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口腔内貼付薬
説明

口腔内貼付薬

【課題】 十分な口腔内粘膜での吸収効果を有し、誤飲した場合でも十分な安全性を有する口腔内貼付薬を提供すること。
【解決手段】 フィルム状で口腔内の粘膜に貼り付けて、有効成分を、粘膜を介して体内に吸収させるためのものであり、円形のフィルムからなる薬成分層2と、薬成分層2における使用者の粘膜に接触する接触面10以外の面を覆っており、断面コの字状の被覆層3とからなり、全体で円盤状となっており、口腔内貼付薬を挟持容易とする把持部が、接触面の反対側の面である非接触面のほぼ中央に突起部を設けられている口腔内貼付薬1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内貼付薬に関し、さらに詳しくは、口腔内の任意の場所の粘膜表面に貼り付け、各種薬剤を、粘膜を介して体内に吸収させることができる口腔内貼付薬に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の治療を行う場合に口腔内の粘膜から薬効成分を吸収させる薬剤は種々開発されている。
しかし、単に口腔内に軟膏やゲルからなる薬剤を塗布するのでは、唾液の作用等により塗布した薬剤が流失してしまう。例えば、歯周病用の薬剤を患部に塗布した場合には十分な薬効を示す量が患部に吸収されないという問題があり、全身疾患用の薬剤を塗布した場合には、粘膜からの吸収が胃腸からの吸収よりも吸収性の点で有利であるのにその利点が十分に発揮されないという問題があった。
そこで、軟膏やゲルではなく、フィルムやシート形態の口腔内貼付薬が種々提案されている。
たとえば、特許文献1には、可食性高分子物質からなる支持体上に薬物層を積層してなることを特徴とする可食性口腔内貼付薬が提案されている。また、特許文献2には、可食性フィルムからなる薬物層を2枚の可食性フィルムからなる支持層で挟持してなる口腔内粘膜貼付製剤が提案されている。また、特許文献3には、スパンレース不織布を有する支持体と、歯牙又は歯茎への粘着性を有する膏体組成物とを備えた口腔内貼付薬が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58−174307号公報
【0004】
【特許文献2】特開2010−138123号公報
【0005】
【特許文献3】特開2010−168370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の提案にかかる口腔内貼付薬ではいまだ不十分であった。具体的には、特許文献1記載の口腔内貼付薬では、支持体が溶解してしまうことにより薬物層が溶け出してしまい、長時間口腔内に貼りつけておく効果が生じにくいという問題があった。特許文献2記載の口腔内貼付薬では、2枚の支持体のうち1枚は粘膜に貼りつけられ、1枚は口腔内に露出するところ、露出する支持体が先に溶解して薬物層が口腔内に露出してしまい粘膜を介して吸収されるよりも先に溶解してしまうという問題があった。特許文献3記載の口腔内貼付薬では、膏体組成物が支持体と粘膜との隙間から溶け出してしまうという問題がある他、スパンレース不織布を飲み込んでしまうため安全性の点でも問題があった。
要するに、従来提案されている口腔内貼付薬では、いまだ十分な口腔内粘膜での吸収効果と誤飲した場合の安全性とを満足しておらず、これらの性能をすべて満足する口腔内貼付薬の開発が要望されているのが現状である。
【0007】
従って、本発明の目的は、十分な口腔内粘膜での吸収効果を有し、誤飲した場合でも十分な安全性を有する口腔内貼付薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、口腔内の粘膜に貼りつけられる可食フィルム中に薬成分を含有させ、その表面を該可食フィルムよりも溶解性の悪い可食フィルムでコーティングすることにより上記課題を解消しうることを知見し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記発明を提供することにより、上記目的を達成したものである。
1.フィルム状で口腔内の粘膜に貼り付けて、有効成分を、粘膜を介して体内に吸収させるための口腔内貼付薬であって、
可食性の水溶性基剤と薬剤とを含有してなり、使用者の口腔内粘膜に貼り付けられるフィルム状の薬成分層と、
上記薬成分層における使用者の粘膜に接触する接触面以外の面を覆っており、上記水溶性基剤よりも難水溶性であるか又は上記水溶性基剤よりも口腔内で粘着性を発現しない可食性の被覆用基剤を含有してなる被覆層とからなる口腔内貼付薬。
2.口腔内貼付薬を挟持容易とする把持部が設けられている1記載の口腔内貼付薬。
3.上記把持部は、上記接触面の反対側の面である非接触面のほぼ中央に突起部を設けることで形成されている2記載の口腔内貼付薬。
4.上記把持部は、上記被覆層の周縁の一部に突起部を設けることで形成されている2記載の口腔内貼付薬。
5.上記被覆層の中央部に各種処置を行う際の目印部が設けられている1記載の口腔内貼付薬。
6.上記目印部は、上記接触面の反対側の面である非接触面に着色を施すことにより形成されている5記載の口腔内貼付薬。
7.上記水溶性基剤が、プルラン、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ゼラチン、でんぷん及びこれらの混合物からなる群より選択される基剤であり、
上記被覆用基剤が、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒプロメロースフタル酸エステル、かんてん及びこれらの混合物からなる群より選択される基剤である1記載の口腔内貼付薬。
【発明の効果】
【0009】
本発明の口腔内貼付薬は、十分な口腔内粘膜での吸収効果を有し、誤飲した場合でも十分な安全性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の口腔内貼付薬の1実施形態を模式的に示す図であり、(a)は斜視図、(b)は厚さ方向断面図(b−b線断面図)である。
【図2】図2は、他の実施形態を示す図であり、(a)は接触面を示す底面図であり、(b)は厚さ方向断面図(図1(b)相当図)である。
【図3】図3は、他の実施形態を示す厚さ方向断面図(図1(b)相当図)である。
【符号の説明】
【0011】
1 口腔内貼付薬、2 薬成分層、3 被覆層、4 把持部
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の口腔内貼付薬について図面を参照して詳細に説明する。
図1に示す本実施形態の口腔内貼付薬1は、フィルム状で口腔内の粘膜に貼り付けて、有効成分を、粘膜を介して体内に吸収させるためのものである。
さらに詳述すると、本実施形態の口腔内貼付薬1は、円形のフィルムからなり、使用者の口腔内粘膜に貼り付けられる薬成分層2(図1(b)参照)と、薬成分層2における使用者の粘膜に接触する接触面10以外の面を覆っており、断面コの字状の被覆層3とからなり、全体で円盤状となっている。
【0013】
また、本実施形態の口腔内貼付薬1は、ピンセットなどの把持具を用いて挟持容易とする把持部4が設けられている。把持部4は、被覆層3の表面ほぼ中央を突出させて突起部を設けることで形成されている。また、この把持部4は、治療の段階において各種の処置(たとえば注射)を行う必要がある場合の目印部として用いることもできる。
【0014】
薬成分層2の厚みは、20〜300μmとするのが好ましく、40〜200μmとするのがさらに好ましい。また、薬成分層2の大きさは、薬成分の種類や口腔内貼付薬の用途に応じて任意であるが、直径0.5〜1.5cmとするのが口腔内に貼り付けた際の使用感と効能とのバランスの観点から好ましい。
上記被覆層3の厚みは、50〜400μmとするのが好ましく、100〜300μmとするのがさらに好ましい。
また、口腔内貼付薬全体の大きさは直径で1〜3cmとし、厚みは70〜700μmとするのが口腔内に貼り付けた際の使用感の観点から好ましい。
【0015】
<薬成分層の形成材料>
上記薬成分層は、可食性の水溶性基剤と薬剤とからなる可食フィルムにより形成されている。上記可食フィルムは、水溶性基剤に適宜必要な添加剤を添加して構成することができる。
【0016】
前記水溶性基剤は、2重量%水溶液の20℃における粘度が2〜100mPa・sであるのが好ましく、さらには3〜50mPa・sであるのが好ましい。水溶性基剤の粘度が2mPa・s未満であるとフィルムが脆くなり、100mPa・sを超えるとフィルム溶液の粘度が高くなりすぎるため製造時のハンドリングが悪くなるので上記範囲内であるのが好ましい。
このような上記水溶性基剤としては、以下に示すもの等を用いることができる。
ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、デンプン、キサンタンガム、カラヤガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、酢酸フタル酸セルロース(別名:セルロースアセテートフタレート、CAP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシビニルポリマー(商品名:カーボポール、BFグッドリッチ社製)、トラガント、アラビアゴム、ローカストビーンガム、グアーガム、デキストリン、デキストラン、アミロース、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、プルラン、キトサン、カルボキシメチルスターチナトリウム、プランタゴ種皮、ガラクトマンナン、オイドラギット、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アルキルエステル、ゼラチン、酢酸セルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、水不溶性メタクリル酸共重合体、メタクリル酸エチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体、メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体、アクリル酸、メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチレングリコール等。
【0017】
また、上述の水溶性基剤の中でも口腔内に投入した際に唾液の作用により粘着性を発揮して、口腔粘膜に対する高い付着性を発揮するものが好ましく、具体的には、特に、プルラン、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ゼラチン、でんぷん及びこれらの混合物からなる群より選択される基剤が特に好ましく用いられる。
【0018】
また、上記添加剤としては乳化剤および可塑剤を挙げることができる。
上記乳化剤は、溶液中の薬物等の分散性を高め、製造過程における可食フィルム形成用溶液を塗工する際に被塗工物である基材フィルム上にはじきが出るのを防ぐための成分であり、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、大豆由来レシチン等の界面活性剤を挙げることができ、使用に際してはそれぞれ単独または2種以上混合して用いることができる。また、「サーフホープ」(ショ糖脂肪酸エステルの商品名、三菱化学フーズ社製)、「M-7D」(ポリグリセリン脂肪酸エステルの市販品、三菱化学フーズ社製)、「サンレシチンA−1」(大豆由来レシチンの市販品、太陽化学社製)、ポリソルベート80HM(日油株式会社製)等の市販品を用いることもできる。
上記乳化剤の使用量は、上記水溶性基剤100重量部に対して 0.1〜10重量部とするのが好ましく、1〜5重量部とするのがさらに好ましい。
【0019】
上記可塑剤は、可食フィルムに柔軟性を付与するための成分であり、グリセリン、ソルビトール、ポリグリセリン等を挙げることができ、使用に際してはそれぞれ単独または2種以上混合して用いることができる。また、市販品を用いることもできる。
上記可塑剤の使用量は、上記水溶性基剤100重量部に対して5〜50重量部とするのが好ましく、10〜30重量部とするのがさらに好ましい。
【0020】
また、上記可食フィルムには、本発明の所望の効果を阻害しない範囲で他の添加剤、たとえば、リン酸カリウム等のゲル化促進剤、麦芽還元糖水飴、ショ糖、乳糖、果糖又はサッカリン、アスパルテーム、アスパルテーム・L−フェニルアラニン化合物、スクラロース、ソーマチン、アセスルファムカリウム、ステビア等の甘味料、ペパーミント、ハッカ油、チェリーフレーバー、オレンジ油、ウイキョウ油、エチルマルトール、l−メントール等の香料、安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル等の防腐剤、酸化チタン等の不透明化剤、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄等の着色剤;ビグアナイト系薬剤、ペオニフロリン、ドネぺジル、イブプロフェン、臭化ブチルスコポラミン、コンドロイチン群、イソソルビト等の各種薬効成分等を用いることもできる。
【0021】
また、本発明の口腔内貼付薬は、患者に心理的癒しの効果を付与するために基層に着色を施すこともできる。この際用いることができる着色剤としては、アセンヤクタンニン末、黄色三二酸化鉄、ウコン抽出液、褐色酸化鉄、カーボンブラック、カラメル、カルミン、カロチン液、β-カロテン、カンゾウエキス、金箔、銀箔、プラチナ箔、黒酸化鉄、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、三二酸化鉄、食用青色1号、食用黄色4号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号、食用黄色5号アルミニウムレーキ、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、タルク、銅クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィル、ハダカムギ緑葉抽出エキス、ミリスチン酸オクチルドデシル、薬用炭、リボフラビン、リボフラビン酪酸エルテル、リボフラビン酸エステル、緑茶末、ローズ油などを用いることができる。
また、香料や甘味料などを添加することも患者への治療に対する負担を軽減する点で有効である。
【0022】
本発明において用いられる上記薬剤としては、下記の薬剤分類にかかる薬剤を用いることができる。その具体的な例を下記成分の欄に挙げる。
(薬剤分類)
抗菌薬、抗ウィルス薬、抗真菌薬、抗寄生虫薬、予防接種用薬、消毒薬、抗悪性腫瘍薬、免疫抑制薬、副腎皮質ステロイド、非ステロイド抗炎症薬、抗リウマチ薬、消炎酵素、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、糖尿病薬、高脂血症治療薬、痛風・高尿酸血症治療薬、女性ホルモン剤、男性ホルモン剤、その他ホルモン剤、甲状腺疾患治療薬、骨・カルシウム代謝薬、ビタミン製剤、栄養剤、造血薬、止血薬、抗血栓薬、降圧薬、狭心症治療薬、抗不整脈薬、心不全治療薬・昇圧薬、血管拡張薬、利尿薬、気管支拡張薬、呼吸促進薬、鎮咳薬、去痰薬、胃腸機能調整薬、消化性潰瘍治療薬、腸疾患治療薬、下剤、胆道疾患治療薬、肝疾患治療薬、膵疾患治療薬、抗精神病薬、睡眠薬・抗不安薬、抗てんかん薬、偏頭痛治療薬、制吐薬・鎮暈薬、パーキンソン病治療薬、脳循環・代謝改善薬、抗痴呆薬、自律神経作用薬、筋弛緩薬、麻薬および類似薬、麻酔薬、解毒剤、漢方薬、造影剤、各種栄養素、微量元素など
(成分)
抗菌剤:塩化セチルピリジニウム、プロタミン、l-メントール等
抗真菌剤:アムホテリシンB、ミコナゾール等
抗ウィルス剤:アシクロビル、リン酸オセルタミビル等
抗炎症剤:グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム等
解熱鎮痛剤:アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸等
抗アレルギー薬:フマル酸ケトチフェン、塩酸オザグレル等
ステロイド、ホルモン剤:プレドニゾロン、エストラジオール等
鎮咳去痰薬:ノスカピン、グアイフェネシン、チペピジンヒベンズ酸塩等
麻酔薬:リドカイン、テトラカイン、ジブカイン等
骨・カルシウム代謝薬:アルファカルシドール、アレンドロン酸ナトリウム等
抗リウマチ薬:メトトレキサート、インフリキシマブ等
糖尿病薬:ボグリボース、塩酸ピオグリタゾン等
抗血栓薬:ワルファリンカリウム、塩酸チクロピジン等
降圧剤:アテノロール、ニフェジピン、カプトリル、ロサルタンカリウム等
狭心症治療薬:亜硝酸アミル、塩酸トリメタジジン等
抗不整脈薬:塩酸プロカインアミド、塩酸ベラパミル等
心不全薬、昇圧剤:ジギトキシン、塩酸ドーパミン等
血管拡張剤:塩酸イソクスプリン、塩酸トラゾリン等
利尿薬:フロセミド等
気管支拡張薬:塩酸エフェドリン、臭化イプラトロピウム等
消化性潰瘍治療薬:オメプラゾール、ファモチジン等
向精神薬:塩酸クロルプロマジン、マレイン酸フルボキサミン等
睡眠薬・抗不安薬:バルビタール、トリアゾラム等
パーキンソン病薬:レボドパ、塩酸セレギリン、メシル酸ブロモクリプチン等
脳循環・代謝改善薬、抗痴呆薬(認知症薬):塩酸ドネペジル等
上記薬成分層における薬剤の配合割合は、各薬剤に応じて、各薬剤において公知となっている製剤中の最低有効濃度を満足するように調整すればよい。
【0023】
<被覆層の形成材料>
被覆層は、上記水溶性基剤よりも難水溶性であるか又は上記水溶性基剤よりも口腔内で粘着性を発現しない可食性の被覆用基剤を含有してなる可食フィルムからなる。すなわち、上記水溶性基剤に代えて下記被覆用基剤を用いるか、又は被覆用基剤を主たる基剤として用い、上記薬成分を含有しない以外は上述の薬成分層に用いられる可食フィルムと同じ配合とすることができる。
【0024】
上記被覆層に用いられる上記被覆用基剤は、上記水溶性基剤よりも水に溶解しにくいか、又は上記水溶性基剤よりも口腔内で粘着性を発現しない樹脂である。これらは上記水溶性基剤として何を用いるかにより変動する相対的なものであり、2%水溶液の20℃における動粘度の上記水溶性樹脂との差(上記水溶性基剤の動粘度−被覆用基剤の動粘度)が、4mm/s〜4000mm/sであるものを好ましく用いることができる。
このような粘着性を発現する被覆用基剤としては、エチルセルロース(EC)、ヒプロメロースフタル酸エステル(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、セラック、かんてん、カラギーナン、ツェイン等が挙げられ、使用に際しては単独または混合物として用いることができる。すなわち、上記被覆用基剤は、エチルセルロース(EC)、ヒプロメロースフタル酸エステル(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、セラック、かんてん、カラギーナン、ツェイン及びこれらの混合物からなる群より選択される基剤であるのが好ましく、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒプロメロースフタル酸エステル、かんてん及びこれらの混合物からなる群より選択される基剤であるのが最も好ましい。
【0025】
上記被覆層を形成する可食フィルムは、上記被覆用基剤に添加剤を添加してなる。この際用いられる添加剤としては上述した上記薬成分層に用いられる添加剤を、水溶性基剤に対する割合を被覆用基剤に対する割合とする以外は上述の配合割合で配合して用い、被覆層を形成する可食フィルムを形成することができる。
【0026】
<製造法>
本実施形態の口腔内貼付薬は、通常の可食フィルムと同様にプラスチック製のベースフィルム上に薬成分層形成用溶液及び被覆層形成用溶液をキャスティングして各層を形成する可食フィルムを調製し、得られた各層用の可食フィルムを所定大きさに通常のカッターを用いて切断し、両層形成用の可食フィルムを貼り合わせて熱圧着させるなどして製造することができる。また、両層形成用の可食フィルム形成用溶液を所定形状に重ね合せて塗工することにより製造することもできる。
薬成分層形成用溶液および被覆層形成用溶液は、いずれも上述した水溶性基剤、被覆用基剤および添加剤、並びに薬剤を溶剤に溶解することにより得ることができる。
この際用いることができる溶剤としては以下のもの等を用いることができる。
水、エタノール、酢酸、アセトン、アニソール、1−ブタノール、2−ブタノール、酢酸n−ブチル、t−ブチルメチルエーテル、クメン、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3−メチル−1−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−メチル−1−プロパノール、ペンタン、1−ペンタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸プロピル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1、2−ジクロロエテン、ジクロロメタン、1、2−ジメトキシエタン、N、N−ジメチルアセトアミド、N、N−ジメチルホルムアミド、1、4−ジオキサン、2−エトキシエタノール、エチレングリコール、ホルムアミド、ヘキサン、メタノール、2−メトキシエタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、N−メチルピロリドン、ニトロメタン、ピリジン、スルホラン、テトラリン、トルエン、1、1、2−トリクロロエテン、キシレン、1、1−ジエトキシプロパン、ジメトキシメタン、2、2−ジメトキシプロパン、イソオクタン、イソプロピルエーテル、メチルイソプロピルケトン、メチルテトラヒドロフラン、石油エーテル、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、塩化メチレン等を用いることができ、使用に際しては単独または2種以上混合して用いることができる。これらの溶媒の中では、エタノール、水、酢酸エチルまたはこれら溶媒を組み合わせたもの(例えば、エタノール−水混合物、エタノール−酢酸エチル混合物)が最も好ましく使用できる。
【0027】
<使用法、効果>
本実施形態の口腔内貼付薬は、薬成分として何を含有させるかにより貼り付ける時間は異なるが、その使用に際しては、例えば歯科医が用いる場合、把持部4をピンセットなどで把持し、患部に接触面10が当接するように口腔内貼付薬1を口腔内粘膜に当接させて貼り合わせ、薬成分が粘膜を介して吸収される所定時間貼り合わせた状態を保持することにより使用することができる。
本実施形態の口腔内貼付薬は、薬成分層及び被覆層のいずれも口腔内の水分を吸収して膨潤し、接着性を発現するものであるため、口腔内の粘膜に良好に貼り付き、薬成分層が露出して口腔内に薬成分が溶け出すことがない。このため薬成分を粘膜を介して薬の設計通りに体内に吸収させることができる。
また、本実施形態の口腔内貼付薬は、そのすべてが可食フィルムで作られているので幼児、子供、老人にも特に危険がなく、誤飲してしまっても安全なものである。
【0028】
以下、他の実施形態について説明するが、以下の説明では上述の実施形態と同様に形成されている部分は説明を割愛し、上述の実施形態と異なる部分を中心に説明する。特に説明しない点については、上述の実施形態における説明が適宜適用される。
<第2の実施形態>
図2に示す実施形態の口腔内貼付薬101は、薬成分層102が中央の円形の部分とその周縁外方に位置するドーナツ状の部分とからなり、両部分の間に、粘着性を増大させるためのドーナツ状の粘着層106が介在されている。また、把持部104は被覆層103の周縁に設けられている。そして、被覆層103の中央部には、着色が施されて目印部105が設けられている。
粘着層106は、薬成分層102や被覆層103と同様に可食フィルムにより形成されており、薬成分を含有しない以外は薬成分層と同様の組成で且つ同様の製造方法により形成することができる。粘着層106は、薬成分を含有しない分水溶性基剤の粘着力が十分に発揮されて、薬成分層の粘着力を補強してより強固に口腔内粘膜に貼り付けることができる。
目印部105形成のための着色剤としては、上述の着色剤を特に制限なく用いることができ、着色剤を通常の可食フィルムに印刷を施す際に用いられる方法を特に制限なく用いて印刷することにより形成することができる。
【0029】
<第3の実施形態>
図3に示す実施形態の口腔内貼付薬201は、目印部205が被覆層の表面ではなく薬成分層202の表面に設けられており、把持部204が被覆層203の周縁に設けられている。
目印部205が薬成分層202の表面中央に設けられていることにより、所定時間口腔内貼付薬を貼り付け、剥した後に各種処置を行う際にどの部分に薬成分層が当接していたかを容易に施術者が確認することができる。
【0030】
なお、本発明は上述の実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
たとえば、上述の実施形態においては円形の形状を示して説明したが、形状はこれに制限されず、矩形状、三角形状、星形等種々形状とすることができる。
また、図3に示す実施形態において目印部は転写可能な可食インクにより形成し、粘膜に目印が転写されるようにしてもよい。
【実施例】
【0031】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが本発明はこれらに制限されるものではない。
【0032】
〔実施例1〕
下記組成1からなる薬成分層用の原料30重量部を70重量%エタノール70重量部に溶解して、薬成分層形成用溶液を得た。
別に下記組成2からなる被覆層形成用の原料30重量部を精製水70重量部に溶解して、被覆層形成用溶液を得た。
得られた両溶液をベースフィルムとしてのPETフィルム上に順次塗布し、乾燥させて各層形成用のフィルムを得た。なお被覆層用のフィルムは一部を外方に引っ張ることで把持部形成用の突出部分を所定箇所に所定個数形成した。ついで両フィルムを所定形状にカットし、両層を貼りつけて図1に示す本発明の口腔内貼付薬を得た。得られた麻酔薬の大きさは、薬成分層の直径が10mm、全体の直径が25mm、薬成分層の厚みが100μm、全体の厚みが200μmであった。
<組成1>
プロピレングリコール 9重量部
ポリアクリル酸 15重量部
信越化学製「TC−5E」※1 26重量部
リドカイン 50重量部
※1ヒドロキシプロピルメチルセルロース
<組成2>
ポリソルベート80(商品名 日油(株)製) 2重量部
エチルセルロース 80重量部
中鎖脂肪酸 トリグリセリド 18重量部
【0033】
〔実施例2〕
各層形成用の原料組成を以下の組成に示す組成とした以外は実施例1と同様にして本発明の口腔内貼付薬を得た。
<組成1>
プロピレングリコール 9重量部
ポリアクリル酸 15重量部
日本曹達製[HPC−SSL]※2 26重量部
リドカイン 50重量部
※2ヒドロキシプロピルセルロース
<組成2>
ポリソルベート80(商品名 日油(株)製) 2重量部
エチルセルロース 80重量部
中鎖脂肪酸 トリグリセリド 18重量部
〔実施例3〕
各層形成用の原料組成を以下の組成に示す組成とした以外は実施例1と同様にして本発明の口腔内貼付薬を得た。
<組成1>
プロピレングリコール 9重量部
ポリアクリル酸 15重量部
ポリビニルピロリドン「K−90」 26重量部
リドカイン 50重量部
<組成2>
ポリソルベート80(商品名 日油(株)製) 2重量部
エチルセルロース 80重量部
中鎖脂肪酸 トリグリセリド 18重量部
【0034】
〔試験例〕
得られた各口腔内貼付薬について薬剤の効果としての麻酔効果を下記試験方法に準じて確認した。その結果を表1に示す。
得られた各口腔内貼付薬について以下の要領で効果の確認を行った。
その結果、本発明の口腔内貼付薬は、表1に示す結果から明らかなように、貼り付け後90秒か120秒、遅くとも180秒程度で通常の注射器で麻酔薬を注入した場合と同様に優れた麻酔効果を示した。また、各モニターの感想として、フィルム状であるので注射のときのような苦痛がなく、麻酔を行うことができた。また、その効果は中央部近辺に集中したもので、患者の違和感は通常の注射による麻酔に比して軽いものであった。そのため治療終了後に相当する貼り付けから30分後には違和感なく咀嚼行為を行うことができた。また感応評価としては貼り付け中の違和感はほとんどなく使用感にも優れたものであった。
<試験方法>
得られた各口腔内貼付薬について以下の要領で効果の確認を行った。各貼付薬を、ピンセットを用いて歯茎に2分間貼り付けた。
リドカイン含有量50重量%の10mm×10mm、厚み 460μm、重さ50mgのフィルム状の麻酔薬をモニター6名に貼り付けてもらい、貼り付けた後、30秒、60秒、90秒、120秒、180秒後における麻酔効果を、貼り付けた個所に刺激を与え、その際に当該刺激を感じる場合には「効果なし」とし、刺激を感じない場合には「効果発現」又は「効果持続」として判定した。
結果を表1に示す。
【0035】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状で、口腔内の粘膜に貼り付けて、有効成分を、粘膜を介して体内に吸収させるための口腔内貼付薬であって、
可食性の水溶性基剤と薬剤とを含有してなり、使用者の口腔内粘膜に貼り付けられるフィルム状の薬成分層と、
上記薬成分層における使用者の粘膜に接触する接触面以外の面を覆っており、上記水溶性基剤よりも難水溶性であるか又は上記水溶性基剤よりも口腔内で粘着性を発現しない可食性の被覆用基剤を含有してなる被覆層とからなる
口腔内貼付薬。
【請求項2】
口腔内貼付薬を挟持容易とする把持部が設けられている請求項1記載の口腔内貼付薬。
【請求項3】
上記把持部は、上記接触面の反対側の面である非接触面のほぼ中央に突起部を設けることで形成されている請求項2記載の口腔内貼付薬。
【請求項4】
上記把持部は、上記被覆層の周縁の一部に突起部を設けることで形成されている請求項2記載の口腔内貼付薬。
【請求項5】
上記被覆層の中央部に各種処置を行う際の目印部が設けられている請求項1記載の口腔内貼付薬。
【請求項6】
上記目印部は、上記接触面の反対側の面である非接触面に着色を施すことにより形成されている請求項5記載の口腔内貼付薬。
【請求項7】
上記水溶性基剤が、プルラン、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ゼラチン、でんぷん及びこれらの混合物からなる群より選択される基剤であり、
上記被覆用基剤が、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒプロメロースフタル酸エステル、かんてん及びこれらの混合物からなる群より選択される基剤である請求項1記載の口腔内貼付薬。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−95687(P2013−95687A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238857(P2011−238857)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(591091043)ツキオカフィルム製薬株式会社 (38)
【Fターム(参考)】