口腔疾患および状態の予防または処置に用いるための二重エイコサノイド系・サイトカイン系阻害剤の製剤
本発明は、口腔、歯肉および歯に関連した疾患および状態の予防または処置に用いるための二つの特定のクラスの化合物、すなわち、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含んで成る新規な組成物を提供する。この組成物は、シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)酵素活性を同時に阻害し、そして正常の、加齢したおよび損傷した歯周細胞および組織におけるサイトカイン産生をmRNAレベルで減少させる。本発明は、更に、口腔、歯肉および歯の疾患および状態の予防または処置の方法を提供する。口腔、歯および歯肉の疾患および状態を予防又は処置する方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物、好ましくは、スクテラリア(Scutellaria)、オロキシルム(Oroxylum)、アカシア(Acacia)またはウンカリア(Uncaria)属の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物および薬学的におよび/または化粧用に許容しうる担体を含む組成物の治療的有効量を投与することを含んで成る。最後に、本発明は、歯肉炎、歯周炎、歯髄炎などの歯周疾患;義歯の物理的植込み、外傷、損傷、歯ぎしり、腫瘍性および他の変性過程に起因する歯周状態;白質、ペリクル、歯垢(dental plagues)、歯石および着色が含まれるがこれに制限されるわけではない、口腔、歯または歯肉の疾患および状態の予防または処置の方法を提供する。本明細書中に記載の組成物の使用は、更に、最適の唾液産生およびpHを維持すること;細菌増殖を最小限にすること;ペリクルおよび歯垢の形成を減少させること;歯脱灰およびう歯(う蝕)を阻害すること;健康的な歯肉を生じる再石灰化を促進すること;歯を白くすること;健康的な口腔衛生を維持すること;および口腔悪臭(口臭)を減少させることの利点を与える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、口腔、歯および歯肉の疾患および状態の予防または処置に用いるためのエイコサノイドおよびサイトカインの経路を標的とする、二つの特定のクラスの化合物、すなわち、フリーB環フラボノイド類とフラバン類とのブレンドの混合物を含んで成る新規な組成物に関する。具体的には、口腔、歯および歯肉の疾患および状態には、歯肉炎、歯周炎、歯髄炎などの歯周疾患;義歯の物理的植込み、外傷、損傷、歯ぎしり、腫瘍性および他の変性過程に起因する歯周状態;白質(material alba)、ペリクル、歯垢(dental plagues)、歯石および着色が含まれるが、これに制限されるわけではない。本明細書中に記載の組成物の使用は、更に、最適の唾液産生およびpHを維持すること;細菌増殖を最小限にすること;ペリクルおよび歯垢の形成を減少させること;歯脱灰およびう歯(う蝕)を阻害すること;再石灰化を促進すること;健康的な歯肉を生じること;歯を白くすること;健康的な口腔衛生を維持すること;および口腔悪臭(口臭)を減少させることの利点を与える。
【背景技術】
【0002】
歯周疾患は、若干のまたは全ての歯支持構造(歯肉、セメント質、歯周靱帯、歯槽骨および歯周囲の他の組織)の炎症および感染の組合せである。歯肉炎(歯肉)および歯周炎(歯肉および骨)は、歯周疾患の二つの主要な形である。National Institute of Dental and Craniofacial Research が配布した National Oral Information によると、推定80%の米国成人は、現在、何等かの形の歯周疾患を有している。歯周疾患は、一つまたは複数のきれいな歯の上にペリクルが形成した場合に始まる。このペリクルは、好気性グラム陽性細菌(主として、放線菌および連鎖球菌)を引き寄せ、それらが歯に付着して、歯垢を形成する。何日か以内に、歯垢は厚くなり、下にいる細菌は酸素が欠乏し、そして嫌気性の運動性桿状菌およびスピロヘータが、歯肉下領域に生息し始める。嫌気性細菌によって放出される内毒素は、炎症、歯肉組織破壊、そして骨減損さえも引き起こす。歯周疾患について、下に示されるように特性決定することができる四つの初期段階がある。歯周疾患の破壊的影響力は、歯周疾患によって生じる顕微鏡的病変が、若干の患者の肝、腎および脳において見出されているという点で、歯科衛生および健康の域を越える。
【0003】
【表1】
【0004】
歯周疾患によって生じる炎症は、主に、二つの生体系、すなわち、エイコサノイド系およびサイトカイン系に関連している。細胞膜からのアラキドン酸(AA)の放出および代謝は、いくつか異なった経路による炎症誘発性代謝物の生成を引き起こす。炎症への最も重要な経路の内の二つは、酵素リポキシゲナーゼ(LOX)およびシクロオキシゲナーゼ(COX)によって媒介される。これらは、ロイコトリエンおよびプロスタグランジンの生成をそれぞれ引き起こす平行した経路であり、それらは、炎症性反応の開始および進行において重要な役割を果たしている。これら血管作用性(vasoactive)化合物は、ケモタキシンであり、それらは双方とも、炎症性細胞の歯肉組織中への浸潤を促し、しかも骨減損をもたらすことがありうる炎症性反応を延長する働きをしている。その結果として、炎症のこれらメディエーターを生じるのに関与している酵素は、口腔、歯および歯肉に関する疾患および状態を予防又は処置する治療薬を開発することを標的とすることができる。
【0005】
サイトカイン系は、そのネットワークの活性化が局部的であり且つそれらサイトカインが、表面に結合した形または拡散可能な形で隣接して作用する場合、ホメオスタシスのきわめて強力な力である。しかしながら、サイトカイン産生が持続しているおよび/または全身的である場合、サイトカインは、炎症性疾患、感染症、自己免疫疾患および悪性疾患の徴候、症状および病状の原因となる。TNF−αは、マクロファージ、好中球、線維芽細胞、角化細胞、NK細胞、TおよびB細胞および腫瘍細胞によって産生される強力な多面的サイトカインである。IL−1βは、TNF−αと一緒に、炎症性反応において中心的役割を果たしている。IL−1ra(IL−1受容体アンタゴニスト);IL−1受容体の可溶性フラグメント;またはTNF−αおよび可溶性TNF受容体への単クローン性抗体のような、アンタゴニストの投与は全て、炎症性疾患の動物モデルにおけるいろいろな急性および慢性の応答をブロックする。核因子カッパB(NFκB)は、インターロイキン−1ベータ(IL−1β)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、インターロイキン−6(IL−6)および複数の他のタンパク質の遺伝子発現を制御する転写因子である。若干のこれらアンタゴニストは、敗血症、歯周疾患および関節リウマチなどの疾患において抗炎症薬として利用され始めている。(Dinarello (2004) Curr Opin Pharmacol. 4:378-385)。抗TNF−α抗体は、関節リウマチの顕著な寛解を引き起こすのみならず、炎症性腸疾患であるクローン病の組織炎症を減少させることも判明した(Maini and Feldmann. (2002) Arthritis Res. 4 Suppl 2: S22-8)。
【0006】
歯周靱帯(PDL)細胞は、骨芽細胞様特徴を示し且つセメント質形成性かまたは骨形成性系統の細胞へと分化することが可能である。これら細胞は、歯周組織の再生および完全さの維持に決定的である(Somerman et al. (1990) Arch Oral Biol. 35: 241-47; Pitaru et al. (1994) J Periodontal Res. 29:81-94)。細菌の集落形成によって開始される歯周組織における慢性感染は、炎症誘発性サイトカインの合成を引き起こし、それが、PDL細胞の表現型および機能に潜在的に影響することがありうる。これらサイトカインは、免疫細胞を活性化し且つ感染部位に補充するのみならず(Le and Vilcek (1987) J. Immunol. 139: 3330; Kunkel et al. (1994) Ann. N.Y. Acad. Sci. 730:134)、支持骨および靱帯結合の減損を引き起こす(Pitaru et al. (1994) J Periodontal Res. 29:81-94)。例えば、TNFαは、PDL細胞の骨芽細胞様表現型および機能をモジュレーションすることが分かった(Agarwal et al. (1998) Infect. Immun. 66:932-937)。更に、TNFαおよびIL−1βは、アルカリ性ホスファターゼのダウンレギュレーションによって(Kuroki et al. (1994) Rheumatology 33:224)およびコラーゲン、コラゲナーゼ、プロテオグリカンおよびプロスタグランジン合成のモジュレーションによって(Agarwal et al. (1998) Infect. Immun. 66:932-937)、骨芽細胞の表現型特性を変化させる。
【0007】
単離されたPDL細胞において、IL−1βは、表現型変化を引き起こす(Agarwal et al. (1998) Infect. Immun. 66:932-937)。健康な歯周組織からのPDL細胞は、細菌リポ多糖(LPS)を認識しないし、LPSに応答して炎症誘発性サイトカインを引き出すこともしない。IL−1β処置後、PDL細胞は、それらの骨芽細胞様特性を失うと同時に、新しいLPS応答性表現型を呈する。したがって、IL−1βは、PDL細胞機能の重要な調節因子であり且つこれら細胞を支配して、感染の際の免疫反応に活発に関与させる。IL−1βは、骨吸収を刺激し且つ骨形成を阻害する(Stashenko et al. (1987) J Bone Miner Res. 2:559-65; Nguyen et al. (1991) Lymphokine Cytokine Res. 10:15-21; Tatakis (1993) J Periodontol (1991) 64:416-31)。更に、IL−1βは、TNF−αの骨吸収作用に相乗作用を示す(Bertolini et al. (1986) Nature 319:516-18; van der Pluijm et al. (1991) Endocrinology 129:1596)。歯周炎の病理学的過程におけるIL−1βのもう一つ重要な活性は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)の産生を引き起こすことである(Havemose-Poulsen and Holmstrup (1997) Crit. Rev. Oral. Biol. Med 8:217)。IL−1βは、歯肉線維芽細胞およびPDL細胞双方に高レベルのプロコラゲナーゼを生じる(Meikle et al. (1989) J Periodontal Res. 24:207-13; Lark et al. (1990) Connect Tissue Res. 25:49-65; Tewari et al. (1994) Arch Oral Biol. 39 657-64)。更に、IL−1βは、歯肉線維芽細胞中のプラスミノーゲンアクチベーターを刺激して、プラスミンの生成を引き起こすが、それは、いくつかのマトリックスメタロプロテイナーゼのアクチベーターである(Mochan et al. (1988) J Periodontal Res. 23:28-32)。更に、Stashenko および共同研究者は、歯肉組織中のIL−1βレベルと最新の結合減損との間の正の相関を報告した(Stashenko et al. (1991) J Clin Periodontol 18:548-54)。
【0008】
TNFαは、免疫応答および炎症性反応のもう一つの不可欠なメディエーターであり、活性な歯周炎症の領域において測定可能な量で見出された(Rossomando et al. (1990) Arch Oral Biol. 35:431-34; Stashenko et al. (1991) J Clin Periodontol 18:548-54)。TNFαは、PDL細胞の骨芽細胞特徴を変化させる(Quintero et al. (1995) J. Dent. Res. 74:1802)。これは、LPSに応答してIL−1β、IL−6およびIL−8などの他の炎症誘発性サイトカインを発現するそれらの能力によって具体化される。TNFαは、線維芽細胞によるコラゲナーゼの分泌、軟骨および骨の吸収を引き起こし、歯周炎における歯周組織の破壊に関係していた(Elias et al. (1987) J. Immunol. 138:3812; Meikle et al. (1989) J Periodontal Res. 24:207-13; Chaudhary et al. (1992) Endocrinology 130:2528)。休止マクロファージの場合、TNFαは、IL−1βおよびプロスタグランジンE2の合成を引き起こす。TNFαは、更に、破骨細胞を活性化し、したがって、骨吸収を引き起こす。TNFαは、IL−1βの骨吸収作用との相乗作用を有する(van der Pluijm et al. (1991) Endocrinology 129:1596; Bertolini et al. (1986) Nature 319:516-8; Johnson et al. (1989) Endocrinology 124:1424)。
【0009】
炎症性歯周病変において、T細胞、マクロファージ、内皮細胞および線維芽細胞などのいろいろな細胞タイプは、mRNAおよびタンパク質双方のレベルでIL−6発現を増加させていることが分かった(Kono et al. (1991) J. Immunol. 146:1812; Matsuki et al. (1992) Immunology 76:42-47; Fujihashi et al. (1993) Am.J. Pathol. 142:1239; Yamazaki et al. (1994) J Oral Pathol Med. 23:347-53)。IL−6は、ヒトB細胞応答に特に重要なので、歯周炎病変中で認められるB細胞/プラズマ細胞の増大は、疾患部位における増加したIL−6産生に起因するかもしれないと考えられた(Fujihashi et al. (1993) J Periodontol 64:400-406)。更に、IL−6は、骨代謝回転の局部的調節において重要な役割を果たし(Lowik et al. (1989) Biochem. Biophys Res Commun. 162:1546-52; Ishimi et al. (1990) J. Immunol. 145:3297; Kurihara et al. (1990) J. Immunol. 144:4226)、エストロゲン欠損症に起因する骨減損に不可欠であると考えられる(Horowitz (1993) J Bone Miner Res. 8:1163-71)。in vitro 研究は、更に、IL−6および可溶性IL−6受容体でのマウス骨芽細胞および骨髄細胞の同時処置が、破骨細胞形成を顕著に引き起こすことを示した(Tamura et al. (1993) PNAS 90:11924)。更に、IL−6は、破骨細胞の形成および破骨細胞の骨吸収の活性化を刺激することにより、病的状態での骨吸収においてオートクリンおよび/またはパラクリン因子として作用するかもしれないということも示唆された(Ohsaki et al. (1992) Endocrinology 131:2229)。これら知見は、歯周炎での歯周組織破壊の病因におけるIL−6の関与を示している。
【0010】
COX酵素の阻害は、大部分の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)に起因する作用機構である。COX酵素には、約60%の配列相同性を共有するが、発現プロフィールおよび機能が異なる二つの明瞭なイソ型(COX−1およびCOX−2)が存在する。COX−1は、血小板凝集、胃内の細胞機能の保護、および正常な腎機能の維持のような、正常な生理学的機能を調節するのに役立つ生理学的に重要なプロスタグランジンの産生に関連している酵素の構成性形である。(Dannhardt and Kiefer (2001) Eur. J. Med. Chem. 36:109-126)。もう一つのイソ型COX−2は、インターロイキン1β(IL−1β)および他の増殖因子などの炎症誘発性サイトカインによって誘導性である酵素の形である(Herschmann (1994) Cancer Metastasis Rev. 134: 241-256; Xie et al. (1992) Drugs Dev. Res. 25:249-265)。このイソ型は、アラキドン酸(AA)からのプロスタグランジンE2(PGE2)の産生を触媒する。COXの阻害は、慣用的なNSAIDの抗炎症活性に関与している。
【0011】
COXおよびLOXに二重特異性(dual specificity)を示す阻害剤は、アラキドン酸代謝の複数の経路を阻害する明らかな利点を有すると考えられる。このような阻害剤は、それらの産生を制限することにより、プロスタグランジン(PG)の炎症性作用、並びに複数のロイコトリエン(LT)のそれら作用をブロックすると考えられる。これには、アナフィラキシー(anaphalaxis)の遅反応性物質としても知られるPGE2、LTB4、LTD4およびLTE4の血管拡張作用、血管透過性作用および走化性作用が含まれる。これらの内、LTB4は、最も強力な走化性作用および化学運動性(chemokinetic)作用を有する。(Moore (1985) in Prostanoids: pharmacological, physiological and clinical relevance, Cambridge University Press, N.Y., pp.229-230)。
【0012】
COX阻害剤の作用機構は、大部分の慣用的なNSAIDの作用機構と重複しているので、COX阻害剤は、炎症が臨界的役割を果たしている慢性疾患および一過性状態における炎症に関連した痛みおよび腫脹を含めた同じ症状の多くを処置するのに用いられる。しかしながら、既知のNSAIDの大部分は、それらの不十分な溶解度およびバイオアベイラビリティーのために、歯周疾患には不適当である。
【0013】
歯周疾患を処置する現行方法は、主要目的である感染の制御で限界がある(Genco et al. (1990) in Contenporary Periodontics, The C.V. Mosby Company, St. Louis, pp. 361-370)。一般的な抗微生物薬または抗歯垢薬には、クロルヘキシジン、Triclosan、フッ化第一スズ、Listerine、過酸化水素、塩化セチルピリジニウムおよびサンギナリンアルカロイド類が含まれる。処方される抗微生物性口内リンス、消毒チップ、抗生物質ゲル/ミクロスフェアおよび酵素抑制薬ドキシサイクリンは、歯周疾患を処置し且つ制御するのに好ましい非機械的/理学的選択肢である。出願人は、口腔疾患および状態の処置のためのエイコサノイドおよびサイトカインの経路を標的とする主要な生物学的活性成分としてフリーB環フラボノイド類およびフラバン類を組み合わせた製剤についてのいずれの報告も承知していない。
【0014】
フラボノイド類またはバイオフラボノイド類は、抗細菌活性、抗炎症活性、抗アレルギー活性、抗変異原活性、抗ウイルス活性、抗腫瘍活性、抗トロンビン活性および血管拡張活性を有すると報告された、広く分布する一群の天然産物である。この群の化合物に共通の構造単位は、次の一般的な構造式:
【0015】
【化1】
【0016】
によって示されるように、3炭素環の両側に2個のベンゼン環を包含する。この一般的な三環構造に結合したヒドロキシル基、糖、酸素およびメチル基のいろいろな組合せは、いろいろなクラスのフラボノイド類を生じるが、それには、フラボノール類、フラボン類、フラバン−3−オール類(カテキン類)、アントシアニン類およびイソフラボン類が含まれる。
【0017】
フリーB環フラボン類およびフラボノール類は、特定のクラスのフラボノイド類であり、それらは、次の一般的な構造:
【0018】
【化2】
【0019】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH2、−NHR、−NR2、−NR3+X−、単一の糖または複数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され、ここにおいて、このグリコシドは、炭素、酸素、窒素または硫黄によって7−ヒドロキシクロモンに連結していて、そしてここにおいて、この単一の糖または複数の糖組合せには、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるが、これに制限されるわけではなく;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、フルオリド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示されるように、芳香族B環(本明細書中、フリーB環フラボノイド類と称される)上に置換基を有していない。
【0020】
フリーB環フラボノイド類は、比較的希少である。合成されたまたは天然源より単離された9,396種類のフラボノイド類の内、231種類のフリーB環フラボノイド類だけが知られている(The Combined Chemical Dictionary, Chapman & Hall/CRC, Version 5:1 June 2001)。フリーB環フラボノイド類は、多様な生物学的活性を有すると報告された。典型的に、フラボノイド類は、生物学的活性について、無作為にそれらの利用可能性に基づいて調べられてきた。時々、B環上の置換の必要条件は、p−糖タンパク質への高親和性結合(Boumendjel et al. (2001) Bioorg. Med. Chem. Lett. 11(1):75-77);強心作用(Itoigawa et al. (1999) J. Ethnopharmacol. 65(3):267-272);リノール酸ヒドロペルオキシド誘導毒性に対する内皮細胞への防御作用(Kaneko and Baba (1999) Biosci Biotechnol. Biochem 63(2):323-328);COX−1阻害活性(Wang (2000) Phytomedicine 7:15-19);およびプロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ(Kalkbrenner et al. (1992) Pharmacology 44(1):1-12)に必要なB環置換のように、特定の生物学的活性について強調された。少数の公報しか、フリーB環フラボノイド類の未置換B環の有意性を述べていなかった。一つの例は、潜在的な抗凝固薬として、NADPHキノンアクセプターオキシドレダクターゼを阻害する2−フェニルフラボン類の使用である。(Chen et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61(11):1417-1427)。
【0021】
種々のフリーB環フラボノイド類の抗炎症活性の作用機構は、議論の的になった。フリーB環フラボノイド類であるクリシン(Liang et al. (2001) FEBS Lett. 496(1):12-18)、ウォゴニン(wogonin)(Chi et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61:1195-1203)およびハランジン(halangin)(Raso et al. (2001) Life Sci. 68(8):951-931)の抗炎症活性は、ペルオキシソーム増殖応答性受容体(peroxisome proliferator activated receptor)ガンマ(PPARγ)の活性化、および脱顆粒およびAA放出への影響によって、誘導性シクロオキシゲナーゼおよび酸化窒素シンターゼの抑制に関連していた。(Tordera et al. (1994) Z. Naturforsch [C] 49:235-240)。オロキシリン、バイカレインおよびウォゴニンは、シクロオキシゲナーゼに影響することなく、12−リポキシゲナーゼの活性を阻害するということが報告された。(You et al. (1999) Arch. Pharm. Res. 22(1):18-24)。より最近になって、ウォゴニン、バイカリン(baicalin)およびバイカレインの抗炎症活性は、酸化窒素阻害剤およびリポ多糖で誘導されるcox−2遺伝子発現および誘導性酸化窒素シンターゼの阻害によって生じると報告された。(Chen et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61(11):1417-1427)。オロキシリンは、NFκB活性化の抑制によって作用するということも報告された。(Chen et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61(11):1417-1427)。最後に、ウォゴニンは、報告によれば、マクロファージ中の誘導性PGE2産生を阻害する。(Wakabayashi and Yasui (2000) Eur. J. Phrmacol. 406(3):477-481)。
【0022】
漢方薬用植物であるスクテラリア・バイカレンシス(Scutellaria baicalensis)は、バイカレイン、バイカリン、ウォゴニンおよびバイカレノシド(baicalenoside)を含めた、有意の量のフリーB環フラボノイド類を含有する。伝統的に、この植物は、発熱除去(clearing away heat)、炎症除去(purging fire)、湿・温(dampness-warm)および夏季熱症候群;高熱に起因する多渇症;カルブンケル、びらんおよび他の化膿性皮膚感染;急性扁桃炎、咽喉頭炎および猩紅熱などの上気道感染;ウイルス性肝炎;腎炎;腎盂炎(pelvitis);赤痢;吐血および鼻出血を含めた多数の状態を処置するのに用いられてきた。この植物は、更に、流産を防止するのに伝統的に用いられてきた。(Encyclopedia of Chinese Traditional Medicine, ShangHai Science and Technology Press, ShangHai, China, 1998)。臨床的には、Scutellaria は、現在、小児肺炎、小児細菌性下痢、ウイルス性肝炎、急性胆嚢炎症、高血圧症、切開および外科手術に起因する局所急性炎症、気管支喘息および上気道感染などの状態を処置するのに用いられている。(Encyclopedia of Chinese Traditional Medicine, ShangHai Science and Technology Press, ShangHai, China, 1998)。気管支喘息を処置するための Scutellaria 根の薬理学的効力は、報告によれば、フリーB環フラボノイド類の存在と、エオタキシンに関連した好酸球補充をそれらが抑制することに関連している。(Nakajima et al. (2001) Planta Med. 67(2):132-135)。
【0023】
これまでに、多数の天然に存在するフリーB環フラボノイド類が、いろいろな用途のために商業化されてきた。例えば、Scutellaria 抽出物のリポソーム製剤は、スキンケア用に利用されてきた(米国特許第5,643,598号;第5,443,983号)。バイカリンは、癌遺伝子へのその阻害作用のために、癌を予防するのに用いられてきた(米国特許第6,290,995号)。バイカリンおよび他の化合物は、抗ウイルス薬、抗細菌薬および免疫調節薬として(米国特許第6,083,921号およびWO98/42363号)および天然の抗酸化剤として(WO98/49256号およびポーランド公報第9,849,256号)用いられてきた。テルペノイド類を含むフラボノイド類製剤は、う歯を処置し且つ阻害するための表面結合グルコシルトランスフェラーゼの阻害剤として用いられてきた(US#20040057908号)。日本国特許第63027435号は、バイカレインの抽出および濃縮を記載しており、そして日本国特許第61050921号は、バイカリンの精製を記載している。
【0024】
2002年3月1日出願の「Identification of Free-B-Ring Flavonoids as Potent COX-2 Inhibitors」と称する米国出願第10/091,362号および2003年7月22日出願の「Formulation of a Mixture of Free-B-Ring Flavonoids and Flavans as a Therapeutic Agent」と称する米国出願第10/427,746号は、シクロオキシゲナーゼ酵素COX−2を阻害する方法であって、それを必要としている宿主に、フリーB環フラボノイドを含む組成物またはフリーB環フラボノイド類の混合物を含有する組成物を投与することによる方法を開示している。これは、フリーB環フラボノイド類とCOX−2阻害活性との関連についての最初の報告である。これら出願は、参照により本明細書中にそのまま具体的に取り込まれる。
【0025】
フラバン類には、次の一般的な構造:
【0026】
【化3】
【0027】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NRH;−NR2;−NR3+X−;挙げられた置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルが含まれるがこれに制限されるわけではないエステル、およびそれらの化学誘導体;単一の糖または複数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され、ここにおいて、このグリコシドは、炭素、酸素、窒素または硫黄によって7−ヒドロキシクロモンに連結していて、そしてここにおいて、この単一の糖または複数の糖組合せには、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体および他の重合フラバン類が含まれるが、これに制限されるわけではなく;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示される化合物が含まれる。
【0028】
カテキンは、次の構造:
【0029】
【化4】
【0030】
を有する、主に緑茶に見出されるフラバンである。カテキンは、単独でも、茶に見出される他のフラボノイド類と一緒でも作用し、抗ウイルスおよび抗酸化双方の活性を有する。カテキンは、ウイルス性肝炎の処置に有効であることが分かった。それは、更に、心臓、腎臓、肺および脾臓への酸化的損傷を妨げると考えられるし、胃癌細胞の増殖を阻害することが分かった。
【0031】
カテキンおよびその異性体エピカテキンは、プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼを40μMのIC50値で阻害する。(Kalkbrenner et al. (1992) Pharmacol. 44:1-12)。商業的に入手可能な純(+)−カテキンは、COX−2への選択性を伴うことなく、実験条件に依存して、COX−1を約183〜279μMのIC50値で阻害する。(Noreen et al. (1998) J. Nat. Prod. 61:1-7)。緑茶カテキンは、Sprague Dawley 雄ラットの飼料中に補足された場合、血小板PLA2の活性レベルを低下させ、そして血小板シクロオキシゲナーゼレベルを有意に減少させた。(Yang et al. (1999) J. Nutr. Sci. Vitaminol. 45:337-346)。カテキンおよびエピカテキンは、報告によれば、ヒト結腸癌DLD−1細胞中のcox−2遺伝子転写を弱く抑制する(IC50=415.3μM)。(Mutoh et al. (2000) Jpn. J. Cancer Res. 91:686-691)。赤ワインからの(+)−カテキンのニューロン保護能力は、シクロオキシゲナーゼ、リポキシゲナーゼまたは酸化窒素シンターゼなどの細胞内酵素への阻害作用よりもむしろ、カテキンの抗酸化性によって生じる(Bastianetto et al. (2000) Br. J. Pharmacol. 131:711-720)。エピガロカテキン−3−ガレート(EGCG)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキン−3−ガレート(ECG)およびティーフラビン類のような、緑茶および紅茶から精製されたカテキン誘導体は、ヒト結腸粘膜および結腸腫瘍組織中のシクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲナーゼに依存性のAA代謝の阻害を示したが(Hong et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 62:1175-1183)、cox−2発現およびPGE2産生を引き起こす(Park et al. (2001) Biochem. Biophys. Res. Commun. 286:721-725)。
【0032】
アカシア(Acacia)は、マメ科の属の木および低木である。Acacia 属には、マメ科(Leguminosae)の科およびミモソイデエ(Mimosoideae)の亜科に属する1000を超える種が含まれる。Acacia は、中・南米、アフリカ、アジアの一部、並びにオーストラリアの熱帯および亜熱帯地域に、世界的に広く分布していて、最大多数の固有種を有する。これまでに、約330種類の化合物が、いろいろな Acacia 種から単離された。フラボノイド類は、Acacia から単離された化合物の主要なクラスである。約180種類の異なったフラボノイド類が識別されたが、その内111種類はフラバン類である。テルペノイド類は、Acacia 属の種から単離された化合物の2番目に大きいクラスであり、48種類の化合物が識別された。Acacia から単離された化合物の他のクラスには、アルカロイド類(28)、アミノ酸/ペプチド(20)、タンニン類(16)、炭水化物(15)、酸素複素環(15)および脂肪族化合物(10)が含まれる。(Buckingham, The Combined Chemical Dictionary, Chapman & Hall CRC, version 5:2, Dec. 2001)。
【0033】
フェノール化合物、具体的には、フラバン類は、全ての Acacia 種に中〜高濃度で見出される。(Abdulrazak et al. (2000) Journal of Animal Sciences. 13:935-940)。歴史的には、Acacia 属の植物および抽出物の大部分が、収斂薬として、胃腸障害、下痢、消化不良を処置するのにおよび出血を止めるのに利用されてきた。(Vautrin (1996) Universite Bourgogne (France) European abstract 58-01C:177; Saleem et al. (1998) Hamdard Midicus. 41:63-67)。Acacia 樹皮からの抽出物は、外用のために漂白剤として(Abe, JP10025238号)、歯科用途のグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤として(Abe, JP07242555号)、タンパク質合成阻害剤として(Fukai, JP07165598号)、皮膚外用製剤のための活性酸素スカベンジャーとして(Honda, JP07017847号,Bindra 米国特許第6,1266,950号)、および炎症、花粉症および咳を予防するヒアルロニダーゼ阻害剤として(Ogura, JP07010768号)、日本で特許を得た。
【0034】
ウンカリア(Uncaria)属には、34種が含まれるが、その多くは、薬用植物として周知である。Uncaria 植物は、創傷、および潰瘍、発熱、頭痛、胃腸病および微生物/ガンガル(gungal)感染の処置のためのいろいろな培養物によって利用されてきた。Uncaria 植物は、有意の量のカテキンおよび他のフラボン類を含有する。Uncaria 属において報告された他の成分には、アルカロイド類、テルペン類、キノビン酸グリコシド類、クマリン類およびフラボノイド類が含まれる。ウンカリア・ガンビル(Uncaria gambir)は、マレーシア、シンガポール、インドおよび他の東南アジア諸国に共通の種である。カテキン類は、Uncaria gambir の植物全体中の主要成分である。
【発明の開示】
【0035】
発明の要旨
本発明は、口腔、歯および歯肉に関連した疾患および状態の予防または処置に用いるためのエイコサノイド系およびサイトカイン系双方を同時に阻害する場合に有効である方法を包含する。エイコサノイド系およびサイトカイン系双方の同時二重モジュレーションの方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または複数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類とフラバン類との混合物を含んで成る組成物を全身にまたは局所に投与することを含んで成る。この組成物を、本明細書中においてUP676と称する。この方法の効力および安全性は、いろいろな細胞系、多数の動物モデル、そして最後にはヒト臨床研究において、精製された酵素で示される。組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内である。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の好ましい態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、Scutellaria 属植物のうちの一つまたは複数の植物より単離され、そしてフラバン類は、Acacia 属または Uncaria 属植物のうちの一つまたは複数の植物より単離される。
【0036】
本発明は、更に、口腔、歯および歯肉の疾患および状態の予防または処置の方法を包含する。これら口腔、歯および歯肉の疾患および状態を予防又は処置する方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または複数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類とフラバン類との混合物および薬学的に許容しうる担体を含む組成物の有効量を全身にまたは局所に投与することを含んで成る。組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内である。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択されうる。本発明の好ましい態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、Scutellaria 属植物のうちの一つまたは複数の植物より単離され、そしてフラバン類は、Acacia 属または Uncaria 属植物のうちの一つまたは複数の植物より単離される。
【0037】
本明細書中においてフリーB環フラボン類およびフラボノール類とも称される、次の発明によって用いることができるフリーB環フラボノイド類には、次の一般的な構造:
【0038】
【化5】
【0039】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH2、−NHR、−NR2、−NR3+X−、単一の糖または複数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され、ここにおいて、このグリコシドは、炭素、酸素、窒素または硫黄によって7−ヒドロキシクロモンに連結していて、そしてここにおいて、この単一の糖または複数の糖組合せには、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるが、これに制限されるわけではなく;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示される化合物が含まれる。
【0040】
本発明のフリーB環フラボノイド類は、合成法によって得ることができるし、またはバンレイシ科(Annonaceae)、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科(Bignoniaceae)、シクンシ科(Combretaceae)、キク科(Compositae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、シソ科(Labiatae)、クスノキ科(Lauranceae)、マメ科(Leguminosae)、クワ科(Moraceae)、マツ科(Pinaceae)、イノモトソウ科(Pteridaceae)、ヒメウラジロ科(Sinopteridaceae)、ニレ科(Ulmaceae)およびショウガ科(Zingiberaceae)が含まれるがこれに制限されるわけではない植物の科より抽出することができる。それらフリーB環フラボノイド類は、次の、デスモス(Desmos)、アキロクリン(Achyrocline)、オロキシルム(Oroxylum)、ブケナビア(Buchenavia)、アナファリス(Anaphalis)、コツラ(Cotula)、ハハコグサ(Gnaphalium)、ヘリクリスム(Helichrysum)、センタウレア(Centaurea)、フジバカモ(Eupatorium)、バッカリス(Baccharis)、シラキ(Sapium)、Scutellaria、モルサ(Molsa)、コレブローケア(Colebrookea)、スタキス(Stachys)、オリガヌム(Origanum)、ジジホラ(Ziziphora)、リンデラ(Lindera)、アクチノダフネ(Actinodaphne)、Acacia、デリス(Derris)、グリシリザ(Glycyrrhiza)、ミレティア(Millettia)、ポンガミア(Pongamia)、テフロシア(Tephrosia)、パンノキ(Artocarpus)、イチジク(Ficus)、ピチログランマ(Pityrogramma)、ノトレナ(Notholaena)、アカマツ(Pinus)、ハルニレ(Ulmus)およびハナミョウガ(Alpinia)が含まれるがこれに制限されるわけではない高等植物の属より抽出し、濃縮し、そして精製することができる。
【0041】
次の発明によって用いることができるフラバン類には、概して、次の一般的な構造:
【0042】
【化6】
【0043】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NRH;−NR2;−NR3+X−;挙げられた置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルが含まれるがこれに制限されるわけではないエステル、およびそれらの化学誘導体;単一の糖または複数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され、ここにおいて、このグリコシドは、炭素、酸素、窒素または硫黄によって7−ヒドロキシクロモンに連結していて、そしてここにおいて、この単一の糖または複数の糖組合せには、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体および他の重合フラバン類が含まれるが、これに制限されるわけではなく;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示される化合物が含まれる。
【0044】
本発明のフラバン類は、Acacia 属または Uncaria 属より選択される一つまたは複数の植物から得ることができる。好ましい態様において、その植物は、アカシア・カテキュ(Acacia catechu)、アカシア・コンシナ(Acacia concinna)、アカシア・ファルネシアナ(Acacia farnesiana)、アカシア・セネガル(Acacia Senegal)、アカシア・スペシオサ(Acacia speciosa)、アカシア・アラビカ(Acacia arabica)、A.シーシア(A. caesia)、A.ペナタ(A. pennata)、A.シニュータ(A. sinuata)、A.ミールンシイ(A. mearnsii)、A.ピクナンタ(A. picnantha)、A.ディールバタ(A. dealbata)、A.アウリクリホルミス(A. auriculiformis)、A.ホロセレシア(A. holoserecia)およびA.マンギウム(A. mangium);および Uncaria gambir、ウンカリア・ラノサ(Uncaria lanosa)、ウンカリア・ヒルステ(Uncaria hirsute)、ウンカリア・アフリカナ(Uncaria africana)、ウンカリア・エリプリカ(Uncaria elliplica)、ウンカリア・オリエンタリス(Uncaria orientalis)、ウンカリア・アテヌエート(Uncaria attenuate)、ウンカリア・アシダ(Uncaria acida)、ウンカリア・ホモマラ(Uncaria homomalla)、ウンカリア・セシリフルクツス(Uncaria sessilifructus)、ウンカリア・ステロフィラ(Uncaria sterrophylla)、ウンカリア・ベルネイシイ(Uncaria bernaysii)、ウンカリア・シネンシス(Uncaria sinensis)、ウンカリア・カロフィラ(Uncaria callophylla)、ウンカリア・リコフィラ(Uncaria rhychophylla)、ウンカリア・トメントサ(Uncaria tomentosa)、ウンカリア・ロンギフロラ(Uncaria longiflora)、ウンカリア・ヒルステ(Uncaria hirsute)、ウンカリア・コルダタ(Uncaria cordata)およびウンカリア・ボルネエンシス(Uncaria borneensis)から成る群より選択される。
【0045】
一つの態様において、本発明は、歯肉炎、攻撃的歯周炎、慢性歯周炎、歯根尖周囲歯周炎、全身性疾患の発現としての歯周炎、および壊死性歯周疾患などの歯周(歯肉)疾患が含まれるがこれに制限されるわけではない、口腔、歯肉および歯に関連した多数の疾患および状態を予防又は処置する方法を包含し、ここにおいて、それら歯周疾患の原因には、慢性細菌感染、歯垢蓄積、喫煙および/またはかみタバコによるタバコ慣習、遺伝的感受性、妊娠および思春期による、ストレス、薬剤、および糖尿病、栄養不良および他の全身性疾患が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0046】
もう一つの態様において、本発明は、敏感な歯肉および歯;続発症;歯髄炎;過敏;義歯の物理的植込み、外傷、損傷、歯ぎしり、および他の口腔内、歯肉上または舌上の軽症創傷に起因する痛みおよび炎症;歯垢および歯石;歯脱灰;タンパク質分解;およびう歯(う蝕)の予防または処置の方法を包含する。
【0047】
本発明は、更に、本発明の治療薬を含む治療的組成物を包含する。上記の口腔、歯および歯肉の疾患および状態の予防または処置のためのそれらの使用に加えて、本明細書中に記載の治療的組成物は、最適の唾液産生、唾液pH値を維持すること;細菌増殖を最小限にすること;歯垢酸(plague acids)の形成を減少させること;無機質減損を阻害すること;再石灰化を促進すること;う歯の有病率を減少させること;健康的な歯肉を生じること;歯を白くすること;健康的な口腔衛生を維持すること;および口腔悪臭(口臭)を減少させることにも有用でありうる。
【0048】
本発明による予防または処置の方法は、それを必要としている宿主に、単一の源または多数の源より単離され、製剤化されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の治療的有効量を全身にまたは局所に投与することを含む。個々のおよび/または混合物の多数のフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の純度には、一つまたは複数の化合物を得るのに用いられる方法に依存して、0.01%〜100%が含まれるが、これに制限されるわけではない。好ましい態様において、それを含有するフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の用量は、局所用製剤の全重量に基づき0.001%〜100%の範囲より概して選択される有効な無毒性量である。常套の臨床試験を行う当業者は、処置されている特定の疾患に最適な用量を決定することができる。
【0049】
本発明は、製剤を最適化し且つ所望の生理学的活性を得るための酵素モデルおよび in vivo モデルを用いた、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類のいろいろな組成物の評価を包含する。この製剤の効力および安全性は、ヒト臨床試験で示される。本発明の組成物は、当業者に知られているいずれかの方法によって投与することができる。投与様式には、経腸(経口)投与、非経口(静脈内、皮下および筋肉内)投与および局所適用が含まれるが、これに制限されるわけではない。一つの態様において、本発明による処置方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の治療的有効量を局所投与することを含む。局所投与の方法には、練り歯磨き剤、ゲル剤、軟膏剤、口内洗剤、チューインガム、チンキ剤、飲料、そして更には、他の既知の医薬製剤が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0050】
これまでのところ、本発明の出願人は、口腔、歯および歯肉に関連した疾患および状態の処置のための主要な生物学的活性成分としてフリーB環フラボノイド類およびフラバン類を組み合わせた製剤についてのいずれの報告も承知していない。フリーB環フラボノイドの芳香環の一つに置換が欠如していることは、これら化合物を口腔ケアに用いるのに有効にする場合にきわめて重要な役割を果たしている。多数の他の抗炎症薬および天然に存在する化合物とは異なり、バイカリンなどのフリーB環フラボノイドは、分子の一方の側に低極性芳香環を有し、そしてもう一方の側に、高極性グルクロニドおよび2個のヒドロキシル基を有する。この構造配置は、これら化合物が、歯肉組織中に容易に浸透し且つ保持されることを可能にする。本明細書中においてUP676と称する組成物を生じるフリーB環フラボノイド類とフラバン類との組合せは、歯周疾患の全四段階の炎症を含めた歯周組織の炎症を制御するのに役立つであろうエイコサノイド系およびサイトカイン系双方の相乗的且つ強力なモジュレーターを与える。更に、異なった生物学的利用率、すなわち、上皮細胞膜に浸透する生物学的活性化合物の割合および百分率、および歯周組織中の生物学的活性化合物の局部濃度のために、二つの異なったタイプの化合物(極性が高い方のフラバン類対極性が低い方のフリーB環フラボノイド類)の組合せは、生物学的に活性なフラバン類による、現場の痛みおよび急性炎症双方の速やかな軽減、更には、生物学的に活性なフリーB環フラボノイド類による、歯周組織の慢性炎症についての一層長く続くモジュレーションを与える。最後に、比較的濃度が低い方のフラバン類(20重量%)を含む有意の量のフリーB環フラボノイド類(80重量%)の製剤の好ましい態様において、より強力な抗酸化性フラバン類は、フリーB環フラボノイド類の酸化的分解に対する天然の保存剤としても機能するし、そして組成物を中和し且つ緩衝化して、主要な活性化合物の送達を可能にする、すなわち、フリーB環フラボノイド類を最適なpHおよびイオン化条件にするようにも機能するであろう。
【0051】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は双方とも、単に代表するものであり且つ詳しく説明するものであり、請求の範囲に記載の発明を制限するものではないということは理解されるはずである。
【0052】
好ましい態様の詳細な説明
種々の用語が、本明細書中において本発明の側面を論じるのに用いられている。本発明の成分の説明を明確にする助けとなるように、次の定義を与える。
【0053】
本明細書中で用いられる「a」または「an」という用語は、一つまたはそれを超えるものを意味するということに留意すべきである;例えば、「a flavonoid」」とは、1以上のフラボノイド類のことをいう。従って、「a」または「an」、「一つまたはそれを超える」および「少なくとも一つ」という用語は、本明細書中において相互交換可能に用いられる。
【0054】
本明細書中で用いられる「フリーB環フラボノイド類」は、次の一般的な構造:
【0055】
【化7】
【0056】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH2、−NHR、−NR2、−NR3+X−、単一の糖または複数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され、ここにおいて、このグリコシドは、炭素、酸素、窒素または硫黄によって7−ヒドロキシクロモンに連結していて、そしてここにおいて、この単一の糖または複数の糖組合せには、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるが、これに制限されるわけではなく;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示されるように、芳香族B環上に置換基を有していない特定のクラスのフラボノイド類である。
【0057】
本明細書中で用いられる「フラバン類」とは、次の一般的な構造:
【0058】
【化8】
【0059】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NRH;−NR2;−NR3+X−;挙げられた置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルが含まれるがこれに制限されるわけではないエステル、およびそれらの化学誘導体;単一の糖または複数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され、ここにおいて、このグリコシドは、炭素、酸素、窒素または硫黄によって7−ヒドロキシクロモンに連結していて、そしてここにおいて、この単一の糖または複数の糖組合せには、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体および他の重合フラバン類が含まれるが、これに制限されるわけではなく;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって一般的に示すことができる特定のクラスのフラボノイド類を意味する。
【0060】
本明細書中で用いられる「治療的」には、処置および/または予防が含まれる。用いられる場合、治療的は、ヒト並びに他の動物についてである。
「薬学的にまたは治療的に有効な用量または量」とは、望ましい生物学的結果を引き起こすのに充分な投薬量レベルを意味する。その結果は、疾患の徴候、症状または原因の軽減、または望まれる生体系のいずれか他の変化であってよい。正確な投薬量は、対象の齢およびサイズ、疾患および行われている処置が含まれるがこれに制限されるわけではない種々の因子によって異なるであろう。
【0061】
「プラシーボ」とは、疾患の徴候、症状または原因を軽減することができる望ましい生物製剤を誘導するのに充分な薬学的にまたは治療的に有効な用量または量の、非活性物質での代用を意味する。
【0062】
「宿主」または「患者」は、本明細書中に記載の組成物が投与される、生きている対象、ヒトまたは動物である。したがって、本明細書中に記載の発明は、獣医学並びにヒトの用途に用いることができ、「患者」または「宿主」という用語は、制限するように解釈されるべきではない。獣医学用途の場合、投薬量範囲は、下記のように、動物の体重を考慮して決定することができる。
【0063】
本明細書中で用いられる「薬学的に許容しうる担体」とは、活性成分の生物学的活性の有効性を妨げることがなく、しかもそれが投与される宿主にとって毒性でないいずれかの担体を意味する。「薬学的に許容しうる担体」の例には、生理食塩水、すなわち、リンガー溶液、緩衝化生理食塩水、水、デキストロース溶液、血清アルブミン、および錠剤成形用およびカプセル剤成形用製剤のための他の賦形剤および保存剤のような、いずれかの標準的な医薬担体が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0064】
「遺伝子発現」とは、mRNAへの遺伝子の転写を意味する。
「タンパク質発現」とは、タンパク質へのmRNAの翻訳を意味する。
本明細書中で用いられる「RT−qPCR」とは、mRNA分子をcDNA分子中に逆転写(RT)後、蛍光レポーターとカップリングしたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、その遺伝子発現レベルを定量的に評価する方法を意味する。
【0065】
本出願中に、種々の引用が与えられていることに留意されたい。引用は各々、参照により本明細書中にそのまま具体的に取り込まれる。
本発明は、Scutellaria 属からの3種およびオロキシルム・インディクム(Oroxylum indicum)を含めた、フリーB環フラボノイド類を含有する植物、および Uncaria 属からの3種および Acacia catechu を含めた、フラバン類を含有する植物の、有機溶媒および水性溶媒での抽出方法(実施例1、表1)を提供する。それら粗製抽出物を、シクロオキシゲナーゼ阻害活性について検定した(実施例2、表2および表3)。精製されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類は、実施例3および実施例4および表4に示されるように、シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)それぞれに対して阻害活性を示した。それら抽出物を分析するおよび定量する方法は、実施例5および実施例6に記載され、そして標準化されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類を植物起原から生じる手順は、実施例7および実施例8に与えられる。
【0066】
本発明の一つの態様において、標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物は、実施例1、実施例2、実施例5および実施例8に定義のように、(重量で)1〜99%の純度の全フリーB環フラボノイド類を有する活性化合物を含んで成る。バイカリンは、Scutellaria 種に由来する抽出物中の主要活性成分であり、全フリーB環フラボノイド類の(重量で)約50〜90%を占める。好ましい態様において(実施例9)、Scutellaria 種に由来する標準化された抽出物は、>82%の全フリーB環フラボノイド類を含有し、そのフリーB環フラボノイド類の重量での主要成分はバイカリンである(表11を参照されたい)。
【0067】
本発明の一つの態様において、標準化されたフラバン抽出物は、実施例1、実施例4、実施例6および実施例7に定義のように、(重量で)1〜99%の純度の全フラバン類を有する活性化合物を含んで成る。カテキンは、Acacia catechu および Uncaria gambir 双方に由来する抽出物中の主要活性成分であり、全フラバン類の(重量で)30〜95%を占める。好ましい態様において(実施例9)、Acacia catechu に由来する標準化されたフラバン抽出物は、>80%のカテキン類を含有する。
【0068】
一つの態様において、UP676は、上の二つの抽出物または合成化合物を99:1〜1:99の比率で混合することによって製造される。フリーB環フラボノイド類対フラバン類の好ましい重量/重量比は、実施例9および表11に定義のように、80:20である。
【0069】
UP676中のフリーB環フラボノイド類の濃度は、約1%〜99%でありうるし、UP676中のフラバン類の濃度は、約99%〜1%でありうる。実施例9および表11に示されるような本発明の好ましい態様において、UP676中の全フリーB環フラボノイド類の濃度は、約75%で、UP676の全重量の約60%のバイカリン含量を有し;そしてUP676中の全フラバン類の濃度は、約10%で、約9.9%のカテキン含量を有する。この態様において、UP676中の全活性成分(フリーB環フラボノイド類+フラバン類)は、全重量の>85%である。
【0070】
本発明は、歯周疾患および歯肉状態の予防または処置に用いるための、エイコサノイドおよびサイトカイン双方の経路を同時に阻害する場合に有効である方法を包含する。エイコサノイド経路およびサイトカイン経路の二重モジュレーションの方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含んで成る組成物を全身にまたは局所に投与することを含んで成る。この組成物を、本明細書中においてUP676と称する。この方法の効力は、いろいろな細胞系、多数の動物モデル、そして最後にはヒト臨床研究において、精製された酵素で示される。組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内である。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の好ましい態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、Scutellaria 属植物のうちの一つまたは複数の植物より単離され、そしてフラバン類は、Acacia 属植物のうちの一つまたは複数の植物より単離される。
【0071】
本発明は、更に、シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)酵素活性を同時に阻害する方法を包含する。シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)酵素活性を同時に阻害する方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物および薬学的に許容しうる担体を含んで成る組成物の有効量を全身にまたは局所に投与することを含んで成る。その組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内である。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の好ましい態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、Scutellaria 属植物のうちの一つまたは複数の植物より単離され、そしてフラバン類は、Acacia 属植物のうちの一つまたは複数の植物より単離される。
【0072】
本発明に更に包含されるのは、口腔、歯肉および歯に関連した疾患および状態の予防または処置に用いるための、IL−1β、TNFαおよびIL−6並びに炎症に関連した他のタンパク質を同時に減少させるための方法である。理論によって制限されることはないが、これらタンパク質を減少させる機構は、本発明の組成物によるそれらの遺伝子発現のダウンレギュレーションの結果であると考えられる。炎症誘発性サイトカイン、特に、IL−1β、TNFαおよびIL−6は、歯周組織中の慢性感染において不可欠な役割を果たしている。炎症誘発性サイトカインの合成の誘導は、PDL細胞の表現型および機能に影響する。これらサイトカインは、免疫細胞を活性化し且つ感染部位に補充するのみならず、支持骨および靱帯結合の減損を引き起こす。炎症誘発性サイトカインの、特に、IL−1β、TNFαおよびIL−6の遺伝子発現の同時抑制方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含んで成る組成物を全身にまたは局所に投与することを含んで成る。この組成物を、本明細書中においてUP676と称する。組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内である。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の好ましい態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、20:80である。もう一つ好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、Scutellaria 属植物のうちの一つまたは複数の植物より単離され、そしてフラバン類は、Acacia 属植物のうちの一つまたは複数の植物より単離される。
【0073】
一つの態様において、本発明は、歯肉炎、攻撃的歯周炎、慢性歯周炎、歯根尖周囲歯周炎、全身性疾患の発現としての歯周炎、および壊死性歯周疾患を含めた歯周(歯肉)疾患が含まれるがこれに制限されるわけではない、口腔、歯肉および歯に関連した多数の疾患および状態を予防又は処置する方法を包含し、ここにおいて、それら歯周疾患の原因には、慢性細菌感染、歯垢蓄積、喫煙および/またはかみタバコによるタバコ慣習、遺伝的感受性、妊娠および思春期による、ストレス、薬剤、および糖尿病、栄養不良および他の全身性疾患が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0074】
もう一つの態様において、本発明は、敏感な歯肉および歯、続発症、歯髄炎、過敏、および義歯の物理的植込みおよび他の材料に起因する痛みの予防または処置の方法;創傷治癒を促進し、外傷、損傷、歯ぎしり、および他の口腔内、歯肉上または舌上の軽症創傷に起因する痛みおよび炎症を減少させる方法を包含する。更にもう一つの態様において、本発明は、歯垢および歯石、歯脱灰、タンパク質分解およびう歯(う蝕)の予防または処置の方法を包含する。
【0075】
本発明は、更に、本発明の治療薬を含む治療的組成物を包含する。上記の口腔、歯および歯肉の疾患および状態の予防または処置のためのそれらの使用に加えて、本明細書中に記載の治療的組成物は、最適の唾液産生、唾液pH値を維持すること;細菌増殖を最小限にすること;歯垢酸の形成を減少させること;無機質減損を阻害すること;再石灰化を促進すること;う歯の有病率を減少させること;健康的な歯肉を生じること;歯を白くすること;健康的な口腔衛生を維持すること;および口腔悪臭(口臭)を減少させることにも有用でありうる。
【0076】
本発明によって用いることができるフリーB環フラボノイド類には、上に挙げられた一般的な構造によって示される化合物が含まれる。本発明のフリーB環フラボノイド類は、合成法によって得ることができるし、または Annonaceae、Asteraceae、Bignoniaceae、Combretaceae、Compositae、Euphorbiaceae、Labiatae、Lauranceae、Leguminosae、Moraceae、Pinaceae、Pteridaceae、Sinopteridaceae、Ulmaceae および Zingiberaceae が含まれるがこれに制限されるわけではない植物の科より単離することができる。それらフリーB環フラボノイド類は、次の、Desmos、Achyrocline、Oroxylum、Buchenavia、Anaphalis、Cotula、Gnaphalium、Helichrysum、Centaurea、Eupatorium、Baccharis、Sapium、Scutellaria、Molsa、Colebrookea、Stachys、Origanum、Ziziphora、Lindera、Actinodaphne、Acacia、Derris、Glycyrrhiza、Millettia、Pongamia、Tephrosia、Artocarpus、Ficus、Pityrogramma、Notholaena、Pinus、Ulmus および Alpinia が含まれるがこれに制限されるわけではない高等植物の属より抽出し、濃縮し、そして精製することができる。それらフラボノイド類は、茎、茎皮、小枝、塊茎、根、根皮、ヤングシュート(young shoots)、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分が含まれるがこれに制限されるわけではない、植物のいろいろな部分に見出されうる。
【0077】
フリーB環フラボノイド類の単離および精製の方法は、2002年3月1日出願の「Identification of Free-B-ring Flavonoids as Potent Cox-2 Inhibitors」と称する米国出願第10/091,362号および2003年8月27日出願の「Identification of Free-B-ring Flavonoids as Potent Cox-2 Inhibitors」と称する米国出願第10/469,275号に記載されているが、それらは各々、参照により本明細書中にそのまま取り込まれる。
【0078】
本発明の方法によって用いることができるフラバン類には、上に挙げられた一般的な構造によって示される化合物が含まれる。本発明のフラバン類は、Acacia 属または Uncaria 属の植物より選択される一つまたは複数の植物から単離される。好ましい態様において、その植物は、Acacia catechu(A.catechu)、A.concinna、A.farnesiana、A.Senegal、A.speciosa、A.arabica、A.caesia、A.pennata、A.sinuata、A.mearnsii、A.picnantha、A.dealbata、A.auriculiformis、A.holoserecia およびA.mangium;または Uncaria gambir、Uncaria lanosa、Uncaria hirsute、Uncaria africana、Uncaria elliplica、Uncaria orientalis、Uncaria attenuate、Uncaria acida、Uncaria homomalla、Uncaria sessilifructus、Uncaria sterrophylla、Uncaria bernaysii、Uncaria sinensis、Uncaria callophylla、Uncaria rhychophylla、Uncaria tomentosa、Uncaria longiflora、Uncaria hirsute、Uncaria cordata および Uncaria borneensis から成る群より選択される。それらフラバン類は、茎、茎皮、幹、樹皮、小枝、塊茎、根、根皮、ヤングシュート、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分が含まれるがこれに制限されるわけではない、植物のいろいろな部分に見出されうる。
【0079】
フラバン類の単離および精製の方法は、2002年3月22日出願の「Isolation of a Dual Cox-2 and 5-Lipoxygenase Inhibitor from Acacia」と称する米国出願第10/104,477号に記載されているが、それは、参照により本明細書中にそのまま取り込まれる。
【0080】
本発明は、一連の in vivo の炎症および毒性の研究、更には、in vitro の生化学的、細胞および遺伝子発現のスクリーニングを組み合わせる戦略を行って、COXおよびLOX酵素活性を特異的に阻害する;mRNA遺伝子発現に強く影響を与える;そして炎症を減少させる活性な植物抽出物を識別する。COXおよびLOXを特異的に阻害する活性な植物抽出物を識別するのに本明細書中で用いられる方法は、実施例1および実施例2に、更には、各々参照により本明細書中にそのまま取り込まれる2002年3月1日出願の「Identification of Free-B-ring Flavonoids as Potent Cox-2 Inhibitors」と称する米国出願第10/091,362号;2002年3月22日出願の「Isolation of a Dual Cox-2 and 5-Lipoxygenase Inhibitor from Acacia」と称する米国出願第10/104,477号;および2003年4月30日出願の「Formulation With Dual Cox-2 And 5-Lipoxygenase Inhibitory Activity」と称する米国出願第10/427,746号に記載されている。
【0081】
本発明の組成物のいろいろな使用は、2004年2月24日出願の「Inhibition of Carbohydrate Induced Obesity with a Defined Plant Extract」と称する米国出願第10/785,704号;2004年4月2日出願の「Formulation of Dual COX-2 and 5-Lipoxygenase Inhibitors for Mammal Skin Care」と称する米国出願第10/817,330号;2004年9月1日出願の「Formulation With Dual COX-2 and 5-Lipoxygenase Inhibitory Activity for Use in the Prevention and Treatment of Cognitive Decline and Age-Related Memory Impairments」と称する米国出願第10/932,571号;および2004年8月27日出願の「Therapeutic Agent for the Down-Regulation of Multiple Cytokine Genes」と称する米国出願第60/605,110号に記載されている。これら出願は各々、参照により本明細書中にそのまま取り込まれる。
【0082】
COXの阻害を測定するのに用いられる生化学的検定は、ヘムおよびアラキドン酸の存在下におけるタンパク質のペルオキシダーゼ活性に頼っている。実施例3に記載されているこの研究は、精製されたフリーB環フラボノイド類;S.baicalensis より単離されたバイカリンおよびバイカレイン;およびA.catechu より単離されたフラバン抽出物;および高濃度のフリーB環フラボノイド類およびフラバン類を含有する個々の標準化された抽出物各々が、COX活性を阻害したことを示している(図1〜5)。更に、実施例9に示されるように製造された、異なった比率の個々の標準化された抽出物各々(すなわち、80:20、50:50および20:80のフリーB環フラボノイド類:フラバン類)を有する組成物は全て、in vitro でCOX活性を阻害するのにきわめて有効であった(図6〜8)。
【0083】
更に、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の組合せは、COX−1およびCOX−2酵素の一層平衡したモジュレーションを与えるということが明らかに示される。例えば、COX−1選択的阻害剤であるアスピリンは、COX−2よりもCOX−1に対して150倍を超えて強力であるが、胃腸の副作用を引き起こす。逆に、COX−1酵素よりもCOX−2酵素に対して50〜200倍大きい効力を有する選択的COX−2阻害剤である Vioxx、セレブレクス(celebrex)および Bextra は、胃腸損傷をそれほど引き起こすことはないが、しかしながら、これらCOX−2選択的薬物は、心臓血管の危険を増加させる。他方、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の製剤は、バイカリンの大きい方のCOX−2活性と、カテキンの大きい方のCOX−1活性との間に平衡を与える。COX−1酵素に対するUP676製剤中のカテキンの中程度の選択性(2.3倍)は、選択的COX−2阻害剤による心臓血管の危険を減少させるように機能する。
【0084】
更に、上に論じられた現在利用可能な薬物と天然製剤UP676との間で、作用機構が全く異なるということは有意である。アスピリン、Vioxx、セレブレクスおよび Bextra は、共有結合によってCOX酵素に不可逆的に結合して、強固に結合した酵素−阻害剤複合体を形成する。このような劇的相互作用は、酵素の活性部位およびサイドポケットを完全に変化させ且つ酵素を破壊する。(Walker MC., Kurumbal RG., et al. (2001) Biochem. 357:709-718)。他方、UP676中のフラボノイド類は、それらの抗酸化性のために、一層弱い且つ可逆的な結合によってCOX酵素を阻害する。この相互作用過程において、COX酵素の構造および機能は、不可逆的に変更されることはないので、UP676について、はるかにより良い耐性および安全プロフィールを生じる。
【0085】
A.catechu より単離されたフラバン抽出物によるLOX活性の阻害は、実施例4に記載のように、in vitro のリポキシゲナーゼスクリーニング検定を用いて評価した。それら結果は、図9に示される。フリーB環フラボノイド類へのフラバン類の添加によって、UP676は、5−LOXの活性をも阻害する。5−LOXの阻害は、慢性炎症の症状に直接的に関連している食細胞ロイコトリエンの蓄積の減少を引き起こし、そして更に、潜在的な胃腸の副作用を減少させる。このような効力は、実施例10および図11および図12に示される。簡単にいうと、LOX経路のアラキドン酸の分解における化合物、すなわち、ロイコトリエンB4の阻害を標的とした細胞検定を、実施例10に記載のように、UP676試料を用いて行った。UP676によるLTB4の阻害は、図12に示される。この図によって示される結果に関して、フリーB環フラボノイド類とフラバン類との組合せが、ロイコトリエン産生を有意に減少させるという追加の利点を与えることは明らかである。ロイコトリエン産生のこの減少は、イブプロフェンなどの伝統的な非ステロイド性抗炎症薬よりもはるかに優れている。
【0086】
実施例11は、UP676が、ヒト細胞中のIL−1β、TNFαおよびIL−6を含めた一群の炎症誘発性サイトカインの遺伝子発現を有効に抑制するということを示している。それら実験は、リポ多糖(LPS)で刺激されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)で行ったが、それは、十分に確立された炎症細胞モデルである。それら細胞を、いろいろな濃度(0、10μg/mL、30μg/mLおよび100μg/mL)でのUP676と一緒にインキュベートした場合、炎症誘発性サイトカインの遺伝子発現は、用量依存方式で抑制された。(表12)。
【0087】
炎症誘発性サイトカイン、特に、IL−1β、TNFαおよびIL−6は、歯周組織中の慢性感染において不可欠な役割を果たしている。それらは、免疫細胞を活性化し且つ感染部位に補充するのみならず、支持骨および靱帯結合の減損を引き起こす。これらサイトカイン遺伝子のmRNAレベルは、罹患した歯周組織において上昇し、そして炎症誘発性サイトカインの合成は、PDL細胞の表現型および機能に影響するということが、十分に確かめられている。UP676は、IL−1β、TNFαおよびIL−6を含めた炎症誘発性サイトカインを、mRNAレベルで劇的に同時抑制するので、それは、歯周疾患を処置する有効な方法を与える。
【0088】
in vivo 効力は、実施例12に記載のように、(微生物感染および歯垢への歯周組織の生物学的応答を模擬する)マウスの耳および足関節へのAAなどの皮膚刺激性物質の適用によっておよびUP676で処置したマウスにおける腫脹の減少を測定することによって示した。それら結果は、図13に示される。この図に関して、50mg/kg〜200mg/kgの投薬量でのUP676の経口投与は、局部刺激物によるマウス耳腫脹を有意に減少させるということが理解されうる。
【0089】
UP676の局所適用の効力は、更に、実施例13および図14に示されるように、別の動物モデルを用いて、UVで誘導される皮膚紅斑を予防又は処置することによって示した。実施例13に記載の研究において、80:20のフリーB環フラボノイド類:フラバン類ブレンド比のUP676を、水中に溶解させ、そして2種類の濃度で、無毛マウスの皮膚に、UV暴露の前にも後にもそれぞれ局所適用した。四つのUP676群からの無毛マウスの紅斑スコアは、どちらの濃度でも、そしてUV暴露の前または後のような適用時間とは無関係に、Sooth−A Cain で処置された群および対照群双方における重症の且つ拡大した紅斑と比較したところ、全てが、より小さい皮膚面ではるかに少ない赤みを示した。この研究は、UP676が、無毛マウスの皮膚中に浸透して、炎症反応を減少させることができるということを示している。理論によって制限されることはないが、この結果は、エイコサノイドおよびサイトカイン双方の経路の同時阻害によって達せられると考えられる。
【0090】
実施例14(表13)は、薬理学的に、皮膚科学的におよび化粧用に許容しうる賦形剤を用いたUP676クリーム剤の一般的な製造方法を記載している。詳しく説明するために、この実施例は、0.5wt%のUP676局所クリーム剤の詳細な製造方法を与える。本発明の組成物は、医薬組成物として製剤化することもでき、それらは、薬学的におよび/または化粧用に許容しうる賦形剤、アジュバント、フレーバーおよび/または担体などの他の成分を包含する。例えば、本発明の組成物は、処置される宿主が耐性でありうる賦形剤中で製剤化することができる。賦形剤は、薬物用の希釈剤またはビヒクルとして用いられる不活性物質である。このような賦形剤の例には、水、アルコール(エタノールまたはエチレングリコール、プロピレングリコール)、緩衝液、生理食塩水、水和シリカ、デキストロース溶液、セルロースガム、ソルビトール、マンニトール、保存剤および他の水性の生理学的平衡塩類溶液が含まれるが、これに制限されるわけではない。治療的組成物は、更に、等張性および化学的安定性を増大させる物質のような、微量の添加剤を含有することができる。実施例17に示されるように、このような保存剤には、BHA、BHT、クエン酸ジアンモニウム(DAC)、ブチル化ヒドロキシトルエン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、H2O2、没食子酸プロピル(PG)、グルコン酸ナトリウム(SG)、および重硫酸/メタ重亜硫酸ナトリウム(SBS)、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化第一スズ、フッ化第一スズ、安息香酸ナトリウム、安息香酸が含まれるが、これに制限されるわけではない。不揮発性油、ゴマ油、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの非水性ビヒクルを用いてもよい。他の有用な製剤には、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、キサンタンガム、メチルセルロースまたはデキストランなどの粘度増強剤を含有する懸濁剤が含まれる。緩衝液の例には、リン酸緩衝液、重炭酸緩衝液、トリス緩衝液、ヒスチジン、シトレートおよびグリシン、またはそれらの混合物が含まれ、保存剤の例には、チメロサール、m−またはo−クレゾール、ホルマリンおよびベンジルアルコールが含まれるが、これに制限されるわけではない。標準的な製剤は、投与用の懸濁液または溶液として適する形式で吸収されうる液剤か、ゲル剤か、ペースト剤かまたは固形剤でありうる。
【0091】
一つの態様において、組成物は、本発明の組成物を宿主中に徐々に放出する制御放出製剤として製造される。本明細書中で用いられる制御放出製剤は、本発明の組成物を制御放出ビヒクル中に含む。適する制御放出ビヒクルは、当業者に知られているであろう。好ましい制御放出製剤は、生分解性(すなわち、生物侵食性)である。
【0092】
実施例15は、pHおよび保存剤双方が異なる溶液中のカテキンの安定性を示している。カテキンは、この化合物を一層酸性にし且つ酸化的ストレスに敏感にする4個のフェノール性ヒドロキシル基を含有する。カテキンのきわめて高い酸素ラジカル吸収能(Oxygen Radical Absorption Capacity)(20,000でのORAC)は、その抗酸化性を示している。pH、H2O2および金属イオンの存在のような、いろいろな条件下における純粋カテキンのストレス試験に基づき、図15に示されるように、カテキンは、中性条件下において4℃および40℃双方で安定であるが、塩基性条件下では、またはFe3+などの金属イオンに暴露された場合は、安定でないということが確認された。弱塩基性条件下(pH=7.5)でさえも、カテキンは分解する。しかしながら、それは、図16に示されるように、塩化第一スズ(SnCl2)、重硫酸/メタ重亜硫酸ナトリウム(SBS)および他の保存剤が含まれるがこれに制限されるわけではない多数の保存剤によって保存することができる。
【0093】
これら二つのクラスの化合物を組み合わせるもう一つの利点は、比較的濃度が低い方のフラバン類(20重量%)を含む有意の量のフリーB環フラボノイド類(80重量%)の製剤である好ましい態様において、より強力な抗酸化的フラバン類は、酸化的分解に対する天然の保存剤として機能し且つ中和剤および緩衝剤として、主要活性成分であるフリーB環フラボノイド類を最適pHおよびイオン化条件で送達する形式で作用する。
【0094】
実施例16は、ヒトに経口投与後のUP676中の活性成分のバイオアベイラビリティーを示している。それら結果は、図17に示される。図17に関して、この分析で認められる幅広のエラーバーは、被験者間の個体変動のためである。性別および体重差は、CmaxおよびTmaxまたは吸収およびクリアランスについて認められる差と相関していなかった。UP676中のフリーB環フラボノイド類は、上皮細胞を介して浸透することができるということが明らかに示される。しかしながら、血清などのヒト体液中のフリーB環フラボノイド類の存在は、バイカレインなどのアグリコン形ではなく、むしろバイカリンまたは硫化バイカレインなどの共役した構造である。血清中のフリーB環フラボノイド類の全濃度を定量するために、共役した化合物を全て、二つの酵素を用いて加水分解して、アグリコン、すなわち、バイカレインを放出させた後、それをHPLCによって定量した。
【0095】
表14は、バイカレイン濃度について認められた最大値(Cmax,μg/mL)および各々の被験者についてそれらが認められた時間(Tmax,時)を示す。そのデータは、ほとんどの被験者について、最初の投与後4〜8時間で最大濃度に達したということを示している。平均Cmaxは、0.93μg/mL(%RSD=84.9)であり、平均Tmaxは、約5.8時間(%RSD=43.4)であった。このデータに基づき、吸収およびクリアランスの平均時間を計算し、被験群全部についてプロットした(図17)。UP676によるCOX阻害のIC50値は、図6に示されるように、0.2〜0.4μg/mLであるので、有効な濃度に達するには、UP676について、経口投与後約2時間を要する。しかしながら、フリーB環フラボノイド類の血清濃度は、経口投与後約10時間は治療的レベルより上に保たれるであろう。フリーB環フラボノイド類による急速バイオアベイラビリティーの不足を補うために、カテキンタイプフラバン類の製剤が、相補的(complimenatry)利点を与える。カテキン、ケルセチンおよびエピガロカテキン−3−ガレートのバイオアベイラビリティーの研究(Kao et al. (2000) Endocrinology 141(3):980-987; Koga and Meydani (2001) Am. J. Clin. Nutr. 73:941-948; Lee et al. (2002) Cancer Epidermiol. Biomaker Prevention 11:1025-1032)は、カテキンのCmaxおよびTmaxが速やかに(約45分)生じることを示し、そして半減期は2時間であると報告された。したがって、フリーB環フラボノイド類とフラバン類とを組み合わせることにより、速やかに浸透するカテキンは、経口投与後約0.5時間で有効血清濃度に達する。カテキン濃度が降下した時、第二活性成分であるフリーB環フラボノイド類が、経口投与後12時間まで続くであろう生体活性濃度に達する。結論として、UP676製剤は、カテキンなどのフラバン類によって生じる速やかな現場歯周痛減少および抗炎症作用、およびバイカリンなどのフリーB環フラボノイド類によって生じる一層長く続く作用を有するように設計された。このような相乗的作用および相補的作用は、処方の局所送達によっても実現されるであろう。
【0096】
実施例17は、ヒト皮膚へUP676を局所適用することの安全性を示している。実施例9および実施例14に示されるような製剤されたUP676を、ヒト皮膚上で、接触感作の誘導および潜在的刺激について評価した。合計97人および101人の被験者に、それぞれ0.5%および1.5%のUP676クリーム剤で誘導およびチャレンジを行った。試験結果は、0.5%および1.5%濃度のUP676クリーム剤が、最小限の刺激を生じるが、誘導接触感作の証拠を引き出すことはないということを示している。
【0097】
結論として、本発明の組成物は、当業者に知られているいずれの方法によっても投与することができる。投与様式には、経腸(経口)投与、非経口(静脈内、皮下および筋肉内)投与および局所適用が含まれるが、これに制限されるわけではない。本発明による処置方法は、それを必要としている患者に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の治療的有効量を体内にまたは局所に投与することを含む。一つの態様において、組成物は局所投与される。本発明の治療薬は、ペースト剤、軟膏剤、ゲル剤、ローション剤、または口内リンス液、またはクリーム基剤として、または乳剤として、パッチ、包帯剤またはマスク、非粘着性ガーゼ、包帯、綿棒またはクロスワイプ(cloth wipe)としてが含まれるがこれに制限されるわけではない、治療的組成物を局所投与するための当業者に知られているいずれか適する手段によって局所投与される。このような局所適用は、いずれかの罹患面に、歯ブラシでのブラッシング、デンタルフロス上のコーティング、スワブでの適用または液体またはゲルでのすすぎ洗浄のような、局所投与について知られているいずれか標準的な手段を用いて局部的に投与することができる。治療的組成物は、投与方法に依存して、いろいろな単位剤形で投与することができる。具体的な送達方法について、本発明の治療的組成物は、本発明の賦形剤中で製剤化することができる。本発明の治療的試薬は、いずれかの宿主に、好ましくは、哺乳動物に、より好ましくは、ヒトに投与することができる。具体的な投与様式は、処置される状態に依存するであろう。
【0098】
一つの態様において、適する軟膏剤は、概して、局所製剤の全重量に基づく0.001%〜100%、練り歯磨き剤の0.05〜5%(好ましくは、0.1〜5%)、口内洗浄液の0.01〜5%(好ましくは、0.2〜1%)、およびエマルジョンゲル剤またはクリーム剤の0.1〜25%(好ましくは、0.5〜5%)の範囲より選択される有効な無毒性量である所望の濃度のフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含んで成る。
【0099】
投与方式とは無関係に、具体的な用量は、宿主のおよその体重によって計算される。上述の製剤各々を伴う処置に適当な投薬量を決定するのに必要な計算の更なる改良は、当業者によって常套的に行われ、特に、本明細書中に開示された投薬量情報および検定に照らして、過度の実験を伴うことなく彼らによって常套的に行われる作業の範囲内である。これら投薬量は、適当な用量反応データと一緒に利用される投薬量を決定するための確立された検定の使用によって確かめることができる。
【0100】
本明細書中に記載の発明は、獣医学並びにヒト用途に用いることができるということ、および「宿主」という用語は、制限するように解釈されるべきではないということに留意すべきである。獣医学用途の場合、投薬量範囲は、上記のように、動物の体重を考慮して決定することができる。
【0101】
次の実施例は、単に例示の目的で与えられており、発明の範囲を制限するためのものではない。
【実施例】
【0102】
実施例1.Acacia および Scutellaria 植物からの有機抽出物および水性抽出物の製造
Acacia catechu(L)Willd. 皮、スクテラリア・オルトカリクス(Scutellaria orthocalyx)根または Scutellaria baicalensis 根またはスクテラリア・ラテリフロラ(Scutellaria lateriflora)植物全体、およびいろいろな Oroxylum 種および Uncaria 種からの植物材料を、2mm以下の粒度に粉砕した。次に、乾燥され粉砕された植物材料(60g)を、エレンマイヤーフラスコに移し、メタノール:ジクロロメタン(1:1)(600mL)を加えた。その混合物を1時間振とうし、濾過し、そのバイオマスを、メタノール:ジクロロメタン(1:1)(600mL)で再度抽出した。有機抽出物を一緒に、真空下で蒸発させて、有機抽出物を与えた(下の表1を参照されたい)。有機抽出後、バイオマスを自然乾燥させ、超純水(600mL)で1回抽出した。その水溶液を濾過し、凍結乾燥させて、水性抽出物を与えた(下の表1を参照されたい)。
【0103】
【表2】
【0104】
実施例2.Acacia catechu、各種 Scutellaria 種および他の植物からの植物抽出物によるCOX−2およびCOX−1ペルオキシダーゼ活性の阻害
特異的COX−2阻害剤の識別のための、バイオアッセイに支配されたスクリーニング法を設計して、下記の酵素のペルオキシダーゼ活性を検定した。
【0105】
ペルオキシダーゼ検定。COX−2の阻害剤を検出する検定を、高処理プラットフォーム(Raz)用に変更した。簡単にいうと、ペルオキシダーゼ緩衝液(100mM TBS、5mM EDTA、1μMヘム、1mgエピネフリン、0.094%フェノール)中のリコンビナントヒツジCOX−2(Cayman)を、抽出物(1:500希釈)と一緒に15分間インキュベートした。Quantablu(Pierce)基質を加え、25℃で45分間発色させた。次に、ルミネセンスを、Wallac Victor 2プレートリーダーを用いて読み取った。それら結果を、表2に示す。
【0106】
表2は、A.catechu の皮、2種類の Scutellaria 種の根を含めた3種類の植物種から得られた、構造的に類似したフリーB環フラボノイド類を含んで成る有機(20μg/mL)および水性(20μg/mL)抽出物によるCOX−2酵素の阻害を示している。データは、リコンビナントヒツジCOX−2酵素および基質単独に相対するペルオキシダーゼ活性の百分率として示している。有機抽出物による阻害パーセントは、30%〜90%であった。
【0107】
【表3】
【0108】
COX−1およびCOX−2のイソ型の相対阻害の比較は、これら酵素各々のIC50値作成を必要とする。IC50は、ある特定の阻害剤によって、対照に関する酵素活性の50%阻害が達せられる濃度として定義する。これら実験において、IC50値は、表3に示されるように、COX−2およびCOX−1酵素についてそれぞれ、6〜50μg/mLおよび7〜80μg/mLであることが判明した。COX−2およびCOX−1のIC50値の比較は、いろいろな植物からの有機抽出物のこれら酵素各々への特異性を示している。例えば、S.lateriflora の有機抽出物は、COX−2の選択的阻害を、COX−1を制して、それぞれ30μg/mLおよび80μg/mLのIC50値で示す。若干の抽出物は、COX−2の選択的阻害を示すが、その他は示さない。HTP画分およびこれら画分からの精製化合物の試験は、これら抽出物および化合物についての真の阻害特異性を決定するのに必要である。
【0109】
【表4】
【0110】
実施例3.COX−1およびCOX−2ペルオキシダーゼ活性の阻害
COX−1およびCOX−2の活性を阻害した化合物についてスクリーニングするために、双方の酵素のペルオキシダーゼ活性の阻害を利用した高処理 in vitro 検定を開発した。(Needleman et al. (1986) Annu Rev Biochem. 55:69)。簡単にいうと、試験される組成物または化合物を、一定量のCOX−1およびCOX−2酵素に対して滴定した。切断可能な過酸化物発色団を検定に包含して、補因子としてのアラキドン酸の存在下における各々の酵素のペルオキシダーゼ活性を可視化した。典型的に、検定は、96ウェルフォーマットで行った。100%DMSO中の10mg/mL原液から得た各々の阻害剤を、次の範囲の濃度、すなわち、0、0.1μg/mL、1μg/mL、5μg/mL、10μg/mL、20μg/mL、50μg/mL、100μg/mLおよび500μg/mLを用いて、室温で三重に調べた。各々のウェルに、150μLの100mM Tris−HCl、pH7.5を、10μLのトリス緩衝液で希釈された22μMヘマチン、10μLのDMSOで希釈された阻害剤、および25単位のCOX−1かまたはCOX−2酵素と一緒に加えた。それら成分を、回転プラットフォーム上で10秒間混合後、20μLの2mM N,N,N’N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン二塩酸塩(TMPD)および20μLの1.1mMアラキドン酸を加えて、反応を開始させた。そのプレートを、10秒間振とう後、5分間インキュベートした後、570nmでの吸光度を読み取った。阻害剤濃度対阻害%をプロットし、そして等温線に沿った半最大点を得且つX軸上の濃度に交差することによってIC50を決定した。次に、そのIC50を、検定中の酵素単位数に規格化した。20μg/mLの純粋フリーB環フラボノイド類によるCOX−1/COX−2阻害活性を、表4に要約する。
【0111】
【表5】
【0112】
標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物、バイカリン、およびS.baicalensis の根より単離されたバイカレインについての用量反応およびIC50値を、それぞれ、図1、図2および図3に与える。Acacia catechu の心材より単離された二つの標準化されたフラバン抽出物(それぞれ、50%および>90%フラバン類)についての用量反応およびIC50値を、それぞれ、図4および図5に与える。いろいろな組成のフリーB環フラボノイド類およびフラバン類を有する3種類の製剤についての用量反応およびIC50値を、それぞれ、図6(80:20ブレンド)、図7(50:50ブレンド)および図8(20:80ブレンド)に与える。
【0113】
実施例4.A.catechu より単離されたカテキンによる5−リポキシゲナーゼの阻害
炎症性反応に関与する最も重要な経路の一つは、非ヘム鉄含有リポキシゲナーゼ(5−LO、12−LOおよび15−LO)によって生じるが、それらは、AA(AA)などの脂肪酸上への分子酸素の付加を触媒して、ヒドロキシペルオキシド5−、12−および15−HPETEを生じた後、ロイコトリエンへと変換される。A.catechu からのフラバン抽出物は、ある程度の5−LO阻害を与え、それによって、5−HPETEの形成を妨げることがありうるということが初めに示された。リポキシゲナーゼ阻害剤スクリーニング検定キット(Lipoxygenase Inhibitor Screening Assay Kit)(Cayman Chemical, Inc., Cat #760700)を用いて、A.catechu より単離された、>90%フラバン類を含有する抽出物が、LOXを in vitro で直接的に阻害したかどうかを評価した。キット中に通常用いられるダイズからの15−LOは、精密濾過を用いてリン酸緩衝液〜トリス基剤緩衝液への緩衝液変更を行った後、ジャガイモLOXと交換した。この検定は、酸素感受性クロマジェン(chromagen)によってヒドロペルオキシドの形成を検出する。簡単にいうと、その検定は、90μLの0.17単位/μLジャガイモ5−LO、20μLの1.1mM AA、100μLの酸素感受性クロマジェン、および0〜500μg/mLの最終濃度にする10μLの精製フラバン阻害剤を加えることによって三重に行った。この組成物による5−LO阻害のIC50は、1.38μg/mL/酵素単位であると決定した。それら結果を、図9に示す。
【0114】
実施例5.Scutellaria orthocalyx(根)および Scutellaria baicalensis(根)より単離された活性抽出物中のフリーB環フラボノイド類のHPLC定量
実施例1および実施例2に記載の3種類の異なった植物種より単離された5種類の活性抽出物中のフリーB環フラボノイド類の存在および量を、HPLCによって決定したが、それら結果を、下の表5に示す。フリーB環フラボノイド類は、Luna C−18カラム(250x4.5mm,5μm)上のHPLCにより、1%リン酸およびアセトニトリルの22分間で80%〜20%の勾配を用いて定量的に分析した。フリーB環フラボノイド類は、UV検出器を254nmで用いて検出し、そして保持時間に基づいて、バイカリン、バカレインおよび他のフリーB環フラボノイド標準との比較によって同定した。
【0115】
【表6】
【0116】
実施例6.Acacia catechu からの活性抽出物のHPLC定量
実施例1および実施例2に示されたような Acacia catechu からの有機抽出物および水性抽出物中のフラバン類を、HPLCにより、PhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)および Luna C18カラム(250mmx4.6mm)を用いて定量した。フラバン類は、アセトニトリル勾配を20分間にわたる10%〜30%ACNの後、5分間の60%ACNで用いてカラムから溶離した。それら結果を、表6に示す。フラバン類は、保持時間およびPDAデータに基づき、カテキンおよびエピカテキンを標準として用いて定量した。二つの主要フラバン類の保持時間は、それぞれ、12.73分および15.76分であった。
【0117】
【表7】
【0118】
実施例7.A.catechu からの標準化された抽出物の製造
A.catechu(500mgの粉砕した根)を、25mLの次の溶媒系で2回(2x25mL)抽出した。(1)100%水、(2)80:20の水:メタノール、(3)60:40の水:メタノール、(4)40:60の水:メタノール、(5)20:80の水:メタノール、(6)100%メタノール、(7)80:20のメタノール:THF、(8)60:40のメタノール:THF。個々の抽出各々による二つの抽出物を一緒にし、濃縮し、低真空下で乾燥させた。各々の抽出物中の化学成分の識別は、HPLCにより、PhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)および250mmx4.6mmのC18カラムを用いて行った。化学成分は、保持時間およびPDAデータに基づき、カテキンおよびエピカテキンを標準として用いて定量した。それら結果を、表7に示す。表7に示されるように、80%メタノール/水での溶媒抽出によって生じたフラバン抽出物は、フラバン成分の最高濃度を与えた。
【0119】
【表8】
【0120】
標準化された抽出物は、Uncaria gambir の植物全体から、アルコール/水溶媒でバイオマスを抽出することによって得た。Uncaria gambir からの標準化された抽出物中のフラバン含量を、同じ方法を用いて定量した。それら結果を、表8に示す。フラバン類は、保持時間およびPDAデータに基づき、カテキンを標準として用いて定量した。
【0121】
より高純度の物質は、アルコール/水および/または水性溶媒を再結晶溶媒として用いる、8%〜15%のカテキン含量を有する抽出物の再結晶によって得ることができる。再結晶の前に、その抽出物の加熱飽和溶液に活性炭または他の脱色剤を加えることによって脱色することが必要でありうる。次に、その加熱飽和溶液を冷却すると、高純度カテキンが結晶化した。次に、結晶を濾過して溶媒を除去し、乾燥させ、粉砕して微粉とした。再結晶は、必要に応じて繰り返して、所望のレベルの純度(60%〜100%のカテキンフラバン類)に達しさせることができる。
【0122】
実施例8.いろいろな Scutellaria 種からの標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物の製造
S.orthocalyx(500mgの粉砕した根)を、25mLの次の溶媒系で2回抽出した。(1)100%水、(2)80:20の水:メタノール、(3)60:40の水:メタノール、(4)40:60の水:メタノール、(5)20:80の水:メタノール、(6)100%メタノール、(7)80:20のメタノール:THF、(8)60:40のメタノール:THF。抽出物を一緒にし、濃縮し、低真空下で乾燥させた。各々の抽出物中の化学成分の識別は、HPLCにより、PhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)および250mmx4.6mmのC18カラムを用いて行った。化学成分は、保持時間およびPDAデータに基づき、バイカレイン、バイカリン、スクテラライン(scutellarein)およびウォゴニンを標準として用いて定量した。それら結果を、表9に示す。
【0123】
【表9】
【0124】
S.baicalensis(1000mgの粉砕した根)を、次のような50mLのメタノールおよび水の混合物を用いて2回抽出した。(1)100%水、(2)70:30の水:メタノール、(3)50:50の水:メタノール、(4)30:70の水:メタノール、(5)100%メタノール。抽出物を一緒にし、濃縮し、低真空下で乾燥させた。化学成分の識別は、HPLCにより、PhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)および250mmx4.6mmのC18カラムを用いて行った。各々の抽出物中の化学成分は、保持時間およびPDAデータに基づき、バイカレイン、バイカリン、スクテララインおよびウォゴニンを標準として用いて定量した。それら結果を、表10に示す。
【0125】
【表10】
【0126】
より高純度のフリーB環フラボノイド類は、8〜15%のフリーB環フラボノイド含量を有する抽出物をアルコール/水を再結晶溶媒として用いて再結晶することによって得ることができる。再結晶の前に、その抽出物の加熱飽和溶液に活性炭または他の脱色剤を加えることによって脱色することが必要でありうる。結晶を濾過し、乾燥させ、粉砕して微粉とした。再結晶は、必要に応じて繰り返して、所望のレベルの純度(60%〜100%のフリーB環フラボノイド類)に達しさせることができる。
【0127】
実施例9.S.baicalensis の根からの標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物およびA.catechu の皮からの標準化されたフラバン抽出物を含む製剤の製造
本明細書中においてUP676と称する新規な組成物を、Acacia および Scutellaria よりそれぞれ単離された二つの標準化された抽出物を用いて、一つまたはそれを超える賦形剤と一緒に製剤化した。このような組成物を製造する一般的な例を、下に示す。この実施例で用いられた Acacia 抽出物は、>80%の全フラバン類をカテキンおよびエピカテキンとして含有し、そして Scutellaria 抽出物は、主としてバイカリンである>80%のフリーB環フラボノイド類を含有した。Scutellaria 抽出物は、表11に挙げられるような他の微量のフリーB環フラボノイド類も含有した。一つまたはそれを超える賦形剤/保存剤も、組成物に加えた。フラバン類対フリーB環フラボノイド類の比率は、COX対LOの阻害に関する具体的な必要条件、皮膚浸透の必要条件、および必要な効力持続時間等のような製品の効力必要条件、並びに適応症に基づいて調整することができる。賦形剤の量は、各々の成分の実際の活性含量に基づいて調整することができる。個々のバッチの製品各々についてのブレンド表は、個々のバッチの成分についての製品規格およびQC結果に基づいて作成されるべきである。製品規格を満たすために、2〜5%の範囲内の追加量の活性成分が推奨される。
【0128】
82.2%のフリーB環フラボノイド含量(バイカリン)を有するS.baicalensis 根抽出物(38.5kg)(ロット#RM052302−01);80.4%の全フラバン含量を有する Acacia catechu 皮抽出物(6.9kg)(ロット#RM052902−01);および賦形剤(5.0kgの Candex)を一緒にして、85:15の重量によるブレンド比の活性なフリーB環フラボノイド類およびフラバン類を有するUP676製剤(50.4kg)を与えた。表11は、実施例6および実施例8に与えられた方法を用いて決定される、この具体的なバッチのUP676(Lot #G1702−COX−2)の活性なフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の定量を与える。表11に関して、この具体的なバッチのUP676は、75.7%のフリーB環フラボノイド類および10.3%のフラバン類を含めた、86%の全活性成分を含有する。図10は、80:20の重量によるブレンド比の活性なフリーB環フラボノイド類およびフラバン類を有した代表的なUP676試料のHPLCクロマトグラムを示す。
【0129】
【表11】
【0130】
同じアプローチを用いて、次のバッチのUP676を、それぞれ12:88および15:85のブレンド比を有する、S.baicalensis 根からの標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物および Acacia catechu 皮からの標準化されたフラバン抽出物の組合せを用いて製造した。
【0131】
87.9%のフリーB環フラボノイド含量を(バイカリンとして)有するS.baicalensis 根抽出物(58.0g)(ロット#RM021203−01)および84.9%の全フラバン含量を有する Acacia catechu 皮抽出物(442.0g)(ロット#RM050603−01)をブレンドして、12:88の重量によるブレンド比を有するUP676組成物(500g,ロット#QJ205−19)を与えた。実施例6および実施例8に与えられた方法を利用すると、この具体的なバッチのUP676(ロット#QJ205−19)中において、(バイカリンの)フリーB環フラボノイド含量は9.65%、そしてフラバン含量(全カテキンおよびエピカテキン)は73.2%であった。
【0132】
82.9%のフリーB環フラボノイド含量を(バイカリンとして)有するS.baicalensis 根抽出物(300g)(ロット#RM060403−01)および90.8%の全フラバン含量を有する Acacia catechu 皮抽出物(1700g)(ロット#RM050603−01)をブレンドして、15:85の重量によるブレンド比を有するUP676組成物(2000g,ロット#AI904)を与えた。実施例6および実施例8に与えられた方法を利用すると、この具体的なバッチのUP676(ロット#AI904)中において、フリーB環フラボノイド含量(バイカリン)は15.6%、そしてフラバン含量(全カテキンおよびエピカテキン)は75.0%であった。
【0133】
実施例10.UP676製剤による5−LO酵素阻害の用量反応およびIC50値の測定
UP676製剤(80:20)は、実施例9に記載のように、S.baicalensis 根からの標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物およびA.catechu 皮からの標準化されたフラバン抽出物の組合せを80:20のブレンド比で用いて製造した。その試料を、COX−1、COX−2および5−LOXを発現する単球細胞系であるTHP−1またはHT−29細胞を含有する組織培養基中で滴定した。ロイコトリエンB4(LTB4;Neogen, Inc., Cat #406110)についての競合的ELISAを用いて、各々の細胞系中に存在する新たに合成されたLTB4レベルへのUP676製剤の作用を、5−LOX経路へのUP676の阻害作用の尺度として評価した。その検定は、6ウェルプレート中に160,000〜180,000個/ウェルの細胞を加えることによって二重に行った。UP676製剤を、THP−1培養物に3μg/mL、10μg/mL、30μg/mLおよび100μg/mLで加え、吸湿環境中に5%CO2を含む37℃で一晩(約12〜15時間)インキュベートした。それら結果を、図11に示すが、それは、新たにLPS誘導されたLTB4の産生が、THP−1培養物への3〜10μg/mLのUP676の添加によってほぼ完全に阻害されたということを示している。
【0134】
UP676と、別の既知の5−LOX阻害剤イブプロフェンとを、HT−29細胞に3μg/mLで加え、吸湿環境中に5%CO2を含む37℃で48時間インキュベートした。次に、各々の被処置細胞系を、遠心分離によって採取し、そして生理学的緩衝液中における穏やかなドーンス(dounce)ホモジナイゼーション溶解によって破壊した。図12に示されるように、UP676は、HT−29細胞中で新たに合成されたLTB4の80%の生成を阻害した。イブプロフェンは、同じ時間にわたって、LTB4の量の20%減少を示したにすぎなかった。
【0135】
実施例11.炎症誘発性サイトカインおよび他の炎症関連タンパク質のmRNAレベルにおけるUP676でダウンレギュレーションされた遺伝子発現
末梢血単核細胞(PBMC)は、炎症関連疾患について確立された細胞モデルである。3人の健康なヒト被験者からのPBMCを、いろいろな濃度のUP676(0、10μg/mL、30μg/mLおよび100μg/mL)の存在下および不含双方において、10ng/mLのリポ多糖(LPS)で刺激した。それら細胞を、37℃において5%CO2で18時間インキュベート後、RNA精製のために採取した。RNAを、Qiagen RNeasy Kit で製造し、そしてcDNAを、ABI cDNA Archive キットで合成した。実時間定量的PCR検定を、ABI Prism Sequence Detector で行った。18S rRNA遺伝子かまたはシクロフィリンA遺伝子を、規格化のための内部対照として用いた。3回の実験に由来するデータの要約を、表12に示す。平均すると、il−1β、tnfαおよびil−6の遺伝子発現の抑制は、それぞれ、45倍、3倍および27倍であった。更に、UP676によるpparγの10倍を超える抑制およびnfκb mRNAの2倍の抑制は、PBMC中においてLPSでの刺激後18時間に検出された。
【0136】
【表12】
【0137】
実施例12.in vivo マウス耳腫脹モデルでのUP676の有効性の評価
UP676製剤は、実施例9に記載のように、S.baicalensis 根からの標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物および Acacia catechu 皮からの標準化されたフラバン抽出物の組合せを80:20のブレンド比で用いて製造した。この組成物を、in vivo で炎症を処置するのに用いうるかどうか調べるために、その組成物を、4〜5週令ICRマウス(Harlan Labs)に、アラキドン酸(AA)でそれらの耳を処置する1日前に、経口強制飼養によって投与した。試験マウスには、50mg/kg、100mg/kgおよび200mg/kgの用量相当量のオリーブ油中に懸濁したUP676を与え、対照マウスには、オリーブ油のみを与えた。翌日、20μLの95%アルコール中の330mM AAを、各々のマウスの一方の耳に適用し、対照としてのもう一方の耳には、アルコールを適用した。UP676で処置されたマウスは、図13に示されるように、増加用量のUP676で追跡した測定可能な用量反応を示した。図13に関して、200mg/kg用量は、「非処置」対照と比較したところ、50%を超えるまで腫脹を減少する。50mg/kg用量のUP676は、50mg/kg用量の別の強い抗炎症性インドメタシンと同程度に有効であった。
【0138】
実施例13.UV照射への皮膚暴露によって生じる損傷を予防又は処置する場合のUP676の効力の評価
UV照射への皮膚の暴露によって生じる損傷を予防又は処置する場合のUP676製剤の有効性を調べるために、6群の無毛雌マウス(5匹/群)(Strain SKH−1,Harlan Labs)に、麻酔しながら、0.626mW/cm2で3分間を3日連続して照射した。UP676製剤は、実施例9に記載のように、Scutellaria baicalensis 根からの標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物および Acacia catechu 皮からの標準化されたフラバン抽出物の組合せを80:20のブレンド比で用いて製造した。6種類の処置群は、次の通りであった。
【0139】
【表13】
【0140】
UV暴露および処置から3日後、次のスケールを用いて、マウスの紅斑(赤み)レベルについて評点した。0−目に見える紅斑無し;1−きわめて軽微な紅斑;2−十分に明確な紅斑;3−重症の紅斑;および4−腫瘍形成。紅斑は、各々の群について目視で評点した。それら結果を、図14に示す。図14に関して、対照群(群1)は、3日目(UV照射への3日間暴露後72時間)に重症の赤みを有していたことが理解されうる。Sooth-a-cain 群も、3日目に最大の赤みを有していた(群2)。UP676で処置された群(群3〜6)の赤みは、2のスコアを超えることはなかった。これらスコアは、主観的であるが、UP676が、UVによる皮膚紅斑を予防する場合にも処置する場合にも有効であるということを示している。
【0141】
4日目の代表的なマウスの写真は、対照群と、Sooth-a-cainTMで処置された群と、UP676で処置された群との間の相違を明らかに示している(データは示されていない)。対照群と、Sooth-a-cainTMで処置された被験動物は、UV暴露の前にも後にもUP676製剤で処置された被験動物と比較して、きわめて広範なパターンおよび赤みの紅斑を示した。UV照射前に5mg/mLのUP676で処置された被験動物は、他の被験動物全てと比較したところ、最小量の紅斑を示した。
【0142】
実施例14.クリーム剤へのUP676組成物の製剤化
UP676(0.5重量%のUP676)(実施例9に記載のロット#A1904)を、次の手順および表13に示されるようなクリーム剤として製剤化した。
【0143】
UP676(Lot #A1904)を、水中に室温で溶解させ、そしてそれが十分に溶液中に分散するまで(約5分)、ブレンダーで均一化した。室温で、そして溶液を撹拌することもかき混ぜることもなく、Ultrez−21カルボマーを、溶液の表面上に散布し、それを十分に湿潤させ(目に見える白色面が無い)且つ溶液にさせることによって加えた。次に、穏やかに撹拌しながら、溶液を40℃に加熱し、そしてグリセリンを加えた(A部分)。次に、その混合物を更に5分間撹拌した。残りの成分(B部分)を秤量し、そして混合しながら40℃に加熱した。40℃で、その残りの成分(B部分)をA部分に加え、得られた組成物を、均一になるまで(約5分)十分に混合した。そのエマルジョンを、30℃に冷却し、そして撹拌棒および/またはスパチュラで撹拌しながら、中和剤で滴定することによってpHを約5.5(5.3〜5.7)に調整した。エマルジョンは、中和で生じたカルボマーのコンホメーション変化のために、きわめて粘稠になった。そのエマルジョンは、最終的に、エマルジョンクリームに適する粘度に達した。次に、エマルジョンクリームを、均一になるまで混合し、その後、それを清浄な貯蔵容器に注入し、2℃〜8℃で1ヶ月間貯蔵した。
【0144】
【表14】
【0145】
実施例15.溶液中のカテキンの安定性の評価
純粋カテキンを、水中の70%MeOH中に溶解させて、下記の溶液と混合後に0.05%(W/V)の最終濃度とした。全6種類の異なった条件(対照溶液を含まない)を、45℃でのこの安定性研究のために選択した。K2HPO4水(0.5M)またはKH2PO4水(0.5M)を利用して、それぞれ、pH5またはpH8の緩衝化溶液を作った。H2O2、SnCl2、FeCl3またはEDTAを、カテキン溶液に加えて、それぞれ、0.6%H2O2または0.05%SnCl2または0.05%FeCl3または0.05%EDTAの濃度とした。全7種類の溶液を、密封ボトル中において45℃で貯蔵した。各々の試料のカテキン含量について、実施例6に記載のHPLCにより、0日、1日、3日、6日、8日、10日、13日、20日または28日目に調べた。それら結果を、図15に示す。
【0146】
次の保存剤:BHA、BHT、クエン酸ジアンモニウム(DAC)、H2O2、没食子酸プロピル(PG)、グルコン酸ナトリウム(SG)および重硫酸/メタ重亜硫酸ナトリウム(SBS)を、緩衝化された(pH7.5)0.05%カテキンMeOH/H2O溶液中に加えて、0.05%の濃度を生じた。全8種類の溶液を、密封ボトル中において45℃で貯蔵した。各々の試料のカテキン含量について、実施例6に記載のHPLCにより、0日、1日、3日、6日、8日、10日、13日、20日または28日目に調べた。それら結果を、図16に示す。
【0147】
実施例16.経口投与後のUP676中のバイカリンのバイオアベイラビリティーの評価
この臨床研究は、10人の健康な被験者(n=10、女性6人および男性4人)が参加するように召集された単一センター・開表示研究(single-center, open-label study)であった。被験者は、一晩絶食し、そして臨床試験センターに翌朝8:00時に出頭した。各々の被験者に、実施例9に記載のように製造された300mg用量のUP676を、ベースライン静脈穿刺直後に与えた。追跡血漿試料を、1/2時間、1時間、2時間、4時間および8時間目に集めた。追加の試料を、2日目の24時間目と第7日目に集めた。各々の血漿試料は、ヘパリンが入った試験管中に血液を採取することによって処理した。次に、その血液を、2,500rpmで10分間遠心分離した。各々の試験管からの上清を分離し、トランスファーチューブ中に移し、そしてフリーB環フラボノイドレベルの決定前の最終収集物を追跡する分析のために−70℃で貯蔵した。この分析を行って、(i)フリーB環フラボノイド類の吸収およびクリアランスについての曲線下面積(AUC);(ii)フリーB環フラボノイド類の最大血漿濃度(Cmax);(iii)フリーB環フラボノイド類の最大血漿濃度までの時間(Tmax);(iv)フリーB環フラボノイド類の血漿除去半減期(T1/2);および(v)24時間尿クリアランスAU24Hrを決定した。
【0148】
HPLCによるいくつかの試験血清アリコートの予備的研究は、フリーB環フラボノイド類が、グルクロン酸化および硫酸化による共役のために検出限界未満(<4μg/mL)であったことを示した。したがって、血清を、2,000u/mLでのβ−グルクロニダーゼおよび170u/mLでのスルファターゼで消化して、全ての共役したフリーB環フラボノイド類をアグリコン分子バイカレインへと変換させた。次に、全バイカレイン代謝産物を、HPLCにより、純粋バイカレインを標準として用いた。アスコルビン酸を加えて、37℃での7時間消化および引き続きのHPLC分析の際のフラボノイド類の酸化を妨げた。
【0149】
血漿のβ−グルクロニダーゼおよびスルファターゼ消化後、フラボノイドを酢酸エチルで抽出後、HPLC分析の前に、窒素流および穏やかな加熱(35℃)で速やかに蒸発乾固させた。1mg/mLのアスコルビン酸緩衝液を含有する80:20のメタノール:テトラヒドロフラン溶液を用いて、試料を再構成した。バイカレインの定量は、逆相クロマトグラフィーにより、0.1%リン酸(v/v)(緩衝液A)およびアセトニトリル(緩衝液B)の均一濃度勾配を1mL/分の流速で用いて、質量検定および保持時間識別用の純粋バイカレイン標準物質で行った。溶離した物質の検出は、275nmで測定するインラインUV検出器を用いて監視した。
【0150】
それら結果を、図17に示す。図17に関して、ボールドで示されたデータは、バイカレインの血漿クリアランスを計算するのに用いられる点である。全被験者について対数変換し且つグラフで示した場合、これらデータは、時間に関する線型関数であった(データは示されていない)。被験者ごとに認められる個体変動があった。表14は、バイカレイン濃度について認められた最大値(Cmax,μg/mL)および各々の被験者について認められた時間(Tmax,時)を示す。そのデータは、ほとんどの被験者について、最初の投与後4〜8時間で最大濃度に達したということを示している。平均Cmaxは、0.93μg/mL(%RSD=84.9)であり、平均Tmaxは、約5.8時間(%RSD=43.4)であった。このデータに基づき、吸収およびクリアランスの平均を計算し、被験群全部についてプロットした(図17)。
【0151】
【表15】
【0152】
実施例17.ヒト皮膚への反復適用による刺激および接触感作の誘導についてのUP676クリーム剤の評価
UP676を、ヒト皮膚上において、Draize Patch Test(Marzulli and Maibach (1977) Contact Allergy: Predictive Testing in Humans. In Advances in Modern Toxicology, Dermatotoxicology and Pharmacology. Eds. Marzulli, F.N and Maibach, H.I. 4, 353-372)の適応を用いて調べた。試験部位は、上腕または背中の脊柱近辺部の上に位置した。各々の試験製品に、誘導部位およびチャレンジ部位を与えた。誘導部位は、二つの部分部位、すなわち、原部位(original-site)および移転部位(move-site)を含んで成った。実施例14に記載のように製造された0.2mLのUP676クリーム/パッチを含有するパッチを、十分に強い刺激反応が生じて、そのパッチを移転部位へと適用する必要がない限り、原部位に反復適用した。パッチは、臨床研究施設で適用し、そして約24時間または48/72時間後に、被験者が除去し且つ廃棄した。誘導相の場合、皮膚上の同じ部位への試験製品の反復適用および全9回の誘導パッチを、4週間以内に適用した。休止期間は、最後の誘導パッチの適用とチャレンジパッチの適用との間の10〜21日であった。この期間中は、試験製品も、いずれか他の物質も、試験部位に適用しなかった。チャレンジ相では、試験製品を、身体の反対側のナイーブ部位に適用し、そして約24時間または48時間後に被験者が廃棄した。
【0153】
各々のパッチ適用への皮膚反応を調べ、100ワット白熱青色電球によって与えられる光の下で、設計された評点スケールにしたがって等級付けした。強い刺激反応が、試験製品の移転部位への適用を正当化した場合、残りのスコアは、以前に暴露された部位全てについて、誘導の最後まで(または誘導を終えた後に反応が持続する場合は、消散するまで)記録した。全ての皮膚反応を記録した。チャレンジ相中に、皮膚反応を、パッチ適用後約48時間と、72時間または96時間に評価した。結論は、誘導された感受性に関して、主にチャレンジ評価に由来した。
【0154】
実施例14において0.5%および1.5%のUP676濃度で製造された二つのUP676クリーム剤を、上のプロトコールにしたがって評価した。全120人の被験者を、各々の群に召集した。97人の被験者に、0.5%UP676群の研究を行い、そして101人の被験者に、1.5%UP676群の研究を行った。0.5%および1.5%どちらのUP676クリーム剤についても、感作反応の証拠はなかった。0.5%UP676については、誘導中に、16人の被験者が、軽微〜中程度の紅斑(+および/または1のスコア)の時々の発生を示した。チャレンジにおいては、4人の被験者が、軽微〜中程度の紅斑を48時間目に示したが、96時間までに解消された。1.5%UP676については、誘導中に、26人の被験者が、軽微〜中程度の紅斑(+および/または1のスコア)の時々の発生を示した。チャレンジにおいては、1人の被験者が、軽微〜中程度の紅斑を48時間目に示したが、96時間には消去した。
【0155】
この研究は、UP676が、刺激または感作を引き起こすことなく、有効な濃度でヒト皮膚に局所適用することができる安全な成分であるということを示している。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】図1は、S.baicalensis より単離され、標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物(HPLCに基づく83%バイカリン)による、COX−1およびCOX−2の阻害プロフィールをグラフで示す。その抽出物の、リコンビナントヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の阻害について調べた。データは、阻害%対阻害剤濃度(μg/mL)として示している。COX−1のIC50は、0.24μg/mL/酵素単位として計算し、COX−2のIC50は、0.48μg/mL/単位として計算した。
【図2】図2は、S.baicalensis より単離され、精製された成分バイカリンによる、COX−1およびCOX−2の阻害プロフィールをグラフで示す。その化合物の、リコンビナントヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の阻害について調べた。データは、阻害%対阻害剤濃度(μg/mL)として示している。COX−1のIC50は、0.44μg/mL/酵素単位であると決定し、COX−2のIC50は、0.28μg/mL/単位であると決定した。
【図3】図3は、S.baicalensis より単離され、精製された成分バイカリンによる、COX−1およびCOX−2の阻害プロフィールをグラフで示す。その化合物の、リコンビナントヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の阻害について調べた。データは、阻害%対阻害剤濃度(μg/mL)として示している。COX−1のIC50は、0.18μg/mL/酵素単位であると決定し、COX−2のIC50は、0.28μg/mL/単位であると決定した。
【図4】図4は、A.catechu より単離された、50%の全フラバン類を含有する標準化されたフラバン抽出物による、COX−1およびCOX−2の阻害プロフィールをグラフで示す。その抽出物の、リコンビナントヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の阻害について調べた。データは、阻害%対阻害剤濃度(μg/mL)として示している。COX−1のIC50は、0.17μg/mL/酵素単位として計算し、COX−2のIC50は、0.41μg/mL/単位として計算した。
【図5】図5は、A.catechu より単離された、90%より大のフラバン類を含んで成る組成物による、COX−1およびCOX−2の阻害プロフィールをグラフで示す。その組成物の、リコンビナントヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の阻害について調べた。データは、阻害%対阻害剤濃度(μg/mL)として示している。COX−1のIC50は、0.11μg/mL/酵素単位として計算し、COX−2のIC50は、0.42μg/mL/単位として計算した。
【図6】図6は、S.baicalensis の根より単離されたフリーB環フラボノイド類の抽出物およびA.catechu より単離されたフラバン類の抽出物を80:20の比率で組み合わせることによって製造された製剤による、COX−1およびCOX−2の阻害プロフィールをグラフで示す。以下、UP676と称する、この組成物の、リコンビナントヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の阻害について調べた。データは、阻害%対阻害剤濃度(μg/mL)として示している。COX−1のIC50は、2μg/mL/酵素単位であり、COX−2のIC50は、4μg/mL/単位であった。
【図7】図7は、S.baicalensis の根より単離されたフリーB環フラボノイド類の抽出物およびA.catechu より単離されたフラバン類の抽出物を約50:50の比率で組み合わせることによって製造された製剤による、COX−1およびCOX−2の阻害プロフィールをグラフで示す。その組成物の、リコンビナントヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の阻害について調べた。データは、阻害%対阻害剤濃度(μg/mL)として示している。COX−1のIC50は、0.38μg/mL/酵素単位として計算し、COX−2のIC50は、0.84μg/mL/単位であると決定した。
【図8】図8は、S.baicalensis の根より単離されたフリーB環フラボノイド類の抽出物およびA.catechu より単離されたフラバン類の抽出物を約20:80の比率で組み合わせることによって製造された製剤による、COX−1およびCOX−2の阻害プロフィールをグラフで示す。その組成物の、リコンビナントヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の阻害について調べた。データは、阻害%対阻害剤濃度(μg/mL)として示している。COX−1についてのこの組成物のIC50は、0.18μg/mL/酵素単位であり、COX−2についてのIC50は、0.41μg/mL/単位であった。
【図9】図9は、A.catechu からのフラバン抽出物による5−LOの阻害プロフィールをグラフで示す。その組成物を、実施例4に記載のように、リコンビナントジャガイモ5−リポキシゲナーゼ活性の阻害(◆)について調べた。データは、阻害剤不含の検定の阻害%として示している。5−LOのIC50は、1.38μg/mL/酵素単位であった。
【図10】図10は、実施例9に記載の条件下で行われた、S.baicalensis の根より単離されたフリーB環フラボノイド類およびA.catechu の皮より単離されたフラバン類の80:20の比率の混合物を含んで成る典型的な製剤の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)クロマトグラムを示す。
【図11】図11は、実施例10に記載のような、THP−1またはHT−29細胞(ATCC)中においてLPSで誘導されて新たに合成されたLTB4(◆)の、ELISAによって決定される量への増加濃度のUP676の作用をグラフで示す。そのUP676は、S.baicalensis の根より単離されたフリーB環フラボノイド類およびA.catechu の皮より単離されたフラバン類の標準化された抽出物の80:20の比率の組合せによって製造した。UP676製剤の活性は、誘導されるLTB4合成の阻害%として表している。
【図12】図12は、実施例10に記載のように、非誘導細胞中において3μg/mLのUP676で処置後のHT−29細胞中に残存する、ELISAによって決定されるLTB4レベルを、3μg/mLのイブプロフェンでの処置と比較している。UP676製剤は、2日間の処置後に、HT−29細胞中のLTB4産生の80%阻害を示した。
【図13】図13は、実施例12に記載のような、炎症の阻害尺度としての耳腫脹データをグラフで示す。S.baicalensis の根より単離されたフリーB環フラボノイド類およびA.catechu の皮より単離されたフラバン類の標準化された抽出物の80:20の比率の組合せによって製造されたUP676を、未処置マウスと、経口強制飼養によってインドメタシン(1.5mg/kg)を与えられたマウスとで比較した。データは、各々のマウスについて未処置対被処置の耳垂のミクロン測定差として示している。
【図14】図14は、実施例13に記載のような、いろいろな処置群の無毛マウス皮膚紅斑スコアの変化を、UV線をマウスに照射後の時間の関数としてグラフで示す。B−1群、A−1群、B−2群およびA−2群のマウスを、照射前(B−1群およびB−2群)かまたは照射後(A−1群およびA−2群)に、UP676で処置した。そのUP676は、S.baicalensis の根より単離されたフリーB環フラボノイド類およびA.catechu の皮より単離されたフラバン類の標準化された抽出物の80:20の比率の組合せによって製造した。図14に関して、UP676の局所適用は、UV照射の前でも後でも、標準的な処置薬 Sooth-a-caine を投与された群および対照群で比較したところ、紅斑スコアを有意に減少させたということが理解されうる。
【図15】図15は、実施例15に示される条件下における1日目、3日目、6日目、8日目および13日目の各種水溶液中の純カテキンの濃度の変化をグラフで示す。
【図16】図16は、pH7.5の水溶液中の純カテキンを分解および変色から保護するのに用いることができる種々の化学保存剤をグラフで示す。
【図17】図17は、10人の健康な被験者(n=10、女性6人および男性4人)による、300mgの単回用量のUP676の経口投与後の時間に対する平均血清フリーB環フラボノイド濃度をグラフで示す。平均Cmaxは、0.93μg/mL(%RSD=84.9)であり、平均Tmaxは、約5.8時間であった(%RSD=43.4)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、口腔、歯および歯肉の疾患および状態の予防または処置に用いるためのエイコサノイドおよびサイトカインの経路を標的とする、二つの特定のクラスの化合物、すなわち、フリーB環フラボノイド類とフラバン類とのブレンドの混合物を含んで成る新規な組成物に関する。具体的には、口腔、歯および歯肉の疾患および状態には、歯肉炎、歯周炎、歯髄炎などの歯周疾患;義歯の物理的植込み、外傷、損傷、歯ぎしり、腫瘍性および他の変性過程に起因する歯周状態;白質(material alba)、ペリクル、歯垢(dental plagues)、歯石および着色が含まれるが、これに制限されるわけではない。本明細書中に記載の組成物の使用は、更に、最適の唾液産生およびpHを維持すること;細菌増殖を最小限にすること;ペリクルおよび歯垢の形成を減少させること;歯脱灰およびう歯(う蝕)を阻害すること;再石灰化を促進すること;健康的な歯肉を生じること;歯を白くすること;健康的な口腔衛生を維持すること;および口腔悪臭(口臭)を減少させることの利点を与える。
【背景技術】
【0002】
歯周疾患は、若干のまたは全ての歯支持構造(歯肉、セメント質、歯周靱帯、歯槽骨および歯周囲の他の組織)の炎症および感染の組合せである。歯肉炎(歯肉)および歯周炎(歯肉および骨)は、歯周疾患の二つの主要な形である。National Institute of Dental and Craniofacial Research が配布した National Oral Information によると、推定80%の米国成人は、現在、何等かの形の歯周疾患を有している。歯周疾患は、一つまたは複数のきれいな歯の上にペリクルが形成した場合に始まる。このペリクルは、好気性グラム陽性細菌(主として、放線菌および連鎖球菌)を引き寄せ、それらが歯に付着して、歯垢を形成する。何日か以内に、歯垢は厚くなり、下にいる細菌は酸素が欠乏し、そして嫌気性の運動性桿状菌およびスピロヘータが、歯肉下領域に生息し始める。嫌気性細菌によって放出される内毒素は、炎症、歯肉組織破壊、そして骨減損さえも引き起こす。歯周疾患について、下に示されるように特性決定することができる四つの初期段階がある。歯周疾患の破壊的影響力は、歯周疾患によって生じる顕微鏡的病変が、若干の患者の肝、腎および脳において見出されているという点で、歯科衛生および健康の域を越える。
【0003】
【表1】
【0004】
歯周疾患によって生じる炎症は、主に、二つの生体系、すなわち、エイコサノイド系およびサイトカイン系に関連している。細胞膜からのアラキドン酸(AA)の放出および代謝は、いくつか異なった経路による炎症誘発性代謝物の生成を引き起こす。炎症への最も重要な経路の内の二つは、酵素リポキシゲナーゼ(LOX)およびシクロオキシゲナーゼ(COX)によって媒介される。これらは、ロイコトリエンおよびプロスタグランジンの生成をそれぞれ引き起こす平行した経路であり、それらは、炎症性反応の開始および進行において重要な役割を果たしている。これら血管作用性(vasoactive)化合物は、ケモタキシンであり、それらは双方とも、炎症性細胞の歯肉組織中への浸潤を促し、しかも骨減損をもたらすことがありうる炎症性反応を延長する働きをしている。その結果として、炎症のこれらメディエーターを生じるのに関与している酵素は、口腔、歯および歯肉に関する疾患および状態を予防又は処置する治療薬を開発することを標的とすることができる。
【0005】
サイトカイン系は、そのネットワークの活性化が局部的であり且つそれらサイトカインが、表面に結合した形または拡散可能な形で隣接して作用する場合、ホメオスタシスのきわめて強力な力である。しかしながら、サイトカイン産生が持続しているおよび/または全身的である場合、サイトカインは、炎症性疾患、感染症、自己免疫疾患および悪性疾患の徴候、症状および病状の原因となる。TNF−αは、マクロファージ、好中球、線維芽細胞、角化細胞、NK細胞、TおよびB細胞および腫瘍細胞によって産生される強力な多面的サイトカインである。IL−1βは、TNF−αと一緒に、炎症性反応において中心的役割を果たしている。IL−1ra(IL−1受容体アンタゴニスト);IL−1受容体の可溶性フラグメント;またはTNF−αおよび可溶性TNF受容体への単クローン性抗体のような、アンタゴニストの投与は全て、炎症性疾患の動物モデルにおけるいろいろな急性および慢性の応答をブロックする。核因子カッパB(NFκB)は、インターロイキン−1ベータ(IL−1β)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、インターロイキン−6(IL−6)および複数の他のタンパク質の遺伝子発現を制御する転写因子である。若干のこれらアンタゴニストは、敗血症、歯周疾患および関節リウマチなどの疾患において抗炎症薬として利用され始めている。(Dinarello (2004) Curr Opin Pharmacol. 4:378-385)。抗TNF−α抗体は、関節リウマチの顕著な寛解を引き起こすのみならず、炎症性腸疾患であるクローン病の組織炎症を減少させることも判明した(Maini and Feldmann. (2002) Arthritis Res. 4 Suppl 2: S22-8)。
【0006】
歯周靱帯(PDL)細胞は、骨芽細胞様特徴を示し且つセメント質形成性かまたは骨形成性系統の細胞へと分化することが可能である。これら細胞は、歯周組織の再生および完全さの維持に決定的である(Somerman et al. (1990) Arch Oral Biol. 35: 241-47; Pitaru et al. (1994) J Periodontal Res. 29:81-94)。細菌の集落形成によって開始される歯周組織における慢性感染は、炎症誘発性サイトカインの合成を引き起こし、それが、PDL細胞の表現型および機能に潜在的に影響することがありうる。これらサイトカインは、免疫細胞を活性化し且つ感染部位に補充するのみならず(Le and Vilcek (1987) J. Immunol. 139: 3330; Kunkel et al. (1994) Ann. N.Y. Acad. Sci. 730:134)、支持骨および靱帯結合の減損を引き起こす(Pitaru et al. (1994) J Periodontal Res. 29:81-94)。例えば、TNFαは、PDL細胞の骨芽細胞様表現型および機能をモジュレーションすることが分かった(Agarwal et al. (1998) Infect. Immun. 66:932-937)。更に、TNFαおよびIL−1βは、アルカリ性ホスファターゼのダウンレギュレーションによって(Kuroki et al. (1994) Rheumatology 33:224)およびコラーゲン、コラゲナーゼ、プロテオグリカンおよびプロスタグランジン合成のモジュレーションによって(Agarwal et al. (1998) Infect. Immun. 66:932-937)、骨芽細胞の表現型特性を変化させる。
【0007】
単離されたPDL細胞において、IL−1βは、表現型変化を引き起こす(Agarwal et al. (1998) Infect. Immun. 66:932-937)。健康な歯周組織からのPDL細胞は、細菌リポ多糖(LPS)を認識しないし、LPSに応答して炎症誘発性サイトカインを引き出すこともしない。IL−1β処置後、PDL細胞は、それらの骨芽細胞様特性を失うと同時に、新しいLPS応答性表現型を呈する。したがって、IL−1βは、PDL細胞機能の重要な調節因子であり且つこれら細胞を支配して、感染の際の免疫反応に活発に関与させる。IL−1βは、骨吸収を刺激し且つ骨形成を阻害する(Stashenko et al. (1987) J Bone Miner Res. 2:559-65; Nguyen et al. (1991) Lymphokine Cytokine Res. 10:15-21; Tatakis (1993) J Periodontol (1991) 64:416-31)。更に、IL−1βは、TNF−αの骨吸収作用に相乗作用を示す(Bertolini et al. (1986) Nature 319:516-18; van der Pluijm et al. (1991) Endocrinology 129:1596)。歯周炎の病理学的過程におけるIL−1βのもう一つ重要な活性は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)の産生を引き起こすことである(Havemose-Poulsen and Holmstrup (1997) Crit. Rev. Oral. Biol. Med 8:217)。IL−1βは、歯肉線維芽細胞およびPDL細胞双方に高レベルのプロコラゲナーゼを生じる(Meikle et al. (1989) J Periodontal Res. 24:207-13; Lark et al. (1990) Connect Tissue Res. 25:49-65; Tewari et al. (1994) Arch Oral Biol. 39 657-64)。更に、IL−1βは、歯肉線維芽細胞中のプラスミノーゲンアクチベーターを刺激して、プラスミンの生成を引き起こすが、それは、いくつかのマトリックスメタロプロテイナーゼのアクチベーターである(Mochan et al. (1988) J Periodontal Res. 23:28-32)。更に、Stashenko および共同研究者は、歯肉組織中のIL−1βレベルと最新の結合減損との間の正の相関を報告した(Stashenko et al. (1991) J Clin Periodontol 18:548-54)。
【0008】
TNFαは、免疫応答および炎症性反応のもう一つの不可欠なメディエーターであり、活性な歯周炎症の領域において測定可能な量で見出された(Rossomando et al. (1990) Arch Oral Biol. 35:431-34; Stashenko et al. (1991) J Clin Periodontol 18:548-54)。TNFαは、PDL細胞の骨芽細胞特徴を変化させる(Quintero et al. (1995) J. Dent. Res. 74:1802)。これは、LPSに応答してIL−1β、IL−6およびIL−8などの他の炎症誘発性サイトカインを発現するそれらの能力によって具体化される。TNFαは、線維芽細胞によるコラゲナーゼの分泌、軟骨および骨の吸収を引き起こし、歯周炎における歯周組織の破壊に関係していた(Elias et al. (1987) J. Immunol. 138:3812; Meikle et al. (1989) J Periodontal Res. 24:207-13; Chaudhary et al. (1992) Endocrinology 130:2528)。休止マクロファージの場合、TNFαは、IL−1βおよびプロスタグランジンE2の合成を引き起こす。TNFαは、更に、破骨細胞を活性化し、したがって、骨吸収を引き起こす。TNFαは、IL−1βの骨吸収作用との相乗作用を有する(van der Pluijm et al. (1991) Endocrinology 129:1596; Bertolini et al. (1986) Nature 319:516-8; Johnson et al. (1989) Endocrinology 124:1424)。
【0009】
炎症性歯周病変において、T細胞、マクロファージ、内皮細胞および線維芽細胞などのいろいろな細胞タイプは、mRNAおよびタンパク質双方のレベルでIL−6発現を増加させていることが分かった(Kono et al. (1991) J. Immunol. 146:1812; Matsuki et al. (1992) Immunology 76:42-47; Fujihashi et al. (1993) Am.J. Pathol. 142:1239; Yamazaki et al. (1994) J Oral Pathol Med. 23:347-53)。IL−6は、ヒトB細胞応答に特に重要なので、歯周炎病変中で認められるB細胞/プラズマ細胞の増大は、疾患部位における増加したIL−6産生に起因するかもしれないと考えられた(Fujihashi et al. (1993) J Periodontol 64:400-406)。更に、IL−6は、骨代謝回転の局部的調節において重要な役割を果たし(Lowik et al. (1989) Biochem. Biophys Res Commun. 162:1546-52; Ishimi et al. (1990) J. Immunol. 145:3297; Kurihara et al. (1990) J. Immunol. 144:4226)、エストロゲン欠損症に起因する骨減損に不可欠であると考えられる(Horowitz (1993) J Bone Miner Res. 8:1163-71)。in vitro 研究は、更に、IL−6および可溶性IL−6受容体でのマウス骨芽細胞および骨髄細胞の同時処置が、破骨細胞形成を顕著に引き起こすことを示した(Tamura et al. (1993) PNAS 90:11924)。更に、IL−6は、破骨細胞の形成および破骨細胞の骨吸収の活性化を刺激することにより、病的状態での骨吸収においてオートクリンおよび/またはパラクリン因子として作用するかもしれないということも示唆された(Ohsaki et al. (1992) Endocrinology 131:2229)。これら知見は、歯周炎での歯周組織破壊の病因におけるIL−6の関与を示している。
【0010】
COX酵素の阻害は、大部分の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)に起因する作用機構である。COX酵素には、約60%の配列相同性を共有するが、発現プロフィールおよび機能が異なる二つの明瞭なイソ型(COX−1およびCOX−2)が存在する。COX−1は、血小板凝集、胃内の細胞機能の保護、および正常な腎機能の維持のような、正常な生理学的機能を調節するのに役立つ生理学的に重要なプロスタグランジンの産生に関連している酵素の構成性形である。(Dannhardt and Kiefer (2001) Eur. J. Med. Chem. 36:109-126)。もう一つのイソ型COX−2は、インターロイキン1β(IL−1β)および他の増殖因子などの炎症誘発性サイトカインによって誘導性である酵素の形である(Herschmann (1994) Cancer Metastasis Rev. 134: 241-256; Xie et al. (1992) Drugs Dev. Res. 25:249-265)。このイソ型は、アラキドン酸(AA)からのプロスタグランジンE2(PGE2)の産生を触媒する。COXの阻害は、慣用的なNSAIDの抗炎症活性に関与している。
【0011】
COXおよびLOXに二重特異性(dual specificity)を示す阻害剤は、アラキドン酸代謝の複数の経路を阻害する明らかな利点を有すると考えられる。このような阻害剤は、それらの産生を制限することにより、プロスタグランジン(PG)の炎症性作用、並びに複数のロイコトリエン(LT)のそれら作用をブロックすると考えられる。これには、アナフィラキシー(anaphalaxis)の遅反応性物質としても知られるPGE2、LTB4、LTD4およびLTE4の血管拡張作用、血管透過性作用および走化性作用が含まれる。これらの内、LTB4は、最も強力な走化性作用および化学運動性(chemokinetic)作用を有する。(Moore (1985) in Prostanoids: pharmacological, physiological and clinical relevance, Cambridge University Press, N.Y., pp.229-230)。
【0012】
COX阻害剤の作用機構は、大部分の慣用的なNSAIDの作用機構と重複しているので、COX阻害剤は、炎症が臨界的役割を果たしている慢性疾患および一過性状態における炎症に関連した痛みおよび腫脹を含めた同じ症状の多くを処置するのに用いられる。しかしながら、既知のNSAIDの大部分は、それらの不十分な溶解度およびバイオアベイラビリティーのために、歯周疾患には不適当である。
【0013】
歯周疾患を処置する現行方法は、主要目的である感染の制御で限界がある(Genco et al. (1990) in Contenporary Periodontics, The C.V. Mosby Company, St. Louis, pp. 361-370)。一般的な抗微生物薬または抗歯垢薬には、クロルヘキシジン、Triclosan、フッ化第一スズ、Listerine、過酸化水素、塩化セチルピリジニウムおよびサンギナリンアルカロイド類が含まれる。処方される抗微生物性口内リンス、消毒チップ、抗生物質ゲル/ミクロスフェアおよび酵素抑制薬ドキシサイクリンは、歯周疾患を処置し且つ制御するのに好ましい非機械的/理学的選択肢である。出願人は、口腔疾患および状態の処置のためのエイコサノイドおよびサイトカインの経路を標的とする主要な生物学的活性成分としてフリーB環フラボノイド類およびフラバン類を組み合わせた製剤についてのいずれの報告も承知していない。
【0014】
フラボノイド類またはバイオフラボノイド類は、抗細菌活性、抗炎症活性、抗アレルギー活性、抗変異原活性、抗ウイルス活性、抗腫瘍活性、抗トロンビン活性および血管拡張活性を有すると報告された、広く分布する一群の天然産物である。この群の化合物に共通の構造単位は、次の一般的な構造式:
【0015】
【化1】
【0016】
によって示されるように、3炭素環の両側に2個のベンゼン環を包含する。この一般的な三環構造に結合したヒドロキシル基、糖、酸素およびメチル基のいろいろな組合せは、いろいろなクラスのフラボノイド類を生じるが、それには、フラボノール類、フラボン類、フラバン−3−オール類(カテキン類)、アントシアニン類およびイソフラボン類が含まれる。
【0017】
フリーB環フラボン類およびフラボノール類は、特定のクラスのフラボノイド類であり、それらは、次の一般的な構造:
【0018】
【化2】
【0019】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH2、−NHR、−NR2、−NR3+X−、単一の糖または複数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され、ここにおいて、このグリコシドは、炭素、酸素、窒素または硫黄によって7−ヒドロキシクロモンに連結していて、そしてここにおいて、この単一の糖または複数の糖組合せには、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるが、これに制限されるわけではなく;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、フルオリド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示されるように、芳香族B環(本明細書中、フリーB環フラボノイド類と称される)上に置換基を有していない。
【0020】
フリーB環フラボノイド類は、比較的希少である。合成されたまたは天然源より単離された9,396種類のフラボノイド類の内、231種類のフリーB環フラボノイド類だけが知られている(The Combined Chemical Dictionary, Chapman & Hall/CRC, Version 5:1 June 2001)。フリーB環フラボノイド類は、多様な生物学的活性を有すると報告された。典型的に、フラボノイド類は、生物学的活性について、無作為にそれらの利用可能性に基づいて調べられてきた。時々、B環上の置換の必要条件は、p−糖タンパク質への高親和性結合(Boumendjel et al. (2001) Bioorg. Med. Chem. Lett. 11(1):75-77);強心作用(Itoigawa et al. (1999) J. Ethnopharmacol. 65(3):267-272);リノール酸ヒドロペルオキシド誘導毒性に対する内皮細胞への防御作用(Kaneko and Baba (1999) Biosci Biotechnol. Biochem 63(2):323-328);COX−1阻害活性(Wang (2000) Phytomedicine 7:15-19);およびプロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ(Kalkbrenner et al. (1992) Pharmacology 44(1):1-12)に必要なB環置換のように、特定の生物学的活性について強調された。少数の公報しか、フリーB環フラボノイド類の未置換B環の有意性を述べていなかった。一つの例は、潜在的な抗凝固薬として、NADPHキノンアクセプターオキシドレダクターゼを阻害する2−フェニルフラボン類の使用である。(Chen et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61(11):1417-1427)。
【0021】
種々のフリーB環フラボノイド類の抗炎症活性の作用機構は、議論の的になった。フリーB環フラボノイド類であるクリシン(Liang et al. (2001) FEBS Lett. 496(1):12-18)、ウォゴニン(wogonin)(Chi et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61:1195-1203)およびハランジン(halangin)(Raso et al. (2001) Life Sci. 68(8):951-931)の抗炎症活性は、ペルオキシソーム増殖応答性受容体(peroxisome proliferator activated receptor)ガンマ(PPARγ)の活性化、および脱顆粒およびAA放出への影響によって、誘導性シクロオキシゲナーゼおよび酸化窒素シンターゼの抑制に関連していた。(Tordera et al. (1994) Z. Naturforsch [C] 49:235-240)。オロキシリン、バイカレインおよびウォゴニンは、シクロオキシゲナーゼに影響することなく、12−リポキシゲナーゼの活性を阻害するということが報告された。(You et al. (1999) Arch. Pharm. Res. 22(1):18-24)。より最近になって、ウォゴニン、バイカリン(baicalin)およびバイカレインの抗炎症活性は、酸化窒素阻害剤およびリポ多糖で誘導されるcox−2遺伝子発現および誘導性酸化窒素シンターゼの阻害によって生じると報告された。(Chen et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61(11):1417-1427)。オロキシリンは、NFκB活性化の抑制によって作用するということも報告された。(Chen et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61(11):1417-1427)。最後に、ウォゴニンは、報告によれば、マクロファージ中の誘導性PGE2産生を阻害する。(Wakabayashi and Yasui (2000) Eur. J. Phrmacol. 406(3):477-481)。
【0022】
漢方薬用植物であるスクテラリア・バイカレンシス(Scutellaria baicalensis)は、バイカレイン、バイカリン、ウォゴニンおよびバイカレノシド(baicalenoside)を含めた、有意の量のフリーB環フラボノイド類を含有する。伝統的に、この植物は、発熱除去(clearing away heat)、炎症除去(purging fire)、湿・温(dampness-warm)および夏季熱症候群;高熱に起因する多渇症;カルブンケル、びらんおよび他の化膿性皮膚感染;急性扁桃炎、咽喉頭炎および猩紅熱などの上気道感染;ウイルス性肝炎;腎炎;腎盂炎(pelvitis);赤痢;吐血および鼻出血を含めた多数の状態を処置するのに用いられてきた。この植物は、更に、流産を防止するのに伝統的に用いられてきた。(Encyclopedia of Chinese Traditional Medicine, ShangHai Science and Technology Press, ShangHai, China, 1998)。臨床的には、Scutellaria は、現在、小児肺炎、小児細菌性下痢、ウイルス性肝炎、急性胆嚢炎症、高血圧症、切開および外科手術に起因する局所急性炎症、気管支喘息および上気道感染などの状態を処置するのに用いられている。(Encyclopedia of Chinese Traditional Medicine, ShangHai Science and Technology Press, ShangHai, China, 1998)。気管支喘息を処置するための Scutellaria 根の薬理学的効力は、報告によれば、フリーB環フラボノイド類の存在と、エオタキシンに関連した好酸球補充をそれらが抑制することに関連している。(Nakajima et al. (2001) Planta Med. 67(2):132-135)。
【0023】
これまでに、多数の天然に存在するフリーB環フラボノイド類が、いろいろな用途のために商業化されてきた。例えば、Scutellaria 抽出物のリポソーム製剤は、スキンケア用に利用されてきた(米国特許第5,643,598号;第5,443,983号)。バイカリンは、癌遺伝子へのその阻害作用のために、癌を予防するのに用いられてきた(米国特許第6,290,995号)。バイカリンおよび他の化合物は、抗ウイルス薬、抗細菌薬および免疫調節薬として(米国特許第6,083,921号およびWO98/42363号)および天然の抗酸化剤として(WO98/49256号およびポーランド公報第9,849,256号)用いられてきた。テルペノイド類を含むフラボノイド類製剤は、う歯を処置し且つ阻害するための表面結合グルコシルトランスフェラーゼの阻害剤として用いられてきた(US#20040057908号)。日本国特許第63027435号は、バイカレインの抽出および濃縮を記載しており、そして日本国特許第61050921号は、バイカリンの精製を記載している。
【0024】
2002年3月1日出願の「Identification of Free-B-Ring Flavonoids as Potent COX-2 Inhibitors」と称する米国出願第10/091,362号および2003年7月22日出願の「Formulation of a Mixture of Free-B-Ring Flavonoids and Flavans as a Therapeutic Agent」と称する米国出願第10/427,746号は、シクロオキシゲナーゼ酵素COX−2を阻害する方法であって、それを必要としている宿主に、フリーB環フラボノイドを含む組成物またはフリーB環フラボノイド類の混合物を含有する組成物を投与することによる方法を開示している。これは、フリーB環フラボノイド類とCOX−2阻害活性との関連についての最初の報告である。これら出願は、参照により本明細書中にそのまま具体的に取り込まれる。
【0025】
フラバン類には、次の一般的な構造:
【0026】
【化3】
【0027】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NRH;−NR2;−NR3+X−;挙げられた置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルが含まれるがこれに制限されるわけではないエステル、およびそれらの化学誘導体;単一の糖または複数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され、ここにおいて、このグリコシドは、炭素、酸素、窒素または硫黄によって7−ヒドロキシクロモンに連結していて、そしてここにおいて、この単一の糖または複数の糖組合せには、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体および他の重合フラバン類が含まれるが、これに制限されるわけではなく;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示される化合物が含まれる。
【0028】
カテキンは、次の構造:
【0029】
【化4】
【0030】
を有する、主に緑茶に見出されるフラバンである。カテキンは、単独でも、茶に見出される他のフラボノイド類と一緒でも作用し、抗ウイルスおよび抗酸化双方の活性を有する。カテキンは、ウイルス性肝炎の処置に有効であることが分かった。それは、更に、心臓、腎臓、肺および脾臓への酸化的損傷を妨げると考えられるし、胃癌細胞の増殖を阻害することが分かった。
【0031】
カテキンおよびその異性体エピカテキンは、プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼを40μMのIC50値で阻害する。(Kalkbrenner et al. (1992) Pharmacol. 44:1-12)。商業的に入手可能な純(+)−カテキンは、COX−2への選択性を伴うことなく、実験条件に依存して、COX−1を約183〜279μMのIC50値で阻害する。(Noreen et al. (1998) J. Nat. Prod. 61:1-7)。緑茶カテキンは、Sprague Dawley 雄ラットの飼料中に補足された場合、血小板PLA2の活性レベルを低下させ、そして血小板シクロオキシゲナーゼレベルを有意に減少させた。(Yang et al. (1999) J. Nutr. Sci. Vitaminol. 45:337-346)。カテキンおよびエピカテキンは、報告によれば、ヒト結腸癌DLD−1細胞中のcox−2遺伝子転写を弱く抑制する(IC50=415.3μM)。(Mutoh et al. (2000) Jpn. J. Cancer Res. 91:686-691)。赤ワインからの(+)−カテキンのニューロン保護能力は、シクロオキシゲナーゼ、リポキシゲナーゼまたは酸化窒素シンターゼなどの細胞内酵素への阻害作用よりもむしろ、カテキンの抗酸化性によって生じる(Bastianetto et al. (2000) Br. J. Pharmacol. 131:711-720)。エピガロカテキン−3−ガレート(EGCG)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキン−3−ガレート(ECG)およびティーフラビン類のような、緑茶および紅茶から精製されたカテキン誘導体は、ヒト結腸粘膜および結腸腫瘍組織中のシクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲナーゼに依存性のAA代謝の阻害を示したが(Hong et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 62:1175-1183)、cox−2発現およびPGE2産生を引き起こす(Park et al. (2001) Biochem. Biophys. Res. Commun. 286:721-725)。
【0032】
アカシア(Acacia)は、マメ科の属の木および低木である。Acacia 属には、マメ科(Leguminosae)の科およびミモソイデエ(Mimosoideae)の亜科に属する1000を超える種が含まれる。Acacia は、中・南米、アフリカ、アジアの一部、並びにオーストラリアの熱帯および亜熱帯地域に、世界的に広く分布していて、最大多数の固有種を有する。これまでに、約330種類の化合物が、いろいろな Acacia 種から単離された。フラボノイド類は、Acacia から単離された化合物の主要なクラスである。約180種類の異なったフラボノイド類が識別されたが、その内111種類はフラバン類である。テルペノイド類は、Acacia 属の種から単離された化合物の2番目に大きいクラスであり、48種類の化合物が識別された。Acacia から単離された化合物の他のクラスには、アルカロイド類(28)、アミノ酸/ペプチド(20)、タンニン類(16)、炭水化物(15)、酸素複素環(15)および脂肪族化合物(10)が含まれる。(Buckingham, The Combined Chemical Dictionary, Chapman & Hall CRC, version 5:2, Dec. 2001)。
【0033】
フェノール化合物、具体的には、フラバン類は、全ての Acacia 種に中〜高濃度で見出される。(Abdulrazak et al. (2000) Journal of Animal Sciences. 13:935-940)。歴史的には、Acacia 属の植物および抽出物の大部分が、収斂薬として、胃腸障害、下痢、消化不良を処置するのにおよび出血を止めるのに利用されてきた。(Vautrin (1996) Universite Bourgogne (France) European abstract 58-01C:177; Saleem et al. (1998) Hamdard Midicus. 41:63-67)。Acacia 樹皮からの抽出物は、外用のために漂白剤として(Abe, JP10025238号)、歯科用途のグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤として(Abe, JP07242555号)、タンパク質合成阻害剤として(Fukai, JP07165598号)、皮膚外用製剤のための活性酸素スカベンジャーとして(Honda, JP07017847号,Bindra 米国特許第6,1266,950号)、および炎症、花粉症および咳を予防するヒアルロニダーゼ阻害剤として(Ogura, JP07010768号)、日本で特許を得た。
【0034】
ウンカリア(Uncaria)属には、34種が含まれるが、その多くは、薬用植物として周知である。Uncaria 植物は、創傷、および潰瘍、発熱、頭痛、胃腸病および微生物/ガンガル(gungal)感染の処置のためのいろいろな培養物によって利用されてきた。Uncaria 植物は、有意の量のカテキンおよび他のフラボン類を含有する。Uncaria 属において報告された他の成分には、アルカロイド類、テルペン類、キノビン酸グリコシド類、クマリン類およびフラボノイド類が含まれる。ウンカリア・ガンビル(Uncaria gambir)は、マレーシア、シンガポール、インドおよび他の東南アジア諸国に共通の種である。カテキン類は、Uncaria gambir の植物全体中の主要成分である。
【発明の開示】
【0035】
発明の要旨
本発明は、口腔、歯および歯肉に関連した疾患および状態の予防または処置に用いるためのエイコサノイド系およびサイトカイン系双方を同時に阻害する場合に有効である方法を包含する。エイコサノイド系およびサイトカイン系双方の同時二重モジュレーションの方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または複数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類とフラバン類との混合物を含んで成る組成物を全身にまたは局所に投与することを含んで成る。この組成物を、本明細書中においてUP676と称する。この方法の効力および安全性は、いろいろな細胞系、多数の動物モデル、そして最後にはヒト臨床研究において、精製された酵素で示される。組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内である。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の好ましい態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、Scutellaria 属植物のうちの一つまたは複数の植物より単離され、そしてフラバン類は、Acacia 属または Uncaria 属植物のうちの一つまたは複数の植物より単離される。
【0036】
本発明は、更に、口腔、歯および歯肉の疾患および状態の予防または処置の方法を包含する。これら口腔、歯および歯肉の疾患および状態を予防又は処置する方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または複数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類とフラバン類との混合物および薬学的に許容しうる担体を含む組成物の有効量を全身にまたは局所に投与することを含んで成る。組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内である。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択されうる。本発明の好ましい態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、Scutellaria 属植物のうちの一つまたは複数の植物より単離され、そしてフラバン類は、Acacia 属または Uncaria 属植物のうちの一つまたは複数の植物より単離される。
【0037】
本明細書中においてフリーB環フラボン類およびフラボノール類とも称される、次の発明によって用いることができるフリーB環フラボノイド類には、次の一般的な構造:
【0038】
【化5】
【0039】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH2、−NHR、−NR2、−NR3+X−、単一の糖または複数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され、ここにおいて、このグリコシドは、炭素、酸素、窒素または硫黄によって7−ヒドロキシクロモンに連結していて、そしてここにおいて、この単一の糖または複数の糖組合せには、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるが、これに制限されるわけではなく;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示される化合物が含まれる。
【0040】
本発明のフリーB環フラボノイド類は、合成法によって得ることができるし、またはバンレイシ科(Annonaceae)、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科(Bignoniaceae)、シクンシ科(Combretaceae)、キク科(Compositae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、シソ科(Labiatae)、クスノキ科(Lauranceae)、マメ科(Leguminosae)、クワ科(Moraceae)、マツ科(Pinaceae)、イノモトソウ科(Pteridaceae)、ヒメウラジロ科(Sinopteridaceae)、ニレ科(Ulmaceae)およびショウガ科(Zingiberaceae)が含まれるがこれに制限されるわけではない植物の科より抽出することができる。それらフリーB環フラボノイド類は、次の、デスモス(Desmos)、アキロクリン(Achyrocline)、オロキシルム(Oroxylum)、ブケナビア(Buchenavia)、アナファリス(Anaphalis)、コツラ(Cotula)、ハハコグサ(Gnaphalium)、ヘリクリスム(Helichrysum)、センタウレア(Centaurea)、フジバカモ(Eupatorium)、バッカリス(Baccharis)、シラキ(Sapium)、Scutellaria、モルサ(Molsa)、コレブローケア(Colebrookea)、スタキス(Stachys)、オリガヌム(Origanum)、ジジホラ(Ziziphora)、リンデラ(Lindera)、アクチノダフネ(Actinodaphne)、Acacia、デリス(Derris)、グリシリザ(Glycyrrhiza)、ミレティア(Millettia)、ポンガミア(Pongamia)、テフロシア(Tephrosia)、パンノキ(Artocarpus)、イチジク(Ficus)、ピチログランマ(Pityrogramma)、ノトレナ(Notholaena)、アカマツ(Pinus)、ハルニレ(Ulmus)およびハナミョウガ(Alpinia)が含まれるがこれに制限されるわけではない高等植物の属より抽出し、濃縮し、そして精製することができる。
【0041】
次の発明によって用いることができるフラバン類には、概して、次の一般的な構造:
【0042】
【化6】
【0043】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NRH;−NR2;−NR3+X−;挙げられた置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルが含まれるがこれに制限されるわけではないエステル、およびそれらの化学誘導体;単一の糖または複数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され、ここにおいて、このグリコシドは、炭素、酸素、窒素または硫黄によって7−ヒドロキシクロモンに連結していて、そしてここにおいて、この単一の糖または複数の糖組合せには、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体および他の重合フラバン類が含まれるが、これに制限されるわけではなく;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示される化合物が含まれる。
【0044】
本発明のフラバン類は、Acacia 属または Uncaria 属より選択される一つまたは複数の植物から得ることができる。好ましい態様において、その植物は、アカシア・カテキュ(Acacia catechu)、アカシア・コンシナ(Acacia concinna)、アカシア・ファルネシアナ(Acacia farnesiana)、アカシア・セネガル(Acacia Senegal)、アカシア・スペシオサ(Acacia speciosa)、アカシア・アラビカ(Acacia arabica)、A.シーシア(A. caesia)、A.ペナタ(A. pennata)、A.シニュータ(A. sinuata)、A.ミールンシイ(A. mearnsii)、A.ピクナンタ(A. picnantha)、A.ディールバタ(A. dealbata)、A.アウリクリホルミス(A. auriculiformis)、A.ホロセレシア(A. holoserecia)およびA.マンギウム(A. mangium);および Uncaria gambir、ウンカリア・ラノサ(Uncaria lanosa)、ウンカリア・ヒルステ(Uncaria hirsute)、ウンカリア・アフリカナ(Uncaria africana)、ウンカリア・エリプリカ(Uncaria elliplica)、ウンカリア・オリエンタリス(Uncaria orientalis)、ウンカリア・アテヌエート(Uncaria attenuate)、ウンカリア・アシダ(Uncaria acida)、ウンカリア・ホモマラ(Uncaria homomalla)、ウンカリア・セシリフルクツス(Uncaria sessilifructus)、ウンカリア・ステロフィラ(Uncaria sterrophylla)、ウンカリア・ベルネイシイ(Uncaria bernaysii)、ウンカリア・シネンシス(Uncaria sinensis)、ウンカリア・カロフィラ(Uncaria callophylla)、ウンカリア・リコフィラ(Uncaria rhychophylla)、ウンカリア・トメントサ(Uncaria tomentosa)、ウンカリア・ロンギフロラ(Uncaria longiflora)、ウンカリア・ヒルステ(Uncaria hirsute)、ウンカリア・コルダタ(Uncaria cordata)およびウンカリア・ボルネエンシス(Uncaria borneensis)から成る群より選択される。
【0045】
一つの態様において、本発明は、歯肉炎、攻撃的歯周炎、慢性歯周炎、歯根尖周囲歯周炎、全身性疾患の発現としての歯周炎、および壊死性歯周疾患などの歯周(歯肉)疾患が含まれるがこれに制限されるわけではない、口腔、歯肉および歯に関連した多数の疾患および状態を予防又は処置する方法を包含し、ここにおいて、それら歯周疾患の原因には、慢性細菌感染、歯垢蓄積、喫煙および/またはかみタバコによるタバコ慣習、遺伝的感受性、妊娠および思春期による、ストレス、薬剤、および糖尿病、栄養不良および他の全身性疾患が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0046】
もう一つの態様において、本発明は、敏感な歯肉および歯;続発症;歯髄炎;過敏;義歯の物理的植込み、外傷、損傷、歯ぎしり、および他の口腔内、歯肉上または舌上の軽症創傷に起因する痛みおよび炎症;歯垢および歯石;歯脱灰;タンパク質分解;およびう歯(う蝕)の予防または処置の方法を包含する。
【0047】
本発明は、更に、本発明の治療薬を含む治療的組成物を包含する。上記の口腔、歯および歯肉の疾患および状態の予防または処置のためのそれらの使用に加えて、本明細書中に記載の治療的組成物は、最適の唾液産生、唾液pH値を維持すること;細菌増殖を最小限にすること;歯垢酸(plague acids)の形成を減少させること;無機質減損を阻害すること;再石灰化を促進すること;う歯の有病率を減少させること;健康的な歯肉を生じること;歯を白くすること;健康的な口腔衛生を維持すること;および口腔悪臭(口臭)を減少させることにも有用でありうる。
【0048】
本発明による予防または処置の方法は、それを必要としている宿主に、単一の源または多数の源より単離され、製剤化されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の治療的有効量を全身にまたは局所に投与することを含む。個々のおよび/または混合物の多数のフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の純度には、一つまたは複数の化合物を得るのに用いられる方法に依存して、0.01%〜100%が含まれるが、これに制限されるわけではない。好ましい態様において、それを含有するフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の用量は、局所用製剤の全重量に基づき0.001%〜100%の範囲より概して選択される有効な無毒性量である。常套の臨床試験を行う当業者は、処置されている特定の疾患に最適な用量を決定することができる。
【0049】
本発明は、製剤を最適化し且つ所望の生理学的活性を得るための酵素モデルおよび in vivo モデルを用いた、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類のいろいろな組成物の評価を包含する。この製剤の効力および安全性は、ヒト臨床試験で示される。本発明の組成物は、当業者に知られているいずれかの方法によって投与することができる。投与様式には、経腸(経口)投与、非経口(静脈内、皮下および筋肉内)投与および局所適用が含まれるが、これに制限されるわけではない。一つの態様において、本発明による処置方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の治療的有効量を局所投与することを含む。局所投与の方法には、練り歯磨き剤、ゲル剤、軟膏剤、口内洗剤、チューインガム、チンキ剤、飲料、そして更には、他の既知の医薬製剤が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0050】
これまでのところ、本発明の出願人は、口腔、歯および歯肉に関連した疾患および状態の処置のための主要な生物学的活性成分としてフリーB環フラボノイド類およびフラバン類を組み合わせた製剤についてのいずれの報告も承知していない。フリーB環フラボノイドの芳香環の一つに置換が欠如していることは、これら化合物を口腔ケアに用いるのに有効にする場合にきわめて重要な役割を果たしている。多数の他の抗炎症薬および天然に存在する化合物とは異なり、バイカリンなどのフリーB環フラボノイドは、分子の一方の側に低極性芳香環を有し、そしてもう一方の側に、高極性グルクロニドおよび2個のヒドロキシル基を有する。この構造配置は、これら化合物が、歯肉組織中に容易に浸透し且つ保持されることを可能にする。本明細書中においてUP676と称する組成物を生じるフリーB環フラボノイド類とフラバン類との組合せは、歯周疾患の全四段階の炎症を含めた歯周組織の炎症を制御するのに役立つであろうエイコサノイド系およびサイトカイン系双方の相乗的且つ強力なモジュレーターを与える。更に、異なった生物学的利用率、すなわち、上皮細胞膜に浸透する生物学的活性化合物の割合および百分率、および歯周組織中の生物学的活性化合物の局部濃度のために、二つの異なったタイプの化合物(極性が高い方のフラバン類対極性が低い方のフリーB環フラボノイド類)の組合せは、生物学的に活性なフラバン類による、現場の痛みおよび急性炎症双方の速やかな軽減、更には、生物学的に活性なフリーB環フラボノイド類による、歯周組織の慢性炎症についての一層長く続くモジュレーションを与える。最後に、比較的濃度が低い方のフラバン類(20重量%)を含む有意の量のフリーB環フラボノイド類(80重量%)の製剤の好ましい態様において、より強力な抗酸化性フラバン類は、フリーB環フラボノイド類の酸化的分解に対する天然の保存剤としても機能するし、そして組成物を中和し且つ緩衝化して、主要な活性化合物の送達を可能にする、すなわち、フリーB環フラボノイド類を最適なpHおよびイオン化条件にするようにも機能するであろう。
【0051】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は双方とも、単に代表するものであり且つ詳しく説明するものであり、請求の範囲に記載の発明を制限するものではないということは理解されるはずである。
【0052】
好ましい態様の詳細な説明
種々の用語が、本明細書中において本発明の側面を論じるのに用いられている。本発明の成分の説明を明確にする助けとなるように、次の定義を与える。
【0053】
本明細書中で用いられる「a」または「an」という用語は、一つまたはそれを超えるものを意味するということに留意すべきである;例えば、「a flavonoid」」とは、1以上のフラボノイド類のことをいう。従って、「a」または「an」、「一つまたはそれを超える」および「少なくとも一つ」という用語は、本明細書中において相互交換可能に用いられる。
【0054】
本明細書中で用いられる「フリーB環フラボノイド類」は、次の一般的な構造:
【0055】
【化7】
【0056】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH2、−NHR、−NR2、−NR3+X−、単一の糖または複数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され、ここにおいて、このグリコシドは、炭素、酸素、窒素または硫黄によって7−ヒドロキシクロモンに連結していて、そしてここにおいて、この単一の糖または複数の糖組合せには、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるが、これに制限されるわけではなく;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示されるように、芳香族B環上に置換基を有していない特定のクラスのフラボノイド類である。
【0057】
本明細書中で用いられる「フラバン類」とは、次の一般的な構造:
【0058】
【化8】
【0059】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NRH;−NR2;−NR3+X−;挙げられた置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルが含まれるがこれに制限されるわけではないエステル、およびそれらの化学誘導体;単一の糖または複数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され、ここにおいて、このグリコシドは、炭素、酸素、窒素または硫黄によって7−ヒドロキシクロモンに連結していて、そしてここにおいて、この単一の糖または複数の糖組合せには、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体および他の重合フラバン類が含まれるが、これに制限されるわけではなく;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって一般的に示すことができる特定のクラスのフラボノイド類を意味する。
【0060】
本明細書中で用いられる「治療的」には、処置および/または予防が含まれる。用いられる場合、治療的は、ヒト並びに他の動物についてである。
「薬学的にまたは治療的に有効な用量または量」とは、望ましい生物学的結果を引き起こすのに充分な投薬量レベルを意味する。その結果は、疾患の徴候、症状または原因の軽減、または望まれる生体系のいずれか他の変化であってよい。正確な投薬量は、対象の齢およびサイズ、疾患および行われている処置が含まれるがこれに制限されるわけではない種々の因子によって異なるであろう。
【0061】
「プラシーボ」とは、疾患の徴候、症状または原因を軽減することができる望ましい生物製剤を誘導するのに充分な薬学的にまたは治療的に有効な用量または量の、非活性物質での代用を意味する。
【0062】
「宿主」または「患者」は、本明細書中に記載の組成物が投与される、生きている対象、ヒトまたは動物である。したがって、本明細書中に記載の発明は、獣医学並びにヒトの用途に用いることができ、「患者」または「宿主」という用語は、制限するように解釈されるべきではない。獣医学用途の場合、投薬量範囲は、下記のように、動物の体重を考慮して決定することができる。
【0063】
本明細書中で用いられる「薬学的に許容しうる担体」とは、活性成分の生物学的活性の有効性を妨げることがなく、しかもそれが投与される宿主にとって毒性でないいずれかの担体を意味する。「薬学的に許容しうる担体」の例には、生理食塩水、すなわち、リンガー溶液、緩衝化生理食塩水、水、デキストロース溶液、血清アルブミン、および錠剤成形用およびカプセル剤成形用製剤のための他の賦形剤および保存剤のような、いずれかの標準的な医薬担体が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0064】
「遺伝子発現」とは、mRNAへの遺伝子の転写を意味する。
「タンパク質発現」とは、タンパク質へのmRNAの翻訳を意味する。
本明細書中で用いられる「RT−qPCR」とは、mRNA分子をcDNA分子中に逆転写(RT)後、蛍光レポーターとカップリングしたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、その遺伝子発現レベルを定量的に評価する方法を意味する。
【0065】
本出願中に、種々の引用が与えられていることに留意されたい。引用は各々、参照により本明細書中にそのまま具体的に取り込まれる。
本発明は、Scutellaria 属からの3種およびオロキシルム・インディクム(Oroxylum indicum)を含めた、フリーB環フラボノイド類を含有する植物、および Uncaria 属からの3種および Acacia catechu を含めた、フラバン類を含有する植物の、有機溶媒および水性溶媒での抽出方法(実施例1、表1)を提供する。それら粗製抽出物を、シクロオキシゲナーゼ阻害活性について検定した(実施例2、表2および表3)。精製されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類は、実施例3および実施例4および表4に示されるように、シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)それぞれに対して阻害活性を示した。それら抽出物を分析するおよび定量する方法は、実施例5および実施例6に記載され、そして標準化されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類を植物起原から生じる手順は、実施例7および実施例8に与えられる。
【0066】
本発明の一つの態様において、標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物は、実施例1、実施例2、実施例5および実施例8に定義のように、(重量で)1〜99%の純度の全フリーB環フラボノイド類を有する活性化合物を含んで成る。バイカリンは、Scutellaria 種に由来する抽出物中の主要活性成分であり、全フリーB環フラボノイド類の(重量で)約50〜90%を占める。好ましい態様において(実施例9)、Scutellaria 種に由来する標準化された抽出物は、>82%の全フリーB環フラボノイド類を含有し、そのフリーB環フラボノイド類の重量での主要成分はバイカリンである(表11を参照されたい)。
【0067】
本発明の一つの態様において、標準化されたフラバン抽出物は、実施例1、実施例4、実施例6および実施例7に定義のように、(重量で)1〜99%の純度の全フラバン類を有する活性化合物を含んで成る。カテキンは、Acacia catechu および Uncaria gambir 双方に由来する抽出物中の主要活性成分であり、全フラバン類の(重量で)30〜95%を占める。好ましい態様において(実施例9)、Acacia catechu に由来する標準化されたフラバン抽出物は、>80%のカテキン類を含有する。
【0068】
一つの態様において、UP676は、上の二つの抽出物または合成化合物を99:1〜1:99の比率で混合することによって製造される。フリーB環フラボノイド類対フラバン類の好ましい重量/重量比は、実施例9および表11に定義のように、80:20である。
【0069】
UP676中のフリーB環フラボノイド類の濃度は、約1%〜99%でありうるし、UP676中のフラバン類の濃度は、約99%〜1%でありうる。実施例9および表11に示されるような本発明の好ましい態様において、UP676中の全フリーB環フラボノイド類の濃度は、約75%で、UP676の全重量の約60%のバイカリン含量を有し;そしてUP676中の全フラバン類の濃度は、約10%で、約9.9%のカテキン含量を有する。この態様において、UP676中の全活性成分(フリーB環フラボノイド類+フラバン類)は、全重量の>85%である。
【0070】
本発明は、歯周疾患および歯肉状態の予防または処置に用いるための、エイコサノイドおよびサイトカイン双方の経路を同時に阻害する場合に有効である方法を包含する。エイコサノイド経路およびサイトカイン経路の二重モジュレーションの方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含んで成る組成物を全身にまたは局所に投与することを含んで成る。この組成物を、本明細書中においてUP676と称する。この方法の効力は、いろいろな細胞系、多数の動物モデル、そして最後にはヒト臨床研究において、精製された酵素で示される。組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内である。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の好ましい態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、Scutellaria 属植物のうちの一つまたは複数の植物より単離され、そしてフラバン類は、Acacia 属植物のうちの一つまたは複数の植物より単離される。
【0071】
本発明は、更に、シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)酵素活性を同時に阻害する方法を包含する。シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)酵素活性を同時に阻害する方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物および薬学的に許容しうる担体を含んで成る組成物の有効量を全身にまたは局所に投与することを含んで成る。その組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内である。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の好ましい態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、Scutellaria 属植物のうちの一つまたは複数の植物より単離され、そしてフラバン類は、Acacia 属植物のうちの一つまたは複数の植物より単離される。
【0072】
本発明に更に包含されるのは、口腔、歯肉および歯に関連した疾患および状態の予防または処置に用いるための、IL−1β、TNFαおよびIL−6並びに炎症に関連した他のタンパク質を同時に減少させるための方法である。理論によって制限されることはないが、これらタンパク質を減少させる機構は、本発明の組成物によるそれらの遺伝子発現のダウンレギュレーションの結果であると考えられる。炎症誘発性サイトカイン、特に、IL−1β、TNFαおよびIL−6は、歯周組織中の慢性感染において不可欠な役割を果たしている。炎症誘発性サイトカインの合成の誘導は、PDL細胞の表現型および機能に影響する。これらサイトカインは、免疫細胞を活性化し且つ感染部位に補充するのみならず、支持骨および靱帯結合の減損を引き起こす。炎症誘発性サイトカインの、特に、IL−1β、TNFαおよびIL−6の遺伝子発現の同時抑制方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含んで成る組成物を全身にまたは局所に投与することを含んで成る。この組成物を、本明細書中においてUP676と称する。組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内である。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の好ましい態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、20:80である。もう一つ好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、Scutellaria 属植物のうちの一つまたは複数の植物より単離され、そしてフラバン類は、Acacia 属植物のうちの一つまたは複数の植物より単離される。
【0073】
一つの態様において、本発明は、歯肉炎、攻撃的歯周炎、慢性歯周炎、歯根尖周囲歯周炎、全身性疾患の発現としての歯周炎、および壊死性歯周疾患を含めた歯周(歯肉)疾患が含まれるがこれに制限されるわけではない、口腔、歯肉および歯に関連した多数の疾患および状態を予防又は処置する方法を包含し、ここにおいて、それら歯周疾患の原因には、慢性細菌感染、歯垢蓄積、喫煙および/またはかみタバコによるタバコ慣習、遺伝的感受性、妊娠および思春期による、ストレス、薬剤、および糖尿病、栄養不良および他の全身性疾患が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0074】
もう一つの態様において、本発明は、敏感な歯肉および歯、続発症、歯髄炎、過敏、および義歯の物理的植込みおよび他の材料に起因する痛みの予防または処置の方法;創傷治癒を促進し、外傷、損傷、歯ぎしり、および他の口腔内、歯肉上または舌上の軽症創傷に起因する痛みおよび炎症を減少させる方法を包含する。更にもう一つの態様において、本発明は、歯垢および歯石、歯脱灰、タンパク質分解およびう歯(う蝕)の予防または処置の方法を包含する。
【0075】
本発明は、更に、本発明の治療薬を含む治療的組成物を包含する。上記の口腔、歯および歯肉の疾患および状態の予防または処置のためのそれらの使用に加えて、本明細書中に記載の治療的組成物は、最適の唾液産生、唾液pH値を維持すること;細菌増殖を最小限にすること;歯垢酸の形成を減少させること;無機質減損を阻害すること;再石灰化を促進すること;う歯の有病率を減少させること;健康的な歯肉を生じること;歯を白くすること;健康的な口腔衛生を維持すること;および口腔悪臭(口臭)を減少させることにも有用でありうる。
【0076】
本発明によって用いることができるフリーB環フラボノイド類には、上に挙げられた一般的な構造によって示される化合物が含まれる。本発明のフリーB環フラボノイド類は、合成法によって得ることができるし、または Annonaceae、Asteraceae、Bignoniaceae、Combretaceae、Compositae、Euphorbiaceae、Labiatae、Lauranceae、Leguminosae、Moraceae、Pinaceae、Pteridaceae、Sinopteridaceae、Ulmaceae および Zingiberaceae が含まれるがこれに制限されるわけではない植物の科より単離することができる。それらフリーB環フラボノイド類は、次の、Desmos、Achyrocline、Oroxylum、Buchenavia、Anaphalis、Cotula、Gnaphalium、Helichrysum、Centaurea、Eupatorium、Baccharis、Sapium、Scutellaria、Molsa、Colebrookea、Stachys、Origanum、Ziziphora、Lindera、Actinodaphne、Acacia、Derris、Glycyrrhiza、Millettia、Pongamia、Tephrosia、Artocarpus、Ficus、Pityrogramma、Notholaena、Pinus、Ulmus および Alpinia が含まれるがこれに制限されるわけではない高等植物の属より抽出し、濃縮し、そして精製することができる。それらフラボノイド類は、茎、茎皮、小枝、塊茎、根、根皮、ヤングシュート(young shoots)、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分が含まれるがこれに制限されるわけではない、植物のいろいろな部分に見出されうる。
【0077】
フリーB環フラボノイド類の単離および精製の方法は、2002年3月1日出願の「Identification of Free-B-ring Flavonoids as Potent Cox-2 Inhibitors」と称する米国出願第10/091,362号および2003年8月27日出願の「Identification of Free-B-ring Flavonoids as Potent Cox-2 Inhibitors」と称する米国出願第10/469,275号に記載されているが、それらは各々、参照により本明細書中にそのまま取り込まれる。
【0078】
本発明の方法によって用いることができるフラバン類には、上に挙げられた一般的な構造によって示される化合物が含まれる。本発明のフラバン類は、Acacia 属または Uncaria 属の植物より選択される一つまたは複数の植物から単離される。好ましい態様において、その植物は、Acacia catechu(A.catechu)、A.concinna、A.farnesiana、A.Senegal、A.speciosa、A.arabica、A.caesia、A.pennata、A.sinuata、A.mearnsii、A.picnantha、A.dealbata、A.auriculiformis、A.holoserecia およびA.mangium;または Uncaria gambir、Uncaria lanosa、Uncaria hirsute、Uncaria africana、Uncaria elliplica、Uncaria orientalis、Uncaria attenuate、Uncaria acida、Uncaria homomalla、Uncaria sessilifructus、Uncaria sterrophylla、Uncaria bernaysii、Uncaria sinensis、Uncaria callophylla、Uncaria rhychophylla、Uncaria tomentosa、Uncaria longiflora、Uncaria hirsute、Uncaria cordata および Uncaria borneensis から成る群より選択される。それらフラバン類は、茎、茎皮、幹、樹皮、小枝、塊茎、根、根皮、ヤングシュート、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分が含まれるがこれに制限されるわけではない、植物のいろいろな部分に見出されうる。
【0079】
フラバン類の単離および精製の方法は、2002年3月22日出願の「Isolation of a Dual Cox-2 and 5-Lipoxygenase Inhibitor from Acacia」と称する米国出願第10/104,477号に記載されているが、それは、参照により本明細書中にそのまま取り込まれる。
【0080】
本発明は、一連の in vivo の炎症および毒性の研究、更には、in vitro の生化学的、細胞および遺伝子発現のスクリーニングを組み合わせる戦略を行って、COXおよびLOX酵素活性を特異的に阻害する;mRNA遺伝子発現に強く影響を与える;そして炎症を減少させる活性な植物抽出物を識別する。COXおよびLOXを特異的に阻害する活性な植物抽出物を識別するのに本明細書中で用いられる方法は、実施例1および実施例2に、更には、各々参照により本明細書中にそのまま取り込まれる2002年3月1日出願の「Identification of Free-B-ring Flavonoids as Potent Cox-2 Inhibitors」と称する米国出願第10/091,362号;2002年3月22日出願の「Isolation of a Dual Cox-2 and 5-Lipoxygenase Inhibitor from Acacia」と称する米国出願第10/104,477号;および2003年4月30日出願の「Formulation With Dual Cox-2 And 5-Lipoxygenase Inhibitory Activity」と称する米国出願第10/427,746号に記載されている。
【0081】
本発明の組成物のいろいろな使用は、2004年2月24日出願の「Inhibition of Carbohydrate Induced Obesity with a Defined Plant Extract」と称する米国出願第10/785,704号;2004年4月2日出願の「Formulation of Dual COX-2 and 5-Lipoxygenase Inhibitors for Mammal Skin Care」と称する米国出願第10/817,330号;2004年9月1日出願の「Formulation With Dual COX-2 and 5-Lipoxygenase Inhibitory Activity for Use in the Prevention and Treatment of Cognitive Decline and Age-Related Memory Impairments」と称する米国出願第10/932,571号;および2004年8月27日出願の「Therapeutic Agent for the Down-Regulation of Multiple Cytokine Genes」と称する米国出願第60/605,110号に記載されている。これら出願は各々、参照により本明細書中にそのまま取り込まれる。
【0082】
COXの阻害を測定するのに用いられる生化学的検定は、ヘムおよびアラキドン酸の存在下におけるタンパク質のペルオキシダーゼ活性に頼っている。実施例3に記載されているこの研究は、精製されたフリーB環フラボノイド類;S.baicalensis より単離されたバイカリンおよびバイカレイン;およびA.catechu より単離されたフラバン抽出物;および高濃度のフリーB環フラボノイド類およびフラバン類を含有する個々の標準化された抽出物各々が、COX活性を阻害したことを示している(図1〜5)。更に、実施例9に示されるように製造された、異なった比率の個々の標準化された抽出物各々(すなわち、80:20、50:50および20:80のフリーB環フラボノイド類:フラバン類)を有する組成物は全て、in vitro でCOX活性を阻害するのにきわめて有効であった(図6〜8)。
【0083】
更に、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の組合せは、COX−1およびCOX−2酵素の一層平衡したモジュレーションを与えるということが明らかに示される。例えば、COX−1選択的阻害剤であるアスピリンは、COX−2よりもCOX−1に対して150倍を超えて強力であるが、胃腸の副作用を引き起こす。逆に、COX−1酵素よりもCOX−2酵素に対して50〜200倍大きい効力を有する選択的COX−2阻害剤である Vioxx、セレブレクス(celebrex)および Bextra は、胃腸損傷をそれほど引き起こすことはないが、しかしながら、これらCOX−2選択的薬物は、心臓血管の危険を増加させる。他方、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の製剤は、バイカリンの大きい方のCOX−2活性と、カテキンの大きい方のCOX−1活性との間に平衡を与える。COX−1酵素に対するUP676製剤中のカテキンの中程度の選択性(2.3倍)は、選択的COX−2阻害剤による心臓血管の危険を減少させるように機能する。
【0084】
更に、上に論じられた現在利用可能な薬物と天然製剤UP676との間で、作用機構が全く異なるということは有意である。アスピリン、Vioxx、セレブレクスおよび Bextra は、共有結合によってCOX酵素に不可逆的に結合して、強固に結合した酵素−阻害剤複合体を形成する。このような劇的相互作用は、酵素の活性部位およびサイドポケットを完全に変化させ且つ酵素を破壊する。(Walker MC., Kurumbal RG., et al. (2001) Biochem. 357:709-718)。他方、UP676中のフラボノイド類は、それらの抗酸化性のために、一層弱い且つ可逆的な結合によってCOX酵素を阻害する。この相互作用過程において、COX酵素の構造および機能は、不可逆的に変更されることはないので、UP676について、はるかにより良い耐性および安全プロフィールを生じる。
【0085】
A.catechu より単離されたフラバン抽出物によるLOX活性の阻害は、実施例4に記載のように、in vitro のリポキシゲナーゼスクリーニング検定を用いて評価した。それら結果は、図9に示される。フリーB環フラボノイド類へのフラバン類の添加によって、UP676は、5−LOXの活性をも阻害する。5−LOXの阻害は、慢性炎症の症状に直接的に関連している食細胞ロイコトリエンの蓄積の減少を引き起こし、そして更に、潜在的な胃腸の副作用を減少させる。このような効力は、実施例10および図11および図12に示される。簡単にいうと、LOX経路のアラキドン酸の分解における化合物、すなわち、ロイコトリエンB4の阻害を標的とした細胞検定を、実施例10に記載のように、UP676試料を用いて行った。UP676によるLTB4の阻害は、図12に示される。この図によって示される結果に関して、フリーB環フラボノイド類とフラバン類との組合せが、ロイコトリエン産生を有意に減少させるという追加の利点を与えることは明らかである。ロイコトリエン産生のこの減少は、イブプロフェンなどの伝統的な非ステロイド性抗炎症薬よりもはるかに優れている。
【0086】
実施例11は、UP676が、ヒト細胞中のIL−1β、TNFαおよびIL−6を含めた一群の炎症誘発性サイトカインの遺伝子発現を有効に抑制するということを示している。それら実験は、リポ多糖(LPS)で刺激されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)で行ったが、それは、十分に確立された炎症細胞モデルである。それら細胞を、いろいろな濃度(0、10μg/mL、30μg/mLおよび100μg/mL)でのUP676と一緒にインキュベートした場合、炎症誘発性サイトカインの遺伝子発現は、用量依存方式で抑制された。(表12)。
【0087】
炎症誘発性サイトカイン、特に、IL−1β、TNFαおよびIL−6は、歯周組織中の慢性感染において不可欠な役割を果たしている。それらは、免疫細胞を活性化し且つ感染部位に補充するのみならず、支持骨および靱帯結合の減損を引き起こす。これらサイトカイン遺伝子のmRNAレベルは、罹患した歯周組織において上昇し、そして炎症誘発性サイトカインの合成は、PDL細胞の表現型および機能に影響するということが、十分に確かめられている。UP676は、IL−1β、TNFαおよびIL−6を含めた炎症誘発性サイトカインを、mRNAレベルで劇的に同時抑制するので、それは、歯周疾患を処置する有効な方法を与える。
【0088】
in vivo 効力は、実施例12に記載のように、(微生物感染および歯垢への歯周組織の生物学的応答を模擬する)マウスの耳および足関節へのAAなどの皮膚刺激性物質の適用によっておよびUP676で処置したマウスにおける腫脹の減少を測定することによって示した。それら結果は、図13に示される。この図に関して、50mg/kg〜200mg/kgの投薬量でのUP676の経口投与は、局部刺激物によるマウス耳腫脹を有意に減少させるということが理解されうる。
【0089】
UP676の局所適用の効力は、更に、実施例13および図14に示されるように、別の動物モデルを用いて、UVで誘導される皮膚紅斑を予防又は処置することによって示した。実施例13に記載の研究において、80:20のフリーB環フラボノイド類:フラバン類ブレンド比のUP676を、水中に溶解させ、そして2種類の濃度で、無毛マウスの皮膚に、UV暴露の前にも後にもそれぞれ局所適用した。四つのUP676群からの無毛マウスの紅斑スコアは、どちらの濃度でも、そしてUV暴露の前または後のような適用時間とは無関係に、Sooth−A Cain で処置された群および対照群双方における重症の且つ拡大した紅斑と比較したところ、全てが、より小さい皮膚面ではるかに少ない赤みを示した。この研究は、UP676が、無毛マウスの皮膚中に浸透して、炎症反応を減少させることができるということを示している。理論によって制限されることはないが、この結果は、エイコサノイドおよびサイトカイン双方の経路の同時阻害によって達せられると考えられる。
【0090】
実施例14(表13)は、薬理学的に、皮膚科学的におよび化粧用に許容しうる賦形剤を用いたUP676クリーム剤の一般的な製造方法を記載している。詳しく説明するために、この実施例は、0.5wt%のUP676局所クリーム剤の詳細な製造方法を与える。本発明の組成物は、医薬組成物として製剤化することもでき、それらは、薬学的におよび/または化粧用に許容しうる賦形剤、アジュバント、フレーバーおよび/または担体などの他の成分を包含する。例えば、本発明の組成物は、処置される宿主が耐性でありうる賦形剤中で製剤化することができる。賦形剤は、薬物用の希釈剤またはビヒクルとして用いられる不活性物質である。このような賦形剤の例には、水、アルコール(エタノールまたはエチレングリコール、プロピレングリコール)、緩衝液、生理食塩水、水和シリカ、デキストロース溶液、セルロースガム、ソルビトール、マンニトール、保存剤および他の水性の生理学的平衡塩類溶液が含まれるが、これに制限されるわけではない。治療的組成物は、更に、等張性および化学的安定性を増大させる物質のような、微量の添加剤を含有することができる。実施例17に示されるように、このような保存剤には、BHA、BHT、クエン酸ジアンモニウム(DAC)、ブチル化ヒドロキシトルエン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、H2O2、没食子酸プロピル(PG)、グルコン酸ナトリウム(SG)、および重硫酸/メタ重亜硫酸ナトリウム(SBS)、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化第一スズ、フッ化第一スズ、安息香酸ナトリウム、安息香酸が含まれるが、これに制限されるわけではない。不揮発性油、ゴマ油、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの非水性ビヒクルを用いてもよい。他の有用な製剤には、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、キサンタンガム、メチルセルロースまたはデキストランなどの粘度増強剤を含有する懸濁剤が含まれる。緩衝液の例には、リン酸緩衝液、重炭酸緩衝液、トリス緩衝液、ヒスチジン、シトレートおよびグリシン、またはそれらの混合物が含まれ、保存剤の例には、チメロサール、m−またはo−クレゾール、ホルマリンおよびベンジルアルコールが含まれるが、これに制限されるわけではない。標準的な製剤は、投与用の懸濁液または溶液として適する形式で吸収されうる液剤か、ゲル剤か、ペースト剤かまたは固形剤でありうる。
【0091】
一つの態様において、組成物は、本発明の組成物を宿主中に徐々に放出する制御放出製剤として製造される。本明細書中で用いられる制御放出製剤は、本発明の組成物を制御放出ビヒクル中に含む。適する制御放出ビヒクルは、当業者に知られているであろう。好ましい制御放出製剤は、生分解性(すなわち、生物侵食性)である。
【0092】
実施例15は、pHおよび保存剤双方が異なる溶液中のカテキンの安定性を示している。カテキンは、この化合物を一層酸性にし且つ酸化的ストレスに敏感にする4個のフェノール性ヒドロキシル基を含有する。カテキンのきわめて高い酸素ラジカル吸収能(Oxygen Radical Absorption Capacity)(20,000でのORAC)は、その抗酸化性を示している。pH、H2O2および金属イオンの存在のような、いろいろな条件下における純粋カテキンのストレス試験に基づき、図15に示されるように、カテキンは、中性条件下において4℃および40℃双方で安定であるが、塩基性条件下では、またはFe3+などの金属イオンに暴露された場合は、安定でないということが確認された。弱塩基性条件下(pH=7.5)でさえも、カテキンは分解する。しかしながら、それは、図16に示されるように、塩化第一スズ(SnCl2)、重硫酸/メタ重亜硫酸ナトリウム(SBS)および他の保存剤が含まれるがこれに制限されるわけではない多数の保存剤によって保存することができる。
【0093】
これら二つのクラスの化合物を組み合わせるもう一つの利点は、比較的濃度が低い方のフラバン類(20重量%)を含む有意の量のフリーB環フラボノイド類(80重量%)の製剤である好ましい態様において、より強力な抗酸化的フラバン類は、酸化的分解に対する天然の保存剤として機能し且つ中和剤および緩衝剤として、主要活性成分であるフリーB環フラボノイド類を最適pHおよびイオン化条件で送達する形式で作用する。
【0094】
実施例16は、ヒトに経口投与後のUP676中の活性成分のバイオアベイラビリティーを示している。それら結果は、図17に示される。図17に関して、この分析で認められる幅広のエラーバーは、被験者間の個体変動のためである。性別および体重差は、CmaxおよびTmaxまたは吸収およびクリアランスについて認められる差と相関していなかった。UP676中のフリーB環フラボノイド類は、上皮細胞を介して浸透することができるということが明らかに示される。しかしながら、血清などのヒト体液中のフリーB環フラボノイド類の存在は、バイカレインなどのアグリコン形ではなく、むしろバイカリンまたは硫化バイカレインなどの共役した構造である。血清中のフリーB環フラボノイド類の全濃度を定量するために、共役した化合物を全て、二つの酵素を用いて加水分解して、アグリコン、すなわち、バイカレインを放出させた後、それをHPLCによって定量した。
【0095】
表14は、バイカレイン濃度について認められた最大値(Cmax,μg/mL)および各々の被験者についてそれらが認められた時間(Tmax,時)を示す。そのデータは、ほとんどの被験者について、最初の投与後4〜8時間で最大濃度に達したということを示している。平均Cmaxは、0.93μg/mL(%RSD=84.9)であり、平均Tmaxは、約5.8時間(%RSD=43.4)であった。このデータに基づき、吸収およびクリアランスの平均時間を計算し、被験群全部についてプロットした(図17)。UP676によるCOX阻害のIC50値は、図6に示されるように、0.2〜0.4μg/mLであるので、有効な濃度に達するには、UP676について、経口投与後約2時間を要する。しかしながら、フリーB環フラボノイド類の血清濃度は、経口投与後約10時間は治療的レベルより上に保たれるであろう。フリーB環フラボノイド類による急速バイオアベイラビリティーの不足を補うために、カテキンタイプフラバン類の製剤が、相補的(complimenatry)利点を与える。カテキン、ケルセチンおよびエピガロカテキン−3−ガレートのバイオアベイラビリティーの研究(Kao et al. (2000) Endocrinology 141(3):980-987; Koga and Meydani (2001) Am. J. Clin. Nutr. 73:941-948; Lee et al. (2002) Cancer Epidermiol. Biomaker Prevention 11:1025-1032)は、カテキンのCmaxおよびTmaxが速やかに(約45分)生じることを示し、そして半減期は2時間であると報告された。したがって、フリーB環フラボノイド類とフラバン類とを組み合わせることにより、速やかに浸透するカテキンは、経口投与後約0.5時間で有効血清濃度に達する。カテキン濃度が降下した時、第二活性成分であるフリーB環フラボノイド類が、経口投与後12時間まで続くであろう生体活性濃度に達する。結論として、UP676製剤は、カテキンなどのフラバン類によって生じる速やかな現場歯周痛減少および抗炎症作用、およびバイカリンなどのフリーB環フラボノイド類によって生じる一層長く続く作用を有するように設計された。このような相乗的作用および相補的作用は、処方の局所送達によっても実現されるであろう。
【0096】
実施例17は、ヒト皮膚へUP676を局所適用することの安全性を示している。実施例9および実施例14に示されるような製剤されたUP676を、ヒト皮膚上で、接触感作の誘導および潜在的刺激について評価した。合計97人および101人の被験者に、それぞれ0.5%および1.5%のUP676クリーム剤で誘導およびチャレンジを行った。試験結果は、0.5%および1.5%濃度のUP676クリーム剤が、最小限の刺激を生じるが、誘導接触感作の証拠を引き出すことはないということを示している。
【0097】
結論として、本発明の組成物は、当業者に知られているいずれの方法によっても投与することができる。投与様式には、経腸(経口)投与、非経口(静脈内、皮下および筋肉内)投与および局所適用が含まれるが、これに制限されるわけではない。本発明による処置方法は、それを必要としている患者に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の治療的有効量を体内にまたは局所に投与することを含む。一つの態様において、組成物は局所投与される。本発明の治療薬は、ペースト剤、軟膏剤、ゲル剤、ローション剤、または口内リンス液、またはクリーム基剤として、または乳剤として、パッチ、包帯剤またはマスク、非粘着性ガーゼ、包帯、綿棒またはクロスワイプ(cloth wipe)としてが含まれるがこれに制限されるわけではない、治療的組成物を局所投与するための当業者に知られているいずれか適する手段によって局所投与される。このような局所適用は、いずれかの罹患面に、歯ブラシでのブラッシング、デンタルフロス上のコーティング、スワブでの適用または液体またはゲルでのすすぎ洗浄のような、局所投与について知られているいずれか標準的な手段を用いて局部的に投与することができる。治療的組成物は、投与方法に依存して、いろいろな単位剤形で投与することができる。具体的な送達方法について、本発明の治療的組成物は、本発明の賦形剤中で製剤化することができる。本発明の治療的試薬は、いずれかの宿主に、好ましくは、哺乳動物に、より好ましくは、ヒトに投与することができる。具体的な投与様式は、処置される状態に依存するであろう。
【0098】
一つの態様において、適する軟膏剤は、概して、局所製剤の全重量に基づく0.001%〜100%、練り歯磨き剤の0.05〜5%(好ましくは、0.1〜5%)、口内洗浄液の0.01〜5%(好ましくは、0.2〜1%)、およびエマルジョンゲル剤またはクリーム剤の0.1〜25%(好ましくは、0.5〜5%)の範囲より選択される有効な無毒性量である所望の濃度のフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含んで成る。
【0099】
投与方式とは無関係に、具体的な用量は、宿主のおよその体重によって計算される。上述の製剤各々を伴う処置に適当な投薬量を決定するのに必要な計算の更なる改良は、当業者によって常套的に行われ、特に、本明細書中に開示された投薬量情報および検定に照らして、過度の実験を伴うことなく彼らによって常套的に行われる作業の範囲内である。これら投薬量は、適当な用量反応データと一緒に利用される投薬量を決定するための確立された検定の使用によって確かめることができる。
【0100】
本明細書中に記載の発明は、獣医学並びにヒト用途に用いることができるということ、および「宿主」という用語は、制限するように解釈されるべきではないということに留意すべきである。獣医学用途の場合、投薬量範囲は、上記のように、動物の体重を考慮して決定することができる。
【0101】
次の実施例は、単に例示の目的で与えられており、発明の範囲を制限するためのものではない。
【実施例】
【0102】
実施例1.Acacia および Scutellaria 植物からの有機抽出物および水性抽出物の製造
Acacia catechu(L)Willd. 皮、スクテラリア・オルトカリクス(Scutellaria orthocalyx)根または Scutellaria baicalensis 根またはスクテラリア・ラテリフロラ(Scutellaria lateriflora)植物全体、およびいろいろな Oroxylum 種および Uncaria 種からの植物材料を、2mm以下の粒度に粉砕した。次に、乾燥され粉砕された植物材料(60g)を、エレンマイヤーフラスコに移し、メタノール:ジクロロメタン(1:1)(600mL)を加えた。その混合物を1時間振とうし、濾過し、そのバイオマスを、メタノール:ジクロロメタン(1:1)(600mL)で再度抽出した。有機抽出物を一緒に、真空下で蒸発させて、有機抽出物を与えた(下の表1を参照されたい)。有機抽出後、バイオマスを自然乾燥させ、超純水(600mL)で1回抽出した。その水溶液を濾過し、凍結乾燥させて、水性抽出物を与えた(下の表1を参照されたい)。
【0103】
【表2】
【0104】
実施例2.Acacia catechu、各種 Scutellaria 種および他の植物からの植物抽出物によるCOX−2およびCOX−1ペルオキシダーゼ活性の阻害
特異的COX−2阻害剤の識別のための、バイオアッセイに支配されたスクリーニング法を設計して、下記の酵素のペルオキシダーゼ活性を検定した。
【0105】
ペルオキシダーゼ検定。COX−2の阻害剤を検出する検定を、高処理プラットフォーム(Raz)用に変更した。簡単にいうと、ペルオキシダーゼ緩衝液(100mM TBS、5mM EDTA、1μMヘム、1mgエピネフリン、0.094%フェノール)中のリコンビナントヒツジCOX−2(Cayman)を、抽出物(1:500希釈)と一緒に15分間インキュベートした。Quantablu(Pierce)基質を加え、25℃で45分間発色させた。次に、ルミネセンスを、Wallac Victor 2プレートリーダーを用いて読み取った。それら結果を、表2に示す。
【0106】
表2は、A.catechu の皮、2種類の Scutellaria 種の根を含めた3種類の植物種から得られた、構造的に類似したフリーB環フラボノイド類を含んで成る有機(20μg/mL)および水性(20μg/mL)抽出物によるCOX−2酵素の阻害を示している。データは、リコンビナントヒツジCOX−2酵素および基質単独に相対するペルオキシダーゼ活性の百分率として示している。有機抽出物による阻害パーセントは、30%〜90%であった。
【0107】
【表3】
【0108】
COX−1およびCOX−2のイソ型の相対阻害の比較は、これら酵素各々のIC50値作成を必要とする。IC50は、ある特定の阻害剤によって、対照に関する酵素活性の50%阻害が達せられる濃度として定義する。これら実験において、IC50値は、表3に示されるように、COX−2およびCOX−1酵素についてそれぞれ、6〜50μg/mLおよび7〜80μg/mLであることが判明した。COX−2およびCOX−1のIC50値の比較は、いろいろな植物からの有機抽出物のこれら酵素各々への特異性を示している。例えば、S.lateriflora の有機抽出物は、COX−2の選択的阻害を、COX−1を制して、それぞれ30μg/mLおよび80μg/mLのIC50値で示す。若干の抽出物は、COX−2の選択的阻害を示すが、その他は示さない。HTP画分およびこれら画分からの精製化合物の試験は、これら抽出物および化合物についての真の阻害特異性を決定するのに必要である。
【0109】
【表4】
【0110】
実施例3.COX−1およびCOX−2ペルオキシダーゼ活性の阻害
COX−1およびCOX−2の活性を阻害した化合物についてスクリーニングするために、双方の酵素のペルオキシダーゼ活性の阻害を利用した高処理 in vitro 検定を開発した。(Needleman et al. (1986) Annu Rev Biochem. 55:69)。簡単にいうと、試験される組成物または化合物を、一定量のCOX−1およびCOX−2酵素に対して滴定した。切断可能な過酸化物発色団を検定に包含して、補因子としてのアラキドン酸の存在下における各々の酵素のペルオキシダーゼ活性を可視化した。典型的に、検定は、96ウェルフォーマットで行った。100%DMSO中の10mg/mL原液から得た各々の阻害剤を、次の範囲の濃度、すなわち、0、0.1μg/mL、1μg/mL、5μg/mL、10μg/mL、20μg/mL、50μg/mL、100μg/mLおよび500μg/mLを用いて、室温で三重に調べた。各々のウェルに、150μLの100mM Tris−HCl、pH7.5を、10μLのトリス緩衝液で希釈された22μMヘマチン、10μLのDMSOで希釈された阻害剤、および25単位のCOX−1かまたはCOX−2酵素と一緒に加えた。それら成分を、回転プラットフォーム上で10秒間混合後、20μLの2mM N,N,N’N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン二塩酸塩(TMPD)および20μLの1.1mMアラキドン酸を加えて、反応を開始させた。そのプレートを、10秒間振とう後、5分間インキュベートした後、570nmでの吸光度を読み取った。阻害剤濃度対阻害%をプロットし、そして等温線に沿った半最大点を得且つX軸上の濃度に交差することによってIC50を決定した。次に、そのIC50を、検定中の酵素単位数に規格化した。20μg/mLの純粋フリーB環フラボノイド類によるCOX−1/COX−2阻害活性を、表4に要約する。
【0111】
【表5】
【0112】
標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物、バイカリン、およびS.baicalensis の根より単離されたバイカレインについての用量反応およびIC50値を、それぞれ、図1、図2および図3に与える。Acacia catechu の心材より単離された二つの標準化されたフラバン抽出物(それぞれ、50%および>90%フラバン類)についての用量反応およびIC50値を、それぞれ、図4および図5に与える。いろいろな組成のフリーB環フラボノイド類およびフラバン類を有する3種類の製剤についての用量反応およびIC50値を、それぞれ、図6(80:20ブレンド)、図7(50:50ブレンド)および図8(20:80ブレンド)に与える。
【0113】
実施例4.A.catechu より単離されたカテキンによる5−リポキシゲナーゼの阻害
炎症性反応に関与する最も重要な経路の一つは、非ヘム鉄含有リポキシゲナーゼ(5−LO、12−LOおよび15−LO)によって生じるが、それらは、AA(AA)などの脂肪酸上への分子酸素の付加を触媒して、ヒドロキシペルオキシド5−、12−および15−HPETEを生じた後、ロイコトリエンへと変換される。A.catechu からのフラバン抽出物は、ある程度の5−LO阻害を与え、それによって、5−HPETEの形成を妨げることがありうるということが初めに示された。リポキシゲナーゼ阻害剤スクリーニング検定キット(Lipoxygenase Inhibitor Screening Assay Kit)(Cayman Chemical, Inc., Cat #760700)を用いて、A.catechu より単離された、>90%フラバン類を含有する抽出物が、LOXを in vitro で直接的に阻害したかどうかを評価した。キット中に通常用いられるダイズからの15−LOは、精密濾過を用いてリン酸緩衝液〜トリス基剤緩衝液への緩衝液変更を行った後、ジャガイモLOXと交換した。この検定は、酸素感受性クロマジェン(chromagen)によってヒドロペルオキシドの形成を検出する。簡単にいうと、その検定は、90μLの0.17単位/μLジャガイモ5−LO、20μLの1.1mM AA、100μLの酸素感受性クロマジェン、および0〜500μg/mLの最終濃度にする10μLの精製フラバン阻害剤を加えることによって三重に行った。この組成物による5−LO阻害のIC50は、1.38μg/mL/酵素単位であると決定した。それら結果を、図9に示す。
【0114】
実施例5.Scutellaria orthocalyx(根)および Scutellaria baicalensis(根)より単離された活性抽出物中のフリーB環フラボノイド類のHPLC定量
実施例1および実施例2に記載の3種類の異なった植物種より単離された5種類の活性抽出物中のフリーB環フラボノイド類の存在および量を、HPLCによって決定したが、それら結果を、下の表5に示す。フリーB環フラボノイド類は、Luna C−18カラム(250x4.5mm,5μm)上のHPLCにより、1%リン酸およびアセトニトリルの22分間で80%〜20%の勾配を用いて定量的に分析した。フリーB環フラボノイド類は、UV検出器を254nmで用いて検出し、そして保持時間に基づいて、バイカリン、バカレインおよび他のフリーB環フラボノイド標準との比較によって同定した。
【0115】
【表6】
【0116】
実施例6.Acacia catechu からの活性抽出物のHPLC定量
実施例1および実施例2に示されたような Acacia catechu からの有機抽出物および水性抽出物中のフラバン類を、HPLCにより、PhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)および Luna C18カラム(250mmx4.6mm)を用いて定量した。フラバン類は、アセトニトリル勾配を20分間にわたる10%〜30%ACNの後、5分間の60%ACNで用いてカラムから溶離した。それら結果を、表6に示す。フラバン類は、保持時間およびPDAデータに基づき、カテキンおよびエピカテキンを標準として用いて定量した。二つの主要フラバン類の保持時間は、それぞれ、12.73分および15.76分であった。
【0117】
【表7】
【0118】
実施例7.A.catechu からの標準化された抽出物の製造
A.catechu(500mgの粉砕した根)を、25mLの次の溶媒系で2回(2x25mL)抽出した。(1)100%水、(2)80:20の水:メタノール、(3)60:40の水:メタノール、(4)40:60の水:メタノール、(5)20:80の水:メタノール、(6)100%メタノール、(7)80:20のメタノール:THF、(8)60:40のメタノール:THF。個々の抽出各々による二つの抽出物を一緒にし、濃縮し、低真空下で乾燥させた。各々の抽出物中の化学成分の識別は、HPLCにより、PhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)および250mmx4.6mmのC18カラムを用いて行った。化学成分は、保持時間およびPDAデータに基づき、カテキンおよびエピカテキンを標準として用いて定量した。それら結果を、表7に示す。表7に示されるように、80%メタノール/水での溶媒抽出によって生じたフラバン抽出物は、フラバン成分の最高濃度を与えた。
【0119】
【表8】
【0120】
標準化された抽出物は、Uncaria gambir の植物全体から、アルコール/水溶媒でバイオマスを抽出することによって得た。Uncaria gambir からの標準化された抽出物中のフラバン含量を、同じ方法を用いて定量した。それら結果を、表8に示す。フラバン類は、保持時間およびPDAデータに基づき、カテキンを標準として用いて定量した。
【0121】
より高純度の物質は、アルコール/水および/または水性溶媒を再結晶溶媒として用いる、8%〜15%のカテキン含量を有する抽出物の再結晶によって得ることができる。再結晶の前に、その抽出物の加熱飽和溶液に活性炭または他の脱色剤を加えることによって脱色することが必要でありうる。次に、その加熱飽和溶液を冷却すると、高純度カテキンが結晶化した。次に、結晶を濾過して溶媒を除去し、乾燥させ、粉砕して微粉とした。再結晶は、必要に応じて繰り返して、所望のレベルの純度(60%〜100%のカテキンフラバン類)に達しさせることができる。
【0122】
実施例8.いろいろな Scutellaria 種からの標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物の製造
S.orthocalyx(500mgの粉砕した根)を、25mLの次の溶媒系で2回抽出した。(1)100%水、(2)80:20の水:メタノール、(3)60:40の水:メタノール、(4)40:60の水:メタノール、(5)20:80の水:メタノール、(6)100%メタノール、(7)80:20のメタノール:THF、(8)60:40のメタノール:THF。抽出物を一緒にし、濃縮し、低真空下で乾燥させた。各々の抽出物中の化学成分の識別は、HPLCにより、PhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)および250mmx4.6mmのC18カラムを用いて行った。化学成分は、保持時間およびPDAデータに基づき、バイカレイン、バイカリン、スクテラライン(scutellarein)およびウォゴニンを標準として用いて定量した。それら結果を、表9に示す。
【0123】
【表9】
【0124】
S.baicalensis(1000mgの粉砕した根)を、次のような50mLのメタノールおよび水の混合物を用いて2回抽出した。(1)100%水、(2)70:30の水:メタノール、(3)50:50の水:メタノール、(4)30:70の水:メタノール、(5)100%メタノール。抽出物を一緒にし、濃縮し、低真空下で乾燥させた。化学成分の識別は、HPLCにより、PhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)および250mmx4.6mmのC18カラムを用いて行った。各々の抽出物中の化学成分は、保持時間およびPDAデータに基づき、バイカレイン、バイカリン、スクテララインおよびウォゴニンを標準として用いて定量した。それら結果を、表10に示す。
【0125】
【表10】
【0126】
より高純度のフリーB環フラボノイド類は、8〜15%のフリーB環フラボノイド含量を有する抽出物をアルコール/水を再結晶溶媒として用いて再結晶することによって得ることができる。再結晶の前に、その抽出物の加熱飽和溶液に活性炭または他の脱色剤を加えることによって脱色することが必要でありうる。結晶を濾過し、乾燥させ、粉砕して微粉とした。再結晶は、必要に応じて繰り返して、所望のレベルの純度(60%〜100%のフリーB環フラボノイド類)に達しさせることができる。
【0127】
実施例9.S.baicalensis の根からの標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物およびA.catechu の皮からの標準化されたフラバン抽出物を含む製剤の製造
本明細書中においてUP676と称する新規な組成物を、Acacia および Scutellaria よりそれぞれ単離された二つの標準化された抽出物を用いて、一つまたはそれを超える賦形剤と一緒に製剤化した。このような組成物を製造する一般的な例を、下に示す。この実施例で用いられた Acacia 抽出物は、>80%の全フラバン類をカテキンおよびエピカテキンとして含有し、そして Scutellaria 抽出物は、主としてバイカリンである>80%のフリーB環フラボノイド類を含有した。Scutellaria 抽出物は、表11に挙げられるような他の微量のフリーB環フラボノイド類も含有した。一つまたはそれを超える賦形剤/保存剤も、組成物に加えた。フラバン類対フリーB環フラボノイド類の比率は、COX対LOの阻害に関する具体的な必要条件、皮膚浸透の必要条件、および必要な効力持続時間等のような製品の効力必要条件、並びに適応症に基づいて調整することができる。賦形剤の量は、各々の成分の実際の活性含量に基づいて調整することができる。個々のバッチの製品各々についてのブレンド表は、個々のバッチの成分についての製品規格およびQC結果に基づいて作成されるべきである。製品規格を満たすために、2〜5%の範囲内の追加量の活性成分が推奨される。
【0128】
82.2%のフリーB環フラボノイド含量(バイカリン)を有するS.baicalensis 根抽出物(38.5kg)(ロット#RM052302−01);80.4%の全フラバン含量を有する Acacia catechu 皮抽出物(6.9kg)(ロット#RM052902−01);および賦形剤(5.0kgの Candex)を一緒にして、85:15の重量によるブレンド比の活性なフリーB環フラボノイド類およびフラバン類を有するUP676製剤(50.4kg)を与えた。表11は、実施例6および実施例8に与えられた方法を用いて決定される、この具体的なバッチのUP676(Lot #G1702−COX−2)の活性なフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の定量を与える。表11に関して、この具体的なバッチのUP676は、75.7%のフリーB環フラボノイド類および10.3%のフラバン類を含めた、86%の全活性成分を含有する。図10は、80:20の重量によるブレンド比の活性なフリーB環フラボノイド類およびフラバン類を有した代表的なUP676試料のHPLCクロマトグラムを示す。
【0129】
【表11】
【0130】
同じアプローチを用いて、次のバッチのUP676を、それぞれ12:88および15:85のブレンド比を有する、S.baicalensis 根からの標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物および Acacia catechu 皮からの標準化されたフラバン抽出物の組合せを用いて製造した。
【0131】
87.9%のフリーB環フラボノイド含量を(バイカリンとして)有するS.baicalensis 根抽出物(58.0g)(ロット#RM021203−01)および84.9%の全フラバン含量を有する Acacia catechu 皮抽出物(442.0g)(ロット#RM050603−01)をブレンドして、12:88の重量によるブレンド比を有するUP676組成物(500g,ロット#QJ205−19)を与えた。実施例6および実施例8に与えられた方法を利用すると、この具体的なバッチのUP676(ロット#QJ205−19)中において、(バイカリンの)フリーB環フラボノイド含量は9.65%、そしてフラバン含量(全カテキンおよびエピカテキン)は73.2%であった。
【0132】
82.9%のフリーB環フラボノイド含量を(バイカリンとして)有するS.baicalensis 根抽出物(300g)(ロット#RM060403−01)および90.8%の全フラバン含量を有する Acacia catechu 皮抽出物(1700g)(ロット#RM050603−01)をブレンドして、15:85の重量によるブレンド比を有するUP676組成物(2000g,ロット#AI904)を与えた。実施例6および実施例8に与えられた方法を利用すると、この具体的なバッチのUP676(ロット#AI904)中において、フリーB環フラボノイド含量(バイカリン)は15.6%、そしてフラバン含量(全カテキンおよびエピカテキン)は75.0%であった。
【0133】
実施例10.UP676製剤による5−LO酵素阻害の用量反応およびIC50値の測定
UP676製剤(80:20)は、実施例9に記載のように、S.baicalensis 根からの標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物およびA.catechu 皮からの標準化されたフラバン抽出物の組合せを80:20のブレンド比で用いて製造した。その試料を、COX−1、COX−2および5−LOXを発現する単球細胞系であるTHP−1またはHT−29細胞を含有する組織培養基中で滴定した。ロイコトリエンB4(LTB4;Neogen, Inc., Cat #406110)についての競合的ELISAを用いて、各々の細胞系中に存在する新たに合成されたLTB4レベルへのUP676製剤の作用を、5−LOX経路へのUP676の阻害作用の尺度として評価した。その検定は、6ウェルプレート中に160,000〜180,000個/ウェルの細胞を加えることによって二重に行った。UP676製剤を、THP−1培養物に3μg/mL、10μg/mL、30μg/mLおよび100μg/mLで加え、吸湿環境中に5%CO2を含む37℃で一晩(約12〜15時間)インキュベートした。それら結果を、図11に示すが、それは、新たにLPS誘導されたLTB4の産生が、THP−1培養物への3〜10μg/mLのUP676の添加によってほぼ完全に阻害されたということを示している。
【0134】
UP676と、別の既知の5−LOX阻害剤イブプロフェンとを、HT−29細胞に3μg/mLで加え、吸湿環境中に5%CO2を含む37℃で48時間インキュベートした。次に、各々の被処置細胞系を、遠心分離によって採取し、そして生理学的緩衝液中における穏やかなドーンス(dounce)ホモジナイゼーション溶解によって破壊した。図12に示されるように、UP676は、HT−29細胞中で新たに合成されたLTB4の80%の生成を阻害した。イブプロフェンは、同じ時間にわたって、LTB4の量の20%減少を示したにすぎなかった。
【0135】
実施例11.炎症誘発性サイトカインおよび他の炎症関連タンパク質のmRNAレベルにおけるUP676でダウンレギュレーションされた遺伝子発現
末梢血単核細胞(PBMC)は、炎症関連疾患について確立された細胞モデルである。3人の健康なヒト被験者からのPBMCを、いろいろな濃度のUP676(0、10μg/mL、30μg/mLおよび100μg/mL)の存在下および不含双方において、10ng/mLのリポ多糖(LPS)で刺激した。それら細胞を、37℃において5%CO2で18時間インキュベート後、RNA精製のために採取した。RNAを、Qiagen RNeasy Kit で製造し、そしてcDNAを、ABI cDNA Archive キットで合成した。実時間定量的PCR検定を、ABI Prism Sequence Detector で行った。18S rRNA遺伝子かまたはシクロフィリンA遺伝子を、規格化のための内部対照として用いた。3回の実験に由来するデータの要約を、表12に示す。平均すると、il−1β、tnfαおよびil−6の遺伝子発現の抑制は、それぞれ、45倍、3倍および27倍であった。更に、UP676によるpparγの10倍を超える抑制およびnfκb mRNAの2倍の抑制は、PBMC中においてLPSでの刺激後18時間に検出された。
【0136】
【表12】
【0137】
実施例12.in vivo マウス耳腫脹モデルでのUP676の有効性の評価
UP676製剤は、実施例9に記載のように、S.baicalensis 根からの標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物および Acacia catechu 皮からの標準化されたフラバン抽出物の組合せを80:20のブレンド比で用いて製造した。この組成物を、in vivo で炎症を処置するのに用いうるかどうか調べるために、その組成物を、4〜5週令ICRマウス(Harlan Labs)に、アラキドン酸(AA)でそれらの耳を処置する1日前に、経口強制飼養によって投与した。試験マウスには、50mg/kg、100mg/kgおよび200mg/kgの用量相当量のオリーブ油中に懸濁したUP676を与え、対照マウスには、オリーブ油のみを与えた。翌日、20μLの95%アルコール中の330mM AAを、各々のマウスの一方の耳に適用し、対照としてのもう一方の耳には、アルコールを適用した。UP676で処置されたマウスは、図13に示されるように、増加用量のUP676で追跡した測定可能な用量反応を示した。図13に関して、200mg/kg用量は、「非処置」対照と比較したところ、50%を超えるまで腫脹を減少する。50mg/kg用量のUP676は、50mg/kg用量の別の強い抗炎症性インドメタシンと同程度に有効であった。
【0138】
実施例13.UV照射への皮膚暴露によって生じる損傷を予防又は処置する場合のUP676の効力の評価
UV照射への皮膚の暴露によって生じる損傷を予防又は処置する場合のUP676製剤の有効性を調べるために、6群の無毛雌マウス(5匹/群)(Strain SKH−1,Harlan Labs)に、麻酔しながら、0.626mW/cm2で3分間を3日連続して照射した。UP676製剤は、実施例9に記載のように、Scutellaria baicalensis 根からの標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物および Acacia catechu 皮からの標準化されたフラバン抽出物の組合せを80:20のブレンド比で用いて製造した。6種類の処置群は、次の通りであった。
【0139】
【表13】
【0140】
UV暴露および処置から3日後、次のスケールを用いて、マウスの紅斑(赤み)レベルについて評点した。0−目に見える紅斑無し;1−きわめて軽微な紅斑;2−十分に明確な紅斑;3−重症の紅斑;および4−腫瘍形成。紅斑は、各々の群について目視で評点した。それら結果を、図14に示す。図14に関して、対照群(群1)は、3日目(UV照射への3日間暴露後72時間)に重症の赤みを有していたことが理解されうる。Sooth-a-cain 群も、3日目に最大の赤みを有していた(群2)。UP676で処置された群(群3〜6)の赤みは、2のスコアを超えることはなかった。これらスコアは、主観的であるが、UP676が、UVによる皮膚紅斑を予防する場合にも処置する場合にも有効であるということを示している。
【0141】
4日目の代表的なマウスの写真は、対照群と、Sooth-a-cainTMで処置された群と、UP676で処置された群との間の相違を明らかに示している(データは示されていない)。対照群と、Sooth-a-cainTMで処置された被験動物は、UV暴露の前にも後にもUP676製剤で処置された被験動物と比較して、きわめて広範なパターンおよび赤みの紅斑を示した。UV照射前に5mg/mLのUP676で処置された被験動物は、他の被験動物全てと比較したところ、最小量の紅斑を示した。
【0142】
実施例14.クリーム剤へのUP676組成物の製剤化
UP676(0.5重量%のUP676)(実施例9に記載のロット#A1904)を、次の手順および表13に示されるようなクリーム剤として製剤化した。
【0143】
UP676(Lot #A1904)を、水中に室温で溶解させ、そしてそれが十分に溶液中に分散するまで(約5分)、ブレンダーで均一化した。室温で、そして溶液を撹拌することもかき混ぜることもなく、Ultrez−21カルボマーを、溶液の表面上に散布し、それを十分に湿潤させ(目に見える白色面が無い)且つ溶液にさせることによって加えた。次に、穏やかに撹拌しながら、溶液を40℃に加熱し、そしてグリセリンを加えた(A部分)。次に、その混合物を更に5分間撹拌した。残りの成分(B部分)を秤量し、そして混合しながら40℃に加熱した。40℃で、その残りの成分(B部分)をA部分に加え、得られた組成物を、均一になるまで(約5分)十分に混合した。そのエマルジョンを、30℃に冷却し、そして撹拌棒および/またはスパチュラで撹拌しながら、中和剤で滴定することによってpHを約5.5(5.3〜5.7)に調整した。エマルジョンは、中和で生じたカルボマーのコンホメーション変化のために、きわめて粘稠になった。そのエマルジョンは、最終的に、エマルジョンクリームに適する粘度に達した。次に、エマルジョンクリームを、均一になるまで混合し、その後、それを清浄な貯蔵容器に注入し、2℃〜8℃で1ヶ月間貯蔵した。
【0144】
【表14】
【0145】
実施例15.溶液中のカテキンの安定性の評価
純粋カテキンを、水中の70%MeOH中に溶解させて、下記の溶液と混合後に0.05%(W/V)の最終濃度とした。全6種類の異なった条件(対照溶液を含まない)を、45℃でのこの安定性研究のために選択した。K2HPO4水(0.5M)またはKH2PO4水(0.5M)を利用して、それぞれ、pH5またはpH8の緩衝化溶液を作った。H2O2、SnCl2、FeCl3またはEDTAを、カテキン溶液に加えて、それぞれ、0.6%H2O2または0.05%SnCl2または0.05%FeCl3または0.05%EDTAの濃度とした。全7種類の溶液を、密封ボトル中において45℃で貯蔵した。各々の試料のカテキン含量について、実施例6に記載のHPLCにより、0日、1日、3日、6日、8日、10日、13日、20日または28日目に調べた。それら結果を、図15に示す。
【0146】
次の保存剤:BHA、BHT、クエン酸ジアンモニウム(DAC)、H2O2、没食子酸プロピル(PG)、グルコン酸ナトリウム(SG)および重硫酸/メタ重亜硫酸ナトリウム(SBS)を、緩衝化された(pH7.5)0.05%カテキンMeOH/H2O溶液中に加えて、0.05%の濃度を生じた。全8種類の溶液を、密封ボトル中において45℃で貯蔵した。各々の試料のカテキン含量について、実施例6に記載のHPLCにより、0日、1日、3日、6日、8日、10日、13日、20日または28日目に調べた。それら結果を、図16に示す。
【0147】
実施例16.経口投与後のUP676中のバイカリンのバイオアベイラビリティーの評価
この臨床研究は、10人の健康な被験者(n=10、女性6人および男性4人)が参加するように召集された単一センター・開表示研究(single-center, open-label study)であった。被験者は、一晩絶食し、そして臨床試験センターに翌朝8:00時に出頭した。各々の被験者に、実施例9に記載のように製造された300mg用量のUP676を、ベースライン静脈穿刺直後に与えた。追跡血漿試料を、1/2時間、1時間、2時間、4時間および8時間目に集めた。追加の試料を、2日目の24時間目と第7日目に集めた。各々の血漿試料は、ヘパリンが入った試験管中に血液を採取することによって処理した。次に、その血液を、2,500rpmで10分間遠心分離した。各々の試験管からの上清を分離し、トランスファーチューブ中に移し、そしてフリーB環フラボノイドレベルの決定前の最終収集物を追跡する分析のために−70℃で貯蔵した。この分析を行って、(i)フリーB環フラボノイド類の吸収およびクリアランスについての曲線下面積(AUC);(ii)フリーB環フラボノイド類の最大血漿濃度(Cmax);(iii)フリーB環フラボノイド類の最大血漿濃度までの時間(Tmax);(iv)フリーB環フラボノイド類の血漿除去半減期(T1/2);および(v)24時間尿クリアランスAU24Hrを決定した。
【0148】
HPLCによるいくつかの試験血清アリコートの予備的研究は、フリーB環フラボノイド類が、グルクロン酸化および硫酸化による共役のために検出限界未満(<4μg/mL)であったことを示した。したがって、血清を、2,000u/mLでのβ−グルクロニダーゼおよび170u/mLでのスルファターゼで消化して、全ての共役したフリーB環フラボノイド類をアグリコン分子バイカレインへと変換させた。次に、全バイカレイン代謝産物を、HPLCにより、純粋バイカレインを標準として用いた。アスコルビン酸を加えて、37℃での7時間消化および引き続きのHPLC分析の際のフラボノイド類の酸化を妨げた。
【0149】
血漿のβ−グルクロニダーゼおよびスルファターゼ消化後、フラボノイドを酢酸エチルで抽出後、HPLC分析の前に、窒素流および穏やかな加熱(35℃)で速やかに蒸発乾固させた。1mg/mLのアスコルビン酸緩衝液を含有する80:20のメタノール:テトラヒドロフラン溶液を用いて、試料を再構成した。バイカレインの定量は、逆相クロマトグラフィーにより、0.1%リン酸(v/v)(緩衝液A)およびアセトニトリル(緩衝液B)の均一濃度勾配を1mL/分の流速で用いて、質量検定および保持時間識別用の純粋バイカレイン標準物質で行った。溶離した物質の検出は、275nmで測定するインラインUV検出器を用いて監視した。
【0150】
それら結果を、図17に示す。図17に関して、ボールドで示されたデータは、バイカレインの血漿クリアランスを計算するのに用いられる点である。全被験者について対数変換し且つグラフで示した場合、これらデータは、時間に関する線型関数であった(データは示されていない)。被験者ごとに認められる個体変動があった。表14は、バイカレイン濃度について認められた最大値(Cmax,μg/mL)および各々の被験者について認められた時間(Tmax,時)を示す。そのデータは、ほとんどの被験者について、最初の投与後4〜8時間で最大濃度に達したということを示している。平均Cmaxは、0.93μg/mL(%RSD=84.9)であり、平均Tmaxは、約5.8時間(%RSD=43.4)であった。このデータに基づき、吸収およびクリアランスの平均を計算し、被験群全部についてプロットした(図17)。
【0151】
【表15】
【0152】
実施例17.ヒト皮膚への反復適用による刺激および接触感作の誘導についてのUP676クリーム剤の評価
UP676を、ヒト皮膚上において、Draize Patch Test(Marzulli and Maibach (1977) Contact Allergy: Predictive Testing in Humans. In Advances in Modern Toxicology, Dermatotoxicology and Pharmacology. Eds. Marzulli, F.N and Maibach, H.I. 4, 353-372)の適応を用いて調べた。試験部位は、上腕または背中の脊柱近辺部の上に位置した。各々の試験製品に、誘導部位およびチャレンジ部位を与えた。誘導部位は、二つの部分部位、すなわち、原部位(original-site)および移転部位(move-site)を含んで成った。実施例14に記載のように製造された0.2mLのUP676クリーム/パッチを含有するパッチを、十分に強い刺激反応が生じて、そのパッチを移転部位へと適用する必要がない限り、原部位に反復適用した。パッチは、臨床研究施設で適用し、そして約24時間または48/72時間後に、被験者が除去し且つ廃棄した。誘導相の場合、皮膚上の同じ部位への試験製品の反復適用および全9回の誘導パッチを、4週間以内に適用した。休止期間は、最後の誘導パッチの適用とチャレンジパッチの適用との間の10〜21日であった。この期間中は、試験製品も、いずれか他の物質も、試験部位に適用しなかった。チャレンジ相では、試験製品を、身体の反対側のナイーブ部位に適用し、そして約24時間または48時間後に被験者が廃棄した。
【0153】
各々のパッチ適用への皮膚反応を調べ、100ワット白熱青色電球によって与えられる光の下で、設計された評点スケールにしたがって等級付けした。強い刺激反応が、試験製品の移転部位への適用を正当化した場合、残りのスコアは、以前に暴露された部位全てについて、誘導の最後まで(または誘導を終えた後に反応が持続する場合は、消散するまで)記録した。全ての皮膚反応を記録した。チャレンジ相中に、皮膚反応を、パッチ適用後約48時間と、72時間または96時間に評価した。結論は、誘導された感受性に関して、主にチャレンジ評価に由来した。
【0154】
実施例14において0.5%および1.5%のUP676濃度で製造された二つのUP676クリーム剤を、上のプロトコールにしたがって評価した。全120人の被験者を、各々の群に召集した。97人の被験者に、0.5%UP676群の研究を行い、そして101人の被験者に、1.5%UP676群の研究を行った。0.5%および1.5%どちらのUP676クリーム剤についても、感作反応の証拠はなかった。0.5%UP676については、誘導中に、16人の被験者が、軽微〜中程度の紅斑(+および/または1のスコア)の時々の発生を示した。チャレンジにおいては、4人の被験者が、軽微〜中程度の紅斑を48時間目に示したが、96時間までに解消された。1.5%UP676については、誘導中に、26人の被験者が、軽微〜中程度の紅斑(+および/または1のスコア)の時々の発生を示した。チャレンジにおいては、1人の被験者が、軽微〜中程度の紅斑を48時間目に示したが、96時間には消去した。
【0155】
この研究は、UP676が、刺激または感作を引き起こすことなく、有効な濃度でヒト皮膚に局所適用することができる安全な成分であるということを示している。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】図1は、S.baicalensis より単離され、標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物(HPLCに基づく83%バイカリン)による、COX−1およびCOX−2の阻害プロフィールをグラフで示す。その抽出物の、リコンビナントヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の阻害について調べた。データは、阻害%対阻害剤濃度(μg/mL)として示している。COX−1のIC50は、0.24μg/mL/酵素単位として計算し、COX−2のIC50は、0.48μg/mL/単位として計算した。
【図2】図2は、S.baicalensis より単離され、精製された成分バイカリンによる、COX−1およびCOX−2の阻害プロフィールをグラフで示す。その化合物の、リコンビナントヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の阻害について調べた。データは、阻害%対阻害剤濃度(μg/mL)として示している。COX−1のIC50は、0.44μg/mL/酵素単位であると決定し、COX−2のIC50は、0.28μg/mL/単位であると決定した。
【図3】図3は、S.baicalensis より単離され、精製された成分バイカリンによる、COX−1およびCOX−2の阻害プロフィールをグラフで示す。その化合物の、リコンビナントヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の阻害について調べた。データは、阻害%対阻害剤濃度(μg/mL)として示している。COX−1のIC50は、0.18μg/mL/酵素単位であると決定し、COX−2のIC50は、0.28μg/mL/単位であると決定した。
【図4】図4は、A.catechu より単離された、50%の全フラバン類を含有する標準化されたフラバン抽出物による、COX−1およびCOX−2の阻害プロフィールをグラフで示す。その抽出物の、リコンビナントヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の阻害について調べた。データは、阻害%対阻害剤濃度(μg/mL)として示している。COX−1のIC50は、0.17μg/mL/酵素単位として計算し、COX−2のIC50は、0.41μg/mL/単位として計算した。
【図5】図5は、A.catechu より単離された、90%より大のフラバン類を含んで成る組成物による、COX−1およびCOX−2の阻害プロフィールをグラフで示す。その組成物の、リコンビナントヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の阻害について調べた。データは、阻害%対阻害剤濃度(μg/mL)として示している。COX−1のIC50は、0.11μg/mL/酵素単位として計算し、COX−2のIC50は、0.42μg/mL/単位として計算した。
【図6】図6は、S.baicalensis の根より単離されたフリーB環フラボノイド類の抽出物およびA.catechu より単離されたフラバン類の抽出物を80:20の比率で組み合わせることによって製造された製剤による、COX−1およびCOX−2の阻害プロフィールをグラフで示す。以下、UP676と称する、この組成物の、リコンビナントヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の阻害について調べた。データは、阻害%対阻害剤濃度(μg/mL)として示している。COX−1のIC50は、2μg/mL/酵素単位であり、COX−2のIC50は、4μg/mL/単位であった。
【図7】図7は、S.baicalensis の根より単離されたフリーB環フラボノイド類の抽出物およびA.catechu より単離されたフラバン類の抽出物を約50:50の比率で組み合わせることによって製造された製剤による、COX−1およびCOX−2の阻害プロフィールをグラフで示す。その組成物の、リコンビナントヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の阻害について調べた。データは、阻害%対阻害剤濃度(μg/mL)として示している。COX−1のIC50は、0.38μg/mL/酵素単位として計算し、COX−2のIC50は、0.84μg/mL/単位であると決定した。
【図8】図8は、S.baicalensis の根より単離されたフリーB環フラボノイド類の抽出物およびA.catechu より単離されたフラバン類の抽出物を約20:80の比率で組み合わせることによって製造された製剤による、COX−1およびCOX−2の阻害プロフィールをグラフで示す。その組成物の、リコンビナントヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の阻害について調べた。データは、阻害%対阻害剤濃度(μg/mL)として示している。COX−1についてのこの組成物のIC50は、0.18μg/mL/酵素単位であり、COX−2についてのIC50は、0.41μg/mL/単位であった。
【図9】図9は、A.catechu からのフラバン抽出物による5−LOの阻害プロフィールをグラフで示す。その組成物を、実施例4に記載のように、リコンビナントジャガイモ5−リポキシゲナーゼ活性の阻害(◆)について調べた。データは、阻害剤不含の検定の阻害%として示している。5−LOのIC50は、1.38μg/mL/酵素単位であった。
【図10】図10は、実施例9に記載の条件下で行われた、S.baicalensis の根より単離されたフリーB環フラボノイド類およびA.catechu の皮より単離されたフラバン類の80:20の比率の混合物を含んで成る典型的な製剤の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)クロマトグラムを示す。
【図11】図11は、実施例10に記載のような、THP−1またはHT−29細胞(ATCC)中においてLPSで誘導されて新たに合成されたLTB4(◆)の、ELISAによって決定される量への増加濃度のUP676の作用をグラフで示す。そのUP676は、S.baicalensis の根より単離されたフリーB環フラボノイド類およびA.catechu の皮より単離されたフラバン類の標準化された抽出物の80:20の比率の組合せによって製造した。UP676製剤の活性は、誘導されるLTB4合成の阻害%として表している。
【図12】図12は、実施例10に記載のように、非誘導細胞中において3μg/mLのUP676で処置後のHT−29細胞中に残存する、ELISAによって決定されるLTB4レベルを、3μg/mLのイブプロフェンでの処置と比較している。UP676製剤は、2日間の処置後に、HT−29細胞中のLTB4産生の80%阻害を示した。
【図13】図13は、実施例12に記載のような、炎症の阻害尺度としての耳腫脹データをグラフで示す。S.baicalensis の根より単離されたフリーB環フラボノイド類およびA.catechu の皮より単離されたフラバン類の標準化された抽出物の80:20の比率の組合せによって製造されたUP676を、未処置マウスと、経口強制飼養によってインドメタシン(1.5mg/kg)を与えられたマウスとで比較した。データは、各々のマウスについて未処置対被処置の耳垂のミクロン測定差として示している。
【図14】図14は、実施例13に記載のような、いろいろな処置群の無毛マウス皮膚紅斑スコアの変化を、UV線をマウスに照射後の時間の関数としてグラフで示す。B−1群、A−1群、B−2群およびA−2群のマウスを、照射前(B−1群およびB−2群)かまたは照射後(A−1群およびA−2群)に、UP676で処置した。そのUP676は、S.baicalensis の根より単離されたフリーB環フラボノイド類およびA.catechu の皮より単離されたフラバン類の標準化された抽出物の80:20の比率の組合せによって製造した。図14に関して、UP676の局所適用は、UV照射の前でも後でも、標準的な処置薬 Sooth-a-caine を投与された群および対照群で比較したところ、紅斑スコアを有意に減少させたということが理解されうる。
【図15】図15は、実施例15に示される条件下における1日目、3日目、6日目、8日目および13日目の各種水溶液中の純カテキンの濃度の変化をグラフで示す。
【図16】図16は、pH7.5の水溶液中の純カテキンを分解および変色から保護するのに用いることができる種々の化学保存剤をグラフで示す。
【図17】図17は、10人の健康な被験者(n=10、女性6人および男性4人)による、300mgの単回用量のUP676の経口投与後の時間に対する平均血清フリーB環フラボノイド濃度をグラフで示す。平均Cmaxは、0.93μg/mL(%RSD=84.9)であり、平均Tmaxは、約5.8時間であった(%RSD=43.4)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔、歯肉および歯の疾患および状態を予防又は処置する方法であって、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドと少なくとも一つのフラバンとの混合物を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項2】
前記組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、99:1のフリーB環フラボノイド:フラバン〜1:99のフリーB環フラボノイド:フラバンの範囲より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
組成物中のフリーB環フラボノイド:フラバンの比率が、約80:20である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フリーB環フラボノイドが、次の構造:
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH2、−NHR、−NR2、−NR3+X−、単一の糖または複数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され、ここにおいて、該グリコシドは、炭素、酸素、窒素または硫黄によって7−ヒドロキシクロモンに連結していて、そしてここにおいて、該単一の糖または複数の糖組合せには、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるが、これに制限されるわけではなく;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネートを含めた薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フラバンが、次の構造:
【化2】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NRH;−NR2;−NR3+X−;挙げられた置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルが含まれるがこれに制限されるわけではないエステル、およびそれらの化学誘導体;単一の糖または複数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され、ここにおいて、該グリコシドは、炭素、酸素、窒素または硫黄によって7−ヒドロキシクロモンに連結していて、そしてここにおいて、該単一の糖または複数の糖組合せには、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体および他の重合フラバン類が含まれるが、これに制限されるわけではなく;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネートが含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、有機合成によって得られているまたは植物より単離されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、茎、茎皮、幹、樹皮、小枝、塊茎、根、根皮、ヤングシュート(young shoots)、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分から成る群より選択される植物部分より単離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記フリーB環フラボノイドが、バンレイシ科(Annonaceae)、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科(Bignoniaceae)、シクンシ科(Combretaceae)、キク科(Compositae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、シソ科(Labiatae)、クスノキ科(Lauranceae)、マメ科(Leguminosae)、クワ科(Moraceae)、マツ科(Pinaceae)、イノモトソウ科(Pteridaceae)、ヒメウラジロ科(Sinopteridaceae)、ニレ科(Ulmaceae)およびショウガ科(Zingiberaceae)から成る群より選択される植物科より単離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記フリーB環フラボノイドが、デスモス(Desmos)、アキロクリン(Achyrocline)、オロキシルム(Oroxylum)、ブケナビア(Buchenavia)、アナファリス(Anaphalis)、コツラ(Cotula)、ハハコグサ(Gnaphalium)、ヘリクリスム(Helichrysum)、センタウレア(Centaurea)、フジバカモ(Eupatorium)、バッカリス(Baccharis)、シラキ(Sapium)、スクテラリア(Scutellaria)、モルサ(Molsa)、コレブローケア(Colebrookea)、スタキス(Stachys)、オリガヌム(Origanum)、ジジホラ(Ziziphora)、リンデラ(Lindera)、アクチノダフネ(Actinodaphne)、アカシア(Acacia)、デリス(Derris)、グリシリザ(Glycyrrhiza)、ミレティア(Millettia)、ポンガミア(Pongamia)、テフロシア(Tephrosia)、パンノキ(Artocarpus)、イチジク(Ficus)、ピチログランマ(Pityrogramma)、ノトレナ(Notholaena)、アカマツ(Pinus)、ハルニレ(Ulmus)およびハナミョウガ(Alpinia)から成る群より選択される植物属より単離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記フラバンが、Acacia およびウンカリア(Uncaria)から成る群より選択される植物属より単離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記フリーB環フラボノイドが、スクテラリア・バイカレンシス(Scutellaria baicalensis)およびオロキシルム・インディクム(Oroxylum indicum)のうちの一つまたは複数の植物より単離されていて、前記フラバンが、アカシア・カテキュ(Acacia catechu)およびウンカリア・ガンビル(Uncaria gambir)のうちの一つまたは複数の植物より単離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
組成物を、0.001mg/kg体重〜200mg/kg体重より選択される投薬量で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
組成物を、薬学的に許容しうる担体中に約0.001重量%(wt%)〜40.0wt%のフリーB環フラボノイドとフラバンとの混合物を含んで成る製剤の形態で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
投与経路が、局所投与、エアゾル投与、坐剤投与、皮内投与、筋肉内投与および静脈内投与から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
投与経路が局所である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
組成物を、練り歯磨き剤、ゲル剤、軟膏剤、口内洗剤、チューインガム、チンキ剤および飲料から成る群より選択される手段を用いて投与する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
医薬組成物が、慣用的な賦形剤と、場合により、アジュバントおよび/または担体および/または通常または制御放出性ビヒクルを更に含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
口腔、歯肉および歯の疾患および状態が、歯肉炎、歯周炎、歯髄炎から成る群より選択される歯周疾患;義歯の物理的植込み、外傷、損傷、歯ぎしり、腫瘍性および他の変性過程に起因する歯周状態;白質、ペリクル、歯垢(dental plagues)、歯石および着色から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
口腔、歯および歯肉に関連した健康上の利点を与える医薬組成物であって、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドと少なくとも一つのフラバンとの混合物を含んで成る医薬組成物。
【請求項20】
前記組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、99:1のフリーB環フラボノイド:フラバン〜1:99のフリーB環フラボノイド:フラバンの範囲より選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
組成物中のフリーB環フラボノイド:フラバンの比率が、約80:20である、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記フリーB環フラボノイドが、次の構造:
【化3】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH2、−NHR、−NR2、−NR3+X−、単一の糖または複数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され、ここにおいて、該グリコシドは、炭素、酸素、窒素または硫黄によって7−ヒドロキシクロモンに連結していて、そしてここにおいて、該単一の糖または複数の糖組合せには、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるが、これに制限されるわけではなく;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネートを含めた薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記フラバンが、次の構造:
【化4】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NRH;−NR2;−NR3+X−;挙げられた置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルが含まれるがこれに制限されるわけではないエステル、およびそれらの化学誘導体;単一の糖または複数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され、ここにおいて、該グリコシドは、炭素、酸素、窒素または硫黄によって7−ヒドロキシクロモンに連結していて、そしてここにおいて、該単一の糖または複数の糖組合せには、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体および他の重合フラバン類が含まれるが、これに制限されるわけではなく;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネートが含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、有機合成によって得られているまたは植物より単離されている、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、茎、茎皮、幹、樹皮、小枝、塊茎、根、根皮、ヤングシュート、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分から成る群より選択される植物部分より単離されている、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記フリーB環フラボノイドが、Annonaceae、Asteraceae、Bignoniaceae、Combretaceae、Compositae、Euphorbiaceae、Labiatae、Lauranceae、Leguminosae、Moraceae、Pinaceae、Pteridaceae、Sinopteridaceae、Ulmaceae および Zingiberaceae から成る群より選択される植物科より単離されている、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記フリーB環フラボノイドが、Desmos、Achyrocline、Oroxylum、Buchenavia、Anaphalis、Cotula、Gnaphalium、Helichrysum、Centaurea、Eupatorium、Baccharis、Sapium、Scutellaria、Molsa、Colebrookea、Stachys、Origanum、Ziziphora、Lindera、Actinodaphne、Acacia、Derris、Glycyrrhiza、Millettia、Pongamia、Tephrosia、Artocarpus、Ficus、Pityrogramma、Notholaena、Pinus、Ulmus および Alpinia から成る群より選択される植物属より単離されている、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記フラバンが、Acacia および Uncaria から成る群より選択される植物属より単離されている、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記フリーB環フラボノイドが、Scutellaria baicalensis および Oroxylum indicum のうちの一つまたは複数の植物より単離されていて、前記フラバンが、Acacia catechu および Uncaria gambir のうちの一つまたは複数の植物より単離されている、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項30】
薬学的に許容しうる賦形剤と、場合により、アジュバントまたは担体を更に含む、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記組成物が、局所適用のために製剤化されている、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記組成物が、通常または制御放出性ビヒクル中に製剤化されている、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記組成物が、練り歯磨き剤、ゲル剤、軟膏剤、口内洗剤、チューインガム、チンキ剤および飲料から成る群より選択される手段を用いて製剤化されている、請求項19に記載の組成物。
【請求項34】
口腔、歯および歯肉に関連した健康上の利点が、最適の唾液産生およびpHを維持すること;細菌増殖を最小限にすること;ペリクルおよび歯垢の形成を減少させること;歯脱灰およびう歯(う蝕)を阻害すること;再石灰化を促進すること;歯を白くすること;健康的な口腔衛生を維持すること;および口腔悪臭(口臭)を減少させることから成る群より選択され、前記方法が、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドと少なくとも一つのフラバンとの混合物を含む組成物の有効量を投与することを含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項35】
口腔、歯および歯肉に健康上の利点を与える方法であって、該健康上の利点が、最適の唾液産生およびpHを維持すること;細菌増殖を最小限にすること;ペリクルおよび歯垢の形成を減少させること;歯脱灰およびう歯(う蝕)を阻害すること;再石灰化を促進すること;歯を白くすること;健康的な口腔衛生を維持すること;および口腔悪臭(口臭)を減少させることから成る群より選択され、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドと少なくとも一つのフラバンとの混合物を含む組成物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項36】
組成物を、許容しうる担体中に約0.001重量%(wt%)〜40.0wt%のフリーB環フラボノイドとフラバンとの混合物を含んで成る製剤の形態で投与する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
投与経路が、局所投与、エアゾル投与、坐剤投与、皮内投与、筋肉内投与および静脈内投与から成る群より選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
投与経路が局所である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
組成物を、練り歯磨き剤、ゲル剤、軟膏剤、口内洗剤、チューインガム、チンキ剤および飲料から成る群より選択される手段を用いて投与する、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
組成物が、慣用的な賦形剤と、場合により、アジュバントおよび/または担体、および/または通常または制御放出性ビヒクルを更に含んで成る、請求項35に記載の方法。
【請求項1】
口腔、歯肉および歯の疾患および状態を予防又は処置する方法であって、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドと少なくとも一つのフラバンとの混合物を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項2】
前記組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、99:1のフリーB環フラボノイド:フラバン〜1:99のフリーB環フラボノイド:フラバンの範囲より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
組成物中のフリーB環フラボノイド:フラバンの比率が、約80:20である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フリーB環フラボノイドが、次の構造:
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH2、−NHR、−NR2、−NR3+X−、単一の糖または複数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され、ここにおいて、該グリコシドは、炭素、酸素、窒素または硫黄によって7−ヒドロキシクロモンに連結していて、そしてここにおいて、該単一の糖または複数の糖組合せには、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるが、これに制限されるわけではなく;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネートを含めた薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フラバンが、次の構造:
【化2】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NRH;−NR2;−NR3+X−;挙げられた置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルが含まれるがこれに制限されるわけではないエステル、およびそれらの化学誘導体;単一の糖または複数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され、ここにおいて、該グリコシドは、炭素、酸素、窒素または硫黄によって7−ヒドロキシクロモンに連結していて、そしてここにおいて、該単一の糖または複数の糖組合せには、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体および他の重合フラバン類が含まれるが、これに制限されるわけではなく;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネートが含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、有機合成によって得られているまたは植物より単離されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、茎、茎皮、幹、樹皮、小枝、塊茎、根、根皮、ヤングシュート(young shoots)、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分から成る群より選択される植物部分より単離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記フリーB環フラボノイドが、バンレイシ科(Annonaceae)、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科(Bignoniaceae)、シクンシ科(Combretaceae)、キク科(Compositae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、シソ科(Labiatae)、クスノキ科(Lauranceae)、マメ科(Leguminosae)、クワ科(Moraceae)、マツ科(Pinaceae)、イノモトソウ科(Pteridaceae)、ヒメウラジロ科(Sinopteridaceae)、ニレ科(Ulmaceae)およびショウガ科(Zingiberaceae)から成る群より選択される植物科より単離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記フリーB環フラボノイドが、デスモス(Desmos)、アキロクリン(Achyrocline)、オロキシルム(Oroxylum)、ブケナビア(Buchenavia)、アナファリス(Anaphalis)、コツラ(Cotula)、ハハコグサ(Gnaphalium)、ヘリクリスム(Helichrysum)、センタウレア(Centaurea)、フジバカモ(Eupatorium)、バッカリス(Baccharis)、シラキ(Sapium)、スクテラリア(Scutellaria)、モルサ(Molsa)、コレブローケア(Colebrookea)、スタキス(Stachys)、オリガヌム(Origanum)、ジジホラ(Ziziphora)、リンデラ(Lindera)、アクチノダフネ(Actinodaphne)、アカシア(Acacia)、デリス(Derris)、グリシリザ(Glycyrrhiza)、ミレティア(Millettia)、ポンガミア(Pongamia)、テフロシア(Tephrosia)、パンノキ(Artocarpus)、イチジク(Ficus)、ピチログランマ(Pityrogramma)、ノトレナ(Notholaena)、アカマツ(Pinus)、ハルニレ(Ulmus)およびハナミョウガ(Alpinia)から成る群より選択される植物属より単離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記フラバンが、Acacia およびウンカリア(Uncaria)から成る群より選択される植物属より単離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記フリーB環フラボノイドが、スクテラリア・バイカレンシス(Scutellaria baicalensis)およびオロキシルム・インディクム(Oroxylum indicum)のうちの一つまたは複数の植物より単離されていて、前記フラバンが、アカシア・カテキュ(Acacia catechu)およびウンカリア・ガンビル(Uncaria gambir)のうちの一つまたは複数の植物より単離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
組成物を、0.001mg/kg体重〜200mg/kg体重より選択される投薬量で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
組成物を、薬学的に許容しうる担体中に約0.001重量%(wt%)〜40.0wt%のフリーB環フラボノイドとフラバンとの混合物を含んで成る製剤の形態で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
投与経路が、局所投与、エアゾル投与、坐剤投与、皮内投与、筋肉内投与および静脈内投与から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
投与経路が局所である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
組成物を、練り歯磨き剤、ゲル剤、軟膏剤、口内洗剤、チューインガム、チンキ剤および飲料から成る群より選択される手段を用いて投与する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
医薬組成物が、慣用的な賦形剤と、場合により、アジュバントおよび/または担体および/または通常または制御放出性ビヒクルを更に含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
口腔、歯肉および歯の疾患および状態が、歯肉炎、歯周炎、歯髄炎から成る群より選択される歯周疾患;義歯の物理的植込み、外傷、損傷、歯ぎしり、腫瘍性および他の変性過程に起因する歯周状態;白質、ペリクル、歯垢(dental plagues)、歯石および着色から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
口腔、歯および歯肉に関連した健康上の利点を与える医薬組成物であって、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドと少なくとも一つのフラバンとの混合物を含んで成る医薬組成物。
【請求項20】
前記組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、99:1のフリーB環フラボノイド:フラバン〜1:99のフリーB環フラボノイド:フラバンの範囲より選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
組成物中のフリーB環フラボノイド:フラバンの比率が、約80:20である、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記フリーB環フラボノイドが、次の構造:
【化3】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH2、−NHR、−NR2、−NR3+X−、単一の糖または複数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され、ここにおいて、該グリコシドは、炭素、酸素、窒素または硫黄によって7−ヒドロキシクロモンに連結していて、そしてここにおいて、該単一の糖または複数の糖組合せには、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるが、これに制限されるわけではなく;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネートを含めた薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記フラバンが、次の構造:
【化4】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NRH;−NR2;−NR3+X−;挙げられた置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルが含まれるがこれに制限されるわけではないエステル、およびそれらの化学誘導体;単一の糖または複数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され、ここにおいて、該グリコシドは、炭素、酸素、窒素または硫黄によって7−ヒドロキシクロモンに連結していて、そしてここにおいて、該単一の糖または複数の糖組合せには、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体および他の重合フラバン類が含まれるが、これに制限されるわけではなく;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネートが含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、有機合成によって得られているまたは植物より単離されている、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、茎、茎皮、幹、樹皮、小枝、塊茎、根、根皮、ヤングシュート、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分から成る群より選択される植物部分より単離されている、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記フリーB環フラボノイドが、Annonaceae、Asteraceae、Bignoniaceae、Combretaceae、Compositae、Euphorbiaceae、Labiatae、Lauranceae、Leguminosae、Moraceae、Pinaceae、Pteridaceae、Sinopteridaceae、Ulmaceae および Zingiberaceae から成る群より選択される植物科より単離されている、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記フリーB環フラボノイドが、Desmos、Achyrocline、Oroxylum、Buchenavia、Anaphalis、Cotula、Gnaphalium、Helichrysum、Centaurea、Eupatorium、Baccharis、Sapium、Scutellaria、Molsa、Colebrookea、Stachys、Origanum、Ziziphora、Lindera、Actinodaphne、Acacia、Derris、Glycyrrhiza、Millettia、Pongamia、Tephrosia、Artocarpus、Ficus、Pityrogramma、Notholaena、Pinus、Ulmus および Alpinia から成る群より選択される植物属より単離されている、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記フラバンが、Acacia および Uncaria から成る群より選択される植物属より単離されている、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記フリーB環フラボノイドが、Scutellaria baicalensis および Oroxylum indicum のうちの一つまたは複数の植物より単離されていて、前記フラバンが、Acacia catechu および Uncaria gambir のうちの一つまたは複数の植物より単離されている、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項30】
薬学的に許容しうる賦形剤と、場合により、アジュバントまたは担体を更に含む、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記組成物が、局所適用のために製剤化されている、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記組成物が、通常または制御放出性ビヒクル中に製剤化されている、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記組成物が、練り歯磨き剤、ゲル剤、軟膏剤、口内洗剤、チューインガム、チンキ剤および飲料から成る群より選択される手段を用いて製剤化されている、請求項19に記載の組成物。
【請求項34】
口腔、歯および歯肉に関連した健康上の利点が、最適の唾液産生およびpHを維持すること;細菌増殖を最小限にすること;ペリクルおよび歯垢の形成を減少させること;歯脱灰およびう歯(う蝕)を阻害すること;再石灰化を促進すること;歯を白くすること;健康的な口腔衛生を維持すること;および口腔悪臭(口臭)を減少させることから成る群より選択され、前記方法が、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドと少なくとも一つのフラバンとの混合物を含む組成物の有効量を投与することを含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項35】
口腔、歯および歯肉に健康上の利点を与える方法であって、該健康上の利点が、最適の唾液産生およびpHを維持すること;細菌増殖を最小限にすること;ペリクルおよび歯垢の形成を減少させること;歯脱灰およびう歯(う蝕)を阻害すること;再石灰化を促進すること;歯を白くすること;健康的な口腔衛生を維持すること;および口腔悪臭(口臭)を減少させることから成る群より選択され、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドと少なくとも一つのフラバンとの混合物を含む組成物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項36】
組成物を、許容しうる担体中に約0.001重量%(wt%)〜40.0wt%のフリーB環フラボノイドとフラバンとの混合物を含んで成る製剤の形態で投与する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
投与経路が、局所投与、エアゾル投与、坐剤投与、皮内投与、筋肉内投与および静脈内投与から成る群より選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
投与経路が局所である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
組成物を、練り歯磨き剤、ゲル剤、軟膏剤、口内洗剤、チューインガム、チンキ剤および飲料から成る群より選択される手段を用いて投与する、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
組成物が、慣用的な賦形剤と、場合により、アジュバントおよび/または担体、および/または通常または制御放出性ビヒクルを更に含んで成る、請求項35に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2008−517069(P2008−517069A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538073(P2007−538073)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/037936
【国際公開番号】WO2006/045056
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(504000568)ユニゲン・ファーマシューティカルス・インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/037936
【国際公開番号】WO2006/045056
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(504000568)ユニゲン・ファーマシューティカルス・インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】
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