説明

口腔用組成物

【課題】安全性が高く、かつ、効果的に口臭の予防・改善を施すことができる口腔用組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の口腔用組成物は、少なくとも1種の植物の種子から得られる糠を焙煎した焙煎物より抽出した抽出物が配合されていることを特徴とする。前記糠は、米糠である。前記焙煎物より抽出した前記抽出物の配合量は、0.1〜20wt%である。焙煎物より抽出した抽出物の他、プロポリス抽出物が配合されている。プロポリス抽出物の配合量は、0.1〜20wt%である。止血および/または消炎・抗炎症効果を有する生薬またはその抽出物、加工処理物が配合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、人々の清潔に対する志向が強くなってきており、中でも、特に、口臭への関心が高まってきている。
【0003】
一般に、口臭は、呼気と共に口腔内より産生される悪臭で、主として、メチルメルカプタン等の揮発性硫黄化合物に起因するものである。
【0004】
ところで、口臭を予防・改善する手段として、消臭成分を含む歯磨剤やマウスウォッシュ等の口腔用組成物が数多く提案されている。
【0005】
ところで、このような口腔用組成物は、安全性の観点から、消臭成分として、植物由来成分を含有してなるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
しかし、従来の口腔用組成物では、十分な消臭効果が得られず、また、効果の持続性が低いといった問題があった。
【0007】
【特許文献1】特開2001−151654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、安全性が高く、かつ、効果的に口臭の予防・改善を施すことができる口腔用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的は、下記(1)〜(8)の本発明により達成される。
(1) 少なくとも1種の種子から得られる糠を焙煎した後、抽出して得られた抽出物が配合されていることを特徴とする口腔用組成物。
【0010】
(2) 前記糠は、米糠である上記(1)に記載の口腔用組成物。
【0011】
(3) プロポリス抽出物が配合されている上記(1)または(2)に記載の口腔用組成物。
【0012】
(4) 銅クロロフィリン塩が配合されている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の口腔用組成物。
【0013】
(5) イソプロピルメチルフェノールが配合されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の口腔用組成物。
【0014】
(6) 止血および/または消炎・抗炎症効果を有する生薬またはその抽出物、加工処理物が配合されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の口腔用組成物。
【0015】
(7) 前記生薬がウコギ科ニンジン属に属する植物である上記(6)に記載の口腔用組成物。
【0016】
(8) 前記植物は、田七である上記(7)に記載の口腔用組成物。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、糠を焙煎した後に抽出して得られた抽出物を消臭成分として用いるので、安全性が高く、かつ、効果的に口臭の予防・改善を施すことができる。
【0018】
特に、プロポリス抽出物と併用することにより、その相乗効果によって、より高い口臭予防効果と、高い殺菌効果を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の口腔用組成物の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、本明細書中における口腔用組成物は、練歯磨剤、粉歯磨剤、液状歯磨剤、液体歯磨剤などの歯磨剤類、トローチ剤、錠剤、クリーム剤、軟膏剤、貼付剤、洗口剤、及びチューインガム等を含むものである。
【0020】
本発明の口腔用組成物は、口臭の予防・改善を目的として使用されるものであり、少なくとも一種の種子より得られる糠を焙煎した焙煎物より抽出した抽出物が配合されている点に特徴を有している。
【0021】
ここで、糠とは、植物の種子を搗精(とうせい)した際に得られる、その種子の外皮と胚芽の混合物のことを指す。
【0022】
糠を焙煎した焙煎物より抽出した抽出物(以下、焙煎糠抽出物という)は、主成分として、マルトールおよびその誘導体(以下、マルトール類という)を含有している。
【0023】
焙煎糠抽出物の消臭効果は、このマルトール類と悪臭成分との化学反応によるものが主たる要因であると考えられる。このように化学反応により消臭効果が発現するので、焙煎糠抽出物を配合した本発明の口腔用組成物では、消臭効果が長時間持続して発揮される。
【0024】
また、本発明で用いられる焙煎糠抽出物は、上述したマルトール類の他に、消臭効果に寄与する成分として各種ポリフェノールを含有している。
【0025】
したがって、本発明で用いられる焙煎糠抽出物は、マルトール類の消臭機能と、各種ポリフェノールの消臭機能との相乗効果により、高い消臭効果が発現し、さらにその効果が長時間発揮するものとなる。
【0026】
また、本発明で用いられる焙煎糠抽出物は、保存安定性を高める効果、特に、変色を防止する優れた効果も有している。
【0027】
このような効果は、特に、後述するプロポリス抽出物と併用した場合に顕著に現れる。これは、焙煎糠抽出物が、プロポリス抽出物の品質劣化を抑制し、変色を抑えるためである。
【0028】
糠としては、例えば、米糠、大麦糠、小麦糠、大豆の糠等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0029】
上述した中でも、特に、米糠を用いるのが好ましい。これにより、消臭効果がより顕著なものとなる。
【0030】
本発明の口腔用組成物に用いられる焙煎糠抽出物は、例えば、以下のようにして得ることができる。なお、以下の説明では、糠として、代表的に米糠を用いた場合について説明する。
【0031】
まず、米糠を用意する。
次に、米糠を所定条件下(例えば、温度120〜210℃、時間20〜60分間)で焙煎する。
【0032】
次に、焙煎した米糠を、抽出溶媒を用いて、所定条件下(例えば、温度80〜100℃、時間60〜180分間)で第1の抽出処理を施す。これにより、抽出溶媒中に米糠中の消臭に寄与する成分が抽出され、第1の抽出液が得られる。
【0033】
第1の抽出処理における抽出溶媒としては、例えば、水、エタノール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。中でも、抽出溶媒として、水を用いるのが好ましい。
【0034】
次に、得られた第1の抽出液をろ過した後、ろ液を濃縮する。
次に、濃縮して得られた濃縮物を噴霧乾燥する。
【0035】
次に、噴霧乾燥により得られた乾燥物に、抽出溶媒を用いて、所定条件下(例えば、温度40〜70℃、時間60〜180分間)で抽出処理を施す。
【0036】
この抽出溶媒としては、例えば、エタノール、プロパノール、1,3−ブチレングリコール等のアルコール水溶液を用いることができる。この場合、アルコール濃度は、60%以上であるのが好ましい。
【0037】
その後、第2の抽出液をろ過し、ろ液を濃縮する。これにより、本発明の口腔用組成物に用いられる焙煎糠抽出物(焙煎米糠抽出物)が得られる。
【0038】
このような焙煎糠抽出物の配合量は、0.1〜20wt%であるのが好ましく、0.5〜10wt%であるのがより好ましく、1〜5wt%であるのがさらに好ましい。これにより、より効果的に口臭の予防・改善を行うことができる。これに対し、焙煎糠抽出物の配合量が前記下限値未満であると、口腔用組成物の剤型等によっては、十分な消臭効果が得られない可能性がある。一方、焙煎糠抽出物の配合量を前記上限値よりも多くしても、それ以上の十分な効果の増大が期待できないばかりか、かえって使用感を損ねる可能性がある。
【0039】
また、本発明の口腔用組成物は、上述した成分の他に、プロポリス抽出物が配合されているのが好ましい。
【0040】
プロポリス抽出物は、消臭、殺菌、抗炎症等の作用を有する天然由来の成分である。
本発明で用いられるプロポリス抽出物とは、ミツバチによって植物から収集し生産されるヤニ状物質(一般に「プロポリス」と称されている)の親水性有機溶媒による抽出物である。
【0041】
より詳細には、本ヤニ状物質はミツバチ科ミツバチ(Apismellifera L.、Apis indica RODOSZKOWSKI)の巣から得られ、その主成分はフラボノイドである。また、具体的な抽出溶媒としてはエタノールがよく知られており、本発明において典型的に使用される。
【0042】
また、プロポリス抽出物の形態としては、特に限定されず、例えば、液状、固形状、粉末状等がある。このようなプロポリス抽出物は一般に市場で入手することができ、本発明では市販品を使用することができる。
【0043】
このプロポリス抽出物の配合量は、0.01〜10.0wt%であるのが好ましく、1.0〜5.0wt%であるのがより好ましい。これにより、より優れた消臭効果を発揮する。これに対し、プロポリス抽出物の配合量が前記下限値未満であると、口腔用組成物に含まれる他の成分の種類やその配合量等によっては、十分な殺菌効果や抗炎症効果が得られない場合がある。一方、プロポリス抽出物の配合量が前記上限値を超えると、配合量に見合うだけの十分な効果が得られず、かえって使用感を損ねる可能性がある。
【0044】
このようにプロポリス抽出物は、優れた効果を有しており、口腔用組成物の一成分としては有効なものであるが、従来から用いられてきた消臭成分とプロポリス抽出物とを併用すると、かえってそれぞれの消臭効果が阻害されたり、また、プロポリス抽出物の効果(殺菌や抗炎症等の効果)を阻害してしまうことがあった。
【0045】
ところが、焙煎糠抽出物とプロポリス抽出物とを併用した場合には、プロポリス抽出物の殺菌や抗炎症等の効果を阻害することなく、それどころか、焙煎糠抽出物の高い消臭機能と、プロポリス抽出物の消臭機能との相乗効果により、特に優れた消臭効果が発現することがわかった。さらに、焙煎糠抽出物とプロポリス抽出物とを併用することにより、プロポリス抽出物の独特な臭いを抑制し、口腔用組成物の使用感が向上することも見出された。なお、従来から用いられてきた消臭成分では、このような効果を得ようとすると、その配合量を大きくしなければならず、かえって使用感を損ねるといった問題が生じる可能性がある。
【0046】
また、本発明の口腔用組成物は、上述した成分の他、止血および/または消炎・抗炎症効果を有する生薬またはその抽出物、加工処理物(以下、単に生薬由来物とも言う)が配合されているのが好ましい。
【0047】
止血効果を有する生薬としては、例えば、オウゴン、ガイヨウ、ボタンピ、ウコギ科ニンジン属に属する植物等が挙げられる。また、消炎・抗炎症効果を有する生薬としては、例えば、バクモンドウ、オウギ、カンゾウ、アロエ、茶類(およびその成分のカテキン類)、ウコギ科ニンジン属に属する植物等が挙げられる。上述した中でも特に、ウコギ科ニンジン属に属する植物を用いるのが好ましい。
【0048】
このようなウコギ科ニンジン属に属する植物は、トリテルペン系サポニンを含有している。
【0049】
トリテルペン系サポニンは、一種の界面活性物質で、主に、鎮痛、消炎症、抗炎症等の効果を有する成分である。
【0050】
ウコギ科ニンジン属に属する植物としては、例えば、高麗人参、竹節人参、田七、エゾウコギ等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0051】
上述した中でも、田七を用いるのが好ましい。田七は、他のウコギ科ニンジン属に属する植物よりも、特に多くのトリテルペン系サポニンを含有しており、より高い鎮痛、消炎症、抗炎症等の効果を発揮する。
【0052】
さらに、田七は、デンシチンと呼ばれるODAP(β−N−Oxalyl−α,β−diaminopropionic acid)を含んでおり、田七から得られる生薬由来物は、優れた止血効果も有している。
【0053】
生薬由来物を得るのに用いる部位としては、植物体そのもの、葉、茎、根茎、根等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。中でも、前述したトリテルペン系サポニンを多く含有していることから、根が好適に用いられる。
【0054】
これらを考慮した場合、用いる植物の部位としては、田七の根を用いるのが好ましい。これにより、より高い鎮痛、消炎症、抗炎症、止血等の効果を発揮する。
【0055】
本発明の口腔用組成物は、生薬由来物として、前述した生薬またはその部位をそのまま配合してもよいし、また、例えば、それらを乾燥・粉砕したもの、抽出したもの(抽出物)、加工処理したもの(加工処理物)等を配合してもよい。また、それらをカラム等により精製したものを配合してもよい。
【0056】
抽出物(抽出エキス)は、極性または非極性溶媒を用い、一般公知の方法により抽出を行った後、必要に応じてろ過・遠心分離等の操作により不溶物を除き、濃縮することにより得ることができる。
【0057】
加工処理物は、一般公知の微生物による発酵、酵素による反応等により得ることができる。
【0058】
発酵で用いられる微生物としては、例えば、アスペルギルス属、トリコデルマ属、ラクトバチルス属、バチルス属等が挙げられる。
【0059】
酵素反応に用いられる酵素としては、例えば、ラクターゼ系酵素、セルラーゼ系酵素、ヘミセルラーゼ系酵素、ペクチナーゼ系酵素等が挙げられる。
【0060】
本発明の口腔用組成物が上述したような生薬由来物を含有してなるものであると、該生薬由来物の高い消炎症、抗炎症等の効果により、口臭の一要因である歯周炎、歯肉炎等を抑制することができ、その結果、より高い消臭効果を発揮する。
【0061】
このような生薬由来物の配合量は、0.01〜15.0wt%であるのが好ましく、0.05〜10.0wt%であるのがより好ましい。これにより、より効果的に、歯周炎、歯肉炎等による患部の出血を抑えるとともに、患部の炎症を抑制することができる。
【0062】
なお、生薬由来物の形態(形状)としては、例えば、粉末状、顆粒状、小塊状、ペレット状、液状等いずれであってもよい。
【0063】
本発明の口腔用組成物には、その剤型に応じて、種々の成分を配合してもよい。例えば、本発明の口腔用組成物を練歯磨剤に適用した場合、研磨剤、湿潤剤、粘結剤、発泡剤、甘味剤、防腐剤、香料成分、薬用成分等を配合することができる。
【0064】
研磨剤としては、シリカゲル、沈降性シリカ、火成性シリカ、含水ケイ酸、無水ケイ酸、ゼオライト、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、第二リン酸カルシウム二水和物、第二リン酸カルシウム無水和物等の歯磨用リン酸水素カルシウム、ピロリン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、合成樹脂系研磨剤等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0065】
研磨剤の配合量は、特に限定されないが、3〜60wt%が好ましく、10〜45wt%であるのがより好ましい。
【0066】
湿潤剤としては、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、ソルビット、マルチトール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、キシリトール等の多価アルコール等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0067】
湿潤剤の配合量は、特に限定されないが、1〜60wt%が好ましく、5〜50wt%であるのがより好ましい。
【0068】
粘結剤としては、カラギーナン(ι、λ、κ)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルシウム含有アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩及びその誘導体、キサンタンガム、グァーガム、ゼラチン、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0069】
粘結剤の配合量は、特に限定されないが、0.1〜5.0wt%が好ましく、0.5〜3.0wt%であるのがより好ましい。
【0070】
発泡剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸モノグリセリンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、N−アシルグルタメート等のN−アシルアミノ酸塩、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、マルチトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0071】
発泡剤の配合量は、特に限定されないが、0.1〜10.0wt%が好ましく、0.5〜5.0wt%であるのがより好ましい。
【0072】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、トレハロース、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0073】
甘味剤の配合量は、特に限定されないが、0.005〜5.0wt%が好ましく、0.01〜3.0wt%であるのがより好ましい。
【0074】
防腐剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0075】
防腐剤の配合量は、その種類等によって異なるが、0.005〜5.0wt%であるのが好ましく、0.01〜3.0wt%であるのがより好ましい。
【0076】
香料成分としては、l−メントール、アネトール、メントン、シネオール、リモネン、カルボン、メチルサリシレート、エチルブチレート、オイゲノール、チモール、シンナミックアルデヒド、トランス−2−ヘキセナール等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。これらの成分は単品で配合してもよいが、これらを含有する精油等を配合してもよい。また、上記香料成分に加え、脂肪族アルコールやそのエステル、テルペン系炭化水素、フェノールエーテル、アルデヒド、ケトン、ラクトン等の香料成分、精油を本発明の効果を妨げない範囲で配合してもよい。
【0077】
香料成分の配合量は、特に限定されないが、0.02〜2wt%であるのが好ましく、0.05〜1.5wt%であるのがより好ましい。
【0078】
薬用成分としては、塩化リゾチーム、モノフルオロホスフェート、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール,ポリビニルピロリドン、ゼオライト、ヒノキチオール、アスコルビン酸、クロルヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ビサボロール、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、酢酸トコフェロール、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸、アルミニウムヒドロキシルアラントイン、乳酸アルミニウム、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸塩類、銅クロロフィリン塩、グァイアズレンスルホン酸塩、デキストラナーゼ、塩酸ピリドキシン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を配合することができる。
【0079】
上述した中で、薬用成分として、銅クロロフィリン塩を用いた場合、前述したような焙煎糠抽出物の消臭効果をさらに高いものとすることができる。特に、焙煎糠抽出物、プロポリス抽出物、銅クロロフィリン塩の3つの成分を併用すると、前述した焙煎糠抽出物とプロポリス抽出物との相乗効果を、さらに顕著なものとすることができる。
【0080】
また、上述した中で、薬用成分として、イソプロピルメチルフェノールを用いた場合、プロポリス抽出物の殺菌作用との相乗効果により、より高い殺菌効果が発現する。
【0081】
口腔用組成物中における有効成分の配合量は、その種類等によって異なるが、0.001〜5.0wt%であるのが好ましく、0.01〜3.0wt%であるのがより好ましい。
【0082】
また、上述した成分の他にも、例えば、青色1号等の色素、酸化チタン等の顔料、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、エデト酸塩等のキレート剤、チャエキス、チャ乾留液、グルタミン酸ナトリウム等の矯味剤等を含んでいてもよい。
【0083】
なお、上記成分を組み合わせた本発明の口腔用組成物は、常法に準じて製造できるものであり、その製法は特に限定されるものではない。また、得られた練歯磨剤等の組成物は、アルミニウムチューブ、ラミネートチューブ、ガラス蒸着チューブ、プラスチックチューブ、プラスチックボトル、エアゾール容器等に充填して使用することができる。
【0084】
以上、本発明の口腔用組成物について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明の口腔用組成物には、前述した成分の他に、任意の機能を有する成分を配合することができる。
【0085】
また、本発明の口腔用組成物に用いられる焙煎糠抽出物の製造方法は、上述したような方法に限定されず、異なる方法で得られるものであってもよい。
【0086】
また、本発明の口腔用組成物に用いられる焙煎糠抽出物としては、例えば、前述した製造方法における、水等の溶媒で抽出したものや、それらを濃縮したものをそのまま用いてもよいし、噴霧乾燥したものをそのまま用いてもよいし、噴霧乾燥したものをエタノール等の溶媒で抽出したものをそのまま用いてもよい。
【0087】
また、本発明の口腔用組成物は、人用の練歯磨剤等に適用されるだけではなく、動物用の練歯磨剤等にも適用することができる。
【実施例】
【0088】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
(実施例1)
以下の処方(単位:wt%)に従って、常法により練歯磨剤を製造した。
【0089】
焙煎米糠抽出物 : 3.0
ピロリン酸カルシウム :25.0
無水ケイ酸 : 5.0
濃グリセリン :30.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム: 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム : 0.5
サッカリンナトリウム : 0.05
パラオキシ安息香酸エチル : 0.1
香料 : 1.0
水 : 適量
【0090】
(実施例2〜5)
焙煎米糠抽出物の配合量および他の成分の配合量を表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして練歯磨剤を製造した。
【0091】
(実施例6)
以下の処方(単位:wt%)に従って、常法により練歯磨剤を製造した。
【0092】
焙煎米糠抽出物 : 2.0
プロポリス抽出物 : 3.0
ピロリン酸カルシウム :25.0
無水ケイ酸 : 5.0
濃グリセリン :30.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム: 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム : 0.5
サッカリンナトリウム : 0.05
パラオキシ安息香酸エチル : 0.1
香料 : 1.0
水 : 適量
【0093】
(実施例7〜10)
焙煎米糠抽出物の配合量、プロポリス抽出物の配合量および他の成分の配合量を表1に示すようにした以外は、前記実施例6と同様にして練歯磨剤を製造した。
【0094】
(実施例11)
以下の処方(単位:wt%)に従って、常法により練歯磨剤を製造した。
【0095】
焙煎米糠抽出物 : 5.0
プロポリス抽出物 : 3.0
銅クロロフィリン塩 : 0.05
ピロリン酸カルシウム :25.0
無水ケイ酸 : 5.0
濃グリセリン :30.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム: 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム : 0.5
サッカリンナトリウム : 0.05
パラオキシ安息香酸エチル : 0.1
香料 : 1.0
水 : 適量
【0096】
(実施例12)
以下の処方(単位:wt%)に従って、常法により練歯磨剤を製造した。
【0097】
焙煎米糠抽出物 :10.0
プロポリス抽出物 : 5.0
イソプロピルメチルフェノール : 0.02
酢酸トコフェロール : 0.1
ピロリン酸カルシウム :25.0
無水ケイ酸 : 5.0
濃グリセリン :30.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム: 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム : 0.5
サッカリンナトリウム : 0.05
パラオキシ安息香酸エチル : 0.1
香料 : 1.0
水 : 適量
【0098】
(実施例13)
以下の処方(単位:wt%)に従って、常法により練歯磨剤を製造した。
【0099】
焙煎米糠抽出物 : 3.0
プロポリス抽出物 : 3.0
銅クロロフィリン塩 : 0.04
イソプロピルメチルフェノール : 0.02
酢酸トコフェロール : 0.1
ピロリン酸カルシウム :25.0
無水ケイ酸 : 5.0
濃グリセリン :30.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム: 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム : 0.5
サッカリンナトリウム : 0.05
パラオキシ安息香酸エチル : 0.1
香料 : 1.0
水 : 適量
【0100】
(実施例14)
以下の処方(単位:wt%)に従って、常法により練歯磨剤を製造した。
【0101】
焙煎米糠抽出物 :15.0
田七粉末(乾燥・粉砕物) : 5.0
ピロリン酸カルシウム :20.0
無水ケイ酸 : 5.0
濃グリセリン :15.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム: 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム : 0.5
サッカリンナトリウム : 0.05
パラオキシ安息香酸エチル : 0.1
香料 : 1.0
水 : 適量
【0102】
(実施例15)
以下の処方(単位:wt%)に従って、常法により練歯磨剤を製造した。
【0103】
焙煎米糠抽出物 :15.0
プロポリス抽出物 : 5.0
田七粉末(乾燥・粉砕物) : 3.0
ピロリン酸カルシウム :20.0
無水ケイ酸 : 5.0
濃グリセリン :15.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム: 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム : 0.5
サッカリンナトリウム : 0.05
パラオキシ安息香酸エチル : 0.1
香料 : 1.0
水 : 適量
【0104】
(実施例16)
以下の処方(単位:wt%)に従って、常法により練歯磨剤を製造した。
【0105】
焙煎米糠抽出物 :10.0
プロポリス抽出物 : 5.0
田七エキス(抽出エキス) : 3.0
ピロリン酸カルシウム :25.0
無水ケイ酸 : 5.0
濃グリセリン :20.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム: 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム : 0.5
サッカリンナトリウム : 0.05
パラオキシ安息香酸エチル : 0.1
香料 : 1.0
水 : 適量
【0106】
(実施例17)
以下の処方(単位:wt%)に従って、常法により練歯磨剤を製造した。
【0107】
焙煎米糠抽出物 : 5.0
プロポリス抽出物 : 5.0
田七エキス(抽出エキス) :10.0
ピロリン酸カルシウム :20.0
無水ケイ酸 : 5.0
濃グリセリン :20.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム: 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム : 0.5
サッカリンナトリウム : 0.05
パラオキシ安息香酸エチル : 0.1
香料 : 1.0
水 : 適量
【0108】
(比較例1)
以下の処方(単位:wt%)に従って、常法により練歯磨剤を製造した。
【0109】
ピロリン酸カルシウム :25.0
無水ケイ酸 : 5.0
濃グリセリン :30.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム: 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム : 0.5
サッカリンナトリウム : 0.05
パラオキシ安息香酸エチル : 0.1
香料 : 1.0
水 : 適量
【0110】
(比較例2)
以下の処方(単位:wt%)に従って、常法により練歯磨剤を製造した。
【0111】
プロポリス抽出物 : 3.0
ピロリン酸カルシウム :25.0
無水ケイ酸 : 5.0
濃グリセリン :30.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム: 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム : 0.5
サッカリンナトリウム : 0.05
パラオキシ安息香酸エチル : 0.1
香料 : 1.0
水 : 適量
各実施例および各比較例の配合成分を表1に示す。
【0112】
【表1】

【0113】
<評価>
[消臭効果の評価]
メチルメルカプタンに対する消臭効果の評価を、以下のような方法により行った。
【0114】
まず、前記各実施例および各比較例で得られた練歯磨剤10gを、それぞれ50mLビーカーに取り、水25gを用いて分散し、分散液を作成した。
【0115】
次に、20mL試験管に、前記分散液を5g(コントロールの場合は水のみ)採取する。
【0116】
各実施例および各比較例の分散液およびコントロールとしての水が入った試験管に、メチルメルカプタン(和光純薬工業株式会社製)の1μg/mL溶液を0.5mL添加し、ただちにシリコン栓をしてタッチミキサーで5秒間攪拌し、37℃の水浴に保温した。
【0117】
6分後、ガスタイトシリンジで空気を5mL注入し、5秒間攪拌した後にヘッドスペースガス5mLを抜き取りガスクロマトグラフィー(カラム温度:100℃、キャリヤガス:N、検出器:FPD)でメチルメルカプタンのピーク面積を測定した。同一サンプルで2回繰返し、その平均値から消臭率(%)を下記のように算出した。
【0118】
消臭率(%)={(C−S)/C}×100
C:コントロールのメチルメルカプタンピーク面積
S:分散液添加後のメチルメルカプタンピーク面積
【0119】
評価は、前記消臭率をもとに、下記の5段階によって行った。
◎◎:消臭率が90%以上である。
◎ :消臭率が75%以上、90%未満である。
○ :消臭率が50%以上、75%未満である。
△ :消臭率が20%以上、50%未満である。
× :消臭率が20%以下である。
【0120】
[消臭効果の持続性評価]
口腔内に重篤な疾患がなく正常な歯列を有する健康な成人男性3名を被験者とし、前記各実施例および各比較例で得られた歯磨剤を使用してもらい、各歯磨剤を使用してから2時間後の口臭を、以下の2段階で評価した。
【0121】
○:口臭がほとんど感じられなかった。
×:口臭が感じられた。
以上の評価結果を、表2に示す。
【0122】
【表2】

【0123】
表2から明らかなように、各実施例で得られた歯磨剤は、いずれも優れた消臭効果を有していた。特に、焙煎米糠抽出物とプロポリス抽出物とを併用した実施例は、特に優れた消臭効果を示し、焙煎米糠抽出物とプロポリス抽出物と銅クロロフィリン塩とを併用した実施例は、さらにその傾向が顕著であった。
これに対し、各比較例で得られた歯磨剤は、いずれも消臭効果が低いものであった。
【0124】
また、各実施例で得られた歯磨剤は、比較例と比べて、いずれも長時間にわたり、口臭を抑制することができ、高い持続性を有することが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の種子から得られる糠を焙煎した後、抽出して得られた抽出物が配合されていることを特徴とする口腔用組成物。
【請求項2】
前記糠は、米糠である請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
プロポリス抽出物が配合されている請求項1または2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
銅クロロフィリン塩が配合されている請求項1ないし3のいずれかに記載の口腔用組成物。
【請求項5】
イソプロピルメチルフェノールが配合されている請求項1ないし4のいずれかに記載の口腔用組成物。
【請求項6】
止血および/または消炎・抗炎症効果を有する生薬またはその抽出物、加工処理物が配合されている請求項1ないし5のいずれかに記載の口腔用組成物。
【請求項7】
前記生薬がウコギ科ニンジン属に属する植物である請求項6に記載の口腔用組成物。
【請求項8】
前記植物は、田七である請求項7に記載の口腔用組成物。

【公開番号】特開2006−22053(P2006−22053A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202412(P2004−202412)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000250100)湧永製薬株式会社 (51)
【出願人】(591021028)奥野製薬工業株式会社 (132)
【出願人】(596132042)日本自然食品有限会社 (2)
【出願人】(391066490)日本ゼトック株式会社 (31)
【Fターム(参考)】