説明

口腔内消毒および口腔疾患の処置のための酸化剤、光増感剤および創傷治癒剤の組み合わせ

本書類は、口腔内消毒および/もしくは処置のための光活性化される組成物の使用方法を記載し、上記組成物は、少なくとも1種の酸化剤、上記酸化剤を活性化し得る少なくとも1種の光活性化剤、ならびにヒアルロン酸、グルコサミンおよびアラントインから選択される少なくとも1種の治癒因子を、薬理学的に受容可能なキャリアと会合した状態で含む。一実施形態によれば、上記組成物は、口腔内消毒のため、口腔疾患の処置のため、および上記疾患の治癒を助けるため、ならびに/または歯周炎の処置のために使用することができる。上記口腔疾患は、歯肉炎、歯周炎、歯周病、鵞口瘡、扁平苔癬、および口内炎から選択され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
この記載は、抗菌歯周組成物、ならびに口腔全体の消毒および光力学補助歯周処置のための方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
歯周処置の主な目的は、微生物病因および寄与因子を変化させるかもしくは排除することによって、歯周感染を制御することである。
【0003】
現在まで、感染性歯周病の処置のための最も有効な手順のうちの1つとしてのスケーリングおよびルートプレーニング(SRP)を裏付けるかなりの証拠がある。
【0004】
歯周処置において使用される処置ストラテジーとしては、口腔全体の消毒が挙げられるが、従来のSRPと比較して小さな付加的効果があるに過ぎない。
【0005】
SRPは、臨床的パラメーターを改善することに加えて、微生物量(microbial load)を減らし、より健康に適合性の微生物叢へ向かって変化を生じるという一般的な意見の一致がある。
【0006】
しかし、SRPが重大な歯周病原体を完全に根絶するかもしくは抑制する能力については、矛盾した報告がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
一実施形態によれば、口腔内消毒および/もしくは口腔疾患の処置のための医薬の製造のための、光活性化される組成物の使用が開示され、上記組成物は、少なくとも1種の酸化剤、上記酸化剤を活性化し得る少なくとも1種の光活性化剤;ならびにヒアルロン酸、グルコサミンおよびアラントインから選択される少なくとも1種の治癒因子を、薬理学的に受容可能なキャリアと会合した状態で(in association with)含む。
【0008】
一実施形態によれば、口腔内消毒のため、口腔疾患の処置のため、および上記疾患の治癒を助ける(favor healing of the disease)ため、ならびに/または歯周炎の処置のための光活性化される組成物の使用が開示され、上記組成物は、少なくとも1種の酸化剤;上記酸化剤を活性化し得る少なくとも1種の光活性化剤;ならびにヒアルロン酸、グルコサミンおよびアラントインから選択される少なくとも1種の治癒因子を、薬理学的に受容可能なキャリアと会合した状態で含む。
【0009】
上記口腔疾患は、歯肉炎、歯周炎、歯周病、鵞口瘡、扁平苔癬、および口内炎から選択され得る。
【0010】
上記酸化剤は、過酸化水素、過酸化カルバミド、ペルオキシ酸、アルカリ金属過炭酸物および過酸化ベンゾイルから選択され得る。好ましい酸化剤は、過酸化水素および過酸化カルバミド、ならびにこれらの混合物である。
【0011】
上記抗菌歯周組成物は、少なくとも1種の親水性ゲル化剤をさらに含み得る。
【0012】
上記親水性ゲル化剤は、グルコース、改変デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボポル(登録商標) ポリマー、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、寒天、カラギーナン、ローカストビーンガム、ペクチン、ゼラチンから選択され得る。
【0013】
上記光活性化剤は、キサンテン誘導体色素、アゾ色素、生物学的着色剤、およびカロチノイドから選択され得る。
【0014】
上記キサンテン誘導体色素は、フルオレン色素、フルオロン色素、およびロドール色素から選択され得る。
【0015】
上記フルオレン色素は、ピロニン色素およびローダミン色素から選択され得る。
【0016】
上記ピロニン色素は、ピロニンYおよびピロニンBから選択され得る。
【0017】
上記ローダミン色素は、ローダミンB、ローダミンGおよびローダミンWTから選択され得る。
【0018】
上記フルオロン色素は、フルオレセインおよびフルオレセイン誘導体から選択され得る。
【0019】
上記フルオレセイン誘導体は、フロキシンB、ローズベンガル、およびメルブロミンから選択され得る。
【0020】
上記フルオレセイン誘導体は、エオシンY、エオシンBおよびエリスロシンBから選択され得る。好ましくは、フルオレセイン誘導体は、エオシンYである。
【0021】
上記アゾ色素は、メチルバイオレット、ニュートラルレッド、パラレッド、アマランス、カルモイシン、アルラレッドAC、タルトラジン、オレンジG、ポンソー4R、メチルレッド、およびムレキシド−プルプリン酸アンモニウムから選択され得る。
【0022】
上記生物学的着色剤は、サフラニンO、塩基性フクシン、酸性フクシン、3,3’ ジヘキシルカルボシアニンヨウ化物(dihexylocarbocyanine iodide)、カルミン酸、およびインドシアニン・グリーンから選択され得る。
【0023】
上記カロチノイドは、クロセチン、α−クロチン(8,8−ジアポ−8,8−カロテン酸)、ゼアキサンチン、リコピン,α−カロチン、β−カロチン、ビキシン、およびフコキサンチンから選択され得る。
【0024】
上記カロチノイドは、サフランレッド粉末、ベニノキ抽出物および褐藻類抽出物から選択される混合物として、上記組成物中に存在し得る。
【0025】
上記抗菌歯周組成物は、少なくとも1種のキレート化剤をさらに含み得る。
【0026】
上記キレート化剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびエチレングリコール四酢酸(EGTA)から選択され得る。
【0027】
一実施形態によれば、患者の口腔全体の消毒および/もしくは光力学補助口腔処置のための方法が開示され、上記方法は、
a)患者の口腔の中に、少なくとも1種の酸化剤、上記酸化剤を活性化し得る少なくとも1種の光活性化剤;ならびにヒアルロン酸、グルコサミンおよびアラントインから選択される少なくとも1種の治癒因子を含む組成物を適用する工程;ならびに
b)上記工程a)の口腔を、上記光活性化剤が上記酸化剤の活性化を引き起こすに十分な時間にわたって化学線(actinic light)に供する(treat)工程、
を包含する。
【0028】
上記口腔処置は、口腔疾患の処置のためであり得、上記疾患は、歯肉炎、歯周炎、歯周病、鵞口瘡、扁平苔癬、口内炎、単純ヘルペス病変、口腔粘膜炎(oral mucositis)、口腔潰瘍、口腔粘膜下線維症、および舌炎であり得る。
【0029】
上記口腔全体の消毒および光力学補助口腔処置のための方法は、上記口腔を、約5分未満の期間にわたって、もしくは約60秒〜約5分の期間にわたって化学線に曝す工程を包含し得る。
【0030】
上記口腔全体の消毒および光力学補助口腔処置のための方法は、上記口腔を、処置されるべき領域1cmあたり約5分未満の期間にわたって、もしくは約60秒〜約5分の期間にわたって化学線に曝す工程を包含し得る。
【0031】
上記口腔全体の消毒および光力学補助口腔処置のための方法は、上記口腔を、処置される領域の上にある化学線源に曝す工程を包含し得る。
【0032】
上記口腔全体の消毒および光力学補助口腔疾患処置のための方法は、上記組成物を、歯肉に、少なくとも1本の歯の近く、および少なくとも1本の歯に適用する工程を包含し得、上記少なくとも1本の歯は、前庭側(vestibular side)から少なくとも約10秒の期間にわたって、および口腔側から少なくとも約10秒の期間にわたって、化学線に曝される。
【0033】
上記口腔全体の消毒および光力学補助口腔処置のための方法は、上記口腔を、約400nm〜約700nmの間、もしくは約400nm〜約600nmの間、および好ましくは、約450nm〜約700nmの間の波長を有する可視光線であり得る化学線に曝す工程を包含し得る。
【0034】
上記酸化剤は、過酸化水素、過酸化カルバミドおよび過酸化ベンゾイルから選択され得る。
【0035】
上記抗菌歯周組成物は、少なくとも1種の親水性ゲル化剤をさらに含み得る。
【0036】
上記親水性ゲル化剤は、グルコース、改変デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボポル(登録商標)ポリマー、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、寒天、カラギーナン、ローカストビーンガム、ペクチン、ゼラチンから選択され得る。
【0037】
上記光活性化剤は、キサンテン誘導体色素、アゾ色素、生物学的着色剤、およびカロチノイドから選択され得る。
【0038】
上記キサンテン誘導体色素は、フルオレン色素、フルオロン色素、およびロドール色素から選択され得る。
【0039】
上記フルオレン色素は、ピロニン色素およびローダミン色素から選択され得る。
【0040】
上記ピロニン色素は、ピロニンYおよびピロニンBから選択され得る。
【0041】
上記ローダミン色素は、ローダミンB、ローダミンGおよびローダミンWTから選択され得る。
【0042】
上記フルオロン色素は、フルオレセインおよびフルオレセイン誘導体から選択され得る。
【0043】
上記フルオレセイン誘導体は、フロキシンB、ローズベンガル、およびメルブロミンから選択され得る。
【0044】
上記フルオレセイン誘導体は、エオシンY、エオシンBおよびエリスロシンBから選択され得る。
【0045】
上記アゾ色素は、メチルバイオレット、ニュートラルレッド、パラレッド、アマランス、カルモイシン(carmoisine)、アルラレッドAC、タルトラジン(tartrazine)、オレンジG、ポンソー4R、メチルレッド、およびムレキシド−プルプリン酸アンモニウム(murexide−ammonium purpurate)から選択され得る。
【0046】
上記生物学的着色剤は、サフラニンO、塩基性フクシン、酸性フクシン、3,3’ ジヘキシルカルボシアニンヨウ化物、カルミン酸、およびインドシアニン・グリーンから選択され得る。
【0047】
上記カロチノイドは、クロセチン、α−クロシン(8,8−ジアポ−8,8−カロテン酸)、ゼアキサンチン、リコピン、α−カロチン、β−カロチン、ビキシン、およびフコキサンチンから選択され得る。
【0048】
上記カロチノイドは、サフランレッド粉末、ベニノキ抽出物および褐藻類抽出物から選択される混合物として上記組成物中に存在し得る。
【0049】
上記抗菌歯周組成物は、少なくとも1種のキレート化剤をさらに含み得る。
【0050】
上記キレート化剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびエチレングリコール四酢酸(EGTA)から選択され得る。
【0051】
以下の用語は、以下で定義される。
【0052】
用語「親水性ゲル化剤」とは、液体の溶液、エマルジョン、および懸濁物に濃化しかつ安定化する物質を意味することが意図される。親水性ゲル化剤は、液体に溶解し、大部分が液体から構成されつつ、得られたゲルに、固体物質の外見を与える構造を提供する。親水性ゲル化剤は、濃化剤と非常に似ている。
【0053】
用語「化学線」とは、特定の光源(ランプ、LED、もしくはレーザー)から発せられ、物質(例えば、以下で定義される光活性化剤)によって吸収され得かつ相互作用している間に同定可能なもしくは測定可能な変化を生じる光エネルギーを意味することが意図される;臨床的に同定可能な変化として、本発明者らは、使用される上記光活性化剤の色の変化(例えば、赤色から透明へ)を想定し得る。
【0054】
用語「光活性化剤」とは、化学線を吸収し得る化合物を意味することが意図される。上記光活性化剤は、光励起を容易に受け、次いで、そのエネルギーを他の分子へと移動し、よって、光の散乱を増強もしくは促進し、上記反応混合物に存在する上記酸化剤を増強もしくは活性化する。
【0055】
用語「酸化剤」とは、酸素原子を容易に移動させ、他の化合物を酸化する化合物、または酸化還元化学反応において電子を得る物質のいずれかを意味することが意図される。
【0056】
用語「キレート化剤」は、金属イオン(例えば、鉄)を除去し、溶液中にこれを保持する化合物を意味することが意図される。
【0057】
用語「治癒因子」とは、組織の治癒プロセスもしくは再生プロセスを促進もしくは増強する化合物を意味することが意図される。
【0058】
用語「化学線への曝露時間」とは、化学線の適用にあたって、組織、皮膚もしくは創傷が化学線に曝露される時間を意味することが意図される。
【0059】
用語「化学線への総曝露時間」とは、化学線の数回の適用後に、組織、皮膚もしくは創傷が化学線に曝露される蓄積時間を意味することが意図される。
【0060】
用語「薬理学的に受容可能なキャリア」とは、保存溶液、生理食塩水溶液、等張性(約0.9%)生理食塩水溶液、もしくは約5%アルブミン様液、懸濁物、滅菌水、リン酸緩衝化生理食塩水などを意味することが意図される。他の緩衝化剤、分散化剤、および患者への送達に適した不活性非毒性物質は、本発明の組成物において含められ得る。上記組成物は、溶液、懸濁物もしくは投与に適した任意の適切な処方物であり得、代表的には、無菌であり、望ましくない粒状物質がない。上記組成物は、従来の滅菌技術によって滅菌され得る。
【0061】
用語「活性酸素種」とは、酸素を含む化学的に反応性の分子を意味することが意図される。例としては、酸素イオンおよびペルオキシドが挙げられる。それらは、無機性であってもよいし、有機性であってもよい。活性酸素種は、不対の価電子殻の電子の存在に起因して非常に反応性である。それらは、「反応性酸素(reactive oxygen)」、「活性酸素」、もしくは「反応性酸素種(reactive oxygen species)」ともいわれる。
【0062】
用語「口腔(mouth)」とは、口腔全体を意味することが意図され、口腔全体は、口唇、歯肉(gingiva)(歯茎(gum))、硬口蓋および軟口蓋、口蓋垂、口蓋扁桃、歯、頬の内側、舌および舌乳頭を含む。
【0063】
用語「歯周ポケット」とは、歯に接触する場合、異常に深くなった歯肉溝の存在を意味することが意図される。上記歯肉溝(溝)は、歯と、周りの歯肉組織との間の潜在的な空間であり、歯肉溝上皮によって内側が覆われる。上記溝の深さは、2つの実体が境界をなしている:根尖側は、結合組織付着の歯肉線維、および歯冠側は、接触していない(free)歯肉周縁。上記溝の深さが、恒常的に(on a constant basis)3mmを超える場合、通常通りの歯磨きでも、上記溝の深さを適切にきれいにすることはできず、食物残渣および微生物が蓄積してしまい、歯肉を歯へ結合している歯根膜線維に危険を及ぼしてしまう。あまりにも長期間放置した場合、これら微生物は、彼らが生成する酵素粒子と一緒に、繊細な軟組織および歯周付着線維(periodontal attachment fiber)に浸透し、最終的には、これらを破壊し得る。このことは、上記溝を(3mmを超えて)さらに深くすることにすらなり、歯周ポケットを生じる。
【0064】
その主題の特徴および利点は、添付の図面に図示されるように、選択された実施形態の以下の詳細な説明に鑑みれば、より明らかになる。理解されるように、開示されかつ特許請求される事項は、種々の観点において改変され得るが、全ては、特許請求の範囲から逸脱しない。よって、図面および関連する説明は、本質的に例示としてみなされるべきであり、限定であるとみなされるべきではなく、上記事項の全範囲は、特許請求の範囲に記載される。
【0065】
本開示のさらなる特徴および利点は、添付の図面とともに解釈すれば、以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1Aは、本発明の一実施形態に従う方法で処置されるべき患者における歯周炎を図示する写真である。図1Bは、本発明の一実施形態に従う方法で処置されるべき患者における歯周炎を図示する写真である。図1Cは、本発明の一実施形態に従う方法で処置されるべき患者における歯周炎を図示する写真である。
【図2】図2Aは、本発明の一実施形態に従う方法で処置されるべき患者における歯周炎を図示する写真である。図2Bは、本発明の方法の一実施形態に従う組成物で処置されている患者における歯周炎を図示する写真である。図2Cは、本発明の方法の一実施形態に従う組成物で処置されている患者における歯周炎を図示する写真である。図2Dは、本発明の方法の一実施形態に従う組成物で処置されている患者における歯周炎を図示する写真である。
【図3】図3Aは、本発明の方法の一実施形態に従う組成物で処置した2週間後の、患者の口腔および歯を図示する写真である。図3Bは、本発明の方法の一実施形態に従う組成物で処置した2週間後の、患者の口腔における歯周ポケットの深さを図示する写真である。図3Cは、本発明の方法の一実施形態に従う組成物で処置した2週間後の、患者の口腔における歯周ポケットの深さを図示する写真である。
【図4】図4Aは、本発明の方法の一実施形態に従う組成物で処置した6週間後の、患者の口腔および歯を図示する写真である。図4Bは、本発明の方法の一実施形態に従う組成物で処置した6週間後の、患者の口腔および歯を図示する写真である。図4Cは、本発明の方法の一実施形態に従う組成物で処置した6週間後の、患者の口腔および歯を図示する写真である。図4Dは、本発明の方法の一実施形態に従う組成物で処置した6週間後の、患者の口腔における歯周ポケットの深さを図示する写真である。
【図5】図5Aは、歯が抜けた歯槽を図示する写真である。図5Bは、本発明の方法の一実施形態に従う組成物での処置の間の、歯槽を図示する写真である。図5Cは、本発明に従う方法の一実施形態に従う組成物で処置した24時間後の歯槽の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
(詳細な説明)
一実施形態によれば、口腔内消毒および/もしくは口腔疾患の処置のための医薬の製造のための、光活性化される組成物の使用が提供され、ここで上記組成物は、
少なくとも1種の酸化剤、
上記酸化剤を活性化し得る少なくとも1種の光活性化剤;ならびに
ヒアルロン酸、グルコサミンおよびアラントインから選択される少なくとも1種の治癒因子、
を、薬理学的に受容可能なキャリアと会合した状態で含む。
【0068】
別の実施形態によれば、口腔内消毒のための光活性化される組成物の使用が提供され、ここで上記組成物は、
少なくとも1種の酸化剤;
上記酸化剤を活性化し得る少なくとも1種の光活性化剤;ならびに
ヒアルロン酸、グルコサミンおよびアラントインから選択される少なくとも1種の治癒因子;
を、薬理学的に受容可能なキャリアと会合した状態で含む。
【0069】
別の実施形態によれば、口腔疾患の処置のための光活性化される組成物の使用が提供され、ここで上記組成物は、
少なくとも1種の酸化剤;
上記酸化剤を活性化し得る少なくとも1種の光活性化剤;ならびに
ヒアルロン酸、グルコサミンおよびアラントインから選択される少なくとも1種の治癒因子;
を、薬理学的に受容可能なキャリアと会合した状態で含む。
【0070】
さらに別の実施形態によれば、歯周炎の処置のための光活性化される組成物の使用が提供され、上記組成物は、
少なくとも1種の酸化剤;
上記酸化剤を活性化し得る少なくとも1種の光活性化剤;ならびに
ヒアルロン酸、グルコサミンおよびアラントインから選択される少なくとも1種の治癒因子;
を、薬理学的に受容可能なキャリアと会合した状態で含む。
【0071】
別の実施形態によれば、患者の口腔全体の消毒および光力学補助口腔処置の方法が提供され、上記方法は、
a)患者の口腔の中に、少なくとも1種の酸化剤、上記酸化剤を活性化し得る少なくとも1種の光活性化剤;ならびにヒアルロン酸、グルコサミンおよびアラントインから選択される少なくとも1種の治癒因子を含む組成物を適用する工程;ならびに
b)上記工程a)の口腔を、上記光活性化剤が上記酸化剤の活性化を引き起こすに十分な時間にわたって化学線に供する工程、
を包含する。
【0072】
細菌感染によって引き起こされる歯周病はまた、本発明の組成物で処置され得る。口腔疾患(例えば、歯肉炎、歯周炎、歯周病、鵞口瘡、扁平苔癬、および口内炎)はまた、上記組成物で処置され得る。
【0073】
上記組成物は、考えられる成分の群から選択される多くの活性な物質(principle)を含む。これら種々の活性な物質(principle)は各々、それらの作用機構を有する。
【0074】
(酸化剤)
上記組成物は、酸素ラジカル源として、酸化剤を含む。ペルオキシド化合物は、ペルオキシ基(R−O−O−R)を含み、2個の酸素原子(その各々は、他方にかつラジカルもしくはいくつかの元素に結合される)を含む鎖用構造である酸化剤である。活性な媒体の調製に適した酸化剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
過酸化水素(H)は、有機ペルオキシドを調製するための出発物質である。Hは、強力な酸化剤であり、過酸化水素の独特の特性は、これが水および酸素へと分解し、いかなる持続性の毒性の残存化合物をも形成しないことである。この組成物において使用するための過酸化水素は、ゲル中で(例えば、6% 過酸化水素で)使用され得る。過酸化水素が本発明の組成物において使用され得る適した濃度範囲は、約12%未満、または約1%〜約12%、好ましくは約3.5%〜約12%、および最も好ましくは約3.5%〜約6%である。
【0075】
尿素過酸化水素(過酸化尿素、過酸化カルバミドもしくはペルカルバミドとしても公知)は、水溶性であり、約36%過酸化水素を含む。この組成物において使用するための過酸化カルバミドは、ゲルとして(例えば、16%過酸化カルバミド(5,6%過酸化水素を表す)使用され得る。過酸化尿素が本発明の組成物において使用され得る適した濃度範囲は、約36%未満、または約3%〜約36%、および好ましくは約10%〜約36%、および最も好ましくは約3%〜約16%である。過酸化尿素は、ゆっくりとした放出様式(熱反応もしくは光化学反応で促進され得る)で尿素および過酸化水素へと分解する。上記放出された尿素[カルバミド、(NH)CO)]は、非常に水溶性であり、強力なタンパク質変性剤である。これは、いくつかのタンパク質の溶解度を増大させ、上記皮膚および/もしくは粘膜の再水和を増強する。
【0076】
過酸化ベンゾイルは、ペルオキシド基によって連結された2個のベンゾイル基(カルボン酸のHが除去された安息香酸)からなる。これは、2.5%〜10%の間を変動する濃度で、ざ瘡の処置において見いだされる。放出されるベルオキシド基は、細菌を死滅させることに有効である。過酸化ベンゾイルはまた、皮膚のターンオーバーおよび毛穴の洗浄を促進し、これはさらに、細菌数を減少させるのに寄与し、ざ瘡を減らす。過酸化ベンゾイルは、皮膚と接触すると、安息香酸および酸素に分解し、そのうちのいずれも毒性ではない。過酸化ベンゾイルが本発明の組成物において使用され得る適切な濃度範囲は、約10%未満、または約1%〜約10%、または好ましくは約1%〜約8%、および最も好ましくは約2.5%〜約5%である。
【0077】
適切な酸化剤としてはまた、ペルオキシ酸およびアルカリ金属過炭酸物が挙げられ得るが、ペルオキシドの任意の他の形態(例えば、有機ペルオキシドもしくは無機ペルオキシド)の包含は、それらの増大した毒性およびそれらの光力学的エネルギー移動との推定不能な反応に起因して回避されるべきである。
【0078】
(光活性化剤)
上記光活性化剤は、光エネルギーを上記酸化剤へと移動させる。適切な光活性化剤は、蛍光色素(もしくは着色剤)であり得るが、他の色素群もしくは色素(生物学的色素および組織学的色素、食品着色料、カロチノイド)がまた、使用され得る。光活性化剤の組み合わせは、上記組み合わされた色素分子による光吸収を増大させ得、吸収および光−生体調節選択性(photo−biomodulation selectivity)を増強し得る。これは、新たな光選択的および/もしくは選択的光活性化剤混合物を生成する可能性を複数作り出す。
【0079】
光活性化剤の有利な特徴は、増大した蛍光である。本発明において、緑色から黄色のスペクトルでの再発光は、有利である。なぜなら、それは、深く浸透する波長範囲であり、血液による深い吸収を有するからである。このことは、血流での強い増大、血管拡張、および血管運動現象を付与する。適切な光活性化剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
(キサンテン誘導体)
上記キサンテン誘導体色素は、長期間にわたって、世界中で使用され、試験されてきた。それらは、低毒性および増大した蛍光を示す。上記キサンテン基は、3つのサブグループからなる:a)フルオレン;b)フルオロン;およびc)ローダミン。
【0080】
上記フルオレングループは、ピロニン(例えば、ピロニンYおよびピロニンB)を含み、上記ローダミン(例えば、ローダミンB、ローダミンGおよびローダミンWT)を含む。使用される濃度に依存して、ピロニンおよびローダミンは、両方とも毒性であり得、それらの、光との相互作用は、増大した毒性をもたらし得る。類似の効果が、上記ロドール色素グループに対して起こることが公知である。
【0081】
上記フルオロングループは、上記フルオレセイン色素およびフルオレセイン誘導体を含む。
【0082】
フルオレセインは、吸収最大494nmおよび発光最大521nmを有する顕微鏡で一般に使用される蛍光団である。フルオレセインの二ナトリウム塩は、D&C Yellow 8として公知である。これは、非常に高い蛍光を有するが、迅速に光によって分解する。本発明の組成物において、フルオレセインと他の光活性化剤(例えば、インドシアニン・グリーンおよび/もしくはサフランレッド粉末)との混合物は、これら他の化合物に対して増大した光吸収を付与する。
【0083】
エオシングループは、吸収最大514〜518nmを有するエオシンY(テトラブロモフルオレセイン、アシッドレッド87,D&C Red 22)を含み、細胞の細胞質、コラーゲン、筋繊維および赤血球を強く赤色に染色し;エオシンB(アシッドレッド91、エオシンスカーレット、ジブロモ−ジニトロフルオレセイン)は、エオシンYと同じ染色特徴を有する。エオシンYおよびエオシンBはまとめて「エオシン」と呼ばれ、用語「エオシン」の使用は、エオシンY、エオシンBまたはその両方の混合物のいずれかをいう。エオシンY、エオシンB、もしくは両方の混合物は、使用される光スペクトル:広いスペクトルの青色光、青色から緑色の光、および緑色光、に対するそれらの感受性のために使用され得る。それら組織およびバイオフィルム染色特性、ならびにそれらの低毒性はまた、有利である。エオシンYおよびエオシンBの両方は、赤血球を染色するので、本発明の組成物に止血性(血流の流れもしくは停止を制御する)特性を付与し、同様に、上記組成物の適用の間に病変もしくは創傷の軟組織に光を選択的に標的化することを増大させる。実施形態において、上記組成物は、約12%未満の範囲の、エオシンBもしくはエオシンYまたはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを、あるいは約0.02%〜約12%の、エオシンBもしくはエオシンYまたはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを、あるいは約0.02%〜約1.2%の間の、あるいは約0.02%〜約0.5%の、あるいは約0.5%〜約0.8%の、エオシンBもしくはエオシンYまたはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。さらに別の実施形態において、上記組成物は、12%未満の、エオシンBもしくはエオシンYまたはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つ、あるいは約0.02%〜約12%の、エオシンBもしくはエオシンYまたはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つ、あるいは約0.02%〜約1.2%の間、あるいは約0.02%〜約0.5%、あるいは約0.02%〜約0.5%未満、あるいは約0.5%〜約0.8%の、エオシンBもしくはエオシンYまたはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つ、ならびに/あるいは約2%未満のエリスロシンB、または約0.005〜約2%のエリスロシンB、または約0.005%〜約1%、または約0.01%〜約1%、または約0.005%〜約0.15%の間のエリスロシンBを含む。
【0084】
フロキシンB(2,4,5,7 テトラブロモ 4,5,6,7,テトラクロロフルオレセイン、D&C Red 28、アシッドレッド92)は、光酸化を介して汚水の消毒および無毒化のために使用される、フルオレセインの赤色色素誘導体である。これは、吸収最大535〜548nmを有する。これはまた、感光性色素および薬物を作製するための中間体として使用される。
【0085】
エリスロシンB、または単にエリスロシン(アシッドレッド51、テトラヨードフルオレセイン)は、生物学的着色剤、およびバイオフィルムおよび歯垢染色剤として使用され、水溶液中で吸収最大524〜530nmを有する、チェリーピンクの石炭(coal)ベースの食品色素である。これは、光分解に供される。エリスロシンはまた、使用される光スペクトルへのその感光性およびバイオフィルムを染色するその能力に起因して、いくつかの実施形態において使用される。エリスロシンの包含は、感染組織もしくは汚染組織の深いポケット(例えば、歯周病治療における歯周ポケット)において上記組成物を使用する場合に、都合がよいはずである。実施形態において、上記組成物は、約2%未満の範囲のエリスロシンB、または約0.005〜約2%のエリスロシンB、または約0.005%〜約1%、または約0.01%〜約1%、または約0.005%〜約0.15%のエリスロシンBを含む。
【0086】
ローズベンガル(4,5,6,7 テトラクロロ 2,4,5,7 テトラヨードフルオレセイン、アシッドレッド94)は、吸収最大544〜549nmを有し、色素、生物学的着色剤および診断補助として使用されてきた、明るい青みがかったピンク色の生物学的色素である。一重項酸素を三重項酸素から生成するために合成化学においても使用される。
【0087】
メルブロミン(マーキュロクロム)は、吸収最大508nmを有する、フルオレセインの有機水銀二ナトリウム塩である。これは、防腐剤として使用される。
【0088】
(アゾ色素)
上記アゾ(もしくはジアゾ)色素は、N−N基(アゾ基といわれる)を共有する。それらは、主に分析化学において、もしくは食品着色剤として使用され、蛍光性ではない。適切なアゾ色素としては、以下が挙げられる:メチルバイオレット、ニュートラルレッド、パラレッド(顔料赤色1)、アマランス(アゾルビンS)、カルモイシン(アゾルビン、食用赤色3、アシッドレッド14)、アルラレッドAC(FD&C 40)、タルトラジン(FD&C Yellow 5)、オレンジG(酸オレンジ10)、ポンソー4R(食用赤色7)、メチルレッド(アシッドレッド2)、ムレキシド−プルプリン酸アンモニウム。
【0089】
(生物学的着色剤)
生物学的物質についての染色プロトコルにおいて一般に使用される色素分子はまた、光活性化剤として使用され得る。適切な生物学的着色剤としては、以下が挙げられる:
サフラニン(サフラニンO、塩基レッド2)はまた、アゾ色素であり、組織学および細胞学において使用される。これは、グラム染色プロトコルにおける伝統的な対比染色である。
【0090】
フクシン(塩基性もしくは酸性)(ロザニリンハイドロクロリド)は、細菌を染色し得、かつ防腐剤として使用されてきた赤紫色の生物学的色素である。これは、吸収最大540〜555nmを有する。
【0091】
3,3’ ジヘキシルカルボシアニンヨウ化物(dihexylocarbocyanine iodide)(DiOC6)は、細胞の小胞体、小胞膜およびミトコンドリアを染色するために使用される蛍光色素である。これは、光力学的毒性を示し;青色光に曝される場合、緑色の蛍光を有する。
【0092】
カルミン酸(アシッドレッド4、ニュートラルレッド4)は、コチニールカイガラムシから天然に得られる赤色のグルコシド性ヒドロキシアントラプリン(glucosidal hydroxyanthrapurin)である。
【0093】
インドシアニン・グリーン(ICG)は、血液容積決定、心拍出量、もしくは肝機能についての診断剤として使用される。ICGは、赤血球に強く結合し、フルオレセインと混合して使用される場合、これは、青色から緑色の光の吸収を増大する。
【0094】
(カロチノイド)
カロチノイド色素はまた、光活性化剤として作用し得る。
【0095】
サフランレッド粉末は、天然のカロチノイド含有化合物である。サフランは、サフラン(crocus sativus)から得られるスパイスである。これは、苦味およびヨードホルムもしくは干し草様の芳香によって特徴付けられる;これらは、化合物ピクロクロシンおよびサフラナール(saffranal)によって引き起こされる。これはまた、その特徴的な黄赤色を与えるカロチノイド色素であるクロチンを含む。
【0096】
サフランは、150を超える異なる化合物を含み、そのうちの多くは、良好な光吸収および有益な生物学的活性を示すカロチノイド(マンギクロチン(mangicrocin)、ゼアキサンチン(reaxanthine)、リコピン、および種々のα−カロチンおよびβ−カロチン)である。また、サフランは、光子移動剤(photon−transfer agent)および治癒因子の両方として作用し得る。サフラン色は、主に、a−クロチン(8,8 ジアポ−8,8−カロチノイド酸)の結果である。乾燥サフランレッド粉末は、pHレベルの変動に非常に敏感であり、光および酸化剤の存在下で、急速に化学的に分解する。これは、熱に対してはより抵抗性である。データは、サフランが抗発癌性特性、免疫調節特性および抗酸化特性を有することを示す。吸光度については、440nm(青色光)のクロチン特異的光子波長に対して決定される。これは、深い赤色を有し、186℃の融解点を有する結晶を形成する。水中に溶解される場合、これは橙色の溶液を形成する。
【0097】
クロセチンは、抗高脂血症作用(antilipidemic action)を発現し、種々の組織において酸素透過性を促進させることが見いだされたサフランの別の化合物である。より具体的には、これは、毛細管の内皮細胞の増大した酸素化を観察した。筋および大脳皮質の酸素化の増大が観察され、出血性ショックもしくは肺気腫を誘導した実験動物において生存率の増大をもたらした。
【0098】
アナート(スパイス)は、主な構成成分(70〜80%)として、関連性のある抗酸化特性を示すカロチノイドビキシンを含む。
【0099】
β−カロチンはまた、適切な特性を示した。
【0100】
フコキサンチンは、酸化還元反応の光増感に関して顕著な能力を有する褐藻類の構成成分である。
【0101】
(治癒因子)
治癒因子は、上記組成物の適用部位上での組織の治癒プロセスもしくは再生プロセスを促進もしくは増強する化合物を含む。上記組成物の光活性化の間に、粘膜による処置部位での分子の吸収の増大が存在する。上記処置部位での血流の増大は、長期にわたって観察される。フリーラジカルカスケードの動的な相互作用に起因する、リンパドレナージの増大および浸透圧平衡における考えられる変化は、増強され得るか、または治癒因子の包含でさらに強化される。適切な治癒因子としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
ヒアルロン酸(ヒアルロナン、ヒアルロネート)は、結合組織、上皮組織および神経組織全体に広く分布している硫酸化されていないグリコサミノグリカンである。これは、細胞外マトリクスの主な成分のうちの1つであり、細胞増殖および移動に顕著に寄与する。ヒアルロナンは、皮膚の主要な成分であり、ここで、これは、組織修復に関与している。これは、細胞外マトリクス中に豊富にあるが、組織流体力学、細胞の動きおよび増殖に寄与し、非常に多くの細胞表面レセプター相互作用(顕著なのは、主要なレセプターCD44を含むもの)に関与する。ヒアルロニダーゼ酵素は、ヒアルロナンを分解する。少なくとも7つのタイプのヒアルロニダーゼ様酵素が、ヒトに存在し、そのうちのいくつかは、腫瘍抑制因子である。ヒアルロン酸の分解生成物、オリゴサッカリドおよび非常に低分子量のヒアルロン酸は、血管新生促進特性を示す。さらに、近年の研究から、ヒアルロナンフラグメント(しかし、ヒアルロナンの元来の高分子量はない)は、組織傷害において、マクロファージおよび樹状細胞における炎症応答を誘導し得ることが示される。ヒアルロン酸は、上記皮膚を標的とする生物学的適用に十分適している。その高い生体適合性に起因して、これは、組織再生を刺激するために使用される。近年の研究から、ヒアルロン酸は、免疫応答を媒介する白血球のための空間を物理的に作り出すために、治癒の初期段階に出現することが実証された。これは、創傷治癒適用のための生物学的足場の合成およびしわ処置において使用される。実施形態において、上記組成物は、約2%未満の範囲のヒアルロン酸、または約0.001%〜約2%、または好ましくは、約0.002%〜約2%、または約0.002%〜約1%のヒアルロン酸を含む。
【0102】
グルコサミンは、ヒト組織中で最も豊富な単糖類、ならびにグリコシル化タンパク質およびグリコシル化脂質の生物合成における前駆体のうちの1つである。これは、変形性関節症の処置において一般的に使用される。使用されるグルコサミンの一般的形態は、その硫酸塩である。グルコサミンは、抗炎症活性、プロテオグリカンの合成の刺激、およびタンパク質分解酵素の合成を含む多くの効果を示す。グルコサミンが本発明の組成物において使用され得る適切な濃度範囲は、約5%未満、または約0.0001%〜約5%、または約0.0001%〜約3%、および好ましくは約0.001%〜約3%、または約0.011%〜約1%および約1%〜約3%である。
【0103】
アラントインは、グリコシル酸(glyosilic acid)のジウレイドである。これは、表皮剥脱効果を有し、細胞外マトリクスの水分含有量を増大させ、死んだ(アポトーシスの)皮膚細胞の上層の落屑を高め、皮膚増殖および創傷治癒を促進する。実施形態において、上記組成物は、約1%未満の範囲のアラントイン、または約0.001%〜約1%、または約0.002%〜約1%、または好ましくは、約0.02%〜約1%、および最も好ましくは、約0.02%〜約0.5%のアラントインを含む。
【0104】
また、サフランは、光子移動因子および治癒因子の両方として作用し得る。
【0105】
(キレート化剤)
キレート化剤は、閉じた感染ポケットおよび到達困難な病変におけるスメア層除去を促進し;金属イオンクエンチャーおよび緩衝化剤として作用するように、含まれ得る。適切なキレート化剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
エチレンジアミノ四酢酸(EDTA):これは、二価金属イオンおよび三価金属イオンを封鎖するために使用されるアミノ酸である。EDTAは、4個のカルボキシレート基および2個のアミン基を介して金属に結合する。EDTAは、Mn(III)、Fe(III)、Cu(III)、Co(III)と特に強い錯体を形成する。血小板の集まりおよび血餅形成を防止する。これは、器具使用の間に、スメア層除去剤として歯内治療において使用される。これは、溶液を緩衝化するために使用される。
【0106】
エチレングリコール四酢酸(EGTA)は、EDTAに関連するが、マグネシウムイオンよりカルシウムに対する親和性が遙かに高い。これは、生細胞内の環境に似せて、しばしば、歯科学において、より具体的には、歯内治療学において、スメア層除去において使用される緩衝溶液作製のために有用である。
【0107】
(親水性ゲル化剤)
上記抗菌歯周組成物はまた、1種以上の親水性ゲル化剤を含み得る。上記親水性ゲル化剤は、上記組成物の粘性を高め、皮膚もしくは創傷領域への上記組成物の適用を促進するのに寄与する。また、過酸化水素(H)とともに使用される場合、これは、Hのゆっくりとした放出に寄与し得、より即座の反応を提供し得る。なぜなら、純粋なHは、直接使用され得るからである。適切な親水性ゲル化剤としては、グルコース、改変デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボポル(登録商標)ポリマー、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、寒天、カラギーナン、ローカストビーンガム、ペクチン、およびゼラチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
(光活性化)
適切な感光性化合物の包含および適切な波長の光源での活性化は、ペルオキシド源(上記酸化剤)の分解プロセスにおける促進および光力学的現象を介して起こる他の反応をもたらす。上記含められる感光性化合物は、特定の波長の光子によって照らされ、より高いエネルギー状態へと励起される。上記光活性化剤の励起された電子が低エネルギー状態に戻るとき、それらは、より低いエネルギーレベルを有する光子を発するので、より長い波長の光の放射(ストークスシフト)を引き起こす。適切な環境では、このエネルギー移動の大部分は、酸素もしくは反応性過酸化水素へ移動し、活性酸素種(例えば、一重項酸素および他の活性酸素)の形成を引き起こす。
【0109】
上記組成物の活性化によって生成される上記一重項酸素および他の活性酸素種は、ホーメティック(hormetic)様式において機能すると考えられる。すなわち、健康に有益な効果は、通常は毒性の刺激(例えば、活性酸素)への低暴露によって、標的とされた組織の細胞におけるストレス応答経路を刺激および調節することによって、もたらされる。外因的に生成されたフリーラジカル(活性酸素種)への内因性の応答は、上記外因性のフリーラジカルに対する増大した防御能力において調節され、治癒プロセスおよび再生プロセスの促進を誘導する。さらに、上記組成物の最初の活性化はまた、二次的な抗菌効果を生じる。フリーラジカルへの曝露に対する細菌の極端な感受性は、本発明の組成物を事実上の殺菌組成物にする。
【0110】
考えられる作用機構は、細胞がある種のシグナルを別のシグナルに変換する目立ったシグナル伝達プロセスを生じる強化された酸化還元シグナル伝達現象であるはずである;活性された「第2のメッセンジャー」が、比較的小さな刺激で始まる「シグナルカスケード」を誘導する(これは、このようなシグナルの生物学的にモニターされる増幅を介して、大きな応答を誘発する)。これら複雑な機構は、増殖因子活性化を介して、血管新生現象におそらく関与する。
【0111】
この方法は、光力学的療法の形態として記載され得る。しかし、他の光力学的技術とは異なり、光活性化剤(photoactoactivator)が組織構造に組み込まれる場合、本発明の方法において、上記光活性化物質は、上記組織と単純に接触した状態にあり、「光力学的デバイス」として、光によって活性化される場合に作用する。さらに、上記化学線は、上記組織に浸透し、上記光活性化剤によって発せられる光(より長い波長の光)は、上記組織によって吸収される。
【0112】
化学線の任意の供給源が使用され得る。ハロゲン、LEDもしくはプラズマアークランプ、またはレーザーの任意のタイプが適している可能性がある。化学線の主な特徴または適切な供給源は、それらが上記組成物に存在する上記1種以上の光活性化剤を活性化するのに適した波長の光を発することである。一実施形態において、アルゴンレーザーが使用される。別の実施形態において、チタン酸リン酸カリウム(pottasiumu−titanyl phosphate)(KTP)レーザー(例えば、GreenLightTMレーザー)が使用される。さらに別の実施形態において、LED光硬化デバイスは、上記化学線源である。さらに別の実施形態において、上記化学線源は、400nmと700nmとの間、および好ましくは400nmと600nmとの間、および最も好ましくは450nm〜700nmの波長を有する可視光線源である。さらに、上記化学線源は、適切な出力密度を有するはずである。非平行光源(LED、ハロゲンもしくはプラズマランプ)の適切な出力密度は、約800mW/cm〜約3000mW/cm、および好ましくは約900mW/cm〜約2000mW/cmの範囲にある。レーザー光源の適切な出力密度は、約0.5mW/cm〜約0.8mW/cmの範囲にある。
【0113】
化学線への曝露の持続時間は、上記処置される領域の表面、および処置されている病変、外傷もしくは傷害のタイプに依存する。上記組成物の光活性化は、数秒内もしくは何分かの1秒(fragment of seconds)内にすら起こり得るが、長期の曝露期間は、本発明の組成物に対する吸収され、反射されかつ再放射される光の相乗効果および処置されている組織におけるその透過を活用するために有益である。一実施形態において、上記抗菌歯周組成物が適用された組織の化学線への曝露時間は、5分未満の期間である。別の実施形態において、上記曝露時間は、約20秒〜約5分、もしくは約60秒〜約5分の間である。別の実施形態において、上記抗菌歯周組成物が適用された組織の化学線への曝露時間は、約5分未満の期間である。別の実施形態において、上記曝露時間は、10cm領域の総曝露時間が10分〜50分の間であるように、処置されるべき領域1cmあたり、約20秒〜約5分の間、もしくは約60秒〜約5分の間である。さらに別の実施形態において、化学線源は、適切な曝露時間にわたって、上記処置される領域の上で連続作動の状態である。さらに別の実施形態において、上記抗菌歯周組成物および化学線の複数の適用が行われる。いくつかの実施形態において、上記組織、皮膚もしくは創傷は、上記患者の要件に依存して、少なくとも2回、3回、4回、5回もしくは6回、または6回以上、化学線に曝される。また、上記処置全体は、上記患者によって必要とされ得る場合、その全体が反復され得る。いくつかの実施形態において、上記抗菌歯周組成物の新たな適用が、化学線への曝露の前に適用される。
【0114】
(口腔疾患)
本発明は、種々の口腔疾患を処置するために、もしくはその処置に少なくとも関与するために使用され得る。このような口腔疾患としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
(歯肉炎)
歯肉炎は、歯茎の炎症によって定義される障害であり、歯周病として特徴付けられ、上記歯周病は、歯茎、組織、歯槽、および上記歯を適所に保持する構造を作る靱帯の破壊によって特徴付けられる。歯肉炎は、重篤な歯周病の第1の段階のうちの1つである。
【0115】
歯肉炎の症状としては、腫脹した歯茎、口腔の潰瘍(mouth sore)、上記歯茎の鮮紅色もしくは紫色の外見、光沢のある歯茎、触ったときを除いて疼痛のない歯茎、および歯茎の出血が挙げられる。しばしば、歯肉炎の第1の徴候は、視覚的症状を除いて症状がなく、歯科医によってのみ診断される可能性がある。
【0116】
(歯周病)
歯周病は、塹壕口内炎として公知である。歯周病は、重篤な歯肉炎をもたらし、歯茎を出血させ、膿がにじみ出てしまう可能性があり、非常に有痛性であり、しばしば、時期尚早の歯の喪失をもたらす。大部分の先進国は、歯周病の症例がより少ない一方で、それでもなお、多数の被雇用の労働階級の米国人が、給付パッケージの一部として歯科保険を与えられていないことに単純に起因して、歯周病は存在する。歯科治療は、非常に高価であり、全ての患者が良好な歯科医療を受ける余裕があるわけではない。
【0117】
歯周病は、発展途上国においてより一般的に拡がっており、大部分の場合には、専門のクリーニングおよび抗生物質が、歯周病の大部分の症例を一掃し得る。しかし、未処置のままであった場合、感染は、身体全体に拡がり得、重篤な健康上の合併症をもたらし得る。
【0118】
歯周病の症状としては、疼痛のある歯茎、口臭、口内での不快な味覚、発熱、ごく軽度の圧力でも出血する歯茎、歯と歯茎との間のクレーターサイズの口内糜爛(canker sore)、頭部、頸部もしくは顎周辺の腫脹したリンパ節、歯茎上のグレーフィルム(gray film)、赤い歯茎、腫脹した歯茎、および摂食および嚥下しているときの疼痛が挙げられる。
【0119】
(歯周炎)
歯周炎もしくは歯槽膿漏は、口腔の中で歯を支持する組織を含む歯周組織の炎症である。歯周組織に含まれる部分は、歯肉(歯茎組織)、歯が付着する歯槽である歯槽骨、歯根のセメント質もしくは外層、ならびに歯肉およびセメント質を歯槽骨に結合している結合組織線維から構成される歯周靱帯もしくはPDLである。上記状態は、歯の周りの骨の進行性の喪失(これは、処置されていないままであれば、グラグラとした歯もしくは歯の喪失をもたらす)として記載される。
【0120】
上記疾患については、種々の原因があり、細菌が最も一般的である。歯周炎は、歯茎の疾患の進行した相と考えられる。なぜなら、歯周炎は、既にその領域の骨の喪失を伴うからである。それは、処置されていないままの軽度の歯肉炎の影響である。細菌感染の存在に起因して、身体はまた、これに対して負に応答し、さらなる合併症をもたら得る。上記状態は、成人の中での歯の喪失の主な原因のうちの1つであり、30歳を超える各人の約50%が罹患している。
【0121】
徴候および症状は、歯の不安定な固定および微生物の存在に起因して生じる。歯茎は、歯を磨くか、デンタルフロスを使うか、食物に噛み付くか、咀嚼するかもしくは指で触れている間に、ときおりもしくは頻繁に出血するか、または赤くなる。歯茎は、腫脹するかもしくはときおり膿もまた発生させる。上記罹患した個体は、悪臭呼気もしくは口臭を有するようであり、口腔内になかなか消えない金属もしくはスズのような味を有する。歯は、強いブラッシングによっても部分的に引き起こされ得る歯茎の後退に起因して、より長くかつより尖って見える。コラゲナーゼといわれる酵素がコラーゲンを破壊し始めれば、その個体は、歯と歯茎との間に深いポケットを有する。
【0122】
歯周病の初期段階の間に、ごく僅かな徴候および症状が、注目に値し得る。攻撃的な歯周炎は、より若い個体に罹患し得、エピソードにおいて起こり得る。あるエピソードは、非常に軽度の症状を示し得る一方で、他方のエピソードは、非常に重篤であり得る。上記徴候および症状は、特に、慢性歯周炎の場合において、通常は、本質的に進行性である。
【0123】
(鵞口瘡)
鵞口瘡は、真菌であるCandida albicansが急速にかつ制御不能に口腔中で増殖する状態である。微生物叢として公知の細菌は、健康な身体における条件下でCandida albicansの増殖を制御下に維持している。鵞口瘡は、舌を覆うクリーム状の白色ペーストをもたらし、口蓋、歯茎、咽頭の後部、扁桃、および頬の内部へと急速に拡がり得る。免疫系がどういうわけか損なわれてしまった乳児、幼児、高齢者、および患者は、鵞口瘡に罹患してしまう可能性が非常に高い。
【0124】
鵞口瘡の症状は、舌の上および頬の内部を覆う白色のペースト状の被覆で始まる。上記鵞口瘡が発現し続けるにつれて、上記舌がこすれれば、もしくは上記患者が彼らの歯を磨いたときに、鵞口瘡は、少量の出血を引き起こし得る。これら症状は、非常に速く発現し得るが、鵞口瘡は、数ヶ月続き得る。鵞口瘡の病変が食道の下に拡がる場合、上記患者は、嚥下困難、食物が喉もしくは胸の中程で痞える感覚、および感染が食道を通過して拡がり続ければ、発熱のようなさらなる症状を発現し得る。
【0125】
(扁平苔癬)
扁平苔癬は、最も多くの場合には、炎症を伴って口腔の内層を侵す口腔疾患として定義される。扁平苔癬は、最も多くの場合には、口腔組織を刺激する皮疹として認識される。大部分の患者は、45歳〜60歳の間に彼らの最初の病状に罹るが、より若年の患者を扱う報告の数は、徐々に増えている。扁平苔癬は、最も頻繁には、頬の内側と関連しているが、多くの症例では、口腔全体(歯茎、舌、口唇、稀な症例では、咽頭もしくは食道を含む)が罹患していることが見いだされる。扁平苔癬はまた、皮膚疾患として皮膚でも生じ、しばしば、上記口腔タイプと区別するために、具体的には、皮膚扁平苔癬といわれなければならない。
【0126】
扁平苔癬は、数週間、数ヶ月、ある場合には、数年にわたって続き得る自己完結的疾患(self contained disease)である。感染性ではない。しばしば、生殖器疾患と間違えられる。なぜなら、生殖器は、しばしば、初期の発生段階の間に最も顕著に罹患するからである。上記症状および発生は急激に起こり、その後、しばしば数週間で消失するので、処置は困難である。一部の患者は、冷湿布(cool compress)もしくは入浴および冷水浴で顕著な軽減を見いだすが、大部分の患者は、彼らの症状を軽減するために、医学的処置を必要とする。
【0127】
(口内炎)
口内炎は、基本的に、口腔の炎症を意味するが、より具体的には、口内炎は、歯茎、舌、頬、口唇、および口腔底(the floor of the mouth)もしくは口蓋を含み得る、口腔の粘膜内層の炎症である。口内炎には種々のタイプがあり、分類は、上記疾患が個体によってどのように獲得されたかに基づく。口内炎の2つのタイプは、接触口内炎およびアフタ性口内炎である。接触口内炎は、アレルゲンもしくは刺激物と接触することによって引き起こされる口腔粘膜の炎症である。これは、その分布パターン、病因因子、および臨床的特徴によって分類される。接触口内炎のいくつかの症例は、臨床的徴候がないことが原因で、検出されないままである。人種、年齢および性別に拘わらず、接触口内炎は、どんな人も有し得る。観察されてきたものの、高齢者においてより頻繁である。
【0128】
アフタ性口内炎(口内糜爛もしくはアフタ性潰瘍としても公知)は、未知の病因を有する。接触口内炎とちょうど同じように、口内糜爛が口内粘膜に影響を及ぼす。アフタ性潰瘍は、口腔潰瘍の1タイプであり、これは、粘膜の破壊によって引き起こされる口腔内部もしくは上咽頭(口蓋垂を含む)の疼痛性の開放性の潰瘍として現れる。上記状態はまた、サットン病としても、特に、大きな、複数の、もしくは再発性の潰瘍の症例において、公知である。上記潰瘍は、浅い、不連続の、および疼痛性として記載され得、通常、付着していない粘膜上で視認できる。このタイプの口内炎は、接触口内炎とちょうど同じように、自己限定性であり、通常は、合併症を引き起こさない。潰瘍の通常のサイズは、1〜2週間にわたって続き得るが、より大きな潰瘍は、数ヶ月にわたって続き得る。
【0129】
(単純ヘルペス病変)
単純ヘルペスは、単純ヘルペス・ウイルスによって引き起こされるウイルス疾患である;単純ヘルペス・ウイルス1(HSV−1)および単純ヘルペス・ウイルス2(HSV−2)の両方は、単純ヘルペスを引き起こす。上記単純ヘルペスの感染は、感染部位に基づいて、いくつかの別個の障害のうちの1つに分類される。口腔ヘルペス(Oral Herpes)は、その目に見える症状は、口語的に唇ヘルペス(cold sore)と呼ばれ、顔面および口腔に感染する。口腔ヘルペスは、単純ヘルペス・ウイルス感染のうちの最も一般的な形態である。
【0130】
(他の口腔炎症病変)
本発明は、他のタイプの口腔炎症(口腔粘膜炎、ウイルス、細菌、真菌もしくは原生動物感染によって引き起こされるか、または免疫系の障害(免疫不全、自己免疫、もしくはアレルギー)によって引き起こされる口腔潰瘍が挙げられるが、これらに限定されない)を処置するために使用され得る。口腔粘膜下線維症、粘膜下組織の炎症および進行性線維症によって特徴付けられる口腔の慢性衰弱性疾患もまた、含まれる。舌炎、舌の炎症もしくは感染もまた含まれる。これは、舌を腫脹させ、色を変化させる。
【実施例】
【0131】
(実施例I)
例示的な抗菌歯周組成物を、以下の成分を混合することによって調製する:
【0132】
【表1】

上記酸化剤(4mL)および治癒因子(1.5mL)を混合し、上記光活性化剤(1mL)と合わせた。得られた組成物を、患者の口腔に適用し、LED光硬化デバイス(青色光)によって提供される化学線で活性化した。上記組成物を、処置後に除去した。
【0133】
(実施例II)
第2の例示的な抗菌歯周組成物を、以下の成分を混合することによって調製する:
【0134】
【表2】

上記酸化剤(4mL)および治癒因子(1.5mL)を混合し、上記光活性化剤(1mL)と合わせた。得られた組成物を、患者の口腔に適用し、LED光硬化デバイス(青色光)によって提供される化学線で活性化した。上記組成物を、処置後に除去する。
【0135】
この第2の例示的な組成物は、上記組成物中に存在する他の色素(インドシアニン・グリーンおよびサフランレッド粉末)に対する光活性化剤として、フルオレセイン色素を使用することである。少量のフルオレセインを、上記インドシアニン・グリーンおよびサフランレッド粉末溶液への添加は、上記他の色素化合物を活性化し、確立された臨床的吸収/再放出基準を増大することによって、上記処置を改善する波長の光の再発光を引き起こした。
【0136】
インドシアニン・グリーンは、ヘモグロビンによく結合し、組織による選択的エネルギー吸収を助け、生成されたフリーラジカルカスケードでこれら組織を標的化するのも助ける。また、この光活性化剤混合物は、サフランレッドを蛍光性にすることができ、このことは、繰り返すと、光力学的現象および生体刺激現象の両方を改善する。
【0137】
(実施例III)
光力学的療法(PDT)は、従来の処置を補完する(compliment)抗菌処置の補助的な新アプローチとして導入された。PDTは、光活性化可能な物質(光増感剤)が、標的細胞に結合し、適切な波長の光によって活性化され得るという原理に基づく。このプロセスの間に、フリーラジカルが形成され(それらの中でも一重項酸素)、これは次いで、上記細胞に対して毒性の効果を生じる。
【0138】
同時に細菌染色剤(bacterial discloser)である、青色〜緑色(450〜530)に対して特異的吸収の光増感剤を含むゲルが使用されてきた。バイオフィルムとの反応後の基質は、治癒因子を放出し、これは、上記口腔組織(例えば、歯茎、歯周組織および口腔粘膜)の再生機構の間に介入する。このゲルを、以下のように、全ての処置段階に適用した:
第1のセッションは、細心の口腔衛生指導(OHI)を含んだ。その後、上記ゲルを歯肉縁上のスケーリングにおいて適用し、歯石および着色剤の剥離を促進し、軽度の麻酔を付与し、この手順の間の出血をコントロールした。
【0139】
第2のセッションにおいて、上記ゲルを、全口腔歯肉下機器使用(full mouth subgingival instrumentation)の間に適用した。局所麻酔を選択的に必要とした。SRPを、根部表面が適切に創面切除され(debride)かつ平滑化されていると術者が感じるまで行った。その後、上記セッションを、光増感剤として上記ゲルを使用して完了した。上記ゲルを、機器を備えた部位に、上記ポケットの根尖側から始まって、歯冠側に移動するように鈍なニードルで適用して、気泡が閉じ込められることを回避した。0.7W出力において532nm KTPを、上記ポケットに印加した。
【0140】
この新たなプロトコルは、従来の歯周処置に通常必要とされるセッションの回数を減らし;SRPの間の局所麻酔の必要性を最小限にし;術野は明瞭であった;患者は、優れたコンプライアンスを示し、臨床パラメーターは、SRP+PTDの2週間後に劇的に改善された。
【0141】
(実施例IV)
(患者の選択)
3名の健康な個体(平均年齢48.6±4.2歳)(1名は女性、2名は男性であり、1名は喫煙者)が、試験群を形成した。コントロール群は、3名の健康な個体(平均年齢42.2±3.4歳)(1名は女性、2名は男性であり、1名は喫煙者)を含んだ。全ての個体は、慢性歯周炎(ChP)のエビデンスを示し、この予備研究に含めた(表1)。
【0142】
全ての被験体を、Piraeus,Greeceにおける歯周病学に限定した個人の歯科クリニックから選択した。全ての参加者は、上記研究に参加するための承諾を与えた。
【0143】
(歯周検査)
慢性歯周炎を、歯周病の国際分類(Armitage 1999)に従って規定した。口腔全体の臨床検査を、各患者において、マニュアルプローブ(UNC 15,Hu Friedy,Chicago,IL,USA)を使用して、ベースラインで、ならびに活発な処置の前におよび活発な歯周処置の2週間後の2つの時点で同じ測定検査官が行った(表5)。以下のパラメーターを、歯1本あたり6箇所で記録した:臨床的アタッチメントロス(clinical attachment loss)(CAL(mm単位)、プローブで調べている際の出血(bleeding on probing)(部位のパーセンテージでのBOP)およびプラーク指数(部位のパーセンテージでのPI)。
【0144】
(実施例V)
(過酸化尿素ゲル)
青色〜緑色光(450〜530nm)に対する特異的吸収の光増感剤(エオシン)を含むゲルは、同時に、細菌を明らかにすることができる細菌染色剤である。その基本は、過酸化尿素(CH)であり、これは、分解の際にOおよびフリーラジカルおよび組織の再生機構に介入する治癒因子を放出する。
【0145】
【表3】

(実施例VI)
(初期検査OHIおよび歯肉縁上のデブリドマン)
全ての患者は、詳細な症例説明、歯肉縁上のデブリドマン、歯磨きおよび反復した口腔衛生指導での衛生相を終えた。上記ゲルを、上記試験群のみにおいて歯肉縁上のデブリドマン手順の補助として使用した。
【0146】
(スケーリング/ルートプレーニング)
初期検査の2週間後、上記患者は、口腔全体のスケーリング/ルートプレーニングを以下のように受けた:
(試験群)
上記試験群は、PD≧4mmを示す全ての部位において、必要な場合には局所麻酔下で口腔全体のスケーリング/ルートプレーニングを受けた。SRPを約60分以内に完了した。上記ゲルを、上記機械的手順の間に使用した。新たに鋭くしたグレイシーキュレット(Gracey curette)(Hu−Friedy,Leimen,Germany)および圧電式超音波スケーラー(Satelec(登録商標)Suprasson(登録商標)P−Max Lux,Merignac Cedex-France)を、根部表面がエキスプローラーチップ(EXD 11/12,Hu−Friedy,Leimen,Germany)に対して滑らかかつきれいになったと感じられるまで、組み合わせて使用した。
【0147】
その後、上記セッションを、光増感剤として上記ゲルを使用して完了した。上記ゲルを、歯周部位を含む上記機器を備えた部位に、ポケットの根尖側から始まって、歯冠側に移動するように先端が鈍なニードルで適用して、気泡が閉じ込められることを回避した。上記歯周部位に関連した接触していない歯肉および歯根部の一部をまた、上記組成物で覆った。0.7W出力において532nm KTP(Quanta System S.p.A.,Solbiate Olona(VA)−Italy)を、上記ポケットに印加した(光力学的療法)。照射時間10秒にレーザーを設定した。上顎で始まって、各々連続した歯を、前庭側から10秒、および口腔側から10秒にわたって照射した。
【0148】
(コントロール群)
コントロール群は、PD≧4mmを示す全ての部位において、局所麻酔下で顎ごとに口腔全体のスケーリング/ルートプレーニングを受けた。SRPを約60分以内に完了した。新たに鋭くしたグレイシーキュレット(Hu−Friedy,Leimen,Germany)および圧電式超音波スケーラー(Satelec(登録商標)Suprasson(登録商標)P−Max Lux,Merignac Cedex-France)を、上記根部表面がエキスプローラーチップ(EXD 11/12,Hu−Friedy,Leimen,Germany)に対して滑らかかつきれいになったと感じられるまで、組み合わせて使用した。
【0149】
(実施例VII)
(結果)
(ベースライン時の患者の特徴)
非外科的に処置されたかもしくは上記ゲルおよび光力学的処置の補助的使用を伴う6名の参加者のベースラインの特徴を、表4に示す。個体群統計学(demographic)および歯周変数のいずれも、上記2群の間で差異は示さないようである。
【0150】
【表4】

数値データ(CAL)を、平均としてまとめ、分類別データ(BOPおよびPI)を、度数分布としてまとめた(表5)。
【0151】
両群は、初期検査から活発な処置の2週間後までで、全ての臨床パラメーターにおいて有意な低下を示した。上記試験群において、CALは、1回目の通院時の5.92±1.92mmから処置後2週間の4.38±1.69mmへと低下した(1.54mmの差異)。上記コントロール群では、CALは、5.74±1.73mmから4.94±1.92mmへと低下した(0.8mmの差異)。上記試験群におけるベースラインから処置後2週間でのBOPパーセンテージの差異は、62.42であり、上記コントロール群では52.54であった。
【0152】
上記試験群は、コントロール群と比較して、初期検査から活発な処置の2週間後まで、CALおよびBOPにおいてより大きな低下を有する傾向を示した。
【0153】
【表5】

(実施例VIII)
(過酸化尿素ゲル)
青色〜緑色光(450〜530nm)に対する特異的吸収の光増感剤(エオシンY)を含むゲルは、同時に、細菌を明らかにすることができる細菌染色剤である。その基本は、過酸化尿素(CH)であり、これは、分解の際にOおよびフリーラジカルおよび組織の再生機構に介入する治癒因子を放出する。
【0154】
【表6】

(実施例IX)
(ベースライン時の患者の特徴)
非外科的に処置されたかもしくは上記ゲルおよび光力学的処置の補助的使用を伴う10名の参加者のベースラインの特徴を、表7に示す。個体群統計学および歯周変数のいずれも、上記2群の間で差異は示さないようである。
【0155】
【表7】

患者の各群を、上記実施例VIに記載されるプロトコルに従って処置した。数値データ(CAL)を、平均としてまとめ、分類別データ(BOPおよびPI)を、度数分布としてまとめた(表8)。
【0156】
両群は、初期検査から活発な処置の6週間後までで、全ての臨床パラメーターにおいて有意な低下を示した(図4を参照のこと)。上記試験群では、CALは、1回目の通院時の5.9mmから処置後6週間での4.3mmへと低下した(1.6mmの差異)。上記コントロール群では、CALは、5.7mmから4.5mmへと低下した(1.2mmの差異)。上記試験群におけるベースラインから処置後6週間でのBOPパーセンテージの差異は、上記処置群では30.2%であり、上記コントロール群では21.5%であった(8.7%の差異)。上記試験群におけるベースラインから処置後6週間での歯周ポケット深度(PPD)の差異は、2.1mmであった一方で、上記コントロール群では、それは1.3mmであった(8mmの差異)。
【0157】
上記試験群は、コントロール群と比較して、初期検査から活発な処置の2週間後まで、CALおよびBOPにおいてより大きな低下を有する傾向を示した(図3を参照のこと)。
【0158】
【表8】

【0159】
【表9】

さらに、視覚的アナログスケール(VAS)を使用して、上記患者の疼痛および不快感を、0(疼痛なし)から10(我慢できない)までの範囲の連続した値にわたって主観的に測定する。ここで約1〜約3の値は、軽度の疼痛を表し、約3〜約7の値は、中程度の疼痛を表し、約7〜約9の値は、重篤な疼痛を表し、約9〜約10の値は、我慢できない疼痛を表す。SRPを受けた患者の平均VASスコアは、2.32である一方で、SRPとPDTとを受けた患者のスコアは、平均スコア0.52を有した。
【0160】
実施例VIに記載される歯周処置のプロトコルを、慢性歯周炎を有する患者に適用した。6週間の期間の過程で、上記患者の歯周炎は完全に治癒および終結し(close)、彼らは完全に治癒し、彼らの最初の創傷をその本来の健康な状態へと戻した。
【0161】
(実施例X)
実施例VIIIの例示的抗菌歯周組成物を、以下の成分を混合することによって調製する:上記酸化剤(4mL)および治癒因子(1.5mL)を混合し、光活性化剤(1mL)と合わせた。得られた組成物を、LED光硬化デバイス(青色光)によって提供される化学線で、5分未満にわたって予め照射し、その後、患者の口腔に適用する。適用後、上記組成物を、5分未満の時間にわたって上記口中に残しておく。上記組成物を処置後に除去した。
【0162】
(実施例XI)
(歯槽閉鎖)
ここで図5を参照すると、歯周炎、継続性の膿瘍、骨の喪失および歯の増大した移動性(mobility)に罹患している患者の歯を抜き、歯槽を開いたままにした(図5A)。上記歯槽をきれいにし、実施例VIIIの抗菌組成物を上記歯槽に適用し(図5B)、化学線に約5分間にわたって曝す。次いで、上記抗菌組成物を除去する。処置の24日後には、血餅がなく、新たに形成された組織が上記歯槽を覆っている(図5C)。治癒に好都合であるように縫合する必要はなかった。このような促進された治癒は、このような抜歯後には、一般には起こらない。
【0163】
これら結果からの臨床的観察は、以下のようにまとめられ得る:
上記初期検査および歯肉縁上のスケーリングでの上記ゲル適用は、バイオフィルムを乳化させ、バイオフィルムの形成を消散(disperse)させ、その容易な除去および染色を促進する。また、このことは、硬い沈着物の除去を促進させる。上記硬い沈着物の容易な除去を裏付ける仮定は、分解の際に放出される、尿素である化学式(NHCOを有する有機化合物によるタンパク質分解である。
【0164】
の放出は、上記根部表面に対して付着した増分の機械的破壊、および歯肉軟組織に対して、特に、ポケット上皮に対して充血(hyperaemia)を引き起こし、軽度の麻酔効果を付与し、それによって、スケーリング/ルートプレーニングの間の局所麻酔の必要性を低下させる。このことは、口腔全体の消毒、歯肉下デブリドマンに要求されるセッションの回数をさらに低下させた。
【0165】
上記O放出の止血効果は、歯肉下デブリドマンの間に明瞭な術野を提供する。上記試験群における患者は、上記のように、上記ゲルの有利な効果に起因して、優れたコンプライアンスを示した。最後に述べるが決して軽んじられない、上記光力学的療法の間に、強い抗菌効果が起こる。目的とした組織と接触した状態にある上記ゲルを光活性化することによって、光化学反応が起こり、それは、上記3つの構成要素である、光−組織−ゲルの相乗作用的な相互作用で、上記ゲルの再活性を促進する。この相互作用は、結果として、酸素反応種(過酸化水素、スーパーオキシドイオン、一重項酸素)の発生を増大させ、その一連の最後には、分子酸素の形成(気泡)を増大させる。さらに、尿素化合物の放出および水の形成が観察される。上記光増感剤は、電子フロー(これは上記ペルオキシドに対する反応性を増大させる)を介して上記系にエネルギーを誘導するのみならず、上記光エネルギーを上記バイオフィルムへも指向させる。なぜなら、上記光増感剤は、バイオフィルム自体、およびヘモグロビンの両方に結合するからである。上記生物学的基質および細菌の挙動に対する上記フリーラジカルの放出およびその対応するラジカルカスケードの影響は、公知である。これらの中程度の生体刺激は、細菌増殖、および上記成熟したバイオフィルムの複雑性にとって致死的である。
【0166】
生きている多細胞組織の生体刺激;同時相互作用(co−interaction)(光−組織−ゲル)の生体活性選択性、光自体(殺菌効果および充血効果(hyperhaemic effect))、および最後に述べるが決して軽んじられない、特に上記歯周ポケットの閉鎖環境における分子酸素の微小な機械的効果は、強調されるべきかつさらに調査されるべき重要なことである。上記ゲルのこの適用は、上記光力学的療法に起因する殺菌効果とは別に、歯肉上および歯肉下デブリドマンを促進することにおいて非常に有用である。
【0167】
本発明の好ましい実施形態が上記で記載され、添付の図面で図示されてきたが、本発明の本質から逸脱することなく上記実施形態において改変が行われ得ることは、当業者に明らかである。このような改変は、本発明の範囲に含まれる、考えられる改変とみなされる。






【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内消毒および/もしくは口腔疾患の処置のための医薬の製造のための光活性化される組成物の使用であって、ここで該組成物は、
少なくとも1種の酸化剤,
該酸化剤を活性化し得る少なくとも1種の光活性化剤;ならびに
ヒアルロン酸、グルコサミンおよびアラントインから選択される少なくとも1種の治癒因子、
を適切なキャリアと会合した状態で含む、
使用。
【請求項2】
口腔内消毒のための光活性化される組成物の使用であって、ここで該組成物は、
少なくとも1種の酸化剤;
該酸化剤を活性化し得る少なくとも1種の光活性化剤;ならびに
ヒアルロン酸、グルコサミンおよびアラントインから選択される少なくとも1種の治癒因子、
を、薬理学的に受容可能なキャリアと会合した状態で含む、
使用。
【請求項3】
口腔疾患およびの処置および該疾患の治癒を助けるための光活性化される組成物の使用であって、ここで該組成物は、
少なくとも1種の酸化剤;
該酸化剤を活性化し得る少なくとも1種の光活性化剤;ならびに
ヒアルロン酸、グルコサミンおよびアラントインから選択される少なくとも1種の治癒因子、
を薬理学的に受容可能なキャリアと会合した状態で含む、
使用。
【請求項4】
歯周炎の処置のための光活性化される組成物の使用であって、ここで該組成物は、
少なくとも1種の酸化剤;
該酸化剤を活性化し得る少なくとも1種の光活性化剤;ならびに
ヒアルロン酸、グルコサミンおよびアラントインから選択される少なくとも1種の治癒因子、
を薬理学的に受容可能なキャリアと会合した状態で含む、
使用。
【請求項5】
前記口腔疾患は、歯肉炎、歯周炎、歯周病、鵞口瘡、扁平苔癬、口内炎、単純ヘルペス病変、口腔粘膜炎、口腔潰瘍、口腔粘膜下線維症、および舌炎から選択される、請求項1および3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記酸化剤は、過酸化水素, 過酸化カルバミドおよび過酸化ベンゾイルから選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記酸化剤は、ペルオキシ酸およびアルカリ金属過炭酸物から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記組成物は、少なくとも1種の親水性ゲル化剤をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
前記親水性ゲル化剤は、グルコース、改変デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボポル(登録商標)ポリマー、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、寒天、カラギーナン、ローカストビーンガム、ペクチン、およびゼラチンから選択される、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記光活性化剤は、キサンテン誘導体色素、アゾ色素、生物学的着色剤、およびカロチノイドから選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
前記キサンテン誘導体色素は、フルオレン色素、フルオロン色素、およびロドール色素から選択される、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記フルオレン色素は、ピロニン色素およびローダミン色素から選択される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記ピロニン色素は、ピロニンYおよびピロニンBから選択される、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記ローダミン色素は、ローダミンB、ローダミンGおよびローダミンWTから選択される、請求項12に記載の使用。
【請求項15】
前記フルオロン色素は、フルオレセインおよびフルオレセイン誘導体から選択される、請求項11に記載の使用。
【請求項16】
前記フルオレセイン誘導体は、フロキシンB、ローズベンガル、およびメルブロミンから選択される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記フルオレセイン誘導体は、エオシンY、エオシンBおよびエリスロシンBから選択される、請求項15に記載の使用。
【請求項18】
前記フルオレセイン誘導体は、エオシンYである、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記アゾ色素は、メチルバイオレット、ニュートラルレッド、パラレッド、アマランス、カルモイシン、アルラレッドAC、タルトラジン、オレンジG、ポンソー4R、メチルレッド、およびムレキシド−プルプリン酸アンモニウムから選択される、請求項10に記載の使用。
【請求項20】
前記生物学的着色剤は、サフラニンO、塩基性フクシン、酸性フクシン、3,3’ ジヘキシルカルボシアニンヨウ化物、カルミン酸、およびインドシアニン・グリーンから選択される、請求項10に記載の使用。
【請求項21】
前記カロチノイドは、クロセチン、α−クロシン(S,S−ジアポ−S,S−カロテン酸)、ゼアキサンチン、リコピン、α−カロチン、β−カロチン、ビキシン、およびフコキサンチンから選択される、請求項10に記載の使用。
【請求項22】
前記カロチノイドは、サフランレッド粉末、ベニノキ抽出物および褐藻類抽出物から選択される混合物として前記組成物中に存在する、請求項10に記載の使用。
【請求項23】
前記組成物は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびエチレングリコール四酢酸(EGTA)から選択される、少なくとも1種のキレート化剤をさらに含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の使用。
【請求項24】
患者の口腔全体の消毒および/もしくは光力学補助口腔処置のための方法であって、該方法は、
a)患者の口腔中に、少なくとも1種の酸化剤、該酸化剤を活性化し得る少なくとも1種の光活性化剤;ならびにヒアルロン酸、グルコサミンおよびアラントインから選択される少なくとも1種の治癒因子を含む組成物を適用する工程;ならびに
b)該工程a)の口腔を、該光活性化剤が該酸化剤の活性化を引き起こすに十分な時間にわたって化学線に供する工程、
を包含する、方法。
【請求項25】
前記口腔処置は、口腔疾患の処置のためである、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記口腔疾患は、歯肉炎、歯周炎、歯周病、鵞口瘡、扁平苔癬、口内炎、単純ヘルペス病変、口腔粘膜炎、口腔潰瘍、口腔粘膜下線維症、および舌炎から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
歯周炎の処置のための方法であって、該方法は、
a)患者の口腔中に、歯肉縁上のデブリドマン、スケーリング/ルートプレーニング、もしくはそれらの両方を行う前に、少なくとも1種の酸化剤、該酸化剤を活性化し得る少なくとも1種の光活性化剤;ならびにヒアルロン酸、グルコサミンおよびアラントインから選択される少なくとも1種の治癒因子を含む組成物を適用する工程;ならびに
b)該スケーリング/ルートプレーニングの後に、該工程a)の口腔を、該光活性化剤が該酸化剤の活性化を引き起こすに十分な時間にわたって化学線に供する工程、
を包含する、方法。
【請求項28】
前記口腔は、約5分間未満の期間にわたって化学線に曝される、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記口腔は、約60秒〜約5分の期間にわたって化学線に曝される、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記口腔は、処置されるべき領域1cmあたり約5分未満の期間にわたって化学線に曝される、請求項24〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記口腔は、処置されるべき領域1cmあたり約60秒〜約5分の期間にわたって化学線に曝される、請求項24〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
化学線源は、処置されるべき領域の上にある、請求項24〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記患者の口腔の中に適用する工程は、前記組成物を歯肉もしくはその一部に適用する工程を包含する、請求項24〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記患者の口腔の中に適用する工程は、前記組成物を少なくとも1本の歯の近くに適用する工程を包含する、請求項24〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記患者の口腔の中に適用する工程は、前記組成物を少なくとも1本の歯に適用する工程を包含する、請求項24〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1本の歯は、少なくとも約10秒の期間にわたって前庭側から、および少なくとも約10秒にわたって口腔側から化学線に曝される、請求項34〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記化学線は、約400nm〜約700nmの間の波長を有する可視光線である、請求項24〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記酸化剤は、過酸化水素、過酸化カルバミドおよび過酸化ベンゾイルから選択される、請求項24〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記組成物は、少なくとも1種の親水性ゲル化剤をさらに含む、請求項24〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記親水性ゲル化剤は、グルコース、改変デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボポル(登録商標)ポリマー、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、寒天、カラギーナン、ローカストビーンガム、ペクチン、およびゼラチンから選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記光活性化剤は、キサンテン誘導体色素、アゾ色素、生物学的着色剤、およびカロチノイドから選択される、請求項24〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記キサンテン誘導体色素は、フルオレン色素、フルオロン色素、およびロドール色素から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記フルオレン色素は、ピロニン色素およびローダミン色素から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記ピロニン色素は、ピロニンYおよびピロニンBから選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記ローダミン色素は、ローダミンB、ローダミンGおよびローダミンWTから選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記フルオロン色素は、フルオレセインおよびフルオレセイン誘導体から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記フルオレセイン誘導体は、フロキシンB、ローズベンガル、およびメルブロミンから選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記フルオレセイン誘導体は、エオシンY、エオシンBおよびエリスロシンBから選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記フルオレセイン誘導体は、エオシンYである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記アゾ色素は、メチルバイオレット、ニュートラルレッド、パラレッド、アマランス、カルモイシン、アルラレッドAC、タルトラジン、オレンジG、ポンソー4R、メチルレッド、およびムレキシド−プルプリン酸アンモニウムから選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項51】
前記生物学的着色剤は、サフラニンO、塩基性フクシン、酸性フクシン、3,3’ ジヘキシルカルボシアニンヨウ化物、カルミン酸、およびインドシアニン・グリーンから選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項52】
前記カロチノイドは、クロセチン、α−クロシン(S,S−ジアポ−S,S−カロテン酸)、ゼアキサンチン、リコピン、α−カロチン、β−カロチン、ビキシン、およびフコキサンチンから選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項53】
前記カロチノイドは、サフランレッド粉末、ベニノキ抽出物および褐藻類抽出物から選択される混合物として前記組成物中に存在する、請求項41に記載の方法。
【請求項54】
前記組成物は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびエチレングリコール四酢酸(EGTA)から選択される少なくとも1種のキレート化剤をさらに含む、請求項24〜53のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2012−533522(P2012−533522A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519858(P2012−519858)
【出願日】平成22年7月19日(2010.7.19)
【国際出願番号】PCT/CA2010/001134
【国際公開番号】WO2011/006263
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(511110418)クロクス テクノロジーズ インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】