説明

口腔用組成物

【解決手段】アルキル硫酸塩を含有する口腔用組成物に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を質量比でアルキル硫酸塩/ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が0.6〜10となる割合で配合し、かつムクロジ科植物の抽出物を0.001〜2質量%配合したことを特徴とする口腔用組成物。
【効果】上記口腔用組成物は、充分な起泡力と優れた口腔刺激低減効果を兼ね備え、苦味が少なく使用感にも優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充分な起泡力と口腔内での刺激低減効果を兼ね備え、使用感にも優れた口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔用組成物において、一般的に使用される優れた発泡剤として、アニオン界面活性剤のラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩が知られている。しかしながら、アルキル硫酸塩、特にラウリル硫酸ナトリウムにはタンパク質変性作用があり、泡立ちを良くするために配合量を増やすと、口腔粘膜への刺激や荒れが生じることが課題となってくるため、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩を含有する口腔用組成物において、優れた起泡力と口腔粘膜刺激低減効果とを同時に満足させることは難しかった。よって、起泡力に優れ、かつ口腔刺激を抑えた口腔用組成物が求められている。
【0003】
アルキル硫酸塩等のアニオン界面活性剤による口腔粘膜への刺激や荒れを低下させるには、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のノニオン界面活性剤との併用が一般的に有効であるとされている。
【0004】
しかしながら、口腔刺激の抑制のみを考え、アルキル硫酸塩等のアニオン界面活性剤に併用するポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のノニオン界面活性剤の配合割合を増やし過ぎると、アルキル硫酸塩による泡立ちも抑えられてしまい、使用感が悪くなるという問題があった。
【0005】
一方、口腔粘膜への刺激や荒れを低下させるには、天然素材由来の発泡成分を口腔用組成物に配合することが有効な手段であり、中でも高い発泡力を有するムクロジエキス等の天然洗浄成分が好適に使用され、幾つかの口腔用組成物に配合されて上市されている(特許文献4)。しかし、天然素材由来の発泡成分は、泡立ちが不充分であり、充分な泡立ちを求めて配合量が過剰となると、苦味が増し、使用感が非常に悪くなるという課題があった。
【0006】
従って、上記課題を解決し、充分な起泡力と口腔刺激低減効果を兼ね備え、使用感も良好な口腔用組成物を与える技術が望まれる。
【0007】
【特許文献1】特開昭64−42411号公報
【特許文献2】特開平2−262510号公報
【特許文献3】特公平4−32050号公報
【特許文献4】特開2000−128753号公報
【特許文献5】特開2001−31542号公報
【特許文献6】特開2002−20253号公報
【特許文献7】特開2004−115410号公報
【特許文献8】特開2007−84508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、アルキル硫酸塩を配合した口腔用組成物の上記課題を解決して、充分な起泡力と優れた口腔刺激低減効果とを兼ね備え、苦味が少なく使用感にも優れた口腔用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩を含有する口腔用組成物において、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を質量比でアルキル硫酸塩/ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が0.6〜10となる割合で配合し、かつムクロジ科植物の抽出物を0.001〜2質量%配合することにより、アルキル硫酸塩の配合量を増量しなくても起泡力を改善でき、しかも、天然素材由来成分が配合されていても苦味がほとんどなく、口腔粘膜への刺激性の発現及び使用感低下が生じることなく充分な起泡力が発揮されることを見出したことによって、高い起泡性と優れた口腔刺激低減効果、更には良好な使用感とを兼ね備えた口腔用組成物が得られることを知見し、本発明をなすに至った。
【0010】
なお、天然素材由来の界面活性剤の使用は公知であり、ムクロジエキスを配合した化粧料や歯磨組成物は特許文献1〜8等に提案されている。しかし、アルキル硫酸塩を含有する口腔用組成物に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とムクロジ科植物の抽出物とを適当割合で併用することによって、上記課題を解決して、充分な起泡力と口腔刺激低減効果とを兼ね備え、かつ優れた使用感となることは今まで知られていない。
【0011】
特許文献1〜3には、ムクロジの抽出物を含有し、美白効果や抗炎症効果に優れた化粧料組成物又は歯ミガキ組成物が提案され、ラルリル硫酸ナトリウムを併用した配合が記載されているが、ノニオン界面活性剤であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を配合することの記載はなく、ましてやラルリル硫酸ナトリウムと組み合わせた例も示されていない。特許文献4は、ラルリル硫酸ナトリウムに代わる低刺激性の界面活性剤として天然素材(ムクロジエキス等)を利用した歯磨剤組成物を提案しているが、この場合は歯磨組成物として充分な泡立ちが確保できない。特許文献5には、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤を併用することで研磨剤の分散性を改善した技術が記載されているが、配合比率を規定する記載はなく、各種配合量から算出すると非常に広範囲である。また、特許文献5には、生薬抽出物としてムクロジエキスが例示されているだけで、上記界面活性剤に対してムクロジエキスを選択的に規定割合で併用することは示されていない。特許文献6,7,8にも、ムクロジエキスの配合が記載されているが、ムクロジエキスとポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とアルキル硫酸塩とを特定割合で組み合わせた例は記載がなく、このため、これら技術では充分な口腔刺激低減効果は得られない。
【0012】
従って、本発明は、アルキル硫酸塩を含有する口腔用組成物に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を質量比でアルキル硫酸塩/ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が0.6〜10となる割合で配合し、かつムクロジ科植物の抽出物を0.001〜2質量%配合したことを特徴とする口腔用組成物を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の口腔用組成物は、充分な起泡力と口腔刺激低減効果とを兼ね備え、更に苦味がほとんどなく使用感に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の口腔用組成物は、練歯磨、液体歯磨、液状歯磨、潤製歯磨、洗口剤等として、特に練歯磨として調製されるもので、(A)アルキル硫酸塩、(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(C)ムクロジ科植物の抽出物を含有する。
【0015】
(A)アルキル硫酸塩としては、アルキル基の炭素数が8〜18、特に12〜14のものが好適であり、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩が使用される。具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のラウリル硫酸塩、ミリスチル硫酸ナトリウム等のミリスチル硫酸塩、セチル硫酸ナトリウム等のセチル硫酸塩などが挙げられ、特に泡立ちの点からラウリル硫酸塩、中でもラウリル硫酸ナトリウムが好適である。
アルキル硫酸塩として具体的には、東邦化学工業(株)製、日光ケミカルズ(株)製などの市販のラウリル硫酸ナトリウム(アルスコープLN−90P、LN−90N、LN−140、NIKKOL SLS)、日光ケミカルズ(株)製の市販のミリスチル硫酸ナトリウム(NIKKOL SMS)等が使用できる。
アルキル硫酸塩の配合量は、組成全体の0.3〜2.0%(質量%、以下同様。)、特に0.5〜1.5%が好適である。0.3%未満では充分な泡立ちが発揮されない場合があり、2.0%を超えると満足な配合効果が得られない場合がある。
【0016】
(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が5〜30、特に10〜20のものが好適である。5未満のものは市販されておらず、30を超えると組成物が使用性に劣ることがある。
【0017】
このようなポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、例えば日光ケミカルズ(株)のHCO−5、HCO−10、HCO−20、HCO−30、日本エマルジョン(株)のHC−5、HC−7、HC−10、HC−20、HC−30、青木油脂工業(株)のBLAUNON RCW−20(ポリオキシエチレン20モル)などが挙げられる。
【0018】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の配合量は、組成全体の0.1〜3%、特に0.2〜1.5%が好適である。0.1%未満では口腔刺激抑制効果が充分得られず、3%を超えると充分な泡立ちが得られない場合がある。
【0019】
(C)ムクロジ科植物の抽出物としては、ムクロジ、モクゲンジ等の植物の抽出物が使用でき、特にムクロジの抽出物が好適である。
ムクロジとは、ムクロジ科に属する植物である。果皮は延命皮と呼ばれ、サポニン類を多く含有する。ムクロジの抽出物(ムクロジエキス)の抽出方法としては、ムクロジの植物、特に果皮を原料とし、これを極性溶媒及び/又は非極性溶媒(例えば、水、エチルエーテル、エチレンクロライド、ジオキサン、アセトン、エタノール、メタノール、酢酸エチル、プロピレングリコール等の極性溶媒、あるいはn−ヘキサン、石油エーテル、リグロイン、シクロヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロルメタン、1,2‐ジクロルエタン、トルエン、ベンゼン等の非極性溶媒、又はこれらの混合溶媒)で抽出することにより得られた抽出エキスを乾燥させ粉末化することで得られる。
上記溶媒抽出処理に用いる好ましい溶媒は、アルコール又は水、あるいは水とアルコールとの混液である。また、溶媒の使用量は、原料に対し等容量以上が好ましい。
(C)ムクロジ科植物の抽出物としては、例えばムクロジエキス100%含量のムクロジエキスパウダーとして丸善製薬(株)から市販されているムクロジエキスを使用できる。
【0020】
ムクロジ科植物の抽出物の配合量は、組成物に対し0.001〜2%であり、好ましくは0.01〜1%である。0.001%未満では泡立ちの向上効果が得られず、2%を超えると苦味が強くなり、使用感に劣る。
【0021】
更に、本発明では、アルキル硫酸塩/ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の質量比が0.6〜10、好ましくは1〜5である。配合比が0.6未満であると泡立ちが不充分となり、10を超えると口腔粘膜への刺激が発現し、満足な刺激低減効果が得られない。
【0022】
本発明の口腔用組成物は、上記必須成分に加えて任意成分としてその他の公知の添加剤を剤型に応じて配合できる。練歯磨組成物の場合は、例えば研磨剤、粘稠剤、粘結剤、界面活性剤、甘味剤、防腐剤、有効成分、着色剤(色素)、香料等を配合でき、これら成分と水とを混合して通常の方法で製造できる。
【0023】
研磨剤としては、無水ケイ酸、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、第2リン酸カルシウム2水和物、第2リン酸カルシウム無水和物、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、2酸化チタン、結晶性ジルコニウムシリケート、ポリメチルメタアクリレート、不溶性メタリン酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、ケイ酸ジルコニウム、第3リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、カルシウム欠損アパタイト、第3リン酸カルシウム、第4リン酸カルシウム、第8リン酸カルシウム、合成樹脂系研磨剤などが挙げられる(通常配合量2〜50%、特に10〜40%)
【0024】
粘稠剤としては、グリセリン、ソルビット、プロピレングリコール、分子量200〜6000のポリエチレングリコール、エチレングリコール、還元でんぷん糖化物等の多価アルコール等の1種又は2種以上が使用できる(通常配合量0.1〜50%)。
【0025】
粘結剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カーボポール、グアガム、ゼラチン、アビセル、カラギーナン等の有機粘結剤、モンモリロナイト、カオリン、ベントナイト等の無機粘結剤等が挙げられる(通常配合量0〜5%)。
【0026】
界面活性剤としては、上記必須成分である(A)アルキル硫酸塩、(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油に加えて、本発明の効果を妨げない範囲で他の公知の界面活性剤を添加することができる。例えば、アニオン性界面活性剤としては、ラウロイルサルコシン塩、ミリスチルサルコシン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、N−ラウロイルタウリン塩、α−オレフィンスルホン酸塩等が挙げられる。両性界面活性剤として、例えばN−アシルグルタメート、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキンエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤として、例えばアルキルグリコシド、ショ糖脂肪酸エステル、アルキロールアマイド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ラウリン酸デカグリセリル等が挙げられる。
なお、これら任意成分としての界面活性剤は配合しなくてもよいが、配合する場合は本発明の効果を妨げない範囲で配合してもよい(通常配合量0.1〜2%)。
【0027】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、アスパラテーム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ぺリラルチン等、防腐剤としては、ブチルパラベン、エチルパラベン等のパラベン類(パラオキシ安息香酸エステル)、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0028】
各種有効成分としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化第1錫、フッ化ストロンチウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ化物、正リン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性リン酸化合物、トラネキサム酸、イプシロン−アミノカプロン酸、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、酢酸dl−トコフェロール、ジヒドロコレステロール、α−ビサボロール、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、クロルヘキシジン塩類、アズレン、グリチルレチン、グリチルレチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、クロロフィル、グリセロホスフェートなどのキレート性リン酸化合物、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ヒドロキサム酸及びその誘導体、トリポリリン酸ナトリウム、ゼオライト、メトキシエチレン、エピジヒドロコレステリン、塩化ベンゼトニウム、ジヒドロコレステロール、トリクロロカルバニリド、クエン酸亜鉛、トウキ軟エキス、オウバクエキス、カミツレ、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の抽出物などが挙げられる。なお、これら有効成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量とすることができる。
【0029】
香料は、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、及び、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、プロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、メチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、歯磨剤組成物に用いられる公知の香料素材を使用することができる。
【0030】
また、配合量も特に限定されないが、上記の香料素材は、製剤組成中に0.000001〜1%使用するのが好ましい。また、上記香料素材を使用した賦香用香料としては、製剤組成中に0.1〜2.0%使用するのが好ましい。
【0031】
着色剤としては青色1号、青色4号、緑色3号等が例示される。なお、これら成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0032】
本発明の口腔用組成物を収容する容器の材質は特に制限されず、通常、口腔用組成物に使用される容器を使用できる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等のプラスチック容器等が使用できる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において配合量はいずれも質量%である。
【0034】
[実施例、比較例]
表1〜3に示す組成の歯磨剤組成物を調製し、下記方法で評価した。結果を表1〜3に示す。
試験歯磨剤組成物の調製;
表1〜3に示す組成の歯磨剤組成物を常法で調製し、最内層が直鎖状低密度ポリエチレンからなる直径26mm、口径8mmのラミネートチューブ(低密度ポリエチレン72μm/エチレン・アクリル酸共重合体樹脂90μm/アルミニウム10μm/エチレン・アクリル酸共重合体樹脂35μm/直鎖状低密度ポリエチレン50μm,厚み257μm(大日本印刷社(株)製))に50g充填した。
【0035】
これらの歯磨剤組成物の調製には、ラウリル硫酸ナトリウムには東邦化学工業(株)のラウリル硫酸ナトリウムを使用、ミリスチル硫酸ナトリウムには日光ケミカルズ(株)のKIKKOL SMS、ポリオキシエチレン(30)硬化ヒマシ油には日光ケミカルズ(株)のHCO−30を使用、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油には日光ケミカルズ(株)のHCO−20を使用、ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油には日光ケミカルズ(株)のHCO−10を使用、ポリオキシエチレン(5)硬化ヒマシ油には日光ケミカルズ(株)のHCO−5を使用、ムクロジエキスには丸善製薬(株)のムクロジエキスパウダー(ムクロジエキス100%含有)を使用した。他成分については、ソルビット液、無水ケイ酸、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、イプシロン−アミノカプロン酸、フッ化ナトリウム、ポリエチレングリコール4000、トコフェロール酢酸エステル、精製水は外原規(医薬部外品原料規格)規格品を用いた。
【0036】
(1)歯磨き中の口腔刺激低減効果の評価
10人のパネラーが、ラミネートチューブに充填した歯磨剤組成物を市販の歯ブラシ上に1g押出し、3分間歯のブラッシングを行い、歯磨き中の口腔刺激(口腔粘膜への刺激性)について以下の4段階で評価した。
全く感じない :4点
ごくわずかに感じるが問題ないレベル:3点
やや感じる :2点
著しく感じる :1点
【0037】
10名の平均点から以下の基準で口腔刺激低減効果を評価した。なお、平均点3.0点以上を合格点とした。
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
【0038】
(2)歯磨き中の泡立ちの評価
10人のパネラーが、ラミネートチューブに充填した歯磨剤組成物を市販の歯ブラシ上に1g押出し、3分間歯のブラッシングを行い、歯磨き中の泡立ちについて以下の4段階で評価した。
非常に良い :4点
良い :3点
やや悪い :2点
悪い :1点
【0039】
10名の平均点から以下の基準で評価した。なお、平均点3.0点以上を合格点とした。
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
【0040】
(3)歯磨き中の苦味の評価
10人のパネラーが、ラミネートチューブに充填した歯磨剤組成物を市販の歯ブラシ上に1g押出し、3分間歯のブラッシングを行い、歯磨き中の苦味を以下の4段階で評価した。
全く感じない :4点
ごくわずかに感じるが問題ないレベル:3点
やや感じる :2点
非常に感じる :1点
【0041】
10名の平均点から以下の基準で評価した。なお、平均点3.0点以上を合格点とした。
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
表1〜3の結果から、(A)アルキル硫酸塩と、(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とを(A)/(B)が0.6〜10で併用し、(C)ムクロジエキスを0.001〜2%配合することにより、充分な起泡力と口腔刺激低減効果とを兼ね備え、更に天然素材由来の苦味が少なく、使用感に優れた口腔用組成物が得られることが確認された。
【0046】
[実施例17]液状歯磨
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 1.2
ムクロジエキス*1 0.01
イソプロピルメチルフェノール 0.1
酢酸トコフェロール 0.1
香料 1.2
ポリアクリル酸ナトリウム 0.3
アルギン酸ナトリウム 0.4
ソルビット液(70%) 55
サッカリンナトリウム 0.2
プロピレングリコール 3.0
パラオキシ安息香酸メチル 0.05
パラオキシ安息香酸ブチル 0.01
フッ化ナトリウム 0.21
水 残
計 100.0%
*1:ムクロジエキスパウダー(丸善製薬(株))
ラウリル硫酸ナトリウム/ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の質量比:0.8
上記の口腔用組成物は、充分な起泡力と口腔刺激低減効果とを兼ね備え、更に天然素材由来の苦味が少なく、使用感に優れていることを確認した。
【0047】
[実施例18]洗口剤
ラウリル硫酸ナトリウム 0.3
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.4
ムクロジエキス*1 0.05
エタノール 10
グリセリン 10
ソルビット液(70%) 5.0
香料 0.3
サッカリンナトリウム 0.05
パラオキシ安息香酸メチル 0.15
水 残
計 100.0%
*1:ムクロジエキスパウダー(丸善製薬(株))
ラウリル硫酸ナトリウム/ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の質量比:0.8
上記の口腔用組成物は、充分な起泡力と口腔刺激低減効果とを兼ね備え、更に天然素材由来の苦味が少なく、使用感に優れていることを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル硫酸塩を含有する口腔用組成物に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を質量比でアルキル硫酸塩/ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が0.6〜10となる割合で配合し、かつムクロジ科植物の抽出物を0.001〜2質量%配合したことを特徴とする口腔用組成物。

【公開番号】特開2010−150183(P2010−150183A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330009(P2008−330009)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】