説明

口腔内撮影システム

【課題】 奥歯を初め、従来観察しづらく、治療しにくい部位を、治療時に併用可能な口腔内映像として提供する口腔内カメラと表示部を備えたシステムを提供する。
【解決手段】照明部材と撮影部材を組み合わせた撮影ユニットを先端に配置した手持ち把持可能な筐体、前記筐体を把持した際、指操作が可能な部位に配置されたスイッチ類、前記筐体に着脱自在に装着され、装着時、前記照明部材の照明光を反射させて、生体を照らすと共に、照らされた組織面を前記撮影部材へ伝達する鏡面部を所定の角度で配置した反射部材よりなる口腔内撮影ユニット、前記撮影ユニットで撮影された画像を表示するものであって、使用者の視界に入る部位へ配置された表示手段よりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯科用の口腔内撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者に口腔内を表示して、虫歯等の状態、治療の進行状況や、今後の治療方針を説明し同意を得る為のインフォームドコンセントに用いられる口腔内カメラについて、特開昭62−246347号公報には、先端に光ファイバを配置したカメラであって、照明手段がないものが開示され、特開2001−29315には、リモコン型のスイッチを備え、これと電気リード線で繋いだ先端にカメラを装着したペン型の口腔内カメラであって、両手で操作する構成が開示されている。
【0003】
特開2005−334426号公報には、デイスプレイ上に予め撮影した口腔内画像データを複数枚表示する構成が記載されている。
特開2002−355262号公報には、先端にカメラを備えたペン状の口腔内カメラと、このカメラで撮影した画像を表示する小型携帯型の表示装置と、この画像を外部機器に送信する無線送信手段が開示されている。
【0004】
特開2005−304600号公報は、励起光照射手段、特定の波長域を通過させる受光フィルタ、の組み合わせにより歯の外観の確認やう蝕、歯石や歯垢の付着状況の確認をする構成が示されている。
これらの構成の中には、カメラの小型化に伴い、カメラ本体を口腔内に挿入して、直接撮影する手法が多く提案されているが、近距離からの撮影によって、撮影画像が不鮮明になってしまい奥歯のような限られた空間での撮影が困難である。他方、実公平05−30402号公報に反射鏡を用いた口腔内カメラが示されるが、単に、撮影をするための構成であって、カメラを口腔内へ挿入するタイプと同様、有効な治療、診察、歯科実習等、撮影目的に適した構成は開示されていない。
【0005】
【特許文献1】特開昭62−246347号公報
【特許文献2】特開2001−29315号公報
【特許文献3】特開2002−355262号公報
【特許文献4】特開2005−304600号公報
【特許文献5】実公平5−30402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
口腔内にカメラを直接挿入する構成は、至近距離からの撮影のため、鮮明な画像を得ることは難しく、鮮明に撮影できる部位は限られてしまい、また、反射鏡を用いたカメラが提案されているものの、これも撮影することのみの構成であって、治療等の作業工程との関連性を示すものではなく、奥歯のような見えにくい部分での実際治療と連動する構成とは言い難い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑み本願発明は、照明部材と撮影部材を組み合わせた撮影ユニットを先端に配置した手持ち把持可能な把持用筐体、前記把持用筐体を把持した際、指操作が可能な部位に配置されたスイッチ類、前記把持用筐体に着脱自在に装着され、装着時、前記照明部材の照明光を反射させて、生体を照らすと共に、照らされた組織面を前記撮影部材へ伝達する鏡面部を所定の角度で配置した反射部材よりなる口腔内撮影ユニット、撮影時、使用者の視界に入る部位へ配置された前記口腔内撮影ユニットで撮影した画像を表示する表示手段の組み合わせ構成により、口腔内で、見えにくい部位、撮影が困難な部位でも鮮明な画像が形成され、しかも表示部へ、グリッド、ガイドライン等の治療サポートの為の表示を重ね合わせて行うことで、治療のための作業が困難な部位でも、安定した作業ができることを実現した。
更に表示部上の選択操作、例えば複数のボタンを配列したツールバーを画面上に表示させ、このボタンの表示を把持部筐体表面に装着されたスイッチ類の操作により変更させ、目的とするボタンのところで、連続して同じスイッチ類を押したり、他のスイッチ類を押す等してそのボタンに関連した機能を確定実行させる、いわゆるGUI(グラフィカルユーザインターフェース)的な手法を実現する。本発明は、表示部の表示を見て、片手で撮影しながらもう一方の手で治療、その他治療前後の評価測定等を行うことを可能とする。
尚、スイッチ類だけで、画面上のツールバー選択をする場合の他、例えば表示部がタッチパネル式であれば画面の所定の部位に接触する手法や、キーボード、マウス、タッチパッド等に併用であってもよい。
【0008】
本発明におけるスイッチ類は、押圧式、スライド式、回転式、回転と押圧可能な方式、指で触れるだけのタッチスイッチ式等様々な方式のスイッチが適用可能である。
これらのスイッチ類は、1又は2以上あればよく、上述の異なる方式を用いたスイッチ類を配置するものであってもよい。
即ち、これらのスイッチ類は、好ましくはコンピュータのキーボード又はマウスのボタンと同様の機能を有するものであっても良い。
前記撮影ユニットで撮影された画像を表示するものであって、治療中でも操作者の視界に入る部位へ配置された表示手段とは、デスクトップ式、ノートブック式のコンピュータの場合は、液晶表示のモニター、デイスプレイ等が例示され、これらが治療中でも操作者の視界に入る部位へ配置可能なものであれば良く、移動に自由度を与える場合は、携帯電話モニター、PDA端末の表示部が好適に使用される。
【0009】
表示手段を撮影時視界に入る部位へ配置するとは、治療している最中に視界に入るところ、首を回す程度で視界に入るところ、又は別途反射鏡を用いてモニター表示を反射させて表示させる等して、撮影時視界に入る所であれば良い。
本発明における、スイッチ類の操作により前記表示手段の表示面の指定位置を変更可能とし且つ確定可能とするとは、把持用筐体に設けたスイッチ類を操作すると、例えばボタンを押す毎に表示手段の指定位置が変化していき、他のボタンを押すと指定された部位が実行したり、画面表示のメニュー選択を、先頭のスイッチで行い、メニューを実行するための確定をもう一つのボタンを押すことで行うこと等を示すものである。
【0010】
従って、本発明は口腔内の治療部位を例えば表示部を見ながら左手で撮影し、撮影モードを操作する際は、左指でボタンを押しながら、表示部の選択部位を変更させていって、他のボタンを押すか、同じボタンを連続して押すことで、その選択を確定させて、撮影メニューが実行できる。
しかも反射鏡を用いる手法であるため、鏡の画像を適当な距離をおいて撮影していることから、撮影カメラのピントが常に一定であり、鏡に反射した画像を鮮明に写す事が可能であることから、特に奥歯のう蝕、根管治療、支台歯形成、インプラント植立施術等でも、歯科医は、正確な治療を可能とするのである。
治療の際、好適な撮影部位としては、インレーのステップ部分、智歯(親不知)などの奥歯部分、根管治療の際の歯内の状況、歯内の神経の位置、等が鮮明に画像で動画及び静止画で表示録画できる。
より詳細には、
1.いままで見えにくかったインレーのような小補綴物についての、アンダーカット面、ステップの様な補綴するために削り取った部位を、動画的に、静止画的に見えやすく撮影表示できる。
2.クラウン形成の際の、歯肉との接触部付近で見えにくかったマージンライン部分の表示をすることができる。その他補綴物治療状況を表示することができる。
3.口腔内でも一番奥に位置する智歯(親不知)の周囲側面まで十分な照明と反射鏡の鮮明な画像による表示ができる。特に埋伏歯のように大部分が歯肉に隠れた状態のものの撮影、治療に利用できる。 その他口腔内深部治療状況を表示できる。
4.根管治療の際の、根管の、位置状態や神経の位置が見えにくかった歯に開けた孔からの様子を、見える範囲でより鮮明に撮影表示ができる。
5.人工歯根の顎骨埋入部が全て顎骨内に埋入されているかの撮影表示ができる。
歯の裏側等、見えにくいところが表示可能となり、更に治療と連動した表示を可能とする。歯周全般の歯石の表示、除去後の程度の表示を可能とする。
6.表示部に、グリッド線を表示させることで、インプラントと隣在歯との距離が正確にわかる。
7.歯周ポケットを測定する際のプローブのスケールを鮮明に観察でき、歯周ポケットの深度を測定することが出来る。
8.インプラントの平行性、垂直植立性がグリッド表示から評価できる。
9.顎骨へのインプラント植立孔の穿設に際し、垂直で、突き抜けにくい深度の孔を形成可能とする。
10.インプラント植立の際の段階を踏んで形成される穿設孔の垂直状況、傾斜度を測定する治具を挿入した状態での治具の傾斜度、深度等も測定できる。
尚、本発明は、平面鏡の他、凸状の球面鏡が使用でき、上顎、下顎の全歯を撮影可能とするが、その際も、画像が鮮明であり、歯の裏側の配列を含む状態を表示体に表示することができ、片手での操作で治療処置を併用可能である。又、本発明は、口腔内状況の撮影の他、上述した治療と連動して、又は治療の前後の撮影も行うことも含むものである。
【0011】
本発明は、グリッド表示をモニター上に実際の撮影データと共に重ね合わせた状態で表示し、グリッド表示に従って、顎骨へ、インプラント植立用孔を穿設することで、より垂直に近いインプラントの植立が実現できる。又、グリッド表示をドリルに表示されたスケールを表示する画像データに重ね合わせた状態で、インプラント植立用孔を穿設することで、深く孔を開けすぎない様にすることができる。
又、歯牙を少し削る目安となる形状データや、目標とする傾斜と大きさを持つ支台歯形状データをガイドラインデータ表示するガイドライン設定手段を併せて設け、この設定手段で、設定されたガイドラインと、実際に撮影して得られた画像とを透過する関係で表示可能とすることで、より正確な傾斜とマージンラインを備えた支台歯の形成を促すことができる。
このようなガイドラインデータ設定手段及び重ね合わせ手段の組み合わせは、歯科実習生の実技において、教官の指導をガイドライン画像データ化し、実習の途中、後で、撮影データと、ガイドラインを透過的に重ね合わせて比較することで、正確で効率の良い歯科教習ができる。
又、グリッド線を撮影データと重ね合わせることで、技量的に多少未熟な医師であっても、グリッド線を基準として治療することで、より正確な治療が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、先端に発光素子をカメラの周囲に配置した撮影ユニットを内装し、把持部周辺で指先で操作可能な部位にスイッチ類を設けた把持用筐体と、
先端に所定の角度で配置した反射鏡と、後端に、前記把持用筐体と装着可能な中空の円筒部を設けたミラー部を備えた口腔内撮影ユニットと前記撮影ユニットで撮影された画像を表示し、操作者の視界に入る位置に配置された表示部からなる口腔内撮影ユニットであって、表示部の表示メニューなどの選択をスイッチ類で行うことを可能とすることで奥歯、口腔内奥の部分でも鮮明な画像が表示できる。更に、指先によるスイッチ類の操作によって、表示部の選択等の操作を行うことで、今まで困難だった口腔内部位の撮影、治療効率の向上等を可能とする。
更に、撮影画面にグリッド線を透過的に重ね併せることで、顎骨へ正確な孔を穿設したり、過度な深さの孔を開けないようにすることができる。
又、支台歯作成の際の支台歯の傾斜角度、マージンラインの大きさ等のガイドライン画像を作成し、支台歯形成の際、撮影した支台歯画像と、ガイドライン画像を透過するように重ね合わせて、支台歯形成の為の目安とすることで、正確な支台歯が形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例を説明する為の図。
【図2】本発明の実施例を示す図。
【図3】本発明の実施例を示す図。
【図4】本発明の実施例を示す図。
【図5】本発明の実施例を示す図。
【図6】本発明の実施例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、先端に発光素子をカメラの周囲に配置した撮影ユニットを内装し、把持部周辺で指先で操作可能な部位にスイッチ類を設けた把持用筐体と、
先端に所定の角度で配置した反射鏡と、後端に、前記把持用筐体と装着可能な中空の円筒部を設けたミラー部を備えた口腔内撮影ユニットと前記撮影ユニットで撮影された画像を表示し、操作者の視界に入る位置に配置された表示部からなる口腔内撮影システムであって、好ましくは表示部の表示メニューなどの選択をスイッチ類で行うことを可能とする組み合わせ構成とし、指先で操作できるスイッチ類の操作が、表示手段内の選択メニューの選択と確定の為の操作を可能とする構成を例示する。
即ち、本発明における口腔内カメラユニットとスイッチ類の組み合わせとグラフィカルに形成された表示画面に対する選択、決定などの仕組み、いわゆるGUI(グラフィカルユーザインターフェース)として使用される構成が好ましく、表示部を見ながら、表示部のサポートに基づいた治療を行うことができる。
【実施例1】
【0015】
本発明の実施例を図1を参照して詳細に説明する。
図1(a)でしめす口腔内カメラ100は、手持ち型でペン型の把持用筐体101と、その長軸方向に配置されたレンズ及びカメラ及び照明よりなる撮影ユニット101bと、口腔内に挿入される部位であって、前記照明ユニットに着脱が自在な当該照明を反射させて、口腔内に照射し、口腔内組織に反射した反射光を更に反射させて撮影ユニット101bへ伝達させる反射部材101aとで形成される。
101d及び101eは、スイッチ類であり、キーボード105、マウス106のキーと同様の機能を備えている。即ち、ディスプレイ104に表示された、メニュー等の画面表示をスイッチ類101d、101eを連続して押したりするなどして選択して、更にダブルクリックと同様のスイッチ類への操作等をおこない確定、実行させることができる。
【0016】
口腔内カメラ100は、パーソナルコンピュータなどの一般的なコンピュータ102に接続して使用される。この接続にはケーブル103が用いられるが、一例としてはUSBケーブルとなる。市販されている口腔内カメラには無線通信によって画像データをコンピュータに転送する機能を有するものも存在するが、カメラの動作以外にも照明用LEDの点灯やデータの無線通信に大きな電力を消費するため、バッテリーおよびその充電機構が必要となり、カメラ全体として重く大型なものになるという欠点がある。USB接続ではコンピュータからカメラの電力を供給できるため、ケーブル103の重量を考慮しても、全体としては小型軽量化されたものにできる利点がある。さらにコンピュータ102にはディスプレイ104を接続して実際に口腔内カメラで撮影した画像をリアルタイムで見ることができ、患者説明用などに利用できる。また、情報入力用デバイスとしてキーボード105やマウス106も接続され、システムの操作に利用される。
【0017】
更に本発明は、図1(b)で示すようなより携帯表示を行うモニター、モバイルパソコン、PADタイプの表示部材との組み合わせであっても良い。
本発明は、照明部材とカメラを一体化し、好ましくは中心にカメラを配置し、その周囲に360度の範囲で、反射鏡及び反射鏡を介した口腔内組織に十分な照明光を照射できる位置に照明部材を複数個配置した構成(好ましくは、カメラの周囲90度づつ4個のLEDを配置する構成)を有する撮影ユニット101bを把持用筐体101の先端に配置し、当該撮影ユニットを内挿可能で、先端には、所定の角度をもって配置された反射部材101aを配置したミラー部101cとを組み合わせた口腔内撮影ユニットと、把持用筐体101の後端に接続する画像を外部へ出力するためのケーブル107と、携帯型の表示デイスプレーを備えた、小型コンピュータであって、好ましくはタッチスイッチタイプのような画面接触によるスイッチ操作が可能な表示体108との組み合わせが例示される。
【0018】
把持用筐体101の指で操作可能な部位には、複数のボタン状、ダイヤル状、タッチパネル形式の、スイッチ類101d、101eが配置され、これを指で押すことで、例えば、スイッチ類101dが、動画撮影、静止画撮影の切り替え、スイッチ類101eが、表示体108上に表示されるソフトウエアスイッチと連動し、押す毎に、選択されるスイッチの位置がかわり、この動作で、スイッチ類101dを押すことで、画面上のスイッチが確定実行するもの等が例示される。
当該スイッチ類101dと101eは、コンピュータに接続されるキーボードやマウスコンピュータのスイッチと同じ機能を備えても良い場合がある。
また反射鏡を使った口腔内カメラであって、照明光が均一に照射する構成を持つものは、カメラを直接口腔内に挿入する構成とは異なり、奥歯の見えない部分を鮮明に表示することを可能とすることから、目視困難な奥歯の虫歯治療、抜歯治療や、隙間が狭い部分の治療においても、表示体108を見ながら、片手で、撮影ユニットを持ち、スイッチ類101d、101eを操作しながら、もう一方の手での治療を可能とするものである。
当該表示体108は、例えば、治療台、治療用イスなどに装着可能であって、歯科診療時に首を回す程度で十分に、観察可能な位置に容易に取り付けられるものである。
【0019】
表示体108は、汎用的で良く、接続するケーブルもUSBケーブル等で良い。
本発明の実施例では、これらのスイッチ類の操作を片手の指で行う。
これらスイッチ類の操作が、表示手段の操作と、表示手段の操作を介した撮影ユニットの操作を可能とすることから、奥歯10Hの見えない部分や、その他目視困難な部位の治療であっても、表示部を見ながらの操作を可能とする。
例えば、 奥歯の虫歯治療、抜歯、親知らず治療、抜歯、奥歯の歯周治療、インプラント治療、等、今まで、カメラでは撮影困難な部位の撮影を可能とし、その結果、治療部位の画像表示を治療と連動させることができる。
尚、図1(a)で示したデイスプレイ104も、口腔内カメラを使用して口腔内を観察し、治療と連動する場合、使用者の作業時に容易に視界に入る位置にある状態に位置することが好ましい。又、デイスプレイ104及び表示体108は、タッチスイッチ方式として触れるだけで、スイッチ機能が実現できることが好ましい。
【0020】
図2に本発明の一実施例の一部である口腔内カメラユニット部分を例示し説明する。図2(a)(b)の201は、把持用筐体であって、プラスチック材、金属材等で形成され、持ちやすいように細長い棒状で形成され、後端には、USBケーブル、その他の外部モニタとの接続のための電気リード線204が接続する。
202は、平面鏡、凸面鏡等の鏡面部203を所定の角度(レンズ面に対し40〜50度)で配置したミラー部であり、口腔内に挿入される部位であって、先端に反射鏡が形成され、後端は、撮影ユニットが着脱自在に装着される円筒状の装着部208が形成されている。
207a及び207bは、操作スイッチ類であり、押圧、回転、回転と押圧の連動等で電源のオンオフ、倍率の変更等の指示を、押圧方式、スライド方式、タッチパネル方式などで形成する。操作スイッチは必要に応じて複数配置され、主に図1で示すデイスプレイ104、表示体108の表示を操作するキーボード、マウスのスイッチのように連動して操作する機能を持つものであるが、その他、撮影および選択の決定に用いるメインスイッチと、主に状態および選択肢の切り替えに用いるサブスイッチといった組み合わせで利用されてもよい。
図2(b)で示す2K2は、中心にカメラを配置し、その周辺に照明部を1乃至複数配置した撮影ユニットであり、撮影ユニット2K2は、反射鏡203方向に向いて、焦点があうような距離2K1で固定されている。
従って、反射鏡から口腔内組織の距離にかかわらず、反射された像を鮮明に撮影できることから、反射鏡が、口腔内組織に近接しても、光路が確保されている限り、鮮明な画像が撮影できる。又、光路が舌等で一部遮られたとしても、照明部がカメラ周辺に一様に配置されているため、反射鏡面画像の一部であるが、明るい鮮明な画像として得られる。
【0021】
図2(b)は、図2(a)で示した撮影ユニットの側面を示すと共に、口腔内の余分な唾液、治療時に行う注水、治療時に出る歯、補綴物の残渣を回収する吸引部を併せて備えたものである。
2B1が吸引口であり、可撓性の導官2B3の先端部である。吸引口2B1の位置は一例であり、例えば2B2の様な配置も可能である。 導官2B3は、外部の吸引装置と接続している。
吸引口2B1の位置は、撮影画像の底辺部分に相当する為、図1で示すデイスプレイ104又は表示体108の画像を見ながら、カメラユニットを動かして治療残渣、唾液、余剰水を吸引操作可能とする点で、好ましい場合もある。吸引口2B1は、カメラ面から多少突出させても良い場合もある。吸引口2B1の大きさ、形状は、吸引する対象によって選択され、例えば、円状、細長い楕円状、長方形状であって、反射鏡周縁部に沿った形状などが示される。
導官2B3は、ミラー部202及び把持用筐体201の側面を這うように装着されたり、ミラー部202、把持用筐体201の内部又は外部に一体的に配置したりしてもよい。
尚、ミラー部202は、主に口腔内へ挿入されるミラー部202を交換するため、把持用筐体201と着脱可能に形成される為、導官も、途中、着脱を目的とするコネクタ等の接続体2B4を設けて、ミラー部202を交換する際、一緒に導官2B3を接続体2B4の位置で分離する構成であってもよい。
尚、接続体2B4、及びその機能、形状、配置位置等は、いずれも任意であり、無い場合もある。
当該吸引口2B1からの吸引動作は、図1でしめすデイスプレイ104又は表示体108の画面上の表示によって、開始、停止、及び出力の強弱を行う態様が好ましく、スイッチ類207a、207bを押圧、摺動、回動させることで、例えば、当該画面の表示には、吸引開始、停止、強弱調整ボタン表示がされたツールバーのような選択表示がされ、スイッチ類207a、を押すか回すと、例えばボタン表示の色がその他と異なる色となっていた吸引開始から、次の停止ボタンへと移動する。目的とするボタンの色が異なる色に変わったタイミングで、スイッチ類207bを押すと確定し、例えば、ボタンの色がその他と異なるボタンが吸引開始の場合は、確定すると吸引を開始する、ような動作を行うものであってもよい。尚、図2(b)の吸引構成は、一例であり、具体的構成、動作は、適宜調整されるものである。
【0022】
図2(c)は、図2(a)(b)でしめす口腔内カメラの内部構成を模式的に示した図である。
図2(c)において、把持用筐体201の先端にミラー部202が装着され、ミラー部202の先端はレンズ205に対して40〜50度傾いて形成され、ここに鏡面部203が配置されることで、撮影対象である口腔内組織Hの像がレンズ205に接続されたカメラ部206内部のイメージセンサ上に結像する。カメラ部206は鏡面部203方向が正面となるように配置されるため、メイン基板209に対しては90度傾いて接続される。カメラ部206で取得される画像情報はメイン基板209上の画像処理用マイクロコンピュータ210で適切に受信および加工され、USBケーブル等の電気リード線204を通じてパーソナルコンピュータへと転送される。実際の撮影操作は操作スイッチ類207を利用して実行される。 なお、口腔内カメラの動力となる電気エネルギーはUSBケーブル電気リード線204を介してパーソナルコンピュータから供給される。
【0023】
ミラー部202は根元が筒状の構造になっており、把持用筐体201の先端に配置された装着部208が挿入されることで装着されるようになっている。装着部208が把持用筐体201と一体化されず、異なる部材となっているのは、このような装着方法による機械的摩耗をできるだけ低減させるためであり、具体的にはポリアセタール等の材質で形成されるからである。一方、把持用筐体201は消毒用アルコールで清掃されることが通常であり、耐摩耗性よりも耐薬品性が重要となるため、ポリプロピレン等の材質で形成されるか、または表面に耐薬品コーティングが施される。なお、装着部208の内部には撮像部が配置されるため、装着部208の先端面211は透明でなければならず、アクリルやポリカーボネイト等の樹脂で形成される。撮像部にはレンズ205の周囲に配置される光源基板212も含まれ、基板上の白色発光ダイオードから放出される光は先端面211を通過し、鏡面部203で反射されて撮影対象(口腔内組織H)へと供給される。先端面211は必ずしも平坦ではなく、光源からの光を集光するために半球状の凸構造を有していてもよい。半球構造のサイズは直径3mm程度である。
【0024】
既に述べたように、ミラー部202のみが口腔内に入り、かつ着脱が容易な構造となっている場合、ミラー部202を取り外して高温蒸気滅菌することにより、常に清潔な状態で使用することが可能である。そのため、ミラー部202の材質はポリサルホン等、高温での処理に耐えられる樹脂で形成することが好ましい。鏡面部203は通常ガラスで形成されるため、耐熱性については問題ない。なお、ミラー部202に鏡面部203を接続する方法としては、耐熱性あるいは生物学的安全性の問題で接着剤を使用することは難しいため、例えば図2(c)のように鏡面部203の背面にタップ構造を形成し、装着部にねじ213で固定した上でシリコンカバー214を被せるといった構造を利用する。
ミラー部202上に配置する操作スイッチ類207の位置としては、なるべく前方にある方が扱いやすいが、メイン基板209の前方は撮像部との接続や処理のための構成に面積を要するため、スイッチ素子を配置することは難しい。そこで、スイッチ基板215を別に用意し、ここにスイッチ素子216や電源投入確認用LED217を配置した上で、把持部202の内部に組み込むことで配置の問題を解決する。実際にはスイッチ素子216の上部にゴムカバー218を被せることで防水性を確保し、さらにその上にスイッチ類207用の部材を配置することになる。
スイッチ基板215はメイン基板209に接続され、スイッチの状態は画像情報とともにコンピュータへ転送される。なお、メイン基板209上には方向センサ219が組み込まれ、口腔内カメラの方向情報も併せてコンピュータへ転送される。方向センサ219として、互いに相反する2つの方向のいずれかを向いているか、あるいはいずれも向いていないかの3状態を出力として得られるものを利用する場合、このセンサを2個互いに90度異なるように基板上に配置すれば、鏡面部203が上下左右のいずれを向いているかを判別でき、コンピュータのディスプレイ上に表示される画像の向きを適切に回転させることができる。当然ながら、1つのセンサでこれらの4方向の判定が独立にできるのであれば、基板上に配置するセンサは1個でよい。
【0025】
図3にミラー部301について拡大した図を示した。
304は、装着部を示し、305は、反射鏡を示す、反射鏡305は、硬質性プラスチック材で形成されたミラー支持部303の先端に所定の角度を持って形成されている。装着部304は、ミラー支持部303の後端に円筒状、楕円筒状に形成され、装着部304から、反射鏡305までは、開放されており、又、装着部304から反射鏡305が支持された部位まで、流線形状をしており、口腔内に刺激を与えない形状となっている。 306は、把持用筐体であり、307は、撮影ユニットである。これは、図2の205および206と同じものである。
ミラー部301は、撮影ユニット307と着脱自在であることから、高温蒸気滅菌が可能であることや光学距離が長くなり焦点を合わせやすいという利点があることは既に述べたが、口腔内組織の撮影態様に応じて、ミラー特性を容易に変更できるという利点も得られる。例えば反射鏡305として平面ではなく凸面ミラー310を先端に設定したミラー部302を使用すれば、撮影対象である口腔内組織がより広範囲に映ることになる。歯科の臨床としては歯の咬合面全体を写した画像や、正面および側面の全体画像も極めて重要であるが、これらの画像は凸面ミラーを使用することで容易に得ることができる。
【0026】
310は、凸状で球面状の反射鏡であり、上顎又は下顎の全歯、又は目的とする範囲の歯列を撮影するための曲率をもっている。
尚、このような凸状で球面状の反射鏡は一例であっても良く、目的に応じて、凹面鏡であってもよい場合もある。
図3(b)は、撮影ユニット307の一例を示す図である。308は、撮影部であり、集光レンズ、CCDカメラなどで形成されている。上下に長軸をもつ楕円の筒状体が例示されるが、円筒状であっても良い。
309は、照明部であり、LED、発光ダイオード等で形成されている。照明部309の個数は、例えば4個を十字配置したものが示されるが、反射鏡305を介して組織を照らす場合に応じ適宜選択される。
【0027】
図4は、本発明の他の実施例を示す図である。
図4(a)において、2301は、把持用筐体であり、先端にカメラを中心にしてその周囲に光源を配置した撮影ユニット2301aが配置されている。
把持用筐体2301は、押圧、スライド、回転と押圧の兼用、タッチパネル状のスイッチ類2301bと2301cが形成されている。スイッチ類の数は、例示であって、3以上形成されても良い。
2302は、先端に反射鏡2303を45度の角度で備えており後端は、中空状の円筒体で形成されたミラー支持部である。
把持用筐体2301の先端にミラー支持部2302が着脱自在に装着されると、撮影ユニット2301aの照明が、反射鏡2303に反射して口腔内を照らし、照らされた口腔内を反射鏡2303を介して撮影ユニット2301aが動画、静止画状態でカメラ画像として取り込む構成を示している。2301dは、USBケーブル等の汎用又は専用の電気リード線であり、外部信号処理部、表示部と接続するためのものである。
2304以降のブロック図は、画像処理用コンピュータ等でソフトウエア的に又はハードウエア的に形成された信号処理部である。
2304は、入力手段であり、前記画像データを動画データ、又は静止画データの電気信号として入力する。又、撮影対象が、反射鏡のみの場合は、反射鏡画像のみの輪郭領域を抽出する操作を行う場合もある。
2305は、歪み補正手段であり、反射鏡が所定の角度を備えて、口腔内を撮影するための歪みを補正する手段である。これは例えば、予め基準図形を撮影した際の、歪み度を計測し、これを係数化して画像データを演算処理することが示される。
2306は、撮影距離設定手段であり、例えば図4(a)で示す撮影距離a(歯牙表面から、反射鏡先端までの距離)の値を例えば予め設定する手段である。
これは、a=0mm、3mm・・・と設定し、コンピュータモニター上で、使用者が目安として選択指定する。この場合スイッチ類2301b、2301cを指先でディスプレイ104又は表示体108を見ながら表示された、複数のa値のボタン表示を押圧、摺動、引く、回す等して移動指定し、他のスイッチ類を操作する等してa値を確定することが例示される。
【0028】
2307は、グリッド形成手段であり、前記距離aの値又は、任意の値に基づいて図4(b)でしめす格子状のグリッド表示2312aを形成するものである。グリッド表示2312aは、相対的間隔、大きさ、垂直性、平行性を表示する場合は、撮影画像2312bに対して任意に設定してもよい。又、前記撮影距離設定手段2306で、撮影距離aの値に基づいて、実際の口腔面での距離における間隔をもったグリッド表示を行っても良い。
その際、底辺部位を示す2312cが、反射鏡先端部の位置となることが好ましい。このグリッド表示は、反射鏡2303の反射面、即ち円形状に限っても良い場合もある。
2308は、重ね合わせ手段であり、前記歪み補正手段2305から出力された反射鏡映像と、グリッド形成手段2307が出力するグリッド線図を、透過的に重ね合わせて(透過とは図のように両方の図が表示される状態)ディスプレイ上に表示するための部分である。重ね合わせの手法は、汎用グラフィックソフトウエアによる、マウスを用いた重ね合わせ手法の他、マウスを用いず、スイッチ類2301b、2301cの操作により、選択操作、重ね合わせ操作、を行うことが好ましい場合もある。
2309は、表示手段であり、デスクトップ状、ノートブック状のパソコンのモニターデイスプレイ、PDA、携帯電話等の表示画面が例示される。
2310は、歪み付加手段であり、前記グリッド形成手段2307で形成されたグリッド表示に、実際反射鏡で反射された画面表示の歪みを付加してゆがんだグリッドを形成して表示する手段である。
歪み付加手段2310は、例えば撮影ユニットが動画モードで撮影を行う際、歪み補正手段2305を用いる場合の計算時間増加による遅延時間を解消して動画モードでグリッド表示を行う場合に好適な場合がある。これは、片手に撮影ユニットを持ち、他の片手に治療具を持ち、表示手段2309を見ながら、例えば奥歯など、従来でも処置が困難な部位の処置に好適となる。
図4(b)は、撮影ユニット2301aによって撮影された画像データをコンピュータデイスプレイ上に表示した表示画面2312の一例である。図4(c)は、撮影ユニット2301aで撮影した画像に歪み補正を施さないでそのままとし、グリッド線に歪みを付加した状態で重ね合わせた状態を示す図である。
2311dは、グリッドに実際の距離値を与えた場合の単位データであり、縦の単位をk、横の単位をlで示した。尚、図4で示すブロック図は、電気回路の組み合わせでも実現可能であるが、図1でしめすようにコンピュータ処理を使用している点で、ソフトウエアによる実現が好適である。図5でしめすブロック図も同様である。
【0029】
次に図4で示した実施例の動作を説明する。
把持用筐体2301を持ち、ミラー支持部2302の先端部の反射鏡2303を観察・治療用歯23Hに23Aでしめす所定の距離aを持って配置する。撮影ユニット2302aの例えば図3で示す4個の発光素子からなる照明部309は、反射鏡2303へ向かって発光し、例えば90度の角度で反射して観察・治療用歯23Hを照明する。
撮影ユニット2302aの図3でしめす撮影部308は、この照明された観察・治療用歯23Hの画像を動画、又は静止画で画像信号としてUSBケーブル等の電気リード線2301dを介して入力手段2304に入力される。 操作者は、撮影距離設定手段2306で、反射鏡2303と、観察・治療用歯23Hとの距離を設定してその値aを、選択入力する。この選択入力は、予め表示手段2309の画面上に、aの距離、0mm、2mm、5mmのボタンをツールバー状に表示し、例えば、スイッチ類2301cを押すか、摺動させるか、回すかして、ボタンの色表示を移動させ、次にスイッチ類2301bを押す等して、色の異なるボタンを確定させ、その距離を決定入力するようなGUI的な指定入力をしてもよい。
入力手段2304に入力された画像は、歪み補正手段2305で、歪み補正がされ、重ね合わせ手段2308へ入力される。撮影距離設定手段2306で、撮影距離が設定された場合、その信号は、グリッド形成手段2307へ入力され、図4(d)で示す単位格子線図を示す2311dの単位距離、kとlの距離が設定され、その距離に基づいたグリッド表示2312aが重ね合わせ手段2308へ出力される。
重ね合わせ手段2308は、入力された歪み補正後の反射鏡による撮影画像2312bと、グリッド表示2312aを重ね合わせた重ね合わせデータを形成して表示手段2309で表示するものである。この状態を図4(c)で示した。
【0030】
又、動画表示をする際、グリッド形成手段2307で、形成されたグリッド表示を歪み付加手段2310で、反射鏡2303で反射した画像に対応する形で、歪みを付加して、又、入力手段2304で出力した反射鏡画像を歪み補正手段2305で歪み補正をせず、そのまま重ね合わせ手段2308に入力し、重ね合わせ手段2308で、歪み補正をしない反射鏡画像と歪み付加手段2310で歪ませたグリッド表示を重ね合わせ、表示手段2309で表示させてもよい。この状態を図4(c)で示した。
コンピュータモニター上に写されたウィンドウ状の表示2311内に、歪んだグリッド2311aと、反射鏡画像2311bが重ね合わされて表示されている。
2311cの部分が、反射鏡2303の先端部となり、距離の基準となる部分である。
2311dは、距離aに基づいて設定されたグリッド表示のスケール表示となる。2311dは、相対的表示である場合は、不要となる場合もある。尚、図3(c)のみに表示したスケール表示2311dは,図3(b)にも表示される。
本実施例は、治療ともに、用いることが出来、歯牙に近接した反射鏡2303であっても反射鏡からの鮮明な画像を得ることができ、これにスケール表示、グリッド表示を設定することで、歯牙の状態、損傷の程度、大きさ、目安となる深度等が計測可能であり、グリッド表示のオンオフ等の操作をスイッチ類2301b、2301cで行いながら、治療等を行うことも可能とする。
【0031】
次に他の実施例を図5に示し詳細に説明する。
図5において、2401は操作手段であり、例えば、図1(a)及び(b)で示す撮影ユニットで構成され、撮影ユニットに装着されるスイッチ類を操作することでモニター画面の選択操作が行われる構成のものが好適に用いられる。
2402は、歪み補正手段であり、反射鏡が所定の角度を備えて、口腔内を撮影するための歪みを補正する手段である。これは例えば、予め基準図形を撮影した際の、歪み度を計測し、これを係数化して画像データを演算処理することが示される。
2403は、重ね合わせ手段であり、2つの画像を透過して重ね合わせるものであって、その際、一致した重ね合わせを行うべく、入力される2つの画像の大きさ、角度を調整する機能を併せて有する。
2404は、ガイドラインデータ形成手段であり、例えば、作成しようとする支台歯形成の際の、支台歯側面の傾斜、支台歯の大きさを設定するための指標画像を形成するためのものであり、いわゆるグラフィックソフトウエアによる作図機能により作図したものである。
2405は、表示手段であり、デスクトップ状、ノートブック状のパソコンのモニターデイスプレイ、PDA、携帯電話等の表示画面が例示される。
【0032】
本実施例の動作を図5(b)以降を参照して詳細に説明する。
撮影手段2401で図5(b)で示す撮影画像データ2406を得る。
撮影画像データ2406は、支台歯2406aを側面から撮影したものであり、2406bは、隣接歯である。
予め、図5(c)で示すように支台歯の傾斜を示す指標2408を示すガイドライン画像2407を作成する。このガイドライン画像2407は、例えば図5(c)のc−1とc−2でしめすように支台歯の傾斜部分の角度が異なる画像を複数種類、形成する。 これは例えば、既成のデータや、自らが作成したデータを本実施例を実行するコンピュータに取り込み、表示可能な画像データを記憶させていくことが好ましい。
図5(c)c−3は、支台歯を上面方向からみた指標画像であり、2412は、指標マージンライン、2413は指標頂上部を示す。c−3でしめす指標画像も歯式毎に複数種類用意されることが好ましい。
次に図5(d)は、支台歯の傾斜面の撮影画像2405と指標画像2107の重ね合わせを行った際の重ね合わせ画像2409であり、重ね合わせ手段2403で、歪み補正手段2402で歪み補正された支台歯画像と、ガイドラインデータ形成手段2404で形成された撮影画像データ2406とガイドラインデータ形成手段2404で形成された指標2408を透過した状態で重ね合わせたデータとし、表示手段2405で表示したものである。
又図5(e)は、支台歯を上部方向から撮影した際の指標マージンライン2412と指標頂上部2413で示される指標画像と、撮影したマージンライン2411と、撮影した頂上部2414で示される撮影画像を重ね合わせた画像2410である。
これらの重ね合わされた画像データは、支台歯形成の際の、中間的評価、最終的評価となり、このガイドライン画像データに基づいて的確な処置を可能とするものである。
【0033】
図7は、図1(b)で示した構成を用いた場合表示体180Pに画像が表示された状態の一例を示す。
2501は、把持用筐体であり、先端に照明用光源2501cがカメラ2501bを中心に十字方向に配置した撮影ユニット2501aが配置され、指先で操作可能な部位には、押圧式のスイッチ2507、回転と押圧可能なジョグダイヤル状のスイッチ類2508が設置されている。2501dは、USBケーブル等の汎用ケーブル又は専用ケーブル等の電気ケーブルを示す。
更に把持用筐体2501の先端部の楕円柱状の撮影ユニット2501aに装着されるミラー部2502の部位は、楕円筒状を形成し、先端部には、45度の角度で反射鏡2503が配置されている。
表示体180Pの画面180G上において
1801は、歯科治療メニュー画面を示し、段階が移行する毎に表示が変化する事が好ましい場合もある。
1802は、症例の選択リストであり、虫歯、1歯欠損などの表示と共に、この部位をクリックする等の指定を行うことで、そのタイトルを説明する動画表示、静止画表示等が実行されることが好ましい場合もある。
【0034】
1803は、歯列の模式図であり、上下に部位と、内部に歯番が示されている。1804は、目的とする部位を示す治療マークである。このマークは、色、記号等、目立つ表示がされることが好ましい場合もある。
1805は、過去の治療部位を示す治療済みマークであり、治療マーク1804と区別される色、記号、その他の表示であることが好ましい。
1806は、口腔内カメラ2500で目的とする部位を撮影した際の画像表示部であり、この表示に基づき上述した歯式1813を手元で指定することを可能としている。
1807は、シミュレーション表であり、指定する毎に該当する箇所に表示がされていく。
【0035】
本実施例では、例えば図2でしめす口腔内カメラを用いて、手元で、歯式の選択をおこなう実施例が示される。
例えば、口腔内カメラ2500の反射鏡2403を測定歯SGに近づける。
この状態で、スイッチ類2408を回すか押すと症例の選択が色が変わる様に1802a→1802b→1802c→1802d→1802eと変化し、選択する症例で、スイッチ類2408を押して確定させる。確定すると、シミュレーション表1807に、その症例が表示され、次の歯式表示部1803へ移行する。
測定歯SGが下顎左6を撮影している場合はスイッチ類2408のボタンを指で回すかおすと、回すか押す毎に歯式の表示又は治療マークが例えば左上から順に8→7→と移動していく、歯科医は、歯式が一致するところまで、手前のスイッチ類2407を押していき、表示が目的となる部位(ここでは、下顎右6)に表示マーク等が到達すると、押すのをやめるか、スイッチ2407又はスイッチ類2408を押して確定する。
以上の様に片方の手で、口腔内カメラ2500を持って、もう一方の手で治療用具を持ち、表示部180Pを見ながら、見えにくく、空間が限られた口腔内部位での治療、処置が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、反射鏡を用いた撮影手段を用いることで、奥歯や、いままで観察することが困難だった部位での表示を可能とし、更に、撮影画像にグリッド線、ガイドライン画像を重ね合わせて表示する操作を行うことができることから、微小な補綴物の補綴、智歯等の奥歯治療、インプラントの安定した正確な植立、支台歯の正確な形成、正確な根管治療が行えるなど、様々な歯科治療分野で、有効に利用される。
【符号の説明】
【0037】
100 口腔内カメラ
101 把持用筐体
101a 反射部材
101b 撮影ユニット
101c ミラー部
101d スイッチ類
101e スイッチ類
102 コンピュータ
103 ケーブル
104 ディスプレイ
105 キーボード
106 マウス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明部材と撮影部材を組み合わせた撮影ユニットを先端に配置した手持ち把持可能な筐体、前記筐体を把持した際、指操作が可能な部位に配置されたスイッチ類、前記筐体に着脱自在に装着され、装着時、前記照明部材の照明光を反射させて、生体に照射すると共に、照らされた組織面を前記撮影部材へ伝達する鏡面部を所定の角度で配置した反射部材よりなる口腔内撮影ユニット、前記口腔内撮影ユニットで撮影された画像を表示するものであって、使用者の視界に入る部位へ配置された表示手段よりなる口腔内撮影システム。
【請求項2】
前記スイッチ類の操作により前記表示手段の表示面の指定位置を変更可能とし且つ確定可能とする請求項1に記載の口腔内撮影システム。
【請求項3】
前記表示部による表示に連動して治療作業を行う請求項1に記載の口腔内撮影システム。
【請求項4】
グリッド線を前記表示手段に重ね合わせて表示するグリッド表示手段を更に設けた請求項1に記載の口腔内撮影システム。
【請求項5】
治療用指標画像データを作成する指標データ作成手段、前記指標データ作成手段の指標データと撮影画像データを重ね合わせて表示する表示手段を設けた請求項1に記載の口腔内撮影システム。
【請求項6】
前記表示がインレー等の微小補綴物の補綴用に形成されたステップ、その他の部位、クラウン等の補綴物装着時のマージン部等の補綴物治療時、又はその前後の口腔内状況である請求項1に記載の口腔内撮影システム。
【請求項7】
前記表示が、奥歯、智歯、埋伏歯、及びこれらの治療時、又はその前後の治療状況、その他口腔内深部状況である請求項1に記載の口腔内撮影システム。
【請求項8】
前記表示が、根管治療の為の根幹部位等の歯に形成された孔内部、溝部の治療時又はその前後の状況である請求項1に記載の口腔内撮影システム。
【請求項9】
前記表示が歯石の付着状況、歯石除去後の残存状況等の歯表面状況である請求項1に記載の口腔内撮影システム。
【請求項10】
前記表示が、インプラント植立前後又は植立時の平行度、垂直度、顎骨穿設孔の垂直度、深度、インプラント埋入後の埋入の程度等のインプラント植立状況である請求項4に記載の口腔内撮影システム。
【請求項11】
前記表示が、歯周ポケット深度計測治具の目盛り表示部、インプラント形成用顎骨孔の傾斜測定用治具の傾斜度、深度等の口腔内治具の適用状況である請求項4に記載の口腔内撮影システム。
【請求項12】
前記表示が、支台歯の傾斜角度、マージンライン等の口腔内処置状況である請求項5に記載の口腔内撮影システム。
【請求項13】
前記反射鏡を球状凸面状とし、上顎、下顎の全歯、全歯裏部を前記表示部が表示する請求項1に記載の口腔内撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−45346(P2012−45346A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203696(P2010−203696)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000126757)株式会社アドバンス (60)
【Fターム(参考)】