説明

口腔用組成物

【課題】口腔用組成物は、薬用感、効果感、マスキング性、及び嗜好性がいずれも良好な口腔用組成物を提供すること。
【解決手段】以下の(A)〜(C)成分を含有し、且つ含有される(B)成分と(C)成分との質量比が、1:0.02〜1である、口腔用組成物。
(A)殺菌剤
(B)サンショウエキス
(C)グアイアコール及びエチルグアイアコールからなる群より選択される少なくとも1種

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔用組成物を開発する際、その実際の効果や使用のし易さ等を向上させることが重要な課題であるのと同様に、使用中や使用後において、薬用感や効果感を使用者に与えられることも、重要な課題の一つである。
【0003】
口腔用組成物の使用後に、使用者が薬用成分を用いてオーラルケアをしたとの感覚を得られれば、当該口腔用組成物は良好な薬用感を有するといえる。薬用感を有する口腔用組成物は、オーラルケアに有効な薬用成分を用いたとの感覚を使用者に与えることができ、使用者の満足度を向上させ得る。より詳細に説明すれば、薬用感は、香りや味、刺激等により得られる、薬用成分を用いたと感じる感覚のことである。口腔用組成物の使用者は、使用時(使用中や使用後)の使用感を、香りや味から感じることができるので、口腔用組成物に薬的な香りや味を与えることにより、使用者の“薬用成分を用いた”との感覚が高まる。この感覚が高い程、良好な薬用感を有するといえる。
【0004】
また、口腔用組成物の使用後に、使用者が口腔内において何等かの改善を印象付けられる感覚(例えば、ハグキの軽度な灼熱感や収斂感などの感覚)を得られれば、当該口腔用組成物は良好な効果感を有するといえる。効果感を有する口腔用組成物は、オーラルケアができたとの感覚により薬用成分が効果的に発揮されているとの印象を使用者に与えることができ使用者の満足度を向上させ得る。このように、効果感は、薬用成分が実際に有効な効果を発揮していると感じる感覚であるので、例えば、効果感は実効感と言い換えてもよい。特に、予防目的で使用する口腔用組成物については、その効果を実感することが難しい場合が多い。しかしながら、一方で、予防目的で使用する口腔用組成物は一定以上の長期間使用継続することが必要であるため、継続使用させるだけのモチベーションを消費者に与えることが重要なポイントとなる。この点からも、口腔用組成物に薬用感や効果感を付与することは重要である。
【0005】
また、口腔用組成物には、有効成分として殺菌剤が配合されることが多いが、殺菌剤は特有の嫌味を有しているため、当該嫌味をマスキングすることも重要である。さらには、消費者に受け入れられるよう嗜好性を高めることも重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−302655号公報
【特許文献2】特開2001−322921号公報
【特許文献3】特開2004−115382号公報
【特許文献4】WO2006/109241パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
口腔用組成物の製造においては、香料を用いて薬用感を付与させることが広く行われている。つまり、香料を用いていわゆる薬品臭が口腔用組成物に付与されている。しかし、薬品臭はその種類や強度によっては、使用者に不快感を与えるため、口腔用組成物の嗜好性を低下させてしまう。
【0008】
また、薬用感や効果感の付与は、香料を用いるだけでは十分に行うことは難しいため、口腔内に適度な刺激を与え得る刺激物質(感覚素材)を用いることにより行われることも多い。従来、感覚素材として、例えばカプサイシン等が用いられている。しかしながら、感覚素材を配合することで、例えば、消費者によっては、ピリピリとした刺激感覚など不快な感覚を感じさせてしまうため、逆効果になったり、香料による薬用感の付与効果が弱められたり、香料との感覚的な相性が悪いため採用できなかったり、製剤の使用感を悪くするなど、問題が生じることがある。
【0009】
さらに、口腔用組成物には、有効成分として殺菌剤が配合されることが多いが、殺菌剤は特有の嫌味を有している。このため、殺菌剤を口腔用組成物に配合する場合、嫌味のマスキングのために香料等をさらに配合することが求められる。しかし、特に使用後(吐き出し後)の口中に残存する殺菌剤の嫌味は、香料を用いたとしてもマスキングするのは簡単ではない。
【0010】
そうすると、殺菌剤を含む口腔用組成物において、良好な薬用感及び効果感を付与し、殺菌剤の嫌味をマスキングし、さらに嗜好性をも高めるためには、適当な香料や感覚素材を用いることが必要ということになるが、これらの成分(殺菌剤、香料、及び感覚素材)は膨大な種類が存在しており、しかも組み合わせによっては効果が低下又は抑制されたり、却って悪い効果を奏したりするため、薬用感、効果感、マスキング性、及び嗜好性がいずれも良好な口腔用組成物は、従来得ることは難しかった。
【0011】
そこで、本発明は、薬用感、効果感、殺菌剤の嫌味のマスキング性、及び嗜好性がいずれも良好な口腔用組成物を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、驚くべき事に、(A)殺菌剤、(B)サンショウエキス、及び(C)グアイアコール及びエチルグアイアコールからなる群より選択される少なくとも1種を含有し、且つ(B)成分と(C)成分との含有質量比が、1:0.02〜1である口腔用組成物であれば、上記課題を解決し得ることを見出し、さらに改良を重ねて本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本発明は例えば以下の項に記載の口腔用組成物を包含する。
項1.
以下の(A)〜(C)成分を含有し、且つ含有される(B)成分と(C)成分との質量比が、1:0.02〜1である、口腔用組成物。
(A)殺菌剤
(B)サンショウエキス
(C)グアイアコール及びエチルグアイアコールからなる群より選択される少なくとも1種
項2.
殺菌剤が、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、及び塩酸クロルヘキシジンからなる群より選択される少なくとも1種である、項1に記載の口腔用組成物。
項3.
さらに、オイゲノール及び/又はチモールを含有する、項1又は2に記載の口腔用組成物。
項4.
(A)成分と(B)成分との質量比が、1:0.01〜2である、項1〜3のいずれかに記載の口腔用組成物。
項5.
(C)成分を、0.001〜0.06質量%含有する、項1〜4のいずれかに記載の口腔用組成物。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る口腔用組成物は、薬用感、効果感、殺菌剤の嫌味のマスキング性、及び嗜好性がいずれも良好であり、使用者に対して良好な使用感を与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
【0016】
本発明に係る口腔用組成物は、以下の(A)〜(C)成分を含有する。そして(B)成分と(C)成分との含有質量比が、(B)1に対して(C)が0.02〜1である。
(A)殺菌剤
(B)サンショウエキス
(C)グアイアコール及びエチルグアイアコールからなる群より選択される少なくとも1種
【0017】
(A)成分の殺菌剤は、口腔用組成物に用いられることが知られた殺菌剤であれば、本願発明の効果が損なわれない限り特に制限されない。例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン等のカチオン性殺菌剤、ドデシルジアミノエチルグリシン等の両性殺菌剤、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール等の非イオン性殺菌剤、ヒノキチオール等が例示できる。これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0018】
中でも、カチオン性殺菌剤が好ましく、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、及び塩酸クロルヘキシジンからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、塩化セチルピリジニウムが特に好ましい。
【0019】
(B)成分のサンショウエキスは、ミカン科サンショウ属植物の実(例:青山椒、割山椒)から抽出された抽出物であり、特に果皮を含む状態で破砕し抽出することが好ましい。また、ミカン科サンショウ属植物の中でも、Zanthoxylum piperitumが好ましい。
【0020】
抽出方法は特に制限されず、公知の方法を適宜用いることができる。例えば、抽出方法としては、浸漬、煎出、浸出、還流抽出、超臨界抽出、超音波抽出、マイクロ波抽出等が例示される。中でも超臨界抽出法を用いることにより、成分の劣化が少なく優れた感覚素材を得られるため、好ましい。抽出のための溶媒としては、極性溶媒、非極性溶媒のいずれを用いることもできる。具体的には、例えば、水、メタノール、エタノール、エチルエーテル、エチレンクロライド、ジオキサン、アセトン、酢酸エチル、プロピレングリコール等の極性溶媒、及び/又は、n−ヘキサン、石油エーテル、リグロイン、シクロヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロルエタン、トルエン、ベンゼン等の非極性溶媒、が例示される。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。中でも、水、エタノール、又は含水エタノールを用いることが好ましい。含水エタノールの水及びエタノールの比率は制限されず適宜設定できる。例えば水含有量が10〜90質量%程度、好ましくは50〜70質量%程度が例示される。
【0021】
また、超臨界抽出法を用いる場合、媒体として、例えば二酸化炭素、メタノール、水等を用いることができる。中でも二酸化炭素を用いるのが好ましい。
【0022】
サンショウエキスとしては、Zanthoxylum piperitumの実を超臨界抽出(媒体は二酸化炭素)して得られた抽出物を用いるのが、特に好ましい。
【0023】
また、サンショウエキスとして、市販品を用いてもよい。例えば、「サンショウ抽出物―J」(丸善製薬株式会社製)、「ファルコックス サンショウ」(一丸ファルコス株式会社製)等を購入して用いることができる。
【0024】
(C)成分は、グアイアコール及びエチルグアイアコールからなる群より選択される少なくとも1種である。言い換えれば、(C)成分は、(i)グアイアコール、(ii)エチルグアイアコール、又は(iii)グアイアコール及びエチルグアイアコール、のいずれかである。エチルグアイアコールの中でも、4−エチルグアイアコールが好ましい。
【0025】
グアイアコール及びエチルグアイアコール(4−エチルグアイアコール)の構造式を以下に示す。
【0026】
【化1】

【0027】
【化2】

【0028】
グアイアコール及びエチルグアイアコールは、公知の物質であり、容易に入手可能である。例えばSigma-aldrich社等から購入して用いることができる。また、公知の方法により、容易に製造することができる。また、グアイアコール及び/又はエチルグアイアコールはグアイヤック(Guaiac wood oil)に多く含まれるため、グアイヤックを用いてもよい。さらに、コーヒー、ウイスキー、ラム、タール等にも含まれるため、これらを用いることもできる。
【0029】
上述の通り、本発明の口腔用組成物に含有される(B)成分と(C)成分との質量比は、(B)1に対して、(C)0.02〜1程度であり、好ましくは0.05〜1程度であり、より好ましくは0.1〜1程度であり、さらに好ましくは0.2〜1程度である。当該質量比を満たすことにより、薬用感、効果感、マスキング能、及び嗜好性の4項目全てにおいて、より一層良好な結果を得ることができる。
【0030】
また、含有される(A)成分と(B)成分との質量比は、(A)1に対して、(B)0.01〜2が好ましく、0.1〜1.5がより好ましく、0.5〜1.2がさらに好ましい。
【0031】
特に制限されないが、本発明の口腔用組成物には、(A)成分は、好ましくは0.05〜0.3質量%、より好ましくは0.05質量%程度、含まれる。また、(B)成分は、好ましくは0.0001〜0.1質量%、より好ましくは0.005〜0.05質量%含まれる。また、(C)成分は、好ましくは0.001〜0.06質量%含まれる。
【0032】
本発明の口腔用組成物は、常法により製造することができ、例えば医薬品、医薬部外品としても用いることができる。特に消費者が自らの判断で選択し、使用することができる通常の口腔用組成物や医薬部外品の口腔用組成物が好ましい。また、本発明の口腔用組成物の形態は、特に限定するものではないが、常法に従って例えば軟膏剤、ペースト剤、パスタ剤、ジェル剤、液剤、スプレー剤、洗口液剤、液体歯磨剤、練歯磨剤、塗布剤等の形態(剤形)にすることができる。なかでも、洗口液剤、液体歯磨剤、練歯磨剤、ペースト剤、液剤、スプレー剤、ジェル剤、塗布剤であることが好ましく、練歯磨剤、ペースト剤、ジェル剤がより好ましい。
【0033】
本発明の口腔用組成物には、上記(A)〜(C)成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、口腔用組成物に配合し得る任意成分を、単独で又は2種以上組み合わせて、さらに配合してもよい。
【0034】
例えば、界面活性剤として、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤または両性界面活性剤を配合することができる。具体的には、ノニオン界面活性剤としてはショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル;脂肪酸アルカノールアミド類;ソルビタン脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセライド;ポリオキシエチレン付加係数が8〜10、アルキル基の炭素数が13〜15であるポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン付加係数が10〜18、アルキル基の炭素数が9であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;セバシン酸ジエチル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン等が例示される。アニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩;ラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;ココイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム等のアシルアミノ酸塩;ココイルメチルタウリンナトリウム等が例示される。両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型活性剤;N−ココイル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のイミダゾリン型活性剤;N−ラウリルジアミノエチルグリシン等のアミノ酸型活性剤等が例示される。これらの界面活性剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。その配合量は、通常、組成物全量に対して0.1〜5質量%である。
【0035】
また、香味剤をさらに配合し得る。香味剤として、カルボン酸、アネトール、オイゲノール、サリチル酸メチル、リモネン、オシメン、n−デシルアルコール、シトロネール、α−テルピネオール、メチルアセタート、シトロネニルアセタート、メチルオイゲノール、シネオール、リナロール、エチルリナロール、チモール、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、珪皮油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油、ピメント油、d−カンフル、d−ボルネオール、ウイキョウ油、ケイヒ油、シンナムアルデヒド、ハッカ油、バニリン等の香料が例示される。これらは、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、香味剤は、組成物全量に対して例えば0.001〜1.5質量%配合することができる。香味剤の中でも、オイゲノール及びチモールが好ましい。
【0036】
特にオイゲノール及び/又はチモールを用いる場合の口腔用組成物における含有量は、制限はされないが、(C)成分量を1としたとき、1〜10程度(質量比)であることが好ましい。また、例えば0.005〜0.05質量%程度含有されることが好ましく、0.005〜0.02程度含有されることがより好ましい。
【0037】
なお、オイゲノールは、グアイアコール及びエチルグアイアコールと類似した化学構造を有するが、(C)成分に代えてオイゲノールを用いても、本発明と同様の効果は得られない(特に薬用感に劣る)。しかし、意外なことに、(A)〜(C)成分に加え、更にオイゲノールを配合した口腔用組成物は、オイゲノールを配合しない場合に比べ、更に薬用感が向上するため、好ましい。
【0038】
また、サッカリンナトリウム、アセスルファムカリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル、p−メトキシシンナミックアルデヒド等の甘味剤を配合し得る。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。またこれらは、組成物全量に対して0.01〜1質量%配合することができる。
【0039】
さらに、湿潤剤として、ソルビット、グリセリン、ポリプロピレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット、ポリオキシエチレングリコール等を単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0040】
防腐剤として、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等を単独又は2種以上組み合わせて配合することができる。
【0041】
着色剤として、青色1号、黄色4号、赤色202号、緑3号等の法定色素、群青、強化群青、紺青等の鉱物系色素、酸化チタン等を単独又は2種以上組み合わせて配合してもよい。
【0042】
pH調整剤として、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、ピロリン酸、乳酸、酒石酸、グリセロリン酸、酢酸、硝酸、またはこれらの化学的に可能な塩や水酸化ナトリウム等を配合してもよい。これらは、組成物のpHが4〜8、好ましくは5〜7の範囲となるよう、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。pH調整剤の配合量は例えば0.01〜2重量%が例示される。
【0043】
なお、本発明の口腔用組成物には、さらに、殺菌剤以外の薬効成分を配合することができる。例えば、酢酸dl−α−トコフェロール、コハク酸トコフェロール、またはニコチン酸トコフェロール等のビタミンE類、フッ化ナトリウム等を配合してもよい。殺菌剤以外の薬効成分は単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0044】
また、基剤として、例えば、アルコール類、シリコン、アパタイト、白色ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン、プラスチベース等を単独または2種以上を組み合わせて添加することも可能である。
【0045】
以上の任意成分の記載は例示であり、用い得る任意成分を限定するものではない。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
<口腔用組成物の調製>
常法により、表1に記載した組成通りに各成分を混合して、練り歯磨き(各実施例及び比較例)を調製した。用いた成分のうち、サンショウエキス、並びに、グアイアコール、エチルグアイアコール、オイゲノール、及びチモールの使用量は、各例ごとに変更した。これらの成分の使用量は、表2に示す。
【0047】
なお、用いたサンショウエキスは、二酸化炭素を媒体として用いた超臨界抽出法により、サンショウ果実(果皮を含む)から抽出して製造した。その他の成分については、市販品を購入して用いた。
【0048】
<各口腔用組成物の評価>
4人のモニターに、各実施例及び比較例を、それぞれ1gずつ歯ブラシにのせ、歯を磨いてもらい、使用後の薬用感、効果感、マスキング能、及び嗜好性について次の5段階の評価基準により評価するよう依頼した。
〔評価基準〕
5:非常に良い
4:良い
3:普通
2:悪い
1:非常に悪い
【0049】
4人の評価値を集計し、平均値を算出した。結果(当該平均値)を表2に併せて示す。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
また、グアイアコール、エチルグアイアコール、オイゲノール、及びチモールの化学構造式を参考のため次に示す。
【0053】
【化3】

【0054】
表2に示されるように、サンショウエキスに、グアイアコール又はエチルグアイアコールを加えた組成物であって、サンショウエキスと、グアイアコール又はエチルグアイアコールの質量比が特定の値である場合に、薬用感、効果感、マスキング能、及び嗜好性の4項目全てにおいて良好な結果を得ることができた。一方、表2に記載の成分中でサンショウエキスのみ配合された組成物では、薬用感が悪かった(比較例3)。さらに、グアイアコールやエチルグアイアコールと類似のフェノール系化合物であるオイゲノールを更に配合しても、薬用感はほとんど改善しなかった(比較例4)。また、グアイアコール配合量が多すぎたり少なすぎたりしても(比較例5及び6)、全ての項目で良好な結果は得られなかった。以上のことから、グアイアコール又はエチルグアイアコールを、サンショウエキス量と特定の含有量比となるよう、配合して用いるからこそ、上記4項目すべての項目で良好な評価が得られる口腔用組成物が調製できることがわかった。
【0055】
なお、オイゲノールは、グアイアコール及びエチルグアイアコールと類似した化学構造を有するが、グアイアコールやエチルグアイアコールに代えてオイゲノールを用いても(比較例4)、本発明と同様の効果は得られなかった(特に薬用感に劣っていた)。しかし、意外なことに、塩化セチルピリジニウム、サンショウ抽出物、及びグアイアコールに加え、更にオイゲノールを配合した口腔用組成物(実施例1)は、オイゲノールを配合しない場合(実施例2)に比べ、更に薬用感が向上した。
【0056】
以下、本発明の口腔用組成物の処方例を記載するが、本発明は下記の処方例に限定されるものではない。また、特に断らない限り配合量は質量%である。また、サンショウエキスを得るため用いた抽出溶媒が混合溶媒である場合は、各媒体の混合質量比も併せて記載した。
【0057】
【表3】

【0058】
【表4】

【0059】
【表5】

【0060】
【表6】

【0061】
【表7】

【0062】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(A)〜(C)成分を含有し、且つ含有される(B)成分と(C)成分との質量比が、1:0.02〜1である、口腔用組成物。
(A)殺菌剤
(B)サンショウエキス
(C)グアイアコール及びエチルグアイアコールからなる群より選択される少なくとも1種
【請求項2】
殺菌剤が、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、及び塩酸クロルヘキシジンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
さらに、オイゲノール及び/又はチモールを含有する、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
(A)成分と(B)成分との質量比が、1:0.01〜2である、請求項1〜3のいずれかに記載の口腔用組成物。
【請求項5】
(C)成分を、0.001〜0.06質量%含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の口腔用組成物。

【公開番号】特開2013−67570(P2013−67570A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205918(P2011−205918)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000106324)サンスター株式会社 (200)
【Fターム(参考)】