説明

口腔内速崩壊錠およびその製造方法

本発明は、活性成分、薬学的に許容可能な添加体、及び超臨界流体−可溶性物質を含む混合物を打錠して錠剤を製造する段階と、前記錠剤を超臨界流体と接触させて超臨界流体−可溶性物質を抽出し、錠剤中に微細空隙を形成させる段階とを含む方法によって製造された口腔内速崩壊錠及びその製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な口腔内速崩壊錠およびその製造方法に関するものであって、さらに詳しくは、超臨界流体抽出法により製造される多孔性の口腔内速崩壊錠およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に錠剤やカプセル剤は200 - 250 mLの水と共に飲んで服用するが、一部の患者にはこのような服用法が不便であるか、実行不可能である。特に老人、幼児、子供、嚥下運動が困難な人、水分摂取を制限しなければならない患者、痴呆やパーキンソン病など、身体的及び精神的な理由で管理が難しい患者のような場合、通常の方法で錠剤を投与することは難しい。このような場合には口腔で唾液によって容易に崩壊されるか、液状に転換される速崩壊錠剤(以下、「速崩壊錠」ともいう)で投与することが好ましい。また、速崩壊錠は素早く崩壊するため、生理活性物質の吸収を迅速にしようとする時や、生理活性物質を口腔と食道で吸収させて生体利用率を高めようとする時にも有用に使用される。
【0003】
速崩壊錠は口内で唾によって迅速に崩壊され、生理活性物質又は生理活性物質を含有した粒子が放出される剤形であって、普通1分以内に崩壊される。アール・ピー・シーラー(R.P. Scherer)社によって凍結乾燥で製造された商品名ザイディス(Zydis)という技術が初めて開発され、以後、ファースト−ディゾルヴィング(fast-dissolving)という名称でこの技術が注目を集め、ザイディス技術が適用された製品が市販(1996年)されることにより、技術の開発がさらに加速化された。 速崩壊錠は機能的に、i) 錠剤が口腔で迅速に崩壊されなければならなく、ii) 口腔で水不溶性残存物を残さず、iii) 取り扱い、流通中の摩損を減らすために適切な機械的強度を持たなければならない。
【0004】
現在まで開発された速崩壊錠の製造方法は、鋳型法、凍結乾燥法、昇華法、崩壊剤添加、糖の再結晶化法などに分類されるが、一つ又はいくつかの方法が組み合わせられて使用されることもある。
【0005】
US 5,631,023及びUS 5,976,577は、薬物が含まれた溶液を凍結乾燥(Lyophilization)して製剤化した速崩壊錠を開示しており、このような製剤にはPepcid RPD(ファモチジン製剤、メルク)、Zofran zydis(オンダンセトロン製剤、グラクソ・ウエルカム)、ClaritinRediTabs(ロラタジン)などの製品がある。これらの製品は口腔内で2〜3秒以内に速やかに溶けるという長所を有するが、予め成形された容器に薬物溶液を注入した後、特殊な温度条件で凍結乾燥させなければならないなど、製造時に生産性が低く、このように製造された製剤も特殊材質で包装しなければならないなど、生産コストが上昇し、経済性が落ちるという短所を有する。
【0006】
このような短所を有する凍結乾燥法の代りに、日本の山之内製薬(Yamanouchi)はウォタブ(WOWTAB)技術を開発したことがあり、これと関連した特許文献として、 WO 99/47126は水溶性高分子を結合剤として用いて活性成分と共に打錠した後、高湿条件で湿らせた後、乾燥させて残留有機溶媒を含有しない速崩壊錠を製造する方法を開示しており、WO93/12769は活性成分と寒天、糖などの懸濁液を金型に充填し、30℃、−760mmHgで乾燥させて水分を除去する方法を開示している。しかしながら、これらの方法もまた、生産性が低く、製品間で品質の均一性を維持し難いという短所がある。
【0007】
また、US 6,024,981及び6,221,392号(Orasolv、Durasolv 技術、Cima Labs)は、活性成分の直接打錠が可能な賦形剤と混合して口腔内速崩壊錠を製造する方法を開示している。このような方法は機械的強度が補完された側面はあるが、直打可能な糖や強力崩壊剤の量が過度に使用され、少量の治療学的成分を持つ錠剤にのみ適用可能であって、高容量の薬物が使用される場合、適用が不可能であるか、適用したとしても錠剤の大きさが非正常的に大きくなる問題がある。
【0008】
口腔内速崩錠を製造するさらに他の方法として、シーマ研究所(CimaLabs)はオラソルブ(Orasolv)技術を開発したことがある(US 5,178,878号及びUS 6,024,981)。この技術を通じて製剤化された代表的な製品としては、Zimig Rapimelt(zolmitriptan製剤、アストラゼネカ)製品がある。この製品は発泡性物質を含有する錠剤剤形であるものの、満足できるだけの口腔崩壊性を有さないだけでなく、口腔内の発泡ガスの発生により患者の服薬順応度が高くないという短所を有する。
【0009】
一方、超臨界流体とは臨界点以上の温度と圧力下にある非圧縮性流体であって、既存の有機溶媒が示さない独特な特性、すなわち、液体に近い密度、気体に近い粘度と高い拡散係数、非常に低い表面張力などの優れた物性を共に持っている。さらに、超臨界流体は密度を理想気体に近い希薄状態から液体密度に近い高密度状態まで連続的に変化させることができるため、流体の平衡物性(溶解度)、伝達物性(粘度、拡散係数、熱伝導度)、分子の固まり(clustering)状態などを調節することができる。超臨界流体のこのような独特な性質を用いて、最近は特定物質の選択的抽出、抽出物質による物質の分析などの分野で多くの研究が活発になされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO99/47126
【特許文献2】WO93/12769
【特許文献3】US6024981
【特許文献4】US6221392
【特許文献5】US5178878
【特許文献6】US6024981
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これに、本発明者らは、十分な機械的強度を有しながら、口腔内で容易に崩壊されるか溶解されるとともに、経済的に製造できる口腔内速崩壊錠を開発するために研究した結果、超臨界流体を溶媒として使用して物質を分離する技術である超臨界流体抽出技術を利用して、上記のような長所を有する多孔性の速崩壊錠を開発し、本発明を完成した。
【0012】
従って、本発明の目的は、超臨界流体抽出技術を利用して優れた機械的強度、速崩壊性、及び経済性を有する口腔内速崩壊錠を提供することである。
【0013】
また、本発明の他の目的は、優れた機械的強度、速崩壊性、及び経済性を有する口腔内速崩壊錠を超臨界流体抽出技術を利用して製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明は一側面において、活性成分、薬学的に許容可能な添加体、及び超臨界流体−可溶性物質を含む混合物を打錠して錠剤を製造する段階と、前記錠剤を超臨界流体と接触させて超臨界流体−可溶性物質を抽出し、錠剤中に微細空隙を形成させる段階とを含む方法によって製造された口腔内速崩壊錠を提供する。
【0015】
本発明が提供する口腔内速崩壊錠は、活性成分、薬学的に許容可能な添加体、及び超臨界流体−可溶性物質を混合して打錠した後、超臨界流体と接触させて超臨界流体−可溶性物質を抽出して形成されるものであって、超臨界流体−可溶性物質の抽出による除去によって多孔性ポアを有する。このような多孔性ポア形成工法によって製造される口腔内速崩壊錠は多孔性ポアを有することで、口腔内における迅速な速崩壊性を有するようになる。
【0016】
従来、韓国特許公開2003−0076051には、錠剤中の多孔性ポアを生成させる方法として、昇華性物質を混合してポアを生成させる方法、及び溶媒を接触させてポアを生成させる方法があったが、昇華性物質を混合する方法は昇華性物質の除去のために数十時間熱を供給するため、高エネルギー消費法であり、薬物の安定性にも影響を及ぼすため、加熱温度及び加熱速度が制限される。また、溶媒を接触させてポアを形成する方法は、添加剤の膨潤によって錠剤のサイズが大きくなるほか、ほとんどの溶媒が環境に有害な有機溶媒であるという問題があった。
【0017】
これに比べて、本発明による超臨界流体抽出法による多孔性ポアの形成では、超臨界流体の拡散速度が速く、かつ表面張力が低いため、粉末間微細空隙に速やかに浸透して超臨界流体−可溶性物質を溶かした後、迅速に抜け出る役割を効果的に果たす。従って、超臨界流体抽出法を利用して製造される本発明の口腔内速崩壊錠は初期の投資額は大きいが、多量生産することができ、製造時に抽出された超臨界流体−可溶性物質は再活用可能であり、製造時間を節減することができて経済的である。また、本発明の口腔内速崩壊錠の製造時に、抽出工程後の錠剤の変形が少なくて好ましく、超臨界流体として環境に有害ではない物質を使用することができて環境親和的な利点を有し、また、熱を過度に使用しないため、省エネルギーの口腔内速崩壊錠である。
【0018】
前記混合物を打錠して錠剤を製造する段階において、活性成分、薬学的に許容可能な添加剤、及び超臨界流体−可溶性物質は、活性成分1重量部に対して薬学的に許容可能な添加剤0.1〜1000重量部、及び超臨界流体−可溶性物質0.01〜100重量部で含まれることができ、活性成分の種類などによって適切に加減することができる。前記薬学的に許容可能な添加剤としては、賦形剤、結合剤、滑沢剤などがあるが、これに限定されるものではない。
【0019】
前記賦形剤としては、D−マンニトール、ソルビトール、キシリトール、イソマルト、グルコース、マルトデキストリン、トレハロース、デキストロース、スクロース、フルクトース、マルトース、マルチトール、メチルセルロース、微結晶セルロース、乳糖、低置換度ヒドロキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、カラギーナン、ガラクトマンナン、トラガカント、ペクチン、キトサン、又はキチンの誘導体、アラビアガム、ザンサンガム、アルギン酸、又はアルギン酸アルカリ金属、ポリメタクリル酸、又はその塩、メタクリレート共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンとビニルアセテートの共重合体、ポリプロピレンオキシド、又はその重合体などが使用されることができ、前記結合剤としては、ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどが使用されることができ、前記滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、二酸化珪素、又はタルクなどが使用されることができるが、薬剤学分野に公知されている任意の添加剤を当業者が適切に選択して使用することができる。
【0020】
前記超臨界流体可溶性物質は、脂肪酸、脂肪酸のエステル、揮発性又は非揮発性アルコール又はその誘導体、有機酸、低融点固形又は半固形の炭化水素、芳香族炭化水素アルデヒド、又はこれらの組み合わせが使用されることができるが、これに限定されるものではなく、例えば、メンソール、カンファー、チモール、安息香酸、ユーカリプトール、サリチル酸、サリチル酸メチル、ナフタレン、又はその誘導体、セチルアルコール、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、バニリン、又はこれらの組み合わせが使用されることができる。
【0021】
前記微細空隙を形成させる段階において打錠された錠剤を超臨界流体と接触させる時、超臨界流体と共に共溶媒をさらに使用することができる。超臨界流体と共に共溶媒を使用して超臨界流体−可溶性物質を抽出する場合、超臨界可溶性物質の超臨界相の溶解度が増加されるか、さらに低い温度で抽出することができ、薬物の化学的安定性において好ましい。このような共溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、エーテル、クロロホルム、アセトン、ジメチルクロライド、水、又はこれらの組み合わせが使用されることができる。
【0022】
前記微細空隙を形成させる段階で使用される超臨界流体としては、超臨界二酸化炭素、超臨界一酸化窒素、超臨界アセチレン、超臨界三フッ化メタン、超臨界プロパン、超臨界エチレン、超臨界塩化フッ化炭素、又は超臨界ゼノンなどが使用されることができ、このような超臨界流体を打錠された錠剤と接触させて超臨界流体可溶性物質を抽出する反応は10−90℃、30-400barで行うことができる。
【0023】
前記本発明による口腔内速崩壊錠に適用可能な活性成分としては、口腔内速崩壊性が必要な任意の薬物が利用されることができ、例えば、解熱鎮痛剤、抗潰瘍剤、胃腸管運動調節剤、抗菌剤、抗炎症剤、駆虫剤、抗ウィルス剤、抗不安剤、抗うつ剤、抗痙攣剤、抗精神病薬、モルヒネ誘導体、局所麻酔剤、抗真菌剤、抗凝固剤、抗痙攣剤、勃起不全治療剤、抗ヒスタミン剤、充血除去剤、下痢止め剤、利尿剤、又はこれらの組み合わせなどが利用されることができる。
【0024】
例えば、前記解熱鎮痛及び消炎剤としては、アセトアミノフェン、イブプロフェン、デクスイブプロフェン、アスピリン、トラマドール、インドメタシン、ジクロフェナク、ケトプロフェン、セレコキシブなど、又はこれらの薬学的に許容可能な塩などがあり、前記抗潰瘍剤及び胃腸管運動調節剤としては、シメチジン、 ファモチジン、ラニチジン、ロキサチジン、オメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、モサプリド、メトクロパミド、ドンペリドン、又はこれらの薬学的に許容可能な塩などがあり、前記抗菌剤及び抗炎症剤としては、β-ラクタム抗生剤、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、スルホンアミド類、アミノグリコシド、トブラマイシンなどがあり、前記勃起不全治療剤としては、シルデナフィル、バルデナフィル、ウデナフィルなどがあり、前記抗不安剤としては、ブプロピオン、フルオキセチン、又はベンラファキシンなどがあり、前記抗痙攣剤としては、カルバマゼピン、ラモトリジン、又はフェニトインなどがあり、前記抗精神病薬としては、オランザピン、アリピプラゾール、リスペリドン、ハロペリドール、又はクロロプロマジンなどがある。また、前記抗ウィルス薬物としては、アシクロビル、ファムシクロビル、又はバラシクロビルなどがあり、下痢止め剤としてはロペラミドなどがあり、前記抗ヒスタミン剤としてはフェニルアミン、ロラタジン、セチリジン、レボセチリジン、又はフェキソフェナジンなどがある。
【0025】
本発明による口腔内速崩壊錠は口腔内で約40秒以内に崩壊するようにすることができ、速崩壊性が非常に優れている。 硬度もまた7kp以上にすることができ、本発明による口腔内速崩壊錠は運搬や包装工程における振動に十分耐えて、手でPTP包装から取って口に入れる間に破損の恐れがない。
【0026】
また、本発明は他の側面において、活性成分、薬学的に許容可能な添加剤、及び超臨界流体−可溶性物質を含む混合物を打錠して錠剤を製造する段階と、前記錠剤を超臨界流体と接触させて超臨界流体−可溶性物質を抽出し、錠剤中に微細空隙を形成させる段階とを含む前記本発明による口腔内速崩壊錠を製造する方法を提供する。
【発明の効果】
【0027】
上記説明したように、本発明の方法による口腔内速崩壊錠は超臨界流体抽出法を利用して錠剤内に多孔性ポアを形成することによって、十分な硬度を有するとともに迅速な速崩壊性を示し、超臨界抽出法の使用によって迅速に大量生産することができ、製造時に抽出された超臨界流体−可溶性物質は再活用可能なので、経済的である。また、超臨界流体として環境に有害ではない物質を使用することができ、環境親和的な利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を下記実施例によってさらに具体的に説明する。しかし、これらの実施例は本発明に対する理解のためのものであって、本発明の範囲がこれらによって制限されるものではない。
【0029】
比較例1
糖アルコールとしてD−マンニトール90mg、結合剤としてPVP k-30 2.5mg、超臨界流体−可溶性物質としてセチルアルコール5mg、及び滑沢剤としてSiO2 2.5mgを使用して、錠剤総重量100mg、硬度7kpの一般錠剤を製造した。
【0030】
実施例1
糖アルコールとしてD−マンニトール90mg、結合剤としてPVP k-30 2.5mg、超臨界流体−可溶性物質としてセチルアルコール5mg、及び滑沢剤としてSiO2 2.5mgを使用して、錠剤総重量100mg、硬度7kpの一般錠剤を製造した。その後、前記錠剤を温度40℃、圧力80 barの超臨界流体に30分間接触させて超臨界流体−可溶性物質であるセチルアルコールを錠剤から抽出し、微細空隙が形成された速崩壊錠を製造した。
【0031】
実施例2
賦形剤として、メチルセルロース90mg、結合剤としてPVP k-30 2.5mg、超臨界流体−可溶性物質としてセチルアルコール5mg、及び滑沢剤としてSiO2 2.5mgを使用して、錠剤総重量100mg、硬度7kpの一般錠剤を製造した。その後、前記錠剤を温度40℃、圧力80 barの超臨界流体に30分間接触させて超臨界流体−可溶性物質であるセチルアルコールを錠剤から抽出し、微細空隙が形成された速崩壊錠を製造した。超臨界流体−可溶性物質の抽出率は50.4%であった。
【0032】
実施例3
前記実施例2で一般錠剤を温度 40℃、圧力80 barの超臨界流体に90分間接触させることを除いて、実施例2と同一な方法で速崩壊錠を製造した。超臨界流体−可溶性物質の抽出率は101.0%であった。
【0033】
実施例4
前記実施例2で一般錠剤を温度 40℃、圧力120 barの超臨界流体に30分間接触させることを除いて、実施例2と同一な方法で速崩壊錠を製造した。超臨界流体−可溶性物質の抽出率は97.8%であった。
【0034】
実施例5
前記実施例2で一般錠剤を温度 40℃、圧力160 barの超臨界流体に30分間接触させることを除いて、実施例2と同一な方法で速崩壊錠を製造した。超臨界流体−可溶性物質の抽出率は100.0%であったが、可溶性物質以外にも錠剤の表面一部が砕けて損失されることが確認された。
【0035】
比較例2
1錠当たり活性成分として、アセトアミノフェン325mg、糖アルコール類として D−マンニトール52mg、結合剤としてPVP k-30 5mg、滑沢剤としてSiO2 1.5mg、フマル酸ステアリルナトリウム5mgを均一に混合し、この混合粉末を1錠当たり総重量420mg、硬度9kpに打錠して一般錠剤を製造した。
【0036】
比較例3
前記比較例2の糖アルコールであるD−マンニトールの代わりにメチルセルロースを使用したことを除いて、同一な方法で一般錠剤を製造した。
【0037】
実施例6
1錠当たり活性成分として、アセトアミノフェン325mg、糖アルコール類として D−マンニトール52mg、結合剤としてPVP k-30 5mg、滑沢剤としてSiO2 1.5mg、フマル酸ステアリルナトリウム5mgを均一に混合し、この混合粉末を1錠当たり総重量420mg、硬度9kpに打錠した。その後、前記錠剤を温度40℃、圧力80 barの超臨界流体に90分間接触させて超臨界流体−可溶性物質であるセチルアルコールを錠剤から抽出し、微細空隙が形成された速崩壊錠を製造した。
【0038】
実施例7
実施例6の糖アルコールであるD−マンニトールの代わりにメチルセルロースを使用したことを除いて、同一な方法で速崩壊錠を製造した。
【0039】
実験例1:水分吸収能試験
前記比較例1で製造された超臨界流体−可溶性物質抽出前の一般錠剤と、実施例2−5で製造された超臨界流体−可溶性物質抽出後の速崩壊錠に対し、錠剤の水分吸収能測定に通常的に使用される図1に示したような水が溜められた毛細管を用いた水分吸収能測定装置を使用して、単位時間当たり水吸収量を評価した。ガラス繊維上に載せられた錠剤の水分吸収能力によって単位時間当たり毛細管に溜められた水の移動量をmL/秒の単位で測定した。その結果を下記表1に示した。
【0040】
【表1】

【0041】
上記表1の結果から、本発明による速崩壊錠の場合、水分吸収能が超臨界流体-可溶性物質を超臨界流体抽出する前の錠剤と比べて約2−3倍増加することが分かった。
【0042】
実験例2:崩壊試験
前記比較例2及び3で製造された超臨界流体−可溶性物質抽出前の一般錠剤と、実施例6及び7で製造された超臨界流体−可溶性物質抽出後の速崩壊錠に対し、一定量の水が溜められた試験管内で完全に溶ける時間を評価した。
【0043】
【表2】

【0044】
上記表2の結果から、本発明による速崩壊錠の場合、高容量の薬物を含有した速崩壊錠であるにもかかわらず、崩壊時間が約30秒以内の特徴を持っており、超臨界流体-可溶性物質を超臨界流体抽出する前の錠剤と比べて、崩壊時間が著しく減少することが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実験例1において錠剤の水分吸収能側的に通常的に使用される、水が溜められた毛細管を利用した水分吸収能測定装置に測定しようとする錠剤を載置した状態を模式的に示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分、薬学的に許容可能な添加体、及び超臨界流体可溶性物質を含む混合物を打錠して錠剤を製造する段階と、前記錠剤を超臨界流体と接触させて超臨界流体−可溶性物質を抽出し、錠剤中に微細空隙を形成させる段階とを含む方法によって製造された口腔内速崩壊錠。
【請求項2】
前記超臨界流体可溶性物質は、脂肪酸、脂肪酸のエステル、揮発性又は非揮発性アルコール又はその誘導体、有機酸、低融点固形又は半固形の炭化水素、芳香族炭化水素アルデヒド、又はこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の口腔内速崩壊錠。
【請求項3】
前記超臨界流体可溶性物質は、メンソール、カンファー、チモール、安息香酸、ユーカリプトール、サリチル酸、サリチル酸メチル、ナフタレン、又はその誘導体、セチルアルコール、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、バニリン、又はこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の口腔内速崩壊錠。
【請求項4】
前記微細空隙を形成させる段階において、超臨界流体と共に共溶媒をさらに使用することを特徴とする請求項1に記載の口腔内速崩壊錠。
【請求項5】
前記共溶媒は、エタノール、メタノール、エーテル、クロロホルム、アセトン、ジメチルクロライド、水、又はこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項4に記載の口腔内速崩壊錠。
【請求項6】
前記微細空隙を形成させる段階は10−90℃で行うことを特徴とする請求項1に記載の口腔内速崩壊錠。
【請求項7】
前記微細空隙を形成させる段階は30-400barで行うことを特徴とする請求項1に記載の口腔内速崩壊錠。
【請求項8】
活性成分、薬学的に許容可能な添加剤、及び超臨界流体−可溶性物質を含む混合物を打錠して錠剤を製造する段階と、前記錠剤を超臨界流体と接触させて超臨界流体−可溶性物質を抽出し、錠剤中に微細空隙を形成させる段階とを含む第1項乃至第7項のいずれか1項による口腔内速崩壊錠を製造する方法。


【図1】
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【公表番号】特表2012−509315(P2012−509315A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537352(P2011−537352)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006536
【国際公開番号】WO2010/058924
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(508064724)シージェイ チェイルジェダン コーポレイション (32)
【Fターム(参考)】