説明

口腔内に活性物質であるニコチンを放出するための口部に適用される組成物及びその製造方法

【課題】本発明は、口腔に接着することが可能で、薬剤又は化粧用の活性剤を放出し、速やかに溶解する薄膜を提供する。
【解決手段】本発明の口部に適用される組成物は、口腔内に活性物質を放出するための口部に適用できる組成物であって、前記組成物は、少なくとも1つの水溶性又は水分散性ポリマー、前記活性物質及びニコチンを必須成分として含み、前記組成物は、口の粘膜に適用された直後に軟化する瞬時湿潤性を示し、次いで速やかに溶解又は分解することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内に活性物質であるニコチンを放出するための口部に使用する組成物及びその製造方法を開示する。その担体は、一定の成分と組み合わせた水溶性ポリマーを含み、治療及び/又は化粧効果を与える。その被膜は、既存のコーティング技術を用いて被覆及び乾燥され、口腔に投与すると瞬時湿潤性を示した後、速やかに溶解又は分解する。
【背景技術】
【0002】
治療及び/又は化粧用の薬剤を口の粘膜に達するように設計された口腔使用の粘膜接着性調剤の形態は、当業界においてすでに知られている。特許文献1は、粘膜組織を介して治療薬を調節して放出することができる、無水で含水可能なポリマーマトリックスと、無定型の燻蒸シリカとを含む粘膜接着性の担体について記述している。任意で不水溶性薄膜(フィルム)を追加して非接着性表面を備えることができる。同じ発明者らは、特許文献2において、口腔における活性成分の到達を長引かせるのに適した三重積層膜を開示している。
【0003】
同様に、特許文献3は、一定の水溶性及び不水溶性ポリマーを含む粘着層と、口腔に接着でき、それにより活性剤を口腔へ放出する不水溶性担体とを含むシート状の粘着性製剤を開示している。上記に引用された全ての提案物体は完全な水溶性ではなく、治療目的が達成された後でも口腔に残り、患者の口にある不快感を与える。この不快感の主な原因は、支持層が口の中に不溶性の残留物を残すことである。
【0004】
柔らかいフィルム支持体を導入することにより、支持層の堅さと非柔軟性に起因する口腔の不快感を減少させる多数の試みがなされている。特許文献4及び特許文献5は、ポリエチレンフィルム類、ポリ酢酸ビニル、エチレン/酢酸ビニル共重合体類、金属箔類、布又は紙とプラスチックフィルムとの積層体類、及び同様の材料を柔らかいフィルム支持体として使用することを開示している。好ましい材料は、ポリエチレン、酢酸ビニルホモポリマー類、及びエチレン−ビニルアセテートなどの合成樹脂である。同様に、特許文献6は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリエステル類、PVC、及び不織布を柔らかい支持体材料として使用することを開示している。
【0005】
しかしながら、これらの提案物は依然として、相当量の不水溶性支持体フィルムの残留物を患者に残すため、なお不快感が引き起こす。この問題を克服する明らかな解決法は、唾液に完全に分解又は完全に溶解さえするような粘膜接着性のフィルムを開発することであった。フックス(Fuchs)とヒルマン(Hilmann)(特許文献7)は、ホルモンを頬側に投与するための均質な水溶性フィルムを調製している。彼らは、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、又はメチルヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性セルロース誘導体をフィルム形成剤として使用することを提案している。
【0006】
特許文献8及び特許文献9はいずれもゼラチン又はコーンスターチなどの膨潤性ポリマー類をフィルム形成剤として使用することを開示している。これらは口腔に投与されるとゆっくりと分解し、フィルムに包含された活性成分を放出する。また、特許文献10に記載されているように、歯の清浄を目的とするフィルムを調製するために、同様のポリマー類を用いることもできる。
【特許文献1】米国特許第5,047,244号明細書
【特許文献2】WO 91/06270号明細書
【特許文献3】米国特許第4,876,092号明細書
【特許文献4】EP 0200508B1号明細書
【特許文献5】EP 0381194B1号明細書
【特許文献6】CA 1263312号明細書
【特許文献7】DE 2449865.5号明細書
【特許文献8】DE 3630603号明細書
【特許文献9】EP 0219762号明細書
【特許文献10】EP 0452446B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの調剤は依然として、主に最初の固さと柔軟化の遅れに起因する不快感を口に引き起こす。したがって、口に心地良さを与える要件を満たすような、口腔に使用する組成物に対する要求がなお存在する。
【0008】
本発明は、瞬時湿潤性を有し、口の粘膜への適用を目的とする薄膜(フィルム)を提供することによって、不快感を回避することが可能な方法及び組成物を開示する。また、コーティング、加工、及び消費者に好まれる製品の包装を容易にする、フリーのフィルムにおける十分な引張り強さを実現する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、口腔内に活性物質であるニコチンを放出するための口部に適用できる組成物であって、前記組成物は、水溶性ポリマーであるポリビニルピロリドンとヒドロキシプロピルメチルセルロース、前記活性物質であるニコチンを必須成分として含み、前記組成物は、口の粘膜に適用された直後に軟化する瞬時湿潤性を示し、次いで速やかに溶解又は分解することを特徴とする。
【0010】
本発明の口部に適用される組成物の製造方法は、口腔内に活性物質を放出するための経口的に適用可能なフィルム状組成物の製造方法であって、
(a)少なくとも1つの水溶性又は水分散性ポリマーを、攪拌しながら溶解又は分散させることにより、溶液又は分散液を形成する工程と、
(b)活性物質、ニコチンを添加する工程と、
(c)前記溶液又は分散液を浸透させない表面張力を有する担体材料に、前記溶液又は分散液を塗布する工程と、
(d)前記溶液又は分散液を乾燥させてフィルムを形成する工程と、
(e)前記担体材料から前記フィルムを剥離する工程と、
(f)前記フィルムを適切な大きさに切断する工程とを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、口腔に接着することが可能で、薬剤又は化粧用の活性剤を放出し、速やかに溶解する薄膜を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
前記薄膜は水溶性ポリマー、1つ以上の多価アルコール類、及び1つ以上の薬剤又は化粧用の活性成分を含む。随意的にその製剤は、口腔への適用を目的とする調剤の風味を改変するために、通常用いられる、一定の可塑剤又は界面活性剤の組み合わせ、着色剤、甘味料、香味料、香味増強剤、又は他の賦形剤を含んでいてもよい。得られたフィルムは、粘膜組織に適用するとすぐに軟化して患者の口の不快感が長引くのを防ぐような瞬時湿潤性、及び通常のコーティング(塗布)、カッティング(切断)、スリッティング(切り込み)、及び包装操作に適した引張り強さを有する。
【0013】
本発明の粘膜接着性薄膜は、水溶性ポリマー又は複数の水溶性ポリマーの組み合わせ、1つ以上の可塑剤又は界面活性剤、1つ以上のポリアルコール類、及び薬剤又は化粧用の活性成分を基本成分として含む。
【0014】
前記粘膜接着性薄膜(フィルム)に使用するポリマー類としては、親水性及び/又は水分散性のポリマー類が挙げられる。好ましいポリマー類は水溶性セルロース誘導体である。ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、又はヒドロキシプロピルセルロースを、単独又は混合して用いることが特に好ましい。他の任意のポリマー類としては、本発明を限定するものではないが、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、キサンゴム、トラガカントゴム、グアーゴム、アカシアゴム、アラビアゴム等の天然ゴム類、ポリアクリル酸等の水分散性ポリアクリレート類、メチルメタクリレート共重合体、カルボキシビニル共重合体類が挙げられる。最終的に得られるフィルムにおける水溶性ポリマーの濃度は20重量%と75重量%の間で変えることができ、好ましくは50重量%と75重量%の間である。
【0015】
前記粘膜接着性フィルムにおける界面活性剤としては、1つ以上の非イオン系界面活性剤を用いることができる。界面活性剤を組み合わせて用いる場合は、第1成分としてポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル又はα−ハイドロ−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)ポリ(オキシエチレン)ブロック共重合体を用いることができ、第2成分としてポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンひまし油誘導体を用いることができる。前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのHLB値は10と20の間であることが好ましく、13から17の範囲が特に好ましい。前記α−ハイドロ−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)ポリ(オキシエチレン)ブロック共重合体は少なくとも35のオキシプロピレンユニットを有し、50以上のオキシプロピレンユニットを有することが好ましい。
【0016】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルは10と20の間のHLB値を有することが必要であり、15以上のHLB値が好ましい。前記ポリオキシエチレンひまし油誘導体は14から16のHLB値を有することが必要である。
【0017】
望ましい瞬時湿潤性を実現するためには、前記の2成分の界面活性剤混合物における第1成分と第2成分の比が1:10から1:1の範囲内であることが必要であり、1:5と1:3の間であることがより好ましい。
【0018】
最終的に得られるフィルムにおける全ての界面活性剤の濃度は、その他の成分の性質に依存するが、通常0.1重量%と5重量%の間である必要がある。
【0019】
前記ポリアルコールは望ましいフィルムの柔らかさを実現するために用いられる。ポリアルコール類の例としては、グリセロール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、脂肪酸類を有するグリセロールモノエステル類、又はその他の製薬学的に用いられるポリアルコール類が挙げられる。乾燥した前記フィルムにおけるポリアルコール濃度は通常0.1重量%と5重量%の間である。
【0020】
前記フィルムは、患者の粘膜、特に頬の粘膜を介して広範囲の薬剤活性成分を投与するのに好適である。溶解性の限度、胃腸管における減成、又は広範囲な代謝のため吸収上の問題を示す治療薬は特に好適である。本発明を限定するものではないが、この治療薬の例として、睡眠薬、鎮静薬、抗てんかん薬、覚醒剤(awakening agents)、向精神神経薬、神経筋遮断薬、鎮痙薬、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、強心薬、不整脈治療薬、利尿薬、降圧薬、昇圧薬、鎮咳性去痰薬、甲状腺ホルモン、性ホルモン、抗糖尿病薬、抗腫瘍薬、抗生物質及び化学療法薬、及び麻酔薬があげられる。
【0021】
前記フィルムに包含される薬の量は薬の種類によるが、通常は0.01重量%と20重量%の間である。しかし、望ましい効果を得るのに必要であれば、それより多くてもよい。
【0022】
化粧用活性剤の例としては、メントールなどの呼気清涼化合物、口腔衛生用に通常使用されるその他の香味料又は芳香剤、及び/又は第四級アンモニウム塩基類などの歯及び/又は口腔の清浄に使用される活性剤が挙げられる。香味料の効果は酒石酸、クエン酸、バニリンなどの香味増強剤を用いて増加することができる。任意的に前記フィルムに混合される着色剤は、毒性に関して安全でなければならず、食品薬品局(Food And Drug Administration)によって化粧品における使用が許可されていなければならない。
【0023】
本発明に基づく粘膜接着性フィルムは以下のように調製できる。ポリアルコール、界面活性剤、可塑剤、及びその他の水溶性又は水分解性ポリマー以外の成分を、それらと化学反応を起こさない十分な量の溶媒に溶解する。化学反応を起こさない溶媒の例として、水、アルコール類、又はそれらの混合物が挙げられる。透明な溶液を形成した後、水分散性ポリマー又は複数の水分散性ポリマーの混合物を攪拌しながらゆっくりと加え、必要ならば加熱して、透明で均質な溶液を形成する。その後、活性成分と香味料を加える。その溶液を適当な担体材料上に被覆し、乾燥させてフィルムを形成する。前記担体材料は、ポリマー溶液がしみ込んで両者間に破壊的な結合を形成することなく、目的コーティング幅で均一に広がることを可能にする表面張力を有していなければならない。適正な材料の例として、非シリコン化ポリエチレンテレフタレートフィルム、非シリコン化クラフト紙、ポリエチレン含浸クラフト紙、又は非シリコン化ポリエチレンフィルムが挙げられる。
【0024】
溶液を担体材料上に被覆する操作は、任意の従来の被覆装置を用いて行うことができる。より好ましい被覆技術ではナイフ・オーバー・ロール・コーティングヘッドを用いる。
【0025】
得られるフィルムの厚さは、コーティング溶液中の固体濃度とコーティングヘッドのギャップに依存しており、5μmと200μmの間で変えることができる。フィルムの乾燥は、活性成分又はフィルムの風味に悪影響を与えないような、乾燥オーブン、乾燥トンネル、真空乾燥器、又はその他の適当な乾燥装置を用いた高温空気浴中で行う。口の不快感を確実に防ぐために、乾燥したフィルムの厚さは70μm以下でなければならない。より使い易くするために、その乾燥フィルムを適当なサイズと形の切片に切断し、適当な容器に包装することができる。
【0026】
以下、実施例及び参考例を参照しながら本発明をより詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の説明のために記載するのであって、本発明を限定するものではない。
【0027】
(参考例1)
15gのソルビトール、6gのグリセロール、0.5gのポリソルベート80(polysorbate 80)(トウィーン80(Tween 80))、2gのブリジ35(Brij 35)、25gのレモンミントフレーバー(lemon mint flavor)、3gのアスパルテーム(aspartame)、15gの1−メントール、及び3gのクエン酸を、水250gとエタノール250gの混合液に加えて、60℃にて透明な溶液が形成されるまで攪拌した。この溶液に、30gのヒドロキシプロピルメチルセルロースを攪拌しながらゆっくりと加え、透明で均質な溶液を形成した。得られた溶液を室温まで冷却し、例えば非シリコン化ポリエチレン被覆クラフト紙などの適当な担体材料の上に従来の被覆/乾燥装置を用いて被覆した。コーティングギャップとウェブ速度は、乾燥したフィルムの厚さが20μmと50μmの間になるように調整できなければならない。乾燥温度は、乾燥ガマの長さとウェブ速度に依存しており、フィルムから溶媒が完全又はほぼ完全に除去されるように調節しなければならない。得られたフィルムを担体ウェブから剥がし、使用目的に適した形とサイズの切片に切断した。
【0028】
(参考例2)
3gのソルビトール、1.5gのコリドン30(Kollidon 30)(BASF社製)、5gのグリセロール、5gのプロピレングリコール、5gのポリエチレングリコール、4gのポリソルベート80(トウィーン80)、8gのブリジ35、12gのペパーミントフレーバー、及び0.8gのアスパルテームを、水400gとエタノール400gを含む混合液に攪拌しながら60℃にて溶解した。この透明な溶液に、28gのヒドロキシプロピルメチルセルロースを攪拌しながらゆっくりと加えた。ポリマーが完全に溶解した後、その溶液を室温まで冷却し、前記参考例1に記載した様な被覆及び乾燥条件を用いて、適当な担体ウェブの上に被覆した。その乾燥したフィルムを、適当なサイズと形の切片に切断した。
【0029】
(参考例3)
15gのソルビトール、22.5gのグリセロール、2.5gのプロピレングリコール、2.5gのブリジ35、2.5gのポロキサマー407(poloxamer 407)、3.5gのクレモファーRH40(Cremophor RH 40)、9gのハーブミントフレーバー、及び0.5gのアスパルテームを、水250gとエタノール250gを含む混合液中に攪拌しながら60℃にて溶解した。その透明な溶液に、75gのヒドロキシプロピルセルロースを連続して攪拌しながらゆっくりと加えた。その透明な溶液を、前記参考例1に記載した条件下で被覆及び乾燥した。そして乾燥したフィルムを、使用目的に適した形とサイズの切片に切断した。
【0030】
(参考例4)
3.6gのトウィーン80、3.6gのグリセロール、39gのメントール、及び171gのコリドン30を、水600mlとエタノール2800mlの溶液中に攪拌しながら周囲温度にて溶解した。その後、247.5gのヒドロキシプロピルメチルセルロースを50〜55℃にてゆっくりと少しずつ加え、完全に溶解するまで攪拌した。その後、その混合液を冷却し、90gのレモンミントフレーバー、次いで、水120mlに27.13gのアスパルテーム、18gのクエン酸、及び0.17gのFD&C黄色5号を加えた溶液/懸濁液を、攪拌しながら連続して加えた。その透明な溶液を、前記参考例1に記載した条件下で被覆及び乾燥した。そして乾燥したフィルムを、使用目的に適した形とサイズの切片に切断した。
【0031】
(実施例1)
165.4gのコリドン30を、水720mlとエタノール2660mlの溶液中に攪拌しながら周囲温度にて溶解した。その後、220.5gのヒドロキシプロピルメチルセルロースを50〜60℃にて加え、透明で均質になるまで強く攪拌した。その後、この混合液を冷却し、78.75gのフレーバー、次いで、120mlの水に28.88gのニコチンサリチル酸塩と31.5gのカラメル液を加えた混合液を、攪拌しながら連続して加えた。その透明な黄褐色の溶液を前記参考例1に記載した条件下で被覆及び乾燥した。そして乾燥したフィルムを、一切片当たり1〜2mgのニコチン用量を投与するような、使用目的に適した形とサイズの切片に切断した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内に活性物質であるニコチンを放出するための口部に適用できる組成物であって、
前記組成物は、水溶性ポリマーであるポリビニルピロリドンとヒドロキシプロピルメチルセルロース、前記活性物質であるニコチンを必須成分として含み、
前記組成物は、口の粘膜に適用された直後に軟化する瞬時湿潤性を示し、次いで速やかに溶解又は分解することを特徴とする口部に適用される組成物。
【請求項2】
前記組成物は経口的に適用可能なフィルムであり、前記フィルムの厚さは5μm〜200μmの範囲である請求項1に記載の口部に適用される組成物。
【請求項3】
前記ニコチンは、ニコチンサリチル酸塩として存在する請求項1又は2に記載の口部に適用される組成物。
【請求項4】
前記組成物は、
ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる水溶性セルロース誘導体;
カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール;
キサンゴム、トラガカントゴム、グアーゴム、アカシアゴム、アラビアゴムから選ばれる天然ゴム類;
ポリアクリル酸、メチルメタクリレート共重合体、カルボキシビニル共重合体類から選ばれる水分散性ポリアクリレート類;
からなる群から選ばれる少なくとも1つの水溶性又は水分散性ポリマーをさらに含む請求項1〜3のいずれかに記載の口部に適用される組成物。
【請求項5】
前記組成物が、単層からなるフィルムであり、前記層が、前記必須成分を含む請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記水溶性ポリマーの濃度は、20重量%〜75重量%の範囲である請求項1〜5のいずれかに記載の口部に適用される組成物。
【請求項7】
前記組成物は、少なくとも1つの多価アルコールをさらに含み、前記多価アルコールは、グリセロール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール及び脂肪酸類を有するグリセロールモノエステル類からなる群から選ばれる請求項1〜6のいずれかに記載の口部に適用される組成物。
【請求項8】
前記多価アルコールの割合は、乾燥した組成物の0.1重量%〜5重量%の範囲である請求項1〜7のいずれかに記載の口部に適用される組成物。
【請求項9】
前記組成物は、少なくとも1つの界面活性剤をさらに含み、前記界面活性剤の総濃度は、0.1重量%〜5重量%の範囲である請求項1〜8のいずれかに記載の口部に適用される組成物。
【請求項10】
前記組成物は、非イオン界面活性剤の混合物をさらに含み、前記混合物は、
第1の成分として、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル又はα−ハイドロ−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)ポリ(オキシエチレン)ブロック共重合体を含み、
第2の成分として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンひまし油誘導体を含み、
前記2成分界面活性剤混合物における第1の成分と第2の成分の比が、1:10〜1:1の範囲である請求項1〜9のいずれかに記載の口部に適用される組成物。
【請求項11】
前記組成物に混合される前記活性物質の量は、0.01重量%〜20重量%の範囲である請求項1〜10のいずれかに記載の口部に適用される組成物。
【請求項12】
前記組成物は、メントール、レモンミントフレーバー、ペパーミントフレーバー、ハーブミントフレーバー、アスパルテーム及びカラメルからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の香味料、香味増強剤又は芳香剤をさらに含む請求項1〜11のいずれかに記載の口部に適用される組成物。
【請求項13】
前記組成物は、呼気清涼化合物、口腔衛生用香味料、口腔衛生用芳香剤、口腔清浄用活性剤及び歯洗浄用活性剤からなる群から選ばれる化粧用活性成分をさらに含む請求項1〜12のいずれかに記載の口部に適用される組成物。
【請求項14】
口腔内に活性物質であるニコチンを放出するための経口的に適用可能なフィルム状組成物の製造方法であって、
(a)ポリビニルピロリドンとヒドロキシプロピルメチルセルロースを、攪拌しながら溶解又は分散させることにより、溶液又は分散液を形成する工程と、
(b)活性物質であるニコチンを添加する工程と、
(c)前記溶液又は分散液を浸透させない表面張力を有する担体材料に、前記溶液又は分散液を塗布する工程と、
(d)前記溶液又は分散液を乾燥させてフィルムを形成する工程と、
(e)前記担体材料から前記フィルムを剥離する工程と、
(f)前記フィルムを適切な大きさに切断する工程とを含む
口部に適用される組成物の製造方法。
【請求項15】
前記ニコチンは、ニコチンサリチル酸塩として添加される請求項14に記載の口部に適用される組成物の製造方法。
【請求項16】
工程(a)は、
ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる水溶性セルロース誘導体;
カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール;
キサンゴム、トラガカントゴム、グアーゴム、アカシアゴム、アラビアゴムから選ばれる天然ゴム類;
ポリアクリル酸、メチルメタクリレート共重合体、カルボキシビニル共重合体類から選ばれる水分散性ポリアクリレート類;
からなる群から選ばれる少なくとも1つの水溶性又は水分散性ポリマーを添加する工程をさらに含む請求項14又は15に記載の口部に適用される組成物の製造方法。
【請求項17】
前記溶液又は分散液は、香味料、香味増強剤、芳香剤、呼気清涼化合物、口腔衛生用香味料、口腔衛生用芳香剤、口腔洗浄用活性剤及び歯洗浄用活性剤からなる群から選ばれる1つ以上の成分をさらに含む請求項14〜16のいずれかに記載の口部に適用される組成物の製造方法。

【公開番号】特開2010−6832(P2010−6832A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222637(P2009−222637)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【分割の表示】特願2005−161714(P2005−161714)の分割
【原出願日】平成9年10月22日(1997.10.22)
【出願人】(397036170)エルティエス ローマン テラピー−ズュステーメ アーゲー (6)
【Fターム(参考)】