説明

口腔洗浄装置

【課題】薬液の劣化を防止して所望の洗浄効果を得る。
【解決手段】薬液Aを貯留する薬液収容部2と、該薬液収容部2に貯留されている薬液Aを噴射する噴射口3aを有するプローブ3と、該プローブ3に、薬液収容部2に貯留されている薬液Aを供給する薬液供給部4とを備え、薬液収容部2が、貯留している薬液Aへの放射線の入射を阻止する遮蔽構造を有するとともに、薬液Aを保存に適した温度に調節する保存温度調節部6を備える口腔洗浄装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、口腔洗浄装置として、洗浄液や抗菌剤、抗炎症剤等を含む薬液を歯間部や歯周ポケット等に噴射して、口腔内の洗浄あるいはマッサージを行うものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−167088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の口腔洗浄装置では、口腔内に供給する薬液が供給前に劣化する可能性があり、所望の洗浄効果を得ることができない場合があるという不都合がある。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、薬液の劣化を防止して所望の洗浄効果を得ることができる口腔洗浄装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、薬液を貯留する薬液収容部と、該薬液収容部に貯留されている薬液を噴射する噴射口を有するプローブと、該プローブに、前記薬液収容部に貯留されている薬液を供給する薬液供給部とを備え、前記薬液収容部が、貯留している薬液への放射線の入射を阻止する遮蔽構造を有するとともに、薬液を保存に適した温度に調節する保存温度調節部を備える口腔洗浄装置を提供する。
【0006】
本発明によれば、遮蔽構造を有する薬液収容部に貯留された薬液は、保存中に放射線の入射が阻止される。また、保存温度調節部の作動により、薬液収容部に貯留された薬液が保存に適した温度に調節される。これにより、薬液収容部内での保存中における薬液の劣化が防止され、プローブの噴射口から噴射された薬液は、所望の洗浄効果を達成することができる。
【0007】
上記発明においては、前記薬液収容部から前記プローブの前記噴射口までの間に、噴射される薬液を使用に適した温度に温度調節する使用温度調節部を備えていてもよい。
このようにすることで、薬液収容部内に保存に適した温度で保存されていた薬液は、噴射口から噴射される前に、使用温度調節部により使用に適した温度に調節される。その結果、プローブの噴射口から噴射された薬液は、効率よく洗浄を行うことができる。
【0008】
また、上記発明においては、前記使用温度調節部が、プローブの先端近傍に配置され、薬液の温度を検出するセンサと、前記プローブに設けられた温度調節手段と、前記センサにより検出された薬液の温度に基づいて、前記温度調節手段を制御する制御部とを備えていてもよい。
このようにすることで、センサによりプローブの先端近傍における噴射直前の薬液の温度が検出され、その温度が使用に適した温度となるように制御部が温度調節手段を制御することができ、より効率よく洗浄を行うことができる。
【0009】
また、上記発明においては、前記プローブに、該プローブを超音波振動させる超音波発振部を備えていてもよい。
このようにすることで、超音波発振部によりプローブを超音波振動させることで、超音波スケーラとして歯に付着した歯石を取りながら、プローブの噴射口から噴射された薬液との相乗効果により、洗浄効果をさらに向上することができる。
【0010】
また、上記発明においては、前記薬液が、オゾンナノバブル水であってもよい。
このようにすることで、オゾンナノバブル水の殺菌効果によって、被洗浄物をさらに清浄な状態にすることができる。特に、超音波振動と組み合わせると、プローブの噴射口から噴射された薬液を介して超音波振動を被洗浄物に伝達することができ、オゾンナノバルブ水中に含まれるオゾンナノバブルの超音波による圧壊を生じさせ、そのエネルギによって洗浄殺菌効果を向上することができる。
【0011】
また、上記発明においては、前記薬液がオゾンナノバブル水であり、前記使用温度調節部が薬液をヒトの体温近傍まで加温してもよい。
このようにすることで、オゾンナノバブル水の洗浄殺菌効果を最も効率よく発揮させることができ、効果的に洗浄することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、薬液の劣化を防止して所望の洗浄効果を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る口腔洗浄装置を示す全体構成図である。
【図2】図1の口腔洗浄装置の変形例を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係る口腔洗浄装置1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る口腔洗浄装置1は、図1に示されるように、薬液Aを貯留する薬液収容部2と、該薬液収容部2に貯留されている薬液Aを噴射するノズル部3aを有するプローブ3と、薬液収容部2に貯留されている薬液Aをプローブ3に供給する薬液供給部4とを備えている。
【0015】
薬液収容部2は、薬液Aを貯留するタンクであって、柔軟なチューブ5によってプローブ3に接続されており、貯留している薬液Aへの放射線(例えば、紫外線)の入射を阻止する遮蔽構造を有している。また、薬液収容部2は、薬液Aを保存に適した温度に調節する保存温度調節部6を備えている。
【0016】
また、薬液収容部2の出口には、該薬液収容部2から放出される薬液Aを使用に適した温度に調節する使用温度調節部7が設けられている。薬液Aとしては、例えば、オゾンナノバブル水(以下、オゾンナノバブル水Aとも言う。)を使用する。
【0017】
すなわち、薬液収容部2は、保存時にオゾンナノバブル水Aを劣化させる紫外線を遮断する材質により構成され、内部に収容しているオゾンナノバブル水Aに紫外線が照射されないように遮断している。
また、保存温度調節部6は、収容しているオゾンナノバブル水Aの温度を検出する温度センサ6aと、該温度センサ6aにより検出されたオゾンナノバブル水Aの温度を保存に適した温度、例えば、1〜5℃に冷却する冷却部6bとを備えている。冷却部6bは例えばペルチェ素子である。
【0018】
また、使用温度調節部7は、薬液収容部2から放出されたオゾンナノバブル水Aを一旦貯留する一時貯留部7aと、該一時貯留部7a内のオゾンナノバブル水Aの温度を検出する温度センサ7bと、該温度センサ7bにより検出されたオゾンナノバブル水Aの温度を使用に適した温度、例えば、40℃に加温するヒータ7cとを備えている。
【0019】
プローブ3は、操作者により把持される把持部3bと、該把持部3bの先端に配置されたノズル部3aとを備えている。プローブ3の先端に配置されているノズル部3aは把持部3b内に内蔵された超音波ドライバ8に接続され、超音波振動させられるようになっている。超音波ドライバ8はノズル部3bの先端を超音波振動させる。また、ノズル部3b先端の噴射口から噴射されるオゾンナノバブル水Aに対して超音波振動を照射し、オゾンナノバブル水Aのナノバブルを口腔内において圧壊させるようになっている。
【0020】
薬液供給部4は、薬液収容部2に貯留されているオゾンナノバブル水Aを送るポンプ9と、薬液収容部2と一時貯留部7aとの間、および一時貯留部7aとポンプ9との間に設けられたバルブ10,11と、オゾンナノバブル水Aの噴射指令を入力する操作入力部12と、該操作入力部12から入力された噴射指令および温度センサ7bにより検出された温度に基づいて、バルブ10,11を開閉するとともにヒータ7cおよびポンプ9を制御する制御部13とを備えている。
【0021】
このように構成された本実施形態に係る口腔洗浄装置1の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る口腔洗浄装置1によれば、薬液収容部2に収容されている保存状態においては、オゾンナノバブル水Aへの紫外線の照射が阻止されるとともに、保存温度調節部6の温度センサ6aにより検出された温度に基づいて冷却部6bによって保存に適した温度に調節される。これにより、オゾンナノバブル水Aの洗浄効果が保存中に低下してしまうことを防止することができる。したがって、洗浄効果を維持したオゾンナノバブル水Aをプローブ3のノズル部3aから噴射させることができる。
【0022】
また、本実施形態に係る口腔洗浄装置1によれば、操作入力部12から噴射指令が入力されると、制御部13は、バルブ10を開放して薬液収容部2において保存に適した温度に保持されていたオゾンナノバブル水Aを使用温度調節部7の一時貯留部7aに送る。そして、一時貯留部7a内に所定量のオゾンナノバブル水Aが貯留された状態で、バルブ10を閉止する。
【0023】
次いで、制御部13は、温度センサ7bにより一時貯留部7a内のオゾンナノバブル水Aの温度を検出しながらヒータ7cを作動させ、オゾンナノバブル水Aを使用に適した温度に加温する。そして、制御部13は、温度センサ7bにより検出された一時貯留部7a内のオゾンナノバブル水Aの温度が使用に適した温度に達した時点で、バルブ11を開放し、ポンプ9を作動させることにより、一時貯留部7a内のオゾンナノバブル水Aをプローブ3に供給する。
【0024】
プローブ3に供給されたオゾンナノバブル水Aは、プローブ3の先端のノズル部3aから噴射され、口腔内を洗浄する。
この際に、超音波ドライバ8の作動によりノズル部3aを超音波振動させる。また、ノズル部3bの先端が超音波振動させられることにより、噴射されたオゾンナノバブル水Aのナノバブルを口腔内において圧壊させることができる。
【0025】
本実施形態に係る口腔洗浄装置1によれば、プローブ3に供給されるオゾンナノバブル水Aが、使用温度調節部7により使用に適した温度に加温されるので、洗浄効果を高めた状態でプローブ3のノズル部3aから噴射させることができる。これにより、使用に必要な最小限のオゾンナノバブル水Aのみを使用に適した温度に加温し、加温されたオゾンナノバブル水Aによって口腔内を効果的に洗浄することができる。
【0026】
さらに、本実施形態に係る口腔洗浄装置1によれば、超音波ドライバ8の作動によりプローブ3のノズル部3aを超音波振動させることによって、超音波スケーラとして歯に付着した歯石を取るだけでなく、プローブ3のノズル部3aから噴射されたオゾンナノバブル水Aを介して超音波振動を被洗浄物に伝達することによりオゾンナノバブル水Aのナノバブルが圧壊されるので、圧壊時に発生する局所的な温度変化や圧力変動によって、洗浄効果をさらに高めることができ、また、オゾンによる殺菌効果によって、さらに効果的に口腔内を洗浄することができる。
【0027】
なお、本実施形態に係る口腔洗浄装置1によれば、薬液収容部2の出口に使用温度調節部7を配置したが、これに代えて、薬液収容部2の出口からプローブ3までのいずれかの位置に使用温度調節部7を設けることにしてもよい。
例えば、図2に示されるように、プローブ3の把持部3a内に、温度センサ7b、ヒータ7cおよび温度制御部14を内蔵させてもよい。図中符号P’は符号P部の概略的な拡大断面図である。
【0028】
この場合には、操作入力部12から入力された噴射指令に従って制御部13がバルブ11を開放するとともにポンプ9を作動させることにより、薬液収容部2内のオゾンナノバブル水Aをプローブ3に送る。そして、プローブ3内においては、送られてきたオゾンナノバブル水Aは先端のノズル部3aに送られる途中で、ヒータ7cにより加温され、その温度が温度センサ7bによって検出され、温度制御部14によりフィードバック制御される。これにより、ノズル部3aから噴射されるオゾンナノバブル水Aは使用に適した温度まで加温される。
【0029】
このように、ノズル部3aに可能な限り近い位置においてオゾンナノバブル水Aを加温することにより、使用の直前まで、保存に適した温度に保たれるので、洗浄効果を劣化させることがなく、効果的である。
これに代えて、ヒータ7bをノズル部3a自体に設けることにしてもよい。
【0030】
また、本実施形態においては薬液供給部4とプローブ3とを柔軟なチューブ5によって接続することとしたが、これに代えて、プローブ3の端部にオゾンナノバブル水Aを貯留するポンプ9および保存温度調節部6を設けることにしてもよい。
また、薬液Aとしてオゾンナノバブル水を例示したが、これに限定されるものではなく、他の任意の薬液Aを採用することにしてもよい。
【0031】
任意の薬液Aとしては、例えば、オゾン水、次亜塩素酸水、酸性水、電解水、ポピドンヨード、クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ラウリルジアミノエチル、グリシンナトリウム、チモール、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、エタノール、アクリノール、過酸化水素水等を挙げることができる。
【符号の説明】
【0032】
A オゾンナノバブル水(薬液)
1 口腔洗浄装置
2 薬液収容部
3 プローブ
3a ノズル部(噴射口)
4 薬液供給部
6 保存温度調節部
7 使用温度調節部
7b 温度センサ(センサ)
7c ヒータ(温度調節手段)
8 超音波ドライバ(超音波発振部)
14 温度制御部(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液を貯留する薬液収容部と、
該薬液収容部に貯留されている薬液を噴射する噴射口を有するプローブと、
該プローブに、前記薬液収容部に貯留されている薬液を供給する薬液供給部とを備え、
前記薬液収容部が、貯留している薬液への放射線の入射を阻止する遮蔽構造を有するとともに、薬液を保存に適した温度に調節する保存温度調節部を備える口腔洗浄装置。
【請求項2】
前記薬液収容部から前記プローブの前記噴射口までの間に、噴射される薬液を使用に適した温度に温度調節する使用温度調節部を備える請求項1に記載の口腔洗浄装置。
【請求項3】
前記使用温度調節部が、プローブの先端近傍に配置され、薬液の温度を検出するセンサと、前記プローブに設けられた温度調節手段と、前記センサにより検出された薬液の温度に基づいて、前記温度調節手段を制御する制御部とを備える請求項2に記載の口腔洗浄装置。
【請求項4】
前記プローブに、該プローブを超音波振動させる超音波発振部を備える請求項1から請求項3のいずれかに記載の口腔洗浄装置。
【請求項5】
前記薬液が、オゾンナノバブル水である請求項1から請求項4のいずれかに記載の口腔洗浄装置。
【請求項6】
前記薬液がオゾンナノバブル水であり、前記使用温度調節部が薬液をヒトの体温近傍まで加温する請求項2から請求項4のいずれかに記載の口腔洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−55520(P2012−55520A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202182(P2010−202182)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】