表面で消費されてしまい、皮膚表面にぴりぴりとした痛みを生じて使用者に不快感を与えてしまうものであった。更に、本体を把持して使用する小型の口腔ケア装置では、大電流を口腔内に印加するには安全性等から装置の大型化をまねいてしまうものであった。ましてや、内蔵電源で駆動するものでは何度も充電が必要となり、連続して長い時間使用することができず、使い勝手の悪いものであった。
【0008】
つまり、上述に示すように、従来のハンディタイプの口腔ケア装置による低周波電流の印加では皮膚インピーダンスが高いため、使用者に痛みを生じると共に、口腔内に血行促進等のマッサージ効果を充分に与えることができないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は上記事情に鑑みて発明したものであり、印加した電流に干渉波を発生させることで、皮膚インピーダンスを低減すると共に、マッサージ効果を充分与えることができる小型で本体を把持可能な口腔ケア装置を提供することを課題とした。
【0010】
なお、干渉波を生体内に付与するものは、非特許文献1等の義手の動作角度や把持力等を使用者に伝達する手段として用いたものしかなく、血行促進等のマッサージ効果を得る手段として用いたものはない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の口腔ケア装置は、以下の構成を特徴として有している。請求項1に係る発明は、把持部11を備えた本体1と、上記本体1の一端に取り付けられ少なくとも三つの電極4を備えた電流印加部3と、を有している。そして、上記電極4のうちの一つがグランド電極5であり、他の電極4の少なくとも二つがグランド電極5の極性に対をなす極性を有する印加電極6である。更に、各印加電極6とグランド電極5間には夫々異なる周波数の低周波電流または中周波電流が印加されており、二つ以上の上記周波数の異なる電流の印加により低周波のビート周波数を有する干渉波を口腔内に付与するものである。
【0012】
このような構成としたことで、二つの印加電極6に印加された電流がグランド電極5に流れる際に、口腔内に干渉波を生じるため、単体で低周波電流を印加したものと違い、干渉波となった電流による電気刺激を口腔内に付与することができる。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の特徴に加えて、印加電極6に印加される電流の少なくとも一つは他の印加電極6に印加される電流と位相が異なるものとすることを特徴としている。
【0014】
また、請求項3に係る発明は、請求項1や請求項2に係る発明の特徴に加えて、印加電極6に印加する電流を生成する電流発生部7を印加電極6と同数備えたものであることを特徴としている。
【0015】
また、請求項4に係る発明は、請求項1〜3に係る発明の特徴に加えて、印加電極6に夫々印加される電流がいずれも同じ波形で形成されたものであることを特徴としている。
【0016】
また、請求項5に係る発明は、請求項1〜4に係る発明の特徴に加えて、印加電極6に夫々印加される電流が正の値のみまたは負の値のみで振幅するものであることを特徴としている。
【0017】
また、請求項6に係る発明は、請求項1〜5に係る発明の特徴に加えて、印加電極6に夫々印加される電圧がいずれも同じ値であることを特徴としている。
【0018】
また、請求項7に係る発明は、請求項1〜6に係る発明の特徴に加えて、グランド電極5から一方向側に各印加電極6を配置したものであることを特徴としている。
【0019】
また、請求項8に係る発明は、請求項1〜7に係る発明の特徴に加えて、電流印加部3はグランド電極5に向かう同一直線上に各印加電極6の配列されたものであることを特徴としている。
【0020】
また、請求項9に係る発明は、請求項1〜8に係る発明の特徴に加えて、電流印加部3に各印加電極6が同心円状で配置されており、上記同心円の最外周側または最内周側にグランド電極5が配置されたものであることを特徴としている。
【0021】
また、請求項10に係る発明は、請求項1〜9に係る発明の特徴に加えて、電流印加部3は断面視楕円形状や長円形状や多角形状の柱状であり、各電極4が上記柱の外周に沿って帯状に夫々配置されたものであることを特徴としている。
【0022】
また、請求項11に係る発明は、請求項1〜10に係る発明の特徴に加えて、電流印加部3による干渉波の付与が一定時間経過する毎に、上記位相可変部9が上記電流の位相を変化させるものであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
上記のように、本発明の口腔ケア装置は、口腔内に付与する電流を干渉波としたことで、皮膚インピーダンスが低減されて、皮膚表面に独特のぴりぴりした痛みを生じなくなり、使用者に不快感を与えることを防止できる。そして、干渉波のビート周波数が低周波であるため、従来の低周波電流を単体で口腔内の軟組織に印加した場合と同様に軟組織の血行を促進する等のマッサージ効果を与えることができる。更に、グランド電極の数が印加電極の数より少ないため、各印加電極に夫々グランド電極を備えたものに比べて、電流印加部に配置する電極数が削減できて、電流印加部を小さくすることができる。
【0024】
また、少なくとも一つの電流の位相を他の電流の位相と異なるものとしたことで、干渉波によるマッサージ効果が付与される口腔内の位置を変更できて、軟組織の深部に位置する歯根を覆う周辺部位等にマッサージ効果を付与することができる。
【0025】
また、印加電極毎に夫々電流発生部を備えたことで、各印加電極に印加する電流を夫々生成できるため、印加した電流の周波数の差である干渉波のビート周波数を容易に低周波の周波数の範囲に調整することができる。
【0026】
また、各印加電極に印加される電流の波形を略同じ形としたことで、ビート周波数を有する干渉波を発生し易くなり、干渉波によるマッサージ効果をより向上することができる。
【0027】
また、各印加電極を同心円状で配置しグランド電極を同心円の最外周側または最内周側に配置したことで、各電極を容易に口腔内の軟組織に当接して干渉波を付与できて、使い勝手を向上することができる。
【0028】
また、電流印加部を柱状とし各電極を柱の外周に沿って帯状に設けたことで、電流印加部の外周全体が口腔内の軟組織に当接可能となり、電流印加部の取り回しが容易となり、使い勝手を向上することができる。
【0029】
また、一定時間毎に電流の位相を変化させる位相可変部を備えたことで、マッサージ効果の付与される部位が位相の変化に応じて変わるため、マッサージ効果の付与される部位が幅を有して、より広範囲にマッサージ効果を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の口腔ケア装置であり、(a)が斜視図であり、(b)が電流印加部の拡大平面図であり、(c)が図1(b)の側面図である。
【図2】同上の電流印加部に印加される各電流と、該電流により生じる干渉波の説明図である。
【図3】電流印加部の電極配置を変更した例である。
【図4】本発明の口腔ケア装置の回路ブロック図の一例である。
【図5】電流印加部に印加される各電流の波形の説明図であり、(a)が正弦波を採用したものであり、(b)が三角波を採用したものであり、(c)が矩形波を採用したものである。
【図6】同上の波形を半波とした例の説明図であり、(a)が正弦波を採用したものであり、(b)が矩形波を採用したものである。
【図7】位相可変部を位相自動可変部とした例の回路ブロック図である。
【図8】電流印加部を平面視略円形状とした例の平面図(a)、(b)である。
【図9】電流印加部を柱状とした例の斜視図である。
【図10】干渉波を複数個所に付与可能とした例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。なお、本発明において、説明の便宜上、中周波の周波数を1000Hz〜5000Hz程度としており、低周波の周波数は上記中周波の周波数より低いものとしている。
【0032】
本発明の口腔ケア装置は、図1に示すように、外周に把持部11を備えた棒状の本体1と、外部に露出した三つの電極4を備えた電流印加部3と、本体1の軸方向の一端から延設され先端に電流印加部3の取り付けられたネック部2と、からなっている。
【0033】
電流印加部3はネック部2の延設された方向に沿って長径を有する平面視略楕円形状の面31を備えており、上記面31には略一直線に並んだ平面視略長方形状の電極4が略同じ高さhで三つ突設されている。三つの電極4は、同じ極性を有する二つの印加電極6と、印加電極6と異なる極性を有する一つのグランド電極5と、からなり、上記面31に、ネック部2側から、グランド電極5、印加電極6、印加電極6の順で配置されている。
【0034】
つまり、電流印加部3の面31上には、各印加電極6がグランド電極5から略同じ方向に向かう一直線上に配置されており、各印加電極6の同じ側の端部がグランド電極5の同じ一端に対向している。そして、上記直線上の各電極4間の距離が夫々他の電極4との最短距離であり、両印加電極6間の最短距離L3より各印加電極6からグランド電極5に至る最短距離L1、L2が長いものとなっている。特に、両印加電極6間の最短距離L3は電流印加部3を小型にできるため、狭いものであることが好ましい。更に、各電極4間の距離は電極4が直接接触する等の電気的な短絡を生じることのない距離離れており、特に、面31上で電気的な短絡が生じることを防止するために、電流印加部3を形成するケーシングが絶縁材料で構成されている。
【0035】
なお、グランド電極5をネック部2から最も遠くにしてネック部2側からの配置を逆の順であってもよく、グランド電極5と印加電極6の間に一つの印加電極6が配置された構成であれば、適宜設計変更可能なものである。もちろん、口腔ケア装置の外形は、本体1の一端から直接電流印加部3が延設されたネック部2の無いものや、ネック部2と電流印加部3の太さが同じものに設計変更可能である。
【0036】
以下、二つの印加電極6を夫々区別して表記する際には、上記面31上において、グランド電極5から遠い側に位置した印加電極6を第1印加電極61と記し、グランド電極5から近い側に位置した印加電極6を第2印加電極62と記す。
【0037】
上記三つの電極4を口腔内の歯茎等の同じ軟組織に直接当接することで、上記軟組織を介して各印加電極6とグランド電極5間に低周波あるいは中周波の電流が夫々異なる周波数で流れるものとなっている。例えば、本例では、図2に示すように、第1印加電極61とグランド電極5間に4000Hzの周波数で中周波電流が流れ、第2印加電極62とグランド電極5間に3900Hzの周波数で中周波電流が流れるものである。
【0038】
そのため、二つの中周波電流が電極4を当接した軟組織内で重なり合い、軟組織内に干渉波を生じて、第2印加電極62に当接した部位や周囲近傍に干渉波となった電流による電気刺激が付与される。このとき、上記干渉波のビート周波数は重なり合った中周波電流の周波数の差である100Hzとなり、該ビート周波数は低周波の周波数の範囲に収まる値であるため、従来の低周波電流を印加したものと同様に軟組織に血行促進等のマッサージ効果が付与されるものである。そして、干渉波となった電流の皮膚インピーダンスは低周波電流に比べて略無視できる程小さくなるため、各電極4を当接した皮膚表面に電気独特のぴりぴりした痛みを生じることがなく、使用者に不快感を与えないものである。
【0039】
更に、各電極4が電流印加部3の面31上に突出して略一直線で配置されており、一つのグランド電極5が二つの印加電極6と対をなすため、電極4の数を低減すると共に、口腔内の形成される導電経路が略一直線で重なったものとなっている。そのため、印加電極毎に夫々グランド電極5を備え二つの導電経路を交差させて干渉波を発生させるものに比べて、軟組織、特に歯茎に対して容易に全ての電極4を当接して干渉波を付与することができる。そして、一つのグランド電極5を二つの印加電極4に対をなす共通の電極4としたことで電極4の数が減り、各電極4を小さくすること無く電流印加部3を小型化することができる。更に、唾液や水等の口腔内の液体が導電に必要なポール電極等のケーシングの内側に凹んだ電極を有したものと違い、各電極4が直接軟組織に当接するため、軟組織内に干渉波を確実に付与することができる。
【0040】
このように、小さくてコンパクトな電流印加部3で確実に干渉波を軟組織に付与できるため、不快感を与えずに低周波電流と略同様のマッサージ効果を付与できて、狭い口腔内での取り回しを容易に行える使い勝手の向上した口腔ケア装置となっている。特に、電流印加部3の小型化のために電極4の軟組織に当接する面積を小さくする必要がないため、各電極4の軟組織との当接面における電流密度の増加を抑制できて、確実に不快感を与えることを防止したものとなっている。
【0041】
もちろん、各電極4間に流れる電流が口腔内で干渉波となって軟組織にマッサージ効果を付与するものであれば、図3に示すように、電極4が平面視略円形状で一直線上に並ばない印加電極6をグランド電極5の一方向側に配置したものであってもよい。なお、生じる干渉波のビート周波数が低周波の周波数の範囲に収まるものであれば、各印加電極6に印加される電流は中周波電流に限らず低周波電流を流してもよい。
【0042】
また、図4に示すように、各電極4に印加される電流は二つの電流発生部7により互いに略同じ波形で夫々生成されており、調整部8により周波数や電圧等を調整された後、電極4へと出力されている。つまり、本装置は電流発生部7を印加電極6と同数有しており、所定の波形及び周波数で各印加電極6に印加される電流が夫々異なる電流発生部7で生成されている。そして、生成された電流は調整部8により電流間の周波数の差を低周波と同程度に調整されると共に、各印加電極6で出力される電圧を略同じ値に調整されている。
【0043】
このように、印加電極6毎に夫々電流発生部7を備えたことで、電流間の周波数の差を大きくすることができるものとなっている。特に、干渉波のビート周波数を、従来から歯肉炎等の口腔内の炎症の予防や改善に有効な消炎効果を有する数百Hzの低周波電流と略同じ値にでき、好ましい。そして、調整部8により各印加電極6から出力される電圧が略同じ値になっているため、干渉波をより発生し易くなっている。
【0044】
また、調整部8で調整されて各印加電極6に印加される電流は同じ波形で周波数が異なるものであれば、例えば、図5に示すように、正弦波に限らず三角波や矩形波等であってもよく、その周波数の差は1000Hz以下の低周波の範囲となっている。もちろん、図6に示すように、印加する電流は正の値のみや負の値のみで振幅する半波であってもよく、低周波域のビート周波数を有する干渉波を口腔内に生じて、軟組織にマッサージ効果を付与可能なものであればよい。以下、第1印加電極61に印加する電流を生成する電流発生部7を第1電流発生部71と記し、第2印加電極62に印加する電流を生成する電流発生部7を第2電流発生部72と記す。
【0045】
第2電流発生部72と調整部8の間には位相可変部9が配置されており、第2印加電極62に印加する電流は第1印加電極61に印加する電流に対して周波数の差に加え、位相においても差を生じさせることが可能となっている。位相可変部9により一方の電流の位相を他方の電流の位相とずらすことで、干渉波による電気刺激を感じる位置を変更することができる。つまり、マッサージ効果を付与する位置を軟組織の第2印加電極62の当接した部位及び周囲近傍からグランド電極5側や第1印加電極61側にずらすことができるものとなっている。
【0046】
特に、位相可変部9を、図7に示すようなタイマー等の計時部を設けた位相自動可変部91として、干渉波の付与中に所定時間が経過する毎に位相自動可変部91が位相を外部操作なしに変化させるものとしてもよい。このとき、位相を経時変化させたことで、時間毎にマッサージ効果の付与される位置が変化するため、マッサージ効果の付与される部位が幅を有するものとなり、より広範囲にマッサージ効果を付与することができる。
【0047】
また、図8に示すように、電流印加部3の電極4を配置した面31を平面視略円形状にすると共にグランド電極5を平面視略円形状で且つ同心円の中心として、平面視略環状の印加電極6を配置したものや、平面視略円弧状の印加電極6を夫々扇状に配置したものであってもよい。このとき、上記面31上において、各印加電極6からグランド電極5に至る最短距離L1、L2はグランド電極5を一端として略一直線で結ぶことが可能な配置となっている。つまり、干渉波を第2印加電極62に沿って略環状や略円弧状の範囲で発生してマッサージ効果を軟組織に付与するため、マッサージ効果を付与する範囲を広げたものとなっている。もちろん、グランド電極5の配置を最内周側や最外周側とすれば、各印加電極6がグランド電極5に向かって略同一の直線上に最短距離L1、L2を有したものとなるため、グランド電極5を平面視略環状や略円弧状にしてもよく、ましてや第1印加電極61を平面視略円形状で中心に配置してもよい。
【0048】
また、電流印加部3を本体1の軸方向等に沿って軸芯を有する柱状として、各電極4を柱の外周面に沿って帯状に配置してもよい。例えば、図9に示すように、電流印加部3を断面視略多角形状の角柱状とすれば、各電極4が口腔内の軟組織に面接触し易く接触面積を大きくでき、円柱に比べて当接部位に対する電流密度を小さくでき、刺激強度が低減されて好ましい。もちろん、電流印加部3は上記角柱に限らず、断面視略長円形状の円柱として、軟組織への当接位置を長辺部と二つの半円部で変更可能とした使用者の好みで刺激強度を変更可能としたものや、長辺部を湾曲させて断面視略楕円形状の円柱にしてもよい。
【0049】
また、第1印加電極61及び第2印加電極62を夫々複数設けてもよい。例えば、図10に示すように、電流印加部3を平面視略長円形状にして、グランド電極5を中心とした同心円状に平面視略円弧状で各印加電極6を二つずつ設けたものである。このとき、両方の第1印加電極61からグランド電極5に至る最短距離L1は互いに等しく、同様に両方の第2印加電極62からグランド電極5に至る最短距離L2は互いに等しいものとなっている。つまり、同じビート周波数の干渉波が軟組織の異なる二つの部位に付与されており、軟組織の二箇所に干渉波によるマッサージ効果を与えるものとなっている。
【0050】
なお、本例では、本体1外周のネック部2の延設された端部と把持部11の間に電源スイッチや切替スイッチ等の操作部12を備えており、把持部11と他端の間に装置の動作状態を外部に報知する表示部13を備えている。上記操作部12を操作することで、装置の主電源のオンオフや、調整部8や位相可変部9等によって調整変更される電流の周波数や位相等の値を使用者の好みに変更操作可能としてもよい。そして、各例において、周波数等において数値を示しているがいずれも限定するものではなく単なる例示にすぎない。もちろん、一つをグランド電極5とし残りを印加電極6とした三つ以上の電極4を有する電流印加部3で口腔内に干渉波によるマッサージ効果を付与可能であれば、各電極4を平面視多角形状としたものや形状が夫々異なるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 本体
11 把持部
3 電流印加部
4 電極
5 グランド電極
6 印加電極
61 第1印加電極
62 第2印加電極
7 電流発生部
8 調整部
9 位相可変部
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔ケア装置、殊に電流を口腔内に印加するハンディタイプの口腔ケア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から小型の口腔ケア装置として、特許文献1や特許文献2のように、周波数を1Hzから1000Hz程度の低周波電流を口腔内に印加して、口腔内の歯茎等の軟組織を刺激して、歯肉等の血行促進させるマッサージ効果を与えるものがあった。
【0003】
そして、特許文献1では、例えば対をなす電極をブラシ部に突設した歯ブラシが開示されており、対をなす電極をブラシ部に設けたことで、電極を歯茎に接触し易くすると共に、歯茎にのみ電流を印加するものであった。
【0004】
更に、特許文献2のように、ブラシ部と把持部に夫々電極を設け、人体を電流経路に組み込んで、歯茎等の口腔内の軟組織にマッサージ効果を与える歯ブラシもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−75511号公報
【特許文献2】実開平7−24330号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「信学技報 MBE2004−48(2004−11)」、社団法人 電子情報通信学会、2004年、11頁−14頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1や特許文献2のような低周波電流を印加する歯ブラシでは皮膚インピーダンスが高いため、印加した電流が皮膚表面で消費されてしまい、皮膚表面にぴりぴりとした痛みを生じて使用者に不快感を与えてしまうものであった。更に、本体を把持して使用する小型の口腔ケア装置では、大電流を口腔内に印加するには安全性等から装置の大型化をまねいてしまうものであった。ましてや、内蔵電源で駆動するものでは何度も充電が必要となり、連続して長い時間使用することができず、使い勝手の悪いものであった。
【0008】
つまり、上述に示すように、従来のハンディタイプの口腔ケア装置による低周波電流の印加では皮膚インピーダンスが高いため、使用者に痛みを生じると共に、口腔内に血行促進等のマッサージ効果を充分に与えることができないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は上記事情に鑑みて発明したものであり、印加した電流に干渉波を発生させることで、皮膚インピーダンスを低減すると共に、マッサージ効果を充分与えることができる小型で本体を把持可能な口腔ケア装置を提供することを課題とした。
【0010】
なお、干渉波を生体内に付与するものは、非特許文献1等の義手の動作角度や把持力等を使用者に伝達する手段として用いたものしかなく、血行促進等のマッサージ効果を得る手段として用いたものはない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の口腔ケア装置は、以下の構成を特徴として有している。請求項1に係る発明は、把持部11を備えた本体1と、上記本体1の一端に取り付けられ少なくとも三つの電極4を備えた電流印加部3と、を有している。そして、上記電極4のうちの一つがグランド電極5であり、他の電極4の少なくとも二つがグランド電極5の極性に対をなす極性を有する印加電極6である。更に、各印加電極6とグランド電極5間には夫々異なる周波数の低周波電流または中周波電流が印加されており、二つ以上の上記周波数の異なる電流の印加により低周波のビート周波数を有する干渉波を口腔内に付与するものである。
【0012】
このような構成としたことで、二つの印加電極6に印加された電流がグランド電極5に流れる際に、口腔内に干渉波を生じるため、単体で低周波電流を印加したものと違い、干渉波となった電流による電気刺激を口腔内に付与することができる。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の特徴に加えて、印加電極6に印加される電流の少なくとも一つは他の印加電極6に印加される電流と位相が異なるものとすることを特徴としている。
【0014】
また、請求項3に係る発明は、請求項1や請求項2に係る発明の特徴に加えて、印加電極6に印加する電流を生成する電流発生部7を印加電極6と同数備えたものであることを特徴としている。
【0015】
また、請求項4に係る発明は、請求項1〜3に係る発明の特徴に加えて、印加電極6に夫々印加される電流がいずれも同じ波形で形成されたものであることを特徴としている。
【0016】
また、請求項5に係る発明は、請求項1〜4に係る発明の特徴に加えて、印加電極6に夫々印加される電流が正の値のみまたは負の値のみで振幅するものであることを特徴としている。
【0017】
また、請求項6に係る発明は、請求項1〜5に係る発明の特徴に加えて、印加電極6に夫々印加される電圧がいずれも同じ値であることを特徴としている。
【0018】
また、請求項7に係る発明は、請求項1〜6に係る発明の特徴に加えて、グランド電極5から一方向側に各印加電極6を配置したものであることを特徴としている。
【0019】
また、請求項8に係る発明は、請求項1〜7に係る発明の特徴に加えて、電流印加部3はグランド電極5に向かう同一直線上に各印加電極6の配列されたものであることを特徴としている。
【0020】
また、請求項9に係る発明は、請求項1〜8に係る発明の特徴に加えて、電流印加部3に各印加電極6が同心円状で配置されており、上記同心円の最外周側または最内周側にグランド電極5が配置されたものであることを特徴としている。
【0021】
また、請求項10に係る発明は、請求項1〜9に係る発明の特徴に加えて、電流印加部3は断面視楕円形状や長円形状や多角形状の柱状であり、各電極4が上記柱の外周に沿って帯状に夫々配置されたものであることを特徴としている。
【0022】
また、請求項11に係る発明は、請求項1〜10に係る発明の特徴に加えて、電流印加部3による干渉波の付与が一定時間経過する毎に、上記位相可変部9が上記電流の位相を変化させるものであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
上記のように、本発明の口腔ケア装置は、口腔内に付与する電流を干渉波としたことで、皮膚インピーダンスが低減されて、皮膚表面に独特のぴりぴりした痛みを生じなくなり、使用者に不快感を与えることを防止できる。そして、干渉波のビート周波数が低周波であるため、従来の低周波電流を単体で口腔内の軟組織に印加した場合と同様に軟組織の血行を促進する等のマッサージ効果を与えることができる。更に、グランド電極の数が印加電極の数より少ないため、各印加電極に夫々グランド電極を備えたものに比べて、電流印加部に配置する電極数が削減できて、電流印加部を小さくすることができる。
【0024】
また、少なくとも一つの電流の位相を他の電流の位相と異なるものとしたことで、干渉波によるマッサージ効果が付与される口腔内の位置を変更できて、軟組織の深部に位置する歯根を覆う周辺部位等にマッサージ効果を付与することができる。
【0025】
また、印加電極毎に夫々電流発生部を備えたことで、各印加電極に印加する電流を夫々生成できるため、印加した電流の周波数の差である干渉波のビート周波数を容易に低周波の周波数の範囲に調整することができる。
【0026】
また、各印加電極に印加される電流の波形を略同じ形としたことで、ビート周波数を有する干渉波を発生し易くなり、干渉波によるマッサージ効果をより向上することができる。
【0027】
また、各印加電極を同心円状で配置しグランド電極を同心円の最外周側または最内周側に配置したことで、各電極を容易に口腔内の軟組織に当接して干渉波を付与できて、使い勝手を向上することができる。
【0028】
また、電流印加部を柱状とし各電極を柱の外周に沿って帯状に設けたことで、電流印加部の外周全体が口腔内の軟組織に当接可能となり、電流印加部の取り回しが容易となり、使い勝手を向上することができる。
【0029】
また、一定時間毎に電流の位相を変化させる位相可変部を備えたことで、マッサージ効果の付与される部位が位相の変化に応じて変わるため、マッサージ効果の付与される部位が幅を有して、より広範囲にマッサージ効果を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の口腔ケア装置であり、(a)が斜視図であり、(b)が電流印加部の拡大平面図であり、(c)が図1(b)の側面図である。
【図2】同上の電流印加部に印加される各電流と、該電流により生じる干渉波の説明図である。
【図3】電流印加部の電極配置を変更した例である。
【図4】本発明の口腔ケア装置の回路ブロック図の一例である。
【図5】電流印加部に印加される各電流の波形の説明図であり、(a)が正弦波を採用したものであり、(b)が三角波を採用したものであり、(c)が矩形波を採用したものである。
【図6】同上の波形を半波とした例の説明図であり、(a)が正弦波を採用したものであり、(b)が矩形波を採用したものである。
【図7】位相可変部を位相自動可変部とした例の回路ブロック図である。
【図8】電流印加部を平面視略円形状とした例の平面図(a)、(b)である。
【図9】電流印加部を柱状とした例の斜視図である。
【図10】干渉波を複数個所に付与可能とした例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。なお、本発明において、説明の便宜上、中周波の周波数を1000Hz〜5000Hz程度としており、低周波の周波数は上記中周波の周波数より低いものとしている。
【0032】
本発明の口腔ケア装置は、図1に示すように、外周に把持部11を備えた棒状の本体1と、外部に露出した三つの電極4を備えた電流印加部3と、本体1の軸方向の一端から延設され先端に電流印加部3の取り付けられたネック部2と、からなっている。
【0033】
電流印加部3はネック部2の延設された方向に沿って長径を有する平面視略楕円形状の面31を備えており、上記面31には略一直線に並んだ平面視略長方形状の電極4が略同じ高さhで三つ突設されている。三つの電極4は、同じ極性を有する二つの印加電極6と、印加電極6と異なる極性を有する一つのグランド電極5と、からなり、上記面31に、ネック部2側から、グランド電極5、印加電極6、印加電極6の順で配置されている。
【0034】
つまり、電流印加部3の面31上には、各印加電極6がグランド電極5から略同じ方向に向かう一直線上に配置されており、各印加電極6の同じ側の端部がグランド電極5の同じ一端に対向している。そして、上記直線上の各電極4間の距離が夫々他の電極4との最短距離であり、両印加電極6間の最短距離L3より各印加電極6からグランド電極5に至る最短距離L1、L2が長いものとなっている。特に、両印加電極6間の最短距離L3は電流印加部3を小型にできるため、狭いものであることが好ましい。更に、各電極4間の距離は電極4が直接接触する等の電気的な短絡を生じることのない距離離れており、特に、面31上で電気的な短絡が生じることを防止するために、電流印加部3を形成するケーシングが絶縁材料で構成されている。
【0035】
なお、グランド電極5をネック部2から最も遠くにしてネック部2側からの配置を逆の順であってもよく、グランド電極5と印加電極6の間に一つの印加電極6が配置された構成であれば、適宜設計変更可能なものである。もちろん、口腔ケア装置の外形は、本体1の一端から直接電流印加部3が延設されたネック部2の無いものや、ネック部2と電流印加部3の太さが同じものに設計変更可能である。
【0036】
以下、二つの印加電極6を夫々区別して表記する際には、上記面31上において、グランド電極5から遠い側に位置した印加電極6を第1印加電極61と記し、グランド電極5から近い側に位置した印加電極6を第2印加電極62と記す。
【0037】
上記三つの電極4を口腔内の歯茎等の同じ軟組織に直接当接することで、上記軟組織を介して各印加電極6とグランド電極5間に低周波あるいは中周波の電流が夫々異なる周波数で流れるものとなっている。例えば、本例では、図2に示すように、第1印加電極61とグランド電極5間に4000Hzの周波数で中周波電流が流れ、第2印加電極62とグランド電極5間に3900Hzの周波数で中周波電流が流れるものである。
【0038】
そのため、二つの中周波電流が電極4を当接した軟組織内で重なり合い、軟組織内に干渉波を生じて、第2印加電極62に当接した部位や周囲近傍に干渉波となった電流による電気刺激が付与される。このとき、上記干渉波のビート周波数は重なり合った中周波電流の周波数の差である100Hzとなり、該ビート周波数は低周波の周波数の範囲に収まる値であるため、従来の低周波電流を印加したものと同様に軟組織に血行促進等のマッサージ効果が付与されるものである。そして、干渉波となった電流の皮膚インピーダンスは低周波電流に比べて略無視できる程小さくなるため、各電極4を当接した皮膚表面に電気独特のぴりぴりした痛みを生じることがなく、使用者に不快感を与えないものである。
【0039】
更に、各電極4が電流印加部3の面31上に突出して略一直線で配置されており、一つのグランド電極5が二つの印加電極6と対をなすため、電極4の数を低減すると共に、口腔内の形成される導電経路が略一直線で重なったものとなっている。そのため、印加電極毎に夫々グランド電極5を備え二つの導電経路を交差させて干渉波を発生させるものに比べて、軟組織、特に歯茎に対して容易に全ての電極4を当接して干渉波を付与することができる。そして、一つのグランド電極5を二つの印加電極4に対をなす共通の電極4としたことで電極4の数が減り、各電極4を小さくすること無く電流印加部3を小型化することができる。更に、唾液や水等の口腔内の液体が導電に必要なポール電極等のケーシングの内側に凹んだ電極を有したものと違い、各電極4が直接軟組織に当接するため、軟組織内に干渉波を確実に付与することができる。
【0040】
このように、小さくてコンパクトな電流印加部3で確実に干渉波を軟組織に付与できるため、不快感を与えずに低周波電流と略同様のマッサージ効果を付与できて、狭い口腔内での取り回しを容易に行える使い勝手の向上した口腔ケア装置となっている。特に、電流印加部3の小型化のために電極4の軟組織に当接する面積を小さくする必要がないため、各電極4の軟組織との当接面における電流密度の増加を抑制できて、確実に不快感を与えることを防止したものとなっている。
【0041】
もちろん、各電極4間に流れる電流が口腔内で干渉波となって軟組織にマッサージ効果を付与するものであれば、図3に示すように、電極4が平面視略円形状で一直線上に並ばない印加電極6をグランド電極5の一方向側に配置したものであってもよい。なお、生じる干渉波のビート周波数が低周波の周波数の範囲に収まるものであれば、各印加電極6に印加される電流は中周波電流に限らず低周波電流を流してもよい。
【0042】
また、図4に示すように、各電極4に印加される電流は二つの電流発生部7により互いに略同じ波形で夫々生成されており、調整部8により周波数や電圧等を調整された後、電極4へと出力されている。つまり、本装置は電流発生部7を印加電極6と同数有しており、所定の波形及び周波数で各印加電極6に印加される電流が夫々異なる電流発生部7で生成されている。そして、生成された電流は調整部8により電流間の周波数の差を低周波と同程度に調整されると共に、各印加電極6で出力される電圧を略同じ値に調整されている。
【0043】
このように、印加電極6毎に夫々電流発生部7を備えたことで、電流間の周波数の差を大きくすることができるものとなっている。特に、干渉波のビート周波数を、従来から歯肉炎等の口腔内の炎症の予防や改善に有効な消炎効果を有する数百Hzの低周波電流と略同じ値にでき、好ましい。そして、調整部8により各印加電極6から出力される電圧が略同じ値になっているため、干渉波をより発生し易くなっている。
【0044】
また、調整部8で調整されて各印加電極6に印加される電流は同じ波形で周波数が異なるものであれば、例えば、図5に示すように、正弦波に限らず三角波や矩形波等であってもよく、その周波数の差は1000Hz以下の低周波の範囲となっている。もちろん、図6に示すように、印加する電流は正の値のみや負の値のみで振幅する半波であってもよく、低周波域のビート周波数を有する干渉波を口腔内に生じて、軟組織にマッサージ効果を付与可能なものであればよい。以下、第1印加電極61に印加する電流を生成する電流発生部7を第1電流発生部71と記し、第2印加電極62に印加する電流を生成する電流発生部7を第2電流発生部72と記す。
【0045】
第2電流発生部72と調整部8の間には位相可変部9が配置されており、第2印加電極62に印加する電流は第1印加電極61に印加する電流に対して周波数の差に加え、位相においても差を生じさせることが可能となっている。位相可変部9により一方の電流の位相を他方の電流の位相とずらすことで、干渉波による電気刺激を感じる位置を変更することができる。つまり、マッサージ効果を付与する位置を軟組織の第2印加電極62の当接した部位及び周囲近傍からグランド電極5側や第1印加電極61側にずらすことができるものとなっている。
【0046】
特に、位相可変部9を、図7に示すようなタイマー等の計時部を設けた位相自動可変部91として、干渉波の付与中に所定時間が経過する毎に位相自動可変部91が位相を外部操作なしに変化させるものとしてもよい。このとき、位相を経時変化させたことで、時間毎にマッサージ効果の付与される位置が変化するため、マッサージ効果の付与される部位が幅を有するものとなり、より広範囲にマッサージ効果を付与することができる。
【0047】
また、図8に示すように、電流印加部3の電極4を配置した面31を平面視略円形状にすると共にグランド電極5を平面視略円形状で且つ同心円の中心として、平面視略環状の印加電極6を配置したものや、平面視略円弧状の印加電極6を夫々扇状に配置したものであってもよい。このとき、上記面31上において、各印加電極6からグランド電極5に至る最短距離L1、L2はグランド電極5を一端として略一直線で結ぶことが可能な配置となっている。つまり、干渉波を第2印加電極62に沿って略環状や略円弧状の範囲で発生してマッサージ効果を軟組織に付与するため、マッサージ効果を付与する範囲を広げたものとなっている。もちろん、グランド電極5の配置を最内周側や最外周側とすれば、各印加電極6がグランド電極5に向かって略同一の直線上に最短距離L1、L2を有したものとなるため、グランド電極5を平面視略環状や略円弧状にしてもよく、ましてや第1印加電極61を平面視略円形状で中心に配置してもよい。
【0048】
また、電流印加部3を本体1の軸方向等に沿って軸芯を有する柱状として、各電極4を柱の外周面に沿って帯状に配置してもよい。例えば、図9に示すように、電流印加部3を断面視略多角形状の角柱状とすれば、各電極4が口腔内の軟組織に面接触し易く接触面積を大きくでき、円柱に比べて当接部位に対する電流密度を小さくでき、刺激強度が低減されて好ましい。もちろん、電流印加部3は上記角柱に限らず、断面視略長円形状の円柱として、軟組織への当接位置を長辺部と二つの半円部で変更可能とした使用者の好みで刺激強度を変更可能としたものや、長辺部を湾曲させて断面視略楕円形状の円柱にしてもよい。
【0049】
また、第1印加電極61及び第2印加電極62を夫々複数設けてもよい。例えば、図10に示すように、電流印加部3を平面視略長円形状にして、グランド電極5を中心とした同心円状に平面視略円弧状で各印加電極6を二つずつ設けたものである。このとき、両方の第1印加電極61からグランド電極5に至る最短距離L1は互いに等しく、同様に両方の第2印加電極62からグランド電極5に至る最短距離L2は互いに等しいものとなっている。つまり、同じビート周波数の干渉波が軟組織の異なる二つの部位に付与されており、軟組織の二箇所に干渉波によるマッサージ効果を与えるものとなっている。
【0050】
なお、本例では、本体1外周のネック部2の延設された端部と把持部11の間に電源スイッチや切替スイッチ等の操作部12を備えており、把持部11と他端の間に装置の動作状態を外部に報知する表示部13を備えている。上記操作部12を操作することで、装置の主電源のオンオフや、調整部8や位相可変部9等によって調整変更される電流の周波数や位相等の値を使用者の好みに変更操作可能としてもよい。そして、各例において、周波数等において数値を示しているがいずれも限定するものではなく単なる例示にすぎない。もちろん、一つをグランド電極5とし残りを印加電極6とした三つ以上の電極4を有する電流印加部3で口腔内に干渉波によるマッサージ効果を付与可能であれば、各電極4を平面視多角形状としたものや形状が夫々異なるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 本体
11 把持部
3 電流印加部
4 電極
5 グランド電極
6 印加電極
61 第1印加電極
62 第2印加電極
7 電流発生部
8 調整部
9 位相可変部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部を備えた本体と、上記本体の一端に取り付けられ少なくとも三つの電極を備えた電流印加部と、を有しており、上記電極のうち、一つがグランド電極であり、他の少なくとも二つがグランド電極の極性に対をなす極性を有する印加電極であり、各印加電極とグランド電極間には夫々異なる周波数の低周波電流または中周波電流が印加されており、二つ以上の上記周波数の異なる電流の印加により低周波のビート周波数を有する干渉波を口腔内に付与するものであることを特徴とする口腔ケア装置。
【請求項2】
前記印加電極に印加される電流の少なくとも一つは他の印加電極に印加される電流と位相が異なるものであることを特徴とする請求項1に記載の口腔ケア装置。
【請求項3】
前記印加電極に印加する電流を生成する電流発生部を上記印加電極と同数備えたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の口腔ケア装置。
【請求項4】
前記印加電極に夫々印加される電流がいずれも同じ波形で形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【請求項5】
前記印加電極に夫々印加される電流が正の値のみまたは負の値のみで振幅するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【請求項6】
前記印加電極に夫々印加される電圧がいずれも同じ値であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【請求項7】
前記グランド電極から一方向側に各印加電極を配置したものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【請求項8】
前記電流印加部は前記グランド電極に向かう同一直線上に各印加電極の配列されたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【請求項9】
前記電流印加部に各印加電極が同心円状で配置されており、上記同心円の最外周側または最内周側に前記グランド電極が配置されたものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【請求項10】
前記電流印加部は断面視楕円形状または断面視長円形状の柱状あるいは断面視多角形状の柱状であり、前記各電極が上記柱の外周に沿って帯状に夫々配置されたものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【請求項11】
前記印加電極の印加される電流の位相を変化させる位相可変部を備えており、前記電流印加部による干渉波の付与が一定時間経過する毎に、上記位相可変部が上記電流の位相を変化させるものであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【請求項1】
把持部を備えた本体と、上記本体の一端に取り付けられ少なくとも三つの電極を備えた電流印加部と、を有しており、上記電極のうち、一つがグランド電極であり、他の少なくとも二つがグランド電極の極性に対をなす極性を有する印加電極であり、各印加電極とグランド電極間には夫々異なる周波数の低周波電流または中周波電流が印加されており、二つ以上の上記周波数の異なる電流の印加により低周波のビート周波数を有する干渉波を口腔内に付与するものであることを特徴とする口腔ケア装置。
【請求項2】
前記印加電極に印加される電流の少なくとも一つは他の印加電極に印加される電流と位相が異なるものであることを特徴とする請求項1に記載の口腔ケア装置。
【請求項3】
前記印加電極に印加する電流を生成する電流発生部を上記印加電極と同数備えたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の口腔ケア装置。
【請求項4】
前記印加電極に夫々印加される電流がいずれも同じ波形で形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【請求項5】
前記印加電極に夫々印加される電流が正の値のみまたは負の値のみで振幅するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【請求項6】
前記印加電極に夫々印加される電圧がいずれも同じ値であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【請求項7】
前記グランド電極から一方向側に各印加電極を配置したものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【請求項8】
前記電流印加部は前記グランド電極に向かう同一直線上に各印加電極の配列されたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【請求項9】
前記電流印加部に各印加電極が同心円状で配置されており、上記同心円の最外周側または最内周側に前記グランド電極が配置されたものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【請求項10】
前記電流印加部は断面視楕円形状または断面視長円形状の柱状あるいは断面視多角形状の柱状であり、前記各電極が上記柱の外周に沿って帯状に夫々配置されたものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【請求項11】
前記印加電極の印加される電流の位相を変化させる位相可変部を備えており、前記電流印加部による干渉波の付与が一定時間経過する毎に、上記位相可変部が上記電流の位相を変化させるものであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−4882(P2011−4882A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150154(P2009−150154)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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